JP2009181756A - リチウムイオン二次電池およびこれを用いた電子機器 - Google Patents

リチウムイオン二次電池およびこれを用いた電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量で、負荷特性および高温環境下における安全性に優れたリチウムイオン二次電池と、該電池を用いた電子機器とを提供する。
【解決手段】集電体4の片面または両面に負極合剤層3を有する負極1と、正極とが、セパレータを介して積層された積層体を、渦巻状に巻回してなる巻回電極体を有するリチウムイオン二次電池であって、前記負極合剤層の表面に、耐熱温度が150℃以上の絶縁性粒子と、結着剤とを含有する多孔膜2を有しており、前記多孔膜は、空孔率が30〜60%で、厚みが2〜12μmであり、前記多孔膜の含有する結着剤の少なくとも一部が、重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂であることを特徴とするリチウムイオン二次電池および該電池を用いた電子機器。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温環境下での安全性に優れたリチウムイオン二次電池と、該リチウムイオン二次電池を用いた電子機器に関するものである。
非水電解質電池の一種であるリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。携帯機器の高性能化に伴ってリチウムイオン二次電池の高容量化が更に進む傾向にあり、安全性の確保が重要となっている。
現行のリチウムイオン二次電池では、正極と負極の間に介在させるセパレータとして、例えば厚みが8〜30μm程度のポリオレフィン系の微多孔フィルムが使用されている。しかし現在汎用されている前記のセパレータは、電池内が非常に高温になった際に収縮したり破膜したりしやすく、これによる短絡発生の虞がある。そのため、高温環境下におけるリチウムイオン二次電池の安全性、信頼性のより一層の向上が求められている。
例えば、特許文献1には、正極の正極活物質塗布層、負極の負極活物質塗布層のいずれかの表面に、樹脂結着剤と固体粒子などからなる多孔性保護膜を形成した電池が開示されている。特許文献1に開示の電池に係る多孔性保護層は、電池製造の際の電極からの活物質の脱落を抑えて内部ショートの発生を防止するためのものであるが、多孔性保護層の構成の選択によっては、電池の高温環境下での安全性を高め得る可能性がある。
また、特許文献2にも、正極および負極の少なくとも一方の表面に、特定の無機酸化物フィラーと結着剤とからなり、孔隙率、細孔分布および厚みを特定値に調整した多孔膜を有するリチウムイオン二次電池が開示されており、前記多孔膜により電池の安全性が向上する旨記載されている。
特開平7−220759号公報 特開2005−327680号公報
ところで、リチウムイオン二次電池では、高容量化や負荷特性を高める観点から、正極と負極とをセパレータを介して積層し、これを渦巻状に巻回した巻回電極体を用いることが行われているが、本発明者らの検討によると、このように巻回電極体を用いたリチウムイオン二次電池においては、特許文献1や特許文献2の技術を適用しても、高温環境下における電池の安全性は、必ずしも十分でないことが判明した。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量で、負荷特性および高温環境下における安全性に優れたリチウムイオン二次電池と、該リチウムイオン二次電池を用いた電子機器を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のリチウムイオン二次電池は、集電体の片面または両面に負極合剤層を有する負極と、正極とが、セパレータを介して積層された積層体を、渦巻状に巻回してなる巻回電極体を有するリチウムイオン二次電池であって、前記負極合剤層の表面に、耐熱温度が150℃以上の絶縁性粒子と、結着剤とを含有する多孔膜を有しており、前記多孔膜は、空孔度が30〜60%で、厚みが2〜12μmであり、前記多孔膜の含有する結着剤の少なくとも一部が、重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂であることを特徴とするものである。
リチウムイオン二次電池の有する負極の表面に絶縁性粒子を含有する多孔膜を形成することで、電池が高温環境下に置かれた場合の負極の熱安定性を高めることができ、また、セパレータの熱収縮・破膜が生じても、多孔膜の存在によって正極と負極との接触が防止できることから、電池の高温環境下における安全性を高めることが可能となる。しかし、巻回電極体を有するリチウムイオン二次電池においては、多孔膜の形成による電池の安全性向上効果が十分に確保できない。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、例えば角筒形の外装体(電池缶)やラミネートフィルム外装体を有するリチウムイオン二次電池では、扁平状に押しつぶした形状の巻回電極体を使用するが、このような巻回電極体では、断面の長径方向の両端における湾曲部において、多孔膜から絶縁性粒子が脱落しやすく、また、例えば円筒形の外装体(電池缶)を有するリチウムイオン二次電池で汎用されている断面が円形の巻回電極体においても、その内周側の湾曲の程度が大きい箇所で、多孔膜から絶縁性粒子が脱落しやすいことを見出した。そして、絶縁性粒子の脱落が生じた箇所では多孔膜の機能が十分に発揮できておらず、これが電池の安全性向上を妨げていることが判明した。
