JP2012040377A - ゴルフボール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コアと該コア上に成形された1層以上のカバーとを具備し、外層カバーの表面に多数のディンプルを有するゴルフボールにおいて、ディンプルに塗料層を有する一方、ディンプル以外のボール表面には塗料層を有さず、外層カバーが露出していると共に、上記外層カバーを形成する材料の材料硬度がショアD硬度で60未満であり、かつ上記ディンプルの表面占有率(SR)が70〜85%であることを特徴とするゴルフボール。
【効果】プレイの状況に応じて最適なスピン性能を発揮することができる。
【選択図】図1
【効果】プレイの状況に応じて最適なスピン性能を発揮することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、スピン性能に優れ、ドライバーショットで低スピン、アプローチショットで高スピンとなるゴルフボールに関する。
現在、使用されているゴルフボールの多くは、一般的にジエン系ゴム等のゴムを主体としたソリッドコアの周りに、ウレタン樹脂やアイオノマー樹脂等を主成分とする材料を射出成形や圧縮成形等を用いて被覆することにより製造される。
更に、ゴルフボールの表面には、空気力学的特性の観点から多数のディンプルが形成されると共に、外観の保護、バンカーショット時の砂等に対する耐擦傷性、耐候性及び耐汚染性等の向上を目的として塗装が施されている。
また、近年では、上記の性能だけでなく、ファッション性や視認性等のボールの外観に対する要求も高まりつつあり、ゴルフボールを評価する上で重要な要素となっている。例えば、特開平5−111550号公報(特許文献1)や特公平03−32380号公報(特許文献2)には、ファッション性の向上を目的として、ディンプルとディンプル以外の部分とで色彩を異ならせたゴルフボールを製造する方法が開示されている。ここでは、上記のゴルフボールを得る方法として、ボール全体にカバー材の色と異なる色の塗料を塗布した後、ディンプル以外の部分の塗膜を研磨して除去し、更にその上から透明な塗料を塗布する方法が開示されている。上記の製造方法によって得られるゴルフボールは、カバー材の色とディンプルの色の組み合わせによって種々の異なった斑点状とすることができ、ファッション性及び視認性に優れたものとなる。しかしながら、このゴルフボールは、表面に透明保護層が形成されていることにより、スピン性能を十分に発揮することができない。
そのため、スピン性能に優れ、ドライバーショット時の飛距離とアプローチショット時のコントロール性とを高次元で兼ね備えるだけでなく、美観にも優れるゴルフボールを求めるユーザーは多い。
なお、本発明に関するその他の従来技術として、実開昭60−027945号公報(特許文献3)、実開昭53−129460号公報(特許文献4)等を例示することができる。しかしながら、これらの文献は、ゴルフボールの美的外観に関するものであり、少なくともスピン性能を改善し得るものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、スピン性能に優れ、ドライバーショットで低スピン、アプローチショットで高スピンとなるゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ディンプルには塗料層を有する一方、土手部(ディンプル以外の部分)には塗料層を有さず、これを完成品(製品)とするゴルフボールが、意外にも、ボールに大きな変形が加わるドライバーショットではディンプルの影響が大きいため低スピン化し得ると共に、ドライバーショットに比べてボールの変形が小さいアプローチショットでは、土手部の影響が大きいため高スピン化させることができ、状況に応じて最適なスピンを得ることができるスピン性能に優れたゴルフボールとなり得ることを知見し、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明は、以下のゴルフボールを提供する。
〔1〕コアと該コア上に成形された1層以上のカバーとを具備し、外層のカバー表面に多数のディンプルを有するゴルフボールにおいて、ディンプルに塗料層を有する一方、ディンプル以外のボール表面(土手部)には塗料層を有さず、外層カバーが露出していると共に、上記外層カバーを形成する材料の材料硬度がショアD硬度で60未満であり、かつ上記ディンプルの表面占有率(SR)が70〜85%であることを特徴とするゴルフボール。
〔2〕上記外層カバーが、ポリウレタン又はポリウレアからなる〔1〕記載のゴルフボール。
〔3〕上記外層カバーを形成するポリウレタン又はポリウレアが、熱可塑性ポリウレタン又は熱可塑性ポリウレアである〔2〕記載のゴルフボール。
〔4〕外層カバーを形成する材料の材料硬度がショアD硬度で58以下である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のゴルフボール。
〔5〕上記土手部が、ボール全体に塗料層を形成した後、該塗料層を除去することにより外層カバーを露出させたものである〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のゴルフボール。
〔6〕研磨により上記土手部の塗料層を除去することにより外層カバーを露出させた〔5〕記載のゴルフボール。
〔7〕上記外層カバーが、白色以外の色である〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のゴルフボール。
〔1〕コアと該コア上に成形された1層以上のカバーとを具備し、外層のカバー表面に多数のディンプルを有するゴルフボールにおいて、ディンプルに塗料層を有する一方、ディンプル以外のボール表面(土手部)には塗料層を有さず、外層カバーが露出していると共に、上記外層カバーを形成する材料の材料硬度がショアD硬度で60未満であり、かつ上記ディンプルの表面占有率(SR)が70〜85%であることを特徴とするゴルフボール。
〔2〕上記外層カバーが、ポリウレタン又はポリウレアからなる〔1〕記載のゴルフボール。
〔3〕上記外層カバーを形成するポリウレタン又はポリウレアが、熱可塑性ポリウレタン又は熱可塑性ポリウレアである〔2〕記載のゴルフボール。
〔4〕外層カバーを形成する材料の材料硬度がショアD硬度で58以下である〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のゴルフボール。
〔5〕上記土手部が、ボール全体に塗料層を形成した後、該塗料層を除去することにより外層カバーを露出させたものである〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載のゴルフボール。
〔6〕研磨により上記土手部の塗料層を除去することにより外層カバーを露出させた〔5〕記載のゴルフボール。
〔7〕上記外層カバーが、白色以外の色である〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のゴルフボール。
本発明のゴルフボールは、プレイの状況に応じて最適なスピン性能を発揮することができるものである。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボールは、ソリッドコア(以下、単に「コア」と表記することもある。)と、1層以上のカバーとを具備し、外層のカバーの表面に多数のディンプルを形成したゴルフボールであり、ディンプルの部分のみに塗料層(塗膜)を有する一方、ディンプル以外のボール表面(土手部)に塗料層を有さないことにより、ドライバーショット及びアイアンショット時のスピン性能を向上させたものである。
本発明のゴルフボールは、ソリッドコア(以下、単に「コア」と表記することもある。)と、1層以上のカバーとを具備し、外層のカバーの表面に多数のディンプルを形成したゴルフボールであり、ディンプルの部分のみに塗料層(塗膜)を有する一方、ディンプル以外のボール表面(土手部)に塗料層を有さないことにより、ドライバーショット及びアイアンショット時のスピン性能を向上させたものである。
