JP2012042666A - 光偏向器、光走査装置、画像形成装置及び画像投影装置 - Google Patents

光偏向器、光走査装置、画像形成装置及び画像投影装置 Download PDF

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Abstract

【課題】小型で駆動効率がよく、大振幅が得られ、さらに動的変形が低減でき、温度上昇による共振周波数の変動の低減が可能な光偏向器を提供する。
【解決手段】固定ベース50、光反射面を有するミラー部10、該ミラー部10を内部枠部材20を介して揺動可能に支持する一対の弾性支持部材30a,30b、及び一対の駆動梁40a,40bを備え、該一対の駆動梁40a,40bは、ミラー部10と内部枠部材20と一対の弾性支持部材30a,30bを固定ベース40に対して片持ち支持する。内部枠部材20とミラー部10は、該ミラー部10の中心に対して放射状に配置した複数の連結部材22で接続し、且つ、一対の弾性支持部材30a,30bと内部枠部材20の接続点の延長線上には連結部材22を配置しないようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光等の光ビームを偏向・走査する光偏向器、詳しくは圧電力を用いた光偏向器に関し、さらに、この光偏向器を備えた光走査装置、この光走査装置を光書込みユニットとして備える画像形成装置、この光偏向器を投影面の走査ユニットとして備える画像投影装置に関する。
レーザ光等の光ビームを偏向・走査する光偏向器は、複写機等の画像形成装置、画像投影装置、さらには、レーザビームプリンタ、バーコードスキャナなどに広く用いられている。従来、この種の光偏向器として、静電力を用いたもの、電磁力を用いたもの、圧電力を用いたものなどが知られている。
静電力を用いた光偏向器は、電極の形状が平行平板型と櫛歯型のものがあり、櫛歯型の電極では近年の微細加工技術の向上によって比較的大きな駆動力を発生できるようにはなったが、十分な光ビームの偏向角が得られないため、駆動電圧を大きくして補うしかない。しかし、駆動電圧を大きくしようとすると、電源系の部品が大きくなり、全体として大型化したり、コストが増加することとなる。
電磁力を用いた光偏向器は、大きな偏向角を得るためには、永久磁石の磁力を強めるか、コイルの電流を大きくする必要があり、大型化や消費電力の増大を招くこととなる。小型化のため磁歪膜などを用いたものも検討されているが、磁性体としての特性が劣る問題がある。また、コイルに電流を流すと余分な熱が発生し、この点からも消費電力が大きくなってしまう。
一方、圧電力を用いた場合は、比較的大きな駆動電圧が必要ではあるが、小さな電力で大きな力を発生させることが可能である。また、圧電材料を梁状弾性部材に張り合わせてユニモルフ構造、バイモルフ構造とすることで、圧電力による面内方向のわずかな歪みを反りに変えることで大きな変形を得ることも可能である。しかし、従来の圧電力を用いた光偏向器には、まだ種々の問題がある。
例えば、特許文献1には、マイクロミラーが揺動可能に支持された枠体全体をバルク圧電素子により加振することで、マイクロミラーを回転振動させる光偏向器が記載されている。しかしながら、バルク圧電素子を使用しているため、加振振幅が小さく、また、小型化が困難で、コストがかかること云う問題がある。
また、特許文献2には、一対の圧電バイモルフの各一端を基体に片持ち梁状に固定し、自由端同士を連結部材で接続し、該連結部材の中央部から圧電バイモルフと平行に延出したねじり変形部材にミラー部を設けた構成の光偏光器が記載されている。この光偏光器では、ねじり変形部は一端を自由端としているので、ねじり変形方向だけではなく曲げ方向にも変形ができ、ミラー部は2軸方向の回転動作が可能になっている。しかしながら、ねじり変形部材は圧電バイモルフと平行に配置されているため、バイモルフの曲げによるモーメントが十分に生かされてない問題がある。また、ねじりと直交する曲げ方向の動作についても、圧電バイモルフの変形量は非常に小さいため、周波数を高くしようとした場合、ねじり部材の剛性を上げると、曲げ方向に変形しにくくなるため、曲げ方向の動作は大きな振幅を得ることが難しい問題がある。
また、特許文献3には、ミラー部の両側に接続されて、ミラー部を揺動可能に支持する一対の弾性支持部材をそれぞれ、圧電材料を梁状弾性部材に張り合わせた一対の駆動梁(カンチレバー)で、該弾性支持部材の軸と直角に固定ベースの両方から支持し、これから一対の駆動梁を互い逆方向に駆動(逆相駆動)することで、ミラー部を回転振動させる光偏向器が記載されている。しかしながら、ミラー部と該ミラー部の支持部材は、その両端がそれぞれ一対の駆動梁で固定ベースの両方向から支持される構成であるため、ミラー部の回転振幅には限界があり、また、一方向の回転振幅に計4個の駆動梁を配置する必要があるため、小型化も困難であり、コスト高になる問題がある。
さらに、引用文献4には、ミラー部と該ミラー部を揺動可能に支持する一対の弾性支持部材との間に、ミラー部の外周を囲むようにフレームを設け、ミラー部と該フレームとを複数の連結部材で連結して、ミラー部の動的変形を減少させるようにした光偏向器(マイクロミラーデバイス)が記載されている。しかしながら、引用文献4の構成では、ミラー部から弾性支持部材への熱抵抗が小さく、光源照射によるミラー部の温度上昇により弾性支持部材の温度も上昇して、偏向ミラー系の共振周波数が大きく変動する問題がある。
本発明は、従来の圧電力を用いる光偏向器の上記のような問題を解決し、小型で駆動効率が良く、大きな回転振幅が得られ、且つ、動的変形が低減できる光偏向器を提供することにある。さらには、ミラー部の温度上昇による共振周波数の変動が低減できる光偏向器を提供することにある。
また、本発明は、小型で駆動効率がよく、大振幅が得られ、且つ、動的変形が低減でき、さらには、共振周波数の変動が低減できる光偏向器を用いて、特性の良い光走査装置を提供することにある。
また、本発明は、小型で駆動効率がよく、大振幅が得られ、且つ、動的変形が低減でき、さらには、共振周波数の変動が低減できる光偏向器を用いた光走査装置を光書込みユニットに用いて、性能の良い画像形成装置を提供することにある。
さらに、本発明は、小型で駆動効率がよく、大振幅が得られ、且つ、動的変形が低減でき、さらには、共振周波数の変動が低減できる光偏向器を用いて、消費電力が小さく、広画角な投影が得られる画像投影装置を提供することにある。
