JP2012016658A - 汚泥脱水剤および汚泥脱水方法 - Google Patents

汚泥脱水剤および汚泥脱水方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
下水処理場における下水余剰汚泥や下水消化汚泥のように繊維分の少ない所謂難脱水汚泥に対し、脱水ケーキ含水率低下の要求を満足し、架橋あるいは分岐した水溶性高分子においても添加量増加を極力抑えた汚泥脱水剤を開発することである。
【解決手段】
特定のカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、および特定のアニオン性単量体1〜5モル%からなる単量体混合物を重合した両性水溶性高分子によって達成できた。また連鎖移動剤を100〜1,000ppm、架橋剤を5〜100ppm、いずれも前記単量体混合物に対し質量換算で共存させ重合した架橋性の両性水溶性高分子によっても優れた効果を発揮する汚泥脱水剤を開発することができた。

【選択図】 なし

Description

本発明は、汚泥脱水剤および汚泥脱水方法に関するものであり、詳しくは特定のカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、およびアニオン性単量体1〜5モル%からなる単量体混合物を重合した両性水溶性高分子を含有する汚泥脱水剤に関する。また前記単量体混合物に対し、いずれも質量換算で連鎖移動剤を100〜1,000ppm、架橋剤を5〜100ppm共存させ重合した架橋性両性水溶性高分子を含有する汚泥脱水剤に関する。
従来、下水、し尿等で生じる有機性汚泥の脱水に対しては、カチオン性高分子凝集剤が広く使用され、その後両性高分子凝集剤が提案されている(特許文献1)。近年では下水処理場が脱水ケーキの含水率低下を要求する傾向が強く、上記の単なるカチオン性あるいは両性高分子では対応ができない状況である。また下水余剰汚泥や下水消化汚泥のように繊維分の少ないいわゆる難脱水汚泥では、特別の性能を要する凝集剤が必要になり、二種以上配合する凝集剤が提案される所以である。例えば特許文献2は、メタアクリル系カチオンポリマー(A)と(メタ)アクリル系両性ポリマーが、特許文献3ではカチオン性高分子(A)と、酸基の3〜30モル%がアルカリにより中和されてなるアニオン性単量体単位を含む両性高分子(B)の配合が、さらに特許文献4では、カチオン化度を規定し、カチオン性基とアニオン性基の比率を規定した両性高分子との配合をそれぞれ提案している。これらは上記いわゆる難脱水汚泥の処理を意図したものであるが、下水処理場の脱水ケーキ含水率低下の要求には到底満足されるものではない。また上記いわゆる難脱水汚泥には、架橋あるいは分岐した水溶性高分子が有効とされているが(特許文献5など)、薬剤添加量が増加し処理コストを押し上げるのが問題となっている。配合する場合は、工場における生産性が悪く、また架橋あるいは分岐した水溶性高分子は、優れた汚泥脱水剤であるが、薬剤添加量が増加し処理コストを押し上げる。この問題をなんとか解決できないかが課題として存在するのが現状である。
特開昭63−260928号公報 特開平8−112504号公報 特開2000−218297号公報 特開平9−57299号公報 特開平9−225499号公報
本発明の課題は、下水処理場における下水余剰汚泥や下水消化汚泥のように繊維分の少ない所謂難脱水汚泥に対し、脱水ケーキ含水率低下の要求を満足し、
架橋あるいは分岐した水溶性高分子においても添加量増加を極力抑えた汚泥脱水剤を開発することである。
上記課題を解決するため鋭意検討をした結果、以下に述べる発明に到達した。すなわち請求項1の発明は、下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表されるカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、および下記一般式(3)で表されるアニオン性単量体1〜5モル%の単量体混合物を重合した両性水溶性高分子を含有する汚泥脱水剤である。
一般式(1)
は水素又はメチル基、RおよびRは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、あるいはベンジル基、X は陰イオンをそれぞれ表す。
一般式(3)
は水素またはCHCOO、QはSO 、CSO
CONHC(CHCHSO 、CCOOあるいはCOO、Rは水素、メチル基またはCOOYであり、Y、Yは水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
請求項2の発明は、前記単量体混合物に対し、いずれも質量換算で連鎖移動剤を100〜1,000ppm、架橋剤を5〜100ppm共存させ重合することを特徴とする請求項1に記載の汚泥脱水剤である。
請求項3の発明は、前記両性水溶性高分子が、前記単量体混合物の水溶液を調製した後、界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、該単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し、重合して製造された油中水型エマルジョンであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の汚泥脱水剤である。
請求項4の発明は、上記界面活性剤が、HLB(親水性疎水性バランス)10〜15の親水性界面活性剤であることを特徴とする請求項3に記載の汚泥脱水剤である。
請求項5の発明は、下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表されるカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、および下記一般式(3)で表されるアニオン性単量体1〜5モル%の単量体混合物を重合した両性水溶性高分子を含有する汚泥脱水剤を、汚泥に添加し脱水処理することを特徴とする汚泥脱水方法である。
一般式(1)
