JP2011522540A5 - - Google Patents

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非ウイルスアプローチを用いたiPS細胞の産生のための方法
発明の背景
本願は、2008年6月4日に出願された米国出願第61/058,858号および2009年3月16日に出願された米国出願第61/160,584号に対する優先権を主張する。これらの出願の開示全体は、権利放棄なしでその全体が本明細書中に参考として具体的に援用される。
1.発明の分野
本発明は、全体として、分子生物学、幹細胞、および分化細胞の分野に関する。詳細には、本発明は、体細胞および未分化細胞の分化プログラミングまたはリプログラミングに関する。
2.関連技術の説明
一般に、幹細胞は、一連の成熟機能細胞を生じさせることができる未分化細胞である。例えば、造血幹細胞は、様々な種類の最終分化血液細胞のいずれも生じさせることができる。胚性幹(ES)細胞は、胚に由来し、多能性であるため、あらゆる器官または組織型、または少なくとも潜在的に完全な胚に発達する能力を有する。
一般にiPS細胞またはiPSCと略される誘導多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cells)は、特定の遺伝子を挿入することによって、非多能性細胞、典型的には成体の体細胞から人工的に誘導されたある種の多能性幹細胞である。誘導多能性幹細胞は、特定の幹細胞遺伝子およびタンパク質の発現、クロマチンのメチル化パターン、倍加時間、胚様体形成、奇形腫形成、生存可能なキメラの形成、およびポテンシーおよび分化能などに関して多くの点で胚性幹細胞などの天然の多能性幹細胞と同一であると考えられるが、天然の多能性幹細胞に対するそれらの完全な関連性はなお評価中である。
iPS細胞は、2006年にマウスの細胞から初めて作製され(非特許文献1)、そして2007年にヒトの細胞から作製された(非特許文献2;非特許文献3)。これは、論争の的になっている胚を使用することなく、研究に重要であり、かつ潜在的に治療用途を有する多能性幹細胞を研究者が入手できるようにし得るため、幹細胞の研究における重大な進歩と言われている。
Takahashi et al., Cell, 126(4):663−676, 2006. Takahashi et al., Cell, 126(4):663−76, 2007. Yu et al., Science, 318:1917−1920, 2007.
しかし、これらの誘導多能性幹(iPS)細胞の研究におけるこの段階で、研究者は、遺伝子を標的細胞のゲノムに挿入する、挿入部位で突然変異を潜在的に誘発する組み込み型ウイルスプラスミドを使用している。したがって、外因性ウイルス成分を本質的に含まない多能性幹細胞を誘導する方法を開発する必要がある。
細胞治療および組織移植の重大な医療の可能性のために、利用可能な細胞集団の細胞の分化状態を変更することによる任意の望ましい細胞型の作製も急務である。ある生物の特殊化した各細胞型は、その種のゲノムを構成するすべての遺伝子のサブセットを発現する。各細胞型は、その特定のパターンの制御された遺伝子発現によって定義される。したがって、細胞分化は、ある細胞型から別の細胞型への移行であり、あるパターンの遺伝子発現から別のパターンの遺伝子発現への切り替えを伴う。発生中の細胞分化は、遺伝子調節ネットワークの結果として理解することができる。調節遺伝子およびそのシス調節モジュールが遺伝子調節ネットワークにおけるノードである;それらは、入力を受け取り、ネットワークのどこかで出力を生成する。例えば、上述の体細胞からの多能性の誘導、および特にある分化細胞型から別の分化細胞型への転換を指す分化転換(transdifferentiation)を含め、類似の機構も分化に適用され得る。発生の選択を制御する転写因子が、分化状態を変更するために研究されてきた;しかし、ウイルスベクターも広く使用されている。したがって、ウイルスを含まない改善された分化プログラミング法が要望されている。
発明の概要
本発明は、分化プログラミングによって、外因性ベクター要素を本質的に含まない誘導多能性幹細胞および他の望ましい細胞型の提供における当技術分野の主な欠点を解消する。第1の実施形態では、誘導多能性幹(iPS)細胞集団を産生する方法であって、(a)リプログラミングベクター得るステップであって、このベクターの要素が、複製起点、およびiPSリプログラミング因子をコードする1つまたはそれより多い発現カセットを含む、ステップと、(b)リプログラミングベクターを体細胞の集団の細胞内に導入するステップと、(c)これらの細胞を培養して細胞集団を成長させるステップと、(d)前記成長した集団の子孫細胞を選択するステップであって、前記子孫細胞が、胚性幹細胞の1つまたはそれより多い特質を有する、ステップと、(e)選択した子孫細胞を培養してiPS細胞集団を提供するステップであって、1つまたはそれより多い前記発現カセットが、複製起点に結合して染色体外の鋳型を複製するトランス作用因子をコードするヌクレオチド配列を含み、かつ/または体細胞が、このようなトランス作用因子を発現する、ステップと、を含む、方法を提供する。さらなる態様では、ステップcまたはステップeは、細胞がベクター要素を本質的に含まなくなるまでさらに培養することを含む、またはベクターを含まないiPS細胞の産生を促進するように、後述する追加の選択ステップを含む。
特定の態様では、染色体外の鋳型を複製するために、1つまたはそれより多い発現カセットは、複製起点に結合するトランス作用因子をコードするヌクレオチド配列を含む;あるいは、体細胞は、複製起点に結合するトランス作用因子をコードするヌクレオチド配列を含む。
例示的な実施形態では、複製起点は、リンパ球向性ヘルペスウイルスまたはガンマヘルペスウイルス、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス、または酵母の複製起点、例えば、EBVのoriPに対応するリンパ球向性ヘルペスウイルスまたはガンマヘルペスウイルスの複製起点であり得る。さらなる態様では、リンパ球向性ヘルペスウイルスは、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、リスザルヘルペスウイルス(HS)、またはマレク病ウイルス(MDV)であり得る。なおさらなる態様では、ガンマヘルペスウイルスは、エプスタインバーウイルス(EBV)またはカポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)であり得る。
特定の実施形態では、トランス作用因子は、好ましくは、EBVのOriPに対応する複製起点の存在下で、EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質に対応するポリペプチドまたはこの野生型タンパク質の誘導体であり得る。誘導体は、野生型EBNA−1と比較して低い、組み込まれた鋳型からの転写活性化能力を有し得、このため染色体遺伝子を異所的に活性化して発癌性形質転換を引き起こす可能性が低い。その一方で、誘導体は、複製起点に結合すると、対応する野生型タンパク質による転写活性化の少なくとも5%、染色体外の鋳型からの転写を活性化し得る。このような誘導体は、野生型EBNA−1(配列番号2によってコードされる、野生型EBNA−1タンパク質配列を指す配列番号1)の残基約65〜約89に対応する残基の欠失を有し得、かつ/またはEBNA−1(配列番号1)の残基約90〜約328に対応する残基の欠失を有る、またはEBNA−1(配列番号1)の残基1〜約40および残基約328〜641に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する誘導体であり得る。野生型EBNA−1のアミノ酸90〜328は、本発明のEBNA−1の機能に大きく寄与しないはずであるGly−Ala反復の多い領域を含み、このためこの領域は、存在する反復の数の点で可変であり得る(すなわち、この領域は、すべてまたは一部が欠失され得る)。野生型EBNA−1の例示的な誘導体は、配列番号4によってコードされる配列番号3の配列を有し得る。
