JP2012028817A - Fpc用保護フィルム、fpc用保護フィルム付樹脂導体箔積層体およびそれを用いたフレキシブルプリント配線基板の製造方法 - Google Patents

Fpc用保護フィルム、fpc用保護フィルム付樹脂導体箔積層体およびそれを用いたフレキシブルプリント配線基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導体箔張積層板製造工程における、樹脂導体箔積層体の樹脂面の薬品汚染や樹脂面への異物やキズの混入を防ぐとともに、取り扱い性に優れた樹脂導体箔積層体および二面同時加工も可能な生産性の高いフレキシブルプリント配線基板製造方法を提供する。
【解決手段】150℃、30分の条件における加熱収縮率が、長さ方向、幅方向ともに0.5%以下であるポリエチレンテレフタレートフィルム基材の片面または両面に樹脂層貼着用粘着剤層を有し、ポリイミド樹脂層が積層された導体箔積層体の前記ポリイミド樹脂層面に該樹脂層貼着用粘着剤層を介して剥離可能に貼着されることを特徴とするFPC用保護フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気・電子機器などに広範囲に使用されるフレキシブルプリント配線基板(以下、適宜、FPCと称する)の製造工程に使用される保護フィルム、その保護フィルムを樹脂層面に貼着した樹脂導体箔積層体およびFPCの製造方法に関し、詳しくは、樹脂導体箔積層体の樹脂層面を薬品や異物、キズの混入から守り、かつ、取り扱い性に優れた樹脂導体箔積層体を与える保護フィルム、その保護フィルムを樹脂層面に貼着した保護フィルム付樹脂導体箔積層体および生産性に優れたFPCの製造方法に関する。
FPCの主要部品となるものに導体箔張積層板(一般的には、導体箔として銅箔を用いるため、銅張積層板とも呼ばれる)がある。この導体箔張積層板は、銅箔などの導体箔の片面にポリイミドなどの樹脂を積層し、その後、薬品処理などの方法で導体箔に回路を形成した後に、回路を形成した導体箔上にカバーレイ樹脂層を積層することにより製造されている。導体箔上にカバーレイ樹脂層を積層する工程では、接着剤を用いて積層するが、この接着剤の硬化のために、150℃以上の温度で加熱プレスする工程がある。導体箔張積層板製造工程において、従来は、樹脂導体箔積層体(導体箔の片面に樹脂層を積層したもの)の樹脂層面には保護フィルム等を施さないで、樹脂導体箔積層体を単体で使用していたため、導体箔面に回路を形成する際に、回路形成処理に用いられる薬品が導体箔反対面の樹脂層面を汚染してしまう問題や、製造工程中で樹脂層面に異物が混入したり、樹脂層面にキズがついてしまう問題があった。樹脂層面が薬品で汚染されたり、樹脂層面に異物が混入したり、キズが入った場合には、基板の回路障害を引き起こす虞があり、これらの問題が発生したものは不良品として扱われるため、従来は歩留が悪いという問題があった。
このため、合成樹脂フィルムからなる支持体上に樹脂導体箔積層体を樹脂層面が支持体に接するように重ね、樹脂導体箔積層体を支持体に載せた状態で、支持体ごと回路形成工程にかける方法も提案されている。しかしながら、支持体が非接着性であるため、樹脂導体箔積層体の樹脂層面と支持体との密着性が悪く、回路形成処理時の薬品の樹脂層面への進入や、異物やキズの混入を防ぐのには不十分であった。また、近年では電気・電子機器の小型化や高機能化に伴い、FPCの軽薄化および回路の細線化が求められてきた。このため、異物やキズの混入、樹脂層面の薬品汚染が従来以上に問題視されるようになってきた。
また、FPCが軽薄化されるにつれて樹脂導体箔積層体自体が薄肉化してきている。樹脂導体箔積層体が薄肉化すると、取り扱い時にしわや折れが入りやすくなり、樹脂導体箔積層体自体にしわや折れが発生した場合にも、異物混入時と同様に、基板の回路障害を起こしやすくなるため、作業時には注意を払う必要性がましてくる。従来の樹脂導体箔積層体を単体で扱ったり、支持体上に樹脂導体箔積層体を載せる方法では、樹脂導体箔積層体の取り扱い性が悪く、作業効率が低下する問題があった。