は水素又はメチル基、RおよびRは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、あるいはベンジル基、X は陰イオンをそれぞれ表す。

一般式(3)
は水素またはCHCOO、QはSO 、CSO
CONHC(CHCHSO 、CCOOあるいはCOO、Rは水素、メチル基またはCOOYであり、Y、Yは水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
請求項6の発明は、無機凝集剤を併用することを特徴とする請求項5に記載の汚泥脱水方法である。
本発明の汚泥脱水剤は、下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表されるカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、および下記一般式(3)で表されるアニオン性単量体1〜5モル%の単量体混合物を重合した両性水溶性高分子を含有することを特徴とする。また前記単量体混合物に対しいずれも質量換算で連鎖移動剤を100〜1,000ppm、架橋剤を5〜100ppm共存させ架橋性の両性水溶性高分子を重合することもできる。従来、両性高分子凝集剤というとアニオン性単量体を5〜20モル%の範囲で共重合させる重合物であった。しかし両性高分子凝集剤の機能は、分子内あるいは分子間イオンコンプレックスを形成させ、見掛けの分子量を増加させ凝集力を高める、あるいは生成したイオンコンプレックスの疎水的な性質(イオン結合により高分子のイオン性が減少するため)を利用してフロック径やフロック強度の調節を行うものである。
従ってアニオン性単量体は、上記範囲の共重合率は必ずしも必要ではなく、カチオン性基が無駄に使用されるだけでなく、返って凝集剤の性能を低下させる場合もある。汚泥はアニオン性の安定な親水性コロイドであり、凝集処理にはカチオン性基による表面電荷の中和が不可欠である。分子内のアニオン性基自体は、汚泥の表面電荷の中和作用には直接的な関係はない。本発明に掛かる両性水溶性高分子は、イオンコンプレックスの形成など効果の増強に作用するために必要なだけのアニオン性基を導入した。その結果余分なアニオン性基によってカチオン性基の消費の減少し、処理添加量も削減することができた。
さらにアニオン性を減少させることによって、架橋剤の架橋反応も向上し架橋剤の添加量が同じなら架橋度が増加することが分かった。これは電荷内包率を測定することで確認することができた。以上の理由により本発明に掛かる両性水溶性高分子は、従来に較べ優れた凝集性能を発揮し、難脱水汚泥に対しても十分な凝集と脱水ケーキ含水率を達成できる。
一般式(1)
は水素又はメチル基、RおよびRは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
一般式(2)
は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、あるいはベンジル基、X は陰イオンをそれぞれ表す。
一般式(3)
は水素またはCHCOO、QはSO 、CSO
CONHC(CHCHSO 、CCOOあるいはCOO、Rは水素、メチル基またはCOOYであり、Y、Yは水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
本発明の両性水溶性高分子を製造するために、重合時あるいは重合後に構造改質剤、すなわち高分子を構造変性する架橋性単量体を使用する。この架橋性単量体は、単量体総量に対し質量換算で5〜100ppm、また好ましくは10〜50ppm存在させる。架橋性単量体の例としては、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリアリルアミン、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸―1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、N−ビニル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアリルアクリルアミド、アクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、アクロレイン、グリオキザール、ビニルトリメトキシシランなどがあるが、この場合の架橋剤としては、水溶性ポリビニル化合物がより好ましく、最も好ましいのはN,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミドである。またギ酸ナトリウム、イソプロピルアルコール、メタリルスルホン酸ナトリウム等の連鎖移動剤を併用することも架橋性を調節する手法として効果的である。添加量としては、単量体総量に対し質量換算で100〜1,000ppm、また好ましくは200〜700ppm存在させる。
本発明の両性水溶性高分子は、アニオン性が低いことが特徴であるが、架橋性の両性水溶性高分子を合成し、それを汚泥脱水剤として使用することもできる。
架橋性水溶性高分子は、前に述べたように難脱水性汚泥に対し優れた凝集性能を有するが、脱水ケーキの含水率を低下させるには直鎖水溶性高分子に較べ添加量が増加する。低アニオン性の両性水溶性高分子にすることと、架橋性水溶性高分子にすることの関係について以下説明する。直鎖状水溶性高分子は伸びた状態にあり、そこに懸濁粒子を吸着させ生成した凝集フロックは、大きいがふわふわして強固になりにくい。強度を増すため添加量を増加していってもフロックの改善はない。その原因は、伸びた状態にあるため懸濁粒子との接触サイトが多く、その結果見かけ上の電荷的飽和になりやすい。攪拌強度を増加させ生成フロックを破壊し新しい吸着面を作ればよいが、上記のような現象がまた起こり、結局小さく強固なフロックは生成しない。
