JP4372577B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

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本発明は、車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、操舵ハンドルの操作に応じて転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置に関する。
近年、この種のステアリングバイワイヤ方式を採用した操舵装置の開発は、積極的に行われるようになった。そして、例えば下記特許文献1には、応答性の良好な切込み操舵と、スムーズな戻し操舵とを両立することができる車両用操舵装置が示されている。この車両用操舵装置は、操舵用アクチュエータを制御する舵取り制御部の制御ゲインがゲイン設定部によって可変されるようになっている。具体的には、このゲイン設定部は、切込み操舵検出部および戻し操舵検出部からの検出結果に基づいて、制御ゲインを変更する。すなわち、ゲイン設定部は、切込み操舵検出部によって切込み操舵が検出されていると、制御ゲインを大きく設定する。これにより、運転者の切込み操舵に対する舵取り車輪(転舵輪)の転舵角の絶対値を増大することができ、応答性を良好とすることができる。一方、ゲイン設定部は、戻し操舵検出部によって戻し操舵が検出されていると、制御ゲインを小さく設定する。これにより、運転者の戻し操舵に対して、舵取り車輪(転舵輪)の転舵角の絶対値を緩やかに減少することができ、スムーズに中立位置まで戻すことができる。
上記従来の車両用操舵装置においては、運転者による操舵ハンドルの切込み操舵と戻し操舵に応じて転舵するための制御ゲインを変更することにより、良好な操舵特性を確保している。ところで、一般的に、ギア比を可変するステアリングバイワイヤ方式の操舵装置においては、特に、戻し操舵時に要求される操舵特性が車速によって異なる。これは、運転者の戻し操舵によって、車両の挙動を安定化させるためであり、車速が大きい状態においては運転者の戻し操舵に対して緩やかに転舵輪が戻されることが望まれ、車速が小さい状態においては運転者の戻し操舵に対して俊敏に転舵輪が戻されることが望まれている。
また、上記従来の車両用操舵装置においては、運転者による操舵ハンドルの切込み操舵から戻し操舵への移行時に操舵特性がクイックとなり、車両の挙動が安定しない場合がある。すなわち、上記従来の車両用操舵装置においては、電気的に転舵アクチュエータが制御されるため、転舵アクチュエータが作動を直ちに開始すると、戻し操舵へ移行した初期の時点における制御信号のピーク出力の影響により、大きな制御ゲインで舵取り車輪(転舵輪)が転舵される可能性がある。
また、下記特許文献2は、操舵角および車速を検出し、操舵角の増加に従って減少するとともに車速の増加に従って増加する伝達比を計算し、この伝達比で操舵角を除算することにより前輪の転舵角(ラック軸の変位量)を計算して、同計算した転舵角に前輪を転舵するようにした操舵装置が示されている。また、この操舵装置においては、検出ハンドル操舵角を時間微分した操舵速度に応じて前記計算した転舵角を補正することにより、前輪の転舵応答性・追従性を高めるようにしている。さらに、検出車速および検出ハンドル操舵角を用いて目標ヨーレートを計算し、この計算した目標ヨーレートと検出した実ヨーレートとの差に応じて前記計算した転舵角を補正することにより、車両の挙動状態を考慮した転舵制御を実現するようになっている。
さらに、下記特許文献3には、操舵トルクおよびハンドル操舵角を検出し、操舵トルクおよびハンドル操舵角の増加に従って増加する2つの転舵角をそれぞれ計算し、これらの計算した両転舵角を加算した転舵角に前輪を転舵するようにした操舵装置が示されている。この操舵装置においては、車速も検出し、この検出車速により前記両転舵角を補正して、転舵特性を車速に応じて変更するようになっている。
しかしながら、上記従来の装置においては、車両を操舵するための運転者による操舵ハンドルに対する操作入力値である操舵角および操舵トルクを検出し、これらの検出した操舵角および操舵トルクを用いて前輪の転舵角を直接的に計算して、この計算した転舵角に前輪を転舵するようにしている。しかし、これらの前輪の転舵制御は、従前の操舵ハンドルと転舵輪との機械的な連結を外してはいるものの、操舵ハンドルの操作に対する前輪の操舵の応答性としては、操舵ハンドルの操作位置または操作力に対応させて前輪の転舵角を決定するという基本的な技術思想は全く同じであり、これらの転舵方法では、人間の感覚特性に対応して前輪の転舵角が決定されていないので、車両の運転操作が難しかった。
すなわち、上記従来の装置においては、運転者が知覚し得ない転舵角が操舵ハンドルの操作に対応させて直接的に決定され、同転舵角に応じた前輪の転舵によって車両が旋回する。そして、運転者はこの車両の旋回に起因した車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率を触覚または視覚により感じ取り、操舵ハンドルの操作にフィードバックして車両を所望の態様で旋回させていた。言い換えれば、運転者による操舵ハンドルの操作に対する前輪の転舵角は人間の知覚し得ない物理量であるので、運転者の操舵操作に対して直接的に決定される転舵角は運転者の知覚特性に合わせて決められたものではなく、これが車両の運転を難しくしていた。
また、上記従来の装置においては、検出車速および検出ハンドル操舵角を用いて計算した目標ヨーレートと、検出した実ヨーレートとの差に応じて決定転舵角を補正するようにしているが、これは車両の挙動状態を考慮した転舵角の単なる補正であって、操舵ハンドルの操作により運転者が知覚するであろうヨーレートに応じて転舵角を決定しているわけではない。したがって、この場合も、運転者の操舵操作に対して決定される転舵角は運転者の知覚特性に合わせて決められたものではなく、車両の運転を難しくしていた。
特開2002−46639号公報 特開2000−85604号公報 特開平11−124047号公報
本発明者等は、運転者による操舵ハンドルの操作に対して、人間の知覚特性に合わせて車両を操舵することができる車両の操舵装置の研究に取り組んだ。このような人間の知覚特性に関し、ウェーバー・ヘフナー(Weber-Fechner)の法則によれば、人間の感覚量は与えられた刺激の物理量の対数に比例すると言われている。言い換えれば、人間の操作量に対して人間に与えられる刺激の物理量を操作量が変位の場合には指数関数的に、操作量がトルクの場合にはべき乗関数的に変化させれば、操作量と物理量との関係を人間の知覚特性に合わせることができる。本発明者等は、このウェーバー・ヘフナーの法則を車両の操舵装置に適用し、次のようなことを発見した。
車両の運転にあたっては、操舵ハンドルの操作によって車両は旋回し、この車両の旋回によって横加速度、ヨーレート、旋回曲率などの車両の運動状態量が変化し、運転者はこの車両の運動状態量を触覚および視覚により感じ取るものである。したがって、前記操舵ハンドルに対する運転者の操作に対して、運転者が知覚し得る車両の運動状態量を指数関数的またはべき乗関数的に変化させるようにすれば、運転者の操舵ハンドルの操作に対して運転者の知覚特性に合わせて車両を運転操作できることになる。
本発明の目的は、運転者の操舵ハンドルの戻し操舵時において、車速に応じて転舵輪を適正に転舵制御して車両の挙動を安定させるとともに、上記発見に基づき、運転者による操舵ハンドルの操作に対して人間の知覚特性に合わせて車両を操舵させることにより車両の運転をやさしくする車両の操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両を転舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置を、前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運動状態を表していて前記操舵ハンドルに対する操作入力値と予め定めた指数関係またはべき乗関係にある車両の見込み運動状態量を、前記検出された操作入力値を用いて計算する運動状態量計算手段と、前記計算された見込み運動状態量で車両が運動するために必要な前記転舵輪の転舵角を、前記計算された見込み運動状態量を用いて計算する転舵角計算手段と、前記計算された転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された転舵角に転舵する転舵制御手段と、前記操作入力値検出手段によって検出した運転者の操作入力値に基づいて、前記操舵ハンドルが中立位置方向へ戻し操舵されたか否かを判定する戻し操舵判定手段と、車両の車速を検出する車速検出手段と、前記戻し操舵判定手段によって前記操舵ハンドルが戻し操舵されたと判定すると、前記車速検出手段により検出した車速に応じて、前記転舵制御手段が前記転舵アクチュエータの作動を制御するための制御量を調整する転舵アクチュエータ作動調整手段とで構成したことにある。この場合、前記転舵アクチュエータ作動調整手段は、前記車速検出手段により検出した車速が小さくなるに従って前記転舵アクチュエータの制御量を大きくして調整するとよい。また、前記転舵アクチュエータ作動調整手段は、前記転舵アクチュエータの制御量を所定量に制限して調整するとよい。また、前記転舵アクチュエータ作動調整手段は、前記転舵アクチュエータの作動開始に際して所定の時間的な遅れを生じさせて、前記制御量を調整するとよい。さらに、前記所定の時間的な遅れは、前記運転者の操作入力値と同操作入力値に対する前記転舵輪の転舵量との関係に基づいて決定されるとよい。
