JP2012041216A - 炭化ケイ素焼結体の製造方法及び炭化ケイ素焼結体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温〜高温の広い温度域ですぐれた抵抗値特性を有する炭化ケイ素焼結体を製造する炭化ケイ素焼結体の製造方法及び炭化ケイ素焼結体を提供する。
【解決手段】炭化ケイ素焼結体の製造方法は、炭化ケイ素と、ホウ素を含むホウ素原料と、が混合した原料粉末を調製する原料混合工程と、原料粉末を、窒素とアルゴンとからなる雰囲気下で焼結する焼結工程と、を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化ケイ素焼結体の製造方法及び炭化ケイ素焼結体に関する。
炭化ケイ素は、良導電性の半導体化合物であり、材質的に優れた熱的および化学的な安定性を備えていることから、発熱体として用いられている。一般に、炭化ケイ素よりなる発熱体は、炭化ケイ素原料粉末に有機バインダーを混合し、所定形状に成形したのちに、焼結処理することで、組織を再結晶SiCに転化させることにより製造されている。そして、炭化ケイ素は、バンドギャップが約3eVと広い関係から、電気抵抗を通電可能なレベルにまで引き下げる必要がある。このためには、炭化ケイ素中に3価の元素や5価の元素を固溶させる手段が有効とされている。
炭化ケイ素は、3価の元素を固溶させるとp型半導体となり、また5価の元素を固溶させた場合にはn型半導体となる。このうちp型半導体のキャリアはホールであり、n型半導体のキャリアは電子であるが、電子はホールに比べて一般に移動度が速いため、5価の元素を固溶させてn型半導体とした方が比抵抗を下げるためには有効である。炭化ケイ素に固溶可能な5価の元素としては、窒素、リン、ヒ素、アンチモンまたはビスマスのような窒素族の元素や、バナジウム、ニオブ、タングステンが挙げられるが、これらの中では窒素が最も固溶し易く、固溶限界も高い。このため、炭化ケイ素の電気抵抗を下げる目的で組織中に窒素を固溶させる試みが提案されている。
例えば、特許文献1には炭化ケイ素を窒素雰囲気中で焼結する方法が開示され、特許文献2には炭化ケイ素を窒素雰囲気中でホットプレス焼結する方法が開示されている。しかし、単に窒素ガス中で焼結するだけでは窒素の固溶化は円滑に進まず、比抵抗を十分に低減させることはできなかった。特許文献3では窒素の固溶度合を増大させるため、炭化ケイ素焼結時の窒素ガス圧を80〜500気圧まで高め、窒素を強制的に固溶させる方法が記載されている。この方法によれば窒素固溶量が増大するため炭化ケイ素の電気比抵抗を効果的に低下させることが可能となるが、前記条件の窒素ガス圧を確保するには例えば熱間静水圧プレス(HIP)のような高価な装置を適用しなければならず、設備やコストなどの面で工業的手段としての難点があった。
さらに、特許文献4では、炭化ケイ素に対する窒素固溶度合を高めるための簡便な手段として、発熱体の製造時に炭化ケイ素原料粉末に特定量の窒化物と炭素の粉末を混合し、更に特定された条件で焼結処理をおこなうと、特別な装置設備を必要とせずに窒素固溶量を効果的に増大することができ、材質強度を損ねることなしに炭化ケイ素発熱体の比抵抗低下を図ることができることが記載されている。
しかしながら、これらの方法で炭化ケイ素発熱体を製造しようとすると、初期(低温時)の抵抗値が高すぎて、加熱が始まらないという問題があった。また、各種元素をドープして初期の抵抗値を低くすると、高温下では抵抗が更に下がるという半導体の特性により、発熱体の熱により抵抗が下がりすぎて、十分な発熱ができない(発熱体と成らない)という問題があった。
特公昭57−18682号公報 特関昭52−110499号公報 特公昭64−4312号公報 特開平6−92733号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、低温〜高温の広い温度域ですぐれた抵抗値特性を有する(抵抗値が通電時に発熱可能な値となる)炭化ケイ素焼結体を製造することができる炭化ケイ素焼結体の製造方法及び炭化ケイ素焼結体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者は炭化ケイ素焼結体の製造方法に関する検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の炭化ケイ素焼結体の製造方法は、炭化ケイ素と、ホウ素を含むホウ素原料と、が混合した原料粉末を調製する原料混合工程と、原料粉末を、窒素とアルゴンとからなる雰囲気下で焼結する焼結工程と、を有することを特徴とする。