これに対し架橋性水溶性高分子が汚泥中に添加されると懸濁粒子に吸着し、粒子同士の接着剤として作用し結果として粒子の凝集が起こる。この時「密度の詰まった」分子形態であるため粒子表面と多点で結合し、より締った強度の高いフロックを形成すると推定される。多点で結合することは、懸濁粒子への吸着性能が優れ、そのため未吸着の水溶性高分子が少なく、汚泥中に遊離せず汚泥粘性の増加が発生しない。またまるまった形態をした分子の内側に存在するカチオン性基は、懸濁粒子の電荷中和には寄与せず、見かけ上カチオン化度の低い分子として作用し、カチオン性飽和による再分散作用は少なくなる。結果として小さなサイズで絞まった強固なフロックが形成され機械脱水時、水切れが良くケーキ含水率が低下すると考えられる。
一方、本発明において両性水溶性高分子は、アニオン性単量体の共重合率を1〜5モル%と少量に限定している。この理由として以下のように論理付けられる。従来、両性高分子凝集剤というとアニオン性単量体を5〜20モル%の範囲で共重合させる重合物が多かった。しかし両性高分子凝集剤の機能は、分子内あるいは分子間イオンコンプレックスを形成させ、見掛けの分子量を増加させ凝集力を高める、あるいは生成したイオンコンプレックスの疎水的な性質(イオン結合により高分子のイオン性が減少するため)を利用してフロック径やフロック強度の調節を行うものである。
従ってアニオン性単量体は、上記範囲の共重合率は必ずしも必要ではなく、カチオン性基が無駄に使用されるだけでなく、返って凝集剤の性能を低下させる場合もある。汚泥はアニオン性の安定な親水性コロイドであり、凝集処理にはカチオン性基による表面電荷の中和が不可欠である。分子内アニオン性基自体は、汚泥の表面電荷の中和作用には直接的な関係はない。本発明に掛かる両性水溶性高分子は、イオンコンプレックスの形成など効果の増強に作用するために必要なだけのアニオン性基を導入した。その結果余分なアニオン性基によってカチオン性基の消費が減少し、処理添加量も削減することができた。
さらにアニオン性を減少させることによって、架橋性単量体の架橋反応も向上し架橋剤の添加量が同じなら架橋度が増加することが分かった。これは実施例でも示されるように電荷内包率を測定することで確認することができた。以上の理由により本発明に掛かる両性水溶性高分子は、従来に較べ優れた凝集性能を発揮し、難脱水汚泥に対しても十分な凝集と脱水ケーキ含水率を達成できる。
両性水溶性高分子を製造するため使用するカチオン性単量体は、前記一般式(1)で表わされる単量体である。すなわちカチオン性単量体の例として(メタ)アクリロイルオキシアルキル4級アンモニウム塩である(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどであり、また(メタ)アクリロイルオキシアルキル3級アミン塩としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルアミン硫酸塩、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルアミン塩酸塩などである。また(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩としては、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートなどである。さらに(メタ)アクリロイルアミノ(ヒドロキシ)アルキル3級アミン塩の(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルアミン塩酸塩などである。また前記一般式(2)で表わされる単量体の例としてジアリルジメチルアンモニウム塩、ジアリルメチルベンジルアンモニウム塩、ジアリルジエチルアンモニウム塩などである。
アニオン性単量体の例は、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸あるいは2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸あるいはp−カルボキシスチレンなどである。
両性水溶性高分子を製造する場合、非イオン性単量体を共重合してもよくその例としては以下のようなものがある。すなわちアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、アクリロイルモルホリンなどがあげられる。
これら両性水溶性高分子におけるカチオン性単量体のモル%は、10〜95モル%であることが好ましく、更に好ましくは20〜95モル%である。またアニオン性単量体のモル%は、1〜5モル%であり、好ましくは2〜5モル%である。また分子量は重量平均分子量で300万〜1500万であり、好ましくは300万〜1000万である。
本発明の両性水溶性高分子は、重合する前の単量体混合物に対し、いずれも質量換算で連鎖移動剤を100〜1,000ppm、架橋剤を5〜100ppm共存させ架橋性の両性水溶性高分子を合成することもできる。その0.2質量%水溶液粘度をAQV、前記両性水溶性高分子の0.5質量%1N食塩水溶液中粘度をSLVとすると、両方の比が
30≦AQV/SLV≦100(25℃において)
であることが好ましい。この数値は架橋の度合いを表すのに使用することができる。架橋性のイオン性水溶性高分子は、分子内で架橋しているために、水中においても分子が広がりにくい性質を有し、直鎖状高分子に較べれば水中での広がりは小さいはずであるが、架橋度が増加するに従い、B型粘度計(回転粘度計の一種)に測定した場合の粘度は大きくなる。この原因はB型粘度計のローター(測定時の回転子)と溶液との摩擦かあるいは絡み合いによるものと推定されるが正確には不明である。一方、架橋性のイオン性水溶性高分子の塩水中の粘度は、架橋度が増加するに従い低下していく。架橋によって分子が収縮しているので、塩水の多量のイオンによってその影響をより大きく受けるものと考えられる。従ってこれらの理由によって二つの粘度測定値の比、AQV/SLVは、架橋度が高くなるに従い大きくなる(架橋がさらに進み水不溶性になった場合は、この関係は成り立たない)。本発明の架橋性の両性水溶性高分子では、この値は約30〜100程度になる。直鎖状の水溶性高分子、あるいは弱く架橋した水溶性高分子では、この値が10から30未満程度であることを考慮すると、本発明の架橋性の両性水溶性高分子は、高度に架橋した水溶性高分子であることが分かる。
