JP2012028450A - レーザ加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各有効部に損傷が生じるのを防止しつつ、各切断予定ラインに沿って改質領域を形成することができるレーザ加工方法を提供する。
【解決手段】一方の有効部の短辺に沿う切断予定ライン52が、他方の有効部に向かって、その他方の有効部の長辺に沿う切断予定ライン51の中間部分52bに突き当たっている場合には、まず、長辺に沿う切断予定ライン51に沿って改質領域71を形成し、その後に、短辺に沿う切断予定ライン52に沿って改質領域72を形成する。これにより、改質領域72の形成に伴って、改質領域72から亀裂が発生し、その亀裂が他方の有効部に向かって伸展しそうになっても、その亀裂の伸展は、既に形成された改質領域71や、改質領域71から発生した亀裂によって受け止められる。
【選択図】図9

Description

本発明は、板状の加工対象物から複数の有効部を切り出すためのレーザ加工方法に関する。
上記技術分野のレーザ加工方法として、ウェハにレーザ光を照射することにより、切断予定ラインに沿ってウェハの内部に改質領域を形成し、その改質領域から発生した亀裂をウェハの表面及び裏面に到達させることにより、切断予定ラインに沿ってウェハを切断し、複数のチップを取得するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−343008号公報
ところで、1枚のウェハからのチップの取得数を増加させる観点では、チップに対応する有効部をウェハに対してマトリックス状に配置するよりも、例えば列方向においてジグザグ状に配置するほうが有利な場合がある。また、例えば六角形等、四角形以外の有効部をウェハに対して複数設定すべき場合がある。これらの場合には、隣り合う第1の有効部及び第2の有効部において、第2の有効部の外縁に沿う第2の切断予定ラインが、第1の有効部に向かって、第1の有効部の外縁に沿う第1の切断予定ラインに突き当たる状態が生じ得る。このような状態においては、第2の切断予定ラインに沿って改質領域を形成した際に、その改質領域から発生した亀裂が第1の有効部内に至り、第1の有効部に損傷が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、第2の有効部の外縁に沿う第2の切断予定ラインが、第1の有効部に向かって、第1の有効部の外縁に沿う第1の切断予定ラインに突き当たっている場合において、第1の有効部に損傷が生じるのを防止しつつ、各切断予定ラインに沿って改質領域を形成することができるレーザ加工方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のレーザ加工方法は、板状の加工対象物から少なくとも第1の有効部及び第2の有効部を切り出すためのレーザ加工方法であって、第1の有効部の外縁に沿う第1の切断予定ラインに沿って、レーザ光の集光点を相対的に移動させることにより、第1の切断予定ラインに沿って加工対象物の内部に第1の改質領域を形成する第1の工程と、第1の工程の後に、第2の有効部の外縁に沿いかつ第1の有効部に向かって第1の切断予定ラインに突き当たる第2の切断予定ラインに沿って、レーザ光の集光点を相対的に移動させることにより、第2の切断予定ラインに沿って加工対象物の内部に第2の改質領域を形成する第2の工程と、を備えることを特徴とする。
このレーザ加工方法では、まず、第1の切断予定ラインに沿って第1の改質領域を形成し、その後に、第2の切断予定ラインに沿って第2の改質領域を形成する。そのため、第2の改質領域の形成に伴って、第2の改質領域から亀裂が発生し、その亀裂が第1の有効部に向かって伸展しそうになっても、その亀裂の伸展は、既に形成された第1の改質領域及び第1の改質領域から発生した亀裂の少なくとも一方によって受け止められる。よって、このレーザ加工方法によれば、第2の有効部の外縁に沿う第2の切断予定ラインが、第1の有効部に向かって、第1の有効部の外縁に沿う第1の切断予定ラインに突き当たっている場合において、第1の有効部に損傷が生じるのを防止しつつ、各切断予定ラインに沿って改質領域を形成することができる。
ここで、第2の工程においては、第2の切断予定ラインのうち第1の切断予定ラインから所定の距離の部分を除いた部分に、第2の改質領域を形成することが好ましい。これによれば、第2の切断予定ラインのうち第1の切断予定ラインから所定の距離の部分には改質領域が形成されない。従って、第2の改質領域の形成に伴って、第1の切断予定ラインの近傍で第2の改質領域から亀裂が発生するのを防止し、第2の改質領域から発生した亀裂が第1の有効部に向かって伸展するのを抑制することができる。
