JP2011078761A - ゴルフボール - Google Patents

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聡 松田
Hiroyuki Nagasawa
裕之 永沢
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Abstract

【解決手段】本発明は、コアと該コア上に形成された1層以上のカバー層を有し、該カバー層は樹脂組成物にて形成され温度40℃、湿度90%の条件下での72時間の吸湿促進試験における重量変化率が0.287%未満であることを特徴とするゴルフボールを提供する。
【効果】本発明のゴルフボールは、耐水蒸気透過性に良好なポリウレタンを使用することで、長期使用による重量変化率、初速低下を最小限に抑え、ボール品質を維持することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、コアと該コア上に成形された1層以上のカバー層を有するゴルフボールであり、更に詳述すると、水分等の吸収によるボール重量変化が小さく初速変化も少ないゴルフボールに関する。
ゴルフボールを長期間使用すると、水分等が吸収し、ボール初速等のボールの品質に大きな影響を及ぼすことが知られている。例えば、通常のポリウレタンカバーを使用したゴルフボールでは吸収による重量変化、初速低下がみられ、ゴルフボールの飛距離に大きな影響を及ぼす。
また、米国特許第7358320号明細書には、フッ素含有アミンを使用することで水蒸気透過性を改善させたポリウレアをカバー材に用いたゴルフボールが記載されている。このゴルフボールは、フッ素を含有することで水蒸気透過性を改善させるものであるが、フッ素の影響により中間層やコア等との密着性が悪くなり、その結果、耐久性の低下を招くおそれがあった。
米国特許第7358320号明細書
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、耐水蒸気透過性が改善されたポリウレタンを使用することにより、重量変化率及び初速低下を改善したゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、コアに1層以上のカバー層が被覆されたゴルフボールにおいて、温度40℃、湿度90%の条件下での72時間の吸湿促進試験におけるボール重量変化率が0.287%未満であるゴルフボールは、初速低下を最小限に抑え、耐久性等の品質を良好に維持することができ、上記課題を解決するゴルフボールとなり得ることを知見し、本発明をなすに至った。特に、上記カバー層のうち少なくとも1層がポリウレタン又はポリウレアを含有する樹脂組成物を用いる場合、ポリエーテル系ポリオールよりポリエステル系ポリオールを用いる方が、ボールの重量変化率及び初速低下を最小限に抑え、本発明の効果を有効に発揮し得ることを知見したものである。
従って、本発明は、下記のゴルフボールを提供する。
[1]コアと該コア上に形成された1層以上のカバー層を有し、温度40℃、湿度90%の条件下での72時間の吸湿促進試験におけるボール重量変化率が0.287%未満であることを特徴とするゴルフボール。
[2]上記カバー層のうち少なくとも1層がポリウレタン又はポリウレアを含有する樹脂組成物にて形成される[1]記載のゴルフボール。
[3]上記カバー層を構成するポリウレタン又はポリウレアが、ソフトセグメント成分としてエステル系ポリオール又はエステル系アミン末端成分を含む[2]記載のゴルフボール。
[4]上記カバー層を構成するポリウレタン又はポリウレアが、ラクトン系ポリオール、アジペート系ポリオール、ラクトン系アミン末端化合物及びアジペート系アミン末端化合物の群から選ばれる少なくとも1つを含む[3]記載のゴルフボール。
[5]上記カバー層を構成するポリウレタンがラクトン系ポリオールを含む[4]記載のゴルフボール。
[6]上記カバー層に無機フィラーを含有する[1]〜[5]のいずれか1項記載のゴルフボール。
[7]上記無機フィラーが板状フィラーである[6]記載のゴルフボール。
[8]上記板状フィラーがカバー層成分中に0〜50質量%含有する[7]記載のゴルフボール。
[9]上記板状フィラーがカバー層成分中に5〜40質量%含有する[7]記載のゴルフボール。
[10]上記板状フィラーがカバー層成分中に10〜30質量%含有する[7]記載のゴルフボール。
[11]上記カバー層を構成するポリウレタン又はポリウレアが熱硬化型、熱可塑性又は反応射出成型である[2]記載のゴルフボール。
[12]上記カバー層を構成するポリウレタンが熱可塑性ポリウレタンである[2]記載のゴルフボール。
[13]上記カバー層を構成する樹脂組成物が、熱可塑性ポリウレタンと、1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物とからなる[12]記載のゴルフボール。
[14]上記カバー層を構成する樹脂組成物が、熱可塑性ポリウレタン及びポリイソシアネート化合物を主成分とする単一な樹脂配合物であり、上記樹脂配合物中には、少なくとも一部に、一分子中の全てのイソシアネート基が未反応状態で残存してなるポリイソシアネート化合物が存在する[12]記載のゴルフボール。
[15]上記カバー層を構成するポリウレタン又はポリウレアがショアD硬度30〜70の硬度を有し、曲げ弾性率が30〜400MPaである[2]記載のゴルフボール。
[16]コアと該コア上に成形された単層のカバー層からなるツーピースソリッドゴルフボールである[1]〜[15]のいずれか1項記載のゴルフボール。