また前述の電荷内包率に関しても説明する。電荷内包率は、以下のように定義される。すなわち
定義1)水溶性カチオン性高分子および両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体共重合率の差が正である水溶性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αは酢酸にてpH4.0に調整した水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量。βは酢酸にてpH4.0に調整した水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を前記水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量。ここでブランク値とは、水溶性カチオン性高分子あるいは両性水溶性高分子水溶液無添加時にポリビニルスルホン酸カリウム水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量である。
定義2)両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が負である水溶性高分子の場合
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
αはアンモニアにてpH10.0に調整した水溶性両性高分子水溶液をポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液にて滴定した滴定量。βはアンモニアにてpH10.0に調整した水溶性両性高分子水溶液にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液を前記水溶性両性高分子の電荷の中和を行うに十分な量加え、その後ポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量をブランク値から差し引いた滴定量。ここでブランク値とは、水溶性両性高分子水溶液無添加時にジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液をポリビニルスルホン酸カリウム水溶液にて滴定した滴定量である。
すなわち電荷内包率の高い水溶性高分子は、架橋度が高まった水溶性高分子であり、電荷内包率の低い水溶性高分子は、架橋度が低い水溶性高分子であると言える。この理由は、以下の通りに説明される。直鎖状水溶性高分子は、希薄溶液中では、分子はほぼ「伸びきった」形状をしている。一方、架橋性水溶性高分子は、溶液中において粒子状の丸まった形状をしていて、粒子状の内部に存在するイオン性基は、外側には現われにくく、反対電荷との反応も緩慢に起こると考えられる。
ここで架橋性水溶性カチオン性高分子および、両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が正である架橋性水溶性両性高分子に関しては、電荷内包率は以下のようになる。
電荷内包率[%]=(1−α/β)×100
滴定量αは、試料である架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子に反対電荷を有するポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を滴下して行き、水溶性カチオン性(両性)高分子の「表面」(粒子状の表面部)に存在するイオン性基にイオン的静電反応を行わせる操作を意味する。
次に架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子の理論的な電荷量を中和するに十分な量以上の反対電荷を有するポリビニルスルホン酸カリウムを添加し、反応時間を十分取ったその後、余剰のポリビニルスルホン酸カリウムをジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液により滴定する。また別に架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子を添加しないでポリビニルスルホン酸カリウム溶液をジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液により滴定し、ブランク値を出しておき、ブランク値より架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子を添加した場合の滴定量を差し引き、この値がβとなる。β値は、架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子の化学組成から計算される理論的な電荷量に相当すると考えられる。すなわち架橋性カチオン性(両性)水溶性高分子に対し、反対電荷が多量に存在するので、表面のカチオン性電荷だけでなく、内部の電荷まで静電的な中和反応が行われると考えられる。架橋度が高ければ、αはβに対し小さくなり、(1−α/β)値は、1に比べ大きくなり電荷内包率は大きい(すなわち架橋の度合いは高くなる)。
両性でかつカチオン性単量体とアニオン性単量体の共重合率の差が負である架橋性水溶性両性高分子の電荷内包率に関しても、上記とほぼ同じ内容で説明することができるが、アニオン性基を解離させるためアンモニアでpHをアルカリ性にするという違いだけがある。
