JP2012025904A - ポリエチレン樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、耐薬品性、外観、柔軟性および成形性などの特性のバランスに優れたポリエチレン樹脂組成物を得ること。
【解決手段】下記要件(a−1)を満たす超高分子量ポリエチレン(A)5〜18重量部と、下記要件(b−1),(b−2)を満たす低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)95〜82重量部(超高分子量ポリエチレン(A)と低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)の合計を100重量部とする)を含んでなるポリエチレン樹脂組成物であって、該ポリエチレン樹脂組成物の密度が、955〜970kg/m3であり、かつ極限粘度[η]が1.5〜10dlの範囲にあるポリエチレン樹脂組成物;
(a−1)極限粘度[η]が10〜40dl/g。
(b−1)極限粘度[η]が0.1〜5dl/g。
(b−2)密度が953〜966kg/m3
【選択図】なし

Description

本発明は、耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、耐薬品性、外観および成形性、柔軟性などの特性のバランスに優れたポリエチレン樹脂組成物に関し、とりわけ耐摩耗性、柔軟性のバランスに優れたポリエチレン樹脂組成物に関する。
超高分子量ポリエチレンは、一般的なポリエチレンのような汎用樹脂に比べて、分子間凝集力が弱く、分子構造が対称的であり、結晶化度が高いので摺動性に優れ、かつ、耐衝撃性、耐摩耗性、引張強度などにも優れているため、摺動材などとして好適に用いることができる。しかしながら、超高分子量ポリエチレンは、分子量が高いため成形体を製造しにくく、汎用のポリエチレンの成形に採用されている方法をそのまま利用することは困難であることが多い。
そこで、超高分子量ポリエチレンの上記優れた特性を損なうことなく、超高分子量ポリエチレンの成形性を改良する方法として、種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1〜3には、超高分子量ポリエチレンを極限粘度[η]の低いポリエチレンにブレンドした樹脂組成物が開示されている。しかしながら、当該組成物は超高分子量ポリエチレンと極限粘度[η]の低いポリエチレンとの相溶性が悪く、耐摩耗性の顕著な向上は認められず、衝撃強度や外観も劣っている。
また、特許文献4には、極限粘度[η]が10〜40dl/gの超高分子量ポリオレフィン15〜40重量%と、極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの低分子量ないし高分子量ポリオレフィン85〜60重量%とからなる射出成形用ポリオレフィン組成物が開示されている。この組成物は、超高分子量ポリオレフィンを含有しているにもかかわらず、射出成形できること、そして射出成形で得られる成形品は超高分子量ポリオレフィンの優れた摺動性、耐摩耗性を有する点において優れている。しかしながら、上記超高分子量ポリオレフィンの配合量の範囲内であっても超高分子量ポリオレフィンの配合量が多い領域では、耐摩耗性はやや向上するものの、その反面、射出成形が困難であり、また外観にも劣り、耐摩耗性と成形性と柔軟性および外観のバランスの面で改良の余地がある。
さらに、特許文献5には、極限粘度[η]が10〜40dl/gの超高分子量ポリエチレン35重量%を超えて90重量%以下と、極限粘度[η]が0.1〜5dl/gの低分子量ないし高分子量ポリエチレン10重量%以上65重量%未満含んでなるポリエチレン樹脂組成物と、特定のポリオレフィン系樹脂組成物とを含むポリエチレン樹脂組成物が開示されている。この組成物は、超高分子量ポリエチレンが本来具備する優れた耐摩耗性と機械的性質を有するとともに、さらに低分子量ないし高分子量ポリエチレンおよび/またはポリオレフィン系樹脂組成物の特定の物性を持つことで、耐摩耗性、外観と成形性のバランスに優れた成形体を得ることができている。しかしながら、超高分子量ポリエチレンと低分子量ないし高分子量ポリエチレンを含んでなるポリオレフィン樹脂組成物と、特定のポリオレフィン系樹脂組成物とを含むポリエチレン樹脂組成物中の超高分子量ポリエチレン成分量が20重量%以下となる範囲では、射出成形は可能だが、耐摩耗性と柔軟性の点で改良の余地がある。
特開昭60−240748号公報 特開平1−129047号公報 特開平1−156344号公報 特開昭63−12606号公報 国際公開2003/022920号パンフレット
本発明が解決しようとする課題は、射出成形品や鋼管、耐圧ゴムホース、電線、シートなど各種成形体の被覆(積層)材の摺動部材として好適に用いることができる、耐摩耗性と自己潤滑性、外観、柔軟性および成形性に優れたポリエチレン樹脂組成物並びに当該ポリエチレン樹脂組成物から得られる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、超高分子量ポリエチレン(A)と低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)を特定の比率で含んでなり、該低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)が特定の密度範囲を示すポリエチレン樹脂組成物を用いることにより、耐摩耗性を損なうことなく柔軟性をもつ成形体が得られ、特にチューブ、ホースや金属管などの被覆材、または射出成形体である摺動部品などの用途に好適な耐摩耗性と自己潤滑性、外観、成形性と柔軟性のバランスに優れるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るポリエチレン樹脂組成物は、以下の特徴を有する。
[1]下記要件(a−1)を満たす超高分子量ポリエチレン(A)5〜18重量部と、下記要件(b−1),(b−2)を満たす低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)95〜82重量部(超高分子量ポリエチレン(A)と低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)の合計量を100重量部とする)を含んでなるポリエチレン樹脂組成物であって、該ポリエチレン樹脂組成物の密度が955〜970kg/m3であり、かつ、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が1.5〜10dlの範囲にあるポリエチレン樹脂組成物;
(a−1)135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が10〜40dl/g。