本発明の光偏向器は、固定ベースと、光反射面を有するミラー部と、前記ミラー部を囲う内部枠部材と、前記内部枠部材と前記ミラー部を接続する複数の連結部材と、前記ミラー部を前記内部枠部材を介して揺動可能に支持する一対の弾性支持部材と、梁状部材に圧電部材が固着された一対の駆動梁とを有し、前記弾性支持部材の長手方向と前記駆動梁の長手方向とが略直交して配置されて、両者が接続され、前記駆動梁の他端は固定ベースに固定されて、一対の前記駆動梁で、前記ミラー部と前記内部枠部材と一対の前記弾性支持部材とが前記固定ベースに対して片持ち支持され、前記駆動梁が曲げ振動することで、前記弾性支持部材に捻り変形が発生して、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に回転振動することを特徴とする。
また、本発明の光偏向器は、可動枠と、光反射面を有するミラー部と、前記ミラー部を囲う内部枠部材と、前記内部枠部材と前記ミラー部を接続する複数の連結部材と、前記ミラー部を前記内部枠部材を介して揺動可能に支持する一対の第1の弾性支持部材と、梁状部材に圧電部材が固着された一対の第1の駆動梁と、前記可動枠を揺動可能に支持する一対の第2の弾性支持部材と、梁状部材に圧電部材が固着された一対の第2の駆動梁と、固定ベースとを有し、前記第1の弾性支持部材の長手方向と前記第1の駆動梁の長手方向とが略直交して配置されて、両者が接続され、前記第1の駆動梁の他端は前記可動枠に固定されて、一対の前記第1の駆動梁で、前記ミラー部と前記内部枠部材と前記一対の第1の弾性支持部材とが前記可動枠に対して片持ち支持され、前記第2の弾性支持部材の長手方向と前記第2の駆動梁の長手方向とが略直交して配置されて、両者が接続され、前記第2の駆動梁の他端は固定ベースに固定されて、一対の前記第2の駆動梁で、前記可動枠と一対の前記第2の弾性支持部材とが前記固定ベースに対して片持ち支持され、前記第1の駆動梁が曲げ振動することで、前記第1の弾性支持部材に捻り変形が発生して、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に第1の方向に回転振動し、前記第2の駆動梁が曲げ振動することで、前記第2の弾性支持部材に捻り変形が発生して、前記可動枠が回転振動し、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に第2の方向に回転振動することを特徴とする。
また、本発明の光偏向器は、可動枠と、光反射面を有するミラー部と、前記ミラー部を囲う内部枠部材と、前記内部枠部材と前記ミラー部を接続する複数の連結部材と、前記ミラー部を前記内部枠部材を介して揺動可能に支持する一対の第1の弾性支持部材と、前記可動枠を揺動可能に支持する一対の第2の弾性支持部材と、梁状部材に圧電部材が固着された一対の駆動梁と、固定ベースとを有し、一対の前記第1の弾性支持部材は、その一端が前記ミラー部に接続され、他端が前記可動枠に固定されて、前記ミラー部が前記内部枠部材を介して揺動可能に支持され、前記第2の弾性支持部材の長手方向と前記駆動梁の長手方向とが略直交して配置されて、両者が接続され、前記駆動梁の他端は固定ベースに固定されて、一対の前記駆動梁で、前記可動枠と一対の前記第2の弾性支持部材とが前記固定ベースに対して片持ち支持され、一対の前記駆動梁が逆位相で曲げ振動することで、一対の前記第1の弾性支持部材の軸周りに回転振動が発生して、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に第1の方向に回転振動し、一対の前記振動梁が同位相で曲げ振動することで、前記第2の弾性支持部材に捻り変形が発生して、前記可動枠が回転振動し、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に第2の方向に回転振動することを特徴とする。
さらに、本発明の光偏向器は、内部枠部材とミラー部を接続する複数の連結部材は、ミラー部の中心に対して放射状に配置され、且つ、一対の弾性支持部材と内部枠部材の接続点の延長線上には連結部材が配置されないことを特徴とする。そして、好ましくは、内部枠部材とミラー部は6個以上の連結部材で接続されることを特徴とする。
さらに、本発明の光偏向器は、ミラー部の重心が、弾性支持部材の中心軸に対して、駆動梁と固定ベースとの接続部側に近接する方向にオフセットされていることを特徴とする。
さらに、本発明の光偏向器は、弾性支持部材と駆動梁の接続部分に、光反射面と垂直な方向の厚さが部分的に薄くなるように窪みが形成されていることを特徴とする。
また、本発明の光走査装置は、光源と、光源からの光ビームを偏向させる上記光偏向器と、偏向された光ビームを被走査面にスポット状に結像する結像光学系とを備えることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、上記光走査装置と、光ビームの走査により潜像を形成する感光体と、潜像をトナーで顕像化する現像手段と、トナー像を記録紙に転写する転写手段とを有することを特徴とする。
また、本発明の画像投影装置は、光源と、前記光源からの光ビームを画像信号に応じて変調する変調器と、前記光ビームを略平行光とするコリメート光学系と、前記略平行光とされた光ビームを偏向して投影面に投射する上記光偏向器とを有することを特徴とする。
本発明の光偏向器によれば、駆動梁は、ミラー部と該ミラー部を揺動可能に支持する一対の弾性支持部材を固定ベースに対して片持ち支持し、更にミラー部を囲う内部枠部材を設け、該内部枠部材とミラー部を複数の連結部材で接続することで、小型で、効率よくミラー部を回転させ、大きな回転振幅を得ることができ、更に、動的変形が低減できる。また、一対の弾性支持部材と内部枠部材の接続点の延長線上には連結部材を配置しないようにすることで、ミラー部から弾性支持部材への熱抵抗を大きくでき、光照射によるミラー部の温度上昇による共振周波数の変動の低減が可能になる。
したがって、本発明の光偏向器を用いることで、特性の良い光走査装置を提供でき、該光走査装置を光書込みユニットに用いることで、性能の良い画像形成装置を提供することができる。さらに、本発明の光偏向器を用いて、消費電力が小さく、広画角投影が可能な画像投影装置を提供することができる。
なお、本発明の光偏向器のさらなる作用効果は、後述の実施の形態の説明で明らかになる。
