JP2014074102A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い剛性および耐衝撃性を有し、かつ、成形体とした場合に無塗装でも優れた外観品質を与えることができる程度にフローマークの発生がなく、かつ低光沢である成形体が得られるポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリプロピレン、極限粘度[η]の異なる二種のプロピレン・エチレン共重合体、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体、無機充填剤、および脂肪酸アミドを特定量含むポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。より詳しくは、機械的特性に優れ、フローマークが目立ちにくく、かつ低光沢性の成形品を製造しうるポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形することにより得られる成形体は、その優れた機械物性、成形性、経済性により、自動車部品や家電部品など種々の分野で利用されている。
自動車部品分野では、ポリプロピレンを単体で用いるほか、ポリプロピレンにエチレン・プロピレン共重合体(EPR)、エチレン・ブテン共重合体(EBR)、エチレン・オクテン共重合体(EOR)、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、ポリスチレン−エチレン/ブテン−ポリスチレントリブロック共重合体(SEBS)等のゴム成分を添加して衝撃性を改善した材料(特許文献1,2参照)、タルク、マイカ、ガラス繊維等の無機充填剤を添加し剛性を改善した材料、またゴム成分、無機充填剤を共に添加し優れた機械物性を付与したブレンドポリマーが使用されている。また近年、インパネ類を中心とする自動車内装部品用のポリプロピレン系樹脂組成物には、高剛性化、高衝撃性化および成形の容易さに加え、部品製造工程の簡略化の見地から無塗装化に対応できる外観品質、例えばフローマークの発生がなく、低光沢であることなどが求められている。
前記外観品質を満たすため、特定の組成を有する二つの結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体を特定の割合で組み合わせ、これに特定量のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムおよびタルクと複合したポリプロピレン系樹脂組成物が提案されている(特許文献3参照)。当該文献では、特に、二つの結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体に含まれる常温p−キシレン可溶フラクションの重量、エチレン含有量および固有粘度に着目した検討がなされているが、これによってもなお、得られる成形体の低光沢にかかる改良効果には乏しく、充分満足できるものとは言えない。
低温衝撃性と低光沢性に優れる成形体が得られるポリプロピレン系樹脂組成物として、低MFRのエチレン・α−オレフィン共重合体と高MFRのエチレン・α−オレフィン共重合体の2種と、特定のプロピレン/エチレン重量比を有するプロピレン・エチレンランダム共重合体を含有するポリプロピレン樹脂、およびタルクと複合したポリプロピレン系樹脂組成物が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、当該組成物から得られる成形体は、充分に低光沢化したとは言えない。
低光沢かつ高い物性バランスを有する成形体を得るために、プロピレン・α−オレフィン共重合部に、エチレンを30重量%以上の含むものと、20重量%以下のものを含むポリプロピレンと無機充填材との熱可塑性樹脂組成物が提案されている(特許文献5参照)。しかしながら、当該樹脂組成物からなる成形体は、室温における耐衝撃性が低く、また光沢も充分低下したとは言えない。
さらに、優れた物性バランス、外観性能、低光沢性を有する成形体が得られる組成物として、エチレン含量と135℃デカリン中の極限粘度の異なるエチレン・プロピレン共重合ゴムをそれぞれ含む2種のポリプロピレン等からなる組成物も提案されている(特許文献6参照)。しかし、当該文献の実施例を見ると、全てに高価なスチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物が用いられているので工業上利用するのは困難である。
また、優れた機械特性、フローマークやウェルド外観に優れ、低光沢かつ耐傷付き性に優れる成形体を得るために、ポリプロピレンと特定のエチレン・α−オレフィン共重合体またはエチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、無機充填材、変性ポリプロピレンからなるポリプロピレン系樹脂組成物が提案されている(特許文献7参照)。しかしながら、当該組成物からなる成形体も低光沢化は充分ではない。
同様に優れた機械特性、フローマーク外観に優れ、低光沢かつ耐傷付き性に優れる成形体を得るために、室温デカン可溶部のエチレン量が45〜65モル%、極限粘度[η]が2.4〜4.0dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体と、室温デカン可溶部のエチレン量が25〜35モル%、極限粘度[η]が7.0〜10.0dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体を組み合わせた組成物が提案されている(特許文献8参照)。これでも未だ、得られる成形物の低光沢は充分では無い。
特開2006−307015号公報 特開2006−316103号公報 特開平9−87482号公報 特開2008−019347号公報 特開2001−310986号公報 特開2004−051769号公報 特表2010−537039号公報 特開2012−117005号公報
本発明が解決しようとする課題は、高い剛性および耐衝撃性を有し、かつ、成形体とした場合に無塗装でも優れた外観品質を与えることができる程度にフローマークの発生がなく、低光沢である成形体が得られ得るポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために、ポリプロピレン系樹脂組成物を構成する各成分について鋭意研究を行った。その結果、特定の物性を有するプロピレン・エチレン共重合体2種類と脂肪酸アミドを、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体および無機充填剤と組み合わせることにより、剛性および耐衝撃性に優れ、さらに外観的には、フローマークの発生しにくく、かつ従来得られてきたものよりも低光沢である成形品を提供できるポリプロピレン系樹脂組成物を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、以下の構成からなる。
[1](A)メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が5〜500g/10分の範囲にあるポリプロピレン:50〜65重量部、
(B−1)135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が2.5〜4.5dl/g、およびエチレン含有率が39〜55モル%の範囲にあるプロピレン・エチレン共重合体:3〜18重量部、
(B−2)135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が5〜10dl/g、およびエチレン含有率が35〜45モル%の範囲にあるプロピレン・エチレン共重合体:1〜5重量部、
(C)メルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.1〜2g/10分かつ密度が850〜880kg/m3の範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体:1〜20重量部、および
