特許文献1に見られる一般的なブローブラシを使用する場合には、例えばブローブラシのブリッスルを髪に通した状態で、ブラシ枠の吹出口から吹き出される温風で髪を加熱しながら毛先へ向かって梳き流す。このとき、ブリッスルの先端部分に手をあてがって、髪をブローブラシと手で挟んだ状態で梳くと、髪がブリッスルからはみ出るのを防いで、髪のカール処理やストレート処理をより確実に行なえる。しかし、素手の状態で髪を抑え保持するので、ブラシ枠から吹き出された温風が掌や指先に接触して、熱い思いをすることがある。
その点、特許文献2のヘアーセッターによれば、ブラシ枠と髪押え具に設けた植毛体で髪を内外から挟み保持するので、ブラシ枠から吹き出された温風やスチームが掌や指先に接触するのを髪押え具で遮ることができる。しかし、ブラシ枠と押え具の双方に植設した植毛体で髪を挟持するので、髪と植毛体との間に大きな摩擦抵抗が生じるのを避けられず、カールした髪やくせ付けされた髪に、テンション力を付与してストレート状にセットするのには適していても、通常のヘアーブローやヘアーセットを行なうのには適さない。また、短軸状の植毛体で髪を捕捉するので、髪を挟んだ状態におけるブラシ枠と髪押え具との対向間隔が小さく、そのため髪を少量ずつしか処理できない不利もある。
特許文献3のヘアーセッターにおいては、温風をブラシ枠の枠側方へ吹き出す必要上、ブラシ枠と髪押え具との間の髪通過空間の断面を山形に形成して、斜面部分に吹出口を多段状に開口している。しかも、ブラシ枠と髪押え具のそれぞれにブリッスルが対向状に設けてある。そのため、ブラシ枠と髪押え具とで髪を挟んだ状態では、髪が山形に屈曲し、しかも内外のブリッスルが屈曲部分に差し込まれることとなり、髪を梳き流すときの摩擦抵抗が異常に大きくなるのを避けられない。この場合にも、髪を少量ずつ挟んで処理するしかない。
特許文献4のヘアーセッターにおいては、カバーが止め具の弾性力で常に開き勝手に付勢してある。そのため、ブラシ枠とカバーとの間に髪を挟んだ状態においてカバーを開き不能に手で保持し、さらに髪を梳き終わるまでその状態を保持する必要があり、常に両手でヘアーセッターを操作する必要がある点で、使い勝手に問題がある。
本発明の目的は、熱い思いをすることもなく、髪がブリッスルからはみ出るのを確実に防止してヘアーブローやヘアーセットを行なえ、しかも通常のブローブラシと同等量の髪を円滑にしかも確実に処理できる、使い勝手に優れたヘアーセッターを提供することにある。本発明の目的は、ヘアーセット時に髪が横ずれするのを防止して、髪を効果的にカール処理できるヘアーセッターを提供することにある。
本発明に係るヘアーセッターは、セッター本体1と、セッター本体1の一側に設けられて髪を加熱しながら梳くブローブラシ2とを備えている。ブローブラシ2は、周面に吹出口23とブリッスル24の一群とが配置してある中空のブラシ枠25を備えている。ブラシ枠25と対向する位置に、一群のブリッスル24の突端に被さって、髪がブリッスル24からはみ出るのを防ぐ髪押え具40が設けてあることを特徴とする。
髪押え具40は、ブリッスル24の突端に被さる閉じ位置と、ブリッスル24の突端から離れる開放位置との間を往復変位できるように支持する。髪押え具40を受け止めて閉じ位置に位置保持するストッパー54を、髪押え具40とブラシ枠25との間に設ける。
閉じ位置における髪押え具40をブリッスル24の突端で受け止めて、ブリッスル24がストッパー54を兼ねるようにする。
ブリッスル24と対向する髪押え具40の主面壁43に、一群のブリッスル24の先端部を受け入れる開口73を形成する。髪押え具40とブラシ枠25との対向面にストッパー54を設ける。
髪押え具40の両側端を、ブラシ枠25の髪挟持面34の頂部より前外方に位置させる。
髪押え具40の左右幅を、ブリッスル24の突端占有領域の左右幅より大きく設定する。髪押え具40の左右両側に側方髪受部46を設ける。髪挟持面34の両側端に位置するブリッスル24の突端を、側方髪受部46より前外方に位置させる。
髪押え具40の断面と、髪押え具40と対向するブラシ枠25の髪挟持面34の断面を、それぞれ外突湾曲状に形成する。側方髪受部46は、髪押え具40の湾曲形状と逆向きに屈曲する。
側方髪受部46の屈曲半径を髪押え具40の湾曲半径より小さく設定する。
髪押え具40の髪挟持面34との対向面に、隣接するブリッスル24の間に入り込む髪押え突起57を設ける。
髪押え具40の先端に、髪挟持面34から遠ざかる向きに曲がる髪導入部47を形成する。
ブラシ枠25の内部にイオン発生用の放電ユニットを備えた放電体9を配置する。放電体9と対向するブラシ枠の髪挟持面にイオン出口36を開口する。前記イオン出口36と対向する髪押え具40の主面壁43に、髪をイオン出口36へ向かって接近案内する髪ガイド78を、髪挟持面34へ向かって膨出形成する。
髪押え具40の主面壁43を断面波形に形成して、ブリッスル24の先端を受け入れる凹部76と、髪押え突起57とを交互に形成する。
髪押え具40の主面壁43が髪挟持面34と対向する使用位置と、主面壁43がブラシ枠25の背面と対向する不使用位置とに位置変更可能に、髪押え具40をブラシ枠25に装着する。
髪押え具40の下端に設けた連結リング41を、ブラシ枠25の連結筒29に回転可能に装着する。髪押え具40を連結筒29の回りに回転操作して、使用位置と不使用位置とに位置変更する。
髪押え具40を使用位置においてのみストッパー54で受け止める。不使用位置における髪押え具40をブラシ枠25の背面で受け止め保持する。
