JP4446871B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、同操舵ハンドルに反力を付与する反力アクチュエータと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記反力アクチュエータを駆動制御して反力を付与するとともに前記転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置に関する。
近年、この種のステアリングバイワイヤ方式の操舵装置の開発は、積極的に行なわれるようになった。そして、例えば下記特許文献1は、操舵角および車速を検出し、操舵角の増加に従って減少するとともに車速の増加に従って増加する伝達比を計算し、この伝達比で操舵角を除算することにより前輪の転舵角(ラック軸の変位量)を計算して、同計算した転舵角に前輪を転舵するようにした操舵装置が示されている。また、この操舵装置においては、検出ハンドル操舵角を時間微分した操舵速度に応じて前記計算した転舵角を補正することにより、前輪の転舵応答性・追従性を高めるようにしている。さらに、検出車速および検出ハンドル操舵角を用いて目標ヨーレートを計算し、この計算した目標ヨーレートと検出した実ヨーレートとの差に応じて前記計算した転舵角を補正することにより、車両の挙動状態を考慮した転舵制御を実現するようにもなっている。
また、下記特許文献2には、操舵トルクおよびハンドル操舵角を検出し、操舵トルクおよびハンドル操舵角の増加に従って増加する2つの転舵角をそれぞれ計算し、これらの計算した両転舵角を加算した転舵角に前輪を転舵するようにした操舵装置が示されている。この操舵装置においては、車速も検出して、この検出車速により前記両転舵角を補正して、転舵特性を車速に応じて変更するようにしている。
特開2000−85604号公報 特開平11−124047号公報
ところで、上記従来の装置のいずれにおいても、運転者が入力した操舵角に対して、車両が適正に旋回するように転舵輪を転舵制御するようになっているものの、操舵ハンドルを介して運転者が知覚する反力の制御に関しては明確に開示されていない。例えば、上記特許文献1に開示された装置においては、入力された操舵角の大きさに応じて操舵ハンドルに付与する反力を一義的に決定している。しかし、このように付与される反力は転舵輪の転舵制御に伴う車両の挙動状態変化を反映しているものではなく、付与された反力に対して運転者が違和感を覚えるとともに車両の運転を難しくなる場合がある。
すなわち、一般的に、運転者は、操舵ハンドルの回動操作量(例えば操舵角)の大きさと、操舵ハンドルを介して知覚する反力と略等しい操舵ハンドルの操作力とに基づいて車両を運転する。このため、例えば、車速の変化に応じて運転者による操舵ハンドルの回動操作量が小さくなるように転舵特性を変化させた場合には、運転者が入力する操舵角に対する転舵角のゲインが高くなり、運転者による操舵ハンドルの回動操作に対して車両が旋回しやすい状態となる。この状態において、上記従来の装置のように、操舵角の大きさに応じて一義的に反力を付与する場合には、運転者の知覚する反力が車両の挙動状態変化言い換えれば車両の運動状態変化に合致しておらず、運転者は違和感を覚えるとともに車両の運転が難しくなる。このため、特に、車両の旋回時において、運転者は良好な操舵感覚を得ることができない場合がある。したがって、車両の挙動状態言い換えれば車両の運動状態を反映して操舵ハンドルに反力が付与されることが望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、運転者による操舵ハンドルの操作に対して、車両の運動状態量を反映させた反力を付与することにより、車両の運転を易しくした車両の操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、同操舵ハンドルに反力を付与する反力アクチュエータと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記反力アクチュエータを駆動制御して反力を付与するとともに前記転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記制御装置を、前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、前記操作入力値検出手段により検出された操作入力値に基づいて前記転舵輪の転舵角を決定するとともに、同決定した転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を決定した転舵角に転舵する転舵アクチュエータ制御手段と、前記計算された転舵輪の転舵角と予め定めた第1の関係にあって、運転者が知覚し得る車両の運動状態量を表していて前記転舵輪の転舵角により車両に発生することが見込まれる車両の見込み運動状態量を、前記計算された転舵輪の転舵角を用いて計算する運動状態量計算手段と、前記計算された車両の見込み運動状態量と予め定めた第2の関係にあって、前記操舵ハンドルに対する運転者の操作力に関する予め定められたウェーバー比を前記車両の運動状態量に関する予め定められたウェーバー比で除算した値を指数とする前記車両の見込み運動状態量のべき乗関数として定義される、運転者が前記操舵ハンドルを介して知覚する反力を、前記計算された車両の見込み運動状態量を用いて計算する反力計算手段と、前記計算された反力を発生させるために、前記反力アクチュエータを制御して前記操舵ハンドルに同計算された反力を付与する反力制御手段とで構成したことにある。
