JP2012013157A - 弾塑性ブレースを用いた防震工法及び防震構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造物の揺れの荷重を、線対称に配置した一方の弾塑性ブレースによる引っ張りと他方の弾塑性ブレースによる圧縮とで同時に固定部材に伝えて、地震エネルギーを小型・簡略な装置によって効果的に吸収する。
【解決手段】ボイラ本体1の地震による荷重を鉄骨柱5で支持する際に、鉄骨柱5を取り囲む連結部材10を介して線対称に弾塑性ブレース9,9'を配置し、線対称に配置した弾塑性ブレース9,9'によりボイラ本体1から連結部材10を介して鉄骨柱5に伝えられる荷重の伝達が、一方の弾塑性ブレース9の引っ張りと他方の弾塑性ブレース9'の圧縮とにより同時に行われる。
【選択図】図1−a

Description

本発明は、弾塑性ブレースを用いた耐震工法及び耐震構造に係わり、更に詳しくは、防震すべき構造物から固定部材に伝わる荷重の伝達を、線対称に配置した一方の弾塑性ブレースによる引っ張りと他方の弾塑性ブレースによる圧縮とにより同時に行い、地震エネルギーを効果的に吸収するようにした弾塑性ブレースを用いた防震工法及び防震構造に関するものである。
地震による構造物の被害を低減するために、従来より種々の方式の防震装置が提案されている。
例えば、火力発電所に用いられるボイラには、水管で構成されるボイラ本体(防震すべき構造物)の炉壁の熱膨張を逃がすために、支持架構(固定部材)から吊り下げて支持するようにした吊り下げ式ボイラが多用されている。このように大重量のボイラ本体を吊り下げて支持する吊り下げ式ボイラにおいては、地震発生時にボイラ本体と支持架構が異なる動きをするため、相対振動に対する防震対策が必要となる。
このため、従来より、ボイラの熱膨張に起因する変位は拘束せずに許容し、地震時の揺れに起因する変位は拘束し、且つ大地震に対しては揺れ止め装置部分を塑性変形させることで地震エネルギーを吸収し、支持架構及び基礎への影響を軽減する対策が講じられている。
この種の吊り下げ式ボイラの防震装置としては、支持鉄骨に、ボイラ本体の振動方向前後から挟むタイプレートを配置し、該タイプレートと前記ボイラ本体との間を複数の弾塑性エレメントで連結するようにしたもの(特許文献1参照)、或いは、支持鉄骨におけボイラ本体の振動方向の前後の面に、複数の円弧状平板からなる弾塑性バンパの基端を固定し、該弾塑性バンパ先端の前後方向の移動を拘束する荷重受けアームをボイラ本体に備えたもの(特許文献2参照)がある。
一方、鉄骨構造物においては、柱と梁に囲まれた空間に、可塑性体と2本の傾斜したブレース材とからなる制振構造を備え、更に、前記ブレース材に圧縮変形開放装置を備え、ブレース材には引っ張り力のみが作用するようにし、この引っ張り力によって可塑性体が塑性変形するようにしたものがある(特許文献3参照)。
更に、複数の柱材が横材及びブレースで連結された鉄搭状構造物において、柱材は非接合部で非接合状態に連接され、この柱材の浮き上がり又は沈みこみを防止するためのプレースに、低降伏点鋼からなる軸材とこの軸材の座屈を防止すると共に塑性変形を許容する座屈防止部材とからなる減衰機構を備えたものがある(特許文献4参照)。
特開平05−322104号公報 特開平10−253004号公報 特開2003−90144号公報 特開2001−03600号公報
しかし、上記特許文献に記載の防震構造においては、夫々以下のような問題を有していた。
即ち、特許文献1のように支持鉄骨にタイプレートを配置し、このタイプレートとボイラ本体との間を複数の弾塑性エレメントで連結した構成、或いは、特許文献2のように支持鉄骨に複数の円弧状平板からなる弾塑性バンパの基端を固定し、この弾塑性バンパ先端の移動を拘束する荷重受けアームをボイラ本体に設けた構成においては、いずれもボイラ本体の揺れ方向に対して弾塑性部材の曲げ力(剪断力)によって防震するものであるため、大きな地震力に対して防震するためには多数の弾塑性部材を備える必要があり、更に、弾塑性部材は複雑な形状を有するために加工作業が大変であり、加工工数、取付けのための作業時間が増加し、コストが増加するという問題がある。更に、復旧時の取替え作業も大変であり取替えのための手数が増加し、コストが増加するという問題がある。
