JP2004098744A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操舵フィーリングを低下させることなく確実にフェールセーフ機能を奏することができ、ドライバーによる操作部材の操作に対する舵角の変化特性をアクチュエータの制御により変更可能な車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】操作部材2に機械的に連結された操作側回転部材12と、操舵用アクチュエータ3の動きによる舵角変化に応じ回転するように車輪4に機械的に連結された車輪側回転部材13を、伝動機構20により互いに回転伝達可能かつ回転伝達比を変更可能に機械的に連結する。伝動機構20による回転伝達比の調整用アクチュエータ39と操舵用アクチュエータ3を操作部材2の操作に応じて制御する。操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作部材2の操作量の変化に対する操作部材2に作用する操作トルクの変化の比率が大きくなるように調整用アクチュエータ39が制御される。
【選択図】図1
【解決手段】操作部材2に機械的に連結された操作側回転部材12と、操舵用アクチュエータ3の動きによる舵角変化に応じ回転するように車輪4に機械的に連結された車輪側回転部材13を、伝動機構20により互いに回転伝達可能かつ回転伝達比を変更可能に機械的に連結する。伝動機構20による回転伝達比の調整用アクチュエータ39と操舵用アクチュエータ3を操作部材2の操作に応じて制御する。操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作部材2の操作量の変化に対する操作部材2に作用する操作トルクの変化の比率が大きくなるように調整用アクチュエータ39が制御される。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライバーによる操作部材の操作に対する舵角と操作トルクの変化特性を、アクチュエータの制御によって変更可能な車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
操作部材の操作に対する舵角の変化特性と操作トルクをアクチュエータの制御により変更可能な車両用操舵装置として、操作部材と車輪とを機械的に連結しない所謂ステアバイワイヤシステムを採用したもの(特許文献1参照)と、機械的に連結したもの(特許文献2参照)がある。
【0003】
ステアバイワイヤシステムを採用した操舵装置においては、ステアリングホイールを模した操作部材を車輪に機械的に連結することなく、操舵用アクチュエータの動きを舵角変化が生じるように車輪に伝達することで操舵特性を変更している。また、路面から車輪に作用する操舵抵抗が操作部材に伝達されないことから、操作用アクチュエータにより操作部材に作用する操作トルクを発生することでドライバーに操舵フィーリングを付与している。
【0004】
操作部材と車輪とを機械的に連結した操舵装置においては、ステアリングホイールの操作に応じた入力シャフトの回転を遊星ギヤ機構等の回転伝達比可変機構を介して出力シャフトに伝達し、その出力シャフトの回転を舵角変化が生じるように車輪に伝達する際に、その遊星ギヤ機構のリングギヤ等を操舵用アクチュエータにより駆動することで操舵特性を変更している。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−002511号公報
【特許文献2】
特開2002−145093号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ステアバイワイヤシステムを採用した操舵装置においては、アクチュエータや制御系の故障時においても操作部材の操作に応じて車輪を転舵させることができるようにフェールセーフ機能が必要になる。そこで、操作部材に機械的に連結された操作側回転部材と車輪に機械的に連結された操作側回転部材を、故障時にクラッチ等を介して連結することでフェールセーフ機能を奏することが提案されている。しかし、通常は操作側回転部材と車輪側回転部材が機械的に連結されていないため、フェールセーフの確実性が十分なものではなかった。
【0007】
伝達比可変機構を介して操作部材と車輪を機械的に連結する操舵装置においては、路面の凹凸等による舵角変動を補償するための制御を行う際に、車輪の動きに応じて操作部材に作用する操作トルクが変動するため、円滑な操舵フィーリングを得るのが困難であった。
【0008】
また、操作部材に機械的に連結された操作側回転部材と、車輪に機械的に連結された車輪側回転部材と、両回転部材を互いに回転伝達可能かつ回転伝達比を変更可能に機械的に連結する伝動機構と、その操作側回転部材と車輪側回転部材の間の回転伝達比の調整用アクチュエータと、舵角を変化させる操舵用アクチュエータとを設け、その操舵用アクチュエータの制御により舵角を変化させ、その調整用アクチュエータの制御により操作部材に作用する操作トルクを変化させることが考えらる。しかし、操作部材の操作方向を急激に変化させた場合、操舵用アクチュエータの応答遅れにより操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが逆になると共に、調整用アクチュエータの応答遅れにより操作部材に作用する操作トルクが小さくなる。このような場合、操作部材を操作しているにも関わらず操舵機構が機能していないかのような違和感(いわゆる舵抜け感)をドライバーに与えるおそれがある。
本発明は、上記問題を解決することのできる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用操舵装置は、操作部材と、その操作部材の操作に応じて回転するように、その操作部材に機械的に連結された操作側回転部材と、操舵用アクチュエータと、その操舵用アクチュエータの動きを舵角変化が生じるように車輪に伝達するステアリングギヤと、その舵角変化に応じて回転するように、その車輪に機械的に連結された車輪側回転部材と、その操作側回転部材と車輪側回転部材を、互いに回転伝達可能かつ回転伝達比を変更可能に機械的に連結する伝動機構と、その伝動機構を介する操作側回転部材と車輪側回転部材の間の回転伝達比の調整用アクチュエータと、その操作部材の操作に応じて前記操舵用アクチュエータと調整用アクチュエータを制御する制御装置と、その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致するか否かを判断する手段とを備え、その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作部材の操作量の変化に対する操作部材に作用する操作トルクの変化の比率が大きくなるように前記調整用アクチュエータが制御される。
【0010】
本発明の車両用操舵装置によれば、操作部材に機械的に連結された操作側回転部材と車輪に機械的に連結された車輪側回転部材とが伝動機構を介して互いに回転伝達可能であるので、フェールセーフ機能の確実性を向上することができる。そのフェールセーフ機能は、例えば調整用アクチュエータ、操舵用アクチュエータ、制御装置の中の少なくとも一つの異常の検知手段と、その異常検知時に操作側回転部材と車輪側回転部材との間の回転伝達比の変化を規制する手段とを備える構成により奏することができる。その異常検知時においては、両アクチュエータの駆動を解除して操舵装置をマニュアルタイプのステアリング装置として機能させてもよいし、調整用アクチュエータの異常時は操舵用アクチュエータにより操舵補助力を発生し、操舵用アクチュエータの異常時は調整用アクチュエータにより操舵補助力を発生することで操舵装置をパワーステアリング装置として機能させてもよい。
【0011】
また、調整用アクチュエータにより車輪側回転部材と操作側回転部材との間の回転伝達比を変化させることで、操作トルクを車輪の動きに影響されることなく円滑に変化させることができる。
【0012】
そして、操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作部材の操作量の変化に対する操作部材に作用する操作トルクの変化の比率が大きくなるように前記調整用アクチュエータが制御される。これにより、操作部材の操作方向を急激に変化させた場合の調整用アクチュエータの応答遅れを抑制し、操作部材に適正な操作トルクを作用させることができる。この際、その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、その調整用アクチュエータの制御ゲインが大きくされるのが好ましい。これにより、調整用アクチュエータの応答遅れを容易に抑制でき、ドライバーに違和感を与えるのを防止できる。また、その操作部材の操作量を求める手段と、その操作部材の操作トルクを求める手段と、その舵角を求める手段と、舵角変化による車両の挙動変化に対応する挙動指標値を求める手段と、操作量と挙動指標値と目標舵角との間の設定した関係と、求めた操作量と、求めた挙動指標値とから目標舵角を求める手段と、操作量と挙動指標値と目標操作トルクとの間の設定した関係と、求めた操作量と、求めた挙動指標値とから目標操作トルクを求める手段とを備え、その目標舵角に舵角が対応するように操舵用アクチュエータが制御されると共に、その目標操作トルクに操作トルクが対応するように調整用アクチュエータが制御され、その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、前記目標操作トルクに対応する値が大きくされるのが好ましい。これにより、車両の挙動変化に応じて調整用アクチュエータの応答遅れを適正化することができ、操舵フィーリングを向上できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に示す車両用操舵装置1は、ステアリングホイールを模した操作部材2と、操舵用アクチュエータ3と、その操舵用アクチュエータ3の動きを舵角変化が生じるように左右車輪4に伝達するステアリングギヤ5とを備える。その操舵用アクチュエータ3は、例えば公知のブラシレスモータや油圧モータ等により構成できる。そのステアリングギヤ5は、その操舵用アクチュエータ3の出力シャフト3aの回転運動をステアリングロッド7の直線運動に変換する運動変換機構を有する。そのステアリングロッド7の動きがタイロッド8とナックルアーム9を介して車輪4に伝達されることで車輪4のトー角が変化する。その運動変換機構は、本実施形態では、操舵用アクチュエータ3の出力シャフト3aに取り付けられたピニオン10と、このピニオン10に噛み合うラック11とから構成され、そのラック11はステアリングロッド7に形成されている。その操舵用アクチュエータ3の動きを舵角が変化するように車輪4に伝達できればステアリングギヤ5の構成は特に限定されない。車輪4はセルフアライニングトルクが生じるようにホイールアラインメントが設定されている。