さらに、従来は導体箔に加工を施すに際して、一面ずつ加工するため、生産性が上がらないという問題もあった。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は導体箔張積層板製造工程における、樹脂導体箔積層体の樹脂層面の薬品汚染や樹脂層面への異物やキズの混入を防ぐとともに、取り扱い性に優れた樹脂導体箔積層体および二面同時加工も可能な生産性の高いFPC製造方法を提供することにある。
本発明者らは、支持体と樹脂導体箔積層体の樹脂層面との密着性を向上することにより、樹脂導体箔積層体の樹脂層面の薬品汚染や樹脂層面への異物やキズの混入を防ぎ、かつ、樹脂導体箔積層体の取り扱い性を向上できるのではないかと考え、鋭意検討を加えた。その結果、FPC製造工程において、例えば、回路形成工程、カバーレイ樹脂層積層工程などを実施する際に、合成樹脂フィルムの一方の面に樹脂層貼着用粘着剤層を設けた保護フィルムを樹脂導体箔積層体の樹脂層面に貼着し、導体箔張積層板製造後に上記保護フィルムを剥離除去することで、上記問題点を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のFPC用保護フィルム(以下、適宜「保護フィルム」と称する。)は、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、適宜「合成樹脂フィルム」と称する。)基材の片面または両面に樹脂層貼着用粘着剤層を有する保護フィルムであって、ポリイミド樹脂層(以下、適宜「樹脂層」と称する。)が積層された導体箔積層体の前記ポリイミド樹脂層面に該粘着剤層を介して剥離可能に貼着され、本発明における保護フィルムを構成するポリエチレンテレフタレートフィルム基材は、150℃30分の条件における加熱収縮率が、長さ方向、幅方向ともに0.5%以下である。粘着剤層の厚さは0.1μm〜10μmの範囲であることが好ましい。
このような保護フィルムを樹脂層面に剥離可能に貼着した樹脂導体箔積層体を用いることで、導体箔張積層板製造工程における、樹脂導体箔積層体の樹脂層の薬品汚染、樹脂層への異物の混入や折れ、キズの発生などを効果的に防ぐことができ、取り扱い性の優れた樹脂導体箔積層体を提供することができる。
本発明の請求項3に係るFPC用保護フィルム付樹脂導体箔積層体は、前記保護フィルムの片面または両面に、ポリイミド樹脂層が積層された導体箔積層体の樹脂層面が前記ポリイミド樹脂層貼着用粘着剤層を介して剥離可能に貼着されてなることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係るフレキシブルプリント配線基板の製造方法は、前記FPC用保護フィルム付樹脂導体箔積層体を用いて導体箔に加工を施す工程を有することを特徴とする。この工程で用いられるFPC用保護フィルム付樹脂導体箔積層体においては、樹脂導体箔積層体がFPC用保護フィルムの片面のみに貼着したものでも、両面に貼着したものでもよい。
ここで、保護フィルムの両面から樹脂導体箔積層体の樹脂層面を密着させて貼着することにより、樹脂層面に対しての薬品、異物、キズの混入防止、及び取り扱い性の良好さを維持しながら、なおかつ、樹脂導体箔積層体を片側貼着させた場合に比べ、両面、即ち2倍の面積の樹脂導体箔についてフレキシブルプリント配線基板製造工程における同時処理が可能となる。具体的には、回路製造、基板積層工程で合成樹脂フィルムの両面に粘着剤層を設けた保護フィルムに両面から樹脂導体箔積層体の樹脂層面をそれぞれ貼着させて工程を通して、配線基板を製造し、該工程終了後、片方の樹脂導体箔積層体を剥離させ、次に、保護フィルム或いは、他方の面に貼着されていた樹脂導体箔積層体を剥離する方法をとればよい。
本発明の保護フィルム及びその保護フィルムを樹脂層面に貼着した樹脂導体箔積層体によれば、フレキシブルプリント回路基板に用いられる導体箔張積層板の製造工程において、樹脂導体箔積層体の樹脂層面の薬品汚染や樹脂層面への異物やキズの混入を防ぎ、且つ、取り扱い性を向上させるという効果を奏する。
さらに、この保護フィルム付き樹脂導体箔積層体によれば、二面同時加工も可能な生産性の高いFPC製造方法を提供することができる。