(b−1)135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が0.1〜5dl/g。
(b−2)密度が953〜966kg/m3
[2]第1工程として、超高分子量ポリエチレン(A)を生成させる工程、第2工程として、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)を生成させる工程、の少なくとも2段階の工程を含んで構成される多段重合法により得られることを特徴とする[1]に記載のポリエチレン樹脂組成物。
[3]前記低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)の密度が954〜965kg/m3の低分子量ないし高分子量ポリエチレンである、[1]または[2]に記載のポリエチレン樹脂組成物。
[4][1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物を含んでなる被覆材または摺動材。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、耐薬品性、外観、柔軟性および成形性などの特性のバランスに優れている。また、本発明のポリエチレン樹脂組成物から得られる成形体は、上記特性を有し、特に、被覆材または摺動材などに好適である。
[超高分子量ポリエチレン(A)]
本発明のポリエチレン樹脂組成物に含まれる超高分子量ポリエチレン(A)は、以下の要件(a−1)を満たす。
(a−1)135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が、10〜40dl/gであり、好ましくは15〜35dl/g、より好ましくは20〜35dl/gである。
極限粘度[η]が上記範囲内にある超高分子量ポリエチレン(A)を使用することにより、耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、耐薬品性などに優れたポリエチレン樹脂組成物および成形体が得られる。
極限粘度[η]が10dl/g未満の高分子量ポリエチレンを用いた場合は、得られる成形品は、耐衝撃性などの機械的性質や耐摩耗性の点が劣り好ましくない。一方、極限粘度[η]が40dl/gを超える超高分子量ポリエチレンを用いた場合は、射出成形した場合には、得られる成形品の外観が悪く、フローマークが発生し、かつ層状剥離を生じるなど成形加工性の点で不具合が生じる虞がある。
本発明に係る超高分子量ポリエチレン(A)は、エチレンの単独重合体、または、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンもしくは3−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンとの共重合体である。
これらのうち、エチレンの単独重合体、またはエチレンと上記のα−オレフィンとの共重合体であって、エチレンを主成分として構成される共重合体を使用することが好ましく、エチレンの単独重合体であることが特に好ましい。
[低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)]
本発明のポリエチレン樹脂組成物に含まれる低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)は、以下の要件(b−1),(b−2)を満たす。
(b−1)135℃のデカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]が、0.1〜5dl/gであり、好ましくは0.3〜3dl/g、より好ましくは0.5〜2.5dl/gである。
(b−2)密度が、953〜966kg/m3(ASTM D1505に準拠して測定される)であり、好ましくは953〜965kg/m3、さらに好ましくは954〜965kg/m3である。
極限粘度[η]が0.1dl/g未満の低分子量ポリエチレンを用いた場合は、当該低分子量ポリエチレンの分子量が低すぎて、得られる成形品の表面にブリードし、他基材へ移行する虞がある。一方、極限粘度[η]が5dl/gを超える高分子量ポリエチレンを用いた場合は、得られるポリエチレン樹脂組成物の溶融流動性が下がるため汎用のポリエチレン射出成形機をそのまま使用できなくなる点で不具合が生じる虞がある。
密度が953kg/m3未満の低分子量ないし高分子量ポリエチレンを用いた場合は、ポリエチレン樹脂組成物および得られる成形品の柔軟性は改良されるが、成形品の耐摩耗性の点で好ましくない。一方、密度が966kg/m3を超える低分子量ないし高分子量ポリエチレンを用いた場合は、得られるポリエチレン樹脂組成物および成形品の耐摩耗性は改良されるが、一方で柔軟性の点で不具合が生じる。
極限粘度[η]および密度が上記範囲内にある低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)を使用することにより、超高分子量ポリエチレンの性質を持ち、かつ、柔軟性を合わせ持つポリエチレン樹脂組成物を得ることができる。
本発明に係る低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)は、エチレンの単独重合体、または、エチレンとα−オレフィンの共重合体である。エチレンとα−オレフィンの共重合体を構成するα−オレフィンとしては、炭素原子数3〜20の直鎖状または分岐状のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3-メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ペンテン、3−エチル−4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘプテン、3,4−ジメチル−1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、もしくは、1−エイコセンなどが挙げられる。
これらのうち、プロピレン、1−ブテンが、後述する低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)の密度範囲との関係から好ましく用いられる。
なお、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)は、エチレンを主成分として構成されるエチレン・α−オレフィン共重合体であることが好ましく、エチレン含量が60mol%以上であることがより好ましく、エチレン含量が80mol%以上であることがさらに好ましい。
[ポリエチレン樹脂組成物]
