JP2016052968A - 波長変換部材用原料粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性の低い蛍光体粉末でも、焼結時に蛍光体自体が劣化しにくく、さらに耐候性に優れ、長期間に亘って使用しても経時変化により劣化しにくい波長変換部材を得ることが可能な波長変換部材用原料粉末を提供する。【解決手段】質量%で、Bi2O355〜95%、B2O35〜30%、SiO20〜20%、ZnO 0〜20%、TeO20〜3%、及びLi2O+Na2O+K2O 0〜8%を含有するガラス粉末と、蛍光体粉末と、を含むことを特徴とする波長変換部材用原料粉末。【選択図】図1

Description

本発明は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザーダイオード(LD:Laser Diode)等の発する光の波長を別の波長に変換する波長変換部材を作製するために用いられる波長変換部材用原料粉末に関する。
近年、白色LEDは、白熱電球や蛍光灯に代わる次世代の光源として、照明用途への応用が進みつつある。そのような次世代光源の一例として、例えば特許文献1には、青色光を出射するLED上に、LEDからの光の一部を吸収して黄色光に変換する波長変換部材が配置された光源が開示されている。この光源は、LEDから出射された青色光と、波長変換部材から出射された黄色光との合成光である白色光を発する。
波長変換部材としては、従来、樹脂マトリクス中に無機蛍光体を分散させたものが用いられていた。しかしながら、当該波長変換部材を用いた場合、LEDからの光により樹脂マトリクスが劣化し、光源の輝度が低くなりやすいという問題がある。具体的には、LEDが発する熱や高エネルギーの短波長(青色〜紫外)光によって樹脂マトリクスが劣化し、変色や変形を起こすという問題がある。
上記問題を解決するために、特許文献2には、500℃以上の軟化点を有する非鉛系ガラス粉末と蛍光体粉末を含む材料をガラスの屈伏点付近の温度で焼結することで、ガラスマトリクス中に蛍光体粉末を分散させた波長変換部材が提案されている。当該波長変換部材は、蛍光体粉末が無機材料であるガラスマトリクス中に分散されているため、化学的に安定で劣化が少なく、しかも励起光による部材の変色も生じにくいという利点を有する。しかしながら、蛍光体粉末の中には耐熱性の低いものがあり、これを500℃以上の軟化点を有する非鉛系ガラス粉末とともに焼結すると、蛍光体粉末が熱劣化して発光効率が低下するという問題がある。
そこで、蛍光体粉末の熱劣化を抑制するため、ガラス転移点が500℃未満のガラスマトリクス中に蛍光体粉末を分散させる方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2000−208815号公報 特開2003−258308号公報 特開2012−158494号公報
特許文献3に記載の波長変換部材も、焼結温度が500℃以上であり依然として高いため、焼結時に、耐熱性の低い蛍光体粉末は蛍光体自体が劣化したり、焼結時にガラスと反応し変色が生じたりという問題が生じやすい。また、ガラスマトリクスの耐候性が低いため、特に湿度の高い環境下では、使用中に波長変換部材の表面が変質して光透過率が低下し、発光効率が大幅に低下するという問題もある。
以上に鑑み、本発明の目的は、耐熱性の低い蛍光体粉末でも、焼結時に蛍光体自体が劣化しにくく、さらに耐候性に優れ、長期間に亘って使用しても経時変化により劣化しにくい波長変換部材を得ることが可能な波長変換部材用原料粉末を提供することである。
本発明者等は鋭意検討した結果、波長変換部材用原料粉末として、Biを多量に含有する特定組成のガラス粉末を使用することにより、前記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明の波長変換部材用原料粉末は、質量%で、Bi 55〜95%、B 5〜30%、SiO 0〜20%、ZnO 0〜20%、TeO 0〜3%、及びLiO+NaO+KO 0〜8%を含有するガラス粉末と、蛍光体粉末と、を含むことを特徴とする。ここで、「LiO+NaO+KO」はLiO、NaO及びKOの含有量の合量を意味する。
本発明の波長変換部材用原料粉末では、上記の通りBiを多量に含有する特定組成のガラス粉末を使用するため、低ガラス転移点を達成しやすい。そのため、低温焼結が可能となり、蛍光体粉末の熱劣化を抑制できる。また同時に、上記ガラス粉末は耐候性にも優れているため、波長変換部材の経時変化による劣化が進行しにくい。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末が、鉛成分、ヒ素成分及びフッ素成分を実質的に含有しないことが好ましい。
鉛成分、ヒ素成分及びフッ素成分は環境負荷物質であるため、ガラス粉末がこれらの成分を実質的に含有しない構成とすることにより、環境上好ましい波長変換部材とすることができる。なお、「実質的に含有しない」とは、意図的にガラス中に含有させないという意味であり、不可避的不純物まで完全に排除することを意味するものではない。客観的には、不純物を含めたこれらの成分の含有量が、質量%で、各々0.1%未満であることを意味する。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末が、質量%で、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜25%を含有することが好ましい。ここで、「MgO+CaO+SrO+BaO」はMgO、CaO、SrO及びBaOの含有量の合量を意味する。
