JPWO2018042698A1 - 頭皮環境改善装置および頭皮環境改善方法 - Google Patents

頭皮環境改善装置および頭皮環境改善方法 Download PDF

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Abstract

吸込口(11)および吹出口(12)を有するハウジング(1)と、ハウジング(1)の内部に配置され、かつ帯電粒子を発生させるための帯電粒子発生部(13)と、ハウジング(1)の内部に配置され、かつ吹出口(12)からハウジング(1)の外部に向けて、帯電粒子を送出させるための送風部(14)と、ハウジング(1)の外部に配置される頭皮接触体(3)と、を備え、頭皮接触体(3)のうち、少なくとも使用者の頭皮に接触する接触部は、吹出口からハウジングの外部へと送出される帯電粒子の流路内に位置する、頭皮環境改善装置である。

Description

本発明は、頭皮環境改善装置および頭皮環境改善方法に関する。本出願は、2016年9月2日に出願した日本特許出願である特願2016−171585号に基づく優先権を主張する。当該日本特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
従来より、ヘアケア装置として、濡れた毛髪を乾かすためのドライヤーが広く知られている。これに対し近年、頭皮をケアする装置が提案されている。たとえば、特許文献1(特開2010−131259号公報)には、変則的な送風によって頭皮上の毛髪を掻き分けながら、該送風を頭皮に吹き付ける頭皮ケア装置が開示されている。特許文献1によれば、このような送風により、頭皮に対する高いマッサージ効果が得られるとされている。
特開2010−131259号公報
しかし、変則的な送風により毛髪を掻き分けた場合、毛髪の絡まりが生じる恐れがある。毛髪の絡まりは、頭皮環境の悪化を引き起こすと考えられる。また、送風による頭皮のマッサージ効果では、頭皮環境の改善が充分でない場合がある。このように、従来の技術では、頭皮環境を十分に改善し得るような装置は提供されていない。
そこで本発明は、頭皮環境を改善可能な頭皮環境改善装置および頭皮環境改善方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、吸込口および吹出口を有するハウジングと、ハウジングの内部に配置され、かつ帯電粒子を発生させるための帯電粒子発生部と、ハウジングの内部に配置され、かつ吹出口からハウジングの外部に向けて、帯電粒子を送出させるための送風部と、ハウジングの外部に配置される頭皮接触体と、を備え、頭皮接触体のうち、少なくとも使用者の頭皮に接触する接触部は、吹出口からハウジングの外部へと送出される帯電粒子の流路内に位置する、頭皮環境改善装置である。
上記頭皮環境改善装置は、複数の棒状部を有し、接触部は、棒状部の先端部分であることが好ましい。
上記頭皮環境改善装置において、棒状部は、長手方向に湾曲していることが好ましい。
上記頭皮環境改善装置において、接触部と吹出口との距離は、15cm以下であることが好ましい。
上記頭皮環境改善装置は、頭皮接触体を取り囲むカバー体を備えることが好ましい。
本発明の別の一態様は、上記頭皮環境改善装置を用いた頭皮環境改善方法であって、頭皮接触体を頭皮に接触させた状態で、帯電粒子を頭皮に送出させる、頭皮環境改善方法である。
本発明によれば、頭皮環境を改善可能な頭皮環境改善装置および頭皮環境改善方法を提供することができる。
実施の形態1の頭皮環境改善装置を示す側面図である。 実施の形態1の頭皮環境改善装置を示す斜視図である。 実施の形態1の頭皮環境改善装置を示す断面図である。 実施の形態1の頭皮環境改善装置において、頭皮接触体がハウジングから分離された状態を示す斜視図である。 吹出口の外径を説明するための模式的な斜視図である。 実施の形態2の頭皮環境改善装置を示す斜視図である。 実施の形態3の頭皮環境改善方法を実施する態様を示す模式図である。 実施の形態3の頭皮環境改善方法における頭皮近傍の状態を示す模式図である。 検討1における頭皮の水分量の評価結果を示すグラフである。 検討1における頭皮の油分量の評価結果を示すグラフである。 検討1における官能評価1の評価結果を示すグラフである。 検討1における官能評価2の評価結果を示すグラフである。 検討2における頭皮の水分量の評価結果を示すグラフである。 検討2における頭皮の油分量の評価結果を示すグラフである。 検討2におけるマラセチア菌数の評価結果を示すグラフである。 検討2における官能評価3の評価結果を示すグラフである。 検討2における官能評価4の評価結果を示すグラフである。 検討2における官能評価5の評価結果を示すグラフである。 検討2における官能評価6の評価結果を示すグラフである。 検討2における官能評価7の評価結果を示すグラフである。 検討2における官能評価8の評価結果を示すグラフである。 検討2における官能評価9の評価結果を示すグラフである。 検討2における官能評価10の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態においては、同一または共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る頭皮環境改善装置の構成について説明する。図1〜図3を参照し、頭皮環境改善装置は、筒状のハウジング1と、グリップ2と、頭皮接触体3とを備える。
筒状のハウジング1の一端および他端には、吸込口11および吹出口12が形成される。ハウジング1の内部には、吸込口11から吹出口12に向かって空気の流れを形成することが可能な内部空間が構成されている。
またハウジング1の内部には、帯電粒子発生部13と、送風部14とが配置されている。さらに、ハウジング1の内部には、ヒータ15と、制御部16とが配置されている。
帯電粒子発生部13は、帯電粒子を発生させるためのものである。具体的には、帯電粒子発生部13は、2対の針状の放電電極と、放電電極の周囲を囲む、2対の円環状の誘電電極とを備えている(不図示)。
帯電粒子発生部13においては、放電電極と誘電電極との間に電圧が印加されることによってコロナ放電が発生する。該コロナ放電によって放電電極の周囲に正イオンおよび負イオンが発生する。正イオンは、H(H2O)(mは任意の自然数)であり、負イオンは、O2-(H2O)m(mは0を含む任意の整数)である。
