JP5463511B1 - イオン泳動式皮膚感染症治療装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】患部への薬液の供給量を増加して治療時間を短縮し、患部の治療効果が高まるとともに、治療時における両電極部の取り扱い性も高まる皮膚感染症治療装置を提供する。
【解決手段】殺菌作用を有する薬剤が溶解した薬液を保持可能なプラス電極部12と、導電性を高める溶液を保持可能なマイナス電極部13と、電気信号として発生させると共に制御する制御回路21と、を備え、制御回路21は、定電流を発生させる定電流発生回路40を有し、プラス電極部12はプラス電極板19を備え、プラス電極板19には薬液保持体25が電気的に接続されており、マイナス電極部13はマイナス電極板20を備え、マイナス電極板20には溶液保持体26が電気的に接続されており、薬液保持体25には、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤の水溶液を含浸させ、溶液保持体26には、導電性を高める溶液を含浸させるイオン泳動式皮膚感染症治療装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、イオン泳動式皮膚感染症治療装置に関し、詳しくは、褥瘡感染症等の皮膚感染症に対しイオン泳動により薬液を浸透させて治療する皮膚感染症治療装置に関する。
従来、口腔内に疾患を有する患者の治療を行うにあたり、イオン泳動を利用して患部を殺菌治療するイオン泳動式治療装置が知られている。
イオン泳動式の殺菌治療装置は、微生物に感染した歯牙や歯周組織などの口腔内疾患部に電位の異なる2以上の電極部を当接し、薬剤を浸透させて殺菌し治療を行うものであり、例えば特許文献1のような装置が本出願人によって提案されている。
本出願人が過去に提案したこのイオン泳動式治療装置では、多量の塩化ベンザルコニウム水溶液を保持可能とした筆毛をプラス電極部に設ける一方、マイナス電極部に塩化ナトリウム水溶液を多量に保持可能としたスポンジを設けている。
そして、このような構成より、口腔内疾患部への通電性を高めつつ、同口腔内疾患部に対する塩化ベンザルコニウム水溶液の供給量を向上させ、治療時間の短縮を図りながら口腔内疾患部の治療効果を高めることとしている。また、プラス電極部やマイナス電極部をハンドリングが容易なスティック形状としたため、治療時における両電極部の取扱性も高いという特徴も有している。
特開2004−283380号公報
ところで、高齢化社会の傾向が強まる近年において、医療や介護等の現場では褥瘡(いわゆる床ずれ)が極めて大きな問題となっている。
褥瘡は、患者が同じ体勢で寝たきり等になった場合、体と支持面(多くはベッド)との接触局所で血行が不全となって、周辺組織に壊死を起こすことで生ずる。
ところが、褥瘡患者の患部の治療を行うに際しては、人手で殺菌性を有する薬剤を塗布し治療を行っているのが現状である。
また、褥瘡は皮膚の圧迫箇所に広く形成されることから、その患部面積が比較的大きいため、薬剤を患部全体に塗布するのに労力を費やしていた。しかも、褥瘡は、全体に薬剤を塗布しないと、なかなか治療成果が向上しないという問題もある。
このような状況において、本発明者は、先に提案した口腔内治療用のイオン泳動式治療装置が、褥瘡の治療に役立つのではないかとの着想を得た。
しかしながら、本発明者が先に提案した特許文献1に記載のイオン泳動式治療装置は、褥瘡の治療を行うにあたって幾つかの課題点を有しており、未だ改良の余地が残されていた。
まず、前述のイオン泳動式治療装置は口腔内の治療に特化した構造であり、プラス電極部やマイナス電極部を備える治療部材をスティック状としているため、殺菌性を有する薬剤を褥瘡の略全体に効率良く浸透できるような構造ではなかった。
また、電流の使用範囲も、患部が歯に限定されており、電流も一定の使用範囲に限られていた。すなわち、従来の装置本体には複数の電流レンジを備えられておらず、前記使用範囲外の電流を患部に対して流すことができない。しかも、人や動物に対して共用できない問題を有していた。
また、治療を行うための電極部を褥瘡患部としては幅広い面積を有するものもあれば、骨近傍まで進行した深いものも存在する。
したがって、前述の口腔内治療用のイオン泳動治療装置は、このような幅広い面積を有するものと深度の大きい褥瘡患部との両者に対してそのまま使用できるものではなかった。
そこで発明者は、従来の口腔内治療用のイオン泳動式治療装置の電極等の構造や薬剤について鋭意研究を行い、褥瘡等の皮膚感染症の治療に使用可能な本願発明を完成させた。
すなわち、本発明は、イオン泳動によって褥瘡等の患部の略全体に薬液を効率良く浸透させることのできるイオン泳動式皮膚感染症治療装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、人や動物の皮膚感染症に対し安全性の高い殺菌治療を行うことができるイオン泳動式皮膚感染症治療装置を提供することも目的としている。