当該構成によれば、波長変換部材の耐候性を向上させることができる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末が、質量%で、SiO+B 5〜30%を含有することが好ましい。ここで、「SiO+B」はSiO及びBの含有量の合量を意味する。
SiOまたはBの含有量が多すぎると、ガラス転移点が高くなって焼結温度が上昇しやすくなる。結果として、焼結時にガラス粉末と蛍光体粉末とが反応しやすく、蛍光体粉末の変色が起こりやすい。そこで、これらの成分の合量を上記の通り規制することにより、ガラス転移点が低くなり、焼結時における蛍光体粉末の変色を抑制することができる。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末の着色度λ70が550nm以下、着色度λが450nm以下であることが好ましい。
なお、本発明において、着色度λ70及び着色度λとは、厚み10mmの試料を用いて測定した光透過率曲線において、光透過率がそれぞれ70%及び5%となる最短波長をいう。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、ガラス粉末のガラス転移点が450℃以下であることが好ましい。
本発明の波長変換部材用原料粉末において、蛍光体粉末が、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、酸化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体及びアルミン酸塩蛍光体から選択される1種以上の粉末であることが好ましい。
本発明の波長変換部材は、上記の波長変換部材用原料粉末の焼結体からなることを特徴とする。
本発明の波長変換部材は、質量%で、Bi 55〜95%、B 5〜30%、SiO 0〜20%、ZnO 0〜20%、TeO 0〜3%、及びNaO+KO+LiO 0〜8%を含有するガラスマトリクス中に蛍光体粉末が分散してなることを特徴とする。
本発明の発光装置は、上記の波長変換部材と、波長変換部材に対して、蛍光体粉末の励起光を照射する光源と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、耐熱性の低い蛍光体粉末でも、焼結時に蛍光体自体が劣化しにくく、さらに耐候性に優れ、長期間に亘って使用しても経時変化により劣化しにくい波長変換部材を得ることが可能な波長変換部材用原料粉末を提供することが可能となる。
本発明の発光装置の一実施形態を示す模式的側面図である。
本発明の波長変換部材用原料粉末は、ガラス粉末と、蛍光体粉末と、を含むことを特徴とする。ガラス粉末は、質量%で、Bi 55〜95%、B 5〜30%、SiO 0〜20%、ZnO 0〜20%、TeO 0〜3%、及びNaO+KO+LiO 0〜8%を含有する。以下に、ガラス粉末における各成分の含有量をこのように限定した理由を説明する。なお、以下の各成分の含有量に関する説明において、特に断りがない限り、「%」は「質量%」を意味する。
Biは低ガラス転移点を達成するための必須成分である。また、失透を抑制する効果もある。なお、Biは屈折率を高める成分でもある。ガラス粉末の屈折率が高いと、蛍光体粉末との屈折率差が小さくなり、両者の界面での光散乱ロスを低減することができる。また、波長変換部材の屈折率が高くなり、外部への光取り出し効率が向上しやすくなる。Biの含有量は55〜95%であり、60〜92.5%であることが好ましく、65〜90%であることがより好ましく、70〜87.5%であることがさらに好ましく、72.5〜86%であることが特に好ましい。Biの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、Biの含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下しやすくなる。また、ガラス粉末自体の光透過率が低下したり、成形時や焼結時の失透により光透過率が低下しやすくなる。
はガラス骨格の構成成分である。また、近紫外域〜可視域の光透過率を高める成分である。特に高屈折率のガラスの場合は、Bによる光透過率を高める効果が得られやすい。また、失透を抑制する効果もある。Bの含有量は5〜30%であり、6〜27.5%であることが好ましく、7〜25%であることがより好ましく、7.5〜22.5%であることがさらに好ましい。Bの含有量が少なすぎると、上記効果が得られにくくなる。一方、Bの含有量が多すぎると、屈折率が低下したり、ガラス転移点が高くなる傾向がある。
SiOも、Bと同様にガラス骨格の構成成分である。また、近紫外域〜可視域の光透過率を高める成分である。さらに、失透を抑制する効果もある。SiOの含有量は0〜20%であり、0〜10%であることが好ましく、0.1〜8%であることがより好ましく、0.3〜6%であることがさらに好ましく、0.5〜5%であることが特に好ましい。SiOの含有量が多すぎると、屈折率が低くなったり、ガラス転移点が高くなる傾向がある。
なお、SiO+Bの含有量は5〜30%であることが好ましく、6〜25%であることがより好ましく、7〜20%であることがさらに好ましく、7.5〜18%であることが特に好ましい。SiO+Bの含有量が少なすぎると、光透過率が低下しやすくなったり、化学的耐久性に劣る傾向がある。また、焼結時に失透して光透過率が低下しやすくなる。一方、SiO+Bの含有量が多すぎると、屈折率が低下しやすくなる。また、ガラス転移点が高くなって焼結温度が上昇しやすい。結果として、焼結時にガラス粉末と蛍光体粉末が反応して、蛍光体粉末が劣化しやすくなる。