送風部14は、吹出口12からハウジング1の外部に向けて、帯電粒子を送出させるためのものであり、吸込口11から吹出口12に向かう空気の流れを発生させることができる。本実施の形態においては、軸流ファンである送風部14を例示するが、これに限定されない。
上記の各部は、図3に示されるように、吸込口11から吹出口12に向かって、吸込口11、送風部14、帯電粒子発生部13、および吹出口12の順に配置されている。
ヒータ15は、ヒータ15近傍の空気を加温するためのものである。ヒータ15は、少なくとも送風部14と吹出口12との間に配置され、好ましくは、帯電粒子発生部13と送風部14との間に配置される。ヒータ15の構成は特に限定されず、たとえばハウジング1内に配置された支持板に電熱線を巻き付けた構成を挙げることができる。
制御部16は、帯電粒子発生部13、送風部14、ヒータ15、および後述する操作部21と電気的に接続されている。これにより、操作部21が受けた使用者からの操作に従って、帯電粒子発生部13、送風部14、およびヒータ15の動作を制御することができる。
グリップ2は、使用者が頭皮環境改善装置を利用し易いように、利用者に把持される部分である。本実施の形態において、グリップ2には、使用者が頭皮環境改善装置を動作させるための操作部21が設けられている。またグリップ2には、不図示の電源コードが連結されている。これにより、頭皮環境改善装置は、外部電源に対して電気的に接続され得る。
頭皮接触体3は、ハウジング1の外部に配置されている。本実施の形態1において、頭皮接触体3のうち少なくとも使用者の頭皮に接触する接触部(図2における棒状部31の先端部分)は、吹出口12からハウジング1の外部へと送出される帯電粒子の流路内に位置する。このため、頭皮接触体3は、吹出口12と頭皮との間、換言すれば、ハウジング1の外部のうちの吸込口11側ではなく、吹出口12側に配置される。
本実施の形態において、頭皮接触体3は、複数の棒状部31を有している。この棒状部31の先端部分が、使用者の頭皮に接触する接触部となる。このような頭皮接触体3は、頭皮に心地よい刺激を与える第1機能と、頭皮上の毛髪を掻き分けて頭皮から浮かせることにより、頭皮を外部環境に露出させて、毛髪の下の頭皮と吹出口12から送出される帯電粒子とを接触し易くする第2機能とを有する。
頭皮接触体3とハウジング1とは、一体的に形成されていてもよく、分離可能なように構成されていてもよい。分離可能な構成の場合、たとえば図3に示すように、ハウジング1が、頭皮接触体3の着脱を可能とするような着脱スイッチ17を備えることが好ましい。
着脱スイッチ17は、たとえば、頭皮接触体3がハウジング1に装着された場合に押下された状態となり、頭皮接触体3がハウジング1に装着されていない場合に押下されていない状態となることができる。なお、図2は、頭皮接触体3がハウジング1に装着された状態を示しており、図4は、頭皮接触体3がハウジング1に装着されていない状態を示している。
さらに着脱スイッチ17と制御部16とを電気的に接続させることにより、頭皮接触体3の装着動作と各部の動作とを連動させることができる。たとえば、着脱スイッチ17が押下されている場合(頭皮接触体3がハウジング1に装着されている場合)に、制御部16により、ヒータ15の駆動を禁止させたり、ヒータ15による加温の程度を低く制御させたりすることができる。また着脱スイッチ17が押下されていない場合(頭皮接触体3がハウジング1に装着されていない場合)に、制御部16により、ヒータ15の駆動を許可させたりすることができる。
上述のような連動動作によれば、たとえば、頭皮環境改善装置に頭皮接触体3が装着されている場合に、頭皮に送風される空気の温度が高くなり過ぎるのを防止することができる。このような頭皮環境改善装置は、頭皮接触体3が装着されていない状態での比較的高温の温風による毛髪の乾燥と、頭皮接触体3が装着された状態での比較的低温での頭皮ケアとの両機能を有することができる。
頭皮ケアを実施する際の吹出口12と頭皮との距離は、毛髪を乾燥させる際の吹出口12と頭皮との距離よりも短くなる可能性が高い。この距離が短い状態において、吹出口12から送出される空気の温度が高すぎると、やけど等の頭皮の損傷がおこる恐れがあるが、上記構成によれば、このような損傷を防止することができる。
実施の形態1の頭皮環境改善装置は、次のように動作する。まず、グリップ2から延在する不図示の電源コードを外部電源に接続させる。なお頭皮接触体3とハウジング1とが着脱可能な構成の場合には、頭皮接触体3をハウジング1に装着させておく。
次に、頭皮接触体3の棒状部31が、使用者の頭皮に接触された状態で、操作部21が操作される。操作部21が受け付けた操作は、制御部16に伝達される。制御部16は、操作部21が受け付けた操作に従って、帯電粒子発生部13と、送風部14とを駆動させる。
送風部14が駆動することにより、ハウジング1内において、吸込口11から吹出口12に向かう空気の流れが発生する。また帯電粒子発生部13が駆動することにより、ハウジング1内に帯電粒子が発生する。発生した帯電粒子は、送風部14によって発生した空気の流れに乗って、吹出口12から外部に送出される。外部に送出された帯電粒子は、徐々に拡散されていく。
ここで頭皮と接触する棒状部31の先端部分は、帯電粒子の流路内に位置する。このため、ハウジング1の外部に送出された帯電粒子の多くは、棒状部31の先端部分近傍に向かうことができる。さらに、頭皮接触体3は、上述のように、頭皮上の毛髪を掻き分けて頭皮から浮かせることにより、毛髪の下の頭皮と吹出口12から送出される帯電粒子とを接触し易くする第2機能とを有する。したがって、棒状部31の先端部分近傍に送出された帯電粒子は、効率的に、先端部分近傍において露出している頭皮に到達することができる。
以上詳述したように、本実施の形態1に係る頭皮環境改善装置によれば、棒状部31の先端部分の第1機能によって、頭皮に心地よい刺激を与えることができる。さらに、該先端部分の第2機能によって、先端部分近傍の頭皮を外部に露出させることができ、これにより、外部に露出された頭皮に、効率的に帯電粒子を到達させることができる。このような心地よい刺激が与えられ、かつ多くの帯電粒子が到達した頭皮においては、その頭皮環境が改善されることとなる。