また、本発明の炭化ケイ素焼結体は、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法を施してなることを特徴とする。
本発明の製造方法は、炭化ケイ素(SiC)を、ホウ素原料を含んだ状態で、窒素を含有する雰囲気下で焼成している。このようにすることで、すぐれた抵抗値の特性を有する炭化ケイ素焼結体が製造できる。
また、本発明の炭化ケイ素焼結体は、上記した製造方法により製造されたものであり、上記の製造方法と同様な効果を発揮する。
炭化ケイ素焼結体試料のX線回折ピークを示したグラフである。 実施例1の炭化ケイ素焼結体のSEM写真である。 実施例2の炭化ケイ素焼結体のSEM写真である。 実施例3の炭化ケイ素焼結体のSEM写真である。 比較例1の炭化ケイ素焼結体のSEM写真である。 比較例3の炭化ケイ素焼結体のSEM写真である。 比較例4の炭化ケイ素焼結体のSEM写真である。 比較例5の炭化ケイ素焼結体のSEM写真である。 比較例6の炭化ケイ素焼結体のSEM写真である。 比較例7の炭化ケイ素焼結体のSEM写真である。
(炭化ケイ素焼結体の製造方法)
本発明の炭化ケイ素焼結体の製造方法は、原料混合工程、焼結工程、を有する。
本発明の製造方法は、原料混合工程において、製造される炭化ケイ素焼結体を形成するための炭化ケイ素だけでなく、焼結したときに導電性を付与するためのホウ素を含む原料粉末を調製している。そして、焼結工程においてこの原料粉末を焼成すると、SiCが焼結して焼結体を形成するだけでなく、SiCにホウ素がドープした焼結体となる。このようにして製造された炭化ケイ素焼結体は、その原理が明らかではないが、SiC焼結体の結晶性等の構造を変化することなく、低温〜高温の広い温度域で良好な抵抗値を有することとなる。
原料混合工程は、炭化ケイ素と、ホウ素を含むホウ素原料と、が混合した原料粉末を調製する工程である。この工程では、本発明の製造方法により製造される炭化ケイ素焼結体を製造するための材料を混合して原料粉末を調製する。
原料混合工程において調製される原料粉末は、その後に焼結工程を施したときに、焼成して炭化ケイ素焼結体を形成できる粉末であればよい。
原料粉末は、炭化ケイ素を炭化ケイ素粒子の粉末として含む(炭化ケイ素粒子粉末を混合してなる)ことが好ましい。炭化ケイ素粉末を焼成することで、炭化ケイ素粒子が焼結して、炭化ケイ素焼結体を形成できる。
炭化ケイ素粉末は、その粒径が限定されるものではなく、平均粒径が0.1〜3.0μmの微細粒子と、平均粒径が5〜20μmの粗大粒子と、の混合粉末であることが好ましい。微細粒子と粗大粒子の混合割合(混合比)は、特に限定されるものではなく、製造される焼結体に求められる特性により調節できる。炭化ケイ素粉末が、異なる粒径を有する粉末の混合物よりなることで、混合粉末を成形したときの充填率が向上し、製造される炭化ケイ素焼結体の細孔を調節できる。
ホウ素原料は、焼結工程を施した後にSiCにホウ素がドープされるように含まれる原料であり、焼結時にホウ素がドープできるできる状態で原料粉末に含まれる。具体的には、ホウ素原料も、SiCと同様に、ホウ素原料の粉末として含むことが好ましい。そして、ホウ素原料の粉末は、ホウ素化合物(たとえば、炭化ホウ素(BC〜BC),窒化ホウ素(BN),ホウ酸(HBO),純ホウ素)の少なくとも一種よりなる粉末であることが好ましく、炭化ホウ素粉末であることがより好ましく、炭化ホウ素(BC)であることがより好ましい。炭化ホウ素粉末の粒子の粒径は、限定されるものではない。たとえば、平均粒径が0.1〜10μmであることが好ましい。
原料粉末は、炭化ケイ素粉末と、炭化ホウ素粉末と、を有することが好ましく、原料粉末に占める炭化ホウ素粉末の割合は、特に限定されるものではない。炭化ホウ素粉末の含有量(割合)が大きくなるほど、製造される炭化ケイ素焼結体の抵抗値が上昇する。このため、製造される焼結体に求められる抵抗値の特性により、原料粉末に占める炭化ホウ素粉末の割合を決定できる。たとえば、低温(常温)〜高温(数百度)にわたってすぐれた抵抗値(電圧を印加したときに発熱可能な特性)を有することを目的とすると、原料粉末に占める炭化ホウ素粉末の割合が、1.0%以下であることが好ましい。
原料混合工程において調製される原料粉末は、その後に焼結工程を施すことで炭化ケイ素焼結体を製造できる原料を調製する工程であり、製造される炭化ケイ素焼結体を形成するための添加成分の粉末が混合していてもよい。このような成分としては、たとえば、窒化ケイ素,バインダ、分散剤等の添加材(焼結助剤)をあげることができる。