ブラシ枠25の連結筒29と髪押え具40の連結リング41との間に、髪押え具40が連結筒29の回りに回転するのを規制するロック構造を設ける。ロック構造は、連結筒29と連結リング41のいずれか一方に設けられるロック突起62と、他方に設けられるロック凹部63とで構成する。連結筒29の軸心に沿う髪押え具40の往復動作で、ロック突起62とロック凹部63とを係脱できるようにする。
髪押え具40とブラシ枠25との間に、髪押え具40を移動付勢してロック構造のロック状態を保持する付勢手段を設ける。
付勢手段は、髪押え具40の連結リング41に設けた弾性変形可能な押圧腕65と、ブラシ枠25の連結筒29に形成されて押圧腕65と係脱するガイド凹部66とで構成する。ガイド凹部66に、押圧腕65を介して髪押え具40をロック付勢する傾斜カム面68を形成する。
連結リング41と連結筒29との間に、髪押え具40が使用位置に位置する状態で互いに係合する節度構造を設ける。節度構造は、先端に節度突起82を備えた弾性腕81と、節度突起82と係合する節度凹部83とで構成する。
ブラシ枠25の連結筒29をセッター本体1の連結部13に装着して、セッター本体1に設けた連結ロック体30で分離不能にロック保持する。ロック体30に、連結リング41のロック凹部63と係合して、髪押え具40が連結筒29の回りに回転するのを規制するロック爪85を設ける。
ブラシ枠25の連結筒29の周面上部に段部61を周回状に設ける。連結筒29の周面複数箇所に、前記段部61に連続して下向きに延びる隔離リブ90を設ける。髪押え具40の連結リング41を隔離リブ90で受け止めて、段部61と連結リング41との間に隙間91を確保する。
本発明においては、ブローブラシ2のブラシ枠25と対向する位置に髪押え具40を設け、髪押え具40をブリッスル24の突端に被せ付けることにより、ブリッスル24に捕捉された髪を髪押え具40で抑え保持できるようにした。このように、髪を髪押え具40とブラシ枠25との間に挟んだ状態で梳くと、髪がブリッスル24からはみ出るのを確実に防止しながらヘアーブローやヘアーセットを的確に行なえる。しかも、ブラシ枠25から吹き出された温風やスチームが掌や指先に接触するのを髪押え具40で遮ることができるので、熱い思いをすることもなく、ヘアーブロー等を的確に行なうことができる。また、ブラシ枠25と髪押え具40とは、ブリッスル24の突出寸法に相当する間隔を隔てて対向するので、通常のブローブラシと同等量の髪をブラシ枠25と髪押え具40との間に挟み保持することができ、したがって、ヘアーセットを円滑にしかも確実に行なうことができる使い勝手に優れたヘアーセッターが得られる。
髪押え具40を閉じ位置と開放位置とに開閉可能に支持し、ブラシ枠25と髪押え具40との間に設けたストッパー54で、閉じ位置における髪押え具40とブラシ枠25との対向間隔を常に一定に保持すると、両者25・40の間に挟み込まれる髪量を概ね一定にして、適切に髪処理を行なうことができる。
閉じ位置における髪押え具40をブリッスル24の突端で受け止めるようにすると、別途ストッパー54を設ける必要がないので、その分だけブローブラシ2の構造を簡素化できる。また、落下衝撃がセッター本体1や髪押え具40に作用するような場合に、落下衝撃を一群のブリッスル24で分散して受け止めて緩和し吸収できるので、ヘアーセッターの落下等に伴なう破損や変形をよく防止できる。
髪押え具40の主面壁43にブリッスル24の先端部を受け入れる開口73を形成すると、ブラシ枠25と髪押え具40の間に髪を挟んだ状態において、一群のブリッスル24が髪束を貫通する。そのため、髪束が梳き流し方向と交差する向きに動くのをブリッスル24で阻止でき、髪を毛先へ向かって梳き流すとき、髪が横ずれするのを確実に防止しながら効果的に髪処理できる。この実施形態においては、髪押え具40をブリッスル24の突端で受け止めることができないので、髪押え具40とブラシ枠25との対向面に設けたストッパー54で髪押え具40を受け止めて、前記両者25・49の対向間隔を一定に保持する。
髪押え具40の両側端を、ブラシ枠25の髪挟持面34の頂部より前外方に位置させると、髪挟持面34と髪押え具40とで区画される髪挟持空間の断面が大きく屈曲するのを防止して、髪梳き時に髪に作用する摩擦抵抗が異常に大きくなるのを解消できる。したがって、例えば髪をブローブラシ2で内向きや外向きにカールするような場合に、髪が大きく曲げられて過剰に引っ張られるのを防いで、より軽快にしかも効果的にカール処理を行なうことができる。
上記のように、髪をブローブラシ2で内向きや外向きにカールするような場合には、髪の外面が髪押え具40の両側縁で強くしごかれて傷むおそれがある。しかし、髪押え具40の左右両側に側方髪受部46を設け、髪挟持面34の両側端に位置するブリッスル24の突端を側方髪受部46より前外方に位置させると、カール処理される髪束を側方髪受部46で案内して、髪束がしごかれるのを防止できる。したがって、ヘアーブロー時などに髪がしごかれて傷むのを一掃できる。また、髪を髪押え具40で挟みこんだ状態において、ブリッスル24と側方髪受部46との前後の位置差寸法bに相当する分だけ、髪を側方髪受部46で適度に押さえ込むことができる。したがって、ブローブラシ2で髪を梳く際に、髪が梳き方向と交差する方向(上下方向)へずれ動くのを規制できる。髪押え具40の左右幅を、ブリッスル24の突端占有領域の左右幅より大きく設定して、髪押え具40の左右両側に側方髪受部46を設けることも、髪を適度に押さえ込むのに役立っている。
