以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
以下の説明においては、図1中に示されたXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がステージ6に対して平行な方向に設定され、Z軸がステージ6に対して直交する方向に設定されている。図1中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。なお、液滴吐出ヘッド9の走査移動方向をY方向(第1方向)、ステージ6の移動方向をX方向(第2方向)とする。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る第1実施形態の液滴吐出装置1の概略構成を示す模式図である。液滴吐出装置1は、例えばプラスチックフィルム等の記録媒体P上にインクを吐出し、記録媒体Pに着弾したインクに対して紫外線照射を行って該インクを硬化させ、記録媒体P上に画像や各種の模様等のパターンを描画するものである。
紫外線硬化型インクは、紫外線を照射するまでは硬化が非常に遅く、紫外線を照射すると急速に硬化するという、印刷インクとして好ましい特性を有する。また、硬化にあたって溶剤を揮発させることがないので、環境負荷が小さいという利点もある。
さらに、紫外線硬化型インクは、ビヒクルの組成により種々の記録媒体に高い付着性を発揮する。また、硬化した後は化学的に安定で、接着性、耐薬剤性、耐候性、耐摩擦性等が高く、屋外環境にも耐える等、優れた特性を有する。このため、紙、樹脂フィルム、金属箔等の薄いシート状の記録媒体の他、記録媒体のレーベル面、テキスタイル製品等、ある程度立体的な表面形状を有するものに対しても画像を形成できる。
なお、以下「紫外線硬化型インク」について説明するときは、便宜上、単に「インク」ということがある。
この液滴吐出装置1は、記録媒体Pを載置する基台2と、基台2上の記録媒体Pを図1中のX方向に搬送する搬送装置3と、インクを吐出する液滴吐出ヘッド9と、液滴吐出ヘッド9を複数備えてなるキャリッジ4と、このキャリッジ4をY方向に移動させる送り装置5と、紫外線照射部12と、検査媒体CPを載置する検査ステージ13と、撮像手段15と、判定部40と、各種構成部品の制御を行う制御部8と、を具備して構成されている。搬送装置3及び送り装置5により、記録媒体Pとキャリッジ4とを、X方向とY方向とにそれぞれ相対移動させる移動装置が構成されている。
なお、本実施形態に係る液滴吐出ヘッド9は、制御部8の制御により、各ノズル17に対応して異なる波形の電圧が印加されることにより異なる量のインクを吐出可能になっている。つまり、この液滴吐出ヘッド9は、各ノズルから互いに異なるサイズのドットを打ち分けられる技術であるMSDT(Multi Size Dot Technology)が採用されている。
搬送装置3は、基台2上に設けられたステージ6及びステージ移動装置7を備えて構成されたものである。ステージ6は、ステージ移動装置7によって基台2上をX方向に移動可能に設けられたもので、上流側の搬送装置(図示せず)から搬送される記録媒体Pを、例えば真空吸着機構によってXY平面上に保持するものである。
ステージ移動装置7は、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備えたもので、制御部8から入力される、ステージ6のX座標を示すステージ位置制御信号に基づいて、ステージ6をX方向に移動させるよう構成されたものである。
キャリッジ4は、送り装置5に移動可能に取り付けられた矩形板状のもので、その底面側に複数の液滴吐出ヘッド9を、Y方向に沿って配列させた状態で保持したものである。これら複数の液滴吐出ヘッド9(9Y,9C,9M,9K)は、後述するように複数のノズル17を備えたもので、制御部8から入力される描画データや駆動制御信号に基づいて、インクの液滴を吐出するものである。また、これら複数の液滴吐出ヘッド9(9Y,9C,9M,9K)は、Y(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)に対応したインクをそれぞれ吐出するもので、それぞれの液滴吐出ヘッド9には、図1に示すようにキャリッジ4を介してチューブ(配管)10が連結されている。
そして、Y(イエロー)に対応する液滴吐出ヘッド9Yには、チューブ10を介してY(イエロー)用のインクを充填・貯蔵した第1タンク(インク貯留室)11Yが接続されており、これによって液滴吐出ヘッド9Yには、この第1タンク11YからY(イエロー)用のインクが供給されるようになっている。同様に、C(シアン)に対応する液滴吐出ヘッド9CにはC(シアン)用のインクを充填した第2タンク11Cが接続され、M(マゼンタ)に対応する液滴吐出ヘッド9MにはM(マゼンタ)用のインクを充填した第3タンク11Mが接続され、K(黒)に対応する液滴吐出ヘッド9KにはK(黒)用のインクを充填した第4タンク11Kが接続されている。このような構成によって液滴吐出ヘッド9Cには、第2タンク11CからC(シアン)用のインクが供給されるようになっており、液滴吐出ヘッド9Mには、第3タンク11MからM(マゼンタ)用のインクが供給されるようになっており、液滴吐出ヘッド9Kには、第4タンク11KからK(黒)用のインクが供給されるようになっている。
ここで、インクは、例えば紫外線硬化型のインクなど、所定波長の光を受けて硬化するタイプのもので、モノマーと光重合開始剤と各色に対応する顔料とを含有し、さらに必要に応じて、界面活性剤や熱ラジカル重合禁止剤などの各種添加剤が配合されたものである。なお、このようなインクは、通常はその成分(配合)等によって吸収する光(紫外線)の波長域等が異なることから、硬化する波長の最適値、すなわち最適硬化波長も、インク毎に異なっている。