これらによれば、運転者によって操舵ハンドルが戻し操舵されたときには、車速に応じて、転舵アクチュエータの制御量が調整される。これにより、全車速域において、運転者の戻し操舵に対して転舵アクチュエータを作動させる制御量が適切に調整されるため、転舵輪の転舵も適正に制御されて車両の挙動を安定させることができる。また、車速が小さくなるに従って転舵アクチュエータの制御量を大きくすることにより、低速走行時での運転者の戻し操舵に対して俊敏に(応答性よく)転舵輪を転舵することができ、運転者の操舵操作に係る負担を軽減することができる。これは、言い換えれば、車速が大きくなるに従って転舵アクチュエータの制御量を小さくすることができるため、高速走行時での運転者の戻し操舵に対して緩やかに転舵輪を転舵することができ、車両の挙動を安定させることができる。また、車速に応じて、転舵アクチュエータの制御量を所定量に制限することにより、例えば、運転者が、高速走行時に操舵ハンドルを戻し操舵したときであっても、急激な転舵輪の転舵を抑制することができ、車両の挙動を安定させることができる。
また、転舵アクチュエータの作動開始に際して、所定の時間的な遅れを生じさせるように制御量を調整される。これにより、急激な転舵輪の転舵が抑制されるため、車両の挙動を安定させることができる。また、所定の時間的な遅れを有して転舵アクチュエータを作動させることにより、作動開始初期における制御信号の立ち上がりピークの影響をなくすことができる。このため、制御信号の立ち上がりピークによる転舵輪の急激な転舵を抑制することができて、車両の挙動を安定させることができる。このとき、所定の時間的な遅れを、運転者の操作入力値と同操作入力値に対する転舵輪の転舵量との関係(例えば、操舵装置のギア比など)に基づいて決定することにより、車両固有の転舵特性を反映させて転舵アクチュエータを作動させることができ、好適である。
また、この場合、前記操作入力値検出手段を、前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量センサで構成するとともに、前記運動状態量計算手段を、前記検出された変位量を前記操舵ハンドルに付与される操作力に変換する操作力変換手段と、前記変換された操作力を前記見込み運動状態量に変換する運動状態量変換手段とで構成するとよい。また、この場合、前記操作入力値検出手段を、前記操舵ハンドルに付与される操作力を検出する操作力センサで構成するとともに、前記運動状態量計算手段を、前記検出された操作力を前記見込み運動状態量に変換する運動状態量変換手段で構成するとよい。さらに、この場合、前記見込み運動状態量は、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一つであるとよい。
これらによれば、まず、操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値が、車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運動状態を表していて操舵ハンドルに対する操作入力値と予め定めた指数関係またはべき乗関係にある車両の見込み運動状態量(横加速度、ヨーレート、旋回曲率など)に変換される。そして、この変換された見込み運動状態量に基づいて、同見込み運動状態量で車両が運動するために必要な転舵輪の転舵角が計算されて、この計算された転舵角に転舵輪が転舵される。したがって、転舵輪の転舵によって車両が旋回すると、この旋回により、運転者には、前記ウェーバー・ヘフナーの法則による「与えられた刺激の物理量」として前記見込み運動状態量が与えられる。そして、この見込み運動状態量は、操舵ハンドルへの操作入力値に対して指数関数的またはべき乗関数的に変化するものであるので、運転者は、人間の知覚特性に合った運動状態量を知覚しながら、操舵ハンドルを操作できる。なお、横加速度およびヨーレートについては、運転者が車両内の各部位との接触により触覚的に感じ取ることができる。また、旋回曲率については、運転者が車両の視野内の状況の変化により視覚的に感じ取ることができる。その結果、本発明によれば、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドルを操作できるので、車両の運転が簡単になる。
a.第1実施形態
以下、本発明の実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両の操舵装置を概略的に示している。
この操舵装置は、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2を転舵するために、運転者によって回動操作される操作部としての操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11は操舵入力軸12の上端に固定され、操舵入力軸12の下端は電動モータおよび減速機構からなる反力アクチュエータ13に接続されている。反力アクチュエータ13は、運転者の操舵ハンドル11の回動操作に対して反力を付与する。
また、この操舵装置は、電動モータおよび減速機構からなる転舵アクチュエータ21を備えている。この転舵アクチュエータ21による転舵力は、転舵出力軸22、ピニオンギア23およびラックバー24を介して左右前輪FW1,FW2に伝達される。この構成により、転舵アクチュエータ21からの回転力は転舵出力軸22を介してピニオンギア23に伝達され、ピニオンギア23の回転によりラックバー24を軸線方向に変位させて、このラックバー24の軸線方向の変位により、左右前輪FW1,FW2は左右に転舵される。
次に、これらの反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21の作動を制御する電気制御装置について説明する。電気制御装置は、操舵角センサ31、転舵角センサ32、車速センサ33および横加速度センサ34を備えている。
操舵角センサ31は、操舵入力軸12に組み付けられて、操舵ハンドル11の中立位置からの回転角を検出して操舵角θとして出力する。転舵角センサ32は、転舵出力軸22に組み付けられて、転舵出力軸22の中立位置からの回転角を検出して実転舵角δ(左右前輪FW1,FW2の転舵角に対応)として出力する。なお、操舵角θおよび実転舵角δは、中立位置を「0」とし、左方向の回転角を正の値で表すとともに、右方向の回転角を負の値でそれぞれ表す。車速センサ33は、車速Vを検出して出力する。横加速度センサ34は、車両の実横加速度Gを検出して出力する。なお、実横加速度Gも、左方向の加速度を正で表し、右方向の加速度を負で表す。
これらのセンサ31〜34は、電子制御ユニット35に接続されている。電子制御ユニット35は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、プログラムの実行により反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21の作動をそれぞれ制御する。電子制御ユニット35の出力側には、反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21を駆動するための駆動回路36,37がそれぞれ接続されている。駆動回路36,37内には、反力アクチュエータ13および転舵アクチュエータ21内の電動モータに流れる駆動電流を検出するための電流検出器36a,37aが設けられている。電流検出器36a,37aによって検出された駆動電流は、両電動モータの駆動を制御するために、電子制御ユニット35にフィードバックされている。
次に、上記のように構成した第1実施形態の操舵装置に関し、電子制御ユニット35内にてコンピュータプログラム処理により実現される機能を表す図2の機能ブロック図を用いて説明する。電子制御ユニット35は、操舵ハンドル11への反力付与を制御するための反力制御部40と、操舵ハンドル11の回動操作に基づいて運転者の感覚特性に対応した左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを決定するための感覚適合制御部50と、目標転舵角δdに基づいて左右前輪FW1,FW2を転舵制御するための転舵制御部60からなる。
運転者によって操舵ハンドル11が回動操作されると、操舵角センサ31によって操舵ハンドル11の回転角である操舵角θが検出されて、同検出された操舵角θを反力制御部40、感覚適合制御部50および転舵制御部60にそれぞれ出力する。反力制御部40においては、変位−トルク変換部41が、下記式1を用いて、操舵角θの指数関数である反力トルクTzを計算する。
Tz=To・exp(K1・θ) …式1
ただし、前記式1中のTo,K1は定数であり、これらの値に関しては後述する感覚適合制御部50の説明時に詳しく説明する。また、前記式1中の操舵角θは前記検出操舵角θの絶対値を表しているものとし、検出操舵角θが正であれば定数Toを負の値とするとともに、検出操舵角θが負であれば定数Toを前記負の定数Toと同じ絶対値を有する正の値とする。ここで、前記式1の演算に代えて、操舵角θに対する反力トルクTzを記憶した図3に示すような特性の変換テーブルを用いて、反力トルクTzを計算するようにしてもよい。
この計算された反力トルクTzは、駆動制御部42に供給される。駆動制御部42は、駆動回路36から反力アクチュエータ13内の電動モータに流れる駆動電流を入力し、同電動モータに反力トルクTzに対応した駆動電流が流れるように駆動回路36をフィードバック制御する。この反力アクチュエータ13内の電動モータの駆動制御により、同電動モータは、操舵入力軸12を介して操舵ハンドル11に反力トルクTzを付与する。したがって、運転者は、この操舵角θに対して指数関数的に変化する反力トルクTzを感じながら、言い換えれば、この反力トルクTzに等しい操舵トルクを操舵ハンドル11に加えながら、操舵ハンドル11を回動操作することになる。この操舵角θと反力トルクTzの関係も上述したウェーバー・ヘフナーの法則に従うものであり、運転者は、操舵ハンドル11から人間の知覚特性に合った感覚を受けながら、操舵ハンドル11を回動操作できる。