【0014】
操作部材2の操作に応じて回転するように、その操作部材2にシャフト状の操作側回転部材12が機械的に連結されている。本実施形態の操作側回転部材12は操作部材2に同行回転するように取り付けられている。なお、操作側回転部材12は、操作部材2の操作に応じて回転するように操作部材2に機械的に連結されていればよく、例えば変速ギヤ機構を介して連結されてもよい。
【0015】
舵角の変化に応じて回転するように、車輪4に車輪側回転部材13が機械的に連結されている。本実施形態の車輪側回転部材13は、上記ラック11に噛み合うピニオン14に同行回転するよう連結されている。なお、車輪側回転部材13は、舵角の変化に応じて回転するように車輪4に機械的に連結されていればよく、車輪4との連結はラック11とピニオン14を介するものに限定されない。
【0016】
操作側回転部材12と車輪側回転部材13は伝動機構20を介して互いに回転伝達可能に機械的に連結されている。その伝動機構20は操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比を変更可能である。すなわち図2に示すように、伝動機構20はハウジング23と、このハウジング23により覆われる遊星ギヤ機構30を有する。ハウジング23は操作側回転部材12をベアリング21、22を介して支持し、車輪側回転部材13をベアリング24、25を介して支持する。車輪側回転部材13と操作側回転部材12は同軸心に隙間を介して配置される。その遊星ギヤ機構30を介して操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間で回転伝達が行われる。
【0017】
その遊星ギヤ機構30は、3つの相対回転可能な構成要素としてサンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを有し、サンギヤ31とリングギヤ32とに噛み合う遊星ギヤ33をキャリア34により保持している。サンギヤ31は、操作側回転部材12の端部に同行回転するように連結されている。キャリア34は、車輪側回転部材13に同行回転するように連結されている。リングギヤ32は、操作側回転部材12を囲むホルダー36にボルト362を介して固定されている。そのホルダー36は、操作側回転部材12を囲むようにハウジング23に固定された筒状部材35によりベアリング29を介して支持されている。そのホルダー36の外周にウォームホイール37が同行回転するように嵌め合わされている。そのウォームホイール37に噛み合うウォーム38がハウジング23により支持されている。そのウォーム38がハウジング23に取り付けられた調整用アクチュエータ39により駆動されることで、遊星ギヤ機構30の構成要素であるリングギヤ32が調整用アクチュエータ39により駆動される。その調整用アクチュエータ39は、例えば公知のブラシレスモータ等の電動モータや油圧モータにより構成できる。その調整用アクチュエータ39によりリングギヤ32の回転速度を変化させることで、操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比を変更できる。
【0018】
その操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39の制御系が設けられている。本実施形態では、図1に示すように、操作部材2の操作量δhとして操作側回転部材12の回転角が操作量センサ41により求められ、その回転角の符号は操作部材2が直進状態から左右一方に操作された時は正、左右他方に操作された時は負とされる。舵角δとして車輪4の転舵量に対応する車輪側回転部材13の回転角が舵角センサ42により求められ、その回転角の符号は舵角δが直進状態から左右一方に変化した時は正、左右他方に変化した時は負とされる。車速Vが速度センサ43により検出される。操作部材2の操作トルクThがトルクセンサ46により検出される。調整用アクチュエータ39を構成するモータ電流Ihが電流センサ44により検出される。舵角変化による車両の挙動変化に対応する挙動指標値として車両の横加速度Gyが横加速度センサ47により検出される。舵角変化による車両の挙動変化に対応する挙動指標値として車両のヨーレートγがヨーレートセンサ48により検出される。各センサ41、42、43、44、46、47、48はコンピュータにより構成される制御装置45に接続される。制御装置45は操作部材2の操作に応じて操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39を駆動回路3b、39aを介して制御する。
【0019】
図3は、車速が予め設定した車速Va以上である場合の制御装置45による操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39の制御ブロック図を示す。図3において、Th* は目標操作トルク、δ* は目標舵角、δFFは舵角設定値、δFBは舵角修正値、Ih* は調整用アクチュエータ39の目標モータ電流、i* は操舵用アクチュエータ3の目標モータ電流、Duty* は駆動回路39aにより調整用アクチュエータ39をPWM制御する際の目標PWMデューティ、Dは舵角変化による車両100の挙動変化に対応する操舵用挙動指標値、D* は目標操舵用挙動指標値である。
【0020】
操舵用挙動指標値Dは、横加速度加重比をK1、ヨーレート加重比をK2、K1+K2=1として、以下の関係式により求められる。
D=K1・Gy+K2・γ・V
その関係式は制御装置45に記憶され、この関係式と、横加速度Gy、ヨーレートγ、車速Vの各検出値とから操舵用挙動指標値Dが演算される。K1とK2の比率は、操舵用挙動指標値Dが舵角変化による車両の挙動変化に対応するように設定すればよく、例えばK1=K2=0.5といったような一定値としてもよいし、舵角変化による車両の挙動変化に影響する車速等に応じて変化させてもよい。
制御装置45は、検出操作角δhに応じた目標操舵用挙動指標値D* を伝達関数G1に基づき演算する。そのδhとD* との関係である伝達関数G1は予め定められて制御装置45に記憶される。例えばKD1を比例定数としてG1=KD1・Vとされ、D* =KD1・V・δhにより目標操舵用挙動指標値D* が求められる。その比例定数KD1は最適な制御を行えるように調整される。なお、伝達関数G1は車速Vに比例するものに限定されず定数としてもよい。
制御装置45は、目標操舵用挙動指標値D* に応じた舵角設定値δFFを伝達関数G2に基づき演算する。そのD* とδFFとの関係である伝達関数G2は予め定められて制御装置45に記憶される。例えばGD (v)を舵角に対する横加速度の定常ゲインとしてG2=1/GD (v)とされ、δFF=D* /GD (v)により舵角設定値δFFが求められる。そのゲインGD (v)は、SFをスタビリティファクタ、Lをホイールベースとして次式により求められる。
GD (v)=V2 /{(1+SF・V2 )L}
制御装置45は、目標操舵用挙動指標値D* から、検出横加速度Gy、検出ヨーレートγ、検出車速Vに基づき求めた操舵用挙動指標値Dを差し引いた偏差(D* −D)を演算し、その偏差(D* −D)に応じた舵角修正値δFBを伝達関数G3に基づき演算する。その偏差(D* −D)とδFBとの関係である伝達関数G3は予め定められて制御装置45に記憶される。例えばKpを比例ゲイン、Kiを積分ゲイン、sをラプラス演算子として、PI制御がなされるようにG3=(Kp+Ki/s)/GD (v)とされ、δFB=(Kp+Ki/s)・(D* −D)/GD (v)により舵角修正値δFBが求められる。そのKp、Kiは最適な制御を行えるように調整される。
制御装置45は舵角設定値δFFと舵角修正値δFBの和として目標舵角δ* を演算する。その舵角設定値δFFは操舵用アクチュエータ3の制御におけるフィードフォワード項に対応し、その舵角修正値δFBは操舵用アクチュエータ3の制御におけるフィードバック項に対応することから、操舵用アクチュエータ3に対してフィードフォワード制御とフィードバック制御の統合制御が行われる。
これにより制御装置45は、操作角δhと操舵用挙動指標値Dと目標舵角δ* との間の設定した関係を記憶し、その設定した関係と、求めた操舵用挙動指標値Dとから目標舵角δ* を求めることになる。
制御装置45は、目標舵角δ* に応じた操舵用アクチュエータ3の目標モータ電流i* を伝達関数G4に基づき演算する。そのδ* とi* との関係である伝達関数G4は予め定められて制御装置45に記憶される。例えばKbをゲイン、Tbを時定数として、PI制御がなされるようにG4=Kb・〔1+1/(Tb・s)〕とされ、i* =Kb〔1+1/(Tb・s)〕・δ* により目標モータ電流i* が求められる。そのゲインKbおよび時定数Tbは最適な制御を行えるように調整される。その目標モータ電流i* に応じて操舵用アクチュエータ3が駆動回路3bを介して駆動される。これにより、舵角δが目標舵角δ* に対応するように操舵用アクチュエータ3が制御装置45により制御され、その制御により操作角δh、車速V、ヨーレートγ、横加速度Gyといった車両運転条件の変化に応じて操作角δhと舵角δの比が変化する。
