JP2012043967A - 磁気メモリ素子 - Google Patents

磁気メモリ素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2012043967A
JP2012043967A JP2010183631A JP2010183631A JP2012043967A JP 2012043967 A JP2012043967 A JP 2012043967A JP 2010183631 A JP2010183631 A JP 2010183631A JP 2010183631 A JP2010183631 A JP 2010183631A JP 2012043967 A JP2012043967 A JP 2012043967A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
copt
thickness
magnetic memory
memory element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010183631A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Omori
広之 大森
Masakatsu Hosomi
政功 細見
Kazuhiro Bessho
和宏 別所
Yutaka Higo
豊 肥後
Ichiyo Yamane
一陽 山根
Hiroyuki Uchida
裕行 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2010183631A priority Critical patent/JP2012043967A/ja
Priority to US13/193,935 priority patent/US8546897B2/en
Priority to CN2011102288698A priority patent/CN102376873A/zh
Publication of JP2012043967A publication Critical patent/JP2012043967A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N50/00Galvanomagnetic devices
    • H10N50/10Magnetoresistive devices
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11CSTATIC STORES
    • G11C11/00Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor
    • G11C11/02Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using magnetic elements
    • G11C11/16Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using magnetic elements using elements in which the storage effect is based on magnetic spin effect
    • G11C11/161Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using magnetic elements using elements in which the storage effect is based on magnetic spin effect details concerning the memory cell structure, e.g. the layers of the ferromagnetic memory cell
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11CSTATIC STORES
    • G11C11/00Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor
    • G11C11/02Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using magnetic elements
    • G11C11/16Digital stores characterised by the use of particular electric or magnetic storage elements; Storage elements therefor using magnetic elements using elements in which the storage effect is based on magnetic spin effect
    • G11C11/165Auxiliary circuits
    • G11C11/1675Writing or programming circuits or methods
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N50/00Galvanomagnetic devices
    • H10N50/80Constructional details
    • H10N50/85Magnetic active materials
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10BELECTRONIC MEMORY DEVICES
    • H10B61/00Magnetic memory devices, e.g. magnetoresistive RAM [MRAM] devices
    • H10B61/20Magnetic memory devices, e.g. magnetoresistive RAM [MRAM] devices comprising components having three or more electrodes, e.g. transistors
    • H10B61/22Magnetic memory devices, e.g. magnetoresistive RAM [MRAM] devices comprising components having three or more electrodes, e.g. transistors of the field-effect transistor [FET] type

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)
  • Thin Magnetic Films (AREA)

