本発明の実施の形態は、熱良導体で形成され、毛髪が巻き付けられる髪巻付部と、前記髪巻付部を加熱する加熱部と、前記髪巻付部の外面との間で毛髪を狭持する髪押さえ部と、を備えるヘアーアイロンであって、前記髪押さえ部には髪押さえ部側ブラシ列が設けられているものである。
これによって、髪押さえ部で毛髪を挟持した状態で毛髪にカール状の癖付けを施す使用方法と、髪押さえ部を使用せずに(髪押さえ部で毛髪を挟持せずに)、ヘアーアイロンを回転させることで毛髪にカール状の癖付けを施す使用方法の2通りの方法での使用が可能となる。その結果、毛髪へのカール状の癖付け時に、カール径を異ならせることができるようになる。このように、2種類のカール径とすることができるようにすることで、例えば、毛髪の部位毎に使用方法を異ならせて、異なるカール径となるように毛髪を施術することが可能となる。
また、前記髪巻付部における前記髪押さえ部と対面する部位には、前記髪巻付部から前記髪押さえ部に熱が伝達されるのを抑制する熱伝導抑制部が設けられているものである。
これによって、髪巻付部の外面から髪押さえ部への熱伝達を比較的小さくすることができるため、毛髪の施術中に使用者が熱く感じてしまうのを抑制することができるようになる。その結果、ヘアーアイロンをより快適に使用することができる上、使い勝手をより向上させることができるようになる。
また、前記髪押さえ部が熱不良導体で形成されているものである。
これによって、髪巻付部の外面から髪押さえ部への熱伝達をより一層抑制することができるようになり、毛髪の施術中に使用者が熱く感じてしまうのをより抑制することができるようになる。
また、前記髪巻付部が筒状に形成されており、前記髪巻付部の外面における前記熱伝導抑制部が設けられた部位以外の部位には、熱不良導体で形成された毛髪巻付部側ブラシ列が、周方向に間隔を空けて複数配置されているものである。
これによって、髪巻付部と使用者の皮膚との間に所定の間隔を持たせることが可能となり、熱く感じることなくより快適に使用することができるようになる。また、毛髪巻付部側ブラシ列を設けることで毛髪を捉えやすくなって、毛髪にカール状の癖付けをより容易に施すことができるようになる。
また、前記熱伝導抑制部には複数の凹溝が設けられているものである。
これによって、髪巻付部の熱伝導抑制部と髪押さえ部との接触面積を減少させることができ、髪押さえ部への熱伝達をさらに小さくすることが可能となる。その結果、毛髪の施術中に使用者が熱く感じてしまうのをより抑制することができるようになり、ヘアーアイロンをより快適に使用することができる上、使い勝手をより向上させることができるようになる。また、熱伝導抑制部に肌が接触した際の肌への熱伝達も小さくすることが可能となるため、ヘアーアイロンをより快適に使用することができるようになる。
また、前記髪押さえ部側ブラシ列は熱不良導体で形成されているものである。
これによって、肌が髪押さえ部に接触してしまうことをより確実に抑制することができるようになるため、使用者が熱く感じてしまうのをより一層抑制することができるようになって、ヘアーアイロンをより快適に使用することができるようになる。
また、前記髪押さえ部側ブラシ列が前記髪押さえ部よりも熱膨張率の大きい材料で形成されており、前記髪押さえ部側ブラシ列は、前記髪押さえ部の取付部に、所定のクリアランスをもって取り付けられているものである。
これによって、加熱時における髪押さえ部側ブラシ列の膨張をクリアランスによって吸収することができるようになり、髪押さえ部が変形したり破損してしまったりするのを抑制することができるようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細を説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
また、以下の説明では、髪押さえ部が上方に配置された状態におけるヘアーアイロンを基準として上下方向を規定する。また、ヘアーアイロンの施術部側を前方、把持部側を後方として説明する。
さらに、上記基準における前後方向(施術部および把持部の長手方向:髪巻付部の中心軸方向)をX方向、幅方向(施術部および把持部の短手方向)をY方向、上下方向(上記基準において、髪押さえ部を閉じた状態での髪押さえ本体の厚さ方向)をZ方向として説明する。
また、以下の複数の実施の形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
図1〜図10は、本発明の実施の形態1にかかるヘアーアイロン10の構成を示すものである。
本実施の形態1にかかるヘアーアイロン10は、図1に示すように、使用者によって把持される把持部20を備えており、当該把持部20のX方向一端側(前端側)に、施術部30が連結されている。
この施術部30の外周面30aは、実質的に円柱の外周面の形状をなしている。なお、施術部30の外周面の形状は、円柱に限定されず、毛髪が巻き付けられ得る形状であれば、いかなる形状であってもよい。
さらに、把持部20には、施術部30の外周面30aと協働して毛髪を挟持する髪押さえ部40が連結されている。この髪押さえ部40は、把持部20に相対回動可能に取り付けられており、髪押さえ部40を把持部20に対して相対的に回動させることで、髪押さえ部40の内側面40aが施術部30の外周面30aに対して接離するように構成されている。
そして、このような構成とすることで、使用者が、施術部30と髪押さえ部40との間に毛髪を挟持させることができるようにしている。
すなわち、髪押さえ部40は、後述するように、髪押さえ部40の内側面40aを施術部30の外周面30aから離間させる操作部43を後方に備えている。そして、操作部43を使用者が握ることで、髪押さえ部40が施術部30から離間し、離間した髪押さえ部40の内側面40aと施術部30の外周面30aとの間に毛髪を入れ、操作部43を戻すことで毛髪を狭持できる構成となっている。