例えば、インクは、ビヒクル、光重合開始剤および顔料の混合物に、消泡剤、重合禁止剤等の補助剤を添加して調合される。ビヒクルは、光重合硬化性を有するオリゴマー、モノマー等を、反応性希釈剤により粘度調整して調合される。したがって、インクを硬化させる目的で溶媒を揮発させることはない。
ビヒクルとしては、単官能あるいは多官能の重合性化合物が使用できる。より具体的には、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート等のオリゴマー(プレポリマー)を例示でき、インクとしての粘度を調整する反応性希釈剤もこれらの材料を用いることができる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系が広く用いられる。より具体的には、4−benzoyl−N,N,N−trimethyl benzene methaneannmonium chloride、2−hydroxy 3−(4−benzoyl−phenoxy)−N,N,N−trimethyl 1−propane annmonium chloride、4−benzoyl−N,N−dimethyl N−[2−(1−oxo−2−propenyloxy) ethyl] benzene methammonium bromide等、第4級アンモニウム塩型の水溶性有機物等を用いることができる。この種の光重合開始剤は、その組成に応じて、紫外線吸収特性、反応開始効率、黄変性等が異なるので、インクとしての色等に応じて使い分けられる。
重合禁止剤としては、ラジカル捕捉能力を有してラジカル重合を阻害する化合物であれば何れも使用できる。ただし、液滴吐出装置1における吐出適性等を配慮すると、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン類、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類から選択された少なくとも1種類以上の化合物が好ましい。
ハイドロキノン類としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1−o−2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン等を例示できる。カテコール類としては、カテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール等を例示できる。ヒンダードアミン類としては、テトラメチルピペリジニル基を有する化合物等を例示できる。
また、フェノール類としては、フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸アルキルエステル等を例示できる。フェノチアジン類としては、フェノチアジン等を例示できる。前記縮合芳香族環のキノン類としては、ナフトキノン等を例示できる。
更に、重合禁止剤は、カーボンブラックまたは表面に重合防止官能基を導入した無機・有機微粒子であってもよい。重合防止官能基としては、例えば、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、テトラメチルピペリジニル基、縮合芳香族環等を例示できる。
ここで、図2及び図3を参照して液滴吐出ヘッド9の構成について説明する。図2は、液滴吐出ヘッド9のノズル形成面21Aにおけるノズル17の配列状態を示す図である。図3は、液滴吐出ヘッド9の内部構成を示す部分断面図である。
図2に示すように、ノズル17はノズル形成面21Aにおいて記録媒体Pの搬送方向(X方向)に沿って複数設けられ、ノズル列16を形成している。このノズル列16は、液滴吐出ヘッド9の走査方向(Y方向)に沿って計5列設けられている。なお、液滴吐出ヘッド9に設けるノズル数及びノズル列数は任意に変更可能である。また、液滴吐出ヘッド9どうしをノズル17間のピッチの半分だけ左右方向にずらして配置してもよい。これにより、記録媒体Pに対して印字する解像度を向上させることができる。
図3に示すように、液滴吐出ヘッド9は、ヘッド本体18と、ヘッド本体18に接続された流路形成ユニット22とを備える。流路形成ユニット22は、振動板19と、流路基板20と、ノズル基板21とを備えるとともに、共通インク室29と、インク供給口30と、圧力室31とを形成する。さらに、流路形成ユニット22は、ダイヤフラム部として機能する島部32と、共通インク室29内の圧力変動を吸収するコンプライアンス部33とを備える。ヘッド本体18には、固定部材26とともに駆動ユニット24を収容する収容空間23と、インクを流路形成ユニット22に案内する内部流路28とが形成される。
上記構成の液滴吐出ヘッド9によれば、ケーブル27を介して駆動ユニット24に駆動信号が入力されると、圧電素子25が伸縮する。これにより、振動板19が圧力室31に接近する方向(−Z方向)及び圧力室31から離れる方向(+Z方向)に変形(移動)する。このため、圧力室31の容積が変化し、インクを収容した圧力室31の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル17からインクが噴射される。
図1に戻り、キャリッジ4を移動させる送り装置5は、例えば基台2を跨ぐ橋梁構造をしたもので、Y方向及びXY平面に直交するZ方向に対して、ボールネジまたはリニアガイド等の軸受け機構を備えたものである。このような構成のもとに送り装置5は、制御部8から入力される、キャリッジ4のY座標及びZ座標を示すキャリッジ位置制御信号に基づいて、キャリッジ4をY方向に移動させるとともに、Z方向にも移動させるようになっている。
