JP4176057B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents
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Description
以下、本発明の第1実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両の操舵装置を概略的に示している。
Tz=a・θ (|θ|<θz) …式1
Tz=To・exp(K1・θ) (θz≦|θ|) …式2
θmax=(1−V・D)・θmax0 …式3
ただし、前記式3中のDは予め設定された計算用パラメータであり、θmax0はシステムによって決定される最大操舵角の基準値である。この式3の計算によれば、車速Vが大きくなるに従って最大操舵角θmaxは小さく計算され、車速Vが小さくなるに従って最大操舵角θmaxは大きく計算される。言い換えれば、前記式3によって最大操舵角θmaxが計算されることにより、操舵角θの変化し得る範囲は、車速Vが大きくなるに従って小さくなり、車速Vが小さくなるに従って大きくなる。このとき、前記式2に従って、前記式3により計算された最大操舵角θmaxにおける反力トルクTzの最大値Tmaxが計算されるとすれば、図3に示すように、操舵角θの変化量に対する反力トルクTzの変化量(ゲイン)は、車速Vが大きくなるに伴って大きくなり、車速Vが小さくなるに伴って小さくなる変化特性を有するようになる。
Td=a・θ (|θ|<θz) …式4
Td=To・exp(K1・θ) (θz≦|θ|) …式5
θmax=(1−V・D)・θmax0 …式6
この場合も、式4中のaは一次関数の傾きを表す定数である。また、式5中のTo,K1は、前記式2と同様な定数である。さらに、前記式4および式5中の操舵角θは、前記検出操舵角θの絶対値を表しているものであるが、検出操舵角θが正であれば定数aおよび定数Toを正の値とするとともに、検出操舵角θが負であれば定数aおよび定数Toを前記正の定数aおよび定数Toと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式4,5の演算に代えて、操舵角θに対する操舵トルクTdを記憶した図3に示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTdを計算するようにしてもよい。
Gd=b・Td (|Td|<Tg) …式7
Gd=C・TdK2 (Tg≦|Td|) …式8
ただし、式7中のbは一次関数の傾きを表す定数であり、式8中のC,K2は定数である。また、前記式7,8中の操舵トルクTdは前記式4,5を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数bおよび定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが負であれば定数bおよび定数Cを前記正の定数bおよび定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式7,8の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込み横加速度Gdを記憶した図4に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込み横加速度Gdを計算するようにしてもよい。
Gd=C・(To・exp(K1・θ))K2=C・ToK2・exp(K1・K2・θ)=Go・exp(K1・K2・θ) …式9
前記式9において、Goは定数C・ToK2であり、式9は運転者による操舵ハンドル11の操舵角θに対して見込み横加速度Gdが指数関数的に変化していることを示す。そして、この見込み横加速度Gdは、車内の所定部位への運転者の体の一部の接触によって運転者が知覚し得る物理量であり、前述したウェーバー・ヘフナーの法則に従ったものである。したがって、操舵トルクTdが所定値Tg以上のときに、運転者が、この見込み横加速度Gdに等しい横加速度を知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができれば、操舵ハンドル11の回動操作と車両の操舵との関係を人間の知覚特性に対応させることができる。
Gd=Go・exp(K0・ω・t) …式10
ただし、K0は、K0=K1・K2の関係にある定数である。
ΔT=To・exp(K1・θ)・K1・Δθ=T・K1・Δθ …式11
この式11を変形するとともに、前記実験により求めた操舵トルクに関するウェーバー比ΔT/TをKtとすると、下記式12が成立する。
K1=ΔT/(T・Δθ)=Kt/Δθ …式12
Tmax=To・exp(K1・θmax) …式13
この式13を変形すれば、下記式14が成立する。
K1=log(Tmax/To)/θmax …式14
そして、前記式12および式14から下記式15が導かれる。
Δθ=Kt/K1=Kt・θmax/log(Tmax/To) …式15
この式15において、Ktは操舵トルクTのウェーバー比であり、Toは人間が知覚し得る最小操舵トルクに対応するものであり、これらの値Kt,Tmax,Toはいずれも実験およびシステムによって決定される定数である。また、θmaxは前記式6に従い車速Vに対応して計算されるものであるので、前記微分値Δθは前記式15を用いて計算できる。そして、この微分値Δθとウェーバー比Ktを用いて、前記式12に基づいて所定値(係数)K1も計算できる。
ΔG=C・K2・TK2-1・ΔT=G・K2・ΔT/T …式16
この式16を変形し、かつ前記実験により求めた操舵トルクに関するウェーバー比ΔT/TをKtとするとともに、横加速度に関するウェーバー比ΔF/FをKaとすると下記式17,18が成立する。
ΔG/G=K2・ΔT/T …式17
K2=Ka/Kt …式18
この式18において、Ktは操舵トルクに関するウェーバー比であるとともに、Kaは横加速度に関するウェーバー比であって、共に定数として与えられるものであるので、これらのウェーバー比Kt,Kaを用いて、前記式18に基づいて係数K2も計算できる。
C=Gmax/TmaxK2 …式19
そして、この式19においては、GmaxおよびTmaxは実験及びシステムによって決定される定数であり、かつK2は前記式18によって計算されるものであるので、定数(係数)Cも計算できる。
δd=L・(1+A・V2)・Gd/V2 …式20
ただし、前記式20中のLはホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは予め決められた所定値である。
δda=δd+K3・(Gd−G) …式21
ただし、係数K3は予め決められた正の定数であり、実横加速度Gが見込み横加速度Gdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実横加速度Gが見込み横加速度Gdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込み横加速度Gdに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角がより精度よく確保される。
次に、上記第1実施形態における運動状態量としての横加速度に代えて、ヨーレートを用いた本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態においては、図1に破線で示すように、上記第1実施形態における横加速度センサ34に代えて、運転者が知覚し得る運動状態量である実ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ38を備えている。他の構成については上記第1実施形態と同じであるが、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムは上記第1実施形態の場合と若干異なる。
γd=b・Td (|Td|<Tg) …式22
γd=C・TdK2 (Tg≦|Td|) …式23
ただし、式22中のbは一次関数の傾きを表す定数であり、式23中のC,K2は,上記第1実施形態と同じく定数である。また、前記式22,23中の操舵トルクTdは前記式4〜6を用いて計算された操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数bおよび定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが負であれば定数bおよび定数Cを前記正の定数bおよび定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式22,23の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込みヨーレートγdを記憶した図7に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込みヨーレートγdを計算するようにしてもよい。
