JP2012006417A - 操舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】EPS部5によるハンドル8の操舵を補助するアシスト制御が停止しているか否かを判断し(S301)、EPS部5によるハンドル8の操舵を補助するアシスト制御が停止していると判断された場合(S301:YES)、出力軸20の回転角度が入力軸の回転角度より小さくなる値に増速比を決定し(S303)、決定された増速比に基づき、VGRSモータ52の駆動を制御する。これにより、比較的小さいトルクでハンドル8の操舵を継続することができるので、操舵輪の操舵が適切に制御され、ハンドル8がロックされたと乗員に誤解される可能性を低減することができる。
【選択図】 図15
Description
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パワーステアリング部による操舵部材の操舵の補助が停止した場合、操舵比可変部における制御を変更することにより、操舵輪の操舵を適切に制御する操舵制御装置を提供することにある。
増速比決定手段は、停止判断手段によりパワーステアリング部による操舵の補助が停止していると判断された場合、出力軸の回転角度が入力軸の回転角度より小さくなる値に増速比を決定する。
これにより、車両の走行速度が小さいほど出力軸の回転角度が小さくなるように操舵比可変部の第1のモータの駆動の制御に係る増速比を変更するので、操舵輪の操舵をより適切に制御することができる。また、操舵部材の操舵に要するトルクが大きい低速走行時において、操舵部材がロックされたと乗員に誤解される可能性を低減することができる。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による操舵制御装置を図1〜図17に基づいて説明する。
まず、操舵システム100の概略構成を図1に基づいて説明する。図1に示すように、操舵システム100は、操舵制御装置1、コラム軸2、ラックアンドピニオン機構6、操舵輪7、操舵部材としてのハンドル8等を備えている。本実施形態では、コラム軸2およびラックアンドピニオン機構6が「トルク伝達経路」を構成している。
円形歯車であるステアリングピニオン60は、コラム軸2のハンドル8と反対側の端部に設けられ、出力軸20およびシャフト24と共に正逆回転する。ステアリングラックバー61は、車両の左右方向に移動可能に設けられる。ステアリングラックバー61に設けられるラック歯がステアリングピニオン60と噛み合うことにより、ステアリングピニオン60の回転運動がステアリングラックバー61の車両左右方向の直線運動に変換される。すなわち、ラックアンドピニオン機構6は、コラム軸2の回転運動を直線運動に変換している。
本実施形態では、入力軸10と出力軸20との間に設けられるディファレンシャルギアの作用により出力軸20は入力軸10の回転方向と反対方向に回転するので、ハンドル8が左方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が右回りに回転し、ステアリングラックバー61は右方向に移動し、車両が左方向へ進行するように操舵輪7の舵角が変更される。
また、ハンドル8が右方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が左回りに回転し、ステアリングラックバー61は左方向に移動し、車両が右方向へ進行するように操舵輪7の舵角が変更される。
操舵制御装置1は、ハウジング12、入力軸10、出力軸20、VGRS部3、EPS部5等を備える。
ハウジング12は、ハウジング本体121およびフレームエンド122と有する。ハウジング本体121とフレームエンド122とは、ねじ123により固定されている。ハウジング12には、歯車機構30が収容されるとともに、入力軸10および出力軸20が挿通される。ハウジング本体121の反フレームエンド122側には、第1軸受部13が設けられる。また、フレームエンド122には、第2軸受部14が設けられる。
出力軸20に操舵トルクが入力されていない場合、トーションバー70における捩れ変位が生じていない。このとき、磁気ヨーク72、73の爪の中心と多極磁石71のN極およびS極の境界線とが一致している。ここで、磁気ヨーク72、73の爪には、多極磁石71のN極およびS極から同数の磁力線が出入りするので、一方の磁気ヨーク72の内部の磁力線と、他方の磁気ヨーク73の内部の磁力線とが、それぞれ閉じた状態となる。したがって、集磁リング75、76の間に形成されるエアギャップに磁束が漏れることがなく、トルクセンサ94の検出する磁束密度は0となる。
