JP2012020911A - 酸化亜鉛焼結体、その製造方法、スパッタリングターゲット及び透明性膜の製造方法 - Google Patents

酸化亜鉛焼結体、その製造方法、スパッタリングターゲット及び透明性膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加工後に熱処理等を行わなくとも形状精度のよいスパッタリングターゲットが得られ、DCスパッタリング法でも連続的に安定放電が可能で、適切な絶縁性を有する透明性膜が得られる酸化亜鉛焼結体を提供する。
【解決手段】亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満、BET比表面積が2〜20m/g、粉末かさ密度0.5〜1.8g/cmの酸化亜鉛粉末を成形し、焼成する際に、焼結温度が900〜1250℃、酸素が10体積%以下の不活性雰囲気下でガス流量パラメータが8000以上で焼成することにより、亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満、25℃での体積抵抗が1.0×10Ωcm以下の酸化亜鉛焼結体を製造し、それをスパッタリングターゲットとして用いて、DCスパッタリング法により透明性膜を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化亜鉛焼結体、その製造方法、それからなるスパッタリングターゲット及びそれを用いた透明性膜の製造方法に関するものである。
酸化亜鉛は、六方晶系の結晶構造を有する白色の粉末であり、顔料等として使用されている他、近年では薄膜の形態で利用されることも多く、特に、適度な電気的な絶縁性を有することから半導体装置等の電子部品や太陽電池等の光学部品に薄膜の形態で多く用いられている。特に、高純度酸化亜鉛膜は高抵抗である特徴を生かし、絶縁性の要求される部位、例えば、太陽電池のバッファ層等として用いられている。
このような薄膜を形成するには、スパッタリング法やイオンプレーティング法が良く用いられ、特にスパッタリング法は、蒸気圧の低い材料の成膜の際や、大面積にわたり精密な膜厚制御を必要とする際に有効な手法であり、操作が非常に簡便であるため、工業的に広範に利用されている。
スパッタリング法は、プラズマの発生方法で分類され、高周波プラズマを用いるものは高周波スパッタリング法(RFスパッタリング法)といい、直流プラズマを用いるものは直流スパッタリング法(DCスパッタリング法)という。
一般に、DCスパッタリング法は、RFスパッタリング法と比べて成膜速度が速く、電源設備が安価であり、成膜操作が簡単であるなどの理由で、工業的に広範に利用されている。しかし、絶縁性ターゲットでも成膜することができるRFスパッタリング法に対して、DCスパッタリング法では、導電性ターゲットを用いなければならず、ターゲット内部まで均質に導電性が維持され、連続的、かつ安定的に放電されなければならない。さらに言えば、このような酸化亜鉛ターゲットを工程が煩雑でなく、生産性の高い簡便な手法で得られなければならない。
酸化亜鉛からなるスパッタリングターゲットはそのターゲットを構成する焼結体の抵抗が高く、スパッタリング時の放電電圧が高く、連続的かつ安定した放電が確保できにくいため、成膜速度が速く、電源設備が安価であり、成膜操作が簡単であるなどの利点のあるDCスパッタリング法で安定的に採用することが困難であった。
例えば、特許文献1にはガス成分であるN、C、Cl、S、Pを除く不純物含有量が100ppm未満であることを特徴とし、酸素雰囲気中、1200℃で5時間、ホットプレスにより製造された高純度酸化亜鉛からなるスパッタリングターゲットが開示されている。しかしながら、酸素雰囲気中でのホットプレスは、当該方法の焼結で通常用いられる黒鉛型を使用することができず、酸素雰囲気と焼結温度1200℃の両者を考慮すると、極めて困難な方法である。そこで、ホットプレスによる焼結の効果が緻密化であることから、焼成における雰囲気の効果を判別するため、本発明者らは、同様の酸素雰囲気中での常圧焼結によりスパッタリングターゲットの製造を行った。その結果、得られたスパッタリングターゲットの体積抵抗は9.26×10Ωcm、表面抵抗は8.38×10Ω/□と大きく、半導体電子装置等の電子部品として、極めて高純度な酸化亜鉛薄膜を得ることが可能であるが、安定したDC放電が難しいという問題があることが判明した。
また、特許文献2、特許文献3、特許文献4には、酸化亜鉛を主成分として、GaやAlのように酸化亜鉛に対してn型ドーパントとなる元素を積極的に添加したスパッタリングターゲットが開示されている。しかしながら、これらターゲットは明らかに酸化亜鉛に対してn型ドーパントとなる元素を添加して焼結体の抵抗率を制御し、酸化亜鉛に対してn型ドーパントとなる元素を含有する酸化亜鉛系透明導電膜を提供するものであり、亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満の酸化亜鉛膜を得ることはできない。
