JP2009081215A - 磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリ - Google Patents

磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリ Download PDF

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Abstract

【課題】情報保持のために必要な高い磁化反転エネルギーを有する磁化自由層を低電流で磁化反転させることのできるスピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果型素子を提供することを可能にする。
【解決手段】膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層2と、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層6と、磁化参照層と磁化自由層との間に設けられた中間層4と、磁化自由層に対して中間層と反対側に設けられて磁化自由層と磁気的に結合し、反強磁性体と強磁性体との間で磁気相転移が可能な磁気相転移層8と、磁気相転移層に対して磁化自由層と反対側に設けられ、磁気相転移層に反強磁性体から強磁性体への磁気相転移を生じさせる励起層10と、を備え、磁化自由層の磁化の向きは、中間層を介して磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリに関する。
近年、新しい原理に基づいて情報を記録する固体メモリが多数提案されている。中でも、固体磁気メモリとして、トンネル磁気抵抗効果(以下、TMR(tunneling magneto resistance)ともいう)を利用する磁気ランダムアクセスメモリ(以下、MRAM(magnetoresistive random access memory)ともいう)が知られている。MRAMは、磁気抵抗効果を発現する磁気抵抗効果素子(以下、MR素子ともいう)をメモリセルの記憶素子として用いて、MR素子の磁化の状態によってメモリセルが情報を記憶する。
MR素子は、磁化が可変の磁化自由層と、磁化が固着された磁化固着層とを含んでいる。磁化自由層の磁化の向きが、磁化固着層の磁化の向きと平行なときに低抵抗状態となり、反平行のときに高抵抗状態となる。この抵抗状態の違いが情報の記憶に用いられる。
このMR素子に情報を書き込む方法として、いわゆる電流磁場書き込み方式が知られている。この方式では、MR素子の近傍に配線が配置され、この配線を流れる電流によって生じる磁場によって、MR素子の磁化自由層の磁化を反転させる。MRAMの微細化を行うためにMR素子のサイズを小さくすると、MR素子の磁化自由層の保持力Hcが大きくなる。このため、磁場書き込み方式のMRAMでは、微細化の進展に伴い、書き込みに必要な電流が大きくなる傾向がある。この結果、256Mbitを超えるような大容量化に向けたメモリセルの微細化と低電流化の両立は困難である。
この課題を克服する書き込み方式としてスピン角運動量移動(SMT(spin-momentum-transfer))を用いた書き込み(スピン注入書き込み)方式が提案されている(特許文献1)。スピン注入書き込み方式では、トンネル磁気抵抗効果を奏するMR素子を構成する各膜の膜面に垂直に電流を流すことにより、MR素子の磁化の状態を変化(反転)させる。
スピン注入による磁化反転では、磁化反転に必要な電流Icは、電流密度Jcで規定される。従って、MR素子の、電流が通過する面の面積が小さくなれば、磁化を反転させるための注入電流Icも小さくなる。電流密度一定で書込む場合、MR素子のサイズが小さくなれば、電流Icも小さくなるために、スピン注入書き込み方式は、原理的には、磁場書き込み方式に比べてスケーラビリティ性に優れる。
しかしながら、スピン注入書き込み方式を利用してMRAMを実現する場合において、情報保持に対して十分な磁化反転エネルギーを有する磁化自由層が磁化反転するために必要な電流は、現状のMRAMの実現の際に多く利用されている選択トランジスタで発生可能な電流値よりも大きいため、実質的にメモリとして動作させることができない。
米国特許第6,256,223号明細書
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、情報保持のために必要な高い磁化反転エネルギーを有する磁化自由層を低電流で磁化反転させることを可能にするスピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果型素子とそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による磁気抵抗効果素子は、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された第1磁化参照層と、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、前記第1磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられた第1中間層と、前記磁化自由層に対して前記第1中間層と反対側に設けられて前記磁化自由層と磁気的に結合し、反強磁性体と強磁性体との間で磁気相転移が可能な磁気相転移層と、前記磁気相転移層に対して前記磁化自由層と反対側に設けられ、前記磁気相転移層に反強磁性体から強磁性体への磁気相転移を生じさせる励起層と、を備え、前記磁化自由層の磁化の向きは、前記第1中間層を介して前記第1磁化参照層および前記磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様による磁気抵抗効果素子は、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された第1磁化参照層と、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、前記第1磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられた第1中間層と、前記磁化自由層に対して前記第1中間層と反対側に設けられて前記磁化自由層と磁気的に結合し、反強磁性体と強磁性体との間で磁気相転移が可能な磁気相転移層と、前記磁気相転移層に対して前記磁化自由層と反対側に設けられ、垂直磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定されて前記第1磁化参照層の磁化の向きを略反平行となる第2磁化参照層と、前記磁気相転移層と、前記第2磁化参照層との間に設けられ、前記磁気相転移層に反強磁性体から強磁性体への磁気相転移を生じさせる第2中間層と、を備え、前記磁化自由層の磁化の向きは、前記第1中間層を介して前記第1磁化参照層および前記磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする。