【0021】
図4は、車速が予め設定した車速Va未満である場合における制御装置45による操舵用アクチュエータ3の制御ブロック図を示す。車速がVa以上である場合とVa未満である場合とは目標操作トルクTh* と目標舵角δ* の求め方が異なるものとされている。すなわち図4において、G6はδhに対するδ* の伝達関数である。その予め設定する車速Vaは、その車速Va以上であれば操舵用挙動指標値Dに基づき目標舵角δ* を適正に設定できるように定めればよく、例えば2.78m/sとされる。制御装置45は、検出操作角δhに応じた目標舵角δ* を伝達関数G6に基づき演算する。その伝達関数G6は予め定められて制御装置45に記憶される。例えば比例ゲインを車速Vの関数Ka(v)としてG6=Ka(v)とされ、δ* =Ka(v)・δhにより目標舵角δ* が求められる。また、その予め設定した車速Vaにおいては、伝達関数G6に基づき求めた目標舵角δ* と、上記伝達関数G1、G2に基づき求めた舵角設定値δFFとが等しくされる。これにより以下の式が成立する。
δ* =δFF={KD1・Va/GD (v)}δh=Ka(v)・δh
そのKa(v)の値は、例えば車速V=0m/sにおける値を設定し、V=2.78m/sにおける{KD1・Va/GD (v)}の値との間を補間することにより求める。
【0022】
目標操作トルクTh* は、操作角δh、ヨーレートγ、横加速度Gy、車速Vの関数Fとされ、制御装置45はTh* =F(δh、γ、Gy、V)の関係により目標操作トルクTh* を求める。その関数Fは予め設定されて制御装置45に記憶され、例えばK3、K4、K5、K6を係数として以下の式とされる。
F(δh、γ、Gy、V)=K3×δh×K4(K5・Gy+K6・γ・V)
これにより制御装置45は、操作角δhと挙動指標値である横加速度Gyおよびヨーレートγと目標操作トルクTh* との間の設定した関係を記憶し、その設定した関係と、求めた挙動指標値とから目標操作トルクTh* を求めることになる。その目標操作トルクTh* と検出した操作トルクThとの偏差を低減するように調整用アクチュエータ39を制御することで、操作部材2に操作トルクThが作用する。例えば制御装置45は、目標操作トルクTh* と操作トルクThとの偏差に対する調整用アクチュエータ39の目標モータ電流Ih* の伝達関数Ghを記憶し、Ih* =Gh・(Th* −Th)の関係と求めた偏差(Th* −Th)とからIh* を演算する。その伝達関数Ghは、例えばPID制御を行う場合、Kcをゲイン、tc、tc′を時定数、sをラプラス演算子として、Gh=Kc〔1+1/(tc・s)+tc′・s〕とされ、そのゲインKcおよび時定数tc、tc′は最適な制御を行えるように調整される。さらに制御装置45は、調整用アクチュエータ39の目標モータ電流Ih* とモータ電流Ihとの偏差に対する目標PWMデューティDuty* の伝達関数Gpを記憶し、Duty* =Gp・(Ih* −Ih)の関係と求めた偏差(Ih* −Ih)とからDuty* を演算する。その伝達関数Gpは、例えばPID制御を行う場合、Kdをゲイン、td、td′を時定数、sをラプラス演算子として、Gp=Kd〔1+1/(td・s)+td′・s〕とされ、そのゲインKdおよび時定数td、td′は最適な制御を行えるように調整される。そのDuty* に応じて調整用アクチュエータ39が駆動回路39aを介してPWM制御される。これにより、操作角δhが目標操作角δh* に対応するように調整用アクチュエータ39が制御装置45により制御される。
【0023】
制御装置45は、操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致するか否かを判断する。本実施形態では、操作角δhの変化速度dδh/dtの符号は左右一方への操作時は正、左右他方への操作時は負とされ、舵角δの変化速度dδ/dtの符号は左右一方への変化時は正、左右他方への変化時は負とされ、操作角δhの変化速度と舵角δの変化速度との積dδh/dt・dδ/dtの符号の正負により操作部材2の操作方向と舵角δの変化方向とが一致するか否かが判断される。
【0024】
操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作角δhの変化に対する操作部材2に作用する操作トルクThの変化の比率が大きくなるように調整用アクチュエータ39が制御される。例えば、操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、伝達関数GpのゲインKdが大きくされることで、調整用アクチュエータ39の制御ゲインが大きくされる。なお、ゲインKdだけでなく時定数td、td′も変化させてもよい。また、ゲインKdに代えて、あるいはゲインKdと共に、伝達関数GhのゲインKcを操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも大きくしてもよい。さらに、制御ゲインに代えて、あるいは制御ゲインと共に、操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、関数F(δh、γ、Gy、V)を変化させて目標操作トルクTh* を大きくしてもよい。また、調整用アクチュエータ39のPID制御を行う際のDuty* をサンプリングした離散データから演算するため、比例項と積分項と微分項の和によって求めるものとし、各制御周期それぞれにおけるDuty* は電流偏差(Ih* −Ih)の今回値と前回値との偏差に係数Paを掛けた比例項と、電流偏差(Ih* −Ih)に係数Pbを掛けた積分項と、電流偏差(Ih* −Ih)の今回値と前回値との偏差から前回値と前々回値との偏差を差し引いた値に係数Pcを掛けた微分項の和とし、その係数Paを操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも大きく(例えば1.2倍)することで、調整用アクチュエータ39の制御ゲインを大きくしてもよい。この場合、係数Pb、Pcも係数Paと同じ割合あるいは異なる割合で大きくしてもよい。
【0025】
調整用アクチュエータ39の異常検知手段が設けられている。例えば、制御装置45により演算された調整用アクチュエータ39の目標電流Ih* とセンサ44の検出電流Ihとの偏差を制御装置45はモニターし、その偏差が設定値以上であれば調整用アクチュエータ39が異常であると判断する。
【0026】
操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比の変化を規制可能な規制機構50が設けられている。その規制機構50は、両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制できれば構成は特に限定されない。本実施形態では、図5に示すように、ハウジング23に駆動装置52を介して取り付けられる押し付け部材51を有する。その押し付け部材51はウォームホイール37の外周に対向する。その駆動装置52は、例えば押し付け部材51にウォームホイール37から離れる方向の力を作用させるソレノイドと、制御装置45からの異常検知信号によりソレノイドへの通電が解除されると、押し付け部材51をウォームホイール37の外周に押しつけるバネとで構成される。その押し付け部材51にウォームホイール37の歯37aに噛み合う歯51aが形成されている。その押し付け部材51とウォームホイール37とが噛み合うことで、ウォームホイール37と一体のリングギヤ32の回転はロックされるので、操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比の変化は規制され、遊星ギヤ機構は減速比一定の回転伝達機構として機能する。
【0027】
調整用アクチュエータ39の異常検知時に、制御装置45は規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制し、通電を遮断することで調整用アクチュエータ39の駆動を解除し、操舵補助トルクを作用させることができるように操舵用アクチュエータ3を制御する。例えば図6に示すように、操舵補助トルクの作用により目標操舵トルクTa* の大きさは操作量δhが大きくなる程に大きくなり、また、車速Vが小さくなる程に小さくなるものとされ、この関係が制御装置45に記憶される。その記憶した関係と、操作量センサ41により検出した操作量δhと、速度センサ43により検出した車速Vとから目標操舵トルクTa* を演算し、その演算した目標操舵トルクTa* と操作側トルクセンサ46により検出した操作トルクThとの偏差を低減するように制御装置45は操舵用アクチュエータ3を制御する。
【0028】
操舵用アクチュエータ3の異常検知手段が設けられている。例えば、制御装置45により演算された目標舵角δ* と舵角センサ42の検出舵角δとの偏差を制御装置45はモニターし、その偏差が設定値以上であれば操舵用アクチュエータ3が異常であると判断する。
【0029】