本発明のゴルフボールは、耐水蒸気透過性が改善されたポリウレタン等を使用することで、水分等の吸収による重量変化率、初速低下を最小限に抑え、ボール品質を維持することができる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボールは、特に図示してはいないが、少なくとも1層のコアと、これを被覆する少なくとも1層のカバーを具備する。そして、温度40℃、湿度90%の条件下での72時間の吸湿促進試験におけるボール重量変化率が0.287%未満であることが必要であり、好ましくは0.250%未満である。ゴルフボールの重量(重さ)は、通常、44.8〜45.8gであるが、重量が大きく変化すると初速度が大幅に低下する。従って、水分等の吸収による重量変化を小さくするために耐水蒸気透過性が良好なカバー材料を用いることが好適である。
なお、上記のボール重量変化率の測定は、恒温恒湿槽を用いて、温度40℃、湿度90%にて72時間放置し、1時間の安定時間後に、ゴルフボールの重量変化率を示す。また、ゴルフボールの重量変化率の測定は、完成品のゴルフボールを対象とし、カバー表面に塗装が施される場合には、その塗装も含めたゴルフボールを意味する。
本発明のゴルフボールにおいて、コアを被覆するカバー層は公知の材料にて形成することができ、例えば、アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂や各種の熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。熱可塑性エラストマーとして具体的には、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
特に、本発明では、カバー層の少なくとも1層がポリウレタン又はポリウレアを含有する樹脂組成物にて形成されることが好適である。この場合、ポリウレタン又はポリウレアが樹脂組成物全体に占める割合は、50質量%以上、好ましくは80質量%以上である。また、ポリウレタン又はポリウレアは、熱硬化型、熱可塑性又は反応射出成型であることがより好ましい。本発明で用いるポリウレタン又はポリウレアについて以下に説明する。
ポリウレタン
本発明で用いられるポリウレタンの構造には、イソシアネート、長鎖ポリオール及び鎖延長剤が含まれる。ここで、長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中では、本発明の効果を有効に発揮させる点から、ポリエステルポリオールを用いることが好ましい。即ち、ポリエーテル系ポリウレタンよりポリエステル系ポリウレタンを用いる方が、ボールの重量変化率及び初速低下が小さくなる知見に基づくものである。
上記ポリウレタンの製造方法は特に限定されず、長鎖ポリオール、鎖延長剤およびイソシアネートを使用して、公知のウレタン化反応を利用して、プレポリマー法、ワンショット法のいずれかの方法で製造してもよい。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合により製造することが好ましい。
また、カバー材料としてポリウレタンを用いる場合、下記に示したポリウレタン材料(I)、またはポリウレタン材料(II)を使用することができる。これらの材料については以下に詳述する。
ポリウレタン材料(I)
この材料(I)は、下記(A)成分及び(B)成分を主成分とするカバー成形材料(C)である。
(A)熱可塑性ポリウレタン材料
(B)1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたイソシアネート混合物
カバーを上述した(C)カバー成形材料によって形成した場合には、より優れたフィーリング、コントロール性、耐カット性、耐擦過傷性、繰り返し打撃したときの割れ耐久性を有するゴルフボールを得ることができる。
次に、上記成分(A)〜(C)について説明する。
(A)熱可塑性ポリウレタン材料の構造は、高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、ハードセグメントを構成する鎖延長剤およびポリイソシアネートからなる。ここで、原料となる高分子ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、ポリエステル系とポリエーテル系があり、ボール重量変化率及び初速度低下を最小限に抑える点で、ポリエステル系の方がポリエーテル系に比べて好ましく使用される。ポリエステル系ポリオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリブタジエンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール等のアジペート系ポリオールやポリカプロラクトンポリオール等のラクトン系ポリオールを採用することができる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)及びポリ(テトラメチレングリコール)等が挙げられる。
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量2000以下の低分子化合物であることが好ましい。鎖延長剤としては、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖延長剤としては、これらのうちでも、炭素数2〜12の脂肪族ジオールが好ましく、特に好ましくは1,4−ブチレングリコールである。