本発明の実施例1の光偏向器の斜視図である。 図1の光偏向器の平面図である。 図1の光偏向器の駆動梁の構成を説明する図である。 図1の光偏向器のミラー部の回転振幅の周波数応答特性を示す図である。 図1の光偏向器のミラー部の2種類の固有振動モード形状を示す図である。 内部枠部材と連結部材によるミラー支持形状の具体例を示す図である。 4点支持における動的変形量の計算例を示す図である。 4点支持、6点支持、8点支持における動的変形量を比較した図である。 温度による共振周波数の変化を示す図である。 従来例における熱伝達経路を説明する図である。 本発明の実施例1における熱伝達経路を説明する図である。 本発明の実施例2の光偏向器の斜視図である。 図12の光偏向器の平面図である。 図12の光偏向器のミラー部の回転振幅の周波数応答特性を示す図である。 図12の光偏向器のミラー部の2種類の固有振動モード形状を示す図である。 図12の光偏向器の駆動梁の撓み変形とミラー部の回転の関係を説明する図である。 本発明の実施例3の光偏向器の斜視図である。 図17の光偏向器の平面図である。 本発明の実施例4の光偏向器の斜視図である。 本発明の実施例5の光偏向器の斜視図である。 本発明の光偏向器を用いた光走査装置の一例の全体構成図である。 図21の光装置の光偏向器と駆動手段の接続を示す図である。 図21の光走査装置を光書込みユニットとして実装した画像形成装置の一例の全体構成図である。 本発明の光偏向器を用いた画像形成装置の一例の全体斜視図である。 図24の画像投影装置を駆動系も含めて示した概略構成図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本発明の光偏向器の実施例1の全体斜視図、図2に平面図を示す。図1,図2において、10は光を反射させる反射面を有するミラー部であり、このミラー部10の両端には、内部枠部材20を介して、ミラー部10を揺動可能に支持する一対の弾性支持部材としてのトーションバースプリング30a,30bが接続されている。内部枠部材20はミラー部10を囲むように設けられて、複数の連結部材22によってミラー部10と接続され、この内部枠部材20の両側に一対のトーションバースプリング30a,30bが接続される。
内部枠部材20とミラー部10を接続する複数の連結部材22は、ミラー部10の中心に対して放射状に配置される。但し、本実施例では、一対のトーションバースプリング30a,30bと内部枠部材20の接続点の延長線上には、連結部材22が配置されないようにする。これにより、後述するように、ミラー部10の動的変形が軽減されると同時に、ミラー部の温度上昇による共振周波数の変動を低減することが可能になる。なお、共振周波数の変動を考慮する必要がない場合には、接続点の延長線上に連結部材を配置してもよい。
トーションバースプリング30a,30bの内部枠部材20と反対側の端部には、それぞれトーションバースプリング300a,30bの長手方向と略直交する向きを長手方向とする梁状部材41a,41bが接続されている。そして、この梁状部材41a,41bの他端は固定ベース50に接続されている。
一対の梁状部材41a,41bは、固定部材50から同一方向に突出し、トーションバースプリング30a,30bの片側にのみ配置されており、この梁状部材41a,41bでミラー部10と内部枠部材20とトーションバースプリング30a,30bとを固定ベース50に対して片持ち支持した構成となっている。この梁状部材41a,41bの片面に、それぞれ圧電材料42a,42bが積層され、梁状部材41aあるいは41bと圧電材料42aあるいは42bとで、平板短柵状のユニモルフ構造の駆動梁40a,40bを形成している。
例えば、MEMS(micro electro mechanical systems)プロセスによって加工することで、ミラー部10、内部枠部材20、連結部材22、トーションバースプリング30a,30b、駆動梁40a,40bを一体で形成する。ミラー部10は、シリコン基板の表面にアルミニウムや金などの金属の薄膜を形成することによって反射面を形成する。
ここで、図3により駆動梁の詳細な構成を説明する。図3は、駆動梁40aとその近傍の固定ベース50を拡大して示した模式図で、(a)は絶縁層で覆う前の平面図、(b)は絶縁層で覆った後の平面図、(c)は(b)のA−A’線部分の断面図である。なお、駆動梁40bも同様の構成であるので、図示は省略する。
図3に示すように、駆動梁40aは、固定ベース50から突出して形成された梁状部材41aの上に、接着層43a、下部電極45a、圧電材料(圧電部材)42a、上部電極44a、絶縁層46aの順でスパッタにより成膜し積層して構成され、ランド部47a,48aなどの必要な部分だけが残るようにエッチング加工されている。接着層43aの材料はチタン(Ti)、上部電極44a、下部電極45aは白金(Pt)、圧電材料42aはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などが使用される。
ランド部47a,48aから配線を引き出し、上部電極44aと下部電極45aの間に電圧を印加すると、圧電材料42aは、その電歪特性により、梁状部材41a表面の面内方向に伸縮することで、駆動梁40a全体が反って、曲げ変形する。駆動梁40bについても、圧電部材42aと同相の電圧を印加することで、駆動梁40b全体が、駆動梁40aと同一方向に曲げ変形する。駆動梁40a,40bの圧電部材42a,42bに印加する電圧の波形は、パルス波や正弦波などのいずれでもよい。
図1、図2に戻り、トーションバースプリング30a,30bと駆動梁40a,40bの長手方向が略直交して配置されて接続されていることにより、駆動梁40a,40bの曲げ振動による該駆動梁40a,40bの先端の上下振動がトーションバースプリング30a,30bの捻り中心軸に対して垂直に働くため、駆動梁40a,40bの曲げ振動がトーションバースプリング30a,30bの回転振動(捻り振動)に効率よく変換され、ミラー部10が内部枠部材20と一体的に大きく回転振動する。また、駆動梁40a,40bはトーションバースプリング30a,30bと内部枠部材20とミラー部10を片持ちした構成となっているため、駆動梁40a,40bの先端は自由に振動することができ、ミラー部10はより大きな角度振動を得ることができる。さらに、梁状部材41a,41bは、トーションバースプリング30a,30bの片側にのみ配置されているため、小型化が可能である。内部枠部材20と連結部材22の働きについては後述する。