その操舵用アクチュエータ3の異常検知時に、制御装置45は規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制し、通電を遮断することで操舵用アクチュエータ3の駆動を解除し、操舵補助トルクを作用させることができるように調整用アクチュエータ39を制御する。例えば図6に示すように、操舵補助トルクの作用により目標操舵トルクTa* の大きさは操作量δhが大きくなる程に大きくなり、また、車速Vが小さくなる程に小さくなるものとされ、この関係が制御装置45に記憶される。その記憶した関係と、操作量センサ41により検出した操作量δhと、速度センサ43により検出した車速Vとから目標操舵トルクTa* を演算し、その演算した目標操舵トルクTa* と操作側トルクセンサ46により検出した操作トルクThとの偏差を低減するように制御装置45は調整用アクチュエータ39を制御する。
【0030】
また、調整用アクチュエータ39と操舵用アクチュエータ3の両方の異常検知時に、制御装置45は規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制し、通電を遮断することで操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39の駆動を解除する。これにより、操舵装置1は通常のマニュアルタイプのステアリング装置として機能する。
【0031】
制御装置45の異常検知手段が設けられている。本実施形態では、制御装置45に第2制御装置56と第3制御装置57とが接続され、各制御装置45、56、57は互いに独立して同一の演算を行い、その演算結果を互いに比較する。制御装置45のみの演算結果が異なると、第2制御装置56は異常検知信号を出力する。その異常検知信号により操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39が通電遮断により駆動解除され、規制機構50は両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制する。これにより、制御装置45の異常検知時に操舵装置1は通常のマニュアルタイプのステアリング装置として機能する。
【0032】
図7のフローチャートを参照して制御装置45、56、57による制御手順を説明する。
まず、各センサの検出値を読み込む(ステップS1)。次に、異常フラグがオンか否かを判断する(ステップS2)。異常フラグがオンでなければ、dδh/dt・dδ/dtの符号の正負により操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致するか否かを判断する(ステップS3)。操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致する場合、調整用アクチュエータ39のDuty* の演算に際して用いられる制御ゲインが標準値αとされる(ステップS4)。操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない場合、その制御ゲインは標準値αの1.2倍とされる(ステップS5)。しかる後に上記のように求めた目標舵角δ* と実舵角δとの偏差を低減するように操舵用アクチュエータ3を制御する(ステップS6)。また、上記のように求めた目標操作トルクTh* と操作トルクThとの偏差を低減するように調整用アクチュエータ39を制御する(ステップS7)。しかる後に異常検知信号の有無を判断し(ステップS8)、異常検知信号がなければ制御を終了するか否かを、例えば車両のイグニッションスイッチがオンか否かにより判断する(ステップS9)。終了する場合は異常フラグをオフし(ステップS10)、しかる後に制御を終了する。制御を終了しない場合はステップS1に戻る。ステップS2において異常フラグがオンである場合、ステップS8において異常検知信号が出力されている場合、異常対応処理を行う(ステップS11)。すなわち、調整用アクチュエータ39の異常が検知された場合は、規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化が規制され、通電が遮断されることで調整用アクチュエータ39の駆動が解除され、操舵用アクチュエータ3は操舵補助トルクを作用させるように制御される。操舵用アクチュエータ3の異常が検知された場合は、規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化が規制され、通電が遮断されることで操舵用アクチュエータ3の駆動が解除され、調整用アクチュエータ39は操舵補助トルクを作用させるように制御される。調整用アクチュエータ39と操舵用アクチュエータ3の両方の異常が検知された場合と、制御系の異常が検知された場合は、上記のように規制機構50により操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比の変化が規制され、通電が遮断されることで操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39の駆動が解除される。しかる後に異常フラグをオンし(ステップS12)、ステップS9で終了するか否かを判断する。
【0033】
上記実施形態によれば、操作部材2に機械的に連結された操作側回転部材12と車輪4に機械的に連結された車輪側回転部材13とが伝動機構20を介して互いに回転伝達可能であるので、フェールセーフ機能の確実性を向上することができる。調整用アクチュエータ39の制御により車輪側回転部材13と操作側回転部材12との間の回転伝達比を変化させることで、操作部材2に作用する操作トルクを円滑に変化させることができる。さらに、調整用アクチュエータ39または操舵用アクチュエータ3の異常検知時に操舵装置はパワーステアリング装置として機能することができ、調整用アクチュエータ39と操舵用アクチュエータ3の両方の異常や制御系の異常が生じてもマニュアルタイプのステアリング装置として機能することができる。その伝動機構20を遊星ギヤ機構30と、その遊星ギヤ機構30の構成要素の一つを駆動する調整用アクチュエータ39とにより構成し、構成の簡単化を図ることができる。そして、操作部材2の操作方向と舵角δの変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作角δhの変化に対する操作部材2に作用する操作トルクThの変化の比率が大きくなるように調整用アクチュエータ39が制御される。これにより、操作部材2の操作方向を急激に変化させた場合の調整用アクチュエータ39の応答遅れを抑制し、操作部材2に適正な操作トルクThを作用させることができる。
【0034】
本発明は上記実施形態や変形例に限定されない。
例えば、なお、舵角変化による車両の挙動変化に対応する挙動指標値は横加速度Gyやヨーレートγや操舵用挙動指標値Dに限定されないが、横加速度Gyのように舵角変化による車両の少なくとも一方向における挙動変化の加速度に対応する値に相関するのが好ましい。操作側回転部材12にサンギヤ31を連結し、車輪側回転部材13にリングギヤ32を連結し、キャリア34を調整用アクチュエータ39により駆動してもよいし、操作側回転部材12にリングギヤ32あるいはキャリア34を連結し、車輪側回転部材13に連結される遊星ギヤ機構30の構成要素を操作側回転部材12に連結されていないサンギヤ31あるいはリングギヤ32とし、調整用アクチュエータ39により駆動される遊星ギヤ機構30の構成要素を両回転部材12、13に連結されていないサンギヤ31あるいはキャリア34としてもよい。すなわち、サンギヤ31、リングギヤ32、キャリア34の各遊星ギヤ構成要素の中の何れかを操作側回転部材12に連結し、各遊星ギヤ構成要素の中で操作側回転部材12に連結されていない何れかを車輪側回転部材13に連結し、各遊星ギヤ構成要素の中で両回転部材12、13に連結されていないものを調整用アクチュエータ39により回転駆動してもよい。さらに、遊星ギヤ機構30以外の、例えば遊星コーン式回転伝達機構、遊星ローラ式回転伝達機構、ディファレンシャルギヤ機構、波動歯車減速機構、ボール減速機のような、相対的に回転する3つの構成要素を有すると共に、その構成要素の中の一つの回転速度の相違に応じて他の構成要素間での回転伝達比を変更可能な伝動機構を用い、その3つの構成要素の中の何れかを操作側回転部材12に連結し、操作側回転部材12に連結されていない何れかを車輪側回転部材13に連結し、残りの構成要素を調整用アクチュエータ39により駆動するようにしてもよい。また、制御系の構成は本発明の作用効果を奏することができれば特に限定されない。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、ドライバーによる操作部材の操作に対する舵角の変化特性をアクチュエータの制御により変更可能な車両用操舵装置において、ドライバーの操舵フィーリングを低下させることなく確実にフェールセーフ機能を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の車両用操舵装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態の車両用操舵装置における伝動機構の断面図
【図3】本発明の実施形態の車両用操舵装置の制御構成を示すブロック線図
【図4】本発明の実施形態の車両用操舵装置における車速が設定値未満の場合の操舵用アクチュエータの制御構成を示すブロック線図
【図5】本発明の実施形態の車両用操舵装置における規制機構の構成説明図
【図6】本発明の実施形態の車両用操舵装置における目標操舵トルクと操作部材の操作量と車速との関係を示す図
【図7】本発明の実施形態の車両用操舵装置における制御装置の制御手順を示すフローチャート
【符号の説明】
2 操作部材
3 操舵用アクチュエータ
4 車輪
5 ステアリングギヤ
12 操作側回転部材
13 車輪側回転部材
20 伝動機構
39 調整用アクチュエータ
41 操作量センサ
42 舵角センサ
45 制御装置
47 横加速度センサ
48 ヨーレートセンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライバーによる操作部材の操作に対する舵角と操作トルクの変化特性を、アクチュエータの制御によって変更可能な車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
