JP2012028381A - 半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

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昭典 溝上
Takanori Sonoda
孝徳 園田
Masahiko Sakata
昌彦 阪田
Yoshimi Tanimoto
佳美 谷本
Motoi Nagamori
基 永森
Hiroaki Kimura
大覚 木村
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Abstract

【課題】透明導電膜と半導体層との間のコンタクト抵抗が低減され、かつ、安定した発光特性を有する半導体素子を提供する。
【解決手段】半導体素子100は、基板110、n型半導体層130、半導体発光層140、及びp型半導体層150を、この順に備える。また、非露出部101においてp型半導体層150の一部の上方に位置している絶縁膜170と、非露出部101における絶縁膜170が位置していない部分のp型半導体層150の略全体の上方に位置している第1透明導電膜161と、絶縁膜170および第1透明導電膜161の上方に位置している第2透明導電膜164とを備える。さらに、露出部102においてn型半導体層130の上方に位置し、n型半導体層130に電気的に接続されているn型電極190と、第2透明導電膜164上において絶縁膜170の上方に位置し、p型半導体層150に電気的に接続されているp型電極180とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体発光素子およびその製造方法に関し、特に、半導体発光層から発せられる光に対して不透明なパッド電極を有する半導体発光素子およびその製造方法に関する。
AlGaInN系の窒化物半導体を用いて作製された半導体発光素子であるLED(Light Emitting Diode)チップは、青色などの短波長の光を高効率に発光することができる。このLEDチップと蛍光体とが組み合わされることにより、白色光などを発光する発光装置が得られる。これらの発光装置は、蛍光灯の発光効率を凌駕する可能性を有し、今後の照明の主役になると考えられている。それに伴い、窒化物半導体発光素子には、さらなる発光効率および信頼性の改善と、それによる省エネルギ化の進展とが期待されている。
絶縁性基板上に窒化物半導体層が形成された窒化物半導体発光素子においては、基板の裏面側に電極を配置できないため、窒化物半導体層が形成された基板の上面側にp側電極およびn側電極が配置される。
n側電極は、電気的にn型半導体層と接続される必要がある。そのため、n型半導体層を形成するには、p型窒化物半導体層および半導体発光層を除去してn型窒化物半導体層を露出させる必要がある。エッチングにより露出された露出部以外の非露出部は、メサ(台形)形状となる。
非露出部と露出部との境界において、n型半導体層、半導体発光層およびp型半導体層の端部が露出している部分を露出端部と称する。露出端部においては、pn接合が露出しているため、露出している部分のpn接合が汚染された場合、リーク電流が発生する。
そこで、露出端部を保護するために、絶縁膜を有する窒化物半導体発光素子を開示した先行文献として、特許文献1がある。特許文献1に記載された窒化物半導体発光素子においては、露出端部の表面に絶縁膜が形成されている。
また、p型窒化物半導体層上に不透明なp側パッド電極が配置されているため、p側パッド電極の下方に位置する半導体発光層から発せられた光は、p側パッド電極に遮られて、窒化物半導体発光素子の上面から出射しない。そのため、半導体発光素子の光取り出し効率が低下する。
そこで、p側パッド電極の下方に位置する部分のp型半導体層に流れる電流値を低減させるために、高抵抗層が形成された半導体発光素子を開示した先行文献として、特許文献2がある。特許文献2に記載された半導体発光素子においては、透明電極とp型半導体層との間に高抵抗層が配置されている。
さらに、絶縁膜上に透光性導電膜を間に挟んでp側パッド電極が配置された半導体発光素子を開示した先行文献として、特許文献3がある。特許文献3に記載された半導体発光素子においては、外部接続部を有する透光性導電膜とp型半導体層との間に透光性絶縁膜が配置されている。
また、透光性絶縁層の下方にも透明導電膜が形成された半導体発光素子が開示された先行文献として、特許文献4がある。特許文献4に記載された半導体発光素子においては、透光性絶縁層の下方に形成された部分の透明導電膜の層厚が、それ以外に形成された部分の透明導電膜の層厚より薄くされている。この構成により、パッド電極の周囲の発光を増やしつつ、電流を均一に分散して光の取り出し効率を改善している。
特開平9−205224号公報 特開平8−250769号公報 特開2008−210903号公報 特開2008−135554号公報