一方、感覚適合制御部50に入力された操舵角θは、変位−トルク変換部51にて前記式1と同様な下記式2に従って操舵トルクTdを計算する。
Td=To・exp(K1・θ) …式2
この場合も、前記式2中のTo,K1は、前記式1と同様な定数である。ただし、前記式2中の操舵角θは前記検出操舵角θの絶対値を表しているものであるが、検出操舵角θが正であれば定数Toを正の値とするとともに、検出操舵角θが負であれば定数Toを前記正の定数Toと同じ絶対値を有する負の値とする。ここで、この場合も、前記式2の演算に代えて、操舵角θに対する操舵トルクTdを記憶した図3に示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTdを計算するようにしてもよい。
この計算された操舵トルクTdは、トルク−横加速度変換部52に供給される。トルク−横加速度変換部52は、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込み横加速度Gdを、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To未満であれば下記式3のように「0」とし、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To以上であれば下記式4に従って操舵トルクTdのべき乗関数である見込み横加速度Gdを計算する。
Gd=0 (|Td|<To) …式3
Gd=C・TdK2 (To≦|Td|) …式4
ただし、式4中のC,K2は定数である。また、前記式4中の操舵トルクTdは前記式2を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合も、前記式3,4の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込み横加速度Gdを記憶した図4に示すような特性の変換テーブルを用いて、操舵トルクTdを計算するようにしてもよい。
ここで、前記式4について説明しておく。前記式2を用いて操舵トルクTdを消去すると、下記式5に示すようになる。
Gd=C(To・exp(K1・θ))K2=C・ToK2・exp(K1・K2・θ)=Go・exp(K1・K2・θ)…式5
前記式5において、Goは定数C・ToK2であり、式5は、運転者による操舵ハンドル11の操舵角θに対して見込み横加速度Gdが指数関数的に変化していることを示す。そして、この見込み横加速度Gdは、車内の所定部位への運転者の体の一部の接触によって運転者が知覚し得る物理量であり、前述したウェーバー・ヘフナーの法則に従ったものである。したがって、運転者が、この見込み横加速度Gdに等しい横加速度を知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができれば、操舵ハンドル11の回動操作と車両の操舵との関係を人間の知覚特性に対応させることができる。
このように、前記式4(すなわち式5)に示された見込み横加速度Gdは操舵ハンドル11の操作量である操舵角θに対して指数関数的に変化するものであるので、人間の知覚特性に合ったものである。さらに、運転者による操舵ハンドル11の回動操作にとって最も簡単な方法は操舵ハンドル11を一定速度ω(θ=ω・t)で回動することであり、この回動操作によれば、見込み横加速度Gdは下記式6に示すように時間tに対して指数関数的に変化する。したがって、これからも、前記見込み横加速度Gdに等しい横加速度を知覚しながら操舵ハンドル11を回動操作することができれば、運転者の操舵ハンドル11の回動操作が簡単になることがわかる。
Gd=Go・exp(K0・ω・t) …式6
ただし、K0は、K0=K1・K2の関係にある定数である。
また、前記式3に示されるように、操舵トルクTdが所定値To未満である場合、見込み横加速度Gdは「0」に保たれている。これは、操舵角θが「0」のとき、すなわち操舵ハンドル11が中立位置に保たれる場合でも、前記式2の演算により、操舵トルクTdは正の所定値Toとなり、この操舵トルクTd(=To)を前記式4の演算に適用してしまうと、見込み横加速度Gdは正の値C・ToK2になって、これは現実的でない。しかしながら、前述のように、操舵トルクTdが所定値To未満であれば、見込み横加速度Gdは「0」であるので、この問題は解決される。
また、この場合、運転者が知覚し得る最小操舵トルクを前記所定値Toとし、運転者が知覚し得る最小感知横加速度をGoとし、かつ所定値ToがGo=C・ToK2の関係になるようにすれば、操舵トルクTdが所定値Toになるまで、すなわち運転者が操舵ハンドル11の操作によって車両が旋回して運転者が車両に発生する横加速度を感じるまで、車両の見込み横加速度Gdが「0」に保たれる。これによれば、最小操舵トルクTo以上で操舵ハンドル11を操舵したときのみ、見込み横加速度Gdを発生させるために必要な操舵角だけ左右前輪FW1,FW2は転舵制御され、この転舵制御が車両の操舵に的確に対応したものとなる。したがって、変位−トルク変換部41,51およびトルク−横加速度変換部52においては、前記式1〜5を用いて、運転者の知覚特性に合った反力トルクTz、操舵トルクTdおよび見込み横加速度Gdを計算できる。
ふたたび、図2の説明に戻ると、トルク−横加速度変換部52にて計算された見込み横加速度Gdは、転舵角変換部53に供給される。転舵角変換部53は、見込み横加速度Gdを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを計算するものであり、図5に示すように車速Vに応じて変化して見込み横加速度Gdに対する目標転舵角δdの変化特性を表すテーブルを有する。このテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δと見込み横加速度Gdとを予め実測して収集したデータの集合である。そして、転舵角変換部53は、このテーブルを参照して、前記入力した見込み横加速度Gdと車速センサ33から入力した検出車速Vとに対応した目標転舵角δdを計算する。また、前記テーブルに記憶されている見込み横加速度Gdと目標転舵角δdはいずれも正であるが、転舵角変換部53から供給される見込み横加速度Gdが負であれば、出力される目標転舵角δdも負となる。
なお、目標転舵角δdは下記式7に示すように車速Vと見込み横加速度Gdの関数であるので、前記テーブルを参照することに代えて、下記式7の演算の実行によっても計算することができる。
δd=L・(1+A・V2)・Gd/V2 …式7
ただし、前記式16中のLは車両のホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは予め決められた所定値である。
この計算された目標転舵角δdは、転舵制御部60の転舵角補正部61に供給される。転舵角補正部61は、トルク−横加速度変換部52から見込み横加速度Gdを入力するとともに、横加速度センサ34によって検出された実横加速度Gをも入力しており、下記式8の演算を実行して、入力した目標転舵角δdを補正して補正目標転舵角δdaを計算する。
δda=δd+K3・(Gd−G) …式8
ただし、係数K3は予め決められた正の定数であり、これにより実横加速度Gが見込み横加速度Gdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実横加速度Gが見込み横加速度Gdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込み横加速度Gdに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdがより精度よく確保される。そして、転舵角補正部61は、この補正目標転舵角δdaを駆動制御部63に供給する。
また、駆動制御部63には、転舵角速度リミット制御部62から転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を制限するための転舵角速度リミットδ’limが供給される。転舵角速度リミット制御部62は、操舵角センサ31から操舵角θを入力するとともに、車速センサ33から車速Vを入力する。そして、転舵角速度リミット制御部62は、入力した操舵角θと、同操舵角θを時間微分した微分値すなわち操舵角速度θ’とに基づいて、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵されているか否かを判定する。ここで、操舵角速度θ’は、操舵ハンドル11の操舵角θが正の状態から中立位置方向へ回動(すなわち右方向へ回動)されたときに負の値で表され、操舵ハンドル11の操舵角θが負の状態から中立位置方向へ回動(すなわち左方向へ回動)されたときに正の値で表される。これにより、転舵角速度リミット制御部62は、操舵角θ>0かつ操舵角速度θ’<0、または、操舵角θ<0かつ操舵角速度θ’>0であるときには、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵されていると判定する。
そして、転舵角速度リミット制御部62は、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵されている場合には、下記式9の演算を実行して、左右前輪FW1,FW2が急激に転舵されることを抑制するための制限値すなわち転舵角速度リミットδ’limを計算する。