さらに、非特許文献1には、純度99.999%(不純物が10ppm未満に相当)の高純度酸化亜鉛焼結体が開示されているが、500℃で10〜10Ωcmと非常に高い体積抵抗であり、室温近傍では外挿することにより10Ωcmを大きく上回り、焼結体自体は極めて高い体積抵抗であることが示唆される。
このような中、特許文献5には、成形、焼結し、その表面を研磨加工した後、さらに表面を熱処理して、表面のシート抵抗を3.00×10Ω/□以下とした酸化亜鉛ターゲットが開示されている。具体的には、大気雰囲気中、1350℃で3時間保持して得られた焼結体の表面を研磨加工した後に熱処理するという2段階の煩雑な工程を経ることにより、表面のシート抵抗を3.00×10Ω/□以下とし、DCスパッタリングが可能としている。この加工による表面のシート抵抗の増大する現象は、焼結体表面に加工によるひずみが形成され、そのひずみにより抵抗が増大するために生じるものと認識されており、当該ひずみを取り除くために、焼結体の表面を加工した後に積極的に熱処理を行い、表面のシート抵抗を3.00×10Ω/□以下としている。しかしながら、このような方法では、工程が煩雑、かつ多段階になるため、生産性に劣るとともに、生産コストへの影響が大きく、0.1mm未満との記載ではあるが熱処理による焼結体の変形が少なくとも生じている。この変形は、成膜装置に所定の状態に精度良く、装着することが難しいことを意味し、大面積への均質な成膜を困難とするものである。なお、この表面シート抵抗は一般的に表面抵抗と称されるものと同一と認識される。また、この特許文献5に開示されている成形、焼結後の焼結体の体積抵抗、具体的には大気雰囲気中、1350℃で3時間保持して得られた焼結体の体積抵抗を本発明者らが測定したところ、3.7×10Ωcmと大きいものであった。
このように、酸化亜鉛焼結体からなるスパッタリングターゲットは適度な導電性を有しつつも、スパッタリング法で得られた膜においては逆に適度な絶縁性を有する膜としなければならないという、相反する特性を両立することが求められ、かつ連続的に安定的なDC放電可能な酸化亜鉛焼結体からなるスパッタリングターゲットが、生産性よく、つまり加工後に熱処理等の煩雑な工程がなくとも、形状精度よく得られることが望まれているのであるが、実現されていなかった。
国際公開第2005/033355号パンフレット 国際公開第2007/108266号パンフレット 特開平7−138745号公報 特開平7−258836号公報 特開平11−279755号公報
松本俊比古、土方倹三、佐々木朝照、日本大学文理学部自然科学研究所紀要、16、pp.5.21〜5.26(1981)
本発明は、このような課題を克服することを目的に提案されたものであり、RFスパッタリング法のみならず、DCスパッタリング法でも連続的に安定した優れた放電特性を確保し、生産性よく、つまり加工後に熱処理等の煩雑な工程がなくとも、形状精度よく当該スパッタリングターゲットが得られ、さらに用途に応じた適切な絶縁性を有した透明性膜を得ることのできる酸化亜鉛焼結体、その製造方法、それからなるスパッタリングターゲット並びにそれを用いた透明性膜の製造方法を提供するものである。
このような背景に鑑み、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の製造方法により、RFスパッタリング法のみならず、DCスパッタリング法でも連続的、かつ安定した優れた放電特性を確保し、生産性よく、つまり加工後に熱処理等の煩雑な工程がなくとも、形状精度よくスパッタリングターゲットが得られ、さらに用途に応じた適度な絶縁性を有した透明性膜を提供することのできる酸化亜鉛焼結体を得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の態様は以下の通りである。
(1)亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満の酸化亜鉛焼結体であって、当該焼結体の25℃での体積抵抗が1.0×10Ωcm以下であることを特徴とする酸化亜鉛焼結体。
(2)亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満の酸化亜鉛焼結体であって、当該焼結体の加工面の25℃での体積抵抗が1.0×10Ωcm以下である、(1)に記載の酸化亜鉛焼結体。
(3)亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満、BET比表面積が2〜20m/g、粉末かさ密度0.5〜1.8g/cmの酸化亜鉛粉末を成形し、焼成する酸化亜鉛焼結体の製造方法において、焼結温度が900〜1250℃であり、酸素が10体積%以下の不活性雰囲気下でガス流量パラメータが8000以上で焼成することを特徴とする、(1)または(2)に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法。
(4)上述の(1)または(2)に記載の酸化亜鉛焼結体からなることを特徴とする、酸化亜鉛スパッタリングターゲット。