歯車機構30は、入力ギア11、出力ギア23、ピニオンギア41、ウォームホイール50、およびウォーム51から構成される。なお、入力ギア11、出力ギア23、およびピニオンギア41が「ディファレンシャルギア」に対応し、ウォームホイール50およびウォーム51が「ウォームギア」に対応している。
入力ギア11の径方向内側には、第1出力軸21の入力軸10側の端部が挿入される。入力ギア11と第1出力軸21との間には、ニードル軸受113が設けられる。これにより、第1出力軸21は、入力ギア11に回転可能に支持されている。
ここで、入力ギア11、出力ギア23、およびピニオンギア41の関係性について述べておく。ピニオンギア41の歯数は偶数である。一方、入力ギア11および出力ギア23は、歯数が同一であって、その歯数は奇数である。これにより、入力ギア11とピニオンギア41との歯当たりの位置が回転に伴って入れ替わる。同様に、出力ギア23とピニオンギア41との歯当たりの位置が回転に伴って入れ替わる。したがって、特定の歯の摩耗が進行することがなく、偏摩耗によって耐久寿命を損なうことがない。なお、入力ギア11、出力ギア23、およびピニオンギア41は、その歯が曲がり歯となっており、入力ギア11とピニオンギア41との噛み合い率、および、出力ギア23とピニオンギア41との噛み合い率を高くしている。
また、入力ギア11および出力ギア23が金属で形成される場合、ピニオンギア41は樹脂で形成される。入力ギア11および出力ギア23が樹脂で形成される場合、ピニオンギア41は金属で形成される。
ウォームホイール50およびウォーム51のリード角は、進み角が摩擦角よりも小さく設定されている。これにより、ウォームホイール50とウォーム51とをセルフロック可能にしている。すなわち、ウォームホイール50とウォーム51のリード角は、セルフロック可能な角度に設定されている。
EPSウォームホイール80の径方向外側には、EPSウォーム81が噛み合っている。EPSウォーム81は、ハウジング12に設けられた第6軸受18および第7軸受19により回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、EPSウォームホイールの歯筋が回転軸と平行に形成されている。また、EPSウォームホイール80の歯底が円弧面ではなく、平面で形成されている。これにより、加工公差よりEPSウォームホイール80の設置位置が第2出力軸22の軸方向にずれたとしても、EPSウォームホイール80とEPSウォーム81との歯当たりの状態を、正回転時と逆回転時とで同様に保つことができる。
VGRS制御部56におけるVGRSモータ52に駆動制御に係る制御演算処理のメインフローを図6に示す。
S110では、VGRSモータ回転角指令値演算処理を行う。
S120では、VGRSモータ回転角制御演算処理を行う。
S130では、VGRSモータPWM指令値演算処理を行う。
S140では、S130で算出されたPWM指令値に基づき、VGRSインバータ57を構成するスイッチング素子のオン/オフを切り替えることにより、VGRSモータ52の駆動を制御する。
S111では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込み、車両の走行速度である車速を取得する。また、ハンドル角センサ92により検出されるハンドル角センサ値を読み込み、ハンドル8の操舵角であるハンドル角θhを取得する。なお本実施形態では、ハンドル8が右方向に操舵された場合のハンドル角を正とし、ハンドル8が左方向に操舵された場合のハンドル角を負とする。
S113では、VGRSモータ回転角指令値θcを算出し、本処理を終了する。S111にて取得されたハンドル角をθh、S112にて算出された増速比をz、ウォームギアの減速比をiとすると、VGRSモータ回転角指令値θcは、以下の式(1)により算出される。
θc=θh×(z−1)×i×0.5 …(1)
S121では、図7中のS113で算出されたVGRSモータ回転角指令値θcを取得する。また、VGRSモータ回転角センサ93により検出されるVGRSモータ回転角センサ値を読み込み、VGRSモータ回転角θmを取得する。
S122では、角度差分値θdを算出する。角度差分値θdは、以下の式(2)により算出される。
θd=θc−θm …(2)
S131では、図8中のS123で算出されたVGRSモータ電圧指令値Vvcを取得する。
S132では、VGRSモータPWM指令値Pvを算出する。バッテリ電圧をVbとすると、Pvは、以下の式(4)により算出される。
Pv=Vvc/Vb×100 …(4)