ポリイソシアネート化合物としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−(又は)2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明においては生産時の安定性と発現される物性とのバランスとの観点から、芳香族ジイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
上述した材料からなる熱可塑性ポリウレタン材料としては、市販品を好適に用いることができ、例えば、ディーアイシーバイエルポリマー(株)製の商品名「パンデックス」や、大日精化工業(株)製の商品名「レザミン」などを挙げることができる。
(B)イソシアネート混合物は、1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたものである。ここで、上記イソシアネート化合物(b−1)としては、従来の熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ただし、反応性、作業安全性の面から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最適である。
また、前記熱可塑性樹脂(b−2)としては、吸水性が低く、熱可塑性ポリウレタン材料との相溶性に優れた樹脂が好ましい。このような樹脂として、例えばポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルエラストマー(ポリエーテル・エステルブロック共重合体、ポリエステル・エステルブロック共重合体等)が挙げられるが、反発弾性、強度の点からポリエステルエラストマー、中でもポリエーテル・エステルブロック共重合体が特に好ましい。
(B)イソシアネート混合物における熱可塑性樹脂(b−2):イソシアネート化合物(b−1)の配合比は、重量比で100:5〜100:100、特に100:10〜100:40であることが好ましい。熱可塑性樹脂(b−2)に対するイソシアネート化合物(b−1)の配合量が少なすぎると、(A)熱可塑性ポリウレタン材料との架橋反応に充分な添加量を得るためにはより多くの(B)イソシアネート混合物を添加しなくてはならず、熱可塑性樹脂(b−2)の影響が大きく作用することで(C)カバー成形材料の物性が不充分となる。熱可塑性樹脂(b−2)に対するイソシアネート化合物(b−1)の配合量が多すぎると、イソシアネート化合物(b−1)が混練り中にすべり現象を起こし、(B)イソシアネート混合物の合成が困難となる。
(B)イソシアネート混合物は、例えば、熱可塑性樹脂(b−2)にイソシアネート化合物(b−1)を配合し、これらを温度130〜250℃のミキシングロールまたはバンバリーミキサーで充分に混練して、ペレット化または冷却後粉砕することにより得ることができる。イソシアネート混合物(B)としては、市販品を好適に用いることができ、例えば大日精化工業(株)製クロスネートEM30などが挙げられる。
(C)カバー成形材料は、前述した(A)熱可塑性ポリウレタン材料及び(B)イソシアネート混合物を主成分とするものである。(C)カバー成形材料において、(A)熱可塑性ポリウレタン材料100質量部に対する(B)イソシアネート混合物の配合量は、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上であり、上限としては、100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。(A)熱可塑性ポリウレタン材料に対する(B)イソシアネート混合物の配合量が少なすぎると架橋効果が充分に発現せず、多すぎると未反応のイソシアネートが成形物に着色現象を起こさせるので好ましくない。
(C)カバー成形材料には、上述した成分に加えて他の成分を配合することができる。このような他の成分として、例えば熱可塑性ポリウレタン材料以外の熱可塑性高分子材料を挙げることができ、例えばポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレンブロックエラストマー、ポリエチレン、ナイロン樹脂等を配合することができる。この場合、熱可塑性ポリウレタン材料以外の熱可塑性高分子材料の配合量は、必須成分である熱可塑性ポリウレタン材料100質量部に対して、好ましくは10質量部以上であり、上限としては、100質量部以下、好ましくは75質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下であり、カバー材の硬度の調整、反発性の改良、流動性の改良、接着性の改良などに応じて適宜選択される。更に、(C)カバー成形材料には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができ、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
(C)カバー成形材料を用いたカバーの成形では、例えば、(A)熱可塑性ポリウレタン材料に(B)イソシアネート混合物を添加してドライミキシングし、この混合物を用いて射出成形機によりコアの周囲にカバーを成形することができる。成形温度は(A)熱可塑性ポリウレタン材料の種類によって異なるが、通常150〜250℃の範囲で行われる。
上記のようにして得られたゴルフボールカバーの反応形態、架橋形態としては、熱可塑性ポリウレタン材料の残存OH基にイソシアネート基が反応してウレタン結合を形成したり、熱可塑性ポリウレタン材料のウレタン基にイソシアネート基の付加反応が生じ、アロファネート、ビュレット架橋形態を形成したりすると考えられる。この場合、(C)カバー成形材料の射出成形直後は架橋反応が充分に進んでいないが、成形後にアニーリングを行うことにより架橋反応が進行し、ゴルフボールカバーとして有用な特性を保持するようになる。アニーリングとは、カバーを一定温度、一定時間で加熱熟成したり、室温で一定期間熟成したりすることを言う。
