JP2012040948A - 操舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操舵制御装置では、VGRS部に異常が生じているか否かを判断し(S301)、VGRS部に異常が生じていると判断された場合(S301:YES)、ハンドル角θhおよび増速比zに基づいてEPSモータの駆動を制御する(S303)。これにより、VGRS部の異常時に操舵輪の舵角を適切に制御することができる。また、VGRS部に異常が生じた場合であっても、異常が生じる前後で、ハンドル角θhに対する操舵輪の舵角が変わらないので、ハンドル角θhに対する車両の動きが変わらず、車両操作における違和感を低減することができる。
【選択図】図20
Description
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、VGRS装置の異常時に操舵輪の舵角を適切に制御可能な操舵制御装置を提供することにある。
本発明では、操舵比可変部に異常が生じた場合、操舵角および増速比に基づいて第2のモータの駆動を制御することにより、パワーステアリング部にて操舵角に対する操舵輪の舵角を可変にする操舵比可変制御を行う。これにより、操舵比可変部の異常時に操舵輪の舵角を適切に制御することができる。また、例えば、操舵角に対する操舵輪の舵角が操舵比可変部に異常が生じていない場合と一致するように制御すれば、操舵比可変部に異常が生じた場合であっても、異常が生じる前後で、操舵部材の操舵角に対する操舵輪の舵角が変わらないので、車両操作における違和感を低減することができる。
そこで、請求項3に記載の発明では、異常判断手段は、歯車機構においてセルフロック不能となるセルフロック失陥が生じている場合、操舵比可変部に異常が生じていると判断する。これにより、セルフロック失陥が生じている場合には、代替制御手段により操舵角および増速比に基づいて第2のモータの駆動を制御するので、セルフロック失陥時においても操舵部材の空転が抑制され、安全性が向上する。
(一実施形態)
本発明の一実施形態による操舵制御装置を図1〜図29に基づいて説明する。
まず、操舵システムの概略構成を図1に基づいて説明する。図1に示すように、操舵システム100は、操舵制御装置1、コラム軸2、ラックアンドピニオン機構6、操舵輪7、操舵部材としてのハンドル8等を備えている。本実施形態では、コラム軸2およびラックアンドピニオン機構6が「トルク伝達経路」を構成している。
円形歯車であるステアリングピニオン60は、コラム軸2のハンドル8と反対側の端部に設けられ、出力軸20およびシャフト24と共に正逆回転する。ステアリングラックバー61は、車両の左右方向に移動可能に設けられる。ステアリングラックバー61に設けられるラック歯がステアリングピニオン60と噛み合うことにより、ステアリングピニオン60の回転運動がステアリングラックバー61の車両左右方向の直線運動に変換される。すなわち、ラックアンドピニオン機構6は、コラム軸2の回転運動を直線運動に変換している。
本実施形態では、入力軸10と出力軸20との間に設けられるディファレンシャルギア31の作用により出力軸20は入力軸10の回転方向と反対方向に回転するので、ハンドル8が左方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が右回りに回転し、ステアリングラックバー61は右方向に移動し、車両が左方向へ進行するように操舵輪7の舵角が変更される。また、ハンドル8が右方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が左回りに回転し、ステアリングラックバー61は左方向に移動し、車両が右方向へ進行するように操舵輪7の舵角が変更される。
操舵制御装置1は、ハウジング12、入力軸10、出力軸20、VGRS部3、EPS部5等を備える。
ハウジング12は、ハウジング本体121およびフレームエンド122を有する。ハウジング本体121とフレームエンド122とは、ねじ123により固定されている。ハウジング12には、歯車機構30等が収容されるとともに、入力軸10および出力軸20が挿通される。ハウジング本体121の反フレームエンド122側には、後述する入力ギア11を回転可能に支持する第1軸受部13が設けられる。また、フレームエンド122には、後述する第2出力軸22を回転可能に支持する第2軸受部14が設けられる。
出力軸20に操舵トルクTqが入力されていない場合、トーションバー70における捩れ変位が生じていない。このとき、磁気ヨーク72、73の爪の中心と多極磁石71のN極およびS極の境界線とが一致している。ここで、磁気ヨーク72、73の爪には、多極磁石71のN極およびS極から同数の磁力線が出入りするので、一方の磁気ヨーク72の内部の磁力線と、他方の磁気ヨーク73の内部の磁力線とが、それぞれ閉じた状態となる。したがって、集磁リング75、76の間に形成されるエアギャップに磁束が漏れることがなく、トルクセンサ94の検出する磁束密度は0となる。
歯車機構30は、ディファレンシャルギア31およびウォームギア32からなる。ディファレンシャルギア31は、入力ギア11、出力ギア23、およびピニオンギア41を有する。ウォームギア32は、ウォームホイール50、およびウォーム51を有する。
