(実施例) 図1ないし図13は本発明の整髪器具をヘアーセッターに適用した実施例を示す。本発明における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表示した前後、左右、上下の文字表示に従うこととする。図2および図3に示すようにヘアーセッターは、上下に長い本体部1と、本体部1に交換装着される複数種のアタッチメントで構成する。具体的には、ブローブラシ(ブラシ部)2A、ロールブラシ(ブラシ部)2B、および図示していないノズルがアタッチメントを構成する。
本体部1は、送風ファン3およびヒータ4などを内蔵する筒状の本体ケース5と、図2において本体ケース5の上端の本体吹出口6の側に固定される丸筒状の放電筒7とからなる。先のブローブラシ2A、ロールブラシ2B、およびノズルは、それぞれ放電筒7に外嵌する状態で、後述する接続スリーブ15に装着することにより、本体部1と一体化される。グリップを兼ねる本体ケース5の上部側面にはスイッチパネル9が設けられて、その外面にモーター10、ヒータ4、イオン発生装置などの電気部品に対する通電状態を切り換えるスイッチノブ(スイッチ操作具)12が設けてある。またスイッチノブ12の上方には、放電筒7に装着したアタッチメントを取り外すためのロック解除用の解除ボタン13が設けてある。送風ファン3は、本体ケース5の下端に設けた吸込口11から吸い込んだ空気を加圧して本体吹出口6へ向かって送出する。
本体ケース5は、ケース中心軸に沿って前後に分割した一対の分割ケース5a・5bを接合して構成してあり(図13参照)、その上端にアタッチメントを装着するための接続スリーブ15が固定してある。接続スリーブ15の内部に、放電筒7の下端が固定してある。放電筒7は丸筒状のプラスチック成形品からなり、その周囲壁には、後述する放電電極に対応する開口面積の大きなイオン送出口16と、開口面積の小さな一群の通気口17とがそれぞれ開口してある。イオン送出口16は、放電筒7の上下方向2個所の前後壁に2個ずつ合計4個設けた(図4参照)。
ブローブラシ2Aや、ロールブラシ2Bで髪処理を行なうとき、マイナスイオンを髪に送給するために、本体部1の内部にイオン発生装置を設けている。イオン発生装置は、本体ケース5の内部に配置されるイオン発生ユニット20(図2参照)と、放電筒7の内部に配置される放電ユニット21とからなる。図4に示すように、イオン発生ユニット20は、商用電源から供給される100Vの電流を半波整流する整流回路22と、整流された電流をパルス電流に変換するパルス発生回路23と、パルス電流を昇圧するトランス24などで構成する。整流回路22およびパルス発生回路23が実装された基板と、トランス24とは、直方体状にプラスチック成形された絶縁ブロック内に封入して一体化してある。
放電ユニット21は、軸状の電極フレーム26と、電極フレーム26の上下の前後面に配置される4個の放電電極とで構成する。放電電極は、針状の放電電極28と、C字リング状の周囲電極29と、筒形のマイカからなる誘電筒30とで構成してあり、両電極28・29の間で放電を行なってマイナスイオンを発生させる。イオン送出口16から放出されたマイナスイオンは空気中の水分子と結合するので、マイナスイオンを髪に付着させることにより、髪表面の水分量を増加できる。
図5ないし図7においてブローブラシ2Aは、中空のブラシホルダー33と、その前面および後面に装着される、ブラシベース34およびカバー35と、ブラシベース34に装着される一群のブリッスル36などで構成する。ブラシホルダー33の前面は、格子枠37で覆われて通気自在になっており、本体ケース5から送給された温風や常温風を変向案内して、あるいは放電筒7から放出されるマイナスイオンを、格子枠37の間から前向きに送出できる。格子枠37の断面は部分円弧状に湾曲している。ブラシホルダー33の下部には、先の接続スリーブ15に装着される丸筒状の連結筒38が一体に形成してあり、その内面の左右には先の解除ボタン13と係合するロック溝39が凹み形成してある。
ブリッスル36は縦列ごとに一体に成形されたプラスチック成形品からなり、ブラシベース34に対してその内面側から組み付けられて、ブラシベース34の前面外方へ突出している。ブリッスル36は、ブラシベース34より硬質のプラスチック材で形成する。ブリッスル36、および後述する歯本体59は、それぞれブローブラシ2Aの機軸中心に沿って直線列状に形成してある、ブラシベース34のほぼ全面にわたって一群のブリッスル36を設けることにより、後述する吹出口51・52の周囲をブリッスル36で囲むことができる。なお、ブリッスル36はやや軟質のプラスチック材で形成してあってもよい。ブラシベース34とカバー35とは図7に示すビス40で締結固定してある。
ブラシベース34は、ゴムやエアラストマーなどの耐熱性の軟質弾性材を素材とする成形品からなり、格子枠37の外面を覆う四辺形状の主面壁42と、主面壁42の上下面および左右側面に設けた装着部43とを一体に備えている。主面壁42は、その断面が部分円弧状に湾曲させてあり、各装着部43をブラシホルダー33に係合装着することにより、主面壁42を格子枠37に密着固定できる。主面壁42には、ブリッスル36用の挿通穴の一群と、通気穴44の一群とが交互に上下方向の直線列として形成してある。また、主面壁42の中央部分においては挿通穴および通気穴44を省略して、省略した縦長の領域に5個の通口45・46を設けている。5個の通口45・46のうち、上端および下端の通口45は丸穴で形成し、残る3個の通口46は四角形状に形成する。通口45・46が形成される縦長の領域の上下長さは、主面壁42の上下長さの約半分である。