δ’lim=P1+P2/V …式9
ただし、P1は車両の運動特性(例えば、操舵角、操舵トルク、横加速度、ヨーレートなど)に関連する基準パラメータであり、P2は車速によって変化する車速項パラメータであって、ともに実験的に求められる定数である。この転舵角速度リミットδ’limは、車速Vが大きいほど小さな値となるとともに、車速Vが小さいほど大きな値となる特性を有していて、運転者による急激な操舵ハンドル11の戻し操舵に対する左右前輪FW1,FW2の急激な転舵を抑制するための制限値である。そして、この計算された転舵角速度リミットδ’limは、駆動制御部63に供給される。なお、転舵角速度リミット制御部62は、運転者によって操舵ハンドル11が切込み操作、すなわち、操舵角θ>0かつ操舵角速度θ’>0、または、操舵角θ<0かつ操舵角速度θ’<0である場合には、転舵角速度リミットδ’limを計算しない。
駆動制御部63は、転舵角センサ32によって検出された実転舵角δを入力し、転舵角速度リミットδ’limに基づいて、左右前輪FW1,FW2が補正目標転舵角δdaに転舵されるように転舵アクチュエータ21内の電動モータの回転をフィードバック制御する。この制御においては、駆動制御部63は、駆動回路37から転舵アクチュエータ21内の電動モータに流れる駆動電流も入力し、同電動モータに流れる駆動電流も入力し、同電動モータに転舵トルクに対応した大きさの駆動電流が適正に流れるように駆動回路37をフィードバック制御する。
具体的に説明すると、駆動制御部63は、左右前輪FW1,FW2が転舵するときに、転舵角速度リミットδ’limを超えないように、転舵アクチュエータ21内の電動モータの駆動制御する。そして、駆動制御された電動モータの回転は、転舵出力軸22を介してピニオンギア23に伝達され、ピニオンギア23によりラックバー24を軸線方向に変位させる。そして、このラックバー24が軸線方向に変位することにより、左右前輪FW1,FW2は補正目標転舵角δdaに転舵される。このように、運転者の戻し操舵時において、転舵角速度リミットδ’limを超えないように左右前輪FW1,FW2を転舵することにより、左右前輪FW1,FW2の急激な転舵が抑制されて車両の挙動を安定させることができる。
上記作動説明から理解できるように、この第1実施形態によれば、操舵ハンドル11に対する運転者の操作入力値としての操舵角θは、変位−トルク変換部51によって操舵トルクTdに変換されるとともに、同変換された操舵トルクTdはトルク−横加速度変換部52によって見込み横加速度Gdに変換され、転舵角変換部53、転舵角補正部61および駆動制御部63により、左右前輪FW1,FW2が見込み横加速度Gdの発生に必要な補正目標転舵角δdaに転舵される。このとき、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵されている場合には、転舵角速度リミット制御部62によって計算された制限値としての転舵角速度リミットδ’limが適用される。
この場合、操舵トルクTdは、反力トルクTzと等しいため、反力アクチュエータ13の作用によって運転者が操舵ハンドル11から知覚し得る物理量であるとともに、操舵角θに対して指数関数的に変化するものであるので、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った反力を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作できる。また、左右前輪FW1,FW2の転舵によって車両に発生する実横加速度Gも知覚し得る物理量であるとともに、この実横加速度Gは見込み横加速度Gdに等しくなるように制御される。さらに、この見込み横加速度Gdも運転者が入力した操舵角θに対してべき乗関数的に(式4を式5に変形することにより指数関数的に)変化する。したがって、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った横加速度を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作して、車両を旋回させることができる。その結果、運転者は、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運転が簡単になる。
また、転舵角補正部61は、車両に実際に発生している実横加速度Gが操舵ハンドル11の操舵角θに正確に対応するように目標転舵角δdを補正するので、車両には操舵ハンドル11の操舵角θに正確に対応した実横加速度Gが発生する。その結果、運転者は、人間の知覚特性により正確に合った横加速度を知覚しながら、操舵ハンドル11を操作できるようになるので、車両の運転がより簡単になる。
また、駆動制御部63は、運転者により操舵ハンドル11が戻し操舵された場合に、転舵角速度リミット制御部62から取得した転舵角速度リミットδ’limを超えないように、転舵アクチュエータ21を作動させる。その結果、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵された場合には、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を制限して左右前輪FW1,FW2を転舵するため、車両の挙動を好適に安定させることができる。ここで、転舵角速度リミットδ’limは、車速Vに応じて計算され、車速Vが小さくなるに従って大きくなり、車速Vが大きくなるに従って小さくなる。このため、車速Vが小さい(低速走行時)には、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を大きくすることができて、運転者の戻し操舵に対して俊敏に(応答性よく)左右前輪FW1,FW2を転舵することができる。これにより、運転者の操舵操作に係る負担を軽減することができる。
一方、車速Vが大きい(高速走行時)には、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を小さくすることができて、運転者の戻し操舵に対して緩やかに左右前輪FW1,FW2を転舵することができる。これにより、高速走行時における車両の挙動を良好に安定させることができる。また、転舵角速度リミットδ’limを車速Vに応じて連続的に変化させることにより、全車速域にて運転者が違和感を覚えることなく、左右前輪FW1,FW2を転舵制御することができて好適である。さらに、転舵角速度リミットδ’limに基づいて転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を自動的に調整することにより、運転者の運転技能に因ることなく、車両のコントロール性を向上させることができる。
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、転舵角速度リミット制御部62を設けて、運転者が操舵ハンドル11を戻し操舵したときに、転舵角速度リミットδ’limを計算し、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度がこの転舵角速度リミットδ’limを超えないように左右前輪FW1,FW2を転舵制御することによって、車両の挙動を安定させるように実施した。これに対して、運転者が操舵ハンドル11を戻し操舵したときには、同戻し操舵に対して、所定の時間的な遅れを生じさせて左右前輪FW1,FW2を転舵制御することによっても、車両の挙動を安定させることができる。以下、この第2実施形態について詳細に説明する。なお、上記第1実施形態と同一部分については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この第2実施形態においては、図6に示すように、上記第1実施形態の転舵制御部60における転舵角速度リミット制御部62に代えて、ローパスフィルタ64が設けられている。このローパスフィルタ64は、転舵角補正部61と駆動制御部63との間にて接続されていて、転舵角補正部61によって計算された補正目標転舵角δdaをローパスフィルタ処理して、駆動制御部63に出力するものである。このローパスフィルタ64の作動について具体的に説明する。
ローパスフィルタ64は、操舵角センサ31から操舵角θを入力する。そして、ローパスフィルタ64は、入力した操舵角θと、同操舵角θを時間微分した微分値すなわち操舵角速度θ’とに基づいて、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵されているか否かを判定する。ここで、操舵角速度θ’は、操舵ハンドル11の操舵角θが正の状態から中立位置方向へ回動(すなわち右方向へ回動)されたときに負の値で表され、操舵ハンドル11の操舵角θが負の状態から中立位置方向への回動(すなわち左方向へ回動)されたときに正の値で表される。これにより、ローパスフィルタ64は、操舵角θ>0かつ操舵角速度θ’<0、または、操舵角θ<0かつ操舵角速度θ’>0であるときには、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵されていると判定することができる。
そして、ローパスフィルタ64は、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵されている場合には、下記式10の演算を実行して、左右前輪FW1,FW2の転舵制御に際し、転舵初期の立ち上がりピークを除去して所定の時間遅れを生じさせるためのカットオフ周波数定数KLPFを演算する。
KLPF=Q1・(1+Q2(∂θ/∂δ)) …式10