入力ギア11の径方向内側には、第1出力軸21の入力軸10側の端部が挿入される。入力ギア11と第1出力軸21との間には、ニードル軸受113が設けられる。これにより、第1出力軸21は、入力ギア11に回転可能に支持されている。また、第2出力軸22は、第2軸受部14に回転可能に支持されている。
ここで、入力ギア11、出力ギア23、およびピニオンギア41の関係性について述べておく。ピニオンギア41の歯数は偶数である。一方、入力ギア11および出力ギア23は、歯数が同一であって、その歯数は奇数である。これにより、入力ギア11とピニオンギア41との歯当たりの位置が回転に伴って入れ替わる。同様に、出力ギア23とピニオンギア41との歯当たりの位置が回転に伴って入れ替わる。したがって、特定の歯の摩耗が進行することがなく、偏摩耗によって耐久寿命を損なうことがない。なお、ピニオンギア41の歯数を奇数とし、入力ギア11および出力ギア23の歯数を同一の偶数としてもよい。
さらにまた、入力ギア11および出力ギア23が金属で形成される場合、ピニオンギア41は樹脂で形成される。入力ギア11および出力ギア23が樹脂で形成される場合、ピニオンギア41は金属で形成される。これにより、ギアの噛み合い時に発生する歯打ち音が低減される。
ここで、ウォームホイール50およびウォーム51を図4〜図7に基づいて説明する。図4は、ウォームホイール50およびウォーム51を図3のIV方向から見たときの図であり、図5は図4のV方向矢視図であり、図6は図4のVI方向矢視図であり、図7は図4のVII−VII線断面図である。
また、ウォームホイール50の歯筋は、ウォームホイール50の回転軸P1に対してθ1傾斜して形成されている。この傾斜角が、「リード角」に対応する。本実施形態では、リード角θ1は、摩擦角よりも小さく設定されている。これにより、ウォーム51の回転によりウォームホイール50は回転するが、ウォームホイール50の回転によりウォーム51は回転せず、セルフロック可能に構成されている。なお、本実施形態では、ウォームホイール50とウォーム51とがセルフロックされているときの増速比は1である。
EPSウォームホイール80の径方向外側には、EPSウォーム81が噛み合っている。EPSウォーム81は、ハウジング12に設けられた第6軸受18および第7軸受19により回転可能に支持されている。なお、本実施形態では、EPSウォームホイール80の歯筋が回転軸と平行に形成されている。また、EPSウォームホイール80の歯底が円弧面ではなく、平面で形成されている。これにより、加工公差よりEPSウォームホイール80の設置位置が第2出力軸22の軸方向にずれたとしても、EPSウォームホイール80とEPSウォーム81との歯当たりの状態を、正回転時と逆回転時とで同様に保つことができる。
なお、本実施形態では、VGRS部3とEPS部5とが出力軸20を挟んで両側に設けられているので、VGRSモータ52およびEPSモータ82の駆動により生じるラジアル荷重が相殺され、出力軸20の傾きを抑制することができる。また、出力軸20の傾きが抑制されることにより、ウォームホイール50とウォーム51との噛み合い位置、および、EPSウォームホイール80とEPSウォーム81との噛み合い位置を確実に保持することができる。
VGRS制御部56におけるVGRSモータ52の駆動制御に係る制御演算処理のメインフローを図10に示す。
S110では、VGRSモータ回転角指令値演算処理を行う。
S120では、VGRSモータ回転角制御演算処理を行う。
S130では、VGRSモータPWM指令値演算処理を行う。
S140では、S130で算出されたPWM指令値に基づき、VGRSインバータ57を構成するスイッチング素子のオン/オフを切り替えることにより、VGRSモータ52の駆動を制御する。
S111では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込み、車両の走行速度である車速を取得する。また、ハンドル角センサ92により検出されるハンドル角センサ値を読み込み、ハンドル角θhを取得する。なお本実施形態では、ハンドル8が右方向に操舵された場合を正とし、ハンドル8が左方向に操舵された場合を負とする。また、ディファレンシャルギア31の作用により、ハンドル8および入力軸10が右方向に回転するとき出力軸20は左方向に回転し、ハンドル8および入力軸10が左方向に回転するとき出力軸20は右方向に回転する。そこで、出力軸20の回転角であるピニオン角θpは、左方向への回転を正とし、右方向への回転を負とする。
なお、増速比zは、ハンドル角θhとピニオン角θpの比であり、本実施形態では、ハンドル角θhに増速比zを乗じることにより、出力軸20の設定回転角が算出される。また、増速比zが1であるとき、ハンドル角θhとピニオン角θpとが一致する。例えば増速比が1のとき、ハンドル8側からみて入力軸10が右方向にθx回転したとすると、出力軸20は左方向にθx回転する、といった具合である。
θvc=θh×(z−1)×iv×0.5 …(1)