ZnOは、屈折率を高めたり、ガラス転移点を低下させる効果がある。ただし、その含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下したり、焼結時に失透しやすくなる。ZnOの含有量は、0〜20%であり、0.25〜15%であることが好ましく、0.5〜10%であることがより好ましく、1〜7.5%であることがさらに好ましく、1.5〜5%であることが特に好ましい。なお、化学的耐久性や、焼結時における失透の抑制を重視する場合には、ZnOを含有しないことが好ましい。
TeOは、Biと同様に、高屈折、低ガラス転移点化ができる。さらに、化学的耐久性向上等の実現に有効な成分である。TeOの含有量は0〜3%であり、0.1〜3%であることが好ましく、0.5〜3%であることがより好ましく、1〜2.5%であることがさらに好ましく、1.5〜2%であることが特に好ましい。TeOの含有量が多すぎると、液相温度が上昇して失透しやすくなる。また、光透過率が低下しやすくなる。
LiO、NaO及びKOはガラス転移点を低下させる成分である。LiO+NaO+KOの含有量は0〜8%であり、0.05〜7%であることが好ましく、0.1〜5%であることがより好ましい。LiO+NaO+KOの含有量が多すぎると、化学的耐久性や屈折率が低下しやすくなったり、光透過率が低下しやすくなる。
なお、各アルカリ金属酸化物の含有量の範囲は以下の通りである。
LiOは、アルカリ金属酸化物のなかでガラス転移点を低下させる効果が最も大きい成分である。また、LiOは屈折率を低下させにくい成分である。LiOの含有量は0〜8%であり、0.1〜7%であることが好ましく、0.2〜5%であることがより好ましく、0.5〜3%であることがさらに好ましい。LiOの含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下したり、液相温度が上昇して失透しやすくなる。
NaOの含有量は0〜8%であることが好ましく、0.1〜7.5%であることがより好ましく、0.1〜5%であることがさらに好ましく、0.1〜2.5%であることが特に好ましい。NaOの含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下したり、液相温度が上昇して失透しやすくなる。
Oの含有量は0〜8%であることが好ましく、0.1〜7.5%であることがより好ましく、0.1〜5%であることがさらに好ましく、0.1〜2.5%であることが特に好ましい。KOの含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下したり、液相温度が上昇して失透しやすくなる。また、分相を起こしやすく、焼結時にガラス粉末が白濁しやすくなる。
本発明におけるガラス粉末には、上記成分以外にも下記の成分を含有させることができる。
アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、SrO及びBaO)は融剤として作用する成分である。また、失透を抑制したり、化学的耐久性を向上させる効果もある。なお、アルカリ土類金属酸化物は屈折率を大きく低下させない。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は0〜25%であることが好ましく、0.1〜25%であることがより好ましく、0.5〜20%であることがさらに好ましく、1〜15%であることが特に好ましく、2.5〜10%であることが最も好ましい。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多すぎると、成形時や焼結時に失透しやすくなる。また、光透過率が低下しやすくなる。
なお、各アルカリ土類金属酸化物の含有量の範囲は以下の通りである。
MgOの含有量は0〜10%であることが好ましく、0.1〜5%であることがより好ましい。MgOの含有量が多すぎると、失透しやすくなる。
CaOは化学的耐久性を向上させる効果が高い。ただし、その含有量が多すぎると、光透過率が低下しやすくなる。以上に鑑み、CaOの含有量は0〜10%であることが好ましく、0.1〜5%であることがより好ましい。
SrOは屈折率を高める成分である。また、化学的耐久性を向上させる効果が高い。従って、SrOを積極的に含有させることにより、化学的耐久性に優れたガラスを得ることができる。ただし、その含有量が多すぎると、光透過率が低下しやすくなる。以上に鑑み、SrOの含有量は0〜10%であることが好ましく、0.1〜5%であることがより好ましい。
BaOは、CaOに比べて液相温度を上昇させにくく、また化学的耐久性を向上させる効果が高い。ただし、その含有量が多すぎると、光透過率が低下しやすくなる。以上に鑑み、BaOの含有量は0〜10%であることが好ましく、0.1〜5%であることがより好ましい。
TiO、Nb及びWOは屈折率を高める効果が大きく、耐候性を向上させる効果もある。ただし、その含有量が多すぎると、光透過率が低下しやすくなる。以上に鑑み、TiO+Nb+WOの含有量は0〜5%であることが好ましく、0.1〜3%であることがより好ましく、0.3〜2%であることがさらに好ましい。ここで、「TiO+Nb+WO」はTiO、Nb及びWOの含有量の合量を意味する。
なお、TiO、Nb及びWOの各成分の含有量の範囲は以下の通りである。