側方髪受部46を、外突湾曲状に形成される髪押え具40の湾曲形状と逆向きに屈曲すると、側方髪受部46の湾曲面で髪束を案内して、髪束が側方髪受部46を通過するときの抵抗を減少できる。したがって、ヘアーブロー時などに髪がしごかれて傷むのをさらに確実に防止できる。
側方髪受部46の屈曲半径が髪押え具40の湾曲半径より小さく設定してあると、より小形の側方髪受部46で髪束を円滑に案内して、髪押え具40が大形化するのを防止できる。また、髪押え具40を小形化できる分だけ、ブローブラシ2の取り扱いを軽快に行なえる。
髪押え具40の髪挟持面34との対向面に、隣接するブリッスル24の間に入り込む髪押え突起57を設けると、ブラシ枠25と髪押え具40の間に髪を挟んだ状態において、髪束の外面が髪押え突起57で受け止められて、一群のブリッスル24が髪束を貫通する。そのため、とくに髪束の外面が梳き流し方向と交差する向きに動くのをブリッスル24で阻止して、髪を毛先へ向かって梳き流すとき、髪が横ずれするのを確実に防止しながら効果的に髪処理できる。また、髪束を通り抜けた温風の大半は、隣接する髪押え突起57の間の隙間に沿って上下いずれかへ移動するので、髪束を通り抜けた温風が主面壁43の内面の一個所に滞留するのを防止できる。さらに、隣接する髪押え突起57の間を流動する温風で、髪束の外面側に位置する髪を加熱できるので、髪挟持面34と髪押え具40の間に挟まれた髪を均等に加熱できる。
髪押え具40の先端に、髪挟持面34から遠ざかる向きに曲がる髪導入部47を形成すると、髪押え具40を開放操作して、髪押え具40と髪挟持面34との間に髪束を挟む場合に、髪押え具40の先端の髪導入部47を髪束から遠ざけることができる。したがって、髪束を髪押え具40と髪挟持面34との間に迅速かつ確実に挟み込んで、髪処理作業を簡便に行なえる。
イオン出口36と対向する髪押え具40の主面壁43に髪ガイド78を膨出形成すると、髪ガイド78と髪挟持面34の間を通過する髪を、髪ガイド78で強制的にイオン出口36に近接させて、マイナスイオンを髪束に対してより確実に浸透させ付着できる。したがって、髪をしっとりした状態にして髪処理を行なうことができ、より効果的にヘアーブローやヘアーセットを行なうことができる。また、主面壁43と髪挟持面34との間を髪ガイド78で左右に区分して、髪束を通り抜けた温風を髪ガイド78に沿って流動案内できるので、温風が主面壁43の内面に局部的に滞留するのを防いで、髪を均等に加熱できる。さらに、主面壁43の外面が髪ガイド78で左右に分断されるので、髪押え具40の外面に手を沿えて髪を梳く場合に、手指が接触する個所を髪ガイド78の開口の分だけ減少して熱さを緩和できる。
主面壁43を断面波形に形成して、凹部76と髪押え突起57とが交互に形成してある髪押え具40によれば、手指が接触する個所を凹部76の外面のみに限ることができる。しかも、断面波形に形成される主面壁43の表面積を大きくして、放熱作用を向上できる。したがって、熱さを感じさせることもなく、髪押え具40の外面に手を沿えて髪を梳くことができる。また、主面壁43に突設される髪押え突起57で、髪を抑え保持して髪が横ずれするのを確実に防止できるうえ、髪束を通り抜けた温風を隣接する髪押え突起57の間の隙間に沿って流動案内して、温風が主面壁43の内面の一個所に滞留するのを防止できる。
髪押え具40がブラシ枠25に対して、使用位置と不使用位置とに位置変更可能に装着してあると、必要に応じてブローブラシ2を単独で、あるいは髪押え具40を併用した状態で使用して、ユーザーの思い通りに、しかも効果的にヘアーブローやヘアーセットを行なえる。ブローブラシ2を単独で使用する場合に、髪押え具40が邪魔になることもない。
髪押え具40を連結筒29の回りに回転操作して、使用位置と不使用位置とに位置変更できるようにすると、ブラシ枠25に装着した状態のままで髪押え具40を位置変更できる。したがって、ブローブラシ2を単独で使用する場合と、髪押え具40を併用した状態で使用する場合の、髪押え具40の位置変更を簡単にしかも迅速に行なうことができる。
不使用位置における髪押え具40をブラシ枠25の背面で受け止め保持すると、不使用時の髪押え具40がブラシ枠25の外面から大きく突出するのを防止して、ブローブラシ2を単独で使用する場合に髪押え具40が邪魔になるのを解消できる。また、髪押え具40を装着した状態のままでヘアーセッターを収納する際に、ヘアーセッターを収納するためのスペースを小さくできる。
連結筒29と連結リング41との間に、ロック突起62とロック凹部63とからなるロック構造を設けると、髪押え具40が連結筒29の回りに不用意に回転するのを規制して、髪押え具40を使用位置や不使用位置において確実にロック保持できる。また、髪押え具40を連結筒29の軸心方向に操作する状態でのみ、ロック突起62とロック凹部63を係脱できるので、髪押え具40の装着姿勢が髪梳き時の抵抗力などで変わるのを確実に防止して、ヘアーセットなどを的確に行なうことができる。
髪押え具40とブラシ枠25との間に設けた付勢手段でロック構造をロック状態に保持すると、使用位置や不使用位置において髪押え具40をさらに確実にロック保持して、落下衝撃などで髪押え具40がロック解除状態に切り換わるのを防止できる。また、髪押え具40の装着位置を変更する場合には、付勢手段に抗してロック構造をロック解除したのち、その状態を維持した状態のままで髪押え具40を回転操作する必要があるので、いたずらなどによって髪押え具40の装着位置が変更されるのを解消できる。