この場合、前記見込み運動状態量は、例えば、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一方である。また、前記転舵アクチュエータ制御手段は、前記操作入力値検出手段によって検出された操作入力値に対して所定の伝達比となる転舵角を決定し、同決定した転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を決定した転舵角に転舵するとよい。また、前記第1の関係は、車両の車速に応じて前記転舵輪の転舵角に対する前記車両の見込み運動状態量の大きさが変化する関係であるとよい。さらに、前記操作入力値検出手段は、例えば、前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量センサで構成されるとよい。
上記のように構成した本発明においては、まず、操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値に対して所定の伝達比となる転舵角が決定され、この決定された転舵角に転舵輪が転舵される。これにより、運転者が入力した操舵入力値(例えば、操舵角)に対して、車両を適正に旋回させることができる。一方で、転舵輪の転舵角は、車速に応じて変化する予め定めた第1の関係に基づき、車両の挙動状態を反映して運転者が知覚し得る車両の見込み運動状態量(横加速度やヨーレートなど)に変換される。そして、この変換された車両の見込み運動状態量とべき乗関数的に変化する第2の関係に基づき、運転者によって操舵ハンドルを介して知覚される反力が計算される。
ここで、前記第2の関係は、見込み運動状態量と運転者によって知覚される反力とがべき乗関数的に変化する関係である。これについて、人間の知覚特性に関し、ウェーバー・ヘフナー(Weber-Fechner)の法則によれば、人間の感覚量は与えられた刺激の物理量の対数に比例すると言われている。言い換えれば、人間に与えられる刺激の物理量すなわち見込み運動状態量に対して人間の感覚量すなわち運転者が知覚する反力を、例えば、べき乗関数的に変化させれば、物理量と感覚量との関係を人間の知覚特性に合わせることができる。これにより、転舵輪の転舵によって車両が旋回すると、この旋回により、運転者には、前記ウェーバー・ヘフナーの法則による「与えられた刺激の物理量」としての前記見込み運動状態量が与えられ、この見込み運動状態量に対してべき乗関数的に変化する「人間の感覚量」としての反力が計算される。なお、横加速度やヨーレートについては、運転者が車両内の各部位との接触により触覚的に感じ取ることができる。そして、この計算された反力は、操舵ハンドルに付与される。その結果、本発明によれば、操舵ハンドルに付与される反力は、車両の挙動状態言い換えれば車両の運動状態を反映するとともに人間の知覚特性に合わせて付与されるため、運転者は、違和感を覚えることなく車両を簡単に運転することができる。
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態に係る車両の操舵装置について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両の操舵装置を概略的に示している。
この操舵装置は、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2を操舵するために、運転者によって回動操作される操作部としての操舵ハンドル11を備えている。操舵ハンドル11は操舵入力軸12の上端に固定され、操舵入力軸12はその下端にて反力伝達機構13に接続されている。反力伝達機構13には、反力アクチュエータとしての反力モータ14が接続されている。この構成により、反力モータ14によって発生された反力が、反力伝達機構13および操舵入力軸12を介して、操舵ハンドル11に伝達されるようになっている。
また、この操舵装置は、転舵アクチュエータとしての転舵モータ15を備えている。この転舵モータ15の駆動力(転舵力)は、転舵力伝達機構16、転舵出力軸17、ピニオンギア18およびラックバー19を介して左右前輪FW1,FW2に伝達される。転舵力伝達機構16は、転舵モータ15の回転力を転舵出力軸17に伝達して、転舵モータ15の回転に応じて転舵出力軸17を回転させる。ピニオンギア18は、転舵出力軸17の下端部に固定されていて、その回転によりラックバー19を軸線方向に変位させる。ラックバー19は、その軸線方向の変位に応じて左右前輪FW1,FW2を左右に操舵する。
このような操舵装置における反力伝達機構13および転舵力伝達機構16の具体的機構について、一例を挙げて説明しておく。この具体的機構は、例えば図2に示すように、サンギア31、リングギア32、複数のプラネットギア33およびプラネットキャリア34からなるプラネタリギア機構を備えている。サンギア31およびリングギア32は、ハウジング35内に同軸かつ独立して回転可能に支持されている。複数のプラネットギア33は、プラネットキャリア34にそれぞれ回転可能に支持され、サンギア31およびリングギア32にそれぞれ噛み合っている。
サンギア31には、トーションバー36がその一端にて同軸かつ一体回転するように接続されている。このトーションバー36はハウジング35内に軸線回りに回転可能に支持されていて、その他端は操舵入力軸12に一体回転するように接続されている。リングギア32の外周面上には、大ギア32aが設けられている。この大ギア32aは、反力モータ14の回転軸の先端部に設けられた小ギア14aと噛み合っている。これにより、反力モータ14の回転は、小ギア14a、大ギア32a、リングギア32、プラネットギア33、サンギア31およびトーションバー36を介して操舵入力軸12に伝達される。したがって、これらの小ギア14a、大ギア32a、リングギア32、プラネットギア33、サンギア31およびトーションバー36が、図1の反力伝達機構13を構成する。
プラネットキャリア34は、ハウジング35内に軸線回りに回転可能に支持されたシャフト37の一端に一体的に接続されている。シャフト37の他端は、転舵出力軸17に一体回転するように接続されている。プラネットキャリア34の外周上には出力ギア38が固定されており、同出力ギア38はシャフト39の外周上に固定された中間ギア41に噛み合っている。シャフト39はハウジング35内に軸線回りに回転可能に支持されており、その外周上には入力ホイール42も固定されている。この入力ホイール42には、転舵モータ15の回転軸の先端に設けたウォームギア15aが噛み合っている。
