本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の構造図は全て本発明の実施の形態を模式的に示すものであり、特にことわりがない限り、構成要素の図面上の比率により、本発明による構造の寸法を規定するものではない。また、同様の構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<実施形態1>
図1は、本実施形態の半導体装置の一例を模式的に示した断面図である。なお、図1では、図中、左右に分離した二つの構造体が示されているが、これらは同一の基板上に形成されるものであり、説明の便宜上、分けて表示してある。図中、同一の高さに形成され、同一のハッチングが付された層は、同一の層であることを意味する。当該前提は、同様の表現形式を用いて表された他のすべての図において同様である。
図1に示すように、本実施形態の半導体装置は、基板11上に位置する第1の絶縁層24と、第1の絶縁層24の内部に位置し、互いに電気的に絶縁した一対の第1の磁化固定層20a、20bと、第1の絶縁層24上に位置し、平面視で一対の第1の磁化固定層20a、20bいずれとも重なり、かつ、一対の第1の磁化固定層20a、20bいずれとも電気的に接続している磁化自由層31と、磁化自由層保護膜32を介して磁化自由層31上に位置する第2の絶縁層33と、第2の絶縁層33に形成され、平面視で磁化自由層31と重なる孔と、当該孔の底面および側面に沿って形成された非磁性層41と、非磁性層41形成後の孔内に埋め込まれた第2の磁化固定層42と、を有する。第2の磁化固定層42は、平面視で一対の第1の磁化固定層20a、20bいずれとも重ならず、かつ、平面視で一対の第1の磁化固定層20a、20bの間に位置する。なお、本実施形態の半導体装置は、磁化自由層保護膜32を有さない構成とすることもできる。
また、本実施形態の半導体装置は、第1の絶縁層24の下層に、導電性の金属(図1の場合、第1のビア15)を有する層をさらに有し、一対の第1の磁化固定層20a、20bはいずれも、導電性の金属(図1の場合、第1のビア15)と電気的に接続している。導電性の金属は、アルミニウム、タングステン、または、銅を含有してもよい。
さらに、本実施形態の半導体装置は、第2の絶縁層33の上に位置し、内部に第3のビア43が位置する第3の絶縁層44と、第3の絶縁層44の上に位置し、内部に第1の配線53が位置する第4の絶縁層52と、を有する。第2の磁化固定層42は、第3のビア43を介して、第1の配線53と電気的に接続している。第3のビア43は、アルミニウム、タングステン、または、銅を含有してもよい。
また、本実施形態の半導体装置は、第1の絶縁層24、第2の絶縁層33および第3の絶縁層44を貫通し、平面視で磁化自由層31と重ならない領域に位置する第2のビア51をさらに有し、上述した導電性の金属(図1の場合、第1のビア15)と第1の配線53とが、第2のビア51を介して電気的に接続している。
次に、各構成について説明する。
第1の絶縁層24は、シリコン酸化膜、あるいはシリコン、炭素、酸素を含有する低誘電率膜を用いる。これらの絶縁膜として、膜中に空孔を導入した多孔質膜を用いてもよい。
第1の磁化固定層20a、20bは、例えば、PtとCoの合金、あるいはPtとCoを交互に積層した積層膜などを用いる。ここで用いる強磁性体は、これらに限定されるものではなく、縦方向に磁化を持たせることができる強磁性体であればよい。また、この強磁性体の最下層には、強磁性体材料の拡散防止を抑制するためのバリア膜として、Ta、Tiを含む導電性膜を設けることが望ましい。また、強磁性体の最上層には以降の工程で強磁性体表面がさらされる環境下で、強磁性体が劣化しないよう、保護層を設けてもよい。
磁化自由層31は、例えば、CoとNiの合金、あるいはCoとNiを交互に積層した膜などを用いる。ここで用いる強磁性体は、これらに限定されるものではなく、縦方向に磁化を持たすことができる強磁性体であればよい。また、磁化自由層31と第1の磁化固定層20a、20bとの間では、導電性を確保するとともに、第1の磁化固定層20a、20bの磁化を磁化自由層31と結合させるカップリング層(図示せず)を挿入する必要がある。このカップリング層は、Pt、Co、Ni、Taのうち、少なくとも二種類以上の元素を含む合金膜もしくは、積層膜を用いる。カップリング層はこれらの合金層に限定されるものではなく、CoNiB、CoFeB、CoFeZr、CoNiZrなど、Coを含有する非晶質膜を用いてもよい。
第2の絶縁層33は、シリコン酸化膜、あるいはシリコン、炭素、酸素を含有する低誘電率膜を用いる。これらの絶縁膜として、膜中に空孔を導入した多孔質膜を用いてもよい。
非磁性層41は、絶縁体、半導体、金属などを用いることができるが、例えばMgO、AlOなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
第2の磁化固定層42としては、例えば、Pt、Co、Ruの合金、あるいは、Pt、Co、Ruを任意の順に、任意の回数積層した積層膜などを用いる。このような積層膜としては、例えば、下から順に、Ru→Pt→Co→Pt→Co→Pt→Co→Pt→Ruのように、規則性なく任意の、Pt、Co、Ruを任意の順に、任意の回数積層したものであってもよいし、または、規則性をもってPt、Co、Ruを任意の順に、任意の回数積層したものであってもよい。ここで用いる強磁性体は、これらに限定されるものではなく、縦方向に磁化を持たすことができる強磁性体であればよい。
第3の絶縁層44は、シリコン酸化膜、あるいはシリコン、炭素、酸素を含有する低誘電率膜を用いる。これらの絶縁膜として、膜中に空孔を導入した多孔質膜を用いてもよい。