ここでAQV/SLVと電荷内包率の数値の比較、また架橋した本発明のアニオン化度1から5モル%の両性水溶性高分子と従来のアニオン化度の高い両性水溶性高分子の架橋の程度に関して比較する。段落0000の実施例1で合成した表1に記載する試作品―3は、カチオン性単量体50モル%、アニオン性単量体5モル%であり、AQV/SLV値は40、電荷内包率は50であり、比較的高度に架橋した水溶性高分子である。これに対し試作―10は、イオン性は同様であり、架橋剤のない条件で重合したものでありAQV/SLV値は15、電荷内包率は16%であり、ほぼ架橋のない水溶性高分子である。また比較例―3は、カチオン性単量体50モル%で同じだが、アニオン化度が高く20モル%である。AQV/SLV値と電荷内包率はそれぞれ20と30%であり、架橋の程度としては低い領域に入る。しかし架橋剤の量をみると単量体に対し質量比で40ppmと試作―3に較べかなり多く添加しているが、架橋程度は低いことが示されている。すなわちアニオン化度あるいはイオン性を低下させることにより架橋度は、上がりやすくなることが分かる。原因は、架橋の掛かりやすいアクリルアミドが増えるためと推定はされるが、まだ確証はない。従って上記のことからも本発明の特徴を理解することができる。
本発明における両性水溶性高分子の製品形態としては、粉末、油中水型エマルジョン、塩水溶液中分散液などどのような形態でも実施可能であるが、架橋性の水溶性高分子を重合する場合において、最も好ましい形態は油中水型エマルジョンである。
粉末状の製品は、以下のようにして製造することができる。例えば塩水溶液中あるいは水に非混和性有機液体中にて分散重合した分散液、水溶液重合による粘性液体、あるいは単量体水溶液を高濃度で重合し流動性のない水性ゲル状物を得て、その後乾燥し造粒した粉末状とする。すなわち塩水中にて分散重合した分散液の場合は、直接乾燥機に入れ、一定時間乾燥し、塊状物を粉砕する方法がある。また水に非混和性有機液体中にて分散重合した分散液の場合は、非混和性有機液体を分離し、湿潤な重合粒子を乾燥機にて乾燥し粉末状とする。水溶液重合により生成した粘性液体は、水混和性有機液体により重合物を析出させ、それを乾燥し粉砕する。単量体を高濃度で水溶液重合した流動性のない水性ゲル状物の場合は、ミートチョッパーなどでゲル状物をミンチ化し、それを乾燥後、粉砕し粉末とする方法を採る。
油中水型エマルジョンの場合は、イオン性単量体、あるいはイオン性単量体、共重合可能な単量体及びこれら単量体に対し生成した重合体が水溶性を保つモル比で添加した架橋性単量体を含有する単量体混合物を水、少なくとも水と非混和性の炭化水素からなる油状物質、油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤を混合し、強攪拌し油中水型エマルジョンを形成させ重合することにより合成する。
また分散媒として使用する炭化水素からなる油状物質の例としては、パラフィン類あるいは灯油、軽油、中油などの鉱油、あるいはこれらと実質的に同じ範囲の沸点や粘度などの特性を有する炭化水素系合成油、あるいはこれらの混合物があげられる。含有量としては、油中水型エマルジョン全量に対して20質量%〜50質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜35質量%の範囲である。
油中水型エマルジョンを形成するに有効な量とHLBを有する少なくとも一種類の界面活性剤の例としては、HLB1〜15のノニオン性界面活性剤であり、その具体例としては、ソルビタンモノオレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソルビタンモノパルミテ−トなどがあげられる。これら界面活性剤の添加量としては、油中水型エマルジョン全量に対して0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%の範囲である。
この場合、高HLB界面活性剤により乳化させ、油中水型エマルジョンを成
させ重合したエマルジョンは、このままで水となじむので転相剤を添加する必
用がない。これら界面活性剤のHLBは、9〜20のもの、好ましくは11〜
20のものを使用する。高HLB界面活性剤により乳化、重合した油中水型エ
マルジョンは、溶解が優れていて所謂フィッシュアイなどの未溶解粒子の発生
が少なく、ライン溶解し汚泥などの凝集処理対象物質に直接添加することがで
きる。そのような界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9
〜15のノニオン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピ
レンアルキルエ−テル系、ポリオキシエチレンアルコールエ−テル系などであ
る。
低HLBの界面活性剤により乳化、重合した場合は重合後転相剤と呼ばれる親水性界面化成剤を添加して油の膜で被われたエマルジョン粒子が水になじみ易くし、中の水溶性高分子が溶解しやすくする処理を行い、水で希釈しそれぞれの用途に用いる。親水性界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤やHLB9〜15のノニオン性界面活性剤であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエ−テル系、ポリオキシエチレンアルコールエ−テル系などである。本発明に掛かる両性水溶性高分子は、高HLB界面活性剤により乳化させ油中水型エマルジョンであることが好ましい。すなわち高HLB界面活性剤を使用した場合、フィッシュアイなどを形成しにくく溶解性が良好であり、ライン溶解し、溶解液をそのまま汚泥に添加できるなどのメリットがある。添加量は油中水型エマルジョン液量に対し質量換算で0.5〜5%であり、好ましくは0.5〜2%である。
塩水溶液中分散液の場合は、硫酸アンモニウムのような多価アニオン塩の水溶液を調製し、この中にカチオン性単量体、あるいは非イオン性単量体からなる混合物を仕込み、また、両性水溶性重合体の場合はアニオン性単量体をしこみ、分散剤として該塩水溶液に可溶な高分子分散剤を共存させ攪拌下、分散重合し合成することができる。
