JP4609615B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、いわゆるステアバイワイヤシステムを採用した車両の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステアバイワイヤシステムを採用した車両においては、ステアリングホイールを模した操作部材を車輪に機械的に連結することなく、その操作部材の回転に応じて駆動される操舵用アクチュエータの動きを、その動きに応じて舵角が変化するように車輪に伝達している。そのため、車輪と路面との間の摩擦に基づく操舵抵抗やセルフアライニングトルクは、その操作部材には伝達されない。
【0003】
そこで、その操作部材を直進位置に戻す方向の反力を作用させることで、ステアリングホイールが車輪に機械的に連結された通常の車両と同様に、ドライバーに操舵フィーリングを与え、また、操作部材を直進位置に復帰させている。その反力を作用させるため、その操作部材の回転量を検出するセンサと、そのセンサにより検出した回転量に応じて反力を発生する反力アクチュエータを用いている。
【0004】
従来、その反力の大きさは操作部材の回転量に比例するものとされていた。すなわち、操作部材の回転量として回転角度を検出するセンサを設け、図7に示すように、その検出した回転角度に比例した電圧指示値を反力アクチュエータに印加していた。さらに、直進位置近傍において操作部材の遊びを確保するため、その回転角度の大きさが設定量(図示例では10度)以下では電圧指示値を零にしていた。なお、その回転角度と電圧指示値は左右一方への操舵時は正、左右他方への操舵時は負とされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
直進位置近傍での反力アクチュエータへの電圧指示値が零であると、直進位置近傍では操作部材の操作が軽過ぎ、その直進位置近傍を超えると急に反力が付加されて操作が重くなる。そのため、ドライバーは大きな違和感を感じる。
【0006】
そこで図8に示すように、電圧指示値を零にする範囲をなくし、検出した回転角度に比例した電圧指示値を反力アクチュエータに印加することが考えられる。しかし、反力アクチュエータを構成する電動モータは、その性質上、ある一定以上の電圧を印加しないと回転しない。そのため、やはり直進位置近傍では操作部材の操作が軽過ぎ、その直進位置近傍を超えると急に反力が付加されて操作が重くなってしまう。
【0007】
そこで、図9に示すように、操作部材の回転開始当初における電圧指示値の大きさを、反力アクチュエータを回転させるのに必要な大きさとすることが考えられる。これにより、操作部材が回転を開始したならば即座に反力アクチュエータにより反力を発生することができる。しかし、直進位置近傍においてドライバーが操舵の意思なく手を添えることにより操作部材が僅かに回転した場合でも、操作部材の回転角の増加により反力が増加するため、ドライバーの意思に反して反力の作用方向に操作部材が回転してしまう。
【0008】
また、従来の反力アクチュエータが作用させる反力は操作部材を直進位置に復帰させる方向に作用するため、ドライバーが意識的に直進位置に向かい操作部材を回転させる場合、操作部材の操作に抵抗力が作用しない。そのため、現在の操舵方向と反対方向に急操舵を行う場合、直進位置近傍までは操作部材の操作が極端に軽くなる一方で、直進位置近傍を超えると急に反力が付加されることになる。そのため、操作に要する力の変動が極端に大きくなり、ドライバーは大きな違和感を感じる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両の操舵装置は、操作部材と、その操作部材の回転に応じて駆動される操舵用アクチュエータと、その操作部材を車輪に機械的に連結することなく、その操舵用アクチュエータの動きに応じて舵角が変化するように、その動きを車輪に伝達する機構と、その操作部材を直進位置に復帰させる方向に作用する反力を発生する反力アクチュエータと、その操作部材の直進位置からの回転量を求める手段と、その操作部材の回転速度を求める手段と、その反力アクチュエータを記憶した対応関係に基づき制御する手段とを備え、その対応関係は、その回転量の大きさが零を超える設定量以上である時は、その回転量の増減に対応して反力の大きさが増減し、その回転量の大きさがその設定量未満であって、且つ、その回転速度の大きさが零を超える設定値以上である時は、その反力の大きさが零を超える一定値となる関係を含むように定められている。その操作部材の回転量の大きさの設定量は、直進位置近傍における操作部材の遊び量に対応するように予め設定するのが好ましい。その回転速度の大きさの設定値は、ドライバーが操舵の意思なく手を添えることで操作部材が回転する時の微小な回転速度に対応するように設定するのが好ましい。