本発明の保護フィルム及び保護フィルム付樹脂導体箔積層体の一態様を示す断面概略図である。 本発明の保護フィルムの両面に樹脂導体箔積層体を貼着してなる保護フィルム付樹脂導体箔積層体の一態様を示す断面概略図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の保護フィルム及び保護フィルム付樹脂導体箔積層体の一態様を示す断面概略図である。
本発明の保護フィルム10はこの態様においては、樹脂層貼着用粘着剤層12が合成樹脂製の基材フィルム14に積層されて構成される。また、本態様の樹脂導体箔積層体16は、合成樹脂層18と導体箔層20との積層体であって、さらにその導体箔側に接着剤層22を介してカバーレイ樹脂24が積層された構成を有している。図1に示す保護フィルム付樹脂導体箔積層体では、該合成樹脂層16側の表面に本発明の保護フィルム10が、その樹脂層貼着用粘着剤層12を介して剥離可能に貼着されている。
保護フィルムは、ひとつには樹脂導体箔積層体の樹脂層面の傷つき防止、薬品の進入防止、異物混入防止など導体箔積層体を保護する目的で、また、さらに作業時における樹脂導体箔積層体の折れやしわの混入を防止し、樹脂導体箔積層体の取り扱い性を向上する目的で、用いられるが、このほかに、カバーレイ樹脂積層時の加熱プレスの際に、保護フィルムを貼着した樹脂導体箔積層体の保護フィルム上についた異物の樹脂導体箔積層体本体への影響を緩和するための効果をも有する。このため、保護フィルムに使用する合成樹脂フィルムは、加熱プレス時の異物の凹凸を吸収できる程度の適度な剛性が必要となる。
本発明において保護フィルムの基材として用いられる合成樹脂フィルムは、上記の目的を満たす物性を有するものであれば、特に制約を受けるものではない。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612などのポリアミド系樹脂フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリオレフィンフィルム、フッ素樹脂フィルム、各種液晶ポリマーフィルム、などが挙げられる。
これらのフィルムは単体で使用してもよいし、2種類以上のラミネートフィルムを用いてもよいが、加熱時のカールを抑制するという観点からは単体のフィルムの方が好適である。
保護フィルムの使用方法としては、保護フィルムは導体箔積層体の樹脂層面上に保護フィルムの粘着剤層を介して剥離可能に貼着されて使用され、その状態で回路形成工程、カバーレイ樹脂積層工程に付され、工程処理中の樹脂導体箔積層体の樹脂層を保護する。回路形成後のカバーレイ樹脂層の積層工程において、カバーレイ樹脂層と回路を形成した導体箔層とを、接着剤を用いて積層させる工程を有するが、この時、接着剤を硬化させてカバーレイ樹脂層と導体箔層を密着させるために、150℃以上の温度で加熱プレス処理するのが一般的である。この加熱プレスの際に、保護フィルムも同一条件に曝されるため、保護フィルムにはこの温度での寸法安定性が良好なものを選択する必要がある。これは、加熱時の寸法変化が大きいと、カバーレイ樹脂層積層の際の加熱プレス処理後に、保護フィルム付樹脂導体箔積層体がカールする問題が発生するためである。カールの原因は、保護フィルムと樹脂導体箔積層体の寸法変化率が異なることに起因するため、保護フィルムの基材として用いる合成樹脂フィルムは加熱時の寸法変化の少ないものが好適である。
加熱時の寸法安定性の具体的な数値としては、合成樹脂フィルムの150℃の条件下で30分加熱処理したときの加熱収縮率が幅方向(TD方向)でも、長さ方向(MD方向)でも0.5%以下のものが好適であり、さらに好ましくは、TD方向0.2%以下、MD方向0.2%以下のものである。この条件に満たない場合には、回路形成工程やカバーレイ樹脂積層工程にて、保護フィルムを貼着した樹脂導体箔積層体に熱が加わった際に、保護フィルムの寸法変化が大きいため保護フィルムを貼着した樹脂導体箔積層体が、反ってしまったりカールしてしまう。表面保護の観点のみからはこの条件を満たさないものも使用可能であるが、加熱工程が加わる場合には、それに続く工程における取り扱い性が悪くなったり、部品を実装する際にズレ不良が発生しやすくなるため、あまり好ましくない。