第1の配線53が内部に位置する第4の絶縁層52は、シリコン酸化膜、あるいはシリコン、炭素、酸素を含む低誘電率絶縁膜である。第1の配線53および第4の絶縁層52上には、配線材料の拡散と酸化を抑制するための第1配線キャップ膜54が設けられており、さらにその上には、絶縁層55と、その内部に埋設された第4のビア56および第2の配線57が位置する。
ここで、図1に示す例の場合、第1の磁化固定層20a、20bは、第1のビア15を介して外部回路に接続している。また、第2の磁化固定層42は、第3の絶縁層44中に形成された第3のビア43を介して外部回路に接続している。なお、第1の磁化固定層20a、20bおよび第2の磁化固定層42は、導電性の金属と接触していればよく、ビアの他、コンタクトプラグ、多層配線を構成する任意の配線などと接触していてもよい。ここで、「導電性の金属」は、アルミニウム、銅、タングステンを主成分とする材料で構成されており、これらの金属の上面、下面、側面のうち、少なくともひとつの面はバリア層と呼ばれる導電性膜と隣接した構成とすることができる。
次に、図1に示す半導体装置の平面レイアウトを図2および図3に示す。
図2(a)は、本実施形態の半導体装置の一部構成を抜き出して模式的に示した平面図である。最下層に、図1に示されている拡散層13が配置され、その上の層に、図1には示されていないゲート電極を兼ねたワード線72が配置され、トランジスタを構成している。このトランジスタの拡散層13には、図1に示されている第1のビア15が接続している。複数の第1のビア15の中の一部は、上端面で磁気抵抗素子73と電気的に接続している。なお、図中、点線にて、MRAMメモリセル71を示してある。
次に、磁気抵抗素子73の構成を図2(b)に示す。磁気抵抗素子の最下層は第1の磁化固定層20a、20bであり、これら各々が下層に位置する第1のビア15(図2(b)中、図示せず)と直接接続している。第1の磁化固定層20a、20bの上には、第1の磁化固定層20a、20bを平面視で内包する形状で磁化自由層31が設けられている。この磁化自由層31は、第1の磁化固定層20a、20bと磁気結合しているとともに、電気的にも接続している。磁化自由層31の上部には、第2の絶縁層33(図2(b)中、図示せず)に形成された孔の底面および側面に沿って形成されている非磁性層41と、非磁性層41形成後の孔内に埋め込まれた第2の磁化固定層42が配置され、TMRを構成している。
図3は、本実施形態の半導体装置の一部構成を抜き出して模式的に示した平面図であり、図2(a)の平面レイアウトに、さらに上のレイヤーを付加したものである。
図3においては隠れている磁気抵抗素子73の第2の磁化固定層42が、第3のビア43を介して、上層配線層に形成された接地線75に接続している。また、拡散層13上の複数の第1のビア15の中の一部は、第2のビア51を介して、上層配線層に形成されたビット線76に接続している。
ここで、図4に、本実施形態の半導体装置が有する磁気抵抗素子73の構成を模式的に示す。図4に示す図において、磁気抵抗素子73は、第1の磁化固定層5a、5bと、第2の磁化固定層6と、非磁性層4と、磁化自由層と、を有している。磁化自由層は、磁化固定部1a、1bと、磁壁移動部3と、磁壁ピンサイト2a、2bと、を備えている。なお、当該磁気抵抗素子73の構成は、特許文献1に記載されているものと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
次に、図5乃至図8に示す工程断面図を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
まず、図5(a)に示すように、半導体基板11上に素子分離領域12とトランジスタ(図示せず)を形成し、トランジスタと外部回路を接続するための第1のビア15を、コンタクト層間絶縁膜14中に埋設して形成する。ここで、コンタクト層間絶縁膜14は、シリコン酸化膜、あるいはシリコン、炭素、酸素を含有する低誘電率膜を用いる。これらの絶縁膜として、膜中に空孔を導入した多孔質膜を用いてもよい。
コンタクト層間絶縁膜14中に第1のビア15を形成する手段としては、例えば、コンタクト層間絶縁膜14に、第1のビアを形成するための孔を開口し、この内部にタングステン、アルミニウム、銅などの金属を、スパッタ法、CVD法、めっき法のいずれか、あるいはこれらを組み合わせた工程によって充填した後に、化学機械研磨(CMP)あるいはエッチバックによって孔部以外の領域に形成されている金属膜を除去する手段を適用することができる。ここで、タングステン、アルミニウム、銅などの金属を充填形成する前に、孔の底面および/または側面に沿ってTiやTaなどの高融点金属やこれらの金属の窒化膜、金属膜と窒化膜の積層膜などを成膜しておくことが望ましい。これらの膜は、第1のビア15内部に充填されている金属元素の拡散を抑制するとともに、コンタクト層間絶縁膜と充填金属との密着強度を高める目的を有する。
続いて、図5(b)に示すように、第1の絶縁層24で電気的に絶縁された第1の磁化固定層20a、20bを形成する。
次に、図5(c)に示すように、磁化自由層31、磁化自由層保護膜32、磁化自由層ハードマスク35をこの順に積層する。磁化自由層保護膜32としては、例えば基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたCVD法によって形成されたシリコン窒化膜を用いる。また、磁化自由層ハードマスク35としては、例えば基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたCVD法によって形成されたシリコン酸化膜を用いる。磁化自由層保護膜32と磁化自由層ハードマスク35は、互いに異なる材料で構成されていることが重要である。また、基板温度については、磁化固定層や磁化自由層の磁気特性が劣化しない範囲に設定する必要がある。