上記課題を解決するために、請求項1に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置では、殺菌作用を有する薬剤が溶解した薬液を保持可能なプラス電極部と、導電性を高める溶液を保持可能なマイナス電極部と、電源からの電気を、プラス電極部およびマイナス電極部への電気信号として発生させながら制御する制御回路と、を備え、制御回路は、プラス電極部とマイナス電極部との間で定電流を発生させる定電流発生回路を有し、プラス電極部は、平板電極からなるプラス電極板を備え、プラス電極板には薬液保持体が電気的に接続されており、マイナス電極部は、平板電極からなるマイナス電極板を備え、マイナス電極板には溶液保持体が電気的に接続されており、薬液保持体には、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤の水溶液を含浸させ、溶液保持体には、導電性を高める溶液を含浸させると共に、プラス電極部は、前記平板電極からなるプラス電極板を棒状電極又は筆状電極に変更可能とした。
また、請求項2に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置では、請求項1に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置において、プラス電極部は、プラス電極板を保持する電極保持部と、電極保持部の下部に薬液保持体とを有する電極用カバーを備え、マイナス電極部は、マイナス電極板を保持する電極保持部と、電極保持部の下部に溶液保持体とを有する電極用カバーを備えたことを特徴とする。
また、請求項に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置では、請求項1又は請求項2に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置において、装置本体内には、複数レンジの定電流を発生させる定電流発生回路を備えたことを特徴とする。
請求項1に係る本発明によれば、殺菌作用を有する薬剤が溶解した薬液を保持可能なプラス電極部と、導電性を高める溶液を保持可能なマイナス電極部と、電源からの電気を、プラス電極部およびマイナス電極部への電気信号として発生させると共に制御する制御回路と、を備え、制御回路は、プラス電極部とマイナス電極部との間で定電流を発生させる定電流発生回路を有し、プラス電極部は、平板電極からなるプラス電極板を備え、プラス電極板には薬液保持体が電気的に接続されており、マイナス電極部は、平板電極からなるマイナス電極板を備え、マイナス電極板には溶液保持体が電気的に接続されており、薬液保持体には、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤の水溶液を含浸させ、溶液保持体には、導電性を高める溶液を含浸させると共に、プラス電極部は、前記平板電極からなるプラス電極板を棒状電極又は筆状電極に変更可能としたため、イオン泳動によって患部の略全体に薬液を効率良く浸透させることのできるイオン泳動式皮膚感染症治療装置を提供することができる。また、患部に対し安全性の高い殺菌治療を行うことができる。
また、請求項1に係る本発明によれば、プラス電極部及びマイナス電極部は、所定面積を有する平板電極で構成されているので、所定大きさを有する褥瘡等の患部であってもその全体にプラス電極部を当接することができる。したがって、幅広い患部であっても一度に当接することができ、プラス電極部に保持した薬液をその全体に行き渡せる効果を有する。
請求項2に係る本発明によれば、プラス電極部は、プラス電極板を保持する電極保持部と、電極保持部の下部に薬液保持体とを有する電極用カバーを備え、マイナス電極部は、マイナス電極板を保持する電極保持部と、電極保持部の下部に溶液保持体とを有する電極用カバーを備えているので、電極用カバーは平板電極を有する電極板と薬液又は溶液の保持体とを一体にすると共に、薬液保持体と平板電極とを電気的に接続した状態で所定大きさを有する褥瘡等の患部に当接できる効果を有する。
請求項に係る本発明によれば、装置本体内には、複数レンジの定電流を発生させる定電流発生回路を備えているので、皮膚感染症の症状、動物若しくは人体に応じて電流を生成可能である効果を有する。
イオン泳動式皮膚感染症治療装置の全体構造を示す斜視図である。 イオン泳動式皮膚感染症治療装置の装置本体内の構造を示すブロック図である。 イオン泳動式皮膚感染症治療装置の定電流発生回路の回路図である。 イオン泳動式皮膚感染症治療装置に適用されるプラス電極部及びマイナス電極部の構造を示す説明図である。 イオン泳動式皮膚感染症治療装置による褥瘡患部への殺菌治療状態を示す説明図である。 イオン泳動式皮膚感染症治療装置による動物の皮膚感染症への治療状態を示す説明図である。
本発明は、殺菌作用を有する薬剤が溶解した薬液を保持可能なプラス電極部と、導電性を高める溶液を保持可能なマイナス電極部と、電源からの電気を、プラス電極部およびマイナス電極部への電気信号として発生させると共に制御する制御回路と、を備え、制御回路は、プラス電極部とマイナス電極部との間で定電流を発生させる定電流発生回路を有し、プラス電極部は、平板電極からなるプラス電極板を備え、プラス電極板には薬液保持体が電気的に接続されており、マイナス電極部は、平板電極からなるマイナス電極板を備え、マイナス電極板には溶液保持体が電気的に接続されており、薬液保持体には、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤の水溶液を含浸させ、溶液保持体には、導電性を高める溶液を含浸させたため、イオン泳動によって褥瘡等の皮膚感染症の患部の略全体に薬液を効率良く浸透させることのできるイオン泳動式皮膚感染症治療装置を提供するものである。