高分子分散剤としては、非イオン性あるいはカチオン性高分子のいずれでも使用可能であるが、カチオン性高分子のほうがより好ましい。カチオン性高分子としては、アクリル系カチオン性単量体、たとえば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルやジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの無機酸や有機酸の塩、あるいは塩化メチルや塩化ベンジルによる四級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合体である。例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウム塩化物などがあげられ、これら単量体と非イオン性単量体との共重合体でも良い。またジメチルジアリルアンモニウム塩化物重合体などジアリルアミン系重合体でも使用できる。
非イオン性高分子の例としては、上記非イオン性単量体の(共)重合体、ポリビニルアルコ−ル、スチレン/無水マレイン酸共重合物あるいはブテン/無水マレイン酸共重合物の完全アミド化物などである。
上記イオン性高分子の分子量としては、5、000から300万、好ましくは5万から150万である。また、非イオン性高分子分の分子量としては、1,000〜100万であり、好ましくは1,000〜50万である。これら高分子分散剤の単量体に対する添加量は、1/100〜1/10であり、好ましくは2/100〜5/100である。
これら上記の種々重合は、重合は窒素雰囲気下にて、重合開始剤、例えば2、
2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩化水素化物または2、2’−アゾビ
ス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素
化物のような水溶性アゾ系重合開始剤、あるいは過硫酸アンモニウムおよび亜
硫酸水素ナトリウム併用のような水溶性レドックス系重合開始剤を添加し、撹
拌下あるいは無攪拌下ラジカル重合を行う。
本発明の水溶性高分子組成物は、0.1質量%濃度の水溶液とした時の水溶液pHが通常4.0以下、好ましくは3.0以下である。水溶液pHが4.0を上回ると十分な性能が得られない。そのため酸性物質を配合する。この理由は二つある。すなわち両性水溶性高分子を配合するため溶液pHが約5〜約9の範囲でイオンコンプレックスを形成し溶液が白濁する。このイオンコンプレックスが生成した状態で汚泥など処理対照に添加すると、性能が低下するためである。またpHが5付近より高い範囲では本発明で使用する(メタ)アクリル系水溶性高分子が加水分解を受け、劣化しやすくなる。0.1質量%濃度というのは、処理対象に添加する場合の下限に近い溶液濃度である。これら現象を防止するため水溶液のpHは4以下、1以上にすることが好ましい。
このような酸性物質の例として、無機あるいは有機の酸として塩酸、硫酸、酢酸、スルファミン酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸などである。これら酸性物質の添加量として水溶性高分子の固形分換算として、5〜20質量%であり、好ましくは7〜15質量%であり、0.1質量%濃度に溶解してもpHが4以下を確保できる。
本発明の架橋した両性水溶性高分子は、前述の理由によりアニオン化度を十分低下させてあることが特徴である。その結果アクリル酸などの連鎖移動の影響を受けずに架橋が進みやすく、同じ添加量の架橋性単量体により架橋の度合いが高まる。従来、両性水溶性高分子は、発明の詳細な説明中に「アニオン性単量体の共重合率として5から30モル%が好ましく」(特開平7−256299号公報)、あるいは「アニオン性単量体構成単位5〜20モル%」(特開2002−233707号公報)、さらに「アニオン当量値(以下Avと表す)が0.2〜2.5meq/gであることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.8meq/gである。」(特開2002−177706号公報)など一般的な記載は見られる(0.3meq/gでは2モル%共重合に相当する)。しかし実施例の検討では、こうした低アニオン性の両性水溶性高分子の記載は見当たらないのが現状である。本発明者等はこのような低アニオン性の領域の両性水溶性高分子の検討を詳細に行った。その結果、低アニオン性の両性水溶性高分子によって添加量の削減が達成でき、さらに従来、架橋性の水溶性高分子の欠点といわれる添加量の増加がなく、削減が達成できる場合もあり、優れた凝集性能が得られることが判明した。
本発明の両性水溶性高分子を含有するからなる汚泥脱水剤は、下水、し尿、産業排水の処理で生じる有機性汚泥(いわゆる生汚泥、余剰汚泥、混合生汚泥、消化汚泥、凝沈・浮上汚泥およびこれらの混合物)に通常0.1〜0.2質量%水溶液として添加される。対象とする汚泥に特に限定されないが、繊維分の少ない汚泥、有機分含有量(VSS/SS)の高い汚泥、腐敗度の高い汚泥に対し特に有効であり好ましい。
また本発明の両性水溶性高分子を含有するからなる汚泥脱水剤は、単独で汚泥脱水に使用しても良いが、脱水効果がより好ましいのは、鉄塩、アルミ塩等の無機凝集剤と併用することができる。該無機凝集剤としては、塩鉄、硫鉄、ポリ鉄、PAC、硫酸バンドなどが挙げられる。汚泥に対する添加量は、通常汚泥固形分に対し0.1〜2質量%、好ましくは0.3〜1.0質量%である。アニオン化度が低いために前に述べたように、無機凝集剤のカチオン電荷が無駄に消費されることなく効率よく作用する。その分無機凝集剤の効果が向上する。
使用する脱水機の種類は、デカンター、スクリュープレス、ベルトプレス、ロータリープレスなど通常の脱水機が可能である。
(実施例)以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにポリオキシエチレントリデシルエ−テル12.5g(対エマルジョン2.5質量%)を仕込み溶解させた。別に脱イオン水29.8gとアクリル酸(AACと略記)60%水溶液4.9g、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DAMQと略記)80%水溶液75.4g、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMMQと略記)80%水溶液27.0g、アクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液230.4g及びメチレンビスアクリルアミド0.1質量%水溶液2.0g(対単量体0.001質量%)を各々採取し、各々を混合し完全に溶解させた。その後pHを3.95に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=15/5/2/78(モル%)である。