Abstract

【課題】垂直磁化を用いた磁気メモリ素子において、作製プロセスに耐え、薄い膜厚で大きな保磁力と高い耐熱性を有する参照層を実現する。
【解決手段】参照層は、20原子%以上50原子%以下のPtを含有し、1nm以上5nm以下の膜厚を有する、少なくとも2以上のCoPt層が、Ru層を介して積層された構造を有するものとする。そしてRu層の厚みは、0.45±0.05nmあるいは0.9±0.1nmとする。またCoPt層の結晶の3回対称軸が膜面垂直に配向する。またスピン注入層との界面を、1.5nm以下のCo又はFeを主成分とする高スピン分極層とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、記憶層と参照層となる複数層の垂直磁化膜が非磁性体を介して積層された層構造を備える磁気メモリ素子に関し、特に参照層の構造に関する。
特開2004−193595号公報 特開2009−81215号公報
コンピュータなどの情報機器ではRAM(ランダム・アクセス・メモリ)として、動作が高速で、高密度なDRAM(Dynamic Random Access Memory)が広く使われている。しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
不揮発メモリの候補として、磁性体の磁化で情報を記憶するMRAM(磁気ランダム・アクセス・メモリ)が注目され、開発が進められている。
MRAMの記憶を行う方法としては、電流磁場によって磁化を反転させる方法や、例えば上記特許文献1のようにスピン分極した電子を直接記憶層に注入して磁化反転を起こさせる方法がある。特に、素子のサイズが小さくなるのに伴い記憶電流を小さくできるスピン注入磁化反転が注目されている。
さらに、素子を微細化するために、例えば特許文献2のように磁性体の磁化方向を垂直方向に向けた垂直磁化膜を用いた方法が検討されている。
磁気メモリ素子は、磁化層としての記憶層と参照層が、非磁性体を介して積層された層構造を備える。
垂直磁化を有する磁気メモリ素子の垂直磁化膜としては、参照層、記録層ともに同じTbFeCo、FePt、CoPt、Co/Pt連続積層膜、Co/Pd連続積層膜など、ほぼ同じ材料系が提案されている。
しかしながら、参照層と記録層には求められる特性が著しく異なるため、既存の材料で参照層の特性を満足するのは難しい。
参照層に要求される特性としては、微細な素子において、熱や外部磁場、あるいは記録時の電流に対して安定した垂直磁化が求められている。さらに微細加工を施すためにはできるだけ薄い膜で高い保磁力を実現する必要があり、少なくとも5kOe以上の保磁力が望まれる。
本発明は、このような認識に基づいてなされたものであり、垂直磁化を用いた磁気メモリ素子において、作製プロセスに耐え、薄い膜厚で大きな保磁力と高い耐熱性を有する磁化参照層を実現することを目的とする。
本発明の磁気メモリ素子は、膜面に垂直な磁化を有し、情報に対応して磁化の向きが変化される記憶層と、膜面に垂直な磁化を有すると共に情報の基準となる参照層と、上記記憶層と上記参照層の間に設けられる非磁性体によるスピン注入層とを有し、上記記憶層、上記スピン注入層、上記参照層を有する層構造に対して電流を流した際に発生するスピントルクで上記記憶層の磁化反転を行って情報を記憶する。そして上記参照層は、20原子%以上50原子%以下のPtを含有し、1nm以上5nm以下の膜厚とされた、少なくとも2以上のCoPt層が、Ru層を介して積層された構造を有する。また上記Ru層の厚みは、0.45±0.05nmあるいは0.9±0.1nmである。また上記CoPt層の結晶の3回対称軸が膜面垂直に配向する。また上記スピン注入層との界面が、1.5nm以下のCo又はFeを主成分とする高スピン分極層で構成されている。
また上記参照層における上記高スピン分極層は、CoFeB層とされる。
また上記参照層における上記CoPt層は、Ptの50%未満がNiで置換されているようにしてもよい。
また上記参照層は、第1のCoPt層、Ru層、第2のCoPt層、Ru層、高スピン分極層が順に積層された構成とする。この場合、上記第2のCoPt層の厚さを、上記第1のCoPt層の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くする。
また上記参照層は、第1のCoPt層、Ru層、第2のCoPt層、緩衝層、高スピン分極層が順に積層された構成とする。この場合、上記緩衝層は、厚さ0.3nm以下のTi、Cr、V、Nb、Ta、Mo、W、Zr、Hf、Si、Ge、Zn、Mg、Gd、Tb、Dy、Ho、Re、Ru、MgO、Al23、TiO2、SiO2の少なくとも1つからなる層とされ、また上記第1のCoPt層の厚さを、上記第2のCoPt層の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くする。
また上記参照層は、第1のCoPt層、Ru層、第2のCoPt層、Ru層、第3のCoPt層、Ru層、高スピン分極層が順に積層された構成とする。この場合、上記第1のCoPt層の厚さと上記第3のCoPt層との厚さの和が、上記第2のCoPt層の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くなるようにする。
また上記参照層は、第1のCoPt層、Ru層、第2のCoPt層、Ru層、第3のCoPt層、緩衝層、高スピン分極層が順に積層された構成とする。この場合、上記緩衝層は、厚さ0.3nm以下のTi、Cr、V、Nb、Ta、Mo、W、Zr、Hf、Si、Ge、Zn、Mg、Gd、Tb、Dy、Ho、Re、Ru、MgO、Al23、TiO2、SiO2の少なくとも1つからなる層とされ、上記第2のCoPt層の厚さが、上記第1のCoPt層の厚さと上記第3のCoPt層の厚さの和よりも1nm以上2nm以下だけ厚くされているようにする。
垂直磁化を有する参照層と記録層とを非磁性層(スピン注入層)を介して積層した磁気メモリ素子においては、参照層に熱に対して安定な六方晶あるいは六方晶と面心立方が混ざったPt含有量が20原子%以上50原子%以下のCoPtの合金を用い、3回対称軸を膜面垂直に配向させると、安定した垂直磁気異方性が得られる。
但し、その構成のみでは参照層として保磁力は十分ではない。そこで、少なくとも2以上のCoPt合金層の間にRu層を介した反強磁性的な磁気結合によって、保磁力を増加させる。特にCoPt合金膜の厚さが1nm以上5nm以下で、Ru層厚を0.45±0.05nmあるいは0.9±0.1nmにすることによって、優れた保磁力増加効果を持ちながら高いプロセス温度まで安定した特性が得られる。
本発明により、薄い膜厚で大きな保磁力と高い耐熱性を有する参照層を実現でき、温度変化や外部磁場などの影響を受けにくく、安定した動作が可能な磁気メモリを実現できる。
本発明の実施の形態の磁気メモリ素子を用いた磁気メモリの説明図である。 実施の形態の磁気メモリ素子の構成例の説明図である。 実施の形態の磁気メモリ素子の構成例の説明図である。 MgO単結晶上に成膜したCoPt膜のPt組成比と垂直異方性磁場の関係の説明図である。 MgO(111)面上に成膜したCoPtの電子線格子像と回折像の写真である。 CoPtのPtをNiで置換したときの垂直異方性磁場の変化を示した図である。 CoPt層の膜厚と保磁力の関係を示した図である。 Ruを介して2層のCoPtを磁気的に結合させた膜の光磁気カー効果での測定結果を示した図である。 CoPt/Ru/CoPt膜のRu膜厚に対する保磁力の変化を示した図である。 CoPt/Ru/CoPt膜のCoPt膜厚に対する保磁力の変化を示した図である。 CoPt/Ru/CoPt/Ru/CoFeB膜のCoFeB膜厚を変えたときの光磁気カー効果による測定結果を示す図である。 垂直磁化膜の強磁性トンネル接合においてCoPtとCoFeBの間に挿入する各種緩衝層の磁気抵抗比の説明図である。 実施の形態の試料1と試料2の1層目のCoPtと2層目のCoPtの膜厚の差に対する保磁力の変化を示した図である。 実施の形態の試料3と試料4の3層目のCoPt膜厚に対する保磁力の変化を示した図である。
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
<1.磁気メモリ構造の概略>
<2.実施の形態の磁気メモリ素子の構造例>
<3.各種検討結果>
[3−1:CoPt層のPt組成]
[3−2:CoPt合金に対するNi添加効果]
[3−3:2以上のCoPt層をRu層を介して積層した構造]
[3−4:Ru層の膜厚]
[3−5:CoPt層の膜厚]
[3−6:高スピン分極層の膜厚]
[3−7:緩衝層]
[3−8:各CoPt層の膜厚比]
[3−9:まとめ]
<1.磁気メモリ構造の概略>

まず、本発明の実施の形態の磁気メモリ素子が用いられる磁気メモリの構造を説明する。図1は磁気メモリの構造の概略を模式的に示したものである。
磁気メモリ10は、互いに交叉する2種類のアドレス様の配線、例えばワード線とビット線とを備え、その交点付近で、これら2種類の配線の間に磁気メモリ素子1が配置されて成る。この磁気メモリ素子1が、後述する本実施の形態としての構造を備えるものとなる。
磁気メモリ10においては、例えばSi等の半導体基板の素子分離層2によって分離された領域に、各磁気メモリ素子1を選択するための選択用トランジスタを構成する、ドレイン領域8、ソース領域7、ゲート電極3がそれぞれ形成される。
ゲート電極3は、図中前後方向に伸びる一方のアドレス用の配線(例えばワード線)を兼ねている。
ドレイン領域8は、図中左右の選択用トランジスタに共通して形成されており、このドレイン領域8には、配線9が接続されている。
そして、ソース領域7と、上方に配置された図中左右方向に延びる他方のアドレス用の配線(例えばビット線)6との間に、磁気メモリ素子1が配置される。
この磁気メモリ素子1は、垂直磁化を有しスピン注入により磁化の向きが反転する強磁性層から成る記憶層と、この記憶層に記憶された情報の基準となる磁化方向を有する参照層と、記憶層と参照層の間に設けられる非磁性体によるスピン注入層を備える。
そしてこの磁気メモリ素子1は、2種類のアドレス用の配線となるゲート電極3及び配線6の交点付近に配置され、上下のコンタクト層4を介して接続される。これにより、2種類の配線、すなわちゲート電極3及び配線6を通じて、磁気メモリ素子1に上下方向の電流を流して、スピン注入により、記憶層の磁化の向きを情報に対応して反転させることができる。
なお、この図1の構造は磁気メモリの説明のための一例に過ぎない。例えば磁気メモリ素子1の上のコンタクト層4を設けずに配線6が形成される場合もある。
<2.実施の形態の磁気メモリ素子の構造例>