(D)無機充填剤:5〜30重量部(ただし、成分(A)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D)の合計量は100重量部)からなる(F)樹脂組成物100重量部に対して、
(E)脂肪酸アミド:0.1〜0.5重量部を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物。
[2]前記(A)ポリプロピレン、(B−1)プロピレン・エチレン共重合体および(B−2)プロピレン・エチレン共重合体が、下記要件(1−i)〜(1−iv)を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−1)30〜80重量部と、下記要件(2−i)〜(2−iv)を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−2)5〜40重量部であって、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−1)とプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−2)の配合割合の和が50〜94重量部の組み合わせによる[1]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(1−i)23℃、n−デカンに不溶な成分(Dinsol)量が77〜90重量%、
(1−ii)23℃、n−デカンに不溶な成分(Dinsol)のメルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が5〜500g/10分、
(1−iii)23℃、n−デカンに可溶な成分(Dsol)の135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が2.5〜4.5dl/g、
(1−iv)23℃、n−デカンに可溶な成分(Dsol)のエチレン含有率が39〜55モル%、
(2−i)23℃n−デカンに不溶な成分(Dinsol)量が70〜90重量%、
(2−ii)23℃n−デカンに不溶な成分(Dinsol)のメルトフローレート(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が5〜500g/10分、
(2−iii)23℃n−デカンに可溶な成分(Dsol)の135℃デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が5〜10dl/g、
(2−iv)23℃n−デカンに可溶な成分(Dsol)のエチレン含有率が35〜45モル%、
[3]無機充填剤が、平均粒径が1〜15μmのタルクであることを特徴とする[1]または[2]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、剛性および耐衝撃性に優れ、フローマークを生じにくく、しかも、低光沢である成形品を製造できることから、無塗装でも優れた外観品質を与えることができるので、高い意匠性の要求される自動車内装部品などの用途にも好適に用いられる。
射出成形品の外観フローマーク目視評価のための成形品形状概要図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、下記成分(A)、(B−1)、(B−2)、(C)および(D)からなる(F)樹脂組成物に、成分(E)を含んでなる。
[(A)ポリプロピレン]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する主成分であるポリプロピレン(A)は、立体規則性に優れる重合体であり、通常、13C−NMRで測定されるアイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が97%以上である。アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)とは、13C−NMRを使用して測定されるプロピレン単独重合体分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の割合を示す。具体的には、プロピレンモノマー単位で5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位のメチル基の13C−NMRスペクトル吸収強度の、メチル炭素領域の全吸収強度に対する割合として求められる。
また、本発明に係るポリプロピレン(A)は、メルトフローレート(MFR)が、5〜500g/10分、好ましくは15〜300g/10分、より好ましくは30〜200g/10分の範囲にある。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、ASTM D 1238に準拠し、2.16kg荷重下、230℃で測定した値である。
本発明に係るポリプロピレン(A)は、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレンと他の共重合性単量体との共重合体であってもよい。この場合、他の共重合性単量体としては、エチレンおよび炭素原子数4〜10のα−オレフィンが挙げられ、炭素原子数4〜10のα−オレフィンとして具体的には、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい例として挙げられる。また他の共重合性単量体としては、非共役ジエンを用いることもでき、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの環状非共役ジエン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,7−オクタジエン、7−メチル−1,6オクタジエンなどの鎖状の非共役ジエンなどを挙げることができる。他の共重合性単量体は、ポリプロピレン(A)全体に対し1〜50モル%、好ましくは2〜30モル%、より好ましくは5〜20モル%含むことができる。
上述した例示のうち、本発明に係るポリプロピレン(A)としては、プロピレンの単独重合体であることが好ましい。
本発明に係るポリプロピレン(A)は2種以上を組み合わせて用いることができる。この際、2種以上の各々のポリプロピレンは、それぞれ、上述したアイソタクチックペンタッド分率およびメルトフローレートの範囲を満たす限り、特に限定はされない。
本発明に係るポリプロピレン(A)は、個別にプロピレンあるいはプロピレンと他の共重合性単量体とを共重合することにより製造される重合体であっても、プロピレンとエチレンとをブロック共重合することによって製造されるブロック共重合体におけるプロピレンの単独重合体成分であってもよい。本発明に係るポリプロピレン(A)をブロック共重合で製造する場合は、23℃、n−デカンに不溶な成分が、ポリプロピレン(A)に相当する。
[(B−1)プロピレン・エチレン共重合体]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する成分の一つであるプロピレン・エチレン共重合体(B−1)は、135℃、デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が2.5〜4.5dl/g、好ましくは2.5〜4.0dl/gの範囲にある。極限粘度[η]が、2.5dl/g以上のプロピレン・エチレン共重合体(B−1)を含むポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体は耐衝撃性が優れる。また、4.5dl/g以下のプロピレン・エチレン共重合体(B−1)を用いることにより、得られる成形体は高分子量成分の分散不良によるブツの発生が抑えられる。
本発明に係るプロピレン・エチレン共重合体(B−1)は、13C−NMR測定から求められるエチレン由来の構造単位の含有率が、39〜55モル%、好ましくは40〜52モル%の範囲にある。エチレン由来の構造単位の含有率が39モル%以上のプロピレン・エチレン共重合体(B−1)を用いることにより、低光沢の成形体を得ることができる。また、55モル%以下のプロピレン・エチレン共重合体(B−1)を用いることにより、耐衝撃性が優れる成形体を得ることができる。