これにより、転舵モータ15の回転は、ウォームギア15a、入力ホイール42、シャフト39、中間ギア41、出力ギア38、プラネットキャリア34およびシャフト37を介して転舵出力軸17に伝達される。したがって、これらウォームギア15a、入力ホイール42、シャフト39、中間ギア41、出力ギア38、プラネットキャリア34およびシャフト37が、図1の転舵力伝達機構16を構成する。なお、中間ギア41および出力ギア38は偏心しており、左右前輪FW1,FW2が中立位置近傍にあるときのステアリングギア比が大きくなるとともに、左右前輪FW1,FW2が左右に大きく操舵されるときのステアリングギア比が小さくなるようになっている。
次に、これらの反力モータ14および転舵モータ15の回転を制御する電気制御装置について説明する。電気制御装置は、操舵角センサ51、転舵角センサ52、車速センサ53および横加速度センサ54を備えている。
操舵角センサ51は、操舵入力軸12に組み付けられて、操舵ハンドル11の中立位置からの回転角を検出して操舵角θとして出力する。転舵角センサ52は、転舵出力軸17に組み付けられて、転舵出力軸17の中立位置からの回転角を検出して実転舵角δ(左右前輪FW1,FW2の転舵角に対応)として出力する。なお、操舵角θおよび転舵角δは、中立位置を「0」とし、左方向の回転角を正の値で表すとともに、右方向の回転角を負の値でそれぞれ表す。車速センサ53は、車速Vを検出して出力する。横加速度センサ54は、車両の実横加速度Gを検出して出力する。なお、実横加速度Gも、左方向の加速度を正の値で表し、右方向の加速度を負で表す。
これらのセンサ51〜54は、電子制御ユニット55に接続されている。電子制御ユニット55は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするもので、プログラムの実行により反力モータ14および転舵モータ15の作動をそれぞれ制御する。電子制御ユニット55の出力側には、反力モータ14および転舵モータ15を駆動するための駆動回路56,57がそれぞれ接続されている。駆動回路56,57内には、反力モータ14および転舵モータ15に流れる駆動電流を検出するための電流検出器56a,57aが設けられている。電流検出器56a,57aによって検出された駆動電流は、反力モータ14および転舵モータ15の駆動を制御するために、電子制御ユニット55にフィードバックされている。
次に、上記のように構成した第1実施形態の動作について、電子制御ユニット55内にてコンピュータプログラム処理により実現される機能を表す図3の機能ブロック図を用いて説明する。電子制御ユニット55は、運転者の操舵ハンドル11の回動操作に基づいて左右前輪FW1,FW2の目標転舵角δdを決定するための転舵制御部60と、操舵ハンドル11への反力付与を制御するための反力制御部70とからなる。
運転者によって操舵ハンドル11が回動操作されると、操舵角センサ51によって操舵ハンドル11の回転角である操舵角θが検出されて、同検出された操舵角θは転舵制御部60に出力される。転舵制御部60においては、転舵角演算部61が、ギア比演算部62によって計算されたステアリングギア比Dを用いて目標転舵角δdを計算する。ギア比演算部62は、車速センサ53から車速Vを入力するとともに、図4に示すような変化特性を有するギア比テーブルを参照して、同入力した車速Vに対応したステアリングギア比Dを計算する。このギア比テーブルは、電子制御ユニット55の例えばROM内に予め記憶されたものであり、ウォームギア15a、入力ホイール42、中間ギア41および出力ギア38の各ギア比を考慮して決められている。そして、転舵角演算部61は、ギア比演算部62から検出車速Vに応じたステアリングギア比Dを入力し、同入力したステアリングギア比Dおよび前記入力した操舵角θを用いて、例えば、下記式1に示すように目標転舵角δdを計算する。
δd=θ/D …式1
このように、目標転舵角δdを計算すると、転舵角演算部61は、同計算した目標転舵角δdを駆動制御部63に出力する。
駆動制御部63は、転舵角センサ52によって検出された実転舵角δを入力し、左右前輪FW1,FW2が目標転舵角δdに転舵されるように転舵モータ15の回転をフィードバック制御する。また、駆動制御部63は、駆動回路57から転舵モータ15に流れる駆動電流も入力し、転舵トルクに対応した大きさの駆動電流が転舵モータ15に適切に流れるように駆動回路57をフィードバック制御する。この転舵モータ15の駆動制御により、転舵モータ15の回転は、転舵出力軸17を介してピニオンギア18に伝達される。そして、ピニオンギア18の回転によってラックバー19が軸線方向に変位することにより、左右前輪FW1,FW2は目標転舵角δdに転舵される。
一方、転舵制御部60によって左右前輪FW1,FW2が目標転舵角δdに転舵制御されると、転舵角センサ52は左右前輪FW1,FW2の実転舵角δを検出して反力制御部70に出力する。反力制御部70においては、転舵角補正部71が転舵角センサ52から入力した転舵角δを、横加速度センサ54から入力した実横加速度Gを用いた下記式2に従って補正し、補正転舵角δdaを計算する。
δda=δ+n・G …式2
ただし、式2中のnは、検出された実横加速度Gの大きさに応じて変化する係数である。この式2によれば、検出転舵角δは横加速度センサ54によって検出された実横加速度Gの大きさに応じて補正されるため、車両の運動状態を反映した補正転舵角δdaを計算することができる。そして、転舵角補正部71は、補正転舵角δdaを計算すると、同補正転舵角δdaを転舵角−横加速度変換部72に出力する。