操作部材の操作に対する舵角の変化特性と操作トルクをアクチュエータの制御により変更可能な車両用操舵装置として、操作部材と車輪とを機械的に連結しない所謂ステアバイワイヤシステムを採用したもの(特許文献1参照)と、機械的に連結したもの(特許文献2参照)がある。
【0003】
ステアバイワイヤシステムを採用した操舵装置においては、ステアリングホイールを模した操作部材を車輪に機械的に連結することなく、操舵用アクチュエータの動きを舵角変化が生じるように車輪に伝達することで操舵特性を変更している。また、路面から車輪に作用する操舵抵抗が操作部材に伝達されないことから、操作用アクチュエータにより操作部材に作用する操作トルクを発生することでドライバーに操舵フィーリングを付与している。
【0004】
操作部材と車輪とを機械的に連結した操舵装置においては、ステアリングホイールの操作に応じた入力シャフトの回転を遊星ギヤ機構等の回転伝達比可変機構を介して出力シャフトに伝達し、その出力シャフトの回転を舵角変化が生じるように車輪に伝達する際に、その遊星ギヤ機構のリングギヤ等を操舵用アクチュエータにより駆動することで操舵特性を変更している。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−002511号公報
【特許文献2】
特開2002−145093号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ステアバイワイヤシステムを採用した操舵装置においては、アクチュエータや制御系の故障時においても操作部材の操作に応じて車輪を転舵させることができるようにフェールセーフ機能が必要になる。そこで、操作部材に機械的に連結された操作側回転部材と車輪に機械的に連結された操作側回転部材を、故障時にクラッチ等を介して連結することでフェールセーフ機能を奏することが提案されている。しかし、通常は操作側回転部材と車輪側回転部材が機械的に連結されていないため、フェールセーフの確実性が十分なものではなかった。
【0007】
伝達比可変機構を介して操作部材と車輪を機械的に連結する操舵装置においては、路面の凹凸等による舵角変動を補償するための制御を行う際に、車輪の動きに応じて操作部材に作用する操作トルクが変動するため、円滑な操舵フィーリングを得るのが困難であった。
【0008】
また、操作部材に機械的に連結された操作側回転部材と、車輪に機械的に連結された車輪側回転部材と、両回転部材を互いに回転伝達可能かつ回転伝達比を変更可能に機械的に連結する伝動機構と、その操作側回転部材と車輪側回転部材の間の回転伝達比の調整用アクチュエータと、舵角を変化させる操舵用アクチュエータとを設け、その操舵用アクチュエータの制御により舵角を変化させ、その調整用アクチュエータの制御により操作部材に作用する操作トルクを変化させることが考えらる。しかし、操作部材の操作方向を急激に変化させた場合、操舵用アクチュエータの応答遅れにより操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが逆になると共に、調整用アクチュエータの応答遅れにより操作部材に作用する操作トルクが小さくなる。このような場合、操作部材を操作しているにも関わらず操舵機構が機能していないかのような違和感(いわゆる舵抜け感)をドライバーに与えるおそれがある。
本発明は、上記問題を解決することのできる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用操舵装置は、操作部材と、その操作部材の操作に応じて回転するように、その操作部材に機械的に連結された操作側回転部材と、操舵用アクチュエータと、その操舵用アクチュエータの動きを舵角変化が生じるように車輪に伝達するステアリングギヤと、その舵角変化に応じて回転するように、その車輪に機械的に連結された車輪側回転部材と、その操作側回転部材と車輪側回転部材を、互いに回転伝達可能かつ回転伝達比を変更可能に機械的に連結する伝動機構と、その伝動機構を介する操作側回転部材と車輪側回転部材の間の回転伝達比の調整用アクチュエータと、その操作部材の操作に応じて前記操舵用アクチュエータと調整用アクチュエータを制御する制御装置と、その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致するか否かを判断する手段とを備え、その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作部材の操作量の変化に対する操作部材に作用する操作トルクの変化の比率が大きくなるように前記調整用アクチュエータが制御される。
【0010】
本発明の車両用操舵装置によれば、操作部材に機械的に連結された操作側回転部材と車輪に機械的に連結された車輪側回転部材とが伝動機構を介して互いに回転伝達可能であるので、フェールセーフ機能の確実性を向上することができる。そのフェールセーフ機能は、例えば調整用アクチュエータ、操舵用アクチュエータ、制御装置の中の少なくとも一つの異常の検知手段と、その異常検知時に操作側回転部材と車輪側回転部材との間の回転伝達比の変化を規制する手段とを備える構成により奏することができる。その異常検知時においては、両アクチュエータの駆動を解除して操舵装置をマニュアルタイプのステアリング装置として機能させてもよいし、調整用アクチュエータの異常時は操舵用アクチュエータにより操舵補助力を発生し、操舵用アクチュエータの異常時は調整用アクチュエータにより操舵補助力を発生することで操舵装置をパワーステアリング装置として機能させてもよい。
【0011】
また、調整用アクチュエータにより車輪側回転部材と操作側回転部材との間の回転伝達比を変化させることで、操作トルクを車輪の動きに影響されることなく円滑に変化させることができる。
【0012】
そして、操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作部材の操作量の変化に対する操作部材に作用する操作トルクの変化の比率が大きくなるように前記調整用アクチュエータが制御される。これにより、操作部材の操作方向を急激に変化させた場合の調整用アクチュエータの応答遅れを抑制し、操作部材に適正な操作トルクを作用させることができる。この際、その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、その調整用アクチュエータの制御ゲインが大きくされるのが好ましい。これにより、調整用アクチュエータの応答遅れを容易に抑制でき、ドライバーに違和感を与えるのを防止できる。また、その操作部材の操作量を求める手段と、その操作部材の操作トルクを求める手段と、その舵角を求める手段と、舵角変化による車両の挙動変化に対応する挙動指標値を求める手段と、操作量と挙動指標値と目標舵角との間の設定した関係と、求めた操作量と、求めた挙動指標値とから目標舵角を求める手段と、操作量と挙動指標値と目標操作トルクとの間の設定した関係と、求めた操作量と、求めた挙動指標値とから目標操作トルクを求める手段とを備え、その目標舵角に舵角が対応するように操舵用アクチュエータが制御されると共に、その目標操作トルクに操作トルクが対応するように調整用アクチュエータが制御され、その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、前記目標操作トルクに対応する値が大きくされるのが好ましい。これにより、車両の挙動変化に応じて調整用アクチュエータの応答遅れを適正化することができ、操舵フィーリングを向上できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に示す車両用操舵装置1は、ステアリングホイールを模した操作部材2と、操舵用アクチュエータ3と、その操舵用アクチュエータ3の動きを舵角変化が生じるように左右車輪4に伝達するステアリングギヤ5とを備える。その操舵用アクチュエータ3は、例えば公知のブラシレスモータや油圧モータ等により構成できる。そのステアリングギヤ5は、その操舵用アクチュエータ3の出力シャフト3aの回転運動をステアリングロッド7の直線運動に変換する運動変換機構を有する。そのステアリングロッド7の動きがタイロッド8とナックルアーム9を介して車輪4に伝達されることで車輪4のトー角が変化する。その運動変換機構は、本実施形態では、操舵用アクチュエータ3の出力シャフト3aに取り付けられたピニオン10と、このピニオン10に噛み合うラック11とから構成され、そのラック11はステアリングロッド7に形成されている。その操舵用アクチュエータ3の動きを舵角が変化するように車輪4に伝達できればステアリングギヤ5の構成は特に限定されない。車輪4はセルフアライニングトルクが生じるようにホイールアラインメントが設定されている。
【0014】
操作部材2の操作に応じて回転するように、その操作部材2にシャフト状の操作側回転部材12が機械的に連結されている。本実施形態の操作側回転部材12は操作部材2に同行回転するように取り付けられている。なお、操作側回転部材12は、操作部材2の操作に応じて回転するように操作部材2に機械的に連結されていればよく、例えば変速ギヤ機構を介して連結されてもよい。
【0015】
舵角の変化に応じて回転するように、車輪4に車輪側回転部材13が機械的に連結されている。本実施形態の車輪側回転部材13は、上記ラック11に噛み合うピニオン14に同行回転するよう連結されている。なお、車輪側回転部材13は、舵角の変化に応じて回転するように車輪4に機械的に連結されていればよく、車輪4との連結はラック11とピニオン14を介するものに限定されない。
【0016】