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール10質量%水溶液1.0g(対単量体0.05質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の1質量%水溶液2.0g(対単量体0.01質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。(試料−1)とする。試験に供する試料を、水溶性高分子濃度0.1質量%とした場合の粘度(AQV)、0.1質量%で1N食塩水中の粘度(SLV)を25℃においてB型粘度計(回転粘度計の一種)により測定し、ミューテック社製PCD滴定装置により電荷内包率を測定した。さらに光散乱法による重量平均分子量は約900万であった。
同様な操作によりDAMQ/DMMQ/AAC/AAM=30/5/3/62(試作−2)、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/5/45(試作−3)、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/4/46(試作−4)、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/2/48(試作−5)、
DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/1/49(試作−6)、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=50/10/5/35(試作−7)、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=70/10/5/15(試作−8)からなる油中水型エマルジョンを合成した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様な操作によりDAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/10/40(比較−1)、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/15/35(比較−2)、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/20/30(比較−3)からなる油中水型エマルジョンを合成した。結果を表1に示す。
攪拌機および温度制御装置を備えた反応槽に沸点190°Cないし230°Cのイソパラフィン126.0gにポリオキシエチレントリデシルエ−テル12.5g(対エマルジョン2.5質量%)を仕込み溶解させた。別に脱イオン水31.8gとアクリル酸(AACと略記)60%水溶液4.9g、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DAMQと略記)80%水溶液75.4g、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物(以下DMMQと略記)80%水溶液27.0g、アクリルアミド(AAMと略記)50%水溶液230.4gを各々採取し、各々を混合し完全に溶解させた。その後pHを3.95に調節し、油と水溶液を混合し、ホモジナイザーにて1000rpmで15分間攪拌乳化した。この時の単量体組成は、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=15/5/2/78(モル%)である。
得られたエマルジョンにイソプロピルアルコール10質量%水溶液1.0g(対単量体0.05質量%)を加え、単量体溶液の温度を30〜33℃に保ち、窒素置換を30分行った後、2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕二塩化水素化物の1質量%水溶液2.0g(対単量体0.01質量%)を加え、重合反応を開始させた。反応温度を32±2℃で12時間重合させ反応を完結させた。(試料−9)とする。試験に供する試料を、水溶性高分子濃度0.1質量%とした場合の粘度(AQV)、0.1質量%で1N食塩水中の粘度(SLV)を25℃においてB型粘度計(回転粘度計の一種)により測定し、ミューテック社製PCD滴定装置により電荷内包率を測定した。さらに光散乱法による重量平均分子量は約700万であった。
同様な操作によりDAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/5/45(試作−10)、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/2/48(試作−11)からなる油中水型エマルジョンを合成した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2と同様な操作によりDAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/10/40(比較−4)、DAMQ/DMMQ/AAC/AAM=45/5/20/30(比較−5)からなる油中水型エマルジョンを合成した。結果を表1に示す。
(表1)
DAMQ;クリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
DMMQ;メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