頭皮環境の改善の具体例としては、(1)頭皮の水分量を適切に維持する、(2)頭皮の油分量を適切に維持する、(3)使用者が頭皮の状態を心地よく感じる、(4)マラセチア菌の繁殖を抑制する、および(5)毛髪の育毛・発毛を促進する、等が挙げられる。これらのうち少なくとも一つが改善されれば、頭皮環境を改善できたとみなすことができる。
たとえば上記(1)に関し、表皮である頭皮の水分量が低すぎる場合、頭皮のバリア機能(外的刺激による頭皮の損傷を抑制する頭皮自身の機能)が下がることとなる。これは、頭皮環境として好ましくない状態である。一般的に、皮膚中のセラミドおよびヒアルロン酸などが不足すると、肌の保湿力が低下し、しわやたるみが引き起こされると言われるが、これも皮膚のバリア機能が低下したことが一因である。故に、上記(1)は頭皮環境の改善の一つと言える。特に、多くの帯電粒子が頭皮に到達した場合、頭皮の表面が帯電粒子に覆われることに起因して、頭皮からの水分の蒸散が抑制されると考えられる。
また上記(2)に関し、表皮である頭皮の油分量が低すぎる場合、水分量が低すぎる場合と同様に、頭皮環境として好ましくない状態である。皮脂は、頭皮がバリア機能を発揮するための因子であり、これが不足すると、頭皮のバリア機能が低下するためである。故に、上記(2)は頭皮環境の改善の一つと言える。特に、多くの帯電粒子が頭皮に到達した場合、頭皮の表面が帯電粒子に覆われることに起因して、頭皮からの油分の過剰な損失が抑制されると考えられる。さらに頭皮の油分量は、その量が高すぎる場合もまた、頭皮環境として好ましくない状態である。頭皮のべたつき、においの発生の原因となるためである。
また上記(3)に関し、使用者が頭皮の状態を心地よく感じることは、相対的なものではあるが、重要な要素であると考えられる。たとえば、頭皮をやわらかく感じたり、頭皮があたたかく感じたりすることは、頭皮環境の改善の一つと言える。他の頭皮環境の改善としては、たとえば髪がボリュームアップしたように感じること、並びに、抜け毛の気になる程度、ふけの気になる程度、頭皮のかゆみの気になる程度、白髪の気になる程度(白髪が目立つと感じる程度)、頭皮のにおいの気になる程度、頭皮の分け目の気になる程度(分け目が目立つと感じる程度)、および頭がどんよりと重く感じる程度のそれぞれの減少を感じること、などが挙げられる。
また上記(4)に関し、マラセチア菌は皮膚常在菌であるが、これが過剰に繁殖するとふけの発生や頭皮のかゆみが発生する。これは頭皮環境として好ましくない状態である。故に、上記(4)は頭皮環境の改善の一つと言える。
また上記(5)に関し、毛髪の育毛・発毛の程度が低下すると、薄毛が引き起こされる。薄毛は一般的に望まれない傾向にあり、また毛髪が頭皮を守る機能を有する点を考慮しても、薄毛は頭皮環境として好ましくない状態である。故に、上記(5)は頭皮環境の改善の一つと言える。
本実施の形態の頭皮環境改善装置によれば、上述のような頭皮環境の改善が可能となる。この理由は次のように推察される。
たとえば単に帯電粒子発生部を有するドライヤーの場合、ドライヤーから帯電粒子を含む風が毛髪に向かって送出されるものの、頭皮に向かって送出されることは難しい。何故なら、通常、頭皮は毛髪によって覆われており、このような頭皮に向かって帯電粒子を含む風を単に送出させただけでは、毛髪表面で帯電粒子の多くが消費されてしまい、結果的に、十分な量の帯電粒子を頭皮にまで到達されることが難しいためである。なお、仮にドライヤーの吹出口側に櫛がついていたとしても、櫛は毛髪を梳くための構成を有するに過ぎず、故に、毛髪を頭皮から十分に浮かせて、頭皮を外部環境に露出させることは難しい。
これに対し、本実施の形態の頭皮環境改善装置は、上述のように、頭皮に心地よい刺激を与える第1機能と、頭皮上の毛髪を掻き分けて頭皮から浮かせることにより、毛髪の下の頭皮と吹出口12から送出される帯電粒子とを接触し易くする第2機能とを有する頭皮接触体3を備える。このため、毛髪によって覆われている頭皮に対して頭皮環境改善装置を使用した場合、頭皮を好適に刺激しつつ、かつ該刺激が与えられている頭皮を外部に露出させることができる。このため、頭皮に対して、心地よい刺激の提供と、充分な量の帯電粒子の導入とを同時に実施することができる。
充分な量の帯電粒子が、好適に刺激されている頭皮に到達することにより、頭皮は好適な水分量を維持することができたり、好適な油分量を維持することができたりするものと考えられる。また、これに伴い、使用者が頭皮の状態を心地よく感じることもできる。
また充分な量の帯電粒子が好適に刺激されている頭皮に到達することにより、マラセチア菌の繁殖を抑制できることが期待される。さらに、十分な量の帯電粒子が好適に刺激されている頭皮に到達することにより、毛髪の育毛・発毛の促進が引き起こされることも期待される。
以上詳述した本実施の形態1の頭皮環境改善装置において、頭皮接触体3の棒状部31の先端部分(頭皮と接触する一部)と吹出口12との距離は、15cm以下であることが好ましい。これにより、帯電粒子をより高濃度で頭皮に到達させることができる。ただしこの場合、頭皮に到達する送風の温度に注意する必要がある。具体的には、頭皮に到達する送風の温度が55℃以下となるように、制御部16によって制御されることが好ましい。
なお、上記距離は、吹出口12と棒状部31の先端部分との直線距離であって、最短の直線距離である。この距離は、構成上、10cm以上となる。
また本実施の形態1の頭皮環境改善装置において、帯電粒子発生部13から送出されるイオン濃度は、正イオンおよび負イオン共に、330万個/cm3以上であることが好ましい。330万個/cm3以上の場合、上述の頭皮環境の改善効果をさらに高めることができる。
なお上記イオン濃度は、吹出口12から気流が送出される方向において、15cm離れた位置で計測される値である。イオンの計測は、イオンカウンターにより行うことができる。
また本実施の形態1の頭皮接触体3において、第2機能を好適に有する観点から、棒状部31は、少なくとも2本以上であることが好ましい。棒状部31が1本の場合、毛髪を頭皮から掻き上げる行為が十分に行うことができない可能性があるためである。
また棒状部31は、第1機能を好適に有する観点から、長手方向に椀状に湾曲していることが好ましい。棒状部31が椀状に湾曲していることにより、直線的な構造に比べ、過剰な力を逃がし、より心地良い刺激を頭皮に与えることができるためである。
