JP7028271B2 - 光偏向器、光走査装置、画像形成装置、画像投影装置、ヘッドアップディスプレイ装置、およびレーダ装置 - Google Patents

光偏向器、光走査装置、画像形成装置、画像投影装置、ヘッドアップディスプレイ装置、およびレーダ装置 Download PDF

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Description

本発明は、光偏向器、光走査装置、画像形成装置、画像投影装置、ヘッドアップディスプレイ装置、およびレーダ装置に関する。
レーザ光等の光ビームを偏向・走査する光偏向器は、複写機等の画像形成装置、画像投影装置、さらには、ヘッドディスプレイ装置、レーダ装置などに広く用いられている。従来、この種の光偏向器として、静電力を用いたもの、電磁力を用いたもの、圧電力を用いたものなどがある。
静電力を用いた光偏向器は、平行平板型と櫛歯型の電極があり、櫛歯型の電極では近年の微細加工技術の向上によって比較的大きな力を発生できるようにはなったが、十分な光の偏向角が得られないため、駆動電圧を大きくして補うしかない。しかし、駆動電圧を大きくすると、電源系の部品が大きくなり全体として大型化したり、コスト増加につながってしまう。
電磁力を用いた光偏向器は、外部に永久磁石を配置する必要があるため、デバイスの構成が複雑になり、生産性が悪くなるとともに小型化が困難である。磁歪膜などを用いたものも検討されているが、磁性体としての特性が劣るため十分な特性を得ることができていない。また、コイルに電流を流すと余分な熱が発生しやすく、消費電力が大きくなってしまう。
一方、圧電力を用いた場合は、比較的大きな駆動電圧が必要ではあるが、小さな電力で大きな力を発生することが可能である。圧電デバイスは、発生力が大きいものの変形量は微小であるため、これを拡大するために、圧電部材を他の梁状弾性部材に張り合わせてユニモルフ構造、バイモルフ構造とする。これにより、圧電力による面内方向のわずかな歪みを反りに変えて大きな変形を得ることも可能である。
ここで、例えば、小型で駆動効率がよく、大きな角度振幅が得られる光偏向器が開示されている(特許文献1参照)。この光偏向器は、駆動梁の微小な曲げ振動により弾性支持部材に大きな捻り変形を発生させることで、効率よくミラーが回転し、大きな回転振幅を得ることができる。
しかしながら、上述した光偏向器では、光を偏向するミラーの径を大きくしたり、ミラーの振幅角を大きくしたり、共振周波数を増加させる等により高性能化していくと、駆動梁にかかる負担が大きくなり、駆動梁の根元部で破損しやすくなるという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、駆動梁の根元部で発生する応力を分散させて駆動梁の根元部で生じる破損を防止する光偏向器、光走査装置、画像形成装置、画像投影装置、ヘッドアップディスプレイ装置、およびレーダ装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の光偏向器は、固定ベースと、光を反射させる反射面を有するミラー部と、前記ミラー部を支持する一対の弾性支持部材と、前記一対の弾性支持部材に一対一で対応し、一方の端部が前記弾性支持部材に接続され、他方の端部が前記固定ベースに接続され、圧電部材が固着された一対の駆動梁と、を備え、前記駆動梁は、前記ミラー部と前記弾性支持部材とを前記固定ベースに片持ちで支持させて前記ミラー部を回転振動させ、前記固定ベースは、前記駆動梁に接続された第1層部と、前記第1層部に隣接して前記駆動梁の厚さ方向に形成された第2層部とを有し、前記第2層部は、前記第1層部に対し、前記駆動梁が接続されている根元部において前記ミラー部から離れる方向に後退し、前記駆動梁側の端部から前記根元部へ向かう方向に前記駆動梁の幅より狭い幅で突出した突起部を有し、前記第1層部に接続されている前記駆動梁の前記他方の端部の隅部は、円弧形状の丸みを帯びたフィレット形状になっており、該隅部の応力を分散する
本発明によれば、駆動梁の根元部で発生する応力を分散させて駆動梁の根元部で生じる破損を防止できるという効果を奏する。