そこで、本発明では、重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂を結着剤に用いて多孔膜を構成することとし、これにより、多孔膜中の結着剤量を低減しても、前記の絶縁性粒子の脱落を良好に防止できるようにした。しかも、重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂を結着剤に使用することで、前記の通り、多孔膜中の結着剤量を低減できるため、多孔膜の空孔率を、電池容量や負荷特性といった電池特性を損なわない範囲で可及的に低くでき、その結果、多孔膜による負極の熱安定性向上作用や、セパレータが熱収縮したり破膜した際の正極と負極との接触防止作用を、より高めることが可能となった。
本発明のリチウムイオン二次電池では、多孔膜による前記の作用によって、電池容量や負荷特性を高く維持しつつ、高温環境下での安全性を確保している。
本発明によれば、高容量で、負荷特性および高温環境下での安全性に優れたリチウムイオン二次電池を提供できる。また、本発明の電子機器は、本発明のリチウムイオン二次電池を用いているため、持続時間が長く、高温下においても発熱しにくいものとなる。
図1に本発明のリチウムイオン二次電池に係る負極の一例を模式的に示す。図1は負極1の断面図であり、負極集電体4の両面に負極合剤層3が形成されており、更に、負極集電体4の両側の負極合剤層3の表面に多孔膜2が形成されている。本発明に係る負極は、図1に示す構造以外にも、集電体の両面に負極合剤層を有しており、そのうちの一方の負極合剤層の表面にのみ多孔膜を有する構造であってもよく、集電体の片面にのみ負極合剤層を有しており、その負極合剤層の表面に多孔膜を有する構造であってもよい。
多孔膜を構成する絶縁性粒子としては、耐熱温度が150℃以上であり、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に非水電解液や、多孔膜形成の際に使用する絶縁性粒子を含有する組成物に用いる溶媒に安定であり、また、電池の作動電圧範囲において酸化還元といった副反応をしない粒子であればよい。なお、本明細書でいう「耐熱温度が150℃」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。また、本明細書でいう「電気化学的に安定な」とは、電池の充放電の際に化学変化が生じないことを意味している。
このような絶縁性粒子の具体例としては、以下の無機粒子または有機粒子が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子(無機粉末)としては、例えば、酸化鉄、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、TiO、BaTiO、ZrOなどの酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶粒子;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶粒子;モンモリロナイトなどの粘土粒子;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビンなどの鉱物資源由来物質またはこれらの人造物(これらも酸化物に包含される);などが挙げられる。また、金属粒子;SnO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物粒子;カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質粒子;などの導電性粒子の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、前記の非電気伝導性の無機粒子を構成する材料や、後記の架橋高分子微粒子を構成する材料など)で表面処理することで、電気絶縁性を持たせた微粒子であってもよい。
有機粒子(有機粉末)としては、架橋ポリメタクリル酸メチルなどのアクリレート系樹脂、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの各種架橋高分子粒子が例示できる。また、これらの有機粒子を構成する有機樹脂(高分子)は、前記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体であってもよい。
絶縁性粒子は、多孔膜中での充填性を高める観点から、タップ密度が、1g/cm以上であることが好ましく、1.1g/cm以上であることがより好ましい。また、絶縁性粒子のタップ密度は、2.0g/cm以下であることが好ましい。
絶縁性粒子のタップ密度は、ホソカワミクロン製「パウダテスタPT−S型」を用い、以下の測定により求められる値である。測定用カップ100cmに絶縁性粒子をすり切り一杯入れ、体積が減少した分を適宜補充しながら180秒間タッピングを行う。タッピング終了後、余分な絶縁性粒子をブレードですり切った後、質量(A)(g)を測定し、次式にてタップ密度を求める。
タップ密度=(A)/100
前記例示の絶縁性粒子の中でも、無機酸化物粒子がより好ましく、アルミナ粒子が特に好ましい。
絶縁性粒子の平均粒径は、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。多孔膜は、その効果を確保できる範囲でできる限り薄くすることが、電池内での多孔膜の占有体積を低減して、電池をより高容量とする点から好ましいが、絶縁性粒子の平均粒径が大きすぎると、薄い多孔膜を形成することが困難になる。また、絶縁性粒子が小さすぎると、絶縁性粒子の比表面積が大きくなり、絶縁性粒子同士を結着するために必要な結着剤量が増大して、多孔膜の機能が低下する虞があることから、絶縁性粒子の平均粒径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.25μm以上であることがより好ましい。なお、本明細書でいう絶縁性粒子の平均粒径は、レーザー散乱粒度分布径(HORIBA社製「LA−920」)を用い、微粒子を膨潤しない媒体(例えば水)に分散させて測定した数平均粒子径である。
