JP5172808B2 - 磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリ - Google Patents

磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリ Download PDF

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Description

本発明は、磁気抵抗効果素子およびそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリに関する。
近年、新しい原理に基づいて情報を記録する固体メモリが多数提案されている。中でも、固体磁気メモリとして、トンネル磁気抵抗効果(以下、TMR(tunneling magneto resistance)ともいう)を利用する磁気ランダムアクセスメモリ(以下、MRAM(magnetoresistive random access memory)ともいう)が知られている。MRAMは、磁気抵抗効果を発現する磁気抵抗効果素子(以下、TMR素子ともいう)をメモリセルの記憶素子として用いて、TMR素子の磁化の状態によってメモリセルが情報を記憶する。
TMR素子は、磁化が可変の磁化自由層と、磁化が固着された磁化固着層とを含んでいる。磁化自由層の磁化の向きが、磁化固着層の磁化の向きと平行なときに低抵抗状態となり、反平行のときに高抵抗状態となる。この抵抗状態の違いが情報の記憶に用いられる。
このTMR素子に情報を書き込む方法として、いわゆる電流磁場書き込み方式が知られている。この方式では、TMR素子の近傍に配線が配置され、この配線を流れる電流によって生じる磁場によって、TMR素子の磁化自由層の磁化を反転させる。MRAMの微細化を行うためにTMR素子のサイズを小さくすると、TMR素子の磁化自由層の保持力Hcが大きくなる。このため、磁場書き込み方式のMRAMでは、微細化の進展に伴い、書き込みに必要な電流が大きくなる傾向がある。この結果、256Mbitを超えるような大容量化に向けたメモリセルの微細化と低電流化の両立は困難である。
この課題を克服する書き込み方式としてスピン角運動量移動(SMT(spin-momentum-transfer))を用いた書込み(スピン注入書き込み)方式が提案されている(特許文献1)。スピン注入書き込み方式では、トンネル磁気抵抗効果を奏するTMR素子を構成する各膜の膜面に垂直に電流を流すことにより、TMR素子の磁化の状態を変化(反転)させる。
スピン注入による磁化反転では、磁化反転に必要な電流Icは、電流密度Jcで規定される。従って、TMR素子の、電流が通過する面の面積が小さくなれば、磁化を反転させるための注入電流Icも小さくなる。電流密度一定で書込む場合、TMR素子のサイズが小さくなれば、電流Icも小さくなるために、スピン注入書き込み方式は、原理的には、磁場書き込み方式に比べてスケーラビリティ性に優れる。
しかしながら、スピン注入方式のMRAMにおいては、書き込み時に通電できる電流が選択トランジスタで発生できる電圧、および選択トランジスタとTMR素子の抵抗の関係で決まるため、TMR素子の低抵抗化、すなわち、TMR膜の低抵抗化が必要である。
米国特許第6,256,223号明細書
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであって、低電流で磁化自由層を磁化反転させることを可能とする低抵抗なスピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果型素子とそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による磁気抵抗効果素子は、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層と、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、前記磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられたNaCl構造のバリア層と、を備え、前記磁化参照層および前記磁化自由層の少なくとも一方の層は、前記バリア層に接するように形成されFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含みBCC構造を有する磁性体を備えた第1の膜と、前記バリア層と反対側に前記第1の膜と接するように形成されTa、W、Mo、Nb、Ti、Hf、Zrから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む第2の膜と、前記第2の膜に対して前記第1の膜と反対側に設けられ磁性体を備えた第3の膜と、を有し、前記第3の膜は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素と、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む合金あるいは積層体であり、前記磁化自由層の磁化の向きは、前記バリア層を介して前記磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様による磁気抵抗効果素子は、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層と、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、前記磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられたNaCl構造のバリア層と、を備え、前記磁化参照層および前記磁化自由層の少なくとも一方の層は、前記バリア層に接するように形成されFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含みBCC構造を有する磁性体を備えた第1の膜と、前記バリア層と反対側に前記第1の膜と接するように形成されCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む第2の膜と、前記第2の膜に対して前記第1の膜と反対側に設けられ磁性体を備えた第3の膜と、を有し、前記第3の膜は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素と、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む合金あるいは積層体であり、前記磁化自由層の磁化の向きは、前記バリア層を介して前記磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする。
また、本発明の第3の態様による磁気抵抗効果素子は、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層と、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、前記磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられたNaCl構造のバリア層と、を備え、前記磁化参照層および前記磁化自由層の少なくとも一方の層は、前記バリア層に接するように形成されFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含みBCC構造を有する磁性体を備えた第1の膜と、前記バリア層と反対側に前記第1の膜と接するように形成されSi、Ge、Gaから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む第2の膜と、前記第2の膜に対して前記第1の膜と反対側に設けられ磁性体を備えた第3の膜と、を有し、前記第3の膜は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素と、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む合金あるいは積層体であり、前記磁化自由層の磁化の向きは、前記バリア層を介して前記磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする。