図1は、第1の実施形態にかかる光偏向器の全体を示す上面図である。 図2は、図1におけるA-A断面から見た側面図である。 図3は、図2における矢印Bから見た裏面図である。 図4は、駆動梁における固定ベースと接続されている根元部付近の配線パターンを示す図である。 図5は、図4におけるC-C断面から見た断面図である。 図6は、図4におけるD-D断面から見た断面図である。 図7は、突起部の突出量と駆動梁の根元部の応力との関係を示す図である。 図8は、突起部の他の形状を示す図である。 図9は、駆動梁の他の形状を示す図である。 図10は、駆動梁の他の形状を示す図である。 図11は、第2の実施形態にかかる光偏向器の全体を示す上面図である。 図12は、図11におけるE-E断面から見た側面図である。 図13は、図12における矢印Fから見た裏面図である。 図14は、図12における矢印Fから見た裏面図である。 図15は、第3の実施形態の光走査装置の全体構成図である。 図16は、図15の光走査装置に用いる光偏向器と駆動手段の接続を示す図である。 図17は、画像形成装置の全体構成図である。 図18は、第4の実施形態の画像投影装置の全体構成図である。 図19は、第4の実施形態の画像投影装置の構成図である。 図20は、第5の実施形態のヘッドアップディスプレイ装置の全体概念図である。 図21は、フロントガラスに照射した像が虚像として認識された場合を示す図である。 図22は、第5の実施形態の画像形成部の詳細を示す図である。 図23は、第6の実施形態のレーダ装置の全体構成図である。 図24は、第6の実施形態のレーダ装置の構成図である。
以下に添付図面を参照して、光偏向器、光走査装置、画像形成装置、画像投影装置、ヘッドアップディスプレイ装置、およびレーダ装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、光偏向器について説明する。図1は、第1の実施形態にかかる光偏向器の全体を示す上面図である。図2は、図1におけるA-A断面から見た側面図である。図3は、図2における矢印Bから見た裏面図である。
図1~3に示すように、本実施形態の光偏向器は、ミラー部10と、トーションバースプリング20a、20bと、駆動梁30a、30bと、固定ベース40と、を備えている。
ミラー部10は、光を反射させる反射面12と、反射面12を支持するリブ11とを有している。このミラー部10が有する反射面12は、シリコン基板の表面にアルミニウムや銀などの金属の薄膜が形成されている。図1の上面図は、ミラー部10の反射面12の法線方向から見た図となっている。
トーションバースプリング20a、20bは、金属棒を捻る時の反発力を利用したばねの一種であり、一対の弾性指示部材に相当する。図1に示すように、トーションバースプリング20a、20bは、一端がミラー部10の両側に接続されており、ミラー部10を揺動可能に支持している。
駆動梁30a、30bは、トーションバースプリング20a、20bに一対一で対応し、一方の端部がトーションバースプリング20a、20bに接続され、他方の端部が固定ベース40に接続された一対の駆動梁に相当する。すなわち、図1に示すように、駆動梁30a、30bは、一方の端部が、トーションバースプリング20a、20bの他端(ミラー部10に接続されている側の端部と反対側の端部)に接続され、トーションバースプリング20a、20bの軸方向においてミラー部10を挟むように配置されている。
ここで、駆動梁30bの構成について説明する。駆動梁30bは、梁状部材31bに圧電部材32bが固着されている。具体的には、例えば、図1、2に示すように、駆動梁30bは、梁状部材31bの表面に圧電部材32bが積層され、平板短冊状のユニモルフ構造によって形成されている。なお、駆動梁30aも駆動梁30bと同様の構成となっており、梁状部材31aに圧電部材32aが固着されている。
梁状部材31a、31bは、固定ベース40から同一方向に突出するように配置されており、トーションバースプリング20a、20bの中心軸に対して片側のみに配置されている。従って、光偏向器は、駆動梁30a、30bの梁状部材31a、31bにより、ミラー部10とトーションバースプリング20a、20bとを固定ベース40に片持ちで支持させた構成となっている。このような構成により、梁状部材31a、31bは、曲げ振動することでトーションバースプリング20a、20bに捻り変形を発生させてミラー部10を回転振動させる。なお、回転振動とは、軸心回りに所定角度の範囲で一方向の回転と逆方向の回転(戻り)とを繰り返す動作を意味する。
ここで、圧電部材32a、32bに電界を与えるための電気的な構成について説明する。以下では、図を参照して圧電部材32aについて説明するが、圧電部材32bも同様である。
