JP2012007042A - 多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケート、およびポリシロキサン化合物の製造方法 - Google Patents

多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケート、およびポリシロキサン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】各種不純物の含有量が少ない多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートおよび多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を得る方法、および該化合物を提供する。
【解決手段】アルキルシリケートと水酸化4級アンモニウムを溶媒中で反応させる簡便な方法により多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートが得られ、このシリル化反応により、ポリシロキサン化合物が得られる。得られた多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を用いた成形体は透明であり、耐青紫レーザー性が高く、耐光性の良好な成形体が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートの製造法、及び該化合物とそれから得られるポリシロキサン化合物に関する。
多面体骨格を有するポリシロキサン化合物の製造法に関しては従来、
i)テトラアルコキシシランと水酸化4級アンモニウム化合物から合成した、多面体アンモニウムオリゴシリケートをシリル化する方法(特許文献1)、(非特許文献1)
ii)籾殻灰を加熱処理して調製した、多面体アンモニウムオリゴシリケートをシリル化する方法(特許文献2)、(非特許文献2)
iii)多面体骨格を有するポリシロキサン化合物をジシロキサン化合物と反応し、シリル基を交換する方法(非特許文献3)
が知られている。
しかしi)の方法では、テトラアルコキシシランと水酸化四級アンモニウム化合物の反応時に、急激な発熱が起こり反応の制御が困難であり、さらに反応終了後、反応溶液が完全に固化してしまい攪拌不能となり、工業的な利用に問題がある。
ii)の方法では、高温での長時間の反応が必要であり、さらに反応収率も低く、工業的な利用に問題がある。
iii)の方法では、大過剰のジシロキサン化合物が必要であり、工業的な利用に問題がある。
しかもこのような操作により取得したポリシロキサン化合物は、各種不純物を含有しており、その用途に制限がある。
特開2009−29881号公報 米国公開特許第2005−0142054号公報
Chemistry Letters,1988,1319 J.Mater.Chem.,2005,15,2114 Inorganic Chemistry Communication,2005,8,159
本願発明は、高品質な多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートを効率的に製造する方法と、それから製造される耐光性が優れることで知られている多面体骨格を有するポリシロキサン化合物の耐光性をさらに改良した化合物を提供することである。
本発明は、上記現状に鑑み、高品質な多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケート、および多面体構造ポリシロキサン化合物を効率的に製造することを目的とするものである。
すなわち本発明は、以下の構成によるものである。
1).以下の構造式
Figure 2012007042
(Rはアルキル基、又は水素原子;nは平均して1以上の整数)
で表されるアルキルシリケートと水酸化4級アンモニウムを溶媒中で、反応させることを特徴とする多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートの製造法。
2). 溶媒として、両親媒性溶媒を使用することを特徴とする1)に記載の製造法。
3). 溶媒として、アルコール系溶媒を使用することを特徴とする1)または2)に記載の製造方法。
4). 加熱条件下で、アルキルシリケートを添加することを特徴とする1)〜3)のいずれかに記載の製造方法。
5). 1)〜4)のいずれかに記載の製造法により得られた多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケート
6). 5)に記載の多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートとシリル化試薬を反応して得られることを特徴とする多面体骨格を有するポリシロキサン化合物。
7). 6)記載の多面体骨格を有するポリシロキサン化合物から製造された多面体構造ポリシロキサンを含むことを特徴とするポリシロキサン系組成物。
本発明にかかる方法によれば、簡便な操作により高品質の多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートを製造することができるので、高純度の多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を製造することができる。その結果、得られる成形体の耐光性等の諸特性が向上する。
本発明は、多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートの製造法、及びそれから得られる多面体骨格を有するポリシロキサン化合物の製造法と該化合物に係る発明である。以下本発明を詳述する。
本発明におけるアルキルシリケートとしては、以下の構造式で表される。
Figure 2012007042
Rはアルキル基、または水素原子であれば特に制限はない。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。アルキルシリケートの反応性の観点から、好ましくはメチル基、エチル基であり、さらに好ましくはエチル基である。
アルキルシリケート中のRは、互いに異なってもよいが、同じであることが好ましい。
nは平均して1以上の整数であれば、特に制限はないが、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10である。nが大きすぎると、水酸化4級アンモニウムとの反応性が低下する為である。
本発明における、水酸化4級アンモニウムとしては、特に制限はなく、広く公知のものを使用できるが、使用する水素化4級アンモニウムの種類によって、得られる多面体骨格を有するオリゴシリケートの構造に影響を与える為、所望の構造に応じて選択し、使用することが好ましい。