各通口45・46のうち、四角形の3個の通口46の左右中央を上下に横切る状態で、突起体としての櫛歯体50が設けてある。また、上記の通口45・46の外面に、吹出口枠47を装着することにより、各通口45・46に対応する吹出口51・52を吹出口枠47で区画している。図8に示すように吹出口枠47は、耐熱プラスチック材を素材とする上下に長い梯子状の射出成形品からなり、上下端のそれぞれに通口45に対応する丸穴状の吹出口51が形成され、吹出口51の間に3個の通口46に対応する四角形状の吹出口52が形成してある。各吹出口51・52は、梯子の踏み段状の区分壁53で区分してある。上下の吹出口51の内面には丸筒状の装着部54が一体に設けてあり、装着部54をブラシベース34の外面側から通口45に差し込み、ブラシベース34の内面側において固定ピース55を装着部54に圧嵌係合することにより、吹出口枠47をブラシベース34に固定している。上記のブラシベース34およびブリッスル36は、それぞれブラシベース34の内面に設けたブラシホルダー33で受け止め支持される。
図7および図8において櫛歯体50は、四角形の通口46の左右中央を上下に跨ぐ歯基部58と、歯基部58の外面に突設される3個の歯本体59と、隣接する歯本体59の間の歯基部58の外面に設けられる摩擦突起60とで構成する。歯基部58の横断面は長方形状に形成してある。歯本体59は、上下厚みが小さく左右幅が大きな櫛歯からなり、その突端の左右両側が先すぼまり状に傾斜させてある(図10参照)。摩擦突起60は、隣接する歯本体59の間を通過する髪に抵抗を付与するために設けられており、その横断面、すなわち髪梳き方向に沿う断面形状が山形に形成してある。
図1に示すよう、隣接する歯本体59は摩擦突起60を介して繋がっている。また、歯基部58の上下端は、吹出口枠47に設けた区分壁53で受け止め保持してある。このように、隣接する歯本体59を摩擦突起60を介して連続させ、さらに、歯基部58の上下端を区分壁53で保持固定することにより、髪を梳き流すとき、歯本体59が摩擦抵抗を受けて弾性変形するのを規制することができる。加えて、歯基部58の内端をブラシホルダー33に設けた規制枠61で受け止めることにより、外力を受けた櫛歯体50が、ブラシホルダー33の内部へ凹むのを規制できる。
吹出口枠47をブラシベース34に固定した状態においては、歯基部58の表面が吹出口枠47の表面と面一になっており、歯本体59および摩擦突起60は、ブラシベース34の主面壁42、および吹出口枠47の表面より外面に突出している。したがって、ブローブラシ2Aで髪を梳く場合には、髪の一部を各歯本体59で梳くことができ、隣接する歯本体59の間を通過する髪に、摩擦突起60で適度の摩擦抵抗を付与して、髪の絡まりを除去しながら的確に梳き流すことができる。
ブローブラシ2Aで髪をカール処理する際に、梳き流される髪をより的確に捕捉してカール効果を向上するために、ブラシベース34の両側面に、テンションコーム63をブラシベース34と一体に設けている。図9に示すように、テンションコーム63は、それぞれ三角爪状に形成され、ブラシベース34の側面からの突出長さが異なる3種のリブ64・65・66で構成してあり、各リブ64〜66は一定間隔おきに配置してある。長さが異なる3種のリブ64・65・66は、ブラシベース34と正対する状態において、テンションコーム63の全体の外形が連続波形になるように設けてある(図6参照)。
また、各リブ64・65・66は、ブラシベース34の側面と正対する状態で、前すぼまり状の二等辺三角形と後すぼまり状の二等辺三角形となるダイヤ形状に形成する。各リブ64・65・66の前後長さは一定である。上記のように、各リブ64・65・66をダイヤ形状に形成することにより、隣接する各リブ64・65・66の間に隘路を形成して、テンションコーム63で梳き流される髪に抵抗を与えることができる。さらに、各リブ64・65・66のブラシベース側面からの突出寸法を大小に異ならせることにより、カール処理する際に髪が横ずれするのを規制することができる。
ブリッスル36と、歯本体59と、テンションコーム63の寸法関係は次のように設定してある。図9に示すようにブリッスル36のブラシベース34の表面からの突出高さをH1、歯本体(櫛歯体)59の吹出口枠47の表面からの突出高さをH2、テンションコームのブラシベース34の側面からの突出寸法をH3とするとき、各寸法が不等式(H1>H2>H3)を満足するように設定する。また、ブリッスル36および歯本体59は、それぞれブローブラシ2Aの機軸中心に沿って直線列状に形成するが、歯本体59の機軸中心に沿う方向の隣接ピッチP2は、ブリッスル36の機軸中心に沿う方向の隣接ピッチP1より小さく設定してある(図7参照)。
使用状態において、本体ケース5の本体吹出口6から送出された乾燥風は、中空のブラシホルダー33の内部へ送出され、さらに放電筒7に入り込んだ乾燥風は、その通気口17を介して、ブラシベース34に設けた通気穴44から吹き出される。また、乾燥風と共にイオン送出口16から送出されたマイナスイオンは、その多くが吹出口51から送出され、同時に吹出口52からも送出されて、ブリッスル36に捕捉された髪に付着する。このとき、4個の放電電極で生成されたマイナスイオンの大半が、ブローブラシの片面に設けた吹出口51・52から集中的に送出されるので、より大量のマイナスイオンを髪に付着させて、潤い付与効果を向上することができる。また、4個の放電電極で生成したマイナスイオンを髪に送給するので、髪に到達するマイナスイオンの量を増強して髪処理作業を円滑に行なえる。
図11および図12においてロールブラシ2Bは、円筒状のブラシ筒70と、先の接続スリーブ15に装着される丸筒状の連結筒71を一体に備えており、ブラシ筒70の周囲壁には、櫛歯(ブリッスル)72の直線列と、通気穴73の直線列とが、ブラシ筒70の全周面にわたって交互に形成してある。ブラシ筒70の前後面の中央部分においては、櫛歯72および通気穴73を省略して、前後の省略した縦長の領域の上下に、丸穴からなる2個の通口45と、四角形状の3個の通口46を設けている。また、四角形の3個の通口46の左右中央を上下に横切る状態で櫛歯体50を設けている。
上記の通口45・46の外面に、吹出口枠47を装着することにより、各通口45・46に対応する吹出口51・52を吹出口枠47で区画している。吹出口枠47は、先に説明した吹出口枠47と概ね同じ構造になっており、上下端のそれぞれに通口45に対応する丸穴状の吹出口51が形成され、吹出口51の間に3個の通口46に対応する四角形状の吹出口52が形成してある。各吹出口51・52は区分壁53で区分してある。上下の吹出口51の内面には丸筒状の装着部54が一体に設けてあり、この装着部54をブラシ筒70の外面側から通口45に差し込み、装着部54に設けた係合爪74を通口45の段部75に係合することにより、吹出口枠47をブラシ筒70に固定している。