転舵角−横加速度変換部72は、補正転舵角δdaを、車両の挙動状態を反映して車両に発生することが見込まれる見込み横加速度Gdに変換する車両モデルに基づき、入力した補正転舵角δdaを用いて見込み横加速度Gdを計算する。具体的に説明すると、この車両モデルは、転舵角δと横加速度Gの関係を表すものであって、車速Vに応じて変化する特性を有している。
そして、転舵角−横加速度変換部72は、車速センサ53によって検出された車速Vを入力しており、前記車両モデルを表す図5のテーブルを参照して、入力した補正転舵角δdaによって発生が見込まれる見込み横加速度Gdを計算する。ここで、転舵角−横加速度変換部72が参照する車両モデルのテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δと横加速度Gとを予め実測して収集したデータの集合である。なお、前記テーブルに記憶されている転舵角δ(補正転舵角δda)と横加速度G(見込み横加速度Gd)はいずれも正であるが、入力した補正転舵角δdaが負であれば、出力される見込み横加速度Gdも負となる。
また、見込み横加速度Gdは、下記式2に示すように、車速Vと補正転舵角δdaの関数で表すことができるため、前記テーブルの参照に代えて、下記式2の演算の実行によっても計算することができる。
Gd=V2/(L・(1+A・V2))・δda …式3
ただし、前記式2中のLは車両のホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは車両の運動性能を示す予め決められた所定値である。
そして、この計算された見込み横加速度Gdは、横加速度−トルク変換部73に供給される。横加速度−トルク変換部73は、人間の知覚特性に合致するように、運転者が操舵ハンドル11を介して知覚する反力トルクTzを、見込み横加速度Gdの絶対値が正の小さな所定値Go未満であれば下記式4に従って正の小さな所定値Toとし、見込み横加速度Gdの絶対値が正の小さな所定値Go以上であれば下記式5に従って計算する。
Tz=To (|Gd|<Go) …式4
Tz=C・GdK (Go≦|Gd|) …式5
ただし、式5中のC,Kは定数である。また、前記式5中の見込み横加速度Gdは前記車両モデルを表すテーブルまたは前記式3を用いて計算した見込み横加速度Gdの絶対値を表しているものであり、前記計算した見込み横加速度Gdが正であれば定数Cを負の値とするとともに、前記計算した見込み横加速度Gdが負であれば定数Cを前記負の定数Cと同じ絶対値を有する正の値とする。
ここで、前記式5の導出について説明しておく。上述したように、人間の知覚特性に関しては、「人間の感覚量は与えられた刺激の物理量の対数に比例する」というウェーバー・ヘフナー(Weber-Fechner)の法則が成立すると言われている。言い換えれば、人間の操作量に対して人間に与えられる刺激の物理量を指数関数的あるいはべき乗関数的に変化させれば、操作量と物理量との関係を人間の知覚特性に合わせることができる。今、このウェーバー・ヘフナーの法則を車両の操舵装置に適用して、運転者が人間の知覚特性に合った反力トルクTzを知覚する場合を考える。この場合には、運転者の操作量すなわち反力トルクTzに等しい操舵トルクに対して運転者に与えられる刺激の物理量すなわち見込み横加速度Gdをべき乗関数的に変化させれば、運転者は、操舵ハンドル11の回動操作に伴う操舵トルクの変化に対して、人間の知覚特性に合致した見込み横加速度Gdを知覚することができる。
すなわち、運転者による操舵ハンドル11の操作量としての操舵トルク言い換えれば反力トルクTzと、運転者が知覚する刺激の物理量としての見込み横加速度Gdとの関係は、下記式6のように示すことができる。
Gd=C1・TzK1 …式6
ただし、式6中のC1,K1は定数である。また、前記式6中の見込み横加速度Gdは前記式5と同様に前記式3を用いて計算した見込み横加速度Gdの絶対値を表している。そして、前記式6を変形すると下記式7になる。
Tz=(Gd/C1)1/K1=(1/C1)1/K1・Gd1/K1 …式7
ここで、上述したように、C1,K1は定数であるため、前記式7中の1/C1は定数であり、1/K1も定数である。このことから、1/C1を定数Cとし、1/K1を定数Kとすれば、前記式5が成立することが理解できる。
また、前記式4に示されるように、見込み横加速度Gdが所定値Go未満である場合、反力トルクTzは所定値Toに保たれている。これにより、運転者が知覚し得る最小感知横加速度を前記所定値Goとし、運転者が知覚し得る最小感知反力トルクを前記所定値Toとし、かつ、所定値GoがTo=C・GoKの関係になるようにすれば、見込み横加速度Gdが所定値Goになるまで、すなわち運転者が操舵ハンドル11の操作によって同操舵ハンドル11を介して反力トルクを感じるまで、反力トルクTzが所定値Toに保たれる。これによれば、最小知覚横加速度Go以上で車両が旋回したときのみ、最小反力トルクTo以上の反力トルクTzが操舵ハンドル11に付与されるため、運転者は人間の知覚特性に合致した反力トルクTzを知覚することができる。なお、反力トルクTzの計算においては、前記式4,5の演算に代えて、反力トルクTzと見込み横加速度Gdの関係を記憶した図6に示すような特性の変換テーブルを用いて計算するようにしてもよい。
次に、前記式5で用いたパラメータK,C(所定値K,C)の決め方について説明しておく。なお、このパラメータK,Cの決め方についての説明では、前記式5の反力トルクTzおよび見込み横加速度Gdについては、操舵トルクTおよび横加速度Gとして扱う。前述したウェーバー・ヘフナーの法則によれは、「人間の知覚できる最小の物理量変化ΔSとその時点での物理量Sとの比ΔS/Sは、物理量Sの値によらず一定となり、その比ΔS/Sをウェーバー比という」ことになっている。本発明者等は、操舵トルクおよび横加速度に関し、前記ウェーバー・ヘフナーの法則が成立することを確認するとともに、ウェーバー比を決定するために、次のような実験を、男女、年齢、車両の運転暦などの異なる種々の人間に対して行った。