特許文献2,3に記載の半導体発光素子のように、p側電極の下方に絶縁膜を有する構造においては、透明導電膜とp型半導体層とのオーミック接触が得られにくかった。透明導電膜とp型半導体層とのオーミック接触を得るためには、透明導電膜とp型半導体層との界面に存在する酸化物を除去することが必要である。そのため、透明導電膜をp型半導体層上に形成する際には、通常、酸化物を除去するために洗浄液によりp型半導体層の表面処理が行なわれる。
しかし、p側電極の下方に絶縁膜を有する半導体発光素子においては、絶縁膜の上方に透明導電膜が形成されるため、p型半導体層上には、透明導電膜より先に絶縁膜が形成される。絶縁膜が形成されたp型半導体層の表面を、酸化物を除去するために洗浄液で表面処理した場合、絶縁膜がその洗浄液により除去される。そのため、p側電極の下方に絶縁膜を有する半導体発光素子においては、透明導電膜を形成する前のp型半導体層の表面処理において、酸化物除去能力の弱い洗浄液を使用しなければならなかった。その結果、透明導電膜とp型半導体層とのオーミック接触が得られにくかった。これは、n型半導体層上に透明導電膜を有する半導体発光素子についても同様である。
特許文献4に記載の半導体発光素子においては、p型半導体層上に透明導電膜が形成され、透明導電膜上に絶縁膜が形成されている。この半導体発光素子においては、絶縁膜より先に透明導電膜がp型半導体層上に形成されている。
しかし、透明導電膜が絶縁膜の上方および下方の両方に形成されているため、絶縁膜の上方に形成された透明導電膜の層厚と、絶縁膜の下方に形成された透明導電膜の層厚との関係により、半導体発光素子内を流れる電流の経路が変化する。そのため、絶縁膜の上下に形成された透明導電膜の層厚を厳密に管理しなければ、半導体発光素子の発光特性にばらつきが生じる。
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、透明導電膜と半導体層との間のコンタクト抵抗が低減され、かつ、安定した発光特性を有する、半導体発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、絶縁膜上に配置された透明導電膜と、それ以外の位置に配置された透明導電膜とでは、必要な特性が異なる点に着目した。
絶縁膜以外の位置に配置された透明導電膜に求められる特性は、(1)下地であるp型半導体層とのコンタクト抵抗が少ない、(2)比抵抗が小さく電流拡散性に優れる、(3)光の干渉を考慮し、λ/4n(λはLEDの発光波長、nはp側透明導電膜の屈折率)以下の厚さである、ことである。
一方、絶縁膜上に配置された透明導電膜に求められる特性は、その上に形成されるp側電極とのコンタクト抵抗が少ないことである。
以上の点に鑑み、以下の手段によって本発明の課題を解決する。
本発明に基づく半導体発光素子は、基板と、基板の上方に位置しているn型半導体層と、n型半導体層の上方に位置している半導体発光層と、半導体発光層の上方に位置しているp型半導体層とを備えている。また、半導体発光素子は、基板の上方から基板を平面視して、n型半導体層の上方に半導体発光層およびp型半導体層のいずれもが部分的に存在していない露出部と、露出部以外の非露出部とを備えている。さらに、半導体発光素子は、非露出部においてp型半導体層の一部の上方に位置している絶縁膜と、非露出部における絶縁膜が位置していない部分のp型半導体層の略全体の上方に位置している第1透明導電膜と、絶縁膜および第1透明導電膜の上方に位置している第2透明導電膜とを備えている。また、半導体発光素子は、露出部においてn型半導体層の上方に位置し、n型半導体層に電気的に接続されているn側電極と、第2透明導電膜上において絶縁膜の上方に位置し、p型半導体層に電気的に接続されているp側電極とを備えている。
好ましくは、露出部と非露出部との境界に位置する半導体発光層の端面を覆い、絶縁膜と同一の材料から構成されている第1保護膜と、第1保護膜を覆うように位置している第2保護膜とを備えている。
本発明の一形態においては、n側電極とn型半導体層との間に位置している第3透明導電膜を備えている。
本発明の第1の局面においては、半導体発光素子の製造方法は、基板を準備する工程と、基板上にn型半導体層を形成する工程と、n型半導体層が形成された基板上に半導体発光層を形成する工程と、半導体発光層が形成された基板上にp型半導体層を形成する工程と、p型半導体層の上方に第1透明導電膜を形成する工程と、第1透明導電膜の一部を除去する工程とを備える。また、半導体発光素子の製造方法は、第1透明導電膜、p型半導体層および半導体発光層をエッチングにより部分的に除去してn型半導体層を露出させた露出部および該露出部以外の非露出部を形成する工程と、第1透明導電膜が除去された部分に絶縁膜を形成する工程とを備える。さらに、半導体発光素子の製造方法は、絶縁膜および第1透明導電膜の上方に第2透明導電膜を形成する工程と、露出部においてn型半導体層の上方に、n型半導体層に電気的に接続されるn側電極を形成する工程と、第2透明導電膜上において絶縁膜の上方に、p型半導体層に電気的に接続されるp側電極を形成する工程とを備える。