本発明に係るプロピレン・エチレン共重合体(B−1)は、個別にプロピレンとエチレンとをランダム共重合することにより製造される重合体であっても、プロピレンとエチレンとをブロック共重合することによって製造されるブロック共重合体におけるプロピレンとエチレンとの共重合体成分であってもよい。本発明に係るプロピレン・エチレン共重合体(B−1)をブロック共重合で製造する場合は、23℃、n−デカンに可溶な成分が、プロピレン・エチレン共重合体(B−1)に相当する。
[(B−2)プロピレン・エチレン共重合体]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する成分の一つであるプロピレン・エチレン共重合体(B−2)は、135℃、デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が5〜10dl/g、好ましくは5.5〜8dl/gの範囲にある。極限粘度[η]が、5dl/g以上であるとポリプロピレン系樹脂組成物を成形した際にフローマークの発生を抑えることができる。また、10dl/g以下であると、高分子量成分の分散不良によるブツの発生が抑えられる。
本発明に係るプロピレン・エチレン共重合体(B−2)は、13C−NMR測定から求められるエチレン由来の構造単位の含有率が、35〜45モル%、好ましくは35〜40モル%の範囲にある。エチレン由来の構造単位の含有率が35モル%以上のプロピレン・エチレン共重合体(B−2)を用いることにより、低光沢の成形体を得ることができる。また、45モル%以下のプロピレン・エチレン共重合体(B−2)を用いることにより、耐衝撃性が優れる成形体を得ることができる。
本発明に係るプロピレン・エチレン共重合体(B−2)は、個別にプロピレンとエチレンとをランダム共重合することにより製造される重合体であっても、プロピレンとエチレンとをブロック共重合することによって製造されるブロック共重合体におけるプロピレンとエチレンとの共重合体成分であってもよい。本発明に係るプロピレン・エチレン共重合体(B−2)をブロック共重合で製造する場合は、23℃、n−デカンに可溶な成分が、プロピレン・エチレン共重合体(B−2)に相当する。
[ポリプロピレン(A)の製造方法]
本発明に係るポリプロピレン(A)を単独で得る製造方法としては、公知のチタン触媒を用いて製造する方法が挙げられる。チタン触媒の好ましい例としては、チタン、マグネシウム、ハロゲンの各原子を含む固体状チタン触媒成分およびアルミニウム化合物を主たる成分とする重合用固体触媒が挙げられる。
本発明に係るポリプロピレン(A)を製造する方法として、例えば、特開平11−107975号公報や特開2004−262993号公報に記載されている方法に準じて、高立体規則性ポリプロピレン製造用触媒の存在下に、プロピレンを単独重合、若しくは、プロピレンと他の共重合性単量体とを共重合することにより製造する方法が挙げられる。
すなわち、本発明に係るポリプロピレン(A)は、(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と、(ii)有機金属化合物触媒成分と、(iii)ドナー成分とから形成される高立体規則性ポリプロピレン製造用の重合用触媒の存在下に、プロピレンを単独重合、若しくは、プロピレンと他の共重合性単量体とを共重合することにより製造される。
ポリプロピレン(A)のMFRは、重合条件などを調節することで適宜調整することができ、特に制限されないが、分子量調整剤として水素を使用する方法が好ましい。また、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)は、使用する重合用触媒の種類によって調整することができる。
重合反応は、連続的に行うこともできるし、バッチ式で行うこともできるが、連続的に行うのが好ましい。また重合は、気相重合法、あるいは溶液重合、スラリー重合、バルク重合などの液相重合法など、公知の方法で行うことができる。
重合媒体として、不活性炭化水素類を用いてもよく、また液状のプロピレンを重合媒体としてもよい。また、重合条件は、重合温度が約−50〜+200℃、好ましくは約20〜100℃の範囲で、また重合圧力は、常圧〜9.8MPa(ゲージ圧)、好ましくは約0.2〜4.9MPa(ゲージ圧)の範囲内で適宜選択される。
[プロピレン・エチレン共重合体(B−1),(B−2)の製造方法]
本発明に係るプロピレン・エチレン共重合体(B−1)、およびプロピレン・エチレン共重合体(B−2)を単独で得る製造方法としては、公知のチタン触媒やメタロセン触媒を用いて製造する方法が挙げられる。チタン触媒の好ましい例としては、チタン、マグネシウム、ハロゲンの各原子を含む固体状チタン触媒成分およびアルミニウム化合物を主たる成分とするオレフィン重合用固体触媒が挙げられる。メタロセン触媒の好ましい例としては、主触媒としてメタロセン化合物、助触媒として、アルミノキサン化合物や有機ホウ素化合物を用いたオレフィン重合用触媒が挙げられる。
本発明で用いるプロピレン・エチレン共重合体(B−1)、およびプロピレン・エチレン共重合体(B−2)を製造する方法として、例えば、上述したチタン触媒やメタロセン触媒の存在下に、プロピレンとエチレンを共重合することにより製造する方法が挙げられる。
プロピレン・エチレン共重合体(B−1)、あるいはプロピレン・エチレン共重合体(B−2)の極限粘度[η]は、重合条件などを調節することで適宜調整することができ、特に制限されないが、分子量調整剤として水素を使用する方法が好ましい。また、エチレン由来の構造単位の含有率は、重合反応系内に存在させるプロピレンとエチレンの比率を調節することや、使用するオレフィン重合用触媒の種類によって調整することができる。
重合反応は、連続的に行うこともできるし、バッチ式で行うこともできるが、連続的に行うのが好ましい。また重合は、気相重合法、あるいは溶液重合、スラリー重合、バルク重合などの液相重合法など、公知の方法で行うことができる。
重合媒体として、不活性炭化水素類を用いてもよく、また液状のプロピレンを重合媒体としてもよい。また、重合条件は、重合温度が約−50〜+200℃、好ましくは約20〜100℃の範囲で、また重合圧力は、常圧〜9.8MPa(ゲージ圧)、好ましくは約0.2〜4.9MPa(ゲージ圧)の範囲内で適宜選択される。
[プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法]
本発明に係るポリプロピレン(A)およびプロピレン・エチレン共重合体(B−1)、あるいは、ポリプロピレン(A)およびプロピレン・エチレン共重合体(B−2)とをブロック共重合で製造する場合は、公知のチタン触媒を用いて製造することができる。チタン触媒の好ましい例としては、チタン、マグネシウム、ハロゲンの各原子を含む固体状チタン触媒成分およびアルミニウム化合物を主たる成分とする重合用固体触媒が挙げられる。
本発明に係るポリプロピレン(A)およびプロピレン・エチレン共重合体(B−1)、あるいは、ポリプロピレン(A)およびプロピレン・エチレン共重合体(B−2)とをブロック共重合で製造する方法としては、たとえば、特開平11−107975号公報や特開2004−262993号公報に記載されている方法に準じて、高立体規則性ポリプロピレン製造用触媒の存在下に、多段重合により製造する方法が挙げられる。すなわち、プロピレン・エチレンブロック共重合体は、(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と、(ii)有機金属化合物触媒成分と、(iii)ドナー成分とから形成される高立体規則性ポリプロピレン製造用の重合用触媒の存在下に、第1段で実質的に水素の存在下もしくは非存在下でプロピレンを重合させるプロピレン単独重合体部を、最終的に得られるプロピレン・エチレンブロック共重合体全体の所望の範囲、例えば、70〜90重量%製造する段と、エチレンおよびプロピレンを共重合させてエチレン・プロピレンランダム共重合体部を、最終的に得られるプロピレン・エチレンブロック共重合体全体の所望の範囲、例えば、10〜30重量%製造する段とを含む2段以上の多段重合により製造することができる。プロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRおよび極限粘度[η]を所望の範囲にするには、重合条件などを調節することで適宜調整することができ、特に制限されないが、分子量調整剤として水素を使用する方法が好ましい。
