JP6442844B2 - 光偏向器、光走査装置、画像形成装置及び画像投影装置 - Google Patents
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Description
静電力を用いた偏向ミラーは、平行平板型と櫛歯型の電極があり、櫛歯型の電極では近年の微細加工技術の向上によって比較的大きな力を発生できるようにはなった。
しかしながら、十分な光の偏向角が得られないため、駆動電圧を大きくして補うしかない。
駆動電圧を大きくするためには電源系の部品を大きくする必要があるが、全体として大型化したり、コスト増加につながってしまう。
磁歪膜などを用いたものも検討されているが、磁性体としての特性が劣るため、十分な特性を得ることができていない。
また、コイルに電流を流すと余分な熱が発生しやすく、消費電力が大きくなってしまう。
この種の圧電デバイスは発生力は大きいものの、変形量は微小であるため、これを拡大するために、圧電材料を他の梁状弾性部材に張り合わせてユニモルフ構造、あるいはバイモルフ構造としている。
このようにして、圧電力による面内方向の僅かな歪みを反りに変えることで大きな変形が得られるようにしている。
駆動梁に固定された圧電体に電圧を印加することにより、圧電体が伸縮して駆動梁の曲げ変形が生じ、これによって弾性支持部材に捻り変形が生じてミラー部が回転振動するものである。
一対の駆動梁は、ベース台に個別に固定されている。
図1乃至図5に基づいて第1の実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る光偏向器2は、1方向に光を偏向する偏向ミラーである。
光偏向器2は、光反射面4を有するミラー部6と、一端がミラー部6に固定され、ミラー部6を回転振動可能に支持する一対の弾性支持部材としてのトーションバースプリング8、10と、一端がトーションバースプリングの他端側に固定された一対の駆動梁12、14と、駆動梁12、14の他端側が固定された固定ベース16とを備えている。
ミラー部6の光反射面4と反対側には、円柱状の補強リブ18が形成されている。
駆動梁12、14は固定ベース16に該固定ベース16から同一方向に突出するように固定され、トーションバースプリング8、10の片側にのみ配置されている。
すなわち、ミラー部6と一対のトーションバースプリング8、10とが、一対の駆動梁12、14を介して固定ベース16に対して片持ち支持された構成となっている。
すなわち、駆動梁12、14の反射面34側の表面には、圧電体(圧電部材)20が膜状ないし層状に固定され、全体として平板短冊状のユニモルフ構造の駆動梁を形成している。
本実施形態では、シリコン材料でMEMS(micro electro mechanical systems)プロセスによって加工することで、ミラー部6、トーションバースプリング8、10、駆動梁12、14を一体で形成している。
ミラー部6はシリコン基板の表面にアルミニウムや金などの金属の薄膜を形成することによって光反射面4を形成している。
一対の駆動梁12、14の固定ベース16側の端部は繋がって一体化されている。すなわち、駆動梁12、14は全体として固定ベース側で繋がった一枚形状(単板形状)を有している。
図4に示すように、駆動梁の表面に下部電極22が設けられ、その上に圧電体20、上部電極24が設けられており、最表面には絶縁層26が設けられている。
梁状部材の上に下部電極、圧電材料、上部電極の順でスパッタにより成膜して積層し、必要な部分だけが残るようにエッチング加工されている。
接着層の材料はチタン(Ti)、上部電極及び下部電極は白金(Pt)、圧電材料はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などが使用できる。
図4において、符号28、30はコンタクトホールを、32、34はアルミ配線(断面表示を省略)を示している。
詳しく説明すると、上部電極24に対する配線は、一対の駆動梁12、14を連結する部分の中央部に配置されており、下部電極22に対する配線は固定ベース16の略中央部に配置されている。