本発明の第2の局面においては、半導体発光素子の製造方法は、基板を準備する工程と、基板上にn型半導体層を形成する工程と、n型半導体層が形成された基板上に半導体発光層を形成する工程と、半導体発光層が形成された基板上にp型半導体層を形成する工程とを備える。また、半導体発光素子の製造方法は、p型半導体層および半導体発光層をエッチングにより部分的に除去してn型半導体層を露出させた露出部およびこの露出部以外の非露出部を形成する工程と、非露出部におけるp型半導体層の上方に第1透明導電膜を形成する工程とを備える。さらに、半導体発光素子の製造方法は、第1透明導電膜の一部を除去する工程と、第1透明導電膜が除去された部分に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜および第1透明導電膜の上方に第2透明導電膜を形成する工程とを備える。また、半導体発光素子の製造方法は、露出部においてn型半導体層の上方に、n型半導体層に電気的に接続されるn側電極を形成する工程と、第2透明導電膜上において絶縁膜の上方に、p型半導体層に電気的に接続されるp側電極を形成する工程とを備える。
本発明の一形態においては、第2透明導電膜を形成する工程において、n側電極とn型半導体層との間に第3透明導電膜を形成する。
本発明の第3の局面においては、半導体発光素子の製造方法は、基板を準備する工程と、基板上にn型半導体層を形成する工程と、n型半導体層が形成された基板上に半導体発光層を形成する工程と、半導体発光層が形成された基板上にp型半導体層を形成する工程とを備える。また、半導体発光素子の製造方法は、p型半導体層の上方に第1透明導電膜を形成する工程と、第1透明導電膜の一部を除去する工程と、第1透明導電膜が除去された部分に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜および第1透明導電膜の上方に第2透明導電膜を形成する工程とを備える。さらに、半導体発光素子の製造方法は、第2透明導電膜、第1透明導電膜、p型半導体層および半導体発光層をエッチングにより部分的に除去してn型半導体層を露出させた露出部およびこの露出部以外の非露出部を形成する工程を備える。また、半導体発光素子の製造方法は、露出部においてn型半導体層の上方に、n型半導体層に電気的に接続されるn側電極を形成する工程と、第2透明導電膜上において絶縁膜の上方に、p型半導体層に電気的に接続されるp側電極を形成する工程とを備える。
本発明の一形態においては、第1透明導電膜を形成する工程の直前に、酸化物を除去するための洗浄液による表面処理工程を備える。
本発明によれば、透明導電膜と半導体層との間のコンタクト抵抗が低減され、かつ、安定した発光特性を有する、半導体発光素子およびその製造方法を提供できる。
本発明の実施形態1に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。 図1のII−II線矢印方向から見た断面図である。 同実施形態に係る半導体発光素子に使用した基板を示す断面図である。 基板上にアンドープ窒化物半導体層が形成された状態を示す断面図である。 アンドープ窒化物半導体層上にn型半導体層が形成された状態を示す断面図である。 n型半導体層上に半導体発光層が形成された状態を示す断面図である。 半導体発光層上にp型半導体層が形成された状態を示す断面図である。 p型半導体層の表面上に第1透明導電膜が形成された状態を示す断面図である。 第1透明導電膜がパターニングされた状態を示す断面図である。 基板上に露出部と非露出部とが形成された状態を示す断面図である。 露出部および非露出部の表面上にSiO2膜が形成された状態を示す断面図である。 絶縁膜がパターニングされた状態を示す断面図である。 露出部および非露出部の表面上に透明導電膜が形成された状態を示す断面図である。 透明導電膜がパターニングされた状態を示す断面図である。 露出部および非露出部の表面上に電極材料層が形成された状態を示す断面図である。 電極材料層がパターニングされた状態を示す断面図である。 露出部および非露出部の表面上にSiO2膜が形成された状態を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態1に係る半導体発光素子およびその製造方法について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
実施形態1
図1は、本発明の実施形態1に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線矢印方向から見た断面図である。なお、図1においては、簡単のため、保護膜200,210など細部については記載していない。