付勢手段を連結リング41に設けた押圧腕65と、連結筒29に形成したガイド凹部66とで構成すると、連結リング41および連結筒29の成形時に、押圧腕65およびガイド凹部66をそれぞれ同時成形できる。したがって、付勢手段を備えたロック構造の構成部品点数を削減して、髪押え具40を備えたブローブラシ2の全体コストを削減できる。また、互いに凹凸係合する押圧腕65とガイド凹部66は、節度構造として機能して、回転操作される髪押え具40および連結リング41を周方向へ位置決めして、ロック突起62とロック凹部63とをより確実に係合できる。
節度突起82を備えた弾性腕81と節度凹部83とで節度構造を構成すると、回転操作される髪押え具40および連結リング41を、節度構造で使用位置において位置決めして、ロック突起62とロック凹部63とを常に適正にロック係合できる。また弾性腕81を連結リング41と、さらに節度凹部83を連結筒29と、それぞれ一体に形成することにより、節度構造の構成部品点数をを削減して、ブローブラシ2のコスト削減に寄与できる。
セッター本体1に設けたブラシ枠25用の連結ロック体30にロック爪85を設け、ロック爪85を連結リング41のロック凹部63と係脱できるようにすると、連結ロック体30を利用して髪押え具40の回転を規制できる。また、連結ロック体30の押し込み量を大小に加減することにより、髪押え具40のロック状態を解除し、あるいはブラシ枠25のロック状態を解除でき、両部材25・40の位置変更および着脱時のロック解除動作を1個所でまとめて行なえる。
連結筒29の段部61に連続して下向きに延びる隔離リブ90を設け、同リブ90で髪押え具40の連結リング41の上端を受け止めると、段部61と連結リング41との間に隙間91を確保し、さらに、隙間91を先の隔離リブ90で周方向へ複数に区分できる。したがって、隙間91に入り込んだ髪を隔離リブ90で受け止めて連結筒29の周面から浮かすことができ、これにより、髪押え具40を連結筒29の回りに回転操作するような場合に、髪が連結筒29と連結リング41との間に巻き込まれるのを防止できる。
(実施例) 図1ないし図9は本発明に係るヘアーセッターの実施例を示す。図2においてヘアーセッターは、上下に長いセッター本体1と、セッター本体1に交換装着されるブローブラシ2とからなる。ブローブラシ2は、図示していないロールブローブラシやノズルなどと共にアタッチメントを構成しており、それぞれ髪処理の内容に応じてセッター本体1に交換装着される。なお、本発明においては、図1ないし図3に示す交差矢印と前後、左右、上下の表示に従って前後、左右、上下を特定する。
図2および図3に示すように、セッター本体1は、筒状の本体ケース5の内部に送風ファン6やヒーター7などを配置し、吹出口8の側にイオン発生用の放電ユニットを備えた放電体9を配置して構成してある。グリップを兼ねるセッター本体1の上部前面には、送風ファン6のモーター10やヒーター7への通電状態を切り換えるスイッチノブ12と、吹出口8の周囲の連結部13に連結したアタッチメントを取り外すためのロック解除用のボタン14とが設けてある。ブローブラシ2は、連結部13に交換装着されてセッター本体1と一体化される。符号15は吸込口である。
図3において、放電体9は丸筒状の中空体からなり、その周囲壁に円形の4個のイオン送出口18と、長穴状の一群の通気口19とがそれぞれ開口してある。吹出口8から吹き出された温風(あるいは冷風)の一部は、放電体9の内部に入り込み、通気口19を介して周囲に吹き出され、同時にイオン送出口18からマイナスイオンが放出される。また、吹出口8から吹き出された温風の一部は、放電体9の外面に沿って流動する。各イオン送出口18に臨む放電体9の内部には、針状の放電電極20とリング状の対向電極21とからなる放電ユニットが配置してある(図5参照)。放電ユニットに高電圧のパルス電流を供給するイオン発生ユニットは本体ケース5の内部に収容してある。
図1、図3および図4に示すようにブローブラシ2は、前面に温風(または冷風)の吹出口23と一群のブリッスル24とが配置してある中空のブラシ枠25と、ブリッスル24の突端外面に被さる髪押え具40とを備えている。ブラシ枠25は、前面側のブラシホルダー26と、ブラシホルダー26の後面を覆うカバー27とで中空筒状に形成してあり、ブラシホルダー26の前外面に、一群のブリッスル24を支持するゴム製のブラシベース28が固定してある。
ブラシ枠25の下端には、先の連結部13に外嵌装着される連結筒29が設けてある。連結筒29の内面の対向2個所には、先のロック解除用のボタン14で操作される連結ロック体30(図5参照)と係合する係合凹部31が形成してある。また、連結筒29の前面上部には、ブリッスル24の側へ向かって温風を吹き出す補助吹出口32が開口してある。ロック解除用のボタン14と連結ロック体30とは一体に形成してあり、圧縮コイル形の復帰ばね33でボタン14がケース外方へ進出付勢され、同時に連結ロック体30がロック付勢してある。ボタン14を押し込み操作して連結ロック体30をロック解除することにより、ブローブラシ2を連結部13から取り外すことができる。
図1および図8に示すように、ブラシホルダー26およびブラシベース28の壁面には、縦長溝状の吹出口23の一群が縦列状に開口してあり、各吹出口列を間に挟む状態で一群のブリッスル24が設けてある。ブリッスル24は縦列ごとに一体に成形されたプラスチック成形品からなり、ブラシベース28に対してその内面側から組み付けられて、ブラシベース28の前面外方へ突出している。図1に示すように、ブラシベース28の外面は外突湾曲面状に形成されて、本発明で言う髪挟持面34を形成している。ブリッスル24の突端を通る仮想平面も同様に外突湾曲面状に形成してある。ブラシベース28は、その左右両側がブラシホルダー26とカバー27とで挟持固定されて、ブラシ枠25と一体化してある(図1参照)。ブラシホルダー26とカバー27とは図4に示すビス35で締結固定される。