多孔膜を構成する結着剤には、重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂を使用する。重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂は、絶縁性粒子を結着する力が非常に強いため、巻回電極体において多孔膜からの絶縁性粒子の脱離を防止でき、また、多孔膜中の結着剤量を低減できることから、多孔膜の空孔率を30〜60%と小さくして多孔膜による作用をより高めることが可能となる。フッ素系樹脂の重量平均分子量は、70万以上であることが好ましい。また、フッ素系樹脂の重量平均分子量は、大きくなりすぎると、多孔膜形成用の組成物に用いる溶剤に溶解しにくくなり、また、形成された多孔膜が硬くなって、ひび割れ(亀裂)が起こりやくなることから、150万以下であることが好ましく、120万以下であることがより好ましい。
前記のフッ素系樹脂における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値(ポリスチレン換算値)である。
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(E/TFE)、ポリクロロトリフルオロエチレンなどが挙げられ、これらを1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、PVDFが特に好ましい。
なお、多孔膜に用いる結着剤は、重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂のみでもよく、他の結着剤を併用してもよい。他の結着剤を併用する場合には、ポリN−ビニルアセトアミド(PNVA)を用いることが好ましい。
詳しくは後述するが、本発明に係る多孔膜は、例えば、絶縁性粒子および結着剤を溶剤に分散(結着剤は溶解していてもよい)させて調製された多孔膜形成用組成物を、負極合剤層の表面に塗布し、乾燥することにより形成される。その際、多孔膜形成用組成物中で絶縁性粒子が凝集などしている場合には、形成後の多孔膜にスジなどの欠陥が生じ、電池の安全性を高める効果が小さくなることがある。
PNVAは、多孔膜形成用組成物中での絶縁性粒子の凝集を抑え、良好に分散させる作用を有している。そのため、PNVAを結着剤として前記のフッ素系樹脂と併用することで、絶縁性粒子の凝集に基づく多孔膜の欠陥の発生を容易に抑えることができることから、より良好に機能し得る多孔膜(特に薄い多孔膜)の形成が容易となる。
多孔膜において、結着剤の総量は、絶縁性粒子100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。多孔膜中の結着剤量が多すぎると、多孔膜の空孔率を前記のように小さくできない。また、多孔膜中の結着剤量が少なすぎると、絶縁性粒子同士の結着や多孔膜と負極合剤層との結着が不十分となる虞があることから、多孔膜中の結着剤の総量は、絶縁性粒子100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。
また、重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂を使用することによる効果を確実に確保する観点からは、多孔膜中における前記フッ素系樹脂量は、絶縁性粒子100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。なお、前記の通り、多孔膜中の結着剤は、重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂のみであってもよいため、多孔膜中における前記フッ素系樹脂量の上限値は、前述の、多孔膜中における結着剤の総量の好適上限値を満足していることが好ましい。
更に、結着剤としてPNVAを併用する場合には、その効果(多孔膜形成用組成物中における絶縁性粒子の凝集防止効果)をより確実に確保する観点からは、絶縁性粒子100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、1.5質量部以上であることがより好ましい。なお、多孔膜中におけるPNVA量の上限値は、多孔膜中における結着剤の総量が前記好適上限値を超えず、かつ多孔膜中における重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂の量が前記好適値を満たす範囲であることが好ましい。
多孔膜の空孔率は、高温環境下における電池の安全性を確保する観点から、60%以下であり、55%以下であることが好ましい。ただし、多孔膜の空孔率が小さすぎると、電池特性(特に負荷特性)が低下するため、その空孔率は、30%以上であり、40%以上であることが好ましい。
なお、多孔膜の空孔率:P(%)は、多孔膜の厚み、面積当たりの質量、構成成分の密度から、下記(1)式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算される値である。
P =100−( Σ a/ρ) ×(m/t) (1)
ここで、前記式中、a:質量%で表した成分iの比率、ρ:成分iの密度(g/cm)、m:多孔膜の単位面積あたりの質量(g/cm)、t:多孔膜の厚み(cm)である。
また、多孔膜の厚みは、多孔膜形成による効果を確実に確保する観点から、2μm以上であり、2.5μm以上であることが好ましい。また、電池容量を高める観点から、多孔膜の厚みは、12μm以下であり、8μm以下であることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る負極における負極合剤層は、負極活物質や結着剤、更には必要に応じて導電助剤を含有している。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si,Sn、Ge,Bi,Sb、Inなどの元素およびその合金、リチウム含有窒化物、もしくは酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、またはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。そして、これらの負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどの結着剤などを適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体に仕上げることで、集電体表面に負極合剤層を形成することができる。