図1,2に示すように、基板110の上方から基板110を平面視して、長方形状の外形を有する基板110の表面上に、アンドープGaNからなるアンドープ窒化物半導体層120が形成されている。アンドープ窒化物半導体層120の表面上に、AlGaInN系材料からなるn型半導体層130が形成されている。n型半導体層130の一部の表面上に、AlGaInN系材料からなる半導体発光層140が形成されている。半導体発光層140の表面上に、AlGaInN系材料からなるp型半導体層150が形成されている。AlGaInN系材料とは、III族材料としてAl,Ga、Inの少なくとも一種類、および、V族材料としてNを含む材料であり、その中で組成の異なる複数の層からなってもよい。
基板110の上方から基板110を平面視して、n型半導体層130の上方に半導体発光層140およびp型半導体層150のいずれもが部分的に存在していない露出部102が形成されている。その一方、露出部102以外の非露出部101が形成されている。非露出部101は、台形の形状を有しておりいわゆるメサ領域である。非露出部101と露出部102との境界において、n型半導体層130、半導体発光層140およびp型半導体層150の端部が露出している部分を露出端部103と称する。
露出部102において、n型半導体層130の表面上に第3透明導電膜165が形成されている。第3透明導電膜165の表面上にn側電極190が形成されている。n側電極190は、第3透明導電膜165を介してn型半導体層130に電気的に接続されている。
非露出部101において、p型半導体層150の一部の表面上に絶縁膜170が形成されている。非露出部101において絶縁膜170が位置していない部分のp型半導体層150の略全体の上方に第1透明導電膜161が形成されている。絶縁膜170および第1透明導電膜161の上方に第2透明導電膜164が形成されている。第2透明導電膜164は、絶縁膜170の表面上に形成された部分の第1領域部163と、p型半導体層150の表面上に形成された第2領域部162とを含む。
非露出部101において第1領域部163の表面上にp側電極180が形成されている。p側電極180は、透明導電膜160を介してp型半導体層150に電気的に接続されている。
図1に示すように、p側電極180は、円形状の外形を有している。また、n側電極190は、円形状の外形を有している。本実施形態の基板110は、長手方向の長さが550μm程度であり、短手方向の長さが280μm程度である、長方形状の外形を有している。
以下、本実施形態に係る半導体発光素子100の製造方法について説明する。
(基板)
まず、基板110が準備される。図3は、本実施形態に係る半導体発光素子に使用した基板を示す断面図である。本実施形態においては、図3に示すように、基板110として、表面に高さ1μm程度の凸部が4μmピッチで残るように、凹部となる部分がドライエッチング法で除去されたサファイア基板が用いられる。なお、表面が平坦なサファイア基板が基板110として用いられてもよい。
(半導体層)
図4は、基板上にアンドープ窒化物半導体層が形成された状態を示す断面図である。図4に示すように、基板110上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により、アンドープ窒化物半導体層120が形成される。図5は、アンドープ窒化物半導体層上にn型半導体層が形成された状態を示す断面図である。図5に示すように、MOCVD法により、アンドープ窒化物半導体層120上に、AlGaInN系材料からなるn型半導体層130が形成される。
図6は、n型半導体層上に半導体発光層が形成された状態を示す断面図である。図6に示すように、MOCVD法により、n型半導体層130上に半導体発光層140が形成される。図7は、半導体発光層上にp型半導体層が形成された状態を示す断面図である。図7に示すように、MOCVD法により、半導体発光層140上にp型半導体層150が形成される。
(第1透明導電膜)
図8は、p型半導体層の表面上に第1透明導電膜が形成された状態を示す断面図である。図8に示すように、HF(フッ酸)による表面処理された後、第1透明導電膜161としてITO(Indium Tin Oxide)が、スパッタ法によりp型半導体層150上に形成される。なお、p型半導体層150が形成された直後であれば、表面処理が不要の場合がある。また、表面処理は、フッ酸によるものに限られず、バッファードフッ酸およびその混合物を含み酸化物を除去可能な洗浄液を好適に用いることができる。
図9は、第1透明導電膜がパターニングされた状態を示す断面図である。図9に示すように、第1透明導電膜161は、フォトリソグラフィ法によりパターニングされて不要部分が除去される。なお、第1透明導電膜161のパターニングにリフトオフ法を用いて、レジストが形成された後、第1透明導電膜161が形成されて、レジストとともに第1透明導電膜161の不要部分が除去されてもよい。
パターニング後、第1透明導電膜161はアニールされて、第1透明導電膜161の透明度が上げられる。アニールとしては、酸素中、窒素中または真空中において、300℃以上800℃以下程度の温度条件下で、1回または数回行なわれてもよい。なお、後述する第2透明導電膜の形成後においてもアニールが行われるため、第1透明導電膜161形成後のアニールは行なわれなくてもよい。