特定のさらなる実施形態では、本発明は、成長した集団の子孫細胞を選択する追加のステップであって、子孫細胞がベクター要素を本質的に含まない、ステップを含む。OriPをベースとしたベクターなどの染色体外で複製されるベクターが、例えば、トランスフェクションから2週間の間に時間と共に細胞から消失し、iPS細胞が、自多能性状態に入ると、外因性リプログラミング因子を必要としないため、この任意選択の追加の選択ステップは、ベクターを含まない多能性幹細胞の産生の促進に役立ち得る。したがって、追加のステップは、例えば、リプログラミングベクターが細胞内に導入されてから少なくとも約10日から少なくとも約30日などの、子孫細胞が自多能性状態に入った時点であり得る。ベクター要素を含まないiPS細胞を産生するプロセスを促進するために、リプログラミングベクターは、負の選択マーカーをコードするヌクレオチド配列をさらに含み得、追加のステップは、選択マーカーを含む子孫細胞を選択剤で除去することによって成長した細胞集団の子孫細胞を選択する。例えば、選択マーカーは、単純ヘルペスウイルス−チミジンキナーゼをコードし得、ガンシクロビルなどの選択剤を適用して、キナーゼをコードする残存ベクターを持つ細胞を除去することができる。特定の態様では、この方法によって形成されたiPS細胞集団は、選択マーカーを本質的に含まない。別法または補足的な方法では、RT−PCR、PCR、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)、遺伝子アレイ、またはハイブリダイゼーション(例えば、サザンブロット法)などの従来の方法を用いて子孫細胞における外因性遺伝子要素の存在を検査する。
一部の実施形態では、上記の方法で形成されたiPS細胞集団は、組み込まれたリプログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含み得ない、またはベクター遺伝子要素を本質的に含み得ない。
さらなる態様では、リプログラミングベクターは、リポソームトランスフェクション、エレクトロポレーション、微粒子銃、リン酸カルシウム、ポリカチオン、またはポリアニオン、または外因性遺伝子要素を細胞内に導入するのに適した任意の方法によって細胞内に導入され得る。
本発明のなおさらなる態様では、体細胞は、哺乳動物、より具体的にはヒト由来であり得る。体細胞は、限定されるものではないが、線維芽細胞、造血細胞、または間葉細胞を含む、最終分化した細胞または組織幹細胞であり得る。例えば、体細胞は、線維芽細胞である。体細胞は、組織細胞バンク、または選択されたヒト被験者、特に生きているヒトに由来し得る。これらの体細胞の子孫由来のゲノムは、特定の供給源、例えば、選択されたヒト個人などのこれらの体細胞に由来すると見なされる。
一部のさらなる態様では、子孫細胞は、1つまたはそれより多い胚性幹細胞の特質、例えば、未分化形態、胚性幹細胞特異的マーカーまたは多能性または多系統分化能、または当技術分野で公知の任意の特質について選択され得る。特に、子孫細胞は、その便利さから、未分化形態について選択され得る。胚性幹細胞特異的マーカーは、SSEA−3、SSEA−4、Tra−1−60またはTra−1−81、Tra−2−49/6E、GDF3、REX1、FGF4、ESG1、DPPA2、DPPA4、およびhTERTからなる群から選択される1つまたはそれより多い特異的マーカーであり得る。この選択ステップは、細胞が多能性状態にあり、かつ分化した状態に戻らないように、トランスフェクション後に2つ以上の時点で利用され得る。
さらに、本発明の特定の態様では、正の選択マーカーは、当技術分野で公知であり、自多能性状態の確立に十分な期間におけるトランスフェクションの効率またはトランスフェクト細胞の濃縮を改善するために本発明の方法および組成物に使用され得る。例えば、一部の態様では、リプログラミングベクターは、抗生物質耐性因子(例えば、ネオマイシンまたはハイグロマイシン耐性マーカー)、または蛍光もしくは発光タンパク質(例えば、GFP、RFP、CFPなど)をコードするヌクレオチド配列などの正の選択マーカーをさらに含み得る。体細胞にリプログラミングベクターが導入されると、正の選択マーカーの使用が、リプログラミングベクターを有する細胞の濃縮に役立ち得る。しかし、このステップは、任意選択であり、トランスフェクションの効率およびベクターの消失率に左右される。トランスフェクションの効率が高く(例えば、90%を超える)、ベクターの消失が、自多能性状態を確立するのが細胞にとって十分に遅い場合は、この正の選択は必要ないであろう。
本発明のなおさらなる実施形態では、iPSリプログラミング因子は、Soxファミリーの少なくとも1つのメンバーおよびOctファミリーの少なくとも1つのメンバー、特にSox−2およびOct−4を含み得る。SoxおよびOctは、ES細胞同一性を特定する転写調節の階層に重要であると思われる。追加の因子、例えば、Sox−2、Oct−4、Nanog、および任意選択のLin−28を含むセット;またはSox−2、Oct−4、Klf、および任意選択のc−Mycを含むセットなども、リプログラミング効率を上昇させ得る。
上記の方法の一部のさらなる態様では、ステップdは、自多能性状態を確立するのに必要な期間のために、ステップbから少なくとも8日から少なくとも30日後、またはこれらの日数の任意の中間の日数の範囲であり得る。
当業者であれば、発現カセットが、プロモーターまたはエンハンサーなどの転写調節要素に機能的に連結され得ることを理解できよう。
さらなる態様では、複製起点、および複製起点に結合して染色体外の鋳型を複製するトランス作用因子をコードする1つまたはそれより多い発現カセットを含むリプログラミングベクター;およびiPSリプログラミング因子も開示される。iPSリプログラミング因子は、SoxおよびOct、より具体的にはSox−2およびOct−4、例えば、Sox−2、Oct−4、Nanog、および任意選択のLin−28を含むセット;またはSox−2、Oct−4、Klf、および任意選択のc−Mycを含むセットを含み得る。
リプログラミングベクターの特定の態様では、リプログラミングベクターは、染色体外で複製し、かつ/または宿主細胞ゲノム内に組み込まれる能力を有していない。例示的な実施形態では、複製起点は、リンパ球向性ヘルペスウイルスまたはガンマヘルペスウイルス、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス、または酵母の複製起点、例えば、EBVのoriPに対応するリンパ球向性ヘルペスウイルスまたはガンマヘルペスウイルスの複製起点であり得る。さらなる態様では、リンパ球向性ヘルペスウイルスは、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、リスザルヘルペスウイルス(HS)、またはマレク病ウイルス(MDV)であり得る。エプスタインバーウイルス(EBV)およびカポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)は、ガンマヘルペスウイルスの例でもある。
リプログラミングベクターの特定の実施形態では、トランス作用因子は、EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質に対応するポリペプチドまたはこのタンパク質の誘導体であり得る。誘導体は、複製起点に結合すると、対応する野生型タンパク質による転写活性化の少なくとも5%、染色体外の鋳型からの転写を活性化し得、かつ/または野生型EBNA−1と比較して低い、組み込まれた鋳型からの転写活性化能力を有し、このため染色体遺伝子を異所的に活性化して発癌性形質転換を引き起こす可能性が低い。
誘導体の例には、組み込まれた鋳型からの転写を活性化する野生型EBNA−1タンパク質に存在する配列を有していない誘導体、核局在化配列を有する誘導体、EBNA−1(配列番号1)の残基約65〜約89に対応する残基の欠失を有し、かつ/またはEBNA−1(配列番号1)の残基約90〜約328に対応する残基の欠失を有する誘導体、EBNA−1(配列番号1)の残基1〜約40および残基約328〜641に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する誘導体、または対応する野生型EBNA−1の残基1〜約40をコードする第1のヌクレオチド配列および対応する野生型EBNA−1の残基約328〜641をコードする第2のヌクレオチド配列を含む誘導体が含まれ得る。
さらなる態様では、前述の方法に従って形成されたiPS細胞集団も請求される。なおさらなる態様では、外因性レトロウイルス要素を本質的に含まないiPS細胞集団、または外因性ウイルス要素もしくは任意の外因性核酸要素、例えば、ベクター遺伝子要素を本質的に含まないiPS細胞集団も開示され得る;より具体的には、細胞集団は、選択されたヒト個人のゲノムを含み得る。さらなる態様では、iPS細胞集団は、ゲノムが一次皮膚細胞(例えば、線維芽細胞)などの最終分化したヒト細胞に由来し、かつ外因性レトロウイルス要素または任意の外因性核酸もしくはベクター遺伝子要素を本質的に含まない細胞を含み得る。外因性DNA要素を「本質的に含まない」は、iPS細胞集団の1%、0.5%、0.1%、0.05%未満、または任意の中間のパーセンテージが外因性DNA要素を含むことを意味する。
なおさらなる態様では、上記のiPS細胞集団から分化した分化細胞、組織、または器官が開示され得る。分化細胞には、造血細胞、筋細胞、ニューロン、線維芽細胞、または表皮細胞が含まれ得る;組織には、神経、骨、消化管、上皮、筋肉、軟骨、または心組織が含まれ得る;器官には、脳、脊髄、心臓、肝臓、腎臓、胃、腸、または臓が含まれ得る。特定の態様では、分化細胞、組織、または器官は、胚性幹細胞に取って代わるべく組織移植、薬物スクリーニング、または開発的研究に使用され得る。