焼結工程は、原料粉末を、窒素とアルゴンとからなる雰囲気下で焼結する。焼結工程は、原料粉末を焼結させるために焼成する工程であり、これにより炭化ケイ素粉末が焼結する。そして、焼結工程は、窒素とアルゴンとからなる雰囲気下で焼結する。この窒素とアルゴンの混合雰囲気下で焼結させることで、その原理は不明であるが、焼結体の抵抗値のと特性が向上する。
焼結工程は、原料粉末を焼結させるために焼成する工程であり、原料粉末の粒子(特にSiC粒子)が焼結できる温度、時間等の焼結(焼成)条件は、限定されるものではない。たとえば、1800〜2400℃で加熱することが好ましく、特に2000〜2200℃がより好ましい。昇温パターン、焼成時間としては、製造される焼結体が十分な強度を持つことができれば特に限定されないが、2000℃以上で焼成する場合には、30分以上保持することが好ましい。
本発明の製造方法において、焼結工程を施すときの窒素とアルゴンとからなる雰囲気のそれぞれの混合割合については、特に限定されるものではない。窒素の含有量(割合)が大きくなるほど、製造される炭化ケイ素焼結体の抵抗値が小さくなる。このため、製造される焼結体に求められる抵抗値の特性により、窒素とアルゴンからなる混合雰囲気に占める窒素の割合を決定できる。たとえば、低温(常温)〜高温(数百度)にわたってすぐれた抵抗値(電圧を印加したときに発熱可能な特性)を有することを目的とすると、窒素とアルゴンからなる雰囲気に占める窒素の割合が、50%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましい。
本発明の製造方法において、焼結工程により焼結された焼結体を、酸化性雰囲気下で焼成する酸化工程を有することが好ましい。
酸化工程は、酸化性雰囲気下で焼成する工程であり、焼結体に残存している炭素分が除去されるとともに、表面を酸化して安定した物質とすることができる。特に、原料粉末が炭化ホウ素を含む場合には、焼結工程においてホウ素が炭化ケイ素焼結体にドープされると、炭化ホウ素からの炭素が残存し、酸化工程ではこの炭素を除去することができる。
酸化工程は、酸化性雰囲気下で加熱する工程であることが好ましい。酸化性雰囲気下での加熱によると、焼結工程よりも低い温度で炭素を除去できる。すなわち、酸化工程は、焼結工程の焼結温度よりも低い温度で加熱することが好ましい。具体的には、熱衝撃で亀裂を生じさせない範囲であれば良く、600〜1500℃であることが好ましい。
本発明の製造方法において、焼結工程が施される原料粉末は、炭化ケイ素焼結体の所定の形状に成形されていることが好ましい。所定の形状に成形した状態で焼結工程を施すことで、所定の形状(製品形状をした)の焼結体を得られる。原料粉末を成形する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の成形方法を用いることができる。成形方法としては、原料粉末を粘土状とし、押出し成形で成形する方法を用いることが好ましい。押出し成形には、成形体が加熱によりクラックなどが発生することを抑制するために、真空混練成形機を使用することが好ましい。押出し成形した成形体は、保形性が低い場合には、マイクロ乾燥器による乾燥や、円筒形の場合には、回転式乾燥機などを使用することが好ましい。また、乾燥時に温風や熱風で乾燥したり、あるいは他の乾燥方法と組み合わせてもよい。
本発明の製造方法において、焼結工程が施される原料粉末(成形体)は、脱脂工程が施されていることが好ましい。脱脂工程を施すことで、製造の効率の向上や、焼結を行う焼成炉がダメージを受けることが抑えられる。脱脂工程は、特に限定されるものではなく、不活性雰囲気下で加熱する工程であることが好ましい。不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガスをあげることができ、アルゴンガスであることがより好ましい。また、加熱温度は、250〜600℃であることが好ましく、300〜500℃であることがより好ましい。さらに、脱脂量としても同様に特に指定は無いが、半分以上脱脂した方が良い。
(炭化ケイ素焼結体)
本発明の炭化ケイ素焼結体は、上記の製造方法により製造された焼結体である。本発明の炭化ケイ素焼結体は、上記の製造方法で製造された焼結体であり、低温〜高温の広い温度域で、良好な抵抗値を得られる。つまり、低温(常温)〜高温(数百度)にわたってすぐれた抵抗値を有する。