また、図1に示すキャリッジ4には、液滴吐出ヘッド9の全てに対して、該液滴吐出ヘッド9の近傍にそれぞれ紫外線照射部12が配置されている。具体的には、紫外線照射部12は、キャリッジ4の移動方向の前後に設けられており、液滴吐出ヘッド9の走査移動とともに移動するようになっている。紫外線照射部12は、記録媒体Pに吐出されたインクを硬化させるためのもので、本実施形態では多数のLED(発光ダイオード)からなっている。ただし、本発明では、LEDに限定されることなく、これ以外にも例えばレーザーダイオード(LD)や、さらには水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等を紫外線照射部12として用いることができる。
本実施形態のLEDからなる紫外線照射部12は、それぞれ照射する光が、対応する液滴吐出ヘッド9Y,9C,9M,9Kが吐出するインクの、最適硬化波長に対応した波長を有している。つまり、前述したように各インクは、その成分(配合)等によって最適硬化波長が異なっており、これに対して紫外線照射部12は、対応するインクの最適硬化波長を有した光を照射するようになっている。
検査ステージ13は、ステージ移動装置7によって基台2上をX方向に移動可能に設けられている。つまり、検査ステージ13は上述したステージ6とともに移動するようになっている。この検査ステージ13は、例えばプラスチックフィルム等の検査媒体CPを、例えば真空吸着機構によってXY平面上に保持するものである。
撮像手段15は、検査媒体CPの上方に設けられており、ここでは1台配置されている。この撮像手段15は、検査媒体CPに形成されたドットパターンを撮像するものである。撮像手段15としては、例えばCCDカメラを用いることができる。撮像手段15によって撮像された各種データは、判定部40に入力される。なお、判定部40については後述する。
制御部8は、ステージ移動装置7にステージ位置制御信号を出力し、送り装置5にキャリッジ位置制御信号を出力し、さらには液滴吐出ヘッド9の駆動回路基板(図示せず)に描画データ及び駆動制御信号を出力するものである。これによって制御部8は、記録媒体Pとキャリッジ4とを相対移動させるべく、ステージ6の移動による記録媒体Pの位置決め動作、及びキャリッジ4の移動による液滴吐出ヘッド9の位置決め動作の同期制御を行い、さらに液滴吐出ヘッド9に液滴吐出動作を行わせることにより、記録媒体P上あるいは検査媒体CP上の所定の位置にインクの液滴を配するようになっている。また、この制御部8は、液滴吐出ヘッド9に液滴吐出動作を行わせるのとは別に、紫外線照射部12に光照射動作を行わせるようになっている。
また、基台2内の右端部(−Y方向端部)に位置する非液滴吐出領域には、非印刷時に液滴吐出ヘッド9のメンテナンス(例えば、吐出回復動作、クリーニングやフラッシング等)を行うためのメンテナンス装置14が設けられている。メンテナンス装置14は、液滴吐出ヘッド9のノズル形成面21Aを封止可能なキャップ(図示略)を備えている。
ところで、従来の液滴吐出装置においては、テストメディア表面に複数のインクのドット配列からなるテストパターンをプリントし、検知手段によりテストパターンのドット抜けの有無を検知することで、インクジェットヘッドに形成されたノズルの吐出機能の良否を判定していた。しかしながら、ある吐出波形に対応したドット抜け検査をすることはできたものの、MSDTを採用したインクジェットヘッドのドット抜け検査には対応していなかった。つまり、ノズル毎にすべての吐出波形に対応したドット抜けの有無を確認することができなかった。このため、ノズル毎に特定の吐出波形におけるドット抜けを検出することはできなかった。
そこで、本発明に係る液滴吐出装置1では、各ノズル17に対応して異なる波形の電圧が印加されることにより異なる量のインクを吐出可能な液滴吐出ヘッド9と、検査媒体CPを載置する検査ステージ13と、液滴吐出ヘッド9により吐出されて検査媒体CPに着弾したインクのドットパターンを撮像する撮像手段15と、撮像手段15によって撮像された、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形の電圧が印加されることにより形成されたドットパターンに基づき、各ノズル17においてドット抜けが発生しているか否かを判定する判定部40と、を備える構成としている。これにより、ノズル毎に特定の吐出波形でのドット抜けを検出することを可能とし、高画質化及び歩留まり向上を図っている。以下、図4を用いて液滴吐出装置1における液滴吐出ヘッド9、紫外線照射部12、記録媒体P、ステージ6、検査媒体CP及び検査ステージ13の配置構成について説明する。
図4は、第1実施形態の液滴吐出装置1の要部を示す平面図である。なお、図4においては、便宜上、キャリッジ4、チューブ10、タンク11Y〜11K、判定部40及び制御部8などの図示を省略している。
図4に示すように、液滴吐出装置1は、走査型の液滴吐出ヘッド9と、記録媒体Pを載置するステージ6と、検査媒体CPを載置する検査ステージ13と、液滴吐出ヘッド9により吐出されて検査媒体CPに着弾したインクのドットパターンを撮像する撮像手段15と、撮像手段15によって撮像された、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形の電圧が印加されることにより形成されたドットパターンに基づき、各ノズル17においてドット抜けが発生しているか否かを判定する判定部40(図1参照)と、を備えている。
液滴吐出ヘッド9は、制御部8の制御により、各ノズル17に対応して異なる波形の電圧が印加されることにより異なる量のインクを吐出可能になっている。つまり、この液滴吐出ヘッド9は、各ノズルから互いに異なるサイズのドットを打ち分けられる技術であるMSDT(Multi Size Dot Technology)が採用されている。このMSDTを採用した液滴吐出装置1によれば、高精細な画像部分はドットサイズを小さくし、ベタ画像部分はドットサイズを大きくするといった異なるサイズのドットの打ち分けをすることができる。したがって、画質と生産速度を高いバランスで実現することが可能となる。