一方、特許文献3に示すように、可塑性体と2本の傾斜したブレース材とからなる防震構造は、従来のブレースと同様に、一方のブレース材に引っ張り荷重が作用しているときは他方のブレース材には力が掛らない構造であり、このため、所定の負荷を受けるために必要なブレース材に対して2倍の数のブレース材を設置する必要があり、装置が複雑且つ大型になる問題がある。
又、特許文献4は、柱材の浮き上がり又は沈みこみを防止するために柱材に固定されるブレースに、塑性変形を起こす減速機構を備えたものであり、1つの柱材に固定した複数のブレースはいずれも同時に引っ張り又は圧縮のみを受けるものである。従って、複数のブレースがいずれも同時に圧縮力を受ける構造であるため、座屈防止のために高い強度の構成を備える必要があり装置が大型化するという問題がある。又、特許文献4は、ボイラのようにボイラ本体の熱膨張に起因する変位は許容し、且つ、地震時の揺れに対しては防震することが要求される構造物には適用することができない。
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなしたもので、構造物の揺れの荷重を、線対称に配置した一方の弾塑性ブレースによる引っ張りと他方の弾塑性ブレースによる圧縮とで同時に固定部材に伝えて、地震エネルギーを小型・簡略な装置によって効果的に吸収するようにした防震工法及び防震構造を提供しようとするものである。
本発明は、構造物の地震による荷重を固定部材で支持する際に、固定部材を取り囲む連結部材を介して線対称に弾塑性ブレースを配置し、線対称に配置した弾塑性ブレースにより構造物から連結部材を介して固定部材に伝えられる荷重の伝達が、一方の弾塑性ブレースの引っ張りと他方の弾塑性ブレースの圧縮とにより同時に行われることを特徴とする弾塑性ブレースを用いた防震工法、に係るものである。
上記弾塑性ブレースを用いた防震工法において、前記連結部材と固定部材との間に、固定部材の軸線方向への相対移動を可能にするクリアランスを有することは好ましい。
本発明は、構造物の地震による荷重を固定部材によって支持する防震構造であって、固定部材を取り囲んで配置される連結部材と、該連結部材を介して線対称の位置に配置され、各一端が締結部材を介して連結部材に固定され、各他端が締結部材を介して前記構造物に固定された弾塑性ブレースと、を有することを特徴とする弾塑性ブレースを用いた防震構造、に係るものである。
上記弾塑性ブレースを用いた防震構造において、前記連結部材を、固定部材に対して組付け・取外し可能に構成したことは好ましい。
又、上記弾塑性ブレースを用いた防震構造において、前記連結部材と固定部材との間に、該固定部材の軸線方向への相対移動を可能にするクリアランスを有することは好ましい。
又、上記弾塑性ブレースを用いた防震構造において、前記連結部材と固定部材との間において、該固定部材の軸線と直交する面内で前記弾塑性ブレースが前記軸線と交差する方向以外への移動は許容する開放間隔を有することは好ましい。
又、上記弾塑性ブレースを用いた防震構造において、前記弾塑性ブレースが、低降伏点鋼からなる荷重受部が座屈防止部材で補強されていることは好ましい。
又、上記弾塑性ブレースを用いた防震構造において、前記弾塑性ブレースの荷重受部が山形鋼からなる4本の座屈防止部材で挾持されている、又は、荷重受部が座屈防止部材で包囲されていることは好ましい。
本発明の防震工法及び防震構造によれば、固定部材を取り囲む連結部材を介して線対称に弾塑性ブレースを配置し、線対称に配置した弾塑性ブレースにより構造物から連結部材を介して固定部材に伝えられる荷重の伝達が、一方の弾塑性ブレースの引っ張りと他方の弾塑性ブレースの圧縮とにより同時に行われるようにしたので、線対称の弾塑性ブレースはいずれも同時に防震効果を発揮することができ、しかも、弾塑性ブレースの引っ張りと圧縮による耐荷重は、曲げ力(剪断力)を受ける構造の可塑性体の場合の耐荷重に対して非常に大きいために、弾塑性ブレースの構成は小型・簡略化できるという優れた効果を奏し得る。
更に、連結部材と固定部材との間に、該固定部材の軸線方向への相対移動を可能にするクリアランスを備えたことにより、ボイラ本体からなる構造物の熱膨張に起因する変位を許容してボイラ本体を効果的に防震できる効果がある。