ブラシベース28の左右中央部分には、上下一対のイオン出口36を備えた縦長の出口ピース37が装着してある。上下のイオン出口36は、放電体9の前面側のイオン送出口18と対向する状態で設けてあり、したがって、一群の吹出口23から温風を送給する状態では、マイナスイオンをイオン出口36から同時に送出して、髪を潤いのある状態に保持できる。
図3および図4に示すように髪押え具40は、ブリッスル24に対応して断面が外突湾曲状に形成されるへら状の主面壁43と、主面壁43の下端に連続して形成されるハンドル44、および左右一対の連結アーム45などを一体に備えたプラスチック成形品からなり、ブラシ枠25の連結筒29に装着した連結リング41で揺動可能に支持してある。図1に示すように、主面壁43の左右幅はブリッスル24の突端の占有領域の左右幅より大きく設定してあって、左右両側のそれぞれに側方髪受部46が一体に設けてある。また、主面壁43の上端(先端)には、髪導入部47が、髪挟持面34から遠ざかる向きに折り曲げてある。側方髪受部46は、主面壁43の湾曲形状と逆向きに湾曲(屈曲)してあり、側方髪受部46の屈曲半径は、主面壁43の湾曲半径より小さく設定してある。
連結リング41の外周面には一対のブラケット51が突設してあり、髪押え具40の連結アーム45とブラケット51とを揺動ピン52で連結することにより、髪押え具40の全体を揺動ピン52を中心にして前後方向へ揺動できるように軸支している。このように、連結リング41で揺動可能に軸支された髪押え具40は、主面壁43がブリッスル24の突端に被さる閉じ位置(図3に実線で示す状態)と、ブリッスル24の突端から離れる開放位置(図3に想像線で示す状態)との間を往復できる。
ブリッスル24および髪挟持面34と協同して髪を的確に挟み保持するために、髪押え具40の全体を、揺動ピン52の回りに配置したばね53で閉じ位置へ向かって揺動付勢している。また、閉じ位置における髪押え具40をストッパー54で受け止めて、髪押え具40と髪挟持面34との対向間隔を一定に保持できるようにしている。この実施例では、ブリッスル24の突端で主面壁43を受け止めて、ブリッスル24がストッパー54を兼ねるようにした。
髪押え具40の髪挟持面34と対向する主面壁43の内面には、図1に示すように、隣接するブリッスル24の間に入り込む髪押えリブ(髪押え突起)57が設けてある。詳しくは、縦列状に配置されるブリッスル24と平行な上下に長い髪押えリブ57を、主面壁43の内面の6箇所に設けている。ブリッスル24がブラシベース28から放射状に突出してあるのに対し、髪押えリブ57はブラシ枠25の中心軸線と平行に突出してある。図3に示すように、髪押えリブ57は主面壁43の上端から下端にわたって形成してあり、その上下長さはブリッスル24の突端の上下方向の占有領域より僅かに大きい。髪押えリブ57を設けることにより、髪押え具40と髪挟持面34との間に挟まれた髪が、ブリッスル24による髪梳き方向と交差する方向へずれ動くのを規制できる。
髪押え具40は、連結リング41を連結筒29に外嵌装着することによりブラシ枠25と一体化されて、連結筒29に固定した抜止めリング58(図3参照)で抜け止めされている。このように、ブラシ枠25に組み付けた状態における髪押え具40は、連結リング41を介して連結筒29で回転可能に支持されて、主面壁43がブラシ枠25の髪挟持面34と対向する使用位置(図3に示す状態)と、ブラシ枠25の背面と対向する不使用位置(図8に示す状態)との間を自由に位置変更できる。
髪押え具40が使用位置にあるときの、ブリッスル24と、髪挟持面34と、髪押え具40とは、以下に説明する位置関係にある。図1に示すように、髪押え具40の両側端はブラシ枠25の髪挟持面34の頂部より前外方に位置しており、この状態における髪押え具40の両側端と髪挟持面34の頂部との前後の位置差寸法を図1に符号aで示している。また、髪挟持面34の両側端に位置するブリッスル24の突端は、側方髪受部46より前外方に位置しており、この状態における両者24・46の前後の位置差寸法を符号bで示している。このように、ブリッスル24の先端と側方髪受部46との位置を前後に重複させると、髪を髪押え具40で挟みこんだ状態において、位置差寸法bに相当する分だけ髪を側方髪受部46で適度に押さえ込むことができる。したがって、ブローブラシ2で髪を梳く際に、髪が梳き方向と交差する方向(上下方向)へずれ動くのを規制できる。
ブラシ枠25の連結筒29の周面上部には、連結リング41の上端を受け止めて髪押え具40を位置決めする段部61が周回状に設けてある。この段部61と連結筒29の上端との間に、使用位置と不使用位置における髪押え具40を回転操作不能にロック保持するロック構造が設けてある。図7に示すようにロック構造は、段部61に連続して連結筒29の対向周面の2個所に形成される半円状のロック突起62と、ロック突起62に対応して連結リング41の上端に切り欠き形成される半円状のロック凹部63と、これら両者のロック係合状態を保持する付勢手段とで構成する。
図5ないし図7に示すように付勢手段は、連結リング41の筒壁の対向位置に設けられる弾性変形可能な押圧腕65と、ブラシ枠25の連結筒29に凹み形成されて押圧腕65を受け入れるガイド凹部66とで構成する。押圧腕65の遊端内面には半球状の受動片67が突設してある。また、ガイド凹部66の内底には段部61の側へ向かって下り傾斜する傾斜カム面68が形成してある。押圧腕65の外面の周囲は、髪の挟み込みを防ぐリブ70で囲んである(図7参照)。
