JP2016074822A - 波長変換部材用原料粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性の低い蛍光体でも、焼結時に劣化しにくく、さらに耐候性に優れ、長期間に亘って使用しても経時変化により劣化しにくい波長変換部材を得ることが可能な波長変換部材用原料粉末を提供する。
【解決手段】カチオン%で、P5+ 0.1%以上、及びSn2+ 1%以上、アニオン%で、F+Cl 0.1〜70%を含有するガラス粉末と、蛍光体と、を含むことを特徴とする波長変換部材用原料粉末。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザーダイオード(LD:Laser Diode)等の発する光の波長を別の波長に変換する波長変換部材を作製するために用いられる波長変換部材用原料粉末に関する。
近年、白色LEDは、白熱電球や蛍光灯に代わる次世代の光源として、照明用途への応用が進みつつある。そのような次世代光源の一例として、例えば特許文献1には、青色光を出射するLED上に、LEDからの光の一部を吸収して黄色光に変換する波長変換部材が配置された光源が開示されている。この光源は、LEDから出射された青色光と、波長変換部材から出射された黄色光との合成光である白色光を発する。
波長変換部材としては、従来、樹脂マトリクス中に蛍光体を分散させたものが用いられていた。しかしながら、当該波長変換部材を用いた場合、LEDからの光により樹脂マトリクスが劣化し、光源の輝度が低くなりやすいという問題がある。具体的には、LEDが発する熱や高エネルギーの短波長(青色〜紫外)光によって樹脂マトリクスが劣化し、変色や変形を起こすという問題がある。
上記問題を解決するために、特許文献2には、500℃以上の軟化点を有する非鉛系ガラス粉末と蛍光体を含む材料をガラスの屈伏点付近の温度で焼結することで、ガラスマトリクス中に蛍光体を分散させた波長変換部材が提案されている。当該波長変換部材は、蛍光体が無機材料であるガラスマトリクス中に分散されているため、化学的に安定で劣化が少なく、しかも励起光による部材の変色も生じにくいという利点を有する。しかしながら、蛍光体の中には耐熱性の低いものがあり、これを500℃以上の軟化点を有する非鉛系ガラス粉末とともに焼結すると、蛍光体が熱劣化して発光効率が低下するという問題がある。
そこで、蛍光体の熱劣化を抑制するため、ガラス転移点が500℃未満のガラスマトリクス中に蛍光体を分散させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−208815号公報 特開2003−258308号公報 特開2012−158494号公報
特許文献3に記載の波長変換部材も、焼結温度が500℃以上と依然として高いため、焼結時に、耐熱性の低い蛍光体はそれ自体が劣化したり、焼結時にガラスと反応してガラスに変色をもたらすという問題が生じやすい。また、ガラスマトリクスの耐候性が低いため、特に湿度の高い環境下では、使用中に波長変換部材の表面が変質して光透過率が低下し、発光効率が大幅に低下するという問題もある。
以上に鑑み、本発明は、耐熱性の低い蛍光体でも、焼結時に劣化しにくく、さらに耐候性に優れ、長期間に亘って使用しても経時変化により劣化しにくい波長変換部材を得ることが可能な波長変換部材用原料粉末を提供することを目的とする。
本発明は、カチオン%で、P5+ 0.1%以上、及びSn2+ 1%以上、アニオン%で、F+Cl 0.1〜70%を含有するガラス粉末と、蛍光体と、を含むことを特徴とする波長変換部材用原料粉末に関する。
本発明の波長変換部材用原料粉末に用いられるガラス粉末は、ガラス組成中に所定量のSn2+を含有しているため、耐侯性や化学的耐久性に優れており、さらに、ガラスを構成する陰イオンとして、F及びClを上記所定範囲で含有するため、屈伏点の低いガラスとなる。よって、本発明の波長変換部材用原料粉末は、焼結時に蛍光体が劣化しにくく、さらに耐候性に優れ、長期間に亘って使用しても経時変化により劣化しにくい波長変換部材を得ることが可能である。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末が、カチオン%で、P5++Sn2+ 70.5%以上を含有することが好ましい。当該構成によれば、ガラス粉末の耐失透性や機械的強度を向上させることが可能となる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末が、カチオン%で、Sn2+ 10〜90%、及びP5+ 10〜70%を含有することが好ましい。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末が、In3+を含有しないことが好ましい。In3+は失透傾向が強いため、In3+を含有しないことによりガラス成形時に失透が生じにくい。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末が、Pb2+及びAs3+を含有しないことが好ましい。Pb2+及びAs3+は環境負荷物質であるため、これらの成分を含有させないことにより、環境上好ましいガラス粉末となる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末が、カチオン%で、B3++Zn2++Si4++Al3+を0〜50%含有することが好ましい。