JP2012036268A - ゴム組成物およびこれを用いる空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物およびこれを用いる空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】氷上摩擦が大きいゴム組成物の提供、これを用いる空気入りタイヤの提供。
【解決手段】天然ゴム20質量部以上ならびにブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴム15質量部以上を含有し、平均ガラス転移温度が−50℃以下のゴム100質量部に対して、カーボンブラックおよび白色充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の充填剤20〜70質量部と、平均粒子径が100μm以下でありJIS K7215に準拠して測定した硬度Bが90以下であるウレタン粒子1〜10質量部とを配合することを特徴とするゴム組成物、当該ゴム組成物を用いて得られるタイヤトレッドを有する空気入りタイヤ。
【選択図】なし

Description

本発明はゴム組成物およびこれを用いる空気入りタイヤに関する。
従来、ドライグリップ性能の低下をもたらすことなくウェットグリップ性能、耐摩耗性能および耐発熱性能を向上させうるトレッド用ゴム組成物およびこのトレッド用ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤを提供することを目的として、(A)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴム、(B)ウレタン系粒子および(C)補強用充填剤を含有し、かつゴム(A)100重量部に対しウレタン系粒子(B)の含有量が1〜20重量部、ウレタン系粒子(B)と補強用充填剤(C)との合計含有量が30〜200重量部であるトレッド用ゴム組成物が提案されている(特許文献1)。
また、本願出願人は以前に、新品時から所望のスタッドレスタイヤの氷路上の摩擦力を高めるように改良したスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的として、ジエン系ゴム100重量部に対し、硬質ゴム状弾性体の糸屑状凝集塊を1〜20重量部配合してなるスタッドレスタイヤ用ゴム組成物を提案した。
特開2002−97303号公報 特開平11−279332号公報
しかしながら、本願発明者らはウレタン系粒子または硬質ゴム状弾性体の糸屑状凝集塊を含有するゴム組成物を用いて得られるタイヤトレッドを有する空気入りタイヤは氷上摩擦の向上について改善の余地があることを見出した。
そこで、本発明は、氷上摩擦が大きいゴム組成物、および氷上摩擦が大きい空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、天然ゴム20〜85質量部ならびにブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴム15〜80質量部を含有し、平均ガラス転移温度が−50℃以下のゴム100質量部に対して、カーボンブラックおよび白色充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の充填剤20〜70質量部と、平均粒子径が100μm以下でありJIS K7215に準拠して測定した硬度が90以下であるウレタン粒子1〜10質量部とを配合することを特徴とするゴム組成物、ならびに、当該ゴム組成物を用いて得られるタイヤトレッドを有する空気入りタイヤが、氷上摩擦が大きいことを見出し、本願発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記1〜5を提供する。
1.天然ゴム20〜85質量部ならびにブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴム15〜80質量部を含有し、平均ガラス転移温度が−50℃以下のゴム100質量部に対して、カーボンブラックおよび白色充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の充填剤20〜70質量部と、平均粒子径が100μm以下でありJIS K7215に準拠して測定した硬度Bが90以下であるウレタン粒子1〜10質量部とを配合することを特徴とするゴム組成物。
2.さらに熱膨張性マイクロカプセルを含み、前記熱膨張性マイクロカプセルの量が前記ゴム100質量部に対して0.5〜20質量部である上記1に記載のゴム組成物。
3.前記ゴムと前記充填剤と前記ウレタン粒子とを含む混合物の加硫後の硬度Aと前記ウレタン粒子の硬度Bとの差の絶対値が30以下である上記1または2に記載のゴム組成物。
4.前記ウレタン粒子の形状が球状である上記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
5.上記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を用いて得られるタイヤトレッドを有する空気入りタイヤ。
本発明のゴム組成物、および本発明の空気入りタイヤは氷上摩擦が大きい。
図1は、本発明のゴム組成物の一例を模式的に表わす断面図である。
本発明について以下詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム20〜85質量部ならびにブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴム15〜80質量部を含有し、平均ガラス転移温度が−50℃以下のゴム100質量部に対して、カーボンブラックおよび白色充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の充填剤20〜70質量部と、平均粒子径が100μm以下でありJIS K7215に準拠して測定した硬度Bが90以下であるウレタン粒子1〜10質量部とを配合することを特徴とするゴム組成物である。