また、インクを用いているので、顔料インクや染料インクを用いる場合に比べて溶剤が少なく、溶剤が時間経過とともに乾いてしまうことがない。このため、検査媒体上にドットパターンが残り易く、ノズル毎にドット抜けの有無を確認することが容易となる。
制御部8(図1参照)は、液滴吐出ヘッド9からステージ6上の記録媒体Pに対してインクが吐出される前、あるいは、吐出時間がしばらく経過した後に、検査ステージ13上の検査媒体Pに対向する位置に液滴吐出ヘッド9を走査移動させるよう移動装置の制御を行う。そして、制御部8は、液滴吐出ヘッド9の各ノズルから液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての吐出波形に対応したインクを吐出させる制御を行う。これにより、検査媒体CPにこれらすべての吐出波形に対応したインクが着弾したドットパターン(例えば大ドット、中ドット及び小ドットの組み合わせパターン)が形成される。そして、このドットパターンは撮像手段15によって撮像され、撮像された各種データは、判定部40(図1参照)に入力される。
判定部40は、撮像手段15によって撮像された、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形の電圧が印加されることにより形成されたドットパターンに基づき、各ノズル17においてドット抜けが発生しているか否かを判定する。つまり、ノズル毎に異なるサイズのドットを打ち分け可能な液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての吐出波形が反映されたドットパターンに基づいてドット抜けが判定される。このため、ノズル毎にすべての吐出波形に対応したドット抜けの有無を確認することができる。したがって、ノズル毎に特定の吐出波形でのドット抜けを検出することができる。
また、制御部8は、判定部40の判定結果においてドット抜けが発生していると判定されたノズルに対してインクを吐出させないよう、液滴吐出ヘッド9の吐出動作を制御する。つまり、制御部8により、ドット抜けが発生したノズルを使用しない描画データが作り出されることになる。このため、ドット抜けが発生した場合であっても、描画パターンが変更されるので、液滴吐出ヘッド9の吐出動作が滞ることを抑えることができる。
なお、上述したメンテナンス装置14(図1参照)により、判定部40の判定結果においてドット抜けが発生していると判定されたノズルに対してインクの吐出機能を回復させるよう、液滴吐出ヘッド9の吐出回復処理を行ってもよい。つまり、メンテナンス装置14により、ドット抜けが発生していると判定されたノズルに対して吐出機能回復処理が行われることになる。このため、ドット抜けが発生した場合であっても、ドット抜けを解消することができる。
(液滴吐出ヘッドの検査方法)
ここで、液滴吐出ヘッド9における各ノズルのドット抜けを検査する方法について、図5〜図7を用いて説明する。図5は、液滴吐出ヘッドの検査方法を示すフローチャートである。本実施形態に係る液滴吐出ヘッドの検査方法は、MSDTが適用された液滴吐出ヘッド9と、検査媒体CPを載置する検査ステージ13と、を用いた液滴吐出ヘッドの検査方法であって、検査媒体CPに向けて各ノズル17からインクを吐出させる第1工程(ステップST1)と、各ノズル17から吐出されて検査媒体CPに着弾したインクのドットパターンを撮像する第2工程(ステップST2)と、第2工程で撮像された、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形の電圧が印加されることにより形成されたドットパターンに基づき、各ノズル17においてドット抜けが発生しているか否かを判定する第3工程(ステップST3)と、を有する。また、第3工程の判定結果(ステップST4)において、ドット抜け有りの場合は、描画パターンを変更する工程(ステップST5)、吐出回復処理を行う工程(ステップST6)に移る。また、ドット抜け無しの場合は、記録媒体Pに向けて描画が開始される(ステップST7)。
図6は、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられる吐出波形を示す図である。なお、図6において、横軸は時間T(マイクロ秒)、電圧Vh(%)である。また、符号DLは大ドットに対応する波形、符号DMは中ドットに対応する波形、符号DSは小ドットに対応する波形、記号CHは波形の切換タイミングである。
図6に示すように、本実施形態に係る液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられる波形は、大ドットに対応する波形DL、中ドットに対応する波形DM、小ドットに対応する波形DSの3種類である。例えば、高精細な画像部分は小ドットに対応する波形DSを用いてドットサイズを小さくし、ベタ画像部分は大ドットに対応する波形DLを用いてドットサイズを大きくすることができる。
図7は、検査媒体に着弾したドットパターンを示す図である。なお、図7においては、便宜上、キャリッジ4、チューブ10、タンク11Y〜11K、ステージ6、記録媒体P、紫外線照射部12、撮像手段15、判定部40及び制御部8などの図示を省略している。また、液滴吐出ヘッド9の走査方向(Y方向)に沿って計5列設けられたノズル列16のうち1列のみを図示し、その他のノズル列の図示を省略している。
先ず、検査ステージ13上の検査媒体Pに対向する位置に液滴吐出ヘッド9を走査移動させるよう移動装置の制御を行う。次に、検査媒体CPに向けて各ノズル17からインクを吐出させる(ステップST1)。本実施形態では、この第1工程は、第1のタイミングで各ノズルから第1の量のインクを吐出させる第1吐出工程と、第1のタイミングと異なる第2のタイミングで各ノズルから第1の量と異なる第2の量のインクを吐出させる第2吐出工程と、を有する。