ウイルスを含まない方法は、細胞の分化状態のあらゆる変更を誘導するために用いられ得る。特定の態様では、出発細胞集団と比較して変更された分化状態を有し、かつプログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含まない細胞を有する細胞集団を提供する方法であって、(a)第1の分化状態を有する細胞の出発集団を得るステップと、(b)1つまたはそれより多い分化プログラミングベクターを得るステップであって、各ベクターが、複製起点、および組み合わせられると出発細胞集団の分化状態を第2の分化状態に変更することができる1つまたはそれより多い分化プログラミング因子をコードする1つまたはそれより多い発現カセットを含み、1つまたはそれより多い前記発現カセットが、複製起点に結合して染色体外の鋳型を複製するトランス作用因子をコードするヌクレオチド配列を含み、かつ/または出発集団の細胞が、このようなトランス作用因子を発現する、ステップと、(c)分化プログラミングベクター(複数可)を出発集団の細胞内に導入するステップと、(d)細胞を培養して、第2の分化状態に対応する形質が、培養細胞の少なくとも一部の細胞で生じるように1つまたはそれより多いリプログラミング因子を発現させるステップと、(e)この形質を有する細胞を十分な世代数に渡ってさらに培養して、第2の分化状態を有するが、プログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含まない細胞を含む細胞集団を提供するステップと、を含む、方法も提供される。
特定の態様では、染色体外の鋳型を複製するために、少なくとも分化プログラミングベクターの1つまたはそれより多い発現カセットが、複製起点に結合するトランス作用因子をコードするヌクレオチド配列を含む;あるいは、出発細胞が、複製起点に結合するトランス作用因子をコードするヌクレオチド配列を含み得る。
本発明には、分化状態を変更する3つの方法:脱分化(リプログラミングとしてさらに定義され得る)、分化、または分化転換が存在し得る。
本発明の特定の態様では、脱分化の例は、体細胞、例えば、線維芽細胞、ケラチノサイト、造血細胞(例えば、リンパ球)、間葉細胞、肝細胞、胃細胞、またはβ細胞などからの多能性の誘導である。第2の分化状態の細胞の形質は、胚性幹細胞の1つまたはそれより多い特質としてさらに定義され得る。分化プログラミング法で多能性を誘導するために、プログラミング因子は、SoxおよびOct、より具体的には、Nanog、Lin−28、Klf、c−Myc、およびEsrrbなどの1つまたはそれより多い追加の因子と任意選択で組み合わせられるSox−2およびOct−4を含むリプログラミング因子としてさらに定義され得る。また、出発細胞は、それほど分化していない細胞、例えば、造血幹細胞、神経幹細胞、または間葉幹細胞、または特定のプログラミング因子を内在性に発現し得る対応する子孫細胞であり得、必要な因子が少ない多能性細胞に容易にリプログラミングされ得る。例えば、神経子孫細胞は、外因性Sox−2の発現の非存在下で多能性細胞にリプログラミングされ得る。また、この方法は、上記のステップに基づいて、プログラミングされた目的の細胞集団をより多能性の状態に分化するステップも含み得る。
別の態様では、多能性または複能性細胞のより明確な細胞運命を誘導するなどの分化方法:例えば、胚性幹細胞または誘導多能性幹細胞のより分化した細胞、例えば、造血前駆細胞、内胚葉前駆細胞、膵臓前駆細胞、内皮前駆細胞、または網膜前駆細胞、またはなおさらに最終分化した細胞、例えば、心筋細胞、血球、ニューロン、肝細胞、膵島β細胞、または網膜細胞への分化;または造血前駆細胞、内胚葉前駆細胞、膵臓前駆細胞、または内皮前駆細胞はもちろん、造血幹細胞、神経幹細胞、または間葉幹細胞のような複能性細胞の分化も含まれる。特定の例では、多能性細胞が、プログラミング因子としてSOX7またはSOX17などのSOXを用いる方法で内胚葉前駆細胞に分化され得る。別の例では、造血前駆細胞が、分化プログラミング因子としてEBF1を用いる方法でBリンパ球に分化され得る。
さらなる態様では、本発明の方法は、ある分化細胞型の別の分化細胞型への分化転換にも使用され得る。出発細胞および変更された細胞の両方が、最終的または特に分化され得る。例えば、Bリンパ球が、C/EBP(より具体的には、C/EBPαおよびC/EBPβ)などのプログラミング因子でマクロファージにプログラミングされ得る。または、外分泌細胞が、C/EBPβなどの因子で肝細胞に、またはNgn3(Neurog3としても知られている)、Pdx1、およびMafaを含む因子で膵島β細胞にプログラミングされ得る。
さらに、本発明の特定の態様では、この方法は、例えば、分化プログラミングベクターに含まれる選択マーカーを本質的に含まない細胞を培養細胞から選択することによって、または当技術分野で公知の方法によってベクター遺伝子要素の存在を直接検査することによって、分化プログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含まない細胞を培養細胞から選択する追加のステップも含み得る。例えば、プログラミングベクターは、抗生物質耐性因子(例えば、ネオマイシンまたはハイグロマイシン耐性マーカー)、蛍光もしくは発光タンパク質(例えば、GFP、RFP、CFPなど)、または酵素(例えば、チミジンキナーゼ)をコードするヌクレオチド配列などの選択マーカーを含み得る。ベクター遺伝子要素の消失のための選択は、第2の分化状態が確立された時点または後であり得る。
さらなる態様では、分化プログラミングベクターは、リポソームトランスフェクション、エレクトロポレーション、微粒子銃、リン酸カルシウム、ポリカチオン、またはポリアニオン、または外因性遺伝子要素を細胞内に導入するのに適した任意の方法によって出発細胞内に導入され得る。出発細胞は、哺乳動物細胞、より具体的にはヒト細胞であり得る。さらなる態様では、前述の方法に従って作製される、ベクター遺伝子要素を本質的に含まない第2の分化状態の細胞も提供される。
なおさらなる態様では、複製起点、および複製起点に結合して染色体外の鋳型を複製するトランス作用因子をコードする1つまたはそれより多い発現カセット;および1つまたはそれより多い分化プログラミング因子を含む分化プログラミングベクターも提供される。分化プログラミング因子は、Sox(例えば、Sox−2、Sox−7、Sox−17)、Oct(例えば、Oct−4)、Nanog、Lin−28、Klf、c−Myc、Esrrb、EBF1、C/EBP(例えば、C/EBPα、C/EBPβ)、Ngn3、Pdx、およびMafaからなる群から選択され得る。分化プログラミングベクターの骨格の特定の例は、エピソーム発現ベクター、例えば、InvitrogenからのpCEP4、pREP4、またはpEBNA DESTであり得る。特定の態様では、分化プログラミングベクターは、リプログラミングベクターとしてさらに定義され得る。リプログラミングベクターは、SoxファミリーメンバーおよびOctファミリーメンバー、例えば、Sox−2およびOct−4を含み得、1つまたはそれより多い因子、例えば、Nanog、Lin−28、Klf4、c−Myc、またはEssrbをさらに含み得る。
分化プログラミングベクターの特定の態様では、複製領域は、リンパ球向性ヘルペスウイルスまたはガンマヘルペスウイルス、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス、または酵母の複製起点、特に、EBVのoriPに対応するリンパ球向性ヘルペスウイルスまたはガンマヘルペスウイルスの複製起点であり得る。特定の態様では、リンパ球向性ヘルペスウイルスは、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、リスザルヘルペスウイルス(HS)、またはマレク病ウイルス(MDV)であり得る。エプスタインバーウイルス(EBV)およびカポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)は、ガンマヘルペスウイルスの例でもある。
分化プログラミングベクターのさらなる実施形態では、トランス作用因子は、EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質に対応するポリペプチドまたはこのタンパク質の誘導体であり得る。誘導体は、複製起点に結合すると、対応する野生型タンパク質による転写活性化の少なくとも5%、染色体外の鋳型からの転写を活性化し得、かつ/または野生型EBNA−1と比較して低い、組み込まれた鋳型からの転写活性化能力を有し、このため染色体遺伝子を異所的に活性化して発癌性形質転換を引き起こす可能性が低い。誘導体の例には、組み込まれた鋳型からの転写を活性化する野生型EBNA−1タンパク質に存在する配列を有していない誘導体、核局在化配列を有する誘導体、EBNA−1の残基約65〜約89に対応する残基の欠失を有し、かつ/またはEBNA−1の残基約90〜約328に対応する残基の欠失を有する誘導体、EBNA−1の残基1〜約40および残基約328〜641に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する誘導体、または対応する野生型EBNA−1の残基1〜約40をコードする第1のヌクレオチド配列および対応する野生型EBNA−1の残基約328〜641をコードする第2のヌクレオチド配列を含む誘導体が含まれ得る。