当該構成により、耐侯性や化学耐久性にも優れたガラス粉末が得られやすくなる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末が、カチオン%で、Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+を0〜10%含有することが好ましい。これにより、耐侯性や化学耐久性にも優れたガラス粉末が得られやすくなる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末の屈折率が1.6以上であることが好ましい。当該構成によれば、波長変換部材からの光の取り出し効率が向上しやすくなる。また、ガラス粉末と蛍光体との屈折率差を小さくすることにより、両者の界面での光散乱ロスが低減され、発光強度の向上が期待できる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末の屈伏点が300℃以下であることが好ましい。当該構成によれば、波長変換部材用原料粉末の焼結時に蛍光体が劣化しにくくなる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末のJOGISに基づく耐水性が3級以上であることが好ましい。当該構成によれば、長期間に亘って使用しても経時変化により劣化しにくい波長変換部材を得ることが可能となる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末の着色度λ70が500nm未満であることが好ましい。当該構成によれば、波長変換部材の可視域または近紫外域における光透過率に優れるため、発光強度を向上させることが可能となる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、蛍光体が、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、酸化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体、アルミン酸塩蛍光体及び量子ドット蛍光体から選択される1種以上であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、上記の波長変換部材用原料粉末の焼結体からなることを特徴とする。
本発明の波長変換部材は、カチオン%で、P5+ 0.1%以上、及びSn2+ 1%以上、アニオン%で、F+Cl 0.1〜70%を含有するガラスマトリクス中に蛍光体が分散してなることを特徴とする。
本発明の発光装置は、上記の波長変換部材と、波長変換部材に対して、蛍光体の励起光を照射する光源と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、耐熱性の低い蛍光体でも、焼結時に劣化しにくく、さらに耐候性に優れ、長期間に亘って使用しても経時変化により劣化しにくい波長変換部材を得ることが可能な波長変換部材用原料粉末を提供することが可能となる。
本発明の発光装置の一実施形態を示す模式的側面図である。
本発明の波長変換部材用原料粉末は、ガラス粉末と、蛍光体と、を含むことを特徴とする。ガラス粉末は、カチオン%で、P5+ 0.1%以上、及びSn2+ 1%以上、アニオン%で、F+Cl 0.1〜70%を含有する。以下に、ガラス粉末における各成分の含有量をこのように限定した理由を説明する。なお、特に断りがない場合、以下の各成分の含有量に関する説明において、「%」は「カチオン%」または「アニオン%」を意味する。
5+はガラス骨格の構成成分である。また、光透過率を高める効果を有し、特に紫外域付近の光透過率低下を抑制する効果が高い。特に、高屈折率のガラスの場合は、P5+による光透過率向上の効果が得られやすい。また、失透を抑制する効果や屈伏点を低下させる作用も有する。P5+の含有量は0.1%以上であり、1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましく、20%以上であることが特に好ましい。P5+の含有量が少なすぎると、前記効果が得られにくくなる。一方、P5+の含有量が多すぎると、Sn2+の含有量が相対的に少なくなって、屈折率が低下しやすくなるとともに、耐候性が低下しやすくなる。よって、P5+の含有量は70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、60%以下であることがさらに好ましく、55%以下であることが特に好ましく、50%以下であることが最も好ましい。
Sn2+は高屈折率の光学特性を達成し、化学耐久性や耐候性を向上させるための必須成分である。また、屈伏点を低下させる効果もある。Sn2+の含有量は1%以上であり、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましく、20%以上であることが特に好ましく、25%以上であることが最も好ましい。Sn2+の含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、Sn2+の含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなったり、耐失透性が低下しやすくなる。よって、Sn2+の含有量は90%以下であることが好ましく、87.5%以下であることがより好ましく、85%以下であることがさらに好ましく、82.5%以下であることが特に好ましい。