ポリウレタン材料(II)
この材料(II)は、(D)熱可塑性ポリウレタン及び(E)ポリイソシアネート化合物を主成分とする樹脂配合物の成形物にて形成するものである。このようなポリウレタン材料を主成分としてカバーを形成すると、反発性を損なうことなく、優れたフィーリング、コントロール性、耐カット性、耐擦過傷性、繰り返し打撃したときの割れ耐久性を得ることができる。
上記カバーは、熱可塑性ポリウレタンを主体としたものであり、(D)熱可塑性ポリウレタン及び(E)ポリイソシアネート化合物を主成分とする樹脂配合物から形成される。
本発明の効果を十分有効に発揮させるためには、必要十分量の未反応のイソシアネート基がカバー樹脂材料中に存在すればよく、具体的には、上記の(D)成分と(E)成分とを合わせた合計重量が、カバー全体の重量の60%以上であることが推奨されるものであり、より好ましくは、70%以上である。上記(D)成分及び(E)成分については以下に詳述する。
上記(D)熱可塑性ポリウレタンについて述べると、その熱可塑性ポリウレタンの構造は、長鎖ポリオールからなるソフトセグメントと、鎖延長剤およびポリイソシアネート化合物からなるハードセグメントとを含む。ここで、原料となる長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、ボールの重量変化率及び初速度低下を最小限に抑えることができる点で、ポリエステルポリオールを用いることが好適である。
ポリエステル系ポリオールとしては、具体的には、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリブタジエンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール等のアジペート系ポリオールやポリカプロラクトンポリオール等のラクトン系ポリオールを採用することができる。
また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、環状エーテルを開環重合して得られるポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(テトラメチレングリコール)、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などを挙げることができる。ポリエーテルポリオールとしては1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの長鎖ポリオールの数平均分子量としては1,500〜5,000の範囲内であることが好ましい。かかる数平均分子量を有する長鎖ポリオールを使用することにより、上記した反発性や生産性などの種々の特性に優れた熱可塑性ポリウレタン組成物からなるゴルフボールを確実に得ることができる。長鎖ポリオールの数平均分子量は、1,700〜4,000の範囲内であることがより好ましく、1,900〜3,000の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、上記の長鎖ポリオールの数平均分子量とは、JIS−K1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量2000以下の低分子化合物であることが好ましい。鎖延長剤としては、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖延長剤としては、これらのうちでも、炭素数2〜12の脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブチレングリコールがより好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−(又は)2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明においては生産時の安定性と発現される物性とのバランスとの観点から、芳香族ジイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
上記(D)成分の熱可塑性ポリウレタンとして最も好ましいものは、長鎖ポリオールとしてポリエステルポリオール、鎖延長剤として脂肪族ジオール、ポリイソシアネート化合物として芳香族ジイソシアネートを用いて合成される熱可塑性ポリウレタンであって、更に、上記鎖延長剤が1,4−ブチレングリコール、上記芳香族ジイソシアネートが4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのものであるが、特にこれらに限られるものではない。
また、上記ポリウレタン形成反応における活性水素原子:イソシアネート基の配合比は、上記した反発性、スピン性能、耐擦過傷性および生産性などの種々の特性がより優れた熱可塑性ポリウレタン組成物からなるゴルフボールを得ることができるよう、好ましい範囲にて調整することができる。具体的には、上記の長鎖ポリオール、ポリイソシアネート化合物および鎖延長剤とを反応させて熱可塑性ポリウレタンを製造するに当たり、長鎖ポリオールと鎖延長剤とが有する活性水素原子1モルに対して、ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基が0.95〜1.05モルとなる割合で各成分を使用することが好ましい。