(露出部)
図10は、基板上に露出部と非露出部とが形成された状態を示す断面図である。図10に示すように、露出部102となる部分のp型半導体層150および半導体発光層140がドライエッチング法により除去されて、n型半導体層130が露出される。それにより、残った部分が非露出部101となり、非露出部101と露出部102との境界において、露出端部103が形成される。
(絶縁膜、第1保護膜)
図11は、露出部および非露出部の表面上にSiO2膜が形成された状態を示す断面図である。図11に示すように、プラズマCVD法によって、SiO2膜が、露出部102および非露出部101の全表面に形成される。
図12は、絶縁膜がパターニングされた状態を示す断面図である。図12に示すように、フォトリソグラフィ法によりSiO2膜上にレジストパターンが形成された後、エッチングによりSiO2膜のうちの不要部分が除去される。その結果、非露出部101においてp型半導体層150の一部の上方に絶縁膜170が形成される。また、露出端部103は、第1保護膜200に覆われる。半導体発光層140が露出する露出端部103の形成直後に第1保護膜200が形成されることにより、露出端部103におけるpn接合でのリーク電流が低減されるとともに、半導体発光素子の信頼性が向上される。
本実施形態においては絶縁膜170および第1保護膜200としてSiO2が用いられたが、Si34、Al23、TiO2およびZrO2などが用いられてもよい。なお、絶縁膜170および第1保護膜200のパターニングにリフトオフ法を用いて、レジストが形成された後、SiO2膜が形成されて、レジストとともにSiO2膜の不要部分が除去されてもよい。なお、第1保護膜200が形成されずに、絶縁膜170のみが形成されて、SiO2膜のその他の部分は不要部として除去されてもよい。その場合は、後述する第2保護膜によって所定部分が保護されるようにする。
(第2透明導電膜)
図13は、露出部および非露出部の表面上に透明導電膜が形成された状態を示す断面図である。図13に示すように、酸化物除去能力の弱い洗浄液を用いて表面処理された後、透明導電膜としてITOが、スパッタ法により露出部102および非露出部101の全表面に形成され、アニールされる。
図14は、透明導電膜がパターニングされた状態を示す断面図である。図14に示すように、透明導電膜は、フォトリソグラフィ法によりパターニングされて不要部分が除去される。非露出部101に形成される第2透明導電膜164は、絶縁膜170上に形成される第1領域部163と、第1透明導電膜161上に形成される第2領域部162とを含む。露出部102においては、n型半導体層130上に第3透明導電膜165が形成される。
上記のように第1透明導電膜および第2透明導電膜が形成されることにより、非露出部101において、絶縁膜170が位置する部分では、透明導電膜は第1領域部163のみからなる単層構造で構成され、それ以外の部分では、透明導電膜は第1透明導電膜161と第2領域部162とからなる2層構造で構成される。その結果、非露出部101において、絶縁膜170が位置する部分の透明導電膜は、それ以外の部分の透明導電膜より薄く形成される。
なお、透明導電膜のパターニングにリフトオフ法を用いて、レジストが形成された後、透明導電膜が形成されて、レジストとともに透明導電膜の不要部分が除去されてもよい。本実施形態においては、透明導電膜160,165としてITOが用いられたが、IZO(Indium Zinc Oxide)およびZnOなどの材料が用いられてもよい。
(電極)
図15は、露出部および非露出部の表面上に電極材料層が形成された状態を示す断面図である。図15に示すように、下から順にNi/Pt/Auの層構造を有する電極材料層が、スパッタ法により露出部102および非露出部101の表面上に形成される。本実施形態においては、電極材料層の形成にスパッタ法が用いられたが、蒸着法が用いられてもよい。
図16は、電極材料層がパターニングされた状態を示す断面図である。図16に示すように、電極材料層は、フォトリソグラフィ法によりパターニングされて不要部分が除去される。その結果、露出部102においてn型半導体層130の上方に、第3透明導電膜165を介してn型半導体層130に電気的に接続されるn側電極190が形成される。非露出部において絶縁膜170の上方に、第2透明導電膜164の第1領域部163を介してp型半導体層150に電気的に接続されるp側電極180が形成される。
なお、電極材料層のパターニングにリフトオフ法を用いて、レジストが形成された後、電極材料層が形成されて、レジストとともに電極の不要部分が除去されてもよい。電極材料としては上記の材料に限定されず、たとえば、Ni/Pd/Auの層構造、および、Ni/Rh/Auの層構造を有する材料などが用いられる。
(第2保護膜)