本発明によれば、操作部材の回転量の大きさが零を超える設定量以上である時は回転量の増減に対応して反力の大きさが増減するので、車輪と路面との間の摩擦に対応する反力を付与できる。操作部材の回転量の大きさが設定量未満であって、且つ、その回転速度の大きさが零を超える設定値以上である時は反力の大きさが零を超える一定とされるので、直進位置近傍で操作部材の操作が軽くなり過ぎることはなく、ドライバーが大きな違和感を感じるのを防止できる。
【0010】
その反力アクチュエータにより、その操作部材を直進位置に復帰させる方向と反対方向に作用する復帰抵抗力が発生可能とされ、その回転量が増大しているか減少しているかを判断する手段が設けられ、前記対応関係は、その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転量が増加し、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値以上である時は、大きさが一定とされた前記反力が前記反力アクチュエータにより発生させられ、その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転量が減少し、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値以上である時は、予め定めた零を超える一定の大きさの復帰抵抗力が前記反力アクチュエータにより発生させられる関係を含むように定められているのが好ましい。
これにより、直進位置近傍で操舵方向に関わらず適度な重さの操舵感を得ることができる。
【0011】
その回転量の大きさが前記設定量である時の反力の大きさは、その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値以上である時の一定の反力の大きさに等しくされているのが好ましい。これにより、操作部材を直進近傍位置を超えて操作する際に反力が変動するのを防止して円滑な操舵感を得ることができる。さらに、その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値以上である時は、その一定の反力の大きさと一定の復帰抵抗力の大きさとは互いに等しくされているのが好ましい。これにより、操作部材を直進近傍位置において操作する際に、操作を妨げる方向に作用する力が変動するのを防止して円滑な操舵感を得ることができる。
【0012】
その回転量が減少し、且つ、その操作部材の回転速度の大きさが前記設定値よりも大きな設定値以上である時は、予め定めた零を超える大きさの復帰抵抗力が前記反力アクチュエータにより発生させられるのが好ましい。その回転速度の設定値は急操舵状態に対応するように設定するのが好ましい。
これにより、現在の操舵方向と反対方向に向かい急操舵を行う場合、直進位置に復帰するまでは反力アクチュエータにより復帰抵抗力を操作部材に作用させ、操作部材の操作が極端に軽くなるのを防止できる。また、その直進位置を超えて操舵する場合に反力アクチュエータが反力を発生しても、操作に要する力の変動が大きくなるのを防止でき、ドライバーが違和感を感じるのを防止できる。
【0013】
その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値未満である時は、その反力アクチュエータによる力の発生は解除されるのが好ましい。
これにより、ドライバーが操舵の意思なく手を添えることで操作部材が僅かな速度で回転した場合に、操作部材に反力および復帰抵抗力が作用するのを防止することができ、ドライバーの意思に反して操作部材が回転してしまうのを防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に示す車両の操舵装置は、ステアリングホイールを模した操作部材1と、その操作部材1の回転に応じて駆動される操舵用アクチュエータ2と、その操作部材1を車輪4に機械的に連結することなく、その操舵用アクチュエータ2の動きに応じて舵角が変化するように、その動きを車輪4に伝達するステアリングギヤ3と、その操作部材1を直進位置に復帰させる方向に作用する反力と直進位置に復帰させる方向と反対方向に作用する復帰抵抗力とを発生する反力アクチュエータ19とを備える。
【0015】