各段の重合は、連続的に行うこともできるし、バッチ式あるいは半連続式に行うこともできるが、連続的に行うのが好ましい。また重合は、気相重合法、あるいは溶液重合、スラリー重合、バルク重合などの液相重合法など、公知の方法で行うことができる。第2段目以降の重合は、前段の重合に引き続いて、連続的に行うのが好ましい。バッチ式で行う場合、1器の重合器を用いて多段重合することもできる。
重合媒体として、不活性炭化水素類を用いてもよく、また液状のプロピレンを重合媒体としてもよい。また、各段の重合条件は、重合温度が約−50〜+200℃、好ましくは約20〜100℃の範囲で、また重合圧力は、常圧〜9.8MPa(ゲージ圧)、好ましくは約0.2〜4.9MPa(ゲージ圧)の範囲内で適宜選択される。
[(C)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する成分の一つであるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、エチレンと炭素原子数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体である。
上記炭素原子数4〜20のα−オレフィンとしては、具体的には1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独でまたは組み合せて用いることができる。これらの中では、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましく用いられる。
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、エチレンとα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が95/5〜70/30、好ましくは90/10〜75/25であるのが望ましい。
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、230℃、荷重2.16kgにおけるMFRが0.2〜2g/10分、好ましくは0.5〜5g/10分であるのが望ましい。MFRが0.2g/10分未満のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いた場合は、当該共重合体を含むプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体は耐衝撃性が低下することが想定され、一方、2g/10分を超えるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いた場合は、当該共重合体を含むプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体は耐衝撃性が低下し、また、高光沢となることが想定されるため好ましくない。
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、密度が850〜880kg/m3、好ましくは855〜875kg/m3であることが望ましい。密度が850kg/m3より小さい場合、ゴム形状がベール状となり生産時の作業性が低下する。密度が880kg/m3を超えると、得られる成形体は耐衝撃性が低下する。
本発明に係るエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
[(D)無機充填剤]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成する成分の一つである無機充填剤(D)としては、特に限定されることなく公知の無機充填剤を用いることができるが、たとえば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、石膏、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、さらには亜鉛、銅、鉄、アルミニウム等の金属粉末、あるいは金属繊維等が挙げられ、これらは単独でまたは混合して用いることができる。中でもタルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維等が好ましく、特にタルクが好ましい。タルクとしては、平均粒径が1〜15μm、好ましくは1〜6μmのものが好適に使用できる。
[(F)樹脂組成物]
本発明に係る樹脂組成物(F)は、上記ポリプロピレン(A)〔以下、「(A)成分」と略記する場合がある。〕、プロピレン・エチレン共重合体(B−1)〔以下、「(B−1)成分」と略記する場合がある。〕、プロピレン・エチレン共重合体(B−2)〔以下、「(B−2)成分」と略記する場合がある。〕、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C)〔以下、「(C)成分」と略記する場合がある。〕および無機充填剤(D)〔以下、「(D)成分」と略記する場合がある。〕からなる。
各成分の配合割合は、(A)、(B−1)、(B−2)、(C)および(D)成分の合計量を100重量部とした場合に、(A)成分は50〜65重量部、好ましくは52〜63重量部、(B−1)成分は3〜18重量部、好ましくは3〜16重量部、(B−2)成分は1〜5重量部、好ましくは1〜4重量部、(C)成分は1〜20重量部、好ましくは1〜18重量部、より好ましくは4〜16重量部であり、および(D)成分は5〜30重量部、好ましくは8〜25重量部、より好ましくは9〜22重量部である。
(B−1)成分が18重量部より多くなると、得られる成形体は曲げ弾性率が低下する。これは、プロピレン・エチレン共重合体中の、プロピレン単独部に溶け込みやすい成分、具体的には、エチレン分率の低いプロピレン・エチレン共重合体成分が増加し、ポリプロピレン結晶の生成を阻害するためと推察される。
なお、上記(A)成分、(B−1)成分および(B−2)成分の配合割合は、各々の成分をそれぞれ準備して混合(配合)する方法のほか、(A)成分と(B−1)成分を含むプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−1)と、(A)成分と(B−2)成分を含むプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−2)を夫々用意して、(A)成分、(B−1)成分、および(B−2)成分が上記範囲の量になるように、ブロック共重合体を混合する方法を用いてもよい。
本発明に係るプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−1)、あるいはプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−2)に含まれるポリプロピレン(A)、プロピレン・エチレン共重合体(B−1)、およびプロピレン・エチレン共重合体(B−2)は、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−1)、あるいはプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−2)をn−デカンに完全に溶解させた後、放冷し、23℃、n−デカンに不溶な成分(Dinsol)と可溶な成分(Dsol)に分け、Dinsol分が(A)成分、Dsol分が(B−1)成分、あるいは(B−2)成分に相当する。
成分(A,B−1)のDinsol分(成分(A))は、77〜90重量%、好ましくは79〜90重量%、Dsol分(成分(B−1))は10〜23重量%、好ましくは10〜21重量%(成分(A,B−1)中のDinsol分とDsol分の合計は100重量%)、成分(A,B−2)のDinsol分(成分(A))は、70〜90重量%、好ましくは75〜90重量%、Dsol分(成分(B−2))は10〜30重量%、好ましくは10〜25重量%(成分(A,B−2)中のDinsol分とDsol分の合計は100重量%)である。