また、使用者が、施術部30と髪押さえ部40とにより毛髪を挟持した状態で、その毛髪を施術部30の外周面30aに巻き付けることができるようになっている。
このように、本実施の形態1にかかるヘアーアイロン10を用いることで、使用者の毛髪にカール形状の癖付けを施すことができる。なお、使用者と施術者は同一の人物であってもよいし、施術者としての他人が使用者の毛髪にカール形状の癖付けを施すようにしてもよい。
また、施術部30と髪押さえ部40の構成は、図示された構成に限定されるものではなく、施術部の外周面と髪押さえ部の内側面とが協働して毛髪を挟持することができるものであれば、いかなる構成をしていてもよい。
また、髪押さえ部40を閉じた状態(髪押さえ部40が施術部30の外周面30aに当接した状態)で、施術部30の外周面30aにおける髪押さえ部40の内側面40aと対向する部位以外の部位には、複数のブラシ61が、X方向前後に列をなすように設けられている。すなわち、施術部30の外周面30aにおける髪押さえ部40を閉じた状態で露出する部分には、X方向前後に列をなす髪巻付部側ブラシ列60が設けられている。そして、複数の髪巻付部側ブラシ列60が、周方向に間隔を空けて配置されている。
したがって、本実施の形態1にかかるヘアーアイロン10は、施術時に、毛髪を整髪しながら施術部30の外周面30aに巻き付けることができるようになっており、よりきれいにカール形状の癖付けを施すことができるようになっている。
さらに、本実施の形態1にかかるヘアーアイロン10は、施術部30と髪押さえ部40との間に毛髪を挟持させず、施術部30の外周面30aにおける髪押さえ部40を閉じた状態で露出する部分および髪押さえ部40の外表面40bに巻き付けることができるようになっている。
このような方法で使用者の毛髪にカール形状の癖付けを施すようにすれば、施術部30と髪押さえ部40との間に毛髪を挟持させた場合とは異なるカール径で癖付けを施すことができる。
また、本実施の形態1では、髪押さえ部40の外表面40bにも、X方向前後に列をなす髪押さえ部側ブラシ列70が設けられており、複数のブラシ71が、X方向前後に列をなすように並設されている。
このように、本実施の形態1では、施術部30と髪押さえ部40との間に毛髪を挟持させず、施術部30の外周面30aにおける髪押さえ部40を閉じた状態で露出する部分および髪押さえ部40の外表面40bに毛髪を巻き付けることで施術する場合にも、毛髪を整髪しながら巻き付けることができるようになっている。
把持部20は、外壁をなすケース21を備えており、このケース21は、複数の分割体(例えば、上部ケース22および下部ケース23等)を継ぎ合わせた状態で、ねじ93aを用いてねじ止めすることで形成されるものである(図8参照)。なお、上部ケース22と下部ケース23との結合方法は、ねじに限らず圧入やコーキング、カシメ等で行うようにしてもよい。また、溶着や接着等により上部ケース22と下部ケース23とを結合させるようにしてもよい。
このケース21は、熱不良導体(例えば、PC等)で形成されており、後述するヒータ50からの熱が把持部20に伝わってしまうのが抑制されるようにしている。
そして、ケース21の内部には空洞が形成されており、この空洞内に、例えば、制御装置90等の各種電気部品が収容されている。なお、把持部20の上部ケース22の上側面には凹部22aが形成されており、この凹部22aに化粧プレート24が嵌め込まれている。
さらに、凹部22aには、図8に示すように、制御装置90に取り付けられたLED90bが収容されるLED収容空間22bが化粧プレート24に開口するように形成されている。このLED収容空間22bは下方に延設されたリブ22cによって画成されている(図5参照)。
また、把持部20の側部には、図1〜図4に示すように、操作スイッチ(スイッチ)27が前後方向にスライド可能に設けられており、この操作スイッチ27を操作することで、電源のオン・オフを切り替えることができるようになっている。このように、電源のオン・オフを切り替えることで、後述するヒータ(加熱部)50に対する通電のオン・オフ状態を切り換えることができ、また、LED90bの点灯・消灯も切り替えることができるようになっている。なお、LED90bが点灯すると、化粧プレート24がLED90bの光で照らされることになる。
また、操作スイッチ27は、図8に示すように、スライド板27aと操作部27bとで構成されており、スライド板27aには、制御装置90に取り付けられたスイッチ本体90aの切り替え用の突部90dが挿通される挿通孔27cが形成されている。
そして、操作スイッチ27を操作して前後方向前方にスライドさせると、スライド板27aの移動に伴い突部90dも前方に移動し、この突部90dが前方に移動することでヘアーアイロン10の電源がオンになり、ヒータ50が通電される。すると、ヒータ50が発熱し、発熱したヒータ50から施術部30に熱が伝達されて、施術部30が加熱される。
このように、本実施の形態1にかかるヘアーアイロン10は、毛髪に熱による癖付けを施すことで整髪を行うものである。すなわち、加熱した施術部30の外周面30aに毛髪を巻き付けることで、使用者の毛髪にカール形状の癖付けを施すことができるようにしたものである。
また、把持部20は、横断面形状が円弧状の外周面を有しており、全体として円柱に類似する形状に形成されている。ただし、把持部20の外形は、円柱形状に類似する形状に限定されるものではなく、使用者が握ることができる形状であれば、いかなる形状であってもよい。