また、本発明の第3の態様による磁気ランダムアクセスメモリは、第1または第2の態様のいずれかの磁気抵抗効果素子をメモリセルに備えていることを特徴とする。
また、本発明の第4の態様による磁気ランダムアクセスメモリは、第1または第2の態様のいずれかの磁気抵抗効果素子と、一端が前記磁気抵抗効果素子の一端と直列接続されたトランジスタと、を含むメモリセルと、前記磁気抵抗効果素子の他端と接続された第1書き込み電流回路と、前記トランジスタの他端と接続され、前記第1書き込み電流回路とともに前記磁気抵抗効果素子の一端から他端または他端から一端に向かう電流を供給する第2書き込み電流回路と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、情報保持のために必要な高い磁化反転エネルギーを有する磁化自由層を低電流で磁化反転させることを可能にするスピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果型素子とそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリを提供することができる。
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による磁気抵抗効果素子(MR素子)を図1に示す。図1は、本実施形態のMR素子の主要部の積層構造を示している。図1において、矢印は磁化方向を示している。
MR素子は、膜面に垂直に流れる双方向電流の方向に応じて、2つの定常状態の一方を取るように構成された素子である。各定常状態を、“0”データ、“1”データに対応させることによって、MR素子は2値のデータを記憶できる。これをスピン注入書き込み方式といい、電流通電方向によって、磁化の状態が変化し、この状態に応じた情報を記憶する。
本実施形態のMR素子1は、強磁性体あるいはフェリ磁性体からなり、膜面に実質的に垂直な磁化(以下、垂直磁化ともいう)を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層(以下、ピン層ともいう)2と、強磁性体あるいはフェリ磁性体からなり、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層(以下、フリー層ともいう)6と、磁化参照層2と磁化自由層6との間に設けられた中間層4と、中間層4と反対側の磁化自由層6の面と接するように形成されて磁気的に結合し、反強磁性体と強磁性体との間で磁気相転移する磁気相転移層8と、磁化自由層6と反対側の磁気相転移層8の面に接するように形成され、磁気相転移層8の相転移を制御するために設けられる励起層10と、を備えている。磁化自由層6と中間層4との界面および磁化参照層2と中間層4との界面には界面磁性層も形成が可能である。これらの界面磁性層は、磁化自由層6あるいは磁化参照層2として含まれるために図示はしていない。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による磁気抵抗効果素子(MR素子)を図2に示す。図2は、本実施形態のMR素子の主要部の積層構造を示している。図2において、矢印は磁化方向を示している。
第2実施形態のMR素子1Aは、強磁性体あるいはフェリ磁性体からなり、垂直磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層2と、強磁性体あるいはフェリ磁性体からなり垂直磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層6と、磁化参照層2と磁化自由層6との間に設けられた中間層4と、中間層4と反対側の磁化自由層6の面と接するように形成されて磁気的に結合し、反強磁性体と強磁性体との間で磁気相転移する磁気相転移層8と、磁気相転移層8の、磁化自由層6と反対側に形成され、強磁性体あるいはフェリ磁性体からなり、垂直磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層14と、磁気相転移層8と、磁化参照層14との間に設けられ、磁気相転移層8の相転移を制御する機能を有する中間層12と、を備えている。磁化自由層6と中間層4との界面、磁化参照層2と中間層4との界面、磁化参照層14と中間層12との界面には界面磁性層も形成が可能である。これらの界面磁性層は、磁化自由層6、磁化参照層2、あるいは磁化参照層14として含まれるために図示はしていない。
すなわち、第2実施形態のMR素子1Aは、磁化自由層6との間に、それぞれ中間層4、12を挟むように2つの磁化参照層2、14が設けられており、「デュアル構造」と呼ばれる。これに対して、第1実施形態のMR素子は、「シングル構造」と呼ばれる。
第1および第2実施形態のMR素子の各層の材料などについては、共通な部分が多く、それらの材料に関する詳細については後に詳述する。
第1および第2実施形態のMR素子におけるスピン注入磁化反転は同じ原理に基づいている。
以下に、第1および第2実施形態のMR素子におけるスピン注入磁化反転機構について図3、図4を参照して説明する。図3は読み出し時、情報保持時の磁化状態を示す。図4は書き込み時の磁化状態を示す。
最初に、スピン注入による磁化反転電流と、磁化反転に必要なエネルギーなどのパラメータとの関係について説明する。
スピン注入による磁化反転電流Iは、自由電子モデルに基づいたスピン角運動量の移動によって起こるとすると、解析的には、下記の(1)式
∝η・α・ΔE・k・T (1)
で表される。ここで、ΔEは磁化自由層6の磁化反転に必要な活性化エネルギー(以下、磁化エネルギーともいう)、ηはスピン注入効率、αはダンピング定数、kはボルツマン定数、Tは実効温度である。
スピン注入MRAMデバイス構造上、通電できる電流上限が規定されるために、材料バラメータであるη、α、および実効温度Tが決まると、磁化反転させることができる磁化自由層の磁化エネルギーΔEが決まる。これをΔEwとする。
(1)式が示す関係から、磁化自由層6の磁化反転電流の低減には、書き込み時の磁化エネルギー(以下、書き込み磁化エネルギーともいう)ΔEwを下げることが有効である。一方、磁化自由層6の磁化エネルギーΔEは、磁化自由層自身の磁化の安定度を示すエネルギー指標でもある。スピン注入MRAMのメモリ動作上においては、動作温度の補償などの観点から、情報保持に必要な磁化エネルギー(以下、情報保持磁化エネルギーともいう)ΔErが規定される。この情報保持磁化エネルギーΔErは、その値が高いほど磁化自由層6の磁化反転が困難となり、すなわち、情報保持能力が高くなる。したがって、メモリ設計上、ΔEw≦ΔErとなる設計が必要となる。このため、高い情報保持磁化エネルギーΔErを有する磁化自由層6の磁化エネルギーを書き込みが可能な磁化エネルギーΔEwにまで低下させることが必要である。