上記(D)成分の熱可塑性ポリウレタンの製造方法は特に限定されず、長鎖ポリオール、鎖延長剤およびポリイソシアネート化合物を使用して、公知のウレタン化反応を利用して、プレポリマー法、ワンショット法のいずれで製造してもよい。そのうちでも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いて連続溶融重合により製造することが好ましい。
具体的な(D)成分の熱可塑性ポリウレタンとしては、市販品を用いることもでき、例えば、「パンデックス」(ディーアイシーバイエルポリマー社製)などが挙げられる。
次に、上記(E)成分として用いられるポリイソシアネート化合物については、単一な樹脂配合物中において少なくとも一部が、一分子中の全てのイソシアネート基が未反応状態で残存していることが必要である。即ち、単一な樹脂配合物中に一分子中のすべてのイソシアネート基が完全にフリーな状態であるポリイソシアネート化合物が存在すればよく、このようなポリイソシアネート化合物と、一分子中の一部がフリーな状態のポリイソシアネート化合物とが併存していてもよい。
このポリイソシアネート化合物としては、特に制限はないが、各種のイソシアネートを採用することができ、具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−(又は)2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。上記のイソシアネートの群のうち、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートを採用することが、(D)成分の熱可塑性ポリウレタンとの反応に伴う粘度上昇等による成形性への影響と、得られるゴルフボールカバー材料の物性とのバランスとの観点から好適である。
上記(D)及び(E)成分に、(F)成分として、上記熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性エラストマーを配合することができる。この(F)成分を上記樹脂配合物に配合することにより、樹脂配合物の更なる流動性の向上や反発性、耐擦過傷性等、ゴルフボールカバー材として要求される諸物性を高めることができる。
上記(F)成分として、上記熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性エラストマーとして、具体的には、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレンブロックエラストマー、水添スチレンブタジエンゴム、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体又はその変性物、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体又はその変性物、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体又はその変性物、ABS樹脂、ポリアセタール、ポリエチレン及びナイロン樹脂から選ばれ、その1種又は2種以上を用いることができる。特に、生産性を良好に維持しつつ、イソシアネート基との反応により、反発性や耐擦過傷性が向上することなどの理由から、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー及びポリアセタールを採用することが好適である。
上記(D)、(E)及び(F)成分の組成比については、特に制限はないが、本発明の効果を十分に有効に発揮させるためには、重量比で(D):(E):(F)=100:2〜50:0〜50であることが好ましく、さらに好ましくは、(D):(E):(F)=100:2〜30:8〜50(重量比)とすることである。
上記(D)成分と(E)成分、更に加えて(F)成分を混合して樹脂配合物を作成するが、その際、ポリイソシアネート化合物のうち、少なくとも一部に、全てのイソシアネート基が未反応状態で残存するポリイソシアネート化合物が存在するような条件を選択する必要がある。例えば、窒素ガス等の不活性ガスや真空状態で混合すること等の処置を講ずる必要がある。この樹脂配合物は、その後に金型に配置されたコア周囲に射出成形されることになるが、その取り扱いを円滑かつ容易に行う理由から、長さ1〜10mm、直径0.5〜5mmのペレット状に形成することが好ましい。この樹脂ペレット中には、未反応状態のイソシアネート基が残存しており、コアに射出成形している間やその後のアニーリング等の後処理により、未反応イソシアネート基は(D)成分や(F)成分と反応して架橋物を形成する。
さらに、上記の樹脂配合物には、必要に応じて、上記の熱可塑性ポリウレタンを構成する成分以外の種々の添加剤を配合することができ、例えば、顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
上記樹脂配合物の210℃におけるメルトマスフローレート(MFR)値は、特に制限はないが、流動性及び生産性を高める点から、5g/10min以上が好ましく、より好ましくは、6g/10min以上である。樹脂配合物のメルトマスフローレートが少ないと流動性が低下してしまい、射出成形時に偏芯の原因となるだけでなく、成形可能なカバー厚みの自由度が低くなるおそれがある。なお、上記のメルトマスフローレートの測定値は、JIS−K7210(1999年版)に準拠した測定値である。