本発明の好ましい実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
外因性レトロウイルス要素を本質的に含まない、選択されたヒト個人のゲノムを含むiPS細胞集団。
(項目2)
ゲノムが最終分化したヒト細胞に由来し、かつ外因性レトロウイルス要素を本質的に含まない細胞を含むiPS細胞集団。
(項目3)
前記iPS細胞集団が、外因性ウイルスベクター要素を本質的に含まない、項目1または2に記載のiPS細胞集団。
(項目4)
出発細胞集団と比較して変更された分化状態を有し、かつプログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含まない細胞を有する細胞集団を提供する方法であって、
(a)第1の分化状態を有する細胞の出発集団を得るステップと、
(b)1つまたはそれより多い分化プログラミングベクターを得るステップであって、各ベクターが、複製起点、および組み合わせられると該出発細胞集団の分化状態を第2の分化状態に変更することができる1つまたはそれより多い分化プログラミング因子をコードする1つまたはそれより多い発現カセットを含み、該発現カセットのうちの1つまたはそれより多くが、該複製起点に結合して染色体外の鋳型を複製するトランス作用因子をコードするヌクレオチド配列を含み、かつ/または該出発集団の細胞が、このようなトランス作用因子を発現する、ステップと、
(c)該分化プログラミングベクターを該出発集団の細胞内に導入するステップと、
(d)該細胞を培養して、該第2の分化状態に対応する形質が、該培養された細胞の少なくとも一部の細胞で生じるように1つまたはそれより多いリプログラミング因子を発現させるステップと、
(e)該形質を有する細胞を十分な世代数に渡ってさらに培養して、該第2の分化状態を有するが、プログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含まない細胞を含む目的の細胞集団を提供するステップと、を含む、方法。
(項目5)
前記分化状態を変更することがリプログラミングである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記分化状態を変更することが分化である、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記分化状態を変更することが分化転換である、項目4に記載の方法。
(項目8)
前記出発細胞が体細胞であり、前記形質が、胚性幹細胞の1つまたはそれより多い特質と定義される、項目5に記載の方法。
(項目9)
前記出発細胞が、線維芽細胞、ケラチノサイト、造血細胞、間葉細胞、肝細胞、胃細胞、またはβ細胞である、項目5に記載の方法。
(項目10)
前記分化プログラミング因子が、Sox−2およびOct−4を含むリプログラミング因子とさらに定義される、項目5に記載の方法。
(項目11)
前記リプログラミング因子は、Nanog、Lin28、Klf4、またはc−Mycをさらに含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記出発細胞が、胚性幹細胞、誘導多能性幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、間葉幹細胞、造血前駆細胞、内胚葉前駆細胞、膵臓前駆細胞、または内皮前駆細胞である、項目6に記載の方法。
(項目13)
前記第1の分化状態および前記第2の分化状態が最終分化である、項目7に記載の方法。
(項目14)
前記複製起点が、リンパ球向性ヘルペスウイルス、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス、または酵母の複製起点である、項目4に記載の方法。
(項目15)
前記複製起点が、リンパ球向性ヘルペスウイルスの複製起点であり、EBVのoriPに対応する、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記リンパ球向性ヘルペスウイルスが、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、リスザルヘルペスウイルス(HS)、またはマレク病ウイルス(MDV)である、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記トランス作用因子がEBVのEBNA−1に対応する、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記トランス作用因子が、EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、野生型EBNA−1と比較して低い、組み込まれた鋳型からの転写活性化能力を有する、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記トランス作用因子が、EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、前記複製起点に結合すると、該対応する野生型タンパク質による転写活性化の少なくとも5%のレベルで染色体外の鋳型からの転写を活性化する、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記トランス作用因子が、EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、EBNA−1の残基約65〜約89に対応する残基の欠失および/またはEBNA−1の残基約90〜約328に対応する残基の欠失を有する、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記誘導体が、EBNA−1の残基1〜約40および残基約328〜641に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質をコードする、項目18に記載の方法。
(項目22)
前記ステップ(d)または(e)において前記培養細胞の細胞を選択する追加のステップをさらに含み、該細胞は、分化プログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含まない、項目4に記載の方法。
(項目23)
前記ステップ(d)または(e)において前記培養細胞の細胞を選択する追加のステップをさらに含み、該細胞は、前記分化プログラミングベクターに含まれる選択マーカーを本質的に含まない、項目4に記載の方法。
(項目24)
前記選択マーカーが、単純ヘルペスウイルス−チミジンキナーゼ、抗生物質耐性因子、または蛍光タンパク質である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記目的の細胞集団を分化させるステップをさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目26)
分化プログラミングベクターであって、複製起点、および該複製起点に結合して該ベクターを染色体外で複製するトランス作用因子をコードする1つまたはそれより多い発現カセット;および1つまたはそれより多い分化プログラミング因子を含む分化プログラミングベクター。
(項目27)
前記分化プログラミング因子が、Sox−2、Sox−7、Sox−17、Oct−4、Nanog、Lin−28、c−Myc、Klf4、Esrrb、EBF1、C/EBPα、C/EBPβ、Ngn3、Pdx、およびMafaからなる群から選択される、項目26に記載の分化プログラミングベクター。
(項目28)
SoxファミリーメンバーおよびOctファミリーメンバーを含むリプログラミングベクターとしてさらに定義される、項目26に記載の分化プログラミングベクター。
(項目29)
前記分化プログラミング因子が、Nanog、Lin−28、Klf4、およびc−Mycからなる群から選択される1つまたは複数をさらに含む、項目28に記載の分化プログラミングベクター。
(項目30)
前記分化プログラミングベクターが、宿主細胞ゲノム内に組み込まれる能力を有していない、項目26に記載の分化プログラミングベクター。
(項目31)
前記複製起点が、リンパ球向性ヘルペスウイルス、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス、または酵母の複製起点である、項目26に記載の分化プログラミングベクター。
(項目32)
前記複製起点が、リンパ球向性ヘルペスウイルスの複製起点であり、EBVのoriPに対応する、項目31に記載の分化プログラミングベクター。