S121では、図11中のS113で算出されたVGRSモータ回転角指令値θvcを取得する。また、VGRSモータ回転角センサ93により検出されるVGRSモータ回転角センサ値を読み込み、VGRSモータ回転角θvmを取得する。なお、VGRSモータ回転角θvmは、ピニオン角θpで代用してもよい。
S122では、角度差分値θvdを算出する。角度差分値θvdは、以下の式(2)により算出される。
θvd=θvc−θvm …(2)
S131では、図12中のS123で算出されたVGRSモータ電圧指令値Vvcを取得する。
S132では、VGRSモータPWM指令値Pvを算出する。バッテリ電圧をVbとすると、VGRSモータPWM指令値Pvは、以下の式(4)により算出される。
Pv=Vvc/Vb×100 …(4)
EPS制御部86におけるEPSモータ82の駆動制御に係る制御演算処理のメインフローを図15に示す。
最初のS200では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込む。また、トルクセンサ94のセンサ値を読み込む。さらにまた、EPSモータ電流センサ95により検出される電流センサ値を読み込む。
S220では、EPSモータ電流制御演算処理を行う。
S230では、EPSモータPWM指令値演算処理を行う。
S240では、S230で算出されたPWM指令値に基づき、EPSインバータ87を構成するスイッチング素子のオン/オフを切り替えることにより、EPSモータ82の駆動を制御する。
S211では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込み、車両の走行速度である車速を取得する。また、トルクセンサ94のセンサ値を読み込み、乗員によりハンドル8が操舵されることにより生じる操舵トルクTqを取得する。
S221では、図16中のS212で算出されたEPSモータ電流指令値Icを取得する。また、EPSモータ電流センサ95により検出される電流センサ値を読み込み、EPSモータ82に通電されるEPSモータ電流値Imを取得する。
S222では、電流差分値Idを算出する。電流差分値Idは、以下の式(5)により算出される。
Id=Ic−Im …(5)
S231では、図17中のS223で算出されたEPSモータ電圧指令値Vecを取得する。
S232では、EPSモータPWM指令値Peを算出する。バッテリ電圧をVbとすると、EPSモータPWM指令値Peは、以下の式(7)により算出される。
Pe=Vec/Vb×100 …(7)
S301では、VGRS部3の異常が生じているか否かを判断する。VGRS部3の異常の一例としては、ウォームギア32においてセルフロック不能となるセルフロック失陥が挙げられる。セルフロック失陥の検出方法については後述する。また、VGRS部3の異常は、ウォームギア32のセルフロック失陥に限らず、例えばVGRSモータ52の断線故障や、VGRSインバータ57の天絡故障、地絡故障、或いはスイッチング素子の故障等であってもよい。これらの故障は、公知の方法で検出することができる。VGRS部3に異常が生じていると判断された場合(S301:YES)、S303へ移行する。VGRS部3に異常が生じていないと判断された場合(S301:NO)、S302へ移行する。
S302では、通常制御を行う。具体的には、図15〜図18に基づいて説明したように、操舵トルクTqに基づき、EPSモータ82の駆動を制御する。
S400では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込む。また、ハンドル角センサ92により検出されるハンドル角センサ値を読み込む。さらにまた、EPSモータ回転角センサ97により検出されるEPSモータ回転角センサ値を読み込む。
S410では、EPSモータ回転角指令値演算処理を行う。
S420では、EPSモータ回転角制御演算処理を行う。
S430では、EPSモータPWM指令値演算処理を行う。
S440では、S430で算出されたPWM指令値に基づき、EPSインバータ87を構成するスイッチング素子のオン/オフを切り替えることにより、EPSモータ82の駆動を制御する。
S411では、車速センサ91により検出される車速センサ値を読み込み、車両の走行速度である車速を取得する。また、ハンドル角センサ92により検出されるハンドル角センサ値を読み込み、ハンドル角θhを取得する。
S412では、S411にて取得された車速に基づき、増速比zを取得する。増速比zは、図14にて説明したマップとして記憶されている。
S413では、EPSモータ回転角指令値θecを算出し、本処理を終了する。S411にて取得されたハンドル角をθh、S412にて取得された増速比をz、EPSウォームホイール80およびEPSウォーム81における減速比をieとすると、EPSモータ回転角指令値θecは、以下の式(8)により算出される。
θec=θh×(z−1)×ie×0.5 …(8)
S421では、図22中のS413で算出されるEPSモータ回転角指令値θecを取得する。また、EPSモータ回転角センサ97により検出されるEPSモータ回転角センサ値を読み込み、EPSモータ回転角θemを取得する。なお、EPSモータ回転角θemは、ピニオン角θpで代用してもよい。