ただし、Q1,Q2は、所定の演算パラメータであり、ともに実験的に求められる定数である。また、∂θ/∂δは、転舵角変換部53が参照した図5に示したテーブルの傾きの逆数すなわち操舵装置のギア比である。具体的に説明すると、図5に示したテーブルは、上記式5および式7から明らかなように、操舵角θと目標転舵角δdとの関係とすることができ、目標転舵角δdは、操舵角θに対して決定される関係と考えることができる。この関係から操舵角θにおけるテーブル(曲線)の傾きを計算することができ、この計算した傾きの逆数すなわち∂θ/∂δは、操舵装置のギア比を表すものである。
このため、カットオフ周波数定数KLPFは、ギア比が大きいほど大きな値となるとともに、ギア比が小さいほど小さな値となる特性を有している。また、図5に示したテーブルが車速Vに依存しているため、カットオフ周波数定数KLPFも車速Vに依存する特性を有している。すなわち、車速Vが大きい場合にはギア比が小さくなるため、カットオフ周波数定数KLPFは小さな値となり、車速Vが小さい場合にはギア比が大きくなるため、カットオフ周波数定数KLPFは大きな値となる特性を有している。
このように、ローパスフィルタ64は、カットオフ周波数定数KLPFを演算すると、下記式11および式12を用いて、転舵角補正部61から供給された補正目標転舵角δdaを前記演算したカットオフ周波数定数KLPFによってローパスフィルタ処理する。
reserve(n)=reserve(n−1)+δ(n)−δlpf(n−1) …式11
δlpf(n)=reserve(n)・KLPF …式12
ただし、reserve(n)は演算用の所定の変数であり、δ(n)はローパスフィルタ処理前の転舵角すなわち転舵角補正部61にて計算された補正目標転舵角δdaであり、nは計算回数である。このように、カットオフ周波数定数KLPFによって補正目標転舵角δdaをローパスフィルタ処理することにより、ローパスフィルタ64は、補正目標転舵角δdaの立ち上がりピークを除去するとともに、所定の時間的な遅れを生じさせた目標転舵角δlpfを出力する。
具体的に説明すると、操舵装置のギア比が大きい(または車速Vが小さい)場合には、カットオフ周波数定数KLPFが大きいため、例えば、左右前輪FW1,FW2が大きく転舵されている状態において運転者が操舵ハンドル11を戻し操舵したときには、カットオフされる立ち上がりピーク量が小さくなり時間的な遅れが小さくなる。一方、操舵装置のギア比が小さい(または車速Vが大きい)場合には、カットオフ周波数定数KLPFが小さいため、例えば、車両が高速で旋回走行している状態において運転者が操舵操舵ハンドル11を戻し操舵したときには、カットオフされる立ち上がりピーク量が大きくなり時間的な遅れが大きくなる。
そして、ローパスフィルタ64は、ローパスフィルタ処理した目標転舵角δlpfを駆動制御部63に供給する。このように、駆動制御部63に対して、ローパスフィルタ処理した目標転舵角δlpfを供給することにより、転舵アクチュエータ21の転舵作動開始を所定の時間だけ遅らせることができ、運転者の戻し操舵と左右前輪FW1,FW2の転舵との間に所定の時間遅れを生じさせることができる。このため、車両の挙動を安定させることができる。なお、ローパスフィルタ64は、運転者によって操舵ハンドル11が切込み操作、すなわち、操舵角θ>0かつ操舵角速度θ’>0、または、操舵角θ<0かつ操舵角速度θ’<0である場合には、ローパスフィルタ処理した目標転舵角δlpfを計算しない。この場合には、ローパスフィルタ64は、駆動制御部63に対して、ローパスフィルタ処理をせずに補正目標転舵角δdaを供給する。
駆動制御部63は、転舵角センサ32によって検出された実転舵角δを入力し、左右前輪FW1,FW2が目標転舵角δlpfまたは補正目標転舵角δdaに転舵されるように転舵アクチュエータ21内の電動モータの回転をフィードバック制御する。
以上の説明からも理解できるように、この第2実施形態においては、運転者による操舵ハンドル11の戻し操舵に対して転舵アクチュエータ21が作動を開始するときに、所定の時間的な遅れを生じさせるように、ローパスフィルタ64は駆動制御部63に対してローパスフィルタ処理した目標転舵角δlpfを供給する。これにより、駆動制御部63は、所定の時間的な遅れを有して左右前輪FW1,FW2を目標転舵角δlpfとなるように転舵制御する。その結果、運転者の操舵ハンドル11戻し操舵と左右前輪FW1,FW2の戻し転舵制御との間に所定の時間遅れを生じさせることができ、急激な左右前輪FW1,FW2の転舵が抑制されるため、車両の挙動を安定させることができる。また、ローパスフィルタ処理によって所定の時間的な遅れを有して転舵アクチュエータ21を作動させることにより、作動開始初期における制御信号の立ち上がりピークの影響をなくすことができる。このため、制御信号の立ち上がりピークによる左右前輪FW1,FW2の急激な転舵を抑制することができて、車両の挙動を安定させることができる。このとき、所定の時間的な遅れを、操舵装置のギア比に基づいて決定することにより、車両固有の転舵特性を反映させて転舵アクチュエータ21を作動させることができ、好適である。
c.第1変形例
上記第1および第2実施形態においては、操舵ハンドル11の操作入力値として操舵角θを利用するように実施した。これに対して、操舵ハンドル11の操作入力値として操舵トルクTを利用して実施することも可能である。以下、この第1変形例について説明する。この第1変形例においては、図1に破線で示すように、操舵入力軸12に組み付けられて操舵ハンドル11に付与された操舵トルクTを検出する操舵トルクセンサ38を備えている。その他の構成については、上記第1および第2実施形態と同じであるが、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムは上記第1および第2実施形態の場合とは若干異なる。この第1変形例の場合には、前記コンピュータプログラムを表す図2および図6の機能ブロック図において、変位−トルク変換部51は設けられておらず、トルク−横加速度変換部52が、上記第1および第2実施形態における変位−トルク変換部51にて計算される操舵トルクTdに代えて、操舵トルクセンサ38によって検出された操舵トルクTを用いた式3,4の演算の実行により見込み横加速度Gdを計算する。なお、この場合も、式3,4の演算に代えて、図4に示す特性を表す変換テーブルを用いて見込み横加速度Gdを計算するようにしてもよい。なお、電子制御ユニット35にて実行される他のプログラム処理については上記第1および第2実施形態の場合と同じである。
この第1変形例によれば、操舵ハンドル11に対する運転者の操作入力値としての操舵トルクTがトルク−横加速度変換部52によって見込み横加速度Gdに変換され、転舵角変換部53、転舵角補正部61および駆動制御部62により、左右前輪FW1,FW2は見込み横加速度Gdの発生に必要な補正目標転舵角δdaに転舵される。そして、この場合も、操舵トルクTは運転者が操舵ハンドル11から知覚し得る物理量であるとともに、操舵トルクTに対して見込み横加速度Gdはべき乗関数的に変化するものであるので、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った反力を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作できる。したがって、この第1変形例においても、上記各実施形態の場合と同様に、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った横加速度を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作して、車両を旋回させることができるので、上記各実施形態と同様な効果が期待される。
さらに、上記各実施形態による車両の操舵制御と、前記第1変形例による車両の操舵制御とを切り替え可能にしてもよい。すなわち、操舵角センサ31と操舵トルクセンサ38の両方を備え、上記実施形態のように変位−トルク変換部51にて計算される目標転舵トルクTdを用いて見込み横加速度Gdを計算する場合と、操舵トルクセンサ38によって検出された操舵トルクTを用いて見込み横加速度Gdを計算する場合とを切り替えて利用可能とすることもできる。この場合、前記切り替えを、運転者の意思により、または車両の運動状態に応じて自動的に切り替えるようにするとよい。
d.第2変形例
次に、上記第1および第2実施形態における運動状態量としての横加速度に代えて、ヨーレートを用いた第2変形例について説明する。この第2変形例における操舵装置は、図1に破線で示すように、上記各実施形態における横加速度センサ34に代えて、運転者が知覚し得る運動状態量である実ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ39を備えている。他の構成については、上記各実施形態と同じであるが、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムは上記各実施形態の場合と若干異なる。
この第2変形例においては、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが図7および図8の機能ブロック図により示されている。この場合、感覚適合制御部50において、変位−トルク変換部51は上記各実施形態と同様に機能するが、上記各実施形態のトルク−横加速度変換部52に代えてトルク−ヨーレート変換部54が設けられている。