引き続いて、図5(d)に示すように、フォトリソグラフィ工程を用いてレジストマスクで磁化自由層ハードマスク35をパターニングした後にドライエッチングによって加工し、レジストを酸素プラズマアッシングなどによって除去する。その後、図6(e)に示すように、パターニングした磁化自由層ハードマスク35を用いて、磁化自由層保護膜32および磁化自由層31をパターニングする。図6(e)では、パターニングの過程で磁化自由層ハードマスク35が消失するように示されているが、磁化自由層保護膜32および磁化自由層31のパターニングの後、磁化自由層ハードマスク35は残存していてもかまわない。
以上のように、磁化自由層31をパターニングした後で、第2の絶縁層33を、基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたプラズマCVD法によって成膜し、パターニングされた磁化自由層31上の段差をCMPによって平坦化することで、図6(f)のような形態となる。
続いて、第2の絶縁層33中に、平面視で磁化自由層31と重なり(例えば、磁化自由層31に内包される)、平面視で第1の磁化固定層20a、20bと重ならず、かつ、平面視で一対の第1の磁化固定層20a、20bの間に位置する孔(TMR孔)34を形成する。この際、まず、フォトリソグラフィ工程によってパターニングしたフォトレジストをマスクとして第2の絶縁層33中に、磁化自由層保護膜32に達する孔を形成する。その後、酸素プラズマ等によりフォトレジストを除去し、次いで、第2の絶縁層33をマスクとしてエッチングを行うことで孔の底に位置した磁化自由層保護膜32を除去して、図6(g)に示すような孔34を形成する。このような手法をとることで、フォトレジストを除去する酸素プラズマ処理の工程で、磁化自由層31の表面が露出せず、磁化自由層31の酸化を抑制することが可能できる。
次に、図6(h)に示すように、孔34の底面および側面に沿って、孔34を完全に埋めないように非磁性層41を成膜後、その上から、第2の磁化固定層42を成膜することで、孔34を埋める。次いで、CMPもしくはエッチバックによって、孔34の内部以外に形成されている非磁性層41ならびに第2の磁化固定層42を除去することで、孔34の底面および側面に沿って形成された非磁性層41、および、非磁性層41を形成後の孔34に埋め込まれた第2の磁化固定層42を形成する。
その後、図7(i)に示すように、第2の絶縁層33の上に、第3の絶縁層44として、基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたCVD法により、シリコン酸化膜、あるいはシリコン、炭素、酸素を含有する低誘電率膜を成膜する。第3の絶縁層44は、膜中に空孔を導入した多孔質膜を用いてもよい。
次に、第3の絶縁層44の内部に、第2の磁化固定層42に到達する第3のビア43、ならびに、第3の絶縁層44、第2の絶縁層33および第1の絶縁層24を貫通し、第1のビア15に到達する第2のビア51を形成し、図7(j)に示す構造となる。この第2のビア51および第3のビア43は、例えば以下のようにして形成することができる。
まず、第3の絶縁層44を貫通し第2の磁化固定層42に到達する孔、および、第1の絶縁層24、第2の絶縁層33および第3の絶縁層44を貫通し、第1のビア15に到達する孔を形成する。その後、この孔内に、タングステン、アルミニウム、または、銅、などの金属を、スパッタ法、CVD法、めっき法のいずれか、あるいはこれらを組み合わせた工程によって充填した後に、化学機械研磨(CMP)あるいはエッチバックによって孔内以外の領域に形成されている金属膜を除去する。
なお、当該工程では、孔(ビアホール)を形成する必要があるが、その孔形成後に酸素プラズマ処理中でフォトレジストを除去する際に、第2の磁化固定層表面42に酸化耐性の高い材料を設けておくのが好ましい。ただし、第2の磁化固定層42の表面が酸化されたとしても、次の金属成膜工程前にAr、He、H2などの雰囲気でのプラズマ処理や熱処理よって酸化層を除去することも可能である。また、タングステン、アルミニウム、または、銅などの金属を充填形成する前に、TiやTaなどの高融点金属やこれらの金属の窒化膜、金属膜と窒化膜の積層膜などを孔(ビアホール)の底面および/または側面に沿って成膜しておくことが望ましい。これらの膜は、第2のビア51および第3のビア43の内部に充填されている金属元素の拡散を抑制するとともに、層間絶縁膜と充填金属との密着強度を高める目的を有する。
次に、図7(k)に示すように、第3の絶縁層44の上に第4の絶縁層52を形成後、第1の配線53を形成する。
例えば、第2のビア51および第3のビア43を形成後の第3の絶縁層44の上に、基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたCVD法により、第4の絶縁層52を成膜する。第4の絶縁層52としては、シリコン酸化膜、あるいはシリコン、炭素、酸素、水素を含むSiOCH膜を用いるのが好ましい。また、SiOCH膜中に空孔を導入した多孔質膜を用いてもよい。この場合、以下で示すような多孔質環状シロキサン膜を用いると、200℃〜350℃という低温で低誘電率膜を形成することが可能である。