又、前記連結部材を、固定部材に対して組付け・取外し可能に構成したので、組付けのための作業、及び復旧時の交換作業が容易であり、作業時間を短縮できる効果がある。
吊り下げ式ボイラのボイラ本体である構造物の防震に適用した本発明の防震構造の一実施例を示す斜視図である。 図1−aの防震構造の正面図である。 図1−bをX−X方向から見た平面図である。 弾塑性ブレースを組み立てる状態を示す斜視図である。 組み立てた弾塑性ブレースの斜視図である。 図2−bをY−Y方向から見た断面図である。 弾塑性ブレースの詳細構成を示す平面図である。 弾塑性ブレースの他の例を示す断面図である。 荷重受部を包囲するようにした弾性防止材が角型管の場合の断面図である。 荷重受部を包囲するようにした弾性防止材が円形管の場合の断面図である。 荷重受部を包囲するようにした弾性防止材がコの字状のアングルの場合の断面図である。 弾塑性ブレースを取外した状態を示す平面図である。 損壊して取外した弾塑性ブレースの平面図である。 本発明の防震構造の他の実施例を示す正面図である。 本発明の防震構造更に他の実施例を示す正面図である。
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1−aは吊り下げ式ボイラのボイラ本体である構造物の防震に適用した本発明の防震構造の一実施例を示す斜視図、図1−bは図1−aの防震構造の正面図、図1−cは図1−bをX−X方向から見た平面図である。
図1−aに示す防震すべき構造物であるボイラ本体1は、水管2aをフィン2bで接続した炉壁2を形成しており、ボイラ本体1の外周には、バックステー3が配置されてボイラ本体1内の圧力によって前記炉壁2が外側に膨らむのを防止するように固縛している。又、前記ボイラ本体1を吊り下げて支持するボイラ架構4は、前記ボイラ本体1を取り囲むように複数備えられる鉄骨柱5と、該鉄骨柱5間を横方向に接続する図示しない横鉄骨とによって高強度に形成されている。
上記したボイラ本体1のバックステー3(構造物)と、前記ボイラ架構4における前記バックステー3に近い位置に鉛直に配置される鉄骨柱5(固定部材)との間には、本発明の防震構造6を設ける。
この防震構造6は、図1−a〜図1−cに示すように、前記ボイラ本体1に備えたバックステー3の前記ボイラ架構4側である外面には、前記鉄骨柱5に対応する位置まで突出したストッパ部材7,7'が、前記鉄骨柱5を左右から所要の間隔で挟む位置に固定されている。更に、前記鉄骨柱5には、該鉄骨柱5を取り囲むように配置され、且つ弾塑性ブレース9,9'の他端が固定された連結部材10が設けてあり、前記弾塑性ブレース9,9'の一端は前記ストッパ部材7,7'に固定している。従って、前記弾塑性ブレース9,9'は鉄骨柱5の鉛直な軸線である線Oを中心に線対称に配置されており、このように、線対称に配置した弾塑性ブレース9,9'は、バックステー3に固定したストッパ部材7,7'から弾塑性ブレース9,9'及び連結部材10を介して鉄骨柱5に伝えられる荷重の伝達が、一方の弾塑性ブレース9の引っ張りと他方の弾塑性ブレース9'の圧縮とによって同時に行われるようにしている。
次に、弾塑性ブレース9,9'の構成を図2−a、2−b、2−c、図3、図4について説明する。尚、弾塑性ブレース9,9'は、図1−b、図1−cに示したように線対称の同一の構成を有しているので、弾塑性ブレース9のみについて説明する。
弾塑性ブレース9は図2−aに示す如く、断面+字フィン状を有する低降伏点鋼材からなる荷重受部11と、一般鋼材によって前記荷重受部11よりも各フィンの幅寸法及び厚みを大きく形成して前記荷重受部11の一端に溶接固定した端部部材12と、前記荷重受部11の他端に溶接固定した端部部材13とからなる芯材14を有している。前記荷重受部11を構成する低降伏点鋼材は、添加元素を極力低減した純鉄に近いものであり、一般の軟鋼と比べて強度が低く、延性が極めて高い材料である。