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、上記超高分子量ポリエチレン(A)と上記低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)の合計量100重量部に対して、超高分子量ポリエチレン(A)を5〜18重量部、好ましくは6〜16重量部、より好ましくは8〜15重量部含有し、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)を95〜82重量部、好ましくは94〜84重量部、より好ましくは92〜85重量部含有し、かつ、以下の要件(i),(ii)を満たす。
(i)ポリエチレン樹脂組成物の密度が、955〜970kg/m3(ASTM D1505に準拠して測定される)であり、好ましくは957〜969kg/m3、より好ましくは960〜967kg/m3である。
(ii)ポリエチレン樹脂組成物の135℃のデカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]が1.5〜10dl/gであり、好ましくは2〜8dl/g、より好ましくは2〜6dl/gである。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン(A)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)とを上記の割合で含むことにより、耐摩耗性を損なうことなく柔軟性や外観と成形性に優れたポリエチレン樹脂組成物が得られる。また、他のポリオレフィン系樹脂組成物との相溶性が向上し、特に耐摩耗性や外観と成形性に優れたポリエチレン樹脂組成物が得られる。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、密度が上記範囲あることにより、得られる成形体の動摩擦係数が小さく、自己潤滑性に優れる。
密度が955kg/m3未満のポリエチレン樹脂組成物は、得られる成形品の柔軟性は改良されるが、耐衝撃性などの機械的性質や耐摩耗性の点で不具合が生じる虞がある。一方、密度が970kg/m3を超えるポリエチレン樹脂組成物は、得られる成形品は脆くなるため、耐衝撃性の点で不具合が生じる虞がある。
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、上記の範囲内の極限粘度[η]を有することにより、該ポリエチレン樹脂組成物と他のポリオレフィン系樹脂組成物とを混合した場合、該ポリエチレン樹脂組成物の分散状態が良好になる。すなわち、該ポリエチレン樹脂組成物に含有される低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)と、押出機などでメルトブレンドする他のポリオレフィン系樹脂組成物との両成分が相互に微細に分散することにより分散状態が均一になるので、耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、耐薬品性、外観および成形性などに優れた成形体が得られる。
極限粘度[η]が1.5dl/g未満のポリエチレン樹脂組成物は、耐衝撃性などの機械的性質や耐摩耗性の点で不具合が生じる虞がある。一方、極限粘度[η]が10dl/gを超えるポリエチレン樹脂組成物は、得られる成形品が層状剥離を起し、耐摩耗性の点で不具合が生じる虞がある。
〈その他成分〉
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、前記超高分子量ポリエチレン(A)と前記低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)とを含んでなるが、これらに加えて、本発明の目的を損ねない範囲であれば、通常のポリオレフィンに添加される添加剤(例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤などの安定剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、フィラー、鉱物油系軟化剤、石油樹脂、ワックスなど)を含有していてもよい。
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、他のポリオレフィン系樹脂とブレンドすることにより、特に耐摩耗性、自己潤滑性などを高めることができ、樹脂改質材として好適に用いられるほか、耐摩耗性や外観と成形性に優れた樹脂組成物が得られる。
ブレンドする他のポリオレフィン系樹脂は、本発明の目的を損なわない限り、特に限定はないが、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が0.1〜5dl/g、密度が945〜980kg/m3の範囲にあるエチレン(共)重合体であることが好ましい。
該エチレン(共)重合体としては、高圧法ポリエチレン、中低圧法ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・α−オレフィン・ジエン(トリエン、ポリエン)三元共重合体などが挙げられる。ここでα−オレフィンとしては、炭素数3〜20のプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンおよび3−メチル−1−ペンテンなどが例示でき、またジエン(トリエン、ポリエン)としては、共役もしくは非共役ジエン、トリエン、ポリエンを含む、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ビニルノルボルネンなどを例示できる。
[ポリエチレン樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリエチレン樹脂組成物の製造方法は、超高分子量ポリエチレン(A)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)がポリエチレン樹脂組成物中に存在する製造方法であれば特に制限はないが、好ましい態様として以下の(M−1)および(M−2)を例示することができる。
(M−1)超高分子量ポリエチレン(A)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)をそれぞれ、予め公知のオレフィン重合用触媒の存在下で製造したものをブレンドすることにより製造する方法。
(M−2)公知のオレフィン重合用触媒の存在下、第1工程として、超高分子量ポリエチレン(A)を生成させる工程、第2工程として、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)を生成させる工程、の少なくとも2段階の工程を含んで構成される多段重合法により製造する方法。