図17は、露出部および非露出部の表面上にSiO2膜が形成された状態を示す断面図である。図17に示すように、プラズマCVD法によって、SiO2膜が、露出部102および非露出部101の全表面に形成される。フォトリソグラフィ法により、p側パッド電極部180aおよびn側パッド電極部190a上のSiO2膜が除去されることにより、図2に示す断面構造を有する半導体発光素子100が形成される。本実施形態においては、第2保護膜210としてSiO2が用いられたが、第2保護膜210としてSi34、Al23、TiO2およびZrO2などが用いられてもよい。
(チップ分割)
以上の工程は、数千個のLEDチップを有するウエハ全体について行なわれる。LEDチップの検査がされた後、ウエハには、レーザスクライブ法により分割用傷が形成される。分割用傷が形成されたウエハは、シートに貼り付けられた後、ウエハ全体に圧力がかけられてチップに分割される。本実施形態においては、分割用傷の形成にレーザスクライブ法が用いられたが、ダイヤモンドなどの硬い針によるスクライブ法およびダイシング法などが用いられてもよい。
(デバイス化)
分割された半導体発光素子100のそれぞれは、パッケージにダイボンドされて、p側パッド電極部180aおよびn側パッド電極部190aのそれぞれは、Auから主に構成されるワイヤとワイヤボンディングされて結線される。
パッケージにおいては、βサイアロンからなる緑色蛍光体およびCaAlSiN3からなる赤色蛍光体の粒子が混合されたシリコーン樹脂原料(流動物)が、半導体発光素子100を覆うように注入された後、加熱されることにより硬化される。なお、蛍光体としては、青色LEDによって励起されて、緑色、黄色、橙色および赤色などを発する蛍光体が適宜用いられる。
上記の工程を経ることにより、半導体発光素子100と蛍光体とを含む発光装置が製造される。
以下、本実施形態の半導体発光素子の発光特性の検証結果を示す。
上記デバイス化工程を省略し、半導体発光素子100をステムにワイヤボンドした測定用サンプルを作成した。このサンプルは、樹脂封止されていないため上記の発光装置に比べて光の取り出し効率が低く、また蛍光体が用いられていないため波長変換されないものである。
p型半導体層上に透明導電膜が形成される際に酸化力の弱い洗浄液が用いられた、従来の半導体発光素子においては、実用に耐えうるオーミック接触は得られなかった。一方、上記のサンプルにおいては、ITOからなる第2領域部162とp−GaNからなるp型半導体層150とのコンタクト抵抗値は、1.72×10-2Ωcm2であった。また、サンプルに30mAの電流が流された時に、発光波長が約450nm、光出力が35.0mW、順電圧(Vf)が3.32Vであった。
比較例として、絶縁膜170を形成されていない半導体発光素子を作成した。比較例の半導体発光素子においては、コンタクト抵抗値は、1.83×10-2Ωcm2であった。また、比較例の半導体発光素子に30mAの電流が流された時に、発光波長が約450nm、光出力が33.3mW、順電圧(Vf)が3.30Vであった。
比較例の半導体発光素子は、絶縁膜170による無効発光低減効果がないため、サンプルに比べて光出力が約5%低かった。順電圧は、比較例の半導体発光素子とサンプルとは、ほぼ同等であった。
なお、本実施形態においては、n側電極190の下方に第3透明導電膜165が形成されているが、第3透明導電膜165が形成されずに、n型半導体層130の表面上にn側電極190が形成されてもよい。この場合、半導体発光素子の製造方法としては、製造される構成または工程を順に挙げると、(基板)→(半導体層)→(第1透明導電膜)→(絶縁膜)→(第2透明導電膜)→(露出部)→(電極)→(保護膜)→(チップ分割)→(デバイス化)の順に行なうことができる。
また、第1透明導電膜161と第3透明導電膜165とを同一工程において形成する場合、半導体発光素子の製造方法としては、製造される構成または工程を順に挙げると、(基板)→(半導体層)→(露出部)→(第1透明導電膜、第3透明導電膜165)→(絶縁膜)→(第2透明導電膜164)→(電極)→(保護膜)→(チップ分割)→(デバイス化)の順に行なうことができる。
電流拡散のために、p型半導体層150上に、n型半導体層である窒化物半導体からなる電流拡散層が形成されてもよい。この場合、電流拡散層とその下方のp型半導体層150との間のトンネル効果により電流が流れる。さらに、電流拡散層上に透明導電膜が形成されてもよい。
上記のように、p型半導体層150上に絶縁膜170が形成される前に、p型半導体層150上に第1透明導電膜161が形成されることにより、p型半導体層150と第1透明導電膜161との間においてオーミック接触が得られる。つまり、第1透明導電膜161は、p型半導体層150と第1透明導電膜161とのコンタクト抵抗を低減するために形成されている。
絶縁膜170と第1透明導電膜161との上方に、第2透明導電膜164が形成されることにより、p側電極180と第1透明導電膜161とが電気的に接続される。よって、絶縁膜170上には第2透明導電膜164のみが形成されているため、半導体発光素子100内における電流拡散経路が安定し、半導体発光素子100の発光特性が安定する。