AAM;アクリルアミド、AAC;アクリル酸、AQV/SLV;無次元
電荷内包率;%、架橋剤添加量;単量体に対する質量換算ppm
下水消化汚泥(pH7.75、ss分16,800mg/L)を用い、本発明の両性水溶性高分子を用い汚泥脱水試験を実施した。200mLをポリビ−カ−に採取し、表1の試作−1〜試作−11をそれぞれ対汚泥SS分0.70%(懸濁粒子質量%)加え、ビ−カ−移し替え攪拌20回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、10秒後の濾液量の測定、及びフロック強度(大きさ)を目視により測定した。その後50秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/m2で1分間脱水する。その後、濾布剥離性を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表2に示す。
(比較例3)実施例3と同様な操作により、比較−1〜比較−5に関して試験を実施した。結果を表2に示す。
比較−1〜比較−5は、それぞれアニオン共重合率が10〜20モル%であり、
試料−1〜試料−11に較べ高い。その結果、試料−1〜試料−11に較べ添加量を増加させないと(試料−1〜試料−11に対し15%増し)同等以上の効果を発揮しないことが分かる。
(表2)
ケーキ含水率:質量%、添加量:対ss質量%、10秒後濾液量:mL
フロック強度:mm
食品余剰汚泥(pH6.50、ss分21,300mg/L)を用い、本発明の水溶性高分子組成物を用い汚泥脱水試験を実施した。200mLをポリビ−カ−に採取し、表1の試作−1〜試作−11をそれぞれ対汚泥SS分0.85%(懸濁粒子質量%)加え、ビ−カ−移し替え攪拌20回行った後、T−1179Lの濾布(ナイロン製)により濾過し、10秒後の濾液量の測定、及びフロック強度(大きさ)を目視により測定した。その後50秒間濾過した汚泥をプレス圧3Kg/m2で1分間脱水する。その後、濾布剥離性を目視によりチェックし、ケ−キ含水率(105℃で20hr乾燥)を測定した。結果を表3に示す。
(比較例4)実施例4と同様な操作により、比較−1〜比較−5に関して試験を実施した。結果を表3に示す。
比較−1〜比較−5は、それぞれアニオン共重合率が10〜20モル%であり、
試料−1〜試料−11に較べ高い。その結果、試料−1〜試料−11に較べ添加量を増加させないと(試料−1〜試料−11に対し10%増し)同等以上の効果を発揮しないことが分かる。
(表3)

ケーキ含水率:質量%、添加量:対ss質量%、10秒後濾液量:mL
フロック強度:mm

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表されるカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、および下記一般式(3)で表されるアニオン性単量体1〜5モル%の単量体混合物を重合した両性水溶性高分子を含有する汚泥脱水剤。
    一般式(1)
    は水素又はメチル基、RおよびRは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(2)
    は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、あるいはベンジル基、X は陰イオンをそれぞれ表す。
    一般式(3)
    は水素またはCHCOOY、QはSO、CSO
    CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO、Rは水素、メチル基またはCOOYであり、Y、Yは水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
  2. 前記単量体混合物に対し、いずれも質量換算で連鎖移動剤を100〜1,000ppm、架橋剤を5〜100ppm共存させ重合することを特徴とする請求項1に記載の汚泥脱水剤。
  3. 前記両性水溶性高分子が、前記単量体混合物の水溶液を調製した後、界面活性剤により水に非混和性有機液体を連続相、該単量体混合物水溶液を分散相となるよう乳化し、重合して製造された油中水型エマルジョンであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の汚泥脱水剤である。
  4. 上記界面活性剤が、HLB(親水性疎水性バランス)10〜15の親水性界面活性剤であることを特徴とする請求項3に記載の汚泥脱水剤である。
  5. 下記一般式(1)および/または下記一般式(2)で表されるカチオン性単量体、(メタ)アクリルアミド、および下記一般式(3)で表されるアニオン性単量体1〜5モル%の単量体混合物を重合した両性水溶性高分子を含有する汚泥脱水剤を、汚泥に添加し脱水処理することを特徴とする汚泥脱水方法。
    一般式(1)
    は水素又はメチル基、RおよびRは炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシ基あるいはベンジル基、Rは水素、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基あるいはベンジル基であり、同種でも異種でも良い。Aは酸素またはNH、Bは炭素数2〜4のアルキレン基またはアルコキシレン基、Xは陰イオンをそれぞれ表わす。
    一般式(2)
    は水素又はメチル基、R、Rは炭素数1〜3のアルキル基、あるいはベンジル基、X は陰イオンをそれぞれ表す。


    一般式(3)
    は水素またはCHCOOY、QはSO、CSO
    CONHC(CHCHSO、CCOOあるいはCOO、Rは水素、メチル基またはCOOYであり、Y、Yは水素または陽イオンをそれぞれ表わす。
  6. 無機凝集剤を併用することを特徴とする請求項5に記載の汚泥脱水方法。
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