操舵トルクに関しては、車両の操舵ハンドルにトルクセンサを組付け、操舵ハンドルに検査用のトルクを外部から付与するとともに同検査用トルクを種々の態様で変化させながら、この検査用トルクに抗して人間が操舵ハンドルに操作力を加えて同操舵ハンドルを回転させないように調整する人間の操作トルク調整能力を計測した。すなわち、前記状況下で、ある時点での検出操舵トルクをTとし、同検出操舵トルクTからの変化を知覚し得る最小の操舵トルク変化量をΔTとしたときの比の値ΔT/Tすなわちウェーバー比を種々の人間に対して計測した。この実験の結果によれば、操舵ハンドルの操作方向、操舵ハンドルを把持する手の状態、検査用トルクの大きさおよび方向によらず、種々の人間に対してウェーバー比ΔT/Tはほぼ一定の値αであった。
横加速度に関しては、運転席の側方に壁部材を設けて同壁部材に人間の肩の押圧力を検出する力センサを組付け、人間に操舵ハンドルを把持させるとともに壁部材の力センサに肩を接触させ、壁部材に検査用の力を人間に対して横方向に外部から付与するとともに同検査用の力を種々の態様で変化させながら、この検査用の力に抗して人間が壁部材を押して壁部材が移動しないように調整する、すなわち姿勢を維持する人間の横力調整能力を計測した。すなわち、前記状況下で、ある時点での外部からの横力に耐えて姿勢を維持する権出力をFとし、同検出力Fからの変化を知覚し得る最小の力変化量をΔFとしたときの比の値ΔF/Fすなわちウェーバー比を種々の人間に対して計測した。この実験の結果によれは、壁部材に付与される基準力の大きさおよび方向によらず、種々の人間に対してウェーバー比ΔF/Fはほぼ一定のβであった。
一方、前記式5を微分するとともに、同微分した式において式5を考慮すると、下記式8が成立する。
ΔT=C・K・GK-1・ΔG=T・K・ΔG/G …式8
この式8を変形し、かつ、前記実験により求めた操舵トルクに関するウェーバー比ΔT/TをKtとするとともに、横加速度に関するウェーバー比ΔF/FをKaとすると下記式9,10が成立する。
ΔT/T=K・ΔG/G …式9
K=Kt/Ka …式10
この式10において、Ktは操舵トルクに関するウェーバー比であるとともに、Kaは横加速度に関するウェーバー比であって、共に定数として与えられるものであるので、これらのウェーバー比Kt,Kaを用いて係数Kを計算できる。
また、横加速度の最大値をGmaxとし、操舵トルクの最大値をTmaxとすれば、前記式5から下記式11が導かれる。
C=Tmax/GmaxK …式11
そして、この式11においては、GmaxおよびTmaxは実験およびシステムによって決定される定数であり、かつ、定数Kは前記式10によって計算されるものであるので、定数(係数)Cも計算できる。
以上のように、操舵トルクTの最大値Tmax、横加速度Gの最大値Gmax、最小感知反力トルクTo、最小感知横加速度Go、操舵トルクに関するウェーバー比Kt、および横加速度に関するウェーバー比Kaを、実験およびシステムによって決定すれば、前記式5における係数K,Cを予め計算により決定しておくことができる。したがって、横加速度−トルク変換部73においては、前記式4,5を用いて、運転者の知覚特性に合った反力トルクTzを計算できる。
この計算された反力トルクTzは、駆動制御部74に供給される。駆動制御部74は、駆動回路56から反力モータ14に流れる駆動電流を入力し、同反力モータ14に反力トルクTzに対応した駆動電流が流れるように駆動回路56をフィードバック制御する。この反力モータ14の駆動制御により、反力モータ14は、操舵入力軸12を介して操舵ハンドル11に反力トルクTzを付与する。したがって、運転者は、例えば、車内の所定部位に体の一部が接触することによって知覚する横加速度G(見込み横加速度Gd)に対してべき乗関数的に変化する反力トルクTzを感じながら、言い換えれば、この反力トルクTzに等しい操舵トルクを操舵ハンドル11に加えながら、操舵ハンドル11を回動操作することになる。この横加速度G(見込み横加速度Gd)と反力トルクTzの関係は、上述したウェーバー・ヘフナーの法則に従うものであり、運転者は、操舵ハンドル11から人間の知覚特性に合った感覚を受けながら、操舵ハンドル11を回動操作できる。
以上の説明からも理解できるように、この第1実施形態によれば、操舵ハンドル11に付与される反力トルクTzは、車両の見込み運動状態量としての見込み横加速度Gdを反映するとともに人間の知覚特性に合わせて付与される。このため、運転者は、違和感を覚えることなく車両を簡単に運転することができる。
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、車両モデルとして、転舵角δから横加速度Gに変換する車両モデルを採用し、この車両モデルに従って補正転舵角δdaから変換した見込み横加速度Gdとべき乗関係にある反力トルクTzを計算するように実施した。このように、転舵角から車両の運動状態量を表す横加速度に変換する車両モデルに代えて、転舵角から車両の運動状態量を表すヨーレートに変換する車両モデルを採用して実施することも可能である。以下、この第2実施形態について説明する。
この第2実施形態においては、図1に破線で示すように、運転者が知覚し得る運動状態量である実ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ58を備えている。他の構成については、上記第1実施形態と同じであるが、電子制御ユニット55にて実行されるコンピュータプログラムは上記第1実施形態の場合とは若干異なる。
この第2実施形態においては、電子制御ユニット55にて実行されるコンピュータプログラムが図7の機能ブロック図により示されている。この場合、転舵制御部60においては上記第1実施形態と同様に機能するが、反力制御部70においては、転舵角−横加速度変換部72および横加速度−トルク変換部73に代えて、転舵角−ヨーレート変換部75およびヨーレート−トルク変換部76が設けられている。