本発明のゴルフボールの構成は、コアと1層以上のカバーとを備え、かつディンプルの部分のみに塗料層を有していればよく、本発明の目的を逸脱しない範囲において適宜設定し得るものである。例えば、内層カバー(中間層)及び外層カバーの2層のカバーを有するスリーピースソリッドゴルフボールである場合、図1に示すように、少なくともコア1と、該コア1を覆う内層カバー(中間層)2と、該内層カバー2を覆う外層カバー3とを具備する3層構造を有するものとなる。なお、ボールが2層以上のカバーを有する多層構造である場合、本発明では、全ての層を併せて「カバー」と表記することもある。即ち、図1に示したスリーピースソリッドゴルフボールGである場合は、上記の内層カバー(中間層)2と外層カバー3とを併せて「カバー」と表記することもある。上記外層カバー3の表面には、多数のディンプル41が形成されており、更にこのディンプル41には塗料層5が形成され、後述する本発明の諸要件を満足している。また、ボールG表面のディンプル41以外の部分は土手部42であり、塗料層は形成されていない。なお、図1では、コア1、内層カバー(中間層)2及び外層カバー3を形成して3層構造とした構成を示したが、上述した通り、その構成は、本発明の目的を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。例えば、必要に応じてカバーを外層カバー3のみの1層としたり、上記内層カバー(中間層)2を2層以上としてカバーを3層以上有する構成とすることもできる。また、コア1を複数層に形成することもできる。
本発明のゴルフボールを得る方法は、ディンプル41のみに塗料層(塗膜)5を有し、かつ土手部42に塗料層(塗膜)が無いものとすることができれば、特に制限されないが、図2に示す方法を好適に用いることができる。図2は、図1に示した本発明のゴルフボールGを得る方法の一例を説明する概略図であり、各工程を経た段階におけるディンプル周辺を拡大したものである。図2において、(a)は外層カバー形成工程、(b)は塗装工程、(c)は土手部の塗料層除去工程を経た段階におけるディンプルの状態をそれぞれ示す。なお、ここでは特に図示しないが、コア1や内層カバー2は、上記外層カバー形成工程の前段階として、通常の方法により形成されている。上記(a)〜(c)の各工程について以下に詳述する。
まず、(a)外層カバー形成工程は、内層カバー(中間層)2の周囲に外層カバー3を形成する工程である。本発明において、この外層カバー3は、公知の材料を用いて射出成形等により形成することができ、特に制限されるものではない。また、外層カバー3を形成すると同時に、その表面には多数のディンプル41が形成される。なお、外層カバー3の成形時に発生したパーティングラインのバリは、通常の方法により研磨処理を施すことで除去される。
(b)塗装工程は、上記外層カバー形成工程で得たボールGに塗装を施す工程であり、該工程によりボールGの表面全体に塗料層(塗膜)5’が形成される。この工程において使用される塗料としては、特に制限されないが、公知の塗料を使用することができ、硬さ、安定性、付着性、耐熱性等の観点から、ポリウレタン樹脂塗料やエポキシ樹脂塗料等を用いることができ、特にポリウレタン樹脂塗料を好適に用いることができる。また、塗装方法についても、公知の方法を採用することができ、特に制限されるものではないが、スプレー塗装等が好適に採用される。この工程で塗装されたボールGは、所定の条件で乾燥され、次工程に供される。また、塗装前のボールに対して、外層カバー3(ボール表面)と塗料層5との密着性を向上させるためにプラズマ処理等の前処理を行ってもよい。
(c)塗料層除去工程は、上記塗装工程で表面が塗装され、全体に塗料層5’を有するボールGから土手部42の塗料層5’を除去する工程である。上記塗料層5’の除去は、研磨処理により容易に行うことができ、本発明では、球面研磨機等の公知の研磨機を好適に使用することができる。この工程で土手部42の塗料層5’が除去され、ディンプル41にのみ塗料層5を有するゴルフボールGを得ることができる。なお、本発明では、この工程の後、従来のようなクリア塗装等を施すことはない。
また、上記塗料層5の厚さは、ボールの仕様に応じて適宜設定されるものであり、特に制限されるものではないが、0.012mm以上、好ましくは0.014mm以上とすることができる。また、厚さの上限も特に制限されるものではないが、0.040mm以下、好ましくは0.038mm以下とすることが推奨される。塗料層5の厚さが薄すぎると、塗料層5の耐久性が低下し、はがれ等の原因となることがあり、厚すぎた場合は、ディンプル41が浅くなってしまい、飛距離が低下してしまう場合がある。
本発明のゴルフボールは、上記の方法によって容易に得ることができる。この時、ボール全体の色彩は、特に制限されるものではないが、通常、多くのボールで採用される白色とすることができる。この場合、外層カバー3を白色とし、塗料層5を白色又は透明とすればよい。また、塗料層が無い土手部42で、土等による汚れや紫外線による変色等が目立つことが懸念される場合には、外層カバー3の色を白色以外にしてもよい。更に、上記外層カバー3及び塗料層5の色は、必ずしも同色である必要はなく、それぞれの色を異ならせることにより、ボールの美観及び視認性を更に向上させることもできる。
本発明では、このようにディンプル41にのみ塗料層5を有し、ディンプル以外のボール表面(土手部42)に塗料層を有さず、外層カバー3が露出していることによって、理由は定かではないが、ドライバーショットでは、ボールの変形が大きいため、クラブとディンプル41の塗料層5とが接触し、アプローチショットでは、ボールの変形が小さいので、クラブとディンプル41の塗料層5とが接触しない点で相違することが考えられる。そのため、ドライバーショットでは低スピン化し得、アプローチショットでは高スピン化させることができるものと推察される。
本発明のゴルフボールは、コアと1層以上のカバーとを備え、かつディンプルの部分のみに塗料層を有するものであるが、コア及びカバーを形成する材料及び各部の構造については、特に制限されるものではない。そこで、図1を参照しながら、コア及びカバーの詳細について説明する。
まず、コア1は、公知の基材ゴムに、共架橋剤、有機過酸化物、不活性充填剤、硫黄,有機硫黄化合物等を含有するゴム組成物を用いて形成することができる。この場合、該基材ゴムとしては、ポリブタジエンが好ましく用いられる。
また、上記の基材ゴムには、不飽和カルボン酸及びその金属塩等の共架橋剤、酸化亜鉛、硫酸バリウム及び炭酸カルシウム等の無機充填剤、ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩等の有機硫黄化合物、ジクミルパーオキサイドや1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物等を適宜配合することができる。また、必要により、市販品の老化防止剤等を適宜添加することができる。
上記コア1の直径は、特に制限されるものでないが、25〜42mmに設定することができる。この場合、好ましい下限値は28mm以上であり、より好ましくは31mm以上、更に好ましくは34mm以上である。また、好ましい上限値は41mm以下とすることができ、より好ましくは40mm以下、更に好ましくは39mm以下とすることができる。
次に、カバーについては、その層の数、材料硬度(ショアD)及び厚さは、本発明の目的を逸脱しない範囲において適宜設定し得るものであり、特に制限されるものではない。例えば、上記コア1の周囲に内層カバー(中間層)2及び外層カバー3の2層のカバーを形成して、図1に示すスリーピースソリッドゴルフボールGを作製する場合は、以下のように設定することができる。ここで、材料硬度(ショアD)とは、後述する所定の条件で得たシートについて、ASTM D2240に準じてタイプDデュロメータを用いて測定した硬度である。
まず、内層カバー2の厚さは、特に制限されるものではないが、0.8mm以上とすることができ、好ましくは1.2mm以上、より好ましくは1.6mm以上とすることができる。また、その上限は、2.5mm以下であり、好ましくは2.2mm以下、より好ましくは1.9mm以下であることが推奨される。
また、外層カバー3の材料硬度(ショアD)は、60未満とすることができ、好ましくは58以下とすることができ、より好ましくは56以下、更に好ましくは54以下であることが推奨される。また、その下限値は、特に制限されるものではないが、30以上とすることができ、好ましくは35以上、より好ましくは40以上とすることができる。外層カバー3の材料硬度(ショアD)が高すぎた場合は、アプローチショットにおけるスピン量増加効果が低下する場合があり、低すぎると、成形性及び研磨加工性が低下するため、生産性の低下を招く場合がある。
上記外層カバー3の厚さは、特に制限されるものではないが、0.3mm以上とすることができ、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上とすることができる。また、その上限は、2.5mm以下であり、好ましくは2.2mm以下、より好ましくは1.9mm以下であることが推奨される。