(項目33)
前記リンパ球向性ヘルペスウイルスが、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、リスザルヘルペスウイルス(HS)、またはマレク病ウイルス(MDV)である、項目32に記載の分化プログラミングベクター。
(項目34)
前記トランス作用因子がEBVのEBNA−1に対応する、項目26に記載の分化プログラミングベクター。
(項目35)
前記トランス作用因子が、EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、前記複製起点に結合すると、前記対応する野生型タンパク質による転写活性化の少なくとも5%で染色体外の鋳型からの転写を活性化し、かつ野生型EBNA−1と比較して低い、組み込まれた鋳型からの転写活性化能力を有する、項目26に記載の分化プログラミングベクター。
(項目36)
前記誘導体が、組み込まれた鋳型からの転写を活性化する、前記野生型EBNA−1タンパク質に存在する配列を有していない、項目35に記載の分化プログラミングベクター。
(項目37)
前記誘導体が、EBNA−1の残基約65〜約89に対応する残基の欠失および/またはEBNA−1の残基約90〜約328に対応する残基の欠失を有する、項目35に記載の分化プログラミングベクター。
(項目38)
前記誘導体が、EBNA−1の残基1〜約40および残基約328〜641に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有する誘導体をコードする、項目35に記載の分化プログラミングベクター。
(項目39)
前記誘導体が、前記対応する野生型EBNA−1の残基1〜約40をコードする第1のヌクレオチド配列、および前記対応する野生型EBNA−1の残基約328〜641をコードする第2のヌクレオチド配列を含む、項目35に記載の分化プログラミングベクター。
本発明の方法および/または組成物の文脈で述べた実施形態は、本明細書に開示される任意の他の方法または組成物に関して利用され得る。したがって、ある方法または組成物に関する実施形態は、本発明の他の方法および組成物にも適用され得る。
本明細書で使用される、核酸に関する用語「コードする」または「コードしている」は、当業者が本発明を容易に理解できるように使用されるが、これらの用語はそれぞれ、「含む」または「含んでいる」と同義的に使用され得る。
本明細書で使用される「ある(a)」または「ある(an)」は、1つまたはそれより多くを意味し得る。語「含む」と共に請求項(複数可)で使用される場合、語「ある(a)」または「ある(an)」は、1つまたは1つより多くを意味し得る。
請求項における用語「または(or)」の使用は、代替のみまたは代替が互いに排他的であると明確に述べられていない限り、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、代替のみおよび「および/または」を指す定義も支持する。本明細書で使用される「別の」は、少なくとも2番目以降を意味し得る。
出願の全体を通じて、用語「約」は、ある値が、その値を決定するために用いられるデバイスまたは方法に関する誤差の固有のばらつき、または被試験物に存在するばらつきを含むことを示すために使用される。
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、詳細な説明および具体的な例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、この詳細な説明から本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および改良が当業者に明らかになるため、単なる例示として与えられることを理解されたい。
本明細書の一部をなす以下の図面は、本発明の特定の態様をさらに実証するために含められている。本発明は、本明細書に示される特定の実施形態の詳細な説明と共にこれらの図面の1つまたは複数を参照することによってよりよく理解できるであろう。
図1A〜C:EBVゲノムおよびプラスミド複製の潜在的な起点(oriP)。 図2:EBNA1の、ドメインをベースとしたモデルおよび部分的な構造の提示。 図3:本発明に使用されるレシピエント骨格プラスミドの例示的な例。 図4:レシピエント骨格プラスミド内に組み込まれたカセットの例。発現のために使用され得るプロモーターの例としては、PGK、CMV、SV40、およびEF1aが挙げられるがこれらに限定されない。 図5:Sox−2、Oct−4、Nanog、およびLin28(任意選択)をコードするリプログラミングプラスミドの例示的な例。
例示的な実施形態の説明
I.本発明
本発明は、ウイルスベクターや外因性要素を本質的に含まない誘導多能性幹細胞の作製などの、細胞の様々な発生段階の現行のリプログラミング技術または分化プログラミングでいくつかの重要な問題を解決する。組み込み型ウイルスベクターを使用する従来の方法とは対照的に、これらの方法は、例えば、EBV要素をベースとしたプラスミドなどの染色体外リプログラミングまたは分化プログラミングベクターを使用して、リプログラミングまたは分化プログラミング因子を体細胞または幹細胞に形質導入し、これらの細胞を培養し、1つまたはそれより多い胚性幹細胞の特質について子孫細胞を選択する、または望ましい変更された分化状態に対応する形質について細胞を選択する。EBV要素をベースとしたベクターのような染色体外複製ベクターは、宿主細胞ゲノム内に組み込まれず、多能性または望ましい細胞状態に細胞を誘導するのに十分な期間が経過すると消失する。これらの方法の固有の特徴は、外因性遺伝子要素を本質的に含まない子孫細胞を作製し、負の選択がプロセスを促進し得る。これらの方法は、分化状態を変更することによってベクター要素を本質的に含まないiPS細胞または任意の望ましい細胞型を単離することを可能にする。したがって、新規な組成物および方法は、細胞におけるウイルス要素のランダムな挿入または持続的な発現によって引き起こされる変誘発のリスクのない、治療用のベクターを含まないiPS細胞または他の望ましい細胞型の生産を可能にする。本発明のさらなる実施形態および利点は後述する。
II.定義
「リプログラミング」は、リプログラミングなしの同じ条件下でよりも、培養下またはin vivoで少なくとも1つの新規な細胞型の子孫を形成する、計測可能に増大した能力を細胞に与えるプロセスである。より具体的には、リプログラミングは、体細胞に多能性潜在能力を与えるプロセスである。これは、新規な細胞型の表現型の特質を有する子孫がリプログラミングの前に本質的に形成できなくても、十分な増殖後には、このような子孫が計測可能な割合で形成されることを意味し別の方法では、新規な細胞型の特質を有する子孫の割合が、リプログラミングの前よりも計測可能に多いことを意味する。特定の条件下で、新規な細胞型の特質を持つ子孫の割合は、優先度が増加する順に、少なくとも約1%、5%、25%、またはそれ以上であり得る。
「分化プログラミング」は、分化リプログラミングなしの同じ条件下でよりも、培養下またはin vivoで、新規な分化状態を持つ少なくとも1つの新規な細胞型の子孫を形成するように細胞を変更するプロセスである。このプロセスは、分化、脱分化、および分化転換を含む。「分化」は、それほど特殊化していない細胞がより特殊化した細胞になるプロセスである。「脱分化」は、多能性または複能性などの、部分的または最終的に分化した細胞が前の発生段階に戻る細胞プロセスである。「分化転換」は、ある分化細胞型を別の分化細胞型に転換するプロセスである。
「複製の起点」(「ori」)または「複製起点」は、細胞内のプラスミド中に存在すると、プラスミド内で連結された配列を維持することができる、例えば、リンパ球向性ヘルペスウイルスにおけるDNA配列、および/またはDNA合成が始まる部位または近傍である。EBVのoriは、FR配列(30塩基対の反復の20の不完全なコピー)および好ましくはDS配列を含むが、EBNA−1を結合するEBVの他の部位、例えば、Rep配列は、複製の起点としてDSの代わりになり得る(KirshmaierおよびSugden、1998)。したがって、EBVの複製起点は、FR、DS、またはRep配列、または核酸の修飾もしくは合成の組合せが由来するあらゆる機能的な等価配列を含む。例えば、本発明は、Lindnerら、2008に詳細に記載されているように、個々の要素の挿入または突然変異などによって遺伝子組み換えされたEBVの複製起点も使用し得る。
「リンパ球向性ヘルペスウイルスは、リンパ芽球(例えば、ヒトBリンパ芽球)または他の細胞型内で複製し、かつその天然のライフサイクルの少なくとも一部に渡って染色体外で複製するヘルペスウイルスである。宿主に感染すると、これらのウイルスは、プラスミドとしてウイルスゲノムを維持することによって宿主に潜在的に感染する。単純ヘルペスウイルス(HSV)は、「リンパ球向性」ヘルペスウイルスではない。例示的なリンパ球向性ヘルペスウイルスには、限定されるものではないが、EBV、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、リスザルヘルペスウイルス(HS)、およびマレク病ウイルス(MDV)が含まれる。