本発明のゴム組成物は平均粒子径が100μm以下でありJIS K7215に準拠して測定した硬度Bが90以下であるウレタン粒子をゴムに対して上記の量で配合することによって、例えば空気入りタイヤ(例えばスタッドレスタイヤ)のトレッドのようなゴム製品の表面を粗くし、且つ、氷との親和性を高めることによって、氷上摩擦を向上させることができる。詳細には、本発明のゴム組成物は、ポリウレタンを粒子状のウレタン粒子として使用し、ウレタン粒子の粒径を小さくしウレタン粒子をゴム組成物から得られるゴム製品の表面から脱離しにくくすることのよる表面粗さと、ウレタン粒子の硬度B(および/またはゴム組成物としての硬度)によって発現されるゴム製品(例えば空気入りタイヤ)の氷上路面への追従とをバランスさせることによって、氷上摩擦を大きくすることができる。本発明においてウレタン粒子は氷上摩擦向上剤として機能する。
ゴムについて以下に説明する。本発明のゴム組成物に配合されるゴムは天然ゴムとブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴムとを含有する。
天然ゴムは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本発明において、天然ゴムの量はゴム100質量部中20〜85質量部である。氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、天然ゴムの量はゴム100質量部中、20〜80質量部であるのが好ましく、30〜70質量部であるのがより好ましい。
本発明のゴム組成物に配合されるブタジエンゴムは特に制限されない。ブタジエンゴムは室温で固体のものとすることができる。例えば従来公知のものが挙げられる。ブタジエンゴムはそのシス−1,4結合含量を75%以上とすることができる。ブタジエンゴムは変性されていてもよい。変性されたブタジエンゴムとしては例えば、ヒドロキシ基変性ブタジエンゴム、マレインN−メチル−2−ピロリドン変性ブタジエンゴムなどが挙げられる。
本発明のゴム組成物に配合される液状ブタジエンゴムは、室温で液状のブタジエンゴムであれば特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。液状ブタジエンゴムは変性されていてもよい。
ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴムを併用する場合、これらを含有する液状ブタジエン含有ブタジエンゴムを使用することができる。液状ブタジエン含有ブタジエンゴムとしては例えば日本ゼオン社製Nipol BR1220が市販されている。
本発明においてゴム100質量部中ブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴムの量(ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴムを併用する場合はその合計量)は15〜80質量部である。ブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴムの量は氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、ゴム100質量部中20〜70重量部であることが好ましい。
ゴムの組み合わせは氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴムの組み合わせが好ましい。
ゴムは氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、天然ゴム、ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムをさらに含有することが好ましい。天然ゴム、ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムは、ジエン化合物を少なくとも含むモノマーから得られるものであれば特に制限されない。例えば、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムが挙げられる。
天然ゴム、ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ゴムが天然ゴム(NR)、ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムをさらに含有する場合、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、ゴム100質量部中、天然ゴムの量が20〜80質量部であり、ブタジエンゴムまたは/および液状ブタジエンゴムの量が15〜80質量部であり、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムの量が5〜30質量部であるのが好ましく、天然ゴムの量が20〜80質量部であり、ブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴムの量が15〜80質量部であり、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムの量が5〜20質量部であるのがより好ましい。
ゴム(ゴム成分)の平均ガラス転移温度(平均Tg)は氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、−50℃以下であるのが好ましく、−55℃以下であるのがより好ましい。ゴム(ゴム成分)の平均ガラス転移温度(平均Tg)は−70℃以上とすることがきできる。
充填剤について以下に説明する。本発明のゴム組成物に配合される充填剤はカーボンブラックおよび白色充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する。
