JP2012006315A - 熱変色性筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦部を用いて安定した摩擦操作が可能となり、さらに、摩擦部が手垢等で汚れることを回避でき、しかも、外観デザイン上の自由度が増加する熱変色性筆記具を提供する。
【解決手段】内部に熱変色性インキを収容した筆記体9を軸筒2内に収容し、軸筒2に設けた操作体を操作して筆記体9を前後方向に移動させ、筆記体9のペン先91を筆記具の先端から出没可能に構成した熱変色性筆記具1であって、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部10と、少なくとも一の操作体としてのクリップ体7とを備え、摩擦部10を軸筒2の後端に設けるとともに、軸筒2における後端以外の部位にクリップ体7を設けた構成としてある。
【選択図】図4

Description

本発明は、熱変色性筆記具に関する。詳細には、筆記体の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、前記筆記体を軸筒内に前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体のペン先を軸筒の前端孔から出没可能に構成した熱変色性筆記具に関する。
特許文献1には、軸筒内に筆記体を前後方向に移動可能に収容し、軸筒の外面に操作部を設け、前記操作部を操作することにより前記筆記体のペン先を軸筒の前端孔から出没可能に構成し、前記筆記体の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、前記軸筒の外面に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部を設けた熱変色性筆記具が開示されている。
前記特許文献1は、軸筒後端の操作部を前方に押圧するタイプにおいて操作部に摩擦部を設けた場合、該摩擦部を用いて摩擦操作すると、被筆記面によって操作部が前方に移動し、安定した摩擦操作を行うことができないおそれがある。特に、ペン先突出操作及びペン先没入操作のいずれもが操作部を前方に押圧操作するタイプの出没機構(いわゆるダブルノック式)を採用し且つ操作部に摩擦部を設けた場合、ペン先突出状態において操作体が前後方向にがたつき、安定した摩擦操作を行うことができないおそれがある。
また、特許文献1の図12には、筒状の操作部を前後方向に移動可能に設け、前記筒状の操作部の外面にポケット等に挟持可能なクリップを突設し、前記筒状の操作部の後端外面に摩擦部を設けた構成が開示されている。しかし、この構成の熱変色性筆記具は、ペン先の出没操作時に摩擦部を押圧するため、摩擦部が手垢等で汚れるおそれがある。そして、前記摩擦部が汚れた状態で熱変色性インキの筆跡を摩擦した場合、筆跡を有する被筆記面(例えば紙面)が汚れるおそれがある。
また、特許文献1の図15には、操作部を軸筒側壁より径方向外方に突出させ、前記操作部を後方付勢に抗して前方に押圧操作することにより、ペン先没入状態からペン先突出状態にする構成(いわゆる多芯タイプのサイドスライド式)の出没機構を備え、軸筒の後端外面に摩擦部を設けた構成が開示されている。しかし、この構成の熱変色性筆記具は、ペン先突出状態からペン先没入状態にする際(ペン先突出状態を解除する際)、他の筆記体に取り付けられた操作体を操作しなければならない。そのため、複数の操作体(即ち複数の突出部分)を設ける必要があり、外観デザイン上の自由度が減少する。さらには、ポケット等に挟持可能なクリップを軸筒に設ける場合、より一層、突出部分が増え、外観デザイン上の自由度が減少する。
国際公開第2008/105227号パンフレット
本発明は前記従来の問題点を解決するものであって、摩擦部を用いて安定した摩擦操作が可能となり、さらに、摩擦部が手垢等で汚れることを回避でき、しかも、外観デザイン上の自由度が増加する熱変色性筆記具を提供しようとするものである。
上記に加え、本発明は、以下の作用効果を奏する熱変色性筆記具の提供を目的とする。
(1)ユーザーが操作方法を容易に習得でき、操作方法が簡単である。
(2)クリップ体をスライド孔に容易に挿入できる。
(3)軸筒全体が不必要に長くなることを回避できる。
(4)ペン先突出状態でクリップ体の近傍を把持した場合でも、安定した摩擦操作が可能である。
(5)クリップ体の挟持性能が向上するとともにクリップ体のぐらつきを防止できる。
(6)ペン先突出状態からペン先没入状態にする際、筆記体に加わる衝撃を緩和できる。
尚、本発明で、「前」とは、ペン先側を指し、「後」とは、その反対側を指す。尚、本発明で、「ペン先没入状態」とは、ペン先が軸筒内に没入した状態をいい、「ペン先突出状態」とは、ペン先が軸筒の前端より外部に突出した状態をいう。
上記目的を達成するために、本願発明の熱変色性筆記具は、内部に熱変色性インキを収容した筆記体を軸筒内に収容し、前記軸筒に設けた操作体を操作して前記筆記体を前後方向に移動させ、前記筆記体のペン先を筆記具の先端から出没可能に構成した熱変色性筆記具であって、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部と、少なくとも一の前記操作体としてのクリップ体とを備え、前記摩擦部を前記軸筒の後端に設けるとともに、前記軸筒における後端以外の部位に前記クリップ体を設けた構成としてある。
上記構成によれば、摩擦部を、クリップ体(操作体)から独立させて軸筒の後端に設けたことにより、摩擦操作時に、摩擦部が後方へ移動することがなく、摩擦部を用いた摩擦操作が安定したものとなる。また、ペン先出没の操作をするときに摩擦部に触れる必要がないので、摩擦部が手垢等で汚れることを回避できる。
好ましくは、上述した本発明の熱変色性筆記具において、前記操作体として単一の前記クリップ体のみを備え、単一の前記クリップ体を操作することにより、前記筆記体のペン先を突出状態及び没入状態にすることが可能な構成とする。
上記構成によれば、ペン先出没の操作を単一のクリップ体で行うことができ、軸筒に複数の操作体(即ち複数の突出部分)を設ける必要がなくなる。さらに、操作体であるクリップ体は、ポケット等に挟持可能なクリップを兼ねるので、外観上、操作体としての突出部分をなくすことができ、熱変色性筆記具のデザイン上の自由度を増大させ、スマートな外観を得ることができる。
上述した本発明の熱変色性筆記具において、前記軸筒が、互いに連結可能な複数の部品からなる構成としてもよく、この場合に、前記軸筒の後端を含む部分が前記部品としての後軸からなり、前記後軸の後端部に前記摩擦部を設けた構成としてもよい。すなわち、本熱変色性筆記具を構成する軸筒は、一本の筒状体であってもよいし、複数の部品を互いに連結させて一本の筒状体となるものでもよい。
好ましくは、上述した本発明の熱変色性筆記具において、前記軸筒の側壁に前後方向に延びるスライド孔を設け、前記スライド孔に配設した前記クリップ体を前方へスライド操作することで、前記筆記体のペン先を没入状態から突出状態にする出没機構を備えた構成とする。
上記構成によれば、クリップ体を前方へスライド操作することで、ペン先を突出状態及び没入状態にすることができ(いわゆるダブルノック式の出没機構)、操作方法が簡単であり、ユーザーが操作方法を容易に習得できる。
好ましくは、上述した本発明の熱変色性筆記具において、前記軸筒が、互いに連結可能な二以上の部品からなり、前記軸筒を構成する二つの前記部品の各側壁に、前端又は後端が開放され且つ前後方向に延びる第1又は第2の長孔をそれぞれ設け、二つの前記部品を連結したときに、前記第1及び第2の長孔が、互いに連通して前記スライド孔を形成する構成とする。
上記構成によれば、例えば、後方に開放された第1の長孔と、前方に開放された第2の長孔とでスライド孔を形成した場合は、軸筒を構成する二つの部品を連結する際(即ちスライド孔を形成する際)に、第1及び第2の長孔の開放端を介して、クリップ体の取付部分をスライド孔に容易に挿入することができ、クリップ体と軸筒とを効率よく組み立てることが可能となる。
好ましくは、上述した本発明の熱変色性筆記具において、前記軸筒を構成する二つの前記部品の各側壁を、互いに径方向に重なるように連結し、前記第1及び第2の長孔が、互いに径方向に重なった状態で連通して前記スライド孔を形成する構成とする。
