JP2012037879A - ステンレス製のシームレスベルトおよびその製造方法、定着ベルト及び熱定着装置 - Google Patents

ステンレス製のシームレスベルトおよびその製造方法、定着ベルト及び熱定着装置 Download PDF

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Abstract

【課題】繰り返しの屈曲によってもクラックや破断が生じにくい耐久性に優れたステンレス鋼製のシームレスベルトを提供する。
【解決手段】該シームレスベルトは、ステンレス鋼板を塑性加工して形成してなる、厚み50μm以下のステンレス製のシームレスベルトである。該シームレスベルトは、周方向に沿って幅20mmに切断し、かつ、周方向と直交方向に切り開いて作成した幅20mm、長さ45mmの短冊状のステンレス試験片が、片側に回転軸を持ち、その軸を回転中心にしている片支持プレートが、口開き量29mmの上死点から口開き量5.5mmの下死点までの往復動作を400rpmの速度で繰り返し行う屈曲試験において、10万回以上の屈曲耐久性を有し、かつ、ビッカース硬さが450(Hv)以上である。
【選択図】図8

Description

本発明は、電子写真画像形成装置の熱定着装置に用いられる定着ベルトの基材に用いるステンレス製のシームレスベルトとその製造方法に関する。また、本発明は電子写真画像形成装置に用いる定着ベルトおよび熱定着装置に関する。
電子写真画像形成装置において、未定着のトナー画像を被記録材面に定着させるための熱定着装置が用いられている。
近年、当該熱定着装置として、消費電力を極力低く抑えることができる、熱源としてのセラミックヒータを熱源として用いて、熱容量の小さい樹脂ベルトあるいは金属ベルトを加熱する熱定着装置が実施されている。図2に熱定着装置の一例の概略図を示す。図2に示した熱定着装置においては、熱源としてのセラミックヒータ31と加圧部材としての加圧ローラ35との間に耐熱性ベルト(定着ベルト33)を挟ませて定着ニップ部36を形成させる。そして、定着ニップ部36において定着ベルト33と加圧ローラ35との間に、熱定着される未定着トナー画像Tを担持した被記録材Pを導入し、被記録材Pを定着ベルト33と加圧ローラ35とで挟持しつつ搬送する。それにより定着ニップ部36においてセラミックヒータ31の熱を、定着ベルト33を通して被記録材Pに与え、この熱および圧力とで、被記録材P上の未定着トナーTを被記録材Pに定着させる。なお、図2において、32はベルトガイド部材、34は加圧用剛性ステイである。
このような熱定着装置に用いる定着ベルトの材料としては一般に耐熱樹脂等が用いられ、特に耐熱性、強度に優れたポリイミド樹脂が用いられてきた。しかしながら、近年のプロセススピードの向上に伴って、樹脂製の定着ベルトでは熱伝導性が不十分であった。すなわち、未定着トナー画像を被記録材に短時間で十分に定着させることが困難な場合があった。そこで、定着ベルトに、熱伝導性に優れる金属、例えばステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等を含む基層を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
特許第3970122号明細書においては、ステンレス製の基層の製造方法が記載されている。すなわち、第1の実施例として以下の方法が記載されている。
初めに、ステンレス製の金属平板を複数回の深絞り加工することによりカップ状のステンレス製円筒部材(第1段階の金属管)を得る工程が行われる。次に、ステンレス製円筒状部材を所定の厚みに形成する一般的な絞りスピニング加工でしごき加工を施すか、または、連続ダイスを用い第一段階の金属管を回転させながらしごき加工を施し、カップ底部を切り落としシームレスベルト(第2段階の金属管)を得る工程が行われる。最後に、液圧バルジ加工により、第2段階の金属管に内圧を負荷し塑性加工して、所望の逆クラウン形状(第3段階の金属管)の金属ベルトを得る製造方法が示されている。
また、第2の実施例として、第1の実施例における第2段階の金属管と第3段階の金属管を得る工程間に、800℃〜1100℃で完全焼鈍処理を行い、金属ベルトを得る製造方法が提案されている。