TiOは高屈折率特性を得るために特に有効な成分である。また、紫外線による着色(ソラリゼーション)を抑制しやすい。ただし、特に不純物としてFe成分がガラス中に多く含まれる場合(例えば20ppm以上)は、光透過率を顕著に低下させる傾向がある。従って、TiOの含有量は0〜5%であることが好ましく、0.1〜2.5%であることがより好ましく、0.5〜2%であることがさらに好ましい。
Nbの含有量は0〜5%であることが好ましく、0.1〜2.5%であることがより好ましく、0.5〜2%であることがさらに好ましい。Nbの含有量が多すぎると、失透や脈理等が発生しやすくなる。
WOは、TiOと同様に、高屈折の光学特性を得るために特に有効な成分である。また、耐失透性の向上に有効な成分である。ただし、WOはTiOやNbと比較して光透過率を低下させやすい。以上に鑑み、WOの含有量は0〜5%であることが好ましく、0.1〜2.5%であることがより好ましく、0.5〜2%であることがさらに好ましい。
ZrOは高屈折特性を得るために有効な成分である。また、中間酸化物としてガラス骨格を形成するため、化学的耐久性を向上させる効果がある。ただし、ZrOの含有量が多すぎると、ガラス転移点が上昇すると同時に、失透しやすくなる。従って、ZrOの含有量は0〜10%であることが好ましく、0〜7.5%であることがより好ましく、0.1〜5%であることがさらに好ましく、0.1〜3%であることが特に好ましい。
Laは屈折率を高める成分である。だだし、その含有量が多すぎると、失透しやすくなる。また、光透過率が低下しやすくなる。従って、Laの含有量は0〜12%であることが好ましく、0.1〜10%であることがより好ましい。
GdはLaと同様に、屈折率を高める成分である。だだし、その含有量が多すぎると、失透しやすくなる。また、光透過率が低下しやすくなる。従って、Gdの含有量は0〜5%であることが好ましく、0〜2%であることがより好ましく、0.1〜1%であることがさらに好ましい。
Taも屈折率を高める効果がある。だだし、その含有量が多すぎると、失透しやすくなったり、光透過率が低下しやすくなる。また、原料コストが高くなりやすい。従って、Taの含有量は0〜5%であることが好ましく、0〜2%であることがより好ましく、0.1〜1%であることがさらに好ましい。
なお、光透過率の高いガラスを得るためには、La+Gd+Taの含有量を調整することが好ましい。具体的には、La+Gd+Taの含有量は0〜5%であることが好ましく、0〜2.5%であることがより好ましく、0〜1%であることがさらに好ましく、0.1〜0.5%であることが特に好ましい。ここで、「La+Gd+Ta」はLa、Gd及びTaの含有量の合量を意味する。
Alは、SiOやBとともにガラス骨格を構成する成分である。また、化学的耐久性を向上させる効果があり、特にガラス中のBやアルカリ金属酸化物等が、研磨洗浄水等の各種洗浄溶液中へ選択的に溶出することを抑制する効果が大きい。Alの含有量は0〜2.5%であることが好ましく、0.1〜2%であることがより好ましい。Alの含有量が多すぎると、失透しやすくなったり、光透過率が低下しやすくなる。なお、焼結時の耐失透性を重視する場合には、Alは含有しないことが好ましい。
及びYbは屈折率を高める成分であり、分相を抑制する効果もある。Y及びYbの含有量は各々0〜5%であることが好ましく、0.1〜2.5%であることがより好ましい。YまたはYbの含有量が多すぎると、失透や脈理が発生しやすくなる。
清澄剤として、SbやSnOを含有させることができる。特に、Sbは不純物として混入するFe成分等による着色を抑制することができる。Sb及びSnOの含有量は各々0〜1%であることが好ましく、各々0.001〜0.1%であることがより好ましい。SbまたはSnOの含有量が多すぎると、SbやSnOのブツが発生しやすくなる。
鉛成分(PbO等)、ヒ素成分(As等)及びフッ素成分(F等)は、環境上の理由から、実質的なガラスへの導入は避けることが好ましい。従って、これらの成分は実質的に含有しないことが好ましい。
GeOは高屈折率を得るために有効であるが、光透過率を低下させやすく、また原料コストが高くなりやすい。従って、GeOは実質的に含有しないことが好ましい。
本発明において、高屈折率であり、光透過率の高いガラス粉末を得るためには、Bi+B+SiO+TeOの含有量を調整することが好ましい。具体的には、Bi+B+SiO+TeOの含有量は80%以上であることが好ましく、82.5%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。ただし、Bi+B+SiO+TeOの含有量が多すぎると、化学的耐久性が低下しやすくなるため、99%以下であることが好ましく、98.5%以下であることがより好ましく、98%以下であることがさらに好ましい。ここで、「Bi+B+SiO+TeO」はBi、B、SiO及びTeOの含有量の合量を意味する。
本発明において、高屈折率かつ低ガラス転移点を有するガラスを得るためには、Bi+B+LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOの含有量を調整することが好ましい。具体的には、Bi+B+LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnOの含有量は85%以上であることが好ましく、87.5%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、92.5%以上であることが特に好ましく、95%以上であることが最も好ましい。ここで、「Bi+B+LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO」はBi、B、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOの含有量の合量を意味する。