「ベクター」または「構築物」(時には、遺伝子送達または遺伝子移入「ビヒクル」と呼ばれる)は、in vitroまたはin vivoのいずれかで宿主細胞に送達されるポリヌクレオチドを含む分子または分子の複合体を指す。
一般的な種類のベクターである「プラスミド」は、染色体DNAを独立して複製することができる染色体DNAとは別個の染色体外DNA分子である。ある場合には、プラスミドは、環状および二本鎖である。
本明細書で使用される「鋳型」は、リンパ球向性ヘルペスウイルスの野生型タンパク質によって特異的に結合されるDNA分子であり、野生型タンパク質はEBNA−1に対応し、この結合は、野生型タンパク質によるEBVのoriPに対応するDNA配列の結合の少なくとも10%の親和性で野生型タンパク質によって結合されるDNA配列が鋳型に存在する結果であり、タンパク質が結合し、かつ/または細胞におけるその鋳型の維持が促進されてから、転写が、この鋳型から任意選択で開始され、かつ/または促進される。「組み込まれた鋳型」は、例えば、細胞の染色体内に組み込まれて、細胞のゲノムに安定的に維持されているものである。「染色体外の鋳型」は、細胞内に安定的に維持されているが、染色体内に組み込まれていないものである。
「発現構築物」または「発現カセット」は、転写を導くことができる核酸分子を意味する。発現構築物は、少なくともプロモーターまたはプロモーターに機能的に等価な構造を含む。エンハンサーおよび/または転写終結シグナルなどの追加の要素も含まれ得る。
用語「外因性」は、細胞または生物におけるタンパク質、遺伝子、核酸、またはポリヌクレオチドに関連して使用される場合、人工または天然の手段によって細胞または生物内に導入されたタンパク質、遺伝子、核酸、またはポリヌクレオチドを指し、または細胞に関しては、単離されてから、人工または天然の手段によって他の細胞または生物に導入された細胞を指す。外因性核酸は、異なる生物または細胞に由来し得、または生物または細胞内で自然に発生する核酸の1つまたはそれより多い追加のコピーであり得る。外因性細胞は、異なる生物に由来する、または同じ生物に由来し得る。限定目的ではない例として、外因性核酸は、天然の細胞の位置とは異なる位置の染色体にある、または天然で見られるものとは異なる核酸配列によって他の方法で配置されている。
本明細書で使用される用語「対応する」は、ポリヌクレオチド配列が参照ポリヌクレオチド配列のすべてまたは一部と相同(すなわち、厳密に進化的に関連していないが、同一である)であること、またはポリペプチド配列が参照ポリペプチド配列と同一であることを意味する。対照的に、本明細書で使用される用語「相補的」は、相補的な配列が、参照ポリヌクレオチド配列のすべてまたは一部と相同であることを意味する。例示として、ヌクレオチド配列「TATAC」は、参照配列「TATAC」に対応し、参照配列「GTATA」に相補的である。
特定のタンパク質を「コード」する「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、「コード領域」、「配列」、「セグメント」、「断片」、または「導入遺伝子」は、適切な調節配列の制御下に置かれると、in vitroまたはin vivoで転写され、遺伝子産物、例えば、ポリペプチドに任意選択で翻訳もされる核酸分子である。コード領域は、cDNA型、ゲノムDNA型、またはRNA型のいずれかで存在し得る。DNA型で存在する場合、核酸分子は、一本鎖(すなわち、センス鎖)または二本鎖であり得る。コード領域の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定されている。遺伝子には、限定されるものではないが、原核または真核mRNA由来のcDNA、原核または真核DNA由来のゲノムDNA配列、および合成DNA配列が含まれ得る。転写停止配列は、通常は、遺伝子配列の3’に位置する。
用語「制御要素」は、レシピエント細胞におけるコード配列の複製、転写、転写後プロセシング、および翻訳をまとめて行う、プロモーター領域、ポリアデニル化シグナル、転写停止配列、上流調節ドメイン、複製の起点、内部リボソーム侵入部位(「IRES」)、エンハンサー、およびスプライス部位などをまとめて指す。選択されたコー配列が、適切な宿主細胞で複製、転写、および翻訳され得るのであれば、すべてのこれらの制御要素が、常に存在する必要はない。
本明細書で通常の意味で使用される用語「プロモーター」は、DNA調節配列を含むヌクレオチド領域を指し、この調節配列は、RNAポリメラーゼに結合して下流(3’方向)のコード配列の転写を開始することができる遺伝子に由来する。
「エンハンサー」は、プロモーターの近傍に位置すると、エンハンサードメインの非存在下でのプロモーターによる転写活性と比較して高い転写活性を与える核酸配列を意味する。
核酸分子に対して「機能的に連結された」は、2つ以上の核酸分子(例えば、転写される核酸分子、プロモーター、およびエンハンサー要素)が、核酸分子の転写を可能にするように連結されていることを意味する。ペプチドおよび/またはポリペプチド分子に対して「機能的に連結された」は、2つ以上のペプチドおよび/またはポリペプチド分子が、融合ポリペプチドの各ペプチドおよび/またはポリペプチド成分の少なくとも1つの特性を有する1本のポリペプチド鎖、すなわち融合ポリペプチドが得られるように連結されていることを意味する。融合ポリペプチドは、好ましくはキメラ、すなわち異種分子から成る。
「相同性」は、2つのポリヌクレオチド間または2つのポリペプチド間の同一性のパーセントを指す。ある配列と別の配列との間の対応は、当技術分野で公知の技術によって決定することができる。例えば、相同性は、配列情報を整列させて入手が容易なコンピュータプログラムを用いて2つのポリペプチド分子間の配列情報の直接的な比較によって決定することができる。あるいは、相同性は、相同領域間で安定な二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、続く一本鎖特異的ヌクレアーゼ(複数可)を用いた消化、および消化された断片のサイズの決定によって決定することができる。2つのDNA配列または2つのポリペプチド配列が、ヌクレオチドまたはアミノ酸それぞれの少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは少なくとも約95%が、上述の方法で決定されるように、規定長さの分子に対して一致する場合に、互いに「実質的に相同」である。
用語「細胞」は、当技術分野におけるその最も広い意味で本明細書で使用され、多細胞生物の組織の構造単位であり、外部から隔離する膜構造によって取り囲まれ、自己複製することでき、かつ遺伝情報および遺伝情報を発現させるための機構を有する生体を指す。本明細書で使用される細胞は、天然の細胞または人工的に改変された細胞(例えば、融合細胞、遺伝子改変細胞など)であり得る。
本明細書で使用される用語「幹細胞」は、自己複製することができる多能性の細胞を指す。典型的には、幹細胞は、傷害を受けた組織を再生することができる。本明細書の幹細胞は、限定されるものではないが、胚性幹(ES)細胞または組織幹細胞(組織特異的幹細胞または体性幹細胞とも呼ばれる)であり得る。上記の能力を有することができるあらゆる人工的に作製された細胞(例えば、融合細胞、リプログラミングされた細胞、または本明細書で使用される同等物など)が幹細胞であり得る。
「胚性幹(ES)細胞」は、初期胚に由来する多能性幹細胞である。ES細胞は、1981年に初めて樹立され、1989年からノックアウトマウスの作製にも利用されている。1998年に、ヒトES細胞が樹立され、現在は、再生医療に利用可能になってきている。
ES細胞とは異なり、組織幹細胞は、分化能が制限されている。組織幹細胞は、組織の特定の位置に存在し、未分化細胞内構造を有する。したがって、組織幹細胞の多能性は、典型的には低い。組織幹細胞は、核/細胞質比が高く、細胞内小器官を殆ど有していない。大抵の組織幹細胞は、低い多能性、長い細胞周期、および個体の寿命を超えた増殖能を有する。組織幹細胞は、皮膚系、消化系、骨髄系、および神経系などの細胞が由来する部位に基づいて分類される。皮膚系の組織幹細胞には、表皮幹細胞および毛包幹細胞などが含まれる。消化系の組織幹細胞には、膵(共通)幹細胞および肝幹細胞などが含まれる。骨髄系の組織幹細胞には、造血幹細胞および間葉幹細胞などが含まれる。神経系の組織幹細胞には、神経幹細胞および網膜幹細胞などが含まれる。
一般にiPS細胞またはiPSCと略される「誘導多能性幹細胞」は、非多能性細胞、典型的には成体の体細胞または最終分化した細胞、例えば、線維芽細胞、造血細胞、筋細胞、神経細胞、または表皮細胞などから、リプログラミング因子と呼ばれる特定の遺伝子の挿入によって人工的に作製されるある種の多能性幹細胞を指す。