また棒状部31は、長手方向に椀状に湾曲していることにより、第2機能を好適に有することもできる。棒状部31が椀状に盛り上がる部分を有することにより、該部分においてより好適に髪を頭皮から持ち上げることができるためである。
また本実施の形態1の頭皮環境改善装置において、頭皮接触体3のうち、少なくとも棒状部31の先端部分は、帯電粒子の流路内であって、該流路の外周近傍に配置されることが好ましい。
ここで、帯電粒子の流路および該流路の外周近傍について、図5を用いながら説明する。図5は、吹出口の外径を説明するための模式的な斜視図である。
まず、外部から吹出口12を目視した際の吹出口12の外径(図5において、点線で示す領域)を排気面(図5において、点線で囲む領域)とみなす。図5においては、排気面は、一部が欠けた円形となっている。
この排気面を、吹出口12からハウジング1の外部側に平行に連続移動させてなる、一部が欠けた円筒状の領域を、帯電粒子の流路とみなす。なお、実際には、帯電粒子は四方に拡散されながら外部に排出されることはいうまでもない。
そして、流路の中心近傍とは、流路が延在する方向(吹出口12からハウジング1の外部側に延在する方向)から流路を目視した場合の中心近傍であり、流路の外周近傍とは、流路が延在する方向から流路を目視した場合の外周近傍を意味する。
棒状部31の先端部分が、帯電粒子の流路の中心近傍よりも外周近傍に配置されることが好ましい理由は、次のとおりである。
帯電粒子は、吹出口12から外部に向けて拡散されながら送出される。このため、流路内の外周近傍における帯電粒子の濃度は、流路内の中心近傍における帯電粒子の濃度よりも低くなる傾向がある。
上記を前提として、棒状部31の先端部分が帯電粒子の流路内であって中心近傍に配置される場合を仮定する。この場合、頭皮に頭皮接触体3を接触させた状態で、頭皮接触体3を(たとえば10cm程度)移動させたとすると、外部に露出する頭皮は、先端部分が現在接触している位置と、該位置から10cmずれている位置との間の頭皮となる。このとき、高い濃度の帯電粒子が存在する中心近傍の位置と、外部に露出する頭皮との位置には、ずれが生じる。何故なら、先端部分が現在接触している位置が流路の中心近傍であるためである。
一方、棒状部31の先端部分が帯電粒子の流路の外周近傍に配置される場合を仮定する。この場合には、高い濃度の帯電粒子が存在する流路の中心近傍の位置と、外部に露出する頭皮との位置には、上記の場合に比してずれが小さくなる。何故なら、先端部分が現在接触している位置は流路の外周近傍であり、その近傍に位置している外部に露出する頭皮の位置が、流路の中心近傍となり得るためである。
したがって、棒状部31の先端部分が帯電粒子の流路の中心近傍よりも外周近傍に配置されることにより、外部に露出する頭皮に対してより効率的に帯電粒子を導入させることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2は、頭皮環境改善装置がさらにカバー体を備える点で、実施の形態1と相違している。本実施の形態では、実施の形態1との相違点について説明し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
図6は、実施の形態2の頭皮環境改善装置を示す斜視図である。図6に示されるように、頭皮環境改善装置は、頭皮接触体3を取り囲むカバー体4をさらに備える。カバー体4は、吹出口12から送出される帯電粒子を、頭皮接触体3と接触する頭皮に導くための流路を形成する機能を有する。
具体的にはカバー体4は、吹出口12に接続される吹出口側端部41と、これに対向する外部側端部42とが開口している略筒状である。特に、吹出口側端部41から外部側端部42に向けてカバー体4によって囲まれる領域が大きく拡がる形状を有している。このような構成を有するカバー体4は、頭皮接触体3の機能を阻害することなく、吹出口12から外部に向けて送出された帯電粒子を含む空気を、頭皮接触体3の棒状部31の先端にまで効率的に導く風路を構成することができる。
カバー体4は、図6に示されるように頭皮接触体3と一体的に形成されていてもよく、頭皮接触体3と異なる部材として個別に形成されていてもよい。
仮にカバー体4がない場合、帯電粒子を含む空気は、吹出口12から頭皮に到達するまでの間に自由に拡散することができる。このため、頭皮に到達する帯電粒子の濃度(個/cm3)は、吹出口12から外部に送出された直後の帯電粒子の濃度(個/cm3)よりも小さくなる。
これに対し、カバー体4を備える頭皮環境改善装置によれば、吹出口12から送出された帯電粒子を含む空気は、カバー体4が構成する風路内に導かれ、該風路の端部近傍の頭皮に到達される。この場合、帯電粒子を含む空気が吹出口12から頭皮に到達するまでの間に自由に拡散する場合に比して、より高い濃度の帯電粒子を頭皮に到達させることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態3は、実施の形態1または実施の形態2に係る頭皮環境改善装置を用いた、頭皮環境改善方法である。当該頭皮環境改善方法は、頭皮接触体3を頭皮に接触させた状態で、帯電粒子を頭皮に送出させる方法である。
図7は、実施の形態3の頭皮環境改善方法を実施する態様を示す模式図である。図8は、実施の形態3の頭皮環境改善方法における頭皮近傍の状態を示す模式図である。
本実施の形態においては、図7に示されるように、頭皮環境改善装置が使用される。これにより、図8に示されるように、頭皮接触体3を頭皮Mに接触させることができる。
上述のように、頭皮接触体3は、頭皮に心地よい刺激を与える第1機能と、頭皮上の毛髪を掻き分けて頭皮から浮かせることにより、毛髪の下の頭皮と吹出口12から送出される帯電粒子とを接触し易くする第2機能とを有する。これにより、頭皮を好適に刺激しつつ、頭皮に効率的に帯電粒子が到達することとなり、もって上述の頭皮環境の改善が可能となる。
上記方法は、たとえば、頭皮環境改善装置の頭皮接触体3の棒状部31の先端部分を頭皮に接触させた状態で、頭皮上において該先端部分を移動させる。このときの移動は、頭皮上を摺動していく先端部分による刺激を、使用者が心地よいと感じる程度の速度および強さとすることが好ましい。
上記移動により、先端部分が移動した頭皮上に生える毛髪は、頭皮から浮いた状態となる。すなわち、先端部分を移動させない場合に比して、より大きな領域の頭皮上の毛髪が、頭皮から浮いた状態となる。これにより、頭皮のうち、帯電粒子を効率的に到達させる領域を広くすることができる。また、該移動により、頭皮に対してより心地よい刺激を与えることができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