加熱収縮率が低い材料としては、具体的には、一般にスーパーエンプラと呼ばれるポリイミドやポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどが加熱時の寸法変化に優れ、好適であるが、コストが高いため、実使用においてはコスト、加熱時の寸法安定性、フィルムの適度な剛性などからポリエチレンテレフタレートフィルムが好適に用いられる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合には、加熱時の寸法安定性の観点から2軸延伸を施したポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、公知の方法によりアニール処理したものがさらに好適である。
保護フィルムの基材として用いられる合成樹脂フィルムの厚さは特に制限を受けるものではなく、樹脂の種類によって最適な厚さのものを選択すれば良い。ただし、合成樹脂フィルムの厚さが薄すぎると、保護フィルムを貼着した樹脂導体箔積層体の取り扱い性改善の効果が不十分となるだけでなく、保護フィルムを貼着した樹脂導体箔積層体の保護フィルム上に異物が外部から付着したとき、加熱プレス時に異物の凹凸の吸収が不十分となり、樹脂導体箔積層体本体に欠点を生じてしまう問題がある。合成樹脂フィルムの厚さが厚すぎると、コストが割高になることや、樹脂導体箔積層体の剛性と合成樹脂フィルムの剛性の差が大きくなることにより、作業時に保護フィルム浮き等の原図となる。フィルムの種類(フィルム自体の剛性)によってことなるが、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には12μm〜125μm程度のものが好適である。
本発明の保護フィルムの粘着剤層として用いられる粘着剤は、常温にて樹脂導体箔積層体の樹脂層面に対して容易に密着し、かつ、回路形成工程、カバーレイ樹脂層積層工程などの工程中で浮いたり剥れたりすることがなく、さらにはカバーレイ樹脂層積層工程後に樹脂導体箔積層体の樹脂層面に粘着剤が残存することなく容易に剥離し得るものであれば、公知の粘着剤を目的に応じて選択して使用することができる。
選択の目安としては、回路形成工程、カバーレイ樹脂層積層工程では、加熱や加圧されるため、耐熱性が良好であり、かつ高圧力条件化でも耐え得る特性を有する粘着剤が必要となる。
粘着剤の粘着力は特に制限を受けることはないが、樹脂表面に対する粘着力が剥離角度180°ピール、剥離速度300mm/分の条件下で測定したときに、0.1〜0.3N/インチ程度が好適である。粘着力が0.1N/インチ未満であると、フレキシブルプリント基板製造工程での作業中に、保護フィルムが剥がれたり、樹脂導体箔積層体から浮いたりする懸念がある。また、粘着力が0.3N/インチを超えると、フレキシブルプリント基板製造後に保護フィルムを剥がす際に、剥がし難かったり、粘着剤が樹脂導体箔積層体の樹脂層面に残存する懸念がある。
さらに、粘着剤は、カバーレイ樹脂層積層工程で加熱プレスされた際に、樹脂導体箔積層体の樹脂層面への粘着力が著しく上昇したり、粘着剤がはみ出したりしないものが良い。
粘着剤の種類としては特に制限を受けるものではなく、上記の性能を満足するものであれば、いずれの種類のものを使用してもよい。具体的には、アクリル1液型粘着剤、アクリル2液型粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ホットメルト型粘着剤などが挙げられる。
粘着剤層の厚さは特に制限を受けるものではないが、0.1〜10.0μm程度が好適である。厚さが0.1μm未満であると、樹脂導体箔積層体の樹脂層面への接着性が悪く、保護フィルムを樹脂導体箔積層体の樹脂層面に貼着する際に貼着しなかったり、貼着した場合でも、工程中に保護フィルムが樹脂導体箔積層体から浮いたり剥がれたりし易くなる。粘着剤層の厚さが10.0μmを超えると、カバーレイ樹脂層積層の際に粘着剤がはみ出して工程中に周囲を汚したり、カバーレイ樹脂層積層工程後に保護フィルムを剥がす際に、粘着剤の粘着力が高くなりすぎて剥がしにくかったり、樹脂導体箔積層体の樹脂層面に粘着剤が残存しやすくなる。
