JP2007208047A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明導電膜と半導体間のオーミック接続を効率よく確保し、発光体から発生する光を効率的に外部に取り出すことを可能とした半導体発光素子を提供すること。
【解決手段】本発明の半導体発光素子1は、発光部6を介して第一導電型層5と第二導電型層7を配してなる積層体と、該積層体上に設けた透明導電体11とを備える半導体発光素子であって、前記透明導電体11は、少なくとも2層以上の透明導電膜10からなり、仕事関数において、透明導電体の最表層αと積層体の最表層γとの間に位置する透明導電体の中間層βは、α>β>γまたはα<β<γの関係にあることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光素子に関する。より詳しくは、透明電極と半導体発光素子との間に透明導電性高分子を用いることによりさらなる高効率化を実現した半導体発光素子に関する。
従来、半導体発光素子(LED)は、光を取り出す上部電極(P型半導体電極側)に金属タップを用いていた。この場合、金属タップ部分から光は取り出せず、効率の低下を招いていた。そのため上部電極(p型半導体電極側)にITO等の透明導電膜を使用し、大面積化することで半導体発光素子内の発光体から発生する光を効率的に外部に取り出すことが考えられた。
図3は、従来の発光素子の一例を示す断面図であり、(a)は発光素子の全体図を、(b)は発光素子の部分拡大図を、それぞれ表している。
従来の半導体発光素子101は、図3(a)に示すように、例えば、サファイヤ基板102の一方の面にGa系バッファ層103を介してn型のGa系コンタクト層104が設けられ、このコンタクト層104を介してn型のGa系クラッド層105(主たる第一導電型層)が設けられる。そして、このクラッド層105を介してInGaNとGaNの多重量子井戸(MQW)構造となる発光部106、発光部106を介してp型のGa系クラッド層107(主たる第二導電型層)、クラッド層107を介して、同じくp型のGa系コンタクト層108、透明導電膜からなる上部電極110が設けられている。さらに、上部電極110の表面の周縁の一部にはp側電極112が設けられ、一方、n型のGa系コンタクト層104の周辺部の一部の上に積層された各層が除去されて、露出したn型GaNコンタクト層104上にn側電極113が設けられている。
上述した半導体発光素子101は、図3(b)に示すように、半導体発光素子内の発光部が発する光を外部へ効果的に取り出すため、上部電極110にITO等の透明導電膜を使用し、取り出し効率の向上を図ったものである(例えば、特許文献1参照)。
特許第3207773号公報
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、透明導電膜と半導体間のオーミック接続を効率よく確保し、発光体から発生する光を効率的に外部に取り出すことを可能とした半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る半導体発光素子は、発光部を介して第一導電型層と第二導電型層を配してなる積層体と、該積層体上に設けた透明導電体とを備える半導体発光素子であって、前記透明導電体は、少なくとも2層以上の透明導電膜からなり、仕事関数において、透明導電体の最表層αと積層体の最表層γとの間に位置する透明導電体の中間層βは、α>β>γまたはα<β<γの関係にあることを特徴とする。
本発明の請求項2に係る半導体発光素子は、請求項1において、前記透明導電体の中間層βは、透明導電性高分子膜であることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る半導体発光素子は、請求項2において、前記透明導電性高分子はP型半導体であることを特徴とする。
本発明では、透明導電体の中間層として透明導電性高分子を配することにより、透明導電体と半導体層間のオーミック接続を容易に取ることが可能となる。これにより、半導体発光素子の発光効率を向上することができる。
以下、本発明に係る半導体発光素子について添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解するために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明に係る発光素子の第一の実施形態を示す断面図である。