図4は、駆動梁における固定ベースと接続されている根元部付近の配線パターンを示す図である。図5は、図4におけるC-C断面から見た断面図である。図6は、図4におけるD-D断面から見た断面図である。図5、図6では、圧電部材32aの上部電極33aおよび下部電極34aへの配線部の断面を示している。
駆動梁30aは、梁状部材31aの上に、下部電極34a、圧電部材32a、上部電極33aの順でスパッタにより成膜して積層し、必要な部分だけが残るようにエッチング加工がされている。接着層の材料は、チタン(Ti)、上部電極33aおよび下部電極34aは白金(Pt)、圧電部材32aはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などを使用することができる。
コンタクトホール51、52から配線50を引き出し、上部電極33aと下部電極34aとの間に電圧を印加すると、圧電部材32aの電歪特性により体積が変化し、梁状部材31aの表面の面内方向に伸縮する。これにより、駆動梁30a全体が反って、曲げ変形するようになっている。なお、説明のため図4では、絶縁層60を省略している。
本実施形態では、成膜プロセスによって製作した例を説明したが、圧電部材32aはバルクの材料を貼り付ける方法で製作してもよい。構造体としては前述のシリコン基板は積層されたSOI(Silicon on Insulator:シリコン オン インシュレータ)基板を利用しており、デバイス層と支持層の2種類の厚みのシリコン基板で形成されている。上記ミラー部10、トーションバースプリング20、梁状部材31aはデバイス層で形成されており、固定ベース40はデバイス層と支持層両方で構成されている。
本実施形態の光偏向器は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセスによって加工することにより、ミラー部10、トーションバースプリング20a、20b、および駆動梁30a、30bが一体で形成されている。
また、トーションバースプリング20a、20bの長手方向と駆動梁30a、30bの長手方向とは、略直交して配置されている。このため、駆動梁30a、30bの曲げで発生する回転力を効率よくトーションバースプリング20a、20bの捻り方向の変形に伝えることができる。
また、駆動梁30a、30bは、トーションバースプリング20a、20bとミラー部10とを片持ちで支持する構造となっている。このため、駆動梁30a、30bは、先端が自由端になっており、大きな振幅で振動することができる。
また、図1に示すように、ミラー部10の重心Gは、トーションバースプリング20a、20bの中心軸xに対して、駆動梁30a、30bと固定ベース40との接続部側に近接する方向にオフセットされている。このようにすることで、駆動梁30a、30bの振動によってモーメントを発生させ、ミラー部10を大きく回転振幅させることができる。
固定ベース40は、光偏向器のベース基板であり、図2に示すように、支持層部41と、デバイス層部42とから形成されている。そして、固定ベース40は、駆動梁30a、30bが接続されている根元部に、駆動梁30a、30bの一方の端部(トーションバースプリング20a、20bと接続されている側の端部)へ向かう方向に突出し、駆動梁30a、30bを支持する突起部43a、43bを有している。この突起部43a、43bの幅である突起部幅W1は、駆動梁30a、30bの幅である駆動梁幅W2より狭い幅で形成されている(図3参照)。ここで、固定ベースは、長方形形状に形成され、長手方向から突起部が突出した構成となっている。しかし、固定ベースの形状は、これに限定されるものではなく、駆動梁やトーションバースプリング等を介してミラー部を固定できる形状であればどのような形状でもよく、長方形形状以外の他の形状に形成されていてもよい。例えば、固定ベースの形状は、ミラー部の周囲を囲むような形状でもよい。
ミラー部10が大振幅かつ高速に回転振動する場合、駆動梁30a、30bが大きく曲がるため、駆動梁30a、30bの根元部の応力が増大しやすい。従って、本実施形態では、図3に示すように、固定ベース40の支持層部41に突起部43a、43bを形成することで、駆動梁30a、30bの根元部で発生する応力集中を緩和することができる。