更に、第3の実施例として、第1の実施例における第2段階の金属管を得る工程において、絞りスピニング加工時の圧力や速度を制御する事で逆クラウン形状(第3段階の金属管)の金属ベルトを得る方法が提案されている。
特許第3970122号
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1に係る第1および第3の実施例で得られるシームレスベルトは、ニップ部において繰り返し屈曲させられるため、その応力により金属疲労が蓄積し、折れや亀裂等が発生することがあった。また、第2の実施例で得られるシームレスベルトは、800℃〜1100℃の完全焼鈍により金属ベルトが軟化し硬度低下を生じ、セラミックヒータとの摺動により摩耗することがあった。すなわち、特許文献1に係る金属製のシームレスベルトには、その耐久性に未だ改善の余地があるとの認識を本発明者は得た。
そこで、本発明は、繰り返しの屈曲によってもクラックや破断が生じにくい耐久性に優れたステンレス鋼製のシームレスベルトとその製造方法を提供に向けたものである。
また、本発明は、高い耐久性を有する定着ベルトの提供に向けたものである。
更に、本発明は、未定着のトナー画像を安定して被記録材に定着させることのできる熱定着装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、ステンレス鋼板を塑性加工して形成してなる、厚み50μm以下のステンレス製のシームレスベルトであって、該シームレスベルトを周方向に沿って切断し、さらに幅20mmに切断し、かつ、周方向と直交方向に切り開いて作成した幅20mm、長さ45mmの短冊状のステンレス試験片が、片側に回転軸を持ち、その軸を回転中心にしている片支持プレートが、口開き量29mmの上死点から口開き量5.5mmの下死点までの往復動作を400rpmの速度で繰り返し行う屈曲試験において、10万回以上の屈曲耐久性を有し、かつ、ビッカース硬さが450(Hv)以上であるのシームレスベルトが提供される。
また、本発明の他の態様によれば、(1)ステンレス鋼板を絞り加工によってカップ形状部材を得る工程、(2)該カップ形状部材を塑性加工して薄肉化し、薄肉化されたカップ形状部材の底部を切断して薄肉スリーブを得る工程、(3)該薄肉スリーブを、該薄肉スリーブの外径よりも大きな内径を有する円筒状外型の内部に該円筒状の外型と同軸となるように挿入し、該薄肉スリーブを内側から加圧して該薄肉スリーブを該外型の内壁に密着させて該薄肉スリーブを拡径させる工程、および(4)該工程(3)で得た拡径した薄肉スリーブを200〜400℃で低温焼き鈍しする工程を有するステンレス製のシームレスベルトの製造方法であって、該工程(3)は、該薄肉スリーブの周方向に直交する方向の長さを変化させることなく該薄肉スリーブを拡径させる工程を含むシームレスベルトの製造方法が提供される。
更に本発明の他の態様によれば、上記のシームレスベルト、弾性層、および、トナー離型層をこの順に有している定着ベルトが提供される。
更にまた本発明によれば、上記の定着ベルトと、該定着ベルトの内周面に接して配置されたヒータと、該定着ベルトと共に定着ニップを形成している加圧ローラとを有している熱定着装置が提供される。
(a)は、本発明の実施例で用いた液圧バルジ加工方法の加工前の状態図である。(b)は、本発明の実施例で用いた液圧バルジ加工方法の内圧負荷時の状態図である。 は、熱定着方式の像加熱装置の概略構成の一例を示した概略図である。 は、シームレスベルトの液圧バルジ加工方法の工程を示す概略図である。図3(a)はシームレスベルトが液圧バルジ加工装置のバルジ型内に投入された状態を示す断面図である。図3(b)はバルジ内型に内圧を負荷した状態を示す断面図である。図3(c)は加圧流体をバルジ内型から抜いた加圧完了後の状態を示す断面図である。図3(d)はシームレスベルトを液圧バルジ加工装置から排出している様子を示す断面図である。 (a)は、従来の液圧バルジ加工方法の加工前の状態図である。(b)は、従来の液圧バルジ加工方法の内圧負荷時の状態図である。 は、本発明の実施例で用いた深絞り加工を示した概略図である。 は、本発明の実施例で用いたしごき加工と切断の工程を示した概略図である。 は、本発明の実施例2における液圧バルジ加工方法の概略図である。図7(a)は内圧を負荷する前の状態図であり、図7(b)は内圧を負荷時の状態図である。 (a)は、本発明の実施例で用いた屈曲試験機の上死点の状態図である。図8(b)は、本発明の実施例で用いた屈曲試験機の下死点の状態図である。 は、本発明の屈曲耐久用試験片と硬度測定用試験片の切り出し位置を説明する図である。 は、本発明に係る定着ベルトの部分断面図である。