ここでいう多孔質環状シロキサン膜は、下記式(1)で表される構造を有する環状有機シリカを材料に用いてプラズマ重合法により形成される。本環状シロキサン膜における空孔の起源は、環状シロキサン骨格にある。したがって、ポロジェンを用いた多孔質膜のように、ポロジェン脱離プロセスが不要であり、脱離に起因する連続空孔が形成されない。すなわち、個々の空孔が接続されていない独立空孔によって多孔質化されている。また、ポロジェン脱離のための高温処理も不要となり、200℃〜350℃の低温形成が可能となる。
(式(1)中、R1、R2は、ビニル基、アリル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、およびブチル基のいずれかである。)
ここで、R1もしくはR2の少なくとも一方がメチル基以外であり、炭素原子を少なくとも2個以上含有している構成とすることができる。環状有機シリカ構造を有する化合物において、R1が不飽和炭化水素基であり、R2が飽和炭化水素基であってもよい。この場合、R1の不飽和炭化水素のプラズマ重合反応により環状シリカを結合させた低誘電率絶縁膜を低温成長できる。TMR素子は高温熱処理により構成金属の拡散が生じて、特性が大きく劣化してしまう。すなわち、多層配線中に形成する際、可能な限り層間絶縁膜の成長温度を低温化させることが極めて重要である。
このようなプラズマ重合法により低温成長した低誘電率絶縁膜の特徴として、膜中の炭化水素組成に富んでいることがあげられる。式(1)から明らかなように、環状シリカ(SiO)骨格を構成するシリコン原子(Si)に対して、炭化水素其であるR1とR2が結合している。すなわち、Si原子に対して少なくとも2個以上の炭化水素が結合している。従って、プラズマ重合反応が理想的に進行した場合、低誘電率絶縁膜中のC/Si組成比は2以上となる。一部の炭化水素側鎖が分解した場合にはC/Si組成比が2より多少小さくなるが、C/Si>1.0以上は確保される。
具体的には、R1がビニル基であり、R2が立体障害の大きな分岐構造を有する飽和炭化水素であり、例えばイソプロピル基である下記式(2)で表される環状有機シリカ構造を有する化合物であってもよい。側鎖R2の立体障害が大きいことにより膜密度を減らし、比誘電率を低減させることができるので望ましい。
なお、立体障害の大きな分岐構造を有する飽和炭化水素(R2)としては、イソブチル、タージャリーブチルなどでもよい。
また、上記式(2)に示す環状有機シリカ構造を有する化合物を材料に用いて、プラズマ重合法により膜を形成した場合、平均空孔径が1nm以下、例えば、0.3nm以上0.8nm以下である小さい空孔構造を有する膜が形成される。膜中の相対炭素組成比、C/Si、は2.0以上3.0以下であることが確認されている。
以上の例のようにして第4の絶縁層52を成膜した後、ハードマスク(図示せず)として、例えばプラズマCVD法で形成するSiO2、SiN、SiOCHなどを形成する。なお、第4の絶縁層52と上記ハードマスクとが同一の材料で形成されていてもよい。
続いて、リソグラフィーと異方性エッチングによって、ハードマスクおよび第4の絶縁層52中に、孔(配線溝を含む)を形成する。その後、バリア金属膜としてTaNとTaの積層膜をPVD法により形成し、次いで、孔内にCuを主成分とする金属を埋設する。
ここで、バリア金属は、TaNやTaに限定されるものではなく、バリア性を有する導電性膜であればよく、配線がCuを主成分とする金属元素からなる場合には、タンタル(Ta)、ルネニウム(Ru)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、炭窒化タングステン(WCN)のような高融点金属やその窒化物等が用いられ、また、これらの材料を用いた積層の膜であってもよい。バリア金属の形成方法は、PVD法に限定されるものではなく、有機金属材料を用いたCVD法などで形成してもよい。
次に、Cu粒成長のための熱処理を施す。この熱処理の温度は、例えば200〜400℃、望ましくは300℃とし、時間は30秒〜1時間に設定する。続いてCMPなどの研磨技術を用い、凹部の外部に露出した金属ならびにハードマスクを除去し、図7(k)のような形状を得る。
続いて、第1配線53が埋め込まれた第4の絶縁層52の上に、第1配線キャップ膜54を成膜し、第1層目の配線工程を終了する(図8(l))。キャップ絶縁膜54としては、プラズマCVD法によって成膜するSiN、SiC、SiCNなどを用いる。これらの膜の2種類以上を積層してもよい。
続いて、一般的に知られているシングルダマシン法、あるいはデュアルダマシン法により、第4のビア56および第2の配線57が埋め込まれた絶縁層55を形成する(図8(m))。以降、同様の工程にて任意の層数の配線層を形成して、本実施形態の半導体装置を得る。
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法の作用効果について説明する。
磁壁移動型の磁気抵抗素子においては、微細パターンの形成が要求され、特に、第2の磁化固定層42において微細パターンの形成が要求される。
このような磁壁移動型の磁気抵抗素子のパターン形成において、特許文献2に記載のような、ドライエッチング加工により膜を選択的に除去することでパターニングする技術を利用する場合、磁気抵抗素子を構成する強磁性体の材料は、Pt、Ru、Ir、Co、Ni、Feなど、一般に反応性エッチングが困難である材料を含むため、パターニング後の膜の側壁が傾斜形状になってしまい、パターンサイズの制御が難しくなる。結果、実際に素子を作製する場合には、このような形状をパターンのマージンとして考慮する必要があり、素子サイズの微細化を阻害することになる。