上述したように本発明では、作製プロセスに耐え、薄い膜厚で大きな保磁力と高い耐熱性を有する磁化参照層を実現することで、垂直磁化膜を用いた磁気メモリ素子として安定した動作が可能な磁気メモリ素子を実現することを目的とする。
本願発明者らは、この目的を達成するために検討を重ねた結果、垂直磁化を有する参照層と記録層とを非磁性層(スピン注入層)を介して積層した磁気メモリ素子において、次のことを見いだした。
即ち参照層に、熱に対して安定な六方晶あるいは六方晶と面心立方が混じったPt含有量が20原子%以上50原子%以下のCoPtの合金を用い、3回対称軸を膜面垂直に配向させると、安定した垂直磁気異方性が得られる。
但し、この構成のみでは参照層として保磁力は十分ではない。そこで、少なくとも2以上のCoPt合金層の間にRu層を介した反強磁性的な磁気結合によって、保磁力を増加させる検討を行った。その結果、特にCoPt合金膜の厚さが1nm以上5nm以下で、Ru層厚を0.45±0.05nmあるいは0.9±0.1nmにすることによって、優れた保磁力増加効果を持ちながら高いプロセス温度まで安定した特性が得られることを見いだした。
実施の形態としての磁気メモリ素子1の基本的な構成例を図2,図3に示す。特に参照層の構成として構成例I、II、III、IVを挙げる。
図2(a)は磁気メモリ素子1の層構造の例を示している。磁気メモリ素子1は例えば円柱状、楕円柱状、円錐台状などの形状とされることが多い。ここでは例えば多数の膜が積層されて円柱状等とされる磁気メモリ素子1における、順次積層される層構造を示している。
図2(a)に示すように、垂直磁化を有する本実施の形態の磁気メモリ素子1は、下部電極16と上部電極17の間に、下地層11、参照層12、スピン注入層13、記憶層14、保護層15が順に積層されている。
記憶層14は、磁化方向が層面垂直方向に自由に変化する磁気モーメントを有する強磁性体から構成されている。記録層14としては、例えばTbCoFe等の希土類−遷移金属合金、Co/Pd多層膜等の金属多層膜、FePt等の規則合金など、垂直異方性を有する磁性材料が適用可能である。なお、保磁力を低下させたり磁気ダンピング定数を低下させるために、組成の調整や、あるいは添加元素を加えたりしてもよい。
参照層12は、磁化が膜面垂直方向に固定された磁気モーメントを有する強磁性体から構成されている。参照層12の構成については後述する。
この記憶層14と参照層12が、スピン注入層13を介して配置される。スピン注入層13の材料にはCu、Ag等の金属膜、Al23、TiO2、MgO等の酸化物膜が利用可能である。
情報の記憶は一軸異方性を有する記憶層14の磁化の向きにより行う。書込みは、膜面垂直方向に電流を印加し、スピントルク磁化反転を起こすことにより行う。このように、スピン注入により磁化の向きが反転する記憶層14に対して、下層に磁化固定層としての参照層12が設けられ、記憶層14の記憶情報(磁化方向)の基準とされる。
参照層12は情報の基準であるので、記録や読み出しによって磁化の方向が変化してはいけないが、必ずしも特定の方向に固定されている必要はなく、記録層よりも保磁力を大きくするか、膜厚を厚くするか、あるいは磁気ダンピング定数を大きくして記録層よりも動きにくくすればよい。
磁化を固定する場合にはPtMn、IrMnなどの反強磁性体を参照層12に接触させるか、あるいはそれらの反強磁性体に接触した磁性体をRu等の非磁性体を介して磁気的に結合させ、参照層12を間接的に固定しても良い。
保護層15は、例えば、Li、Be、Na、Mg、Nb、Ti、V、Ta及びBaのうち1つ以上の元素、若しくは、これら元素を含む酸化物、又は、Ti及びVのうち1つ以上の元素の窒化物から構成される。
また、下地層11は、例えば、Ru、Mg、Ca、V、Nb、Mn、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも1つ以上の元素、若しくは、これら元素を含む酸化物から構成される。下地層12は、厚すぎると平滑性が低下し、薄すぎると機能しないため3〜30nmで形成される。
なお、この図2(a)では、参照層12が下に、記憶層14が上に配置された場合を示すが、記憶層14が下、参照層12が上でもかまわない。
図2(a)は本実施の形態の磁気メモリ素子1の層構造の一例にすぎない。
また垂直磁化の記憶層14を有する磁気メモリ素子1の記憶層14の形状は円柱状あるいは若干上幅が狭まった円錐台状が好ましく、楕円柱状や楕円錐台状としてもアスペクト比の小さなものが好ましい。
参照層12の形状は記憶層14と同じ形状に形成されていてもよいが、参照層12が下の場合、記憶層14よりも大きければ形状は任意でかまわない。
また通常は磁気メモリ素子1の周囲は絶縁層で埋め込まれている。
本実施の形態では、特に参照層12の構成に特徴を有する。
図2(b)は、参照層12の構成例Iを示している。
これは2つのCoPt層を有する例であり、参照層12は、下地層11側から順に、第1CoPt層21、Ru(ルテニウム)層22、第2CoPt層23、Ru層24、高スピン分極層25が積層される。高スピン分極層25がスピン注入層13との界面の層となる。
図2(c)は、参照層12の構成例IIを示している。
これは2つのCoPt層を有するとともに緩衝層を備える例である。参照層12は、下地層11側から順に、第1CoPt層21、Ru層22、第2CoPt層23、緩衝層26、高スピン分極層25が積層される。高スピン分極層25がスピン注入層13との界面の層となる。
図3(b)は、参照層12の構成例IIIを示している。なお、図3(a)は図2(a)と同じ磁気メモリ素子1の層構造を示している。
この図3(b)は3つのCoPt層を有する例である。この場合の参照層12は、下地層11側から順に、第1CoPt層21、Ru層22、第2CoPt層23、Ru層24、第3CoPt層27、Ru層28、高スピン分極層25が積層される。高スピン分極層25がスピン注入層13との界面の層となる。
図3(c)は、参照層12の構成例IVを示している。
この図3(c)は3つのCoPt層を有するとともに緩衝層を備える例である。この場合の参照層12は、下地層11側から順に、第1CoPt層21、Ru層22、第2CoPt層23、Ru層24、第3CoPt層27、緩衝層26、高スピン分極層25が積層される。高スピン分極層25がスピン注入層13との界面の層となる。
なお、同様に4つのCoPt層を用いた構成も可能であるが、特性の改善は少ないにもかかわらず、膜構成が複雑になるため、あまり効果的ではない。
上述したように、参照層12には、熱に対して安定な六方晶あるいは六方晶の面心立方が混ざったPt含有量が20原子%以上50原子%以下のCoPtの合金を用い、3回対称軸を膜面垂直に配向させると、安定した垂直磁気異方性が得られる。
そして参照層12として十分な保磁力を得るため、少なくとも2以上のCoPt層(21,23,27)の間にRu層(22,24)を介した反強磁性的な磁気結合によって、保磁力を増加させる。
この場合に、CoPt層(21,23,27)の厚さが1nm以上5nm以下で、Ru層(22,24)の厚みを0.45±0.05nmあるいは0.9±0.1nmにする。これによって、優れた保磁力増加効果を持ちながら高いプロセス温度まで安定した特性が得られる。
但し、2以上のCoPt層(21,23,27)の間となるRu層(22,24)の厚さが上記の範囲を超えるか、もしくはCoPt合金層の膜厚が1nmより薄い場合や5nmよりも厚い場合には、CoPt合金膜に垂直磁気異方性とRu層を介した磁気的相互作用のバランスが悪く、安定した保磁力が得られない。
特にスピン注入層13との界面に、高スピン分極のCoやFeを主成分とした材料を用いて高スピン分極層25を形成する場合は、上記の条件以外では安定した参照層を実現できない。
なお、本実施の形態の磁気メモリ素子1の参照層12に用いるCoPt層(21,23,27)は、耐食性の改善や飽和磁束密度の磁気異方性の調整のための添加元素としてCr、Fe、Cu、Pd、Auなどを10原子%以内で加えても良い。
さらに、材料価格を下げるためにCoPt合金のPtの50%までをNiで置換してもかまわない。
また、高スピン分極層25の材料はFeまたはCo単体あるいはFeCoの合金、さらにはホウ素を添加したCoFeB合金などが適応可能である。さらに、耐食性等の改善のためにその他の元素を10原子%以内で添加してもよい。
構成例II、IVにおける緩衝層26は、CoPt層と高スピン分極層25との相互拡散等の影響を低減するためのものである。緩衝層26がなくとも参照層12として機能するが、Ti、Cr、V、Nb、Ta、Mo、W、Zr、Hf、Si、Ge、Zn、Mg、Gd、Tb、Dy、Ho、Re、Ru、MgO、Al23、TiO2、SiO2の少なくとも1つからなる材料を用いると磁気抵抗比向上に効果的である。但し磁気的相互作用を保つためには緩衝層26の厚さは0.3nm以下が好ましい。
<3.各種検討結果>