ここで、FEM(Finite Element Method:有限要素法)シミュレーション解析で計算した突起部43a、43bの突出量(図3における突起部43a、43bの長さPL)と、駆動梁30a、30bの根元部の応力との関係について説明する。図7は、突起部の突出量と駆動梁の根元部の応力との関係を示す図である。
図7に示すように、応力値はミラー部10の回転角度1degあたりの応力に換算している。突起部43a、43bの突出量が大きいと、本来の駆動梁30a、30bの動作を妨げてしまうため、可能な限り小さい方がよい。また、本実施形態では、駆動梁30a、30bの厚さT1は40umである。従って、図7を参照すると、突起部43a、43bの突出量PLと、駆動梁30a、30bの厚さT1とが略等しい(PL≒T1)場合、応力値が低くなり適切であることがわかる。
図8は、突起部の他の形状を示す図である。固定ベース40に設けられた突起部の角部では、応力が集中してしまう。従って、これを防ぐために、図8に示すように、突起部44a、44bの角部および隅部は、丸みを帯びるようにフィレット形状することが望ましい。つまり、図8では、突起部44aの角部f1、f2と隅部f3、f4、および突起部44bの角部f5、f6と隅部f7、f8を、フィレット形状にして丸みを帯びるようにしている。
図9は、駆動梁の他の形状を示す図である。図1を参照すると、上述したトーションバースプリング20a、20bは、駆動梁30a、30bの一方の端部(自由端側)の内側端部(ミラー部10側端部)30a-1、30b-1に繋がっている。これに対して、図9に示すように、トーションバースプリング20a、20bは、駆動梁70a、70bの外側端部70a-1、70b-1に繋がっている。これによって、駆動梁70a、70bの軸方向のサイズを小型化することが可能である。
図10は、駆動梁の他の形状を示す図である。ミラー部10のサイズが大きくなるなどの要因によって駆動梁の剛性を高めたい場合は、図10に示すように、ミラー部10の両側に配置されている2つの駆動梁を結合して1枚にした駆動梁80とする構成にしてもよい。また、図10の駆動梁80では、2つの突起部44a、44bを有する構成となっているが、駆動梁80の幅が広くなるため、突起部を3つ以上有する構成としてもよい。
このように、第1の実施形態の光偏向器では、固定ベース40における駆動梁30a、30bが接続されている根元部に、固定ベース40から駆動梁30a、30bの自由端へ向かう方向に駆動梁30a、30bの幅より狭い幅で突出し、駆動梁30a、30bを支持する突起部43a、43bが形成されている。これにより、駆動梁30a、30bの根元部で発生する応力集中を分散させて駆動梁30a、30bの根元部で生じる破損を防止することができる。
また、固定ベース40に設けられた突起部43a、43bの突出量を駆動梁30a、30bの厚さと略等しくすることで、駆動梁30a、30bが本来の長さを保つとともに駆動梁30a、30bに発生する応力を低減して、駆動梁30a、30bの破損を防止することができる。
また、突起部44a、44bのように、角部および隅部をフィレット形成にすることで、応力集中を緩和し、駆動梁30a、30bの破損を防止することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態の光偏向器では、固定ベース40に駆動梁30a、30bの自由端へ向かう方向に突出した突起部43a、43bが形成されたものであった。これに対し、本実施形態の光偏向器は、固定部ベースの支持層部をミラーから離れる方向に後退させるものである。
図11は、第2の実施形態にかかる光偏向器の全体を示す上面図である。図12は、図11におけるE-E断面から見た側面図である。図13、図14は、図12における矢印Fから見た裏面図である。
図11~13に示すように、本実施形態の光偏向器は、ミラー部10と、トーションバースプリング20a、20bと、駆動梁70a、70bと、固定ベース40と、を備えている。ここで、ミラー部10、トーションバースプリング20a、20b、および固定ベース40の構成は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