本発明者は、冷間で塑性加工されたステンレス鋼が低温焼き鈍し処理により、硬度と疲労強度が向上する点に着目した。
そこで、シームレスベルトの厚み方向の転位密度の更なる向上を図るべく、冷間でしごき加工を施し薄肉化したシームレスベルトを、周方向に直交する方向の長さが変化しないようにしつつ拡径する塑性加工を施した。その後、200〜400℃の温度域で低温焼き鈍し処理する事で、高い硬度を有し、かつ、耐屈曲疲労特性に優れたステンレス鋼製のシームレスベルトを実現した。
ここで、拡径方法としてバルジ加工を用いる。一般的なバルジ加工で薄肉スリーブを拡径させた場合、薄肉スリーブは、その周方向に直交する方向の長さが短くなりながら拡径される。しかし、本発明においては薄肉スリーブを、その周方向に直交する方向の長さが変化しないようにしつつ拡径する。これにより、薄肉スリーブには、しごき加工方向と直行する方向、すなわち、拡径方向に大きなせん断応力が加わる事となる。その結果、シームレスベルトの強度の向上に有効な転位の高密度化を図る事ができるものと考えられる。
また、バルジ加工による拡径に引き続いて、低温焼き鈍し処理に行うことで、薄肉スリーブ内の当該転位がステンレス鋼の結晶内で固着させることができるものと考えられる。すなわち、転位が高密度に生じたシームレスベルトは、それ自体の強度が高いものの、繰り返し屈曲されられた場合、その屈曲による応力でシームレスベルト内の転位が表面に移動していき、クラックの原因となるものと考えられる。一方、低温焼き鈍し処理は、本来的にポテンシャルエネルギーが高い転位をステンレス鋼中の異種元素や点欠陥に固着させ、そのポテンシャルエネルギーを低下させることで、屈曲によっても当該転位が容易に移動しないようにすることができるものと考えられる。
以上の理由によって、本発明の方法によって得られるステンレス鋼製のシームレスベルトは、次のような高い硬度と優れた屈曲耐久性とを兼ね備えたものとなるものと考えられる。
・ビッカース硬さで450(Hv)以上;
・該シームレスベルトを周方向に沿って幅20mmに切断し、かつ、周方向と直交方向に切り開いて作成した幅20mm、長さ45mmの短冊状のステンレス試験片が、
片側に回転軸を持ち、その軸を回転中心にしている片支持プレートが、口開き量29mmの上死点から口開き量5.5mmの下死点までの往復動作を400rpmの速度で繰り返し行う屈曲試験において、10万回以上。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明に係るステンレス製のシームレスベルトは、ステンレス鋼板を塑性加工して形成されてなり、厚みが50μm以下である。そして、該シームレスベルトを周方向に沿って切断し、さらに幅20mmに切断し、かつ、周方向と直交方向に切り開いて作成した幅20mm、長さ45mmの短冊状のステンレス試験片を、片側に回転軸を持ち、その軸を回転中心にしている片支持プレートが、口開き量29mmの上死点から口開き量5.5mmの下死点までの往復動作を400rpmの速度で繰り返し行う屈曲試験に供したときの屈曲耐久性が10万回以上である。更に、ビッカース硬さが450(Hv)以上である。
上記したような、高い硬度を有しつつ、耐屈曲性にも優れたステンレス製のシームレスベルトは下記(1)〜(4)の工程を含む方法によって製造することができる。
(1)ステンレス鋼板を絞り加工によってカップ形状部材を得る。
(2)工程(1)で得たカップ形状部材を塑性加工して薄肉化し、薄肉化されたカップ形状部材の底部を切断して薄肉スリーブを得る。
(3)次いで、上記工程(2)で得た薄肉スリーブを、該薄肉スリーブの外径よりも大きな内径を有する円筒状の外型の内部に該円筒状の外型と同軸となるように挿入する。そして、該薄肉スリーブを内側から加圧して該薄肉スリーブを該外型内壁に密着させる。このとき、該薄肉スリーブの周方向に直交する方向の長さが変化しないようにしつつ該薄肉スリーブを拡径させることが必要である。