5++Sn2+の含有量は50%以上であることが好ましく、70.5%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましく、85%以上であることが最も好ましい。P5++Sn2+の含有量が少なすぎると、耐失透性や機械的強度が低下しやすくなる。なお、上限は特に限定されず、P5++Sn2+の含有量が100%であってもよいが、他の成分を含有する場合は、99.9%以下であることが好ましく、99%以下であることがより好ましく、95%以下であることがさらに好ましく、90%以下であることが特に好ましい。
ガラス粉末には、カチオン成分としてさらに以下の成分を含有させることができる。
3+、Zn2+、Si4+及びAl3+はガラス骨格の構成成分であり、特に化学耐久性を向上させる効果が大きい。B3++Zn2++Si4++Al3+の含有量は0〜50%であることが好ましく、0〜30%であることがより好ましく、0.1〜25%であることがさらに好ましく、0.5〜20%であることが特に好ましく、0.75〜15%であることが最も好ましい。B3++Zn2++Si4++Al3+の含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなる。また、溶融温度の上昇に伴いSn金属等が析出し、光透過率が低下しやすくなる。また、屈伏点が上昇しやすくなる。さらに、高屈折なガラスが得られにくくなる。なお、耐候性を向上させる観点からは、B3++Zn2++Si4++Al3+を0.1%以上含有させることが好ましい。
なお、各成分の好ましい含有量範囲は以下の通りである。
3+はガラス骨格を構成する成分である。また、耐候性を向上させる効果があり、特に、ガラス中のP5+等の成分が水中へ選択的に溶出することを抑制する効果が大きい。B3+の含有量は0〜50%であることが好ましく、0.1〜45%であることがより好ましく、0.5〜40%であることがさらに好ましい。B3+の含有量が多すぎると、屈折率や耐失透性が低下しやすくなる。また、光透過率が低下する傾向がある。
Zn2+は融剤として作用する成分である。また、耐候性を向上させ、研磨洗浄水等の各種洗浄溶液中へのガラス成分の溶出を抑制したり、高温多湿状態でのガラス表面の変質を抑制したりする効果がある。また、Zn2+はガラス化を安定にする効果もある。以上に鑑み、Zn2+の含有量は0〜40%であることが好ましく、0.1〜30%であることがより好ましく、0.2〜20%であることがさらに好ましい。Zn2+の含有量が多すぎると、光透過率が低下したり、失透しやすくなる。
Si4+もガラス骨格を構成する成分である。また、耐候性を向上させる効果があり、特に、ガラス中のP5+等の成分が水中へ選択的に溶出することを抑制する効果が大きい。Si4+の含有量は0〜20%であることが好ましく、0.1〜15%であることがより好ましい。Si4+の含有量が多すぎると、屈折率が低下したり、屈伏点が高くなりやすい。また、未溶解による脈理や気泡がガラス中に残存しやすくなる。
Al3+は、Si4+やB3+とともにガラス骨格を構成することが可能な成分である。また、耐候性を向上させる効果があり、特に、ガラス中のP5+等の成分が水中へ選択的に溶出することを抑制する効果が大きい。Al3+の含有量は0〜20%であることが好ましく、0.1〜15%であることがより好ましい。Al3+の含有量が多すぎると、失透しやすくなる。また、光透過率が低下する傾向がある。さらに、溶融温度が高くなって、未溶解による脈理や気泡がガラス中に残存しやすくなる。
Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+(アルカリ土類金属イオン)は融剤として作用する成分である。また、耐候性を向上させ、研磨洗浄水等の各種洗浄溶液中へのガラス成分の溶出を抑制したり、高温多湿状態でのガラス表面の変質を抑制したりする効果がある。また、ガラスの硬度を高める成分である。但し、これらの成分の含有量が多すぎると、液相温度が上昇(液相粘度が低下)して、溶融または成形工程中に失透物が析出しやすくなる傾向がある。その結果、量産化しにくくなる。なお、これらの成分は屈折率を大きく変動させないという特徴がある。以上に鑑み、Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+の含有量は0〜10%であることが好ましく、0〜7.5%であることがより好ましく、0.1〜5%であることがさらに好ましく、0.2〜1.5%であることが特に好ましい。
Liは、アルカリ金属酸化物のなかで最も軟化点を低下させる効果が大きい成分である。また、B3+、Si4+またはAl3+と置換することにより、屈折率を向上させることができる。ただし、Liは分相性が強いため、その含有量が多すぎると、液相温度が上昇して失透物が析出しやすくなり、作業性が低下するおそれがある。また、Liは化学耐久性を低下させやすく、光透過率も低下させやすい。さらに、Liがガラス粉末から溶出すると蛍光体の発光を著しく低下させる場合がある。したがって、Liの含有量は好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0〜1%、特に好ましくは0〜0.1%である。