すなわち、本発明に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置(以下、単に皮膚感染症治療装置ともいう。)は、プラス電極部に接続した薬液保持体を皮膚感染症の患部に当接させ、マイナス電極部に接続した溶液保持体を患部とは所定距離を有して離間した身体の一部分に当接させることで治療を行うものである。なお、この皮膚感染症治療装置を用いた治療は、多くの場合医師や看護士、介護人等が使用者となって行うこととなる。
このように各電極部を当接させることにより、電源、両電極部および患部(その近辺を含む)との間で電気的な閉回路が形成される。この状態で、電源から低電流を流すと、イオン泳動作用により薬液が患部の深層まで浸透する。
すなわち、プラス電極部には薬液保持体に多量の薬液を保持させる一方、マイナス電極部にも溶液保持体に多量の溶液を保持させることを可能としており、イオン泳動効果による薬剤の皮膚への浸透が従来よりも高められる。そのため、薬液を塗るだけでは処置し難い深層部分を含め、患部の治療を行うことができる。
このように、薬液保持体に薬液を多量に保持できるため、従来のスティック形状を有するプラス電極部の場合に比べ、患部に対する薬液の供給量を増やすことができる。これにより、治療時間を短縮することができるとともに、患部の治療効果も高まる。また、両電極部を褥瘡等の皮膚感染症の治療に特化させハンドリングの容易な形状としたので、治療時における両電極部の取り扱い性も高めることができる。
また、このイオン泳動作用による殺菌効果の他にも、水溶液に電界を加えることで、電界そのものの殺菌作用が発生する。水溶液に含まれる電解質が、微生物のヌクレオチド上に存在するリン酸基の解離に基づく負の電荷に結合または衝突して核酸を破壊し、殺菌効果が生起される。なお、水溶液に含まれる電解質としては、例えば、塩化ナトリウムなどの電解により生成したH3O+や[H9O4]+などの正の電荷を有するイオンである。
特に、電気回路に供給される電流と通電時間とを、制御回路により制御するので、患部の位置および患部の状態に適した治療を行うことができる。
更には、プラス電極部を接続したプラス電極板とマイナス電極部を接続したマイナス電極板との間で一定の電流を流すように制御回路に定電流発生回路を接続しているので、イオン泳動により、殺菌処理を患部全体に満遍なく出来る効果がある。
また、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤は、ハロゲン元素または金属元素といった従来の薬剤よりも殺菌効果が高い。その結果、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤が浸透した患部を良好に殺菌することができる。
このように、イオン泳動法に利用される薬液として、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤を主剤としたものを採用したので、イオン泳動を利用した患部への高い殺菌効果を、低コストで得ることができる。
また、本発明に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置は、プラス電極部及びマイナス電極部は、所定面積からなる電極部を患部に当接可能としているので、患部に応じて良好な接触状態を確保することができる。
さらに、本発明に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置は、(治療装置→)プラス電極部→患部→患部近傍の皮膚組織→マイナス電極部(→治療装置)という電気的な閉回路が形成されるときに表示する電流メータからなる通電表示部を装置上に配設している。
それゆえ、使用者は、装置上の電流メータにより、患部に電気泳動による薬剤浸透が行われていることを視覚的に確認することができる。
なお、治療装置における治療の対象は人体の褥瘡患部であっても良く、また、動物の褥瘡患部であっても良い。また、人や動物にも褥瘡感染症以外の皮膚感染症が生ずる場合があるが、このような褥瘡以外の皮膚感染症においても、本実施形態に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置は極めて有効である。したがって、本発明で適用する患部としては、皮膚感染症であれば特に限定されない。
また、電極部と接触させた状態で患者の患部又は皮膚に当接させる薬液保持体又は溶液保持体は、スポンジ等の多孔質体を好適に用いることができる。なお、ここで多孔質体とは、前述のスポンジ状のものを含むのは勿論のこと、ガーゼ(滅菌ガーゼ)などの布体も含まれる。このような多孔質体に、患部の状態や目的等に合わせた所定の薬液又は溶液を適宜含浸させて皮膚や患部に対し当接させることができる。ただし、プラス電極部に接触させる多孔質体は、同プラス電極部に備えられている例えば金属製の通電面に対し、点接触や線接触するものが望ましい。ここで言う点接触や線接触とは、厳密な0次元又は1次元的な面積の概念のない状態を意味するのではない。多孔質体をスポンジとした場合を例に説明すると、金属板などで一様な平面として形成されているプラス電極部の通電面に対し、スポンジの網目を形成する複数の繊維が接触しているような状態をいう。すなわち、多孔質体を配設する通電面に対し、実質的に接触している面積が極めて小さい(例えば、0.01〜10%)状態である。このような接触状態とすることにより、同接触部分の接触抵抗を高めることができ、患部を治療するに際し通電することにより、この接触部分で発熱を促して、多孔質体や薬液等の温度を徐々に上昇させることができる。