(4)次に、上記工程(3)で得られた拡径した薄肉スリーブを200〜400℃で低温焼き鈍しする。
上記の工程(3)が従来のバルジ加工と異なる点は、薄肉スリーブを円筒状外型内部に、該円筒状外型と同軸に配置した薄肉スリーブを、該薄肉スリーブの内側から加圧して該円筒状外型の内壁に密着させて拡径させるときに、該薄肉スリーブの周方向に直交する方向の長さ、すなわち、軸に沿う方向の長さが変化しないようにする点にある。通常のバルジ加工においては、薄肉スリーブが拡径するに連れて、薄肉スリーブの軸に沿う方向の長さが短くなる。
一方、本発明においては、薄肉スリーブの拡径が進んでも、薄肉スリーブの軸に沿う方向の長さが変化しないようにする。具体的には、例えば、薄肉スリーブの両端を、円筒状の金型の両端部で拘束(クランプ)しておく。
このように、拡径工程における薄肉スリーブの周方向と直交する方向の長さの変化を抑制することで、拡径過程にある薄肉スリーブには、より大きなせん断応力が加わることになる。その結果、薄肉スリーブを構成するステンレス鋼の結晶内には転位と呼ばれる格子欠陥を多く生じさせることができる。その結果、ステンレス鋼の結晶内の転位密度が高まり、薄肉スリーブ1の強度が高まることとなる。しかしながら、この時点における転位は、薄肉スリーブに対して屈曲等の外力が加わったときには容易に移動する状態にあると考えられる。そして、繰り返しの屈曲によって転位が薄肉スリーブの表面近傍に移動した場合、その転位が薄肉スリーブにクラックや破断を生じさせる原因となるものと考えられる。
そこで、結晶内の転位密度を高めた薄肉スリーブ1を、工程(4)において低温焼き鈍し処理する。これにより、転位がステンレス内部の点欠陥に固着する。その結果として得られる薄肉スリーブは高い硬度を有し、かつ、耐屈曲性に優れたシームレスベルトとすることができる。
このようにして得られるステンレス製のシームレスベルトは、電子写真装置の定着装置における定着ベルトとして用いることができる。図10は本発明に係る定着ベルト1000の周方向に直交する方向の概略断面図である。図10において、1001は本発明に係るシームレスベルトであり、1002は弾性層であり、1003はトナー離型層である。弾性層1002を設けることにより、加圧ローラとの定着ニップの幅を十分に確保することができる。また、定着ニップにおいて未定着トナーに対し過度の圧力を加えることなく被記録材上に熱定着させることができるため、高品位な電子写真画像を形成することができる。
弾性層2の材質としては、特に限定されず、耐熱性が良く、熱伝導率の良い材料を選べばよい。弾性層2としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びフルオロシリコーンゴムからなる群より選択された少なくとも一種を含むことが好ましく、特にシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムを形成する材料の具体例を以下に示す。ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリトリフルオロプロピルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの共重合体等。
弾性層1002の厚みは、良好な定着画像品質が得られるので、10μm以上1000μm以下が好ましく、50μm以上500μm以下がより好ましい。
トナー離型層1003の材料を以下に例示する。PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等。特にPFAは、トナー等が付着しにくいため好ましい。
本発明に係る定着ベルト1000は、定着ベルトの内周面に接して配置されたヒータを有する図2に示した熱定着装置における定着ベルト33に変えて用いることで、本発明に係る熱定着装置とすることができる。
本発明によれば、繰り返しの屈曲によってもクラックや破断が生じにくい耐久性に優れたステンレス鋼製のシームレスベルトを得ることができる。また、本発明によれば、耐久性に優れた定着ベルトを得ることができる。更に本発明によれば、未定着のトナー画像を安定して被記録材に定着させることのできる熱定着装置を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明に係るステンレス製のシームレスベルトの製造方法を具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例で、ステンレス製のシームレスベルトの製法を、第1段階の金属管から第4段階の金属管を得る製法に分けて説明する。