なお、各抽出された成分(A)、(B−1)、(B−2)の諸物性は、上述したものを満たす限りにおいては特に制限はない。また、成分(A)の配合割合は、成分(A,B−1)と成分(A,B−2)のDinsol分の積算値となる。
上記(A)成分、(B−1)成分および(B−2)成分として、成分(A,B−1)と成分(A,B−2)を用いる場合、成分(A,B−1)、(A,B−2)、(C)および(D)の合計量を100重量部とした場合に、成分(A,B−1)の配合割合は30〜80重量部、好ましくは30〜77重量部であり、成分(A,B−2)の配合割合は5〜40重量部、好ましくは7〜39重量部であって、成分(A,B−1)と成分(A,B−2)の配合割合の和は50〜94重量部、好ましくは57〜91重量部、より好ましくは62〜87重量部である。
[(E)脂肪酸アミド]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述の樹脂組成物(F)100重量部に対して、脂肪酸アミド(E)を0.1〜0.5重量部、好ましくは0.12〜0.4重量部、さらに好ましくは0.15〜0.3重量部配合することが好ましい。
本発明に係る脂肪酸アミド(E)〔以下、「(E)成分」と略記する場合がある。〕としては、具体的には、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、パルミチン酸アミド、ミリスチン酸アミド、ラウリン酸アミド、カプリル酸アミド、カプロン酸アミド、n−オレイルパルミトアミド、n−オレイルエルカアミド、およびそれらの2量体などが挙げられ、中でも、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミドおよびエルカ酸アミドの2量体が好ましく、エルカ酸アミドが特に好ましい。これらは単独もしくは混合して使用することができる。
[その他の添加剤]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、その目的、効果を大きく阻害しない範囲で、用途に応じて各種の添加剤、例えば、分散剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化促進剤(増核剤)等の改質用添加剤、顔料、染料等の着色剤、カーボンブラック、酸化チタン等、公知の添加剤を添加することができる。
[ポリプロピレン系樹脂組成物]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述した(A)、(B−1)、(B−2)、(C)および(D)成分からなる樹脂組成物(F)と、(E)成分と、必要に応じてその他の添加剤とを配合することにより製造することができる。これらの各成分は、任意の順序で配合することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、前記(A)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D)および(E)の各成分と、必要に応じて配合するその他の添加剤とを、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機などの混合装置により混合または溶融混練することにより得ることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、特に射出成形に好適に用いられる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる成形品は、優れた機械物性を有するとともに、フローマークが目立ち難い等の優れた外観を有し、更には低光沢性にも優れている。
このような本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、自動車内外装部品、家電部品など
の種々の分野に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明において、各物性の測定および評価は、以下の方法により行った。
〔メルトフローレート(g/10分)〕
ASTM D1238に準拠し、試験荷重2.16kg、試験温度230℃の条件で測定した。以下、単に「MFR」ともいう。
〔n−デカン可溶分〕
5g程度のポリマー試料(このときの正確な重量をaとする)を、n−デカン200mlと、試料量に対し約1%のBHT(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン)とともに、三角フラスコに入れる。
145℃に加熱し、1時間撹拌溶解する。試料が完全に溶解したことを確認し、1時間放冷し、23℃に調温する。その後、マグネチックスターラーで1時間撹拌しながらポリマーを析出させる。吸引瓶とロート(325メッシュスクリーン)にて、析出したポリマーを吸引ろ過する。分離したろ液にアセトンを加え約1リットルとし、1時間撹拌してn−デカン可溶分を析出させる。もしも内容液が透明にならない場合は更にアセトンを加え撹拌を続ける。吸引瓶とロート(325メッシュスクリーン)にて、析出物をろ過する。回収した析出物を105℃、20mmHg以下にて1時間減圧乾燥する。乾燥終了後のn−デカン可溶分の回収量をbとする。n−デカン可溶分は次式によって算出する。
n−デカン可溶分(%)=(b/a)×100
a:ポリマー試料の重量(g)、b:n−デカン可溶分の回収量(g)
〔極限粘度[η]〕
サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〔エチレン由来の構造単位の含有率〕
エチレンに由来する骨格濃度を測定するために、サンプル20〜30mgを1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(2:1)溶液0.6mlに溶解後、炭素核磁気共鳴分析(13C−NMR)を行った。プロピレン、エチレンの定量はダイアッド連鎖分布より求めた。プロピレン−エチレン共重合体の場合、PP=Sαα、EP=Sαγ+Sαβ、EE=1/2(Sβδ+Sδδ)+1/4Sγδを用い、以下の計算式により求めた。
プロピレン(モル%)=(PP+1/2EP)×100/[(PP+1/2EP)+(1/2EP+EE)
エチレン(モル%)=(1/2EP+EE)×100/[(PP+1/2EP)+(1/2EP+EE)
なお本実施例における、Dsolのエチレン量単位は、モル%にて標記した。
〔物性測定〕
試験片成形:JIS K7152−1:99に従い、ISO金型タイプA金型を用いて、JIS K7139:07に定める多目的試験片A形を採取し、以下の試験に用いた。
・曲げ弾性率:JIS K7171:94に従い測定。
・23℃シャルピー衝撃強さ:ノッチ加工後、JIS K7111:96に従い測定。
〔光沢測定および耐傷付き性評価〕
以下の成形条件にて140mm×140mm×3mmの鏡面仕上げ平板を作製した。
射出成形機:IS80EPN(東芝機械製)
シリンダー温度:200℃
金型温度:45℃
・光沢測定方法:JIS Z8741:97に従い、上記で作製した平板のほぼ中央を入射角および反射角を共に60°で実施した。
・耐傷付き試験方法:測定器は安田精機作製所製の鉛筆硬度試験器を用い、新東科学社製のサファイア針(先端R=0.5mm)を、鉛筆硬度試験器に取り付けられるよう加工した。サファイア針を鉛筆硬度試験器に取り付け、荷重100g〜1500gの間を100g間隔で変化させて、流動方向と同じ方向に15本のスジ状の傷を付けた。荷重が大きくなると徐々に白化するので、目視にて白化が認められる最小荷重を「白化傷荷重」として求めた。なお、実用上、問題とならないレベルは、白化傷荷重が800g以上である。
〔外観評価〕
射出成形品のフローマークは、長さ350mm、幅100mm、厚み3mmの平板が成形可能で中央部(50mm)にゲートを持つ射出成形金型を用いた(図1)。ここで、ゲートからフローマークが発生した距離の測定および発生後のフローマークの見難さを目視にて評価した。なお、本試験では、フローマークを判定しやすくする為、プロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、黒着色マスターバッチ2重量部をドライブレンドして、射出成形を行った。