図4に、本実施例の光偏向器における駆動梁40a,40bの圧電部材42a,42bへの印加電圧に対するミラー部10の回転角度の振幅の周波数応答特性を示す。図4において、イとロはそれぞれ共振点であるが、イとロとでは、ミラー部10はそれぞれ異なる固有振動モード形状を示す。ここで、イの共振点での固有振動モード形状をモード1、ロの共振点での固有振動モード形状をモード2と称す。
図5は、図4の周波数応答特性中の共振点イ、ロにおけるミラー部10の固有振動モード形状(モード1、モード2)を示したものである。図5(a)に示すように、モード1では、トーションバースプリング30a,30bの曲げ変形が発生し、ミラー部10全体が図中Z方向に変動する。一方、モード2では、図5(b)に示すように、トーションバースプリング30a,30bの曲げ変形がほとんどなく、トーションバースプリング30a,30bが大きく捩じれて、ミラー部10はミラー中心近傍で大きく回転する。光偏向器では、ミラー部全体のZ方向の変動を阻止し、ミラー部10の中心近傍で回転させる必要があるため、モード2の固有振動モードでの周波数を使用すればよいことが分かる。
モード2の固有周波数で、駆動梁40a,40bの圧電部材42a,42bへ印加電圧を与えることによって、ミラー部10は大きな角度振幅を得ることができ、かつ、ミラー部10全体のZ方向の変動を阻止することができる。具体的には、内部枠部材を含むミラー部形状(質量)と共振周波数から、トーションバースプリング30a,30bの形状を決定し、駆動梁40a,40bの一次の曲げ変形のモードの固有周波数が、トーションバースプリング30a,30bの一次の捻り変形のモードの固有周波数に略一致するように設定する。こうすることで、ミラー部10は大きな角度振幅で振動し、かつ、Z方向の変動の発生が阻止される。
なお、先に述べたように、駆動梁40a,40bの圧電部材42a,42bへの印加電圧の波形は、パルス波形でも、正弦波などの波状のいずれでもよく、その周波数がモード1の固有周波数近傍であればよい。
次に、内部枠部材20と連結部材22の作用・効果について詳述する。
初めに、ミラー部10の動的変形の軽減について具体的に説明する。ミラー部10は、共振周波数で大きく振動させると動的変形が発生するが、図1に示すように、ミラー部10を囲む内部枠部材20を設け、ミラー部10を内部枠部材20にミラー部10の中心に対して放射状に配置した複数の連結部材22で接続し支持することにより、該ミラー部10の動的変形を軽減することができる。
図6は、内部枠部材20と連結部材22によるミラー部10の支持形状の具体例を示した図で、(1)は4点支持、(2)は6点支持、(3)は8点支持の具体例を示したものである。また、図7では、図6(1)の4点支持とした場合の動的変形量の具体的計算例、図8は同様に6点支持、8点支持の動的変形量を計算して、4点支持の場合と比較した図である。なお、各支持形状におけるトーションバースプリング幅と共振周波数を表1に示す。
図8より、図6(2)の6点支持構造における動的変形量が最も小さいことがわかる。図1の構成は、この図6(2)の6点支持形状に基づいている。勿論、ミラー部10の動的変形が軽減できれば、必ずしも6点支持とする必要はなく、4点支持や8点支持、その他の支持形状とすることでもよい。
次に、ミラー部10の温度上昇による共振周波数の変動の低減について詳述する。レーザ光などの光源から出射した光はミラー部10の反射面に入射し、偏向される。この時、入射した光の約80〜90%は偏向されるが、残りの約10〜20%は熱に変換される。この熱によってミラー部10の温度が上昇し、これがトーションバースプリング30a,30bに伝達され、トーションバースプリング30a,30bの温度上昇により、共振周波数が低下する。これは、偏向ミラー系の共振周波数は、概略ミラーの慣性モーメントとトーションバースプリングのバネ定数によって決まるが、温度上昇によってトーションバースプリングのバネ定数が小さくなるためと考えられる。図9に温度変化による共振周波数変化の実測結果の一例を示す。図9から、共振周波数は、1℃につき略0.046〜0.067(Hz)低下することがわかる。
図1に示すように、ミラー部10と内部枠部材20を接続する複数個の連結部材22について、一対のトーションバースプリング30a,30bと内部枠部材20の接続点の延長線上には、該連結部材22を設けないようにすることで、ミラー部10の動的変形を軽減すると同時に、該ミラー部10の温度上昇による共振周波数の変動(低下)を低減することが可能になる。これは、例えば特許文献4に示されている図6の構成と比較すれば明らかである。
便宜上、レーザ光照射による集中熱源Qが、ミラー部中心に作用する等価回路モデルを考える。ミラー部中心から、内部枠部材とトーションバースプリングとの接続点に至る距離(熱伝達経路距離)Li、熱伝導率K、断面積Aとすると、熱抵抗Rは、
R=Li/A・K (1)
で与えられる。
また、ミラー中心から内部枠部材とトーションバースプリングとの接続点に至る距離Liでの温度低下ΔTは、断面積Aが等しいとすると、
ΔT=R・Q=Q・Li/A・K (2)
で与えられる。
いま、特許文献4の図6の構成の場合、図10に示すように、ミラー中心P1から内部枠部材20とトーションバースプリング30bとの接続点P2に至る距離は、トーションバースプリング30bと一直線上の連結部材22を経由するL1となる。したがって、温度低下ΔT1は、
ΔT1=Q・L1/A・K (3)
で与えられる。
一方、本実施例の図1の構成の場合、図11に示すように、ミラー中心P1から内部枠部材20とトーションバースプリング30bとの接続点P2に至る距離は、トーションバースプリング30bの延長線上にない連結部材22を迂回するためL2となる。図1の場合、接続点P2の両側に概略対称に二つの連結部材22が配置されており、ミラー中心P1から接続点P2に至る距離L2は二組存在し、熱抵抗は1/2になる。したがって、温度低下ΔT2は、
ΔT2=Q・(L2/2)/A・K (4)
で与えられる。
ここで、L2/2>L1とすると、ΔT1<ΔT2となる。すなわち、図1の構成とすることで、熱伝達経路は長くなり、その結果、トーションバースプリングの温度上昇が抑えられ(温度低下ΔTが大きくなる)、共振周波数の変動が低減できる。勿論、トーションバースプリング30a,30bと内部枠部材20の接続点P2の延長線上に連結部材が配置されないようにして、熱伝達経路を長くできれば、必ずしも図1の構成とする必要はない。
図12に本発明の光偏向器の実施例2の全体斜視図、図13に平面図を示す。図12、図13において、図1及び図2と同一部分には同一の符号が付与されている。