(第1段階の金属管)
図5は、深絞り加工による第1段階の金属管の製法を説明する図である。ここでは、ステンレス鋼板を絞り加工によって第1段階の金属管(カップ形状部材104)を得る。
ブランク100は円形のステンレス鋼板であり、厚み200〜400μm程度の金属平板(ブランク)である。101は絞り加工用ポンチ、102は円筒状の絞り加工用ダイスであり、金属材料の表面に超硬メッキなどを施した金型である。
図5において、金属平板100を絞り加工用ポンチ101と絞り加工用ダイス102の間に挟み、矢印の方向に絞り加工用ポンチ101を絞り加工用ダイス102の方向へ押し込む。同時に、シワ押さえ103と絞り加工用ダイス102の上面の間で金属平板100を挟み込み、シワの発生を抑えながら絞り加工を施す。また、金属平板100と絞り加工用ポンチ101、絞り加工用ダイス102の間には粘性の高い潤滑油、あるいは黒鉛、二硫化モリブデン等の固定潤滑材を介在させ、絞り性を良くしてある。
以上の工程を通常は2〜6回程度、徐々にカップ径が小さくなるように、異なる金型を用いて深絞り加工を行い、金属製のカップ形状部材104を製造する。また、金属製カップ形状部材を得る方法としては、本実施例に限定されるものではなく、インパクト成形、溶接、切削加工などによりカップ形状とする方法でも良い。
(第2段階の金属管)
次に、カップ形状部材104に塑性加工を施して有底円筒部材2を作成し、有底円筒部材2の底部を切断して薄肉スリーブ1を得る。
図6に上記第2段階の一連の工程を示す。
はじめに、上記第1段階で作成したカップ形状部材104を、しごき加工用ポンチ105の先端に、図6に示す様に被せる。次に、しごき加工用ダイス106を矢印の方向に金属製カップ形状部材104に潜らせ、しごき加工用ポンチ105としごき加工用ダイス106との空隙でしごき加工を行う。本実施例では、徐々に内径が小さくなる複数個のしごき加工用ダイス106を連続してカップ形状部材104に潜らせ、所定の厚みとなるよう薄肉化した。なお、しごき加工の方法としては上記の方法に限定されるものではない。例えば、全しごき率(板厚減少率)を75%以上とすることのできる塑性加工方法であればカップ形状部材104のしごき加工に適用し得る。
次いで、しごき加工用ポンチ105から有底円筒部材2を脱型し、その底部を切断外刃107および切断内刃108を用いて切断し、薄肉スリーブ1を得る。
(第3段階の金属管)
次に、第2段階で得たステンレス鋼製の薄肉スリーブ1に対して、薄肉スリーブ1内の転位密度をより高めるための塑性加工を施す。本段階では、第2段階で得た薄肉スリーブ1を外型内部に挿入し、薄肉スリーブの内側から加圧して薄肉スリーブを外型内壁に密着させて薄肉スリーブの径を拡張させる、すなわち、拡径させる。
本実施例では、しごき加工された薄肉スリーブ(ステンレス製シームレスベルト)の転位密度を効率良く高める手段として、液圧バルジ加工による拡径方法を用いた。液圧バルジ加工は、加工したい金属管の内部に加圧流体を導入して、圧力を加える(以下、内圧と称する)ことにより金属管を任意の形状に成型する加工法である。
図3は、本段階に係る、薄肉スリーブ1に対して、液圧バルジ加工を施す方法を工程順に説明する図である。10は液圧バルジ加工装置のバルジ外型で、20は液圧バルジ加工装置のバルジ内型である。バルジ内型20は、ゴム管24をゴム管保持部材21a、21bにより保持し、加圧流体26が外部に漏れない袋体構造となっている。加圧流体用流路25から加圧流体26が導入されると、ゴム管24がバルジ外型10に接触する方向へ膨出し、薄肉スリーブ1が拡径される。
図3(a)は、薄肉スリーブ1が液圧バルジ加工装置のバルジ外型内部に挿入された状態を示す断面図である。本実施例では、第2段階にて作成した薄肉スリーブ1を、洗浄工程を経て、第2段階におけるしごき加工で付着した潤滑剤を脱脂した後、バルジ型内に投入した。