操作側回転部材12と車輪側回転部材13は伝動機構20を介して互いに回転伝達可能に機械的に連結されている。その伝動機構20は操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比を変更可能である。すなわち図2に示すように、伝動機構20はハウジング23と、このハウジング23により覆われる遊星ギヤ機構30を有する。ハウジング23は操作側回転部材12をベアリング21、22を介して支持し、車輪側回転部材13をベアリング24、25を介して支持する。車輪側回転部材13と操作側回転部材12は同軸心に隙間を介して配置される。その遊星ギヤ機構30を介して操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間で回転伝達が行われる。
【0017】
その遊星ギヤ機構30は、3つの相対回転可能な構成要素としてサンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを有し、サンギヤ31とリングギヤ32とに噛み合う遊星ギヤ33をキャリア34により保持している。サンギヤ31は、操作側回転部材12の端部に同行回転するように連結されている。キャリア34は、車輪側回転部材13に同行回転するように連結されている。リングギヤ32は、操作側回転部材12を囲むホルダー36にボルト362を介して固定されている。そのホルダー36は、操作側回転部材12を囲むようにハウジング23に固定された筒状部材35によりベアリング29を介して支持されている。そのホルダー36の外周にウォームホイール37が同行回転するように嵌め合わされている。そのウォームホイール37に噛み合うウォーム38がハウジング23により支持されている。そのウォーム38がハウジング23に取り付けられた調整用アクチュエータ39により駆動されることで、遊星ギヤ機構30の構成要素であるリングギヤ32が調整用アクチュエータ39により駆動される。その調整用アクチュエータ39は、例えば公知のブラシレスモータ等の電動モータや油圧モータにより構成できる。その調整用アクチュエータ39によりリングギヤ32の回転速度を変化させることで、操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比を変更できる。
【0018】
その操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39の制御系が設けられている。本実施形態では、図1に示すように、操作部材2の操作量δhとして操作側回転部材12の回転角が操作量センサ41により求められ、その回転角の符号は操作部材2が直進状態から左右一方に操作された時は正、左右他方に操作された時は負とされる。舵角δとして車輪4の転舵量に対応する車輪側回転部材13の回転角が舵角センサ42により求められ、その回転角の符号は舵角δが直進状態から左右一方に変化した時は正、左右他方に変化した時は負とされる。車速Vが速度センサ43により検出される。操作部材2の操作トルクThがトルクセンサ46により検出される。調整用アクチュエータ39を構成するモータ電流Ihが電流センサ44により検出される。舵角変化による車両の挙動変化に対応する挙動指標値として車両の横加速度Gyが横加速度センサ47により検出される。舵角変化による車両の挙動変化に対応する挙動指標値として車両のヨーレートγがヨーレートセンサ48により検出される。各センサ41、42、43、44、46、47、48はコンピュータにより構成される制御装置45に接続される。制御装置45は操作部材2の操作に応じて操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39を駆動回路3b、39aを介して制御する。
【0019】
図3は、車速が予め設定した車速Va以上である場合の制御装置45による操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39の制御ブロック図を示す。図3において、Th* は目標操作トルク、δ* は目標舵角、δFFは舵角設定値、δFBは舵角修正値、Ih* は調整用アクチュエータ39の目標モータ電流、i* は操舵用アクチュエータ3の目標モータ電流、Duty* は駆動回路39aにより調整用アクチュエータ39をPWM制御する際の目標PWMデューティ、Dは舵角変化による車両100の挙動変化に対応する操舵用挙動指標値、D* は目標操舵用挙動指標値である。
【0020】
操舵用挙動指標値Dは、横加速度加重比をK1、ヨーレート加重比をK2、K1+K2=1として、以下の関係式により求められる。
D=K1・Gy+K2・γ・V
その関係式は制御装置45に記憶され、この関係式と、横加速度Gy、ヨーレートγ、車速Vの各検出値とから操舵用挙動指標値Dが演算される。K1とK2の比率は、操舵用挙動指標値Dが舵角変化による車両の挙動変化に対応するように設定すればよく、例えばK1=K2=0.5といったような一定値としてもよいし、舵角変化による車両の挙動変化に影響する車速等に応じて変化させてもよい。
制御装置45は、検出操作角δhに応じた目標操舵用挙動指標値D* を伝達関数G1に基づき演算する。そのδhとD* との関係である伝達関数G1は予め定められて制御装置45に記憶される。例えばKD1を比例定数としてG1=KD1・Vとされ、D* =KD1・V・δhにより目標操舵用挙動指標値D* が求められる。その比例定数KD1は最適な制御を行えるように調整される。なお、伝達関数G1は車速Vに比例するものに限定されず定数としてもよい。
制御装置45は、目標操舵用挙動指標値D* に応じた舵角設定値δFFを伝達関数G2に基づき演算する。そのD* とδFFとの関係である伝達関数G2は予め定められて制御装置45に記憶される。例えばGD (v)を舵角に対する横加速度の定常ゲインとしてG2=1/GD (v)とされ、δFF=D* /GD (v)により舵角設定値δFFが求められる。そのゲインGD (v)は、SFをスタビリティファクタ、Lをホイールベースとして次式により求められる。
GD (v)=V2 /{(1+SF・V2 )L}
制御装置45は、目標操舵用挙動指標値D* から、検出横加速度Gy、検出ヨーレートγ、検出車速Vに基づき求めた操舵用挙動指標値Dを差し引いた偏差(D* −D)を演算し、その偏差(D* −D)に応じた舵角修正値δFBを伝達関数G3に基づき演算する。その偏差(D* −D)とδFBとの関係である伝達関数G3は予め定められて制御装置45に記憶される。例えばKpを比例ゲイン、Kiを積分ゲイン、sをラプラス演算子として、PI制御がなされるようにG3=(Kp+Ki/s)/GD (v)とされ、δFB=(Kp+Ki/s)・(D* −D)/GD (v)により舵角修正値δFBが求められる。そのKp、Kiは最適な制御を行えるように調整される。
制御装置45は舵角設定値δFFと舵角修正値δFBの和として目標舵角δ* を演算する。その舵角設定値δFFは操舵用アクチュエータ3の制御におけるフィードフォワード項に対応し、その舵角修正値δFBは操舵用アクチュエータ3の制御におけるフィードバック項に対応することから、操舵用アクチュエータ3に対してフィードフォワード制御とフィードバック制御の統合制御が行われる。
これにより制御装置45は、操作角δhと操舵用挙動指標値Dと目標舵角δ* との間の設定した関係を記憶し、その設定した関係と、求めた操舵用挙動指標値Dとから目標舵角δ* を求めることになる。
制御装置45は、目標舵角δ* に応じた操舵用アクチュエータ3の目標モータ電流i* を伝達関数G4に基づき演算する。そのδ* とi* との関係である伝達関数G4は予め定められて制御装置45に記憶される。例えばKbをゲイン、Tbを時定数として、PI制御がなされるようにG4=Kb・〔1+1/(Tb・s)〕とされ、i* =Kb〔1+1/(Tb・s)〕・δ* により目標モータ電流i* が求められる。そのゲインKbおよび時定数Tbは最適な制御を行えるように調整される。その目標モータ電流i* に応じて操舵用アクチュエータ3が駆動回路3bを介して駆動される。これにより、舵角δが目標舵角δ* に対応するように操舵用アクチュエータ3が制御装置45により制御され、その制御により操作角δh、車速V、ヨーレートγ、横加速度Gyといった車両運転条件の変化に応じて操作角δhと舵角δの比が変化する。
【0021】
図4は、車速が予め設定した車速Va未満である場合における制御装置45による操舵用アクチュエータ3の制御ブロック図を示す。車速がVa以上である場合とVa未満である場合とは目標操作トルクTh* と目標舵角δ* の求め方が異なるものとされている。すなわち図4において、G6はδhに対するδ* の伝達関数である。その予め設定する車速Vaは、その車速Va以上であれば操舵用挙動指標値Dに基づき目標舵角δ* を適正に設定できるように定めればよく、例えば2.78m/sとされる。制御装置45は、検出操作角δhに応じた目標舵角δ* を伝達関数G6に基づき演算する。その伝達関数G6は予め定められて制御装置45に記憶される。例えば比例ゲインを車速Vの関数Ka(v)としてG6=Ka(v)とされ、δ* =Ka(v)・δhにより目標舵角δ* が求められる。また、その予め設定した車速Vaにおいては、伝達関数G6に基づき求めた目標舵角δ* と、上記伝達関数G1、G2に基づき求めた舵角設定値δFFとが等しくされる。これにより以下の式が成立する。
δ* =δFF={KD1・Va/GD (v)}δh=Ka(v)・δh
そのKa(v)の値は、例えば車速V=0m/sにおける値を設定し、V=2.78m/sにおける{KD1・Va/GD (v)}の値との間を補間することにより求める。
【0022】
目標操作トルクTh* は、操作角δh、ヨーレートγ、横加速度Gy、車速Vの関数Fとされ、制御装置45はTh* =F(δh、γ、Gy、V)の関係により目標操作トルクTh* を求める。その関数Fは予め設定されて制御装置45に記憶され、例えばK3、K4、K5、K6を係数として以下の式とされる。