次に、第1または第2実施形態のMR素子における具体的低電流磁化反転メカニズムを説明する。
第1または第2実施形態のMR素子を用いると、十分に高い情報保持磁化エネルギーを有する磁化自由層6について適切な書き込み磁化エネルギーまで下げ、かつ、安定に磁化自由層6を磁化反転させることができる。
ここで、磁化自由層6が有する磁化エネルギーΔEの設計指針を説明する。上述したように情報保持のために必要とされる磁化エネルギーをΔEr、デバイス構造上書き込みが可能である磁化エネルギーをΔEwとする。磁化自由層6の磁化エネルギーΔEの設計値としては、
情報保持時は、ΔE≧ΔEr≧ΔEw (2)
書き込み時は、ΔEr≧ΔEw≧ΔE (3)
が必要となる。
第1または第2実施形態のMR素子では、垂直磁化を有する磁化自由層6を有する。垂直磁化膜では、材料物性値である結晶磁気異方性Kと飽和磁化の制御により、上記の磁化エネルギーΔEの操作を実現できる。
磁化自由層6の磁化エネルギーΔEは、
ΔE=K・Va/(k・T) (4)
で表される。ここでkはボルツマン定数、Tは実効温度、Vaは磁化自由層6の有効な磁化体積(いわゆる、活性化体積)、Kは磁化自由層6の有効磁気異方性エネルギーである。
垂直磁化の場合、有効磁気異方性エネルギーKは、
=K−2πM (5)
と表される。ここで、Kは磁化自由層6の垂直方向の一軸磁気異方性エネルギー、Mは磁化自由層6の飽和磁化である。K>0の場合において、垂直磁化となり、K<0の場合は、面内磁化となる。すなわち、K>0からK<0となる操作により、垂直磁化を面内磁化にまで回転させることが可能となる。
本発明の第1および第2実施形態においては、垂直磁化を有する磁化自由層6に接する磁気相転移層8が反強磁性体から強磁性体に磁気相転移する物理現象を用いる。詳細は後述するが、上記の磁気相転移層8の材料としてはFeRh合金を用いる。磁気相転移層8は、あるエネルギー状態(例えば、ある相転移温度Tx)になると反強磁性体から強磁性体に磁気相変態する。相転移エネルギーまで活性化する(例えば、相転移温度まで温度を上昇させる)ための機能を有する層が励起層10または中間層12である。励起層10または中間層12は、電流の通電により磁気相転移層8が相転移するに必要なエネルギーを与える(例えば、相転移温度まで温度上昇させる)機能を有する。
磁気相転移層8は磁化自由層6と磁気的に結合している、すなわち、交換結合しているために磁化自由層6の磁化と結合して磁化反転動作する。すなわち、磁化自由層6と磁気相転移層8は一体で磁化反転動作を行うことになる。したがって、上記の効果を取り込むことで、磁化自由層6の飽和磁化が磁気相転移層8の磁気転移により見かけ上変化することを用い、磁化自由層6の垂直磁化における磁化エネルギーを操作することが可能となる。なお、図4において、点線は磁化自由層6と磁気相転移層8との交換結合を表している。
本実施形態では、垂直磁化を有する磁化自由層6が用いられているが、磁化自由層6単独では、情報の保持に必要な十分大きな情報保持磁化エネルギーを有する。
次に、上述したように相互に交換結合している磁気相転移層8と垂直磁化を有する磁化自由層6を有する本発明のMR素子の磁化自由層の磁化反転について説明する。磁気相転移層8が反強磁性状態の場合の結晶磁気異方性エネルギーをKu−AFM、磁気相転移層8が強磁性体に相転移した場合の飽和磁化および結晶磁気異方性エネルギーを、それぞれMs−FM、Ku−FMとする。ここで、Ku−FM≒Ku−AFMであり、それぞれは垂直磁化を有する磁化自由層6のKより十分に小さい。したがって、磁気相転移層8の相転移後の飽和磁化および結晶磁気異方性は、Ms−PT、Ku−PTとそれぞれ表記され、これらの値Ms−PT、Ku−PTは、磁気相転移層8中の強磁性体部分と反強磁性体部分との体積比率で平均化された数値である。したがって、第1または第2実施形態において、磁気相転移層8は、強磁性体に相転移した場合はK<0となり、面内磁化となる性質を有する。上記式において、係数0.5は、見積もった値であり、これは、反強磁性状態から強磁性状態への磁気相転移は、完全に強磁性状態に相転移しなくともよいからである。
情報保持または読出し時(I=0またはIread)においては、図3に示す磁気相転移層8の全体あるいは部分的には、反強磁性状態となるので、その飽和磁化Ms−PT≒0であり、垂直磁化を有する磁化自由層8の磁化エネルギーΔEへの影響は軽微である。
一方、書き込み通電時においては、MR素子1、1Aへの電流通電過程(I=Iexci)において、励起層10、12から磁化相転移層8に相転移に必要なエネルギーが付与され、磁気相転移層8は全体あるいは部分的に反強磁性体から強磁性体へ磁気相転移する。すなわち、磁気相転移層8は垂直磁化から面内磁化に変化する(図4(a)、図4(b))。このとき、磁気相転移層8は飽和磁化Ms−PTを有するようになる。したがって、垂直磁化を有する磁化自由層6の磁化エネルギー状態は、図4(a)に示す情報保持時(I=0)から変化し、I=Iexciにおいて磁化エネルギーが低下する(図4(b))。すなわち、有効な異方性エネルギーKe―wは、
e―w=(tFree・K+tPT・Ku−PT)/(tFree+tPT)−2π[(tFree・M+tPT・Ms−PT)/(tFree+tPT)] (6)
と表される。ここで、K>>Ku−PTであるので、近似的に
e―w≒tree・K/(tFree+tPT)−2π[(tFree・M+tPT・Ms−PT)/(tFree+tPT)] (7)
となる。ここで、tFreeは垂直磁化を有する磁化自由層6の膜厚、tPTは磁気相転移層8の膜厚である。
一方、励起電流Iexciと書き込み電流Iwriteの関係は、Iexci≦Iwriteである。 したがって、書き込み電流(I=Iwrite)の通電時、磁気相転移するためのエネルギーは、既に励起されており、有効な異方性エネルギーKe―wは、情報保持時の異方性エネルギーKe―rよりも低下している 故に、図4(c)に示す書き込み時において、磁化自由層6の磁化エネルギーΔEは低下し、
ΔEr≧ΔEw≧ΔE (8)
が成り立つ。ここで、ΔE=Ke−w・Va/(k・T)である。
結果的に、高い情報保持特性を有する垂直磁化を有する磁化自由層6に電流I=Iwriteを通電することで、スピン注入磁化反転させることが可能となる(図4(c)、(d)、(e))。
なお、書き込み通電時に磁化自由層6の磁化エネルギーΔEがあまりに低下しすぎると、熱擾乱の影響による確率的な誤書き込みの問題が生じる。