具体的には、先ず、第1のタイミングで各ノズル17に大ドットに対応する波形DLの電圧を印加して、検査媒体CP上に大ドット50aのドットパターン(大ドットパターン)DPaを形成する。次に、第1のタイミングから所定の時間(例えば20マイクロ秒)だけ遅れた第2のタイミングで各ノズル17に中ドットに対応する波形DMの電圧を印加して、大ドットパターンDPaの−Y方向側に中ドット50bのドットパターン(中ドットパターン)DPbを形成する。そして、第2のタイミングから所定の時間例えば20マイクロ秒)だけ遅れた第3のタイミングで各ノズル17に小ドットに対応する波形DSの電圧を印加して、中ドットパターンDPbの−Y方向側に小ドット50cのドットパターン(小ドットパターン)DPcを形成する。
これにより、第1のタイミングで大ドットパターンDPaの中で大ドット50aどうしの比較ができ、また、第2のタイミングで中ドットパターンDPbの中で中ドット50bどうしの比較ができ、さらに第3のタイミングで小ドットパターンDPcの中で小ドット50cどうしの比較ができる。つまり、各タイミングで各ノズル17から同じ吐出量のインクが吐出されるため、各ノズル17において各吐出量に対応したドットサイズを比較することが容易となる。例えば、予め設定した吐出量のノズル毎のバラツキを確認したい場合に好適な方法である。
また、第1の量のインクと第2の量のインクとは互いに隣り合う位置に吐出される。本実施形態では、大ドットパターンDPaの隣に中ドットパターンDPbが形成され、中ドットパターンDPbの隣に小ドットパターンDPcが形成される。つまり、互いに異なる吐出量(例えば大ドットと小ドット)のインクが隣り合う位置に吐出される。このため、検査媒体CPに着弾したインクが隣り合う位置に着弾したインクと重なり合うことが抑制される。
次に、各ノズル17から吐出されて検査媒体CPに着弾したインクのドットパターンDP1を撮像する(ステップST2)。具体的には、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形(大ドットに対応する波形DL、中ドットに対応する波形DM、小ドットに対応する波形DSの3種類の波形)の電圧が印加されることにより検査媒体CPに形成されたドットパターンDP1を撮像する。この第2工程において撮像された各種データは判定部40に入力される。なお、撮像の際には、ドットパターンDP1を硬化させてもよいし、硬化させなくてもよい。すなわち、各ノズルのドット抜けの有無が確認できればよい。
次に、第2工程で撮像された、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形の電圧が印加されることにより形成されたドットパターンDP1に基づき、各ノズル17においてドット抜けが発生しているか否かを判定する(ステップST3)。そして、この第3工程の判定結果(ステップST4)において、ドット抜け有りの場合は、描画パターンを変更する工程(ステップST5)に移る。
具体的には、ドット抜けが発生していると判定されたノズルに対してインクを吐出させないよう、液滴吐出ヘッド9の吐出動作を制御する工程に移る。言い換えると、第3工程の判定結果においてドット抜けが発生していると判定されたノズルに対してインクを吐出させない制御が行われる。つまり、ドット抜けが発生したノズルを使用しない描画データが作り出されることになる。このため、ドット抜けが発生した場合であっても、描画パターンが変更されるので、液滴吐出ヘッド9の吐出動作が滞ることを抑えることができる。
なお、第3工程の判定結果(ステップST4)において、ドット抜け有りの場合は、吐出回復処理を行う工程(ステップST6)に移ってもよい。具体的には、ドット抜けが発生していると判定されたノズルに対してインクの吐出機能を回復させるよう、液滴吐出ヘッド9の吐出回復処理を行う工程に移る。これにより、第3工程の判定結果においてドット抜けが発生していると判定されたノズルに対して吐出機能回復処理が行われる。したがって、ドット抜けが発生した場合であっても、ドット抜けを解消することができる。
一方、ドット抜け無しの場合は、記録媒体Pに向けて描画が開始される(ステップST7)。また、描画パターンを変更する工程(ステップST5)、吐出回復処理を行う工程(ステップST6)を経た後においても、記録媒体Pに向けて描画が開始される(ステップST7)。以下、上述した工程が繰り返されることによって、ノズル毎に特定の吐出波形でのドット抜けを検出することができる。
本実施形態の液滴吐出装置1によれば、各ノズル17に対応して異なる時間毎に異なる波形の電圧が印加されることにより異なる量のインクを吐出可能な液滴吐出ヘッド9を備えている。そして、判定部40により、この液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形の電圧が印加されることにより形成されたドットパターンDP1に基づいて、各ノズル17においてドット抜けが発生しているか否かが判定される。つまり、ノズル毎に異なるサイズのドットを打ち分け可能な液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての吐出波形が反映されたドットパターンDP1に基づいてドット抜けが判定される。このため、ノズル毎にすべての吐出波形に対応したドット抜けの有無を確認することができる。したがって、ノズル毎に特定の吐出波形でのドット抜けを検出することができ、高画質化及び歩留まり向上を図ることが可能な液滴吐出装置1を提供することができる。また、インクを用いているので、顔料インクや染料インクを用いる場合に比べて溶剤が少なく、溶剤が時間経過とともに乾いてしまうことがない。このため、検査媒体上にドットパターンDP1が残り易く、ノズル毎にドット抜けの有無を確認することが容易となる。