本発明の保護フィルムは前記したフィルム基材の片方の面に粘着剤層を設けたものであるが、合成樹脂フィルム上に粘着剤層を設ける方法は、公知の方法を採用すればよい。具体的には、剥離フィルムや剥離紙などの剥離シートに粘着剤を塗布し、乾燥後、合成樹脂フィルムを貼合し保護シートを作成する方法、合成樹脂フィルム上に粘着剤を塗布し、乾燥後剥離シートを貼合し保護シートを作成する方法、粘着剤としてホットメルト型粘着剤をもちいる場合には、剥離シートに粘着剤を溶融押し出しした後に合成樹脂フィルムを貼合し保護シートを作成する方法や合成樹脂フィルム上に粘着剤を溶融押し出しした後に剥離シートを貼合し保護シートを作成する方法などが挙げられる。また、保護シートを樹脂導体箔積層体の樹脂層面に貼着する方法には、上記のような保護シートを作成した後、保護シートの剥離シートを剥がしながら樹脂導体箔積層体に貼着する方法や、合成樹脂フィルムに粘着層を施した保護フィルムを剥離シートを用いることなく、直接樹脂導体箔積層体に貼着する方法などがあり、本発明ではいずれの方法を採用してもよい。
図2は、本発明の保護フィルムを樹脂導体箔積層体の両面に貼り合わせた積層体の一態様を示す概略断面図である。
本態様における保護フィルム26は、粘着剤層12が合成樹脂フィルム基材14の両面に積層されて構成される。また、樹脂導体箔積層体28は、合成樹脂層18と導体箔層20の積層体である。本態様の保護フィルム付樹脂導体箔積層体では、保護フィルム26の両面に設けられた粘着剤層12を介して導体箔積層体28の合成樹脂層18の表面が両面から貼着されてなる態様を有している。
本態様の如く保護フィルムの両面に樹脂導体箔積層体を貼着してなる構成をとる場合においても、保護フィルムに用いられるフィルム基材及び粘着剤層は、先に述べた片面のみ粘着剤層が配置されたものと同様のものを、好ましい態様として挙げることができる。
この態様における本発明の保護フィルムは合成樹脂フィルムの両面に粘着剤層を設けたものであるが、合成樹脂フィルム上に粘着剤層を設ける方法は、先に例示した公知の方法を採用すればよい。また、このような保護シートを樹脂導体箔積層体の樹脂層面に貼着する方法も、粘着剤層を片面のみに設けた態様と同様である。
本態様の保護フィルムは、フィルム基材の両面から樹脂導体箔積層体の樹脂層面を密着させることにより、導体箔積層体の樹脂の保護及び取り扱い性の向上を達成し、さらに、樹脂導体箔積層体を片側貼着させた場合に比べ、2倍の面積の樹脂導体箔についてフレキシブルプリント配線基板製造工程で同時に生産可能となる。即ち、FPC製造工程における、回路形成工程、基板積層工程などの各工程において、合成樹脂製の基材フィルムの両面に粘着剤層を設けた保護フィルムに両面から樹脂導体箔積層体の樹脂層面をそれぞれ貼着させた状態で工程を通し、両面の加工を同時に行って基板を作成し、工程終了後に、まず片方の樹脂導体箔積層体を剥離させ、次に上記保護フィルムないし他方の樹脂導体箔積層体を剥離することによって、2つの樹脂導体箔積層体の両面同時加工を可能とし、著しい生産性向上をもたらすことができる。
本発明の樹脂導体箔積層体に使用される導体箔としては、公知の導体箔を使用することができる。具体的には銅箔、アルミ箔、金箔、銀箔などが挙げられる。加工性やコストの観点から銅箔が用いられるのが一般的である。導体箔の厚さは、特に制限されるものではなく、任意の厚さのものを使用出来るが、コストや導体箔張積層板の軽薄化の観点から4〜70μm程度のものが好適である。また、導体箔の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の製造方法で製造された導体箔であれば、いずれも使用出来る。
本発明の樹脂導体箔積層体に使用される樹脂としては、耐熱性及び絶縁性に優れた樹脂がよく、当該用途に使用される公知の樹脂を使用することができる。具体的にはポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、各種液晶ポリマー樹脂などが挙げられる。積層する樹脂の厚さは特に制限されるものではなく、任意の厚さのものを選定できる。加工しやすさやコストの観点から具体的には、4〜75μm程度のものが一般的である。