充填剤としてのカーボンブラックは特に制限されない。例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのもの等が挙げられる。カーボンブラックは、耐摩耗性をより向上させる観点からは、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましい。
白色充填剤は一般的にゴム組成物に配合できるものであれば特に制限されない。例えば、シリカ、水酸化アルミニウム等が挙げられる。なかでも氷上摩擦がより大きいという観点からシリカが好ましい。充填剤としてのシリカは一般的にゴム組成物に配合できるものであれば特に制限されない。例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。なかでも、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れ、破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果に優れる点で、湿式シリカが好ましい。
充填剤は氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、白色充填剤(特にシリカ)とカーボンブラックとを併用するのが好ましい。
本発明において充填剤の量(充填剤としてカーボンブラックおよび白色充填剤を併用する場合はその合計量)はゴム100質量部に対して20〜70質量部である。充填剤の量は氷上摩擦がより大きく耐摩耗性優れるという観点から、ゴム100質量部に対して、30〜70質量部であるのが好ましく、35〜70質量部であるのがより好ましい。
充填剤としてカーボンブラックおよび白色充填剤を併用する場合、カーボンブラックおよび白色充填剤の量比は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、カーボンブラックの量(C)と白色充填剤の量(D)の質量比(D/C)が0.1〜13であるのが好ましく、0.16〜10であるのがより好ましい。
ウレタン粒子について以下に説明する。本発明のゴム組成物に配合されるウレタン粒子はその平均粒子径が100μm以下でありJIS K7215に準拠して測定した硬度Bが90以下である。
ウレタン粒子の平均粒子径は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、5〜50μmであるのが好ましく、7〜30μmであるのがより好ましい。本発明においてウレタン粒子の平均粒子径はレーザー回折法によって測定された。
ウレタン粒子の硬度Bは、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、50〜90であるのが好ましく、50〜80であるのがより好ましい。本発明においてウレタン粒子の硬度BはJIS K7215に準拠してタイプAデュロメータを使用して測定された。
ウレタン粒子を構成する原料はポリウレタンであれば特に制限されない。
ウレタン粒子としては例えば特開2008−189843号公報に記載されているようなポリシロキサン変性ポリウレタンゲル粒子[少なくともいずれか一方が3官能以上である、ポリイソシアネートと、分子内に活性水素基を有する化合物と、分子内に活性水素基を有するポリシロキサンおよび/または該ポリシロキサンとラクトンとの共重合体とからなる三次元架橋したポリシロキサン変性ポリウレタンゲル粒子(粒子A)であって、該粒子Aの表面がポリウレアコロイド非水溶媒溶液から析出したポリウレアコロイド粒子(粒子B)によって被覆されていることを特徴とするポリシロキサン変性ポリウレタンゲル粒子(粒子C)。]が挙げられる。ウレタン粒子として具体的には例えば上記公報に記載されているポリシロキサン変性ポリウレタンゲル粒子(例えば実施例1等に記載されているもの)を使用することができる。またウレタン粒子は架橋されているのが好ましい態様の1つとして挙げられる。ウレタン粒子は弾性体とすることができる。
またウレタン粒子の形状は略球状であるのが好ましい態様として挙げられる。ウレタン粒子の形状は氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、球状(ビーズ状)であるのが好ましく、真球状であるのがより好ましい。
ウレタン粒子の円形度は氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、0.9〜1.0であるのが好ましい。本発明においてウレタン粒子の円形度は粒子形状解析によって解析された。
本発明においてウレタン粒子の量はゴム100質量部に対して1〜10質量部である。ウレタン粒子の量は氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、1〜20質量部であるのが好ましく、3〜15質量部であるのがより好ましい。
ゴム(天然ゴムとブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴムとを含有する。)と充填剤とウレタン粒子とを含む混合物の加硫後の硬度Aは、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、40〜65であるのが好ましく、45〜60であるのがより好ましい。
ゴムが天然ゴムとブタジエンゴムと液状ブタジエンゴムとを含有する場合、ゴムと充填剤とウレタン粒子とを含む混合物の加硫後の硬度Aは、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、40〜65であるのが好ましく、45〜60であるのがより好ましい。
なお本発明においてゴムと充填剤とウレタン粒子とを含む混合物の加硫後の硬度AはJIS K6253に準拠してタイプAデュロメータを使用して測定された。加硫は160℃の条件下で行われた。硬度の測定は20℃の条件下で行われた。