以下、実施の形態の参照層12の構成に至った各種の検討結果について説明する。
[3−1:CoPt層のPt組成]

図4に膜厚10nmのCoPt合金を単結晶MgOの(100)面と(111)面それぞれの上に成膜したときのPt組成と垂直異方性磁界(Hk)の関係を示す。垂直異方性磁界は試料の膜面内に磁場をかけて磁化が飽和する磁場で示す。
図からわかるように、MgO(100)上に成膜したCoPt合金膜では、垂直磁気異方性がほとんど観測されない。一方、MgO(111)上に成膜したCoPt合金膜では垂直磁気異方性が見られ、特にPtの組成が20〜50原子%で大きな垂直磁気異方性(例えば5kOe以上)が見られる。なお、特にはPtの組成が30〜40原子%のときに垂直磁気異方性が大きく、参照層12に用いる場合に好ましいが、5kOe以上という条件で考えれば、Ptの組成が20〜50原子%の範囲が適切となる。
図5(a)(b)は、単結晶MgO(111)上に成膜したCo80Pt20膜の電子顕微鏡の格子像と回折像である。
結晶構造としては細密六方格子と面心立方格子の中間的状態に当たる積層欠陥を含んだ細密六方格子であるが、結晶の対称性は膜面垂直方向に3回対称である。
CoPt合金膜の結晶の3回対称軸を膜面垂直方向に配向させる方法は、MgO(111)のように単結晶の3回対称軸面上に成膜しても良いが、より簡便には、細密六方構造のRu、Reや面心立方構造のCu、Au、Ptを下地にしてその上に成膜すればよい。
特にRuは薄い膜厚で配向しやすいので、下地層11として適している。
[3−2:CoPt合金に対するNi添加効果]

次にCoPt合金に対するNi添加効果を調べた。
図6は厚さ5nmのRu膜上に成膜した、厚さ10nmのCoNiPt膜のPtとNiの比に対する垂直磁気異方性(Hk)の変化を示している。
図では「X」がNi添加割合としており、これを横軸としている。Co70Pt30膜の場合と、Co50Pt50膜の場合で、それぞれPtのうちの割合「X」をNiに置き換えた場合の各サンプルについて、垂直磁気異方性(Hk)を示す。
PtをNiで置換すると徐々に垂直磁気異方性(Hk)は減少する傾向であるが、50%程度までの置換であれば垂直磁気異方性は5kOe以上が得られる。
従って、CoPt層(21,23,27)として、CoPt合金のPtの50%までをNiで置換してもかまわないことがわかる。これは特に材料コスト低減に有効である。
[3−3:2以上のCoPt層をRu層を介して積層した構造]