なお、この際、重合に用いるエチレンなどのオレフィンは、上記超高分子量ポリエチレン(A)および低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)の項目において記載した各種オレフィンを制限無く用いることができる。
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、上記のように、ポリエチレン樹脂組成物中に、超高分子量ポリエチレン(A)および低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)を上記範囲で含むが、他のポリオレフィン系樹脂として、下記要件(c−1)〜(c−3)を満たす低分子量ないし高分子量ポリエチレン(C)を含む場合は、以下の製造方法を採り得る。
(c−1)エチレンの単独重合体。
(c−2)135℃のデカリン溶媒中で測定される極限粘度[η]が0.1〜5dl/gであり、好ましくは0.3〜3dl/g、より好ましくは0.5〜2.5dl/gである。
(c−3)密度が967〜985kg/m3(ASTM D1505に準拠して測定される)であり、好ましくは967〜983kg/m3、さらに好ましくは967〜980kg/m3である。
(M−3)公知のオレフィン重合用触媒の存在下、第1工程として超高分子量ポリエチレン(A)を生成させる工程、第2工程として低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)と異なる物性を有する低分子量ないし高分子量ポリエチレン(C)を生成させる工程、の少なくとも2段階の工程を含んで構成される多段重合法により製造されたポリエチレン樹脂へ、予め公知のオレフィン重合用触媒の存在下で製造した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)をブレンドする方法あるいは、上記第2工程に引き続き、第3工程で低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)を製造する方法。
(M−4)上記(M−2)の第2工程の後に引き続き、第3工程として、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)と異なる物性を有する低分子量ないし高分子量ポリエチレン(C)を生成させる工程を含んで構成される多段重合法により製造する方法。
公知のオレフィン重合用触媒としては、本発明のポリエチレン樹脂組成物の構成要素である超高分子量ポリエチレン(A)と、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)、あるいは低分子量ないし高分子量ポリエチレン(C)を製造することができるものであれば、特に制限無く用いることができる。具体的には、四塩化チタンまたは三塩化チタンからなるチーグラー・ナッタ触媒、チタンをマグネシウム等の担体に担持した担体担持型固体状チタン触媒、メタロセン触媒や、ポストメタロセン触媒が挙げられる。
本発明に係るポリエチレン樹脂組成物の製造方法としては、上記のうち、(M−2)、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(C)を含む場合は、(M−3)または(M−4)で示すように多段階で重合させる方法が、超高分子量ポリエチレン(A)が低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)、および低分子量ないし高分子量ポリエチレン(C)の中に微分散することで均質なポリエチレン樹脂組成物を得ることができることから好ましく用いられる。
さらに、超高分子量ポリエチレン(A)とともに、極限粘度[η]およびポリマー密度が上記範囲内にある低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)および低分子量ないし高分子量ポリエチレン(C)を後重合することにより、他のポリオレフィン系樹脂組成物との相溶性が向上することから、結果的に超高分子量ポリエチレン(A)が均一に分散、結合することになり、耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、耐薬品性、外観および成形性などの特性のバランスに優れ、とりわけ耐摩耗性、外観と成形性と柔軟性のバランスに優れたポリエチレン樹脂組成物が得られる。
なお、当該多段階で重合させる方法については、例えば、特開平1−129047号公報に記載の重合方法と同様な方法で行うことができる。
[成形体]
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、従来種々公知の方法、具体的には、例えば、射出成形法、異形押出成形法、パイプ成形法、チューブ成形法、異種成形体の被覆成形法、インジェクションブロー成形法、ダイレクトブロー成形法、Tダイシートまたはフィルム成形法、インフレーションフィルム成形法、プレス成形法などの成形方法により、容器状、トレー状、シート状、棒状、フィルム状または各種成形体の被覆などに成形することができる。
特に、本発明のポリエチレン樹脂組成物を樹脂成形体の被覆に用いる場合は、共押出成形法を用いることが好ましい。
上記成形方法で得られた成形体は、従来公知のポリエチレン用途に広く使用できるが、特に耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、薄肉成形などの特性のバランスに優れているので、これらが要求される用途として、例えば、鋼管、電線、自動車スライドドアレールなどの金属の被覆(積層)、耐圧ゴムホース、自動車ドア用ガスケット、クリーンルームドア用ガスケット、自動車グラスランチャンネル、自動車ウエザストリップなどの各種ゴムの被覆(積層)、ホッパー、シュートなどのライニング用、ギアー、軸受、ローラー、テープリール、各種ガイドレールやエレベーターレールガイド、各種保護ライナー材などの摺動材などに使用される。
以下、本発明について実施例に基づいて、さらに具体的に説明する。実施例は、本願発明の理解を支援するための性格を有するものであって、本願発明を限定解釈する根拠となる性格のものではない。
得られた超高分子量ポリエチレンなどの各物性は、以下の方法にて求めた。
(1)極限粘度[η]
135℃、デカリン溶媒中で測定した。
(2)密度
ASTM D1505に準拠して測定した。
(3)引張試験
ASTM D638に準拠して、試験片形状をASTM 4号及び引張速度を50mm/minとし、引張弾性応力(YM:MPa)及び破断点伸び(EL:%)を求めた。
(4)曲げ試験
ASTM D790に準拠して、試験片形状を12.7mm(幅)×3.2mm(厚さ)×127mm(長さ)で、曲げスパン48.0mm、試験速度5.0mm/minとし、曲げ弾性応力(FM:MPa)を求めた。
(5)アイゾット衝撃強度