また、書き込み時の磁化自由層6の磁化エネルギーΔEwの設定については、エラー補正回路により、読み出し時に発生しうる確率的な誤書き込み(読み出し擾乱)が補償できる範囲となるように設定する必要がある。書き込み時の磁化自由層6の磁化エネルギーはほぼ正規分布するので、確率的には、読み出し時に通電する電流で磁化反転する可能性があるからである。読み出し時の平均電流と書き込み時の平均電流の関係は、設計されるメモリの要領および書き込み電流のばらつきの大きさで設計される。
次に、第2実施形態のMR素子1Aの効果と特徴について説明する。
このMR素子1Aでは、磁気相転移層8に接する形で、磁化自由層6とは反対側に中間層(第2中間層)12、磁化参照層(第2ピン層)14が形成され、いわゆる、デュアル構造を有している。したがって、磁化参照層(第1ピン層)2と磁化参照層(第2ピン層)14との磁化の向きは、互いに反平行である。
通常のスピン注入型のMR素子において、デュアル構造は、第2ピン層/第2中間層/フリー層/第1中間層/第1ピン層となる。第1ピン層と第2ピン層の磁化方向は、反平行である。この場合は、フリー層の磁化の向きによって、第2ピン層/第2中間層/フリー層のユニット部分(以下、上部ユニットという)と、フリー層/第1中間層/第1ピン層のユニット部分(以下、下部ユニットという)とでは、互いの磁気抵抗効果(MR)を相殺するような抵抗の変化が生じる。したがって、書き込み電流はMRに依存するために、デュアル構造で書き込み電流を低減するためには、上部ユニットと下部ユニットで共に高いMR比を必要とする。しかし、その場合の読み出し時のMRは上部ユニットと下部ユニットとの差分しか出ないために、MR比は激減する。
これに対して、第2実施形態のMR素子1Aにおいては、垂直磁化を有するフリー層6/第1中間層4/第1ピン層2のユニット部分では、読み出し時および書き込み時において、強磁性体/中間層/強磁性体の接合であるのでMRが発現する。一方、第2ピン層14/第2中間層12/磁気相転移層8のユニット部分では、読み出し時においては、磁気相転移層8は反強磁性体であるために、強磁性体/中間層/反強磁性体の接合であるのでMRが発現しない。したがって、読み出し時においては、スピントルクがフリー層6に働かない。しかし、書き込み時には、磁気相転移層8が強磁性体に相転移するために、強磁性体/中間層/強磁性体の接合となりMR比が発現する。したがって、書き込み時のみフリー層6に有効なスピントルクが働くことになる。
したがって、第2実施形態のMR素子1Aでは、書き込み時のみフリー層6にスピントルクがダブルで作用し、かつ読み出し時においては、第2ピン層14/第2中間層12/磁気相転移層8のユニットではMRが発現しないために、垂直磁化を有するフリー層6/第1中間層4/第1ピン層2のユニット部分の高いMRを維持できることになる。但し、第2中間層12の抵抗分だけMR比は低下することになる。
次に、第1および第2実施形態のMR素子の各層の具体的な材料について詳細に説明する。
磁気相転移層
磁気相転移層8としては、強磁性―反強磁性の磁気相転移を生じる材料であることが必要である。磁気相転移層8には、FeRh合金が用いられる。FeRh合金は、体心立方(BCC:Body Centered Cubic)構造を有しており、FeとRhの組成比の式:Fe1−xRh(0.3≦x≦0.7)で表される組成範囲でCsCl型構造を有するFe50Rh50規則相を形成する。Fe50Rh50(at%)組成付近でおおよそ膜全体が規則相となる。BCC−FeRh合金は、ある所定の相転移温度Tを超えると、反強磁性体から強磁性体へ磁気相転移する。これを1次相転移という。1次相転移温度Tは、薄膜の場合においては、おおよそ400K程度である。この1次相転移温度Tについては、BCC−FeRh合金中のRhに、元素A(V、Cr、Mn、Fe、Co,Ni、Cu、Ru、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auの群から選択された少なくとも1つの元素)をRhと置換する形で添加することにより、1次相転移温度Tを上げるまたは下げる制御が可能となる。具体的にはRhの一部を3d元素A3d(V、Cr、Mn、Fe、Co,Ni、Cuの群から選択された少なくとも1つの元素)で置換すると1次相転移温度Tが低下し、Rhの一部を5d元素A5d(Ir、Os、Pt、Au、Pd、Ru、Agの群から選択された少なくとも1つの元素)で置換すると1次相転移温度Tが上昇する。上記の元素Aの添加量の調整によって、1次相転移温度Tは、100℃から300℃の間で調整が可能である。
強磁性となったBCC−FeRh合金の飽和磁化は約800〜1300emu/cc程度であり、結晶磁気異方性は1×10erg/cc以下である。
また、磁気相転移層8が強磁性に相転移した場合の飽和磁化の増大を抑制するためには、元素A3dのうちV、Cr、Mn、Cuが好ましく、あるいは、元素A5dが好ましい。
また、元素Aの添加量は、FeRh合金のCsCl構造を消滅させない程度が好ましい。FeとRhと元素Aの組成比の式:Fe1−x(Rh1−y(0.3≦x≦0.7、0<y<1)で表される範囲であることが好ましい。xが0.3を下回る、あるいは、xが0.7を超えると、CsCl規則構造起因の(100)超格子ピークが消滅して、磁気相転移するCsCl規則構造相がなくなる。BCC−FeRhにおけるCsCl規則構造は、通常、消滅則によりBCC構造では現れない(100)ピークが、規則化により出現することで確認できる。上述する手法としては、X線回折法によるθ―2θ回折像で観測できる。上記(100)ピークは、2θで30〜40度付近に現れる。また、(100)ピークは電子顕微鏡観察などの透過あるいは反射電子線回折法による回折像(回折リング、あるいは、回折スポット)でも観測できる。
垂直磁化を有する磁化自由層
磁化自由層6は、垂直磁化特性を有する材料である。ここで、「垂直磁化」、あるいは、「膜面に実質的に垂直な磁化」の定義は、VSM(振動試料磁化測定法)測定などによって得られる磁化―磁界(M−H)曲線において、磁界ゼロ時の残留磁化Mrと飽和磁化Msとの比(Mr/Ms)が0.5以上あることである。また、磁化自由層6の膜厚としては、スピントルクを有効に伝えるためにも0.5nm以上5nm以下であることが望まれる。0.5nm未満では連続膜としての制御性がなく、5nmを超えるとスピントルクが働く特性長をはるかに超えるために、磁化自由層6がスピン注入による磁化反転を行わなくなくなる。スピントルクが働く特性長はおおよそ1.0nm程度である。これは、スピンがドリフト的に移動する際、その歳差運動が一回転する距離である。スピントルクで磁化自由層6の磁化反転が起きるかどうかは、磁化自由層6の磁化反転エネルギーで決まる。