本発明のゴルフボールでは、コアを被覆するカバーは公知の材料にて形成することができ、例えば、アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂や各種の熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。この熱可塑性エラストマーの具体例としては、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
特に、本発明では、カバーの中の少なくとも1層がポリウレタン又はポリウレアを含有する樹脂組成物で形成されることが好適である。この場合、ポリウレタン又はポリウレアが樹脂組成物全体に占める割合は、特に制限されるものではないが、50質量%以上、好ましくは80質量%以上とすることができる。また、ポリウレタン又はポリウレアは、熱硬化型及び熱可塑型のいずれのものも用いることができる。本発明で用いるポリウレタン又はポリウレアについて以下に説明する。
ポリウレタン
本発明で用いられるポリウレタンの構造には、イソシアネート、長鎖ポリオール及び鎖延長剤が含まれる。ここで、長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられるポリウレタンの構造には、イソシアネート、長鎖ポリオール及び鎖延長剤が含まれる。ここで、長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ポリウレタンの製造方法は特に限定されず、長鎖ポリオール、鎖延長剤及びイソシアネートを使用して、公知のウレタン化反応を利用して、プレポリマー法、ワンショット法のいずれの方法で製造してもよい。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合により製造することが好ましい。
また、カバー材料としてポリウレタンを用いる場合、下記に示したポリウレタン材料(I)又はポリウレタン材料(II)を好適に使用することができる。これらの材料について以下に詳述する。
ポリウレタン材料(I)
この材料(I)は、下記(A)成分及び(B)成分を主成分とするものである。
(A)熱可塑性ポリウレタン材料
(B)1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたイソシアネート混合物
この材料(I)は、下記(A)成分及び(B)成分を主成分とするものである。
(A)熱可塑性ポリウレタン材料
(B)1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたイソシアネート混合物
カバーをこの材料(I)によって形成した場合には、より優れたフィーリング、コントロール性、耐カット性、耐擦過傷性、繰り返し打撃したときの割れ耐久性を有するゴルフボールを得ることができる。
次に、上記の各成分について説明する。
(A)熱可塑性ポリウレタン材料の構造は、高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、ハードセグメントを構成する鎖延長剤及びポリイソシアネートからなる。ここで、原料となる高分子ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、本発明では、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールを好適に使用し得る。ポリエステル系ポリオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリブタジエンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール等のアジペート系ポリオールやポリカプロラクトンポリオール等のラクトン系ポリオールを採用することができる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)及びポリ(テトラメチレングリコール)等が挙げられる。
(A)熱可塑性ポリウレタン材料の構造は、高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、ハードセグメントを構成する鎖延長剤及びポリイソシアネートからなる。ここで、原料となる高分子ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、本発明では、ポリエステル系ポリオール及びポリエーテル系ポリオールを好適に使用し得る。ポリエステル系ポリオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリブタジエンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール等のアジペート系ポリオールやポリカプロラクトンポリオール等のラクトン系ポリオールを採用することができる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)及びポリ(テトラメチレングリコール)等が挙げられる。
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限されるものではない。本発明では、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有し、かつ分子量が2,000以下である低分子化合物を用いることができ、その中でも炭素数2〜12の脂肪族ジオールを好適に用いることができる。具体的には、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等を挙げることができ、その中でも特に1,4−ブチレングリコールを好適に使用することができる。
ポリイソシアネート化合物としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明においては生産時の安定性と発現される物性とのバランスとの観点から、芳香族ジイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
上述した材料からなる熱可塑性ポリウレタン材料としては、市販品を好適に用いることができ、例えば、ディーアイシーバイエルポリマー社製の商品名「パンデックス」や、大日精化工業社製の商品名「レザミン」などを挙げることができる。
(B)イソシアネート混合物は、1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたものである。ここで、上記イソシアネート化合物(b−1)としては、従来公知のものを好適に用いることができ、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、反応性、作業安全性の面から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最適である。
また、前記熱可塑性樹脂(b−2)としては、吸水性が低く、熱可塑性ポリウレタン材料との相溶性に優れた樹脂が好ましい。このような樹脂として、例えばポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルエラストマー(ポリエーテル・エステルブロック共重合体、ポリエステル・エステルブロック共重合体等)が挙げられるが、反発弾性、強度の点からポリエステルエラストマー、中でもポリエーテル・エステルブロック共重合体が特に好ましい。
(B)イソシアネート混合物における熱可塑性樹脂(b−2):イソシアネート化合物(b−1)の配合比は、質量比で100:5〜100:100、特に100:10〜100:40であることが好ましい。熱可塑性樹脂(b−2)に対するイソシアネート化合物(b−1)の配合量が少なすぎると、(A)熱可塑性ポリウレタン材料との架橋反応に十分な添加量を得るためにはより多くの(B)イソシアネート混合物を添加しなくてはならず、熱可塑性樹脂(b−2)の影響が大きく作用することで材料の物性が不十分となる。一方、熱可塑性樹脂(b−2)に対するイソシアネート化合物(b−1)の配合量が多すぎると、イソシアネート化合物(b−1)が混練り中にすべり現象を起こし、(B)イソシアネート混合物の合成が困難となる。
(B)イソシアネート混合物は、例えば、熱可塑性樹脂(b−2)にイソシアネート化合物(b−1)を配合し、これらを温度130〜250℃のミキシングロール又はバンバリーミキサーで十分に混練して、ペレット化又は冷却後粉砕することにより得ることができる。イソシアネート混合物(B)としては、市販品を好適に用いることができ、例えば、商品名「クロスネートEM30」(大日精化工業社製)等が挙げられる。
