JP2012009616A - 発光装置用レンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る発光装置用レンズは、LEDチップと、前記LEDチップから放出される光を波長変換する波長変換部材と、前記LEDチップと前記波長変換部材との間に設けられるレンズと、を有する発光装置に用いられ、前記レンズは、質量%表示で、SiO2、Al2O3、Na2O、CaOを必須成分とし、それらの合量を80%以上含有し、Fe2O3+FeO 0.001〜0.9%を含有するガラスからなる。
【選択図】なし
Description
例えば、発光装置にて白色光を得るためには、窒化ガリウム(GaN)系のLEDチップで青色光を発生させた上で、その青色光をイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系の蛍光体を保持する波長変換層に透過させることで、蛍光として得られた赤から緑に渡る光と蛍光体を透過してきた青色が合わさり、白色の発光を得ることができる。
LEDチップから放射される光は、その発光スペクトルに近紫外線を含んでいる。そのため、発光装置を長期間使用すると、LEDチップからの放射光に曝露されたLEDチップ上の光取出し増大部(レンズ)が、紫外線による影響で着色および変形することで、波長変換部材(蛍光体)に到達する放射光が少なくなる。これにより、発光装置の発光特性が劣化するためであると考えられる。また、レンズが着色するとLEDチップから放射される光の中の赤外線成分の透過率が低くなり、レンズ自体が蓄熱されることで、レンズの着色および変形が加速的に進行することとなる。これら紫外線による影響は、レンズに樹脂材を用いている場合において特に顕著に見られる。
また、前記レンズは、質量%表示で、WO3、TiO2、Nb2O5、Bi2O3、CeO2のうちの少なくとも1種以上の成分を合計で0.05〜10%含有することを特徴としている。
また、前記レンズは、0〜300℃における平均熱膨張係数が、2〜10(×10−6/K)であることを特徴としている。
また、前記レンズは、質量%表示で、
SiO2 66〜75%、
Al2O3 0.1〜5%、
Na2O 5〜15%、
R2O 5〜15%(ただし、R2O:Li2O+Na2O+K2O)
CaO 3〜10%、
MgO 0〜7%
RO 3〜18%(ただし、RO:CaO+MgO+BaO+SrO)
を含有することを特徴としている。
また、前記レンズは、板状ガラスの一方面をエッチングして得られる片面凹曲面状もしくは片面凸曲面状を有することを特徴としている。
また、前記レンズは、前記LEDチップ上に積層されていることを特徴としている。
また、本発明の発光装置は、前記発光装置用レンズを用いることを特徴としている。
図1に記載の本実施形態の発光装置1は、LEDチップ3と、LEDチップ3が実装された実装基板5とLEDチップ3上に重ねて配置されたレンズ2と、レンズ2の光出射面側に設けられた波長変換部材4とを備えている。本実施形態の発光装置1は、例えば照明器具の光源や電子機器の操作表示部等に用いられるものである。
レンズ2は、LEDチップ3上に重ねて配置されており、光入射面側が平坦で、光出射面側が凹曲面状に形成されている。LEDチップ3から放出された光は、レンズ2を透過することで光軸と平行な光になり、これにより波長変換部材4を通過する際の光の向きが揃うため、発光装置1における光の中心部と端部とで色見に差が生じることを抑制することができる。
LEDチップ3から放射される青色光の発光スペクトルは、波長450〜500nmに相対発光強度のピークをもち、また相対発光強度は高くないものの波長400nm未満の近紫外線も含まれている。そのため、LEDチップ3の光出射面側に隣接するレンズ2は、この近紫外線を含んだ光を透過することになる。レンズ2が、アクリル等の樹脂材やガラスで形成されている場合、この紫外線によってレンズ2が変色(いわゆる、紫外線ソラリゼーション)してしまう。レンズ2が変色すると、レンズ2を透過する光量が低下し、発光装置1の輝度の低下や発光色のずれといった品質の劣化をもたらすこととなる。また、レンズ2が変色すると赤外線の透過特性が低下し、これによりレンズ2自体が蓄熱し、発光装置1の放熱特性が劣化することとなる。
本発明の発光装置用レンズは、SiO2、Al2O3、Na2O、CaOを必須成分とし、それらの合量を80%以上含有するガラスからなるため、樹脂材と比較し耐熱性が高く、LEDチップが発光により発熱し、レンズがその熱に長時間さらされたとしても熱に起因する劣化を抑制することが可能である。なお、前記合量は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。また、ガラス組成として、鉄成分を含有するため、レンズが紫外線ソラリゼーションにより変色することを抑制することができる。鉄成分は、紫外線を強力に吸収する成分であり、ガラスに少量含有することで紫外線カット効果が期待できる本発明の実施形態に必須の成分であるが、質量%で、Fe2O3+FeOが0.001%未満はその効果が期待できず、0.9%を超えるとレンズ自体が着色し光の透過量が低下するおそれがある。好ましくは、0.01%〜0.2%の範囲である。