Naは、Liと同様に軟化点を低下させる効果を有する。また、B3+、Si4+またはAl3+と置換することにより、屈折率を向上させることができる。ただし、その含有量が多すぎると、屈折率が大幅に低下したり、脈理の生成を助長したりする傾向がある。また、液相温度が上昇して、ガラス中に失透物が析出しやすくなる。また、Liは化学耐久性を低下させやすく、光透過率も低下させやすい。さらに、Naがガラス粉末から溶出すると蛍光体の発光を著しく低下させる場合がある。したがって、Naの含有量は好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0〜1%、特に好ましくは0〜0.1%である。
も、Liと同様に軟化点を低下させる効果を有する。また、B3+、Si4+またはAl3+と置換することにより、屈折率を向上させることができる。ただし、その含有量が多すぎると、屈折率が大幅に低下したり、耐候性が低下したりする傾向がある。また、液相温度が上昇して、ガラス中に失透物が析出しやすくなる。さらに、Kがガラス粉末から溶出すると蛍光体の発光を著しく低下させる場合がある。なお、Kは化学耐久性を低下させやすく、光透過率も低下させやすい。したがって、KOの含有量は好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0〜1%、特に好ましくは0〜0.1%である。
なお、Li+Na+Kの含有量は0〜10%であることが好ましく、0〜5%であることがより好ましく、0〜1%であることがさらに好ましく、0〜0,1%であることが特に好ましい。Li+Na+Kの含有量が多すぎると、失透しやすくなり、化学耐久性も低下する傾向がある。また、所望の光学特性が得られにくくなる。
なお、アルカリ金属成分としてCsを含有させてもよい。Csは軟化点を低下させる効果を有する。ただし、その含有量が多すぎると、屈折率が大幅に低下したり、耐候性が低下したりする傾向がある。また、液相温度が上昇して失透物が析出しやすくなる。したがって、Csの含有量は好ましくは0〜1%、より好ましくは0〜0.5%であり、含有しないことがさらに好ましい。
La3+及びGd3+は、光透過率をほとんど低下させることなく、屈折率を向上させる成分である。ただし、その含有量が多すぎると耐失透性が低下しやすくなる。したがって、これらの成分の含有量は、それぞれ好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜7.5%、さらに好ましくは1〜5%である。
Ta5+、W6+及びNb5+は、光透過率をほとんど低下させることなく、屈折率を高める効果がある。ただし、その含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなる。したがって、これらの成分の含有量は、それぞれ好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜7.5%、さらに好ましくは1〜5%である。
Ti4+は屈折率を高める効果がある成分である。また、Nb5+及びW6+に比べて、耐失透性の向上に有効な成分である。ただし、その含有量が多すぎると、光透過率が低下する傾向がある。特に、不純物としてFe成分がガラス中に多く含まれる場合(例えば20ppm以上)に光透過率が顕著に低下する傾向がある。また、耐失透性が低下しやすくなる。したがって、Ti4+の含有量は好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜7.5%、さらに好ましくは1〜5%以下である。
3+、Yb3+及びGe4+は、光透過率をほとんど低下させることなく、屈折率を高める効果がある。ただし、その含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなる。したがって、これらの成分の含有量は、それぞれ好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜7.5%、さらに好ましくは1〜5%である。
Te4+及びBi3+は、光透過率を低下させやすい成分であり、特に酸素濃度の低い溶融条件では、黒化し、光透過率の低下が著しい。従って、Te4+及びBi3+の含有量はそれぞれ0〜1%であることが好ましく、含有しないことがより好ましい。
Zr4+は、化学耐久性や耐候性を向上させ、高屈折率な光学特性を得るための成分である。Zr4+の含有量は0〜5%であることが好ましく、0〜4%であることがより好ましく、0.1%〜3%であることがさらに好ましく、0.2〜2%であることが特に好ましい。Zr4+の含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなったり、溶融温度が上昇して光透過率が低下しやすくなる。
La3++Gd3++Ta5++W6++Nb5++Ti4++Y3++Yb3++Ge4+の含有量は0〜10%であることが好ましく、0.1〜7.5%であることがより好ましく、0.2〜5%であることがさらに好ましく、0.3〜2.5%であることが最も好ましい。La3++Gd3++Ta5++W6++Nb5++Ti4++Y3++Yb3++Ge4+の含有量が多すぎると、耐失透性が低下しやすくなったり、溶融温度が上昇して光透過率が低下しやすくなる。なお、高屈折率であり、耐侯性に優れたガラスを得るためには、La3++Gd3++Ta5++W6++Nb5++Ti4++Y3++Yb3++Ge4+を0.1%以上含有させることが好ましい。
Fe3+、Ni2+及びCo2+は、光透過率を低下させる成分である。よって、これら成分の含有量は、それぞれ0.1%以下であることが好ましく、含有させないことがより好ましい。