櫛歯体50は、ゴムやエアラストマーなどの耐熱性の軟質弾性材を素材とする成形品からなり、先に説明した櫛歯体50と同様に、歯基部58、歯本体59、摩擦突起60を一体に備えている。歯基部58の内面に連続するベース部76を、ブラシ筒70に設けた歯受座77と吹出口枠47とで内外に挟持することにより、櫛歯体50がブラシ筒70に固定されている。ロールブラシ2Bを放電筒7に装着した状態においては、ブラシ筒70の連結筒71が接続スリーブ15に外嵌して、ロールブラシ2Bの中心を放電筒7の中心に一致させ、上下の吹出口51を、放電筒7のイオン送出口16と正対させることができる。他の構成は、既に説明したとおりであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
使用状態において、本体ケース5の本体吹出口6から送出された乾燥風は、中空のブラシ筒70の内部へ送出され、さらに放電筒7に入り込んだ乾燥風は、その通気口17を介して、ブラシ筒70に設けた通気穴73から吹き出される。また、乾燥風と共にイオン送出口16から送出されたマイナスイオンは、その多くが前後の吹出口51から送出され、同時に前後の吹出口52からも送出されて、櫛歯72に捕捉された髪に付着する。したがって、ブラシ筒70に巻き付けられた髪に、より大量のマイナスイオンを付着させて、潤い付与効果を向上することができる。
上記の整髪器具において、グリップを兼ねる本体ケース5の構造を以下の通り構成することにより整髪器具の操作性を向上して、ブロー処理や髪のくせ付けなどの髪処理を簡便にしかも的確に行なうことができる。図13に示すように、スイッチパネル9は、本体ケース5の上部から下部にわたって配置されて、スイッチノブ12が配置される操作部80と、操作部80の下部に連続する括れ部81と、括れ部81の下部に連続する脚部82とを一体に備えている。操作部80の前後幅をB1、括れ部81の前後幅をB2、脚部82の前後幅をB3とするとき、各部の幅寸法は、不等式(B1>B3>B2)を満足するように設定してあり、これによりスイッチパネル9の全体が、シャンペングラスを上下に引き伸ばした形状に形成してある。
既に説明したように、本体ケース5は、前後に分割した一対の分割ケース5a・5bで構成されて、全体が上すぼまり筒状に形成してある。詳しくは、図13に示すように、本体ケース5の吸込口11の側の筒端が最も直径が大きく、そこからスイッチノブ12の近傍にわたって徐々に筒直径を小さくし、スイッチノブ12の近傍から上端にわたって、小さな筒直径の円筒形状を維持している。図3に、筒直径が徐々に小さくなる領域を符号G1で示し、筒直径が小さな円筒状の領域を符号G2で示している。殆どの場合には符号G1で示す領域を右手あるいは左手で掴んで整髪作業を行なうが、使用者によっては符号G1の領域を掴んで整髪作業を行なうこともある。
本体ケース5を的確に掴み保持するために、スイッチパネル9に臨む本体ケース5の前後周面に指受面83を設けている。指受面83は、本体ケース5の下部から上部にわたって凹み形成(段落ち形成)され、かつ、その前後の周縁部84・85が、スイッチパネル9の周縁から本体ケース5の周方向に間隔をあけた状態で形成してある。指受面83の前後の周縁部84・85は、スイッチパネル9を基準にして外突湾曲状に形成してあり、とくに、括れ部81と、括れ部81に臨む周縁部84・85との周方向の幅Mが、他の部位の周方向の幅に比べて大きく設定してある。この実施例では、図13のY−Y線断面図に示すように、括れ部81と、括れ部81に臨む周縁部84・85との周方向の幅Mを、本体ケース5の四半周面の周長に概ね一致させた。
本体ケース5の右側面の上半部周面、詳しくは操作部80から括れ部81にわたるケース周面にパネル受座86を膨出して、その内部にスイッチパネル9の操作部80を収容している。このように、筒直径が小さな円筒状の領域G2にパネル受座86を膨出することにより、操作部80の前後に段差の大きな指受段部87が形成される。因みに、括れ部81から脚部にわたるスイッチパネル9のパネル面は、本体ケース5の周面から僅かに膨出しているに過ぎない。
上記のように、スイッチパネル9の全体を、上下に引き伸ばされたシャンペングラス状に形成し、その前後周面に指受面83を凹み形成し、さらに操作部80の前後に指受段部87を設けることにより、本体ケース5を片手で確りと掴むことができる。たとえば、図13に想像線で示すように、親指をスイッチパネル9の前側の指受段部87にあてがい、掌を前後の指受面83にあてがい、さらに残る四指を本体ケース5の左側面に巻き付けて、本体ケース5を片手で確りと掴むことができる。また、ブローブラシ2Aやロールブラシ2Bを使用するような場合に、指受面83や指受段部87で手指を受け止めて、手指が滑るのを解消できる。したがって、ヘアーセッターを使用して整髪を行なうときの操作性を向上して、ブロー処理や髪のくせ付けなどの髪処理を簡便にしかも的確に行なうことができる。因みに、右手で本体ケース5を掴む場合に、先に説明した掴み方とは逆に、親指をスイッチパネル9の後側の指受段部87にあてがい、残る四指をスイッチパネル9の前側の指受面83の周縁部84に引っ掛けて、本体ケース5を確りと掴むことができる。
以上のように構成した整髪器具は次の形態で実施することができる。
グリップを兼ねる本体ケース5の一側面にスイッチパネル9を設けて、その外面に電気部品に対する通電状態を切り換えるスイッチ操作具12を設ける。スイッチパネル9は本体ケース5の上部から下部にわたって配置して、スイッチ操作具12が配置される操作部80と、操作部80の下部に連続する括れ部81と、括れ部81の下部に連続する脚部82とを一体に備えている。操作部80の前後幅をB1、括れ部81の前後幅をB2、脚部82の前後幅をB3とするとき、各部の幅寸法を、不等式(B1>B3>B2)を満足するように設定する。