このようにランド部から配線を引き出し、上部電極24と下部電極22の間に電圧を印加すると、圧電体20の電歪特性により体積が変化し、梁状部材表面の面内方向に伸縮することで駆動梁12、14が反って、曲げ変形するようになっている。
配線パターンの圧電部材の電極との接続部を、駆動梁12、14の振動する範囲を避けて配置することで、電圧印加構成の故障を抑制することができる。
本実施形態では圧電体20を成膜プロセスによって製作した例を説明したが、バルクの材料を貼り付ける方法で製作してもよい。
また、駆動梁12、14はトーションバースプリング8、10とミラー部6とを片持ちした構造となっているため、駆動梁12、14の先端は自由に振動することができ、大きな振幅を得ることができる。
このようにすることで駆動梁12、14の振動によってミラー部6の回転振動をより大きくしている。
独立している駆動梁をそれぞれ繋げて一体にすることによって、一対の駆動梁12、14は略一体で振動するようになり、製造精度のばらつきによる駆動梁の形状不均一によって生じるミラー振動挙動の異常を抑制することができる。
また、一対の駆動梁12、14を一体化することで、圧電体20を配置する場所が広くなり、駆動梁においてより大きな振動エネルギーを発生することができる。
すなわち、印加電圧に対するミラー部6の振幅量を増大させることができる(振幅感度の増加)。
一対の駆動梁を独立して設けた場合の両者間に存在する、単なるスペースとなっていた部分に圧電体を配置することでより出力効率の良いデバイスを製作することができる。
光偏向器が搭載されるアプリケーションの仕様により、光偏向器の動作周波数を上げる必要がある場合、弾性支持部材(トーションバースプリング)の剛性を増加させて、ミラー部の回転振動の共振周波数を増加させなければならない。
効率的に動作させるためには回転の共振周波数に対応して駆動梁の曲げ(たわみ)の共振周波数も増加させる必要がある。
本実施形態のように、一対の駆動梁12、14を繋げて一体化することで、ミラー部及びトーションバースプリングを支持する駆動梁全体の剛性を大きくすることができるため、ミラー部の径の大型化及びミラー部の振動周波数の高域化の設計をしやすくすることができる。
さらに、本実施形態では、図1等に示すように、梁状部材のみでなく、その上に配置する圧電部材も繋げた構成になっている。
駆動梁に電圧を印加するための配線がアルミ等でパターニングされているが、両側の駆動梁に個別に接続されていると、両者で僅かに抵抗が異なり、両者の駆動電圧に差が生じて両者のバランスが崩れる。
すなわち、圧電部材を繋げて一体化することで、抵抗を均一化し駆動電圧のばらつきを抑制することができる。これによって一対の弾性支持部材(トーションバースプリング)へ加わる振動のばらつきを抑制しミラー部の振動挙動の異常を抑制することができる。
また一対の独立した駆動梁上の圧電部材にそれぞれ接続されていた配線パターンを一体化することで配線パターンを簡素化し、不良率を低減することができる。
このような場合には、図5に示すように、検出用圧電体38、40を設ける。
駆動梁の撓みによって検出信号が得られるが、ミラー部の振幅に対応するのはトーションバースプリングとの接続部付近であるためこの付近に検出信号を検知するための検出用圧電体38、40を配置することが望ましい。
振動モードの固有周波数で駆動信号を与えることによって、ミラー部は大きな角度の振幅を得ることができる。なお、駆動波形はパルスでも波状でもよく、周波数が前述の固有周波数近傍であればよい。
また、CVD、ゾルゲル法、エアロゾルデポジション法(AD法)等で形成してもよい。
また、本実施形態では駆動梁12、14は梁状部材の片面に圧電材料が配置されたユニモルフ構造で説明しているが、梁状部材の両面に圧電材料を配置したバイモルフ構造としてもよい。
なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
光偏向器2の基本構成は第1の実施形態と同様である。第1の実施形態では、トーションバースプリングと駆動梁とが、駆動梁のミラー部中心側で接続されていたが、本実施形態ではミラー部中心から見て外側で接続されている。
この構成によって、駆動梁12、14の間の間隔を狭めることができ、デバイスのサイズを小さくすることができる。