上記構成によれば、第1及び第2の長孔を、互いに径方向に重なった状態で連通させたことにより、軸筒全体が不必要に長くなることを回避できる。すなわち、第1及び第2の長孔の重複部分はスライド孔の全長に影響を与えないのである。尚、「径方向に重なる」の構成については、後に具体例を挙げて詳述する。
より好ましくは、上述した本発明の熱変色性筆記具において、前記軸筒を構成する一の前記部品に設けた前記第1の長孔に前記クリップ体の基部を挿入する工程と、前記軸筒を構成する他の前記部品に設けた前記第2の長孔に前記クリップ体の基部を挿入しつつ、他の前記部品を一の前記部品に連結させ、前記第2の長孔を前記第1の長孔に連通させて前記スライド孔を形成する工程と、を経て前記クリップ体を前記スライド孔に組み付けた構成とする。
上記構成によれば、クリップ体をスライド孔に容易に挿入できることに加え、第1の長孔に挿入したクリップ体の基部をガイドにして、第1及び第2の長孔の位置合わせと、一の部品と他の部品の連結とを簡単に行うことができるようになる。
好ましくは、上述した本発明の熱変色性筆記具において、前記出没機構としてのカム機構を前記軸筒内に備え、前記カム機構には、交互に前後方向の異なる位置で係合可能なカム部及び突起を含み、前記クリップ体を前方へスライド操作することにより、前記カム部及び前記突起を交互に前後方向の異なる位置で係合させ、前記筆記体のペン先を交互に突出状態又は没入状態にする構成とする。
より好ましくは、前記出没機構として、円周方向に沿って交互に配置された前後方向に延びる複数のカム歯及びカム溝と、前記筆記体の後方に回転可能に配置され、前記カム歯又は前記カム溝に交互に係合可能な複数の突条を有する回転部材と、前記クリップ体に設けられ、前記回転部材を回動させる複数の他のカム歯と、前記筆記体を後方に付勢する弾発体と、を前記軸筒内に備え、前記弾発体の付勢力に抗して、前記クリップ体を前方へスライド操作することにより、前記突条を前記カム歯又は前記カム溝に交互に係合させ、前記筆記体のペン先を交互に突出状態又は没入状態にする構成としてもよい。
このような構成によれば、カム機構を利用して、クリップ体を前方にスライド操作するだけでペン先を突出状態及び没入状態にすることができるダブルノック式の出没機構を構成することができ、本熱変色性筆記具の操作方法が極めて簡単となり、ユーザーが操作方法を容易に習得できるようになる。
好ましくは、上述した本熱変色性筆記具の出没機構において、前記クリップ体が、前記軸筒内に収容され且つ前後方向に延びる軸部を有し、前記軸部と前記回転部材とが、前後方向のあそびを有する状態で互いに係止される構成とする。
このような構成によれば、クリップ体の軸部と回転部材とが、前後方向のあそびを有した状態で係止されることにより、ペン先の突出状態(すなわち、カム歯と突条が前方で係合している場合)において、スライド孔の前方に移動したクリップ体の後方への移動が阻止される。その結果、ペン先の突出状態において摩擦操作を行う場合に、クリップ体の近傍を把持したとしても、クリップ体が不用意に移動することがなく、安定した摩擦操作が可能となる。
好ましくは、上述した本熱変色性筆記具の出没機構において、前記スライド孔より前方の前記軸筒の外面に、前後方向に延びるガイド溝を形成し、前記クリップ体の前部内面に玉部を突設し、前記クリップ体の前後方向の移動に伴って、前記玉部が前記ガイド溝内を前後方向に摺動する構成とする。
上記構成によれば、クリップ体をスライド操作するときに、玉部がガイド溝に沿って摺動してクリップ体を前後方向にガイドするので、クリップ体の横方向(周方向)のぐらつきを防止することができる。また、衣類のポケットや手帳等の被挟持物をクリップ体に挟持させるときに、被挟持物が玉部とガイド溝との間に挟まれるので、クリップ体の挟持性能が向上する。
好ましくは、上述した本熱変色性筆記具の出没機構において、前記摩擦部が弾性材料からなり、前記摩擦部の一部がペン先没入状態のクリップ体に当接してなる構成とする。
上記構成によれば、ペン先を突出状態からペン先没入状態にするときに、スライド溝の後方に移動したクリップ体が弾性材料からなる摩擦部に当接するので、このときに筆記体に加わる衝撃を緩和することができる。その結果、筆記体内のインキの逆流等やペン先からの空気の混入を防止することが可能となる。
上述した本熱変色性筆記具の出没機構において、前記摩擦部が弾性材料からなり、前記軸筒の後端又は前記後軸の後端部に圧入、係合、螺合、嵌合、接着、2色成形によって固着し、又は前記軸筒の全体もしくは前記後軸の全体を、前記摩擦部としての弾性材料で形成した構成とする。
上記構成によれば、軸筒の後端に摩擦部を十分強固に固定することができ、摩擦操作時に、摩擦部が後方へ移動したり、脱落したりすることがなく、摩擦部を用いた摩擦操作が安定したものとなる。
以下、上述した本発明のより具体的な実施の形態<1>〜<7>について、図1〜35の符号を引用して説明する。
<1>第1の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、筆記体9の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体9の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先91を設け、軸筒2内に前記筆記体9を後方に付勢された状態で前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体9のペン先91を軸筒2の前端孔31から出没可能に構成した熱変色性筆記具であって、前記軸筒2の側壁に前後方向に延びるスライド孔21を設け、前記スライド孔21から径方向外方にクリップ体7を突出させ、前記クリップ体7を前記スライド孔21に沿って前後方向に移動可能に構成し、ペン先没入状態からクリップ体7を前方にスライド操作することによりペン先91を軸筒2の前端孔31から突出状態にし、ペン先突出状態からクリップ体7を操作することによりペン先91を没入状態にする出没機構を備え、前記軸筒2の後端に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部10を設けた構成となっている。
前記第1の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記摩擦部10を軸筒2の後端に設けたことにより、摩擦操作時、摩擦部10の後への移動が阻止されるため、摩擦部10を用いて安定した摩擦操作が可能となる。また、前記第1の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、ペン先出没の操作をするための操作部をクリップ体7に設け、摩擦部10をクリップ体7(操作部)から独立させたことにより、ペン先91を出没する際、クリップ体7を操作し、摩擦部10を操作しないため、摩擦部10が手垢等で汚れることを回避できる。また、前記第1の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、軸筒2外面にクリップ体7を設けたにもかかわらず、従来の多芯タイプのサイドスライド式の熱変色性筆記具に比べ、突出部分が少なく、外観デザイン上の自由度が増加し、スマートな外観を得ることができる。
尚、本発明において、前記クリップ体7は、軸筒2外面との間において衣類のポケットや手帳等の被挟持物に挟持可能なものである。尚、本発明において、前記摩擦部10は、少なくとも摩擦操作時に、前記摩擦部10を軸筒2の後端に固定する構成であればよく、例えば、摩擦部10が、ペン先出没操作以外の操作により軸筒2後端より出没する構成であってもよい。尚、本発明において、ペン先突出状態からクリップ体7を操作するとは、ペン先突出状態を解除する操作であり、例えば、クリップ体7を前方にスライド操作すること、クリップ体7を径方向内方に押圧操作すること、またはクリップ体7を回転操作すること等が挙げられる。尚、本発明で、摩擦操作時とは、摩擦部10を用いて摩擦操作する時をいう。前記摩擦操作時において、ペン先突出状態またはペン先没入状態のいずれであってもよい。