また、第1の切断予定ライン及び第2の切断予定ラインのそれぞれに対して、加工対象物の厚さ方向に並ぶように複数列の改質領域を形成する場合には、少なくとも加工対象物のレーザ光入射面に最も近い改質領域を第1の改質領域及び第2の改質領域として形成すればよい。改質領域の形成に伴う亀裂の発生は、レーザ光入射面から遠い改質領域よりもレーザ光入射面に近い改質領域で起こり易い。従って、少なくともレーザ光入射面に最も近い改質領域を、上述した第1の改質領域及び第2の改質領域として形成すれば、第1の有効部に損傷が生じるのを防止することができる。
また、第2の工程の後に、第1の改質領域及び第2の改質領域から発生した亀裂を加工対象物の表面及び裏面に到達させることにより、第1の切断予定ライン及び第2の切断予定ラインに沿って加工対象物を切断する第3の工程を更に備えることが好ましい。これによれば、第1の有効部及び第2の有効部を加工対象物から精度良く切り出すことができる。
本発明によれば、第2の有効部の外縁に沿う第2の切断予定ラインが、第1の有効部に向かって、第1の有効部の外縁に沿う第1の切断予定ラインに突き当たっている場合において、第1の有効部に損傷が生じるのを防止しつつ、各切断予定ラインに沿って改質領域を形成することができる。
改質領域の形成に用いられるレーザ加工装置の概略構成図である。 改質領域の形成の対象となる加工対象物の平面図である。 図2の加工対象物のIII−III線に沿っての断面図である。 レーザ加工後の加工対象物の平面図である。 図4の加工対象物のV−V線に沿っての断面図である。 図4の加工対象物のVI−VI線に沿っての断面図である。 本発明の一実施形態のレーザ加工方法の対象となる加工対象物の平面図である。 本発明の一実施形態のレーザ加工方法が実施されている加工対象物の一部断面図である。 本発明の一実施形態のレーザ加工方法が実施されている加工対象物の一部断面図である。 本発明の一実施形態のレーザ加工方法が実施されている加工対象物の平面図である。 本発明の一実施形態のレーザ加工方法が実施された加工対象物の概念図である。 亀裂が形成された加工対象物の平面写真を示す図である。 切断された加工対象物の平面写真を示す図である。 切断された加工対象物の切断面の写真を示す図である。 本発明の他の実施形態のレーザ加工方法が実施された加工対象物の概念図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本発明の一実施形態のレーザ加工方法では、切断予定ラインに沿って加工対象物にレーザ光を照射することにより、切断予定ラインに沿って加工対象物の内部に改質領域を形成する。そこで、まず、この改質領域の形成について、図1〜図6を参照して説明する。
図1に示すように、レーザ加工装置100は、レーザ光Lをパルス発振するレーザ光源101と、レーザ光Lの光軸(光路)の向きを90°変えるように配置されたダイクロイックミラー103と、レーザ光Lを集光するための集光用レンズ105と、を備えている。また、レーザ加工装置100は、集光用レンズ105で集光されたレーザ光Lが照射される加工対象物1を支持するための支持台107と、支持台107を移動させるためのステージ111と、レーザ光Lの出力やパルス幅等を調節するためにレーザ光源101を制御するレーザ光源制御部102と、ステージ111の移動を制御するステージ制御部115と、を備えている。
このレーザ加工装置100においては、レーザ光源101から出射されたレーザ光Lは、ダイクロイックミラー103によってその光軸の向きを90°変えられ、支持台107上に載置された加工対象物1の内部に集光用レンズ105によって集光される。これと共に、ステージ111が移動させられ、加工対象物1がレーザ光Lに対して切断予定ライン5に沿って相対移動させられる。これにより、切断予定ライン5に沿った改質領域が加工対象物1に形成されることとなる。
加工対象物1としては、半導体材料や圧電材料等が用いられ、図2に示すように、加工対象物1には、加工対象物1を切断するための切断予定ライン5が設定されている。切断予定ライン5は、直線状に延びた仮想線である。加工対象物1の内部に改質領域を形成する場合、図3に示すように、加工対象物1の内部に集光点Pを合わせた状態で、レーザ光Lを切断予定ライン5に沿って(すなわち、図2の矢印A方向に)相対的に移動させる。これにより、図4〜図6に示すように、改質領域7が切断予定ライン5に沿って加工対象物1の内部に形成され、切断予定ライン5に沿って形成された改質領域7が切断起点領域8となる。
なお、集光点Pとは、レーザ光Lが集光する箇所のことである。また、切断予定ライン5は、直線状に限らず曲線状であってもよいし、仮想線に限らず加工対象物1の表面3に実際に引かれた線であってもよい。また、改質領域7は、連続的に形成される場合もあるし、断続的に形成される場合もある。また、改質領域7は列状でも点状でもよく、要は、改質領域7は少なくとも加工対象物1の内部に形成されていればよい。また、改質領域7を起点に亀裂が形成される場合があり、亀裂及び改質領域7は、加工対象物1の外表面(表面、裏面、若しくは外周面)に露出していてもよい。