患部に薬剤を使用する目的としては、壊死組織の除去、細菌感染の抑制、肉芽形成などが挙げられる。本発明は、特に細菌感染の抑制として殺菌消毒剤を浸透させる場合に適用するものである。
薬液は、患部に対して治療効果を有する所定量の薬品(薬剤)が所定の溶媒中に溶解した溶液のことであり、溶媒としては例えば水であり、薬剤の種類としては、例えば両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤を挙げることができる。特に好適には、両性界面活性剤とすることができる。
両性界面活性剤としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンがあり、カチオン界面活性剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化カチオンセチルピリジニウムなどが挙げられる。
塩酸アルキルジアミノエチルグリシンは、両性界面活性剤の一種であり、強い殺菌力と洗浄力とを有する。
また薬液中には、患部に対して治療効果を有し、かつ、溶媒中(水中)で解離してイオン化する化合物を添加することができる。
溶液の種類は限定されない。ただし、導電性を高める溶液が好ましい。例えば塩化ナトリウム溶液(食塩水)、塩化カリウム水溶液、明礬液、塩化カルシウム液などを採用することができる。
また、薬液又は溶液をプラス電極部又はマイナス電極部に多量に供給し、過剰分の薬液又は溶液を患部に供給するようにしてもよい。そのときの供給は連続的でもよいし、間欠的でもよい。
電源は、例えば、電池(直流用電源)でもよいし、AC100V(交流用電源)でもよい。
通電時の電圧値は例えば15V以下、電流値は1.5mA以下、通電時間は1〜3分間とする。ただし、電流値および通電時間は、対象とする身体の局所の状態などを考慮し、決定されるべきである。
以下、本実施形態に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置について、図面を参照しながら更に詳細に説明する。ここでは、人間の褥瘡を主体に皮膚感染症を治療する皮膚感染症治療装置10を説明する。
図1は、皮膚感染症治療装置10(本実施形態に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置)の外観を示した説明図であり、図2は、皮膚感染症治療装置10の内部構成を示したブロック図である。まずは、図1及び図2を参照しつつ、皮膚感染症治療装置10の構成について説明する。
図1に示すように、皮膚感染症治療装置10は、患部に当接させて治療を行うための治療部15と、同治療部15を接続し、治療部15に対して電流や電圧を印加する装置本体11とで構成している。
治療部15は、使用者が把持するプラス電極部12及びマイナス電極部13と、同プラス電極部12及びマイナス電極部13を装置本体11に電気的に接続するための電極コード29とで構成している。
そして、装置本体11の下部にはプラス電極部12及びマイナス電極部13に電気を供給するための出力端子部16が配設されている。
プラス電極部12には、殺菌作用を有する薬剤が溶解した薬液を保持可能な所定面積を有しており、導電性を高める溶液を保持可能な所定面積を有する面形状のマイナス電極部13が備えられており、患部を介して通電しつつ薬液を浸透可能に構成している。
また、図2に示すように、装置本体11から電極コード29を介してプラス電極部12及びマイナス電極部13が配設されており、プラス電極部12にはプラス電極板19を前記電極コード29先端側に配設されており、及びマイナス電極部13にはマイナス電極板20を前記電極コード29先端側にそれぞれ配設されている。
そして、プラス電極部12は、電極コード29の基端側が装置本体11に接続されており、装置本体11内の制御回路21が制御しつつ出力する電圧(プラス電位)がプラス電極板19に印加されるように構成されている。
マイナス電極部13もまた、電極コード29を介して装置本体11に接続されており、装置本体11内の制御回路21が制御しつつ出力するマイナス電圧(基準電位でも可)がマイナス電極板20に印加されるよう構成されている。なお、各電極部12,13については後に詳説する。
一方、装置本体11は、変形直方体の形状を有している。この装置本体11内には、図2に示すように、電源47、ヒューズ48、電源スイッチ18、制御回路21が配設されている。
電源47は例えば家庭用の100Vの交流電気であり、これをヒューズ48及びノイズフィルタ(図示せず)に通した後、ブリッジ状に構成した整流ダイオード(図示せず)等により全波整流し、さらに平滑コンデンサ(図示せず)により直流電圧に変換し、スイッチングトランス等(図示せず)により降圧し、その後高周波整流回路(図示せず)にてDCに変換して制御回路21上の電源回路31に供給している。そして電源回路31にて5V〜15程度の低電圧を生成し、これらを制御回路21の各回路32〜38に供給すると共に、定電流発生回路40や保護回路39に供給するように構成している。