<試験片射出成形条件>
射出成形機:品番 SE220HDZ、住友重機工業(株)製
シリンダー温度:210℃
金型温度:40℃
射出速度(一次充填速度):射出時間(一次充填時間)が2秒となる速度に設定
保圧時間:10秒
成形品形状:図1に示す。
フローマーク目視評価:◎:全く認められない、○:うっすらと認められるがほとんど目立たない、△:認められ目立つ、×:明確に認められ非常に目立つ、*実用可能なレベルは◎と○。
以下、実施例、比較例において使用した各プロピレン・エチレンブロック共重合体:(A,B−1)、(A,B−2)の製造例を示す。
[製造例i−1]
(1)固体状チタン触媒成分の調製
内容積5リットルの攪拌機付きの三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタンを600ミリリットル、ジエトキシマグネシウム160gを加えた。40℃に加熱し、四塩化ケイ素24ミリリットルを加えて20分間攪拌した後、フタル酸ジブチル16ミリリットルを添加した。この溶液を80℃まで昇温し、引き続き四塩化チタンを770ミリリットル滴下し、内温110℃で、2時間攪拌して接触操作を行った。その後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。1リットルの脱水ヘプタンを加え、攪拌しながら110℃まで昇温し、1分間保持した後、攪拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。この洗浄操作を7回繰り返した。さらに、四塩化チタンを1220ミリリットル加え、内温110℃で、2時間攪拌して2回目の接触操作を行った。その後、上記の110℃の脱水ヘプタンによる洗浄を6回繰り返し、固体状チタン触媒成分を得た。
上記の様に調製された固体状チタン触媒成分はヘプタンスラリーとして保存されるが、このうち一部を乾燥して触媒組成を調べた。固体状チタン触媒成分は、チタンを1.7重量%、塩素を57重量%、マグネシウムを21重量%およびフタル酸ジブチルを20重量%の量で含有していた。
(2)前重合触媒の製造
固体状チタン触媒成分87.5g、トリエチルアルミニウム99.8mL、ジエチルアミノトリエトキシシラン28.4ml、ヘプタン12.5Lを内容量20Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15〜20℃に保ちプロピレンを875g挿入し、100分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液の除去およびヘプタンによる洗浄を2回行った。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体状チタン触媒成分濃度で0.7g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。
(3)本重合
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を136NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.41g/時間、トリエチルアルミニウム2.8ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が2.9mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.1MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.23(モル比)、水素/エチレン=0.062(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.1MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例i−2]
前記製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を162NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.40g/時間、トリエチルアルミニウム2.7ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が3.8mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.1MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.24(モル比)、水素/エチレン=0.047(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.4MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例i−3]
製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を128NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.41g/時間、トリエチルアルミニウム2.8ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が2.6mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.1MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.22(モル比)、水素/エチレン=0.12(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.2MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例i−4]
製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製は同様に行い、(2)前重合触媒の製造、(3)本重合を以下の方法で行った。
(2)前重合触媒の製造
固体状チタン触媒成分82.5g、トリエチルアルミニウム79.9mL、ジシクロペンチルジメトキシシラン20.5ml、ヘプタン12.5Lを内容量20Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温15〜20℃に保ちプロピレンを825g挿入し、100分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液の除去およびヘプタンによる洗浄を2回行った。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体状チタン触媒成分濃度で0.7g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。
(3)本重合
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を210NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.43g/時間、トリエチルアルミニウム2.9ml/時間、ジシクロペンチルジメトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.2MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が4.4mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.2MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.41(モル比)、水素/エチレン=0.15(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力0.9MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例i−5]