上記材料(I)は、前述した(A)熱可塑性ポリウレタン材料及び(B)イソシアネート混合物を主成分とするものである。この材料(I)において、(A)熱可塑性ポリウレタン材料100質量部に対する(B)イソシアネート混合物の配合量は、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上とすることができる。また、配合量の上限は、100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下とすることができる。(A)熱可塑性ポリウレタン材料に対する(B)イソシアネート混合物の配合量が少なすぎると架橋効果が十分に発現せず、多すぎると未反応のイソシアネートが成形物に着色現象を起こさせるので好ましくない。
材料(I)には、必須成分ではないが、上述した(A)成分及び(B)成分に加えて他の成分(C)を配合することができる。このような他の成分としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン材料以外の熱可塑性高分子材料を挙げることができ、より具体的には、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレンブロックエラストマー、ポリエチレン、ナイロン樹脂等が例示される。上記(C)成分を配合する場合、その配合量は、カバー材の硬度の調整、反発性の改良、流動性の改良、接着性の改良などに応じて適宜選択され、特に制限されるものではないが、上記(A)成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上とすることができる。また、配合量の上限も特に制限されないが、上記(A)成分100質量部に対して、100質量部以下、好ましくは75質量部以下、更に好ましくは50質量部以下とすることができる。また、上記材料(I)には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができ、例えば、顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
上記材料(I)を用いてカバーを成形する場合、公知の成形方法を採用することができ、例えば、(A)熱可塑性ポリウレタン材料に(B)イソシアネート混合物を添加してドライミキシングし、得られた混合物を射出成形機に供給し、コアの周囲に溶融した樹脂組成物を射出する方法を採用することができる。この場合の成形温度は(A)熱可塑性ポリウレタン材料の種類によって異なるが、通常150〜250℃の範囲である。
上記のようにして得られたゴルフボールカバーの反応形態、架橋形態としては、熱可塑性ポリウレタン材料の残存OH基にイソシアネート基が反応してウレタン結合を形成したり、熱可塑性ポリウレタン材料のウレタン基にイソシアネート基の付加反応が生じ、アロファネート、ビュレット架橋形態を形成したりすると考えられる。この場合、材料(I)の射出成形直後は架橋反応が十分に進んでいないが、成形後にアニーリングを行うことにより架橋反応が進行し、ゴルフボールカバーとして有用な特性を保持するようになる。アニーリングとは、カバーを一定温度、一定時間で加熱熟成したり、室温で一定期間熟成したりすることを言う。
ポリウレタン材料(II)
この材料(II)は、(D)熱可塑性ポリウレタン及び(E)ポリイソシアネート化合物を主成分とする単一な樹脂配合物である。このようなポリウレタン材料(II)を主成分としてカバーを形成すると、反発性を損なうことなく、優れたフィーリング、コントロール性、耐カット性、耐擦過傷性、繰り返し打撃したときの割れ耐久性を得ることができる。
この材料(II)は、(D)熱可塑性ポリウレタン及び(E)ポリイソシアネート化合物を主成分とする単一な樹脂配合物である。このようなポリウレタン材料(II)を主成分としてカバーを形成すると、反発性を損なうことなく、優れたフィーリング、コントロール性、耐カット性、耐擦過傷性、繰り返し打撃したときの割れ耐久性を得ることができる。
ここで、「単一な」樹脂配合物とは、樹脂配合物を複数種のペレットとして供給するのではなく、複数の成分を1つのペレットに調製した1種類のペレットとして射出成形機等に供してカバーを成形することを意味する。
本発明の効果を十分有効に発揮させるためには、必要十分量の未反応のイソシアネート基がカバー樹脂材料中に存在すればよく、具体的には、上記の(D)成分と(E)成分とを合わせた合計質量が、カバー全体の質量の60%以上であることが推奨され、より好ましくは70%以上であることが推奨される。以下、上記(D)成分及び(E)成分について詳述する。
上記(D)熱可塑性ポリウレタンについて述べると、その熱可塑性ポリウレタンの構造は、長鎖ポリオールである高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、鎖延長剤及びポリイソシアネート化合物からなるハードセグメントとを含む。ここで、原料となる長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリエステル系ポリオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリブタジエンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール等のアジペート系ポリオールやポリカプロラクトンポリオール等のラクトン系ポリオールを採用することができる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、環状エーテルを開環重合して得られるポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)等を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの長鎖ポリオールの数平均分子量は、1,500〜5,000の範囲内であることが好ましい。かかる数平均分子量を有する長鎖ポリオールを使用することにより、上記した反発性や生産性などの種々の特性に優れた熱可塑性ポリウレタン組成物からなるゴルフボールを確実に得ることができる。長鎖ポリオールの数平均分子量は、1,700〜4,000の範囲内であることがより好ましく、1,900〜3,000の範囲内であることが更に好ましい。
なお、上記の数平均分子量とは、JIS−K1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である(以下、同様。)。
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する数平均分子量1,500以下の低分子化合物であることが好ましい。鎖延長剤としては、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖延長剤としては、これらのうちでも、炭素数2〜12の脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブチレングリコールがより好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明においては生産時の安定性と発現される物性とのバランスとの観点から、芳香族ジイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
上記(D)成分の熱可塑性ポリウレタンとして最も好ましいものは、長鎖ポリオールとしてポリエステルポリオール、鎖延長剤として脂肪族ジオール、ポリイソシアネート化合物として芳香族ジイソシアネートを用いて合成される熱可塑性ポリウレタンであって、上記ポリエーテルポリオールが数平均分子量1,900以上のポリテトラメチレングリコール、上記鎖延長剤が1,4−ブチレングリコール、上記芳香族ジイソシアネートが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのものであるが、特にこれらに限られるものではない。
また、上記ポリウレタン形成反応における活性水素原子:イソシアネート基の配合比は、上記した反発性、スピン性能、耐擦過傷性及び生産性などの種々の特性がより優れた熱可塑性ポリウレタン組成物からなるゴルフボールを得ることができるよう、好ましい範囲にて調整することができる。具体的には、上記の長鎖ポリオール、ポリイソシアネート化合物及び鎖延長剤とを反応させて熱可塑性ポリウレタンを製造するに当たり、長鎖ポリオールと鎖延長剤とが有する活性水素原子1モルに対して、ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が0.95〜1.05モルとなる割合で各成分を使用することが好ましい。