本発明において、高屈折率であり、低ガラス転移点を有し、しかも光透過率に優れたガラス粉末を得るためには、Bi/Bの比率(質量比)を調整することが好ましい。具体的には、Bi/Bは3〜15であることが好ましく、4〜12であることがより好ましい。Bi/Bが小さすぎると、高屈折率特性が得られにくい。一方、Bi/Bが大きすぎると、光透過率が低下したり、失透物が析出しやすくなる。ここで、「Bi/B」はBiの含有量をBの含有量で除した値を意味する。
本発明において、高屈折率、高光透過率及び低ガラス転移点を有するガラス粉末を得るためには、BiとZnOの比(質量比)を調整することが好ましい。具体的には、Bi/ZnOは6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。Bi/ZnOが小さすぎると、前記効果が得られにくくなるとともに、失透しやすくなる。ここで、「Bi/ZnO」はBiの含有量をZnOの含有量で除した値を意味する。
本発明において、光透過率に優れたガラス粉末を得るには、SiO+Alを調整することが好ましい。具体的には、SiO+Alの含有量は0〜5%であることが好ましく、0.1〜4%であることがより好ましい。SiO+Alが多すぎると、前記効果が得られにくくなる。また、高屈折率特性や、低ガラス転移点が得られにくくなる。ここで、「SiO+Al」はSiO及びAlの含有量の合量を意味する。
本発明において、光透過率の高いガラスを得るためには、B/(SiO+Al)の比率(質量比)を調整することが好ましい。具体的には、B/(SiO+Al)は5.5以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましい。ただし、B/(SiO+Al)の比率が大きすぎると、低ガラス転移点が得られにくくなるため、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。ここで、「B/(SiO+Al)」はBの含有量をSiO及びAlの含有量の合量で除した値を意味する。
本発明において、高屈折率であり、しかも低ガラス転移点を有するガラス粉末を得るためには、B/(MgO+CaO+SrO+BaO)の比率(質量比)を調整することが好ましい。具体的には、B/(MgO+CaO+SrO+BaO)は2〜100であることが好ましく、5〜80であることがより好ましい。B/(MgO+CaO+SrO+BaO)が小さすぎると、光透過率が低下したり、失透しやすくなる。一方、B/(MgO+CaO+SrO+BaO)が大きすぎると、低ガラス転移点が得られにくくなる。ここで、「B/(MgO+CaO+SrO+BaO)」はBの含有量をMgO、CaO、SrO及びBaOの含有量の合量で除した値を意味する。
ガラス粉末の屈折率(nd)は1.75以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましく、1.85以上であることがさらに好ましい。屈折率の上限は特に限定されないが、現実的には2.3以下である。
ガラス粉末の着色度λ70は550nm以下であることが好ましく、520nm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましく、480nm以下であることが特に好ましい。また、ガラス粉末の着色度λは450nm以下であることが好ましく、445nm以下であることがより好ましく、440nm以下であることがさらに好ましく、435nm以下であることが特に好ましい。着色度λ70またはλが大きすぎると、近紫外域〜可視域における光透過率に劣る傾向がある。結果として、蛍光体粉末に照射される励起光量が低下したり、波長変換部材から所望の色合いの出射光が得られにくくなる。
着色度λ70やλを上記範囲に調整するためには、Bi/Bの比率を調整したり、Nb、WO及びTiO等の光透過率を低下させる成分の含有量を規制することが効果的である。また、酸化雰囲気下で溶融を行うことにより、金属ビスマスの析出を抑制することも好ましい。なお、不純物として白金が混入すると光透過率が低下する傾向があるため、溶融炉の材質としては極力、白金を含有しないものが好ましい。例えば、溶融炉としては金を主成分として含有する材質やSiOを主成分とする材質を採用することが好ましい。また、バッチ原料として粒径の小さいものや、一旦ガラス化したものを使用することで溶解性を向上させ、未溶解や不純物を低減することができる。
ガラス粉末のガラス転移点は450℃以下であることが好ましく、425℃以下であることがより好ましく、420℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移点が上記範囲を満たすことにより、低温での焼結が可能となり、蛍光体粉末の劣化を抑制することができる。
示差熱測定計(DTA)を用いて測定された、ガラス粉末の軟化温度(TF)と結晶化温度(Tc)との差は20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。軟化温度(TF)と結晶化温度(Tc)との差が小さすぎると、焼結中に結晶が析出して光透過率が低下しやすくなる。また、焼結時におけるガラス粉末の軟化流動が不十分になり、緻密な焼結体が得られにくくなる。その結果、波長変換部材内部の光散乱ロスが大きくなり、発光強度が低下したり、また機械的強度が低下する傾向がある。