その操舵用アクチュエータ2は、例えば公知のブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。そのステアリングギヤ3は、その操舵用アクチュエータ2の出力シャフトの回転運動をステアリングロッド7の直線運動に変換する例えばボールネジ機構等の運動変換機構により構成されている。そのステアリングロッド7の動きがタイロッド8とナックルアーム9を介して車輪4に伝達され、その車輪4のトー角が変化する。そのステアリングギヤ3は、公知のものを用いることができ、操舵用アクチュエータ2の動きを舵角が変化するように車輪4に伝達できれば構成は限定されない。なお、操舵用アクチュエータ2が駆動されていない状態では、車輪4はセルフアライニングトルクにより直進位置に復帰できるようにホイールアラインメントが設定されている。
【0016】
その操作部材1は、車体側により回転可能に支持される回転シャフト10に連結されている。その回転シャフト10に反力アクチュエータ19の出力シャフトが一体化されている。その反力アクチュエータ19はブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。
【0017】
その操作部材1の直進位置からの回転量を求める手段として、その操作部材1の直進位置からの回転角度δhを検出する角度センサ11が設けられている。車両の舵角δを検出する手段として、ステアリングロッド7の作動量を検出するポテンショメータにより構成される舵角センサ13が設けられている。車速Vを検出する速度センサ14が設けられている。その角度センサ11、舵角センサ13、速度センサ14は、コンピュータにより構成される制御装置20に接続されている。制御装置20は、時系列に検知される回転角度δhの検出値から、その回転角度δhが増大しているか減少しているかを判断し、また、操作部材1の回転速度Rを演算により求める。
【0018】
その制御装置20は、駆動回路22を介して操舵用アクチュエータ2を制御する。例えば、その操作部材1の回転角度δhと車速Vと目標舵角との間の関係を予め定めて記憶し、その舵角δと目標舵角との偏差をなくすように駆動回路22を介して操舵用アクチュエータ2の駆動信号を出力する。その回転角度δhと車速Vと目標舵角との間の関係は、車速Vが大きくなる程に回転角度δhに対応する目標舵角を小さくすることで、低速での旋回性能の向上と高速での走行安定性とを図ることができる。なお、このような操舵用アクチュエータ2の制御方法は特に限定されず、操作部材1の回転に応じて操舵用アクチュエータ2が駆動されるものであれば良く、例えば、車両のヨーレートセンサを設け、操作部材1の回転角度δhと目標ヨーレートとの間の関係を予め定めて記憶し、検出ヨーレートと目標ヨーレートとの偏差をなくすように駆動回路22を介して操舵用アクチュエータ2の駆動信号を出力してもよい。
【0019】
その制御装置20は、その操作部材1の回転角度δhと回転角度δhの増減と回転速度Rと反力の大きさと復帰抵抗力の大きさとの間の予め定められた対応関係を記憶する。その対応関係として、本実施形態においては、図2に示す関係と図3に示す関係とを記憶する。
【0020】
その図2は、回転角度δhと反力アクチュエータ19への電圧指示値との関係を示し、回転角度δhと電圧指示値の値は操作部材1が直進位置よりも左右一方に位置する時は正、左右他方に位置する時は負とされる。その回転角度δhの大きさが零を超える予め定めた設定量(図示例では10度)以上である時は、回転角度δhの増減に電圧指示値が比例して増減するものとされ、その設定量未満である時は、その電圧指示値は零とされている。
【0021】
その図3は、その回転角度δhの大きさが上記設定値未満である時の、操作部材1の回転速度Rと反力アクチュエータ19への電圧付加指示値との関係を示し、その回転速度Rと電圧付加指示値とは左右一方へ向かい操舵されている時は正、左右他方へ向かい操舵されている時は負とされる。その回転速度Rの大きさが零を超える予め定めた設定値未満である時、その電圧付加指示値は零とされる。その回転速度Rの大きさの設定値は、ドライバーが操舵の意思なく手を添えることで操作部材1が回転する時の微小な回転速度に対応するように設定するのが好ましく、本実施形態では10度/秒とされる。その回転速度Rの大きさの設定値を、例えば制御装置20がサンプリングした回転角度の検出値から演算し得る最小回転速度の大きさとしてもよく、この場合、回転速度Rの大きさが零の時に回転速度Rの大きさは設定値未満になる。その回転速度Rがその設定値以上である時、その電圧付加指示値の大きさは予め定めた一定値(図示例では2.5V)とされている。その一定値の大きさは、図2に示す関係で回転角度δhの大きさが上記設定量である時の電圧指示値の大きさと等しくされている。
【0022】