この構成によれば、制御部8により、ドット抜けが発生していると判定されたノズルに対してインクを吐出させない制御が行われる。つまり、制御部8により、ドット抜けが発生したノズルを使用しない描画データが作り出されることになる。このため、ドット抜けが発生した場合であっても、描画パターンが変更されるので、液滴吐出ヘッド9の吐出動作が滞ることを抑えることができる。したがって、液滴吐出ヘッド9の吐出動作をスムーズにし、生産速度の向上を図ることができる。
この構成によれば、メンテナンス装置14により、ドット抜けが発生していると判定されたノズルに対して吐出機能回復処理が行われる。したがって、ドット抜けが発生した場合であっても、ドット抜けが解消されるので、画質の低下を抑えることができる。
本実施形態の液滴吐出ヘッドの検査方法によれば、各ノズル17に対応して異なる時間毎に異なる波形の電圧が印加されることにより異なる量のインクを吐出可能な液滴吐出ヘッド9を用いてドット抜け検査が行われる。そして、第3工程により、この液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形の電圧が印加されることにより形成されたドットパターンDP1に基づいて、各ノズル17においてドット抜けが発生しているか否かが判定される。つまり、ノズル毎に異なるサイズのドットを打ち分け可能な液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての吐出波形が反映されたドットパターンDP1に基づいてドット抜けが判定される。このため、ノズル毎にすべての吐出波形に対応したドット抜けの有無を確認することができる。したがって、ノズル毎に特定の吐出波形でのドット抜けを検出することができ、高画質化及び歩留まり向上を図ることが可能となる。
この方法によれば、第1のタイミングで第1の量に対応したドットサイズの比較ができ、また、第2のタイミングで第2の量に対応したドットサイズの比較ができる。つまり、各タイミングで各ノズル17から同じ吐出量のインクが吐出されることになる。したがって、各ノズル17において各吐出量に対応したドットサイズを比較することが容易となる。例えば、予め設定した吐出量のノズル毎のバラツキを確認したい場合に好適な方法である。
この方法によれば、互いに異なる吐出量(例えば大ドットと小ドット)のインクが隣り合う位置に吐出される。このため、検査媒体CPに着弾したインクが隣り合う位置に着弾したインクと重なり合うことが抑制される。したがって、ノズル毎に特定の吐出波形でのドット抜けを確実に検出することができる。
この方法によれば、第3工程の判定結果においてドット抜けが発生していると判定されたノズルに対してインクを吐出させない制御が行われる。つまり、ドット抜けが発生したノズルを使用しない描画データが作り出されることになる。このため、ドット抜けが発生した場合であっても、描画パターンが変更されるので、液滴吐出ヘッド9の吐出動作が滞ることを抑えることができる。したがって、液滴吐出ヘッド9の吐出動作をスムーズにし、生産速度の向上を図ることができる。
この方法によれば、第3工程の判定結果においてドット抜けが発生していると判定されたノズルに対して吐出機能回復処理が行われる。したがって、ドット抜けが発生した場合であっても、ドット抜けが解消されるので、画質の低下を抑えることができる。
なお、本実施形態の液滴吐出ヘッドの検査方法においては、各タイミングで同じノズルから異なる吐出量のインクが吐出される場合について例を挙げて説明したが、これに限らない。以下、本実施形態とは異なる液滴吐出ヘッドの検査方法について、図8を用いて説明する。
(第2実施形態)
図8は、図7に対応した、本実施形態に係る検査媒体に着弾したドットパターンを示す図である。なお、図8においては、便宜上、キャリッジ4、チューブ10、タンク11Y〜11K、ステージ6、記録媒体P、紫外線照射部12、撮像手段15、判定部40及び制御部8などの図示を省略している。また、液滴吐出ヘッド9の走査方向(Y方向)に沿って計5列設けられたノズル列16のうち1列のみを図示し、その他のノズル列の図示を省略している。本実施形態の液滴吐出ヘッドの検査方法は、各タイミングで異なるノズルから異なる吐出量のインクが吐出される点で、上述の第1実施形態で説明した液滴吐出ヘッドの検査方法と異なる。図8において、図7と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
先ず、検査ステージ13上の検査媒体Pに対向する位置に液滴吐出ヘッド9を走査移動させるよう移動装置の制御を行う。次に、検査媒体CPに向けて各ノズル17からインクを吐出させる(ステップST1)。この第1工程は、第1のタイミングで各ノズルから第1の量のインクを吐出させる第1吐出工程と、第2のタイミングで各ノズルから第2の量のインクを吐出させる第2吐出工程と、を有する。本実施形態では、第1吐出工程は、複数のノズル17のうち所定のノズルから第1の量のインクを吐出させ、第2吐出工程は、所定のノズルと異なるノズルから第2の量のインクを吐出させる。
具体的には、先ず、第1のタイミングで複数のノズル17のうち所定のノズル(ここでは+X方向から1番目と4番目のノズル)に大ドットに対応する波形DLの電圧を印加して、検査媒体CP上に大ドット50aを形成する。次に、第1のタイミングから所定の時間(例えば20マイクロ秒)だけ遅れた第2のタイミングで所定のノズルと異なるノズル(ここでは+X方向から2番目と5番目のノズル)に中ドットに対応する波形DMの電圧を印加して、大ドット50aの−X方向側に中ドット50bを形成する。そして、第2のタイミングから所定の時間例えば20マイクロ秒)だけ遅れた第3のタイミングで所定のノズルと異なるノズル(ここでは+X方向から3番目と6番目のノズル)に小ドットに対応する波形DSの電圧を印加して、中ドット50bの−X方向側に小ドット50cを形成する。このようにして、異なるドットサイズ(大ドット50a、中ドット50b、小ドット50c)の混在したドットパターンDPdを形成する。