また、Ce4+、Pr3+、Nd3+、Eu3+、Tb3+及びEr3+等の希土類成分も光透過率を低下させるおそれがあるため、これらの成分の含有量はそれぞれ0.1%未満であることが好ましく、含有させないことがより好ましい。
In3+は失透傾向が強いため、含有しないことが好ましい。
なお、環境上の理由から、Pb2+及びAs3+を含有しないことが好ましい。
本発明におけるガラス粉末は、アニオンとして、ハロゲン化物イオンであるFまたはClを含有する。F及びClは屈伏点を低下させる作用や光透過率を高める効果を有する。ただし、その含有量が多すぎると、溶融時の揮発性が高くなり脈理が発生しやすくなる。また、失透しやすくなる。本発明におけるガラス粉末は、アニオン%で、F+Cl 0.1〜70%を含有し、F+Cl 1〜67.5%を含有することが好ましく、F+Cl 5〜65%を含有することがより好ましく、F+Cl 2〜30%を含有することがさらに好ましく、F+Cl 10〜60%を含有することが特に好ましい。なお、FやClを導入するための原料としては、SnFやSnClの他、La、Gd、Ta、W、Nb、Y、Yb、Ge、Mg、Ca、SrまたはBaのフッ化物及び塩化物が挙げられる。
ハロゲン化物イオンとしては、上記成分以外にもBr等を含有させてもよい。ハロゲン化物イオン以外としては、通常、酸素イオン(O2−)を含有する。
ガラス粉末の屈折率(nd)は、好ましくは1.6以上、より好ましくは1.65以上、さらに好ましくは1.7以上、特に好ましくは1.72以上である。ガラス粉末の屈折率が小さすぎると、波長変換部材からの光の取り出し効率が低下しやすくなる。また、ガラス粉末と蛍光体との屈折率差が大きくなり、両者の界面での光散乱ロスが大きくなって、発光強度が低下するおそれがある。なお、上限については特に限定されないが、屈折率が高すぎると、ガラスが不安定になる傾向があるため、好ましくは1.95以下、より好ましくは1.9以下である。
ガラス粉末の着色度λ70は500nm未満であることが好ましく、470nm以下であることがより好ましく、460nm以下であることがさらに好ましい。着色度λ70が大きすぎると、近紫外域〜可視域における光透過率に劣る傾向がある。結果として、蛍光体に照射される励起光量が低下したり、波長変換部材から所望の色合いの出射光が得られにくくなる。
ガラス粉末の屈伏点は300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、260℃以下であることがさらに好ましく、250℃以下であることが特に好ましい。ガラス粉末の屈伏点が上記範囲を満たすことにより、低温での焼結が可能となり、蛍光体の劣化を抑制することができる。
本発明の粉末ガラスは、軟化温度(TF)と結晶化温度(Tc)との差が30℃以上であることが好ましく、40℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。軟化温度(TF)と結晶化温度(Tc)との差が小さすぎると、焼結中に結晶が析出しやすくなる。結果として、光透過率が低下したり、焼結が不十分になって緻密な焼結体が得られにくくなる。
ガラス粉末の20〜100℃における熱膨張係数は80×10−7〜200×10−7/℃であることが好ましく、100×10−7〜190×10−7/℃であることがより好ましく、120×10−7〜180×10−7/℃であることがさらに好ましい。熱膨張係数が低すぎる、或いは高すぎると、波長変換部材を固定するための基材や、波長変換部材と基材を接着するための接着材との熱膨張係数が整合しなくなって、高温下での使用時にクラックが発生しやすくなる。
ガラス粉末のJOGISに準じた耐水性は3級以上であることが好ましい。耐水性が上記範囲外になると、波長変換部材の製造工程(例えば洗浄工程)において白濁して光透過率が低下するおそれがある。
ガラス粉末は以下のようにして製造することができる。まず、所望の組成になるように原料を調合した後、溶融炉中で溶融を行う。原料としては、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ハロゲン化合物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アスタチン化物)等を使用することができる。ここで、一次溶融によりカレットを作製後、当該カレットを用いて二次溶融を行なうことにより、屈折率の調整や組成の均質化を図ることができる。組成が均質化されることにより、光透過率の高いガラスを得ることができる。なお、二次溶融の際、屈折率の高いカレットと屈折率の低いカレットを用いることにより、屈折率の精密制御が可能となる。溶融雰囲気は不活性雰囲気または還元性雰囲気とすることが好ましい。例えば、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中で溶融することで、均質なガラスが得られやすくなる。ガラス溶融用容器としては、白金や金等の金属、耐火物、石英ガラス、グラッシーカーボン等が使用できる。特に金製容器は、Sn2+との合金反応が起こりにくいため好ましい。なお、金属製容器としては、ZrO等の酸化物を分散させた強化材を使用することが好ましい。
次に、溶融ガラスをフィルム状に成形し、ボールミルを用い、粉末ガラスを得る。