操作部80、括れ部81、および脚部82の前後幅を上記のように設定すると、本体ケース5を片手で握った状態において、その最外周面に露出するスイッチパネル9を利用して掌や指が滑るのを防止できる。また、括れ部81を設けることによって、本体ケース5を片手で握るとき、スイッチパネル9が邪魔になるのを防止できる。したがって、ブローブラシ2Aやロールブラシ2Bを使用者の意図通りに操作して、ブロー処理や髪のくせ付けなどの髪処理を簡便にしかも的確に行なうことができる。
本体ケース5は上すぼまり筒状に形成する。本体ケース5の周面の上半部に膨出したパネル受座86にスイッチパネル9の操作部80を収容して、操作部80の前後に指受段部87を形成する。括れ部81から脚部82にわたるスイッチパネル9のパネル面を、本体ケース5の周面から僅かに膨出させる。
上記のように、スイッチパネル9の操作部80の前後に指受段部87を形成すると、親指や人差し指を指受段部87にあてがうことにより、掌や指が本体ケース5に対して滑るのを防止して、さらに確りと本体ケース5を掴むことができる。また、括れ部81から脚部82にわたるスイッチパネル9のパネル面は、本体ケース5の周面から僅かに膨出させるだけであるので、括れ部81や脚部82が本体ケース5を掴むときの邪魔になるのを解消できる。これにより、ブローブラシ2Aやロールブラシ2Bを、機軸中心の回りに的確に回転させながら髪を梳き流すことができ、整髪器具による髪処理を誰もが簡便に行なえる。
スイッチパネル9の少なくとも前後いずれか一方の本体ケース5の周面に、スイッチパネル9の周縁に沿う指受面83を設ける。指受面83は、本体ケース5の下部から上部にわたって凹み形成(段落ち形成)し、かつ、その周縁部84・85をスイッチパネル9の周縁から本体ケース5の周方向へ間隔をあけた状態で形成する。
上記のように、スイッチパネル9の前後いずれかに凹面状の指受面83を設けると、スイッチパネル9と指受面83によって、本体ケース5の表面を凹凸面状にして滑りにくさを向上できる。しかも、片手で本体ケース5を握りしめたとき、指や掌を指受面83にフィットさせることができる。したがって、本体ケース5をさらに確りと掴んで、髪処理作業を的確に、しかも簡便に行なえる。また、指受面83の周縁部84・85を、スイッチパネル9の周縁から本体ケース5の周方向へ間隔をあけた状態で形成することにより、個人的な手指の大きさの違いとは無関係に、指や掌を指受面83にフィットさせることができる。
指受面83の周縁部84・85は、スイッチパネル9を基準にして外突湾曲状に形成する。括れ部81と、括れ部81に臨む周縁部84・85との周方向の幅Mを、他の部位の周方向の幅に比べて大きく設定する。
上記のように、指受面83の周縁部84・85を外突湾曲状に形成して、括れ部81と周縁部84・85との周方向の幅Mを他の部位の周方向の幅に比べて大きく設定すると、本体ケース5を片手で握った状態において、掌や指を指受面83の広い範囲にわたって大きく密着できる。また、スイッチパネル9の周縁と、指受面83の周縁部84・85とで掌や指を受け止めて、本体ケース5と手とが相対的に滑るのを防止できる。
図14は、櫛歯体50の別の変形実施例を示す。そこでは、ブラシベース34を内面側から支持するブラシホルダー33の格子枠37に櫛歯体50を一体に設けて、その歯本体59をブラシホルダー33と同じ硬質のプラスチック材で形成するようにした。歯本体59を保持するためにブラシベース34の通口46の内部にボス90を設け、このボス90に設けた保持穴91で歯本体59を保持することにより、歯本体59に過剰な外力が作用するのを規制している。ボス90はブラシベース34と一体に形成されて、通口46の左右中央を上下に跨ぐ状態で形成されて、通口46の上下の区分壁どうしを繋いでいる。この実施例においては、上下に隣接する歯本体59の間に設けられる摩擦突起60をボス90と一体に形成した。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。
突起体50は櫛歯体として構成する以外に、図15に示すようにリブ状の突起体として構成することができる。詳しくは、区分壁53の間に上下に長いリブ状の突起を設けて、これを突起体50とすることができる。その場合には、吹出口52の外面を通過する髪を突起体50に接触させて、髪に適度のテンションを付与しながらゆっくりと滑らせることができ、したがって、加処理空気を髪に効果的に接触させて、髪処理効果を向上できる。
上記の実施例では、歯本体59を平板状に形成したが、その必要はない。たとえば、歯本体59の外形形状をひし形に形成して、隣接する歯本体59の間に隘路部を形成し、歯本体59の間を通過する髪により大きな通過抵抗を付与し、ブラッシング効果を向上できる。また、上記の実施例では、本体ケース5と本体吹出口6の側に固定される丸筒状の放電筒7とで本体部1を構成したがその必要はなく、放電筒7は省略することができる。その場合には、放電ユニット21を本体ケース5の内部に配置するとよい。
ヘアードライヤーなどの整髪器具を過剰に使用し、あるいは髪を脱色し染めるような場合などに髪を傷めることがある。加齢に伴なって自然に髪が傷みやすくなることもある。いずれの場合にも、髪の表面からキューティクルが剥がれ落ち、髪のミクロ繊維がねじれて髪全体がうねり、髪の艶が低下する現象を招く。このようなダメージヘアを正常な状態に戻して、キューティクルを整え、髪のうねりを解消し、髪の艶を向上できるようにしたヘアーブラシ(整髪器具)を以下に説明する。
図16および図18においてヘアーブラシは、本体部101の上半部にブラシ部(髪処理部)102を有し、本体部101の下半部にグリップ部103を備えている。本体部101は、前ケース104と後ケース105とを接合して構成してある。ブラシ部102の前面には振動体106が設けられ、振動体106の基端内面には超音波振動源107が設けてある。また、ブラシ部102の内部にはスチーム供給装置(微少水滴供給装置)108が配置してある。グリップ部103の内部には電池109が収容してあり、グリップ部103の外面にはスイッチノブ110が設けてある。スイッチノブ110を切り換え操作することにより、超音波振動源107およびスチーム供給装置108への通電状態をオン状態と・オフ状態に切り換えることができる。