次に、ドットパターンDPdの−Y方向側に、第1のタイミングで+X方向から3番目と6番目のノズルに大ドットに対応する波形DLの電圧を印加して、検査媒体CP上に大ドット50aを形成する。次に、第2のタイミングで+X方向から1番目と4番目のノズルに中ドットに対応する波形DMの電圧を印加して、中ドット50bを形成する。そして、第3のタイミングで+X方向から2番目と5番目のノズルに小ドットに対応する波形DSの電圧を印加して、中ドット50bの−X方向側に小ドット50cを形成する。このようにして、異なるドットサイズ(大ドット50a、中ドット50b、小ドット50c)の混在したドットパターンDPeを形成する。
次に、ドットパターンDPeの−Y方向側に、第1のタイミングで+X方向から2番目と5番目のノズルに大ドットに対応する波形DLの電圧を印加して、検査媒体CP上に大ドット50aを形成する。次に、第2のタイミングで+X方向から3番目と6番目のノズルに中ドットに対応する波形DMの電圧を印加して、大ドット50aの−X方向側に中ドット50bを形成する。そして、第3のタイミングで+X方向から1番目と4番目のノズルに小ドットに対応する波形DSの電圧を印加して、中ドット50bの−X方向側に小ドット50cを形成する。このようにして、異なるドットサイズ(大ドット50a、中ドット50b、小ドット50c)の混在したドットパターンDPfを形成する。
つまり、各タイミングで互いに異なるノズルから異なる吐出量(例えば大ドットと小ドット)のインクが吐出されることになる。このため、各タイミングで同じノズルから異なる吐出量のインクが吐出される場合に比べて、検査媒体CPに着弾したインクが隣り合う位置に着弾したインクと重なり合うことが抑制される。
また、第1の量のインクと第2の量のインクとは互いに隣り合う位置に吐出される。本実施形態では、各ドットパターンDPd〜DPfの中で、大ドット50aの隣に中ドット50bが形成され、中ドット50bの隣に小ドット50cが形成される。つまり、各ドットパターンにおいて互いに異なる吐出量(例えば大ドットと小ドット)のインクが隣り合う位置に吐出される。このため、検査媒体CPに着弾したインクが隣り合う位置に着弾したインクと重なり合うことが抑制される。
次に、各ノズル17から吐出されて検査媒体CPに着弾したインクのドットパターンDP2を撮像する(ステップST2)。具体的には、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形(大ドットに対応する波形DL、中ドットに対応する波形DM、小ドットに対応する波形DSの3種類の波形)の電圧が印加されることにより検査媒体CPに形成されたドットパターンDP2を撮像する。この第2工程において撮像された各種データは判定部40に入力される。なお、撮像の際には、ドットパターンDP2を硬化させてもよいし、硬化させなくてもよい。すなわち、各ノズルのドット抜けの有無が確認できればよい。
次に、第2工程で撮像された、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形の電圧が印加されることにより形成されたドットパターンDP2に基づき、各ノズル17においてドット抜けが発生しているか否かを判定する(ステップST3)。そして、この第3工程の判定結果(ステップST4)において、ドット抜け有りの場合は、描画パターンを変更する工程(ステップST5)に移る。
一方、ドット抜け無しの場合は、記録媒体Pに向けて描画が開始される(ステップST7)。以下、上述した工程が繰り返されることによって、ノズル毎に特定の吐出波形でのドット抜けを検出することができる。
本実施形態の液滴吐出ヘッドの検査方法によれば、第1のタイミングにおいては複数のノズル17のうち所定のノズルから第1の量のインクが吐出され、第2のタイミングにおいては所定のノズルを除いたノズルから第2の量のインクが吐出される。つまり、各タイミングで互いに異なるノズルから異なる吐出量(例えば大ドットと小ドット)のインクが吐出されることになる。このため、各タイミングで同じノズルから異なる吐出量のインクが吐出される場合に比べて、検査媒体に着弾したインクが隣り合う位置に着弾したインクと重なり合うことが抑制される。したがって、ノズル毎に特定の吐出波形でのドット抜けを確実に検出することができる。
なお、本実施形態の液滴吐出ヘッドの検査方法においては、各ドットパターンにおいて互いに異なる吐出量のインクが隣り合う位置に吐出される場合について例を挙げて説明したが、これに限らない。以下、本実施形態とは異なる液滴吐出ヘッドの検査方法について、図9を用いて説明する。
(第3実施形態)
図9は、図7に対応した、本実施形態に係る検査媒体に着弾したドットパターンを示す図である。なお、図9においては、便宜上、キャリッジ4、チューブ10、タンク11Y〜11K、ステージ6、記録媒体P、紫外線照射部12、撮像手段15、判定部40及び制御部8などの図示を省略している。また、液滴吐出ヘッド9の走査方向(Y方向)に沿って計5列設けられたノズル列16のうち1列のみを図示し、その他のノズル列の図示を省略している。本実施形態の液滴吐出ヘッドの検査方法は、互いに異なる吐出量のインクが重なり合う位置に吐出される点で、上述の第1実施形態で説明した液滴吐出ヘッドの検査方法と異なる。図9において、図7と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
先ず、検査ステージ13上の検査媒体Pに対向する位置に液滴吐出ヘッド9を走査移動させるよう移動装置の制御を行う。次に、検査媒体CPに向けて各ノズル17からインクを吐出させる(ステップST1)。この第1工程は、第1のタイミングで各ノズルから第1の量のインクを吐出させる第1吐出工程と、第2のタイミングで各ノズルから第2の量のインクを吐出させる第2吐出工程と、を有する。本実施形態では、第1吐出工程は、複数のノズル17のうち所定のノズルから第1の量のインクを吐出させ、第2吐出工程は、所定のノズルから第2の量のインクを吐出させる。