垂直磁化が発現する材料としては、最蜜充填六方晶(HCP:Hexagonal Closed Pack)構造あるいは面心立法(FCC:Face Centered Cubic)構造を有するCoPt合金、CoCrPt合金、CoCrPtTa合金などがある。膜面に垂直な磁化を示すためには、HCP構造では(001)面に配向しなければならず、FCC構造の場合は(111)面に配向しなければならない。この材料上では、CsCl型規則構造相を有する相転移層は(110)面に配向しやすい。
また、垂直磁化が発現する材料としては、希土類金属(以下、REともいう)と、Co、Fe、Niから選ばれる元素(以下、TM元素ともいう)とから構成され、アモルファス構造を有するRE−TM合金がある。RE−TM合金は、RE元素の量により、正味の飽和磁化がマイナスからプラスになるように操作できる。正味の飽和磁化Ms−netがゼロになる場合を補償点といい、そのときの組成を補償点組成という。補償点組成は、RE元素の割合がat%(原子%)で25at%から50at%の間になる。
また、垂直磁化が発現する材料としては、Co、Fe、Niから選ばれる元素を含む磁性層とPd,Pt,Au,Rh、Ir、Os、Ru、Ag,Cuを含む非磁性金属層の多層積層からなる人工格子型の垂直磁化膜も用いられる。上記磁性層の材料としては、Co100−x−yFeNi合金膜(0≦x≦100、0≦y≦100)が用いられる。上記のCoFeNi合金にBを10〜25at%添加したCoFeNiBアモルファス合金なども用いられる。磁性層の層厚は、0.1nmから1nmで最適化される。非磁性層の厚さは、0.1nmから3nmの範囲で最適化される。人工格子膜の結晶構造はHCP構造でもFCC構造でもBCC構造でもよい。膜の配向性は、その一部がFCCの場合は(111)面に配向、BCC構造の場合は(110)面に配向、HCP構造の場合は(001)面に配向が良い。配向性はX船回折および電子線回折から得られる。
また、垂直磁化が発現する材料としては、L1型規則構造を有する、Fe、Co(以下、元素Aと表記する)から選ばれる少なくとも一つ以上の元素と、Pt、Pd(以下、元素Bと表記する)から選ばれる少なくとも1つ以上の元素とからなるFCT構造強磁性体合金がある。L1型規則構造強磁性体合金としては、L1−FePt合金、L1−FePd合金、L1−CoPt合金が代表的であり、これらの合金であるL1−FeCoPtPd合金もある。L1型規則構造を有するためには、元素Aと元素Bの組成比が、A100−xという組成式で表される場合、xは30at%以上70at%以下であることが必要である。元素Aにおいては、その一部をNi,Cuで置換が可能である。また、元素Bにおいては、その一部をAu、Ag、Ru、Rh、Ir、Os、希土類元素(Nd,Sm、Gd、Tbなど)で置換することが可能である。これにより、垂直磁化を有する磁化自由層6の飽和磁化Msおよび結晶磁気異方性エネルギー(一軸磁気異方性エネルギー)Kを調整し最適化することができる。
このL1型規則構造を有する上記の強磁性体AB合金は、面心正方晶(FCT:Face Centered Tetragonal)構造である。規則化することで、[001]方向において、1x10erg/cc程度の強い結晶磁気異方性エネルギーを有する。従って、(001)面を優先的に配向させることで良好な垂直磁化特性を得ることが可能となる。また、飽和磁化はおおよそ600emu/cmから1200emu/cmの範囲内である。上述した元素Aあるいは元素Bへ置換する形で元素を添加するばあいには、飽和磁化および結晶磁気異方性エネルギーは低下する。上記のL1規則構造を有する強磁性体AB合金の(001)面上では、Fe、Cr、Vなどを主成分とするBCC構造合金が(001)面に優先的に配向して成長しやすい。
なお、上述したCsCl型構造FeRh合金は、L1−AB合金の(001)面上では、(001)面を優先配向して成長する。
FCT−FePt合金が(001)面優先配向していることは、X線回折のθ―2θスキャンにおいて、2θ=45度〜50度付近に見られる(002)ピークにより確認できる。垂直磁化特性の向上という意味では、(002)回折ピークのロッキングカーブの反値幅が10度以下である必要があり、好ましくは5度以下である。
また、L1型規則構造相の有無および(001)面優先配向性は、X線回折のθ―2θスキャンにおいて、2θ=20度〜25度付近に見られる(001)回折ピークにより確認できる。
これらの(001)面および(002)面起因の回折像は、電子線回折などによっても確認できる。
垂直磁化を有する磁化参照層
本発明の第1および第2の実施の形態磁化参照層2および磁化参照層14で用いられる材料は、上述した磁化自由層6に用いられる材料とほぼ同じである。
ただし、磁化参照層は磁化が一方向に規定される必要があり、かつ、電流通電により磁化反転させないために、膜厚の制御が重要となる。実際には、磁化参照層の結晶磁気異方性は、磁化自由層の結晶磁気異方性より大きいことが望ましい。さらには、磁化参照層の膜厚は磁化自由層の膜厚よりも厚いことが望ましく、実質的には2倍以上の膜厚が好ましい。
また、読み出しに必要なMR比を得るためには、磁化参照層2と中間層4の界面に界面磁性層を挿入することが好ましい。界面磁性層としては、Co、Fe、Niから選ばれる1種類以上の元素を含む単金属あるいは合金が用いられる。(001)面優先配向したNaCl型構造を有する中間層4を用いる場合には、(001)面優先配向したBCC構造を有する界面磁性層が良い。あるいは、B,C,P,Nなどを添加したアモルファス構造を有する界面磁性層が良い。界面磁性層の膜厚としては、0.5nm以上挿入することでMR比の向上効果が得られる。ただし、界面磁性層の膜厚は4nm以下が好ましく、4nmを超えると磁化参照層の垂直磁化特性が損なわれる。この場合、界面磁性層の飽和磁化は0.5T(テスラ)〜2.4Tの範囲であり、界面磁性層の元素組成比で調整される。
なお、磁化自由層6と中間層4との間にも界面磁性層が設けられていても良い。
励起層
第1実施形態においては、磁気相転移層8の相転移は、主に励起層10からのエネルギーの投入により生じる。磁気相転移層8は、励起層10自身による発熱、あるいは励起層10越しに注入される高エネルギー電子(例えば、ホットエレクトロン)の注入によりエネルギー的に励起され、活性化されて磁気相転移する。励起層10が発熱する場合、通電時のジュール熱を利用する。通電により発生するジュール熱は、熱源となる励起層10の比抵抗、比熱、密度、通電時間で決まる。したがって、励起層の膜厚およびMR素子のサイズも重要な要素となる。MR素子サイズはデバイスプロセス設計上、10nm以上が妥当である。スピン注入MRAMデバイスにおいて、ジュール熱による発熱を考えた場合、100℃以上に発熱させるためには、励起層の比抵抗としては、100μΩcm以上であることが必要である。実際のスピン注入MRAMにおけるMR素子では、発熱温度は、励起層10の膜厚で制御される。励起層の比抵抗が、200μΩcmの場合は、励起層の膜厚は50nm以上が必要となる。また、デバイス設計の観点からMR素子の微細化を考慮すると、MR素子サイズの制御のために励起層の膜厚は薄い方が好ましく、よって、励起層の比抵抗が高い方が好ましい。結果的に、励起層の膜厚を50nm以下とするためには、励起層の比抵抗は200μΩcm以上であることが好ましい。また、発熱量は、MR素子サイズ、すなわち、励起層との通電断面積にも依存する。通電面積が小さい方が電流密度が向上し発熱しやすくなる。デバイス設計的観点からMR素子のサイズとしては、短辺方向の長さが100nm以下であるとが好ましい。