本発明の発光素子1は、サファイヤ基板2の一方の面にGaNバッファ層3を介してSiをドーパントとするn型GaNコンタクト層4が設けられ、このn型GaNコンタクト層4を介してSiをドーパントとするn型AlGaNクラッド層5(主たる第一導電型層)が設けられる。そして、このn型AlGaN層5を介してInGaNとGaNの多重量子井戸(MQW)構造となる発光部6、発光部6を介してp型ドーパントであるMgを含むp型AlGaNクラッド層7(主たる第二導電型層)、p型AlGaN層7を介して、同じくMgをドーパントとするp型GaNコンタクト層8、透明導電性高分子膜9、ITO膜10の順に積層されてなる透明導電体11が設けられている。この透明導電体11の表面の周縁の一部にはp側電極12が設けられ、一方、n型GaNコンタクト層4の周辺部の一部の上に積層された各層が除去されて、露出したn型GaNコンタクト層4上にn側電極13が設けられている。
ここで本発明では、上記透明導電体11が、種類の異なる2層以上の透明導電膜が積層されてなる。ここでは、2層の透明導電膜が積層されてなる場合を例に挙げて説明する。
そして2層以上の透明導電膜は、各々の仕事関数が異なる(大小関係をもつ)。具体的に、仕事関数において、透明導電体11の最表層α(ITO膜10)と積層体の最表層γ(p型GaNコンタクト層8)との間に位置する透明導電体11の中間層β(透明導電性高分子膜9)は、α>β>γまたはα<β<γの関係にある。ただし、不等号の一方には、等号がついても構わない。
透明導電体11の中間層β(透明導電性高分子膜9)の仕事関数が、透明導電体11の最表層α(ITO膜10)と積層体の最表層γ(p型GaNコンタクト層8)との間にあるため、正孔の注入を効率よく行うことができる。これにより、オーミック接続を容易に確保することができ、その結果、半導体発光素子1の発光効率を向上することができる。
これに対し、仕事関数の不等号が揃わない場合には、正孔の注入を効率よく行うことが困難になり、上述したような本発明の作用・効果が発揮されないので、芳しくない。なお、「不等号が揃わない場合」とは、例えば「α>β<γ」や「α<γ>β」である場合を意味する。
発光素子1は、有機金属気相成長法(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition:以下、MOCVD法という)、ハライド気相成長法(HDCVD)等の気相成長法により各層を成長させることによって形成される。
MOCVD法では、原料ガスに、例えばガリウム源としてトリメチルガリウム(TMG)、窒素源としてアンモニア(NH)、ヒドラジン等の水素原子を含む化合物、Si源としてモノシラン(SiH)、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)、In源としてトリメチルインジウム(TMI)、Mg源としてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を用い、キャリアガスとして水素ガス、窒素ガス等が用いられる。
発光素子1の構造は、基板の一方の面に少なくとも第一導電型層、第二導電型層、電流拡散層としての透明導電体が順に積層された構造であればよく、ホモ、シングルへテロ、ダブルヘテロ等の構造とすることができる。例えばサファイヤ基板2の表面に、バッファ層3を介してn型コンタクト層4とn型クラッド層5、発光部6、p型クラッド層7、p型コンタクト層8、電流拡散層としての透明導電体11を順に積層したダブルヘテロ構造のものが高発光素子として知られている。
以下においては、発光部6が層を成す場合について述べるが、界面発光の場合には、n型クラッド層5とp型クラッド層7の界面が発光部として機能する。
n型コンタクト層4は、ノンドープまたはSi、Ge、S、C等のn型ドーパントをドープしたGaNで形成できる。n型クラッド層5は、例えばノンドープまたはn型ドーパントをドープしたAlGaN、InAlGaN等で形成することができる。
発光部6は、ノンドープ、またはn型ドーパントおよび/またはZn、Mg、Cd、Ba等のp型ドーパントをドープしたInGaN、InAlGaN等で形成でき、インジウムを含む発光部を形成することにより紫色〜赤色まで発光波長を変化させることが可能である。発光部にn型ドーパントをドープすると、ピーク波長における発光強度がさらに大きくなり、p型ドーパントをドープすると波長を約0.5eV長波長側に持っていくことができ、n型ドーパントとp型ドーパントとをドープすると発光強度を大きくしたままで、発光波長を長波長側に移動させることができる。