EPS制御部86におけるEPSモータ82の駆動制御に係る制御演算処理のメインフローを図10に示す。
最初のS200では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込み、車両の走行速度である車速を取得する。また、トルクセンサ94のセンサ値を読み込み、乗員によりハンドル8が操舵されることにより生じる操舵トルクを取得する。さらにまた、EPSモータ電流センサ95により検出される電流センサ値を読み込み、EPSモータ82に通電されるモータ電流を取得する。
S220では、EPSモータ電流制御演算を行う。
S230では、EPSモータPWM指令値演算処理を行う。
S240では、S230で算出されたPWM指令値に基づき、EPSインバータ87を構成するスイッチング素子のオン/オフを切り替えることにより、EPSモータ82の駆動を制御する。
S211では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込み、車両の走行速度である車速を取得する。また、トルクセンサ94のセンサ値を読み込み、乗員によりハンドル8が操舵されることにより生じる操舵トルクを取得する。
S221では、図11中のS212で算出されたEPSモータ電流指令値Icを取得する。また、EPSモータ電流センサ95により検出される電流センサ値を読み込み、EPSモータ82に通電されるEPSモータ電流値Imを取得する。
S222では、電流差分値Idを算出する。電流差分値Idは、以下の式(5)により算出される。
Id=Ic−Im …(5)
S231では、図12中のS223で算出されたEPSモータ電圧指令値Vecを取得する。
S232では、EPSモータPWM指令値Peを算出する。バッテリ電圧をVbとすると、Peは、以下の式(7)により算出される。
Pe=Vec/Vb×100 …(7)
そして、本処理にて決定された増速比に基づき、VGRSモータ52の駆動を制御する。具体的には、決定された増速比である通常時増速比zcまたは停止時増速比zsを増速比zとし、図7中のS113以降の処理を実行する。
図17中においては、EPS部5によるハンドル8の操舵を補助するアシスト制御が行われている場合におけるハンドルトルクとハンドル角度との関係を実線S1で示し、EPS部5によるハンドル8の操舵を補助するアシスト制御が停止した場合において、増速比を停止時増速比zsとしたときのハンドルトルクとハンドル角度との関係を実線S2で示した。また、参考例として、EPS部5によるハンドル8の操舵を補助するアシスト制御が停止した場合において、増速比を通常時増速比zcとしたときのハンドルトルクとハンドル角度との関係を実線S3で示した。
なお、操舵輪7の舵角が大きくなると、ハンドル8の操舵に要するハンドルトルクが大きくなるものとする。すなわち、増速比が一定のとき、ハンドル角度が大きくなるほど操舵輪7の舵角が大きくなるので、ハンドルトルクが大きい。また、ハンドル8をある角度θまで回転するとき、増速比が小さいほど操舵輪7の舵角が小さくなるので、ハンドル8の操舵に要するトルクが小さい。
参考例において、EPS部5によるハンドル8の操舵を補助するアシスト制御が停止した場合であって、増速比を車速に基づいて1より大きい値である通常時増速比zcに決定した場合、実線S3で示すように、EPS部5によるハンドル8の操舵を補助するアシスト制御が行われている場合に要するトルクT1と比較してハンドル8をθ1まで操舵するのに大きなトルクT3を要する。すなわち、EPS部5によるハンドル8の操舵を補助するアシスト制御が行われている場合よりもハンドル8を操舵するのに大きなトルクを要するので、ハンドル8がロックされたとユーザに誤解される虞がある。
(1)入力軸10は、乗員により操舵されるハンドル8に連結される。出力軸20は、入力軸10と相対回転可能に設けられ、ハンドル8に加えられたトルクを操舵輪7側へ伝達するトルク伝達経路をなしている。VGRS部3は、入力軸10の回転を出力軸20へ伝達する歯車機構30、および歯車機構30を駆動するVGRSモータ52を有し、入力軸10の回転角度と出力軸20の回転角度との比を可変にする。EPS部5は、EPSモータ82を有し、EPSモータ82を駆動することにより生じるトルクにより乗員によるハンドル8の操舵を補助する。
上記実施形態では、EPS部によるハンドルの操舵をアシストするアシスト制御が停止しているとき、出力軸の回転角度が入力軸の回転角度よりも小さくなるように、増速比を1より小さい所定値とした。ところで、ハンドルの操舵に要するトルクは、車速が小さいほど大きい。そこで、他の実施形態では、EPS部によるハンドルの操舵をアシストするアシスト制御が停止しているとき、出力軸の回転角度が入力軸の回転角度よりも小さくなる範囲において、車速に応じて増速比を可変としてもよい。すなわち、パワーステアリング部により操舵のアシストが停止していると判断された場合、車速が小さいほど入力軸の回転角度に対する出力軸の回転角度が小さくなる値に増速比を決定してもよい。