また、本発明の第4の態様による磁気抵抗効果素子は、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層と、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、前記磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられたNaCl構造のバリア層と、を備え、前記磁化参照層および前記磁化自由層の少なくとも一方の層は、前記バリア層に接するように形成されFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含みBCC構造を有する磁性体を備えた第1の膜と、前記バリア層と反対側に前記第1の膜と接するように形成されTa、W、Mo、Nb、Ti、Hf、Zrから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む第2の膜と、前記第2の膜に対して前記第1の膜と反対側に設けられ磁性体を備えた第3の膜と、を有し、前記第3の膜は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素と、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む合金あるいは積層体であり、前記磁化自由層の磁化の向きは、前記バリア層を介して前記磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする。
また、本発明の第5の態様による磁気抵抗効果素子は、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層と、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、前記磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられたNaCl構造のバリア層と、を備え、前記磁化参照層および前記磁化自由層の少なくとも一方の層は、前記バリア層に接するように形成されFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含みBCC構造を有する磁性体を備えた第1の膜と、前記バリア層と反対側に前記第1の膜と接するように形成されCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む第2の膜と、前記第2の膜に対して前記第1の膜と反対側に設けられ磁性体を備えた第3の膜と、を有し、前記第3の膜は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素と、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも1つ以上の元素とを含む合金あるいは積層体であり、前記磁化自由層の磁化の向きは、前記バリア層を介して前記磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする
また、本発明の第6の態様による磁気抵抗効果素子は、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層と、膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、前記磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられたNaCl構造のバリア層と、を備え、前記磁化参照層および前記磁化自由層の少なくとも一方の層は、前記バリア層に接するように形成されFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含みBCC構造を有する磁性体を備えた第1の膜と、前記バリア層と反対側に前記第1の膜と接するように形成されSi、Ge、Gaから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む第2の膜と、前記第2の膜に対して前記第1の膜と反対側に設けられ磁性体を備えた第3の膜と、を有し、前記第3の膜は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素と、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む合金あるいは積層体であり、前記磁化自由層の磁化の向きは、前記バリア層を介して前記磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする
また、本発明の第の態様による磁気ランダムアクセスメモリは、第1乃至第6の態様のいずれかの磁気抵抗効果素子をメモリセルに備えていることを特徴とする。
また、本発明の第の態様による磁気ランダムアクセスメモリは、第1乃至第7の態様のいずれかの磁気抵抗効果素子と、一端が前記磁気抵抗効果素子の一端と直列接続されたトランジスタと、を含むメモリセルと、前記磁気抵抗効果素子の他端と接続された第1書き込み電流回路と、前記トランジスタの他端と接続され、前記第1書き込み電流回路とともに前記磁気抵抗効果素子の一端から他端または他端から一端に向かう電流を供給する第2書き込み電流回路と、を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、磁化自由層を低電流で磁化反転させることを可能とする低抵抗なスピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果型素子とそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリを提供することができる。
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による磁気抵抗効果素子(以下、TMR素子ともいう)を図1に示す。本実施形態のTMR素子1は、磁化の向きが一方向に固定された磁性膜を有する磁化参照層2と、磁化の向きが可変である磁性膜を有する磁化自由層6と、磁化参照層2と磁化自由層6との間に設けられた中間層4とを備えている。
一般に、TMR素子は、膜面に略垂直に流れる双方向電流の方向に応じて、2つの定常状態の一方を取るように構成された素子である。各定常状態を、“0”データ、“1”データに対応させることによって、TMR素子は2値のデータを記憶できる。これをスピン注入書き込み方式といい、電流通電方向によって、磁化の状態が変化し、この状態に応じた情報を記憶する。“0”データ時においては、磁化自由層6と磁化参照層2の磁化方向は平行状態であり、“1”データ時においては、それらは反平行状態をとる。なお、磁化の向きは、磁化自由層6および磁化固着層2は共に膜面に実質的に平行かまたは、ともに膜面に実質的に垂直な方向となっている。膜面に実質的に平行な磁化を以下、面内磁化ともいい、膜面に実質的に垂直な磁化を垂直磁化ともいう。
本実施形態においては、磁化参照層2は、界面磁性膜2aと、結晶化遅延膜2bと、補助磁性膜2cと、を備えている。界面磁性膜2aは、中間層4に対して磁化自由層6と反対側に設けられている。補助磁性膜2cは、界面磁性膜2aに対して中間層4と反対側に設けられている。結晶化遅延膜2bは界面磁性膜2aと、補助磁性膜2cとの間に設けられている。
また、磁化自由層6は、界面磁性膜6aと、結晶化遅延膜6bと、補助磁性膜6cと、を備えている。界面磁性膜6aは、中間層4に対して磁化参照層2と反対側に設けられている。補助磁性膜6cは、界面磁性膜6aに対して中間層4と反対側に設けられている。結晶化遅延膜6bは界面磁性膜6aと、補助磁性膜6cとの間に設けられている。
(第1変形例)
また、本実施形態の第1変形例によるTMR素子を図2に示す。この第1変形例のTMR素子1Aは、図1に示す第1実施形態のTMR素子1において、磁化自由層6は、結晶化遅延膜6bおよび補助磁性膜6cを削除して単層の界面磁性膜とし、かつ磁化自由層6からみて中間層4と反対側に結晶化遅延層8を設けた構成となっている。
(第2変形例)
また、本実施形態の第2変形例によるTMR素子を図3に示す。この第2変形例のTMR素子1Bは、図1に示す第1実施形態のTMR素子1において、磁化参照層2は、結晶化遅延膜2bおよび補助磁性膜2cを削除して単層の界面磁性層とし、かつ磁化参照層2に対して中間層4と反対側に結晶化遅延層10を設けた構成となっている。
(第3変形例)
また、本実施形態の第3変形例によるTMR素子を図4に示す。この第3変形例のTMR素子1Cは、図2に示す第1変形例のTMR素子1Aにおいて、磁化参照層2の結晶化遅延膜2bおよび補助磁性膜2cを削除して単層の界面磁性膜とし、かつ磁化参照層2に対して中間層4と反対側に結晶化遅延層10を設けた構成となっている。
このように、本実施形態およびその変形例によるTMR素子においては、「中間層/界面磁性膜/結晶化遅延層結晶化遅延膜)」からなる積層構造を、中間層4の両側に有しているが、中間層4の一方の側にのみ上記積層構造があってもよい。