図7に、膜厚5nmのRuを下地として成膜したCo70Pt30の、膜厚に対する保磁力の変化を示す。
図7に示されるように、Co70Pt30の膜厚を2nm以上に増やしても保磁力はほとんど増えないので、このままでは参照層12としての使用には適さない。
図8(a)は、図8(b)に示すように、膜厚5nmのRuを下地にして、2層の膜厚3nmのCo70Pt30を、膜厚0.9nmのRuを間に積層した場合の磁化を、光磁気効果で測定したした結果である。
なお、この図8(b)の構造は、上記図2,図3に示した構成例において、下地層11、第1CoPt層21、Ru層22、第2CoPt層23に相当する構成である。
図8(a)では、縦軸は磁気カー効果による回転角であり、磁化量に相当する。図中、上側のCoPt層と下側のCoPt層の磁化方向を示した矢印を加えてある。
この状態では図中にHcと示した磁場までは、磁化状態が変化せず、十分に安定した磁気メモリ素子1の参照層12として機能する。
つまり、少なくとも2以上のCoPt層が、Ru層を介して積層された構造が、参照層12として有効であることがわかる。
なお実施の形態で用いる磁性膜は単純な磁場に対して単純な磁化変化ではないので、磁場を強めていったときに、磁化配置が非可逆的に変化し元に戻らなくなったところを保磁力Hcと定義している。
[3−4:Ru層の膜厚]

次に、2以上のCoPt層をRu層を介して積層した構造におけるRu層の膜厚を検討した。
図9(a)は、図9(b)のように、2つのCoPt層の間のRu層の膜厚を変化させたときの保磁力Hcの変化を示している。
図9(a)において縦軸は保持力Hc、横軸はRu層の厚みtRUである。
図9(a)から、Ru層の膜厚が0.45nmと0.9nmの2つの極大があることがわかる。そして、それぞれ十分な保磁力、ここでは5kOe以上が得られる膜厚範囲としては、0.45nmの時は±0.05nm、0.9nmの時は±0.1nmである。
つまり、例えば図2,図3の構成例I〜IVにおける第1CoPt層21、Ru層22、第2CoPt層23に相当する構成、もしくは図3の構成例III、IVにおける第2CoPt層23、Ru層24、第3CoPt層27に相当する構成において、Ru層の厚みは、0.45±0.05nmあるいは0.9±0.1nmが適切である。
[3−5:CoPt層の膜厚]

次に、2以上のCoPt層をRu層を介して積層した構造におけるCoPt層の膜厚を検討した。
図10(a)は、図10(b)のように、2つのCoPt層の間のRu層を配置した構成で、Ru層の膜厚を0.45nmに固定して、CoPt層(Co70Pt30)の厚さtcoptを変化させた時の保磁力変化を示している。
図10(a)において縦軸は保持力Hc、横軸はCoPt層の厚みtcoptである。
CoPt合金の膜厚が1nm以上5nm以下であると、5kOe以上の大きな保磁力が得られる。特に2nm付近では測定限界の17kOe以上の保磁力が得られている。
この結果から、図2,図3の構成例I〜IVにおける第1CoPt層21、第2CoPt層23、第3CoPt層27としては、1nm以上5nm以下の膜厚が適切であることがわかる。
[3−6:高スピン分極層の膜厚]

磁気メモリ素子1において、トンネル磁気抵抗効果を利用して情報を読み出す場合には、磁気抵抗比(MR比)が大きい方がよいが、MR比を向上させる方法としては、スピン注入層13と参照層12との界面に、スピン分極率の高いFeやCoの合金を用いるのが好ましい。特にスピン注入層13がMgOの場合には、高スピン分極層25としてCoFeB合金を用いることが適している。
しかし、高スピン分極率材料は垂直磁気異方性が弱いか、あるいは面内磁気異方性である。
本実施の形態の磁気メモリ素子1の参照層12においては、高スピン分極層25として、高スピン分極材料を垂直磁化膜との磁気的な結合によって垂直方向に磁化して用いる。
図11(a)に、高スピン分極層25となるCoFeB層の厚さを変えた場合の光磁気カー曲線を示す。
この場合、図11(b)のように、下地層11として5nm厚のTa層と5nm厚のRu層を設けた。またスピン注入層13は1nm厚のMgOとした。参照層12については、図2(b)の構成例Iに相当する構造とした。
即ち2nm厚のCo70Pt30(第1CoPt層21)、0.45nm厚のRu層22、4nm厚のCo70Pt30(第2CoPt層23)、0.9nm厚のRu層24を設け、高スピン分極層25としては、「t」nm厚のCo50Fe3020とした。
そしてCo50Fe3020層の膜厚tを、2nm、1.5nm、1nm、0.5nmとした各場合についての調べた。
図11(a)の各厚みの場合の光磁気カー曲線では、平行な領域が、CoFeB膜の磁化が垂直を保っている領域である。
図中にHfで示した磁場より上ではCoFeB膜の磁化は垂直を保てなくなっている。
従って、Hfが磁場ゼロより大きいことが必須であり、十分に大きい必要がある。この結果より高スピン分極層25の膜厚は1.5nm以下が好ましいことが分かる。なお、高スピン分極層25の膜厚は、0.5nmよりも薄くてもよいが、これ以下であると磁化が消失する。従って磁化が消失しない限度が適切であり、実際には1.5nm〜0.5nmの範囲が好ましい。
[3−7:緩衝層]