以下、本発明の実施形態2に係る半導体発光素子およびその製造方法について説明する。
実施形態2
図18は、本発明の実施形態2に係る半導体発光素子の構成を示す平面図である。なお、簡単のため、図18においては、第1保護膜および第2保護膜は図示していない。
図18に示すように、本発明の実施形態2に係る半導体発光素子300においては、基板310は、400μm角の正方形の外形を有している。p側電極380は、p側パッド電極部380aと、その端部から基板810の縁に沿って延伸しているp側延伸電極部380bとを含む。n側電極390は、n側パッド電極部390aと、その端部から基板310の縁に沿って延伸しているn側延伸電極部390bとを含む。
p側パッド電極部380aとn側パッド電極部390aとは、それぞれ基板310の対角に配置されている。p側延伸電極部380bとn側延伸電極部390bとは、互いに対向するように配置されている。
なお、パッド電極部とは、電極のうち、ワイヤボンドを行なうための接続部となる部分をいう。延伸電極部とは、電極のうち、電流をLEDチップ内に拡散するための部分であり、パッド電極部の幅より狭く、パッド電極部の長さより長い形状を有している。
ワイヤボンドまたはフリップチップ実装のためのバンプ形成のために、p側パッド電極部380aおよびn側パッド電極部390aの大きさは、各々においてパッド電極部の内接円の直径として、60μm以上100μm以下程度必要である。また、p側延伸電極部380bおよびn側延伸電極部390bは、電流拡散が可能な範囲内でなるべく狭い方がよく、幅が10μm以上20μm以下程度であることが好ましい。
p側電極380の下方に、絶縁膜370が形成されている。n側電極390の下方に、絶縁膜365が形成されている。絶縁膜370は、p側パッド電極部380aの下部に形成された部分370aと、p側延伸電極部380bの下部に形成された部分370bとを含む。絶縁膜365は、n側パッド電極部390aの下部に形成された部分365aと、n側延伸電極部390bの下部に形成された部分365bとを含む。
断面の構成は、p側延伸電極部380bおよびn側延伸電極部390b上に保護膜が形成されている点、および、各構成の寸法が異なる点については図2と異なるが、p側パッド電極部380aとn側パッド電極部390aとを結ぶ断面の形状は、ほぼ図2と同様である。
なお、絶縁膜370が、p側パッド電極部380aの下方のみに形成され、絶縁膜365が、n側パッド電極部390aの下方のみに形成されてもよい。言い換えると、絶縁膜が延伸電極部の下方には形成されていなくてもよい。
本実施形態の半導体発光素子300のサンプルを作成した。本実施形態の半導体発光素子300に30mAの電流が流された時のVfは、延伸電極部の電圧低減効果のため、実施形態1の半導体発光素子100に比較して約5.2%低下した。ただし、低電流領域(2mA)においては実施形態1の半導体発光素子とほぼ同様の特性となった。
半導体発光素子300の製造方法については、実施形態1と同様であるため説明を繰返さない。本実施形態の半導体発光素子300も、透明導電膜と半導体層との間のコンタクト抵抗が低減され、かつ、安定した発光特性を有する。
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
100,300 半導体発光素子、101 非露出部、102 露出部、103 露出端部、110,310,810 基板、120 アンドープ窒化物半導体層、130 n型半導体層、140 半導体発光層、150 p型半導体層、160,165 透明導電膜、161 第1透明導電膜、162 第2領域部、163 第1領域部、164 第2透明導電膜、165 第3透明導電膜、170,365,370 絶縁膜、180,380 p側電極、180a,380a p側パッド電極部、190,390 n側電極、190a,390a n側パッド電極部、200 第1保護膜、210 第2保護膜、365a,365b,370a,370b 保護膜の一部分、380b p側延伸電極部、390b n側延伸電極部。

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板の上方に位置しているn型半導体層と、
    前記n型半導体層の上方に位置している半導体発光層と、
    前記半導体発光層の上方に位置しているp型半導体層と、
    前記基板の上方から前記基板を平面視して、前記n型半導体層の上方に前記半導体発光層および前記p型半導体層のいずれもが部分的に存在していない露出部と、
    前記露出部以外の非露出部と、
    前記非露出部において前記p型半導体層の一部の上方に位置している絶縁膜と、
    前記非露出部における前記絶縁膜が位置していない部分の前記p型半導体層の略全体の上方に位置している第1透明導電膜と、
    前記絶縁膜および前記第1透明導電膜の上方に位置している第2透明導電膜と、