更に、図2−a〜図2−cに示すように、前記芯材14の各四隅部には、前記端部部材12,13の各フィンの幅と同等の幅を有する山形鋼(L字状断面)からなる座屈防止材15が配置してあり、該座屈防止材15は、前記端部部材12と端部部材13の一部に跨がる長さを有している。又、前記荷重受部11の各フィンの外側には前記端部部材12,13のフィンの厚さと同等の厚さを有するスペーサ16が配置されており、前記座屈防止材15により、端部部材12,13の一部とスペーサ16を挟んで組立ボルト17(高力ボルト)で締め付けることにより、一体に組み立てられている。更に、前記座屈防止材15の一端が前記端部部材12の一部に組立ボルト17によって取り付けられる位置には、長孔18が形成されている。
従って、座屈防止材15により端部部材12,13の一部とスペーサ16を挾んだ状態で組立ボルト17(高力ボルト)による締め付けを行うと、図2−cに示すように、前記荷重受部11と座屈防止材15との間には隙間Sが形成されており、よって、端部部材12,13間に引っ張り又は圧縮の荷重が作用した場合には、荷重受部11は引っ張り変形又は圧縮変形する。この時、前記座屈防止材15は長孔18によって前記荷重受部11の長さの変化は許容し、荷重受部11が座屈しようとする荷重に対しては座屈防止材15が抵抗するように作用する。
前記一方の端部部材12の延長方向端面には、図2−b、図3に示すように、前記端部部材12と同一の断面形状を有して一般鋼により形成した短い連結駒19が配置されており、この連結駒19は各フィンを挟むようにし配置した連結プレート20と組立ボルト17によって前記端部部材12に着脱可能に取り付けられている。
尚、図2−cでは、前記芯材14が断面+字フィン状を有している場合について例示したが、芯材14に要求される強度等に応じて、図4に示すように、平板状の芯材14とすることもでき、この場合には平板状の芯材14を、スペーサ16を介して4本の山形鋼からなる座屈防止材15によって挟持する。
又、前記実施例では、山形鋼からなる座屈防止材15を用いて荷重受部11の座屈を防止するようにした場合を説明したが、図5−a、図5−b、図5−cに示すように前記荷重受部11の外周を包囲して座屈を防止するようにした座屈防止材15'を設けてもよい。
図5−aの座屈防止材15'は、前記荷重受部11の外周を僅かな隙間Sを有して包囲する4角形の角形管15aを設けた場合を示している。又、図5−bに示すように、前記荷重受部11の外周を僅かな隙間Sを有して包囲する円形管15bからなる座屈防止材15'を設けてもよい。尚、前記芯材14の荷重受部11は図2−aに示したように端部部材12,13に対してフィン幅が狭くなっているため、前記角形管15a及び円形管15bは荷重受部11に嵌合して配置することができない。このため、例えば荷重受部11と端部部材12が切り離された状態において前記荷重受部11に角形管15a或いは円形管15bを嵌合した後に、荷重受部11と端部部材12を溶接により一体化してもよい。前記角形管15a又は円形管15bの内部にはシーリング材Xを充填することにより前記荷重受部11が座屈するのを抑制してもよい。
又、図5−cに示すように、コの字状のアングル材15cを前記荷重受部11の外周に僅かな隙間Sを有して嵌合配置し、アングル材15cの開口端部に閉塞板15dを溶接して閉塞するようにし、必要に応じてアングル材15cの内部にシーリング材Xを充填してもよい。上記図5−cの場合には、荷重受部11と端部部材12,13が予め一体となっている芯材14の前記荷重受部11に対して後から座屈防止材15'を配置することができる。
前記弾塑性ブレース9,9'における他方の端部部材13の先端は、連結部材10を構成するスライド板21に対して夫々直角に溶接固定されている。
前記連結部材10を構成するスライド板21は、図1−cに示すように、前記鉄骨柱5の前後幅(図1−cでは上下の幅)よりも大きい幅を有しており、図1−b、図1−cにおけるスライド板21の前後端部の相互間を、上下の締結ボルト22及びナット23により着脱可能に締結している。このとき、前記スライド板21と鉄骨柱5との間にクリアランスCが形成されるようにナット23の締め付けを行っており、このクリアランスCによって、ボイラ本体1の熱膨張によりバックステー3及びストッパ部材7,7'が下方へ移動するのを許容している。更に、前記締結ボルト22と鉄骨柱5との間には間隔Tが形成されており、この間隔Tによって、ボイラ本体1の熱膨張によりバックステー3及びストッパ部材7,7'が外方(ボイラ架構4側)へ移動するのを許容している。図1−cにおいて、H形鋼からなる鉄骨柱5のフランジ間には、スライド板21を受けるための補強プレート24が固定されている。
