JP2012010625A - たもぎ茸の人工榾木の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価で、季節を問わず良品質で多量のたもぎ茸を発育させ得るたもぎ茸の人工榾木の製造方法を提供する。
【解決手段】培地Paをプラスチックフィルムからなる培養袋1に詰め、詰めた培地Paを培養袋1の上からブロック状として円柱状に成形し、培養工程の室内温度を、前期19°C〜22°Cに、後期22°C〜24°Cになるように2段階の温度管理を行うことにより、培地表面が白色ないし霜降り状になるまで全体に菌糸を蔓延させ密なる被覆層を形成し、培養終了後培養袋1を破り除去して裸化する人工榾木の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】培地Paをプラスチックフィルムからなる培養袋1に詰め、詰めた培地Paを培養袋1の上からブロック状として円柱状に成形し、培養工程の室内温度を、前期19°C〜22°Cに、後期22°C〜24°Cになるように2段階の温度管理を行うことにより、培地表面が白色ないし霜降り状になるまで全体に菌糸を蔓延させ密なる被覆層を形成し、培養終了後培養袋1を破り除去して裸化する人工榾木の製造方法。
【選択図】図1
Description
この発明は、おが屑やふすま等の材料を水で練り固め、ブロック状に成形した培地に種菌を接種し、ハウス内管理によりその培養を促進して、たもぎ茸が発芽するまで全体に菌糸が蔓延する状態に熟成させることに関するものである。つまり、たもぎ茸の生産者等に供給するためのたもぎ茸の人工榾木の製造方法に関する。
たもぎ茸は、北海道や東北の深山で春〜夏の限られた時期にだけ自生していた茸であって、アガリスクよりもさらに2〜3倍以上ものベーターD−グルカンを多く含み、特に抗ガン作用があることで近年注目されている。近年ようやく人工栽培ができるようになったが、たもぎ茸が高温菌に属することから栽培が難しく大規模な栽培はあまり行われていない。
従来、たもぎ茸の人工栽培においては、菌床の材料を練り合わせてから瓶型のプラスチック製容器等に充填し、その状態で加熱殺菌した後、種菌を接種してから菌糸を全体に蔓延させ、瓶のまま棚等に並べ栽培を行うのが主流となっている(瓶栽培)。また、プラスチックフィルム製の栽培袋に材料を充填するとともに、袋詰めのままブロック状に培地を成形し、加熱による殺菌工程、種菌接種工程、培養工程を経てから、栽培袋を培地の上端部で切除し、茸の生産工程では、培地の露出した上面で発芽、生育させるようにする(半袋栽培)提案がある(特許文献1)。
しかしながら、上記のような瓶栽培や半袋栽培によれば、培地が瓶や袋に被覆され上面でのみ露出している関係で、たもぎ茸の子実体の発生面積が小さく、多量のたもぎ茸を収穫するにはそれだけ時間がかかるという不利な点があり、また、時間の経過とともに繁殖した菌糸の活力が乏しくなるために、良品質のたもぎ茸を生産するには限界があるという問題があった。
また、たもぎ茸の栽培が終了して使い済みとなった培地は硬化しているため、廃棄処分の際に瓶や容器との分別回収が困難であり、特に、瓶の場合であると、再利用又はゴミとして分別するには瓶から硬くなった菌床を取り出すことは容易ではなく作業性が悪かった。
しかしながら、たもぎ茸は、他のきのこ類と比べて栄養価がとても高く、そのエキスは大変有効な機能性食品として将来に大きな期待が寄せられていることを考えると、大量生産によりこの期待に応える必要性が痛感される。
そこで、この発明は、安価で、季節を問わず良品質で多量のたもぎ茸を発育させ得るたもぎ茸の人工榾木の製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、材料を水で練り固めたブロック状の培地に、種菌の増殖により表面が白色ないし霜降り状になるまで全体に菌糸を蔓延させ、菌糸の蔓延により培地内部より固い被覆層が形成されるように裸にすることを特徴とするたもぎ茸の人工榾木の製造方法を提供する。
たもぎ茸の人工榾木の製造方法を上記のように構成したから、菌糸が培地全体に波及した状態において生産部門または生産者に提供するが、全体が空気に触れることにより特に周囲でも菌糸の増殖によりそれが密に生育した被覆層が成長する。この被覆層が、雑菌の進入に対する防備ばかりでなく、防水、断熱性を発揮して茸の発芽生育や温度管理等に良好に作用する。なお、上面は破袋以前から被覆層が厚く発達している。