このトルク−ヨーレート変換部54は、変位−トルク変換部51にて計算された操舵トルクTdを用いて、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込みヨーレートγdを、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To未満であれば下記式13のように「0」とし、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To以上であれば下記式14に従って計算する。
γd=0 (|Td|<To) …式13
γd=C・TdK2 (To≦|Td|) …式14
ただし、式14中のC,K2は、上記各実施形態と同じく定数である。また、この場合も、前記式14中の操舵トルクTdは上記式2を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが負であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合、前記式13,14の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込みヨーレートγdを記憶した図9に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込みヨーレートγdを計算するようにしてもよい。
また、転舵角変換部55は、見込みヨーレートγdを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを計算するものであり、図10に示すように車速Vに応じて変化して見込みヨーレートγdに対する目標転舵角δdの変化特性を表すテーブルを有する。このテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δとヨーレートγとを予め実測して収集したデータの集合である。そして、転舵角変換部55は、このテーブルを参照して、前記入力した見込みヨーレートγdと車速センサ33から入力した検出車速Vに対応した目標転舵角δdを計算する。また、前記テーブルに記憶されているヨーレートγ(見込みヨーレートγd)と目標転舵角δdは、いずれも正であるが、転舵角変換部55から供給される見込みヨーレートγdが負であれば、出力される目標転舵角δdも負となる。
なお、目標転舵角δdは下記式15に示すように車速Vとヨーレートγの関数であるので、前記テーブルを参照することに代えて、下記式15の演算の実行によっても計算することができる。
δd=L・(1+A・V2)・γd/V …式15
ただし、前記式15においても、Lはホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは予め決められた所定値である。
この計算された目標転舵角δdは、転舵制御部60の転舵角補正部65に供給される。転舵角補正部65は、トルク−ヨーレート変換部54から見込みヨーレートγdを入力するとともに、ヨーレートセンサ39によって検出された実ヨーレートγをも入力しており、下記式16の演算を実行して、入力した目標転舵角δdを補正して補正目標転舵角δdaを計算する。
δda=δd+K4・(γd−γ) …式16
ただし、係数K4は予め決められた正の定数であり、実ヨーレートγが見込みヨーレートγdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実ヨーレートγが見込みヨーレートγdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込みヨーレートγdに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角がより精度よく確保される。
また、電子制御ユニット35にて実行される他のプログラム処理については上記各実施形態の場合と同じである。そして、図7および図8の機能ブロック図において、上記各実施形態の図2および図6と同一の符号を付してその説明を省略する。
そして、上記説明した第2変形例においても、操舵ハンドル11に対する運転者の操作入力値としての操舵角θは変位−トルク変換部51によって操舵トルクTdに変換されるとともに、同変換された操舵トルクTdはトルク−ヨーレート変換部54によって見込みヨーレートγdに変換され、転舵角変換部55、転舵角補正部65および駆動制御部63により左右前輪FW1,FW2は見込みヨーレートγdの発生に必要な補正目標転舵角δdaに転舵される。この場合も、操舵トルクTdは、反力トルクTzと等しいため、反力アクチュエータ13の作用によって運転者が操舵ハンドル11から知覚し得る物理量であるとともに、操舵角θに対して指数関数的に変化するものであるので、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った反力を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作できる。
また、左右前輪FW1,FW2の転舵によって車両に発生するヨーレートγも知覚し得る物理量であるとともに、このヨーレートγは見込みヨーレートγdに等しくなるように制御され、さらに、この見込みヨーレートγdも操舵角θに対してべき乗関数的に(上記実施形態の式4から式5への変形と同様に式14を変形することにより指数関数的に)変化する。したがって、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従ったヨーレートを感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作して、車両を旋回させることができる。その結果、運転者は、上記実施形態の場合と同様に、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運転が簡単になる。
また、駆動制御部63は、運転者により操舵ハンドル11が戻し操舵された場合に、転舵角速度リミット制御部62から取得した転舵角速度リミットδ’limを超えないように、転舵アクチュエータ21を作動させることができる。その結果、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵された場合には、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度が制限されて左右前輪FW1,FW2の転舵されるため、車両の挙動を好適に安定させることができる。ここで、転舵角速度リミットδ’limは、車速Vに応じて計算され、車速Vが小さくなるに従って大きくなり、車速Vが大きくなるに従って小さくなる。このため、車速Vが小さい(低速走行時)には、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を大きくすることができて、運転者の戻し操舵に対して俊敏に(応答性よく)左右前輪FW1,FW2を転舵することができる。これにより、運転者の操舵操作に係る負担を軽減することができる。
一方、車速Vが大きい(高速走行時)には、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を小さくすることができて、運転者の戻し操舵に対して緩やかに左右前輪FW1,FW2を転舵することができる。これにより、高速走行時における車両の挙動を良好に安定させることができる。また、転舵角速度リミットδ’limを車速Vに応じて連続的に変化させることにより、全車速域にて運転者が違和感を覚えることなく、左右前輪FW1,FW2を転舵制御することができて好適である。さらに、転舵角速度リミットδ’limに基づいて転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を調整することにより、運転者の運転技能に因ることなく、車両のコントロール性を向上させることができる。
また、運転者による操舵ハンドル11の戻し操舵に対して転舵アクチュエータ21が作動を開始するときに、所定の時間的な遅れを生じさせるように、ローパスフィルタ64は駆動制御部63に対してローパスフィルタ処理した目標転舵角δlpfを供給することができる。これにより、駆動制御部63は、所定の時間的な遅れを有して左右前輪FW1,FW2を目標転舵角δlpfとなるように転舵制御する。その結果、運転者の操舵ハンドル11戻し操舵と左右前輪FW1,FW2の戻し転舵制御との間に所定の時間遅れを生じさせることができ、急激な左右前輪FW1,FW2の転舵が抑制されるため、車両の挙動を安定させることができる。また、ローパスフィルタ処理によって所定の時間的な遅れを有して転舵アクチュエータ21を作動させることにより、作動開始初期における制御信号の立ち上がりピークの影響をなくすことができる。このため、制御信号の立ち上がりピークによる左右前輪FW1,FW2の急激な転舵を抑制することができて、車両の挙動を安定させることができる。このとき、所定の時間的な遅れを、操舵装置のギア比に基づいて決定することにより、車両固有の転舵特性を反映させて転舵アクチュエータ21を作動させることができ、好適である。
e.第3変形例
次に、上記第1および第2実施形態における運動状態量としての横加速度に代えて、旋回曲率を用いた第3変形例について説明する。この第3変形例における操舵装置は、上記第1および第2実施形態と同様に図1に示すように構成されている。ただし、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが上記各実施形態の場合とは若干異なる。
この第3変形例においては、電子制御ユニット35にて実行されるコンピュータプログラムが図11および図12の機能ブロック図により示されている。この場合、感覚適合制御部50において、変位−トルク変換部51は上記各実施形態と同様に機能するが、上記各実施形態のトルク−横加速度変換部52に代えてトルク−旋回曲率変換部56が設けられている。