図5に示すように、受動片67をガイド凹部66の傾斜カム面68で受け止めた状態では、押圧腕65が連結筒29の周面から浮き離れる向きに弾性変形して、受動片67を傾斜カム面68に押し付けている。そのため、受動片67は傾斜カム面68から反力を受け、反力の分力によって傾斜カム面68の傾斜下端側へ移動する向きの力を受ける。その結果、髪押え具40は連結リング41を介して段部61の側へ向かって移動付勢され、ロック突起62とロック凹部63とが係合するロック状態を維持できる。互いに係合した状態におけるロック突起62とロック凹部63とは、髪が段部61と連結リング41との間に巻き込まれるのを防ぐ規制体として機能している。
以上のように構成したヘアーセッターでヘアーブローを行なう場合には、ハンドル44を指先で押さえて髪押え具40を開放し、ブローブラシ2と髪押え具40との間に髪を挟みこむ。その状態で温風を吹出口23から吹き出し、さらにマイナスイオンをイオン出口36から送給しながら、毛先へ向かって髪を梳き流す。
髪押え具40を開放した状態の主面壁43は、ブリッスル24から遠く離れている。しかも、主面壁43の先端部分に設けた髪導入部47は、ブリッスル24からさらに離れる向きに傾斜してある。そのため、ブリッスル24を髪の内面側へ差し込む際に、主面壁43が邪魔になることはなく、ブローブラシ2を単独で使用する場合と同等量の髪を、髪挟持面34と髪押え具40との間に挟むことができる。髪を挟んだのちは、髪押え具40を閉じ位置へ戻すことにより、ブリッスル24で捕捉された髪を髪押え具40で押さえて、髪がブリッスル24からはみ出るのを確実に防止できる。
髪押え具40で髪を挟んだ状態では、ブリッスル24の間の髪束が髪押えリブ57で押さえられて、髪束の外面がブリッスル24の基端側へ向かって押し込まれる。そのため、一群のブリッスル24は、髪挟持面34と髪押え具40との間に挟まれた髪束を貫通して、髪束が梳き流し方向と交差する向きに動くのを阻止する。したがって、髪を毛先へ向かって梳き流すとき、髪が横ずれするのを確実に防止しながら効果的に髪処理できる。
ヘアーブローを行なう場合には、ブローブラシ2をセッター本体1ごと内向き、あるいは外向きに回転して、髪を内向き、あるいは外向きにカールする。そのとき、髪の外面が髪押え具40の両側縁で強くしごかれて傷むおそれがある。しかし、髪押え具40の左右両側に側方髪受部46が設けてあるので、側方髪受部46の湾曲面で髪を案内して、髪がしごかれて傷むのを防止解消できる。
上記のように、本発明のヘアーセッターによれば、髪を髪押え具40で抑え保持した状態で梳くことができるので、掌などで髪を押さえる必要がなく、図9に示すように片手のみでヘアーセットを行なうことができる。したがって、ブラシ枠25から吹き出された温風が掌や指先に接触するのを一掃して、熱い思いをすることもなく、ヘアーブローやヘアーセットを快適に行なえる。また、髪押え具40の外面に手を沿えて髪を梳き流す場合であっても、髪押え具40で温風を遮ることができるので、同様に熱い思いをすることはない。
髪束を通り抜けた温風の大半は、主面壁43で受け止められたのち、髪押えリブ57の間の溝状空間に沿って移動して、主面壁43の上下端から大気中に放出される。したがって、髪束を通り抜けた温風が主面壁43の内面の一個所に滞留するのを防いで、髪が不必要に加熱されて傷むのを防止できる。また、先の溝状空間を流動する温風で、髪束の外面側に位置する髪を加熱できるので、髪挟持面34と髪押え具40の間に挟まれた髪を均等に加熱できる。
濡れた髪を乾燥するような場合には、髪押え具40を不使用位置に変位させて、ブローブラシ2を単独で使用することができる。その場合には、図7に矢印で示すように押圧腕65の弾性に抗しながら、髪押え具40の全体を本体ケース5の側へ押し下げて、ロック突起62とロック凹部63との係合を解除する。連結リング41が押し下げられるのに伴なって、受動片67とガイド凹部66との係合深さが浅くなる。この状態で髪押え具40の全体を反転操作することにより、受動片67がガイド凹部66の内周側壁を乗り越えて連結筒29の周面に支障なく乗り上がる。髪押え具40を使用位置から180度反転させて、図8に示す不使用位置に位置させると、受動片67が対向周面側のガイド凹部66に落ち込み係合するので、使用者は節度機構と同様の節度感を感じることができる。同時に、傾斜カム面68から受ける反力の作用で連結リング41が上向きに押し上げられる。その結果、ロック突起62とロック凹部63とが係合して、髪押え具40を回転不能にロック保持できる。この状態では、ばね53で付勢された主面壁43がブラシ枠25の背面へ向かって接近傾動して、髪押えリブ57の上端寄りがブラシ枠25のカバー27の上部で受け止められている。
髪押え具40を再び使用位置へ戻す場合には、同様にして髪押え具40を不使用位置から180度反転させる。なお、ガイド凹部66の上端側の凹み深さを大きくして、傾斜カム面68の傾斜角度を大きくすると、受動片67がガイド凹部66の内周側壁を乗り越えるときの抵抗を増強して、受動片67とガイド凹部66がロック機構を兼ねることができる。その場合には、ロック突起62とロック凹部63とからなるロック機構を省略することができる。
上記のように、髪押え具40が不使用位置に位置する状態において、髪押え具40をブラシ枠25に接近傾動させると、髪押え具40がブラシ枠25の外面から大きく突出するのを防いで、ブローブラシ2を単独で使用する場合に髪押え具40が邪魔になるのを解消できる。また、不使用状態においてヘアーセッターを収納するためのスペースを小さくできる。