転舵角−ヨーレート変換部75は、転舵角補正部71から入力した補正転舵角δdaを、車両の挙動状態を反映して車両に発生することが見込まれる見込みヨーレートγdに変換する車両モデルに基づき、補正転舵角δdaを用いて見込みヨーレートγdを計算する。具体的に説明すると、この第2実施形態における車両モデルは、転舵角δとヨーレートγの関係を表すものであって、車速Vに応じて変化する特性を有している。
そして、転舵角−ヨーレート変換部75は、車速センサ53から車速Vを入力しており、前記車両モデルを表す図8のテーブルを参照して、入力した補正転舵角δdaによって発生が見込まれる見込みヨーレートγdを計算する。ここで、転舵角−ヨーレート変換部75が参照する車両モデルのテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δとヨーレートγとを予め実測して収集したデータの集合である。なお、前記テーブルに記憶されている転舵角δ(補正転舵角δda)とヨーレートγ(見込みヨーレートγd)はいずれも正であるが、入力した補正転舵角δdaが負であれば、出力される見込みヨーレートγdも負となる。
また、見込みヨーレートγdは、下記式12に示すように、車速Vと補正転舵角δdaの関数で表すことができるため、前記テーブルの参照に代えて、下記式12の演算の実行によっても計算することができる。
γd=V/(L・(1+A・V2))・δda …式12
ただし、前記式12中のLは上記第1実施形態と同様な車両のホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは上記第1実施形態と同様な車両の運動性能を表す予め決められた所定値である。
そして、この計算された見込みヨーレートγdは、ヨーレート−トルク変換部76に供給される。ヨーレート−トルク変換部76は、人間の知覚特性に合致するように、運転者が操舵ハンドル11を介して知覚する反力トルクTzを、見込みヨーレートγdの絶対値が正の小さな所定値γo未満であれば下記式13に従って正の小さな所定値Toとし、見込みヨーレートγdの絶対値が正の小さな所定値γo以上であれば下記式14に従って計算する。
Tz=To (|γd|<γo) …式13
Tz=C・γdK (γo≦|γd|) …式14
ただし、式14中のC,Kは、上記第1実施形態と同様な定数である。また、前記式14中の見込みヨーレートγdは前記車両モデルを表すテーブルまたは前記式12を用いて計算した見込みヨーレートγdの絶対値を表しているものであり、前記計算した見込みヨーレートγdが正であれば定数Cを負の値とするとともに、前記計算した見込みヨーレートγdが負であれば定数Cを前記負の定数Cと同じ絶対値を有する正の値とする。なお、この場合も、前記式13,14の演算に代えて、反力トルクTzと見込みヨーレートγdの関係を記憶した図9に示すような特性の変換テーブルを用いて、反力トルクTzを計算するようにしてもよい。
この計算された反力トルクTzは、上記第1実施形態と同様に、駆動制御部74に供給される。駆動制御部74は、駆動回路56から反力モータ14に反力トルクTzに対応した駆動電流が流れるように駆動回路56をフィードバック制御する。この反力モータ14の駆動制御により、反力モータ14は、操舵入力軸12を介して操舵ハンドル11に反力トルクTzを付与する。したがって、運転者は、例えば、車内の所定部位に体の一部が接触することによって知覚するヨーレートγ(見込みヨーレートγd)に対してべき乗関数的に変化する反力トルクTzを感じながら、言い換えれば、この反力トルクTzに等しい操舵トルクを操舵ハンドル11に加えながら、操舵ハンドル11を回動操作することになる。このヨーレートγ(見込みヨーレートγd)と反力トルクTzの関係も、上述したウェーバー・ヘフナーの法則に従うものであり、運転者は、操舵ハンドル11から人間の知覚特性に合った感覚を受けながら、操舵ハンドル11を回動操作できる。
そして、上記説明した第2実施形態においても、操舵ハンドル11に付与される反力トルクTzは、車両の見込み運動状態量としての見込みヨーレートγdを反映するとともに人間の知覚特性に合わせて付与される。このため、運転者は、違和感を覚えることなく車両を簡単に運転することができる。
c.第3実施形態
上記第1実施形態においては、車両モデルとして、転舵角δから横加速度Gに変換する車両モデルを採用し、この車両モデルに従って補正転舵角δdaから変換した見込み横加速度Gdとべき乗関係にある反力トルクTzを計算するように実施した。このように、転舵角から車両の運動状態量を表す横加速度に変換する車両モデルに代えて、転舵角から車両の運動状態量を表す旋回曲率に変換する車両モデルを採用して実施することも可能である。以下、この第3実施形態について説明する。
この第3実施形態においては、上記第1実施形態と同様に、図1に示すように構成されている。ただし、電子制御ユニット55にて実行されるコンピュータプログラムが上記第1実施形態の場合とは若干異なる。この第3実施形態においては、電子制御ユニット55にて実行されるコンピュータプログラムが図10の機能ブロック図により示されている。この場合、転舵制御部60においては上記第1実施形態と同様に機能するが、反力制御部70においては、転舵角−横加速度変換部72および横加速度−トルク変換部73に代えて、転舵角−旋回曲率変換部77および旋回曲率−トルク変換部78が設けられている。
転舵角−旋回曲率変換部77は、転舵角補正部71から入力した補正転舵角δdaを、車両の挙動状態を反映して車両の走行が見込まれる見込み旋回曲率ρdに変換する車両モデルに基づき、補正転舵角δdaを用いて車両の見込み旋回曲率ρdを計算する。具体的に説明すると、この第3実施形態における車両モデルは、転舵角δと旋回曲率ρの関係を表すものであって、車速Vに応じて変化する特性を有している。