駆動梁70a、70bは、トーションバースプリング20a、20bに一対一で対応し、一方の端部がトーションバースプリング20a、20bに接続され、他方の端部が固定ベース40に接続された一対の駆動梁に相当する。すなわち、図11に示すように、駆動梁70a、70bは、一方の端部が、トーションバースプリング20a、20bの他端(ミラー部10に接続されている側の端部と反対側の端部)に接続され、トーションバースプリング20a、20bの軸方向においてミラー部10を挟むように配置されている。駆動梁70a、70bの形状は図9と同様である。
駆動梁70a、70bは、第1の実施形態の光偏向器と同様に、梁状部材71bおよび圧電部材72bから構成されているため、構成についての説明を省略する。また、駆動梁70a、70bの電気的な構成についても第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
また、第1の実施形態と同様に、本実施形態の光偏向器は、MEMSプロセスによって加工することにより、ミラー部10、トーションバースプリング20a、20b、および駆動梁70a、70bが一体で形成されている。
固定ベース40は、光偏向器のベース基板であり、図12に示すように、駆動梁70a、70bが接続された支持層部41と、支持層部41の下面に形成されたデバイス層部42とを有している。そして、図13に示すように、固定ベース40の支持層部41は、デバイス層部42に対し、駆動梁70a、70bが接続されている根元端部73a、73bにおいてミラー部10から離れる方向に向かって距離L分だけ後退している。なお、図13では、駆動梁70a、70bが接続されていた根元端部73a、73bを点線で示している。ここで、デバイス層部42が第1層部、支持層部41が第2層部に相当する。
また、図13に示すように、固定ベース40は、図8で示した突起部44a、44bを併用して配置してもよい。すなわち、固定ベース40は、駆動梁70a、70bが接続されている根元部に、駆動梁70a、70bの一方の端部(トーションバースプリング20a、20bと接続されている側の端部)へ向かう方向に駆動梁70a、70bの幅より狭い幅で突出し、駆動梁70a、70bを支持する突起部44a、44bを有している。そして、突起部44aの角部f1、f2と隅部f3、f4、および突起部44bの角部f5、f6と隅部f7、f8を、フィレット形状にして丸みを帯びるようにしている。
このように、第2の実施形態の光偏向器では、固定ベース40の支持層部41が、デバイス層部42に対して、ミラー部10から離れる方向に距離L分だけ後退している。このように構成することで、駆動梁70a、70bの根元部で発生していた応力が後退した支持層部41の角部に移動し、駆動梁70a、70b以外の部分にも応力を分散して応力集中を緩和することができる。
さらに、図14に示すように、固定ベース40に接続された駆動梁90a、90bの根元部の隅部f11~f14を、フィレット形状にして丸みを帯びるようにすることで、応力集中による破壊を防止することができる。
(第3の実施形態)
第1、2の実施形態では、光偏向器について説明したが、本実施形態では、第1、2の実施形態の光偏向器を用いた光走査装置(光書込みユニット)、および光走査装置を用いた画像形成装置について説明する。
まず、光走査装置100について説明する。図15は、第3の実施形態の光走査装置の全体構成図である。図16は、図15の光走査装置に用いる光偏向器と駆動手段の接続を示す図である。
図15に示すように、本実施形態の光走査装置100において、レーザ素子などの光源部1020からのレーザ光は、コリメータレンズなどの結像光学系1021を経た後、光偏向器1022により偏向される。この光偏向器1022として、第1、2の実施形態のいずれかの構成の光偏向器が用いられる。そして、光偏向器1022で偏向されたレーザ光は、その後、第一レンズ1023aと第二レンズ1023b、反射ミラー部1023cからなる走査光学系1023を経て、感光体ドラム1002のビーム走査面(被走査面)に照射される。走査光学系1023は、被走査面であるビーム走査面にスポット状に光ビームを結像する。
図16に示すように、光偏向器1022は駆動手段1024と電気的に連結されている。この駆動手段1024が、光偏向器1022の下部電極と上部電極間に駆動電圧を印加する。これにより、光偏向器1022のミラー部が回転してレーザ光が偏向され、感光体ドラム1002のビーム走査面上が光走査される。
このように、第1、2の実施形態の光偏向器を利用した光走査装置100は写真印刷方式のプリンタや複写機などの画像形成装置のための光書込みユニットの構成部材として最適である。