ゴム(天然ゴムとブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴムとを含有する。)と充填剤とウレタン粒子とを含む混合物の加硫後の硬度Aとウレタン粒子の硬度Bとの差の絶対値は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、30以下であるのが好ましく、5〜25であるのがより好ましい。
ゴムがさらに天然ゴム、ブタジエンゴムおよび液状ブタジエンゴム以外のジエン系ゴムを含有する場合、ゴムと充填剤とウレタン粒子とを含む混合物の加硫後の硬度Aとウレタン粒子の硬度Bとの差の絶対値は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、30以下であるのが好ましく、5〜20であるのがより好ましい。なお硬度A、硬度Bは上記と同義である。
本発明のゴム組成物はさらに熱膨張性マイクロカプセルを含有することができる。本発明のゴム組成物がさらに熱膨張性マイクロカプセルを含有する場合氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れる。
本発明のゴム組成物が配合することができる熱膨張性マイクロカプセルは、熱によって膨張して気体封入熱可塑性樹脂となる熱膨張性マイクロカプセルであれば特に制限されない。熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の粒子径は、膨張前で5〜300μmであるものが好ましく、さらに好ましくは粒径10〜200μmのものである。
熱膨張性マイクロカプセルは熱により気化して気体を発生する液体を熱可塑性樹脂に内包した熱膨張性熱可塑性樹脂粒子であり、この粒子をその膨張開始温度以上の温度、通常130〜190℃の温度で加熱して膨張させて、その熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体を封入した気体封入熱可塑性樹脂粒子となる。
熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、スウェーデンのEXPANCEL社製商品名「エクスパンセル091DU−80」または「エクスパンセル092DU−120」、松本油脂社製商品名「マツモトマイクロスフェアーF−85」または「マツモトマイクロスフェアーF−100」が挙げられる。
気体封入熱可塑性樹脂粒子の外殻成分を構成する熱可塑性樹脂としては、その膨張開始温度が100℃以上、好ましくは120℃以上で、最大膨張温度が150℃以上、好ましくは160℃以上のものが好ましく用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロニトリルの重合体、また(メタ)アクリロニトリル含有量の高い共重合体が好適に用いられる。その共重合体の場合の他のモノマー(コモノマー)としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーが用いられる。なお、上記の熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート等の架橋剤で架橋可能にされていてもよい。架橋形態については、未架橋が好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質を損わない程度に部分的に架橋していてもかまわない。
熱により気化して気体を発生する液体としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルのような炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンのような塩素化炭化水素のような液体が挙げられる。
熱膨張性マイクロカプセルはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱膨張性マイクロカプセルの量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れるという観点から、前記ゴム100質量部に対して1〜15質量部であるのが好ましく、1〜10量部であるのがより好ましい。
本発明のゴム組成物はさらにシランカップリング剤を配合することができる。
充填剤(特にシリカ)を用いる場合、その補強性を更に向上させる観点から、シランカップリング剤を配合時に添加することが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が挙げられる。
なかでも、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れ、補強性改善効果の観点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが好ましい。
シランカップリング剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シランカップリング剤の量は、氷上摩擦がより大きく耐摩耗性に優れ、補強性改善効果の観点から、充填剤の量の3〜20質量%(重量パーセント)であるのが好ましく、4〜15質量%であるのがより好ましい。
本発明のゴム組成物には一般的なゴム用架橋系化合物(例えば架橋剤、加硫促進剤)を用いることができる。なかでも架橋剤と加硫促進剤とを組み合わせて用いることが好ましい。架橋剤としては例えば硫黄等が挙げられる。架橋剤の使用量は、ゴム100質量部に対して硫黄分として0.1〜3.0質量部であるのが好ましい。
加硫促進剤は特に限定されない。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール(M)、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)等のチアゾール系加硫促進剤、ジフェニルグアニジン(DPG)等のグアニジン系加硫促進剤等が挙げられる。