上記の場合、励起層10の材料としては、アモルファス構造を有する金属や半導体、絶縁体などが上げられる。アモルファス金属層としては、アモルファスTaなどがある。Taのほか、W、Ti、Mo、Nbなどの高融点元素を用いたアモルファス合金が好ましい。金属層のアモルファス化のためには、Si、Ge、Gaなどの半導体元素、あるいは、C、B,P、Sなどの半金属元素を添加することが好ましい。
また、励起層として、Co、Fe、Niなどの3d強磁性金属を用いたアモルファスCoFeBなども上げられる。この材料を励起層10Aとして用いた第1実施形態の変形例によるMR素子1Bを図5に示す。この変形例のMR素子1Bにおいては、励起層10Aは、面内磁化膜であることが必要である。励起層10Aは磁気相転移層8と交換結合する。非通電時の磁化状態は図5に示している。励起層10Aは、非通電時には反強磁性体であるために、その磁化配列を変えることなく上下で異なる磁化方向の強磁性体と交換結合することが可能である。書き込み時における通電では、励起層10Aの磁化は面内であり、磁気相転移層8と交換結合しており、磁気相転移層8が強磁性体となるために、強磁性体である励起層10Aは磁気相転移層8のアシスト的役割を担うことになる。
励起層が高エネルギー電子の注入源として機能する場合、励起層は絶縁体、あるいは、半導体から構成されることが望まれる。絶縁体、半導体は、比抵抗が大きいために、励起層の膜厚を薄膜化できる。実際には、2nm以下程度まで励起層膜厚を低減できる。また、励起層として絶縁体および半導体を用いる場合、高エネルギー電子が磁気相転移層8に注入された後、格子系にそのエネルギーを放出すると、熱エネルギーに変換され、放散されることになる。この場合は直接に磁気相転移層8が発熱していることと等価である。励起層/磁気相転移層の界面の抵抗(界面抵抗)が高い場合には、ほとんどの注入電子のエネルギーは界面で失われ、界面で発熱することになる。
励起層の具体的な材料としては、NaCl型構造を有する、MgO、CaO,SrO、BaO、TiO、EuO、VO、CrO、CoO、FeO、CdOなどのの酸化物が挙げられる。また、NaCl構造に近いNbO型構造を有するNbOも良い。また、これらの酸化物が混合されていてもよい。これらの酸化物材料は、(001)面に優先配向しやすく、前述したBCC構造やFCT構造を有する磁化自由層、磁化参照層の(001)面との格子整合性が良い。よって、BCC金属やFCT金属上で(001)面に優先配向しやすい。更には、(001)面に優先配向したNaCl構造の励起層上では、BCC構造やFCT構造を有する磁化自由層あるいは磁化参照層は、(001)面優先配向しやすく、良好な垂直磁化特性を得ることが可能となる。
また、SiO,Alなどのアモルファス酸化物、Si,Ge,ZnSeなどの半導体、TiOなどの酸化物系半導体などが挙げられる。これらの材料は、前述したFCC構造あるいはHCP構造を有する磁化自由層あるいは磁化参照層との界面格子整合が良く、それらの垂直磁化特性を良好にする。
これらの励起層材料を用いる場合、電子の有するエネルギーの大きさは、第一原理計算などから求められるフェルミ準位と、伝導を担う準位とのエネルギーギャップで見積もられる。また、実際の励起層の物理膜厚などでも制御される。膜厚としては、0.1nm以上2nm以下であることが望まれる。0.1nm未満の成膜の制御は困難であるし、2nmを超えるとMR素子の抵抗が急激に増大しすぎてしまい、所定の電圧での読み出し、書き込みが不可能となる。
中間層4
中間層4は、MR素子としてMR比を発生するための中間層の機能を果たさなくてはならない。MR素子1、1A、1BをMRAMの記憶素子として動作させる場合、配線部および選択トランジスタなどの既成抵抗を打ち消すためには、MR素子のMR発生部分の抵抗が相応に高い必要がある。そのため、MRAMに用いられるMR素子においては、TMR素子が用いられることが多い。TMR素子では、中間層4にトンネルバリア層が用いられる。
トンネルバリア層としては、NaCl構造を有する、MgO、CaO,SrO、BaO、TiOなどの酸化物やAlなどの酸化物、あるいはTiOなどの酸化物系などの半導体が用いられる。高いTMR比を発生させるためには、バンド構造上、分極した伝導バンド(Δ1バンド)の存在が必要であり、そのような観点からNaCl構造を有するMgO、CaO、SrO、BaO、TiOなどが好ましい。これらのトンネルバリア層4は(001)面に優先配向させて、磁化自由層6および磁化参照層2との界面でのミスフィットを低減すると上記のΔ1バンドでの伝導が生じる。そのために、上記NaCl構造(001)配向したトンネルバリア層に接する磁化参照層および磁化自由層も、BCC構造、FCT構造、あるは、FCC構造を有していて、かつ、それぞれの構造の(001)面と、トンネルバリア層の(001)面とが整合界面を形成する必要がある。
特にMgOは、スピンフィルター作用があるバンド構造を有するので、高いTMR比を発現することが可能となる。また、MgOは、(001)面に配向膜が比較的容易に作成でき、さらには高いスピン注入効率を発現することができる。
中間層12
第2実施形態のMR素子で用いられる中間層12は、書き込み時においてスピン注入効率が求められるので、中間層4と同等のものが好ましい。
同時に、磁気相転移層8の相転移を誘発させる励起層としての機能も有さなければならない。中間層12には、励起層の機能として、発熱機能あるいは高エネルギー電子の注入機能が必要となる。したがって、中間層12には、中間層4で用いることが可能である絶縁体が用いられる。また、半導体、強磁性半導体、強磁性絶縁体なども用いられる。ここで、強磁性半導体、強磁性絶縁体を用いる場合は、磁化参照層14を省略することも可能である。この場合は、中間層12が磁化参照層14を兼用することになる。
中間層12に用いられる半導体としては、TiO、GaAs、アモルファスGe、アモルファスSi、などが上げられる。
強磁性絶縁体としては、Feなどを代表とするフェライト材料がある。Feはスピンフィルター効果も有し、ハーフメタル材料でもある。
強磁性半導体としては、MnAlAsなどが上げられる。
次に、第1および第2実施形態のMR素子の実施例を説明する。
(第1実施例)
まず、第1実施形態のMR素子の一具体例を以下に示す。