本発明の皮膚感染症治療装置10は、定電流発生回路40で発生させた定電流を発生させることにより、装置本体11に接続した2つの電極部12,13間に電流が流れ、保護回路39により、電流を一定に保持するように制御することにより、プラス電極部12に保持した界面活性剤をイオン化させ、患部にイオンを泳動させて消炎させるものである。
図1及び図2に示すように、制御回路21は、CPU回路32(CPU)を初め、FPGA回路33、SRAM・FLASH回路34、コントロール回路35、アナログ回路36、出力コントロール回路37、スイッチ入力・LED出力回路38等を備えている。また、制御回路21は、プラス電極部12を接続したプラス電極板19とマイナス電極部13を接続したマイナス電極板20との間に流す定電流を発生させる定電流発生回路40を有すると共に、保護回路39等を備えている。
また、図1及び図2に示すように、装置本体11の前板には操作部22及び表示部23を備え、操作部22には出力する自動操作時に定電流のいずれかを選択する電流設定ダイヤル41、手動操作時に電圧値を設定する電圧調整ダイヤル42、手動設定時のリミット電流(100μA、1.5mA)を選択するメータ切替スイッチ43、装置本体11に内蔵されたブザー(アラーム)が鳴る時間を変更する間欠ブザーダイヤル44、手動操作と自動操作とを切り換える手動/自動切替ボタン45が配設されている。また、データ出力ボタン46も配設されている。
表示部23には、図1及び図2に示すように、電圧メータ54、電流メータ55により電圧・電流が表示可能に構成されている。また、μA、mAオーダーの電流設定時にLED点灯するメータインジケーター51を、本体の電源がON時にLED点灯する電源インジケーター52、手動操作時にLED点灯する手動インジケーター53を備えている。
間欠ブザーダイヤル44は、所定の通電時間(殺菌治療時間)が経過したことを知らせるブザーを鳴らす間隔を調整するダイヤル式調節機構である。間欠ブザーの時間は例えば10秒、30秒、60秒の3つから任意に選択可能である。
電流設定ダイヤル41は、定電流のレンジを調整するダイヤル式の調節機構である。定電流は、例えば500μA、500μA、1mAの3つから任意に選択可能である。
ここで、図3を参照しつつ制御回路21内の定電流発生回路40について説明する。
定電流発生回路40は、図3に示すように、自動設定時に例えば500μA、700μA、1mAのいずれかの定電流を発生する回路40b,40c,40dと、手動設定時に例えば100μA、1.5mAのいずれかを定電流を発生する回路40a,40eを備えたものである。
各定電流回路40a〜40eは、2つの抵抗(R1a〜R5a,R1b〜R5b)を直列に構成し、その直列の抵抗のうち高圧側の抵抗と並列に調整用の可変抵抗(R1c〜R5c)を設けることで、ある電圧からある定電流を生成し、これを出力回路40f及び保護回路39を通して各電極部12,13に出力できるように構成している。
そして、自動設定時には、500μA、700μA、1mAのいずれかを電流調節ダイヤルで選択した選択信号(選択b〜d)により定電流回路40b〜40dに設けたSSR70b〜70d(ソリッドステートリレー)のいずれかを活性化させ、定電流を発生するようにしている。
また、手動設定時の場合には、メータ切替スイッチ43により選択された選択信号(選択a,e)により定電流回路40a,40eのSSR70a,70eを活性化させ、さらに、電圧調整ダイヤル42で調整することによって、電圧メータ54及び電流メータ55での表示を確認しながら手動で調節することにより、例えば100μA以下、又は1.5mA以下の範囲内において、出力コントロール回路37から生成される電圧によって、ある電流を発生できるようにしている。
このように、制御回路21内の定電流発生回路40は、患部の状況に応じた電流値を決定して電極部12,13間に通電させることができる。また、一の定電流発生回路40において手動操作/自動操作による定電流を発生させることができる。また、複数レンジの定電流を設定可能とすることで、本発明の装置一つで人や動物に対しても使用可能である。
なお、制御回路21には、電流を一定にさせると共に、自動/手動操作時に出力電圧が仕様値を超えると、上記電流の発生を遮断する保護回路39を設けている。
次に、電極コード29は、絶縁性素材で被覆された線状コードであり、一端側を装置本体に接続可能としており、他端側をプラス電極部12又はマイナス電極部13の把持部の基端側に接続可能に構成している。
次に、図4を参照して、プラス電極部12とマイナス電極部13とを詳細に説明する。
プラス電極部12は、電極コード29を介して装置本体11と接続されるものである。
プラス電極部12は、図4に示すように、平板電極60a、棒状電極60b、又は筆状電極60cを併用している。平板電極60aは、例えば、当接面形状がホームベース形状(5角形)を有するプラス電極板19として、先端部を幅広の板状電極とすることで大面積の患部に当接可能に構成している。なお、この平板電極60aにおいてプラス電極板19は、前述の多孔質体に接触する通電面として機能する。また、棒状電極60bは、先端部の電極を棒状に設けることで深い患部に当接可能に構成している。なお、棒状電極60bにおいてプラス電極棒73の周面が、多孔質体に接触する通電面として機能する。さらに、筆状電極60cは、把持部61cの先端に口金部70を形成し、その口金部70に獣毛状からなる筆毛68を有するものである。なお、筆状電極60cの筆毛68の根本部分には、同筆毛68を構成する毛に接触させるように配設した図示しない金属片が配設されており、この金属片が多孔質体としての筆毛68の通電面として機能する。