(5)上述の(4)に記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることを特徴とする、透明性膜の製造方法。
(6)上述の(5)に記載の透明性膜の製造方法において、DCスパッタリング法で成膜する、透明性膜の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の酸化亜鉛焼結体は、亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満である。このような酸化亜鉛焼結体を用いることにより、高純度な酸化亜鉛膜を得ることが可能であり、用途に応じた適切な絶縁性を有した透明性の亜鉛酸化膜を得ることができ、半導体電子装置等の電子部品用として好適である。
また本発明の酸化亜鉛焼結体は、25℃での体積抵抗が1.0×10Ωcm以下である。これにより、熱処理等の煩雑な工程を行わなくとも、安定した放電特性を示すターゲットを製造することが可能となり、RFスパッタリング法のみならず、DCスパッタリング法でも安定した優れた放電特性を得ることができる。この体積抵抗は、好ましくは5.0×10Ωcm以下、更に好ましくは4.5×10Ωcm以下である。
特に、本発明の酸化亜鉛焼結体は、25℃での表面抵抗が1.0×10Ω/□以下であることが好ましい。このように、体積抵抗及び表面抵抗が所定の範囲内であるということは、焼結体全体にわたり所定の範囲内の抵抗に制御できていることを示しており、このような焼結体からなるターゲットを用いて連続的に放電させながら成膜した場合に、極めて安定した放電特性を示すことが可能となり、RFスパッタリング法のみならず、DCスパッタリング法でも安定した優れた放電特性を確保することができる。
ここで、体積抵抗、表面抵抗は以下のように測定されるものである。すなわち、体積抵抗は、測定試料の平行な対向する2面間に電圧を印加し、その2面間に流れる電流値を測定することにより求めることができ、JIS−K−6911に準拠して測定する。測定温度は25℃である。一方、表面抵抗は試料の表面及び近傍の導電性の尺度として用いられるもので、JIS−K−6911に準拠して測定する。測定温度は25℃である。
また本発明の酸化亜鉛焼結体は、亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満の酸化亜鉛焼結体であって、当該焼結体の加工面の25℃での体積抵抗が1.0×10Ωcm以下であることが好ましい。焼結体を加工して使用することは多くの用途で通常行われていることであるが、特許文献5に開示されているように、従来の酸化亜鉛焼結体では加工面の体積抵抗が上述の範囲よりも高くなるため、熱処理等により抵抗を調整する必要があった。しかしながら本発明によれば、酸化亜鉛焼結体の加工面の25℃での体積抵抗が1.0×10Ωcm以下のものが得られることから、焼結体を加工した後に熱処理等の煩雑な工程を行わなくとも、安定した放電特性を示し、RFスパッタリング法のみならず、DCスパッタリング法でも安定した優れた放電特性を確保することができる。また所定形状に加工した後、成膜装置の所定状態に精度良く装着することも可能となり、そのため均質な成膜が可能となる。
次に本発明の酸化亜鉛焼結体の製造方法について説明する。亜鉛源となる原料粉末は酸化亜鉛粉末であり、亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満、そのBET比表面積は2〜20m/g、好ましくは2〜15m/gである。亜鉛源として酸化亜鉛粉末を用いるのは、取扱性に優れているからである。その酸化亜鉛粉末のBET比表面積が2m/gを下回る場合は、平均粒径が大きいことを意味し、成形性に劣る。この場合、成形前に各種方法による粉砕処理等の粉末処理を施し、BET比表面積を2m/g以上として用いることも可能であるが、粉砕時に不純物の混入等があるため好ましくない。このBET比表面積の上限は20m/gである。20m/gを上回ると、粉末がかさ高くなり、取扱性が劣るとともに、成形歩留まりが低下する。また、圧密処理等により、粉末のかさを低くして用いることも可能であるが、不純物の混入等があるため好ましくない。このとき、粉末の粒径は、取扱性を考慮すると平均粒径1.5μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1.5μmである。このような粉末を使用することにより、焼結体密度が改善される。さらに平均粒径の小さい原料粉末を用いた場合は、かさ高く成形が非常に困難となり、製造効率が低下する傾向にある。
また原料の酸化亜鉛粉末は、粉末かさ密度0.5〜1.8g/cm、好ましくは0.7〜1.8g/cmである。このような範囲の粉末を用いることで、取扱性に優れ、成形歩留まりが高く、焼結体の密度も高まる。