F(δh、γ、Gy、V)=K3×δh×K4(K5・Gy+K6・γ・V)
これにより制御装置45は、操作角δhと挙動指標値である横加速度Gyおよびヨーレートγと目標操作トルクTh* との間の設定した関係を記憶し、その設定した関係と、求めた挙動指標値とから目標操作トルクTh* を求めることになる。その目標操作トルクTh* と検出した操作トルクThとの偏差を低減するように調整用アクチュエータ39を制御することで、操作部材2に操作トルクThが作用する。例えば制御装置45は、目標操作トルクTh* と操作トルクThとの偏差に対する調整用アクチュエータ39の目標モータ電流Ih* の伝達関数Ghを記憶し、Ih* =Gh・(Th* −Th)の関係と求めた偏差(Th* −Th)とからIh* を演算する。その伝達関数Ghは、例えばPID制御を行う場合、Kcをゲイン、tc、tc′を時定数、sをラプラス演算子として、Gh=Kc〔1+1/(tc・s)+tc′・s〕とされ、そのゲインKcおよび時定数tc、tc′は最適な制御を行えるように調整される。さらに制御装置45は、調整用アクチュエータ39の目標モータ電流Ih* とモータ電流Ihとの偏差に対する目標PWMデューティDuty* の伝達関数Gpを記憶し、Duty* =Gp・(Ih* −Ih)の関係と求めた偏差(Ih* −Ih)とからDuty* を演算する。その伝達関数Gpは、例えばPID制御を行う場合、Kdをゲイン、td、td′を時定数、sをラプラス演算子として、Gp=Kd〔1+1/(td・s)+td′・s〕とされ、そのゲインKdおよび時定数td、td′は最適な制御を行えるように調整される。そのDuty* に応じて調整用アクチュエータ39が駆動回路39aを介してPWM制御される。これにより、操作角δhが目標操作角δh* に対応するように調整用アクチュエータ39が制御装置45により制御される。
【0023】
制御装置45は、操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致するか否かを判断する。本実施形態では、操作角δhの変化速度dδh/dtの符号は左右一方への操作時は正、左右他方への操作時は負とされ、舵角δの変化速度dδ/dtの符号は左右一方への変化時は正、左右他方への変化時は負とされ、操作角δhの変化速度と舵角δの変化速度との積dδh/dt・dδ/dtの符号の正負により操作部材2の操作方向と舵角δの変化方向とが一致するか否かが判断される。
【0024】
操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作角δhの変化に対する操作部材2に作用する操作トルクThの変化の比率が大きくなるように調整用アクチュエータ39が制御される。例えば、操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、伝達関数GpのゲインKdが大きくされることで、調整用アクチュエータ39の制御ゲインが大きくされる。なお、ゲインKdだけでなく時定数td、td′も変化させてもよい。また、ゲインKdに代えて、あるいはゲインKdと共に、伝達関数GhのゲインKcを操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも大きくしてもよい。さらに、制御ゲインに代えて、あるいは制御ゲインと共に、操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、関数F(δh、γ、Gy、V)を変化させて目標操作トルクTh* を大きくしてもよい。また、調整用アクチュエータ39のPID制御を行う際のDuty* をサンプリングした離散データから演算するため、比例項と積分項と微分項の和によって求めるものとし、各制御周期それぞれにおけるDuty* は電流偏差(Ih* −Ih)の今回値と前回値との偏差に係数Paを掛けた比例項と、電流偏差(Ih* −Ih)に係数Pbを掛けた積分項と、電流偏差(Ih* −Ih)の今回値と前回値との偏差から前回値と前々回値との偏差を差し引いた値に係数Pcを掛けた微分項の和とし、その係数Paを操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも大きく(例えば1.2倍)することで、調整用アクチュエータ39の制御ゲインを大きくしてもよい。この場合、係数Pb、Pcも係数Paと同じ割合あるいは異なる割合で大きくしてもよい。
【0025】
調整用アクチュエータ39の異常検知手段が設けられている。例えば、制御装置45により演算された調整用アクチュエータ39の目標電流Ih* とセンサ44の検出電流Ihとの偏差を制御装置45はモニターし、その偏差が設定値以上であれば調整用アクチュエータ39が異常であると判断する。
【0026】
操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比の変化を規制可能な規制機構50が設けられている。その規制機構50は、両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制できれば構成は特に限定されない。本実施形態では、図5に示すように、ハウジング23に駆動装置52を介して取り付けられる押し付け部材51を有する。その押し付け部材51はウォームホイール37の外周に対向する。その駆動装置52は、例えば押し付け部材51にウォームホイール37から離れる方向の力を作用させるソレノイドと、制御装置45からの異常検知信号によりソレノイドへの通電が解除されると、押し付け部材51をウォームホイール37の外周に押しつけるバネとで構成される。その押し付け部材51にウォームホイール37の歯37aに噛み合う歯51aが形成されている。その押し付け部材51とウォームホイール37とが噛み合うことで、ウォームホイール37と一体のリングギヤ32の回転はロックされるので、操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比の変化は規制され、遊星ギヤ機構は減速比一定の回転伝達機構として機能する。
【0027】
調整用アクチュエータ39の異常検知時に、制御装置45は規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制し、通電を遮断することで調整用アクチュエータ39の駆動を解除し、操舵補助トルクを作用させることができるように操舵用アクチュエータ3を制御する。例えば図6に示すように、操舵補助トルクの作用により目標操舵トルクTa* の大きさは操作量δhが大きくなる程に大きくなり、また、車速Vが小さくなる程に小さくなるものとされ、この関係が制御装置45に記憶される。その記憶した関係と、操作量センサ41により検出した操作量δhと、速度センサ43により検出した車速Vとから目標操舵トルクTa* を演算し、その演算した目標操舵トルクTa* と操作側トルクセンサ46により検出した操作トルクThとの偏差を低減するように制御装置45は操舵用アクチュエータ3を制御する。
【0028】
操舵用アクチュエータ3の異常検知手段が設けられている。例えば、制御装置45により演算された目標舵角δ* と舵角センサ42の検出舵角δとの偏差を制御装置45はモニターし、その偏差が設定値以上であれば操舵用アクチュエータ3が異常であると判断する。
【0029】
その操舵用アクチュエータ3の異常検知時に、制御装置45は規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制し、通電を遮断することで操舵用アクチュエータ3の駆動を解除し、操舵補助トルクを作用させることができるように調整用アクチュエータ39を制御する。例えば図6に示すように、操舵補助トルクの作用により目標操舵トルクTa* の大きさは操作量δhが大きくなる程に大きくなり、また、車速Vが小さくなる程に小さくなるものとされ、この関係が制御装置45に記憶される。その記憶した関係と、操作量センサ41により検出した操作量δhと、速度センサ43により検出した車速Vとから目標操舵トルクTa* を演算し、その演算した目標操舵トルクTa* と操作側トルクセンサ46により検出した操作トルクThとの偏差を低減するように制御装置45は調整用アクチュエータ39を制御する。
【0030】
また、調整用アクチュエータ39と操舵用アクチュエータ3の両方の異常検知時に、制御装置45は規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制し、通電を遮断することで操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39の駆動を解除する。これにより、操舵装置1は通常のマニュアルタイプのステアリング装置として機能する。
【0031】
制御装置45の異常検知手段が設けられている。本実施形態では、制御装置45に第2制御装置56と第3制御装置57とが接続され、各制御装置45、56、57は互いに独立して同一の演算を行い、その演算結果を互いに比較する。制御装置45のみの演算結果が異なると、第2制御装置56は異常検知信号を出力する。その異常検知信号により操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39が通電遮断により駆動解除され、規制機構50は両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化を規制する。これにより、制御装置45の異常検知時に操舵装置1は通常のマニュアルタイプのステアリング装置として機能する。
【0032】
図7のフローチャートを参照して制御装置45、56、57による制御手順を説明する。