なお、電池の容量を高める観点からは、前記例示の負極活物質の中でも、高結晶性の黒鉛を用いることが好ましく、具体的には、X線回折法により測定される(002)面の面間隔d002が、0.342nm未満の黒鉛が好ましく使用される。なお、d002の下限値は特に限定されないが、理論的には約0.335nmである。
負極合剤層の組成としては、負極活物質の含有量は97〜98質量%であることが好ましく、結着剤の含有量は1〜2質量%であることが好ましい。また、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合には、負極合剤層中の導電助剤の含有量は、1〜2質量%であることが好ましい。更に、負極合剤層の厚み(片面あたりの厚み)は、50〜150μmであることが好ましい。
また、電池の容量を高める観点から、負極合剤層の密度は、1.58g/cm以上であることが好ましく1.60g/cm以上であることがより好ましい。ただし、負極合剤層の密度が高すぎると、非水電解液に濡れにくくなり、電池特性が損なわれる虞があることから、その密度は、1.80g/cm以下であることが好ましい。
なお、本明細書でいう負極合剤層の密度は、以下の方法により測定される値である。負極を所定面積に切り取り、その質量を最小目盛1mgの電子天秤を用いて測定し、集電体の質量を差し引いて負極合剤層の質量を算出する。一方、前記負極の全厚を最小目盛1μmのマイクロメーターで10点測定し、これらの測定値から集電体の厚みを差し引いた値の平均値と、面積とから、負極合剤層の体積を算出する。そして、前記負極合剤層の質量を前記体積で割ることにより負極合剤層の密度を算出する。
負極合剤層の密度は、例えば、集電体上に負極合剤層を形成した後に、プレス処理を施すことで調整できる。プレス処理時の条件には特に制限はないが、例えば、プレス時の線圧を、15〜500kg/cmとすることが好ましい。
負極の集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、また、下限は5μmであることが望ましい。
負極側のリード部は、通常、負極作製時に、集電体の一部に負極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、この負極側のリード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
本発明に係る負極において多孔膜を形成する方法としては、例えば、絶縁性粒子と結着剤とを、溶媒に分散させた多孔膜形成用組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(結着剤は溶媒に溶解していてもよい)、これを負極の負極合剤層表面に塗布し、乾燥する方法が採用できる。
多孔膜形成用組成物に用いられる溶媒は、絶縁性粒子を均一に分散でき、また、結着剤を均一に溶解または分散できるものであればよいが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP);N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシド;トルエンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフランなどのフラン類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;などの有機溶媒が好適であり、これらの中でも、極性溶媒[特にNMP、アミド類、ジメチルスルホキシドなど]が、多孔膜形成用組成物により形成される塗膜との親和性が高いことから好ましい。なお、これらの溶媒に、界面張力を制御する目的で、アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなどを適宜添加してもよい。また、水を多孔膜形成用組成物の溶媒としてもよく、この際にもアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)を適宜加えて界面張力を制御することもできる。多孔膜形成用組成物における絶縁性粒子および結着剤を含む固形分濃度は、例えば、10〜40質量%とすることが好ましい。
なお、負極の負極合剤層は、負極活物質を含む負極合剤をNMPなどの溶媒に分散させた負極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を集電体に塗布し、乾燥することで形成される場合がある。このような製法を経て形成される負極合剤層の表面に多孔膜を形成する場合には、集電体上に塗布後、完全に乾燥する前の負極合剤含有組成物の上に、多孔膜形成用組成物を塗布し乾燥する方法により、負極合剤層と多孔膜とを同時に形成するようにしてもよい。
本発明の電池に係る正極は、従来公知のリチウムイオン二次電池に使用されている正極、すなわち、集電体の片面または両面にリチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含有する正極合剤層を有する正極が使用できる。