キャップ層/MgO(0.7nm)からなる励起層10/Fe50Rh50(10nm)からなる磁気相移転層8/(Fe50Pt50(2nm)/Fe(0.5nm))からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/(Co40Fe4020(2nm)/Fe50Pt50(10nm))からなる磁化参照層2/下地層
各層の括弧内の数字は層厚を示している。また、Co40Fe4020(2nm)/Fe50Pt50(10nm)からなる磁化参照層2は、磁化参照層の磁化の向きが一方向に規定される。Co40Fe4020(2nm)層は界面磁性層であり、MR比の向上のために挿入される。また、Fe50Pt50(10nm)層は反強磁性体との交換結合により磁化方向を一方向に固着されていても構わない。Fe50Rh50からなる磁気転移層の膜厚tFeRhと磁化自由層におけるFe50Pt50の膜厚tFePtとの膜厚比(tFeRh/tFePt)は、2〜10の範囲で最適化される。
(第2実施例)
次に、第2実施形態のMR素子の一具体例を以下に示す。
キャップ層/(Fe50Pt50(10nm)/Fe(1nm))からなる磁化参照層14/MgO(0.7nm)からなる中間層12/Fe50Rh50(5nm)からなる磁気相移転層8/(Fe50Pt50(2nm)/Fe(0.5nm))からなる磁化自由層/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/(Co40Fe4020(2nm)/Fe50Pt50(10nm))からなる磁化参照層2/下地層
各層の括弧内の数字は層厚を示している。磁化参照層2、14はそれぞれ、また、磁化参照2,14のFe50Pt50(10nm)は硬質磁性層である。磁化参照層2、14の磁化の向きはFe50Pt50(10nm)層の磁化方向で規定される。Co40Fe4020(2nm)層は界面磁性層であり、MR比の向上のために挿入される。
第1実施例、第2実施例において、MgO層4と、FePt層との間には、磁化自由層および磁化参照層側で共に、CoFeB層がよく挿入されるが、BCC−Fe層でも構わないし、BCC−FeCo合金層でも構わない。それぞれ界面磁化自由層、界面磁化参照層、総称して界面磁性層という。磁化自由層/中間層/磁化参照層//基板の構成を有するボトムピン型構造では、上記界面磁化参照層はMgOからなる中間層の(001)面への配向性向上に寄与し、界面磁化自由層は、L1規則構造の磁化自由層の(001)面への結晶配向性向上に寄与する。磁化参照層/中間層/磁化自由層//基板の構成を有するトップピン型構造では、上記界面磁化自由層はMgOの(001)面への配向性向上に寄与し、かつ、界面磁化参照層は磁化参照層の(001)面への結晶配向性向上に寄与する。
界面磁化自由層には、組成比の式:Fe1−x−yCoNi(0≦x+y≦1、0≦x、y≦1)で表される合金や、それにBを15≦B≦25at%で添加したアモルファスFeCoNiB合金が用いられる。また、MgOからなるバリア層(中間層)との格子不整合を考えると、エピタキシャル成長性の観点から、不整合は5%以内に収める必要がある。したがって、界面磁性層としては、BCC構造を有するFeCoNi合金、あるいは、アモルファスFeCoNiB合金が好ましい。第1実施例および第2実施例において、MR比の向上のためのアモルファスCoFeB層の再結晶化アニールを施す。アニールによって、アモルファスFeCoNiBはBCC構造に再結晶化する。この場合、一部のBがBCC−FeCoNiに残留する。
上述したMgOの(001)面上で成長したBCC構造のFeCoNi(B)合金は、格子不整合を最小にするために、
面関係: (001)MgO//(001)BCC−FeCo(B)
方位関係:[100]MgO//[110]BCC−FeCo(B)
を有しながら、結晶成長する。
ここで用いたFe50Pt50の飽和磁化MsFePtは、約1000emu/cm、Fe50Rh50の強磁性体時の飽和磁化MsFeRhは、約1100emu/cmである。また、Fe50Pt50の結晶磁気異方性KuFePtは、約1x10erg/cm、Fe50Rh50の反強磁性体および強磁性体時の結晶磁気異方性KuFeRhは、1×10erg/cm以下である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態によるスピン注入書き込み型のMRAMについて説明する。
本実施形態のMRAMは複数のメモリセルを有している。本実施形態のMRAMの1つのメモリセルの主要部の断面を図6に示す。図6に示すように、MR素子1の上面は、上部電極31を介してビット線32と接続されている。また、MR素子1の下面は、下部電極33、引き出し電極34、プラグ35を介して、半導体基板36の表面のソース/ドレイン領域のうちドレイン領域37aと接続されている。ドレイン領域37aは、ソース領域37b、基板36上に形成されたゲート絶縁膜38、ゲート絶縁膜38上に形成されたゲート電極39と共に、選択トランジスタTrを構成する。選択トランジスタTrとMR素子1とは、MRAMの1つのメモリセルを構成する。ソース領域37bは、プラグ41を介してもう1つのビット線42と接続されている。なお、引き出し電極34を用いずに、下部電極33の下方にプラグ35が設けられ、下部電極33とプラグ35が直接接続されていてもよい。ビット線32、42、電極31、33、引き出し電極34、プラグ35、41は、W、Al、AlCu、Cu等から形成されている。
本実施形態のMRAMにおいては、図6に示す1つのメモリセルが例えば行列状に複数個設けられることにより、MRAMのメモリセルアレイが形成される。図7は、本実施形態のMRAMの主要部を示す回路図である。
図5に示すように、MR素子1と選択トランジスタTrとからなる複数のメモリセル53が行列状に配置されている。同じ列に属するメモリセル53の一端は同一のビット線32と接続され、他端は同一のビット線42と接続されている。同じ行に属するメモリセル53のゲート電極(ワード線)39は相互に接続され、さらにロウデコーダ51と接続されている。
ビット線32は、トランジスタ等のスイッチ回路54を介して電流ソース/シンク回路55と接続されている。また、ビット線42は、トランジスタ等のスイッチ回路56を介して電流ソース/シンク回路57と接続されている。電流ソース/シンク回路55、57は、書き込み電流(反転電流)を、接続されたビット線32、42に供給したり、接続されたビット線32、42から引き抜いたりする。
ビット線42は、また、読み出し回路52と接続されている。読み出し回路52は、ビット線32と接続されていてもよい。読み出し回路52は、読み出し電流回路、センスアンプ等を含んでいる。