また、把持部20の後端部20aには、図5に示すように、電源コード91に接続された回転コネクタ92が取り付けられている。具体的には、上部ケース22および下部ケース23の後端には、周方向突部22eおよび周方向突部23bがそれぞれ内周側に突出するように設けられている。そして、回転コネクタ92に形成された周方向溝92bに周方向突部22eおよび周方向突部23bをそれぞれ嵌合することで、把持部20の後端部20aに回転コネクタ92が取り付けられるようにしている。
このとき、回転コネクタ92は、制御装置90に取り付けられるリード線94aに電気的に接続されたジャック90cに端子部91aが差し込まれた状態で、把持部20の後端部20aに取り付けられることとなる。こうすることで、電源コード91が、リード線94aを介して制御装置90に電気的に接続されるようにしている。
施術部30は、毛髪が巻き付けられる外面31aを有する筒状の髪巻付部31と、先端につまみ部34dが形成されたキャップ部34と、髪巻付部31を把持部20に連設する連結部35と、を備えている。
本実施の形態1では、髪巻付部31は略円筒状をしており、この髪巻付部31の内部には、ヒータ(加熱部)50が収容されている。なお、髪巻付部31は、ヒータ50からの熱が伝わりやすくなるように、熱良導体である金属で形成されている。
また、キャップ部34は、熱不良導体(例えば、PBT等)で形成されており、髪巻付部31の前端に連設されている。
また、キャップ部34の先端には、全周に亘って内側に湾曲するように形成された凹面状のつまみ部34dが形成されている。本実施の形態1では、つまみ部34dに突部34aが形成されており、この突部34aは、つまみ部34dをつまむ際に、滑り止めとして機能するものである。また、突部34aは、ヒータ50からつまみ部34dに伝わる熱を放熱する機能も有している。さらに、キャップ部34の前端には、後方に凹む凹部34cが形成されており、このような凹部34cを形成することで、表面積を大きくし、より放熱を促進させることができるようにしている。
また、キャップ部34の内周側には、後方に突出する内筒34bが形成されており、この内筒34bの後端を筒状の髪巻付部31の前側開口31dから筒内に挿入することで、髪巻付部31の前側開口31dがキャップ部34によって塞がれるようになっている。そして、前側開口31dをキャップ部34で塞いだ状態で、髪巻付部31と内筒34bとをねじ93bでねじ止めすることで、キャップ部34を髪巻付部31の前端に連設している。なお、キャップ部34と髪巻付部31との結合も、ねじに限らず圧入やコーキング、カシメ、溶着、接着等で行うことができる。
一方、髪巻付部31の後端には、例えば、PBT等で形成された連結部35が連設されており、この連結部35によって、髪巻付部31の後側開口31eが塞がれている。
具体的には、連結部35は、筒部35aと、筒部35aの後端から外周方向に突出するフランジ部35bと、を備えており、連結部35の内側には、リード線94bが挿通される挿通孔35cが形成されている。
そして、筒部35aの前端を筒状の髪巻付部31の後側開口31eから筒内に挿入し、かかる状態で、髪巻付部31と筒部35aとをねじ93cでねじ止めすることで、連結部35を髪巻付部31の後端に連設している。この連結部35と髪巻付部31との結合も、圧入やコーキング、カシメ、溶着、接着等で行うことができる。
さらに、フランジ部35bの外周には、周溝35dが形成されている。また、上部ケース22および下部ケース23の前端には、周方向突部22dおよび周方向突部23aがそれぞれ内周側に突出するように設けられている。そして、フランジ部35bに形成された周溝35dに周方向突部22dおよび周方向突部23aをそれぞれ嵌合することで、把持部20の前端部20bに連結部35が取り付けられるようにしている。
こうして、キャップ部34および連結部35が取り付けられた髪巻付部31(施術部30の一部)が、把持部20の前端部20bに連設されることとなる。
本実施の形態1では、ヒータ50としてニクロム線ヒータが用いられている。このように、ニクロム線ヒータを用いることで、使用者の毛髪の施術の際に必要な熱量を十分に確保することが可能となる。
ヒータ50は、図8に示すように、ニクロム線51aが巻かれた金属板51を一対の押さえ板52で挟持し、取付板53に取り付けることで形成されている。そして、金属板51には、制御装置90に接続されたリード線94bが接続されており、このリード線94bを介してヒータ50と制御装置90とが電気的に接続されている。
なお、ヒータは、ニクロム線ヒータに限らず、PTCヒータ(Positive Temperature Coefficient ヒータ)やその他の加熱手段を用いるようにしてもよい。
また、ヒータ50にサーミスタ100が取り付けられるようにするのが好ましい。こうすれば、ヒータ50の温度変化に伴って変化するサーミスタの抵抗値を利用して、ヒータ50の温度を制御することができる。また、ヒューズ101を設けるようにするのが好ましい。こうすれば、制御装置90の破損等により髪巻付部31等の温度が所定の温度を超えてしまった場合に、ヒータ50への通電を遮断させることができる。
さらに、本実施の形態1では、ヒータ50からの熱を伝熱部としてのヒートシンク54,54を介して髪巻付部31に伝達させるようにしている。なお、ヒートシンク54を介さずにヒータ50を髪巻付部31に直接固定するようにしてもよい。
ヒートシンク54は、熱良導体である金属で形成されており、ヒータ(加熱部)50に接触する基部55と、基部55の上下両端から延設され、先端が髪巻付部31の内周面に当接する自由片56とで構成されている。
また、基部55,55には、ヒータ(加熱部)50側に突出する突壁部55a,55aがそれぞれ形成されている。具体的には、一方の基部55の上側に、ヒータ(加熱部)50側に突出する突壁部55aが形成されており、他方の基部55の下側に、上下一方側にヒータ(加熱部)50側に突出する突壁部55aが形成されている。そして、ヒータ(加熱部)50は、基部55,55と突壁部55a,55aとで画成される空間に収容されている。