S422では、角度差分値θedを算出する。角度差分値θedは、以下の式(9)により算出される。
θed=θec−θem …(9)
S431では、図23中のS423で算出されたEPSモータ電圧指令値Vecを取得する。
S432では、EPSモータPWM指令値Peを算出する。バッテリ電圧をVbとすると、EPSモータPWM指令値Peは、上記式(7)と同様の式にて算出される。
セルフロック失陥検出処理(1)は、増速比が1のとき、セルフロックが正常であれば、VGRSモータ52の電圧指令値が0となり、VGRSモータ52の回転角が0となることを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(1)を図25に基づいて説明する。
S513では、取得したVGRSモータ回転角θvmが0でないか否かを判断する。VGRSモータ回転角が0であると判断された場合(S513:NO)、S516へ移行する。VGRSモータ回転角θvmが0ではないと判断された場合(S513:YES)、S514へ移行する。
S515では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
なお、S514に係る処理を行わず、S513にて肯定判断された場合、S515へ移行するようにしてもよい。
セルフロック失陥検出処理(2)は、増速比が1のとき、セルフロックが正常であれば、VGRSモータ52のモータ回転角指令値θvcが0となり、VGRSモータ52の電圧指令値Vvcが0となることを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(2)を図26に基づいて説明する。
S524では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
なお、S523に係る処理を行わず、S522にて肯定判断された場合、S524へ移行するようにしてもよい。
セルフロック失陥検出処理(3)は、セルフロックが正常であれば、ハンドル角θhに増速比zを乗じた値である設定回転角と、ピニオン角θpとが一致することを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(3)を図27に基づいて説明する。
S534では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
なお、S533に係る処理を行わず、S532にて肯定判断された場合、S534へ移行するようにしてもよい。
ウォームギア32のセルフロックが正常であれば、ハンドル8を操舵したとき、出力軸20側へトルクが伝達され、トルクセンサ94によりトルクが検出される。一方、セルフロック失陥が生じ、ハンドル8が空転すると、出力軸20側へトルクが伝達されず、トルクセンサ94によりトルクが検出されない。そこでセルフロック失陥検出処理(4)では、これを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(4)を図28に基づいて説明する。
S542では、トルクセンサ94により検出されるセンサ値を読み込み、ハンドル8の操舵により生じる操舵トルクTqを取得する。
S545では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
なお、S544に係る処理を行わず、S543にて肯定判断された場合、S545へ移行するようにしてもよい。
ウォームギア32のセルフロックが正常であれば、ハンドル8は空転しないので、車両が直進中である場合、ハンドル角θhは0となる。一方、セルフロック失陥が生じ、ハンドル8が空転すると、車両が直進中のときのハンドル角θhが0からずれる。そこでセルフロック失陥検出処理(5)では、これを利用してセルフロック失陥を検出する。ここで、セルフロック失陥検出処理(5)を図29に基づいて説明する。
S552では、ハンドル角センサ92により検出されるハンドル角センサ値を読み込み、ハンドル角θhを取得する。
S555では、ウォームギア32においてセルフロック機能に異常が生じているので、セルフロック失陥フラグをオンにする。
なお、S554に係る処理を行わず、S553にて肯定判断された場合、S555へ移行するようにしてもよい。
本実施形態では、セルフロック失陥フラグがセットされている場合、ウォームギア32にてセルフロック失陥が生じているので、図20中のS301にて肯定判断し、S303へ移行する。
上記実施形態では、VGRS部およびEPS部は、一体にモジュール化されてコラム軸に設けられていた。他の実施形態では、VGRS部とEPS部とは、一体にモジュール化されていなくてもよい。また、VGRS部をコラム軸に設け、EPS部をラック軸(ステアリングラックバー)に設ける、といった具合に、別々の場所に設けてもよい。なお、EPS部をラック軸に設ける場合、VGRS部異常時には、ハンドル角θhに対する操舵輪7の舵角が、VGRS部に異常がない場合におけるハンドル角θhに対する操舵輪7の舵角と一致するように、ハンドル角θhおよび増速比zに基づいてラック軸の移動量を算出し、算出された移動量となるようにEPSモータの駆動を制御する。