加硫促進剤の使用量は、ゴム100質量部に対して0.1〜5質量部であるのが好ましい。加硫促進剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物は、軟化剤としてプロセスオイル等を配合することができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマチック系オイル等が挙げられる。なかでも、引張強度及び耐摩耗性の観点からは、アロマチック系オイルが好ましく、ヒステリシスロス及び低温特性の観点からは、ナフテン系オイル及びパラフィン系オイルが好ましい。プロセスオイルの使用量は、ゴム100質量部に対して0〜100質量部であるのが好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記の成分の他に、例えば、シリカおよびカーボンブラック以外の充填剤、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、酸化防止剤、ワックス、オゾン劣化防止剤等のゴム業界で通常用いられる添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。
本発明のゴム組成物は、例えば、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて、ゴム、充填剤、およびウレタン粒子、ならびに必要に応じて使用することができる、熱膨張性マイクロカプセル、シランカップリング剤、軟化剤、添加剤、ゴム用架橋系化合物等を混練りすることによって製造することができる。混練の温度は、耐摩耗性に優れるという観点から、120〜160℃であるのが好ましい。本発明のゴム組成物は例えば成形加工した後加硫を行うことができる。
ゴムの表面粗さはRa値で示すことができる。本発明のゴム組成物を用いて得られるゴムのRa値は40μm以下であるのが好ましく、5〜30μmであるのがより好ましい。Ra値がこのような範囲の場合、氷上μも向上し氷上摩擦が大きくなる。しかしながら、Ra値が大きくなりすぎる(表面が粗くなりすぎる)とゴムと氷の接触面積が少なくなるため、かえって氷上μが低下する。表面粗さは共焦点レーザー顕微鏡を用い、室温で倍率20倍の条件下で加硫したゴムを用いて測定される。
本発明のゴム組成物は、その用途としては例えば空気入りタイヤ(より具体的にはスタッドレスタイヤ)、防振ゴム、ベルト、ホース、その他の工業製品等が挙げられる。具体的には例えば、空気入りタイヤのトレッド部、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビードに使用することができる。なかでもスタッドレスタイヤのタイヤトレッドに使用するのが好適である。
本願発明者らは本発明のゴム組成物において氷上摩擦が大きくなるメカニズムを以下のように推察する。
本発明のゴム組成物は疎水性のゴムと高極性のウレタン粒子とを配合し、ゴムとウレタン粒子とは極性の差が大きく相溶しにくいので、本発明のゴム組成物はゴムをマトリックスとしウレタン粒子をドメインとする海島構造を形成すると考えられる。このようなモルフォロジーによって、本発明のゴム組成物を用いて得られるゴム製品の表面において、ウレタン粒子がゴム製品の表面から脱離しそこが空隙となって表面を粗くし、氷との親和性を高めて水膜を除去し氷上摩擦を大きくすることができる。ここで本発明においては、ポリウレタンを粒子状のウレタン粒子(好ましくは球状)として使用し、ウレタン粒子の平均粒子径が100μm以下であることによって、ゴム製品の表面粗さを適切な範囲(例えばRa値40μm以下)とすることができることを本願発明者らは見出した。
また、本発明において、ウレタン粒子の硬度を90以下とすることによって本発明のゴム組成物を用いて得られるゴム製品が氷の凹凸に追従することができるようになり氷上摩擦が大きくなると考えられる。
このように、本発明においては、ウレタン粒子の平均粒子径が100μm以下でありウレタン粒子の硬度が90以下であることによって、ゴム製品の表面粗さと路面の氷上における追従とをバランスさせ、氷上摩擦を大きくすることができると考えられる。
なお、上記メカニズムは本願発明者らの推測であり、仮にメカニズムが上記以外のものであっても本願発明の範囲内である。
本発明のゴム組成物について添付の図面を用いて以下に説明する。
図1は本発明のゴム組成物の一例を模式的に表わす断面図である。図1において、ゴム組成物10はゴム1、ウレタン粒子3を配合し、ゴム組成物10はゴム1をマトリックスとしウレタン粒子3をドメインとするモルフォロジーを有する。図1において充填剤(図示せず。)等のウレタン粒子3以外の配合物はゴム1中に存在する。
本発明の空気入りタイヤについて以下に説明する。
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて得られるタイヤトレッドを有するタイヤである。
本発明の空気入りタイヤのタイヤトレッド(トレッド部)を形成する際に使用されるゴム組成物は本発明のゴム組成物であれば特に制限されない。
なお、本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物をタイヤトレッドに用いる以外特に制限はなく、例えば従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<ゴム組成物の製造>
第1表に示す、加硫促進剤と硫黄とを除く成分を同表に示す量(単位:質量部)で用い、これらを1.5リットルの密閉型ミキサーで6分間混練し、150℃に達したときにミキサーから取り出し、この混合物に加硫促進剤と硫黄とを同表に示す量(単位:質量部)で加えてオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
<ゴム組成物の加硫>
得られたゴム組成物を所定の金型中で160℃で20分間加硫して加硫ゴムのシートを製造した。
<加硫ゴムの試験>