更には、本実施形態、第1変形例および第2変形例においては、磁化参照層2あるいは磁化自由層6に補助磁性膜が形成されている。この補助磁性膜は、磁化参照層2および磁化自由層6の垂直磁化を補助する場合や熱擾乱耐性を向上させる場合など、異方性エネルギーを付与するために形成される磁性膜である。
本実施形態およびその変形例においては、結晶化遅延層8、10または結晶化遅延膜2b、6bには、「界面磁性膜の結晶化遅延効果」を有する。界面磁性膜の結晶化は、中間層4との界面から開始されたほうが、界面での格子不整合が少なく、低抵抗、高TMR比が望める。付随的な効果として、界面磁性膜の不要な酸素を吸収し、結晶化を遅延させる。
更に、酸化物絶縁体からなるトンネルバリア層(以下、バリア層ともいう)を中間層4として用いる場合には、バリア層の余分な酸素を吸収し、バリア層を化学量論比の組成に近づけ、バリア層の過酸化状態を防ぐ効果がある。この界面磁性膜は、形成直後はアモルファス構造を主として有する。ここで、「主として」とは、膜面内で観察した場合に、50%以上の面積比率を有することをいう。あるいは、膜の体積比率で50%以上がアモルファス構造であることをいう。ここでのアモルファス(非晶質)構造とは、結晶のように長距離秩序はないが、短距離秩序はある構造である。結晶構造上、第1近接原子のみが規定される。第一近接原子数および原子種は、EXAFS(Extended X-ray Adsorption Fine Structure)法などの分析手法で解析することができる。また、本発明の一実施形態では、直径が2nm以下の平均結晶粒を有する多結晶膜も含むこととする。これは厳密に構造が結晶質かアモルファス構造かを決定できない場合が多いからである。本発明の一実施形態における界面磁性膜は、成膜直後はアモルファス構造であるが、成膜後の熱処理、あるいはそれに類する光の照射、電流によるジュール熱励起、イオン照射などによる励起エネルギーの注入によりアモルファス構造から結晶化する特性を有する。
本実施形態およびその変形例においては、中間層4として、トンネルバリア層(以下、バリア層ともいう)が用いられる。バリア層としては、NaCl構造を有する酸化物が用いられる。具体的な材料としては、Be、Ca、Mg、Sr、Ba、Tiなどの酸化物であるCaO、MgO、SrO、BaO、TiOが挙げられる。あるいは、これらの混晶物でも良い。バリア層の形成の容易性、加工性などを加味すると、MgOが実用的であり、最も大きなMR比を発現する。
上記NaCl構造のバリア層は、BCC(体心立方)構造を有するFe1−x―yCoNi(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の磁性膜と、(001)面でエピタキシャルな整合界面を形成すると高いTMR比が得られる。高いTMR比が得られる場合には、上記バリア層の(001)面と、BCC構造の磁性膜の(001)面において、 バリア層の[001]方向//BCC構造の磁性膜の[110]方向
バリア層の(100)面//BCC構造の磁性膜の(100)面
の関係が成り立っていることが好ましい。ここで、記号//は平行であることを意味する。
また、界面での格子の不整合が少ない方が上記の配向、方位関係を保つ意味において好ましい。
さらに、界面での格子整合性が良いと、磁性膜とバリア層の電子状態におけるバンド構造のつながりが良くなり、コヒーレントな電子トンネリングが起こる。理想的には、コヒーレントな電子トンネリングが起こると、磁化参照層2、トンネルバリア層4および磁化自由層6からなるTMR素子の抵抗は低下し、高いTMR比が望める。この場合、コヒーレントなトンネリングを実現するには、NaCl構造のバリア層の両界面における格子整合性が必要となる。
バリア層の(100)面とBCC構造の磁性膜の(110)面が界面を形成した場合、界面格子ミスフィット転移の増大により面積で規格化した面抵抗RA(=R/A)は、整合界面のときと比べて、10倍から100倍程度に増大する。ここで、Rは素子抵抗、Aは素子面積を表す。
一方、BCC構造を有する上記磁性膜の(100)面上に上記NaCl構造のバリア層を直接的に成長させた場合、MgOの格子歪の緩和が起こりにくく、ミスフィット転位が発生し、TMR比を低下させてしまう。これは、界面でのミスフィット転位の発生により、界面での不整合が生じることになるからである。
上記の理由から、BCC構造の磁性膜の(100)面上にNaCl構造のバリア層を(100)面配向で成長させることは、非常に困難である。そして、この場合、(100)面以外にも、(111)面が混ざった混相状態となり、(100)面配向と(111)面配向の結晶粒がランダムに存在することにより、下地となる磁性膜の(100)面との界面不整合によるエネルギー増大を緩和するようになる。これにより、上述したように界面での格子不整合によるミスフィット転移が増大し、TMR素子の面抵抗RAは増大してしまう。
上記のNaCl構造のバリア層はアモルファス構造を有する下地層上では、(100)面が優先配向して結晶成長しやすい。本発明の一実施形態の界面磁性膜において、TMR素子を考慮した場合のバリア層形成のための下地層として機能を持たせるとすると、もともとBCC構造を有するFe1−x―yCoNi(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)合金にB、P、S、Cなどの半金属元素あるいはN(窒素)あるいはSi、Ge、Gaなどの半導体元素などを添加した合金が最適である。これらは熱処理などの励起過程を経て、結晶化し、BCC構造相が析出する。
また、界面磁性膜の厚さは、0.1nm以上5nm以下程度で最適化される。0.1nm未満では、高TMR化・低RA効果が得られず、5nmを超えるとスピントルクが働く特性長をはるかに超えるために、磁化自由層がスピン注入による磁化反転を行わなくなるためである。したがって、磁化自由層の膜厚を5nm以下に抑えられるように、界面磁性層厚さは最適化される。
また、本発明の一実施形態の界面磁性層においては、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含むことが望ましい。これは、50at%未満になると、磁化を消失する場合があるからである。その場合は、界面磁性層の分極率も低下し、消失する可能性が高く、たとえ低抵抗化が可能であるとしても、MR比が観測できない。
上記のアモルファス相を結晶化させるには、熱処理が必要である。BCC構造を結晶化過程で析出させる場合、結晶化の起点となるものが必要となる。
本実施形態およびその変形例においては、アモルファス構造をもつ界面磁性膜としては、中間層4との界面部分から結晶化することが全体のエネルギーを安定化させる。すなわち、低抵抗で、高いTMR比を得るためには、上記のアモルファス構造をもつ界面磁性膜をトンネルバリア層4の界面側から結晶化を促進させる必要がある。トンネルバリア層4の側から結晶化する場合は、適度に添加物であるB、P、S、C、Nなどを含有した状態で、トンネルバリア層4との界面での不整合エネルギーを一番小さくする形で結晶化が進行すると考えられる。すなわち、再結晶化後のBCC構造の磁性膜の相中にも、上記のB、P、S、C、Nは微量であるが残留する。したがって、界面でのミスフィット転位の発生量を低く抑制できることになる。
上記の界面磁性膜において、アモルファス相からの結晶化は界面エネルギーが低い界面から先に起こる。この場合、先に結晶化が始まった界面エネルギーを低減するように結晶化後の結晶構造および配向性を決定していく。
本実施形態およびその変形例においては、NaCl構造のバリア層4の(001)面でアモルファス構造を有する界面磁性膜が接しているために、結晶化がNaCl構造のバリア層4側の界面から進行することが理想的である。この場合、界面磁性膜は、必然的にアモルファス構造から、NaCl構造のバリア層4とエピタキシャルな整合界面を形成し、この界面からBCC構造相が(001)面に配向成長する。このとき、界面では、上述した結晶方位関係
バリア層の[001]方向//BCC構造の磁性膜の[110]方向
バリア層の(100)面//BCC構造の磁性膜の(100)面
を保ちながら、結晶化していくことになる。
本発明者達は、上述したようにアモルファス構造を有する磁性膜をバリア層側から結晶化させるには、アモルファス相から結晶化する界面磁性膜のバリア層とは反対側の界面に接する層がどのようであるべきかを見出した。すなわち、バリア層側から結晶化を促進するためには、他方の界面側は結晶化が遅く起こる材料でできた層を形成すれば良い。
ここで、アモルファス構造を有する磁性層は、必ずしも層全体が結晶化する必要はなく、中間層との界面が結晶化すればよい。中間層(バリア層)との界面付近のみが結晶化している場合の方が、スピン注入磁化反転電流が低下する場合がある。