このトルク−旋回曲率変換部56は、変位−トルク変換部51にて計算された操舵トルクTdを用いて、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んでいる見込み旋回曲率ρdを、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To未満であれば下記式17にように「0」とし、操舵トルクTdの絶対値が正の小さな所定値To以上であれば下記式18に従って計算する。
ρd=0 (|Td|<To) …式17
ρd=C・TdK2 (To≦|Td|) …式18
ただし、式18中のC,K2は、上記各実施形態と同じく定数である。また、この場合も、前記式18中の操舵トルクTdは上記式2を用いて計算した操舵トルクTdの絶対値を表しているものであり、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを正の値とするとともに、前記計算した操舵トルクTdが正であれば定数Cを前記正の定数Cと同じ絶対値を有する負の値とする。なお、この場合、前記式17,18の演算に代えて、操舵トルクTdに対する見込み旋回曲率ρdを記憶した図13に示すような特性の変換テーブルを用いて、見込み旋回曲率ρdを計算するようにしてもよい。
また、転舵角変換部57は、見込み旋回曲率ρdを発生するのに必要な左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを計算するものであり、図14に示すように車速Vに応じて変化して見込み旋回曲率ρdに対する目標転舵角δdの変化特性を表すテーブルを有する。このテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δと旋回曲率ρとを予め実測して収集したデータの集合である。そして、転舵角変換部57は、このテーブルを参照して、前記入力した見込み旋回曲率ρdと車速センサ33から入力した検出車速Vとに対応した目標転舵角δdを計算する。また、前記テーブルに記憶されている旋回曲率ρ(見込み旋回曲率ρd)と目標転舵角δdはいずれも正であるが、トルク−旋回曲率変換部56から供給される見込み旋回曲率ρdが負であれば、出力される目標転舵角δdも負となる。
なお、目標転舵角δdは下記式19に示すように車速Vと旋回曲率ρの関数であるので、前記テーブルを参照することに代えて、下記式19の演算の実行によっても計算することができる。
δd=L・(1+A・V2)・ρd …式19
ただし、前記式19においても、Lはホイールベースを表す予め決められた所定値であり、Aは予め決められた所定値である。
この計算された目標転舵角δdは、転舵制御部60の転舵角補正部66に供給される。転舵角補正部66は、トルク−旋回曲率変換部56から見込み旋回曲率ρdを入力するとともに、旋回曲率計算部67から実旋回曲率ρも入力する。旋回曲率計算部67は、横加速度センサ34によって検出された横加速度Gまたはヨーレートセンサ39によって検出されたヨーレートγと、車速センサ33によって検出された車速Vとを用いて、下記式20の演算の実行により実旋回曲率ρを計算して転舵角補正部66に出力する。
ρ=G/V2またはρ=γ/V …式20
そして、転舵角補正部66は、下記式21の演算を実行して、入力した目標転舵角δdを補正して補正目標転舵角δdaを計算する。
δda=δd+K5・(ρd−ρ) …式21
ただし、係数K5は予め決められた正の定数であり、実旋回曲率ρが見込み旋回曲率ρdに満たない場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が大きくなる側に補正される。また、実旋回曲率ρが見込み旋回曲率ρdを超える場合には、補正目標転舵角δdaの絶対値が小さくなる側に補正される。この補正により、見込み旋回曲率ρdに必要な左右前輪FW1,FW2の転舵角がより精度よく確保される。
また、電子制御ユニット35にて実行される他のプログラム処理については上記各実施形態の場合と同じである。そして、図11および図12の機能ブロック図において、上記各実施形態の図2および図6と同一の符号を付してその説明を省略する。
そして、上記説明した第3変形例においても、操舵ハンドル11に対する運転者の操作入力値としての操舵角θは変位−トルク変換部51によって操舵トルクTdに変換されるとともに、同変換された操舵トルクTdはトルク−旋回曲率変換部56によって見込み旋回曲率ρdに変換され、転舵角変換部57、転舵角補正部66および駆動制御部63により、左右前輪FW1,FW2は見込み旋回曲率ρdの発生に必要な補正目標転舵角δdaに転舵される。この場合も、操舵トルクTdは、反力トルクTzと等しいため、反力アクチュエータ13の作用によって運転者が操舵ハンドル11から知覚し得る物理量であるとともに、操舵角θに対して指数関数的に変化するものであるので、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った反力を感じながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作できる。
また、左右前輪FW1,FW2の転舵による旋回曲率も視覚によって知覚し得る物理量であるとともに、この旋回曲率ρは見込み旋回曲率ρdに等しくなるように制御され、さらに、この見込み旋回曲率ρdも操舵角θに対してべき乗関数的に(上記実施形態の式4から式5への変形と同様に式18を変形することにより指数関数的に)変化する。したがって、運転者はウェーバー・ヘフナーの法則に従った旋回曲率を視覚により知覚しながら人間の知覚特性に従って操舵ハンドル11を回動操作して、車両を旋回させることができる。その結果、運転者は上記実施形態の場合と同様に、人間の知覚特性に合わせて操舵ハンドル11を操作できるので、車両の運転が簡単になる。
また、駆動制御部63は、運転者により操舵ハンドル11が戻し操舵された場合に、転舵角速度リミット制御部62から取得した転舵角速度リミットδ’limを超えないように、転舵アクチュエータ21を作動させることができる。その結果、運転者によって操舵ハンドル11が戻し操舵された場合には、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度が制限されて左右前輪FW1,FW2の転舵されるため、車両の挙動を好適に安定させることができる。ここで、転舵角速度リミットδ’limは、車速Vに応じて計算され、車速Vが小さくなるに従って大きくなり、車速Vが大きくなるに従って小さくなる。このため、車速Vが小さい(低速走行時)には、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を大きくすることができて、運転者の戻し操舵に対して俊敏に(応答性よく)左右前輪FW1,FW2を転舵することができる。これにより、運転者の操舵操作に係る負担を軽減することができる。
一方、車速Vが大きい(高速走行時)には、転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を小さくすることができて、運転者の戻し操舵に対して緩やかに左右前輪FW1,FW2を転舵することができる。これにより、高速走行時における車両の挙動を良好に安定させることができる。また、転舵角速度リミットδ’limを車速Vに応じて連続的に変化させることにより、全車速域にて運転者が違和感を覚えることなく、左右前輪FW1,FW2を転舵制御することができて好適である。さらに、転舵角速度リミットδ’limに基づいて転舵アクチュエータ21の転舵作動速度を調整することにより、運転者の運転技能に因ることなく、車両のコントロール性を向上させることができる。
また、運転者による操舵ハンドル11の戻し操舵に対して転舵アクチュエータ21が作動を開始するときに、所定の時間的な遅れを生じさせるように、ローパスフィルタ64は駆動制御部63に対してローパスフィルタ処理した目標転舵角δlpfを供給することができる。これにより、駆動制御部63は、所定の時間的な遅れを有して左右前輪FW1,FW2を目標転舵角δlpfとなるように転舵制御する。その結果、運転者の操舵ハンドル11戻し操舵と左右前輪FW1,FW2の戻し転舵制御との間に所定の時間遅れを生じさせることができ、急激な左右前輪FW1,FW2の転舵が抑制されるため、車両の挙動を安定させることができる。また、ローパスフィルタ処理によって所定の時間的な遅れを有して転舵アクチュエータ21を作動させることにより、作動開始初期における制御信号の立ち上がりピークの影響をなくすことができる。このため、制御信号の立ち上がりピークによる左右前輪FW1,FW2の急激な転舵を抑制することができて、車両の挙動を安定させることができる。このとき、所定の時間的な遅れを、操舵装置のギア比に基づいて決定することにより、車両固有の転舵特性を反映させて転舵アクチュエータ21を作動させることができ、好適である。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態および各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記各実施形態および各変形例においては、操舵ハンドルに入力された操作入力値としての操舵角や操舵トルクを見込み運動状態量に変換し、同変換した見込み運動状態量を用いて転舵角を計算するステアバイワイヤ方式の車両の操舵装置に適用して実施した。しかしながら、操舵ハンドルに入力された操舵角や操舵トルクに基づいて転舵角を直接計算し、転舵アクチュエータによって転舵輪を転舵角となるように転舵する従来のステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置にて実施することも可能である。この場合においても、従来のステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置に対して、上記説明した転舵角速度リミット制御部やローパスフィルタを設け、転舵アクチュエータの作動を調整することにより、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態および各変形例においては、車両を操舵するために回動操作される操舵ハンドル11を用いるようにした。しかし、これに代えて、例えば、直線的に変位するジョイスティックタイプの操舵ハンドルを用いてもよいし、その他、運転者によって操作されるとともに車両に対する操舵を指示できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