また、基部55には、リード線95を収容するリード線収容部55bが形成されており、リード線95は、このリード線収容部55bに収容された状態でクリップ57によって挟持されている。なお、リード線95は、図8に示すように、制御装置90に接続されており、温度検知することでヒータ50の通電制御を行っている。
さらに、施術部30は、髪巻付部31の外面31aとの間で毛髪を狭持する髪押さえ部40を備えている。
本実施の形態1では、髪押さえ部40は、熱不良導体かつ耐熱性を有する材料(例えば、PBT等)で形成されており、髪巻付部31に接離可能な髪押さえ本体41と、髪押さえ本体41を髪巻付部31に対して接離可能に相対回動させる操作部43と、を備えている。
髪押さえ本体41は、髪巻付面として機能させることが可能な外面41aと、髪巻付部31の外面31aに対向し、髪挟持面として機能させることが可能な対向面41bと、を備えている。
一方、操作部43は、上方かつ後方に延在するように設けられており、本体部44と、操作部43および髪押さえ本体41を髪巻付部31側に付勢するばね46と、を備えている。
また、本実施の形態1では、ばね46としてねじりばねを用いており、このねじりばねが、上部ケース22の前端中央の上部に形成された収容凹部25に収容されるようにしている。
収容凹部25は、底壁25aと周壁25bとで画成されており、底壁25aには上方に突出する突部25dが形成されている。この突部25dには、ばね46の一端46aが連結されている。一方、ばね46の他端46bは、本体部44の内側(図5の下側)に形成された凹状のスリット44aに挿入固定されている。
こうして、操作部44および髪押さえ本体41が、ばね46によって、髪巻付部31に当接する方向(閉じる方向)に付勢されるようにしている。
なお、底壁25aの下方には、ねじ穴が形成されたリブ25cが形成されており、下部ケース23の前端に形成されたねじ穴23cからねじ93aをリブ25cのねじ穴に挿入することで、上部ケース22と下部ケース23の前端部が結合されるようにしている(図5参照)。
また、上部ケース22における収容凹部25の幅方向(Y方向)両側には、一対のスリット26,26が形成されており、この一対のスリット26,26内に、本体部44に形成された一対のアーム部45,45がそれぞれ挿通されるようになっている。
一対のアーム部45,45には、軸穴45a,45aがそれぞれ形成されており、この軸穴45a,45aを図示せぬ軸部に軸支させることで、髪押さえ部40が、軸穴45a,45aを中心として把持部20や髪巻付部31に対して相対回動可能に取り付けられることとなる。
また、本実施の形態1では、髪巻付部31の外面31aにおける髪押さえ本体41で覆った際に露出する部分に、髪巻付部側ブラシ列60が形成されるようにしている。
髪巻付部側ブラシ列60は、熱不良導体かつ耐熱性を有する材料(例えば、ナイロン樹脂等)で形成されており、ヒータ50からの熱がブラシ61に伝わってしまうのが抑制されるようにしている。また、ブラシ61は、指で押した際や肌で触れた際に容易に変形しつつも、指や肌が髪巻付部31の外面31aに触れないようにするために、ある程度の太さと長さと強度が必要となる。また、指や肌が触れた際に痛みを感じにくいように先端がR状となるようにしている。以上の観点から、本実施の形態1では、ブラシ61は、太さ2.3mm、長さ10.5mmで構成されている。しかしながら、ブラシ61の太さや長さ、その他のパラメータは自由に設定することができる。
この髪巻付部側ブラシ列60は、図9に示すように、基体部62を備えており、この基体部62に複数のブラシ61が列をなすように設けられている。そして、基体部62のブラシ61が形成された側とは反対側に、幅広のフランジ部62aが形成されており、基体部62は、断面視で段差状(凸状)をしている(図7参照)。
そして、このような髪巻付部側ブラシ列60が、髪巻付部31の外面31aに周方向に間隔を空けて複数配置されている。こうすることで、施術中に肌や指が髪巻付部31に直接触れにくい構造とすることができる。なお、本実施の形態1では、複数の髪巻付部側ブラシ列60が、髪巻付部31の外面31aに周方向に等間隔で配置されている。
具体的には、髪巻付部31の外面31aには、周方向に間隔を開けて(等間隔で)複数の凹溝32が形成されている。そして、各凹溝32に、髪巻付部側ブラシ列60の基体部62を前後方向にスライドさせながら挿入することで、複数の髪巻付部側ブラシ列60が髪巻付部31の外面31aに取り付けられるようにしている(図9参照)。
凹溝32は、幅広の内周側溝部32aと、内周側溝部32aよりも幅が狭い外周側溝部33bと、を有しており、外周側に開口する開口32cが形成されている。
すなわち、髪巻付部31の外周側には、凹溝32の両側から凹溝32側に突出する突出部31b,31bが形成されている。
このように、基体部62の断面形状と凹溝32の断面形状とを対応する段差状とすることで、凹溝32に基体部62を挿入した際に、フランジ部62aが突出部31bに当接して抜け止めがなされるようにすることができる。
さらに、本実施の形態1では、基体部62の断面形状を凹溝32の断面形状よりも若干小さくなるように形成し、髪巻付部側ブラシ列60が髪巻付部31の凹溝32に所定のクリアランスd1をもって取り付けられるようにしている(図7参照)。
具体的には、凹溝32に基体部62を挿入した状態で、髪巻付部31と基体部62との間に所定のクリアランスd1が、上下方向Z、幅方向Yおよび前後方向Xに形成されるようにしている。