より詳細には、Fe、Co、Niと全率固溶ではない、共晶系状態を形成する元素が好ましく、さらには、Fe,Co、Niよりも高融点である元素が好ましい。Fe、Co、Niの融点はそれぞれ、1540℃、1490℃、1450℃である。
また、磁性膜の結晶構造としては、最密面心立方(FCC)構造以外のBCC構造あるいは最密充填六方晶(HCP)構造の元素が好ましい。あるいは共有結合元素も好ましい。
次に、本実施形態およびその変形例で用いる結晶化遅延層結晶化遅延膜)の材料について説明する。
本実施形態およびその変形例のTMR素子において、結晶化遅延層結晶化遅延膜)には、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu(以下、元素Aともいう)から選ばれる希土類元素が用いられる。これらの希土類元素は、Fe、Co、Niとの組み合わせにおいて、ほとんど固溶限を持たない。また、本実施形態および第1変形例の磁化自由層および磁化参照層中の磁性膜は、Fe、Co、Niから選ばれる元素を含む合金からなるが、希土類金属とはほとんど固溶しない。
スパッタリング法などの成膜時においては、結晶化遅延層結晶化遅延膜)は、アモルファス状態の界面磁性膜と、界面でミキシングを起こし、部分的にFe、Co、Niと希土類金属とのアモルファス相を形成する。このFe、Ni、Coと希土類元素のアモルファス相は、結晶化温度が高いために、界面磁性膜のアモルファス相からの結晶化は、界面磁性膜とバリア層の界面から始まりやすくなる。
なお、希土類元素の中でも、Gdは自発磁化を有する強磁性体である。したがって、結晶化遅延膜2b、6bの付加により界面磁性膜2a、6aと補助磁性膜2c、6cとの間で交換結合が切れることがない。また、Gdを用いる場合においては、結晶化遅延膜2b、6bの厚さは、面内磁化膜である限りは、上限は限定されない。下限の膜厚は、0.1nmである。0.1nm未満では、挿入効果が得られない。結晶化遅延膜を含む磁化自由層および磁化参照層が垂直磁化の場合は、Gdを含む層の垂直性を維持するためにも、Gdは2nm以下であることが望ましい。
一方、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの元素は、単体金属では磁性を有しないが、Fe、Co、Niから選ばれる元素と合金化し、アモルファス構造あるいは金属間化合物を形成することで、軌道モーメント起因の磁性を有するようになる。Gdも同様に、Fe、Co、Niから選ばれる元素と合金化し、アモルファス構造あるいは金属間化合物を形成することで、軌道モーメント起因の磁性を有する。
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの選択された希土類元素からなる単体金属において、スパッタリング法などによる高エネルギー成膜法を用いれば、下地となる磁性膜とミキシングが起これば、アモルファス相が形成される。同様に、希土類単体金属層上にもミキシング層が形成され、アモルファス相が形成される。したがって、この場合も、界面磁性膜2a、6bと補助磁性膜2c、6cの磁気的結合すなわち、交換結合が切れることはない。この場合、結晶化遅延膜の膜厚は、1nm以下であることが望まれる。これはミキシングが結晶化遅延膜の上下0.5nm程度で起こるからである。
結晶化遅延層結晶化遅延膜)が磁性を持ち、界面磁性膜あるいは補助磁性膜と交換結合することは、磁化参照層あるいは磁化自由層が垂直磁化である場合に重要である。
例えば、図1に示すように、磁化参照層2、磁化自由層6に用いられる補助磁性膜2c、6cが垂直磁化であり、界面磁性膜2a、6aが面内磁化膜である設計が多く、この場合において、界面磁性膜2a、6aに垂直磁化を付与するためには、結晶化遅延層2b、6bと界面磁性膜2a、6a層および結晶化遅延層2b、6bと、補助磁性層2c、6cとの交換結合が必須となる。
希土類元素は、Co、Ni、Fe(以下、元素Xともいう)と合金化すると、アモルファス構造となる。アモルファス構造の定義は既に上述したとおりである。希土類元素と元素X(Fe,Co,Ni)のアモルファス構造の合金は垂直磁化となることができる。希土類元素と元素Xからなるアモルファス合金は、フェリ磁性体となる。したがって、正味の飽和磁化Msがゼロとなる補償点組成を有する。補償点組成は希土類元素の原子比率(at%)で表示される。希土類元素の量が補償点組成を越えると、飽和磁化Msはマイナスの値となる。すなわち、磁場印加方向と磁化方向が逆を向く。さらに、飽和磁化Msが補償点組成付近では小さくなるので、垂直磁化になった場合、有効な結晶磁気異方性(Ku−effect)が大きくなり、垂直磁化が安定になりやすい。したがって、垂直磁化を有するMR素子の場合の結晶化遅延層結晶化遅延膜)としては、上記のXAアモルファス合金が最適である。垂直磁化を示す希土類元素と元素Aのアモルファス構造合金としては、TbCoFe合金、GdCoFe合金、TbGdCoFe合金などが上げられる。これらにHo,Dyを添加してもよい。
Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる希土類元素Aからなる結晶化遅延層は、元素AがGdである場合を除いては、界面磁性膜が結晶化した後においても、アモルファス構造のままであることが好ましい。希土類元素と元素Xのアモルファス合金からなる結晶化遅延層結晶化遅延膜)の場合は、その膜厚は制限されない。膜厚は、0.1nm以上10nm以下が好ましい。
また、本実施形態およびその変形例のTMR素子において、結晶化遅延層結晶化遅延膜)には、Mg、Ca、Sc、Ti、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ba、La、Hf、Ta、W(以下、元素Bともいう)から選ばれる元素が用いることができる。これらの元素は、全てBCC構造あるいはHCP構造を有している。Mg、Ca、Sc、Ti、Zr、Y、Srから選択された元素はHCP構造である。Ta,W、Nb、Mo、Ba、Hf、Laから選択された元素はBCC構造である。
上記の元素群は、Fe、Co、Ni(以下、元素Xともいう)とほとんど固溶限を持たず、あるいは、金属間化合物を形成する。合金化するとアモルファス構造相を形成しやすい。また、下記で詳細に説明するが、Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Osなどの貴金属元素(以下、元素Yともいう)あるいは合金ともほとんど固溶限を持たない。
上記のMg、Ca、Sc、Ti、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ba、La、Hf、Ta、Wは非磁性元素である。このために結晶化遅延層の厚さは1nm以下に限定される。1nmを超えると界面磁性膜2a、6aと補助磁性膜2c、6cの交換結合が切れてしまうからである。厚さが1nm以下の、Mg、Ca、Sc、Ti、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ba、La、Hf、Ta、W(以下、元素Bともいう)から選ばれる元素Bからなる結晶化遅延層結晶化遅延膜)は下地となる層とミキシングを起こし、アモルファス構造となる。さらに、元素Bは界面磁性膜に含まれる酸素原子を引き付ける作用が大きい。Fe、Co、Ni等の元素Xより元素Bは電気陰性度が大きく、酸素を引き付けやすいからである。この場合、界面磁性膜において、結晶化遅延層結晶化遅延膜)に近いほうが、より多くの酸素を含むようになる。そのために、バリア層との界面側の酸素濃度が低下し、アモルファス構造からの結晶化が促進される。
元素Bからなる結晶化遅延層結晶化遅延膜)は、BCC構造あるいはHCP構造に結晶化しても構わない。BCC構造の場合は(100)面の配向となる。HCP構造の場合は、配向性は問わない。
また、本実施形態およびその変形例のTMR素子において、結晶化遅延層には、Si、Ge、Ga(以下、元素Cともいう)から選ばれる元素を用いることができる。これらの元素は、全て共有結合を有する半導体元素である。上記の元素群は、Fe、Co、Niとほとんど固溶限を持たず、かつ、合金化するとアモルファス構造を形成しやすい。また、下記で詳細に説明するが、Pt、Pd、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Osなどの貴金属元素(元素Y)あるいは合金ともほとんど固溶限を持たない。このため、補助磁性膜としては、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素と、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む合金あるいは積層体であることが好ましい。