書き込みの際、書き込み対象のメモリセルと接続されたスイッチ回路54、56および選択トランジスタTrがオンされることにより、対象のメモリセルを介する電流経路が形成される。そして、電流ソース/シンク回路55、57のうち、書き込まれるべき情報に応じて、一方が電流ソースとして機能し、他方が電流シンクとして機能する。この結果、書き込まれるべき情報に応じた方向に書き込み電流が流れる。
書き込み速度としては、数ナノ秒から数マイクロ秒までのパルス幅を有する電流でスピン注入書込みを行うことが可能である。
読み出しの際、書き込みと同様にして指定されたMR素子1に、読み出し電流回路によって磁化反転を起こさない程度の小さな読み出し電流が供給される。そして、読み出し回路52は、MR素子1の磁化の状態に応じた抵抗値に起因する電流値あるいは電圧値を、参照値と比較することで、その抵抗状態を判定する。
なお、読み出し時は、書き込み時よりも電流パルス幅が短いことが望ましい。これにより、読み出し時の電流での誤書込みが低減される。これは、書き込み電流のパルス幅が短い方が、書き込み電流値の絶対値が大きくなるということに基づいている。
本発明の第1実施形態による磁気抵抗効果素子を示す断面図。 本発明の第2実施形態による磁気抵抗効果素子を示す断面図。 各実施形態の磁気抵抗効果素子の情報保持時および読出し時の磁化状態を説明する断面図。 各実施形態の磁気抵抗効果素子の書き込み時の磁化反転を説明する図。 第1実施形態の変形例による磁気抵抗効果素子を示す断面図。 本発明の第3実施形態によるMRAMのメモリセルを示す断面図。 第3実施形態のMRAMの主要部の回路図。
符号の説明
1 磁気抵抗効果素子(MR素子)
1A 磁気抵抗効果素子(MR素子)
1B 磁気抵抗効果素子(MR素子)
2 磁化参照層(ピン層)
4 中間層
6 磁化自由層(フリー層)
8 磁気相転移層
10 励起層
12 中間層
14 磁化参照層(ピン層)

Claims (10)

  1. 膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された第1磁化参照層と、
    膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、
    前記第1磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられた第1中間層と、
    前記磁化自由層に対して前記第1中間層と反対側に設けられて前記磁化自由層と磁気的に結合し、反強磁性体と強磁性体との間で磁気相転移が可能な磁気相転移層と、
    前記磁気相転移層に対して前記磁化自由層と反対側に設けられ、前記磁気相転移層に反強磁性体から強磁性体への磁気相転移を生じさせる励起層と、
    を備え、
    前記磁化自由層の磁化の向きは、前記第1中間層を介して前記第1磁化参照層および前記磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された第1磁化参照層と、
    膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、
    前記第1磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられた第1中間層と、
    前記磁化自由層に対して前記第1中間層と反対側に設けられて前記磁化自由層と磁気的に結合し、反強磁性体と強磁性体との間で磁気相転移が可能な磁気相転移層と、
    前記磁気相転移層に対して前記磁化自由層と反対側に設けられ、垂直磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定されて前記第1磁化参照層の磁化の向きを略反平行となる第2磁化参照層と、
    前記磁気相転移層と、前記第2磁化参照層との間に設けられ、前記磁気相転移層に反強磁性体から強磁性体への磁気相転移を生じさせる第2中間層と、
    を備え、
    前記磁化自由層の磁化の向きは、前記第1中間層を介して前記第1磁化参照層および前記磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 前記磁気相転移層は、FeとRhを主成分とする合金であり、
    FeとRhの組成比の式:Fe1−xRh(0.3≦x≦0.7)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記磁気相転移層は、FeとRhを主成分とする合金であり、
    前記磁気相転移層には、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Ru、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auから選ばれる少なくとも1種類以上の元素Aが含まれ、
    前記磁気相転移層は、FeとRhと元素Aの組成比の式:Fe1−x(Rh1−y(0.3≦x≦0.7、0<y<1)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記磁化自由層は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種類以上の元素と、Pt、Pdから選ばれる少なくとも1種類以上の元素を含む、強磁性体膜あるいはフェリ磁性体膜であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記磁化自由層は、面心正方晶を有し、L1型規則構造相を有することを特徴とする請求項5記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記磁化自由層は、(001)面に配向していることを特徴とする請求項6記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記励起層は、200μΩcm以上の比抵抗を有する材料から形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子をメモリセルに備えていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  10. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子と、一端が前記磁気抵抗効果素子の一端と直列接続されたトランジスタと、を含むメモリセルと、
    前記磁気抵抗効果素子の他端と接続された第1書き込み電流回路と、
    前記トランジスタの他端と接続され、前記第1書き込み電流回路とともに前記磁気抵抗効果素子の一端から他端または他端から一端に向かう電流を供給する第2書き込み電流回路と、
    を備えていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
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