このような酸化亜鉛粉末を成形し、焼成する。成形方法は、目的とした形状に成形できる成形方法を選択することが肝要であり、特に限定されるものではない。プレス成形法、鋳込み成形法等が例示できる。成形圧力はクラック等の発生がなく、取り扱いが可能な成形体であれば特に限定されるものではないが、成形密度は可能な限り、高めた方がより好ましい。そのために冷間静水圧成形(CIP)等の方法を用いることも可能である。水分や有機系の添加剤を成形助剤として使用した場合には、成形体中に残存する水分や有機系の添加剤を除去するため80〜500℃の温度で加熱処理を施すことが好ましい。この処理温度は、残存する水分や添加剤の量や種類により適宜選択されれば良い。
次に得られた成形体を焼成する。昇温速度は焼成時間の短縮と割れ防止の観点から、10〜400℃/時間とするのが好ましく、特に500℃までの昇温速度よりも500℃以上の昇温速度を遅くすることが一層好ましい。これにより、酸化亜鉛焼結体全体にわたり均質に所定の抵抗に制御することが一層容易となる。焼結保持温度は、900℃以上1250℃以下、好ましくは1000℃以上1200℃以下である。900℃を下回ると焼結密度が十分に高まらないことがあり、1250℃を上回ると焼成後にクラック等の欠陥を生じやすい。特に1000℃以上1200℃以下とすることにより、焼結密度が高く、クラック等の欠陥のない焼成体が好適に得られる。保持時間は1時間以上、好ましくは2〜10時間である。こうすることにより、焼結密度が高く、クラック等の欠陥のない焼成体が好適に得られる。降温速度については、通常の範囲内で設定されれば特に限定されるものではなく、焼成時間の短縮とクラック等の欠陥抑止の観点から、10〜500℃/時間とするのが好ましい。
焼成雰囲気は酸素が10体積%以下の不活性雰囲気であり、ここで不活性雰囲気とは希ガスおよび/または窒素のことである。焼成雰囲気は酸素が10体積%以下の窒素雰囲気であることが好ましく、特に窒素雰囲気であることが好ましい。本発明では、このような焼成雰囲気を少なくとも焼結温度で流通させることが好ましく、焼成温度500℃以上の温度域で流通させることが更に好ましい。
本発明では、焼成時のガス流量パラメータが8000以上であることが必須である。このガス流量パラメータは以下のように定義されたものである。すなわち、酸素が10体積%以下の不活性雰囲気ガスの流量A(L/min)、焼成する成形体の仕込み量B(kg)、酸素が10体積%以下の不活性雰囲気ガスを流通させた導入時間C(min)用い、下式により定義する。
ガス流量パラメータ=(C×A)/B
本発明では焼成時のガス流量パラメータが8000以上であるが、好ましくは10000以上であリ、その上限は特に限定されるものではないが、およそ50000である。このような条件にて、焼成することにより、焼結体及びその焼結体から得られるスパッタリングターゲットに適度な導電性を付与し、RFスパッタリング法のみならず、DCスパッタリング法でも安定性に優れた放電特性を確保することが可能となり、さらに焼結体全体にわたり所定の抵抗に制御できていることになる。これにより、連続的に放電させながら成膜した場合に、極めて安定した放電特性を示すことが可能となり、RFスパッタリング法のみならず、DCスパッタリング法でも安定した優れた放電特性を確保し、生産性よく、つまり加工後に熱処理を行う等の煩雑な工程のない工程で形状精度よく、当該スパッタリングターゲットが得ることができる。
ガス流量パラメータが8000を下回ると焼結体及びその焼結体から得られるスパッタリングターゲットに適度な導電性を付与することができず、具体的には体積抵抗、表面抵抗ともに高い抵抗となってしまうため、RFスパッタリング法での使用は可能であるが、DCスパッタリング法では安定した放電特性を得ることが困難となり、生産性よく、つまり加工後に熱処理を行う等の煩雑な工程のない工程で形状精度よく、連続的、かつ安定なDC放電を実現可能なスパッタリングターゲットが得られない。
本発明のスパッタリングターゲットは、前記の酸化亜鉛焼結体からなることを特徴とする。本発明においては、前記酸化亜鉛焼結体をそのままスパッタリングターゲットとして用いても良いが、通常は前記酸化亜鉛焼結体を所定の形状に加工してスパッタリングターゲットとして用いる。これは、成膜装置に所定の状態に精度良く、装着することが可能となり、そのため、均質な成膜を可能とする等の利点を有するからである。
本発明の酸化亜鉛焼結体からなるスパッタリングターゲットの最大の特徴は、このような加工を行った後に熱処理等の煩雑な工程を行わなくても、連続的かつ安定的にDC放電が可能であることである。
また本発明のスパッタリングターゲットは、スパッタリング面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることが一層好ましい。これにより、成膜時の異常放電の回数を一層抑制することが可能となり、安定した成膜を可能とする。中心線平均粗さは、前記酸化亜鉛焼結体のスパッタリング面を番手を変えた砥石等で機械加工する方法、サンドブラスト等で噴射加工する方法等により調整することが可能である。また中心線平均粗さは、例えば測定面を表面性状測定装置で評価することにより求めることができる。
本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることにより、RFスパッタリング法のみならず、高速で大面積に膜厚の均一性に優れた膜を成膜することが可能であるDCスパッタリング法でも安定して成膜することが可能であり、さらに用途に応じた適切な絶縁性を有した透明性膜を得ることができる。