上記したように、本発明の炭化ケイ素焼結体は、低温(常温)〜高温(数百度)にわたってすぐれた抵抗値を有している。つまり、本発明の炭化ケイ素焼結体に電圧を印加したときに、低温(室温)〜高温(数百度)のいずれの温度においても、焼結体が発熱する。このことから、本発明の炭化ケイ素焼結体は、揮発性有機化合物(VOC)等の被浄化成分が含まれる気体等の汚染ガスの浄化に用いることが好ましい。この場合、本発明の炭化ケイ素焼結体に電圧を印加して発熱させた状態で汚染ガスを接触(近接)させて、被浄化成分を分解除去する。汚染ガスとしては、さらに、燃料を燃焼してエネルギーを取り出す熱機関から排出されるガスを例示できる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
実施例として、炭化ケイ素焼結体を製造した。製造にあたって、原料には表1に記載の製品が用いられた。
(炭化ケイ素焼結体の製造)
なお、表2においてホウ素含有割合は、製造後の焼結体にしめるホウ素の質量比(mass%)である。
まず、表1に記載の原料を、表2に記載の質量比で秤量した。秤量されたSiC(粗大粒子),SiC(微細粒子),Si,グラファイト,炭化ホウ素(BC)のそれぞれを、加圧型ニーダー(森山製作所製、DS1−5GHH−E)で15分間混合した。
その後、混合物に、表1の分散剤,バインダ,水を加えて、10分間混練して粘土状とした。
得られた粘土状の原料粉末を、押出し成形でパイプ状に成形した。押出し成形は、卓上型真空混練成形機(ユニバース株式会社製、UNIX)を用い、押出し時の温度:18〜22℃,押出し速度:50〜350mm/min(粘土の硬さにより決定)で調整して行った。得られた成形体は、外径:6mm,内径:4mm,長さ:150mmのパイプ状であった。
次に、成形体を、MIX−ROTAR(イウチ製、VMR−5)で回転させながら、室温で3時間乾燥し、更に80℃で8時間保持して乾燥した。
乾燥した成形体を、不活性ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気)下で310℃で保持して脱脂した。
その後、アルゴンガスと窒素ガスの混合ガス雰囲気下で2100℃で5時間保持して焼結させた(焼成した)。
焼結体を、酸化性ガス雰囲気(空気)下で1100℃で2時間加熱して、脱炭した。
脱炭後、放冷して試料1〜12の炭化ケイ素焼結体が製造された。
(評価)
実施例及び比較例の炭化ケイ素焼結体の評価として、低温(室温)及び高温(400℃)における抵抗値を測定した。測定結果を表3〜4に示した。
抵抗値の測定は、次のようにして行われた。まず、パイプ状の焼結体の両端部の外周面に、10cmの間隔を隔てた状態で銀ペーストを塗布して電極端子とした。一対の電極端子間に、大容量直流電源装置(高砂製作所製、HX0300−50)で電圧を印加し、そのときの電流値を測定し、抵抗値を算出した。抵抗値の測定は、室温(約25℃)と高温(400℃)で行われた。表3には室温での測定結果を、表4では高温での測定結果をそれぞれ示した。
表3及び4に示したように、原料粉末に含まれる炭化ホウ素(ホウ素)の含有割合が大きくなるにつれて、抵抗値の測定結果が、温度によらず大きくなっている。また、焼結時の混合ガス雰囲気に占める窒素ガス濃度が大きくなるほど、抵抗値の測定結果が、温度によらず小さくなっている。表3及び4において、抵抗値の測定結果を10000以上と記載しているが、これは抵抗値の測定ができなかったケースを示す。
表3及び4から、原料粉末のホウ素の含有割合及び、焼結時の雰囲気に占める窒素濃度を適宜設定することで、炭化ケイ素焼結体の抵抗値の特性を調節することができることが確認できた。つまり、焼結体の使用用途により適切な製造条件を設定することで、優れた抵抗値特性を有する炭化ケイ素焼結体を製造できることが確認できた。
次に、炭化ケイ素焼結体の評価として、更に、圧縮強度試験を施して、圧縮強度及びヤング率を測定し、表5に圧縮強度を、表6にヤング率をそれぞれ示した。なお、この圧縮強度およびヤング率は、代表的な試料を選択し、それぞれ二度試験を行った。
圧縮強度試験は、次のようにして行われた。まず、パイプ状の焼結体を軸方向の長さが30mmとなるように切断した。ここで、パイプ状の両端面は、軸方向に垂直な平面上に位置するように試験片が切り出された。
切り出された試験片に、電子式万能材料試験機(高砂製作所製、CATY)を用いて、軸方向の圧縮試験を施した。試験条件は、速度:0.1mm/min、スケール500kgf、試験数n=6で行われた。そして、試験結果のうち、最大と最小の二つを除いた4つの試験結果の平均値から最大破壊強度(圧縮強度)を算出した。また、変位から、ヤング率も算出した。