p型クラッド層7は、p型ドーパントをドープしたAlGaN、InAlGaN等で形成することができる。またp型コンタクト層8は、p型ドーパントをドープしたGaNで形成することができ、n型クラッド層5と同じくGaNは電極と好ましいオーミック接続を得ることができる。また、n型クラッド層5および/またはp型クラッド7層は省略することもできる。省略した場合はコンタクト層がクラッド層として作用する。
透明導電体11は、種類の異なる2層以上の透明導電膜が積層形成されてなる。そして2層以上の透明導電膜は、各々の仕事関数が異なる(大小関係をもつ)。ここでは、2層の透明導電膜が積層形成されてなる場合を例に挙げて説明する。
透明導電体11の最表層αは、スズ添加インジウム(ITO)、酸化インジウム(IO)、酸化亜鉛(ZO)、アンチモン添加酸化亜鉛(AZO)、Ga添加酸化亜鉛(GZO)、アルミニウム添加酸化亜鉛(AlZO)又はホウ素添加酸化亜鉛(BZO)からなる膜とすることにより、高導電性と高透光性が発揮される。その中でもITO膜が好適に用いられる。
透明導電体11の中間層βの仕事関数が、透明導電体11の最表層α(ITO膜10)と積層体の最表層γ(p型GaNコンタクト層8)との間にある。具体的に、仕事関数において、α>β>γまたはα<β<γの関係にある。ただし、不等号の一方には、等号がついても構わない。
これにより、正孔の注入を効率よく行うことができるので。オーミック接続を容易に確保することができる。その結果、効果的に半導体発光素子1の発光効率を得ることができる。
透明導電体11の中間層βは、p型半導体であることが好ましい。ただし、この場合は、積層体のうち、透明導電性高分子と近接する側の導電型層(第二導電型層)がp型であることが前提である。透明導電体11の中間層βを、P型半導体とすることで、オーミック接続をより容易に確保することができ、その結果、半導体発光素子1の発光効率をより向上することができる。
このような透明導電体11の中間層βは、例えば透明導電性高分子から構成される。透明導電性高分子を用いることにより、容易に作製することができる。
導電性高分子としては、例えば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリp−フェニレン、ポリフェニレンビニレン等が挙げられる。
従来、ITO膜は減圧スパッタ法により成膜されることが多かったが、最近では、スプレー熱分解法(以下、SPD法という)が好適に用いられる。SPD法は、加熱した基板に原料液をスプレー塗布することで、基板表面上で熱分解および化学反応を生じさせて成膜する方法であるが、大気中での成膜が可能であり、製造コスト低減の上で好適に用いられる成膜法である。
透明導電体11を形成後、p側電極12とn側電極13を形成する。p側電極12は透明導電体表面の所定の部位に形成されるが、n側電極13は、基板にサファイヤ等の絶縁基板を用いた場合は、基板の他方の面に電極を設けることができないので、化合物層や透明導電体を積層した一方の面側にp側電極12とn側電極13を設けなければならない。この為には、透明導電体11、p型コンタクト層8、p型クラッド層7、発光部6、n型クラッド層5をエッチングして、n型コンタクト層4を露出させ、その露出部にn側電極13を形成する。
各層をエッチングするにはウェットエッチング、ドライエッチングいずれの方法を用いてもよい。ウェットエッチングでは例えば、リン酸と硫酸との混酸を用いることができる。ドライエッチングでは例えば反応性イオンエッチング、集束イオンビームエッチング、イオンミリング、ECR(Electron Cyclotron Resonance)エッチング等を用いることができ、エッチングガスとして反応性イオンエッチング、ECRエッチングでは、CF、CCl、SiCl、CClF、CClF、SF、PCl等のガスを用いることができ、集束イオンビームエッチングではB、Al、Si、Ga、In等を金属イオン源として用いることができ、イオンミリングではAr、Ne、N等の不活性ガスを用いることができる。
エッチングは、各層ごとに最適なエッチング法を選択して、各層毎にマスキングしてエッチングしてもよいが、フォトリソグラフィーの回数増加に伴い、発光面積が減少するので、塩素ガスを含むガス、または臭素ガスを含むガスを用いて、透明導電体11、p型コンタクト層8、p型クラッド層7、発光部6、n型クラッド層5を一度にエッチングして、n型コンタクト層4を露出する方法が好ましい。
<第二の実施形態>
以下、本発明に係る半導体発光素子の第二の実施形態について添付図面に基づいて具体的に説明する。