そして、転舵角−旋回曲率変換部77は、車速センサ53から車速Vを入力しており、前記車両モデルを表す図11のテーブルを参照して、入力した補正転舵角δdaによって車両の走行が見込まれる見込み旋回曲率ρdを計算する。ここで、転舵角−旋回曲率変換部77が参照する車両モデルのテーブルは、車速Vを変化させながら車両を走行させて、左右前輪FW1,FW2の転舵角δと旋回曲率ρとを予め実測して収集したデータの集合である。なお、前記テーブルに記憶されている転舵角δ(補正転舵角δda)と旋回曲率ρ(見込み旋回曲率ρd)はいずれも正であるが、転舵角センサ52から入力した実転舵角δが負であれば、出力される見込み旋回曲率ρdも負となる。
また、見込み旋回曲率ρdは、下記式15に示すように、車速Vと補正転舵角δdaの関数で表すことができるため、前記テーブルの参照に代えて、下記式15の演算の実行によっても計算することができる。
ρd=1/(L・(1+A・V2))・δda …式15
ただし、前記式15中のLは上記第1実施形態と同様な車両のホイールベースを示す予め決められた所定値であり、Aは上記第1実施形態と同様な車両の運動性能を表す予め決められた所定値である。
そして、この計算された見込み旋回曲率ρdは、旋回曲率−トルク変換部78に供給される。旋回曲率−トルク変換部78は、人間の知覚特性に合致するように、運転者が操舵ハンドル11を介して知覚する反力トルクTzを、見込み旋回曲率ρdの絶対値が正の小さな所定値ρo未満であれば下記式16に従って正の小さな所定値Toとし、見込み旋回曲率ρdの絶対値が正の小さな所定値ρo以上であれば下記式17に従って計算する。
Tz=To (|ρd|<ρo) …式16
Tz=C・ρdK (ρo≦|ρd|) …式17
ただし、式17中のC,Kは、上記第1実施形態と同様な定数である。また、前記式17中の見込み旋回曲率ρdは前記車両モデルを表すテーブルまたは前記式15を用いて計算した見込み旋回曲率ρdの絶対値を表しているものであり、前記計算した見込み旋回曲率ρdが正であれば定数Cを負の値とするとともに、前記計算した見込み旋回曲率ρdが負であれば定数Cを前記負の定数Cと同じ絶対値を有する正の値とする。なお、この場合も、前記式16,17の演算に代えて、反力トルクTzと見込み旋回曲率ρdの関係を記憶した図12に示すような特性の変換テーブルを用いて、反力トルクTzを計算するようにしてもよい。
この計算された反力トルクTzは、上記第1実施形態と同様に、駆動制御部74に供給される。駆動制御部74は、駆動回路56から反力モータ14に反力トルクTzに対応した駆動電流が流れるように駆動回路56をフィードバック制御する。この反力モータ14の駆動制御により、反力モータ14は、操舵入力軸12を介して操舵ハンドル11に反力トルクTzを付与する。したがって、運転者は、視覚によって知覚する旋回曲率ρ(見込み旋回曲率ρd)に対してべき乗関数的に変化する反力トルクTzを感じながら、言い換えれば、この反力トルクTzに等しい操舵トルクを操舵ハンドル11に加えながら、操舵ハンドル11を回動操作することになる。この旋回曲率ρ(見込み旋回曲率ρd)と反力トルクTzの関係も、上述したウェーバー・ヘフナーの法則に従うものであり、運転者は、操舵ハンドル11から人間の知覚特性に合った感覚を受けながら、操舵ハンドル11を回動操作できる。
そして、上記説明した第3実施形態においても、操舵ハンドル11に付与される反力トルクTzは、車両の見込み運動状態量としての見込み旋回曲率ρdを反映するとともに人間の知覚特性に合わせて付与される。このため、運転者は、違和感を覚えることなく車両を簡単に運転することができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記第1ないし第3実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記第1ないし第3実施形態においては、転舵角補正部71を設け、転舵角センサ52によって検出された転舵角δを、例えば横加速度Gを用いて補正するように実施した。しかしながら、例えば、転舵角センサ52による転舵角δの検出精度が高い場合には、転舵角補正部71を省略して実施することも可能である。この場合、転舵角センサ52によって検出された左右前輪FW1,FW2の転舵角δは、転舵角−横加速度変換部72、転舵角−ヨーレート変換部75または転舵角−旋回曲率変換部77に直接出力され、各変換部72,75,77は、入力した転舵角δを用いて、それぞれ、見込み横加速度Gd、見込みヨーレートγdまたは見込み旋回曲率ρdを計算する。このように、車両の挙動を反映して運転者が知覚し得る運動状態量としての見込み横加速度Gd、見込みヨーレートγdまたは見込み旋回曲率ρdが計算されることにより、これらの運動状態量を反映した反力トルクTzが計算されるため、運転者は人間の知覚特性に合った反力トルクTzを知覚することができる。
また、上記第1ないし第3実施形態においては、車両を操舵するために回動操作される操舵ハンドル11を用いるようにした。しかし、これに代えて、例えば、直線的に変位するジョイスティックタイプの操舵ハンドルを用いてもよいし、その他、運転者によって操作されるとともに車両に対する操舵を指示できるものであれば、いかなるものを用いてもよい。
また、上記第1ないし第3実施形態においては、転舵力伝達機構16の転舵モータ15を用いて転舵出力軸17を回転させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵するようにした。これに代えて、電動モータを用いてラックバー19をリニアに変位させることにより、左右前輪FW1,FW2を転舵するようにしてもよい。