製造例i−4の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を200NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.44g/時間、トリエチルアルミニウム3.0ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.2MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が4.3mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.2MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.47(モル比)、水素/エチレン=0.040(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力0.6MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例i−6]
製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を154NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.40g/時間、トリエチルアルミニウム2.7ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が3.5mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.1MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.28(モル比)、水素/エチレン=0.085(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力0.6MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例ii−1]
製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を191NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.40g/時間、トリエチルアルミニウム2.7ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.2MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が4.8mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.2MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.21(モル比)、水素/エチレン=0.0048(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.1MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例ii−2]
製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を139NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.41g/時間、トリエチルアルミニウム2.8ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が3.0mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.1MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.17(モル比)、水素/エチレン=0.004(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.4MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例ii−3]
製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を225NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.39g/時間、トリエチルアルミニウム2.6ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.2MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が6.3mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.2MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.14(モル比)、水素/エチレン=0.011(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.2MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例iii−1]
製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を158NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.40g/時間、トリエチルアルミニウム2.7ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が3.6mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.1MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.17(モル比)、水素/エチレン=0.18(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.5MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例iii−2]
製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を180NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.40g/時間、トリエチルアルミニウム2.7ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が4.4mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.1MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.24(モル比)、水素/エチレン=0.062(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力1.8MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例iii−3]
製造例i−1の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を128NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.41g/時間、トリエチルアルミニウム2.8ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が2.6mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.1MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.14(モル比)、水素/エチレン=0.062(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力0.8MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