ちなみに、ここでのレーザ光Lは、加工対象物1を透過すると共に加工対象物1の内部の集光点近傍にて特に吸収され、これにより、加工対象物1に改質領域7が形成される(すなわち、内部吸収型レーザ加工)。よって、加工対象物1の表面3ではレーザ光Lが殆ど吸収されないので、加工対象物1の表面3が溶融することはない。一般的に、表面3から溶融され除去されて穴や溝等の除去部が形成される(表面吸収型レーザ加工)場合、加工領域は表面3側から徐々に裏面側に進行する。
ところで、本実施形態で形成される改質領域は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲とは異なる状態になった領域をいう。改質領域としては、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域等があり、これらが混在した領域もある。更に、改質領域としては、加工対象物の材料において改質領域の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域や、格子欠陥が形成された領域がある(これらをまとめて高密転移領域ともいう)。
また、溶融処理領域や屈折率変化領域、改質領域の密度が非改質領域の密度と比較して変化した領域、格子欠陥が形成された領域は、更に、それら領域の内部や改質領域と非改質領域との界面に亀裂(割れ、マイクロクラック)を内包している場合がある。内包される亀裂は改質領域の全面に渡る場合や一部分のみや複数部分に形成される場合がある。加工対象物1としては、例えばシリコン、ガラス、LiTaO又はサファイア(Al)を含む、又はこれらからなるものが挙げられる。
また、本実施形態においては、切断予定ライン5に沿って改質スポット(加工痕)を複数形成することによって、改質領域7を形成している。改質スポットとは、パルスレーザ光の1パルスのショット(つまり1パルスのレーザ照射:レーザショット)で形成される改質部分であり、改質スポットが集まることにより改質領域7となる。改質スポットとしては、クラックスポット、溶融処理スポット若しくは屈折率変化スポット、又はこれらの少なくとも1つが混在するもの等が挙げられる。
この改質スポットについては、要求される切断精度、要求される切断面の平坦性、加工対象物の厚さ、種類、結晶方位等を考慮して、その大きさや発生する亀裂の長さを適宜制御することが好ましい。
次に、本発明の一実施形態のレーザ加工方法について詳細に説明する。図7は、本発明の一実施形態のレーザ加工方法の対象となる加工対象物の平面図である。図7に示すように、加工対象物1は、シリコンウェハ11と、複数の機能素子15を含んでシリコンウェハ11上に形成された機能素子層16と、を備えている。加工対象物1は、機能素子層16側の面を表面3とし、機能素子層16と反対側の面を裏面4とする板状のものである。機能素子15は、例えば、結晶成長により形成された半導体動作層、フォトダイオード等の受光素子、レーザダイオード等の発光素子、或いは回路として形成された回路素子等である。
機能素子15は、長方形状の有効部18ごとに形成されている。各有効部18は、加工対象物1の切断によって取得される半導体チップに対応する。有効部18は、シリコンウェハ11のオリエンテーションフラット6に平行な方向が長辺の方向となるように(すなわち、オリエンテーションフラット6に垂直な方向が短辺の方向となるように)配置されている。更に、有効部18は、行方向(オリエンテーションフラット6に平行な方向)においては一列に配置されている一方で、列方向(オリエンテーションフラット6に垂直な方向)においてはジグザグ状に配置されている。これは、1枚のシリコンウェハ11からの半導体チップの取得数を増加させるためである。
これにより、列方向において隣り合う2つの有効部18では、一方の有効部18の短辺に沿う切断予定ライン52が、他方の有効部18に向かって、その他方の有効部18の長辺に沿う切断予定ライン51の中間部分に突き当たることになる。なお、加工対象物1の外縁部において有効部18を配置し得ない部分は、非有効部19となっている。
以上の加工対象物1から、次のように、複数の有効部18を切り出す。まず、加工対象物1の裏面4にエキスパンドテープを貼り付けて、その加工対象物1をレーザ加工装置100の支持台107上に載置する。そして、加工対象物1の表面3から所定距離だけ内側にレーザ光Lの集光点Pが位置するようにステージ111を制御する。