上記材料を用いてカバーを成形する方法としては、例えば、射出成形機に上述の樹脂配合物を供給し、コアの周囲に溶融した樹脂配合物を射出することによりカバーを成形することができる。この場合、成形温度としては熱可塑性ポリウレタン等の種類によって異なるが、通常150〜250℃の範囲である。
なお、射出成形を行なう場合、樹脂供給部から金型内に至る樹脂経路の一部又は全ての個所において、窒素等の不活性ガス又は低露点ドライエア等の低湿度ガスによるパージまたは真空処理等により低湿度環境下で成形を行なうことが望ましいが、これに限定されるものではない。また、樹脂搬送時の圧送媒体としても、低露点ドライエアまたは窒素ガス等の低湿度ガスが好ましいが、これらに限定されるものではない。上記の低湿度環境下で成形を行なうことにより、樹脂が金型内部に充填される前のイソシアネート基の反応の進行を抑制し、ある程度イソシアネート基が未反応状態の形態のポリイソシアネートを樹脂成形物に含めることにより、不要な粘度上昇等の変動要因を減少させ、また、実質的な架橋効率を向上させることができる。
なお、コア周囲に射出成形する前の樹脂配合物中における未反応状態のポリイソシアネート化合物の存在を確認する手法としては、該ポリイソシアネート化合物のみを選択的に溶解させる適当な溶媒により抽出し、確認する手法等考えられるが、簡便な方法としては不活性雰囲気下での示差熱熱重量同時測定(TG−DTA測定)により確認する手法が挙げられる。例えば、本発明で用いられる樹脂配合物(カバー材料)を窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minにて加熱していくと、約150℃程度から緩やかなジフェニルメタンジイソシアネートの重量減少を確認することができる。一方、熱可塑性ポリウレタン材料とイソシアネート混合物との反応を完全に行った樹脂サンプルでは約150℃からの重量減少は確認されず、230〜240℃程度からの重量減少を確認することができる。
上記のように樹脂配合物を成形した後、アニーリングを行って架橋反応を更に進行させ、ゴルフボールカバーとしての特性を更に改良することも可能である。アニーリングとは、一定環境下で一定期間熟成させることをいう。
ポリウレア
また、イソシアネートとアミン末端化合物との反応により生成するウレア結合を主体にしたポリウレアを用いることもできる。ポリウレアには、(i)イソシアネート、(ii)長鎖ポリオール及び/又は長鎖ポリアミン、および(iii)ポリオール及び/又はアミン系硬化剤を含む組成物からなる。
ポリオールとしては、ボール製品の重量変化率及び初速低下を最小限に抑えるためにエステル系ポリオールを用いることが好適であり、具体的には、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリプロピレンアジペートグリコール、ポリブタジエンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール等のアジペート系ポリオールやポリカプロラクトンポリオール等のラクトン系ポリオールを採用することができる。
イソシアネートについては、上記ポリウレタンで説明したのと同様である。
アミン末端化合物
アミン末端化合物としては、特に制限ないが、ε−カプロラクトンをジアミンやグリコールを重合開始剤として重合することによって得られたポリカプロラクトンを使用することができる。ジアミンとしては、例えば、ビス(2−アミノエチル)エーテル、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ポリオキシエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、トリメチロールプロパンを主成分とするトリアミン、ネオペンチルジアミン、ヘキサンジアミンポリテトラメチレンエーテルジアミン及びこれらの混合物が挙げられる。
ポリウレタン又はポリウレアを含有する樹脂組成物には、上記の各成分のほか、顔料,分散剤、酸化防止剤,耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤などの各種の添加剤を使用することもできる。
上記のポリオール又はアミン末端化合物の数平均分子量については、好ましくは1000〜5000であり、より好ましくは1500〜4000、更に好ましくは1900〜3000である。この平均分子量の範囲であれば、反発性及び生産性等がより一層優れるものとなる。
上記ポリウレアの製造方法については、特に限定されず、長鎖ポリアミン、鎖延長剤及びイソシアネートを使用して、プレポリマー法、ワンショット法のいずれかの方法で製造してもよい。
上記カバー層を構成するポリウレタン又はポリウレアの物性については、特に制限はないが、ショアD硬度で30〜70、曲げ弾性率が30〜400MPaの範囲のものを用いることが好適である。
また、カバー層の硬度については、ショアD硬度で、好ましくは30〜70、より好ましくは45〜65である。なお、カバー層のショアD硬度とは、射出成形により作成した樹脂シートでのショアD硬度を意味するものであり、ASTM D2240に準拠して測定した値を意味する。
本発明のカバー層の少なくとも1層には、無機フィラーを含有することができ、特に、マイカ、タルク、ガラス等の板状フィラーを含有させることができる。この場合、使用される板状フィラーの厚さは1〜10μm、粒径は5〜1000μmの範囲である。板状フィラーの厚さが粒径を超えないことが好ましい。また、板状フィラーはカバー層全量の0〜50質量%の範囲で配合することが好ましく、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜30質量%配合する。この配合量が少ないと、カバー層による水蒸気遮蔽効果が低くなり、配合量が多すぎると、ボールの耐擦過傷性が悪化する場合がある。