ところで、本実施の形態1においては、髪巻付部31は、ヒータ50からの熱が伝わりやすくなるように、熱良導体である金属で形成されている。
一方、髪巻付部側ブラシ列60は、ヒータ50からの熱がブラシ61に伝わってしまうのが抑制されるようにする必要がある上、熱により変形してしまうのを抑制できるようにする必要があるため、熱不良導体かつ耐熱性に優れる材料(例えば、ナイロン樹脂等)で形成されている。
このように、本実施の形態1では、髪巻付部31と基体部62(髪巻付部側ブラシ列60)とが異なる材料で形成されているため、熱膨張率が、それぞれで異なっている。具体的には、髪巻付部側ブラシ列60が髪巻付部31よりも熱膨張率の大きい材料で形成されている。
そのため、本実施の形態1では、髪巻付部31と基体部62との間に所定のクリアランスd1が形成されるようにすることで、加熱時における髪巻付部側ブラシ列60の膨張をクリアランスd1によって吸収できるようにしている。こうすれば、加熱時の膨張によって髪巻付部側ブラシ列60や髪巻付部31が変形したり破損してしまったりするのを抑制することができるようになる。なお、クリアランスd1の大きさは、使用する材料に応じて適宜設定することができる。
また、髪押さえ部40には、髪押さえ部側ブラシ列70が設けられている。こうすることで、施術中に肌や指が髪押さえ部40(髪押さえ本体41)に直接触れにくい構造とすることができる。
この髪押さえ部側ブラシ列70も、熱不良導体かつ耐熱性を有する材料(例えば、ナイロン樹脂等)で形成されており、ヒータ50からの熱がブラシ71に伝わってしまうのが抑制されるようにしている。また、ブラシ71は、指で押した際や肌で触れた際に容易に変形しつつも、指や肌が髪押さえ部40(髪押さえ本体41)に触れないようにするために、ある程度の太さと長さと強度が必要となる。また、指や肌が触れた際に痛みを感じにくいように先端がR状となるようにしている。以上の観点から、本実施の形態1では、ブラシ71は、太さ2.3mm、長さ6.6mmで構成されている。しかしながら、ブラシ71の太さや長さ、その他のパラメータは自由に設定することができる。
また、髪押さえ部側ブラシ列70も、基体部72を備えており、この基体部72に複数のブラシ71が列をなすように設けられている。そして、基体部72のブラシ71が形成された側とは反対側に、幅広のフランジ部72aが形成されており、基体部72は、断面視で段差状(凸状)をしている(図7参照)。
本実施の形態1では、このような髪押さえ部側ブラシ列70が、髪押さえ本体41に1列配置されている。なお、髪押さえ本体41に髪押さえ部側ブラシ列70を複数列設けるようにしてもよい。
本実施の形態1では、髪押さえ本体41には、上下方向Zに貫通する貫通穴(取付部)42が形成されている。そして、髪押さえ部側ブラシ列70を、ブラシ71が上方に位置するようにした状態で、下方から貫通穴(取付部)42に挿入することで、髪押さえ部側ブラシ列70が髪押さえ本体41に取り付けられるようにしている(図10参照)。
貫通穴(取付部)42は、幅狭の上段部42aと、上段部42aよりも幅が広い中段部42bと、中段部42bよりも幅が広い下段部42cと、を有しており、上方に開口する開口42dが形成されている。
すなわち、髪押さえ本体41の貫通穴(取付部)42側には、上側段差部41dと、下側段差部41eとが形成されている。
このように、本実施の形態1では、基体部72の断面形状と貫通穴(取付部)42の上側の断面形状とを対応する段差状としている。こうすることで、貫通穴(取付部)42に基体部72を挿入した際に、フランジ部72aが上側段差部41dに当接して抜け止めがなされるようにすることができる。
そして、貫通穴(取付部)42に基体部72を挿入した状態で、板状の金属板47を下段部42cに挿入して、髪押さえ本体41に取り付けることで、髪押さえ部側ブラシ列70が髪押さえ本体41から下方に抜け落ちてしまわないようにしている。
このように、金属板47を設けることで、金属板47の下面47dが対向面41b(髪挟持面)の一部をなすこととなり、挟持した毛髪に熱を効率よく伝えることができるようになる。なお、本実施の形態1では、金属板47は、金属板47の下面47dが対向面41b(髪挟持面)よりも若干上方に位置した状態で髪押さえ本体41に固定されている。こうすることで、金属板47のエッジが毛髪に接触してしまうことが抑制されるため、よりスムーズに毛髪を狭持できるようになる。
さらに、本実施の形態1では、基体部72の断面形状を上段部42aおよび中段部42bの断面形状よりも若干小さくなるように形成し、髪押さえ部側ブラシ列70が貫通穴(取付部)42、すなわち、上段部42aおよび中段部42bに、所定のクリアランスd2をもって取り付けられるようにしている(図7参照)。
具体的には、上段部42aおよび中段部42bに基体部72を挿入した状態で、髪押さえ部側ブラシ列70と基体部72との間に所定のクリアランスd2が、上下方向Z、幅方向Yおよび前後方向Xに形成されるようにしている。
本実施の形態1においては、髪押さえ部40は、熱くなりすぎないようにする必要がある上、ある程度の強度(耐熱強度等)が要求されるため、熱不良導体かつ耐熱性に優れる材料(例えば、PBT等)で形成されている。一方、髪押さえ部側ブラシ列70は、ヒータ50からの熱がブラシ71に伝わってしまうのが抑制されるようにする必要がある上、熱により変形してしまうのを抑制できるようにする必要があるため、熱不良導体かつ耐熱性に優れる材料(例えば、ナイロン樹脂等)で形成されている。
このように、本実施の形態1では、髪押さえ部40と基体部72(髪押さえ部側ブラシ列70)とが異なる材料で形成されているため、熱膨張率が、それぞれで異なっている。具体的には、髪押さえ部側ブラシ列70が髪押さえ部40よりも熱膨張率の大きい材料で形成されている。