続いて、加工対象物1の表面3をレーザ光入射面として、切断予定ライン51に沿って加工対象物1にレーザ光Lを照射する。つまり、有効部18の長辺に沿う切断予定ライン51に沿って、レーザ光Lの集光点Pを相対的に移動(スキャン)させる。ここでは、ステージ111を制御してレーザ光Lのスキャンを行う。このレーザ光Lの照射によって、図8に示すように、切断予定ライン51に沿って加工対象物1の内部に改質領域71を形成する。
切断予定ライン51に沿って改質領域71を形成した後、加工対象物1の表面3をレーザ光入射面として、切断予定ライン52に沿って加工対象物1にレーザ光Lを照射する。つまり、有効部18の短辺に沿う切断予定ライン52に沿って、レーザ光Lの集光点Pを相対的に移動させる。このレーザ光Lの照射によって、図9に示すように、切断予定ライン52に沿って加工対象物1の内部に改質領域72を形成する。
このとき、レーザ光Lの照射をON/OFF切替えすることにより、切断予定ライン52のうち切断予定ライン51から所定の距離の端部分52aを除いた中間部分52bに、改質領域72を形成するようにする。その所定の距離に相当する端部分52aの長さは、改質領域72の形成に伴って(すなわち、改質領域72の形成と略同時に)、改質領域72から発生した亀裂が切断予定ライン52の方向に伸展する距離の範囲とすることが好ましく、例えば10μm程度である。なお、有効部18と非有効部19との境界に沿う切断予定ライン51に対しては、改質領域72を形成しない端部分52aを設けずに、改質領域71に対して改質領域72を交差させる。
切断予定ライン52に沿って改質領域72を形成した後、加工対象物1の裏面4に貼り付けられているエキスパンドテープを拡張させて、改質領域71,72から発生した亀裂を加工対象物1の表面3及び裏面4に到達させることにより、切断予定ライン51,52に沿って加工対象物1を切断する。これにより、図10に示すように、加工対象物1から複数の有効部18が切り出されて、機能素子15を有する複数の半導体チップ25が得られる。
以上説明したように、一方の有効部18の短辺に沿う切断予定ライン52が、他方の有効部18に向かって、その他方の有効部18の長辺に沿う切断予定ライン51の中間部分に突き当たっている場合には、まず、長辺に沿う切断予定ライン51に沿って改質領域71を形成し、その後に、短辺に沿う切断予定ライン52に沿って改質領域72を形成する。これにより、図11に示すように、改質領域72の形成に伴って、改質領域72から亀裂17が発生し、その亀裂17が他方の有効部18に向かって伸展しそうになっても、その亀裂17の伸展は、既に形成された改質領域71や、改質領域71から発生した亀裂17によって受け止められる。よって、各有効部18に損傷が生じるのを防止しつつ、各切断予定ライン51,52に沿って改質領域71,72を形成することができる。
なお、ここでの亀裂17は、改質領域71,72の形成に伴って(加工対象物1に何ら外力を作用させなくても)、改質領域71,72から加工対象物1の厚さ方向及び切断予定ライン51,52の方向に発生するものである。
また、図11に示すように、短辺に沿う切断予定ライン52に沿って改質領域72を形成するときには、切断予定ライン52の中間部分52bに改質領域72を形成し、切断予定ライン52の端部分52aには、改質領域72を形成しない。これにより、改質領域72の形成に伴って、長辺に沿う切断予定ライン51の近傍で改質領域72から亀裂17が発生するのを防止し、改質領域72から発生した亀裂17が他方の有効部18に向かって伸展するのを抑制することができる。
また、改質領域71,72から発生した亀裂17を加工対象物1の表面3及び裏面4に到達させることにより、切断予定ライン51,52に沿って加工対象物1を切断するので、各有効部18を加工対象物1から精度良く切り出すことができる。このとき、有効部18と非有効部19との境界に位置する有効部18の角部では、改質領域71と改質領域72とが交差しているので、その有効部18の角部に損傷が生じるのを防止することができる。
図12は、切断予定ライン51,52に沿って改質領域71,72を形成した後、かつ加工対象物1の裏面4に貼り付けられているエキスパンドテープを拡張させる前における加工対象物1の平面写真を示す図である。図12に示すように、この場合には、改質領域71,72の形成に伴って改質領域71,72から発生した亀裂17が加工対象物1の表面3に達したが、切断予定ライン52に沿った亀裂17の伸展は、切断予定ライン51に沿った改質領域71や亀裂17によって受け止められた。