図3(b)は、バルジ内型20に内圧を負荷した状態を示す断面図である。加圧流体用流路25から加圧流体でゴム管24を膨らませ、薄肉スリーブ1の外壁をバルジ外型10の内壁に押圧させる。この際、ゴム管24と内型軸芯23の間に加圧流体26で満たされた空間ができる。
図3(c)は、加圧流体をバルジ内型20から抜き、薄肉スリーブ1に対する加圧工程が完了した後の状態を示す断面図である。薄肉スリーブ1は、バルジ外型10との密着状態から開放され、ゴム管24とバルジ外型10のどちらにも接触していない状態となっている。
図3(d)は、薄肉スリーブ1を液圧バルジ加工装置から排出している過程を示す断面図である。
以上の工程により、第3段階の金属管を得る事ができる。
そして、図3(b)に示した、薄肉スリーブ1の拡径工程においては、薄肉スリーブ1の周方向に直交する方向の長さが変化しないようにしつつ薄肉スリーブ1を拡径させることが必要である。図1と図4を用いて、従来の液圧バルジ加工と本発明の液圧バルジ加工方法の違いについて、より詳細に説明する。
図4は、従来の液圧バルジ加工の、内圧を負荷する前と、内圧を負荷している最中のステンレス製シームレスベルト先端部の変化を説明する拡大図である。図1は、本発明の液圧バルジ加工の、内圧を負荷する前と、内圧を負荷している最中のステンレス製シームレスベルト先端部を説明する拡大図である。
図4に示す従来の液圧バルジ加工においては、内圧を負荷して薄肉スリーブ1を拡径すると、それに伴って、薄肉スリーブ1の周方向と直交する方向の長さが短くなる。すなわち、内圧負荷前と、薄肉スリーブ1がバルジ外型10と密着した状態とを比較すると、バルジ外型10に密着後には、薄肉スリーブ1の周方向と直交する方向の長さがHだけ縮むこととなる。
一方、図1に示す本発明に係る液圧バルジ加工においては、バルジ外型10の両端にバルジ外型10の内径より小さい内径を有する円筒状の拘束部材11が設置してある。図1には、図示されていないが、シームレスベルト1の逆端部側にも同様の拘束部材11が設置してある。この拘束部材11とゴム管24との摩擦力によって、薄肉スリーブ1の端部に固定部Gが形成される。この固定部Gにより、薄肉スリーブ1の拡径を、薄肉スリーブ1の周方向と直交する方向の長さの変化を抑制しつつ行うことができる。即ち、図4に示した、拡径に伴う薄肉スリーブ1の周方向と直交する方向の縮みHの発生を抑えることができる。
なお、薄肉スリーブ1の周方向と直交する方向の長さが変化しないようにする手段は、本実施例に限定されるものではない。例えば、本実施例とは逆方向の力、つまり、ステンレス製シームレスベルトの外面側から軸中心方向に圧力を加え、シームレスベルトの両端部を固定し、周方向と直行する方向の長さが変化しないようにする方法でも良い。
(第4段階の金属管)
最後に、これまでの塑性加工により増殖した可動転位を、耐屈曲疲労に有効と思われる固着転位に変える目的で、第3段階で拡径したステンレス製シームレスベルト(薄肉スリーブ)に対して200〜400℃で低温焼き鈍し処理を行い第4段階の金属管を得る。本実施例では、300℃に予め加熱しておいた電気炉で、約30分間の低温焼き鈍し処理を行った。
−評価方法−
(屈曲耐久試験)
図8は、屈曲試験方法を説明する図である。まず、ステンレス製シームレスベルトから軸方向に20mm幅に切り出し、かつ、周方向と直交方向に切り開いて長さ45mmの短冊状のステンレス試験片200を切り出す。図9に、ステンレス製シームレスベルトから屈曲試験用試験片91を切り出した位置を記す。開口部側(しごき加工の終端部側)が、屈曲試験回数は、低い傾向にあった為、ステンレス製シームレスベルトの開口部側(しごき加工の終端部側)から軸方向に20mmの位置を切り出し、試験片を作成した。
図8(a)は、試験片200を、屈曲耐久試験機に取り付けた状態を説明する断面図である。試験片200を、片側に回転軸203を持ち、その軸を回転中心にしている片支持プレート201と水平台202の間に挟持した。この時の試験片200の口開き量Aは29mmである。
図8(b)は、試験片202が、本発明に用いた試験機において最大の屈曲を受けている状態を説明する断面図である。片支持プレート201と水平台202は水平状態で、この時の試験片200の口開き量Bは5.5±0.2mmである。