本発明のゴルフボールのカバー層を成形する方法としては、例えば、射出成形機に上述のカバー材を供給し、コアの周囲に溶融したカバー材を射出することでカバー層を成形することができる。成形温度としては熱可塑性ポリウレタン等の種類によって異なるが、通常150〜250℃の範囲である。
本発明のゴルフボールに使用されるコアについては特に制限はなく、例えばツーピースボール用ソリッドコア、複数の加硫ゴム層を持つソリッドコア、複数の樹脂層を持つソリッドコア、糸ゴム層を有する糸巻きコアといった種々のコアが使用可能である。コアの外径、重量(重さ)、硬度、材質等についても制限はない。
上記コアは、公知のゴム材料を基材として形成することができる。基材ゴムとしては、天然ゴム又は合成ゴムの公知の基材ゴムを使用することができ、より具体的には、ポリブタジエン、特にシス構造を少なくとも40%以上有するシス1,4−ポリブタジエンを主に使用することが推奨される。また、基材ゴム中には、所望により上述したポリブタジエンと共に、天然ゴム,ポリイソプレンゴム,スチレンブタジエンゴムなどを併用することができる。また、ポリブタジエンは、Nd触媒の希土類元素系触媒,コバルト触媒及びニッケル触媒等の金属触媒により合成することができる。
また、上記の基材ゴムには、不飽和カルボン酸及びその金属塩等の共架橋剤,酸化亜鉛,硫酸バリウム,炭酸カルシウム等の無機充填剤、ジクミルパーオキサイドや1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物等を配合することができる。また、必要により、市販品の老化防止剤等を適宜添加することができる。
また、本発明ゴルフボールにおいて、コアとカバー層との間に中間層を含む構成とする場合、かかる中間層の硬度、材質、厚み等にも特に制限はない。なお、中間層材料としてアイオノマーを使用した場合には水蒸気透過性を大きく改善することができる。
本発明のゴルフボールは、常法に従って上記カバー表面にディンプルを成形することができ、また成形した後、その表面に対しバフ研磨、スタンプ、塗装等の完成作業を行うことができる。
カバー表面に各種塗料を塗装する場合、使用される塗料としては、ゴルフボールの過酷な使用状況に耐えうる必要から、2液硬化型のウレタン塗料、特に、無黄変のウレタン塗料が好適に挙げられる。
本発明のゴルフボールは、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、直径42.67mm以上、重量45.93g以下に形成することができる。直径の上限としては好ましくは44.0mm以下、更に好ましくは43.5mm以下、最も好ましくは43.0mm以下であり、重量の下限としては好ましくは44.5g以上、特に好ましくは45.0g以上、更に好ましくは45.1g以上、最も好ましくは45.2g以上である。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
下記表1の組成を示すコア材料を混練した後、155℃で20分間加硫成形することにより、直径39.3mmのツーピースソリッドゴルフボール用ソリッドコアを得た。
Figure 2011078761
表1中のコア配合は下記のとおりである。
シス−1,4−ポリブタジエン:商品名「BR730」(JSR社製)
アクリル酸亜鉛:(日本触媒社製)
酸化亜鉛:商品名「酸化亜鉛 3種」(堺化学工業社製)
硫酸バリウム:商品名「沈降性硫酸バリウム#100」(堺化学工業社製)
老化防止剤:商品名「ノクラックNS−6」(大内新興化学工業社製)
ステアリン酸亜鉛:商品名「ステアリン酸亜鉛G」(日油社製)
ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩:ZHEJIANG CHO & FU CHEMICAL CO., LTD.(中国)
過酸化物:商品名「パーヘキサC−40」(日油社製)
カバーの製法
次に、実施例1、2及び比較例1については、射出成形用金型内に前記ソリッドコアを配し、このコアの周囲に、表2に示した熱可塑性ポリウレタンのペレットとイソシアネート混合物のペレットとを各々ドライブレンドしたものを射出成形することにより、厚さ1.7mmのカバーを有するツーピースゴルフボールを得た。
実施例3、4及び比較例2、3については、表2に示した各原料(単位:質量部)を二軸スクリュー型押出機により窒素ガス雰囲気下で混練りし、カバー樹脂配合物を得た。この樹脂配合物は、長さ3mm、直径1〜2mmのペレット状であった。射出成形用金型内に前記ソリッドコアを配し、このコアの周囲に前記カバー材を射出成形することにより、厚さ1.7mmのカバーを有するツーピースゴルフボールを得た。
Figure 2011078761
表2中の各成分の詳細は下記のとおりである。
商品名「パンデックスT8260」
ディーアイシーバイエルポリマー(株)製 MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、樹脂硬度(ショアーD)60
商品名「パンデックスT8295」
ディーアイシーバイエルポリマー(株)製 MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン材料、樹脂硬度(ショアーA)95
商品名「パンデックスT2198」
ディーアイシーバイエルポリマー(株)製 MDI−エステル系(ラクトン)タイプ熱可塑性ポリウレタン材料、樹脂硬度(ショアーA)98
商品名「パンデックスT5965D」