鉄成分は、ガラス中においてFe2+やFe3+の異なる価数のイオン状態で存在し、紫外線照射によりイオン原子価が転換することでガラスが着色する要因となる。一方、紫外線照射により着色した部分が紫外線をカットする膜の役目を果たし、ガラス内部への紫外線の侵入を遮断することで紫外線ソラリゼーションの進行を防いでいる。そのため、ガラス中の鉄成分含有量が少ないと、ガラス内部に侵入した紫外線の作用で広範囲のガラス構造中の空孔に他イオンから電子が流入し、その空孔が発色中心となるため、結果としてガラスの透過率特性が劣化する。このような紫外線によるガラスの着色メカニズムに基づき、Fe2O3+FeOは、所定範囲を含有することが必要である。
なお、ガラス中の鉄成分は、Fe2O3とFeOの状態で存在するため両者の合量(Fe2O3+FeO)で規定した。Fe2O3は紫外線吸収能を高める成分であり、FeOは熱線吸収能を高める成分である。ガラスが高い透過率を得るためには、FeOの全酸化鉄に対する割合は40%未満であることが好ましい。Fe2O3とFeOのバランスは、ガラス原料に添加する酸化剤、還元剤の量、ガラス溶融炉内雰囲気の酸化還元条件などを調整することにより制御することができる。
また、ガラス中の鉄成分は、ガラス原料として鉄成分を添加する方法の他、硅砂原料に含まれる鉄成分を把握し、硅砂原料によって添加する方法、製造プロセスから混入する鉄成分を把握し、製造プロセスから添加する、つまり原料以外の手段で添加する方法、のいずれを用いてもよい。
レンズは、0〜300℃における平均熱膨張係数が、2〜10×10−6/Kであることが好ましい。レンズは、LEDチップ上に公知の接着剤を用いて接着される。他方、前述のとおりLEDチップは発光により発熱する。そのため、レンズの平均熱膨張係数をLEDチップの発光体であるGaNの熱膨張係数と類似にすることで、レンズがLEDチップから剥れることを未然に防ぐことができる。なお、GaNは結晶構造であり結晶軸により熱膨張係数が相違するため、それを考慮しレンズの0〜300℃における平均熱膨張係数は、2〜10×10−6/Kとする。この範囲を外れると発光装置の使用時にレンズとLEDチップとの間に熱膨張差が生じ、接着部から剥れるおそれがある。
これら4成分の中で、特にCaOがガラスの溶融性を向上させるために有効な成分である。しかし、CaOの含有量が10%より多いとガラスの液相温度が高くなり安定したガラス成形が難しくなるうえに、熱膨張係数が高くなるなどの問題も生じる。また、3%未満では高温粘性が高くなり、均質溶融がしにくくなるほかに、歪点の低下などの問題が生じる。このため、好ましくは3〜10%の範囲であり、より好ましくは5〜9%の範囲である。
また、MgOはCaOと同様の効果が得られるもので、ガラスの溶融性を向上させるために有効な成分である。しかし、MgOの含有量が7%を超えると成形性などの問題が生じる。このため、好ましくは0〜7%の範囲であり、より好ましくは0〜5%の範囲である。
Claims (7)
- 発光装置用のレンズであって、LEDチップと、前記LEDチップから放出される光を波長変換する波長変換部材と、前記LEDチップと前記波長変換部材との間に設けられるレンズと、
を有する発光装置に用いられ、
前記レンズは、質量%表示で、SiO2、Al2O3、Na2O、CaOを必須成分とし、それらの合量を80%以上含有し、Fe2O3+FeO 0.001〜0.9%を含有するガラスからなることを特徴とする発光装置用レンズ。 - 前記レンズは、質量%表示で、WO3、TiO2、Nb2O5、Bi2O3、CeO2のうちの少なくとも1種以上の成分を合計で0.05〜10%含有することを特徴とする請求項1記載の発光装置用レンズ。
- 前記レンズは、0〜300℃における平均熱膨張係数が、2〜10(×10−6/K)であることを特徴とする請求項1記載の発光装置用レンズ。
- 前記レンズは、質量%表示で、
SiO2 66〜75%、
Al2O3 0.1〜5%、
Na2O 5〜15%、
R2O 5〜15%(ただし、R2O:Li2O+Na2O+K2O)
CaO 3〜10%、
MgO 0〜7%
RO 3〜18%(ただし、RO:CaO+MgO+BaO+SrO)
を含有することを特徴とする請求項1もしくは請求項2記載の発光装置用レンズ。 - 前記レンズは、板状ガラスの一方面をエッチングして得られる片面凹曲面状もしくは片面凸曲面状を有することを特徴とする請求項1記載の発光装置用レンズ。
- 前記レンズは、前記LEDチップ上に積層されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置用レンズ。
- 請求項1ないし請求項6に記載の発光装置用レンズを用いた発光装置。
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