図17に示すように振動体106は、ブラシ部102の表面に露出する縦長長方形状のベース体113と、ベース体113から突出する一群のブリッスル(突起)114とからなる。ベース体113は板状のアルミニウム成形品からなり、その板面にはブリッスル114を組み付けるための一群の装着穴115(図16参照)が、内外貫通状に形成してある。ブリッスル114はアルミニウム成形品からなり、ベース体113の内面側から先の装着穴115に差し込み装着されて、ベース体113と一体化してある。ベース体113は、前ケース104の内面に固定してある。
超音波振動源107は、超音波振動を生成して振動体106に出力するために設けてあり、ベース体113の内面の上下2個所に配置されて、ブリッスル114の基端に密着している。超音波振動源107としては、市販の圧電セラミックス振動子を適用することができ、同振動源107から出力される超音波振動の振動の方向は、ブリッスル114の突出方向に一致させてある。したがって、ヘアーブラシで髪を梳き流すとき、梳き流し方向と直交する向きに髪を振動させることができる。図17に示すように、ベース体113の中央部分には、加処理空気を供給する長円状の吹出口117が開口され、この吹出口117に5個の吹出口ブリッスル118が配置してある。さらに、吹出口117と対向する後ケース125の内部に、先のスチーム供給装置108を配置している。5個の吹出口ブリッスル118は、その基端に設けた鍵穴形のブリッスルベース119を介して一体化してある。ブリッスルベース119は、吹出口117を上下に跨ぐ状態で、後述するスチーム室126の上下壁に固定してある。
吹出口ブリッスル118は、ブリッスル114と同じアルミニウム成形品からなり、吹出口117の外面を通過する髪を梳き流すために設けてある。吹出口ブリッスル118の上下方向の隣接間隔は、ブリッスル114の上下方向の隣接間隔の半分に設定してある。また、図16に示すように、吹出口ブリッスル118のベース体表面(ブラシ部表面)からの突出寸法は、ブリッスル114のベース体表面(ブラシ部表面)からの突出寸法より小さく設定してある。具体的には、前者の突出寸法を、後者の突出寸法の半分に設定している。
上記のように、吹出口117の外面を通過する髪を、隣接間隔が小さな吹出口ブリッスル118で小さな塊りとして梳き流すと、吹出口117から送出されるスチームと髪の接触機会を増加でき、さらに吹出口ブリッスル118で形成される隙間からスチームを浸透させることができる。反面、隣接間隔が小さい分だけ髪の通過抵抗が増すが、この通過抵抗を軽減するために、吹出口ブリッスル118のベース体表面からの突出寸法を小さくしている。
吹出口ブリッスル118を、ブリッスル114と同じ向きへ超音波振動させるために、ブリッスルベース119の内面に、先の超音波振動源107とは別の超音波振動源120を固定している。これらの超音波振動源107・120は、実質的に同じであるが、振動体106用の超音波振動源107は、その出力値が大きい分だけ外形が大きい。
スチーム供給装置108は、ヒータユニット123と、ヒータユニット123の外面に密着するフェルト体124と、フェルト体124に水、またはトリートメント水を供給するタンク125などで構成する。吹出口117と対向する後ケース105の内部には、スチーム室126が区画してあり、その内部にヒータユニット123とフェルト体124が収容してある。タンク125は、後ケース105の後面上部に設けたポケット127に着脱自在に装着してある。符号128は、タンク125内の水等をフェルト体124へ送給する給液チューブである。
上記のように構成したヘアーブラシによれば、スイッチノブ110をオン側へスライドすることにより、各超音波振動源107・120を作動させて、ブリッスル114および吹出口ブリッスル118を超音波振動させることができる。同時にヒータユニット123を起動して、フェルト体124に含まれる水またはトリートメント水を蒸発させ、蒸発した蒸気をスチーム室126から吹出口117を介してブラシ部表面へと送出できる。ヒータユニット123に換えて各超音波振動源120をフェルト体124に接触させる場合には、フェルト体124に含浸された水などをミスト化できる。また、ミスト化と同時に、超音波振動をブリッスル118へ伝動する構成とすることができる。
使用者は、上記のように使用可能な状態にしたヘアーブラシを、通常のヘアーブラシを使用するのと同様に、グリップ部103を掴んで、ブラシ部102に設けたブリッスル114で髪を梳き流す。このとき、吹出口117の外面を通過する髪は、吹出口ブリッスル118で梳き整えられながら、吹出口117から送出される蒸気に晒されて軟化する。また、各ブリッスル114・118に捕捉された髪は、各ブリッスル114・118を通過する間に超音波振動が伝動されて、梳き流し方向と直交する向きに振動する。したがって、髪を繰り返し梳き流すことにより、髪のミクロ繊維のねじれを除去し、髪表面のキューティクルを平滑に整えて、髪を直毛状に整えることができる。これにより、ダメージヘアを正常な状態に戻し、髪のうねりを解消し、髪表面の艶を健康な髪と同様な状態に修復することができる。
上記の実施例における微少水滴供給装置108としては、スチーム以外に、ミスト、あるいはマイナスイオンを供給する装置であってもよく、静電霧化装置であってもよい。
図19ないし図21は、それぞれヘアーブラシの変形実施例を示す。図19に示すヘアーブラシにおいては、髪の梳き流し方向と交差する斜めのリブ壁で突起114を形成して、髪を突起114に強制的に密着できるようにする点が先の実施例と異なる。リブ壁で形成した突起114は、吹出口117の上下それぞれに3個ずつ設けるようにした。このヘアーブラシによれば、突起114の間を通過する髪に超音波振動を効果的に伝動して、髪表面のキューティクルを平滑に整えることができる。他は先に説明したヘアーブラシと同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下に説明する整髪器具においても同じとする。