本発明における、水酸化4級アンモニウムとしては、
(4−a) N・OH
で表されるものを好適に用いることができる。ここでR、Rはそれぞれ置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、水素原子から選ばれ、各々は、同一であっても異なっていても良い。aは0〜4の整数である。
aが0の場合は、Rは炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
aが0以外の場合は、Rは炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、さらには炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。Rは水素あるいは活性水素含有置換基を有する炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、さらには炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。活性水素含有置換基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基が好ましい。特に水酸基が好ましい。aは0以外であることが好ましく、1の場合が最も好ましい。
具体的には、水酸化4級アンモニウムとして、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムが例示できる。また水酸化トリアルキル(ヒドロキシアルキル)アンモニウムとして、水酸化トリメチル(2−ヒドロキシメチル)アンモニウム、水酸化トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、水酸化トリエチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム等が例示できる。特に反応性の観点から水酸化トリアルキル(ヒドロキシアルキル)アンモニウムが好ましく、中でも水酸化トリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムが好ましい。
本発明に使用される溶媒としては、一般的に使用される溶媒であれば特に制限はない。具体的にはアルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、含窒素系溶媒、非プロトン性極性溶媒、水を挙げることが出来る。
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、メトキシアルコール等を挙げることができる。
炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等を挙げることができる。
エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルtert−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル等を挙げることができる。
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等を挙げることができる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等を挙げることができる。
ハロゲン系溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン等を挙げることができる。
含窒素系溶媒としては、アセトニトリル、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチル燐酸トリアミド等を挙げることができる。
その他、水等も用いることができる。これらは単独で用いても良く、2種類以上を併用してもよい。
しかし本反応において、一般的に水酸化4級アンモニウムは水溶液として取り扱われる。一方アルキルシリケートは、水に溶解しないので、本反応は2層系の反応となる。このように2層系の反応である為、本反応は反応が開始しにくい。しかし反応が開始すると一気に反応が進行し、急激な発熱が発生し反応をコントロールすることが困難となる。このように反応のコントロールが不能となるため、本反応の収率は安定せず、生成物の品質は低下する。そこで溶媒として、両親媒性の溶媒を添加すれば、この2層分離を緩和して安定的に反応することが可能となり、生成物の品質が向上するので好ましい。
両親媒性の溶媒として、好ましくは、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、含窒素系溶媒、ケトン系溶媒である。より好ましくは、アルコール系溶媒であり、中でもメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールが好ましく、特に好ましくはエタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールである。溶剤コストや後処理の簡便さ等の総合的観点からエタノールが最も好ましい。
本発明における、溶媒使用量には特に制限はないが、使用量が多いと反応速度が低下し、またコスト面において不利となるので、好ましくはアルキルシリケートに対して5倍重量以下である。より好ましくは2倍重量以下、特に好ましくは、1倍重量以下である。両親媒性の溶媒使用量は、アルキルシリケートに対して1倍重量以下と少量でも十分に効果を発揮する。
しかしメタノールを使用する場合のみは、出来る限り使用量を削減することが好ましい。メタノールの添加は、反応の進行を阻害し反応速度と収率の低下を招く為である。意外なことに、エタノールを初めとする他のアルコール系溶媒では、このような反応の阻害は起こらない。
本発明において、アルキルシリケートと水酸化4級アンモニウムの反応比率は、アルキルシリケートに含まれるケイ素原子と水酸化4級アンモニウムのモル比が、0.5〜2.0であることが好ましく、さらに好ましくは、0.8〜1.5となるように反応させることが好ましい。モル比が小さいと、アルキルシリケートと水素化4級アンモニウムの反応が不十分となり、モル比が、大きいと水酸化4級アンモニウム由来の不純物が多く残留する。
本反応の実施方法には、特に制限はなく、アルキルシリケートと水素化4級アンモニウムを溶媒中で混合すればよい。しかし反応のコントロールの観点から、水素化4級アンモニウムと溶媒の混合物にアルキルシリケートを添加することが好ましい。添加方法としては、逐次添加、間欠添加、連続添加等、特に制限はない。好ましくは連続添加であり、内温の上昇や反応の進行を観測しながら、添加時間を調整して添加することが安全性の面から好ましい。