図2,図3に示した構成例II、IVでは緩衝層26を設けている。この場合の緩衝層26の材料について述べる。
ここでは、5nm厚のTa、5nm厚のRu、4nm厚のCo70Pt30、0.45nm厚のRu、2nm厚のCo70Pt30、緩衝層、1nm厚のCo50Fe3020、1.5nm厚のMgO、2nm厚のCo50Fe30B20:2nmを成膜した。
このように各層を成膜した後、400℃で熱処理し、さらに上のCoFeBの磁化を垂直にするために10nmのTbFeCo膜を成膜してトンネル磁気抵抗を測定した。
図12に各種緩衝層の材料と厚さの試料のMR比を示す。
緩衝層がない場合のMR比が20%であることを基準とすると、斜線を伏した材料及び厚みの場合は、緩衝層として適切ではないこととなる。
図から、主に面心立方構造の材料が悪く、それ以外であれば効果がある。
膜厚は0.3nmを超えると磁気的相互作用が弱くなるので、高スピン分極層25が垂直磁化を保てなくなる。
[3−8:各CoPt層の膜厚比]

次にCoPt層の膜厚比を変えた検討を行った。
まず図13は、CoPtが2層の、図2の構成例I,IIに相当する試料1,2の場合を示す。
試料1の層構造を図13(b)に示す。
この試料1では、下地層11として5nm厚のTa層と5nm厚のRu層を設けた。
またスピン注入層13は1nm厚のMgOとした。
参照層12については、「t1」nm厚のCo70Pt30(第1CoPt層21)、0.45nm厚のRu層22、「t2」nm厚のCo70Pt30(第2CoPt層23)、0.9nm厚のRu層24、1nm厚のCo50Fe3020(高スピン分極層25)を順に積層した。
試料2の層構造を図13(c)に示す。
この試料2では、下地層11として5nm厚のTa層と5nm厚のRu層を設けた。
またスピン注入層13は1nm厚のMgOとした。
参照層12については、「t1」nm厚のCo70Pt30(第1CoPt層21)、0.45nm厚のRu層22、「t2」nm厚のCo70Pt30(第2CoPt層23)、0.2nm厚のTa層(緩衝層26)、1nm厚のCo50Fe3020(高スピン分極層25)を順に積層した。
図13(a)には、試料1、2において第1CoPt層21の厚みt1と、第2CoPt層23の厚みt2の差に対する保磁力の変化を示している。縦軸は保持力、横軸はt1−t2の値としている。
試料1においては第1CoPt層21の厚みt1を固定、試料2においては第2CoPt層23の厚みt2を固定で示す。
即ち試料1では、第1CoPt層21の厚みt1を2nmとした場合と、3nmとした場合のそれぞれについて、第2CoPt層23の厚みを各種変化させた場合の保持力を示している。
また試料2については、第2CoPt層23の厚みt2を、2nm,3nm,4nmとした各場合のそれぞれについて、第1CoPt層21の厚みを各種変化させた場合の保持力を示している。
この図から、試料1では、横軸で−1〜−2の範囲、つまり厚みt2が厚みt1よりも1〜2nm厚い場合に、保磁力Hcが最大になることがわかる。
即ち第2のCoPt層23の厚さが、第1のCoPt層21の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くされている場合である。
また試料2では、横軸で1〜2の範囲、つまり厚みt1が厚みt2よりも1〜2nm厚い場合に保磁力Hcが最大となる。即ち第1のCoPt層21の厚さが、第2のCoPt層23の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くされている場合である。
次にCoPtが3層の例として、図3の構成例III,IVに相当する試料3,4の場合を図14に示す。
試料3の層構造を図14(b)に示す。
この試料3では、下地層11として5nm厚のTa層と5nm厚のRu層を設けた。
またスピン注入層13は1nm厚のMgOとした。
参照層12については、2nm厚のCo70Pt30(第1CoPt層21)、0.45nm厚のRu層22、「t2」nm厚のCo70Pt30(第2CoPt層23)、0.45nm厚のRu層24、2nm厚のCo70Pt30(第3CoPt層27)、0.9nm厚のRu層28、1nm厚のCo50Fe3020(高スピン分極層25)を順に積層した。
試料4の層構造を図14(c)に示す。
この試料4では、下地層11として5nm厚のTa層と5nm厚のRu層を設けた。
またスピン注入層13は1nm厚のMgOとした。
参照層12については、2nm厚のCo70Pt30(第1CoPt層21)、0.45nm厚のRu層22、「t2」nm厚のCo70Pt30(第2CoPt層23)、0.45nm厚のRu層24、1nm厚のCo70Pt30(第3CoPt層27)、0.2nm厚のTa層(緩衝層26)、1nm厚のCo50Fe3020(高スピン分極層25)を順に積層した。
この試料3、試料4について、保磁力の第2CoPt層23の厚みt2に対する依存性を図14(a)に示している。縦軸は保持力、横軸はt2の値である。試料3,4とも、第2CoPt層23の厚みt2を変化させた場合の保持力を示している。
試料3においては厚みt2が2nm〜3nmで保磁力が大きくなる。すなわち、試料3においては、第1CoPt層21と第3CoPt層27の厚さの和が、第2CoPt層23の厚さよりも1nm〜2nm厚い場合に十分な保磁力が得られている。
試料4においては厚みtが4nm〜5nmで大きくなる。すなわち、試料4では第2CoPt層23の厚さが、第1CoPt層21と第3CoPt層27の厚さの和よりも1nm〜2nm厚いときに十分な保磁力が得られる。
[3−9:まとめ]

以上の検討結果から次のことが言える。
参照層12は、20原子%以上50原子%以下のPtを含有するCoPt層を有すること、またCoPt層の結晶の3回対称軸が膜面垂直に配向することが適切である。
また、CoPt層としては、1nm以上5nm以下の膜厚とされた、少なくとも2以上のCoPt層が、Ru層を介して積層された構造とされることが適切である。
またCoPt層に挟まれたRu層の厚みは、0.45±0.05nmあるいは0.9±0.1nmとすることが適切である。
また参照層12において、スピン注入層13との界面は、1.5nm以下のCo又はFeを主成分とする高スピン分極層25とされていることが適切である。
つまり図2,図3における参照層構成例I〜IVのような参照層12の構造とし、上記各条件を満たすことで、薄くても安定した保磁力が得られる垂直磁気メモリ用の参照層12が実現できる。そしてその参照層12を用いた磁気メモリ素子1では、温度変化や外部磁場などの影響を受けにくく、安定した動作が可能な磁気メモリを実現できる。
さらに、参照層構成例Iの場合、第2CoPt層23の厚さが、第1CoPt層21の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くされていると、十分な保持力が得られる。
参照層構成例IIの場合、第1CoPt層21の厚さが、第2CoPt層23の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くされていると、十分な保持力が得られる。
参照層構成例IIIの場合、第1CoPt層21の厚さと第3のCoPt層27との厚さの和が、第2CoPt層23の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くされていると、十分な保持力が得られる。
参照層構成例IVの場合、第2CoPt層23の厚さが、第1CoPt層21の厚さと第3CoPt層27の厚さの和よりも1nm以上2nm以下だけ厚くされていると、十分な保持力が得られる。
以上、実施の形態について説明してきたが、本発明の磁気メモリ素子1の形状、各層の厚み、膜材料等は上記例に限られず、多様な例が考えられる。
1 磁気メモリ素子、12 参照層、13 スピン注入層、14 記憶層、21 第1CoPt層、22,24,28 Ru層、23 第2CoPt層、25 高スピン分極層、26 緩衝層、27 第3CoPt層