図20に示すヘアーブラシは、各突起114をひし形に形成して、隣接する突起114の間に隘路部130を形成するようにした。また、ブラシ部102の内部に送風ファン131と、ファン駆動用のモーター132と、ヒータ133を配置して、温風(加処理空気)を吹出口117から吹き出し供給できるようにした。符号134は吸込口である。このヘアーブラシによれば、髪が突起114の間の隘路部130を通過する間にしごかれて集約されるので、髪を突起114に強制的に密着させながら梳き流すことができ、突起114の間を通過する髪に超音波振動を効果的に伝動して、髪表面のキューティクルを平滑に整えることができる。また、吹出口117の外面を通過する髪に温風を吹き付けながら、吹出口ブリッスル118で梳き整えることができる。
図21に示すヘアーブラシは、ベース体113の全面にわたって波形の突起114を一定間隔おきに配置し、髪を突起114の波形形状に沿って梳き流すようにした。また、吹出口117を省略し、その代わりにPTCヒータ(ヒータ)135をベース体113の内面に配置した。さらに、ベース体113の内面2個所に超音波振動源107を配置して、PTCヒータ135で加熱されたベース体113と突起114とに超音波振動を出力できるようにした。なお、PTCヒータ135の発熱温度は、ニクロム線ヒータの発熱温度に比べて低く設定してあり、髪を穏やかに加熱する。
上記のヘアーブラシによれば、波形の突起114の間を通過する間に、髪を突起114に強制的に密着させながら梳き流すことができ、突起114の間を通過する髪に超音波振動を効果的に伝動して、髪表面のキューティクルを平滑に整えることができる。また、ベース体113の外面を通過する髪を加熱しながら、各突起114で梳き整えることができる。この実施例のヘアーブラシは、とくに洗髪後の濡れた状態の髪や、保湿剤を塗布した状態の髪の傷みを修復するのに適している。
図22ないし図29は、主として髪のくせ伸ばしを行なうために使用されるストレーター(整髪器具)を示しており、そこでの前後、左右、上下とは、図22および図23に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表示した前後、左右、上下の文字表示に従うこととする。なお、ストレーターとしては、一対の挟み腕141・142の対向面がフラット面であるストレーター以外に、先の対向面が波形に形成してあるワッフルヘアーアイロンであってもよい。
図22および図23に示すストレーターは、髪処理部102とグリップ部103とからなる、左右に長いしゃもじ状の一対の挟み腕141・142を有し、上下に対向配置した第1・第2の挟み腕141・142の側端どうしがヒンジ軸143で揺動開閉可能に連結してある。両挟み腕141・142による髪の挟み込み操作を簡便化するために、第2挟み腕142は揺動軸143の近傍に設けたばね144で開き勝手に揺動付勢されており、図22に実線で示す開放姿勢に位置保持されている。この開放姿勢にある両挟み腕141・142のグリップ部103を片方の手で握り込むことによって、両挟み腕141・142の対向面の間に髪を挟むことができる。
両挟み腕141・142は、それぞれ中空ケース状に形成してあり、第1挟み腕141のグリップ部103の内部には電池145が配置され、外面にスイッチノブ146が設けてある。両挟み腕141・142の髪処理部102側の対向面には、加熱プレート147と加振プレート148とが配置してある。詳しくは、第1挟み腕141側の対向面に加熱プレート147を配置し、その内部にヒータユニット149を設けている。また、第2挟み腕142側の対向面に加振プレート148を配置し、その内部に超音波振動を生成して加振プレート148に出力する超音波振動源150を設けている。加振プレート148は、髪の梳き流し方向と直交する向き、すなわち図23において上下方向に振動する。
加熱プレート147および加振プレート148は左右に長い四角形状のプレス金具からなり、互いの対向面が平端面になっている。したがって、両挟み腕141・142をばね144の付勢力に抗して閉じた状態においては、加熱プレート147と加振プレート148とは、図23に示すように面接触状に接合できる。加熱プレート147に隣接する第1挟み腕141の前後縁に沿って、整髪コーム151の一群が左右に長い直線列状に形成してある。
以上のように構成したストレーターは、洗髪後の濡れた状態の髪や、保湿剤を塗布した状態の髪の傷みを修復するのに適しており、スイッチノブ146をオン操作して、ヒータユニット149および超音波振動源150を作動させた状態で使用する。使用時には、両挟み腕141・142の髪処理部102の間に髪を挟み、その状態を維持したままでストレーターを髪の毛先側へと滑らせる。このとき、加熱プレート147と接触する髪は加熱され、加振プレート148に接触する髪には超音波振動が伝動される。したがって、加熱プレート147と加振プレート148とで髪を繰り返し梳き通すことにより、軟化した髪のミクロ繊維のねじれを除去して、髪表面のキューティクルを平滑に整え、髪を直毛状に整えることができる。
図24および図25に示すストレーターは、図22で説明したストレーターと同様に一対の挟み腕141・142で構成するが、その前後幅を左右幅に比べて大きくして、髪処理部102を、ヒンジ中心軸に沿う方向が長い縦横比の平板状に形成した。前後に長い四角形状の髪処理部102はグリップ部103を兼ねており、その対向面には、それぞれ加熱プレート147と加振プレート148を配置した。詳しくは、第1挟み腕141側の対向面の前半部に加熱プレート147を配置し、その内部にヒータユニット(ヒータ)149を設けている。また、第1挟み腕141側の対向面の後半部に加振プレート148を配置し、その内部に超音波振動源150を設けている。