ディーアイシーバイエルポリマー(株)製 MDI−エステル系(ラクトン)タイプ熱可塑性ポリウレタン材料、樹脂硬度(ショアーD)65
ポリイソシアネート混合物
クロスネートEM−30(大日精化工業社製イソシアネートマスターバッチ、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート30%含有。マスターバッチベース樹脂はポリエステルエラストマー)
ポリイソシアネート化合物
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
熱可塑性エラストマー
東レ・デュポン(株)製 商品名「ハイトレル4001」
ポリエチレンワックス
三洋化成工業(株)製 商品名「サンワックス161P」
酸化チタン
石原産業社製 商品名「タイペークR550」
カバー物性及び得られたツーピースソリッドゴルフボールの諸特性を下記の基準により調べ、その結果を表3に示す。
カバー材料のショアD硬度
射出成形により作成したシートでのショアD硬度。ASTM D2240に準拠して測定した。樹脂シートは成形温度220℃にて射出成形した。
カバー層の曲げ弾性率
射出成形により作成した2mm厚のシートでの曲げ弾性率。ASTM D790に準拠して測定した。
ボール製品のたわみ量
ソリッドコア及び製品をインストロン・コーポレーション製,4204型を用いて、各々10mm/minの速度で圧縮し、10kgでの変形量と130kgでの変形量との差を測定した。
耐擦過傷性
ボールを23℃、13℃、0℃に各々保温するとともに、スウィングロボットマシンを用い、クラブはピッチングウェッジを使用して、ヘッドスピード33m/sで各ボールを打撃し、打撃傷を以下の基準で目視にて評価した。
5点:傷がついていないか、ほとんど傷が目立たない。
4点:やや傷が見られるものの、ほとんど気にならない。
3点:表面がやや毛羽立っている。
2点:表面が毛羽立ったり、ディンプルが欠けたりしている。
1点:ディンプルが完全に削り取られてしまっている。
ボールの重量変化率
恒温恒湿槽(型式PR−1ST、エスペック株式会社製)を用い、ボールを温度40℃、湿度90%の条件で72時間放置し取り出した後、1時間後の重量を測定し、試験前の重量との差を表記した。
ボールの初速変化
ボールを温度40℃、湿度90%の条件で72時間放置し取り出した後、1時間後での初速度をUSGA(R&A)の測定方法に準拠して測定し、試験前の初速度との差を表記した。
Figure 2011078761
上記表に示されるように、本実施例1〜4のツーピースソリッドゴルフボールは、比較例1〜3の各ボールに比べて、重量変化率が小さく、また、ボール初速低下も小さく、品質が良好であることが分かる。

Claims (16)

  1. コアと該コア上に形成された1層以上のカバー層を有し、温度40℃、湿度90%の条件下での72時間の吸湿促進試験におけるボール重量変化率が0.287%未満であることを特徴とするゴルフボール。
  2. 上記カバー層のうち少なくとも1層がポリウレタン又はポリウレアを含有する樹脂組成物にて形成される請求項1記載のゴルフボール。
  3. 上記カバー層を構成するポリウレタン又はポリウレアが、ソフトセグメント成分としてエステル系ポリオール又はエステル系アミン末端成分を含む請求項2記載のゴルフボール。
  4. 上記カバー層を構成するポリウレタン又はポリウレアが、ラクトン系ポリオール、アジペート系ポリオール、ラクトン系アミン末端化合物及びアジペート系アミン末端化合物の群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項3記載のゴルフボール。
  5. 上記カバー層を構成するポリウレタンがラクトン系ポリオールを含む請求項4記載のゴルフボール。
  6. 上記カバー層に無機フィラーを含有する請求項1〜5のいずれか1項記載のゴルフボール。
  7. 上記無機フィラーが板状フィラーである請求項6記載のゴルフボール。
  8. 上記板状フィラーがカバー層成分中に0〜50質量%含有する請求項7記載のゴルフボール。
  9. 上記板状フィラーがカバー層成分中に5〜40質量%含有する請求項7記載のゴルフボール。
  10. 上記板状フィラーがカバー層成分中に10〜30質量%含有する請求項7記載のゴルフボール。
  11. 上記カバー層を構成するポリウレタン又はポリウレアが熱硬化型、熱可塑性又は反応射出成型である請求項2記載のゴルフボール。
  12. 上記カバー層を構成するポリウレタンが熱可塑性ポリウレタンである請求項2記載のゴルフボール。
  13. 上記カバー層を構成する樹脂組成物が、熱可塑性ポリウレタンと、1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物とからなる請求項12記載のゴルフボール。
  14. 上記カバー層を構成する樹脂組成物が、熱可塑性ポリウレタン及びポリイソシアネート化合物を主成分とする単一な樹脂配合物であり、上記樹脂配合物中には、少なくとも一部に、一分子中の全てのイソシアネート基が未反応状態で残存してなるポリイソシアネート化合物が存在する請求項12記載のゴルフボール。
  15. 上記カバー層を構成するポリウレタン又はポリウレアがショアD硬度30〜70の硬度を有し、曲げ弾性率が30〜400MPaである請求項2記載のゴルフボール。
  16. コアと該コア上に成形された単層のカバー層からなるツーピースソリッドゴルフボールである請求項1〜15のいずれか1項記載のゴルフボール。
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