片支持プレート201が、口開き量29mmの上死点から口開き量5.5mmの下死点までの往復動作を400rpmの速度で繰り返し行う屈曲試験機で、試験片に目視で確認できるクラックが発生するまでの回数を測定した。なお、試験片は、#2000のサンドペーパーにて、切り出した際の切断端面の影響が、屈曲試験結果に影響しない状態まで十分に磨いたものを用いた。
(硬度測定)
次に、硬度測定方法について説明する。硬度測定はISO14577−1の試験方法に従って行った。
図9に、ステンレス製シームレスベルトから硬度測定用試験片92を切り出した位置を記す。試験片は、シームレスベルトの底部側(しごき加工の開始側)から20mmの位置から20mm幅で切断し、かつ、周方向と直交方向に切り開いて長さ45mmの短柵状に切り出して用意した。その試験片を、ガラスプレートにセラミックヒータと擦れる内面側が測定面となるように接着剤、ボンドアロンアルフアプロ用No.1(コニシ株式会社の商品名)で接着した。その後、完全に乾燥するまで2日間放置したのち、3ミクロン相当のラッピングフィルムを用い、測定面の表面粗さが硬度測定に影響を与えない状態まで研磨した。
測定器としては、株式会社フィッシャー・インストルメンツ社製の「FISCHERSCOPEHM2000」(商品名)を用いた。測定荷重は500mNで、圧子が試験片に接触してから20secで測定荷重に到達するように荷重を負荷し、5sec保持した。 その際の圧子の進入量は、約2.5μmであった。
本実施例1で得たステンレス製のシームレスベルトの低温焼き鈍し処理の前後における屈曲耐久試験の結果、及び硬度測定の結果を表1および表2に示す。低温焼き鈍しにより、ビッカース硬度が約10%の上昇し、屈曲耐久性が約110%上昇した。
なお、屈曲耐久試験において、試験片は、全て屈曲部の曲率が最も大きくなる部位でクラックが発生していた。
(実施例2)
本実施例においては、実施例1の第2段階で金属製カップ形状部材に対して、しごき加工を行った後、切断工程の前、つまり、薄肉化された有底円筒部材2をその周方向と直交する方向の長さが変わらないようにしつつ塑性加工を施す製法について説明する。
実施例1と同様に、ステンレス製の金属平板から深絞り加工により第1段階の金属管を得る。次に、しごき加工により有底円筒部材2を得る。ここまでの製法については、実施例1で詳細に説明したため、ここでは省略する。
次に、拡径手段として液圧バルジ加工を用い塑性加工する。図7に有底円筒部材2を周方向と直交する方向の長さが変わらないようにしつつ塑性加工を施す製法について示す。図7(a)は、有底円筒部材2をバルジ型内に投入した状態を示す。有底円筒部材2の底部が、バルジ内型21の上面に確実に接触するように、矢印の方向に軽く圧力を加え、その後、図7(b)に示すように、内圧を負荷し拡径する。
従来は、図4で説明したようにシームレスベルトの縮み量Hが発生していたが、有底円筒部材2の底部が、バルジ内型21の上面で拘束を受けるため固定され、縮み量Hは発生しない。
また、図7には示していないが、有底円筒部材2の底部と反対側の開口端部側には、実施例1で用いた拘束部材11が設置してある。実施例1と同様に、ゴム管と拘束部材11との摩擦力により、有底円筒部材2の底部と反対側の開口端部側が固定される。このようにして、有底円筒部材2の底部と、それとは反対側の開口端部とを固定することで、有底円筒部材2の周方向と直行する方向の長さを変化させないようにしつつ拡径する事が可能となる。
その後、実施例1と同様にして、拡径処理した有底円筒部材2の底部を切断し、最後に、低温焼き鈍し処理を施す。
以上、説明してきたように、底部を残した有底円筒部材2を用いて拡径する事で、有底円筒部材2の底部側のバルジ外型10に拘束部材11を設置しない状態でも、円筒部材2の底部側端部の固定が可能となる。
これは、実施例1の両側に拘束部材11を設置する場合では、シームレスベルトを投入、排出する際、毎回、少なくともどちらか一方の拘束部材をバルジ外型10から取り外さなければならないが、本実施例では、そのわずらわしさをなくせるメリットがある。
このようにして得たシームレスベルトの評価結果を表1及び表2に示す。低温焼き鈍しにより、ビッカース硬度が約10%の上昇、屈曲耐久性が約100%の上昇と大きな効果が得られた。
(比較例1)