正極活物質としては、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mnなど)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物;LiMnなどのリチウムマンガン酸化物;LiMnのMnの一部を他元素で置換したLiMn(1−x);オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe);LiMn0.5Ni0.5;Li(1+a)MnNiCo(1−x−y)(−0.1<a<0.1、0<x<0.5、0<y<0.5);などを適用することが可能であり、これらの正極活物質に公知の導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの結着剤などを適宜添加した正極合剤を、集電体を芯材として成形体(正極合剤層)に仕上げたものなどを、正極として用いることができる。正極合剤層の厚み(片面あたりの厚み)は、50〜70μmであることが好ましい。
正極合剤層の組成としては、正極活物質の含有量は90〜99質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量は1〜5質量%であることが好ましく、結着剤の含有量は1.5〜3.5質量%であることが好ましい。
正極合剤層の密度は、3.6g/cm以上であることが好ましく、3.7g/cm以上であることがより好ましい。このような高密度の正極合剤層を有する正極と前記の高密度の負極合剤層を有する負極とを併用することにより、電池の更なる高容量化が達成できる。ただし、正極合剤層に関しても密度が大きすぎると、電解液に濡れにくくなり、電池特性が低下する虞があるため、その密度は4.2g/cm以下であることが好ましい。正極合剤層の密度は、例えば、集電体上に正極合剤層を形成した後にプレス処理を施すことで調整できる。なお、ここでいう正極合剤層の密度は、前記の負極合剤層の密度と同じ測定法により測定される値である。
正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極側のリード部も負極側のリード部と同様に、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
本発明の電池に係るセパレータには、従来公知のリチウムイオン二次電池に採用されている微孔性フィルム、すなわち、フィルムの構成樹脂に無機フィラーなどを含有させてフィルム化したものを、一軸延伸または二軸延伸して孔を形成した微孔性フィルム製のセパレータが適用できる。
セパレータとなる微孔性フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンなどが挙げられる。
セパレータの厚みは、8〜30μmであることが好ましく、また、セパレータの空孔率は、30〜70%であることが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、例えば、正極と負極とを、セパレータを介し、かつ多孔膜が正極と負極との間に介在するように重ね合わせた積層体を、渦巻状に巻回して巻回電極体とし、この巻回電極体を外装体に挿入した後に非水電解液を注入してから、外装体を封止する工程を経て製造される。
電池の外装体としては、特に制限はなく、従来公知のリチウムイオン二次電池に採用されている筒形(角筒形や円筒形など)のスチール缶やアルミニウム缶などが挙げられる。また、樹脂フィルムに金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体に用いることもできる。
なお、角筒形の外装体やラミネートフィルム外装体のように、その厚みに対して幅の比率が大きな形態の外装体を使用する場合には、巻回電極体を押しつぶして扁平状にしてから外装体内に装填する。このような扁平状の巻回電極体を使用する場合でも、本発明に係る負極を用いることにより、多孔膜からの絶縁性粒子の脱落(特に、断面の長径方向の両端の湾曲部における多孔膜からの絶縁性粒子の脱落)を防止できる。他方、円筒形の外装体を使用する場合などでは、通常、巻回電極体を扁平状とせずに使用するが、このような断面が円形の巻回電極体を使用する場合においても、本発明に係る負極を用いることにより、多孔膜からの絶縁性粒子の脱落(特に、内周側の湾曲の程度が大きい箇所における多孔膜からの絶縁性粒子の脱落)を防止できる。
非水電解液としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールサルファイト、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどの1種のみからなる有機溶媒、あるいは2種以上の混合溶媒に、例えば、LiClO、LiPF、LiBF 、LiAsF 、LiSbF 、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などのリチウム塩から選ばれる少なくとも1種を溶解させることによって調製したものが使用される。このリチウム塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
更に、非水電解液には、電池の充放電サイクル特性や負荷特性の向上を目的として、ビニレンカーボネートなどの二重結合を有するエステル;プロパンスルトンなどのイオウ含有有機化合物;フルオロベンゼンなどのフッ素含有芳香族化合物:などの添加剤を添加することが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来公知のリチウムイオン二次電池が適用されている各種用途と同じ用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<負極の作製>