表5〜6に示したように、各試料の炭化ケイ素焼結体の圧縮強度及びヤング率は、ほぼ同程度となっている。つまり、各試料の炭化ケイ素焼結体は、圧縮強度及びヤング率は従来程度に維持しながら、抵抗値のみを調節できたことが確認できた。
さらに、各試料の炭化ケイ素焼結体の評価として、それぞれの焼結体の結晶性(結晶構造)を確認した。具体的には、X線回折及びSEMによる観察を行った。なお、この結晶性の評価がなされた焼結体は、実施例1〜3は、試料4において焼結工程における混合ガス中の窒素含有割合が10,15,50%で製造された焼結体であり、比較例1〜4は、試料1において焼結工程における混合ガス中の窒素含有割合が10,15,50,100%で製造された焼結体であり、比較例5は、試料4において焼結工程における混合ガス中の窒素含有割合が100%で製造された焼結体であり、比較例6〜7は、試料9において焼結工程における混合ガス中の窒素含有割合が10,15,50,100%で製造された焼結体である。
X線回折は、粉末X線回折装置(リガク製、RINT2000)で、各試料の結晶相を同定することで行われた。得られた回折ピークを図1に示した。
図1において示された二つの試料の回折パターンは、同じであり、SiCのみのピークを示している。つまり、いずれもSiC以外のピークを示していない。つまり、各試料の焼結体は、ホウ素(炭化ホウ素)に起因する化合物相を有していないSiC相よりなることが確認できた。
SEMによる観察は、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JXA−840)を用いて、各試料のSEM写真を撮影し、観察した。SEM写真を図2〜10に示した。SEM写真は、実施例1〜3を、図2〜4に、比較例1を図5に、比較例3〜7を図6〜10に、それぞれ示している。なお、図2〜10において、(a)は各焼結体の端面を20倍で、(b)は(a)において囲まれた範囲を200倍で、(c)は(b)において囲まれた範囲を500倍で、それぞれ撮影したSEM写真である。
図2〜10に示したように、いずれも同じ程度の焼結体であることが確認できた。
図1〜10に示したように、本実施例において製造された炭化ケイ素焼結体は、ほぼ同じ結晶特性(結晶性及び焼結体構造)を有していることが確認できた。そして、各実施例及び各比較例の炭化ケイ素焼結体は、ホウ素をドープすることで、抵抗値の特性を向上させていることが確認できた。
上記の結果から、原料粉末に混合されるホウ素原料(炭化ホウ素)の配合割合や焼結工程時の窒素含有割合を調節して焼結体を製造することで、所望の抵抗値の特性をもつ焼結体を製造することができることがわかる。

Claims (7)

  1. 炭化ケイ素と、ホウ素を含むホウ素原料と、が混合した原料粉末を調製する原料混合工程と、
    前記原料粉末を、窒素とアルゴンとからなる雰囲気下で焼結する焼結工程と、
    を有することを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  2. 前記焼結工程は、窒素とアルゴンからなる雰囲気に占める窒素の割合が、50%以下である請求項1記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  3. 前記原料粉末は、炭化ケイ素粉末と、炭化ホウ素粉末と、を有する請求項1〜2のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  4. 前記原料粉末は、原料粉末に占める前記炭化ホウ素の割合は、1.0%以下である請求項3記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  5. 前記焼結工程により焼結された焼結体を、酸化性雰囲気下で焼成する酸化工程を有する請求項1〜4のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  6. 前記酸化工程は、前記焼結工程の焼結温度よりも低い温度で加熱する請求項5記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法を施してなることを特徴とする炭化ケイ素焼結体。
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