「多能性」は、1つまたはそれより多い組織または器官、または好ましくは3つの胚葉:内胚葉(内側胃内壁、胃腸管、肺)、中肺葉(筋肉、骨、血液、泌尿器)、または外肺葉(表皮組織および神経系)のいずれかを構成するすべての細胞に分化する潜在能力を有する幹細胞を指す。本明細書で使用される「多能性幹細胞」は、3つの胚葉のいずれかに由来する細胞、例えば、全能細胞または誘導多能性細胞の直系の子孫に分化できる細胞を指す。
本明細書で使用される「全能性幹細胞」は、卵細胞と精細胞との融合から生成される細胞などの、器官を構成するすべての細胞に分化する能力を有する細胞を指す。受精卵の初めの回の分裂によって生成される細胞も全能性である。これらの細胞は、胚細胞型および胚外細胞型に分化することができる。多能性幹細胞は、あらゆる胎児細胞型または成体細胞型を生じさせることができる。しかし、多能性幹細胞は、胎盤などの胚外組織に寄与する可能性を有していないため、多能性幹細胞のみでは、胎児または成体動物に成長することができない。
対照的に、多くの前駆細胞は、複能性、すなわち制限された数の細胞運命に分化することができる。複能性前駆細胞は、いくつかの他の細胞型を生じさせることができるが、それらの細胞型は数が限られている。複能性幹細胞の例として、造血細胞、すなわち数種類の血液細胞に発達できるが脳細胞や他の種類の細胞には発達できない血液幹細胞が挙げられる。胚を形成する一連の長い細胞分裂の最後は、最終分化した細胞、または特定の機能に永久的に専念すると考えられる細胞である。
「自己再生」は、未分化の状態を維持したまま、細胞分裂の多数の周期を経る能力を指す。
本明細書で使用される用語「体細胞」は、DNAを次の世代に直接伝達しない、卵子や精子などの生殖細胞以外のあらゆる細胞を指す。典型的には、体細胞は、制限された多能性を有するか、多能性を有していない。本明細書で使用される体細胞は、天然または遺伝子改変されたものであり得る。
本明細書で使用される場合、細胞は、10%未満の外因性遺伝子要素(複数可)を有する場合、外因性遺伝子要素を「実質的に含んでいない」、そして1%未満の外因性遺伝子要素(複数可)を有する場合、外因性遺伝子要素を「本質的に含んでいない」。しかし、さらに好ましいのは、全細胞集団の0.5%未満または0.1%未満が外因性遺伝子要素を含む細胞集団である。したがって、細胞集団の細胞の0.1%未満〜10%未満(すべての中間のパーセンテージを含む)が望ましくない外因性遺伝子要素を含むiPS細胞集団である。
III.誘導多能性幹細胞の一般的な背景
本発明の特定の実施形態では、染色体外ベクターをベースとした系を用いてリプログラミング因子を体細胞内に導入することによって体細胞をリプログラミングする方法が開示される。これらの細胞の子孫は、後述する様々な態様で胚性幹細胞と同一であり得るが、外因性遺伝子要素を本質的に含んでいない。胚性幹細胞の特質を理解することが、誘導多能性幹細胞の選択に役立ち得る。幹細胞のリプログラミングの研究から既知のリプログラミング因子は、これらの新規な方法に使用され得る。胚性幹細胞の使用に際する倫理的ハードルために、これらの誘導多能性幹細胞が、治療および研究用途として胚性幹細胞の代わりに潜在的に使用され得ることがさらに企図されている。
A.幹細胞
幹細胞は、すべてではないにしても殆どが多細胞生物で見られる細胞である。幹細胞は、有糸細胞分裂によって自身を再生する能力、および様々な特殊化した細胞型への分化によって特徴付けられる。広範な2種類の哺乳動物幹細胞:胚盤胞で見られる胚性幹細胞、および成体の組織で見られる成体幹細胞がある。発達中の胚では、幹細胞は、特殊化した胚組織のすべてに分化することができる。成体生物では、幹細胞および前駆細胞は、体の修復系として機能して特殊化した細胞を補充するだけではなく、血液、皮膚、または腸組織などの再生器官の正常の代謝回転を維持する。
幹細胞は、細胞培養によって、筋肉または神経などの様々な組織の細胞に対応した特質を持つ特殊化した細胞に成長し転換し得るため、幹細胞の医療への使用が提案されている。特に、胚性細胞系、治療用クローニングによって作製された自己胚性幹細胞、および臍帯血または骨髄由来の高度に柔軟な成体幹細胞は、有望な候補としてもてはやされている。最近になって、成体細胞の誘導多能性幹細胞へのリプログラミングは、胚性幹細胞に取って代わる大きな可能性を有する。
B.胚性幹細胞
胚性幹細胞系(ES細胞系)は、胚盤胞または初期桑実期胚の内細胞塊(ICM)の胚盤葉上層組織由来の細胞の培養物である。胚盤胞は、ヒトでは約4〜5日齢の初期胚であり、50〜150の細胞からなっている。ES細胞は、多能性であり、発達中に3つの主要な胚葉:外胚葉、内胚葉、および中胚葉のすべての誘導体を発生させる。言い換えれば、ES細胞は、特定の細胞型にとって十分かつ必要な刺激が与えられると、成体の体の200を超える細胞型のそれぞれに発達できる。ES細胞は、胚外膜または胎盤に寄与しない。
これまでの研究の殆どすべては、マウス胚性幹細胞(mES)またはヒト胚性幹細胞(hES)を用いて行われてきた。両方の幹細胞は、必須の幹細胞の特質を有するが、これらは、未分化状態を維持するためには全く異なる環境を必要とする。マウスES細胞は、ゼラチン層の上で成長することができ、白血病抑制因子(LIF)の存在を必要とする。ヒトES細胞は、マウス胎児線維芽細胞(MEF)のフィーダー層の上で成長することができ、しばしば、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGFまたはFGF−2)の存在を必要とする。最適な培養条件または遺伝子操作(Chambersら、2003)を用いなくても、胚性幹細胞は、急速に分化する。
ヒト胚性幹細胞はまた、いくつかの転写因子および細胞表面タンパク質の存在によっても定義され得る。転写因子Oct−4、Nanog、およびSox−2は、分化および多能性の維持をもたらす遺伝子の抑制を保証するコア調節ネットワークを形成する(Boyerら、2005)。hES細胞を同定するために最も一般的に使用されている細胞表面抗原には、糖脂質SSEA3およびSSEA4ならびにケラタンサルフェート抗原Tra−1−60およびTra−1−81が含まれる。
20年に及ぶ研究の後でも、胚性幹細胞を用いる認可された治療またはヒト治験は存在しない。多能性細胞であるES細胞は、正しい分化には特定のシグナルを必要とし、体内に直接注入されると、ES細胞は、様々な種類の細胞に分化して奇形腫を引き起こす。移植の拒絶反応を回避しながらES細胞を使用可能な細胞に分化させることは、胚性幹細胞の研究者がなお直面するほんの僅かなハードルである。多くの国々は、現在、ES細胞の研究または新規なES細胞系の作製を一時的に禁止している。胚性幹細胞は、その無制限の増殖と多能性を併せ持つ能力のため、傷害または疾患後の再生医療および組織置換のための理論的に可能な供給源のままである。しかし、これらの問題を回避する1つの方法は、直接的なリプログラミングによって体細胞に多能性の状態を誘導することである。
C.リプログラミング因子
iPS細胞の作製は、誘導のために使用される遺伝子にとって極めて重要である。以下の因子またはそれらの組合せは、本発明に開示されるベクター系に使用され得る。特定の態様では、SoxおよびOct(好ましくはOct3/4)をコードする核酸が、リプログラミングベクターに含まれる。例えば、リプログラミングベクターは、Sox−2、Oct−4、Nanog、および任意選択のLin−28をコードする発現カセット、またはSox−2、Oct−4、Klf4、および任意選択のc−mycをコードする発現カセット、またはSox−2、Oct−4、および任意選択のEsrrbをコードする発現カセットを含み得る。これらのリプログラミング因子をコードする核酸は、同じ発現カセット、異なる発現カセット、同じリプログラミングベクター、または異なるリプログラミングベクターの中に含められ得る。
Oct3/4および特定のメンバーのSox遺伝子ファミリー(Sox−1、Sox−2、Sox−3、およびSox−15)は、存在しないと誘導を不可能にする誘導プロセスに関与する極めて重要な転写調節因子として同定された。しかし、特定のメンバーのKlfファミリー(Klf−1、Klf2、Klf4、およびKlf5)、Mycファミリー(C−myc、L−myc、およびN−myc)、Nanog、およびLIN28を含むさらなる遺伝子が、誘導効率を上げることが確認された。
Oct−3/4(Pou5f1)は、八量体(「Oct」)転写因子のファミリーの1つであり、多能性の維持において極めて重要な役割を果たす。割球および胚性幹細胞などのOct−3/4+細胞におけるOct−3/4の非存在は、自然な栄養芽細胞分化をもたらし、したがって、Oct−3/4の存在は、胚性幹細胞の多能性および分化能を生じさせる。Oct−3/4の類縁体、Oct1、およびOct6を含む「Oct」ファミリーの様々な他の遺伝子は、誘導を引き起こすことができないため、誘導プロセスに対するOct−3/4の排他性を実証している。