負極活物質として黒鉛系炭素材料(A)[純度99.9%以上、平均粒子径18μm、002面の面間距離(d002)=0.3356nm、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)=100nm、R値(波長514.5nmのアルゴンレーザーで励起させた時のラマンスペクトルにおける1350cm−1付近のピーク強度と1580cm−1付近のピーク強度との比〔R=I1350/I1580〕)=0.18]:70質量部と、黒鉛系炭素材料(B)[純度99.9%以上、平均粒子径21μm、d002=0.3363nm、Lc=60nm、R値=0.11]:30質量部とを混合し、この混合物98質量部と、カルボキシメチルセルロース:1質量部とスチレンブタジエンゴム1質量部とを、水の存在下で混合してスラリー状の負極合剤含有ペーストを調製した。得られた負極合剤含有ペーストを、厚みが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、ローラーで負極合剤層の密度が1.75g/cmになるまで加圧処理し、所定のサイズに切断後、ニッケル製のリード体を溶接して、シート状の負極を作製した。
<多孔膜形成用スラリーの調製>
耐熱性粒子として、アルミナ粒子(住友化学株式会社製「スミコランダムAA04(商品名)」、タップ密度1.2g/cm)100質量部、結着剤としてPVDFのNMP溶液[呉羽化学株式会社製「L#7208(商品名)」、固形分濃度5質量%、重量平均分子量65万]100質量部およびNMP200質量部を混合し、ビーズ分散機を用いて塗料化して、多孔膜形成用スラリーを調製した。
<多孔膜の作製>
前記の多孔膜形成用スラリーを、負極の両面上にスロットダイ方式によって塗布し、乾燥して、片面当たり厚みが4μmの多孔膜を形成した。この多孔膜における固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)は100:5であり、空孔率は54%であった。
<正極の作製>
LiCo0.998Mg0.0008Ti0.0004Al0.0008[平均粒子径12μm]97.3質量部、および導電助剤としての炭素材料:1.5質量部を、粉体供給装置である定量フィーダ内に投入し、PVDFのNMP溶液[呉羽化学株式会社製「L#1120(商品名)」、固形分濃度12質量%]の投入量を調整し、混練時の固形分濃度が常に94質量%になるように調整した材料を、単位時間あたり所定の投入量になるように制御しつつ二軸混練押出機に投入して混練を行い、正極合剤含有ペーストを調製した。
次に、得られた正極合剤含有ペーストをプラネタリーミキサー内に投入し、10質量%濃度のPVDFのNMP溶液とNMPとを加えて希釈し、塗布可能な粘度に調整した。この希釈後の正極合剤含有ペーストを70メッシュの網を通過させて大きな含有物を取り除いた後、厚みが15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥して膜状の正極合剤層を形成した。乾燥後の正極合剤層の固形分比率は、正極活物質:導電助剤:PVDF質量比で97.3:1.5:1.2である。その後、加圧処理し、所定のサイズに切断後、アルミニウム製のリード体を溶接して、シート状の正極を作製した。加圧処理後の正極合剤層の密度(正極の密度)は3.86g/cmであり、正極合剤層の厚み(両面の厚み、すなわち、正極の総厚みから正極集電体のアルミニウム箔の厚みを引いた厚み、以下同じ)は135μmであった。
<非水電解液の調製>
メチルエチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合比が3/1/2(体積比)の混合溶媒に、LiPFを1.2mol/lとなるように溶解し、これに、ビニレンカーボネート(VC)3質量%を加えて非水電解液を調製した。
<非水二次電池の作製>
前記の正極と負極とを、微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータ[空孔率53%、MD方向引張強度:2.1×10N/m、TD方向引張強度:0.28×10N/m、厚さ16μm、透気度80秒/100ml、105℃×8時間後のTD方向の熱収縮率3%、突き刺し強度:3.5N(360g)]を介して渦巻状に巻回し、巻回構造の電極体にした後、角形の電池ケース内に挿入するために加圧して扁平状の巻回電極体にした。それをアルミニウム合金製で角形の電池ケース内に挿入し、正・負極リード体の溶接と蓋板の電池ケースへの開口端部へのレーザー溶接を行い、封口用蓋板に設けた注入口から前記の非水電解液を電池ケース内に注入し、非水電解液をセパレータなどに十分に浸透させた後、部分充電を行い、部分充電で発生したガスを排出後、注入口を封止して密閉状態にした。その後、充電、エイジングを行い、図2に示すような構造で図3に示すような外観を有し、幅が34.0mmで、厚みが4.0mmで、高さが50.0mmの角形のリチウムイオン二次電池を得た。
ここで図2および図3に示す電池について説明すると、正極11と負極12は前記のようにセパレータ13を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体16として、角形の電池ケース14に非水電解液と共に収容されている。ただし、図2では、煩雑化を避けるため、正極11や負極12の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や非水電解液、多孔膜などは図示していない。
電池ケース14はアルミニウム合金製で電池の外装材の主要部分を構成するものであり、この電池ケース14は正極端子を兼ねている。そして、電池ケース14の底部にはポリテトラフルオロエチレンシートからなる絶縁体15が配置され、前記正極11、負極12およびセパレータ13からなる扁平状の巻回電極体16からは、正極11および負極12のそれぞれ一端に接続された正極リード体17と負極リード体18が引き出されている。また、電池ケース14の開口部を封口するアルミニウム製の蓋板19にはポリプロピレン製の絶縁パッキング20を介してステンレス鋼製の端子21が取り付けられ、この端子21には絶縁体22を介してステンレス鋼製のリード板23が取り付けられている。