ASTM D256に準拠して、試験片形状を12.7mm(幅)×3.2mm(厚さ)×64mm(長さ)で、ノッチ付き試験片を用いて行なった。
(6)摩擦係数および比摩耗量
JIS K 7218「プラスチックの滑り摩耗試験A法」に準拠し、松原式摩擦摩耗試験機を使用して測定した。試験条件は、相手材:S45C、速度:50cm/秒、距離:3km、荷重:15kg、測定環境温度:23℃とした。
[実施例1]
〈触媒調製〉
充分に窒素置換された10Lの撹拌機付反応器に4.0Lの精製ヘキサンおよび95gの無水塩化マグネシウムを加え、撹拌下に室温で350mlのエタノールを2時間かけて滴下した後約1時間室温で混合した。次いで330mlのジエチルアルミニウムクロライドを2時間かけて滴下し、滴下後約1時間室温で混合した後1.3Lの四塩化チタンを1時間かけて滴下し80℃で1時間の反応を行なった。
反応終了後、フイルターを用い固体部を分離し、この固体部を、精製ヘキサンを使い2回洗浄することにより固体状チタン触媒成分を得た。該チタン触媒成分中のチタン含有量は6.8重量%、マグネシウム含有量は15重量%、塩素含有量は60重量%であった。
またこの固体触媒成分を390倍の光学顕微鏡で観察したところ、約1μm前後の微粒子固体が幾重にも凝集した凝集体であることが観測された。
〈ポリエチレン樹脂組成物の重合〉
充分に窒素置換された24Lのオートクレーブに12Lの精製n−デカンを添加した後、50℃に昇温し、同温度で12mmolのトリエチルアルミニウムおよび上記固体状チタン触媒成分をチタン原子換算で0.12mmolを添加した。
次いで触媒装入口を閉じオートクレーブの内圧が3.8kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入し第1段目の重合を行なった。重合温度は45〜46℃に維持した。エチレンを導入後45分が経過したところで速やかに脱圧し、常圧になったところで水素を5.0kg/cm2・G導入し更にエチレンを2.98kg/cm2、プロピレンを0.02kg/cm2導入し全圧を8kg/cm2・Gにすると共に重合温度を80℃に上げて第2段目の重合を行なった。第2段目の重合時間は490分とした。
重合終了後、降温し、固体状白色ポリマーを分離し、これを乾燥した。得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3485gであり、極限粘度は5.73dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は595gであり、極限粘度が28.0dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は17.0重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の極限粘度は下記式より推算すると、1.15dl/gであった。
[η]all=[η]A×wtA+[η]B×wtB
[η]all:ポリマー全体(ポリエチレン樹脂組成物)の極限粘度(dl/g)
[η]A:超高分子量ポリエチレンの極限粘度(dl/g)
wtA:超高分子量ポリエチレンの含有量(重量%)
[η]B:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの極限粘度(dl/g)
wtB:低分子量ないし高分子量ポリエチレンの含有量(重量%)
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の収量は2890gであり、密度が963g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[実施例2]
1段目のオートクレーブの内圧が3.1kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入し、2段目のエチレンを2.96kg/cm2、プロピレンを0.04kg/cm2導入した以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3265gであり、極限粘度は4.26dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は375gであり、極限粘度が28.1dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は11.6重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の極限粘度は1.12dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の収量は2850gであり、密度が960g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[実施例3]
1段目のオートクレーブの内圧が2.9kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入した以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3260gであり、極限粘度は3.78dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は310gであり、極限粘度が28.5dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は9.5重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の極限粘度は1.18dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の収量は2950gであり、密度が963g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[実施例4]
1段目のオートクレーブの内圧が2.7kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入した以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3080gであり、極限粘度は2.87dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は200gであり、極限粘度が27.8dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は6.5重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の極限粘度は1.14dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の収量は2880gであり、密度が960g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[実施例5]