上記(D)成分の熱可塑性ポリウレタンの製造方法は特に限定されず、長鎖ポリオール、鎖延長剤及びポリイソシアネート化合物を使用して、公知のウレタン化反応を利用して、プレポリマー法、ワンショット法のいずれで製造してもよい。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合により製造することが好ましい。
具体的な(D)成分の熱可塑性ポリウレタンとしては、市販品を用いることもでき、例えば、商品名「パンデックスT8295」、「同T8290」、「同T8260」、「同T8283」(ディーアイシーバイエルポリマー社製)等が挙げられる。
次に、上記(E)成分として用いられるポリイソシアネート化合物については、単一な樹脂配合物中において少なくとも一部が、一分子中の全てのイソシアネート基が未反応状態で残存していることが必要である。即ち、単一な樹脂配合物中に一分子中のすべてのイソシアネート基が完全にフリーな状態であるポリイソシアネート化合物が存在すればよく、このようなポリイソシアネート化合物と、一分子中の一部がフリーな状態のポリイソシアネート化合物とが併存していてもよい。
このポリイソシアネート化合物としては、特に制限はないが、各種のイソシアネートを採用することができ、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。上記のイソシアネートの群のうち、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートを採用することが、(D)成分の熱可塑性ポリウレタンとの反応に伴う粘度上昇等による成形性への影響と、得られるゴルフボールカバー材料の物性とのバランスとの観点から好適である。
本発明ゴルフボールのカバーにおいて、必須成分ではないが、上記(D)及び(E)成分に加えて、更に(F)成分として、上記熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性エラストマーを配合することができる。この(F)成分を上記樹脂配合物に配合することにより、樹脂配合物の更なる流動性の向上や反発性、耐擦過傷性等、ゴルフボールカバー材として要求される諸物性を高めることができる。
上記(F)成分、上記熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性エラストマーとして具体的には、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレンブロックエラストマー、水添スチレンブタジエンゴム、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体又はその変性物、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体又はその変性物、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体又はその変性物、ABS樹脂、ポリアセタール、ポリエチレン及びナイロン樹脂から選ばれ、その1種又は2種以上を用いることができる。特に、生産性を良好に維持しつつ、イソシアネート基との反応により、反発性や耐擦過傷性が向上することなどの理由から、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー及びポリアセタールを採用することが好適である。
上記(D)、(E)及び(F)成分の組成比については、特に制限はないが、本発明の効果を十分に有効に発揮させるためには、質量比で(D):(E):(F)=100:2〜50:0〜50であることが好ましく、更に好ましくは、(D):(E):(F)=100:2〜30:8〜50(質量比)とすることである。
本発明では、(D)成分と(E)成分、更に任意成分の(F)成分を混合してカバー形成用の樹脂配合物を調製するが、その際、ポリイソシアネート化合物の少なくとも一部に、分子中の全てのイソシアネート基が未反応状態で残存するポリイソシアネート化合物が存在するような条件を選択する必要がある。例えば、窒素ガス等の不活性ガスや真空状態で混合すること等の処置を講ずる必要がある。この樹脂配合物は、その後に金型に配置されたコア周囲に射出成形されることになるが、その取り扱いを円滑かつ容易に行う理由から、長さ1〜10mm、直径0.5〜5mmのペレット状に形成することが好ましい。この樹脂ペレット中には、未反応状態のイソシアネート基が十分に残存しており、コアに射出成形している間やその後のアニーリング等の後処理により、未反応イソシアネート基は(D)成分や(F)成分と反応して架橋物を形成する。
更に、このカバー形成用の樹脂配合物には、必要に応じて、種々の添加剤を配合することができ、例えば、顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
上記樹脂配合物の210℃におけるメルトマスフローレート(MFR)値は、特に制限はないが、流動性及び生産性を高める点から、5g/10min以上が好ましく、より好ましくは、6g/10min以上である。樹脂配合物のメルトマスフローレートが少ないと流動性が低下してしまい、射出成形時に偏芯の原因となるだけでなく、成形可能なカバー厚みの自由度が低くなるおそれがある。なお、上記のメルトマスフローレートの測定値は、JIS−K7210(1999年版)に準拠した測定値である。
上記材料を用いてカバーを成形する方法としては、例えば、射出成形機に上述の樹脂配合物を供給し、コアの周囲に溶融した樹脂配合物を射出する方法を採用することができる。この場合、成形温度は、熱可塑性ポリウレタン等の種類によって異なるが、通常150〜250℃の範囲である。
なお、射出成形を行なう場合、樹脂供給部から金型内に至る樹脂経路の一部又は全ての個所において、窒素等の不活性ガス又は低露点ドライエア等の低湿度ガスによるパージ又は真空処理等により低湿度環境下で成形を行なうことが望ましいが、これに限定されるものではない。また、樹脂搬送時の圧送媒体としても、低露点ドライエア又は窒素ガス等の低湿度ガスが好ましいが、これらに限定されるものではない。上記の低湿度環境下で成形を行なうことにより、樹脂が金型内部に充填される前のイソシアネート基の反応の進行を抑制し、ある程度イソシアネート基が未反応状態の形態のポリイソシアネートを樹脂成形物に含めることにより、不要な粘度上昇等の変動要因を減少させ、また、実質的な架橋効率を向上させることができる。
なお、コア周囲に射出成形する前の樹脂配合物中における未反応状態のポリイソシアネート化合物の存在を確認する手法としては、該ポリイソシアネート化合物のみを選択的に溶解させる適当な溶媒により抽出し、確認する手法等が考えられるが、簡便な方法としては不活性雰囲気下での示差熱熱重量同時測定(TG−DTA測定)により確認する手法が挙げられる。例えば、本発明で用いられる樹脂配合物(カバー材料)を窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minにて加熱していくと、約150℃程度から緩やかなジフェニルメタンジイソシアネートの重量減少を確認することができる。一方、熱可塑性ポリウレタン材料とイソシアネート混合物との反応を完全に行った樹脂サンプルでは約150℃からの重量減少は確認されず、230〜240℃程度からの重量減少を確認することができる。
上記のように樹脂配合物を成形した後、アニーリングを行って架橋反応を更に進行させ、ゴルフボールカバーとしての特性を更に改良することも可能である。アニーリングとは、一定環境下で一定期間熟成させることをいう。
ポリウレア
ポリウレアは、(i)イソシアネートと(ii)アミン末端化合物との反応により生成するウレア結合を主体にした樹脂組成物である。この樹脂組成物について以下に詳述する。
ポリウレアは、(i)イソシアネートと(ii)アミン末端化合物との反応により生成するウレア結合を主体にした樹脂組成物である。この樹脂組成物について以下に詳述する。
(i)イソシアネート
イソシアネートは、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はなく、上記ポリウレタン材料で説明したものと同様のものを用いることができる。
イソシアネートは、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はなく、上記ポリウレタン材料で説明したものと同様のものを用いることができる。