[製造例iv−1]
製造例i−4の(1)固体状チタン触媒成分の調製、(2)前重合触媒の製造は同様に行い、(3)本重合を以下の方法で行った。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを40kg/時間、水素を161NL/時間、(2)で製造した前重合触媒のスラリーを固体状チタン触媒成分として0.45g/時間、トリエチルアルミニウム3.0ml/時間、ジエチルアミノトリエトキシシラン1.1ml/時間を連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は70℃であり、圧力は3.2MPa/Gであった。
得られたスラリーは内容量100Lの攪拌機付きベッセル重合器へ送り、更に重合を行った。重合器へは、プロピレンを15kg/時間、水素を気相部の水素濃度が3.2mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.2MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーを内容量2.4Lの移液管に移送し、当該スラリーをガス化させ、気固分離を行った後、内容量480Lの気相重合器にポリプロピレンホモポリマーパウダーを送り、エチレン/プロピレンブロック共重合を行った。気相重合器内のガス組成が、エチレン/(エチレン+プロピレン)=0.27(モル比)、水素/エチレン=0.085(モル比)になるようにプロピレン、エチレン、水素を連続的に供給した。重合温度70℃、圧力0.6MPa/Gで重合を行った。
得られたプロピレン系ブロック共重合体は、80℃で真空乾燥を行った。
以上の製造例で作製された各プロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−1)および(A,B−2)の各物性を表1、2に示す。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体(C)の物性を表3に示す。
*1:ダウエラストマー社製、*2:三井化学社製
無機充填材(D)は、松村産業社製タルク・製品名5000PJ(平均粒径4μm)を使用した。
脂肪酸アミド(E)は、日本精化社製エルカ酸アミド・製品名ニュートロンSを使用した。
[実施例1〜7、比較例1〜7]
各成分を表4、5に示す比率で配合し、更に酸化防止剤であるIrganox1010(BASF製)を0.10部、Irgafos168(BASF製)を0.05部配合の上、タンブラーでドライブレンドした。この混合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α)により、バレル温度200℃、スクリュー回転600rpm、押出し量50kg/hの条件で押出し、樹脂組成物ペレットを得た。
これらペレットを用いて、各種評価を実施した。結果を表4、5に示す。
実施例1〜7は、比較例1〜3に対し、(B−1)成分量とそれに含まれるエチレン量、およびその[η]を適正化したことで、低光沢でフローマーク外観に優れ、かつ曲げ弾性率と室温衝撃が高い組成物になっている。
実施例1〜7は、比較例4と比較すると、(B−2)成分の[η]を高くすることでフローマーク外観を良好な組成物になっている。
実施例1、2は、比較例5、6に対し、エチレン・α−プロピレン共重合体(C)のMFRを低くすることで、低光沢化が図られている。
実施例2は、比較例7と比較すると、脂肪酸アミド(E)を適正量添加することで、耐傷付き性が得られることが判る。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、インパネ、コンソールボックスなどの自動車内外装部品、家電部品等、種々の分野の成形品材料として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. (A)メルトフローレート(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重下)が5〜500g/10分の範囲にあるポリプロピレン:50〜65重量部、
    (B−1)135℃、デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が2.5〜4.5dl/g、およびエチレン含有率が39〜55モル%の範囲にあるプロピレン・エチレン共重合体:3〜18重量部、
    (B−2)135℃、デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が5〜10dl/g、およびエチレン含有率が35〜45モル%の範囲にあるプロピレン・エチレン共重合体:1〜5重量部、
    (C)メルトフローレート(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.1〜2g/10分、かつ密度が850〜880kg/m3の範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体:1〜20重量部、および
    (D)無機充填剤:5〜30重量部(ただし、成分(A)、(B−1)、(B−2)、(C)、(D)の合計量は100重量部)からなる(F)樹脂組成物100重量部に対して、
    (E)脂肪酸アミド:0.1〜0.5重量部を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリプロピレン、(B−1)プロピレン・エチレン共重合体、および(B−2)プロピレン・エチレン共重合体が、下記要件(1−i)〜(1−iv)を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−1)30〜80重量部と、下記要件(2−i)〜(2−iv)を満たすプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−2)5〜40重量部であって、プロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−1)とプロピレン・エチレンブロック共重合体(A,B−2)の配合割合の和が50〜94重量部の組み合わせによる請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
    (1−i)23℃、n−デカンに不溶な成分(Dinsol)量が77〜90重量%、
    (1−ii)23℃、n−デカンに不溶な成分(Dinsol)のメルトフローレート(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重下)が5〜500g/10分、
    (1−iii)23℃、n−デカンに可溶な成分(Dsol)の135℃、デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が2.5〜4.5dl/g、
    (1−iv)23℃、n−デカンに可溶な成分(Dsol)のエチレン含有率が39〜55モル%、
    (2−i)23℃、n−デカンに不溶な成分(Dinsol)量が70〜90重量%、
    (2−ii)23℃、n−デカンに不溶な成分(Dinsol)のメルトフローレート(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重下)が5〜500g/10分、
    (2−iii)23℃n−デカンに可溶な成分(Dsol)の135℃、デカリン溶液中で測定した極限粘度[η]が5〜10dl/g、
    (2−iv)23℃、n−デカンに可溶な成分(Dsol)のエチレン含有率が35〜45モル%。
  3. (D)無機充填剤が、平均粒径が1〜15μmのタルクであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
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