1段目のオートクレーブの内圧が2.3kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入し、2段目のエチレンを2.94kg/cm2、プロピレンを0.06kg/cm2導入した以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3073gであり、極限粘度は2.70dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は173gであり、極限粘度が28.3dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は5.6重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の極限粘度は1.17dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・プロピレン共重合体)の収量は2900gであり、密度が957g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[実施例6]
1段目のオートクレーブの内圧が3.1kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入し、2段目において、エチレンを3.0kg/cm2導入し、1−ブテンを20g装入した以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3210gであり、極限粘度は4.38dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は390gであり、極限粘度が28.0dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は12.1重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・1−ブテン共重合体)の極限粘度は1.11dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・1−ブテン共重合体)の収量は2820gであり、密度が960g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[比較例1]
1段目のオートクレーブの内圧が4.2kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入し、2段目でエチレンを3.0kg/cm2導入し、プロピレンを導入しなかった以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3615gであり、極限粘度は7.23dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は815gであり、極限粘度が28.3dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は22.5重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の極限粘度は1.10dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は2800gであり、密度が970g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[比較例2]
1段目のオートクレーブの内圧が3.8kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入した以外は比較例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3370gであり、極限粘度は5.83dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は590gであり、極限粘度が27.7dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は17.3重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の極限粘度は1.19dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は2780gであり、密度が970g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[比較例3]
1段目のオートクレーブの内圧が3.1kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入した以外は比較例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3190gであり、極限粘度は4.19dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は360gであり、極限粘度が28.4dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は11.3重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の極限粘度は1.11dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は2830gであり、密度が970g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[比較例4]
1段目のオートクレーブの内圧が2.9kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入した以外は比較例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3195gであり、極限粘度は3.71dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は305gであり、極限粘度が27.9dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は9.5重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の極限粘度は1.16dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は2890gであり、密度が970g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[比較例5]