ガラス粉末の熱膨張係数(30〜300℃)は50×10−7〜150×10−7/℃であることが好ましく、60×10−7〜140×10−7/℃以下であることがより好ましく、70×10−7〜130×10−7/℃以下であることがさらに好ましい。熱膨張係数が低すぎる、或いは高すぎると、波長変換部材を固定するための基材や、波長変換部材と基材を接着するための接着材との熱膨張係数が整合しなくなって、高温下での使用時にクラックが発生しやすくなる。
ガラス粉末のJOGISに準じた耐水性は2級以上、耐酸性は5級以上であることが好ましい。耐水性または耐酸性が上記範囲外になると、波長変換部材の製造工程(例えば洗浄工程)において白濁して光透過率が低下するおそれがある。
ガラス粉末のソラリゼーションテストによる光透過率の変化量は3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。ソラリゼーションテストによる光透過率の変化量が上記範囲外になると、経時的な色安定性が低下しやすくなる。結果として、経時的に波長変換部材の色合いが変化したり、発光強度が低下しやすくなる。
ガラス粉末は以下のようにして製造することができる。まず、所望のガラス組成になるように原料を調合した後、溶融炉中で溶融する。酸化ビスマスは溶融時に他の成分を酸化したり、ビスマス自身が還元されて金属ビスマスとなり、光透過率低下の原因となりやすい。従って、酸化雰囲気で溶融することが好ましい。酸化溶融雰囲気を実現するためには、酸化剤として働く硝酸原料、炭酸原料、水和物等を多く含む原料を多く使用することが好ましい。なかでも酸化剤としての効力が大きい硝酸原料を使用することが特に好ましい。硝酸原料としては、例えば硝酸ビスマス、硝酸ランタン、硝酸ガドリニウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム等が挙げられる。また、酸素を多く含むガスを溶融ガラス中に導入することで、より酸化方向の溶融雰囲気が達成できる。
なお、高温で溶融すると、ビスマス自身が還元されて金属ビスマスが析出しやすくなるため、溶融温度はなるべく低いほうが好ましい。具体的には、溶融温度は1200℃以下であることが好ましく、1150℃以下であることがより好ましく、1100℃以下であることがさらに好ましい。下限は特に限定されないが、原料を十分に溶解して均質化するために、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがより好ましい。
次に、溶融ガラスをフィルム状に成形し、ボールミルを用い、粉末ガラスを得る。
ガラス粉末の粒子径は特に限定されないが、例えば、最大粒子径D99が200μm以下(特に150μm以下、さらには105μm以下)、かつ、平均粒子径D50が0.1μm以上(特に1μm以上、さらには2μm以上)であることが好ましい。ガラス粉末の最大粒子径D99が大きすぎると、波長変換部材において、励起光が散乱しにくくなり発光効率が低下しやすくなる。また、平均粒子径D50が小さすぎると、波長変換部材において、励起光が過剰に散乱して発光効率が低下しやすくなる。
なお、本発明において、平均粒子径D50及び最大粒子径D99はレーザー回折法により測定した値を指す。
無機蛍光体粉末としては、一般に市場で入手できるものであれば特に限定されない。例えば、窒化物蛍光体粉末、酸窒化物蛍光体粉末、酸化物蛍光体粉末(YAG蛍光体粉末等のガーネット系蛍光体粉末を含む)、硫化物蛍光体粉末、酸硫化物蛍光体粉末、ハロゲン化物蛍光体粉末(ハロリン酸塩化物等)及びアルミン酸塩蛍光体粉末等が挙げられる。これらの無機蛍光体粉末のうち、窒化物蛍光体粉末、酸窒化物蛍光体粉末及び酸化物蛍光体粉末は耐熱性が高く、焼成時に比較的劣化しにくいため好ましい。なお、窒化物蛍光体粉末及び酸窒化物蛍光体粉末は、近紫外〜青の励起光を緑〜赤という幅広い波長領域に変換し、しかも発光強度も比較的高いという特徴を有している。そのため、窒化物蛍光体粉末及び酸窒化物蛍光体粉末は、特に白色LED素子用波長変換部材に用いられる無機蛍光体粉末として有効である。
上記無機蛍光体粉末としては、波長300〜500nmに励起帯を有し波長380〜780nmに発光ピークを有するもの、特に青色(波長440〜480nm)、緑色(波長500〜540nm)、黄色(波長540〜595nm)または赤色(波長600〜700nm)に発光するものが挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の発光を発する無機蛍光体粉末としては、(Sr,Ba)MgAl1017:Eu2+、(Sr,Ba)MgSi:Eu2+等が挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、SrAl:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、Y(Al,Gd)12:Ce3+、SrSiO:Eu2+、BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、BaMgSi:Eu2+、BaSiO:Eu2+、BaLiSi:Eu2+、BaAl:Eu2+等が挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、SrAl:Eu2+、SrBaSiO:Eu2+、Y(Al,Gd)12:Ce3+、SrSiOn:Eu2+、β−SiAlON:Eu2+等が挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、LaSi11:Ce3+等が挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、Y(Al,Gd)12:Ce3+、SrSiO:Eu2+が挙げられる。