このような場合には、図6に示すように、検出用圧電体42、44を設ける。
第1の実施形態では、図5に示したように、駆動梁の内側(ミラー部寄り)に検出用圧電体を配置していたが、本実施形態では外側に配置されている。
駆動梁の撓みによって検出信号が得られるが、ミラー部の振幅に対応するのはトーションバースプリングとの接続部付近であるため、この付近に検出信号を検出するための検出用圧電体42、44を配置することが望ましい。
光偏向器2の基本構成は第1、第2の実施形態と同様である。
第1、第2の実施形態では、トーションバースプリングと駆動梁との間の部分で、一対の駆動梁を繋げた部分が矩形形状になっていたが、本実施形態ではミラー部6との間隙が、ミラー部6の周方向で所定間隔となるようにしている。
すなわち、駆動梁12、14間の繋がり部分は、ミラー部6の周面に沿って円弧状に形成されている。
このようにすることで、一対の駆動梁の間のスペースを有効に利用した上で、駆動梁の角部分での応力集中を抑制し振動により破壊しにくくすることができる。
また、電界集中を抑制して圧電部材や電極を破損しにくくすることができる。
光源としてのレーザ素子50からのレーザ光はコリメート光学系52を経た後、光偏向器2により偏向される。
偏向されたビームは、fθレンズ54、トロイダルレンズ56及びミラー58からなる結像光学系で感光ドラム等の被走査面60にスポット状に結像する。
光偏向器2は、上記各実施形態で示した光偏向器である。図示しないミラー駆動手段により下部電極と上部電極間に駆動電圧を印加することにより駆動される。
本実施形態に係る光走査装置は、写真印刷方式のプリンタや複写機などの画像形成装置のための光走査装置として好適である。
上記各実施形態で示した光偏向器を備えた光書き込みユニット(光走査装置)62は、レーザビームを被走査面に出射して画像を書き込む。
符号64は光書き込みユニット62による走査対象としての被走査面を有する像担持体としての感光体ドラムを示す。
光書き込みユニット62は、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザビームで感光体ドラム64の表面(被走査面)を同ドラムの軸方向に走査するものである。
静電潜像は現像手段70でトナー像に可視像化され、トナー像は転写手段72で記録媒体としての記録紙74に転写される。
転写されたトナー像は定着手段76によって記録紙74に定着される。
感光体ドラム64の転写手段72との対向部を通過した感光体ドラムの表面部分はクリーニング部78で残留トナーを除去される。
また、トナー像を記録紙以外の転写媒体に一旦転写し、この転写媒体からトナー像を記録紙に転写して定着させる中間転写方式の構成としてもよい。
光書き込みユニット62は、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザビームを発する光源部80と、光源を変調する光源駆動手段82と、上記各実施形態で説明した光偏向器2と、光偏向器2の光反射面に光源部80からの、記録信号によって変調されたレーザビーム(光ビーム)を結像させるための結像光学系84と、ミラー面で反射された1本又は複数本のレーザビームを感光体ドラム64の表面(被走査面)に結像させるための手段である走査光学系86などから構成される。
光偏向器2は、その駆動のための集積回路88とともに回路基板90に実装された形で光書き込みユニット62に組み込まれている。
光偏向器2のミラー部の振動時の風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、画像形成装置の静音化の改善に有利である。
光走査装置62は回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また、光偏向器2の発熱量も僅かであるため、小型化が容易であり、したがって画像形成装置の小型化に有利である。
なお、記録紙74の搬送機構、感光体ドラム64の駆動機構、現像手段70、転写手段72などの制御手段、光源部80の駆動系などは、従来の画像形成装置と同様であるため図中省略している。