制御装置20は、記憶した上記対応関係に基づき、求めた回転角度δhと回転角度δhの増減と回転速度Rとに対応する反力あるいは復帰抵抗力が発生するように駆動回路23を介して反力アクチュエータ19を制御する。これにより、図2に示される関係を充足する回転角度δhに対応する電圧指示値に応じた反力と、図3に示される関係を充足する回転速度Rに対応する電圧付加指示値に応じた反力あるいは復帰抵抗力を、反力アクチュエータ19は発生するものとされる。
すなわち、その記憶される対応関係は、その回転角度δhの大きさが上記設定量以上である時は回転角度δhの増減に対応して反力の大きさが増減し、その回転角度δhの大きさが上記設定量未満であって、且つ、その回転角度δhが増加し、且つ、その回転速度Rの大きさが上記設定値以上である時は、大きさが零を超える一定値である反力が反力アクチュエータ19により発生させられ、その回転角度δhの大きさが上記設定量未満であって、且つ、その回転角度δhが減少し、且つ、その回転速度Rの大きさが上記設定値以上である時は、予め定めた零を超える一定の大きさの復帰抵抗力が反力アクチュエータ19により発生させられる関係を含むように定められる。
また、その回転角度δhの大きさが上記設定量である時の反力の大きさと、その回転角度δhの大きさが上記設定量未満であって、且つ、その回転速度Rの大きさが上記設定値以上である時の一定の反力の大きさと、一定の復帰抵抗力の大きさとは互いに等しくされている。
さらに、その回転角度δhの大きさが上記設定量未満であって、且つ、その回転速度Rの大きさが上記設定値未満である時、その反力アクチュエータ19による反力および復帰抵抗力の発生は解除される。
【0023】
その反力アクチュエータ19の制御手順を図4のフローチャートを参照して説明する。まず、操作部材1の回転角度δhの検出値を読み込み(ステップ1)、その回転角度δhの大きさが零を超える設定量(10度)以上であるか否かを判断する(ステップ2)。その回転角度δhの大きさが上記設定量以上であれば、図2に示す関係に従った回転角度δhに対応する電圧指示値V1を反力アクチュエータ19に印加し、操作部材1を直進位置に復帰させる方向に作用する反力を発生させ(ステップ3)、ステップ1に戻る。その回転角度δhの大きさが上記設定量未満であれば、時系列に求めた回転角度δhに基づき操作部材1の回転速度Rを演算し(ステップ4)、その回転速度Rの大きさが零を超える設定値(本実施形態では10度/秒)未満か否かを判断する(ステップ5)。その回転速度Rの大きさがその設定値以上であれば、図3に示す一定の大きさの電圧付加指示値V2を反力アクチュエータ19に印加し(ステップ6)、ステップ1に戻る。その図3に示す一定の大きさの電圧付加指示値V2は、左右一方向へ向かい操舵されている時は正値、左右他方へ向かい操舵されている時は負値である。よって、制御装置20は回転角度δhが増加しているか減少しているかを判断し、回転角度δhが増加している時は操作部材1を直進位置に復帰させる方向に作用する一定の大きさの反力を反力アクチュエータ19により発生させることになる。また、その回転角度δhが減少する時は、操作部材1を直進位置に復帰させる方向と反対方向に作用する予め定めた一定の大きさの復帰抵抗力を反力アクチュエータ19により発生させることになる。ステップ5において回転速度Rの大きさが設定値未満である時、反力アクチュエータ19に印加される電圧を零とし、反力あるいは復帰抵抗力の発生を解除し(ステップ7)、ステップ1に戻る。なお、反力アクチュエータ19への印加電圧あるいは印加電流を検出するセンサを設け、その検出値に基づいて印加電圧が目標値になるようにフィードバック制御してもよい。
【0024】
上記実施形態によれば、操作部材1の回転角度δhの大きさが零を超える設定量以上である時は回転角度δhの増減に対応して反力の大きさが増減するので、車輪4と路面との間の摩擦に対応する反力を付与できる。操作部材1の回転角度δhの大きさが設定量未満であって、且つ、回転速度Rの大きさが零を超える設定値以上である時は、反力の大きさが零を超える一定値とされるので、直進位置近傍で操作部材1の操作が軽くなり過ぎることはなく、ドライバーが大きな違和感を感じるのを防止できる。その回転角度δhの大きさがその設定量未満である時は、反力または復帰抵抗力を作用させることで操舵方向に関わらず適度な操舵感を得ることができる。その回転角度δhの大きさが上記設定量である時の反力の大きさは、その回転角度δhの大きさがその設定量未満である時の一定の反力および復帰抵抗力の大きさに等しくされているので、操作部材1を直進近傍位置を超えて操作する際に反力が変動するのを防止して円滑な操舵感を得ることができ、また、直進位置近傍では操作部材1の操作を妨げる方向に作用する力が変動するのを防止して円滑な操舵感を得ることができる。操作部材1の回転角度δhの大きさが設定量未満であって、且つ、回転速度Rの大きさが設定値未満である時は反力あるいは復帰抵抗力の発生が解除されるので、ドライバーが操舵の意思なく手を添えることで操作部材1が僅かな速度で回転した場合に、ドライバーの意思に反して操作部材1が回転してしまうのを防止できる。