そして、この蓋板19は前記電池ケース14の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、電池ケース14の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図2の電池では、蓋板19に電解液注入口24が設けられており、この電解液注入口24には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている(従って、図2および図3の電池では、実際には、電解液注入口24は、電解液注入口と封止部材であるが、説明を容易にするために、電解液注入口24として示している)。更に、蓋板19には、防爆ベント25が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体17を蓋板19に直接溶接することによって電池ケース14と蓋板19とが正極端子として機能し、負極リード体18をリード板23に溶接し、そのリード板23を介して負極リード体18と端子21とを導通させることによって端子21が負極端子として機能するようになっているが、電池ケース14の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図3は、図2に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図3は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図3では電池を概略的に示しており、電池構成部材のうち特定のものを示している。
実施例2
多孔膜の負極片面当たりの厚みを3μmとした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例3
多孔膜の負極片面当たりの厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
実施例4
多孔膜の固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)を100:7とし、負極片面当たりの厚みを5μmとした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜の空孔率は59%であった。
実施例5
結着剤として重量平均分子量が100万のPVDFのNMP溶液[呉羽化学株式会社製「L#9305(商品名)」、固形分濃度5質量%]を用いて多孔膜を形成した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜は、片面当たりの厚みが4μmであり、固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)は100:2で、空孔率は39%であった。
実施例6
多孔膜中の固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)を100:3とした以外は、実施例5と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜は、負極片面当たりの厚みが4μmであり、空孔率は43%であった。
実施例7
絶縁性粒子として、アルミナ粒子(住友化学株式会社製「AKP−3000(商品名)」、タップ密度1.1g/cm)を用いて多孔膜を形成した以外は、実施例5と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜は、負極片面当たりの厚みが4μm、固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)は100:4であり、空孔率は50%であった。
実施例8
結着剤に、PVDFのNMP溶液[呉羽化学株式会社製「L#7208(商品名)」]と、PNVAのNMP溶液[昭和電工株式会社製「GE−191(商品名)」、固形分濃度5質量%]を用いた以外は実施例1と同様にして多孔膜形成用スラリーを調製し、このスラリーを用いて多孔膜を形成した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜は、負極片面当たりの厚みが4μm、固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF:PNVA)は100:3:1.5であり、空孔率は60%であった。
実施例9
絶縁性粒子に酸化チタン[石原産業株式会社製「タイペークCR−EL(商品名)」、タップ密度1.1g/cm]を用いて多孔膜を形成した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜は、負極片面当たりの厚みが4μm、固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)は100:4であり、空孔率は52%であった。
比較例1
負極に多孔膜を設けなかった以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
比較例2
結着剤として重量平均分子量が50万のPVDFのNMP溶液[呉羽化学株式会社製「L#9210商品名)」、固形分濃度10質量%]を用いて多孔膜を形成した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜は、負極片面当たりの厚みが4μmであり、固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)は100:5であり、空孔率は64%であった。
比較例3
結着剤として重量平均分子量が35万のPVDFのNMP溶液[呉羽化学株式会社製「L#1320(商品名)」、固形分濃度12質量%]を用いて多孔膜を形成した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜は、負極片面当たりの厚みが4μmであり、固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)は100:7であり、空孔率は68%であった。
比較例4