本反応の反応温度には特に制限はないが、低温では反応の進行が遅く、アルキルシリケート添加後、一気に反応が進行して急発熱する恐れがあるので、速やかに反応が進行する温度で反応することが重要である。また高温では反応収率が大幅に低下する。よって、0℃〜80℃で反応は可能であるが、好ましくは20℃〜80℃、より好ましくは30℃〜70℃であり、特に好ましくは30℃〜60℃である。
このように反応温度と添加操作により、反応の進行を厳密にコントロールすることにより、従来の方法に比較して、収率を安定化することが可能となり、生成物の品質を大幅に向上できる。
アルキルシリケート添加終了時において、ほぼ反応は終了しているが、必要に応じて後反応を行ってもよい。後反応としては、アルキルシリケート添加時の温度、または加熱条件下で攪拌すれば、反応は完結する。
本反応により合成された多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートは、反応溶液をそのまま次工程に使用してもよい。しかし反応溶液から結晶として単離することも可能である。
反応液を次工程に使用する場合、そのまま次工程に使用することも可能であるが、必要に応じて、多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートを溶解させる溶媒を添加してもよい。
結晶として取得する場合は、一般的な晶析方法を用いればよい。晶析方法としては、冷却晶析、濃縮晶析等の晶析方法、又はこれらの晶析法を組み合わせて用いることができる。結晶化に際して、種晶を添加してもよい。
例えば、反応液を濃縮し、必要に応じて冷却することにより、多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートを結晶として取得できる。または反応液に、貧溶媒を添加し、必要に応じて冷却してもよい。または反応液を濃縮し、貧溶媒を添加し、必要に応じて冷却してもよい。反応液に貧溶媒を添加し、必要に応じて冷却する方法が好ましい。
使用する貧溶媒としては、多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートの結晶が溶解しない溶媒から適宜選択して用いればよいが、具体的にはアルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、含窒素系溶媒、非プロトン性極性溶媒、水を挙げることが出来る。
これらは単独で用いても良く、2種類以上を併用してもよい。
本発明の精製、単離の際、温度は適宜選択できる。操作上からは室温付近で実施するのが好ましく、必要に応じて加温、冷却してもかまわない。具体的には60℃以下、50℃〜−20℃、0〜30℃が好ましい温度として例示することが出来る。このようにして得られる多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートは、固液分離、又は必要に応じて、更に、ケーキ洗浄し、乾燥することができる。
固液分離の方法としては特に限定されず、例えば加圧濾過、減圧濾過、遠心分離等の方法が挙げられる。乾燥の方法としては特に限定されず、例えば80℃以下で減圧乾燥すればよい。
本反応により合成した多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートは高品質である為、様々な反応に使用可能でありその用途に制限はない。シリル化反応に使用する場合を例としてあげる。
シリル化反応の方法としては、例えばシリル化剤を添加した有機溶媒中に、多面体構造を有するアンモニウムオリゴシリケートの溶液を添加すればよい。
シリル化剤としては、特に制限はないが、例えば、塩化トリメチルシラン、塩化トリエチルシラン、塩化tert−ブチルジメチルシラン、塩化tert−ブチルジフェニルシラン、塩化ジメチルビニルシラン、塩化トリイソプロピルシラン、塩化ジメチルシラン、塩化ジメチルアリルシラン、ジクロロシラン等のクロロシラン類;ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、ペンタメチル−1−ビニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のジシロキサン類を挙げることができる。これらは単独で用いても良く、2種類以上を併用してもよい。好ましくは、塩化トリメチルシラン、塩化ジメチルビニルシラン、塩化ジメチルシランである。
また、多面体骨格を形成するSi原子上に、少なくとも1つの、直接または間接的に結合したアルケニル基を、より好ましくは2つ以上含有することが望ましいので、使用するシリル化剤にもアルケニル基あるいはビニル基を有するものを用いることが好ましい。また、アルケニル基あるいはビニル基を有するシリル化剤と他のシリル化剤と併用してもよい。
上記シリル化剤の使用量は、多面体構造を有するアンモニウムオリゴシリケートに含まれる水酸基の数に対して通常2〜10当量と過剰に必要である。これ以下の当量で反応すると反応収率が低下する為である。
シリル化反応終了後、水層を除去することにより、粗生成物として多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を取得できる。この水層の除去操作は必ずしも必要ではないが、水層中には四級アンモニウム塩等が含まれているので除去することが好ましい。水層を含んだ反応液に抽出溶媒を添加して抽出してもよい。抽出溶媒としては、水を含んだ反応液から目的物を抽出でき、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物と反応性を有さないものであれば特に限定はないが、具体的には、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、酢酸エチル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル等を挙げられる。
反応液、または抽出液を濃縮することにより、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を取得できる。得られた多面体骨格を有するポリシロキサン化合物の結晶はメタノール等の溶媒で洗浄してもよいし、晶析操作を行ってもよい。必要に応じて乾燥機を用いて乾燥してもよい。
本発明で得られる、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物は、使用する多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートとシリル化試薬の種類により決まる。