<2>第2の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記第1の発明の筆記具1において、前記出没機構が、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構であり、軸筒2内面に形成されたカム部41と、該カム部41に係合し且つ筆記体9の後端に当接する回転部材6と、該回転部材6に係合するカム歯73a,74aを備えた前記クリップ体7と、前記軸筒2内に収容され且つ筆記体9を後方に付勢する弾発体8とからなり、ペン先突出操作及びペン先没入操作の何れもがクリップ体7を前方にスライド操作するタイプである構成となっている。
前記第2の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、出没機構が、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構であり、ペン先突出操作及びペン先没入操作の何れもがクリップ体7を前方にスライド操作するタイプ(いわゆるダブルノック式の出没機構)であるため、操作方法が簡単であり、ユーザーが操作方法を容易に習得できる。
<3>第3の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記第1または第2の発明の熱変色性筆記具1において、前記軸筒2が、前軸3と、該前軸3の後端部に連結される中間軸4と、該中間軸4の後端部に連結される後軸5とからなり、前記前軸3の前端にペン先91が出没可能な前端孔31を設け、前記中間軸4の内面にカム部41を設け、中間軸4の後端部に、後方に開放され且つ前後方向に延びる第1の長孔44を設け、前記後軸5の前端部に、前方に開放され且つ前後方向に延びる第2の長孔51を設け、前記中間軸4の後端部と前記後軸5の前端部とを、第1の長孔44と第2の長孔51とが連通するよう連結し、前記第1の長孔44と前記第2の長孔51とにより軸筒2の側壁に前記スライド孔21を形成し、前記後軸5の後端外面に摩擦部10を固定した構成となっている。
前記第3の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、後方に開放された第1の長孔44と前方に開放された第2の長孔51とによりスライド孔21を形成したことによって、前記中間軸4と前記後軸5とを連結する際(即ちスライド孔21を形成する際)に、クリップ体7を第1の長孔44と第2の長孔51とに挿入でき、クリップ体7をスライド孔21に容易に挿入することができ、クリップ体7と軸筒2との容易な挿入組立が可能となる。
<4>第4の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記第3の発明の熱変色性筆記具1において、前記中間軸4の側壁と前記後軸5の側壁とを互いに径方向に重なるように連結し、前記第1の長孔44と前記第2の長孔51とを径方向に連通させた構成となっている。
前記第4の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記中間軸4の側壁と前記後軸5の側壁とを互いに径方向に重なるように連結し、前記第1の長孔44と前記第2の長孔51とを径方向に連通させたことにより、軸筒2全体が不必要に長くなることを回避できる。尚、本発明で、前記中間軸4の側壁と前記後軸5の側壁とを互いに径方向に重なるように連結するとは、例えば、中間軸4の側壁外面と後軸5の側壁内面とを径方向に重なるように連結(例えば嵌合や螺合)させる構成、または、中間軸4の側壁内面と後軸5の側壁外面とを径方向に重なるように連結(例えば嵌合や螺合)させる構成が挙げられる。前記中間軸4の側壁と前記後軸5の側壁とを互いに径方向に重なるように連結する構成は、少なくとも、前記中間軸4の側壁の一部と前記後軸5の側壁の一部とが互いに径方向に重なるように連結する構成であればよい。
<5>第5の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記第2、第3または第4の発明の熱変色性筆記具1において、前記クリップ体7が、前記軸筒2内に収容され且つ前後方向に延びる軸部73を有し、前記軸部73と前記回転部材6とが、互いに回転可能且つ互いに前後方向のあそびを有した状態で前後方向に係止される構成となっている。
前記第5の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記クリップ体7が、前記軸筒2内に収容され且つ前後方向に延びる軸部73を有し、前記軸部73と前記回転部材6とが、互いに回転可能且つ互いに前後方向のあそびを有した状態で前後方向に係止されることにより、ペン先突出状態において、回転部材6がカム部41のカム歯41aに係止され、回転部材6の後方移動が阻止されるとともに、クリップ体7の不用意な前後方向の移動が抑えられる。その結果、ペン先突出状態でクリップ体7の近傍を把持しても、安定した摩擦操作が可能となる。
<6>第6の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記第1乃至第5の発明の何れかの熱変色性筆記具1において、前記スライド孔21より前方の前記軸筒2の外面に、前後方向に延びるガイド溝48を形成し、前記クリップ体7の前部内面に玉部71aを突設し、前記クリップ体7の前後方向の移動に伴って前記ガイド溝48内を前記玉部71aが前後方向に摺動する構成となっている。
前記第6の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記スライド孔21より前方の前記軸筒2の外面に、前後方向に延びるガイド溝48を形成し、前記クリップ体7の前部内面に玉部71aを突設し、前記クリップ体7の前後方向の移動に伴って前記ガイド溝48内を前記玉部71aが前後方向に摺動することにより、クリップ体の挟持性能が向上するとともにクリップ体7の横方向(周方向)のぐらつきを防止できる。
<7>第7の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記第1乃至第6の発明の何れかの熱変色性筆記具1において、前記摩擦部10が弾性材料からなり、前記摩擦部10の一部がペン先没入状態のクリップ体7に当接してなる構成となっている。
前記第7の実施の形態に係る熱変色性筆記具1は、前記摩擦部10が弾性材料からなり、前記摩擦部10の一部がペン先没入状態のクリップ体7に当接してなることにより、ペン先突出状態からペン先没入状態にする際、弾発体8の後方付勢により筆記体9及びクリップ体7が後方移動し、クリップ体7と弾性材料よりなる摩擦部10とが当接するため、その際に筆記体9に加わる衝撃を緩和できる。その結果、筆記体9内のインキの逆流等やペン先91からの空気の混入を防止できる。
本発明の熱変色性筆記具は、摩擦部を用いて安定した摩擦操作が可能となり、さらに、摩擦部が手垢等で汚れることを回避でき、しかも、外観デザイン上の自由度が増加し、スマートな外観を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態のペン先没入状態を示す側面図である。 図1の正面図である。 図1のペン先突出状態を示す側面図である。 図1の縦断面図である。 図1の前軸の拡大縦断面図である。 図1の中間軸の拡大縦断面図及び回転部材の拡大側面図である。 図1の後軸の拡大縦断面図及び摩擦部の拡大側面図である。 図1のクリップ体の拡大側面図である。 本発明のクリップ体の他の実施の形態を示す拡大縦断面図である。 熱変色性インキの変色挙動を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態のペン先没入状態を示す側面図である。 図11の正面図である。 図11のペン先突出状態を示す側面図である。 図11の縦断面図である。 図14のA−A線拡大断面図である。 図14のB−B線拡大断面図である。 図11のペン先突出状態の縦断面図である。 図11の前軸の拡大縦断面図である。 図11の中間軸の拡大正面図である。 (a)が図19のC−C線断面図、(b)が図19のD−D線断面図、(c)が図19のE−E線断面図、(d)が図19のF−F線断面図である。 図11の中間軸の拡大縦断面図である。 図11の後軸の拡大正面図である。 図22のG−G線断面図である。 図11の後軸の拡大縦断面図である。 図11の後軸と摩擦部との取付状態を示す拡大縦断面図である。 図11のクリップ体を省略した要部拡大正面図である。 図11のクリップ体の拡大縦断面図である。 図11のクリップ体の円筒体を除いたクリップ体主要部の拡大側面図である。 図11のクリップ体の円筒体の拡大正面図である。 図11のクリップ体の円筒体の拡大平面図である。 図11のクリップ体の円筒体の拡大縦断面図である。 図11の回転部材の拡大正面図である。 図11の回転部材の拡大縦断面図である。 図11のクリップ体主要部、円筒体、回転部材、中間軸、及び後軸を示す分解図である。 図11のペン先突出状態(図17)の要部拡大縦断面図である。