図1、図2の実施例1では、ミラー部10の中心(重心)は、トーションバースプリング30a,30bの中心軸に対して一致するようにしたが、本実施例では、図13に示すように、ミラー部10の中心(重心)が、トーションバースプリング30a,30bに対して、駆動軸40a,40bと固定ベース50との接続部に近接する方向に距離ΔSだけオフセットされている。こうすることで、先の実施例1の場合と比較して、駆動梁40a,40bのたわみ変形を利用してミラー部10を内部枠部材20と一体に、さらに大きく回転振動させることができる。その他の構成、作用、効果は実施例1と同様である。
図14に、本実施例のミラー部10の重心をオフセットさせた構成の場合における、駆動梁40a,40bの圧電部材42a,42bへの印加電圧に対するミラー部10の回転角度振幅の周波数応答特性を示す。また、図15に、図14の周波数応答特性中の共振点イ、ロにおけるミラー部10の固有振動モード形状(モード1,モード2)を示す。
本実施例においても、モード2の固有周波数で、駆動梁40a,40bの圧電部材42a,42bへ印加電圧を与えることによって、ミラー部10は大きな角度振幅を得ることができ、かつ、ミラー部10全体のZ方向の変動を阻止することができる。しかも、先の実施例1の場合と比較して、ミラー部10は、より大きな角度振幅を得ることができる。
図16は、本実施例のモード2の場合の駆動梁の撓み変形とミラー部の回転の関係を示したものである。なお、内部枠部材20は省略してある。トーションバースプリング30a,30bが捩じれるモード2において、トーションバースプリング30a,30bの接続部aとミラー部10の回転中心bとの距離ΔS、ミラー部10の回転角度をθとしたとき、駆動梁40a,40bのミラー反射面と垂直方向(Z方向)の撓み変形分cがΔS・sinθとなるように設定することで、ミラー部10が回転する際に、ミラー部10の回転中心bがZ方向に変動しない構成とすることができる。また、ミラー部10の回転中心がミラー部10の重心Oに近くなるため、慣性モーメントが小さくなり、固有周波数を高くすることが可能となる。すなわち、より高速駆動が可能になる。
なお、ミラー部10の重心とは、トーションバースプリング30a,30bで支持されている内部枠部材20を含む回転部全体の重心であり、ミラー裏面のリブ構造なども含めて重心をオフセットしてもよい。
図17に本発明の光偏向器の実施例3の全体斜視図、図18に平面図を示す。図17、図18において、図1、図2と同一部分には同一の符号が付されている。全体の構成は実施例1と基本的に同じであるが、本実施例では、図18に示すように、駆動梁40a,40bとトーションバースプリング30a,30bの接続部分に切り込み60a,60bが形成されている。詳しくは、駆動梁40a,40bのミラー部10側の端部が、トーションバースプリング30a,30bのミラー部10と反対側の端部よりもミラー部10側に近接するように、駆動梁40a,40bとトーションバースプリング30a,30bの接続部分に切り込み60a,60bが形成されている。
トーションバースプリング30a,20bはバネの特性として非線形性が大きいが、長さが短くなるほど非線形が大きくなり設計が難しくなる。また、トーションバースプリング30a,30bが長いほど、許容変位角度が大きくなる。
本実施例は、トーションバースプリング30a,30bの長さを所望範囲に維持しつつ、スペースが空いた部分に駆動梁40a,40bが配置されることにより、すなわち、駆動梁30a,30bが内側にオフセットされることにより、光偏向器全体を更に小型化できる。これにより、光偏向器をMEMSプロセスで製作する場合、一枚のウエハにおけるとり数が増加するため、低コスト化も可能である。
なお、図17、図18の構成において、駆動梁40a,40bの幅が広くなると、駆動梁40a,40bが捩じれる形となり、トーションバースプリング30a,30bとの接続部から離れた部分の力が伝わらなくなってしまうことが考えられる。これを防ぐためには、駆動梁40a,40bの先端部を一部分だけ厚くすればよく、これにより全ての力を有効に使うことが可能になる。具体的には、例えば駆動梁40a,40bの梁状部材41a,41bの先端部をL字状などにすることが考えられるが、要は駆動梁40a,40bの捩じれが防止できればよく、その形状はなんでもよい。
ここで、本実施例においても、先の実施例2と同様に、ミラー部10の中心(重心)は、トーションバースプリング30a,30bの中心線に対して、駆動梁40a,40bと固定ベース50との接続部に近接する方向にオフセットすることでもよく、こうすることによって、ミラー部10の回転振幅をさらに増大させることができる。
図19に、本発明の光偏向器の実施例4の全体斜視図を示す。これまで説明した光偏向器は、いずれも1軸方向に光を偏向するものであったが、本実施例は2軸方向に光を偏向する構成としたものである。なお、図19では、図17、図18を適用した場合を示したが図1、図2を適用した場合も同様である。
図19において、10は光を反射させる反射面を有するミラー部であり、このミラー部10の両端には、内部枠部材120を介して、該ミラー部10を揺動可能に支持する一対の第1の弾性支持部材としての第1のトーションバースプリング130a,130bが接続されている。内部枠部材120は、複数の連結部材122によってミラー部10に接続され、この内部枠部材120の両側に一対の第1のトーションバースプリング130a,130bが接続されている。
内部枠部材120とミラー部10を接続する複数の連結部材122は、ミラー部10の中心に対して放射状に配置される。ただし、一対の第一のトーションバースプリング130a,130bと内部枠部材120の接続点の延長線上には、連結部材122は配置されない。これは、図1、図2などと同様である。
一対の第1のトーションバースプリング130a,130bの内部枠部材120と反対側の端部は、該第1のトーションバースプリング130a,130bの長手方向と略直交する向きを長手方向として一対の第1の駆動梁140a,140bが接続されている。第1の駆動梁140a,140bは、図3で説明したように、梁状部材の片面に圧電材料が積層され、平板短冊状のユニモルフ構造を形成している。この第1の駆動梁140a,140bは、中央に穴が開いている枠状の可動枠150の内側の一辺から同一方向に突出するように接続され、第1のトーションバースプリング130a,130bの片側にのみ配置され、該駆動梁140a,140bでミラー部10と内部枠部材120と第1のトーションバースプリング130a,130bを可動枠150に対して片持ち支持した構成となっている。