【0025】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、操作部材1の回転角度δhが減少し、且つ、操作部材1の回転速度Rの大きさが上記設定値よりも大きな設定値以上である時、その回転角度δhの大きさに関わらず、予め定めた零を超える大きさの復帰抵抗力を反力アクチュエータ19により発生させてもよい。
図5は、その回転角度δhが減少している時における回転速度Rの大きさと復帰抵抗力を発生する反力アクチュエータ19の駆動電流の大きさとの関係の一例を示す。本実施形態では、その回転速度Rが400度/秒以上であれば復帰抵抗力を発生させる。
この場合、図6のフローチャートに示すように、まず、制御装置20は操作部材1の回転角度δhの検出値を読み込み(ステップ1)、その回転角度δhが直進位置から増大しているか減少しているかを判断する(ステップ2)。その回転角度δhが増大あるいは変化していない場合、その回転角度δhの大きさが零を超える設定量(10度)以上であるか否かを判断する(ステップ3)。その回転角度δhの大きさが上記設定量以上であれば、図2に示す関係に従った回転角度δhに対応する電圧指示値V1を反力アクチュエータ19に印加し、操作部材1を直進位置に復帰させる方向に作用する反力を発生させ(ステップ4)、ステップ1に戻る。その回転角度δhの大きさが上記設定量未満であれば、時系列に求めた回転角度δhに基づき操作部材1の回転速度Rを演算し(ステップ5)、その回転速度Rの大きさが零を超える設定値(本実施形態では10度/秒)未満か否かを判断する(ステップ6)。その回転速度Rの大きさがその設定値以上であれば、図3に示す一定の大きさの電圧付加指示値V2を反力アクチュエータ19に印加し(ステップ7)、ステップ1に戻る。ステップ6において回転速度Rの大きさが設定値未満である時、反力アクチュエータ19に印加される電圧を零とし、反力あるいは復帰抵抗力の発生を解除し(ステップ8)、ステップ1に戻る。ステップ2において回転角度δhが直進位置から減少していれば、時系列に求めた回転角度δhに基づき操作部材1の回転速度Rを演算し(ステップ9)、その回転速度Rの大きさが上記設定値(400度/秒)以上か否かを判断する(ステップ10)。その回転速度Rが設定値未満であればステップ3に戻り、その設定値以上であれば図5に示す関係を充足する駆動電流が流れるようにように反力アクチュエータ19を駆動して上記復帰抵抗力を発生させ(ステップ11)、ステップ1に戻る。
これにより、現在の操舵方向と反対方向に向かい急操舵を行う場合、直進位置に復帰するまでは反力アクチュエータ19により復帰抵抗力を操作部材1に作用させ、操作部材1の操作が極端に軽くなるのを防止でき、また、その直進位置を超えて操舵する場合に反力アクチュエータ19により反力が操作部材1に作用しても、操作に要する力の変動が大きくなるのを防止でき、ドライバーが違和感を感じるのを防止できる。他は上記実施形態と同様とされる。
【0026】
なお、上記実施形態では操作部材1の回転速度Rが設定値未満であれば反力の発生を解除したが、回転量の大きさが設定量未満である時は回転速度に関わりなく一定の反力を発生するようにしてもよい。さらに、上記図2、図3、図5に示す関係は一例であってこれに限定されるものではなく、また、各設定量や設定値や一定値の具体的数値は任意の値に適宜設定すればよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、ステアバイワイヤシステムを採用した車両において、直進位置近傍で適度な重さの操舵感を得ることができ、違和感を感じることなく円滑に舵角を大きくすることができ、ドライバーの意思に反して操作部材が回転することがなく、急操舵により操舵方向を変える時にも円滑な操舵感を得ることができる車両の操舵装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の車両の操舵装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態の車両の操舵装置における操作部材の回転角度と反力アクチュエータへの電圧指示値との関係を示す図
【図3】本発明の実施形態の車両の操舵装置における操作部材の回転速度と反力アクチュエータへの電圧付加指示値との関係を示す図
【図4】本発明の実施形態の車両の操舵装置における反力アクチュエータの制御手順を示すフローチャート
【図5】本発明の実施形態の変形例に係る車両の操舵装置における操作部材の回転角度減少時の回転速度の大きさと復帰抵抗力を発生させる反力アクチュエータの駆動電流の大きさとの関係一例を示す図