Claims (7)

  1. 膜面に垂直な磁化を有し、情報に対応して磁化の向きが変化される記憶層と、
    膜面に垂直な磁化を有すると共に情報の基準となる参照層と、
    上記記憶層と上記参照層の間に設けられる非磁性体によるスピン注入層と、
    を有し、
    上記記憶層、上記スピン注入層、上記参照層を有する層構造に対して電流を流した際に発生するスピントルクで上記記憶層の磁化反転を行って情報を記憶するとともに、
    上記参照層は、
    20原子%以上50原子%以下のPtを含有し、1nm以上5nm以下の膜厚とされた、少なくとも2以上のCoPt層が、Ru層を介して積層された構造を有し、
    上記Ru層の厚みは、0.45±0.05nmあるいは0.9±0.1nmであり、
    上記CoPt層の結晶の3回対称軸が膜面垂直に配向し、
    上記スピン注入層との界面が、1.5nm以下のCo又はFeを主成分とする高スピン分極層で構成されている磁気メモリ素子。
  2. 上記参照層における上記高スピン分極層は、CoFeB層とされる請求項1に記載の磁気メモリ素子。
  3. 上記参照層における上記CoPt層は、Ptの50%未満がNiで置換されている請求項1に記載の磁気メモリ素子。
  4. 上記参照層は、
    第1のCoPt層、Ru層、第2のCoPt層、Ru層、高スピン分極層が順に積層されて構成され、
    上記第2のCoPt層の厚さが、上記第1のCoPt層の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くされている請求項1に記載の磁気メモリ素子。
  5. 上記参照層は、
    第1のCoPt層、Ru層、第2のCoPt層、緩衝層、高スピン分極層が順に積層されて構成され、
    上記緩衝層は、厚さ0.3nm以下のTi、Cr、V、Nb、Ta、Mo、W、Zr、Hf、Si、Ge、Zn、Mg、Gd、Tb、Dy、Ho、Re、Ru、MgO、Al23、TiO2、SiO2の少なくとも1つからなる層とされ、
    上記第1のCoPt層の厚さが、上記第2のCoPt層の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くされている請求項1に記載の磁気メモリ素子。
  6. 上記参照層は、
    第1のCoPt層、Ru層、第2のCoPt層、Ru層、第3のCoPt層、Ru層、高スピン分極層が順に積層されて構成され、
    上記第1のCoPt層の厚さと上記第3のCoPt層との厚さの和が、上記第2のCoPt層の厚さよりも1nm以上2nm以下だけ厚くされている請求項1に記載の磁気メモリ素子。
  7. 上記参照層は、
    第1のCoPt層、Ru層、第2のCoPt層、Ru層、第3のCoPt層、緩衝層、高スピン分極層が順に積層されて構成され、
    上記緩衝層は、厚さ0.3nm以下のTi、Cr、V、Nb、Ta、Mo、W、Zr、Hf、Si、Ge、Zn、Mg、Gd、Tb、Dy、Ho、Re、Ru、MgO、Al23、TiO2、SiO2の少なくとも1つからなる層とされ、
    上記第2のCoPt層の厚さが、上記第1のCoPt層の厚さと上記第3のCoPt層の厚さの和よりも1nm以上2nm以下だけ厚くされている請求項1に記載の磁気メモリ素子。
JP2010183631A 2010-08-19 2010-08-19 磁気メモリ素子 Pending JP2012043967A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010183631A JP2012043967A (ja) 2010-08-19 2010-08-19 磁気メモリ素子
US13/193,935 US8546897B2 (en) 2010-08-19 2011-07-29 Magnetic memory element
CN2011102288698A CN102376873A (zh) 2010-08-19 2011-08-10 磁存储器元件

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010183631A JP2012043967A (ja) 2010-08-19 2010-08-19 磁気メモリ素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012043967A true JP2012043967A (ja) 2012-03-01

Family

ID=45593399

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010183631A Pending JP2012043967A (ja) 2010-08-19 2010-08-19 磁気メモリ素子

Country Status (3)

Country Link
US (1) US8546897B2 (ja)
JP (1) JP2012043967A (ja)
CN (1) CN102376873A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013038421A (ja) * 2011-08-10 2013-02-21 Samsung Electronics Co Ltd 磁気トンネリング接合装置、メモリ、メモリシステム及び電子装置
JP2013187409A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Renesas Electronics Corp 磁気メモリセル、磁気メモリセルの製造方法
WO2014050379A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 ソニー株式会社 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
JP2014072392A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Sony Corp 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
JP2015088520A (ja) * 2013-10-28 2015-05-07 ソニー株式会社 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
KR20150066858A (ko) * 2013-12-09 2015-06-17 삼성전자주식회사 자기 기억 소자 및 그 제조 방법
JP2015521795A (ja) * 2012-06-19 2015-07-30 マイクロン テクノロジー, インク. メモリセル、半導体デバイス構造、メモリシステムおよび作製方法
JP2017212464A (ja) * 2017-08-09 2017-11-30 ソニー株式会社 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
US10897007B2 (en) 2018-11-28 2021-01-19 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic memory device