結着剤として重量平均分子量が10万のPVDFのNMP溶液[呉羽化学株式会社製「L#1120(商品名)」、固形分濃度12質量%]を用い、固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)を100:10として多孔膜を形成したが、多孔膜と負極との結着性が悪く剥離が見られたため、リチウムイオン二次電池の作製にまで至らなかった。
比較例5
多孔膜の厚みを負極の片面当たり1μmとした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜の空孔率は54%であった。
比較例6
結着剤として重量平均分子量が100万のポリフッ化ビニリデン[呉羽化学株式会社製「L#9305(商品名)]を用い、固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)っを100:4、負極片面当たりの厚みを14μmとした以外は、実施例1と同様にして多孔膜を形成した。この多孔膜の空孔率は52%であった。その後、多孔膜を形成した負極を用い、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池の作製を試みたが、多孔膜の割れが発生して電池作製ができなかった。
比較例7
多孔膜における固形分の質量組成比(アルミナ粒子:PVDF)を100:1.7とし、多孔膜の厚みを負極の片面当たり6μmとした以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この多孔膜の空孔率は29%であった。
比較例8
絶縁性粒子として、アルミナ粒子[住友化学株式会社製「AKP−50(商品名)」、タップ密度0.9g/cm]を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。この電池に係る多孔膜の空孔率は62%であった。
実施例1〜9および比較例1〜8のリチウムイオン二次電池について、下記の特性評価を行った。各リチウムイオン二次電池の構成を表1に、その特性評価の結果を表2に示す。
<放電容量および負荷特性評価>
実施例1〜9および比較例1〜8のリチウムイオン二次電池を、4.2Vまで180mA(0.2C)の定電流で充電後、総充電時間が8時間となるまで4.2Vで定電圧充電し、続いて180mA(0.2C)の定電流で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電を行い、放電容量を求めた。
また、前記の各電池について、前記と同じ条件で4.2Vまで定電流・定電圧充電後、1.8A(2C)の定電流で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電を行って放電容量を測定し、前記0.2C放電時の放電容量を100とした時の比を求めて負荷特性を評価した。
<安全性評価>
実施例1〜9および比較例1〜8の電池を、4.4Vまで180mA(0.2C)の定電流で充電後、総充電時間が8時間となるまで4.4Vで定電圧充電した。その後、これらの電池を150℃に保持した恒温槽内に貯蔵し、電池温度が180℃以上になるまでの時間を調べた。
Figure 2009181756
Figure 2009181756
表2から明らかなように、実施例1〜9のリチウムイオン二次電池は、容量が高く、負荷特性および高温環境下での安全性が良好であった。
このように、容量が大きく、負荷特性、および高温環境下での安全性に優れた本発明のリチウムイオン二次電池を用いると、携帯電話、ノートパソコン、PDA 、小型医療機器などの持ち運び可能な携帯機器や、バッテリーバックアップ機能付きOA機器、医療機器などの電子機器の稼働時間を延長することができ、高温下での電子機器の電池収納部付近の発熱を抑制することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池に係る負極の一例を示す断面模式図である。 本発明のリチウムイオン二次電池の一例を模式的に示す図で、(a)はその平面図、(b)はその部分縦断面図である。 図2に示すリチウムイオン二次電池の斜視図である。
符号の説明
1 負極
2 多孔膜
3 負極合剤層
4 負極集電体
11 正極
12 負極
13 セパレータ
16 巻回電極体

Claims (6)

  1. 集電体の片面または両面に負極合剤層を有する負極と、正極とが、セパレータを介して積層された積層体を、渦巻状に巻回してなる巻回電極体を有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記負極合剤層の表面に、耐熱温度が150℃以上の絶縁性粒子と、結着剤とを含有する多孔膜を有しており、
    前記多孔膜は、空孔率が30〜60%で、厚みが2〜12μmであり、
    前記多孔膜の含有する結着剤の少なくとも一部が、重量平均分子量が60万以上のフッ素系樹脂であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 多孔膜は、結着剤としてポリN−ビニルアセトアミドを更に含有している請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 多孔膜の含有する結着剤の総量が、絶縁性粒子100質量部に対して10質量部以下である請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 多孔膜の含有する絶縁性粒子は、タップ密度が1g/cm以上である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 多孔膜の含有する絶縁性粒子は、アルミナ粒子である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池を用いたことを特徴とする電子機器。
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