以下に本発明の別の実施例を示す。そこでは、主に先の実施例と異なる部分について説明し、先の実施例と同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。図10に示す髪押え具40は、主面壁43に開口73を前後貫通状に形成して、髪押え具40を閉じた状態において、一群のブリッスル24の先端部を開口73の内部に受け入れるようにした。図11に示すように開口73は、縦列状に配置されるブリッスル24に対応して上下に長い溝状に形成してある。この実施例では、閉じ位置における髪押え具40をブリッスル24で受け止めることができない。そこで、主面壁43の下部内面にストッパー54を突設し、さらにストッパー54を受け止める突起74を連結筒29に突設して、閉じ位置における髪押え具40をストッパー54および突起74で受け止めるようにした。
上記のように主面壁43に開口73を設けると、吹出口23から送給されて髪を通り抜けた温風を開口73から直接放出できる。そのため、主面壁43と髪挟持面34との間に挟んだ髪における温風の通りを良くして、髪をより均等に加熱できる。また、開口73を設けると主面壁43の体積を減少して蓄熱量を削減でき、しかも表面積が大きくなるので主面壁43の放熱を促進でき、例えばヘアーセットが終了した後の髪押え具40を速やかに冷却できる。さらに、髪押え具40の外面に手を沿えて髪を梳く場合に、主面壁43と接触して熱い思いをすることもない。
髪押え具40で髪を挟んだ状態では、髪押えリブ57を設けたのと同様に、ブリッスル24の間の髪束を主面壁43の内面で押さえて、髪束の外面をブリッスル24の基端側へ向かって押し込むことができる。これに伴ない髪束を一群のブリッスル24で貫通して、髪束が梳き流し方向と交差する向きに動くのを阻止でき、髪を毛先へ向かって梳き流すとき、髪が横ずれするのを確実に防止しながら効果的に髪処理できる。
図12における髪押え具40は、主面壁43を断面波形に形成して、個々のブリッスル24の先端を受け入れる凹部76を設け、さらに隣接する凹部76の間に髪押え突起57を設けるようにした。凹部76および髪押え突起57は、主面壁43の上端から下端にわたって、それぞれ上下方向へ連続する状態で形成してある。
髪押え具40で髪を挟んだ状態では、髪押え突起57でブリッスル24の間の髪束を髪挟持面34の側へ向かって押し込むことができるので、髪束が梳き流し方向と交差する向きに動くのを阻止して、髪が横ずれするのを確実に防止できる。また、髪束を通り抜けた温風の大半は凹部76に沿って上下いずれかへ移動するので、髪束を通り抜けた温風が主面壁43の内面の一個所に滞留するのを防止できる。さらに、凹部76を流動する温風で、髪束の外面側に位置する髪を加熱できるので、髪挟持面34と髪押え具40の間に挟まれた髪を均等に加熱できる。
図13における髪押え具40は、図1で説明した髪押え具40と同様に、主面壁43の基本形状を外突湾曲状としたうえで、イオン出口36と対向する主面壁43に、髪挟持面34へ向かって膨出する髪ガイド78を設けた。髪ガイド78は断面U字状に形成してあり、主面壁43の左右中央の上端から下端にわたって上下方向へ連続する状態で形成してある。このように、髪ガイド78を設けた髪押え具40によれば、イオン出口36の外面近傍を通過する髪を、髪ガイド78で強制的にイオン出口36に近接させ、あるいは押し付けて、マイナスイオンを髪束に浸透させ付着できる。また、主面壁43の外面が髪ガイド78で左右に分断されるので、髪押え具40の外面に手を沿えて髪を梳く場合に、手指が接触する個所を髪ガイド78の開口の分だけ減少して熱さを緩和できる。
図14および図15における髪押え具40は、先の実施例とロック構造が異なり、さらに連結リング41と連結筒29の接合構造が異なっている。ロック構造は、連結リング41と連結筒29との間に設けられて、髪押え具40を使用位置および不使用位置に位置決めする節度構造と、ブローブラシ2のロック構造を一部利用して構成した。節度構造は、連結リング41の筒壁の対向位置に設けられる弾性変形可能な弾性腕81と、弾性腕81の先端内面に突設される部分球状の節度突起82と、連結筒29に凹み形成されて節度突起82と係合する節度凹部83とで構成する。弾性腕81は、連結リング41の周方向に沿って部分円弧状に形成してあり、節度突起82が節度凹部83に落ち込み係合した状態において、僅かに弾性変形して節度突起82を節度凹部83の内底に押し付けている。
ブラシ枠25の連結筒29は、セッター本体1に設けた連結ロック体30でロック保持できるが、連結ロック体30に設けられるロック爪85を延長して、その爪先に連結筒29の外面に突出する端爪86を設けた。また、端爪86を連結リング41の内面に凹み形成したロック凹部63に係合して、髪押え具40が連結筒29の回りに回転するのを規制できるようにした。
ロック凹部63と端爪86との係合状態は、図15に想像線で示すように、ボタン14を僅かに押し込み操作することで解除できる。この状態から、ボタン14をさらに押し込み操作すると、連結ロック体30をロック解除してブローブラシ2を連結部13から取り外すことができる。ロック凹部63と端爪86との係合を解除した状態で、弾性腕81の弾性力に抗して髪押え具40を連結筒29の回りに反転操作することにより、髪押え具40を使用位置から不使用位置へと変位操作して、再びロック凹部63と端爪86を係合させて位置決めできる。