(検討1)
40歳以上65歳以下の6名の女性を被験者とし、ランダムに3人ずつ試験区1および試験区2に振り分け、二重盲検クロスオーバー試験を実施した。試験の実施には、機器Aおよび機器Bを用いた。機器Aは、実施例に係る機器であり、実施の形態1に係る頭皮環境改善装置に相当する。機器Bは、比較例用の対照機器であり、実施の形態1に係る頭皮環境改善装置から、帯電粒子発生部13を除去した装置に相当する。
〔試験〕
被験者とは異なる第3者(検査スタッフ)により、試験区1の被験者の右側頭皮に対する第1処理が実施された。具体的には、試験区1の被験者の右側頭皮に対し、機器Aが備える棒状部の先端部分を接触させた状態で、該先端部分を頭部前方から頭部後方に向けて3秒間かけて移動させた後、先端部分を頭皮から2秒間離間する、という動作が60回実施された。これにより、試験区1の被験者の右側全体の頭皮に対し、棒状部による刺激と帯電粒子が含まれる温風の送風とが、5分間実施された。
上記動作を終了した後、同被験者を安静な状態とするインターバルを60分間実施した。インターバル終了後、同被験者の左側頭皮に対する第2処理を実施した。左側頭皮に対する第2処理は、機器Aに代えて機器Bを用いた以外は、右側頭皮に対する第1処理と同様とした。これにより、試験区1の被験者の左側全体の頭皮に対し、棒状部による刺激と温風(帯電粒子は含まれない)の送風とが、5分間実施された。
表1に機器Aおよび機器Bにおける使用時の各設定条件を示す。なお、表1の温度は、吹出口から15cm離れた位置に配置された温度計にて測定される温度である。
Figure 2018042698
以上により、試験区1の被験者において、右側頭皮の全体に対して機器Aを用いた第1処理が実施され、左側頭皮の全体に対して機器Bを用いた第2処理が実施された。
一方、試験区2の各被験者に対しては、右側頭皮に対する第1処理において機器Bを用い、左側頭皮に対する第2処理において機器Aを用いた以外は、上述の試験と同様の試験を実施した。すなわち、試験区1の被験者の右側頭皮および試験区2の被験者の左側頭皮における試験が実施例であり、試験区1の被験者の左側頭皮および試験区2の被験者の右側頭皮における試験が比較例である。
〔評価〕
試験区1の被験者および試験区2の被験者について、(a)第1処理実施直前の右側頭皮の頭皮環境状態、(b)第1処理実施直後の右側頭皮の頭皮環境状態、(c)第2処理実施直前の左側頭皮の頭皮環境状態、および(d)第2処理実施直後の左側頭皮の頭皮環境状態を評価した。
試験区1の被験者における(a)および試験区2の被験者における(c)の各値の平均値を、実施例(処理前)の値とし、試験区1の被験者における(b)および試験区2の被験者における(d)の各値の平均値を、実施例(処理後)の値とした。また試験区1の被験者における(c)および試験区2の被験者における(a)の各値の平均値を、比較例(処理前)の値とし、試験区1の被験者における(d)および試験区2の被験者における(b)の各値の平均値を、比較例(処理後)の値とした。実施例および比較例の各値は、平均値とした。
実施例(処理前)、実施例(処理後)、比較例(処理前)および比較例(処理後)における評価項目を以下〔1〕〜〔4〕に列挙する。
〔1〕頭皮の水分量
経皮水分蒸散量測定器(「Tewameter TM300」、Courage+Khazaka electronic社製)を用いて、頭皮の水分蒸散量(g/(m2・hr))を測定した。各被験者の結果を平均して、それを評価結果とした。
〔2〕頭皮の油分量
油分計(「Sebumeter SM815」、Courage+Khazaka electronic社製)を用いて、頭皮の皮脂分泌量(μg/cm2)を測定した。各被験者の結果を平均して、それを評価結果とした。
〔3〕官能評価1:頭皮のやわらかさ
頭皮のやわらかさに関して、各被験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価基準は以下のとおりである。処理前と処理後とにおいて、各被験者は、下限および上限のみが示された評価バーにおいて、各被験者が「頭皮がやわらかいと感じる」度合いに相当すると考える位置にプロットをした。次に、被験者とは異なる第3者が、各被験者の結果について、評価バーの下限および上限の各値を「0」および「100」として、各プロットの位置を数値化し、処理前の数値の平均値および処理後の数値の平均値を算出した。
〔4〕官能評価2:頭皮のあたたかさ
頭皮のあたたかさに関して、各試験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価基準は以下のとおりである。処理前と処理後とにおいて、各被験者は、下限および上限のみが示された評価バーにおいて、自身が「頭皮がじんわりあたたかいと感じる」度合いに相当すると考える位置にプロットをした。次に、被験者とは異なる第3者が、各被験者の結果について、評価バーの下限および上限の各値を「0」および「100」として、各プロットの位置を数値化し、処理前の数値の平均値および処理後の数値の平均値を算出した。次に、得られた処理後の数値(平均値)から、得られた処理前の数値(平均値)を差し引いた値を、算出した。
〔評価結果〕
上記〔1〕〜〔4〕の各評価結果を図9〜図12に示す。図9〜図12の棒グラフに示されるエラーバーは、標準誤差を意味する。
図9は、検討1における頭皮の水分量の評価結果を示すグラフである。比較例においては、処理を経ることによる水分蒸散量の低下の程度が低く、処理の前後での有意差はなかった。一方、実施例においては、処理を経ることによる水分蒸散量の低下の程度が大きく、処理の前後での有意差(p<0.05)が確認された。このことから、実施例においては、比較例に比して頭皮の水分蒸散量が少なく、もって頭皮が好適な状態に維持されることが分かった。なおp値の算出には、Wilcoxonの符号付順位検定を用いた。