そのため、本実施の形態1では、髪押さえ部40と基体部72との間に所定のクリアランスd2が形成されるようにすることで、加熱時における髪押さえ部側ブラシ列70の膨張をクリアランスd2によって吸収できるようにしている。こうすれば、加熱時の膨張によって髪押さえ部側ブラシ列70や髪押さえ部40が変形したり破損してしまったりするのを抑制することができるようになる。なお、クリアランスd2の大きさは、使用する材料に応じて適宜設定することができる。
また、髪巻付部側ブラシ列60や髪押さえ部側ブラシ列70を、吸水性を有するナイロン樹脂で形成すれば、例えば、濡れた毛髪が接触した際に、髪巻付部側ブラシ列60や髪押さえ部側ブラシ列70が水分を吸収するため、静電気が生じ難くなる。
また、髪押さえ部40と金属板47も異なる材料で形成されているため、髪押さえ部40と金属板47との間にも、所定のクリアランスd3が形成されるようにしている(図7参照)。
具体的には、金属板47は、一端47aが髪押さえ本体41の先端(前端)に形成されたフック部41cに係止されている。そして、一端47aをフック部41cに係止した状態で、他端47bに形成されたねじ穴47cを本体部44に形成されたねじ穴44bに連通させ、ねじ穴47c,44bにねじ93dを挿通することで、金属板47が髪押さえ本体41に取り付けられるようにしている。
こうすることで、クリアランスd3をもたせた状態で金属板47を髪押さえ本体41に取り付けることができるようしている。したがって、熱膨張による金属板47の体積変化をクリアランスd3で吸収できるようになり、金属板47の突っ張りによって、金属板47自身や髪押さえ部40が変形したり破損したりしてしまうのを抑制することができるようになる。このクリアランスd3の大きさも、使用する材料に応じて適宜設定することができる。
ここで、本実施の形態1では、髪押さえ部40の表面温度が高くなりすぎてしまうのを抑制できるようにすることで、ヘアーアイロン10をより快適に使用することができる上、ヘアーアイロン10の使い勝手をより向上させることができるようにした。
具体的には、図7に示すように、髪巻付部31における髪押さえ部40と対面する部位に、髪巻付部31から髪押さえ部40に熱が伝達されるのを抑制する熱伝導抑制部80を設けた。
本実施の形態1では、髪巻付部31における髪押さえ部40と対面する部位に、髪巻付部31とは別部材の熱伝導抑制部材81を、外周側の面(表面81a)が露出するように取り付けることで、髪巻付部31に熱伝導抑制部80を設けている(図8参照)。
なお、本実施の形態1では、髪巻付部側ブラシ列60と同様の方法によって、髪巻付部31に熱伝導抑制部80を設けている。
すなわち、熱伝導抑制部材81は、幅方向Y両端の内周側にフランジ部81cが形成されており、断面視で段差状(凸状)をしている。
そして、髪巻付部31における髪押さえ部40と対面する部位には凹溝33が形成されている。そして、凹溝33に、熱伝導抑制部材81を前後方向にスライドさせながら挿入することで、熱伝導抑制部材81が髪巻付部31に取り付けられるようにしている(図9参照)。
凹溝33は、幅広の内周側溝部33aと、内周側溝部33aよりも幅が狭い外周側溝部33bと、を有しており、外周側に開口する開口33cが形成されている。
すなわち、髪巻付部31の外周側には、凹溝33の両側から凹溝33側に突出する突出部31c,31cが形成されている。
このように、熱伝導抑制部材81の断面形状と凹溝33の断面形状とを対応する段差状とすることで、凹溝33に熱伝導抑制部80を挿入した際に、フランジ部81cが突出部31cに当接して抜け止めがなされるようにすることができる。
さらに、本実施の形態1では、熱伝導抑制部材81の断面形状を凹溝33の断面形状よりも若干小さくなるように形成し、熱伝導抑制部材81が髪巻付部31の凹溝33に所定のクリアランスd4をもって取り付けられるようにしている(図7参照)。
具体的には、凹溝33に熱伝導抑制部材81を挿入した状態で、髪巻付部31と熱伝導抑制部材81との間に所定のクリアランスd4が、上下方向Z、幅方向Yおよび前後方向Xに形成されるようにしている。
ところで、本実施の形態1においては、髪巻付部31は、ヒータ50からの熱が伝わりやすくなるように、熱良導体である金属で形成されている。一方、熱伝導抑制部材81は、ヒータ50からの熱が髪押さえ部40の髪押さえ本体41に伝わってしまうのが抑制されるようにする必要がある上、熱伝導抑制部材81が熱により変形してしまうのを抑制できるようにする必要があるため、熱不良導体かつ耐熱性に優れる材料(例えば、PBT等)で形成されている。
このように、本実施の形態1では、髪巻付部31と熱伝導抑制部材81とが異なる材料で形成されているため、熱膨張率が、それぞれで異なっている。具体的には、熱伝導抑制部材81が髪巻付部31よりも熱膨張率の大きい材料で形成されている。
そのため、本実施の形態1では、髪巻付部31と熱伝導抑制部材81との間に所定のクリアランスd4が形成されるようにすることで、加熱時における熱伝導抑制部材81の膨張をクリアランスd4によって吸収できるようにしている。こうすれば、加熱時の膨張によって熱伝導抑制部材81や髪巻付部31が変形したり破損してしまったりするのを抑制することができるようになる。
また、本実施の形態1では、熱伝導抑制部80を、髪巻付部31とは別部品である熱伝導抑制部材81を用いて形成している。そのため、髪巻付部31に熱伝導抑制部80を一体に設けた場合に比べて、髪巻付部31から熱伝導抑制部材81への熱伝達をより抑制することができるようになり、ヒータ50からの熱が髪押さえ部40の髪押さえ本体41に伝わってしまうのをより抑制することができるようになる。特に、クリアランスd4を設けることで、クリアランスd4によっても髪巻付部31から熱伝導抑制部材81への熱伝達を抑制することができるようになる。なお、髪巻付部31と熱伝導抑制部材81とを二色成形等により一体に設けるようにしてもよい。