導体箔に樹脂を積層して樹脂導体箔積層体を作成する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で積層すれば良い。具体的には、導体箔上に樹脂含有コーティング剤を塗布し乾燥する方法、導体箔上に樹脂含有コーティング剤を塗布、乾燥後、得られた積層品を加熱することにより樹脂をイミド化する方法、導体箔上に樹脂フィルムを接着剤を用いて積層する方法などが挙げられる。また、導体箔と樹脂とを積層する際に、樹脂と導体箔との密着性を向上させるために、導体箔表面に微細な凹凸をつける粗面化処理を施したり、導体箔面にアンカー剤をコートしたりすることもできる。
このような樹脂導体箔積層体の樹脂層面の表面に保護フィルムをその粘着剤層を介して貼着することで、本発明の保護フィルム付樹脂導体箔積層体をえることができる。
本発明の保護フィルム付樹脂導体箔積層体は、先に述べたように樹脂層表面の保護が確実になされ、且つ、取り扱い性が良好であるため、この状態でFPC製造工程、なかでも、導体箔に加工を施す工程、具体的には、例えば、回路形成工程、カバーレイ樹脂層積層工程などの各工程を施すことで、高い生産性と、不良品発生の効果的な抑制が可能となる製造方法を提供し得る。また、本発明の好ましい態様である保護フィルムの両面に樹脂導体箔積層体を貼着させた態様では、フィルム基材の両面から樹脂導体箔積層体の樹脂層面を密着させ、両面に導体箔が露出した状態でフォトレジストを貼り合わせ、露光、エッチング工程といった回路形成工程、カバーレイ積層工程、さらにはメッキ工程に至るまで、両面同時に処理を行うことによりさらなる生産性の向上も可能となる。
本発明の製造方法は、これらのFPC製造工程中、公知のいずれの工程にも好適に適用することができる。
以下に具体的な実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)
厚さ50μmのアニール処理を施した2軸延伸低熱収縮ポリエステルフィルム(150℃、30分の条件下での加熱収縮率がTD方向0.01%、MD方向0.05%)をフィルム基材として用い、その片面に、2−エチルヘキシルアクリレートとブチルアクリレートの共重合体を主成分とするアクリル系粘着剤を、粘着剤層形成後の厚さが4μmとなるように塗布し、乾燥硬化して粘着剤層を形成し、保護フィルムを作成した。
この保護フィルムの粘着剤層表面を、厚さ25μmのポリイミド樹脂と厚さ12μmの銅箔とを積層した樹脂導体箔積層体の樹脂層側の表面に貼着させて、保護フィルム付き樹脂導体箔積層体を作成した。
(実施例2)
保護フィルムのフィルム基材として用いたポリエステルフィルムに代えて、低熱収縮処理(アニール処理)を施していないポリエステルフィルム(150℃、30分の条件下での加熱収縮率がTD方向0.40%、MD方向0.15%)を使用した以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き樹脂導体箔積層体を作成した。
(実施例3)
保護フィルムのフィルム基材として用いたポリエステルフィルムの厚さを50μmから125μmにした以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き樹脂導体箔積層体を作成した。
(実施例4)
保護フィルムの粘着剤層の厚さを4μmから10μmとした以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き樹脂導体箔積層体を作成した。
(比較例1)
実施例1と同じ樹脂導体箔積層体を、保護フィルムを貼着することなく、樹脂導体箔積層体単体として用いた。
(実施例5)
保護フィルムの樹脂層貼着用粘着剤層を両面に配置し、図2に示すような状態に樹脂導体箔積層体を貼着させた以外は実施例1と同様にして保護フィルム付き樹脂導体箔積層体を作成した。
〔樹脂導体箔積層体の評価〕
得られた樹脂導体箔積層体の耐薬品性、作業性、カール性、および保護フィルムの粘着力、粘着剤の残存の有無を、次の方法にて評価した。
[耐薬品性]
得られた樹脂導体箔積層体を40℃の40%水酸化ナトリウム水溶液および40℃の37%塩化第二鉄水溶液に、それぞれ1時間浸漬する。その後、樹脂導体箔積層体を水洗した後、樹脂導体箔積層体の樹脂層面の状態を目視にて観察する。外観上変化のないものを良好とする。
[作業性]