尚、図1−aの25は、前記バックステー3とは異なる高さに配置されているバックステー3に対して鉄骨柱5を所定の間隔を有して挟むように固定した拘束部材であり、該拘束部材25は前記弾塑性ブレース9,9'が地震によって損壊した後で更にボイラ本体1が揺れた場合にその揺れを拘束する作用を有する。
又、図1−a〜図1−cでは、ボイラ本体1の前面に備えた防震構造6について説明したが、ボイラ本体1の前後、左右に前記防震構造6を備えることにより、ボイラ本体1の水平面内の揺れを防震することができる。
次に、上記実施例の作動を説明する。
図3に実線で示すように、低降伏点鋼材からなる荷重受部11の両端に端部部材12,13が溶接された芯材14を座屈防止材15によって保護し、且つ、一方の端部部材12の先端には連結駒19を連結プレート20によって取り付け、他方の端部部材13の先端にはスライド板21を一体に溶接固定した弾塑性ブレース9,9'は、工場等で製造され、設置現場へ搬入される。
又、図1−aに示すように、設置現場のバックステー3の外面にはストッパ部材7,7'が予め溶接により固定されており、このストッパ部材7,7'は、前記鉄骨柱5との間に前記弾塑性ブレース9,9'を配置できる間隔位置に固定している。
図1−a〜図1−cに示すように、弾塑性ブレース9,9'の一端側に備えた連結駒19がストッパ部材7,7'に対向するように、他端側に備えたスライド板21を鉄骨柱5の左右側面に配置し、左右のスライド板21を締結ボルト22及びナット23で締結する。このとき、前記スライド板21と鉄骨柱5との間にクリアランスCが形成されるように、ナット23の締め付けを行う。前記締結ボルト22と鉄骨柱5との間には間隔Tが形成される。
上記したようにセットした弾塑性ブレース9,9'の一方の端部に備えた連結駒19の先端を、前記ストッパ部材7,7'に溶接により固定する。これにより、防震構造6の設置が完了する。
吊り下げ式ボイラの通常時には、ボイラ本体1が熱膨張してバックステー3及びストッパ部材7,7'が下方へ移動すると共に、バックステー3及びストッパ部材7,7'が外方(ボイラ架構4側)へ移動することになるが、図1−cに示すように、弾塑性ブレース9,9'に固定したスライド板21と鉄骨柱5との間にはクリアランスCが形成されているので、防震構造6は鉄骨柱5に対して自由に上下動することができ、更に、前記締結ボルト22と鉄骨柱5との間には間隔Tが設けてあるので、防震構造6は鉄骨柱5に対して前後方向自由に移動することができ、よって、ボイラ本体1の熱膨張は許容される。
一方、地震が発生してボイラ架構4とボイラ本体1が水平方向へ相対移動した場合には、地震の荷重がバックステー3に固定したストッパ部材7,7'から弾塑性ブレース9,9'及び連結部材10を介して鉄骨柱5に伝えられるが、この時の荷重の伝達は、線Oを中心に線対称に配置された弾塑性ブレース9,9'によって、一方の弾塑性ブレース9が引っ張り荷重を受けるときには他方の弾塑性ブレース9'が圧縮荷重を受けるように同時に伝えられる。弾塑性ブレース9,9'には圧縮荷重と引っ張り荷重が繰り返し作用することになり、低降伏点鋼材からなる荷重受部11は延び変形或いは座屈変形することによって防震を行う。
上記において、引っ張り荷重と圧縮荷重を同時に受ける線対称の弾塑性ブレース9,9'は、低降伏点鋼材からなる荷重受部11が圧縮荷重で座屈する耐力に比して、引っ張り荷重による延びの耐力の方が大きくなっており、延びの耐力に座屈の耐力が加算された大きい耐荷重によってボイラ本体1の揺れを効果的に防震することができる。このように、線対称の弾塑性ブレース9,9'で引っ張り荷重と圧縮荷重を同時に受けるようにしたことで耐力が高まるため、弾塑性ブレース9,9'は断面寸法を小さくした小型のものとすることができる。
地震により荷重受部11が変形して弾塑性ブレース9,9'が損壊した場合には、図1−b、図1−c、図3に示すように、連結部材10の締結ボルト22のナット23を弛めてスライド板21を鉄骨柱5から開放し、更に、一方の端部部材12と連結駒19とを連結している連結プレート20の組立ボルト17を外して、端部部材12と連結駒19の連結を切り離すと、図6に示すようにストッパ部材7,7'には連結駒19のみが残る状態となり、図7に示すように損壊した弾塑性ブレース9,9'を容易に取り外すことができる。