1段目のオートクレーブの内圧が2.7kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入した以外は比較例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3010gであり、極限粘度は3.02dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は200gであり、極限粘度が28.4dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は6.6重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の極限粘度は1.21dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は2810gであり、密度が970g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[比較例6]
1段目のオートクレーブの内圧が3.8kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入し、2段目において、エチレンを3.0kg/cm2導入し、4−メチル−1−ペンテンを150g装入した以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3430gであり、極限粘度は5.69dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は580gであり、極限粘度が28.0dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は16.9重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体)の極限粘度は1.15dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体)の収量は2850gであり、密度が951g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
[比較例7]
1段目のオートクレーブの内圧が3.1kg/cm2・Gになるようにエチレンを導入し、2段目において、エチレンを3.0kg/cm2導入し、4−メチル−1−ペンテンを280g装入した以外は実施例1と同様に重合反応を行った。
得られたポリエチレン樹脂組成物の収量は3205gであり、極限粘度は4.22dl/gであった。
一方、第1段目のみの重合を同一の反応条件で別途行なって得られた超高分子量ポリエチレン(エチレン単独重合体)の収量は365gであり、極限粘度が28.3dl/gであった。これより、超高分子量ポリエチレンの含有量は11.4重量%であると推算された。
これより、第2段目で生成した低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体)の極限粘度は1.12dl/gと推算された。
さらに、第2段目の重合のみを同一の反応条件で別途行なって得られた低分子量ないし高分子量ポリエチレン(エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体)の収量は2840gであり、密度が939g/cm3であった。
得られたポリエチレン樹脂組成物の各物性を測定した結果を表1および表2に示す。
Figure 2012025904
Figure 2012025904
本発明のポリエチレン樹脂組成物は、超高分子量ポリエチレン(A)と特定の密度を有する低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)とを含んでいるので、超高分子量ポリエチレンが本来具備する優れた耐摩耗性と機械的性質を有するとともに、さらに、特定の密度を有する低分子量ないし高分子量ポリエチレンの物性を併せ持つことで、飛躍的に耐摩耗性、自己潤滑性、衝撃強度、耐薬品性、外観、柔軟性および成形性などの特性のバランスに優れ、とりわけ耐摩耗性、柔軟性のバランスに優れると共に、得られる成形体も上記特性を有する。
また、本発明のポリエチレン樹脂組成物は、鋼管、耐圧ゴムホース、電線、シートなど各種成形体の被覆(積層)材の摺動部材として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記要件(a−1)を満たす超高分子量ポリエチレン(A)5〜18重量部と、下記要件(b−1),(b−2)を満たす低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)95〜82重量部(超高分子量ポリエチレン(A)と低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)の合計量を100重量部とする)を含んでなるポリエチレン樹脂組成物であって、該ポリエチレン樹脂組成物の密度が955〜970kg/m3であり、かつ、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が1.5〜10dlの範囲にあるポリエチレン樹脂組成物;
    (a−1)135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が10〜40dl/g。
    (b−1)135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が0.1〜5dl/g。
    (b−2)密度が953〜966kg/m3
  2. 第1工程として、超高分子量ポリエチレン(A)を生成させる工程、第2工程として、低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)を生成させる工程、の少なくとも2段階の工程を含んで構成される多段重合法により得られることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン樹脂組成物。
  3. 低分子量ないし高分子量ポリエチレン(B)の密度が954〜965kg/m3である請求項1または2に記載のポリエチレン樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン樹脂組成物を含んでなる被覆材または摺動材。
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