次に、光走査装置100を光書込みユニットの構成部材として実装した画像形成装置1000について説明する。図17は、画像形成装置の全体構成図である。図17に示すように、本実施形態の画像形成装置1000では、光走査装置としての光書込みユニット1001を備え、レーザ光を被走査面に出射して画像を書き込む。感光体ドラム1002は、光書込みユニット1001による走査対象としての被走査面を提供する像担持体である。
光書込みユニット1001は、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザ光で感光体ドラム1002の表面(被走査面)を同ドラムの軸方向に走査する。感光体ドラム1002は、矢印1003方向に回転駆動され、帯電手段1004により帯電された表面に対して光書込みユニット1001により光走査されることによって、静電潜像が形成される。
現像手段1005は、形成された静電潜像をトナー像に顕像化し、転写手段1006は、顕像化されたトナー像を記録紙1007(記録媒体)に転写する。定着手段1008は、転写されたトナー像を記録紙1007に定着させる。そして、クリーニング部1009は、感光体ドラム1002の転写手段1006の対向部を通過した感光体ドラム1002の表面部分の残留トナーを除去する。
なお、感光体ドラム1002に代えてベルト状の感光体を用いる構成も可能である。また、トナー像を記録紙以外の転写媒体に一旦転写し、この転写媒体からトナー像を記録紙に転写して定着させる構成とすることも可能である。
図17に示すように、光書込みユニット1001は、光源部1020と、光源駆動手段1500と、光偏向器1022と、結像光学系1021と、走査光学系1023と、集積回路1024と、回路基板1025と、から構成されている。
光源部1020は、記録信号によって変調された1本又は複数本のレーザ光を発するレーザ素子であり、光源駆動手段1500は、レーザ光を変調する。光偏向器1022は、第1、2の実施形態の光偏向器であって、レーザ光を偏向する。結像光学系1021は、光偏向器1022のミラー基板のミラー面に光源部1020からの記録信号によって変調されたレーザ光を結像させる。走査光学系1023は、ミラー面で反射・偏向された1本又は複数本のレーザ光を感光体ドラム1002の表面(被走査面)に結像させる。光偏向器1022は、その駆動のための集積回路(駆動手段)1024とともに回路基板1025に実装された形で光書込みユニット1001に組み込まれている。
光偏向器1022は、従来の回転多面鏡に比べ駆動のための消費電力が小さいため、画像形成装置1000の省電力化に有利である。また、光偏向器1022のミラー基板の振動時の風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、画像形成装置1000の静粛性の改善に有利である。さらに、光偏向器1022は、回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また、発熱量もわずかであるため、小型化が容易であり、したがって画像形成装置1000の小型化に有利である。このように、破損しにくい光偏向器を用いて、光走査装置や画像形成装置を提供することができる。
なお、記録紙1007の搬送機構、感光体ドラム1002の駆動機構、現像手段1005、転写手段1006などの制御手段、光源部1020の駆動系などは、従来の画像形成装置と同様であるため図17では省略されている。
(第4の実施形態)
第1、2の実施形態では、光偏向器について説明したが、本実施形態では、第1、2の実施形態の光偏向器を用いた画像投影装置について説明する。
図18は、第4の実施形態の画像投影装置の全体構成図である。図19は、第4の実施形態の画像投影装置の構成図である。
図19に示すように、本実施形態の画像投影装置2000は、赤(R)、緑(G)、青(B)の異なる3波長のレーザ光を出射するレーザ光源2001(2001-R、2001-G、2001-B)が取り付けられている。そして、それぞれのレーザ光源2001-R、2001-G、2001-Bの出射端近傍にはレーザ光源2001-R、2001-G、2001-Bから出射された発散光を略平行光にする集光レンズ2002(2002-R、2002-G、2002-B)が配置されている。