まず、各センサの検出値を読み込む(ステップS1)。次に、異常フラグがオンか否かを判断する(ステップS2)。異常フラグがオンでなければ、dδh/dt・dδ/dtの符号の正負により操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致するか否かを判断する(ステップS3)。操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致する場合、調整用アクチュエータ39のDuty* の演算に際して用いられる制御ゲインが標準値αとされる(ステップS4)。操作部材2の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない場合、その制御ゲインは標準値αの1.2倍とされる(ステップS5)。しかる後に上記のように求めた目標舵角δ* と実舵角δとの偏差を低減するように操舵用アクチュエータ3を制御する(ステップS6)。また、上記のように求めた目標操作トルクTh* と操作トルクThとの偏差を低減するように調整用アクチュエータ39を制御する(ステップS7)。しかる後に異常検知信号の有無を判断し(ステップS8)、異常検知信号がなければ制御を終了するか否かを、例えば車両のイグニッションスイッチがオンか否かにより判断する(ステップS9)。終了する場合は異常フラグをオフし(ステップS10)、しかる後に制御を終了する。制御を終了しない場合はステップS1に戻る。ステップS2において異常フラグがオンである場合、ステップS8において異常検知信号が出力されている場合、異常対応処理を行う(ステップS11)。すなわち、調整用アクチュエータ39の異常が検知された場合は、規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化が規制され、通電が遮断されることで調整用アクチュエータ39の駆動が解除され、操舵用アクチュエータ3は操舵補助トルクを作用させるように制御される。操舵用アクチュエータ3の異常が検知された場合は、規制機構50により両回転部材12、13の間の回転伝達比の変化が規制され、通電が遮断されることで操舵用アクチュエータ3の駆動が解除され、調整用アクチュエータ39は操舵補助トルクを作用させるように制御される。調整用アクチュエータ39と操舵用アクチュエータ3の両方の異常が検知された場合と、制御系の異常が検知された場合は、上記のように規制機構50により操作側回転部材12と車輪側回転部材13との間の回転伝達比の変化が規制され、通電が遮断されることで操舵用アクチュエータ3と調整用アクチュエータ39の駆動が解除される。しかる後に異常フラグをオンし(ステップS12)、ステップS9で終了するか否かを判断する。
【0033】
上記実施形態によれば、操作部材2に機械的に連結された操作側回転部材12と車輪4に機械的に連結された車輪側回転部材13とが伝動機構20を介して互いに回転伝達可能であるので、フェールセーフ機能の確実性を向上することができる。調整用アクチュエータ39の制御により車輪側回転部材13と操作側回転部材12との間の回転伝達比を変化させることで、操作部材2に作用する操作トルクを円滑に変化させることができる。さらに、調整用アクチュエータ39または操舵用アクチュエータ3の異常検知時に操舵装置はパワーステアリング装置として機能することができ、調整用アクチュエータ39と操舵用アクチュエータ3の両方の異常や制御系の異常が生じてもマニュアルタイプのステアリング装置として機能することができる。その伝動機構20を遊星ギヤ機構30と、その遊星ギヤ機構30の構成要素の一つを駆動する調整用アクチュエータ39とにより構成し、構成の簡単化を図ることができる。そして、操作部材2の操作方向と舵角δの変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作角δhの変化に対する操作部材2に作用する操作トルクThの変化の比率が大きくなるように調整用アクチュエータ39が制御される。これにより、操作部材2の操作方向を急激に変化させた場合の調整用アクチュエータ39の応答遅れを抑制し、操作部材2に適正な操作トルクThを作用させることができる。
【0034】
本発明は上記実施形態や変形例に限定されない。
例えば、なお、舵角変化による車両の挙動変化に対応する挙動指標値は横加速度Gyやヨーレートγや操舵用挙動指標値Dに限定されないが、横加速度Gyのように舵角変化による車両の少なくとも一方向における挙動変化の加速度に対応する値に相関するのが好ましい。操作側回転部材12にサンギヤ31を連結し、車輪側回転部材13にリングギヤ32を連結し、キャリア34を調整用アクチュエータ39により駆動してもよいし、操作側回転部材12にリングギヤ32あるいはキャリア34を連結し、車輪側回転部材13に連結される遊星ギヤ機構30の構成要素を操作側回転部材12に連結されていないサンギヤ31あるいはリングギヤ32とし、調整用アクチュエータ39により駆動される遊星ギヤ機構30の構成要素を両回転部材12、13に連結されていないサンギヤ31あるいはキャリア34としてもよい。すなわち、サンギヤ31、リングギヤ32、キャリア34の各遊星ギヤ構成要素の中の何れかを操作側回転部材12に連結し、各遊星ギヤ構成要素の中で操作側回転部材12に連結されていない何れかを車輪側回転部材13に連結し、各遊星ギヤ構成要素の中で両回転部材12、13に連結されていないものを調整用アクチュエータ39により回転駆動してもよい。さらに、遊星ギヤ機構30以外の、例えば遊星コーン式回転伝達機構、遊星ローラ式回転伝達機構、ディファレンシャルギヤ機構、波動歯車減速機構、ボール減速機のような、相対的に回転する3つの構成要素を有すると共に、その構成要素の中の一つの回転速度の相違に応じて他の構成要素間での回転伝達比を変更可能な伝動機構を用い、その3つの構成要素の中の何れかを操作側回転部材12に連結し、操作側回転部材12に連結されていない何れかを車輪側回転部材13に連結し、残りの構成要素を調整用アクチュエータ39により駆動するようにしてもよい。また、制御系の構成は本発明の作用効果を奏することができれば特に限定されない。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、ドライバーによる操作部材の操作に対する舵角の変化特性をアクチュエータの制御により変更可能な車両用操舵装置において、ドライバーの操舵フィーリングを低下させることなく確実にフェールセーフ機能を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の車両用操舵装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態の車両用操舵装置における伝動機構の断面図
【図3】本発明の実施形態の車両用操舵装置の制御構成を示すブロック線図
【図4】本発明の実施形態の車両用操舵装置における車速が設定値未満の場合の操舵用アクチュエータの制御構成を示すブロック線図
【図5】本発明の実施形態の車両用操舵装置における規制機構の構成説明図
【図6】本発明の実施形態の車両用操舵装置における目標操舵トルクと操作部材の操作量と車速との関係を示す図
【図7】本発明の実施形態の車両用操舵装置における制御装置の制御手順を示すフローチャート
【符号の説明】
2 操作部材
3 操舵用アクチュエータ
4 車輪
5 ステアリングギヤ
12 操作側回転部材
13 車輪側回転部材
20 伝動機構
39 調整用アクチュエータ
41 操作量センサ
42 舵角センサ
45 制御装置
47 横加速度センサ
48 ヨーレートセンサ
Claims (3)
- 操作部材と、
その操作部材の操作に応じて回転するように、その操作部材に機械的に連結された操作側回転部材と、
操舵用アクチュエータと、
その操舵用アクチュエータの動きを舵角変化が生じるように車輪に伝達するステアリングギヤと、
その舵角変化に応じて回転するように、その車輪に機械的に連結された車輪側回転部材と、
その操作側回転部材と車輪側回転部材を、互いに回転伝達可能かつ回転伝達比を変更可能に機械的に連結する伝動機構と、
その伝動機構を介する操作側回転部材と車輪側回転部材の間の回転伝達比の調整用アクチュエータと、
その操作部材の操作に応じて前記操舵用アクチュエータと調整用アクチュエータを制御する制御装置と、
その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致するか否かを判断する手段とを備え、
その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、操作部材の操作量の変化に対する操作部材に作用する操作トルクの変化の比率が大きくなるように前記調整用アクチュエータが制御される車両用操舵装置。 - その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、その調整用アクチュエータの制御ゲインが大きくされる請求項1に記載の車両用操舵装置。
- その操作部材の操作量を求める手段と、
その操作部材の操作トルクを求める手段と、
その舵角を求める手段と、
舵角変化による車両の挙動変化に対応する挙動指標値を求める手段と、
操作量と挙動指標値と目標舵角との間の設定した関係と、求めた操作量と、求めた挙動指標値とから目標舵角を求める手段と、
操作量と挙動指標値と目標操作トルクとの間の設定した関係と、求めた操作量と、求めた挙動指標値とから目標操作トルクを求める手段とを備え、
その目標舵角に舵角が対応するように操舵用アクチュエータが制御されると共に、その目標操作トルクに操作トルクが対応するように調整用アクチュエータが制御され、
その操作部材の操作方向と舵角の変化方向とが一致しない時は一致する時よりも、前記目標操作トルクに対応する値が大きくされる請求項1または2に記載の車両用操舵装置。
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