図10は、検討1における頭皮の油分量の結果を示すグラフである。比較例においては、処理を経ることによって、皮脂分泌量が大きく低下しており、処理の前後におけるp値は、p<0.2であった。さらに、比較例における処理後の皮脂分泌量は極めて低く、頭皮の適切な油分量が保たれていないことが分かった。一方、実施例においては、処理を経ることによる皮脂分泌量の低下の程度が小さかった。また、比較例における処理前後の差と、実施例における処理前後の差との群間比較におけるp値は、p<0.05であった。このことから、実施例においては、比較例に比して頭皮の油分量が高く、もって頭皮が好適な状態に維持されることが分かった。なおp値の算出には、Wilcoxonの符号付順位検定を用いた。
図11は、検討1における官能評価1の結果を示すグラフである。比較例においては、処理の前後における評価の変化はなかった。一方、実施例においては、処理前よりも処理後のほうが、「頭皮がやわらかいと感じる」程度の評価が高く、処理の前後での有意差(p<0.05)が確認された。このとこから、実施例においては、比較例に比して頭皮がやわらかいと感じる程度が高く、もって頭皮が好適な状態に維持されることが分かった。なおp値の算出には、対応のあるt検定を用いた。
図12は、検討1における官能評価2の結果を示すグラフである。実施例における処理前後の差の方が、比較例における処理前後の差よりも大きかった。また、比較例における処理前後の差と、実施例における処理前後の差との群間比較におけるp値は、p<0.2であった。このことから、実施例においては、比較例に比して、処理を経ることによる頭皮のあたたまりをより強く感じることができ、もって頭皮が好適な状態に維持されることがわかった。なおp値の算出には、対応のあるt検定を用いた。
(検討2)
40歳以上65歳以下の59名の女性を被験者とし、ランダムに抽出された29名をA群とし、ランダムに抽出された30名をB群として振り分け、二重盲検並行群間比較試験を実施した。試験の実施には、検討1と同様の機器Aおよび機器Bを用いた。機器AはA群に使用され、機器BはB群に使用された。
〔試験〕
A群の被験者は、自宅にて自身で洗髪して乾燥させた後、機器Aを用いて第1処理を実施した。具体的には、被験者は、洗髪して乾燥させた後の自身の頭頂部に対し、機器Aが備える棒状部の先端部分を接触させた状態で、該先端部分を頭頂部前方から頭頂部後方に向けて3秒間かけて移動させた後、先端部分を頭皮から2秒間離間する、という動作を被験者自身にて60回実施した。これにより、A群の被験者の頭頂部の頭皮に対し、棒状部による刺激と帯電粒子が含まれる温風の送風とが、5分間実施された。A群の被験者は、12週間、上記試験を毎日実施した。
B群の被験者は、機器Aに代えて機器Bを用いて、A群の被験者と同様の試験を12週間毎日実施した。
〔評価〕
検討2における評価項目を以下〔5〕〜〔15〕に列挙する。〔5〕〜〔7〕は、試験開始直前(0週目)、試験開始日から4週間経過後、8週間経過後、12週間経過後のそれぞれにおいて、検査機関にて検査スタッフにより評価された。〔8〕〜〔15〕は、試験開始直前(0週目)、試験開始日から4週間経過後、8週間経過後、12週間経過後のそれぞれにおいて、検査機関にて各被験者により評価された。
〔5〕頭皮の水分量
上記〔1〕と同様の方法により、各群のそれぞれの被験者における頭皮の水分蒸散量(g/(m2・hr))を測定した。
〔6〕頭皮の油分量
上記〔2〕と同様の方法により、各群のそれぞれの被験者における頭皮の皮脂分泌量(μg/cm2)を測定した。
〔7〕頭皮のマラセチア菌数
綿球を生理食塩水に浸した滅菌綿棒(「メンティップ 病院用綿棒(0−319−32)」、アズワン株式会社製)を用いて、機器Aまたは機器Bから送出される風が当てられた領域の頭皮をこすり、該綿棒を、シードチューブ(「シードチューブ(9−MR84)」、栄研化学株式会社製)内の溶液に浸漬させた。このシードチューブ内の溶液を播種用菌液とし、該播種用菌液を寒天培地(「クロモアガー(登録商標)マラセチア/カンジタ培地」、関東化学株式会社)に播種して、培養した。培養後、寒天培地上のマラセチア菌数の測定を行い、各群のそれぞれの被験者におけるマラセチア菌数を評価した。なお、マラセチア菌数の測定は、株式会社LSIメディエンスにて実施された。
〔8〕官能評価3:髪のボリューム
髪のボリュームに関して、各被験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価基準は以下のとおりである。各被験者は、下限および上限のみが示された評価バーにおいて、各被験者が「髪がボリュームアップしたと感じる」度合いに相当すると考える位置にプロットをした。次に、検査スタッフが、各被験者の結果について、評価バーの下限および上限の各値を「0」および「100」として、各プロットの位置を数値化し、A群およびB群の各平均値を算出した。
〔9〕官能評価4:抜け毛の程度
抜け毛の程度に関して、各被験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価方法は、評価バーの指標を「抜け毛が気になる」度合いに変更した以外は、上記〔8〕と同様の方法とした。
〔10〕官能評価5:ふけの程度
ふけの程度に関して、各被験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価方法は、評価バーの指標を「ふけが気になる」度合いに変更した以外は、上記〔8〕と同様の方法とした。
〔11〕官能評価6:頭皮のかゆみ
頭皮のかゆみの程度に関して、各被験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価方法は、評価バーの指標を「頭皮のかゆみが気になる」度合いに変更した以外は、上記〔8〕と同様の方法とした。
〔12〕官能評価7:白髪の程度
白髪の程度に関して、各被験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価方法は、評価バーの指標を「白髪が気になる」度合いに変更した以外は、上記〔8〕と同様の方法とした。
〔13〕官能評価8:頭皮のにおい
頭皮のにおいの程度に関して、各被験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価方法は、評価バーの指標を「頭皮のにおいが気になる」度合いに変更した以外は、上記〔8〕と同様の方法とした。
〔14〕官能評価9:髪の分け目
髪の分け目の程度に関して、各被験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価方法は、評価バーの指標を「髪の分け目が気になる」度合いに変更した以外は、上記〔8〕と同様の方法とした。