図11は、本実施形態に係る画像投影装置の概念図、図12はその全体斜視図である。
画像投影装置には、異なる3波長のレーザ光を出射するレーザ光源92R、92G、92Bと、それぞれの光源の出射端近傍に配置され、レーザ光源からの発散光を略平行光にする集光レンズ94R、94G、94Bが配置されている。
レーザ光源92Rから赤色のレーザ光LRが、レーザ光源92Gからは緑色のレーザ光LGが、レーザ光源92Bからは青色のレーザ光LBがそれぞれ出射される。
レーザ光LRはミラー93で反射されてハーフミラー95を透過し、レーザ光LGハーフミラー95で反射される。
二次元反射角度可変ミラー98は、上記各実施形態で説明した光偏向器と同様の構成である。
二次元反射角度可変ミラー98は、直交した2つの方向に所定角度(例えば10deg程度)の振幅で共振振動をする。
二次元反射角度可変ミラー98は一個で二次元のものではなく、一次元走査のものを二つ組み合わせてもよい。
また、ポリゴンミラーなどの回転走査ミラーを使用することもできる。
強度変調はパルス幅を変調してもよいし、振幅を変調してもよい。
この変調された信号を駆動回路によりレーザを駆動できる電流に変換してレーザ光源を駆動している。
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
4 光反射面
6 ミラー部
8、10 弾性支持部材としてのトーションバースプリング
12、14 駆動梁
16 固定ベース
20 圧電体
52 コリメート光学系
62 光走査装置
64 像担持体としての感光体ドラム
70 現像手段としての現像装置
Claims (8)
- 光反射面を有するミラー部と、
一端が前記ミラー部に固定され、前記ミラー部を回転振動可能に支持する一対の弾性支持部材と、
梁状部材に圧電体が固定された構成を有し、一端が前記弾性支持部材の他端側に固定された一対の駆動梁と、
前記一対の駆動梁の他端側が固定された固定ベースと、
を備え、
前記ミラー部と前記一対の弾性支持部材とが前記一対の駆動梁を介して前記固定ベースに対して片持ち支持され、
電圧印加による前記圧電体の伸縮に基づく前記駆動梁の曲げ変形で前記弾性支持部材に捻り変形が生じて前記ミラー部が回転振動するものであり、
前記一対の駆動梁は前記固定ベース側で一体に繋がった形状を有し、繋がった部分には前記圧電体が配置されており、
前記ミラー部の中心は、前記一対の弾性支持部材の中心線に対して、前記一対の駆動梁と前記固定ベースとの接続部に近接する方向にオフセットされている光偏向器。 - 請求項1に記載の光偏向器において、
前記圧電体は前記固定ベース側で一体に繋がった形状を有している光偏向器。 - 請求項1又は2に記載の光偏向器において、
前記圧電体に電圧を印加するための配線パターンは、前記一対の駆動梁の中央の部位に接続されている光偏向器。 - 請求項3に記載の光偏向器において、
前記配線パターンは前記固定ベース上に配置されている光偏向器。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の光偏向器において、
前記一対の駆動梁と、前記ミラー部及び前記一対の弾性支持部材との間に所定の間隙が形成されている光偏向器。 - 光源と、光源からの光ビームを偏向する光偏向器と、偏向された光ビームを被走査面にスポット状に結像する結像光学系と、
を備え、
前記光偏向器は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の光偏向器である光走査装置。 - 像担持体と、
画像情報に基づいて前記像担持体に静電潜像を形成する光走査装置と、
前記静電潜像を可視像化する現像手段と、
前記可視像を記録媒体に転写して定着する手段と、
を有し、
前記光走査装置が請求項6に記載の光走査装置である画像形成装置。 - 光源と、
光源からの発散光を略平行光とするコリメート光学系と、
前記コリメート光学系を通った光を投影面に偏向走査して画像を表示する光偏向器と、
を有し、
前記光偏向器は、請求項1〜5のいずれか1つに記載の光偏向器である画像投影装置。
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