なお、本発明で透明性膜とは、無アルカリガラス基板上に膜厚100nmの膜を成膜し、ガラス基板を含めて測定した膜の透過率が、以下の2つの条件のいずれをも満たすものである。
・波長550nm、1100nmでの透過率がそれぞれ80%以上
・波長400nm〜1400nmの平均透過率が80%以上。
スパッタリング時に用いられる基板の温度は特に限定されるものではないが、その基板の耐熱性に影響される。例えば、無アルカリガラスを基板とした場合は通常250℃以下、樹脂製のフィルムを基板とした場合は、通常150℃以下が好ましい。もちろん、石英、セラミックス、金属等の耐熱性に優れた基板を用いる場合には、それ以上の温度で成膜することも可能である。
スパッタリング時の雰囲気ガスは、通常、不活性ガス、例えばアルゴンガスを用いる。必要に応じて、酸素ガス、窒素ガス、水素ガス等を用いてもよい。
もちろん、本発明のスパッタリングターゲットを用いることにより、DCプラズマとRFプラズマを重畳したスパッタリングも可能となる。
このようにして得られた酸化亜鉛からなる透明性膜は、太陽電池、フォトダイオード、光センサー、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ、光情報伝達装置などに用いる光学素子に好適に応用される。
本発明の酸化亜鉛焼結体は、生産性よく、つまり加工後に熱処理等の煩雑な工程を行わなくとも、形状精度よくスパッタリングターゲットが得られ、そのスパッタリングターゲットとして用いることにより、特にRFスパッタリング法のみならず、高速で大面積に膜厚の均一性に優れた膜を成膜することが可能であるDCスパッタリング法でも連続的、かつ安定して成膜することが可能である。これにより、用途に応じた適切な絶縁性を有した高純度な透明性膜を得ることができる。得られた透明性膜は可視光域だけでなく、赤外領域の光透過性にも優れるため、太陽電池分野、表示器材分野等の光学素子に応用することができる。
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(粉末のBET比表面積)
MONOSORB(米国QUANTACHROME社製)を用い、BET式1点法により測定した。
(粉末のかさ密度)
JIS−R9301に準拠して測定した。
(粉末の純度、焼結体中の亜鉛以外の金属含有量)
粉末もしくは焼結体を酸溶解し、誘導結合アルゴンプラズマ発光分光分析装置を用いて測定した。
(酸化亜鉛焼結体の体積抵抗)
JIS−K6911に準拠して測定した。具体的には作製した酸化亜鉛焼結体を50mm×50mm×5mmを平板形状に加工し、50mm×50mmの対向する2面を400番のダイヤモンド砥石で仕上げて測定面とした。測定はハイレスタMCP−HT450(三菱化学製)で行い、50mm×50mmの対向する2面に電極を押し当て、10〜1000Vの電圧を測定試料の50mm×50mmの2面に1分印加し、電流値を検出し、体積抵抗を求めた。
(酸化亜鉛焼結体の表面抵抗)
JIS−K6911に準拠して測定した。具体的には作製した酸化亜鉛焼結体を50mm×50mm×5mmを平板形状に加工し、50mm×50mmの2面を400番のダイヤモンド砥石で仕上げて測定試料とした。測定はハイレスタMCP−HT450(三菱化学製)で行い、試料表面に電極を押し当て表面を流れる電流を検知し、試料下部にガード電極を置いて試料の厚さ方向に回り込んだ電流をグランドに流した。
(酸化亜鉛焼結体を用いたスパッタリングターゲットの製造方法)
得られた焼結体を4インチφサイズに加工し、ダイヤモンド砥石による機械加工や研磨加工等を施して表面性状を調整し、ターゲットとした。
(スパッタリングターゲットの中心線平均粗さ)
複合酸化物焼結体を適当な大きさに切断した後、スパッタリングターゲットの表面性状を調整する方法と同一の方法で測定面を作製し、この測定面を表面性状測定装置で評価し、中心線平均粗さを求めた。
(放電特性)
得られたターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により下記の条件で放電して、その安定性を評価した。具体的には、DCスパッタリング法の特徴である高速成膜の実現の観点から、投入電力と、連続的に放電した場合の放電電圧の変動をモニターし、投入電力300Wで放電電圧の変動が±2%の場合を「◎」、投入電力300Wで放電電圧の変動が±2〜5%の場合を「○」、300Wの投入電力をかけられても放電電圧の変動が±5%よりも大きい場合を「△」、放電電圧が高く、投入電力を300Wまで上げられない、即ち安定した放電が不可能であった場合を「×」とした。
なお、放電電圧の経時変化の測定は、異常放電による電圧変動を抑止するためにDCパルス装置(MDX Sparc−LE20)を併設して行った。
スパッタリング条件
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :5×10−5Pa