(ii)アミン末端化合物
アミン末端化合物は、分子鎖の末端にアミノ基を有する化合物であり、本発明では、以下に示す長鎖ポリアミン及び/又はアミン系硬化剤を用いることができる。
アミン末端化合物は、分子鎖の末端にアミノ基を有する化合物であり、本発明では、以下に示す長鎖ポリアミン及び/又はアミン系硬化剤を用いることができる。
長鎖ポリアミンは、イソシアネート基と反応し得るアミノ基を分子中に2個以上有し、かつ数平均分子量が1,000〜5,000であるアミン化合物である。本発明では、より好ましい数平均分子量は1,500〜4,000であり、更に好ましくは1,900〜3,000である。この平均分子量の範囲であれば、反発性及び生産性等がより一層優れるものとなる。上記長鎖ポリアミンの具体例としては、アミン末端を持つ炭化水素、アミン末端を持つポリエーテル、アミン末端を持つポリエステル、アミン末端を持つポリカーボネート、アミン末端を持つポリカプロラクトン、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの長鎖ポリアミンは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
一方、アミン系硬化剤は、イソシアネート基と反応し得るアミノ基を分子中に2個以上有し、かつ数平均分子量が1000未満であるアミン化合物である。本発明では、より好ましい数平均分子量は800未満であり、更に好ましくは600未満である。上記アミン系硬化剤の具体例としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン、テトラヒドロキシプロピレンエチレンジアミン、2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンの誘導体、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン)、1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン)、ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジプロピレントリアミン、イミド−ビス−プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、イソホロンジアミン、4,4’−メチレンビス−(2−クロロアニリン)、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチルチオ−2,6−トルエンジアミン、4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン及びその誘導体、1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、N,N’−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、4,4’−メチレンビス−(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン)、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジエチルアニリン)、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、及びこれらの混合物をあげることができるが、これらに限定されない。これらのアミン系硬化剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(iii)ポリオール
ポリウレアには、必須成分ではないが、上述した(i)成分及び(ii)成分に加えて更にポリオールを配合することができる。本発明では、このポリオールとして、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はないが、具体例として、以下に示す長鎖ポリオール及び/又はポリオール系硬化剤を例示することができる。
ポリウレアには、必須成分ではないが、上述した(i)成分及び(ii)成分に加えて更にポリオールを配合することができる。本発明では、このポリオールとして、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はないが、具体例として、以下に示す長鎖ポリオール及び/又はポリオール系硬化剤を例示することができる。
長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記長鎖ポリオールの数平均分子量は、1,000〜5,000であることが好ましく、より好ましくは1,500〜4,000、更に好ましくは1,900〜3,000である。この平均分子量の範囲であれば、反発性及び生産性等がより一層優れるものとなる。
ポリオール系硬化剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限されるものではない。本発明では、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有し、かつ分子量が1000未満である低分子化合物を用いることができ、その中でも炭素数2〜12の脂肪族ジオールを好適に用いることができる。具体的には、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等を挙げることができ、その中でも特に1,4−ブチレングリコールを好適に使用することができる。また、上記ポリオール系硬化剤の、好ましい数平均分子量は800未満であり、より好ましくは600未満である。
上記ポリウレアには、必要に応じて、更に種々の添加剤を配合することができ、例えば、顔料、無機充填剤、分散剤、酸化防止剤,耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
上記ポリウレアの製造方法については、公知の方法を採用し得、プレポリマー法、ワンショット法等の公知の方法を適宜選択すればよい。
上記ポリウレタン材料(I)、(II)及びポリウレアを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、射出成形機に上述の材料を供給し、コアの周囲に射出する方法を採用することができる。この場合、成形温度は、配合等によって異なるが、通常150〜250℃の範囲である。
本発明では、上記の材料で形成したカバーの表面に、下記(1)〜(3)の条件を具備したディンプルを形成する。なお、下記(1)〜(3)のパラメータは、カバーを形成した後、ボール表面に対して仕上げ処理(塗装、スタンプ及び研磨処理等)が全て完了した製品ボールのディンプルの形状をもとに算出するものとする。
ディンプル条件(1)
ディンプル総数は、特に制限されるものではないが、250個以上,500個以下の範囲とすることができる。この場合、好ましい下限値は280個以上とすることができ、より好ましくは300個以上、更に好ましくは310個以上とすることができる。また、好ましい上限値は450個以下であり、より好ましくは420個以下、更に好ましくは400個以下である。
ディンプル総数は、特に制限されるものではないが、250個以上,500個以下の範囲とすることができる。この場合、好ましい下限値は280個以上とすることができ、より好ましくは300個以上、更に好ましくは310個以上とすることができる。また、好ましい上限値は450個以下であり、より好ましくは420個以下、更に好ましくは400個以下である。
ディンプル条件(2)
仮想球の表面積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の総面積が占める割合(ディンプル表面占有率)SRは、空気力学的性能の向上させる点から70%以上とすることが好ましく、より好ましくは72%以上、更に好ましくは74%以上である。また、SRの上限値は、85%以下とすることが好ましく、より好ましくは83%以下、更に好ましくは81%以下である。SRが上記範囲よりも低すぎると、空気力学特性を十分に得られないおそれがあり、更に土手部(塗料層が無い部分)の割合が多くなるので、カバーが変色した際に変色が目立ち外観が悪くなってしまう。一方、SRが高すぎた場合は、ドライバーショットにおけるスピン低減効果の低下を招くおそれがある。