さらに、上記第1ないし第3実施形態においては、人間が知覚し得る車両の運動状態量として、横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率をそれぞれ単独で用いるようにした。しかし、これらの車両の運動状態量を、運転者による選択操作により切り換え、または、車両の走行状態に応じて自動的に切り換えて、車両の操舵制御を行うようにしてもよい。車両の走行状態に応じて自動的に切り換える場合、例えば、車両の低速走行時には前記運動状態量として旋回曲率を用い、車両の中速走行時には前記運動状態量としてヨーレートを用い、かつ、車両の高速走行時には前記運動状態量として横加速度を用いるようにする。これによれば、車両の走行状態に応じて運転者が容易に知覚できる運動状態量を適切に選択できて、車両の運動状態量を反映するとともに人間の知覚特性に合った反力トルクTzを操舵ハンドル11に付与することができる。
本発明の第1ないし第3実施形態に共通の車両の操舵装置の概略図である。 図1の反力伝達機構および転舵力伝達機構の構成を説明するために概略的に示した断面図である。 本発明の第1実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行されるコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 車速とステアリングギア比の関係を示すグラフである。 操舵角と見込み横加速度の関係を示すグラフである。 見込み横加速度と反力トルクの関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行されるコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵角と見込みヨーレートの関係を示すグラフである。 見込みヨーレートと反力トルクの関係を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係り、図1の電子制御ユニットにて実行されるコンピュータプログラム処理を機能的に表す機能ブロック図である。 操舵角と見込み旋回曲率の関係を示すグラフである。 見見込み旋回曲率と反力トルクの関係を示すグラフである。
符号の説明
FW1,FW2…前輪、11…操舵ハンドル、12…操舵入力軸、13…反力伝達機構、14…反力モータ、15…転舵モータ、16…転舵力伝達機構、17…転舵出力軸、18…ピニオンギア、19…ラックバー、51…操舵角センサ、52…転舵角センサ、53…車速センサ、54…横加速度センサ、55…電子制御ユニット、56,57…駆動回路、58…ヨーレートセンサ、60…転舵制御部、61…転舵角演算部、62…ギア比演算部、63…駆動制御部、70…反力制御部、71…転舵角補正部、72…転舵角−横加速度変換部、73…横加速度−トルク変換部、74…駆動制御部、75…転舵角−ヨーレート変換部、76…ヨーレート−トルク変換部、77…転舵角−旋回曲率変換部、78…旋回曲率−トルク変換部

Claims (5)

  1. 車両を操舵するために運転者によって操作される操舵ハンドルと、同操舵ハンドルに反力を付与する反力アクチュエータと、転舵輪を転舵するための転舵アクチュエータと、前記操舵ハンドルの操作に応じて前記反力アクチュエータを駆動制御して反力を付与するとともに前記転舵アクチュエータを駆動制御して転舵輪を転舵する制御装置とを備えたステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置において、前記制御装置を、
    前記操舵ハンドルに対する運転者の操作入力値を検出する操作入力値検出手段と、
    前記操作入力値検出手段により検出された操作入力値に基づいて前記転舵輪の転舵角を決定するとともに、同決定した転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を決定した転舵角に転舵する転舵アクチュエータ制御手段と、
    前記計算された転舵輪の転舵角と予め定めた第1の関係にあって、運転者が知覚し得る車両の運動状態量を表していて前記転舵輪の転舵角により車両に発生することが見込まれる車両の見込み運動状態量を、前記計算された転舵輪の転舵角を用いて計算する運動状態量計算手段と、
    前記計算された車両の見込み運動状態量と予め定めた第2の関係にあって、前記操舵ハンドルに対する運転者の操作力に関する予め定められたウェーバー比を前記車両の運動状態量に関する予め定められたウェーバー比で除算した値を指数とする前記車両の見込み運動状態量のべき乗関数として定義される、運転者が前記操舵ハンドルを介して知覚する反力を、前記計算された車両の見込み運動状態量を用いて計算する反力計算手段と、
    前記計算された反力を発生させるために、前記反力アクチュエータを制御して前記操舵ハンドルに同計算された反力を付与する反力制御手段とで構成したことを特徴とするステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  2. 前記転舵アクチュエータ制御手段は、
    前記操作入力値検出手段によって検出された操作入力値に対して所定の伝達比となる転舵角を決定し、同決定した転舵角に応じて前記転舵アクチュエータを制御して前記転舵輪を決定した転舵角に転舵する請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  3. 前記見込み運動状態量は、車両の横加速度、ヨーレートおよび旋回曲率のうちのいずれか一方である請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  4. 前記第1の関係は、車両の車速に応じて前記転舵輪の転舵角に対する前記車両の見込み運動状態量の大きさが変化する関係である請求項1に記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
  5. 前記操作入力値検出手段は、前記操舵ハンドルの変位量を検出する変位量センサで構成される請求項1ないし請求項のうちのいずれか一つに記載したステアリングバイワイヤ方式の車両の操舵装置。
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