ガラス粉末の粒子径は特に限定されないが、例えば、最大粒子径D99が200μm以下(特に150μm以下、さらには105μm以下)、かつ、平均粒子径D50が0.1μm以上(特に1μm以上、さらには2μm以上)であることが好ましい。ガラス粉末の最大粒子径D99が大きすぎると、波長変換部材において、励起光が散乱しにくくなり発光効率が低下しやすくなる。また、平均粒子径D50が小さすぎると、波長変換部材において、励起光が過剰に散乱して発光効率が低下しやすくなる。
なお、本発明において、平均粒子径D50及び最大粒子径D99はレーザー回折法により測定した値を指す。
蛍光体としては、一般に市場で入手できるものであれば特に限定されない。例えば、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、酸化物蛍光体(YAG蛍光体等のガーネット系蛍光体を含む)、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体(ハロリン酸塩化物蛍光体等)及びアルミン酸塩蛍光体等が挙げられる。これらの蛍光体は通常、粉末上である。これらの蛍光体のうち、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体及び酸化物蛍光体は耐熱性が高く、焼成時に比較的劣化しにくいため好ましい。なお、窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体は、近紫外〜青の励起光を緑〜赤という幅広い波長領域に変換し、しかも発光強度も比較的高いという特徴を有している。そのため、窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体は、特に白色LED素子用波長変換部材に用いられる蛍光体として有効である。
上記蛍光体としては、波長300〜500nmに励起帯を有し波長380〜780nmに発光ピークを有するもの、特に青色(波長440〜480nm)、緑色(波長500〜540nm)、黄色(波長540〜595nm)または赤色(波長600〜700nm)に発光するものが挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の発光を発する蛍光体としては、(Sr,Ba)MgAl1017:Eu2+、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+等が挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する蛍光体としては、SrAl:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、Y(Al,Gd)12:Ce3+、SrSiO:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、BaMgSi:Eu2+、BaSiO:Eu2+、BaLiSi:Eu2+、BaAl:Eu2+等が挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する蛍光体としては、SrAl:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、Y(Al,Gd)12:Ce3+、SrSiOn:Eu2+、β−SiAlON:Eu2+等が挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する蛍光体としては、LaSi11:Ce3+等が挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する蛍光体としては、Y(Al,Gd)12:Ce3+、SrSiO:Eu2+が挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する蛍光体としては、CaGa:Mn2+、MgSrSi:Eu2+,Mn2+、CaMgSi:Eu2+,Mn2+等が挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する蛍光体としては、CaAlSiN:Eu2+、CaSiN:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、α−SiAlON:Eu2+等が挙げられる。
上記蛍光体の他に量子ドット蛍光体を使用することもできる。量子ドット蛍光体の具体例としては、CdSe、CdTe、ZnSe、CdS、PbSe、PbS、CIS、ZCIS、ZCIGS、CdSe/ZnS、ZnS/CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe/ZnS等が挙げられる。量子ドット蛍光体は通常、有機溶媒に分散させた状態で取り扱われる。
なお、励起光や発光の波長域に合わせて、複数の蛍光体を混合して用いてもよい。例えば、紫外域の励起光を照射して白色光を得る場合は、青色、緑色、黄色、赤色の蛍光を発する蛍光体を混合して使用すればよい。
波長変換部材における蛍光体の含有量が多すぎると、焼結しにくくなったり、気孔率が大きくなる傾向がある。その結果、得られる波長変換部材において、励起光が効率良く蛍光体に照射されにくくなったり、機械強度が低下しやすくなる等の問題が生じる。一方、蛍光体の含有量が少なすぎると、所望の発光強度を得ることが困難になる。このような観点から、波長変換部材における蛍光体の含有量は、質量%で、好ましくは0.01〜50%、より好ましくは0.05〜40%、さらに好ましくは0.1〜30%の範囲で調整される。