仮想球の表面積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の総面積が占める割合(ディンプル表面占有率)SRは、空気力学的性能の向上させる点から70%以上とすることが好ましく、より好ましくは72%以上、更に好ましくは74%以上である。また、SRの上限値は、85%以下とすることが好ましく、より好ましくは83%以下、更に好ましくは81%以下である。SRが上記範囲よりも低すぎると、空気力学特性を十分に得られないおそれがあり、更に土手部(塗料層が無い部分)の割合が多くなるので、カバーが変色した際に変色が目立ち外観が悪くなってしまう。一方、SRが高すぎた場合は、ドライバーショットにおけるスピン低減効果の低下を招くおそれがある。
ディンプル条件(3)
ボール表面にディンプルがないと仮定した仮想球の体積に対する仮想球面下のディンプル空間体積の総和が占める割合(ディンプル体積占有率)VRは、特に制限されるものではないが、空気力学的性能の向上させる点から0.6〜1.5%とすることができる。
ボール表面にディンプルがないと仮定した仮想球の体積に対する仮想球面下のディンプル空間体積の総和が占める割合(ディンプル体積占有率)VRは、特に制限されるものではないが、空気力学的性能の向上させる点から0.6〜1.5%とすることができる。
ディンプルの形状については、円形に限られず、多角形、涙形、楕円型等から適宜選択することができる。また、ディンプル種を3種以上、好ましくは5種以上とすることで、球面をより高い割合で覆うことができる。また、大小のディンプルを混在させて表面占有率を所定範囲まで上げることにより、低速領域での極端なCL(揚力係数)の変動を抑えることができるため、ボールの弾道を比較的低弾道とすることができ、本発明の効果を発揮しやすくなる。この場合、特に制限されるものではないが、上記ディンプルの直径(多角形の場合は対角長)は0.5〜6mmとすることができ、ディンプルの深さは0.05〜0.5mmとすることができる。
本発明のゴルフボールは、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、直径42.67mm以上、重量45.93g以下に形成することができる。直径の好ましい上限値は44.0mm以下とすることができ、より好ましくは43.5mm以下、更に好ましくは43.0mm以下とすることができる。また、重量の好ましい下限値は44.5g以上とすることができ、より好ましくは45.0g以上、更に好ましくは45.1g以上、最も好ましくは45.2g以上であることが推奨される。
以上説明したように、本発明のゴルフボールは、カバーの外層表面に形成されるディンプルにのみ塗料層が形成され、ディンプル以外の外層表面(土手部)には塗料層が形成されず、これを完成品(製品)とするものであり、従来のようなクリア塗装等の仕上げ塗装が施されないものである。このような構成とすることにより、本発明のゴルフボールは、プレイの状況に応じて最適なスピン性能を発揮することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〜3,比較例1〜3〕
1.ソリッドコアの作製
下記表1に示すゴム組成物を調製した後、155℃、20分間の条件で加硫成形することにより直径37.7mmのソリッドコアを作製した。
1.ソリッドコアの作製
下記表1に示すゴム組成物を調製した後、155℃、20分間の条件で加硫成形することにより直径37.7mmのソリッドコアを作製した。
表1中に記載した材料の詳細は以下の通りである。
・ポリブタジエンゴム:JSR社製、商品名「BR730」 cis1,4−ポリブタジエン
・アクリル酸亜鉛:日本蒸留工業社製
・酸化亜鉛:堺化学工業社製 3種酸化亜鉛
・硫酸バリウム:堺化学工業社製、商品名「沈降性硫酸バリウム#100」
・老化防止剤:大内新興化学工業社製、商品名「ノクラックNS−6」
・ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩:ZHEJIANG CHO & FU CHEMICAL CO.,LTD.製
・過酸化物:日油社製、商品名「パーヘキサC−40」 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン
・ポリブタジエンゴム:JSR社製、商品名「BR730」 cis1,4−ポリブタジエン
・アクリル酸亜鉛:日本蒸留工業社製
・酸化亜鉛:堺化学工業社製 3種酸化亜鉛
・硫酸バリウム:堺化学工業社製、商品名「沈降性硫酸バリウム#100」
・老化防止剤:大内新興化学工業社製、商品名「ノクラックNS−6」
・ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩:ZHEJIANG CHO & FU CHEMICAL CO.,LTD.製
・過酸化物:日油社製、商品名「パーヘキサC−40」 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン
2.中間層及び外層カバーの形成
次いで、上記で作製したコアに、表2に示す中間層用材料と、表3に示す外層カバー用材料を射出成形により順次被覆し、コアの周囲に表4に示した厚さの中間層及び外層カバーを形成した。なお、外層カバー用材料は、表3に示した各原料(単位:質量部)を二軸スクリュー型押出機により窒素ガス雰囲気下で混練りすることにより調製した。ここで得られた材料は、長さ3mm、直径1〜2mmのペレット状であった。
次いで、上記で作製したコアに、表2に示す中間層用材料と、表3に示す外層カバー用材料を射出成形により順次被覆し、コアの周囲に表4に示した厚さの中間層及び外層カバーを形成した。なお、外層カバー用材料は、表3に示した各原料(単位:質量部)を二軸スクリュー型押出機により窒素ガス雰囲気下で混練りすることにより調製した。ここで得られた材料は、長さ3mm、直径1〜2mmのペレット状であった。
表2中に記載した材料の詳細は以下の通りである。
・ハイミラン1605:三井・デュポンポリケミカル社製、Naイオン性アイオノマー、酸含量15重量%、材料硬度(ショアD)65
・ダイナロン6100P:JSR社製オレフィン系熱可塑性エラストマー
・ベヘニン酸:日油社製、商品名「NAA−222S(粉末)」
・ポリテールH:三菱化学社製、低分子量のポリオレフィン系ポリオール
・水酸化カルシウム:白石カルシウム社製、商品名「CLS−B」
・ステアリン酸亜鉛:日油社製
・ハイミラン1605:三井・デュポンポリケミカル社製、Naイオン性アイオノマー、酸含量15重量%、材料硬度(ショアD)65
・ダイナロン6100P:JSR社製オレフィン系熱可塑性エラストマー
・ベヘニン酸:日油社製、商品名「NAA−222S(粉末)」
・ポリテールH:三菱化学社製、低分子量のポリオレフィン系ポリオール
・水酸化カルシウム:白石カルシウム社製、商品名「CLS−B」
・ステアリン酸亜鉛:日油社製
表3中に記載した材料の詳細は以下の通りである。
・パンデックスT8260:ディーアイシーバイエルポリマー社製、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、材料硬度(ショアD)60
・パンデックスT8295:ディーアイシーバイエルポリマー社製、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、材料硬度(ショアA)95
・パンデックスT8290:ディーアイシーバイエルポリマー社製、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、材料硬度(ショアA)90
・パンデックスT8283:ディーアイシーバイエルポリマー社製、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、材料硬度(ショアA)83
・ポリエチレンワックス:三洋化成工業社製、商品名「サンワックス161P」
・酸化チタン:石原産業社製、商品名「タイペークR550」
・パンデックスT8260:ディーアイシーバイエルポリマー社製、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、材料硬度(ショアD)60
・パンデックスT8295:ディーアイシーバイエルポリマー社製、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、材料硬度(ショアA)95
・パンデックスT8290:ディーアイシーバイエルポリマー社製、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、材料硬度(ショアA)90
・パンデックスT8283:ディーアイシーバイエルポリマー社製、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、材料硬度(ショアA)83