〔15〕官能評価10:頭の重さ
頭の重さの程度に関して、各被験者による官能評価を行い、それを平均して評価結果とした。その際の評価方法は、評価バーの指標を「頭がどんよりと重く感じる」度合いに変更した以外は、上記〔8〕と同様の方法とした。
〔評価結果〕
上記〔5〕〜〔15〕の各評価結果を図13〜図23に示す。図13、14、16〜23の棒グラフに示すエラーバーは、標準誤差を意味する。
図13は、検討2における頭皮の水分蒸散量の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における頭皮の水分蒸散量の変化量であって、各被験者の12週目の値から0週目の値を減じた値の平均値である。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における頭皮の水分蒸散量の変化量であって、各被験者の12週目の値から0週目の値を減じた値の平均値である。
A群においては、水分蒸散量の変化量がマイナスの値であった。すなわち、実施例においては、12週目の頭皮における水分蒸散量が、0週目の頭皮における水分蒸散量よりも小さかった。一方、B群においては、水分蒸散量の変化量がプラスの値であった。すなわち、比較例においては、12週目の頭皮における水分蒸散量が、0週目の頭皮における水分蒸散量よりも大きかった。さらに、実施例および比較例間には、有意差(p<0.05)が確認された。このことから、実施例は、比較例に比して頭皮の水分蒸散量が少なくなっており、もって頭皮が好適な状態に維持されたことが分かった。なおp値の算出には、Mann−WhitneyのU検定を用いた。
図14は、検討2における頭皮の油分量の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における頭皮の油分変化量であって、各被験者の8週目の値から0週目の値を減じた値の平均値である。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における頭皮の油分変化量であって、各被験者の8週目の値から0週目の値を減じた値の平均値である。
A群およびB群における各油分変化量はそれぞれマイナス値であり、その絶対値はA群のほうが大きかった。すなわち、実施例は、比較例に比して、8週目の頭皮における油分量が0週目の頭皮における油分量に対して大きく減少していた。さらに、実施例および比較例間には、有意差(p<0.05)が確認された。このことから、実施例は、比較例に比して頭皮の油分量の減少の程度が大きく、もって頭皮が好適な状態に維持されたことが分かった。なおp値の算出には、Mann−WhitneyのU検定を用いた。
図15は、検討2におけるマラセチア菌数の評価結果を示すグラフである。実線で示す折れ線(実施例)は、A群の被験者における頭皮のマラセチア菌数の0週目からの推移であって、試験開始0週目、4週目、および8週目における各マラセチア菌数の0週目からの変化量の平均値をつないだものである。点線で示す折れ線(比較例)は、B群の被験者における頭皮のマラセチア菌数の0週目からの推移であって、試験開始0週目、4週目、および8週目における各マラセチア菌数の0週目からの変化量の平均値をつないだものである。
A群におけるマラセチア菌数は、試験開始から8週間経過後に大きく減少(約64%減)していた。これに対し、B群におけるマラセチア菌数は、試験開始から8週間経過後においても大きな減少は見られなかった。このことから、実施例は、比較例に比して頭皮のマラセチア菌数の減少の程度が大きく、もって頭皮が好適な状態に維持されたことが分かった。
図16は、検討2における官能評価3の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における頭皮の官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。
実施例および比較例のいずれにおいても、0週目よりも12週目のほうが、「髪がボリュームアップしたと感じる」度合いが大きく、特に実施例の方がその度合いの変化が大きかった。さらに、12週目における実施例および比較例の群間比較におけるp値は、p<0.1であった。このことから、実施例においては、比較例に比して、髪のボリュームアップを強く感じる傾向があり、もって頭皮が好適な状態に維持される傾向があることがわかった。なおp値の算出には、対応のないt検定を用いた。
図17は、検討2における官能評価4の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における官能評価の結果であって、各被験者の12週目の評価結果の値から0週目の評価結果の値を減じた値の平均値である。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における官能評価の結果であって、各被験者の12週目の評価結果の値から0週目の評価結果の値を減じた値の平均値である。
A群における官能評価の変化の程度(VAS値変化量)の平均値は−15.0程度であるのに対し、B群におけるVAS値変化量の平均値は−7.0程度であった。さらに、実施例および比較例の群間比較におけるp値は、p<0.2であった。このことから、実施例においては、比較例に比して、抜け毛が気になる度合いの軽減を強く感じる傾向があり、もって頭皮が好適な状態に維持される傾向があることが分かった。なおp値の算出には、対応のないt検定を用いた。なおVASは、Visual Analogue Sxaleを意味する。
図18は、検討2における官能評価5の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における頭皮の官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。
実施例および比較例のいずれにおいても、0週目よりも12週目のほうが、「ふけが気になる」度合いが小さく、特に、実施例の方がその度合いの変化が大きかった。さらに、12週目における実施例および比較例の群間比較におけるp値は、p<0.2であった。このことから、実施例においては、比較例に比して、ふけが気になる度合いの軽減を強く感じる傾向があり、もって頭皮が好適な状態に維持される傾向があることがわかった。なおp値の算出には、対応のないt検定を用いた。