<第1の実施の形態>
図1及び図9に本発明の実施の形態を示す。本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2と、該軸筒2内に収容される筆記体9と、該筆記体9のペン先を軸筒2の前端孔31より出没自在にさせる出没機構とを備える。
・筆記体
前記筆記体9は、ペン先91と、該ペン先91が前端開口部に圧入固着されたインキ収容管92と、該インキ収容管92内に充填される熱変色性インキと、該熱変色性インキの後端に充填され且つ該熱変色性インキの消費に伴い前進する追従体(例えば高粘度流体)とからなる。
前記ペン先91は、例えば、前端に回転可能にボールを抱持した金属製のボールペンチップのみからなる構成、または前記ボールペンチップの後部外面を保持した合成樹脂製のペン先ホルダーからなる構成のいずれであってもよい。また、前記インキ収容管92の後端開口部に、インキ収容管92と外部とが通気可能な通気孔を備えた尾栓が取り付けられる。前記ペン先91の内部には、前端のボールを前方に押圧するスプリングが収容され
る。前記スプリングは、圧縮コイルスプリングの前端部にロッド部を備えた構成であり、
前記ロッド部の前端がボール後面に接触している。非筆記時、前記スプリングの前方付勢
によりボールがボールペンチップ前端の内向きの前端縁部内面に密接され、ペン先91の
前端からのインキの漏出及びインキの蒸発を防止できる。
・軸筒
前記軸筒2は、先細円筒状の前軸3と、該前軸3の後端部に連結される円筒状の中間軸4と、該中間軸4の後端部に連結される円筒状の後軸5とからなる。
図5に前軸3を示す。前記前軸3は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる先細円筒状の本体3aと、該本体3a外面に設けられる弾性材料からなる把持部3bとからなる。前記把持部3bは、2色成形または装着により設けられる。前記前軸3の後端部は縮径され、その外面にはオネジ部32が形成される。前記前軸3の前端には、前端孔31が前後方向に貫設される。
図6に中間軸4を示す。前記中間軸4は、円筒状の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる。前記中間軸4の前端部内面には、メネジ部46が形成される。前記メネジ部46に前記前軸3のオネジ部32が螺合可能である。前記中間軸4の後端部には、縮径部43が一体に形成される。前記縮径部43には、前端が閉鎖され且つ後端が開放された、前後方向に延びる第1の長孔44が形成される。さらに、前記縮径部43の外面には外向突起45が一体に形成される。前記縮径部43より前方の前記中間軸4の内面には、段部42が一体に形成される。前記段部42よりも前方の前記中間軸4の内面(前記中間軸4の第1の長孔44よりも前方の内面)には、カム部41が一体に形成される。また、前記段部42は、前記カム部41の後方且つ第1の長孔44の前方(即ちカム部41と第1の長孔44との間)の中間軸4の内面に一体に形成される。また、前記中間軸4の外面には、係止突起47が一体に形成される。ペン先没入状態において、前記係止突起47とクリップ体7の玉部71aとの間でポケット等の被挟持物が挟持可能である。
図7に後軸5を示す。前記後軸5は、円筒状の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる。前記後軸5の前端部側壁には、前端が開放され且つ後端が閉鎖された、前後方向に延びる第2の長孔51が形成される。また、前記後軸5の後端には、取付孔52が前後方向に貫設される。前記取付孔52に弾性材料からなる摩擦部10が圧入嵌合される。それにより、前記後軸5の後端外面に摩擦部10が固定される。また、前記後軸5の内面には、内向突起53が一体に形成される。前記第2の長孔51の幅寸法は、前記第1の長孔44の幅寸法と等しく設定され、それにより、スライド孔21に沿ってクリップ体7の前後方向のスムーズな移動が可能となる。
図8にクリップ体7を示す。前記クリップ体7は、前後方向に延びるクリップ本体71と、該クリップ本体71の後部に一体に連設される基部72と、該基部72と一体に連設され且つ基部72より前方に延びる軸部73とからなる。前記クリップ体7は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体により得られる。前記クリップ本体71は、裏面に玉部71aが突設される。前記軸部73の前端には、カム歯73aが一体に形成される。
・クリップ体の組立
前記クリップ体7の組立について説明する。前記中間軸4の第1の長孔44の後端開放部より、該第1の長孔44内にクリップ体7の基部72を挿入するとともに、クリップ体7の軸部73を中間軸4内に挿入する。その後、中間軸4の第1の長孔44と後軸5の第2の長孔51とを径方向に連通させるように(径方向に重なるように)、前記後軸5の内面を前記中間軸4の縮径部43の外面に嵌合させるとともに、クリップ体7の基部72を、第2の長孔51の前端開放部より、該第2の長孔51に挿入する。それにより、前記中間軸4と前記後軸5とが連結され、前記第1の長孔44と第2の長孔51とにより、前後方向に延びるスライド孔21が形成されるとともに、前記スライド孔21より径方向外方にクリップ体7(クリップ本体71及び基部72の一部)が突出され、前記クリップ体7がスライド孔21に沿って前後方向にスライド可能(前後方向に摺動可能)に構成される。尚、このとき、前記中間軸4の縮径部43外面の外向突起45と後軸5の内面の内向突起53が乗り越え係合される。
前記摩擦部10が固定された後軸5を中間軸4の後端部に連結することによって、前記摩擦部10が軸筒2の後端に常時固定される。また、前軸3と中間軸4とが螺合により着脱自在に連結され、それにより、筆記体9を交換可能にできる。
・出没機構
前記出没機構は、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構である。前記出没機構は、中間軸4内面に形成されたカム部41と、該カム部41に係合し且つ筆記体9の後端に当接する回転部材6と、該回転部材6に係合し且つスライド孔21より径方向外方に突出するクリップ体7と、軸筒2内に収容され且つ筆記体9を後方に付勢する弾発体8(例えば圧縮コイルスプリング)とからなる。本実施の形態の出没機構は、ペン先突出操作及びペン先没入操作のいずれもがクリップ体7を前方にスライド操作するダブルノック式である。前記回転部材6は合成樹脂(例えばポリアセタール樹脂)の成形体により得られる。
前記カム部41は、前方に突出する鋸歯状の複数のカム歯41aと、該カム歯41a間に形成される、前後方向に延びる複数のカム溝41bとを備える。前記回転部材6は、その外面に前後方向に延びる複数本(例えば4本)の突条61を備え、該突条61が、カム部41のカム歯41a及びカム部41のカム溝41bと係合される。前記クリップ体7の軸部73の前端には、回転部材6の突条61の後端と係合するカム歯73aが一体に形成される。
・ペン先の出没
ペン先没入状態からクリップ体7を前方に、弾発体8による後方付勢に抗してスライド操作すると、クリップ体7の軸部73のカム歯73aによって回転部材6が前方に押圧され、前記回転部材6の突条61がカム溝41bに沿って前方に移動するに伴って、前記回転部材6が筆記体9の後端を前方に押圧し、ペン先91が前端孔31より外部に突出される。このとき、前記軸部73のカム歯73aと前記回転部材6の突条61との当接によって回転部材6がカム部41に対して一定角度だけ回転する。それにより、前記回転部材6の突条61がカム部41のカム歯41aに係合され、ペン先突出状態が維持される。