連結リング41と連結筒29の接合構造に関しては、連結筒29の周面6箇所に、段部61に連続して下向きに延びる隔離リブ90を設けて、髪押え具40の連結リング41の上端を隔離リブ90の下端で受け止めるようにした。このように、隔離リブ90で連結リング41を受け止めると、段部61と連結リング41との間に隙間91を確保できる。因みに、連結リング41の上端が段部61に密着する状態では、髪押え具40を連結筒29の回りに回転操作するような場合や、ヘアーセットを行なうような場合に、髪が連結リング41と段部61の間に入り込むおそれがある。こうした状況を一掃して髪の入り込みを防ぐために、連結リング41を隔離リブ90で受け止めて隙間91を確保している。
図16に示すブローブラシ2においては、ハンドル44を髪押え具40とは別の部品として構成し、それぞれを揺動ピン52・93の回りに揺動可能に支持し、ピン94および連動溝95を介して連動可能に連結した。また、ハンドル44をばね53で本体ケース5から離れる向きに揺動付勢して、常態において髪押え具40の主面壁43がブラシ枠25から離れるようにした。ブローブラシ2を使用する場合には、利き手で本体ケース5を握り、さらに利き手の人差し指や中指でハンドル44を本体ケース5側へ引き寄せて、主面壁43と髪挟持面34との間に髪を挟み保持する。この実施例においても、髪押え具40を抑え保持する必要もなく、片手のみでヘアーセットを行なえる。
図17に示すブローブラシ2においては、連結アーム45の間に揺動ピン52と平行な丸軸状のストッパー54を設け、ブラケット51の傾斜縁でストッパー54を受け止めて、閉じ位置における主面壁43の間隔保持を、ストッパー54およびブラケット51で行なうようにした。この実施例における髪押え具40は、全体がばね53で閉じ勝手に揺動付勢してあり、閉じ位置における主面壁43は、ブリッスル24と小さな隙間を介して対向している。
図18に示すブローブラシ2は、図13で説明したブローブラシ2の一部を変更した別実施例である。図13においては、放電ユニットを本体ケース5と一体的に設けたが、この実施例では放電ユニット100をブローブラシ2の内部に設けるようにした。また、放電ユニット100に高電圧のパルス電流を供給するイオン発生ユニットも、放電ユニット100と同様にブローブラシ2の内部に設けるようにした。このヘアーセッターによれば、ブローブラシ2を本体ケース5から取り外すことにより、放電ユニット100、およびイオン発生ユニットを本体ケース5から切り離すことができる。
詳しくは、ブラシ枠25の内部に放電ユニット100を設け、イオン出口36と対向する放電ユニット100の前面の上下に、針状の放電電極20とリング状の対向電極21とを配置した。放電電極20および対向電極21とイオン出口36とは、僅かな隙間を介して前後に対向するようにした。また、連結筒29に給電用の一対のプラグ101を設け、セッター本体1の連結部13にプラグ101に対応するソケット102を設けた。
このように、放電ユニット100をブローブラシ2と一体に設けると、図13における丸筒体やイオン送出口18を省略できるので、放電ユニット100で生成されたイオンを、イオン出口36から直接放出することができる。また、イオン出口36の外面近傍を通過する髪を、主面壁43に設けた髪ガイド78で強制的にイオン出口36に近接させ、あるいは押し付けて、マイナスイオンを髪束に確実に浸透させ付着できる。
上記の実施例以外に、髪押え具40の連結リング41を断面C字状に形成して、連結リング41を連結筒29に対して着脱可能に装着することができる。その場合の連結リング41は、リング部分の弾性で連結筒29に対する装着状態を維持するとよく、髪押え具40を併用する場合に限ってブラシ枠25に装着することができる。髪押え具40は揺動開閉する以外に、閉じ位置と開放位置との間を平行移動できるように支持することができる。必要があればセッター本体1で髪押え具40を支持することができる。
髪押え具40を移動付勢する付勢手段は、圧縮形や引っ張り形のコイルバネや、ねじりコイルばねなどで構成することができる。髪に緊張力を付与して、より効果的にカール処理するために、ブラシ枠25の左右両側面に沿ってテンションコームを設けることができる。テンションコームは、歯ブラシ状のブラシ束やリブ状の櫛片などを、ブラシベース28の側面に沿って縦列状に配置して構成することができる。
主面壁43の内面に髪挟持面34へ向かって開口する溝を形成して凹部76とすることができる。主面壁43の外面に一群の突起やリブ、あるいは格子状のリブなどを設けて、主面壁43の外面に手指が接触するときの接触部分を先の突起やリブの突端に限って、主面壁43から手指への熱伝導を抑止することができる。図1における髪押えリブ57は、上下に連続して形成する必要はなく、上下方向の複数個所で断続するように形成することができる。
ストッパー54は、髪押え具40とブラシ枠25のいずれか一方に設けてあればよい。また、ストッパー54を髪押え具40に設ける場合には、不使用位置においてストッパー54を受け入れる凹部をブラシ枠25の背面に設けておくことにより、不使用位置にした髪押え具40をコンパクトに収納することができる。セッター本体1の吹出口8側に設けた放電体9は省略することができ、その場合には、ブラシ枠25の内部に温風をより大量に送給して、その吹出口23から吹き出す温風で髪を速やかに加熱できる。必要があれば、スチームを吹出口23から送給することができる。ブローブラシ2はアタッチメントである必要はなく、セッター本体1とブローブラシ2を一体化したヘアーブロー専用機であってもよい。