・ポリエチレンワックス:三洋化成工業社製、商品名「サンワックス161P」
・酸化チタン:石原産業社製、商品名「タイペークR550」
3.塗装工程
上記で得たスリーピースソリッドゴルフボールの表面に透明のポリウレタン樹脂塗料(亜細亜工業社製)をスプレー塗布した後、55℃で45分間加熱乾燥を行い、ボール表面に厚さ0.015mmの塗料層(塗膜)を有するスリーピースソリッドゴルフボールを得た。なお、この時点のボールを比較例1とした。
上記で得たスリーピースソリッドゴルフボールの表面に透明のポリウレタン樹脂塗料(亜細亜工業社製)をスプレー塗布した後、55℃で45分間加熱乾燥を行い、ボール表面に厚さ0.015mmの塗料層(塗膜)を有するスリーピースソリッドゴルフボールを得た。なお、この時点のボールを比較例1とした。
4.塗料層除去工程(研磨工程)
上記で得たゴルフボールの表面を球面研磨機を用いて研磨することにより土手部の塗料層を除去し、ディンプルのみに塗料層を有するスリーピースソリッドゴルフボールを得た。
上記で得たゴルフボールの表面を球面研磨機を用いて研磨することにより土手部の塗料層を除去し、ディンプルのみに塗料層を有するスリーピースソリッドゴルフボールを得た。
上記で得たゴルフボールの諸特性を下記の方法により調べ、その結果を表4に示す。
コア及び中間層被覆球体の外径
23±1℃の温度で、任意の表面5箇所を測定し、その平均値を1個のコア又は中間層被覆球体の測定値とし、測定個数5個のコア及び中間層被覆球体の平均値を求めた。
23±1℃の温度で、任意の表面5箇所を測定し、その平均値を1個のコア又は中間層被覆球体の測定値とし、測定個数5個のコア及び中間層被覆球体の平均値を求めた。
ボールの外径
23±1℃の温度で、任意のディンプルのない部分を15箇所測定し、その平均値を1個のボールの測定値とし、測定個数10個のボールの平均値を求めた。
23±1℃の温度で、任意のディンプルのない部分を15箇所測定し、その平均値を1個のボールの測定値とし、測定個数10個のボールの平均値を求めた。
ゴルフボールのたわみ量
ゴルフボールを、23±1℃の温度で、10mm/sの速度で圧縮し、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)に負荷した時までのたわみ量(mm)を計測し、測定個数10個のゴルフボールの平均値を求めた。
ゴルフボールを、23±1℃の温度で、10mm/sの速度で圧縮し、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)に負荷した時までのたわみ量(mm)を計測し、測定個数10個のゴルフボールの平均値を求めた。
カバー材料硬度(ショアD硬度)
カバー用の樹脂材料を、射出成形機により200〜220℃の範囲内の適切な温度で溶融し、厚み1mmのフィルムゲートを備えた射出成形用金型により、焼けやヒケ等が発生しないよう適切な条件で厚さ2mmのシート状に成形し、冷却温度20℃で20秒冷却後、取り出し、23±1℃の環境下で2週間保存した。試料を3枚、厚さ6mm以上に重ね合わせて、23±2℃の環境下で、タイプDデュロメータ(ASTM D2240−95に準拠)により、12箇所を測定した。測定値の最大・最小値を除外した10箇所の平均値を求めた。
カバー用の樹脂材料を、射出成形機により200〜220℃の範囲内の適切な温度で溶融し、厚み1mmのフィルムゲートを備えた射出成形用金型により、焼けやヒケ等が発生しないよう適切な条件で厚さ2mmのシート状に成形し、冷却温度20℃で20秒冷却後、取り出し、23±1℃の環境下で2週間保存した。試料を3枚、厚さ6mm以上に重ね合わせて、23±2℃の環境下で、タイプDデュロメータ(ASTM D2240−95に準拠)により、12箇所を測定した。測定値の最大・最小値を除外した10箇所の平均値を求めた。
スピン性能(ドライバー)
ゴルフ打撃ロボットにドライバーW#1をつけて、ヘッドスピード45m/sで打撃した時の初期バックスピン量を測定し、打撃数10発の平均値を求めた。打撃条件は、上記ヘッドスピードでブリヂストンスポーツ社製ゴルフボール「TourStage X−01B+」を打撃した時のボール初速が約65m/s、打ち出し角が約10.5°、初期バックスピン量が約2500rpmとなる条件に設定した。クラブはブリヂストンスポーツ社製「TourStage X−Drive405HR」(ロフト10.5°)を使用した。なお、上記スピン性能の判定基準は以下の通りである。
○:2550rpm未満
×:2550rpm以上
ゴルフ打撃ロボットにドライバーW#1をつけて、ヘッドスピード45m/sで打撃した時の初期バックスピン量を測定し、打撃数10発の平均値を求めた。打撃条件は、上記ヘッドスピードでブリヂストンスポーツ社製ゴルフボール「TourStage X−01B+」を打撃した時のボール初速が約65m/s、打ち出し角が約10.5°、初期バックスピン量が約2500rpmとなる条件に設定した。クラブはブリヂストンスポーツ社製「TourStage X−Drive405HR」(ロフト10.5°)を使用した。なお、上記スピン性能の判定基準は以下の通りである。
○:2550rpm未満
×:2550rpm以上
スピン性能(ウェッジ)
ゴルフ打撃ロボットにサンドウェッジをつけて、ヘッドスピード15m/sで打撃した時の初期バックスピン量を測定し、打撃数10発の平均値を求めた。打撃条件は、上記ヘッドスピードでブリヂストンスポーツ社製ゴルフボール「TourStage X−01B+」を打撃した時のボール初速が約10m/s、打ち出し角が約27°、初期バックスピン量が約3600rpmとなる条件に設定した。クラブはブリヂストンスポーツ社製「TourStage TW−03」(ロフト57°)を使用した。なお、上記スピン性能の判定基準は以下の通りである。
○:3500rpm以上
×:3500rpm未満
ゴルフ打撃ロボットにサンドウェッジをつけて、ヘッドスピード15m/sで打撃した時の初期バックスピン量を測定し、打撃数10発の平均値を求めた。打撃条件は、上記ヘッドスピードでブリヂストンスポーツ社製ゴルフボール「TourStage X−01B+」を打撃した時のボール初速が約10m/s、打ち出し角が約27°、初期バックスピン量が約3600rpmとなる条件に設定した。クラブはブリヂストンスポーツ社製「TourStage TW−03」(ロフト57°)を使用した。なお、上記スピン性能の判定基準は以下の通りである。
○:3500rpm以上
×:3500rpm未満
1 コア
2 内層カバー(中間層)
3 外層カバー
41 ディンプル
42 土手部
5 塗料層
G ゴルフボール
2 内層カバー(中間層)
3 外層カバー
41 ディンプル
42 土手部
5 塗料層
G ゴルフボール
Claims (7)
- コアと該コア上に成形された1層以上のカバーとを具備し、外層カバーの表面に多数のディンプルを有するゴルフボールにおいて、ディンプルに塗料層を有する一方、ディンプル以外のボール表面(土手部)には塗料層を有さず、外層カバーが露出していると共に、上記外層カバーを形成する材料の材料硬度がショアD硬度で60未満であり、かつ上記ディンプルの表面占有率(SR)が70〜85%であることを特徴とするゴルフボール。
- 上記外層カバーが、ポリウレタン又はポリウレアからなる請求項1記載のゴルフボール。
- 上記外層カバーを形成するポリウレタン又はポリウレアが、熱可塑性ポリウレタン又は熱可塑性ポリウレアである請求項2記載のゴルフボール。
- 外層カバーを形成する材料の材料硬度がショアD硬度で58以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴルフボール。
- 上記土手部が、ボール全体に塗料層を形成した後、該塗料層を除去することにより外層カバーを露出させたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴルフボール。
- 研磨により上記土手部の塗料層を除去することにより外層カバーを露出させた請求項5記載のゴルフボール。
- 上記外層カバーが、白色以外の色である請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴルフボール。
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-
2011
- 2011-08-09 JP JP2011173499A patent/JP2012040377A/ja not_active Withdrawn
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