さらに、本実施の形態1では、熱伝導抑制部材81の表面81aに複数の凹溝81bを設けることで、熱伝導抑制部80に複数の凹溝81bが設けられるようにしている。この凹溝81bは、前後方向Xに延在するように、幅方向Yに間隔をおいて複数形成されている。
このように、熱伝導抑制部80に複数の凹溝81bを設けることで、髪狭持面となる熱伝導抑制部80と髪押さえ部40との接触面積が減少し、髪巻付部31から髪押さえ部40への熱伝達をさらに小さくすることができる。
さらに、指や肌等が熱伝導抑制部80に触れた際の熱伝達を小さくすることができるため、施術中に指や肌が触れた際に使用者が熱く感じてしまうことを抑制することもできる。
また、凹溝81bを長手方向(前後方向X)に設けることで、熱伝導抑制部80と髪押さえ部40で毛髪を狭持する際の滑り止めとしての効果があり、より確実に毛髪の毛先まで捉えることができるようになる。
なお、凹溝81bを短手方向(幅方向Y)に延在するように設けてもよい。
また、熱伝導抑制部材81の前端には、フック部41c逃がし用の凹部81dが形成されており、髪押さえ部40を閉じた際に、熱伝導抑制部材81とフック部41cとが干渉しないようにしている。
また、本実施の形態1では、熱伝導抑制部材81の表面81aを髪巻付部31の外面31aと略同一曲率の円弧面としている。
具体的には、熱伝導抑制部材81の表面81aにおける凹溝81bが設けられていない部位が、髪巻付部31の外面31aと略同一曲率の円弧面となるようにしている。
さらに、髪巻付部側ブラシ列60の基体部62の表面62bも、髪巻付部31の外面31aと略同一曲率の円弧面となるようにしている。
こうすることで、熱伝導抑制部材81および髪巻付部側ブラシ列60を取り付けた状態で、髪巻付部31の外面31aとの間に段差が形成されてしまうのが抑制される。その結果、施術部30のどの面に毛髪を巻き付けたとしても、カール径をほぼ一定の径とすることができ、カールの形が崩れることなく施術することができるようになる。
また、髪押さえ部側ブラシ列70を髪押さえ部40に取り付けた状態で、髪押さえ部側ブラシ列70の基体部72の表面72bが髪押さえ本体41の外面41aと略面一となるようにしている。こうすることで、髪押さえ部側ブラシ列70を髪押さえ部40に取り付けた状態で、髪押さえ本体41の外面41aとの間に段差が形成されてしまうのが抑制される。その結果、毛髪を髪押さえ部40と髪巻付部31とで狭持せずに施術する場合にも、カールの形が崩れることなく施術することができるようになる。
さらに、本実施の形態1では、髪押さえ本体41の対向面41bを凹状の円弧面とし、対向面41bの曲率を、髪巻付部31の外面31aの曲率よりも大きくなるようにした(図7参照)。こうすることで、髪巻付部31の外面31aと髪押さえ本体41の対向面41bとの間(幅方向Y中央)に、クリアランスd5が形成され、空気層による断熱構造が形成されることとなる。その結果、髪巻付部31の外面31a(熱伝導抑制部材81の表面81a)から髪押さえ部40(髪押さえ本体41)への熱伝達をさらに小さくすることができるようになる。
また、対向面41bの曲率を、髪巻付部31の外面31aの曲率よりも大きくなるようにすることで、髪押さえ部40(髪押さえ本体41)の外面31a(表面81a)への接触箇所を幅方向Y両端とすることができる。したがって、部品バラつきや組立バラつきがある場合にも、髪押さえ部40(髪押さえ本体41)を両端当てにすることができるため、毛髪を2点にて確実に保持することができるようになり、施術をスムーズに行うことができるようになる。
次に、かかる構成のヘアーアイロン10を用いて、毛髪にカール状の癖付けを施す際の作用の一例を説明する。
まず、使用者によってヘアーアイロン10の把持部20を把持する(把持ステップ)。
次に、使用者が操作部43を操作して髪押さえ部40の内側面40aを髪巻付部31の外面31aから離間させる(離間ステップ)。
次に、離間した髪押さえ部40と髪巻付部31との間に毛髪を介在させる(毛髪介在ステップ)。
次に、対向する髪押さえ部40と髪巻付部31とで毛髪を狭持させる(毛髪挟持ステップ)。
次に、毛髪を髪押さえ部40と髪巻付部31とで狭持した状態で、ヘアーアイロン10を回転(好ましくは半回転以上、より好ましくは1回転以上)させて、挟持された部位以外の毛髪を髪巻付部31の外面31aに巻き付ける(毛髪巻付ステップ)。
次に、毛髪を髪押さえ部40と髪巻付部31とで狭持しつつ外面31aに巻き付けた状態で、毛髪が髪押さえ部40と髪巻付部31との間および外面31aを滑るように、ヘアーアイロン10を毛髪の先端側に引き下ろすことで、毛髪にカール状の施術を施す(引き下ろしステップ)。
こうして、毛髪にカール状の癖付けが施される。
なお、上記の引き下ろしステップにおいて、使用者がつまみ部34dをつまんだ状態でヘアーアイロン10を毛髪の先端側に引き下ろすようにしてもよい。
また、毛髪を髪押さえ部40と髪巻付部31とで狭持せずに、髪巻付部31の外面31aにおける髪押さえ部40を閉じた状態で露出する部分および髪押さえ部40の外表面40bに毛髪を巻き付け、ヘアーアイロン10を毛髪の先端側に引き下ろすことで、毛髪を滑らせ、毛髪にカール状の施術を施すようにすることもできる。
なお、本実施の形態1のように、髪巻付部31における髪押さえ部40と対面する部位に熱伝導抑制部80を設けたとしても、毛髪にカール状の癖付けを行うために必要な温度は確保できている。
例えば、髪巻付部31の温度が約170.4℃となるように加熱した場合、熱伝導抑制部80の温度は、約149.3℃となり、髪押さえ本体41の温度は、約129.9℃となる。