    前記露出部において前記n型半導体層の上方に位置し、前記n型半導体層に電気的に接続されているn側電極と、
    前記第2透明導電膜上において前記絶縁膜の上方に位置し、前記p型半導体層に電気的に接続されているp側電極と
    を備えた、半導体発光素子。
  2. 前記露出部と前記非露出部との境界に位置する前記半導体発光層の端面を覆い、前記絶縁膜と同一の材料から構成されている第1保護膜と、
    前記第1保護膜を覆うように位置している第2保護膜と
    を備えた、請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記n側電極と前記n型半導体層との間に位置している第3透明導電膜を備えた、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
  4. 基板を準備する工程と、
    基板上にn型半導体層を形成する工程と、
    前記n型半導体層が形成された基板上に半導体発光層を形成する工程と、
    前記半導体発光層が形成された基板上にp型半導体層を形成する工程と、
    前記p型半導体層の上方に第1透明導電膜を形成する工程と、
    前記第1透明導電膜の一部を除去する工程と、
    前記第1透明導電膜、前記p型半導体層および前記半導体発光層をエッチングにより部分的に除去して前記n型半導体層を露出させた露出部および該露出部以外の非露出部を形成する工程と、
    前記第1透明導電膜が除去された部分に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜および前記第1透明導電膜の上方に第2透明導電膜を形成する工程と、
    前記露出部において前記n型半導体層の上方に、前記n型半導体層に電気的に接続されるn側電極を形成する工程と、
    前記第2透明導電膜上において前記絶縁膜の上方に、前記p型半導体層に電気的に接続されるp側電極を形成する工程と
    を備える、半導体発光素子の製造方法。
  5. 基板を準備する工程と、
    基板上にn型半導体層を形成する工程と、
    前記n型半導体層が形成された基板上に半導体発光層を形成する工程と、
    前記半導体発光層が形成された基板上にp型半導体層を形成する工程と、
    前記p型半導体層および前記半導体発光層をエッチングにより部分的に除去して前記n型半導体層を露出させた露出部および該露出部以外の非露出部を形成する工程と、
    前記非露出部における前記p型半導体層の上方に第1透明導電膜を形成する工程と、
    前記第1透明導電膜の一部を除去する工程と、
    前記第1透明導電膜が除去された部分に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜および前記第1透明導電膜の上方に第2透明導電膜を形成する工程と、
    前記露出部において前記n型半導体層の上方に、前記n型半導体層に電気的に接続されるn側電極を形成する工程と、
    前記第2透明導電膜上において前記絶縁膜の上方に、前記p型半導体層に電気的に接続されるp側電極を形成する工程と
    を備える、半導体発光素子の製造方法。
  6. 前記第2透明導電膜を形成する工程において、前記n側電極と前記n型半導体層との間に第3透明導電膜を形成する、請求項4または5に記載の半導体発光素子の製造方法。
  7. 基板を準備する工程と、
    基板上にn型半導体層を形成する工程と、
    前記n型半導体層が形成された基板上に半導体発光層を形成する工程と、
    前記半導体発光層が形成された基板上にp型半導体層を形成する工程と、
    前記p型半導体層の上方に第1透明導電膜を形成する工程と、
    前記第1透明導電膜の一部を除去する工程と、
    前記第1透明導電膜が除去された部分に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜および前記第1透明導電膜の上方に第2透明導電膜を形成する工程と、
    前記第2透明導電膜、前記第1透明導電膜、前記p型半導体層および前記半導体発光層をエッチングにより部分的に除去して前記n型半導体層を露出させた露出部および該露出部以外の非露出部を形成する工程と、
    前記露出部において前記n型半導体層の上方に、前記n型半導体層に電気的に接続されるn側電極を形成する工程と、
    前記第2透明導電膜上において前記絶縁膜の上方に、前記p型半導体層に電気的に接続されるp側電極を形成する工程と
    を備える、半導体発光素子の製造方法。
  8. 前記第1透明導電膜を形成する工程の直前に、酸化物を除去するための洗浄液による表面処理工程を備える、請求項4から7のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法。
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