また、上記実施形態および各変形例においては、転舵アクチュエータ21を用いて転舵出力軸22を回転させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵するようにした。しかし、これに代えて、転舵アクチュエータ21を用いてラックバー23をリニアに変位させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態および各変形例においては、人間が知覚し得る車両の運動状態量として、横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率をそれぞれ単独で用いるようにした。しかし、これらの車両の運動状態量を、運転者による選択操作により切り替え、または車両の走行状態に応じて自動的に切り替えて、車両の操舵制御を行うようにしてもよい。車両の走行状態に応じて自動的に切り替える場合、例えば、車両の低速走行時には前記運動状態量として旋回曲率を用い、車両の中速走行時には前記運動状態量としてヨーレートを用い、かつ車両の高速走行時には前記運動状態量として横加速度を用いるようにする。これによれば、車両の走行状態に応じて適切な車両の操舵制御がなされ、車両の運転がより易しくなる。
本発明の各実施形態に係る車両の操舵装置の概略図である。 本発明の第1実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される転舵制御のコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵角と操舵トルクの関係を示すグラフである。 操舵トルクと見込み横加速度の関係を示すグラフである。 見込み横加速度と目標転舵角の関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される転舵制御のコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 第1実施形態の第2変形例に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される転舵制御のコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 第2実施形態の第2変形例に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される転舵制御のコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵トルクと見込みヨーレートの関係を示すグラフである。 見込みヨーレートと目標転舵角の関係を示すグラフである。 第1実施形態の第3変形例に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される転舵制御のコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 第2実施形態の第3変形例に係り、図1の電子制御ユニットにて実行される転舵制御のコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵トルクと見込み旋回曲率の関係を示すグラフである。 見込み旋回曲率と目標転舵角の関係を示すグラフである。
符号の説明
FW1,FW2…左右前輪、11…操舵ハンドル、12…操舵入力軸、13…反力アクチュエータ、21…転舵アクチュエータ、22…転舵出力軸、31…操舵角センサ、32…転舵角センサ、33…車速センサ、34…横加速度センサ、35…電子制御ユニット、38…操舵トルクセンサ、39…ヨーレートセンサ、40…反力制御部、50…感覚適合制御部、51…変位−トルク変換部、52…トルク−横加速度変換部、53,55,57…転舵角変換部、54…トルク−ヨーレート変換部、56…トルク−旋回曲率変換部、60…転舵制御部、61,65,66…転舵角補正部、62…転舵角速度リミット制御部、63…駆動制御部、64…ローパスフィルタ

Claims (8)

  1. 車両を転舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する転舵制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記転舵制御装置を
    前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、
    車両の旋回に関係して運転者が知覚し得る車両の運動状態を表していて前記操舵ハンドルに対する操作入力値と予め定めた指数関係またはべき乗関係にある車両の見込み運動状態量を、前記検出された操作入力値を用いて計算する運動状態量計算手段と、
    前記計算された見込み運動状態量で車両が運動するために必要な前記転舵輪の転舵角を、前記計算された見込み運動状態量を用いて計算する転舵角計算手段と、
    前記計算された転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を同計算された転舵角に転舵する転舵制御手段と、
    前記操作入力値検出手段によって検出した運転者の操作入力値に基づいて、前記操舵ハンドルが中立位置方向へ戻し操舵されたか否かを判定する戻し操舵判定手段と、
    車両の車速を検出する車速検出手段と、
    前記戻し操舵判定手段によって前記操舵ハンドルが戻し操舵されたと判定すると、前記車速検出手段により検出した車速に応じて、前記転舵制御手段が前記転舵アクチュエータの作動を制御するための制御量を調整する転舵アクチュエータ作動調整手段とで構成したことを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  2. 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記転舵アクチュエータ作動調整手段は、前記車速検出手段により検出した車速が小さくなるに従って前記転舵アクチュエータの制御量を大きくして調整することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記転舵アクチュエータ作動調整手段は、前記転舵アクチュエータの制御量を所定量に制限して調整することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記転舵アクチュエータ作動調整手段は、前記転舵アクチュエータの作動開始に際して所定の時間的な遅れを生じさせて、前記制御量を調整することを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  5. 請求項4に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記所定の時間的な遅れは、前記運転者の操作入力値と同操作入力値に対する前記転舵輪の転舵量との関係に基づいて決定されることを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  6. 請求項に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記操作入力値検出手段を、前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量センサで構成するとともに、
    前記運動状態量計算手段を、前記検出された変位量を前記操舵ハンドルに付与される操作力に変換する操作力変換手段と、前記変換された操作力を前記見込み運動状態量に変換する運動状態量変換手段とで構成したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  7. 請求項に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記操作入力値検出手段を、前記操舵ハンドルに付与される操作力を検出する操作力センサで構成するとともに、
    前記運動状態量計算手段を、前記検出された操作力を前記見込み運動状態量に変換する運動状態量変換手段で構成したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  8. 請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、
    前記見込み運動状態量は、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一つであるステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
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