図2は、本発明に係る発光素子の第二の実施形態を示す断面図である。
この発光素子20は、第一導電型基板としてのn型GaAs基板21の一方の面に、n型AlGaInPクラッド層22(主たる第一導電型層)、AlGaInP発光部23、p型AlGaInPクラッド層24(主たる第二導電型層)、p型AlGaInP電流分散層25、透明導電性高分子膜26、ITO膜27の順に積層されてなる透明導電体28が順に設けられ、n型GaAs基板21の他方の面にn側電極29が、透明導電体28の周縁部には円形のp型電極30が設けられている。
この場合にも、透明導電体11の中間層である透明導電性高分子膜26の仕事関数が、透明導電体11の最表層(ITO膜27)と積層体の最表層(p型AlGaInP電流分散層25)との間にある。これにより正孔の注入を効率よく行うことができるので。オーミック接続を容易に確保することができる。その結果、半導体発光素子の発光効率を向上することができる。
以上、本発明の半導体発光素子について説明してきたが、本発明は上記の例に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態では、透明導電体が、透明導電性高分子膜とITO膜とが積層された2層構造の場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、さらにITO膜10上に、その耐熱性保護膜として酸化スズ(TO膜)又はフッ素添加酸化スズ膜(FTO膜)が積層されていてもよい。
<実施例1>
図1に示すような構造の発光素子を以下のようにして作製した。
MOCVD法によりサファイヤ基板の一方の面に各GaN系化合物層を形成した。原料ガスは、Gaはトリメチルガリウム(TMG)ガスを、Nはアンモニア(NH)ガスを、Siはモノシラン(SiH)ガスを、Alはトリメチルアルミニウム(TMA)ガスを、Mgはビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg )ガスを用い、キャリアガスとして水素ガスを用いた。
まず、MOCVD装置内に、直径2インチで(0001)面を化合物堆積面とするサファイヤ基板を設置し、水素を供給しながら1050℃に加熱してサーマルクリーニングを施した。次に、サファイヤ基板を510℃まで低下させてGaNバッファ層を堆積させた後、GaNバッファ層を設けたサファイヤ基板を1035℃まで加熱して、NHガス、TMGガス、SiHガスを流してSiをドーパントとするn型GaNコンタクト層を成長させた後、NHガス、TMGガス、TMAガス、SiHガスを流してSiをドーパントとするn型AlGaNクラッド層を成膜した。
次に、試料の温度を750℃とし、TMAガスを断続的に流しつつ、GaNとAlGaNの多量子井戸(MQW)構造とする発光部を、n型AlGaNクラッド層の上に成長させた。
続いて、NHガス、TMGガス、TMAガス、CpMgガスを流して、発光部上に、Mgをドーパントとするp型AlGaNクラッド層を形成し、その後、NHガス、TMGガス、CpMg ガスを流して、Mgをドーパントとするp型GaNクラッド層を成膜した。
次に、p型GaNクラッド層上にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)の溶液を塗布、乾燥することにより、p型GaNクラッド層上に厚さ100nmの透明導電性高分子膜を成膜した。
次に、試料をSPD法成膜装置に移して、透明導電性高分子膜を350℃に加熱保持して、SPD法により、透明導電性高分子膜上にITO膜用原料化合物溶液を噴霧して厚さ700nmのITO透明導電膜を成膜した。
ITO膜用原料化合物溶液は、塩化インジウム(III)四水和物5.58gと塩化スズ(II)二水和物0.23gとをエタノール100mlに溶解して得た。
次に、n型GaNコンタクト層の一方の面の周縁部にn側電極を形成するために、n側電極形成部上に積層されているn型AlGaNクラッド層、発光部、p型AlGaNクラッド層、p型GaNコンタクト層、透明導電体を除去するために、透明導電体上にマスクを形成した。マスク形成後、試料をエッチング装置に移して、エッチングガスを流し、n型GaNコンタクト層が露出するまでドライエッチングを行った。
ドライエッチングにより露出したn型GaNコンタクト層上に蒸着法により、Alを蒸着してn側電極を形成し、マスクを剥がした透明導電体上の周縁の一部に蒸着法によりAlを蒸着してp側電極を形成した。