同様に、第2挟み腕142側の対向面の前半部に加熱プレート147を配置し、その内部にヒータユニット149を設け、同腕142側の対向面の後半部に加振プレート148を配置し、その内部に超音波振動源150を設けている。さらに、上側の挟み腕141に設けた整髪コーム151の内面に超音波振動源152を設けるようにした。加振プレート148および整髪コーム151は、それぞれ図25において上下方向に振動して、キューティクルのはがれを防止しながら、髪の中のミクロ繊維のねじれを除去できる。この実施例では、第1挟み腕141の前後縁と、前後中央の3個所に、整髪コーム151の一群を左右に長い直線列状に設けた。他は図22で説明したストレーターと同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。図26以下のストレーターにおいても同じとする。
以上のように構成したストレーターは、スイッチノブ146をオン操作して、ヒータユニット149および超音波振動源150を作動させ、両挟み腕141・142の髪処理部102の間に髪を挟み、その状態を維持したままでストレーターを髪の毛先側へと滑らせる。このとき、加熱プレート147と接触して加熱された髪が、上下一対の加振プレート148の間を通過する。したがって、加熱された直後の髪に加振プレート148で超音波振動を作用させて、髪表面のキューティクルの修復をより効果的に行なうことができる。
図26および図27に示すストレーターは、基本的に図22で説明したストレーターと同様に構成するが、第1挟み腕141の髪処理部102における髪の入口端と出口端、すなわち髪処理部102の前後に、マイナスイオンを供給する吹出口155を設け、その内部に放電ユニット156を配置した。図示していないイオン発生ユニットは第1挟み腕141の内部に配置する。放電ユニット156は、放電ベース157と、その下面に設けた放電電極158、周囲電極159、および誘電筒160などで構成する。両挟み腕141・142の対向面には、それぞれ加振プレート148を配置し、その内部に超音波振動源150を設けている。加振プレート148は、髪の梳き流し方向と直交する向き(上下方向)に振動する。
以上のように構成したストレーターは、スイッチノブ146をオン操作して、放電ユニット156および超音波振動源150を作動させた状態で使用する。両挟み腕141・142の髪処理部102の間に髪を挟むことにより、前後の吹出口155から送出されるマイナスイオンを髪に付着させることができ、その状態を維持したままでストレーターを髪の毛先側へと滑らせることにより、加振プレート148の間を通過する髪に超音波振動を伝動できる。したがって、マイナスイオンが付着した髪を加振プレート148で繰り返し梳き通すことにより、髪のミクロ繊維のねじれを除去して、髪表面のキューティクルを平滑に整えることができ、髪を直毛状に整えることができる。この実施例におけるストレーターは、放電ユニット156からマイナスイオンを供給できるので、乾燥した状態の髪であっても問題なく使用することができる。もちろん、洗髪後の髪や保湿剤を塗布した髪に適用することができる。
図28および図29に示すストレーターは、基本的に図26で説明したストレーターと同じであるが、放電ユニット156の配置形態を変更する点が異なる。図28のストレーターにおいては、第1挟み腕141のグリップ部103の側に、髪処理部102へ向かって開口する吹出口155を設け、その内部に放電ユニット156を配置した。また、図29のストレーターにおいては、第1挟み腕141の対向面の中央に吹出口155を設け、その内部に放電ユニット156を配置した。これに伴ない、放電ユニット156の左右それぞれに加振プレート148を配置し、その内部に超音波振動源150を設けるようにした。上記のように、吹出口155および放電ユニット156は、髪処理部102の対向面に臨んで配置してあればよい。
図16から図29で説明した整髪器具は、以下の(1)〜(13)の各形態で実施することができ、また(1)〜(13)の各形態は相互に組み合わせた状態で実施することができる。
(1) 本体部101の髪処理部102に外面に、髪処理用の振動体106が設けられており、振動体106に超音波振動を出力する超音波振動源107が髪処理部102に設けてある整髪器具(図16参照)。
上記の整髪器具によれば、髪処理用の振動体106を超音波振動源107で超音波振させながら髪処理を行なえる。たとえば、振動体106で髪を梳き流しながら、あるいは振動体106で髪を梳き通しながら、髪を超音波振動させることができる。このように、髪を繰り返し梳きながら超音波振動させると、髪のミクロ繊維のねじれを除去して、髪表面のキューティクルを平滑に整えることができ、髪を直毛状に整えることができる。したがって、ダメージヘアを正常な状態に戻し、髪のうねりを解消し、髪表面の艶を健康な髪と同様な状態に修復することができる。
(2) 振動体106が、髪処理部102に固定されるベース体113と、ベース体113から突出する突起114とを含み、超音波振動源107から振動体106に出力される超音波振動の振動方向が、突起114の突出方向と同じ向きである整髪器具。
ベース体113と突起114とで振動体106を構成し、突起114の突出方向と同じ向きの超音波振動を髪に作用させると、突起114で髪を梳き流す際に、キューティクルが髪表面から剥がれ落ちるのを防ぎながら、髪表面を平滑に整えることができる。これは、整髪器具で髪を梳き流すとき、梳き流し方向と直交する向きに髪を振動させることにより、キューティクルが髪表面から剥がれ落ちるのを極力防止できるからである。
(3) 突起114が配置される髪処理部102の表面に、加処理空気を供給する吹出口117が設けてある整髪器具。加処理空気は、加熱された空気、水蒸気または水分が付加された空気、マイナスイオンまたはオゾンが付加された空気などからなる。
上記のような加処理空気を吹出口117から供給しながら髪処理を行なうと、髪を柔らかくすることができる。また、柔らかい状態の髪に超音波振動を作用させることにより、キューティクルの平滑作用と、髪のミクロ繊維のねじれ除去作用をさらに効果的に発揮することができる