本発明の一実施形態で用いられる補助磁性層(あるいは補助磁性膜)について説明する。この補助磁性層は、磁化参照層あるいは磁化自由層の垂直磁化特性を補助・強化する機能や熱擾乱耐性を向上させる機能を有し、結晶磁気異方性エネルギーを付与するために形成される磁性膜である。したがって、界面磁性層が十分な垂直磁化特性あるいは熱擾乱耐性を有する場合においては、用いる必要はない。磁化自由層に用いられる補助磁性層の厚さは、スピン注入磁化反転などを考慮すると、実質的には5nm以下であることが望まれる。5nmを超えるとスピントルクが働く特性長をはるかに超えるために、磁化自由層がスピン注入による磁化反転を行わなくなくなる。一方、磁化参照層に用いられる補助磁性層の厚さについては、磁化自由層の磁化反転時に反転しないことが望まれる。したがって、磁化自由層と磁化参照層の飽和磁化、膜厚をそれぞれ、Ms-free,Ms−reference、tfree、treferenceとすると、
s-free・tfree<Ms−reference・treference
であることが望ましい。
垂直磁化を有する補助磁性層について説明する。ここで、「垂直磁化」、あるいは、「膜面に実質的に垂直な磁化」の定義は、VSM(振動試料磁化測定法)測定などによって得られる磁化―磁界(M−H)曲線において、磁界ゼロ時の残留磁化Mrと飽和磁化Msとの比(Mr/Ms)が0.5以上あることである。スピントルクが働く特性長はおおよそ1.0nm程度である。垂直磁化が発現する材料としては、最蜜充填六方晶(HCP:Hexagonal Closed Pack)構造あるいは面心立法(FCC:Face Centered Cubic)構造を有するCoPt合金、CoCrPt合金、CoCrPtTa合金などがある。膜面に垂直な磁化を示すためには、HCP構造では(001)面に配向しなければならず、FCC構造の場合は(111)面に配向しなければならない。この材料上では、CsCl型規則構造相を有する相転移層は(110)面に配向しやすい。
また、垂直磁化が発現する材料としては、希土類金属(以下、REともいう)と、Co、Fe、Niから選ばれる元素(以下、TM元素ともいう)とから構成され、アモルファス構造を有するRE−TM合金がある。RE−TM合金は、RE元素の量により、正味の飽和磁化がマイナスからプラスになるように操作できる。正味の飽和磁化Ms−netがゼロになる場合を補償点といい、そのときの組成を補償点組成という。補償点組成は、RE元素の割合がat%(原子%)で25at%から50at%の間になる。
また、垂直磁化が発現する材料としては、Co、Fe、Niから選ばれる元素を含む磁性層とPd,Pt,Au,Rh、Ir、Os、Ru、Ag,Cuを含む非磁性金属層の多層積層からなる人工格子型の垂直磁化膜も用いられる。上記磁性層の材料としては、Co100−x−yFeNi合金膜(0≦x≦100、0≦y≦100)が用いられる。上記のCoFeNi合金にBを10〜25at%添加したCoFeNiBアモルファス合金なども用いられる。磁性層の層厚は、0.1nmから1nmで最適化される。非磁性層の厚さは、0.1nmから3nmの範囲で最適化される。人工格子膜の結晶構造はHCP構造でもFCC構造でもBCC構造でもよい。膜の配向性は、その一部がFCCの場合は(111)面に配向、BCC構造の場合は(110)面に配向、HCP構造の場合は(001)面に配向が良い。配向性はX船回折および電子線回折から得られる。
また、垂直磁化が発現する材料としては、L1型規則構造を有する、Fe、Co(以下、元素Aと表記する)から選ばれる少なくとも一つ以上の元素と、Pt、Pd(以下、元素Bと表記する)から選ばれる少なくとも1つ以上の元素とからなるFCT構造強磁性体合金がある。L1型規則構造強磁性体合金としては、L1−FePt合金、L1−FePd合金、L1−CoPt合金が代表的であり、これらの合金であるL1−FeCoPtPd合金もある。L1型規則構造を有するためには、元素Aと元素Bの組成比が、A100−xという組成式で表される場合、xは30at%以上70at%以下であることが必要である。元素Aにおいては、その一部をNi,Cuで置換が可能である。また、元素Bにおいては、その一部をAu、Ag、Ru、Rh、Ir、Os、希土類元素(Nd,Sm、Gd、Tbなど)で置換することが可能である。これにより、垂直磁化を有する磁化自由層の飽和磁化Msおよび結晶磁気異方性エネルギー(一軸磁気異方性エネルギー)Kを調整し最適化することができる。
このL1型規則構造を有する上記の強磁性体AB合金は、面心正方晶(FCT:Face Centered Tetragonal)構造である。規則化することで、[001]方向において、1x10erg/cc程度の強い結晶磁気異方性エネルギーを有する。従って、(001)面を優先的に配向させることで良好な垂直磁化特性を得ることが可能となる。また、飽和磁化はおおよそ600emu/cmから1200emu/cmの範囲内である。上述した元素Aあるいは元素Bへ置換する形で元素を添加する場合には、飽和磁化および結晶磁気異方性エネルギーは低下する。上記のL1規則構造を有する強磁性体AB合金の(001)面上では、Fe、Cr、Vなどを主成分とするBCC構造合金が(001)面に優先的に配向して成長しやすい。
FCT−FePt合金が(001)面優先配向していることは、X線回折のθ―2θスキャンにおいて、2θ=45〜50度付近に見られる(002)ピークにより確認できる。垂直磁化特性の向上という意味では、(002)回折ピークのロッキングカーブの反値幅が10度以下である必要があり、好ましくは5度以下である。
また、L1型規則構造相の有無および(001)面優先配向性は、X線回折のθ―2θスキャンにおいて、2θ=20〜25度付近に見られる(001)回折ピークにより確認できる。
これらの(001)面および(002)面起因の回折像は、電子線回折などによっても確認できる。
次に、本発明の実施例として、具体的なTMR素子の積層構造を詳細に説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例による保磁力差型のTMR素子を図5に示す。この第1実施例のTMR素子は、ボトム・参照層型構造であって、下地層12上に、磁化参照層2が形成され、この磁化参照層2上に中間層4が形成され、中間層4上に磁化自由層6が形成され、磁化自由層6上にキャップ層14が形成された構成となっている。磁化参照層2は、下地層12上に形成された補助磁性膜2cと、この補助磁性膜2c上に形成された結晶化遅延膜2bと、この結晶化遅延膜2b上に形成された界面磁性膜2aとの積層構造となっている。この実施例においては、磁化参照層2および磁化自由層6は、磁化は共に膜面に垂直でも、共に膜面に平行であってもよい。
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例による保磁力差型のTMR素子を図6に示す。この第2実施例のTMR素子は、ボトム・参照層型構造であって、図5に示す第1実施例のTMR素子おいて、磁化自由層6と、キャップ層14との間に結晶化遅延層8を設けた構成となっている。この実施例においては、磁化自由層6となる界面磁性膜は、アモルファス構造から結晶化する材料でなくてもよい。最初から結晶化した磁性材料を用いることができる。この場合の結晶化遅延層8の役割は、バリア層(中間層)4の化学量論組成の調整のための余剰酸素吸収層としての役割を果たす。この実施例においては、磁化参照層2および磁化自由層6は、磁化は共に膜面に垂直でも、共に膜面に平行であってあってもよい。
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例による保磁力差型のTMR素子を図7に示す。この第3実施例のTMR素子は、トップ・参照層型構造であって、下地層12上に、磁化自由層6が形成され、この磁化自由層6上に中間層4が形成され、中間層4上に磁化参照層2が形成され、磁化参照層2上にキャップ層14が形成された構成となっている。磁化自由層6は、下地層12上に形成された補助磁性膜6cと、この補助磁性膜6c上に形成された結晶化遅延膜6bと、この結晶化遅延膜6b上に形成された界面磁性膜6aとの積層構造となっている。磁化参照層2は、中間層4上に形成された界面磁性膜2aと、この界面磁性膜2a上に形成された結晶化遅延膜2bと、この結晶化遅延膜2b上に形成された補助磁性膜2cとの積層構造となっている。この実施例においては、磁化参照層2および磁化自由層6は、磁化は共に膜面に垂直でも、共に膜面に平行であってあってもよい。
上記第1実施例から第3実施例のTMR素子の一具体例を以下に示す。なお、括弧内の数字は膜厚を示している。
第1実施例の一具体例