多面体骨格を有するポリシロキサン化合物としては、多面体骨格に含有されるSi原子の数は6〜24であることが好ましい。さらに好ましくは、Si原子の数は6〜12である。また、Si原子数の異なる多面体骨格を有するポリシロキサン化合物の混合物であってもよい。
また多面体骨格を形成するSi原子上に、少なくとも1つの、直接または間接的に結合したアルケニル基を有することが好ましい。より好ましくは2つ以上含有することが望ましい。
具体的に、例えば、以下の構造で示される多面体構造を有するシルセスキオキサンが例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。
Figure 2012007042
上記、構造中、R〜R24は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一又は異種の有機基である。ただし、これらR〜R24のうち、少なくとも1つはアルケニル基であることが好ましい。前記アルケニル基においては、ビニル基が特に好ましい。
本発明により、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を簡便、かつ効率的に合成することができ、反応収率は70%以上、好ましくは80%以上が期待できる。
本発明により製造される多面体骨格を有するポリシロキサン化合物は、高品質の多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートから合成されることから、不純物含量が極めて少なく高純度である為、その用途に制限はなく、さまざまな化合物の原料、または樹脂材料として利用することができる。さらに従来の純度の低いポリシロキサン化合物では、発揮できなかった有用な特性を樹脂に付与できる。
例えば、下記に示す(A)〜(C)の成分からなる熱硬化性ポリシロキサン組成物を一例として挙げることができる。このポリシロキサン組成物において、高純度の多面体骨格を有するポリシロキサン化合物を原料として使用すれば、高い耐青紫色レーザー性を有する成形体を得ることが出来る。多面体骨格を有するポリシロキサン化合物において多面体骨格を形成するSi原子上に直接、または間接的にアルケニル基が結合したポリシロキサン化合物を多面体骨格を有するポリシロキサン化合物(a)と示す。
<(A)多面体構造ポリシロキサン>
(A)成分は、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物(a)に対して、ヒドロシリル基を有する化合物(b)をヒドロシル化により変性させることで得ることが出来る。以下、ヒドロシリル基を有する化合物(b)について説明する。
<ヒドロシリル基を有する化合物(b)>
ヒドロシリル基を有する化合物は、ヒドロシリル基を有する化合物であれば特に問題ないが、得られる変性ポリシロキサンの透明性、耐熱性、耐光性の観点から、ヒドロシリル基を有するシロキサン化合物であることが好ましく、さらに好ましくは、ヒドロシリル基を有する環状または直鎖構造のシロキサン化合物である。これらヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロシリル基を有する直鎖状のポリシロキサンの具体例としては、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリもしくはオリゴシロキサン、側鎖にヒドロシリル基を有するポリもしくはオリゴシロキサン、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどが例示される。
ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子、ビニル基およびメチル基から構成されることが好ましい。
以下、(A)成分の製法について述べる。
多面体構造ポリシロキサン(A)は、ヒドロシリル化触媒の存在下、前記アルケニル基が結合した多面体骨格を有するポリシロキサン化合物(a)とヒドロシリル基を有する化合物(b)とのヒドロシリル化反応により合成することができる。この際、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物(a)のアルケニル基は、すべて反応する必要はなく、一部残存していてもよい。
ヒドロシリル基を有する化合物の添加量は、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物(a)のアルケニル基の個数1個あたり、Si原子に直結した水素原子の数が2.5〜20個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が生じてハンドリング性の劣るポリシロキサンとなり、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、多面体構造ポリシロキサン(A)の合成時には、過剰量のヒドロシリル基を有する化合物(b)を存在させるため、例えば減圧・加熱条件下にて、未反応のヒドロシリル基を有する化合物(b)を取り除くことが好ましい。
多面体構造ポリシロキサン(A)の合成時に用いる前記ヒドロシリル化触媒としては、後述の(C)成分を用いることができる。ヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、多面体構造ポリシロキサン(A)のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多すぎると、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、得られる硬化物の耐光性の低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少なすぎると、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、好ましくは、40〜250℃、さらに好ましくは、45℃〜140℃である。
このようにして得られた多面体構造ポリシロキサン(A)は、温度20℃において液状とすることが可能であり、ハンドリング性に優れ、各種化合物との相溶性を確保できる。また、分子内に、ヒドロシリル基が導入されていることから、後述の(B)アルケニルを有する化合物と反応させることにより、硬化物を得ることができる。
<(B)アルケニル基を有する化合物>