ペン先突出状態からクリップ体7を前方にスライド操作すると、クリップ体7の軸部73が回転部材6を前方に押圧し、前記軸部73のカム歯73aと前記回転部材6の突条61との当接によって回転部材6がカム部41に対して一定角度だけ回転する。それによって、前記突条61とカム部41のカム歯41aとの係合状態が解除され、弾発体8による後方付勢により、前記突条61がカム部41のカム溝41bに沿って後方に移動する。前記回転部材6が後方に移動することに伴って、筆記体9が後方に移動し、ペン先没入状態となる。
前記摩擦部10は、前記クリップ体7の前後方向の移動に連動せず、後軸5(軸筒2)の後端外面に固定される。前記摩擦部10は、クリップ体7と独立して設けられる。
・クリップ体の他の例
図9にクリップ体7の他の実施の形態を示す。本実施の形態の図8のクリップ体7と異なる点は、カム歯74aを有する円筒体74をクリップ体7の軸部73に取り付けた点であり、他の構成及び作用効果は図1乃至図8の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。前記円筒体74は合成樹脂(例えばポリアセタール樹脂)の成形体により得られる。
・摩擦部
本実施の形態において、前記摩擦部10を構成する弾性材料は、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。前記摩擦部10を構成する弾性を有する合成樹脂は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよりも、摩擦時に摩耗カス(消しカス)が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料からなることが好ましい。また、前記摩擦部10は、軸筒2の後端部外面に少なくとも設ければよく、例えば、軸筒2の後端部外面もしくは後軸5の後端部外面に弾性材料よりなる摩擦部10を圧入、係合、螺合、嵌合、接着、2色成形等によって固着する構成、または軸筒2の全体もしくは後軸5の全体が弾性材料により一体に形成される構成が挙げられる。
・熱変色性インキ
本実施の形態において、前記熱変色性インキは、可逆熱変色性インキが好ましい。前記可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
また、前記可逆熱変色性インキに含有される色材は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた可逆熱変色性顔料が好適に用いられる。
本実施の形態では、図10に示すように、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t1)以下の低温域での発色状態、または完全消色温度(t4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2〜t3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で記憶保持できる色彩記憶保持型熱変色性インキが適用されることが好ましい。図10において、ΔHは、ヒステリシスの程度を示す温度幅(即ちヒステリシス幅)を示す。ΔHの値が小さいと、変色前後の両状態のうち一方の状態しか存在しえない。ΔHの値が大きいと、変色前後の各状態の保持が容易となる。
本実施の形態では、前記熱変色性インキの摩擦部10の摩擦熱による変色温度は、25℃〜95℃(好ましくは36℃〜95℃)に設定される。即ち、本実施の形態では、前記高温側変色点〔完全消色温度(t4)〕を、25℃〜95℃(好ましくは、36℃〜90℃)の範囲に設定し、前記低温側変色点〔完全発色温度(t1)〕を、−30℃〜+20℃(好ましくは、−30℃〜+10℃)の範囲に設定することが有効である。それにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持を有効に機能させることができるとともに、可逆熱変色性インキによる筆跡を摩擦部10による摩擦熱で容易に変色することができる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦部10を軸筒2の後端外面に固定したことにより、摩擦操作時、摩擦部10の後方への移動が阻止されるため、摩擦部10を用いて安定した摩擦操作が可能となる。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、ペン先出没の操作をするための操作部をクリップ体7に設け、摩擦部10をクリップ体7(操作部)から独立させたことにより、ペン先91を出没する際、クリップ体7を操作し、摩擦部10を操作しないため、摩擦部10が手垢等で汚れることを回避できる。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2外面にクリップ体7を設けたにもかかわらず、従来の多芯タイプのサイドスライド式の熱変色性筆記具に比べ、突出部分が少なく、外観デザイン上の自由度が増加し、スマートな外観を得ることができる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、出没機構が、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構であり、ペン先突出操作及びペン先没入操作の何れもがクリップ体7を前方にスライド操作するタイプ(いわゆるダブルノック式の出没機構)であるため、操作方法が簡単であり、ユーザーが操作方法を容易に習得できる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、後方に開放された第1の長孔44と前方に開放された第2の長孔51とによりスライド孔21を形成したことによって、前記中間軸4と前記後軸5とを連結する際(即ちスライド孔21を形成する際)に、クリップ体7を第1の長孔44と第2の長孔51とに挿入でき、クリップ体7をスライド孔21に容易に挿入することができ、クリップ体7と軸筒2との容易な挿入組立が可能となる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記中間軸4の側壁と前記後軸5の側壁とを径方向に重なるように連結し、前記第1の長孔44と前記第2の長孔51とを径方向に連通させたことにより、軸筒2全体が不必要に長くなることを回避できる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦部10が弾性材料からなり、前記摩擦部10の一部がペン先没入状態のクリップ体7に当接してなることにより、ペン先突出状態からペン先没入状態にする際、弾発体8の後方付勢による筆記体9及びクリップ体7が後方移動し、クリップ体7と弾性材料よりなる摩擦部10とが当接するため、その際に筆記体9に加わる衝撃を緩和できる。その結果、筆記体9内のインキの逆流やペン先91からの空気の混入を防止できる。
<第2の実施の形態>
図11乃至図35に本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2と、該軸筒2内に収容される筆記体9と、該筆記体9のペン先91を軸筒2の前端孔31より出没自在にさせる出没機構とを備える。
・筆記体
前記筆記体9は、ペン先91と、該ペン先91が前端開口部に圧入固着されたインキ収容管92と、該インキ収容管92内に充填される熱変色性インキ93と、該熱変色性インキ93の後端に充填され且つ該熱変色性インキ93の消費に伴い前進する追従体94(例えば高粘度流体)とからなる。
前記ペン先91は、例えば、前端に回転可能にボールを抱持した金属製のボールペンチップのみからなる構成、または前記ボールペンチップの後部外面を保持した合成樹脂製のペン先ホルダーからなる構成のいずれであってもよい。また、前記インキ収容管92の後端開口部に、インキ収容管92と外部とが通気可能な通気孔を備えた尾栓95が取り付けられる。前記ペン先91の内部には、前端のボールを前方に押圧するスプリングが収容される。前記スプリングは、圧縮コイルスプリングの前端部にロッド部を備えた構成であり、前記ロッド部の前端がボール後面に接触している。非筆記時、前記スプリングの前方付勢によりボールがボールペンチップ前端の内向きの前端縁部内面に密接され、ペン先91の前端からのインキの漏出及びインキの蒸発を防止できる。
・軸筒
前記軸筒2は、先細円筒状の前軸3と、該前軸3の後端部に連結される円筒状の中間軸4と、該中間軸4の後端部に連結される円筒状の後軸5とからなる。