キャップ層14/FePt(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(2nm)からなる界面磁性膜2a/Ta(0.2nm)からなる結晶化遅延膜2b/FePt(10nm)からなる補助磁性膜2c/下地層12/熱酸化Si基板(図示せず)
第2実施例の一具体例
キャップ層14/Mg(0.5nm)からなる結晶化遅延層8/FePt(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(2nm)からなる界面磁性膜2a/Ta(0.2nm)からなる結晶化遅延膜2b/FePt(10nm)からなる補助磁性膜2c/下地層12/熱酸化Si基板(図示せず)
第3実施例の一具体例
キャップ層14/FePt(10nm)からなる補助磁性膜2c/Mg(0.5nm)からなる結晶化遅延膜2b/Fe(1.5nm)からなる界面磁性膜2a/MgO(0.7nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(0.5nm)からなる界面磁性膜6a/Ta(0.2nm)からなる結晶化遅延膜6b/FePt(2nm)からなる補助磁性膜6c/下地層12/熱酸化Si基板(図示せず)
上記の具体例は全て垂直磁化を有するTMR素子である。第1および第2実施例の各具体例に示した垂直磁化を有するTMR素子の場合、磁化自由層6の界面磁性膜6としてL1規則構造を有するFePtが用いられている。磁化参照層2の界面磁性膜2aとしてCoFeB合金、補助磁性膜2cとしてFePt合金、結晶化遅延膜2bとしてTaが用いられる。
第3実施例の具体例のTMR素子では、磁化自由層6の界面磁性膜6aとしてCoFeB、補助磁性膜6cとしてL1規則構造を有するFePt、結晶化遅延膜6bとしてTaが用いられる。磁化参照層2の界面磁性膜2aとしてFe、補助磁性膜2cとしてL1規則構造を有するFePt、結晶化遅延膜2bとしてMgが用いられる。
ここで、磁化自由層に用いられるL1合金層としては、FePt合金以外にも、Fe、Coから選ばれる少なくとも一つ以上の元素XとPt、Pdから選ばれる少なくとも1つ以上の元素Yとからなる強磁性体合金も用いられる。L1規則構造のFePt合金、L1規則構造のFePd合金、L1規則構造のCoPt合金が代表的である。L1規則構造を有するためには、元素Xと元素Yの組成比において、元素Xが40at%以上60at%以下であることが望ましい。上記のL1規則構造を有するXY合金からなる磁化自由層には、その一部をNi、Cu、Znなどで置換が可能である。これにより、飽和磁化Msが下げられる。さらに、Cu,Znなどで置換した場合には、規則化温度を下げられる。
また、上記のL1規則構造を有するXY合金からなる磁化自由層には、その一部をCu、Au、Ag、Ru、Rh、Ir、Os、希土類元素(Nd,Sm、Gd、Tbなど)で置換することが可能である。
このL1規則構造を有する上記の強磁性体XY合金は、FCT構造である。規則化することで、[001]方向において、1×10erg/cm以上の強い結晶磁気異方性エネルギーを有する。従って、(001)面を優先的に配向させることで良好な垂直磁化特性を得ることが可能となる。また、飽和磁化は大よそ600emu/cmから1100emu/cmの範囲内である。上述した元素を添加するばあいには、最適化することで、有効な結晶磁気異方性を維持したまま、飽和磁化は低下することができる。
図5、図6に示した第1および第2実施例のTMR素子においては、磁化参照層2の補助磁性膜2c上にアモルファス構造からなる界面磁性膜2aを形成すると、Pt、Pdなどの貴金属が、界面磁性膜2aに拡散し、界面磁性膜2aのアモルファス構造相からの結晶化を阻害してしまう可能性がある。ここで、結晶化遅延膜2bを界面磁性膜2aと補助磁性膜2cとの間に挿入することによりPt、Pdなどの貴金属の界面磁性膜2aへの拡散を抑制することが可能となる。
結晶化遅延膜2bとしては、拡散防止の役割を果たしており、そういった意味においては、図5、図6に示すような硬質磁性を有する補助磁性膜2cを下部に形成する磁化参照層2を有する場合には、Pt、Pdなどの貴金属と固溶系元素ではないものを結晶化遅延膜2として挿入することも好ましい。Ta以外にもMg、Ca、Sc、Ti、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ba、La、Hf、Wなどを用いることが可能である。
また、界面磁性膜2aの材料CoFeBは、面内磁化となりやすいため、結晶化遅延膜2bの挿入で磁気的な交換結合が切れることは、界面磁性膜2aの垂直磁化特性を維持するためには好ましいことではない。そういう観点からも、希土類元素であるCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの挿入は好ましいといえる。なぜなら、成膜時のミキシングなどにより、磁性を有することが可能であるからである。特に、Gdは単元素でも強磁性体である。垂直磁化を維持するためには、上記の結晶化遅延膜の膜厚は、1nm以下であることが好ましい。また、Gdの場合においては、2nm以下であることが好ましい。ただし、磁化参照層の界面磁性膜の垂直磁化を維持するためには、飽和磁化と膜厚の積であるMs・t積が4.0[nm・T(ナノメーター・テスラ)]以下であることが望ましい。
(第4および第5実施例)
代表的なボトム・参照層型構造のTMR素子で、結晶化遅延膜としてGdを用いた場合の代表的な積層構成例を、第4および第5実施例として示す。
第4実施例
キャップ層14/FePt(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(2nm)からなる界面磁性膜2a/Gd(0.5nm)からなる結晶化遅延膜2b/FePt(10nm)からなる補助磁性膜2c/下地層12/熱酸化Si基板
さらに、第1および第2実施例のようなボトム・参照層型構造のTMR素子においては、希土類元素と、Fe、Coから選ばれる少なくとも一つ以上の元素Xとの合金膜も、結晶化遅延膜として用いることができる。希土類元素と元素Xの合金膜は、垂直磁化を有する。代表的なボトム・参照層型構造のTMR素子の積層構成を第5実施例として示す。
第5実施例
キャップ層14/FePt(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層4/CoFeB(2nm)からなる界面磁性膜2a/CoFeTb(5nm)からなる結晶化遅延膜2b/FePt(10nm)からなる補助磁性膜2c/下地層12/熱酸化Si基板
ここで、CoFeTb膜2bの膜厚は5nmを用いているが、成膜プロセスの最適化により、0.1nm以上10nm以下の範囲が用いられる。ここで、CoFeTb膜のTb組成範囲としては、体積割合でTbが50vol%以下である。希土類元素の組成範囲としても、50vol%以下が好ましく、これ以上添加すると、界面磁性膜2aと、補助磁性膜2cとの交換結合が弱くなり、垂直磁化が維持できなくなる可能性がある。
(第6実施例)
図8には、磁化参照層2が反強磁性層7で磁化固着される場合のボトム・参照層型構造を有する第6実施例のTMR素子の積層構造を示す。図8に示す本実施例のTMR素子は、図5に示す第1実施例のTMR素子において、磁化参照層2の補助磁性膜2cが反強磁性層7によって磁化固着された磁化固着膜2dに置き換わった構成となっている。また、本実施例に用いられる材料については、第1乃至第5実施例で説明したしたものが適用される。磁化固着膜2dの磁化方向は、界面磁性膜2aとともに膜面に垂直であってもよいし、膜面に平行であってもよい。
(第7実施例)
図9に、本発明の第7実施例によるTMR素子の断面を示す。本実施例のTMR素子は、第6実施例のTMR素子において、磁化固着膜2dを単層の磁性膜からシンセティック構造を有する磁化固着層3に置き換えた構成となっている。すなわち、磁化固着層3は、磁性膜(界面磁性膜)3a、磁性膜3cとの間に非磁性膜3bを設けた積層構造を有しており、磁性膜3aと磁性膜3cとは、非磁性膜3bを介して反強磁性結合をしている。そして、磁化固着層3は、反強磁性層7によって磁化固着される。磁化固着層3の磁化方向は、界面磁性膜2aとともに膜面に垂直であってもよいし、膜面に平行であってもよい。
反強磁性層7としては、実用的には、FeMn合金、PtMn合金、IrMn合金、NiMn合金、PdMn合金、RhMn合金、PtCr合金、PtCrMn合金などが上げられる。膜厚は5nm以上20nm以下で最適化される。
シンセティック構造では、界面磁性膜3aと磁性膜3cとの間に非磁性膜3bが挿入される。非磁性膜3bとしては、Ru、Os、Irが用いられ、その膜厚は0.5nmから3nmで最適化される。層間結合を利用しており、反強磁性結合がピークとなる膜厚を利用する。シンセティック構造では、界面磁性膜3aと磁性膜3cの磁化方向が反平行である。