本実施形態の半導体装置およびその製造方法は上記問題を解決したものであり、本実施形態の半導体装置およびその製造方法は、反応性エッチングが困難でない材料を含む層に微細パターンの孔を形成した後、この孔内に、強磁性体の材料等を埋め込むことで、磁壁移動型の磁気抵抗素子を構成する要素の微細パターンを形成する。このような本実施形態の半導体装置およびその製造方法によれば、磁壁移動型の磁気抵抗素子を構成する要素の微細パターンの形成、例えば第2の磁化固定層42の微細パターンの形成が実現される。これにより、磁壁移動型の磁気抵抗素子の微細化が実現され、結果、メモリの高密度化が実現される。
<実施形態2>
図9は、本実施形態の半導体装置の一例を模式的に示した断面図である。
図示するように、本実施形態は、一対の第1の磁化固定層20a、20bと、磁化自由層31と、非磁性層41と、第2の磁化固定層42と、を有する磁気抵抗素子が、下層配線16を埋め込まれた配線絶縁層17の上に形成されている。そして、第1の磁気固定層20a、20bは、下層配線16を介して、外部回路と接続している点で、実施形態1と異なる。
また、本実施形態は、一対の第1の磁化固定層20a、20bが、下層配線キャップ膜18および第1の絶縁層24中に形成された孔に埋設形成されている点で、実施形態1と異なる。
さらに、本実施形態は、第2の磁化固定層42と接続する第3のビア62、および、第1の絶縁層24、第2の絶縁層33および第3の絶縁層63を貫通する第2のビア61の形成方法が、実施形態1とは異なる。
その他の構成については、実施形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、図10乃至図12に示す工程断面図を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
まず、図10(a)に示すように、配線絶縁層17中に下層配線16を、例えば以下のようにして形成する。
まず、基板温度を200〜400℃、望ましくは350℃としたCVD法により、基板(図示せず)上に配線絶縁層17を成膜する。配線絶縁層17は、シリコン酸化膜、あるいはシリコン、炭素、酸素、水素を含むSiOCH膜を用いるのが好ましい。また、SiOCH膜中に空孔を導入した多孔質膜を用いてもよい。この場合、以下で示すような多孔質環状シロキサン膜を用いると、300〜350℃という低温で多孔質の低誘電率膜を形成することが可能である。
ここでいう多孔質環状シロキサン膜は、環状有機シリカを材料に用いてプラズマ重合法により形成される。本環状シロキサン膜における空孔の起源は、環状シロキサン骨格にある。したがって、ポロジェンを用いた多孔質膜のように、ポロジェン脱離プロセスが不要であり、脱離に起因する連続空孔が形成されない。すなわち、個々の空孔が接続されていない独立空孔によって多孔質化されている。また、ポロジェン脱離のための高温処理も不要となり、200〜350℃の低温形成が可能となる。さらに、本環状シロキサン膜では、C/Si比が2以上であることがきわめて重要である。環状有機シリカ構造を有する化合物を材料に用いて、プラズマCVD法により膜を形成した場合、平均空孔径が1nm以下、例えば、0.3〜0.8nmである小さい空孔構造を有する膜が形成される。
以上の例のようにして配線絶縁層17を成膜した後、ハードマスク(図示しない)として、たとえばプラズマCVD法で形成するSiO2、SiN、SiOCHなどを形成する。ただし、配線絶縁層17と上記ハードマスクとが同一の材料で形成されている場合もある。
続いて、リソグラフィーと異方性エッチングによって、ハードマスクおよび配線絶縁層17中に、孔(溝を含む)を形成する。その後、バリア金属膜としてTaNとTaの積層膜をPVD法により形成し、孔にCuを主成分とする金属を埋設する。ここで、バリア金属は、TaNやTaに限定されるものではなく、バリア性を有する導電性膜であって、配線がCuを主成分とする金属元素からなる場合には、タンタル(Ta)、ルネニウム(Ru)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、炭窒化タングステン(WCN)のような高融点金属やその窒化物等が用いられる。また、これらの材料を用いた積層の膜であってもよい。バリア金属の形成方法は、PVD法に限定されるものではなく、有機金属材料を用いたCVD法などで形成してもよい。
次に、Cu粒成長のための熱処理を施す。この熱処理の温度は、例えば、100〜400℃とし、時間は30秒〜1時間に設定する。続いてCMPなどの研磨技術を用い、孔の外部に露出した金属ならびにハードマスクを除去し、下層配線キャップ膜18を成膜して図10(a)のような形状を得る。ここで、下層配線キャップ膜18としては、プラズマCVD法によって成膜するSiN、SiC、SiCNなどを用いる。なお、下層配線キャップ膜18は、これらの膜の2種類以上を積層したものであってもよい。
次に、図10(b)に示すように、下層配線キャップ膜18の上に、第1の絶縁層24、および、第1のハードマスク26aをこの順に成膜する。ここで、第1のハードマスク26aは、Si、C、O、Nのうちから選択した2種類以上の元素から構成される絶縁膜である。
続いて、フォトリソグラフィ工程にてパターニングしたフォトレジストをエッチングマスクとし、ドライエッチングにより、第1のハードマスク26aならびに第1の絶縁層24を貫いて、下層配線キャップ膜18に達する孔を形成する。その後、酸素プラズマを用いてフォトレジストを除去し、第1のハードマスク26aおよび第1の絶縁層24をマスクとしてエッチングを行うことで孔の底に位置した下層配線キャップ膜18を除去し、図10(c)に示すような下層配線16に到達する孔27aを形成する。