具体的には、先ず、第1のタイミングで複数のノズル17のうち所定のノズル(ここでは+X方向から1番目と3番目と5番目のノズル)に大ドットに対応する波形DLの電圧を印加して、検査媒体CP上に大ドット50aを形成する。次に、第1のタイミングから所定の時間(例えば20マイクロ秒)だけ遅れた第2のタイミングで所定のノズル(ここでは+X方向から1番目と3番目と5番目のノズル)に中ドットに対応する波形DMの電圧を印加して、大ドット50aと重なり合う位置に中ドット50bを形成する。そして、第2のタイミングから所定の時間例えば20マイクロ秒)だけ遅れた第3のタイミングで所定のノズル(ここでは+X方向から1番目と3番目と5番目のノズル)に小ドットに対応する波形DSの電圧を印加して、中ドット50bに重なる位置に小ドット50cを形成する。このようにして、異なるドットサイズ(大ドット50a、中ドット50b、小ドット50c)の重なり合ったドット50LのドットパターンDPgを形成する。
ドットパターンDPgを構成する各ドット50Lは、重ね打ちされることによってそのドットサイズが大きくなる。このため、隣り合うドットが接触しないようにノズル間を空けて吐出したり位置をずらしたりして配置する。
次に、ドットパターンDPgの−Y方向側に、第1のタイミングで+X方向から2番目と4番目と6番目のノズルに大ドットに対応する波形DLの電圧を印加して、検査媒体CP上に大ドット50aを形成する。次に、第2のタイミングで+X方向から2番目と4番目と6番目のノズルに中ドットに対応する波形DMの電圧を印加して、大ドット50aと重なり合う位置に中ドット50bを形成する。そして、第3のタイミングで+X方向から2番目と4番目と6番目のノズルに小ドットに対応する波形DSの電圧を印加して、中ドット50bに重なり合う位置に小ドット50cを形成する。このようにして、異なるドットサイズ(大ドット50a、中ドット50b、小ドット50c)の重なり合ったドット50LのドットパターンDPhを形成する。
これにより、検査媒体CPにおけるインクの着弾面積を有効に使用することができる。したがって、検査媒体CPの使用量を削減したり検査媒体CPのサイズを縮小したりすることができる。
次に、各ノズル17から吐出されて検査媒体CPに着弾したインクのドットパターンDP3を撮像する(ステップST2)。具体的には、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形(大ドットに対応する波形DL、中ドットに対応する波形DM、小ドットに対応する波形DSの3種類の波形)の電圧が印加されることにより検査媒体CPに形成されたドットパターンDP3を撮像する。この第2工程において撮像された各種データは判定部40に入力される。なお、撮像の際には、ドットパターンDP3を硬化させてもよいし、硬化させなくてもよい。すなわち、各ノズルのドット抜けの有無が確認できればよい。
次に、第2工程で撮像された、液滴吐出ヘッド9の吐出動作時に用いられるすべての波形の電圧が印加されることにより形成されたドットパターンDP3に基づき、各ノズル17においてドット抜けが発生しているか否かを判定する(ステップST3)。
このとき、ドット抜けの有無の判定は、例えばドット50Lの面積の大小で判定する。本実施形態では、インクを用いているので、顔料インクや染料インクを用いる場合に比べて溶剤が少なく、溶剤が時間経過とともに乾いてしまうことがない。つまり、検査媒体上にドットパターンが残り易い。このため、重ね打ちをする場合など、ノズル毎にドット抜けの有無を面積で判定するときに好適である。
そして、この第3工程の判定結果(ステップST4)において、ドット抜け有りの場合は、描画パターンを変更する工程(ステップST5)に移る。
一方、ドット抜け無しの場合は、記録媒体Pに向けて描画が開始される(ステップST7)。以下、上述した工程が繰り返されることによって、ノズル毎に特定の吐出波形でのドット抜けを検出することができる。
本実施形態の液滴吐出ヘッドの検査方法によれば、互いに異なる吐出量(例えば大ドットと小ドット)のインクが重なり合う位置に吐出される。このため、検査媒体におけるインクの着弾面積を有効に使用することができる。したがって、検査媒体CPの使用量を削減したり検査媒体CPのサイズを縮小したりすることができ、歩留まり向上を図ることが可能となる。
なお、本実施形態の液滴吐出ヘッドの検査方法においては、重ね打ちを行うに当たり、検査媒体CP上に大ドット50aを形成した後に中ドット50b、小ドット50cを順次形成しているが、これに限らない。例えば、大ドット50aを形成した後に小ドット50cを形成してもよいし、中ドット50bを形成した後に小ドット50cを形成してもよい。すなわち、少なくとも重なり合ったドット50Lの面積が判定できればよい。
なお、上記実施形態においては、各ノズルに対応して異なる時間毎に異なる波形の電圧が印加されることにより異なる量のインクを吐出可能な液滴吐出ヘッドを用いているが、これに限らない。例えば、各ノズルから同じタイミングで異なる量(大ドット、中ドット、小ドットに対応する量)のインクを吐出するなど、各ノズルに対応して同じ時間毎に異なる波形の電圧が印加されることにより異なる量のインクを吐出可能な液滴吐出ヘッドを用いてもよい。
なお、上記実施形態においては、記録媒体上に紫外線硬化型インクを吐出し、記録媒体に着弾した紫外線硬化型インクに対して紫外線照射を行って該紫外線硬化型インクを硬化させ、記録媒体上に画像や各種の模様等のパターンを描画するものであったが、これに限られない。例えば、熱により硬化するインクを用いてもよい。
また、液晶ディスプレイ用カラーフィルタの製造における色材を吐出する液滴吐出装置に適用してもよいし、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の製造における電極形成のための液滴吐出装置に適用してもよい。