図9に示す第7実施例において、界面磁性膜中に結晶化遅延膜2bが挿入され、界面磁性膜が界面磁性膜2aと界面磁性膜3aに分断される。バリア層4に近い界面磁性膜2aの膜厚は上下層のミキシングの影響を考慮すると1nm以上必要である。界面磁性膜2aと界面磁性膜3aの磁化方向の関係は平行である。
面内磁化で用いられる代表的なTMR素子の第8乃至第12実施例の積層構造を示す。
(第8実施例)
本実施例は、図8に示す第6実施例の一具体例となっており、以下の積層構造を有している。
キャップ層14/CoFeB(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(3nm)からなる界面磁性膜2a/Ta(0.2nm)からなる結晶化遅延膜2b/CoFe(2.5nm)からなる磁化固着膜2d/MnPt(10nm)からなる反強磁性層7/下地層12/熱酸化Si基板
(第9実施例)
本実施例は、図9に示す第7実施例の一具体例となっており、以下の積層構造を有している。
キャップ層14/CoFeB(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(1.5nm)からなる界面磁性膜2a/Ta(0.2nm)からなる結晶化遅延膜2b/CoFeB(1.5nm)からなる界面磁性膜3a/Ru(0.85nm)からなる非磁性膜3b/CoFe(2.5nm)からなる磁性膜3c/PtMn(10nm)からなる反強磁性層7/下地層12/熱酸化Si基板
垂直磁化を有する代表的なTMR素子を第10乃至第12実施例として説明する。
(第10実施例)
本実施例は、図8に示す第6実施例の一具体例となっており、以下の積層構造を有している。
キャップ層14/FePt(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(2nm)からなる界面磁性膜2a/Ta(0.2nm)からなる結晶化遅延膜2b/FePt(10nm)からなる磁化固着膜2d/FeMn(10nm)からなる反強磁性層7/下地層12/熱酸化Si基板
(第11実施例)
本実施例は、図8に示す第6実施例の他の具体例となっており、結晶化遅延膜2bとして、膜厚が5nmのCoFeTbを用い、以下の積層構造を有している。
キャップ層14/FePt(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(2nm)からなる界面磁性膜2a/CoFeTb(5nm)からなる結晶化遅延膜2b/FePt(10nm)からなる磁化固着膜2d/FeMn(10nm)からなる反強磁性層7/下地層12/熱酸化Si基板
本実施例においては、CoFeTbの組成を調整することで、界面磁性膜2aのCoFeBと磁化固着膜2dのFePt層の磁化方向を反平行状態にすることができる。希土類元素Tbの組成において、補償点組成を越えた場合は、界面磁性膜2aと磁化固着膜2dの磁化方向は反平行になる。
(第12実施例)
本実施例は、図8に示す第6実施例において、界面磁性膜2aを、第1磁性膜、非磁性膜、および第2磁性膜からなるシンセティック構造に置き換えた構成となっており、以下の積層構造を有している。
キャップ層14/FePt(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(1nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(1nm)からなる第1磁性膜/Ru(0.8nm)からなる非磁性膜/CoFeB(1nm)からなる第2磁性膜/Ta(0.2nm)からなる結晶化遅延膜2b/FePt(10nm)からなる磁化固着膜2d/FeMn(10nm)からなる反強磁性層7/下地層12/熱酸化Si基板
次に、第13実施例および比較例のTMR素子をスパッタリング法により作成し、面内通電法により面抵抗RAとTMR比を測定した。
第13実施例
本実施例のTMR素子は、図5に示す第1実施例のTMR素子の一具体例であって、以下の積層構造を有している。
キャップ層14/FePt(3nm)からなる磁化自由層6/MgO(2nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(2nm)からなる界面磁性膜2a/Ta(0.2nm)からなる結晶化遅延膜2b/FePt(10nm)からなる補助磁性膜2c/下地層12/熱酸化Si基板
比較例
この比較例は、第13実施例において、結晶化遅延膜2bを形成しない構成となっており、以下の積層構造を有している。
キャップ層14/FePt(3nm)からなる磁化自由層/MgO(2nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(2nm)からなる界面磁性膜2a/FePt(10nm)からなる補助磁性膜2c/下地層12/熱酸化Si基板
測定の結果、比較例ではRAは約20kΩμmであったが、第13実施例ではRAが約10kΩμmまで低減した。このとき、TMR比は低下せずにほぼ一定値を維持したままであった。
次に、上記と同様のスパッタリング法を用いて、第14実施例によるTMR素子を作成した。
第14実施例
本実施例のTMR素子は、第13実施例において、結晶化遅延膜2bとして、膜厚0.2nmのTaから、膜厚10nmのCoFeTbに置き換えた構成となっており、以下の積層構造を有している。
キャップ層14/FePt(3nm)/MgO(2nm)からなる中間層(バリア層)4/CoFeB(2nm)からなる界面磁性膜2a/CoFeTb(10nm)からなる結晶化遅延膜2b/FePt(10nm)からなる補助磁性膜2c/下地層12/熱酸化Si基板
透過電子顕微鏡観察(TEM)を用いて、第14実施例の界面磁性膜2aの観察を行った。断面TEM観察の結果から、界面磁性膜2aのCoFeB膜は第14実施例では結晶化が確認できた。しかしながら、比較例では界面磁性膜2aであるCoFeB膜は膜全体がほぼアモルファス構造であった。
さらに、面内通電法によりRAを測定した。その結果、比較例はRAが約20kΩμm−2であったが、結晶化遅延膜2bとしてCoFeTb膜を挿入した第14実施例では、1kΩμm−2まで低下していた。
以上説明したように、本実施形態によれば、低抵抗なTMR素子を得ることができ、低電流で磁化自由層の磁化反転させることが可能となる。これにより、低抵抗なスピン注入書き込み方式の磁気抵抗効果型素子を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態によるスピン注入書き込み型のMRAMについて説明する。
本実施形態のMRAMは複数のメモリセルを有している。本実施形態のMRAMの1つのメモリセルの主要部の断面を図10に示す。図10に示すように、MR素子1の上面は、上部電極31を介してビット線32と接続されている。また、MR素子1の下面は、下部電極33、引き出し電極34、プラグ35を介して、半導体基板36の表面のソース/ドレイン領域のうちドレイン領域37aと接続されている。ドレイン領域37aは、ソース領域37b、基板36上に形成されたゲート絶縁膜38、ゲート絶縁膜38上に形成されたゲート電極39と共に、選択トランジスタTrを構成する。選択トランジスタTrとMR素子1とは、MRAMの1つのメモリセルを構成する。ソース領域37bは、プラグ41を介してもう1つのビット線42と接続されている。なお、引き出し電極34を用いずに、下部電極33の下方にプラグ35が設けられ、下部電極33とプラグ35が直接接続されていてもよい。ビット線32、42、電極31、33、引き出し電極34、プラグ35、41は、W、Al、AlCu、Cu等から形成されている。
本実施形態のMRAMにおいては、図10に示す1つのメモリセルが例えば行列状に複数個設けられることにより、MRAMのメモリセルアレイが形成される。図11は、本実施形態のMRAMの主要部を示す回路図である。
図11に示すように、MR素子1と選択トランジスタTrとからなる複数のメモリセル53が行列状に配置されている。同じ列に属するメモリセル53の一端は同一のビット線32と接続され、他端は同一のビット線42と接続されている。同じ行に属するメモリセル53のゲート電極(ワード線)39は相互に接続され、さらにロウデコーダ51と接続されている。
ビット線32は、トランジスタ等のスイッチ回路54を介して電流ソース/シンク回路55と接続されている。また、ビット線42は、トランジスタ等のスイッチ回路56を介して電流ソース/シンク回路57と接続されている。電流ソース/シンク回路55、57は、書き込み電流(反転電流)を、接続されたビット線32、42に供給したり、接続されたビット線32、42から引き抜いたりする。
ビット線42は、また、読み出し回路52と接続されている。読み出し回路52は、ビット線32と接続されていてもよい。読み出し回路52は、読み出し電流回路、センスアンプ等を含んでいる。