又、新しい弾塑性ブレース9,9'を設置する際は、前記したように、弾塑性ブレース9,9'の他端に備えたスライド板21を鉄骨柱5の左右側面に配置し、締結ボルト22とナット23により連結部材10を組み立て、一方の端部部材12を連結プレート20と組立ボルト17を介して前記連結駒19に連結することにより取り付けることができる。このように、弾塑性ブレース9,9'の組付け・取外しが簡単であり、組付け作業、及び復旧時の交換作業のための作業時間を短縮することができる。
図8は、本発明の他の実施例を示すもので、鉄骨柱5とストッパ部材7,7'との間に、一方は上り勾配に傾斜し他方は下り勾配に傾斜する弾塑性ブレース9,9'を配置することにより線Oを中心に線対称に配置した場合を示しており、又、図9は、上段のバックステー3のストッパ部材7から、前記の鉄骨柱5の連結部材10を介して下段のバックステーのストッパ部材7'との間に、一直線状に延びるように弾塑性ブレース9,9'を配置することにより線Oを中心に線対称に配置した場合を示している。
上記図8、図9の実施例においても、前記図1−aの実施例と同様の作用効果を奏することができる。
又、上記各実施例では、吊り下げ式ボイラのボイラ本体1(構造物)と鉄骨柱5(固定部材)との間に防震構造6を適用した場合について説明したが、ボイラ以外の種々の構造物の防震に適用することができる。
尚、本発明の防震工法及び防震構造は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 ボイラ本体(構造物)
3 バックステー(構造物)
4 ボイラ架構(固定部材)
5 鉄骨柱(固定部材)
6 防震構造
7,7' ストッパ部材
9,9' 弾塑性ブレース
10 連結部材
11 荷重受部
15 座屈防止材
17 組立ボルト(締結部材)
19 連結駒(締結部材)
20 連結プレート(締結部材)
21 スライド板(締結部材)
22 締結ボルト(締結部材)
23 ナット(締結部材)
C クリアランス

Claims (7)

  1. 構造物の地震による荷重を固定部材で支持する際に、固定部材を取り囲む連結部材を介して線対称に弾塑性ブレースを配置し、線対称に配置した弾塑性ブレースにより構造物から連結部材を介して固定部材に伝えられる荷重の伝達が、一方の弾塑性ブレースの圧縮と他方の弾塑性ブレースの引っ張りとにより同時に行われることを特徴とする弾塑性ブレースを用いた防震工法。
  2. 前記連結部材と固定部材との間には、固定部材の軸線方向への相対移動を可能にするクリアランスを有することを特徴とする請求項1に記載の弾塑性ブレースを用いた防震工法。
  3. 構造物の地震による荷重を固定部材によって支持する防震構造であって、固定部材を取り囲んで配置される連結部材と、該連結部材を介して線対称の位置に配置され、各一端が締結部材を介して連結部材に固定され、各他端が締結部材を介して前記構造物に固定された弾塑性ブレースと、を有することを特徴とする弾塑性ブレースを用いた防震構造。
  4. 前記連結部材は、固定部材に対して組付け・取外し可能に構成したことを特徴とする弾塑性ブレースを用いた請求項3に記載の防震構造。
  5. 前記連結部材と固定部材との間に、該固定部材の軸線方向への相対移動を可能にするクリアランスを有することを特徴とする請求項3又は4に記載の弾塑性ブレースを用いた防震構造。
  6. 前記弾塑性ブレースは、低降伏点鋼からなる荷重受部が座屈防止部材で補強されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の弾塑性ブレースを用いた防震構造。
  7. 前記弾塑性ブレースの荷重受部が山形鋼からなる4本の座屈防止部材で挾持されているか、又は、荷重受部が座屈防止部材で包囲されていることを特徴とする請求項6に記載の弾塑性ブレースを用いた防震構造。
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