集光レンズ2002-R,2002-G、2002-Bで略平行になったR、G、Bのレーザ光は、合成プリズム2005によって合成され、光偏向器2006(MEMSの二次元反射角度可変ミラー)に入射される。そして、光偏向器2006のミラー部に入射した合成レーザ光は、光偏向器2006によって二次元偏向走査されて投影面2007に投射され、画像を投影する。
図18に示すように、本実施形態の画像投影装置2000は、画像生成部2011が画像情報に応じて画像信号を生成する。この画像信号が変調器2012を介して光源駆動回路2013に送られると共に、スキャナ駆動回路2014に画像同期信号が送られる。スキャナ駆動回路2014は、画像同期信号に応じて駆動信号を光偏向器2006に与える。なお、図18では、3波長のレーザや合成プリズムは省略している。
この駆動信号によって、光偏向器2006のミラー部10は、直交した2つの方向に所定角度(例えば10deg程度)の振幅で振動する。光偏向器2006は一個で二次元のものではなく、一次元走査のものを二つ組み合わせてもよい。また、片方の走査はポリゴンミラーなどの回転走査ミラーを使用することもできる。
3波長のレーザ光源2001は、それぞれ光偏向器2006によって走査されるタイミングに合わせて強度変調されており、投影面2007に二次元の画像情報を投影するようになっている。強度変調はパルス幅を変調してもよいし、振幅を変調してもよい。変調器2012は、画像信号をパルス幅変調あるいは振幅変調し、この変調された信号を光源駆動回路2013によりレーザ光源2001を駆動できる電流に変調してレーザ光源2001を駆動する。このように、破損しにくい光偏向器を用いて、画像投影装置を提供することができる。
(第5の実施形態)
第1、2の実施形態では、光偏向器について説明したが、本実施形態では、第4の画像投影装置を用いたヘッドアップディスプレイ装置について説明する。
図20は、第5の実施形態のヘッドアップディスプレイ装置の全体概念図である。本実施形態のヘッドアップディスプレイ装置300は、車両のフロントガラス350を投射面の一部として使用したウィンドウシールド方式である。
本実施形態のヘッドアップディスプレイ装置300は、出射窓部306を備えた筐体301に、ベース303が載置され、その上に防振材302、画像形成部304を備えている。画像形成部304で形成された画像は、画像形成部304の出射部から出射され、投射ミラー305で反射された後、フロントガラス350(画像投射部)に投影される。そして、この投影された画像の反射光が観測者(例えば運転者)に投射されることで、観測者の目に届くようになっている。このとき、観測者から見ると、図21に示すように、フロントガラス350の数m先に、フロントガラス350に照射した像が虚像Pとして認識される。
図22は、第5の実施形態の画像形成部の詳細を示す図である。図22における点線枠は、例えば、第4の実施形態の画像投影装置2000(図18、19参照)である。図22に示すように、ここではレーザ光源401は1個しか図示しないが、第4の実施形態と同様に3色のレーザ光を利用してカラー表示を行うことが可能となっている。
レーザ光源401から出射されたレーザ光は、カップリングレンズ402で略平行光のビームになり、光偏向器403に照射される。入射光は光偏向器403で2軸に走査され、走査ミラー404を介してスクリーン部405に照射される。なお、レーザ変調手段にてレーザ光源401を変調することで所望の画像を形成することができる。表示部に相当するスクリーン部405は、拡散板やマイクロレンズなどで形成されており、ここで形成された中間像を投射ミラー305、フロントガラス350を介して観測者が虚像Pとして視認することになる。このように、破損しにくい光偏向器を用いて、ヘッドアップディスプレイ装置を提供することができる。ヘッドアップディスプレイは、例えば車両、航空機、船舶、ロボット等の移動体に搭載される。そこで、ヘッドアップディスプレイと、該ヘッドアップディスプレイが搭載される移動体と、を備える移動体装置を提供することができる。
(第6の実施形態)
第1、2の実施形態では、光偏向器について説明したが、本実施形態では、第1、2の実施形態の光偏向器を用いたレーダ装置について説明する。
図23は、第6の実施形態のレーダ装置の全体構成図である。図24は、第6の実施形態のレーダ装置の構成図である。図23に示すように、本実施形態のレーダ装置600は、車両の前方側に取り付けられており、車両の前方を監視する。