書き込みの際、書き込み対象のメモリセルと接続されたスイッチ回路54、56および選択トランジスタTrがオンされることにより、対象のメモリセルを介する電流経路が形成される。そして、電流ソース/シンク回路55、57のうち、書き込まれるべき情報に応じて、一方が電流ソースとして機能し、他方が電流シンクとして機能する。この結果、書き込まれるべき情報に応じた方向に書き込み電流が流れる。
書き込み速度としては、数ナノ秒から数マイクロ秒までのパルス幅を有する電流でスピン注入書込みを行うことが可能である。
読み出しの際、書き込みと同様にして指定されたMR素子1に、読み出し電流回路によって磁化反転を起こさない程度の小さな読み出し電流が供給される。そして、読み出し回路52は、MR素子1の磁化の状態に応じた抵抗値に起因する電流値あるいは電圧値を、参照値と比較することで、その抵抗状態を判定する。
なお、読み出し時は、書き込み時よりも電流パルス幅が短いことが望ましい。これにより、読み出し時の電流での誤書込みが低減される。これは、書き込み電流のパルス幅が短い方が、書き込み電流値の絶対値が大きくなるということに基づいている。
以上説明したように、本実施形態によれば、低抵抗なTMR素子を記憶素子として用いているので、低電流で磁化自由層を磁化反転させることが可能となる。これにより、低抵抗なスピン注入書き込み方式の磁気ランダムアクセスメモリを提供することができる。
本発明の第1実施形態によるTMR素子の断面図。 第1実施形態の第1変形例によるTMR素子の断面図。 第1実施形態の第2変形例によるTMR素子の断面図。 第1実施形態の第3変形例によるTMR素子の断面図。 第1実施例によるTMR素子の断面図。 第2実施例によるTMR素子の断面図。 第3実施例によるTMR素子の断面図。 第6実施例によるTMR素子の断面図。 第7実施例によるTMR素子の断面図。 本発明の第2実施形態によるMRAMのメモリセルを示す断面図。 第2実施形態のMRAMの主要部の回路図。
1 TMR素子
2 磁化参照層
2a 磁性膜(界面磁性膜)
2b 結晶化遅延膜
2c 補助磁性膜
3 磁化固着層
3a 界面磁性膜
3b 非磁性膜
3c 磁性膜
4 中間層(バリア層)
6 磁化自由層
6a 磁性膜(界面磁性膜)
6b 結晶化遅延膜
6c 補助磁性膜
結晶化遅延層
10 結晶化遅延層
12 下地層
14 キャップ層

Claims (9)

  1. 膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層と、
    膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、
    前記磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられたNaCl構造のバリア層と、
    を備え、
    前記磁化参照層および前記磁化自由層の少なくとも一方の層は、
    前記バリア層に接するように形成されFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含みBCC構造を有する磁性体を備えた第1の膜と、
    前記バリア層と反対側に前記第1の膜と接するように形成されTa、W、Mo、Nb、Ti、Hf、Zrから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む第2の膜と、
    前記第2の膜に対して前記第1の膜と反対側に設けられ磁性体を備えた第3の膜と、
    を有し、
    前記第3の膜は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含み、
    前記第1の膜と前記第3の膜とは、前記第2の膜を介して交換結合し、
    前記磁化自由層の磁化の向きは、前記バリア層を介して前記磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層と、
    膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、
    前記磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられたNaCl構造のバリア層と、
    を備え、
    前記磁化参照層および前記磁化自由層の少なくとも一方の層は、
    前記バリア層に接するように形成されFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含みBCC構造を有する磁性体を備えた第1の膜と、
    前記バリア層と反対側に前記第1の膜と接するように形成されCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む第2の膜と、
    前記第2の膜に対して前記第1の膜と反対側に設けられ磁性体を備えた第3の膜と、
    を有し、
    前記第3の膜は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含み、
    前記第1の膜と前記第3の膜とは、前記第2の膜を介して交換結合し、
    前記磁化自由層の磁化の向きは、前記バリア層を介して前記磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  3. 膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが一方向に固定された磁化参照層と、
    膜面に実質的に垂直な磁化を有し、磁化の向きが可変である磁化自由層と、
    前記磁化参照層と前記磁化自由層との間に設けられたNaCl構造のバリア層と、
    を備え、
    前記磁化参照層および前記磁化自由層の少なくとも一方の層は、
    前記バリア層に接するように形成されFe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を50at%以上含みBCC構造を有する磁性体を備えた第1の膜と、
    前記バリア層と反対側に前記第1の膜と接するように形成されSi、Ge、Gaから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含む第2の膜と、
    前記第2の膜に対して前記第1の膜と反対側に設けられ磁性体を備えた第3の膜と、
    を有し、
    前記第3の膜は、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を含み、
    前記第1の膜と前記第3の膜とは、前記第2の膜を介して交換結合し、
    前記磁化自由層の磁化の向きは、前記バリア層を介して前記磁化参照層および磁化自由層に通電することにより変化可能であることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  4. 前記第2の膜の膜厚は1nm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記第2の膜に含まれる前記元素がGdである場合には、前記第2の膜の膜厚は0.1nm以上2nm以下であることを特徴とする請求項2記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記第2の膜に含まれる前記元素がGd以外である場合には、前記第2の膜の膜厚は0.1nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項2記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記第1の膜の膜厚は、0.1nm以上5nm以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子をメモリセルに備えていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
  9. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の磁気抵抗効果素子と、一端が前記磁気抵抗効果素子の一端と直列接続されたトランジスタと、を含むメモリセルと、
    前記磁気抵抗効果素子の他端と接続された第1書き込み電流回路と、
    前記トランジスタの他端と接続され、前記第1書き込み電流回路とともに前記磁気抵抗効果素子の一端から他端または他端から一端に向かう電流を供給する第2書き込み電流回路と、
    を備えていることを特徴とする磁気ランダムアクセスメモリ。
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