続いて、図10(d)に示すように、第1の磁化固定層20aを成膜し、CMP法などによって余剰分の第1の磁化固定層20aおよび第1のハードマスク26aを除去し、図10(e)に示すような、第1の磁化固定層20aが下層配線キャップ膜18および第1の絶縁層24に埋設されたパターンを形成する。
次に、図10(f)に示すように、第1の絶縁層24の上に第2のハードマスク26bを形成し、次いで、上記図10(b)乃至(e)と同様の工程を経ることで(図11(g)乃至(i))、図11(i)に示すように、第1の磁化固定層20aと対をなす第1の磁化固定層20bを形成する。
ここで、一対の第1の磁化固定層20a、20bは、各々、磁化を反転させるために必要な外部磁場である「保持力」の異なる材料を用いる。例えば、一対の第1の磁化固定層20a、20b双方を形成した後の任意の工程で、外部から磁場をかけながら熱処理を施すことで、第1の磁化固定層20a、20bの磁化を所望の方向に向ける作業を行うが、第1の磁化固定層20aと20bとでは、磁化の向きを反平行にする必要がある。その際、保持力の差を活用して反平行を実現する。具体的には、最初に強い磁場を印加することで、第1の磁化固定層20a、20b双方の磁化を平行方向にそろえる。次に、第1の磁化固定層20a、20bの一方の保持力より小さく、他方の保持力より大きな外部磁場を印加することで、保持力の小さい第1の磁化固定層20aまたは20bの磁化を反転させ、他方の磁化を維持させる。これによって、一対の第1の磁化固定層20a、20bの磁化を互いに反平行とすることができる。
次に、図11(j)に示すように、磁化自由層31と、磁化自由層保護膜32を成膜してパターニングする。
まず、第1の絶縁層24の上に、パターニングされる前の磁化自由層31、磁化自由層保護膜32、磁化自由層ハードマスク(図示せず)をこの順に積層する。磁化自由層保護膜32としては、例えば、基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたCVD法によって形成されたシリコン窒化膜を用いる。また、磁化自由層ハードマスクとしては、例えば、基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたCVD法によって形成されたシリコン酸化膜を用いる。磁化自由層保護膜32と磁化自由層ハードマスクは、互いに異なる材料で構成されていることが重要である。また、基板温度については、第1の磁化固定層20a、20b、および、磁化自由層31の磁気特性が劣化しない範囲に設定する必要がある。
引き続き、フォトリソグラフィ工程を用いてレジストマスクで磁化自由層ハードマスクをドライエッチングによって加工し、レジストを酸素プラズマアッシングなどによって除去する。その後、パターニングした磁化自由層ハードマスクを用いて、磁化自由層保護膜32および磁化自由層31をパターニングして、図11(j)の形状を得る。図11(j)では、パターニングの過程で磁化自由層ハードマスクが消失するように示されているが、磁化自由層ハードマスクは残存していてもかまわない。
以上のように、磁化自由層保護膜32および磁化自由層31をパターニングした後、磁化自由層保護膜32の上に、第2の絶縁層33を、基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたプラズマCVD法によって成膜する。次いで、パターニングされた磁化自由層保護膜32および磁化自由層31上の段差をCMPによって平坦化した後、第2の絶縁層33の上に第3のハードマスク65を成膜することで、図11(k)に示す形状を得る。
続いて、第2の絶縁層33中に、平面視で磁化自由層31と重なり(例えば磁化自由層31に内包される)、平面視で第1の磁化固定層20a、20bと重ならず、かつ、平面視で一対の第1の磁化固定層20a、20bの間に位置する孔(TMR孔)34を形成する。この際、まず、フォトリソグラフィ工程によってパターニングしたフォトレジストをマスクとして第3のハードマスク65中に、第2の絶縁層33に達する所定のパターンに形成された孔を設け、酸素プラズマ等によりフォトレジストを除去する。続いて、第3のハードマスク65を用いて、ドライエッチングによって第2の絶縁層33と磁化自由層保護膜32を貫通する孔34を形成する。このような手法をとることで、フォトレジストを除去する酸素プラズマ処理の工程で、第2の絶縁層33や、磁化自由層31の表面が露出せず、磁化自由層31の酸化を抑制することが可能である。
次に、図12(m)に示すように、孔34の底面および側面に沿って、孔34を完全に埋めないように非磁性層41を成膜後、その上から、第2の磁化固定層42を成膜することで、孔34を埋める。次いで、CMPもしくはエッチバックによって、孔34の内部以外に形成されている非磁性層41ならびに第2の磁化固定層42を除去することで、図12(n)に示すように、孔34の底面および側面に沿って形成された非磁性層41、および、非磁性層41を形成後の孔34に埋め込まれた第2の磁化固定層42を形成する。
その後、第2の絶縁層33の上に第3の絶縁層63を形成し、次いで、第3の絶縁層63に、第2のビア61、第3のビア62および第1配線53を埋め込んだ後、その上から第1配線キャップ膜54を全面に形成することで、図12(o)の形状を得る。以降、実施形態1と同様にして、第1配線キャップ膜54の上に、任意の層数の配線層を形成して、本実施形態の半導体装置を得る。
本実施形態の半導体装置およびその製造方法によれば、実施形態1と同様の作用効果を実現することができる。
<実施形態3>