(B)成分はアルケニル基を有する化合物であり、1分子中に少なくともアルケニル基を2個含有するポリシロキサンが好ましく、アルケニル基を有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサン、アルケニル基を含有する環状シロキサンなどが例示される。本発明において、アルケニル基を有する化合物は、得られる硬化物の強度の観点から、分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサンであることが好ましく、両末端にアルケニル基を有する直鎖状のポリシロキサンであることがさらに好ましい。これらアルケニル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、などが例示される。
分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルアルケニル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルアルケニルシロキサン単位とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を含有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子、ビニル基およびメチル基から構成されることが好ましい。
硬化剤の添加量は種々設定できるが、アルケニル基1個あたり、(A)成分におけるSi原子に直結した水素原子が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜2個となる割合であることが望ましい。
アルケニル基の割合が少なすぎると、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
<(C)ヒドロシリル化触媒>
(C)成分であるヒドロシリル化触媒については、特に制限はなく、任意のものが使用できる。具体的に例示すれば、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カ−ボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4m};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34}(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
(C)成分の触媒量としては特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10-1〜10-8molの範囲で用いるのがよい。好ましくは10-2〜10-6molの範囲で用いるのがよい。また、ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性であり、また、水素ガスを大量に発生して硬化物が発泡してしまう場合があるので10-1mol以上用いない方がよい。
<ポリシロキサン系組成物>
ポリシロキサン系組成物は、(A)多面体構造ポリシロキサン、(B)アルケニル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、から構成される。本発明のポリシロキサン系組成物は、透明な液状性樹脂組成物となす事が可能である。液状組成物と成すことにより、基材に塗布し、加熱して硬化させることで基材との接着性に優れる透明の膜を得ることができ、例えば、各種接着剤、コーティング剤、封止剤として好適に用いることが可能である。
また、本発明のポリシロキサン系組成物は成形体に流し込み、加熱することにより、硬化物として得ることもできる。
このようにして得られたポリシロキサン系組成物の硬化温度は、好ましくは、50〜400℃、さらに好ましくは60〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物の外観不良を引き起こすリスクがあり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的に、例えば、70℃、120℃、150℃と段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることが可能となる。
本発明のポリシロキサン系組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもかまわない。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示されうる。
有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示されうる。
有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示されうる。
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示されうる。
有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10−1〜10モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜100モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
本発明のポリシロキサン系組成物には、上記必須成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ増量剤として粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンなどの充填剤を添加してもよい。
本発明のポリシロキサン系組成物には、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。
この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。
本発明のポリシロキサン系組成物を難燃性、耐火性にするためには二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどの公知の添加剤を添加してもよい。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明に用いるポリシロキサン系組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりすることにより得ることができる。
本発明のポリシロキサン系組成物は、成形体として使用することができる。成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。
本発明によるポリシロキサン系組成物から得られる成形体は、耐熱性に優れ、広い波長領域および温度領域において、高い透明性を発現する。また、低誘電特性や低屈折率材料としても好適である。