なお、波長変換部材において発生した蛍光を、励起光入射側へ反射させ、主に蛍光のみを外部に取り出すことを目的とした波長変換部材においては、上記の限りではなく、発光強度が最大になるように、蛍光体の含有量を多くする(例えば、質量%で、50%〜80%、さらには55〜75%)ことができる。
本発明の波長変換部材は、上記の波長変換部材用原料粉末を焼結してなるものである。具体的には、本発明の波長変換部材は、カチオン%で、P5+ 0.1%以上、及びSn2+ 1%以上、アニオン%で、F+Cl 0.1〜70%を含有するガラスマトリクス中に蛍光体が分散してなることを特徴とする。ここで、ガラスマトリクスの特徴は既述のガラス粉末の特徴と同じであり、蛍光体の特徴も既述の通りであるため、説明は割愛する。
なお、本発明の波長変換部材は、上記組成を有するガラスの溶融中に、蛍光体を直接投入し、均一に分散後、成形したものであってもよい。ここで、蛍光体を投入する温度は、ガラスの液相温度より高く、蛍光体が失活する温度未満にすることが好ましい。また、基材上に上記ガラス粉末と蛍光体の混合物を塗布して加熱することにより、ガラス粉末と蛍光体の混合物を焼結して蛍光体層を形成してもよい。基材としては、ガラス板等の透明基板、アルミナ等のセラミック基板、Al、Pt、Au等の金属基板等が挙げられる。なお、基材表面に蛍光体を分散させ、さらにその上に上記組成を有するガラス板を載置した後、加熱することによりガラス板を軟化させて蛍光体をシールしてもよい。あるいは、上記組成を有するガラス板表面に蛍光体を分散させ、さらにその上に上記組成を有する別のガラス板を載置した後、加熱することにより各ガラス板を軟化させて蛍光体をシールしてもよい。上記組成を有する2枚のガラス板の間に蛍光体を分散させた状態で挟持した後、加熱することによりガラス板を軟化させて蛍光体をシールしてもよい。
波長変換部材用原料粉末の焼成温度は、ガラス粉末の軟化点±100℃以内、±80℃以内、さらには±50℃以内の範囲とすることが好ましい。焼成温度が低すぎると、ガラス粉末が十分に流動せず、緻密な焼結体が得られにくい。一方、焼成温度が高すぎると、蛍光体がガラス粉末中に溶出する、蛍光体に含まれる成分がガラス粉末中に拡散してガラス粉末が着色する、等が原因となって発光強度が低下するおそれがある。
焼成時の雰囲気は、大気雰囲気あるいは真空、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気が好ましい。特に、不活性雰囲気では、焼成時におけるガラス粉末の失透を抑制することができる。また、耐熱性の比較的低い蛍光体(量子ドット蛍光体等)の発光特性の劣化を抑制することができる。結果として、波長変換部材の発光強度を向上させることが可能となる。
本発明の波長変換部材の形状は特に制限されず、例えば、板状、柱状、球状、半球状、半球ドーム状等、それ自身が特定の形状を有する部材だけでなく、ガラス基板やセラミック基板等の基材表面に形成された被膜状のものであってもよい。
本発明の発光装置は、既述の波長変換部材と、波長変換部材に対して、蛍光体の励起光を照射する光源と、を備えることを特徴とする。図1は、本発明の発光装置の一実施形態を示す模式的側面図である。図1に示すように、発光装置1は波長変換部材2及び光源3を備えてなる。光源3は、波長変換部材2に対して蛍光体の励起光Linを照射する。波長変換部材2に入射した励起光Linは、別の波長の光に変換され、光源3とは反対側からLoutとして出射する。この際、波長変換後の光と、波長変換されずに透過した励起光との合成光を出射させるようにしてもよく、波長変換後の光のみを出射させるようにしてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)ガラス粉末の作製
表1及び2はそれぞれ本発明の実施例(a〜j)及び比較例(k)に係るガラス粉末を示している。
まず、表に示す各ガラス組成になるように原料を調合し、金ルツボを用いて700〜1000℃で1時間溶融した。得られた溶融ガラスをフィルム成形し、ボールミルで粉砕後、平均粒径10μmのガラス粉末を得た。また、同時に溶融ガラスの一部をカーボン型枠に鋳込むことにより、50mm×50mm×15mmの大きさに成形し、測定用試料を作製した。
得られた試料について、屈折率(nd)、熱膨張係数、屈伏点、軟化温度、結晶化温度、着色度、耐酸性及び耐水性を測定した。結果を表1及び2に示す。
屈折率は、ヘリウムランプのd線(587.6nm)に対する測定値で示した。
熱膨張係数及び屈伏点は、熱膨張測定装置(dilato meter)を用いて測定した。なお、熱膨張係数は20〜100℃の温度範囲で測定した。
軟化温度(TF)と結晶化温度(Tc)は示差熱測定計により測定した。
着色度は次のようにして測定した。厚さ10mm±0.1mmの光学研磨された試料について、分光光度計を用いて200〜800nmの波長域での光透過率を0.5nm間隔で測定し、光透過率曲線を作製した。光透過率曲線において、光透過率70%を示す最短波長を着色度λ70とした。
耐酸性及び耐水性は、JOGISに定められる粉末法により測定を行なった。
(2)波長変換部材の作製
表3〜5は実施例(No.1〜10、12〜21、23〜32)及び比較例(No.11、22、33)に係る波長変換部材を示している。