得られた加硫ゴムの氷上摩擦係数指数、耐摩耗性指数を以下に示す試験法で測定した。結果を第1表に示す。
・氷上摩擦係数指数
上記のようにして得られた加硫ゴムのシート(大きさは縦30cm、横1.5cm、厚さ2mm)を偏平円柱状の台ゴムにはりつけ、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した。測定温度は−1.5℃、荷重5.5kg/cm3、ドラム回転速度は25km/hrであった。
標準例1で得られた氷上摩擦係数の値を100としてこれを基準にした各実施例、比較例の氷上摩擦係数指数(%)を第1値に示す。
氷上摩擦指数係数が大きいものほど氷上摩擦力が高い事を示す。
・耐摩耗性指数
上記のようにして得られた加硫ゴムのシートをランボーン摩耗試験機を用いてJIS K6264に準拠し、荷重4.0kg(=39N)スリップ率30%の条件にて摩耗量を測定した。
標準例1で得られた摩耗量の値を100として、[(標準例1の摩耗量)/(試料の摩耗量)]×100として指数(%)を表示した。
耐摩耗性指数の値が大きいほど耐摩耗性は良好である。
第1表に示されている各成分の詳細は、以下のとおりである。
・NR:天然ゴムRSS#3
・BR:日本ゼオン社製Nipol BR1220[ブタジエンゴムと液状ブタジエンゴムとの混合物。ブタジエンゴムと液状ブタジエンゴムとの量比(ブタジエンゴム:液状ブタジエンゴム)は1.0:0.4])
・CB:カーボンブラック、東海カーボン社製シースト6
・シリカ:ローディア社製、Zeosil 1165MP
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、デクサ社製SI69
・酸化亜鉛:正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種
・ステアリン酸:日本油脂製ビーズステアリン酸
・老化防止剤:フレキシス製6PPD
・ワックス:大内新興製パラフィンワックス
・プロセスオイル:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S
・ウレタン粒子1:大日精化工業株式会社製ダイミックビーズUCN−8070CM、平均粒子径7μm(レーザー回折)、円形度0.96(粒子形状解析)、硬度(JIS−A)74(JIS K7215)
・ウレタン粒子2:大日精化工業株式会社製ダイミックビーズUCN−8150CM、平均粒子径15μm(レーザー回折)、円形度0.96(粒子形状解析)、硬度(JIS−A)74(JIS K7215)
・ウレタン粒子3:大日精化工業株式会社製ダイミックビーズ、平均粒子径200μm(測定方法レーザー回折)、硬度74(JIS K7215)
・ウレタン粒子4:大日精化工業株式会社製ダイミックビーズ、平均粒子径15μm(測定方法レーザー回折)、硬度100(JIS K7215)
・ウレタン粒子5:大日精化工業株式会社製ダイミックビーズ、平均粒子径15μm(測定方法レーザー回折)、硬度60(JIS K7215)
・ウレタン粒子6:糸屑状ウレタン樹脂[糸屑状ウレタン樹脂は、JIS A硬度90のウレタンロールを回転させてバイトの送り量、切り込み深さを調整して細い糸状の切削クズを連続的に作製した(嵩比重:0.5)。]
・熱膨張マイクロカプセル:松本油脂製マイクロスフェアーF100
・硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
・加硫促進剤:大内新興化学工業製ノクセラーCZ−G
なお、NR50質量部とBR50質量部とを含むゴムの平均ガラス転移温度は−84℃であった。
なお、NR50質量部とBR50質量部とカーボンブラック35質量部とシリカ25質量部とウレタン粒子とを含む混合物の加硫後の硬度(JIS K6253に準拠して測定された。)は55であった。
第1表に示す結果から明らかなように、ウレタン粒子の量がゴム100質量部に対して10質量部を超える比較例1、ウレタン粒子の平均粒子径が100μmを超える比較例2は、氷上摩擦力は大きいものの耐摩耗性に劣った。硬度が90を超えるウレタン粒子を配合する比較例3は氷上摩擦力が小さかった。ウレタン粒子を配合せず代わりに糸屑状ウレタン樹脂を含有する比較例4は氷上摩擦力が改善されず耐摩耗性に劣った。
これに対して実施例1〜6は氷上摩擦力が大きい。また耐摩耗性に優れる。
このように本発明のゴム組成物、およびこれを用いる空気入りタイヤは、氷上摩擦力が大きく、耐摩耗性に優れ、氷上摩擦力と耐摩耗性とのバランスに優れる。
10 ゴム組成物
1 ゴム
3 ウレタン粒子

Claims (5)

  1. 天然ゴム20〜85質量部ならびにブタジエンゴムおよび/または液状ブタジエンゴム15〜80質量部を含有し、平均ガラス転移温度が−50℃以下のゴム100質量部に対して、
    カーボンブラックおよび白色充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の充填剤20〜70質量部と、
    平均粒子径が100μm以下でありJIS K7215に準拠して測定した硬度Bが90以下であるウレタン粒子1〜10質量部とを配合することを特徴とするゴム組成物。
  2. さらに熱膨張性マイクロカプセルを含み、前記熱膨張性マイクロカプセルの量が前記ゴム100質量部に対して0.5〜20質量部である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ゴムと前記充填剤と前記ウレタン粒子とを含む混合物の加硫後の硬度Aと前記ウレタン粒子の硬度Bとの差の絶対値が30以下である請求項1または2に記載のゴム組成物。
  4. 前記ウレタン粒子の形状が球状である請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を用いて得られるタイヤトレッドを有する空気入りタイヤ。
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