以上説明したように、本実施の形態1では、ヘアーアイロン10は、熱良導体で形成され、毛髪が巻き付けられる髪巻付部31と、髪巻付部31を加熱するヒータ(加熱部)50と、髪巻付部31の外面31aとの間で毛髪を狭持する髪押さえ部40と、を備えている。そして、髪押さえ部40には髪押さえ部側ブラシ列70が設けられている。
これによって、髪押さえ部40で毛髪を挟持した状態で毛髪にカール状の癖付けを施す使用方法と、髪押さえ部40を使用せずに(髪押さえ部40で毛髪を挟持せずに)、ヘアーアイロン10を回転させることで毛髪にカール状の癖付けを施す使用方法の2通りの方法での使用が可能となる。その結果、毛髪へのカール状の癖付け時に、カール径を異ならせることができるようになる。このように、2種類のカール径とすることができるようにすることで、ヘアスタイルのアレンジの幅を広げられるようになって、例えば、毛髪の部位毎に使用方法を異ならせて、異なるカール径となるように毛髪を施術することが可能となる。その結果、ヘアーアイロン10をより快適に使用することができる上、ヘアーアイロン10の使い勝手をより向上させることができるようになる。
また、髪巻付部31における髪押さえ部40と対面する部位には、髪巻付部31から髪押さえ部40に熱が伝達されるのを抑制する熱伝導抑制部80が設けられている。
これによって、髪巻付部31の外面31aから髪押さえ部40への熱伝達を比較的小さくすることができるため、毛髪の施術中に使用者が熱く感じてしまうのを抑制することができるようになる。その結果、ヘアーアイロン10をより快適に使用することができる上、ヘアーアイロン10の使い勝手をより向上させることができるようになる。
また、髪押さえ部40が熱不良導体で形成されている。これによって、髪巻付部31の外面31aから髪押さえ部40への熱伝達をより一層抑制することができるようになり、毛髪の施術中に使用者が熱く感じてしまうのをより抑制することができるようになる。
また、髪巻付部31が筒状に形成されており、髪巻付部31の外面31aにおける熱伝導抑制部80が設けられた部位以外の部位には、熱不良導体で形成された毛髪巻付部側ブラシ列60が、周方向に間隔を空けて複数配置されている。
これによって、髪巻付部31と使用者の皮膚との間に所定の間隔を持たせることが可能となり、熱く感じることなくより快適にヘアーアイロン10を使用することができるようになる。また、毛髪巻付部側ブラシ列60を設けることで毛髪を捉えやすくなって、毛髪にカール状の癖付けをより容易に施すことができるようになる。
また、熱伝導抑制部80には複数の凹溝81bが設けられている。これによって、髪巻付部31の熱伝導抑制部80と髪押さえ部40との接触面積を減少させることができ、髪押さえ部40への熱伝達をさらに小さくすることが可能となる。その結果、毛髪の施術中に使用者が熱く感じてしまうのをより抑制することができるようになり、ヘアーアイロン10をより快適に使用することができる上、ヘアーアイロン10の使い勝手をより向上させることができるようになる。また、熱伝導抑制部80に肌が接触した際の肌への熱伝達も小さくすることが可能となるため、ヘアーアイロン10をより快適に使用することができるようになる。
また、髪押さえ部側ブラシ列70が熱不良導体で形成されている。
これによって、肌が髪押さえ部40に接触してしまうことをより確実に抑制することができるようになるため、使用者が熱く感じてしまうのをより一層抑制することができるようになって、ヘアーアイロン10をより快適に使用することができるようになる。
また、髪押さえ部側ブラシ列70が髪押さえ部40よりも熱膨張率の大きい材料で形成されており、髪押さえ部側ブラシ列70は、髪押さえ部40の貫通穴(取付部)42に、所定のクリアランスd2をもって取り付けられている。
これによって、加熱時における髪押さえ部側ブラシ列70の膨張をクリアランスd2によって吸収することができるようになり、髪押さえ部40が変形したり破損してしまったりするのを抑制することができるようになる。
(実施の形態2)
本実施の形態2にかかるヘアーアイロン10Aは、基本的に上記第1実施形態で示したヘアーアイロン10とほぼ同様の構成をしている。すなわち、ヘアーアイロン10Aは、図11に示すように、熱良導体で形成され、毛髪が巻き付けられる髪巻付部31と、髪巻付部31を加熱する加熱部50と、髪巻付部31の外面31aとの間で毛髪を狭持する髪押さえ部40と、を備えている。
そして、髪巻付部31における髪押さえ部40と対面する部位には、髪巻付部31から髪押さえ部40に熱が伝達されるのを抑制する熱伝導抑制部80が設けられている。
ここで、本実施形態にかかるヘアーアイロン10Aが上記第1実施形態で示したヘアーアイロン10と主に異なる点は、髪巻付部31に毛髪巻付部側ブラシ列を設けておらず、髪押さえ部40に髪押さえ部側ブラシ列を設けていない点にある。
なお、図11では、髪巻付部31の外面31aに凹凸が設けられているものを例示しているが、髪巻付部31の外面31aを滑らかな円弧状となるようにしてもよい。
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施の形態では、髪巻付部31における髪押さえ部40と対面する部位に凹溝33を形成し、当該凹溝33に、熱伝導抑制部材81を前後方向にスライドさせながら挿入させるようにしたものを例示している。しかしながら、熱伝導抑制部材81の取り付け方法は、これに限るものではない。例えば、髪巻付部31にスリットを設け、髪巻付部31のスリットに臨む面にガイド溝を設け、当該ガイド溝に熱伝導抑制部材81のフランジ部81cを挿入するようにしてもよい。
また、熱伝導抑制部や各ブラシ列、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。