各プラス電極部12は、図4に示すように、平板電極60aの場合には、把持部61aとプラス電極板19とプラス電極用カバー62との3つで構成されている。すなわち、把持部61aの先端にプラス電極板19を配設し、プラス電極板19はプラス電極用カバー62に保持可能とされている。
把持部61aは、棒状に形成され、先端のプラス電極板19に対して斜設してこれを保持するように構成している。このため、把持部61aを手で把持することで先端のプラス電極板19をハンドリングしやすくしている。さらに、把持部61aを手で把持しながらプラス電極板19と共に下部の薬液保持体25を患部に押え付けながら当接することもできる。しかも、プラス電極板19の当接面形状がホームベース形状(5角形)を有することで、その先端部からプラス電極用カバー62の開口部に挿入しやすくしている。
プラス電極用カバー62は、主として、上部にプラス電極板19を保持可能する電極保持部63と、下部に薬液を保持する多孔質体からなる薬液保持体25とを備える。
電極保持部63は、前部にプラス電極板19を被覆するカバー部64と紐体65を備え、中央部が開放されており、開放された中央部からプラス電極板19を挿入して、これをカバー部64で被覆して紐体65で結んで固定可能に構成している。
薬液保持体25には、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの水溶液等の薬液を浸すことができる。
そして、プラス電極用カバー62は、薬液保持体25の上部に電極保持部63を有するので、プラス電極板19と薬液保持体25とを一体とすることができると共に、プラス電極板19と薬液保持体25とを電気的に接続可能としている。
また、棒状電極60bの場合には、把持部61b先端のプラス電極棒73に滅菌ガーゼ69を巻回可能に構成している。滅菌ガーゼ69には薬液を浸すことができる。
筆状電極60cの場合には、先端の筆毛68に薬液を浸すことができる。
次に、マイナス電極部13の構造について図4を参照して説明する。
マイナス電極部13は、電極コード29を介して装置本体11と接続されるものである。マイナス電極部13は、図4に示すように、把持部66とマイナス電極板20とマイナス電極用カバー67とで構成されている。すなわち、把持部66の先端にマイナス電極板20を配設し、マイナス電極板20はマイナス電極用カバー67内に保持可能としている。
マイナス電極板20は、図4に示すように、円板電極としている。
マイナス電極用カバー67は、例えば化粧用パフのように構成したものであり、すなわち、マイナス電極用カバー67は、下部に多孔質体からなる溶液保持体26を備え、溶液保持体26の側面部にその両端部が固設された帯状体からなる電極保持部71を上部に備え、電極保持部71と溶液保持体との間にマイナス電極板20を装着可能に構成したものである。そして、把持部61aを手で把持しながらマイナス電極板20と共に下部の溶液保持体26を患部に押え付けて当接することもできる。
溶液保持体26には、導電性を高める溶液であれば特に限定されないは、例えば、3%の塩化ナトリウム水溶液が含浸されている。
そして、マイナス電極用カバー67は、溶液保持体26の上部に電極保持部71を有するので、マイナス電極板20と溶液保持体26とを一体とすることができると共に、マイナス電極板20と薬液保持体25とを電気的に接続可能としている。
このように構成されたプラス電極板19及びマイナス電極板20は、平板電極60aを使用時では、大面積を有する患部であっても薬液保持体25及び溶液保持体26を全体に接触できる構造とすることができる。したがって、寝たきりの患者の患部に対しても薬液保持体25及び溶液保持体26を接触しやすい構造を有する。
また、患部の状況に応じて、異なる形状を有する電極を使用して、イオン泳動による皮膚感染症の治療が可能である。
次に、図5〜図6を参照して、皮膚感染症治療装置10を用いた患部への殺菌治療方法を説明する。
まず、プラス電極板19を準備する。プラス電極板19は平板電極60a、棒状電極60b又は筆状電極60cのいずれかを準備する。例えば褥瘡患部で組織欠損の深度が大きい患者の場合には棒状電極60bを使用し、褥瘡患部の組織欠損の深度が浅いがその面積が大きい患者には平板電極60aを使用する。
同時に、マイナス電極板20を準備する。そして、プラス電極板19及びマイナス電極板20を、それぞれ電極コード29を介して装置本体11の出力端子部16に連結する。
次いで、平板電極60aの場合、プラス電極板19にはプラス電極用カバー62を装着する。このとき、プラス電極用カバー62の内部に配設されている多孔質体としてのスポンジからなる薬液保持体25が、通電面としてのプラス電極板19に点又は線で接触する。また、棒状電極60bには滅菌ガーゼ69を巻回し、この滅菌ガーゼ69を構成する縦糸や横糸を、通電面としてのプラス電極棒73の周面に点又は線接触させる。
この後、プラス電極用カバー62の薬液保持体25又は滅菌ガーゼ69に3%の塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの水溶液を薬液保持体25に浸すとともに、3%の生理食塩水(塩化ナトリウム水溶液)を溶液保持体26に含浸させる。