図18に前軸3を示す。前記前軸3は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる先細円筒状の本体3aと、該本体3a外面に設けられる弾性材料からなる把持部3bとからなる。前記把持部3bは、2色成形または本体3a外面への装着により設けられる。前記前軸3の後端部は縮径され、その外面にはオネジ部32が形成される。前記前軸3の前端には、前端孔31が前後方向に貫設される。
図19乃至図21に中間軸4を示す。前記中間軸4は、円筒状の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる。前記中間軸4の前端部内面には、メネジ部46が形成される。前記メネジ部46に前記前軸3のオネジ部32が螺合可能である。前記中間軸4の後端部には、縮径部43が一体に形成される。前記中間軸4の後端部側壁には、前端が閉鎖され且つ後端が開放された、前後方向に延びる第1の長孔44が形成される。さらに、前記縮径部43の外面には外向突起45が一体に形成される。前記縮径部43よりも前方の前記中間軸4の内面には、段部42が一体に形成される。前記段部42より前方の前記中間軸4の内面には、カム部41が一体に形成される。また、前記第1の長孔44の前端は、前記段部(即ち前記カム部41の後端)よりも僅かに前方に位置し且つカム部41のカム歯41aよりも後方に位置している。また、前記第1の長孔44より前方の中間軸4の外面には、前後方向に延びるガイド溝48が形成される。前記ガイド溝48に、クリップ体7の玉部71aが常時係合し、クリップ体7の前後方向の移動に伴って、前記クリップ体7の玉部71aが前記ガイド溝48に沿って前後方向に移動可能である。前記ガイド溝48と玉部71aによって、ポケット等の被挟持物が強固に挟持される。
図22乃至図25に後軸5を示す。前記後軸5は、円筒状の合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体からなる。前記後軸5の前端部側壁には、前端が開放され且つ後端が閉鎖された、前後方向に延びる第2の長孔51が形成される。また、前記後軸5の後端には、取付孔52が前後方向に貫設される。前記取付孔52に弾性材料からなる摩擦部10が圧入嵌合される。それにより、前記後軸5の後端外面に摩擦部10が固定される。また、前記後軸5の内面には、内向突起53が一体に形成される。前記第2の長孔51の幅寸法は、前記第1の長孔44の幅寸法と等しく設定され、それにより、スライド孔21に沿ってクリップ体7の前後方向のスムーズな移動が可能となる。
図28にクリップ体7を示す。前記クリップ体7は、前後方向に延びるクリップ本体71と、該クリップ本体71の後部に一体に連設される基部72と、該基部72と一体に連設され且つ基部72より前方に延びる軸部73とからなる主要部7aと、該軸部73に取り付けられる円筒体74とからなる。前記クリップ体7の主要部7aは、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)の成形体により得られる。前記クリップ本体71の裏面(内面)に板状の玉部71aが一体に突設される。
前記軸部73は、大径部73bと、該大径部73bより前方に連設される、該該大径部73bより小さい外径を有する小径部73cとからなる。前記大径部73bの外面には第1の外向突起73dが一体に形成され、前記小径部73cの外面には第2の外向突起73eが一体に形成される。前記第1の外向突起73d及び第2の外向突起73eは、例えば、環状突起または複数個が周状に分散された分散状突起が挙げられる。
前記クリップ体7の基部72の外面または軸部73の外面には、前後方向に延びるリブ72aが形成される。前記リブ72aが、中間軸4の後端部内面に形成した前後方向に延びる溝49に係合し、前記リブ72aが前記溝49に沿って前後方向に移動する。それによって、クリップ体7の周方向のぐらつきを抑えることができる。
図29乃至図31に円筒体74を示す。前記円筒体74は、前記クリップ体7の軸部73の外面に取り付けられる。前記円筒体74の前端には、カム歯74aが形成される。前記円筒体74の内部には、内孔が前後方向に貫通され、前記内孔の内面に内向突起74bが一体に形成される。前記円筒体74は、クリップ体7の軸部73の外面の第1の外向突起73dと乗り越え係合し、クリップ体7と円筒体74が一体となって、前後方向に移動可能となる。前記円筒体74の外面には、複数のガイド突起74cが一体に形成され、前記ガイド突起74cが、カム部41のカム溝41bに沿って前後方向に移動可能に係合し、それによって、軸筒2内での円筒体74の回転が阻止される。前記円筒体74は合成樹脂(例えばポリアセタール樹脂)の成形体により得られる。
図32乃至図33に回転部材6を示す。前記回転部材6は、その外面に前後方向に延びる複数本(例えば4本)の突条61を備え、該突条61が、カム部41のカム歯41a及びカム部41のカム溝41bと係合される。前記回転部材6の内部には前後方向に貫通する内孔が形成される。前記回転部材6の内孔の内面には内向突起62が形成される。前記回転部材6は合成樹脂(例えばポリアセタール樹脂)の成形体により得られる。
図35に、ペン先突出状態におけるクリップ体7と回転部材6との係合状態を示す。前記回転部材6の内向突起62が、クリップ体7の第2の外向突起73eと乗り越え係合する。それにより、クリップ体7と回転部材6の抜け止めがなされる。また、前記回転部材6が前後方向のあそびを有するとともに、回転可能に取り付けられる。前記前後方向のあそび(移動可能量)は、回転部材6の突条61とカム部41のカム歯41aとの係脱が可能な程度の小さい寸法に設定される。
・クリップ体の組立
前記クリップ体7の組立について説明する。前記中間軸4の第1の長孔44の後端開放部より、該第1の長孔44内にクリップ体7の基部72を挿入するとともに、クリップ体7の筒状の軸部73を中間軸4内に挿入する。その後、中間軸4の第1の長孔44と後軸5の第2の長孔51とを径方向に連通させるように(径方向に重なるように)、前記後軸5の内面を前記中間軸4の縮径部43の外面に嵌合させるとともに、クリップ体7の基部72を、第2の長孔51の前端開放部より、該第2の長孔51内に挿入する。それにより、前記中間軸4と前記後軸5とが連結され、前記第1の長孔44と第2の長孔51とにより、前後方向に延びるスライド孔21が形成されるとともに、前記スライド孔21より径方向外方にクリップ体7(クリップ本体71及び基部72の一部)が突出され、前記クリップ体7がスライド孔21に沿って前後方向にスライド可能(前後方向に摺動可能)に構成される。尚、このとき、前記中間軸4の縮径部43外面の外向突起45と後軸5の内面の内向突起53が乗り越え係合される。
前記摩擦部10が固定された後軸5を中間軸4の後端部に連結することによって、前記摩擦部10が軸筒2の後端に常時固定される。また、前軸3と中間軸4とが螺合により着脱自在に連結され、それにより、筆記体9を交換可能にできる。
・出没機構
前記出没機構は、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構である。前記出没機構は、中間軸4内面に形成されたカム部41と、該カム部41に係合し且つ筆記体9の後端に当接する回転部材6と、該回転部材6に係合し且つスライド孔21より径方向外方に突出するクリップ体7と、軸筒2内に収容され且つ筆記体9を後方に付勢する弾発体8(例えば圧縮コイルスプリング)とからなる。本実施の形態の出没機構は、ペン先突出操作及びペン先没入操作のいずれもがクリップ体7を前方にスライド操作するダブルノック式である。
前記カム部41は、前方に突出する鋸歯状の複数のカム歯41aと、該カム歯41a間に形成される、前後方向に延びる複数のカム溝41bとを備える。前記回転部材6は、その外面に長手方向に延びる複数本(例えば4本)の突条61を備え、該突条61が、カム部41のカム歯41a及びカム部41のカム溝41bと係合される。前記クリップ体7の軸部73に取り付けられた円筒体74の前端には、回転部材6の突条61の後端と係合するカム歯74aが一体に形成される。
・ペン先の出没