しごき加工後、周方向に拡径せずに、低温焼き鈍し処理を施した点以外は、実施例1と同様にしてステンレス製のシームレスベルトを得た。このようにして得たシームレスベルトの評価結果を表1及び表2に示す。低温焼き鈍しによる効果は、ビッカース硬度が約10%の上昇、屈曲耐久性が約10%の上昇で、実施例1および2ほど大きな効果は得られない。
(比較例2)
周方向に拡径する手段として、従来の液圧バルジ加工方法を用いた点以外は、実施例1と同様にしてステンレス製のシームレスベルトを得た。また、本比較例の液圧バルジ加工で発生するシームレスベルトの縮み量Hは、両端共に0.3mmであった。
このようにして得たシームレスベルトの評価結果を表1に示す。低温焼き鈍しによる効果は、ビッカース硬度が約10%の上昇、屈曲耐久性が約50%の上昇で、実施例1および2ほど大きな効果は得られない。
Figure 2012037879
表1から、低温焼き鈍し前後を比較すると、本発明の実施例は比較例に比べ、クラックが入るまでの屈曲回数が大幅に向上している事がわかる。
Figure 2012037879
以上、説明してきたように、しごき加工後の金属管に、その周方向と直行する方向の長さが変化しないようにしつつ拡径する塑性加工を施し、その後低温焼き鈍し処理を施す事で、高硬度を維持したまま、高耐久な屈曲疲労特性を有する金属製のシームレスベルトを提供する事が可能となる。
1 シームレスベルト
2 有底円筒部材
10 バルジ外型
11 拘束部材
20 バルジ内型
21a、21b ゴム管保持部材
23 内型軸心
24 ゴム管
25 加圧流体用流路
26 加圧流体
G ゴム管と拘束部材による固定部
H シームレスベルトの縮み量
31 セラミックヒータ
32 ベルトガイド部材
33 定着ベルト
34 加圧用剛性ステイ
35 加圧ローラ
36 定着ニップ部
T 未定着トナー像
P 記録紙
100 金属平板(ブランク)
101 絞り加工用ポンチ
102 絞り加工用ダイス
103 シワ押さえ
104 金属製カップ部材
105 しごき加工用ポンチ
106 しごき加工用ダイス
107 切断外刃
108 切断内刃
200 試験片
201 片支持プレート
202 水平台
203 回転軸
A 上死点での口開き量
B 下死点での口開き量
C 回転軸から試験片固定端までの長さ

Claims (4)

  1. ステンレス鋼板を塑性加工して形成してなる、厚み50μm以下のステンレス製のシームレスベルトであって、
    該シームレスベルトを周方向に沿って幅20mmに切断し、かつ、周方向と直交方向に切り開いて作成した幅20mm、長さ45mmの短冊状のステンレス試験片が、
    片側に回転軸を持ち、その軸を回転中心にしている片支持プレートが、口開き量29mmの上死点から口開き量5.5mmの下死点までの往復動作を400rpmの速度で繰り返し行う屈曲試験において、10万回以上の屈曲耐久性を有し、
    かつ、ビッカース硬さが450(Hv)以上であることを特徴とするシームレスベルト。
  2. 請求項1に記載のシームレスベルトの製造方法であって、
    (1)ステンレス鋼板を絞り加工によってカップ形状部材を得る工程、
    (2)該カップ形状部材を塑性加工して薄肉化し、薄肉化されたカップ形状部材の底部を切断して薄肉スリーブを得る工程、
    (3)該薄肉スリーブを、該薄肉スリーブの外径よりも大きな内径を有する円筒状外型の内部に該円筒状の外型と同軸となるように挿入し、該薄肉スリーブを内側から加圧して該薄肉スリーブを該外型の内壁に密着させて該薄肉スリーブを拡径させる工程、および
    (4)該工程(3)で得た拡径した薄肉スリーブを200〜400℃で低温焼き鈍しする工程を有し、
    該工程(3)は該薄肉スリーブの周方向に直交する方向の長さを変化させることなく該薄肉スリーブを拡径させる工程を含むことを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
  3. 請求項1に記載のシームレスベルト、弾性層、および、トナー離型層をこの順に有していることを特徴とする定着ベルト。
  4. 請求項3に記載の定着ベルトと、該定着ベルトの内周面に接して配置されたヒータと、該定着ベルトと共に定着ニップを形成している加圧ローラとを有していることを特徴とする熱定着装置。
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