・スパッタリングガス :アルゴン+酸素(酸素/(アルゴン+酸素)で0.5%)
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・DCパワー :80〜300W
・スパッタリング時間 :200分。
(異常放電回数の評価)
上述の放電特性の評価で、投入電力300Wで放電電圧の変動が±2%のもの(「◎」のもの)について、下記スパッタリング条件下で1時間当たりに生じた異常放電回数を算出した。具体的には、異常放電回数が150回未満/時間の場合を「○」、異常放電回数が150回以上300回未満/時間の場合を「△」、300回以上/時間の場合を「×」とした。
スパッタリング条件
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :5×10−5Pa
・スパッタリングガス :アルゴン
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・DCパワー :300W
・スパッタリング時間 :30時間。
(スパッタリングターゲットの成膜試験)
得られたターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により下記の条件で成膜して酸化亜鉛透明膜を得た。
スパッタリング成膜条件
・装置 :DCマグネトロンスパッタ装置
・磁界強度 :1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
・基板温度 :室温(約25℃)
・到達真空度 :5×10−5Pa・スパッタリングガス :アルゴン+酸素(酸素/(アルゴン+酸素)で0.5%)
・スパッタリングガス圧:0.5Pa
・DCパワー :300W
・膜厚 :100nm
・使用基板 :無アルカリガラス(コーニング社製#1737ガラス)
厚さ0.7mm。
(薄膜の抵抗率)
JIS−K−6911に準拠して測定した。具体的には、50mm×50mm×0.7mmの無アルカリガラス基板の成膜面に電極を接触させ、測定装置ハイレスタMCP−HT450(三菱化学製)を用い、10〜1000Vの電圧を1分間印加したときの電流値を検出し、シート抵抗を求めた。
(薄膜の透過率)
基板を含めた薄膜の光透過率を、分光光度計U−4100(日立製作所社製)で波長240nmから2600nmの範囲を測定した。
(実施例1)
純度99.99%、BET比表面積2.8m/g、粉末かさ密度0.9g/cmの酸化亜鉛粉末を原料粉末とし、乾式ボールミルで圧密した後、直径150mmの金型に充填し、300kg/cmで一軸成形し、次いで3.0ton/cmでCIP成形した。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、アルゴン中、ガス流通パラメータ=40926の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は前記の方法により評価した。
(実施例2)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=40926の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例3)
実施例1と同様にして、但し純度99.9%、BET比表面積3.9m/g、粉末かさ密度1.0g/cmの酸化亜鉛粉末を用いて成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=40926の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例4)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、酸素と窒素を流量比8:92で流通させた中、ガス流通パラメータ=40926の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例5)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=9434の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例6)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を10℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1000℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=8232の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例7)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を10℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1050℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