本実施形態は、半導体装置の製造方法が実施形態1および2と一部異なる。以下、図13乃至図15を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。
まず、図13(a)に示すように、第1のビア15を埋め込まれたコンタクト層間絶縁膜14上に、第1の絶縁層24で互いに絶縁された一対の第1の磁化固定層20a、20bを形成する。当該工程は、実施形態1および2で説明した工程と同様にすることができる。
次に、図13(b)に示すように、磁化自由層間膜36、ならびに、第4のハードマスク37をこの順に成膜する。磁化自由層間膜36、第4のハードマスク37は、たとえば基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたCVD法によって形成されたシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜を用いる。基板温度については、第1の磁化固定層20a、20bの磁気特性が劣化しない範囲に設定する必要がある。
続いて、フォトリソグラフィ工程によってパターニングされたフォトレジストをエッチングマスクとして、第4のハードマスク37に、磁化自由層間膜36に達する開口パターンを形成する(図13(c))。
その後、酸素プラズマなどにより、フォトレジストを除去し、次いで、第4のハードマスク37をマスクとしてエッチングを行うことで開口の底に露出していた磁化自由層36を除去することで、第1の磁化固定層20a、20bが露出する溝38を形成する(図13(d))。このような手法をとることで、フォトレジストを除去する酸素プラズマ処理の工程で、第1の磁化固定層20a、20bの表面が露出せず、第1の磁化固定層20a、20bの酸化を抑制することが可能である。
続いて、磁化自由層31を成膜し(図14(e))、CMP法などによって、溝38の外に位置する余剰の磁化自由層31や、第4のハードマスク37および磁化自由層間膜36を除去することで、図14(f)に示すような、磁化自由層31の埋設パターンを形成する。
次に、図14(g)に示すように、磁化自由層間膜36の上に、第2の絶縁層33および第5のハードマスク45をこの順に成膜する。第2の絶縁層33および第5のハードマスク45は、たとえば基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたCVD法によって形成されたシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、SiOCH膜などを用いる。基板温度については、第1の磁化固定層20a、20bや磁化自由層31の磁気特性が劣化しない範囲に設定する必要がある。
続いて、フォトリソグラフィ工程によってパターニングされたフォトレジストをエッチングマスクとして、第5のハードマスク45に、第2の絶縁層33に達する開口パターンを形成する(図14(h))。その後、酸素プラズマなどにより、フォトレジストを除去し、次いで、第5のハードマスク45をマスクとしてエッチングを行うことで開口の底に露出していた第2の絶縁層33を除去し、磁化自由層31が露出する孔34を形成する(図15(i))。このような手法をとることで、フォトレジストを除去する酸素プラズマ処理の工程で、磁化自由層31の表面が露出せず、磁化自由層31の酸化を抑制することが可能である。
次に、図15(j)に示すように、孔34の底面および側面に沿って、孔34を完全に埋めないように非磁性層41を成膜後、その上から、第2の磁化固定層42を成膜することで、孔34を埋める。次いで、CMPもしくはエッチバックによって、孔34の内部以外に形成されている非磁性層41ならびに第2の磁化固定層42を除去することで、図15(k)に示すように、孔34の底面および側面に沿って形成された非磁性層41、および、非磁性層41を形成後の孔34に埋め込まれた第2の磁化固定層42を形成する。
その後、実施形態1および2と同様の工程を経ることで、図15(l)に示すような状態を得る。以降、実施形態1と同様にして、第1配線キャップ膜54の上に、任意の層数の配線層を形成して、本実施形態の半導体装置を得る。
本実施形態の半導体装置およびその製造方法によれば、実施形態1と同様の作用効果を実現することができる。
<実施形態4>
図19(m)は、本実施形態の半導体装置の一例を模式的に示した断面図である。
図示するように、本実施形態は、第2の絶縁層33の内部であって、平面視で、磁化自由層31と重ならない領域に同層配線19を有する点で、実施形態1乃至3と異なる。
次に、図19(m)に示す半導体装置の平面レイアウトを図20および図21に示す。
図20(a)は、本実施形態の半導体装置の一部構成を抜き出して模式的に示した平面図である。最下層に、図19(m)に示されている拡散層13が配置され、その上の層に、図19(m)には示されていないゲート電極を兼ねたワード線72が配置されて、トランジスタを構成している。このトランジスタの拡散層13には第1のビア15が接続している。複数の第1のビア15の中の一部は、上端面で磁気抵抗素子73と電気的に接続している。磁気抵抗素子73に接続していない第1のビア15は、同層配線19に接続している。なお、図中、点線にて、MRAMメモリセル71を示してある。
次に、磁気抵抗素子73の構成を図20(b)に示す。磁気抵抗素子73の最下層は第1の磁化固定層20a、20bであり、これら各々が下層に位置する第1のビア15(図20(b)中、図示せず)と直接接続している。第1の磁化固定層20a、20bの上には、第1の磁化固定層20a、20bを平面視で内包する形状で磁化自由層31が設けられている。この磁化自由層31は、第1の磁化固定層20a、20bと磁気結合しているとともに、電気的にも接続されている。磁化自由層31の上部には、第2の絶縁層33(図20(b)中、図示せず)に形成された孔の底面および側面に沿って形成されている非磁性層41と、非磁性層41形成後の孔内に埋め込まれた第2の磁化固定層42が配置され、TMRを構成している。