本発明のポリシロキサン系組成物は、光学材料用組成物として用いることができる。ここで言う光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
より具体的には、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルムなどの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料が例示される。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またLED表示装置に使用されるLED素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤が例示される。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品が例示される。また、鉄道車輌用の複層ガラスが例示される。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートが例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
以下に本発明の実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定するものではない。
(耐青紫色レーザー性試験)
レーザーダイオード(Oxxius社製、製品名:Oxxius Violet 405nm)を用いて、405nm±10nm、80mW/mmの青紫色レーザー光を60℃の環境下、150時間照射した。
レーザー照射後のサンプルについて、レーザー照射箇所の外観変化の有無を目視にて確認し、全く変化が見られないものを○、表面に凹凸やスジがはっきりと生じているものを×、と評価した。
(実施例1)
48重量%トリメチル−2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(以下コリン水溶液と記す) 37.1g(0.14mol)に、エタノール17gを加えた溶液に、バス温40℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール22mLを加え均一溶液とした。塩化トリメチルシラン17.8g(0.16mol)、塩化ジメチルビニルシラン15.1g(0.13mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、白色結晶として多面体骨格を有するポリシロキサン化合物16.8g(反応収率80%)を得た。
(実施例2)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、エタノール17gを加えた溶液に、バス温60℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール22mLを加え均一溶液とした。塩化トリメチルシラン17.8g(0.16mol)、塩化ジメチルビニルシラン15.1g(0.13mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物16.6g(反応収率79%)を得た。
(実施例3)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、エタノール8gを加えた溶液に、バス温40℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。バス温60℃で1時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール22mLを加え均一溶液とした。塩化トリメチルシラン17.8g(0.16mol)、塩化ジメチルビニルシラン15.1g(0.13mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物16.8g(反応収率80%)を得た。
(実施例4)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、メタノール5mlを加えた溶液に、バス温40℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール17mLを加え均一溶液とした。塩化トリメチルシラン17.8g(0.16mol)、塩化ジメチルビニルシラン15.1g(0.13mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物16.6g(反応収率79%)を得た。
(実施例5)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、イソプロパノール10mlを加えた溶液に、バス温40℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール22mLを加え均一溶液とした。塩化トリメチルシラン17.8g(0.16mol)、塩化ジメチルビニルシラン15.1g(0.13mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物16.6g(反応収率79%)を得た。
(実施例6)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、THF10mlを加えた溶液に、バス温40℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール32mLを加え均一溶液とした。塩化トリメチルシラン17.8g(0.16mol)、塩化ジメチルビニルシラン15.1g(0.13mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物16.0g(反応収率76%)を得た。
(実施例7)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、エタノール17gを加えた溶液に、バス温40℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール22mLを加え均一溶液とした。塩化トリメチルシラン30.4g(0.28mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物15.5g(反応収率78%)を得た。