=26482の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例8)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を10℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1250℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=10944の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例9)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1100℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=28380の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例10)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=40926の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例11)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=40926の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例12)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度950℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=16458の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例13)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を10℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度900℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=25542の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(実施例14)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流通パラメータ=40926の条件で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(比較例1)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、大気中(酸素と窒素の流量比20:80に相当)、ガス流量パラメータ=40926で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(比較例2)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を10℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度800℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流量パラメータ=8820で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(比較例3)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1300℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流量パラメータ=40926で焼成した。得られた酸化亜鉛焼結体にはクラックが発生したため、評価を実施しなかった。
(比較例4)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流量パラメータ=6462で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(比較例5)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流量パラメータ=7296で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(比較例6)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を10℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度850℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、窒素中、ガス流量パラメータ=10026で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体の特性は実施例1と同様にして評価した。
(比較例7)
実施例1と同様にして成形体を得た。圧密後の粉末かさ密度は1.2g/cmであった。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1200℃で5時間保持し、降温速度100℃/h、酸素中、ガス流量パラメータ=53203で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。
(比較例8)
純度99.99%、BET比表面積2.8m/g、粉末かさ密度0.9g/cmの酸化亜鉛粉末を原料粉末とし、成形助剤としてPVA水溶液(酸化亜鉛粉末量に対して、PVAを固形分換算で0.5重量%)を添加した後、直径150mmの金型に充填し、300kg/cmで一軸成形し、次いで500kg/cmでCIP成形した。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1350℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、大気雰囲気中、ガス流量パラメータ=40926でで焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体には一部クラックが発生したが、実施例1と同様にして特性を評価した。また、得られた酸化亜鉛焼結体のクラックの発生していない部分を4インチφサイズに加工し、最終的に400番のダイヤモンド砥粒で表面を研磨加工して仕上げ、放電特性を行った。
(比較例9)
比較例8と同様にして成形体を得た。得られた成形体を、500℃までを50℃/h、それ以上の温度域を20℃/hの昇温速度で昇温し、焼成温度1350℃で3時間保持し、降温速度100℃/h、大気雰囲気中、ガス流量パラメータ=40926で焼成して、酸化亜鉛焼結体を得た。得られた酸化亜鉛焼結体には一部クラックが発生したが、実施例1と同様にして特性を評価した。また、得られた酸化亜鉛焼結体のクラックの発生していない部分を4インチφサイズに加工し、最終的に400番のダイヤモンド砥粒で表面を研磨加工して仕上げ、大気中、昇降温速度100℃/時間、800℃で3時間熱処理して放電特性を行った。
Figure 2012020911
Figure 2012020911
Figure 2012020911
表1、表3に示したように、本発明の酸化亜鉛焼結体は、体積抵抗が所定の範囲内にあり、それを用いることにより、生産性よく、つまり加工後に熱処理等の煩雑な工程を行わなくとも、優れたスパッタリングターゲットが得られる。そのようなスパッタリングターゲットを用いることにより、DCスパッタリング法でも安定した優れた放電特性を確保し、さらに用途に応じた適度な絶縁性を有した透明性膜を提供することができる。
また、表2に示したように、本発明の酸化亜鉛焼結体をターゲットとして用いた場合、そのスパッタリング面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で3μm以下とすることで、成膜時の異常放電の回数を一層抑制することが可能となり、DCスパッタリング法でのより安定した放電に寄与する。

Claims (6)

  1. 亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満の酸化亜鉛焼結体であって、当該焼結体の25℃での体積抵抗が1.0×10Ωcm以下であることを特徴とする酸化亜鉛焼結体。
  2. 亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満の酸化亜鉛焼結体であって、当該焼結体の加工面の25℃での体積抵抗が1.0×10Ωcm以下である、請求項1に記載の酸化亜鉛焼結体。
  3. 亜鉛以外の金属含有量が0.1重量%未満、BET比表面積が2〜20m/g、粉末かさ密度0.5〜1.8g/cmの酸化亜鉛粉末を成形し、焼成する酸化亜鉛焼結体の製造方法において、焼結温度が900〜1250℃であり、酸素が10体積%以下の不活性雰囲気下でガス流量パラメータが8000以上で焼成することを特徴とする、請求項1または2に記載の酸化亜鉛焼結体の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の酸化亜鉛焼結体からなることを特徴とする、酸化亜鉛スパッタリングターゲット。
  5. 請求項4に記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることを特徴とする、透明性膜の製造方法。
  6. 請求項5に記載の透明性膜の製造方法において、DCスパッタリング法で成膜する、透明性膜の製造方法。
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