(4) 髪処理部102の内部に微少水滴供給装置108が設けられており、微少水滴供給装置108で生成した微少水滴を吹出口117から供給できる整髪器具。微少水滴供給装置108は、水またはトリートメント水などの蒸気またはミスト、あるいはマイナスイオンなどを生成する(図16参照)。
微少水滴供給装置108で、たとえば水蒸気やミストを供給すると、髪を湿らせて柔らかくすることができ、その状態で髪を梳きながら超音波振動を与えることにより、さらに確実にキューティクルを平滑化し、髪のミクロ繊維のねじれを除去できる。また、強制的に水蒸気やミストを供給できるので、乾燥した状態のダメージヘアであっても整髪器具で修復できる。
(5) 本体部101の内部に、送風ファン131とヒータ133が設けられており、ヒータ133で加熱した温風を吹出口117から吹き出し供給できる整髪器具(図20参照)。
ヒータ133で加熱した温風を吹出口117から吹き出し供給すると、髪のたんぱく質を活性化して軟化することができ、その状態で髪を梳きながら超音波振動を与えることにより、確実にキューティクルを平滑化し、髪のミクロ繊維のねじれを除去できる。
(6) 吹出口117の開口に、吹出口117の外面を通過する髪を梳き流す吹出口ブリッスル118が設けてある整髪器具(図17参照)。
吹出口117の開口に吹出口ブリッスル118を設けると、吹出口117の外面を通過する髪を吹出口ブリッスル118で梳き流しながら、吹出口117から供給した加処理空気を髪に付着できる。したがって、吹出口117の外面を通過する髪の絡みを解きほぐして、小さな髪束に分化した状態で加処理空気を付着でき、加処理空気と髪との接触機会を増加して髪処理効果を向上できる。
(7) 吹出口ブリッスル118の髪処理部102の表面からの突出寸法が、突起114の髪処理部102の表面からの突出寸法より小さく設定してある整髪器具(図16参照)。
吹出口ブリッスル118の突出寸法を、突起114の突出寸法より小さく設定するのは、吹出口117の近傍外面を通過する髪のみを吹出口ブリッスル118で梳き流して、梳き流れた髪に対して加処理空気を効果的に浸透させるためである。
(8) 吹出口ブリッスル118に超音波振動を出力する超音波振動源120が髪処理部102に設けてある整髪器具(図16参照)。
吹出口ブリッスル118を超音波振動源120で超音波振動させると、吹出口ブリッスル118で梳き流される髪に超音波振動を作用させることができ、したがって、吹出口117から供給される加処理空気による髪の軟化作用と相俟って、ダメージヘアの修復をさらに確実に行なえる。
(9) ベース体113の内部に、ヒータ135と超音波振動源107とが配置してある整髪器具(図21参照)。
ベース体113の内部に、ヒータ135と超音波振動源107を配置する整髪器具によれば、ベース体113の外面を通過する髪を加熱しながら、同時に超音波振動を作用させることができる。したがって、髪を整髪器具で繰り返し梳くことにより、ダメージヘアを速やかに修復できる。
(10) 第1・第2の挟み腕141・142を備えており、両挟み腕141・142の対向面の一方に、加熱プレート147と同プレート147を加熱するヒータ149が配置され、他方に、加振プレート148と同プレート148に超音波振動を出力する超音波振動源150が設けてある整髪器具(図22参照)。
第1・第2の挟み腕141・142の対向面に、加熱プレート147と加振プレート148を設け、両プレート147・148で髪を挟んで梳き通す整髪器具によれば、挟持した髪に対して熱と超音波振動を同時に作用させながら梳くことができる。そのため、加熱プレート147で拘束した状態の髪に温熱を確実に伝導でき、さらに加振プレート148で拘束した状態の髪に超音波振動を確実に伝動でき、全体としてダメージヘアの修復をさらに効果的に行なうことができる。
(11) 第1・第2の挟み腕141・142が、ヒンジ軸143で揺動開閉自在に連結されており、両挟み腕141・142は、ヒンジ中心軸に沿う方向が長い縦横比の平板状に形成されており、両挟み腕141・142のそれぞれに、ヒンジ中心軸に沿って加熱プレート147と加振プレート148とが配置してある整髪器具(図25参照)。
第1・第2の挟み腕141・142を、ヒンジ中心軸に沿って、たとえば長方形状に形成し、その対向面の長手方向に沿って加熱プレート147と加振プレート148とを配置すると、髪を梳くとき、一対の加熱プレート147で挟んだ髪を上下から同時に加熱できる。さらに、一対の加振プレート148で挟んだ髪に対して、上下から超音波振動を作用させることができる。したがって、両プレート147・148の間を通過する髪に対する加熱作用と、超音波振動作用とをさらに効果的に行なって、ダメージヘアの修復を確実かつ迅速に行なうことができる。
(12) 第1・第2の挟み腕141・142の対向面のそれぞれに加振プレート148が設けられており、一対の加振プレート148・148で挟持された髪にマイナスイオンを供給する吹出口155が髪処理部102に設けてある整髪器具(図26、図28および図29参照)。
髪処理部102に吹出口155を設け、一対の加振プレート148で挟持した髪に対してマイナスイオンを供給できるようにすると、マイナスイオンと結合した空気中の水分子を髪表面に付着させて、髪を柔らかくすることができる。また、柔らかになった髪を一対の加振プレート148で挟持して、超音波振動を上下両方から髪に作用させるので、髪に対する超音波振動作用を効果的に行なえ、全体として、ダメージヘアの修復を確実にしかも、迅速に行なえる。
(13) 髪処理部102における髪の入口端と出口端とのいずれか一方に臨んで、マイナスイオンを供給する吹出口155が髪処理部102に設けてある整髪器具(図27参照)。
吹出口155を髪処理部102における髪の入口端と出口端のいずれか一方に設けると、髪処理部102を構成する一対の挟み腕141・142で梳き通される髪の表面に、マイナスイオンと結合した水分子を付着させることができる。とくに、両挟み腕141・142の髪の入口端に吹出口155を設ける場合には、髪にマイナスイオンと結合した水分子を付着させたのち、両挟み腕141・142の間に髪を送り込むことになるので、効果的な髪処理を行なえる。