表1及び2に記載の各ガラス粉末試料に、蛍光体としてCaAlSiNまたはα−SiAlONを表3及び4に示す所定の質量比で混合して混合粉末を得た。混合粉末を金型で加圧成型して直径1cmの円柱状予備成型体を作製した。また、表1及び2に記載の各ガラス粉末を金型で加圧成型して直径1cmの円柱状圧粉体を作製し、蛍光体として量子ドット蛍光体PbSを分散させた溶媒を、この圧粉体に滴下して含浸させて円柱状予備成型体を得た。ガラス粉末とPbSの混合比は表5に示す通りとした。得られた各予備成型体をガラス粉末の軟化温度+30℃の温度で焼成した後、得られた焼結体に加工を施すことにより、直径8mm、厚さ0.2mmの円盤状の波長変換部材を得た。得られたそれぞれの波長変換部材について、発光スペクトルを測定し、発光効率を算出した。結果を表3〜5に示す。
発光効率は次のようにして求めた。まず、励起波長460nmの光源上に波長変換部材を設置し、積分球内で、試料上面から発せられる光のエネルギー分布スペクトルを測定した。次に、得られたスペクトルに標準比視感度を掛け合わせて全光束を計算し、全光束を光源の電力で除して発光効率を算出した。
表3〜5から明らかなように、蛍光体としてCaAlSiNを使用した場合、実施例であるNo.1〜10の試料は、発光効率が6.4lm/W以上であったのに対し、比較例であるNo.11の試料は発光効率が5.0lm/Wと低かった。
蛍光体としてα−SiAlONを使用した場合、実施例であるNo.12〜21の試料は、発光効率が7.9lm/W以上であったのに対し、比較例であるNo.22の試料は発光効率が6.5m/Wと低かった。
蛍光体として量子ドット蛍光体PbSを使用した場合、実施例であるNo.23〜32の試料は、発光効率が4.9lm/W以上であったのに対し、比較例であるNo.33の試料は量子ドット蛍光体が劣化して発光しなかった。
また、No.1〜10、12〜21、23〜32の波長変換部材は、耐酸性及び耐水性に優れたガラス粉末試料を用いて作製したものであるため、長期間にわたって使用しても表面が変質しにくく、発光効率が大幅に低下するといった自体が生じにくいと考えられる。
本発明の波長変換部材用原料粉末は、単色あるいは白色LED等の一般照明、特殊照明(例えば、プロジェクター光源、車載用ヘッドランプ光源)等に使用される波長変換部材の作製に好適である。
1 発光デバイス
2 波長変換部材
3 光源

Claims (15)

  1. カチオン%で、P5+ 0.1%以上、及びSn2+ 1%以上、アニオン%で、F+Cl 0.1〜70%を含有するガラス粉末と、蛍光体と、を含むことを特徴とする波長変換部材用原料粉末。
  2. 前記ガラス粉末が、カチオン%で、P5++Sn2+ 70.5%以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材用原料粉末。
  3. 前記ガラス粉末が、カチオン%で、Sn2+ 10〜90%、及びP5+ 10〜70%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の波長変換部材用原料粉末。
  4. 前記ガラス粉末が、In3+を含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  5. 前記ガラス粉末が、Pb2+及びAs3+を含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  6. 前記ガラス粉末が、カチオン%で、B3++Zn2++Si4++Al3+を0〜50%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  7. 前記ガラス粉末が、カチオン%で、Mg2++Ca2++Sr2++Ba2+を0〜10%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  8. 前記ガラス粉末の屈折率が1.6以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  9. 前記ガラス粉末の屈伏点が300℃以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  10. 前記ガラス粉末のJOGISに基づく耐水性が3級以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  11. 前記ガラス粉末の着色度λ70が500nm未満であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  12. 前記蛍光体が、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、酸化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体、アルミン酸塩蛍光体及び量子ドット蛍光体から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末の焼結体からなることを特徴とする波長変換部材。
  14. カチオン%で、P5+ 0.1%以上、及びSn2+ 1%以上、アニオン%で、F+Cl 0.1〜70%を含有するガラスマトリクス中に蛍光体が分散してなることを特徴とする波長変換部材。
  15. 請求項13または14に記載の波長変換部材と、前記波長変換部材に対して、前記蛍光体の励起光を照射する光源と、を備えることを特徴とする発光装置。
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