図23、24に示すように、レーザ光源601から出射されたレーザ光は、発散光を略平行光とする光学系であるコリメートレンズ602を経て、光偏向器610で1軸もしくは2軸方向に走査され、車両前方の被対象物650に照射される。光検出器605は、被対象物650で反射され、集光レンズ606を経たレーザ光を受光して、検出信号を出力する。なお、光源駆動部であるレーザドライバ603は、レーザ光源601を駆動するものであり、光偏向器駆動部である偏向器ドライバ607は、光偏向器610を駆動するものである。
コントローラ604は、レーザドライバ603および偏向器ドライバ607を制御し、光検出器605から出力された検出信号を処理する。すなわち、コントローラ604は、レーザ光を発光したタイミングと、光検出器605でレーザ光を受光したタイミングとのズレによって、被対象物650との距離を算出する。光偏向器610でレーザ光を走査することで1次元、もしくは2次元の範囲における被対象物650に対する距離が得られる。このように、破損しにくい光偏向器を用いて、レーダ装置を提供することができる。
10 ミラー部
11 リブ
12 反射面
20a、20b トーションバースプリング
30a、30b、70a、70b、80、90a、90b 駆動梁
31a、31b、71b 梁状部材
32a、32b、72b 圧電部材
33a 上部電極
34a 下部電極
40 固定ベース
41 支持層部
42 デバイス層部
43a、43b、44a、44b 突起部
50 配線
51、52 コンタクトホール
60 絶縁層
100 光走査装置
300 ヘッドアップディスプレイ装置
600 レーダ装置
1000 画像形成装置
2000 画像投影装置
特開2011-018026号公報

Claims (6)

  1. 固定ベースと、
    光を反射させる反射面を有するミラー部と、
    前記ミラー部を支持する一対の弾性支持部材と、
    前記一対の弾性支持部材に一対一で対応し、一方の端部が前記弾性支持部材に接続され、他方の端部が前記固定ベースに接続され、圧電部材が固着された一対の駆動梁と、を備え、
    前記駆動梁は、前記ミラー部と前記弾性支持部材とを前記固定ベースに片持ちで支持させて前記ミラー部を回転振動させ、
    前記固定ベースは、前記駆動梁に接続された第1層部と、前記第1層部に隣接して前記駆動梁の厚さ方向に形成された第2層部とを有し、
    前記第2層部は、
    前記第1層部に対し、前記駆動梁が接続されている根元部において前記ミラー部から離れる方向に後退し、
    前記駆動梁側の端部から前記根元部へ向かう方向に前記駆動梁の幅より狭い幅で突出した突起部を有し、
    前記第1層部に接続されている前記駆動梁の前記他方の端部の隅部は、円弧形状の丸みを帯びたフィレット形状になっており、該隅部の応力を分散する、光偏向器。
  2. 光源と、
    前記光源からの光を偏向させる請求項1に記載の光偏向器と、
    偏向された光を被走査面にスポット状に結像する光学系と、を備える光走査装置。
  3. 請求項2に記載の光走査装置と、
    光の走査により潜像が形成される感光体と、
    前記潜像をトナー像に顕像化する現像部と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写部と、を備える画像形成装置。
  4. 光源と、
    前記光源からの発散光を略平行光にする光学系と、
    前記光源から出力された光を画像信号に応じて変調する変調器と、
    請求項1に記載の光偏向器と、を備える画像投影装置。
  5. 請求項4に記載の画像投影装置と、
    前記画像投影装置から画像が投影される表示部と、
    前記表示部に投影された画像をユーザに投射する画像投射部と、を備えるヘッドアップディスプレイ装置。
  6. 請求項1に記載の光偏向器と、
    レーザ光を出射する光源と、
    前記光源からの発散光を略平行光とする光学系と、
    前記光源を駆動する光源駆動部と、
    前記光偏向器を駆動する光偏向器駆動部と、
    前記光偏向器から出射されたレーザ光の反射光を受光して、検出信号を出力する光検出器と、
    前記光源駆動部および前記光偏向器駆動部を制御し、前記光検出器から出力された前記検出信号を処理する制御部と、を備えるレーダ装置。
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