ペン先没入状態からクリップ体7を前方に、弾発体8による後方付勢に抗してスライド操作すると、クリップ体7の軸部73に取り付けられた円筒体74によって回転部材6が前方に押圧され、前記回転部材6の突条61がカム溝41bに沿って前方に移動するに伴って、前記回転部材6が筆記体9の後端を前方に押圧し、ペン先91が前端孔31より外部に突出される。このとき、前記軸部73に取り付けられた円筒体74のカム歯74aと前記回転部材6の突条61との当接によって回転部材6がカム部41に対して一定角度だけ回転する。それにより、前記回転部材6の突条61がカム部41のカム歯41aに係合され、ペン先突出状態が維持される。
ペン先突出状態からクリップ体7を前方にスライド操作すると、クリップ体7の軸部73に取り付けられた円筒体74が回転部材6を前方に押圧し、前記円筒体74のカム歯74aと前記回転部材6の突条61との当接によって回転部材6がカム部41に対して一定角度だけ回転する。それによって、前記突条61とカム部41のカム歯41aとの係合状態が解除され、弾発体8による後方付勢により、前記突条61がカム部41のカム溝41bに沿って後方に移動する。前記回転部材6が後方に移動することに伴って、筆記体9が後方に移動し、ペン先没入状態となる。
・摩擦部
本実施の形態において、前記摩擦部10を構成する弾性材料は、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチ
レン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂
、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。前記摩擦部10を構成す
る弾性を有する合成樹脂は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)からなるものよ
りも、摩擦時に摩耗カス(消しカス)が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料からなることが
好ましい。また、前記摩擦部10は、軸筒2の後端部外面に少なくとも設ければよく、例
えば、軸筒2の後端部もしくは後軸5の後端部に弾性材料よりなる摩擦部10を圧入、係
合、螺合、嵌合、接着、2色成形等によって固着する構成、または軸筒2の全体もしくは
後軸5の全体が弾性材料により一体に形成される構成が挙げられる。
・熱変色性インキ
本実施の形態において、前記熱変色性インキは、可逆熱変色性インキが好ましい。前記可逆熱変色性インキは、発色状態から加熱により消色する加熱消色型、発色状態または消色状態を互変的に特定温度域で記憶保持する色彩記憶保持型、または、消色状態から加熱により発色し、発色状態からの冷却により消色状態に復する加熱発色型等、種々のタイプを単独または併用して構成することができる。
また、前記可逆熱変色性インキに含有される色材は、従来より公知の(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を
決める反応媒体、の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル
中に内包させた可逆熱変色性顔料が好適に用いられる。
本実施の形態では、図10に示すように、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t1)以下の低温域での発色状態、または完全消色温度(t4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2〜t3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で記憶保持できる色彩
記憶保持型熱変色性インキが適用されることが好ましい。図10において、ΔHは、ヒス
テリシスの程度を示す温度幅(即ちヒステリシス幅)を示す。ΔHの値が小さいと、変色
前後の両状態のうち一方の状態しか存在しえない。ΔHの値が大きいと、変色前後の各状
態の保持が容易となる。
本実施の形態では、前記熱変色性インキの摩擦部10の摩擦熱による変色温度は、25℃〜95℃(好ましくは36℃〜95℃)に設定される。即ち、本実施の形態では、前記高温側変色点〔完全消色温度(t4)〕を、25℃〜95℃(好ましくは、36℃〜90℃)の範囲に設定し、前記低温側変色点〔完全発色温度(t1)〕を、−30℃〜+20℃(好ましくは、−30℃〜+10℃)の範囲に設定することが有効である。それにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持を有効に機能させることができるとともに、可逆熱変色性インキによる筆跡を摩擦部10による摩擦熱で容易に変色することができる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦部10を軸筒2の後端外面に固定したことにより、摩擦操作時、摩擦部10の後方への移動が阻止されるため、摩擦部10を用いて安定した摩擦操作が可能となる。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、ペン先出没の操作をするための操作部をクリップ体7に設け、摩擦部10をクリップ体7(操作部)から独立させたことにより、ペン先91を出没する際、クリップ体7を操作し、摩擦部10を操作しないため、摩擦部10が手垢等で汚れることを回避できる。また、本実施の形態の熱変色性筆記具1は、軸筒2外面にクリップ体7を設けたにもかかわらず、従来の多芯タイプのサイドスライド式の熱変色性筆記具に比べ、突出部分が少なく、外観デザイン上の自由度が増加し、スマートな外観を得ることができる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、出没機構が、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構であり、ペン先突出操作及びペン先没入操作の何れもがクリップ体7を前方にスライド操作するタイプ(いわゆるダブルノック式の出没機構)であるため、操作方法が簡単であり、ユーザーが操作方法を容易に習得できる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、後方に開放された第1の長孔44と前方に開放された第2の長孔51とによりスライド孔21を形成したことによって、前記中間軸4と前記後軸5とを連結する際(即ちスライド孔21を形成する際)に、クリップ体7を第1の長孔44と第2の長孔51とに挿入でき、クリップ体7をスライド孔21に容易に挿入することができ、クリップ体7と軸筒2との容易な挿入組立が可能となる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記中間軸4の側壁と前記後軸5の側壁とを径方向に重なるように連結し、前記第1の長孔44と前記第2の長孔51とを径方向に連通させたことにより、軸筒2全体が不必要に長くなることを回避できる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記クリップ体7が、前記軸筒2内に収容され且つ前後方向に延びる軸部73を有し、前記軸部73と前記回転部材6とが、互いに回転可能且つ互いに前後方向のあそびを有した状態で前後方向に係止されることにより、ペン先突出状態において、クリップ体7の不用意な前後方向の移動が抑えられる。その結果、ペン先突出状態でクリップ体7の近傍を把持しても、安定した摩擦操作が可能となる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記スライド孔21より前方の前記軸筒2の外面に、前後方向に延びるガイド溝48を形成し、前記クリップ体7の前部内面に玉部71aを突設し、前記クリップ体7の前後方向の移動に伴って前記ガイド溝48内を前記玉部71aが前後方向に摺動することにより、クリップの挟持性能が向上するとともにクリップ体7の横方向(周方向)のぐらつきを防止できる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1において、前記摩擦部10が弾性材料からなり、前記摩擦部10の一部がペン先没入状態のクリップ体7に当接させることもできる。それにより、ペン先突出状態からペン先没入状態にする際、弾発体8の後方付勢により筆記体9及びクリップ体7が後方移動し、クリップ体7と弾性材料よりなる摩擦部10とが当接するため、その際に筆記体9に加わる衝撃を緩和できる。その結果、筆記体9内のインキの逆流等やペン先91からの空気の混入を防止できる。