δd=L・(1+A・V2)・γd/V …式24
ただし、前記式24においても、Lはホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは予め決められた所定値である。
δda=δd+K4・(γd−γ) …式25
ただし、係数K4は予め決められた正の定数であり、実ヨーレートγが見込みヨーレートγdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実ヨーレートγが見込みヨーレートγdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込みヨーレートγdに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角δがより精度よく確保される。
次に、上記第1実施形態における運動状態量としての横加速度に代えて、旋回曲率を用いた本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態においても、上記第1実施形態と同様に図1に示すように構成されている。ただし、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが上記第1実施形態の場合とは若干異なる。
ρd=b・Td (|Td|<Tg) …式26
ρd=C・TdK2 (Tg≦|Td|) …式27
ただし、式26中のbは一次関数の傾きを表す定数であり、式27中のC,K2は,上記第1実施形態と同じく定数である。また、この場合も、前記式26,27中の操舵トルクTdは上記式4〜6を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数bおよび定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが負であれば定数bおよび定数Cを前記正の定数bおよび定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式26,27の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込み旋回曲率ρdを記憶した図10に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込み旋回曲率ρdを計算するようにしてもよい。
δd=L・(1+A・V2)・ρd …式28
ただし、前記式28においても、Lはホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは予め決められた所定値である。
ρ=G/V2またはρ=γ/V …式29
δda=δd+K5・(ρd−ρ) …式30
ただし、係数K5は予め決められた正の定数であり、実旋回曲率ρが見込み旋回曲率ρに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実旋回局率ρが見込み旋回曲率ρdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込み旋回曲率ρdに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角がより精度よく確保される。
Claims (9)
- 車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動して転舵輪を転舵制御する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置を、
前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、
車両の車速を検出する車速検出手段と、
前記検出された車速に応じて変更される所定の関係に基づいて、前記検出された操作入力値を前記転舵輪の転舵制御に関する制御操作力に変換する制御操作力変換手段と、
車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運動状態を表していて前記変換された制御操作力と予め定めた指数関係またはべき乗関係にある車両の見込み運動状態量を、前記変換された制御操作力を用いて計算する運動状態量計算手段と、
前記計算された見込み運動状態量で車両が運動するために必要な前記転舵輪の転舵角を、前記計算された見込み運動状態量を用いて計算する転舵角計算手段と、
前記計算された転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された転舵角に転舵する転舵制御手段とで構成したことを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 前記所定の関係は、前記検出された車速の増大に伴って前記検出された操作入力値に対する前記制御操作力を増大し、前記検出された車速の減少に伴って前記検出された操作入力値に対する前記制御操作力を減少する関係である請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
- 前記所定の関係は、前記検出された車速の増大に伴って前記検出された操作入力値の変化量に対する前記制御操作力の変化量の比を大きくし、前記検出された車速の減少に伴って前記検出された操作入力値の変化量に対する前記制御操作力の変化量の比を小さくする関係である請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
- 前記制御操作力変換手段は、前記検出された車速の増大に伴って前記操作入力値の検出時点から前記制御操作力の変換開始時点まで間の位相差を小さくし、前記検出された車速の減少に伴って前記操作入力値の検出時点から前記制御操作力の変換開始時点まで間の位相差を大きくして、前記操作入力値を前記制御操作力に変更する請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
- 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
前記操作入力値検出手段を、前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量センサで構成するとともに、
前記制御操作力変換手段は、前記所定に関係に基づいて、前記検出された変位量を前記制御操舵力に変換することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
前記操作入力値検出手段を、前記操舵ハンドルに付与される操作力を検出する操作力センサで構成するとともに、
前記制御操作力計算手段は、前記所定の関係に基づいて、前記検出された操作力を前記制御操作力に変換することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 請求項1ないし請求項6のうちのいずれ一つに記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
前記見込み運動状態量は、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一つであるステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 請求項1ないし請求項7のうちのいずれ一つに記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、さらに、
前記計算した見込み運動状態量と同一種類であって車両の実際の運動状態を表す実運動状態量を検出する運動状態量検出手段と、
前記計算された見込み運動状態量と前記検出された実運動状態量との差に応じて前記計算された転舵角を補正する補正手段とを設けたことを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。 - 請求項1ないし請求項8のうちのいずれ一つに記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、さらに、
前記操舵ハンドルの操作に対して反力を付与する反力装置を設けたことを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
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