さらに、可動枠150の両側には、第1のトーションバースプリング130a,130bと直交して、該可動枠150を揺動可能に支持する一対の第2の弾性支持部材としての第2のトーションバースプリング220a,220bが接続されている。第2のトーションバースプリング220a,220bの可動枠150と反対側の端部は、第2のトーションバースプリング220a,220bの長手方向と略直交する向きを長手方向として一対の第2の駆動梁230a,230bが接続されている。第2の駆動梁230a,230bも梁状部材の片面に圧電材料が積層され、平板短冊状のユニモルフ構造を形成している。この第2の駆動梁230a,230bは、固定ベース240から同一方向に突出するように接続され、第2のトーションバースプリング220a,220bの片側にのみ配置されており、該第2の駆動梁230a,230bで、可動枠150と第2のトーションバースプリング220a,220bを固定ベース240に対して片持ち支持した構成となっている。
本実施例では、第1の駆動梁140a,140bで第1のトーションバースプリング130a,130bに振動を与えることで、内部枠部材120と一体にミラー部10を第1のトーションバースプリング130a,130bの軸周りに回転させ、第2の駆動梁230a,230bで第2のトーションバースプリング220a,220bに振動を与えることで、可動枠150を第2のトーションバースプリング220a,220bの軸周りに回転させ回転させる。ここで、第1のトーションバースプリング130a,130bの軸周りの第1の回転方向と第2のトーションバースプリング220a,220bの軸周りの第2の回転方向の振動モードの固有周波数を異ならせておき、それぞれの周波数で第1の駆動梁130a,130bと第2の駆動梁220a,220bを駆動することで、内部枠部材120と一体にミラー部10を2軸方向に大きく回転させることができる。
図20に、本発明の光偏向器の実施例5の全体斜視図を示す。本実施例の光偏向器も2軸方向に光を偏向するものであるが、実施例4とは構成及び駆動の仕方が異なる。
図20において、10は光を反射させる反射面を有するミラー部であり、このミラー部10の両側には、内部枠部材120を介して、該ミラー部10を揺動可能に支持する一対の第1の弾性支持部材としての第1のトーションバースプリング130a,130bが接続されている。内部枠部材120は、複数の連結部材122によってミラー部10に接続され、この内部枠部材120の両側に一対の第1のトーションバースプリング130a,130bが接続される。連結部材122の構成は図19と同様である。
一対の第1のトーションバースプリング130a,130bの内部枠部材120と反対側の端部は、中央に穴が開いている枠状の可動枠150の相対する2辺の内側に接続されている。可動枠150の他の相対する2辺の外側には、第1のトーションバースプリング130a,130bに対して直交する向きを長手方向とする一対の第2のトーションバースプリング(第2の弾性支持部材)220a,220bが接続されている。この第2のトーションバースプリング220a,220bの可動枠150と反対側の端部は、該第2のトーションバースプリング220a,220bの長手方向と略直交する向きを長手方向とする駆動梁230a,230bが接続されている。駆動梁230a,230bは、固定ベース240から同一方向に突出するように接続され、第2のトーションバースプリング220a,220bの片側にのみ配置されており、該駆動梁220a,220bで、可動枠150と第2のトーションバースプリング202を固定ベース240に対して片持ち支持した構成となっている。駆動梁230a,230bは梁状部材の片面に圧電材料が積層され、平板短冊状のユニモルフ構造を形成している。
本実施例では、駆動梁230a,230bで第2のトーションバースプリング220a,220bに同相の振動を与えることで、可動枠150を第2のトーションバースプリング220a,220bの軸周りに回転させる。さらに、駆動梁230a,230bで、該第2のトーションバースプリング220a,220bの両側それぞれを逆位相で振動させることで、第1のトーションバースプリング130a,130bの軸を中心とする回転動作をするようにしている。これによって、ミラー部10は、第1のトーションバースプリング130a,130bの軸周りの第1の回転方向と第2のトーションバースプリング220a,220bの軸周りの第2の回転方向に回転する。
具体的に、第1の回転方向と第2の回転方向の振動モードの固有周波数を異ならせておき、それぞれの周波数成分を含んだ信号で駆動梁220a,220bを同相および逆相で駆動することで、ミラー部10を2軸方向に大きく回転させることができる。本実施例では、図19の実施例4の第1の駆動梁140a,140bが不要であり、製作が簡単で低コスト化が可能である。
本実施例は、実施例1乃至3の1軸方向に光を偏向する光偏向器を用いて画像形成装置の光書き込みユニットとしての光走査装置を提供するものである。
図21に本実施例の光走査装置の全体構成図、図22に該光走査装置に用いる光偏向器と駆動手段の接続図を示す。
図21において、レーザ素子1020からのレーザ光は、コリメータレンズ系1021を経た後、光偏向器1022により偏向される。この光偏向器1022として、実施例1〜5のいずれかの構成の光偏向器が用いられる。光偏向器1022で偏向されたレーザ光は、その後、第一レンズ1023aと第二レンズ1023b、反射ミラー1023cからなる走査光学系1023を経て感光ドラム等のビーム走査面1022に照射される。
図22に示すように、光偏向器1022は駆動手段1024と電気的に連結されている。この駆動手段1024が、光偏向器1022の下部電極と上部電極間に駆動電圧を印加する。これにより、光偏向器1022のミラー部が回転してレーザ光が偏向され、ビーム走査面1022上が光走査される。
このように、本発明の光偏向器を利用した光走査装置は写真印刷方式のプリンタや複写機などの画像形成装置のための光書込ユニットの構成部材として最適である。
本実施例は、実施例6の光走査装置を光書込みユニットの構成部材として実装した画像形成装置を提供するものである。
図23に本実施例の画像形成装置の一例の全体構成図を示す。図23において、1001が光書込みユニットであり、レーザビームを被走査面に出射して画像を書き込む。1002は光書込みユニット1001による走査対象としての被走査面を提供する像担持体としての感光体ドラムである。