さらにまた、VGRS部に異常が生じている場合であっても、VGRS部により操舵比可変処理を継続可能である場合には、VGRS部により操舵比可変処理を継続してもよい。この場合、異常判断手段は、VGRS部により操舵比可変処理を継続できない場合、操舵比可変部に異常が生じている、と判断するようにしてもよい。
図30に示す操舵システム200のように、ラックアンドピニオン機構6は、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lよりも車両前方側に設けてもよい。図30に示す例において、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングピニオン60との間の距離Aは、左右の操舵輪7の回転中心を結ぶ直線Lとステアリングラックバー61との距離Bよりも長くなっている。
また、ハンドル8が右方向に操舵されると、ユニバーサルジョイント9側から見てステアリングピニオン60が左回りに回転し、ステアリングラックバー61は右方向に移動し、車両が右方向に進行するように操舵輪7の舵角が変更される。
この例では、ウォームギア232のウォームホイール250とウォーム251とは、ウォームホイール250の回転軸P3に垂直な平面Q3と、ウォーム251の回転軸P4とのなす角がθ2となるように傾斜して配置される。この傾斜角θ2は、ウォーム251のリード角θ3と実質的に同一の角度である。このリード角θ3をセルフロック可能な角度に設定することにより、上記実施形態と同様の効果を奏する。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
2・・・コラム軸
3・・・操舵比可変部
5・・・電動パワーステアリング部
6・・・ラックアンドピニオン機構
7・・・操舵輪
8・・・ハンドル(操舵部材)
10・・・入力軸
11・・・入力ギア
20・・・出力軸
23・・・出力ギア
30・・・歯車機構
31・・・ディファレンシャルギア
32・・・ウォームギア
41・・・ピニオンギア
50・・・ウォームホイール
51・・・ウォーム
52・・・VGRSモータ(第1のモータ)
55・・・VGRS ECU
56・・・VGRS制御部(操舵角取得手段、増速比決定手段、駆動制御手段)
82・・・EPSモータ(第2のモータ)
85・・・EPS ECU
86・・・EPS制御部(異常判断手段、代替制御手段)
100・・・操舵システム
200・・・操舵システム
232・・・ウォームギア
250・・・ウォームホイール
251・・・ウォーム
Claims (5)
- 乗員により操舵される操舵部材に連結可能な入力軸と、
前記入力軸と相対回転可能に設けられ、前記操舵部材に加えられた操舵力を操舵輪側へ伝達するトルク伝達経路をなす出力軸と、
前記入力軸の回転を前記出力軸へ伝達する歯車機構および前記歯車機構を駆動する第1のモータを有し、前記操舵部材が操舵された角度である操舵角と前記出力軸の回転角との比を可変にする操舵比可変部と、
第2のモータを有し、前記第2のモータを駆動することで生じるトルクにより乗員による前記操舵部材の操舵を補助するパワーステアリング部と、
前記操舵角を取得する操舵角取得手段と、
前記操舵角と前記出力軸の回転角との比である増速比を決定する増速比決定手段と、
前記操舵角取得手段により取得された前記操舵角、および、前記増速比決定手段により決定された前記増速比に基づき、前記第1のモータの駆動を制御する駆動制御手段と、
前記操舵比可変部に異常が生じているか否かを判断する異常判断手段と、
前記異常判断手段により前記操舵比可変部に異常が生じていると判断された場合、前記操舵角および前記増速比に基づいて前記第2のモータの駆動を制御する代替制御手段と、
を備えることを特徴とする操舵制御装置。 - 前記歯車機構は、前記第1のモータにより駆動されるウォーム、および前記ウォームに噛み合うウォームホイールを有し、前記ウォームの回転により前記ウォームホイールは回転するが、前記ウォームホイールの回転により前記ウォームは回転しないようにセルフロック可能なリード角が設定されることを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
- 前記異常判断手段は、前記歯車機構においてセルフロック不能となるセルフロック失陥が生じている場合、前記操舵比可変部に異常が生じていると判断することを特徴とする請求項2に記載の操舵制御装置。
- 前記トルク伝達経路は、前記入力軸および前記出力軸を有するコラム軸、および前記コラム軸の回転運動を直線運動に変換するラックアンドピニオン機構からなり、
前記操舵比可変部および前記パワーステアリング部は、前記コラム軸に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の操舵制御装置。 - 前記操舵比可変部および前記パワーステアリング部は、一体にモジュール化されていることを特徴とする請求項4に記載の操舵制御装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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