図13は、図12の加工対象物1の裏面4に貼り付けられているエキスパンドテープを拡張させた後の加工対象物の平面写真を示す図である。図13に示すように、各有効部18に損傷が生じるものを防止して、複数の半導体チップ25を加工対象物1から精度良く切り出すことができた。図14は、半導体チップ25の切断面25aの写真を示す図である。図14に示すように、切断予定ライン52の中間部分52bには改質領域72を形成し、切断予定ライン52の端部分52aには改質領域72を形成しなかったが、加工対象物1が切断予定ライン52に沿って精度良く切断された。なお、図12において、改質領域72が形成されていない端部分52aの長さは、約10μmである。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、各切断予定ライン51,52に対して形成される改質領域71,72の列数は、1列に限定されず、複数列であってもよい。その列数は、加工対象物1の厚さ等に応じて適宜決定することができる。
図15に示すように、各切断予定ライン51,52に対して、加工対象物1の厚さ方向に並ぶように複数列の改質領域71,72を形成する場合にも、まず、長辺に沿う切断予定ライン51に沿って複数列の改質領域71を形成し、その後に、短辺に沿う切断予定ライン52に沿って複数列の改質領域72を形成すればよい。そして、短辺に沿う切断予定ライン52に沿って改質領域72を形成するときには、切断予定ライン52の中間部分52bに改質領域72を形成し、切断予定ライン52の端部分52aには、改質領域72を形成しなければよい。これらにより、各有効部18に損傷が生じるのを防止しつつ、各切断予定ライン51,52に沿って改質領域71,72を形成することができる。
ただし、少なくとも加工対象物1のレーザ光入射面(ここでは、表面3)に最も近い改質領域71,72について、改質領域71を形成した後に改質領域72を形成し、更に、切断予定ライン52の端部分52aに改質領域72を形成しなければ、各有効部18に損傷が生じるのを防止しつつ、各切断予定ライン51,52に沿って改質領域71,72を形成することができる場合もある。改質領域71,72の形成に伴う亀裂17の発生は、レーザ光入射面から遠い改質領域71,72よりもレーザ光入射面に近い改質領域71,72で起こり易いからである。これは、次のような形成順序をとる場合に有効である。すなわち、まず、加工対象物1のレーザ光入射面から最も遠い改質領域71,72を全ての切断予定ライン51,52について形成し、その後、加工対象物1のレーザ光入射面からの距離ごとに改質領域71,72を全ての切断予定ライン51,52について形成していくような場合である。
また、上記実施形態では、エキスパンドテープの拡張により加工対象物1に外力を作用させて、亀裂17を加工対象物1の表面3及び裏面4に到達させたが、これに限定されない。各切断予定ライン51,52に対する1列又は複数列の改質領域71,72の形成と共に(加工対象物1に何ら外力を作用させずに)、加工対象物1の表面3及び裏面4に亀裂17を到達させて、それにより、切断予定ライン51,52に沿って加工対象物1を切断する場合もある。
1…加工対象物、3…表面、4…裏面、17…亀裂、18…有効部、51,52…切断予定ライン、52a…端部分、52b…中間部分、71,72…改質領域、L…レーザ光、P…集光点。

Claims (4)

  1. 板状の加工対象物から少なくとも第1の有効部及び第2の有効部を切り出すためのレーザ加工方法であって、
    前記第1の有効部の外縁に沿う第1の切断予定ラインに沿って、レーザ光の集光点を相対的に移動させることにより、前記第1の切断予定ラインに沿って前記加工対象物の内部に第1の改質領域を形成する第1の工程と、
    前記第1の工程の後に、前記第2の有効部の外縁に沿いかつ前記第1の有効部に向かって前記第1の切断予定ラインに突き当たる第2の切断予定ラインに沿って、レーザ光の集光点を相対的に移動させることにより、前記第2の切断予定ラインに沿って前記加工対象物の内部に第2の改質領域を形成する第2の工程と、を備えることを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 前記第2の工程においては、前記第2の切断予定ラインのうち前記第1の切断予定ラインから所定の距離の部分を除いた部分に、前記第2の改質領域を形成することを特徴とする請求項1記載のレーザ加工方法。
  3. 前記第1の切断予定ライン及び前記第2の切断予定ラインのそれぞれに対して、前記加工対象物の厚さ方向に並ぶように複数列の改質領域を形成する場合には、少なくとも前記加工対象物のレーザ光入射面に最も近い前記改質領域を前記第1の改質領域及び前記第2の改質領域として形成することを特徴とする請求項1又は2記載のレーザ加工方法。
  4. 前記第2の工程の後に、前記第1の改質領域及び前記第2の改質領域から発生した亀裂を前記加工対象物の表面及び裏面に到達させることにより、前記第1の切断予定ライン及び前記第2の切断予定ラインに沿って前記加工対象物を切断する第3の工程を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のレーザ加工方法。
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