この窒化ガリウム系化合物層を形成したサファイヤ基板を300μm角にダイシングしてベアチップとした。そして、このベアチップをステム上にダイボンディングにより実装し、ワイヤボンディングにより配線して発光素子を作製した。
ここで、仕事関数は、ITO膜が4.5〜4.8eV程度、PEDOT膜が5.0eV程度、p型GaNコンタクト層が7.0eV程度である。
<比較例1>
p型GaNコンタクト層上に透明導電性高分子膜を成膜せず、p型GaN層上にスパッタ法によりITO膜を直接成膜したこと以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。
以上のようにして得られた発光素子の発光効率を比較した。その結果、比較例1よりも、ITO膜とp型GaNコンタクト層との間に透明導電性高分子膜を配した実施例1のほうが発光効率で41%向上していることが確認された。
<実施例2>
図2に示すような構造の発光素子を以下のようにして作製した。
まず、n型のGaAs基板上にMOCVD法により、n型AlGaInPクラッド層、AlGaInP発光部、p型AlGaInPクラッド層、p型AlGaInP電流分散層を順に成膜した。
次に、このp型AlGaInP電流分散層の表面にポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)の溶液を塗布、乾燥することにより、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)の溶液を塗布、乾燥することにより、p型AlGaInP電流分散層上に厚さ100nmの透明導電性高分子膜を成膜した。
次に、試料をSPD法成膜装置に移して、透明導電性高分子膜を350℃に加熱保持して、SPD法により、透明導電性高分子膜上にITO膜用原料化合物溶液を噴霧して厚さ700nmのITO透明導電膜を成膜した。
ITO膜用原料化合物溶液は、塩化インジウム(III)四水和物5.58gと塩化スズ(II)二水和物0.23gとをエタノール100mlに溶解して得た。
この透明導電体の上に、フォトリソグラフィにより、Au/Niのp側電極を形成し、GaAs基板の他方の面には、AuGe/Ni/Auのn側電極を形成した。
このようにして積層したウエハを300μm角にダイシングしてベアチップとした。そして、このベアチップをステム上にダイボンディングにより実装し、ワイヤボンディングにより配線して発光素子を作製した。
ここで、仕事関数は、ITO膜が4.5〜4.8eV程度、PEDOT膜が5.0eV程度、p型AlGaInP電流分散層が5.5〜7.0eV程度である。
<比較例2>
p型AlGaInP電流分散層上に透明導電性高分子膜を成膜せず、p型GaN層上にスパッタ法によりITO膜を直接成膜したこと以外は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。
以上のようにして得られた発光素子の発光効率を比較した。その結果、比較例2よりも、ITO膜とp型AlGaInP電流分散層との間に透明導電性高分子膜を配した実施例2のほうが発光効率で38%向上していることが確認された。
本発明で特徴となる半導体発光素子の構造は、液晶表示素子や太陽電池に代表される光電変換素子における性能向上に有効である。
本発明に係る半導体発光素子の一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る半導体発光素子の他の実施形態を示す断面図である。 従来の半導体発光素子の構造を示す断面図である。
符号の説明
1 半導体発光素子、5 第一導電型層、6 発光部、7 第二導電型層、9 透明導電性高分子膜、10 透明導電膜、11透明導電体。

Claims (3)

  1. 発光部を介して第一導電型層と第二導電型層を配してなる積層体と、
    該積層体上に設けた透明導電体とを備える半導体発光素子であって、
    前記透明導電体は、少なくとも2層以上の透明導電膜からなり、
    仕事関数において、透明導電体の最表層αと積層体の最表層γとの間に位置する透明導電体の中間層βは、α>β>γまたはα<β<γの関係にあることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記透明導電体の中間層βは、透明導電性高分子膜であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 前記透明導電性高分子はp型半導体であることを特徴とする請求項2記載の半導体発光素子。
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