波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、CaGa:Mn2+、MgSrSi:Eu2+,Mn2+、CaMgSi:Eu2+,Mn2+等が挙げられる。
波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、CaAlSiN:Eu2+、CaSiN:Eu2+、(Ca,Sr)Si:Eu2+、α−SiAlON:Eu2+等が挙げられる。
なお、励起光や発光の波長域に合わせて、複数の無機蛍光体粉末を混合して用いてもよい。例えば、紫外域の励起光を照射して白色光を得る場合は、青色、緑色、黄色、赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末を混合して使用すればよい。
波長変換部材における無機蛍光体粉末の含有量が多すぎると、焼結しにくくなったり、気孔率が大きくなる傾向がある。その結果、得られる波長変換部材において、励起光が効率良く無機蛍光体粉末に照射されにくくなったり、機械強度が低下しやすくなる等の問題が生じる。一方、無機蛍光体粉末の含有量が少なすぎると、所望の発光強度を得ることが困難になる。このような観点から、波長変換部材における無機蛍光体粉末の含有量は、質量%で、好ましくは0.01〜50%、より好ましくは0.05〜40%、さらに好ましくは0.1〜30%の範囲で調整される。
なお、波長変換部材において発生した蛍光を、励起光入射側へ反射させ、主に蛍光のみを外部に取り出すことを目的とした波長変換部材においては、上記の限りではなく、発光強度が最大になるように、無機蛍光体粉末の含有量を多くする(例えば、質量%で、50%〜80%、さらには55〜75%)ことができる。
本発明の波長変換部材は、上記の波長変換部材用原料粉末を焼結してなるものである。具体的には、本発明の波長変換部材は、質量%で、Bi 55〜95%、B 5〜30%、SiO 0〜20%、ZnO 0〜20%、TeO 0〜3%、及びNaO+KO+LiO 0〜8%を含有するガラスマトリクス中に蛍光体粉末が分散してなることを特徴とする。ここで、ガラスマトリクスの特徴は既述のガラス粉末の特徴と同じであり、蛍光体粉末の特徴も既述の通りであるため、説明は割愛する。
波長変換部材用原料粉末の焼成温度は、ガラス粉末の軟化点±100℃以内、±80℃以内、さらには±50℃以内の範囲とすることが好ましい。焼成温度が低すぎると、ガラス粉末が十分に流動せず、緻密な焼結体が得られにくい。一方、焼成温度が高すぎると、無機蛍光体粉末がガラス粉末中に溶出する、無機蛍光体粉末に含まれる成分がガラス粉末中に拡散してガラス粉末が着色する、あるいは、ガラス粉末中のビスマス成分が還元されて金属ビスマスが析出する、等が原因となって発光強度が低下するおそれがある。
なお、ビスマス成分の還元による金属ビスマスの析出を抑制するため、焼成は酸化雰囲気中で行うことが好ましい。
本発明の波長変換部材の形状は特に制限されず、例えば、板状、柱状、球状、半球状、半球ドーム状等、それ自身が特定の形状を有する部材だけでなく、ガラス基板やセラミック基板等の基材表面に形成された被膜状のものであってもよい。
本発明の発光装置は、既述の波長変換部材と、波長変換部材に対して、蛍光体粉末の励起光を照射する光源と、を備えることを特徴とする。図1は、本発明の発光装置の一実施形態を示す模式的側面図である。図1に示すように、発光装置1は波長変換部材2及び光源3を備えてなる。光源3は、波長変換部材2に対して蛍光体粉末の励起光Linを照射する。波長変換部材2に入射した励起光Linは、別の波長の光に変換され、光源3とは反対側からLoutとして出射する。この際、波長変換後の光と、波長変換されずに透過した励起光との合成光を出射させるようにしてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)ガラス粉末の作製
表1〜4はそれぞれ本発明の実施例(a〜w)及び比較例(x〜z)に係るガラス粉末を示している。
まず、表に示す各ガラス組成になるように原料を調合し、金ルツボを用いて800〜1050℃で1時間溶融した。得られた溶融ガラスをフィルム成形し、ボールミルで粉砕後、平均粒径10μmのガラス粉末を得た。また、同時に溶融ガラスは、一部、カーボン型枠に鋳込み50mm×50mm×15mmに成形し、測定用試料を作製した。
得られた試料について、屈折率(nd)、熱膨張係数、ガラス転移点、軟化点、結晶化温度、着色度及び耐水性を測定した。結果を表1〜4に示す。
屈折率は、ヘリウムランプのd線(587.6nm)に対する測定値で示した。
熱膨張係数及びガラス転移点は、熱膨張測定装置(dilato meter)を用いて測定した。
軟化点は、ファイバーエロンゲーション法を用いて測定し、粘度が107.6dPa・sとなる温度を採用した。なお、測定した軟化点は、波長変換部材用原料粉末を焼成温度を決定するための目安として用いた。