【図6】本発明の実施形態の変形例に係る車両の操舵装置における反力アクチュエータの制御手順を示すフローチャート
【図7】従来の車両の操舵装置における操作部材の回転角度と反力アクチュエータへの電圧指示値との関係を示す図
【図8】比較例の車両の操舵装置における操作部材の回転角度と反力アクチュエータへの電圧指示値との関係を示す図
【図9】比較例の車両の操舵装置における操作部材の回転角度と反力アクチュエータへの電圧指示値との関係を示す図
【符号の説明】
1 操作部材
2 操舵用アクチュエータ
3 ステアリングギヤ
4 車輪
11 角度センサ
19 反力アクチュエータ
20 制御装置
Claims (6)
- 操作部材と、
その操作部材の回転に応じて駆動される操舵用アクチュエータと、
その操作部材を車輪に機械的に連結することなく、その操舵用アクチュエータの動きに応じて舵角が変化するように、その動きを車輪に伝達する機構と、
その操作部材を直進位置に復帰させる方向に作用する反力を発生する反力アクチュエータと、
その操作部材の直進位置からの回転量を求める手段と、
その操作部材の回転速度を求める手段と、
その反力アクチュエータを記憶した対応関係に基づき制御する手段とを備え、
その対応関係は、その回転量の大きさが零を超える設定量以上である時は、その回転量の増減に対応して反力の大きさが増減し、その回転量の大きさがその設定量未満であって、且つ、その回転速度の大きさが零を超える設定値以上である時は、その反力の大きさが零を超える一定値となる関係を含むように定められている車両の操舵装置。 - その回転量の大きさが前記設定量である時の反力の大きさは、その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値以上である時の一定の反力の大きさに等しくされている請求項1に記載の車両の操舵装置。
- その反力アクチュエータにより、その操作部材を直進位置に復帰させる方向と反対方向に作用する復帰抵抗力が発生可能とされ、
その回転量が増大しているか減少しているかを判断する手段が設けられ、
前記対応関係は、
その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転量が増加し、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値以上である時は、大きさが一定とされた前記反力が前記反力アクチュエータにより発生させられ、その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転量が減少し、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値以上である時は、予め定めた零を超える一定の大きさの復帰抵抗力が前記反力アクチュエータにより発生させられる関係を含むように定められている請求項1または2に記載の車両の操舵装置。 - その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値以上である時は、その一定の反力の大きさと一定の復帰抵抗力の大きさとは互いに等しくされている請求項3に記載の車両の操舵装置。
- その回転量が減少し、且つ、その操作部材の回転速度の大きさが前記設定値よりも大きな設定値以上である時は、予め定めた零を超える大きさの復帰抵抗力が前記反力アクチュエータにより発生させられる請求項3または4に記載の車両の操舵装置。
- その回転量の大きさが前記設定量未満であって、且つ、その回転速度の大きさが前記設定値未満である時は、その反力アクチュエータによる力の発生は解除される請求項1〜5の中の何れかに記載の車両の操舵装置。
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JPH0438270A (ja) * | 1990-05-30 | 1992-02-07 | Honda Motor Co Ltd | 車両用操舵装置 |
JPH06305433A (ja) * | 1993-04-21 | 1994-11-01 | Nippondenso Co Ltd | 操舵反力制御装置 |
JPH10218001A (ja) * | 1997-02-07 | 1998-08-18 | Koyo Seiko Co Ltd | 車両用操舵装置 |
JP2000053005A (ja) * | 1998-08-05 | 2000-02-22 | Koyo Seiko Co Ltd | 車両用操舵装置 |
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