1 熱変色性筆記具
2 軸筒
21 スライド孔
3 前軸
31 前端孔
32 オネジ部
3a 本体
3b 把持部
4 中間軸
41 カム部
41a カム歯
41b カム溝
42 段部
43 縮径部
44 第1の長孔
45 外向突起
46 メネジ部
47 係止突起
48 ガイド溝
49 溝
5 後軸
51 第2の長孔
52 取付孔
53 内向突起
6 回転部材
61 突条
62 内向突起
7 クリップ体
71 クリップ本体
71a 玉部
72 基部
72a リブ
73 軸部
73a カム歯
73b 大径部
73c 小径部
73d 第1の外向突起
73e 第2の外向突起
74 円筒体
74a カム歯
74b 内向突起
74c ガイド突起
7a 主要部
8 弾発体
9 筆記体
91 ペン先
92 インキ収容管
93 熱変色性インキ
94 追従体
95 尾栓
10 摩擦部

Claims (19)

  1. 内部に熱変色性インキを収容した筆記体を軸筒内に収容し、前記軸筒に設けた操作体を操作して前記筆記体を前後方向に移動させ、前記筆記体のペン先を筆記具の先端から出没可能に構成した熱変色性筆記具であって、
    前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部と、少なくとも一の前記操作体としてのクリップ体とを備え、前記摩擦部を前記軸筒の後端に設けるとともに、前記軸筒における後端以外の部位に前記クリップ体を設けたことを特徴とする熱変色性筆記具。
  2. 前記操作体として単一の前記クリップ体のみを備え、単一の前記クリップ体を操作することにより、前記筆記体のペン先を突出状態及び没入状態にすることが可能な請求項1記載の熱変色性筆記具。
  3. 前記軸筒の側壁に前後方向に延びるスライド孔を設け、前記スライド孔に配設した前記クリップ体を前方へスライド操作することで、前記筆記体のペン先を没入状態から突出状態にする出没機構を備えた請求項1または2に記載の熱変色性筆記具。
  4. 前記軸筒が、互いに連結可能な二以上の部品からなり、前記軸筒を構成する二つの前記部品の各側壁に、前端又は後端が開放され且つ前後方向に延びる第1又は第2の長孔をそれぞれ設け、二つの前記部品を連結したときに、前記第1及び第2の長孔が、互いに連通して前記スライド孔を形成する請求項3記載の熱変色性筆記具。
  5. 前記軸筒を構成する二つの前記部品の各側壁を、互いに径方向に重なるように連結し、前記第1及び第2の長孔が、互いに径方向に重なった状態で連通して前記スライド孔を形成する請求項4記載の熱変色性筆記具。
  6. 前記軸筒を構成する一の前記部品に設けた前記第1の長孔に前記クリップ体の基部を挿入する工程と、
    前記軸筒を構成する他の前記部品に設けた前記第2の長孔に前記クリップ体の基部を挿入しつつ、他の前記部品を一の前記部品に連結させ、前記第2の長孔を前記第1の長孔に連通させて前記スライド孔を形成する工程と、
    を経て前記クリップ体を前記スライド孔に組み付けた請求項4または5記載の熱変色性筆記具。
  7. 前記出没機構としてのカム機構を前記軸筒内に備え、前記カム機構には、交互に前後方向の異なる位置で係合可能なカム部及び突起を含み、前記クリップ体を前方へスライド操作することにより、前記カム部及び前記突起を交互に前後方向の異なる位置で係合させ、前記筆記体のペン先を交互に突出状態又は没入状態にする請求項3乃至6の何れか1項に記載の熱変色性筆記具。
  8. 前記出没機構として、円周方向に沿って交互に配置された前後方向に延びる複数のカム歯及びカム溝と、前記筆記体の後方に回転可能に配置され、前記カム歯又は前記カム溝に交互に係合可能な複数の突条を有する回転部材と、前記クリップ体に設けられ、前記回転部材を回動させる複数の他のカム歯と、前記筆記体を後方に付勢する弾発体と、を前記軸筒内に備え、
    前記弾発体の付勢力に抗して、前記クリップ体を前方へスライド操作することにより、前記突条を前記カム歯又は前記カム溝に交互に係合させ、前記筆記体のペン先を交互に突出状態又は没入状態にする請求項7記載の熱変色性筆記具。
  9. 前記クリップ体が、前記軸筒内に収容され且つ前後方向に延びる軸部を有し、前記軸部と前記回転部材とが、前後方向のあそびを有する状態で互いに係止される請求項8記載の熱変色性筆記具。
  10. 前記スライド孔より前方の前記軸筒の外面に、前後方向に延びるガイド溝を形成し、前記クリップ体の前部内面に玉部を突設し、前記クリップ体の前後方向の移動に伴って、前記玉部が前記ガイド溝内を前後方向に摺動する請求項3乃至9の何れか1項に記載の熱変色性筆記具。
  11. 前記摩擦部が弾性材料からなり、前記摩擦部の一部がペン先没入状態のクリップ体に当接してなる請求項1乃至10の何れか1項に記載の熱変色性筆記具。
  12. 前記摩擦部が弾性材料からなり、前記軸筒の後端又は前記後軸の後端部に圧入、係合、螺合、嵌合、接着、2色成形によって固着し、又は前記軸筒の全体もしくは前記後軸の全体を、前記摩擦部としての弾性材料で形成した請求項1乃至11の何れか1項に記載の熱変色性筆記具。
  13. 筆記体の内部に熱変色性インキを収容し、前記筆記体の前端に前記熱変色性インキが吐出可能なペン先を設け、軸筒内に前記筆記体を後方に付勢された状態で前後方向に移動可能に収容し、前記筆記体のペン先を軸筒の前端孔から出没可能に構成した熱変色性筆記具であって、
    前記軸筒の側壁に前後方向に延びるスライド孔を設け、前記スライド孔から径方向外方にクリップ体を突出させ、前記クリップ体を前記スライド孔に沿って前後方向に移動可能に構成し、ペン先没入状態からクリップ体を前方にスライド操作することによりペン先を軸筒の前端孔から突出状態にし、前記ペン先突出状態から前記クリップ体を操作することによりペン先を没入状態にする出没機構を備え、前記軸筒の後端に、前記熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な摩擦部を設けたことを特徴とする熱変色性筆記具。
  14. 前記出没機構が、回転カム機構を用いたサイドスライド式出没機構であり、少なくとも、軸筒内面に形成されたカム部と、該カム部に係合し且つ筆記体の後端に当接する回転部材と、該回転部材に係合するカム歯を備えたクリップ体と、前記軸筒内に収容され且つ筆記体を後方に付勢する弾発体とからなり、ペン先突出操作及びペン先没入操作の何れもがクリップ体を前方にスライド操作するタイプである請求項13記載の熱変色性筆記具。
  15. 前記軸筒が、前軸と、該前軸の後端部に連結される中間軸と、該中間軸の後端部に連結される後軸とからなり、前記前軸の前端にペン先が出没可能な前端孔を設け、前記中間軸の内面にカム部を設け、前記中間軸の後端部に、後方に開放され且つ前後方向に延びる第1の長孔を設け、前記後軸の前端部に、前方に開放され且つ前後方向に延びる第2の長孔を設け、前記中間軸の後端部と前記後軸の前端部とを、第1の長孔と第2の長孔とが連通するよう連結し、前記第1の長孔と前記第2の長孔とにより軸筒の側壁に前記スライド孔を形成し、前記後軸の後端に摩擦部を設けた請求項13または14に記載の熱変色性筆記具。
  16. 前記中間軸の側壁と前記後軸の側壁とを互いに径方向に重なるように連結し、前記第1の長孔と前記第2の長孔とを径方向に連通させた請求項15記載の熱変色性筆記具。
  17. 前記クリップ体が、前記軸筒内に収容され且つ前後方向に延びる軸部を有し、前記軸部と前記回転部材とが、互いに回転可能且つ互いに前後方向のあそびを有した状態で前後方向に係止される請求項13乃至16の何れか1項に記載の熱変色性筆記具。
  18. 前記スライド孔より前方の前記軸筒の外面に、前後方向に延びるガイド溝を形成し、前記クリップ体の前部内面に玉部を突設し、前記クリップ体の前後方向の移動に伴って前記ガイド溝内を前記玉部が前後方向に摺動する請求項13乃至17の何れか1項に記載の熱変色性筆記具。
  19. 前記摩擦部が弾性材料からなり、前記摩擦部の一部がペン先没入状態のクリップ体に当接してなる請求項13乃至18の何れか1項に記載の熱変色性筆記具。
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