光書込みユニット1001は、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザビームで感光体ドラム1002の表面(被走査面)を同ドラムの軸方向に走査する。感光体ドラム1002は矢印1003方向に回転駆動され、帯電手段1004により帯電された表面に、光書込みユニット1001により光走査されることによって、静電潜像が形成される。この静電潜像は現像手段1005でトナー像に顕像化され、このトナー像は転写手段1006で記録紙1007に転写される。転写されたトナー像は定着手段1008によって記録紙1007に定着される。感光体ドラム1002の転写手段1006対向部を通過した感光体ドラムの表面部分はクリーニング部1009で残留トナーを除去される。
なお、感光体ドラム1002に代えてベルト状の感光体を用いる構成も可能である。また、トナー像を記録紙以外の転写媒体に一旦転写し、この転写媒体からトナー像を記録紙に転写して定着させる構成とすることも可能である。
光書込みユニット1001は記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザビームを発するレーザ素子としての光源部1020と、レーザビームを変調する光源駆動手段1500と、これまで説明した本発明の1軸方向にレーザビームを偏向する光偏向器1002と、この光偏向器1022のミラー基板のミラー面に光源部1020からの、記録信号によって変調されたレーザビーム(光ビーム)を結像させるための結像光学系1021と、ミラー面で反射・偏向された1本又は複数本のレーザビームを感光体ドラム1002の表面(被走査面)に結像させるための手段である走査光学系1023などから構成される。光偏向器1022は、その駆動のための集積回路(駆動手段)1024とともに回路基板1025に実装された形で光書込みユニット1001に組み込まれている。
光偏向器1022は、従来の回転多面鏡に比べ駆動のための消費電力が小さいため、画像形成装置の省電力化に有利である。また、光偏向器1022のミラー基板の振動時の風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、画像形成装置の静粛性の改善に有利である。さらに、光偏向器1022は、回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また、発熱量もわずかであるため、小型化が容易であり、したがって画像形成装置の小型化に有利である。
なお、記録紙1007の搬送機構、感光体ドラム1002の駆動機構、現像手段1005、転写手段1006などの制御手段、光源部1020の駆動系などは、従来の画像形成装置と同様でよいため図23では省略されている。
本実施例は、実施例4、5のような2軸方向に光を偏向する光偏向器を実装した画像投影装置を提供するものである。
図24に本実施例の画像投影装置の全体構成図を示す。図24において、筐体2000に赤(R)、緑(G)、青(B)の異なる3波長のレーザ光を出射するレーザ光源2001−R,2001−G,2001−Bが取り付けられ、これらレーザ光源2001−R,2001−G,2001−Bの出射端近傍には、該レーザ光源2001−R,2001−G,2001−Bからの出射光を略平行光に集光する集光レンズ2002−R,2002−,002−Bが配置されている。集光レンズ2002−R,2002−,002−Bで略平行になったR,G,Bのレーザ光は、ミラー2003やハーフミラー2004を経て、合成プリズム2005によって合成され、光偏向器2006のミラー面に入射される。光偏向器2006には、実施例7や8のような2軸方向に光を偏向する構成の光偏向器(二次元反射角度可変ミラー)が使用される。光偏向器2006のミラー面に入射した合成レーザ光は、光偏向器2006によって二次元偏向走査されて投影面に投射され、画像を投影する。
図25は、本実施例の画像投影装置の制御系も含めた概略構成図である。なお、図25では、3波長のレーザ光源や集光レンズは一つにまとめて示し、また、ミラー、ハーフミラー、合成プリズムは省略してある。
画像情報に応じて画像生成部2011で画像信号を生成し、この画像信号が変調器2012を介して光源駆動回路2013に送られると共に、スキャナ駆動回路2014に画像同期信号が送られる。スキャナ駆動回路2014は、画像同期信号に応じて駆動信号を光偏向器2006に与える。この駆動信号によって、光偏向器2006のミラー部10は、直交した2つの方向に所定角度(例えば10deg程度)の振幅で共振振動し、入射したレーザ光が二次元偏向走査される。一方、レーザ光源2001から出射されるレーザ光は、光源駆動回路2013により、光偏向器2006の二次元偏向走査のタイミングに合わせて強度変調されており、これによって、投影面2007に二次元の画像情報が投影される。強度変調はパルス幅を変調してもよいし、振幅を変調してもよい。変調器2012は画像信号をパルス幅変調あるいは振幅変調し、この変調された信号を光源駆動回路2013によりレーザ光源2001を駆動できる電流に変調してレーザ光源2001を駆動する。
ここで、光偏向手段には、ポリゴンミラーなどの回転走査ミラーを使用することもできるが、本発明の実施例7、8の構成の光偏向器(二次元反射角度可変ミラー)2006は、回転走査ミラーに比べ駆動のための消費電力が小さいため、画像投影装置の省電力に有利である。また、光偏向器2006のミラー基板の振動時の風切り音は回転走査ミラーに比べて小さいため、画像投影装置の静粛性の改善に有利である。さらに光偏向器2006は、回転走査ミラーに比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また、発熱量もわずかであるため、小型化が容易であり、したがって、画像投影装置の小型化に有利である。
10 ミラー部
20 内部枠部材
22 連結部材
30a,30b トーションバースプリング(弾性支持部材)
40a,40b 駆動梁
41a,41b 梁状部材
42a,42b 圧電部材
50 固定ベース
60a,60b 切れ込み部
120 内部枠部材
122 連結部材
130a,130b 第1のトーションバースプリング
140a,140b 第1の駆動梁
150 可動枠
220a,220b 第2のトーションバースプリング
230a,230b 第2の駆動梁(駆動梁)
240 固定ベース