この発明によれば、培養に使われたプラスチックフィルムの培養袋はプラスチック製瓶よりも数十分の1程度に極めて安価であり、その袋は工場において破袋作業により除去され、培地が裸で人工榾木として栽培に供されるため、栽培終了後にその人工榾木の廃棄処分がしやすく、瓶の回収のような困難な分別作業を要しなく瓶の洗浄などのような面倒な手間を要しなく、工場の稼働及び栽培の要領ともに作業効率が良い。また、人工榾木は、上面ばかりでなく周囲にも茸菌が密な被覆層が発達するので、雑菌の進入が阻止され無農薬栽培に適し、保温性が良いので、冬季の寒い時期でも高温菌としてのたもぎ茸の発育が良く、温度管理やし易いと同時に、多収穫となるという優れた効果がある。
特に、この人工榾木からは複数のたもぎ茸が発生し、榾木上部からだけでなく、側面からも発生があるため、1個の人工榾木に対して短期間で多量のたもぎ茸を収穫することができ、栽培ハウスの稼働率が良好となるという効果がある。
次に、この発明の実施形態を説明する。その作業工程を1〜5に分けて説明するが、培養工程において生産工数削減と規則正しい日数と、有効な温度管理を実施すべく自動倉庫システムを構築した点が大きな特徴である。自動倉庫システムとは、榾木を搭載したパレットを自動でトラックに収納し得る装置を倉庫に装備し、設定により7〜10日経過すると倉庫から自動的に搬出されるシステムであり、これによると日数が規則正しく守れ工数も削減できる。
1 袋詰め培地の成形及び殺菌工程
人工榾木Pの主成分となるおが屑(ナラ、クヌギ等)は細目と粗目を混合して使用する。ある程度混合した後、加水し、米ぬか、ふすま等を水で練り、プラスチックフィルムの培養袋1に充填し、袋詰めのまま後に人工榾木Pとなる培地Paを円柱形に成形する。充填されると同時に培地Paの中央に穿孔棒で突いて植菌孔2を形成する(図1参照)。これを崩さないよう配慮しながら、殺菌トレーに摘まみ込み、レトルト鍋にいれて加熱殺菌する。加熱時間は121°Cで90分とする。
人工榾木Pの主成分となるおが屑(ナラ、クヌギ等)は細目と粗目を混合して使用する。ある程度混合した後、加水し、米ぬか、ふすま等を水で練り、プラスチックフィルムの培養袋1に充填し、袋詰めのまま後に人工榾木Pとなる培地Paを円柱形に成形する。充填されると同時に培地Paの中央に穿孔棒で突いて植菌孔2を形成する(図1参照)。これを崩さないよう配慮しながら、殺菌トレーに摘まみ込み、レトルト鍋にいれて加熱殺菌する。加熱時間は121°Cで90分とする。
培地の基準配合は、細目おが屑250kg、粗目おが屑190kg、ふすま55kg、栄養剤及び抑制剤としてビール酵母4kg、リン酸カルシウム2kgである。これを混合しながら水分約60%となるように加水する。充填時の規格は、高さ約150mm、重さ約1,200g、植菌孔2を作る穿孔棒の規格は長さ100mm、上径30mm、下径18mmとする。
2 植菌工程
加熱殺菌後、充填した際に作られた植菌孔2に粉砕した種菌を入れる。この際には、培養袋1は上端が開口しているので、その口から植菌孔2を塞ぐように十分な量の種菌20g程度を充填する。こうして種菌を接種した後、図1に示す如く、袋1の口は幅中央で一部3を開口するように、シーラーヒーターによるシール4を施し、その上方でミシン糸5により通気可能に縫製する。このようにして通気可能な口の封止状態で培養工程に移される。
加熱殺菌後、充填した際に作られた植菌孔2に粉砕した種菌を入れる。この際には、培養袋1は上端が開口しているので、その口から植菌孔2を塞ぐように十分な量の種菌20g程度を充填する。こうして種菌を接種した後、図1に示す如く、袋1の口は幅中央で一部3を開口するように、シーラーヒーターによるシール4を施し、その上方でミシン糸5により通気可能に縫製する。このようにして通気可能な口の封止状態で培養工程に移される。
3 培養工程(30〜35日間)
袋1に培地Paを詰めたまま菌を培地全体に広がらせることを目的とする。菌糸全体が培地に広がると、全体が白色又は霜降り状となり、この状態が菌糸体が全体に蔓延し、雑菌の進入および繁殖が防止された状態となるので、破袋が安全にして可能となる。また、この培養工程を安定させるために自動記録計、棒温度計、温度ロガー、および放射温度計等の計器を駆使し、温度管理を厳重に実施する。
袋1に培地Paを詰めたまま菌を培地全体に広がらせることを目的とする。菌糸全体が培地に広がると、全体が白色又は霜降り状となり、この状態が菌糸体が全体に蔓延し、雑菌の進入および繁殖が防止された状態となるので、破袋が安全にして可能となる。また、この培養工程を安定させるために自動記録計、棒温度計、温度ロガー、および放射温度計等の計器を駆使し、温度管理を厳重に実施する。
また、先にも述べたように培養工程では、自動倉庫システムを使用しており、植菌された袋1は培養を始め7〜10日経過すると自動的に培養後期倉庫に搬出され、温度管理が施された倉庫にてさらに培養される。培養前期においては温度が19°C〜22°Cに、培養後期においては22°C〜24°Cに室温が保持されるように温度管理を行う。
4 培養検品工程および破袋作業工程