その後、電源スイッチ18を入れ、電源インジケーター52で電源点灯を確認しながら電圧調整ダイヤル42を回動して電圧を0Vから15Vに設定する。また、手動/自動切替ボタン45を傾倒操作して、手動操作による殺菌治療か、自動操作による殺菌治療かを、任意に選択する。自動設定の場合は電流設定ダイヤル41にて出力電流を500μA,700μA,1mAのいずれかを選択する。また、手動操作の場合には、電圧調整ダイヤル42で15Vに設定し、メータ切替スイッチ43によりリミット電流(例えば100μA、1.5mAのいずれか)を切替設定し、電流メータ55で表示される電流値を確認しながら定電流出力を行うようにしている。さらに、間欠ブザーダイヤル44で使用開始からブザーが鳴るまでの時間を設定する。この間欠ブザーダイヤル44の設定は、患部近傍の汚れ具合や患部の汚染度に応じて時間設定を行う。
それから、プラス電極部12の塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの水溶液を保持した薬液保持体25を、褥瘡等の患部に接触させる。患部の場所は特に限定されない。寝たきりの患者であれば、図5に示すように、側臥位状態で接触させる。通常の患者であれば、腹臥位(うつ伏せ)状態で接触させることもできる。
しかも、その患部とは対位側、例えば腹部に、マイナス電極部13の塩化ナトリウム水溶液を含浸させた溶液保持体26を接触させる(図5)。これにより、装置本体11の定電流発生回路40、両電極部12,13および患部およびその近傍の皮膚組織との間で電気的な閉回路が形成される。このとき装置本体11に配設した電流メータ55により確認する。この状態を保持して、定電流発生回路40から電極コード29を通して電極部12,13間に、例えば1mAの低電流を1〜2分間流す。
すると、イオン泳動作用により、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンが患部までイオンとして浸透する。このとき、プラス電極部12には、薬液保持体25に保持された多量の塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの水溶液が存在すると共に、マイナス電極部13には溶液保持体26に保持された多量の塩化ナトリウム水溶液が存在する。これにより、イオン泳動効果が従来のスティック形状の電極部を有するものより高まる。しかも、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンは、患部を殺菌する効能がある。その結果、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンが深層まで浸透した患部が良好に消炎される。これらの電流値および通電時間は、対象とする患部の位置およびその状態などを考慮し、適宜決定するものとする。
また、イオン泳動作用による殺菌効果の他にも、水溶液に電界を加えることで、電界そのものの殺菌作用が生じる。水に含まれる微小な電解質、すなわち塩化ナトリウムなどの電解により生成したヒドロニウムイオンによるH3O+や[H9O4]+などの正の電荷を有するイオンが、生物、ウイルスなどのヌクレオチド上に存在するリン酸基の解離に基づく負の電荷に結合または衝突し、核酸を破壊して殺菌効果を発生させる。
また、プラス電極部12の多孔質体に含浸させた塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの水溶液は、多孔質体と通電面との点又は線接触により高抵抗領域が形成され、経時的に温度が徐々に上昇する。
すると、殺菌対象である細菌の細胞膜の流動性が更に向上し、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの細胞膜破壊効果をより高めることができ、細胞の破壊効率を上げて、殺菌を効果的なものとし、褥瘡の治癒を早めることができる。
また、皮膚感染症治療装置10には、定電流発生回路40が内蔵されているため、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン水溶液の温度が上昇して抵抗値が変化(低下)しても、生体に流れる電流は変化(上昇)しない。したがって、殺菌を効率的に行いながらも、生体に対し過剰な電流が流れることのない皮膚感染症治療装置10とすることができる。
しかも、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン水溶液は、閉回路が形成される前の時点では室温であり、その後閉回路が形成されてから徐々に温度が上昇する。
したがって、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの挙動に着目すると、通電開始直後は比較的温度が低いため、外界に近く細菌が繁殖しやすい褥瘡表面近傍に塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの分子が多く滞留することとなる。すなわち、褥瘡表面の細菌汚染が著しい部位に塩酸アルキルジアミノエチルグリシンを高濃度の状態で存在させることができる。
そして徐々に温度が上昇すると、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの拡散性が高まり、褥瘡深層部にまで浸透することとなる。