特許第3129219号公報 特許第3246106号公報 特開2008−083603号公報 特開2007−065649号公報

Claims (11)

  1. 固定ベースと、光反射面を有するミラー部と、前記ミラー部を囲う内部枠部材と、前記内部枠部材と前記ミラー部を接続する複数の連結部材と、前記ミラー部を前記内部枠部材を介して揺動可能に支持する一対の弾性支持部材と、梁状部材に圧電部材が固着された一対の駆動梁とを有し、
    前記弾性支持部材の長手方向と前記駆動梁の長手方向とが略直交して配置されて、両者が接続され、前記駆動梁の他端は固定ベースに固定されて、一対の前記駆動梁で、前記ミラー部と前記内部枠部材と一対の前記弾性支持部材とが前記固定ベースに対して片持ち支持され、
    前記駆動梁が曲げ振動することで、前記弾性支持部材に捻り変形が発生して、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に回転振動することを特徴とする光偏向器。
  2. 可動枠と、光反射面を有するミラー部と、前記ミラー部を囲う内部枠部材と、前記内部枠部材と前記ミラー部を接続する複数の連結部材と、前記ミラー部を前記内部枠部材を介して揺動可能に支持する一対の第1の弾性支持部材と、梁状部材に圧電部材が固着された一対の第1の駆動梁と、前記可動枠を揺動可能に支持する一対の第2の弾性支持部材と、梁状部材に圧電部材が固着された一対の第2の駆動梁と、固定ベースとを有し、
    前記第1の弾性支持部材の長手方向と前記第1の駆動梁の長手方向とが略直交して配置されて、両者が接続され、前記第1の駆動梁の他端は前記可動枠に固定されて、一対の前記第1の駆動梁で、前記ミラー部と前記内部枠部材と前記一対の第1の弾性支持部材とが前記可動枠に対して片持ち支持され、
    前記第2の弾性支持部材の長手方向と前記第2の駆動梁の長手方向とが略直交して配置されて、両者が接続され、前記第2の駆動梁の他端は固定ベースに固定されて、一対の前記第2の駆動梁で、前記可動枠と一対の前記第2の弾性支持部材とが前記固定ベースに対して片持ち支持され、
    前記第1の駆動梁が曲げ振動することで、前記第1の弾性支持部材に捻り変形が発生して、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に第1の方向に回転振動し、
    前記第2の駆動梁が曲げ振動することで、前記第2の弾性支持部材に捻り変形が発生して、前記可動枠が回転振動し、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に第2の方向に回転振動することを特徴とする光偏向器。
  3. 可動枠と、光反射面を有するミラー部と、前記ミラー部を囲う内部枠部材と、前記内部枠部材と前記ミラー部を接続する複数の連結部材と、前記ミラー部を前記内部枠部材を介して揺動可能に支持する一対の第1の弾性支持部材と、前記可動枠を揺動可能に支持する一対の第2の弾性支持部材と、梁状部材に圧電部材が固着された一対の駆動梁と、固定ベースとを有し、
    一対の前記第1の弾性支持部材は、その一端が前記ミラー部に接続され、他端が前記可動枠に固定されて、前記ミラー部が前記内部枠部材を介して揺動可能に支持され、
    前記第2の弾性支持部材の長手方向と前記駆動梁の長手方向とが略直交して配置されて、両者が接続され、前記駆動梁の他端は固定ベースに固定されて、一対の前記駆動梁で、前記可動枠と一対の前記第2の弾性支持部材とが前記固定ベースに対して片持ち支持され、
    一対の前記駆動梁が逆位相で曲げ振動することで、一対の前記第1の弾性支持部材の軸周りに回転振動が発生して、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に第1の方向に回転振動し、
    一対の前記振動梁が同位相で曲げ振動することで、前記第2の弾性支持部材に捻り変形が発生して、前記可動枠が回転振動し、前記ミラー部が前記内部枠部材と一体に第2の方向に回転振動することを特徴とする光偏向器。
  4. 前記内部枠部材と前記ミラー部を接続する複数の連結部材は、前記ミラー部の中心に対して放射状に配置され、且つ、一対の前記弾性支持部材と前記内部枠部材の接続点の延長線上には前記連結部材が配置されないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光偏向器。
  5. 前記内部枠部材と前記ミラー部は6個以上の連結部材で接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光偏向器。
  6. 前記ミラー部の重心が、前記弾性支持部材の中心軸に対して、前記駆動梁と前記固定ベースとの接続部側に近接する方向にオフセットされていることを特徴とする請求項1、4、5のいずれか1項に記載の光偏向器。
  7. 前記弾性支持部材と前記駆動梁の接続部分に、前記光反射面と垂直な方向の厚さが部分的に薄くなるように窪みが形成されていることを特徴とする請求項1、4、5、6のいずれか1項に記載の光偏向器。
  8. 前記第1の駆動梁のミラー部側の端面が、前記第1の弾性支持部材のミラー部と反対側の端部よりもミラー部側に近接するように、前記第1の駆動梁と前記第1の弾性支持部材の接続部分に切り込みが形成されていることを特徴とする請求項2記載の光偏向器。
  9. 光源と、光源からの光ビームを偏向させる請求項1、4〜7のいずれか1項記載の光偏向器と、偏向された光ビームを被走査面にスポット状に結像する結像光学系とを備えることを特徴とする光走査装置。
  10. 請求項9記載の光走査装置と、光ビームの走査により潜像を形成する感光体と、潜像をトナーで顕像化する現像手段と、トナー像を記録紙に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  11. 光源と、
    前記光源からの光ビームを画像信号に応じて変調する変調器と、
    前記光ビームを略平行光とするコリメート光学系と、
    前記略平行光とされた光ビームを偏向して投影面に投射する請求項1乃至8のいずれか1項記載の光偏向器とを有することを特徴とする画像投影装置。
JP2010183137A 2010-08-18 2010-08-18 光偏向器、光走査装置、画像形成装置及び画像投影装置 Active JP5614167B2 (ja)

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