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9450177B2 (en) 2010-03-10 2016-09-20 Tohoku University Magnetoresistive element and magnetic memory
KR101766899B1 (ko) 2010-04-21 2017-08-10 삼성전자주식회사 자기 메모리 소자
JP5725735B2 (ja) * 2010-06-04 2015-05-27 株式会社日立製作所 磁気抵抗効果素子及び磁気メモリ
US8907436B2 (en) 2010-08-24 2014-12-09 Samsung Electronics Co., Ltd. Magnetic devices having perpendicular magnetic tunnel junction
US9299923B2 (en) 2010-08-24 2016-03-29 Samsung Electronics Co., Ltd. Magnetic devices having perpendicular magnetic tunnel junction
JP5786341B2 (ja) * 2010-09-06 2015-09-30 ソニー株式会社 記憶素子、メモリ装置
CN102709467A (zh) * 2012-06-04 2012-10-03 清华大学 一种高灵敏度的CoFeB基磁隧道结
CN102789786B (zh) * 2012-07-16 2015-05-20 华中科技大学 CoPt/Ta垂直磁化膜的双层结构材料及其制备方法
KR102099879B1 (ko) 2013-05-03 2020-04-10 삼성전자 주식회사 자기 소자
GB2514829A (en) * 2013-06-06 2014-12-10 Ibm Current-perpendicular-to-plane magnetoresistive read sensor
US10361361B2 (en) 2016-04-08 2019-07-23 International Business Machines Corporation Thin reference layer for STT MRAM
CN109087995B (zh) * 2017-06-14 2021-04-13 中电海康集团有限公司 垂直磁化mtj器件及stt-mram
US10461242B2 (en) * 2017-12-30 2019-10-29 Spin Memory, Inc. Antiferromagnetic exchange coupling enhancement in perpendicular magnetic tunnel junction stacks for magnetic random access memory applications
FR3077917B1 (fr) * 2018-02-15 2022-02-04 Commissariat Energie Atomique Empilement magnetique, jonction tunnel, point memoire et capteur comportant un tel empilement

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5792564A (en) * 1993-03-10 1998-08-11 Kabushiki Kaisha Toshiba Perpendicular recording medium and magnetic recording apparatus
JP4371781B2 (ja) 2002-11-26 2009-11-25 株式会社東芝 磁気セル及び磁気メモリ
US6956766B2 (en) 2002-11-26 2005-10-18 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic cell and magnetic memory
JP2009081215A (ja) * 2007-09-25 2009-04-16 Toshiba Corp 磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリ

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013038421A (ja) * 2011-08-10 2013-02-21 Samsung Electronics Co Ltd 磁気トンネリング接合装置、メモリ、メモリシステム及び電子装置
JP2013187409A (ja) * 2012-03-08 2013-09-19 Renesas Electronics Corp 磁気メモリセル、磁気メモリセルの製造方法
US9356229B2 (en) 2012-06-19 2016-05-31 Micron Technology, Inc. Memory cells and methods of fabrication
US11158670B2 (en) 2012-06-19 2021-10-26 Micron Technology, Inc. Magnetic structures, semiconductor structures, and semiconductor devices
US10586830B2 (en) 2012-06-19 2020-03-10 Micron Technology, Inc. Magnetic structures, semiconductor structures, and semiconductor devices
US10121824B2 (en) 2012-06-19 2018-11-06 Micron Technology, Inc. Magnetic structures, semiconductor structures, and semiconductor devices
US9711565B2 (en) 2012-06-19 2017-07-18 Micron Technology, Inc. Semiconductor devices comprising magnetic memory cells
JP2015521795A (ja) * 2012-06-19 2015-07-30 マイクロン テクノロジー, インク. メモリセル、半導体デバイス構造、メモリシステムおよび作製方法
EP2901507B1 (en) * 2012-09-28 2018-06-27 Sony Corporation Storage element, storage apparatus, and magnetic head
US9196336B2 (en) 2012-09-28 2015-11-24 Sony Corporation Storage cell, storage device, and magnetic head
JP2014072392A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Sony Corp 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
WO2014050379A1 (ja) * 2012-09-28 2014-04-03 ソニー株式会社 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
JP2015088520A (ja) * 2013-10-28 2015-05-07 ソニー株式会社 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
JP2015115610A (ja) * 2013-12-09 2015-06-22 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. 磁気記憶素子及びその製造方法
KR20150066858A (ko) * 2013-12-09 2015-06-17 삼성전자주식회사 자기 기억 소자 및 그 제조 방법
KR102126975B1 (ko) * 2013-12-09 2020-06-25 삼성전자주식회사 자기 기억 소자 및 그 제조 방법
JP2017212464A (ja) * 2017-08-09 2017-11-30 ソニー株式会社 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
US10897007B2 (en) 2018-11-28 2021-01-19 Kabushiki Kaisha Toshiba Magnetic memory device

Also Published As

Publication number Publication date
US20120043631A1 (en) 2012-02-23
US8546897B2 (en) 2013-10-01
CN102376873A (zh) 2012-03-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2012043967A (ja) 磁気メモリ素子
US10692521B2 (en) Storage element
US8790798B2 (en) Magnetoresistive element and method of manufacturing the same
JP5867030B2 (ja) 記憶素子、記憶装置
US8758909B2 (en) Scalable magnetoresistive element
TWI509603B (zh) Memory elements and memory devices
TWI514637B (zh) Memory elements and memory devices
JP5987613B2 (ja) 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
JP2011129933A (ja) 垂直磁気トンネル接合構造体並びにそれを含む磁性素子、及びその製造方法
JP2013115413A (ja) 記憶素子、記憶装置
TWI482152B (zh) Memory device, memory device
JP2008109118A (ja) 磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリ
JP2012235015A (ja) 記憶素子及び記憶装置
WO2014050379A1 (ja) 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
JP2012151213A (ja) 記憶素子、メモリ装置
JP2012151213A5 (ja)
JP2015088520A (ja) 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド
JP2012160681A (ja) 記憶素子、メモリ装置
JP2013115319A (ja) 記憶素子、記憶装置
JP2013115412A (ja) 記憶素子、記憶装置
JP2012129225A (ja) 記憶素子、メモリ装置
JP6028834B2 (ja) スピントランスファトルク記憶素子、記憶装置
JP2017212464A (ja) 記憶素子、記憶装置、磁気ヘッド