付言すれば、本実施形態に係る皮膚感染症治療装置10によれば、プラス電極部12の通電面に、薬液保持体25であるスポンジやガーゼ、筆毛などの多孔質体を点又は線接触させて高抵抗部を形成すると共に、皮膚感染症治療装置10内に定電流発生回路40を備え、しかも、多孔質体に含浸させた薬液が通電後から徐々に昇温されるべく構成したことにより、効率的な殺菌を行いながらも、人体に対して過電流が流れることを防止しつつ、しかも、通電当初は細菌に汚染されやすい褥瘡表層部の殺菌を集中的に行いつつ、徐々に深部の殺菌を行って効果的な治療を行うことができる。
このように、平板状電極使用時では薬液保持体25に塩酸アルキルジアミノエチルグリシンの水溶液を多量に保持できるため、従来のスティック形状を有するプラス電極部に比べて、患部に対する薬液の供給量を増やすことができる。これにより、治療時間が短縮し、患部の治療効果も高まる。また、両電極部12,13をハンドリング可能な形状としたので、治療時における両電極部12,13の取り扱い性を高めることができる。
また、イオン泳動法に利用される溶液として、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンを主剤に含むものを採用したので、イオン泳動を利用した患部の高い殺菌効果を、低コストで得ることができる。
さらに、制御回路21により電流と通電時間とを制御するので、患部の位置および患部の状態に適した治療を行うことができる。
以下、本発明の皮膚感染症治療装置10により複数の患者に対して褥瘡患部の治療を行った。
表1は、複数患者の症例記録を示すものである。
Figure 0005463511
ここで、褥瘡患部の分類(NPUAP分類)として、DTI疑い、ステージI,ステージII,ステージIII、ステージIV,判定不能に分類される。このうちステージIIIの症状は、骨、腱、筋肉は露出していないが全層組織欠損しているものである。
表1に示すように、患者1,患者2,患者3,患者5,患者6はステージIIIの重度の褥瘡患部を有していた。患者4は、ステージIIIよりも軽度のステージIIの褥瘡患部を有していた。
そして、本実施形態に係る皮膚感染症治療装置10を使用して、各患者に通電時間2分、通電電流1.5mAでイオン泳動による治療を施した。
なお、上記通電時間は本実施例に限定されるものではない。
すると、患者2,患者3,患者6については、約2週間程度で顕著な改善が見られた。すなわち、肉芽増加が見られた。患者2については完治にまで至った。このような結果により、本実施形態に係るイオン泳動式皮膚感染症治療装置は極めて有効であることが証明された。
本発明のイオン泳動式皮膚感染症治療装置は、上記では人の褥瘡患部に使用する例を説明したが、褥瘡患部に限定されず、その他の皮膚感染症にも適用することができる。さらに、動物の皮膚感染症にも適用することができる。
例えば、図6に示すように、皮膚感染症を有する犬の場合には、毛以外の皮膚部分に当接させたプラス電極部に保持した界面活性剤をイオン化させ、炎症部位にイオンを泳動させることで消炎させることが可能である。
10 皮膚感染症治療装置
12 プラス電極部
13 マイナス電極部
19 プラス電極板
20 マイナス電極板
21 制御回路
25 薬液保持体
26 溶液保持体
40 定電流発生回路
47 電源
60a 平板電極
60b 棒状電極
60c 筆状電極
62,67 電極用カバー

Claims (3)

  1. 殺菌作用を有する薬剤が溶解した薬液を保持可能なプラス電極部(12)と、
    導電性を高める溶液を保持可能なマイナス電極部(13)と、
    電源(47)からの電気を、プラス電極部(12)およびマイナス電極部(13)への電気信号として発生させると共に制御する制御回路(21)と、を備え、
    制御回路(21)は、プラス電極部(12)とマイナス電極部(13)との間で定電流を発生させる定電流発生回路(40)を有し、
    プラス電極部(12)は、平板電極(60a)からなるプラス電極板(19)を備え、プラス電極板(19)には薬液保持体(25)が電気的に接続されており、
    マイナス電極部(13)は、平板電極(60a)からなるマイナス電極板(20)を備え、マイナス電極板(20)には溶液保持体(26)が電気的に接続されており、
    薬液保持体(25)には、両性界面活性剤又はカチオン界面活性剤の水溶液を含浸させ、溶液保持体(26)には、導電性を高める溶液を含浸させると共に、
    プラス電極部(12)は、前記平板電極(60a)からなるプラス電極板(19)を棒状電極(60b)又は筆状電極(60c)に変更可能としたことを特徴とするイオン泳動式皮膚感染症治療装置。
  2. プラス電極部(12)は、プラス電極板(19)を保持する電極保持部(63)と、電極保持部(63)の下部に薬液保持体(25)とを有する電極用カバー(62)を備え、
    マイナス電極部(13)は、マイナス電極板(20)を保持する電極保持部(71)と、電極保持部(71)の下部に溶液保持体(26)とを有する電極用カバー(67)を備えたことを特徴とする請求項1記載のイオン泳動式皮膚感染症治療装置。
  3. 定電流発生回路(40)は、複数レンジの定電流を発生させる定電流回路(40a〜40e)を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のイオン泳動式皮膚感染症治療装置。
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