得られた樹脂導体箔積層体を30cm×30cmの大きさにカットする。カットしたサンプルを作業台に置いた後に、サンプルの対角する2つの角を手で持ち、作業台から約50cmの高さまで持ち上げたのちに、ふたたび作業台の上に置く。この操作を10回繰り返した後、樹脂導体箔積層体の状態を目視にて観察する。樹脂導体箔積層体に折れやシワが入っていないものを良好とする。
[カール性]
得られた樹脂導体箔積層体より20cm×20cmの試験片をカットし、180℃、294N/cm2で30分、プレス処理を行う。その後、カットしたサンプルを樹脂層面が上になるように作業台に置いた時のカールの状態を目視にて観察する。カールしないものを良好とする。
[保護フィルムの粘着力]
得られた樹脂導体箔積層体を実施例1〜4では図1に示すような態様において、接着剤層22とカバーレイ層4とが積層されていない状態、即ち、樹脂層貼着用粘着層12と合成樹脂フィルム基材14とが積層されてなる保護フィルム10に、樹脂層18と導体箔層20のみとからなる樹脂導体箔積層体を、その樹脂層18面が樹脂層貼着用粘着層12と接する状態に、実施例5では図2に示すような状態に、それぞれ積層したのち、180℃、294N/cm2で30分、プレス処理を行う。その後、インストロン型剥離試験機を用いて、180°ピール、300mm/分の速度で、保護フィルムを剥がしたときの抵抗値を粘着力とした。実施例5については、片面ずつ順次測定を行った。
[粘着剤残存の有無]
上記保護フィルムの粘着力を測定した際に、保護フィルムを剥がした後の樹脂導体箔積層体の樹脂層面の状態を目視にて観察する。粘着剤が樹脂層面に残存していないものを良好とする。
評価結果を表1に示す。
表1に明らかなように、本発明の保護フィルムを使用した樹脂導体箔積層体は、従来の樹脂導体箔積層体において問題となっていた耐薬品性が良好であった。また、作業性についても、取り扱い時に、樹脂導体箔積層体に折れやしわなどが入りにくく、取り扱いが容易になることがわかった。また、カール性も全て実用上問題のないレベルであった。
なお、保護フィルムのフィルム基材として加熱収縮率が高い素材を用いた実施例2では、保護フィルム貼着樹脂導体箔積層体に若干カールが見られ、フィルム基材として厚みのあるものを用いた実施例3では、取り扱い時に保護フィルムの浮きが若干見られ、さらに、粘着剤層の厚みが厚い保護フィルムを用いた実施例4では、保護フィルムの剥離後に粘着剤の残存が若干見られた。これらはいずれも実用上問題がないレベルであるが、このことから、フィルム基材の加熱収縮率、厚み及び粘着剤の塗布量が好ましい範囲を満たす実施例1がすべでの評価において優れた結果を示すことが明かになった。
10 保護フィルム
12 樹脂層貼着用粘着層(保護フィルム)
14 合成樹脂フィルム基材(保護フィルム)
16 樹脂導体箔積層体
18 樹脂層(樹脂導体箔積層体)
20 導体箔層(樹脂導体箔積層体)
22 接着層
24 カバーレイ層
26 保護フィルム
28 樹脂導体箔積層体

Claims (5)

  1. 150℃、30分の条件における加熱収縮率が、長さ方向、幅方向ともに0.5%以下であるポリエチレンテレフタレートフィルム基材の片面または両面に樹脂層貼着用粘着剤層を有し、ポリイミド樹脂層が積層された導体箔積層体の前記ポリイミド樹脂層面に該樹脂層貼着用粘着剤層を介して剥離可能に貼着されることを特徴とするFPC用保護フィルム。
  2. 前記樹脂層貼着用粘着剤層の厚さが、0.1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載のFPC用保護フィルム。
  3. 請求項1または請求項2に記載のFPC用保護フィルムの片面または両面に、ポリイミド樹脂層が積層された導体箔積層体の前記ポリイミド樹脂層面が、前記樹脂層貼着用粘着剤層を介して剥離可能に貼着されてなることを特徴とするFPC用保護フィルム付樹脂導体箔積層体。
  4. 請求項3に記載のFPC用保護フィルム付樹脂導体箔積層体を用いて導体箔に加工を施す工程を有するフレキシブルプリント配線基板の製造方法。
  5. 前記FPC用保護フィルム付樹脂導体箔積層体が、FPC用保護フィルムの両面に樹脂導体箔積層体を貼着してなるものである請求項4に記載のフレキシブルプリント配線基板の製造方法。
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