培養検品工程において、菌糸が全体に蔓延したかどうかが検品される。検品では完熟品、未熟品、不良品に分類され、未熟品については、培養後期倉庫に戻されさらに培養を促す。完熟品となった袋1は破袋装置にかけられ、袋が破られる。
培養検品工程において、菌糸が全体に蔓延したかどうかが検品される。検品では完熟品、未熟品、不良品に分類され、未熟品については、培養後期倉庫に戻されさらに培養を促す。完熟品となった袋1は破袋装置にかけられ、袋が破られる。
破袋され裸となった培地Pa、つまり人工榾木Pは、外面が菌の蔓延が密でやゝ硬化して被覆層11,12となっており、これにより雑菌等の進入から保護されるため、このままでも安全であるが、確実性を確保するため0.3ppm濃度の塩素水のシャワーを通して滅菌を施す。これでたもぎ茸の生産部門ないし生産者に供給すれば、温度、湿度、散水の各管理を施すことで間もなくたもぎ茸が発芽することとなる人工榾木Pの完成に至る。周囲の被覆層12は、破袋直後であると厚みが少ないが、後日空気と触れることで徐々に厚みが増してくる。
5 栽培管理
栽培ハウスに移された榾木は、発芽のために特に高い室温が要求され、25°C〜27°C程度の室温で温度管理し、たもぎ茸の発生を促す。最初は、図3に示すように、種菌を接種した中央に発芽したもぎ茸15が成長し、次に周囲から発芽17が発生する。つまり、上面ばかりでなく周囲全体からも収穫が望める。また、破袋直後よりも周囲における被覆層12が厚く成長しており、これが保温層となるため、高温菌が棲息しやすい環境が安定して得られ、これも多収穫の要因となる。
栽培ハウスに移された榾木は、発芽のために特に高い室温が要求され、25°C〜27°C程度の室温で温度管理し、たもぎ茸の発生を促す。最初は、図3に示すように、種菌を接種した中央に発芽したもぎ茸15が成長し、次に周囲から発芽17が発生する。つまり、上面ばかりでなく周囲全体からも収穫が望める。また、破袋直後よりも周囲における被覆層12が厚く成長しており、これが保温層となるため、高温菌が棲息しやすい環境が安定して得られ、これも多収穫の要因となる。
さらに、被覆層11,12が雑菌の進入を阻止するバリヤ層の役目を果たす。しかも、雑菌が表面に付着したとしても大量の散水を一挙に施すことにより雑菌を洗い流すことができ、その際に散水による型崩れが被覆層11,12により防止されるので、無農薬栽培が可能になる程度に散水量の使用が可能である。
P 人工榾木
Pa 培地
1 培養袋
2 植菌孔
3 袋の口
4 シーラーヒーターによるシール部
5 ミシン糸による縫製部
11,12 被覆層
15 たもぎ茸
17 発芽
Pa 培地
1 培養袋
2 植菌孔
3 袋の口
4 シーラーヒーターによるシール部
5 ミシン糸による縫製部
11,12 被覆層
15 たもぎ茸
17 発芽
Claims (4)
- 材料を水で練り固めたブロック状の培地に、種菌の増殖により表面が白色ないし霜降り状になるまで全体に菌糸を蔓延させ、菌糸の蔓延により培地内部より固い被覆層が形成されるように表面を裸にすることを特徴とするたもぎ茸の人工榾木の製造方法。
- 材料を水で練った培地をプラスチックフィルムからなる培養袋に詰め、詰めた培地を培養袋の上からブロック状として円柱状に成形し、培養終了後、裸のまま培地をたもぎ茸の栽培工程へ移行できるように、培養袋を破り除去して裸化することを特徴とする請求項1記載のたもぎ茸の人工榾木の製造方法。
- 培養工程において自動的に一定の温度管理がなされた倉庫に搬入し、規定の日数が経過すると搬出されるという自動倉庫システムを併用することを特徴とする請求項1又は2記載のたもぎ茸の人工榾木の製造方法。
- 培養工程の室内温度を前期と後期とに分け、前期19°C〜22°Cに、後期においては22°C〜24°Cになるように2段階の温度管理を行うことを特徴とする請求項1,2または3記載のたもぎ茸の人工榾木の製造方法。
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JP2010148507A JP2012010625A (ja) | 2010-06-30 | 2010-06-30 | たもぎ茸の人工榾木の製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2014008048A (ja) * | 2012-07-03 | 2014-01-20 | Ueda Sangyo Kk | えのき茸の人工栽培方法 |
-
2010
- 2010-06-30 JP JP2010148507A patent/JP2012010625A/ja active Pending
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