図19は、検討2における官能評価6の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における頭皮の官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。
実施例および比較例のいずれにおいても、0週目よりも12週目のほうが、「頭皮のかゆみが気になる」度合いが小さく、特に、実施例の方がその度合いの変化が大きかった。さらに、12週目における実施例および比較例の群間比較におけるp値は、p<0.05であり、有意差が確認された。このことから、実施例においては、比較例に比して、頭皮のかゆみが気になる度合いの軽減を強く感じることができ、もって頭皮が好適な状態に維持されることがわかった。なおp値の算出には、対応のないt検定を用いた。
図20は、検討2における官能評価7の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における頭皮の官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。
実施例および比較例のいずれにおいても、0週目よりも12週目のほうが、「白髪が気になる」度合いが小さく、特に、実施例の方がその度合いの変化が大きかった。さらに、12週目における実施例および比較例の群間比較におけるp値は、p<0.1であった。このことから、実施例においては、比較例に比して、白髪が気になる度合いの軽減を強く感じる傾向があり、もって頭皮が好適な状態に維持される傾向があることがわかった。なおp値の算出には、対応のないt検定を用いた。
図21は、検討2における官能評価8の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における頭皮の官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。
実施例および比較例のいずれにおいても、0週目よりも12週目のほうが、「頭皮のにおいが気になる」度合いが小さく、特に、実施例の方がその度合いの変化が大きかった。さらに、12週目における実施例および比較例の群間比較におけるp値は、p<0.1であった。このことから、実施例においては、比較例に比して、頭皮のにおいが気になる度合いの軽減を強く感じる傾向があり、もって頭皮が好適な状態に維持される傾向があることがわかった。なおp値の算出には、対応のないt検定を用いた。
図22は、検討2における官能評価9の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における頭皮の官能評価の結果(平均値)であって、0週目における結果および12週目における結果が示されている。
実施例および比較例のいずれにおいても、0週目よりも12週目のほうが、「分け目が気になる」度合いが小さく、特に、実施例の方がその度合いの変化が大きかった。さらに、12週目における実施例および比較例の群間比較におけるp値は、p<0.1であった。このことから、実施例においては、比較例に比して、分け目が気になる度合いの軽減を強く感じる傾向があり、もって頭皮が好適な状態に維持される傾向があることがわかった。なおp値の算出には、対応のないt検定を用いた。
図23は、検討2における官能評価10の評価結果を示すグラフである。白抜きの棒グラフ(実施例)は、A群の被験者における官能評価の結果であって、各被験者の12週目の評価結果の値から0週目の評価結果の値を減じた値の平均値である。斜線でハッチングされた棒グラフ(比較例)は、B群の被験者における官能評価の結果であって、各被験者の12週目の評価結果の値から0週目の評価結果の値を減じた値の平均値である。
A群における官能評価の変化の程度(VAS値変化量)の平均値は−17.5程度であるのに対し、B群におけるVAS値変化量の平均値は−8.0程度であった。さらに、実施例および比較例の群間比較におけるp値は、p<0.1であった。このことから、実施例においては、比較例に比して、頭がどんよりと思いと感じる度合いの軽減を強く感じる傾向があり、もって頭皮が好適な状態に維持される傾向があることが分かった。なおp値の算出には、対応のないt検定を用いた。
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 ハウジング、2 グリップ、3 頭皮接触体、4 カバー体、11 吸込口、12 吹出口、13 帯電粒子発生部、14 送風部、15 ヒータ、16 制御部、17 着脱スイッチ、21 操作部、31 棒状部、41 吹出口側端部、42 外部側端部。

Claims (6)

  1. 吸込口および吹出口を有するハウジングと、
    前記ハウジングの内部に配置され、かつ帯電粒子を発生させるための帯電粒子発生部と、
    前記ハウジングの内部に配置され、かつ前記吹出口から前記ハウジングの外部に向けて、前記帯電粒子を送出させるための送風部と、
    前記ハウジングの外部に配置される頭皮接触体と、を備え、
    前記頭皮接触体のうち、少なくとも使用者の頭皮に接触する接触部は、前記吹出口から前記ハウジングの外部へと送出される前記帯電粒子の流路内に位置する、頭皮環境改善装置。
  2. 前記頭皮接触体は、複数の棒状部を有し、前記接触部は、前記棒状部の先端部分である、請求項1に記載の頭皮環境改善装置。
  3. 前記棒状部は、長手方向に湾曲している、請求項1または請求項2に記載の頭皮環境改善装置。
  4. 前記接触部と前記吹出口との距離は、15cm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の頭皮環境改善装置。
  5. 前記頭皮接触体を取り囲むカバー体を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の頭皮環境改善装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の頭皮環境改善装置を用いた頭皮環境改善方法であって、
    前記頭皮接触体を前記頭皮に接触させた状態で、前記帯電粒子を前記頭皮に送出させる、頭皮環境改善方法。
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