上記実施形態では、VGRS部は、VGRSモータの回転角に基づいてVGRSモータ電圧指令値を算出して制御されていたが、VGRSモータの回転角に替えて、ピニオン角センサにより検出されるピニオン角に基づいて制御してもよい。
図18に示す操舵システム200のように、ラックアンドピニオン機構6は、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lよりも車両前方側に設けてもよい。図18に示す例において、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングピニオン60との間の距離Aは、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングラックバー61との距離Bよりも長くなっている。
また、ハンドル8が右方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が左回りに回転し、ステアリングラックバー61は右方向に移動し、車両が右方向に進行するように操舵輪7の舵角が変更される。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
2・・・コラム軸
3・・・操舵比可変部
5・・・電動パワーステアリング部(パワーステアリング部)
6・・・ラックアンドピニオン機構
7・・・操舵輪
8・・・ハンドル(操舵部材)
10・・・入力軸
11・・・入力ギア
20・・・出力軸
23・・・出力ギア
30・・・歯車機構
41・・・ピニオンギア
52・・・VGRSモータ(第1のモータ)
55・・・VGRS ECU
56・・・VGRS制御部(増速比決定手段、駆動制御手段、停止判断手段、車速取得手段)
57・・・VGRSインバータ
82・・・EPSモータ(第2のモータ)
85・・・EPS ECU
86・・・EPS制御部
87・・・EPSインバータ
100・・・操舵システム
Claims (4)
- 乗員により操舵される操舵部材に連結可能な入力軸と、
前記入力軸と相対回転可能に設けられ、前記操舵部材に加えられたトルクを操舵輪側へ伝達するトルク伝達経路をなす出力軸と、
前記入力軸の回転を前記出力軸へ伝達する歯車機構および前記歯車機構を駆動する第1のモータを有し、前記入力軸の回転角度と前記出力軸の回転角度との比を可変にする操舵比可変部と、
第2のモータを有し、前記第2のモータを駆動することで生じるトルクにより乗員による前記操舵部材の操舵を補助するパワーステアリング部と、
前記入力軸の回転角度と前記出力軸の回転角度との比である増速比を決定する増速比決定手段と、
前記増速比決定手段により決定された前記増速比に基づき、前記第1のモータの駆動を制御する駆動制御手段と、
前記パワーステアリング部による操舵の補助が停止しているか否かを判断する停止判断手段と、
を備え、
前記増速比決定手段は、
前記停止判断手段により前記パワーステアリング部による操舵の補助が停止していると判断された場合、前記出力軸の回転角度が前記入力軸の回転角度より小さくなる値に前記増速比を決定することを特徴とする操舵制御装置。 - 車両の走行速度である車速を取得する車速取得手段をさらに備え、
前記増速比決定手段は、
前記停止判断手段により前記パワーステアリング部による操舵の補助が停止していると判断された場合、前記車速取得手段により取得された前記車速が小さいほど前記入力軸の回転角度に対する前記出力軸の回転角度が小さくなる値に前記増速比を決定することを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。 - 前記トルク伝達経路は、前記入力軸および前記出力軸を有するコラム軸、および前記コラム軸の回転運動を直線運動に変換するラックアンドピニオン機構からなり、
前記操舵比可変部および前記パワーステアリング部は、前記コラム軸に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の操舵制御装置。 - 前記操舵比可変部および前記パワーステアリング部は、一体にモジュール化されていることを特徴とする請求項3に記載の操舵制御装置。
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