着色度は次のようにして測定した。厚さ10mm±0.1mmの光学研磨された試料について、分光光度計を用いて200〜800nmの波長域での光透過率を0.5nm間隔で測定し、光透過率曲線を作製した。光透過率曲線において、光透過率5%及び70%を示す最短波長をそれぞれ着色度λ、着色度λ70とした。
軟化温度(TF)と結晶化温度(Tc)は、平均粒径45μm以下のガラス粉末を用いて示差熱測定計により測定した。
耐水性は、JOGISに定められる粉末法により測定を行なった。
表1〜4に示すように、実施例に係る試料a〜wは各特性に優れていた。一方、比較例である試料x及びyはガラス転移点が480℃以上と高かった。また、試料y及びzは着色度λが515nm以上、着色度λ70は555nm以上と高かった。なお、試料zはTc−TFが5℃と低く、耐水性が3級と劣っていた。
(2)波長変換部材の作製
表5〜8は実施例(No.1〜23)及び比較例(No.24〜26)に係る波長変換部材を示している。
表1〜4に記載の各ガラス粉末試料に、蛍光体粉末としてCaAlSiNまたはα−SiAlONを、ガラス粉末:蛍光体粉末=80:20(質量比)となるように混合して波長変換部材用原料粉末を得た。原料粉末を金型で加圧成型して直径1cmの円柱状予備成型体を作製した。この予備成型体をガラス粉末の軟化点+30℃の温度で焼成した後、得られた焼結体に加工を施すことにより、直径8mm、厚さ0.2mmの円盤状の波長変換部材を得た。得られた波長変換部材について、発光スペクトルを測定し、発光効率を算出した。結果を表5〜8に示す。
発光効率は次のようにして求めた。励起波長460nmの光源上に波長変換部材を設置し、積分球内で、試料上面から発せられる光のエネルギー分布スペクトルを測定した。次に、得られたスペクトルに標準比視感度を掛け合わせて全光束を計算し、全光束を光源の電力で除して発光効率を算出した。
表5〜8から明らかなように、蛍光体粉末としてCaAlSiNを使用した場合、実施例であるNo.1〜23の波長変換部材は、発光効率が7.1lm/W以上であったのに対し、比較例であるNo.24及び25の波長変換部材は発光効率が6.5lm/W以下と低く、No.26の試料は変色して発光しなかった。
また、蛍光体粉末としてα−SiAlONを使用した場合、実施例であるNo.1〜23の波長変換部材は、発光効率が5.6lm/W以上であったのに対し、比較例であるNo.24及び25の波長変換部材は発光効率が5.0lm/W以下と低く、No.26の試料は変色して発光しなかった。
また、No.1〜23の波長変換部材は、耐水性に優れたガラス粉末試料を用いて作製したものであるため、長期間にわたって使用しても表面が変質しにくく、発光効率が大幅に低下するといった自体が生じにくいと考えられる。
本発明のガラスは、単色あるいは白色LED等の一般照明、特殊照明(例えば、プロジェクター光源、車載用ヘッドランプ光源)等に使用される波長変換部材用原料粉末として好適である。
1 発光デバイス
2 波長変換部材
3 光源

Claims (10)

  1. 質量%で、Bi 55〜95%、B 5〜30%、SiO 0〜20%、ZnO 0〜20%、TeO 0〜3%、及びLiO+NaO+KO 0〜8%を含有するガラス粉末と、蛍光体粉末と、を含むことを特徴とする波長変換部材用原料粉末。
  2. 前記ガラス粉末が、鉛成分、ヒ素成分及びフッ素成分を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材用原料粉末。
  3. 前記ガラス粉末が、質量%で、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜25%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の波長変換部材用原料粉末。
  4. 前記ガラス粉末が、質量%で、SiO+B 5〜30%を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  5. 前記ガラス粉末の着色度λ70が550nm以下、着色度λが450nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  6. 前記ガラス粉末のガラス転移点が450℃以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  7. 前記蛍光体粉末が、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、酸化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体及びアルミン酸塩蛍光体から選択される1種以上の粉末であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の波長変換部材用原料粉末の焼結体からなることを特徴とする波長変換部材。
  9. 質量%で、Bi 55〜95%、B 5〜30%、SiO 0〜20%、ZnO 0〜20%、TeO 0〜3%、及びNaO+KO+LiO 0〜8%を含有するガラスマトリクス中に蛍光体粉末が分散してなることを特徴とする波長変換部材。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の波長変換部材と、前記波長変換部材に対して、前記蛍光体粉末の励起光を照射する光源と、を備えることを特徴とする発光装置。
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