(実施例8)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、エタノール17gを加えた溶液に、バス温40℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール22mLを加え均一溶液とした。塩化ジメチルビニルシラン33.8g(0.28mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物16.8g(反応収率78%)を得た。
(実施例9)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、エタノール17gを加えた溶液に、バス温40℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール22mLを加え均一溶液とした。塩化ジメチルシラン26.5g(0.28mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をアセトニトリルで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、多面体骨格を有するポリシロキサン化合物14.3g(反応収率78%)を得た。
(実施例10)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、エタノール17gを加えた溶液に、バス温40℃で、エチルシリケート40(多摩化学製)22.2g(0.15mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール22mLを加え均一溶液とした。塩化トリメチルシラン17.8g(0.16mol)、塩化ジメチルビニルシラン15.1g(0.13mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、白色結晶として多面体骨格を有するポリシロキサン化合物16.8g(反応収率80%)を得た。
(実施例11)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に、エタノール17gを加えた溶液に、バス温40℃で、テトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を1時間かけ滴下した。室温で6時間攪拌した。反応液を氷冷して析出した結晶を、吸引濾過により取得し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、多面体構造オリゴシリケート20.4g(反応収率80%)を得た。
(比較例1)
48重量%コリン水溶液 37.1g(0.14mol)に室温でテトラエトキシシラン30.0g(0.14mol)を加え、室温で2時間激しく攪拌した。反応系内が一気に発熱し、均一溶液になった後、反応溶液が固化して、攪拌が困難となった。そのまま室温で12時間放冷させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール22mLを加え均一溶液とした。塩化トリメチルシラン17.8g(0.16mol)、塩化ジメチルビニルシラン15.1g(0.13mol)、ヘキサン38mlの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下し、室温で1時間攪拌した。反応液をヘキサンで抽出し、減圧下で溶媒を留去して、得られた白色固体をメタノールで洗浄し、真空ポンプを用い60℃で2時間乾燥し、白色結晶として多面体骨格を有するポリシロキサン化合物17g(収率80%)を取得した。
(実施例12)
実施例1で得られた多面体骨格を有するポリシロキサン化合物10g、白金ビニルシロキサン錯体(3%白金、キシレン溶液)2.44μL、メチルシクロヘキサン15mLの混合溶液を、1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン39.23gとメチルシクロヘキサン39mLの混合溶液に滴下し、95℃で2時間加温したのち、室温まで冷却した。得られた反応溶液から、メチルシクロヘキサンと未反応の1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを留去することにより、多面体構造ポリシロキサン21.5gを得た。
この多面体構造ポリシロキサン1.0gに、ビニル基を末端に含有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(MVD8MV、クラリアント製)1.65g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.07gを加え、ポリシロキサン系組成物を調整した。得られたポリシロキサン系組成物を型枠に流し込み、60℃で3時間、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で1時間、180℃で1時間加熱して硬化させ、3mm厚の評価用成形体を得た。このようにして得られた成形体の耐青紫色レーザー性試験を行った結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1で得られた多面体骨格を有するポリシロキサン化合物10gを用いた他は実施例12と同様にしてポリシロキサン系組成物を得、耐青紫色レーザー性試験を行った結果を表1に示す。
Figure 2012007042

Claims (7)

  1. 以下の構造式
    Figure 2012007042

    (Rはアルキル基、又は水素原子;nは平均して1以上の整数)
    で表されるアルキルシリケートと水酸化4級アンモニウムを溶媒中で、反応させることを特徴とする多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートの製造法。
  2. 溶媒として、両親媒性溶媒を使用することを特徴とする請求項1に記載の製造法。
  3. 溶媒として、アルコール系溶媒を使用することを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 加熱条件下で、アルキルシリケートを添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造法により得られた多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケート
  6. 請求項5に記載の多面体骨格を有するアンモニウムオリゴシリケートとシリル化試薬を反応して得られることを特徴とする多面体骨格を有するポリシロキサン化合物。
  7. 請求項6記載の多面体骨格を有するポリシロキサン化合物から製造された多面体構造ポリシロキサンを含むことを特徴とするポリシロキサン系組成物。



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