図21(c)は、本実施形態の半導体装置の一部構成を抜き出して模式的に示した平面図であり、図20(a)の平面レイアウトに、さらに上のレイヤーを付加したものである。
図21(d)は、本実施形態の半導体装置の一部構成を抜き出して模式的に示した平面図であり、図20(c)の平面レイアウトに、さらに上のレイヤーを付加したものである。
図21(c)に示すように、磁気抵抗素子73の上では、第2の磁化固定層42に電気的に接続されたビア68が、第1配線として設けられた接地線75と接続している。図20(a)中に示した同層配線19上では、必要に応じて、同層配線19に電気的に接続されたビア67が第1配線53と接続される。図21(d)に示すように、図19(m)に示す構造体の上層に形成されたビット線76(図19(m)中、図示せず)は、ビア78を介して下層に位置する第1配線53と接続される。
その他の構成については、実施形態1乃至3のいずれかと同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、図16乃至図19に示す工程断面図を用いて、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
なお、図16(a)乃至図17(e)に示す構造を得る工程については、実施形態1乃至3と同様にして実現することができるので、ここでの説明は省略する。
図17(e)に示す構造を得た後、第2の絶縁層33を、基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたプラズマCVD法によって成膜し、パターニングされた磁化自由層31上の段差をCMPによって平坦化する。次いで、その上から第5のハードマスク45を成膜することで、図17(f)のような形態となる。第5のハードマスク45としては、たとえば基板温度を200〜400℃、望ましくは300℃としたCVD法によって形成されたシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などを用いる。
続いて、第5のハードマスク45および第2の絶縁層33を貫通し、平面視で磁化自由層31と重なり(例えば、磁化自由層31に内包される)、平面視で第1の磁化固定層20a、20bと重ならず、かつ、平面視で一対の第1の磁化固定層20a、20bの間に位置する孔(TMR孔)34を形成する。この際、まず、フォトリソグラフィ工程によってパターニングしたフォトレジストをマスクとして第2の絶縁層33中に、磁化自由層保護膜32に達する孔を形成する。その後、酸素プラズマ等によりフォトレジストを除去し、次いで、第5のハードマスク45および第2の絶縁層33をマスクとしてエッチングを行うことで孔の底に位置した磁化自由層保護膜32を除去し、図17(g)に示すような孔34を形成する。このような手法をとることで、フォトレジストを除去する酸素プラズマ処理の工程で、磁化自由層31の表面が露出せず、磁化自由層31の酸化を抑制することができる。
次に、図17(h)に示すように、孔34の底面および側面に沿って、孔34を完全に埋めないように非磁性層41を成膜後、その上から、第2の磁化固定層42を成膜することで、孔34を埋める。次いで、CMPもしくはエッチバックによって、孔34の内部以外に形成されている非磁性層41ならびに第2の磁化固定層42を除去することで、図18(i)に示すように、孔34の底面および側面に沿って形成された非磁性層41、および、非磁性層41を形成後の孔34に埋め込まれた第2の磁化固定層42を形成する。この際、第5のハードマスク45は完全に除去してもよいし、一部を残してもかまわない。
次に、同層配線19を形成する。同層配線19は、フォトレジスト、もしくはフォトレジストとハードマスクを組み合わせた工程によって、第1の絶縁層24および第2の絶縁層33を貫く形で配線溝を形成し、形成した溝中に、バリアメタルおよび充填金属を埋設形成し、余剰金属をCMP法によって除去することによって形成する。ここで、CMP工程中に、前の工程において孔34に埋設形成された第2の磁化固定層42および非磁性層41も若干削られることになる。また、前述の第2の磁化固定層42と非磁性層41を研磨する際に、第5のハードマスク45を残していた場合、あるいは、配線溝形成時に第5のハードマスク45を残していた場合は、このCMP工程で全て除去しておく必要がある。結果として、図18(j)に示すように、第2の磁化固定層42、非磁性層41および同層配線19が露出する領域以外は、第2の絶縁層33が露出した状態となる。
続いて、図18(k)に示すように、第2の磁化固定層42、同層配線19、および、第2の絶縁層33を覆うように同層配線キャップ膜28を成膜する。同層配線キャップ膜28としては、プラズマCVD法によって成膜するSiN、SiC、SiCNなどを用いる。これらの膜の2種類以上を積層としてもよい。
次に、図19(l)に示すように、同層配線キャップ膜28の上に、第3の絶縁層44を成膜し、デュアルダマシン法によって、第1配線53、ビア67、68を形成する。以降、実施形態1と同様にして、第3の絶縁層44の上に、任意の層数の配線層を形成して、本実施形態の半導体装置を得る。
本実施形態の半導体装置およびその製造方法によれば、実施形態1と同様の作用効果を実現することができる。