Soxファミリーの遺伝子は、多能性幹細胞だけで発現されるOct−3/4とは対照的な複能および単能幹細胞に関連しているが、Oct−3/4と同様に多能性の維持に関連している。Sox−2は、Yamanakaら、Jaenischら、およびThompsonらによって誘導のために使用された初めの遺伝子であり、Soxファミリーの他の遺伝子は、誘導プロセスでも働くことが確認された。Sox1は、Sox−2と同様の効率でiPS細胞を産生し、遺伝子Sox3、Sox15、およびSox18も、低い効率であるがiPS細胞を産生する。
胚性幹細胞では、Nanogは、Oct−3/4およびSox−2と共に、多能性の促進に必要である。したがって、Thomsonらが、因子の1つとしてNanogを用いてiPS細胞を作製することが可能であることを報告していたが、Yamanakaらが、Nanogが誘導に不要であることを報告したときは驚きであった。
LIN28は、分化および増殖に関連した胚性幹細胞および胚性癌細胞で発現されるmRNA結合タンパク質である。Thomsonらは、LIN28は不要であるが、iPS作製における因子であることを実証した。
Klfファミリーの遺伝子のKlf4は、Ymanakaらによって初めに同定され、JaenischらによってマウスiPS細胞の作製のための因子であることが確認され、YmanakaらによってヒトiPS細胞の作製のための因子であることが実証された。しかし、Thompsonらは、Klf4は、ヒトiPS細胞の作製に不要であることを報告し、実際、ヒトiPS細胞を作製できなかった。Klf2およびKlf4は、iPS細胞を作製可能な因子であることが判明し、関連遺伝子Klf1およびKlf5も、低い効率であるが同様であった。
Mycファミリーの遺伝子は、癌に関与するプロトオンコジーンである。YamanakaらおよびJaenischらは、c−mycがマウスiPS細胞の作製に関与する因子であることを実証し、Yamanakaらは、c−mycがヒトiPS細胞の作製に関与する因子であることを実証した。しかし、ThomsonらおよびYamanakaらは、c−mycは、ヒトiPS細胞の作製に不要であることを報告した。c−myc誘導iPS細胞が移植されたマウスの25%が致命的な奇形腫を発症したので、iPS細胞の誘導における「myc」ファミリーの遺伝子の使用は、臨床治療ではiPS細胞の結末に問題がある。N−mycおよびL−mycは、同様の効率でc−mycの代わりに誘導することが確認された。
D.組み込み型ベクターを用いた多能性幹細胞の誘導
iPS細胞は、典型的には、成体の線維芽細胞などの非多能性細胞内への特定の幹細胞関連遺伝子のトランスフェクションによって誘導される。トランスフェクションは、典型的には、レトロウイルスなどの現行方式の組み込み型ウイルスベクターによって達成される。移入遺伝子は、他の遺伝子が誘導の効率を高めることが示唆されているが、マスター転写調節因子Oct−3/4(Pouf51)およびSox−2を含む。臨界期後、トランスフェクト細胞の少数が、多能性細胞に形態学的および生化学的に似るようになり始め、典型的には、形態学的選択、倍加時間、またはレポーター遺伝子および抗生物質の感染によって単離される。
2007年11月に、2つの別個の研究チームの研究により、成人ヒト細胞からiPS細胞を作製することによってマイルストーンが達成された(Yuら、2007;Yamanakaら、2007)。マウスモデルで以前に使用された同じ原理で、Yamanakaは、同じ4つの重要遺伝子:Oct3/4、Sox−2、Klf4、およびc−Myc(レトロウイルス系であるが、c−Mycは発癌性である)を用いて、ヒト線維芽細胞を多能性幹細胞に形質転換することに成功した。Thomsonおよび同僚らは、c−Mycの使用を回避するレンチウイルス系を用いて、Oct−4、Sox−2、NANOG、および異なる遺伝子LIN28を使用した。
しかし、使用されたウイルストランスフェクション系は、宿主ゲノムのランダムな位置に遺伝子を挿入する;これは、作製された細胞が癌を発生しやすくなるため、これらのiPSCの潜在的な治療への適用にとって懸案事項である。したがって、両チームのメンバーは、新規な送達方法を開発する必要があると考えている
他方、異所性リプログラミング因子の強制的な持続的発現は、腫瘍形成の頻度の上昇に関連し得、この問題の最終的な解決策は、導入遺伝子を含まないiPS細胞の作製であろう。ウイルスにより導入される遺伝子一式は、リプログラミングプロセスを開始するのに必要であり得るが、細胞自体の内在性多能性遺伝子が徐々に活性化し、ウイルス遺伝子は、確率的再活性化の可能性はあるが沈黙するであろう。近年、細胞が自した多能性状態に入るためには、外因性因子を最低でも約10〜16日必要とし得ることを研究者が実証している(Brambrinkら、2008;Stadtfeldら、2008)。導入遺伝子発現の最小長さの決定により、iPS細胞を誘導する非レトロウイルス送達方法の開発、開示される本方法によって達成される利点、および後述するiPS細胞が可能となる。
IV.ベクターを含まない誘導多能性幹細胞および他の細胞型を作製するための染色体外ベクター
上記のように、ヒト体細胞からの多能性幹細胞の誘導は、リプログラミング遺伝子の異所性発現のためのレトロウイルスまたはレンチウイルスベクターを用いて達成された。モロニーマウス白血病ウイルスなどの組換えレトロウイルスは、宿主ゲノムに安定して組み込む能力を有する。組換えレトロウイルスは、宿主ゲノム内への組込みを可能にする逆転写酵素を含む。レンチウイルスは、レトロウイルスのサブクラスである。レンチウイルスは、分裂細胞はもちろん非分裂細胞のゲノム内に組み込む能力のために、ベクターとして広く採用されている。また、これらのウイルスベクターは、広い文脈:脱分化、分化、および分化転換を含む細胞の分化プログラミングで広く使用されてきた。RNAの形態のウイルスゲノムは、ウイルスが細胞に侵入すると逆転写されてDNAを生成し、次いで、このDNAがウイルスインテグラーゼ酵素によってランダムな位置でゲノム内に挿入される。したがって、成功しているリプログラミングの現行技術は、組込みをベースとするウイルス法に依存している。
しかし、現行の技術では、標的組込みは、まだルーチンではなく(Bodeら、2000b)、従来の代替のランダム組込みは、挿入変誘発をもたらし、誘導多能性幹細胞が予測不能な結果となり得る。同じ理由から、導入遺伝子の発現は、組込み部位のクロマチンの文脈によって決まるため制御できない(Baerら、2000)。高レベル発現は、好都合なゲノム位置でのみ達成できるが、高発現部位への組込みが誘導多能性幹細胞の重大な細胞機能を阻害するというリスクが存在する。
加えて、DNAのメチル化を伴うプロセスで導入遺伝子を下方制御することによって機能する、外因性DNAに対する細胞防御機構の存在の証拠が増えている(Bingham、1997、Garrickら、1998)。さらに、ウイルス成分は、他の因子と共に作用して細胞を形質転換し得る。多数のウイルス遺伝子からの継続的な発現を伴う、細胞内のウイルスゲノムの少なくとも一部の持続が、細胞の形質転換を引き起こし得る。これらの遺伝子は、細胞のシグナル伝達経路を阻害して、細胞の観察される表現型の変化を引き起こし、ウイルスにとって望ましい細胞分裂の増加を示す形質転換細胞をもたらし得る。
したがって、特定の実施形態では、本発明は、従来の方法で使用されるレトロウイルスまたはレンチウイルスベクターなどから、外因性遺伝子要素を本質的に含まない誘導多能性細胞および他の望ましい細胞型を作製する方法を開発する。これらの方法は、染色体外で複製するベクターまたはエピソーム複製できるベクターを使用する。アデノウイルス、サル空胞ウイルス40(SV40)またはウシパピローマウイルス(BPV)などの多数のDNAウイルス、または出芽酵母ARS(自複製配列)含有プラスミドは、哺乳動物細胞内で染色体外またはエピソーム複製する。これらのエピソームプラスミドは、組み込み型ベクターに関連したこれらすべての不都合を本来有していないが(Bodeら、2001)、誘導多能性幹細胞の作製について一度も公表されていない。また、上記定義したエプスタインバーウイルス(EBV)を含め、リンパ球向性ヘルペスウイルスをベースとしたものも、染色体外で複製し、リプログラミング遺伝子の体細胞への送達を助け得る。これらのウイルスまたはARS要素の複製起点は十分に特徴付けられているが、これらは、本開示まで、リプログラミング分化細胞について公衆に知られていない。
例えば、本発明に使用されるプラスミドをベースとした方法は、後述する臨床条件でのEBV要素をベースとした系の取り扱いやすさを損なうことなく、この系の好結果の複製および維持に必要な強い要素を取り出す。必須のEBV要素は、OriPおよびEBNA−1またはそれらの変異体もしくは機能的等価物である。この系の別の利点は、これらの外因性要素が、細胞内に導入されると時間と共に消失し、これらの要素を本質的に含まない自したiPS細胞がもたらされることである。
A.エプスタインバーウイルス
ヒトヘルペスウイルス4(HHV−4)とも呼ばれるエプスタインバーウイルス(EBV)は、ヘルペスファミリー(単純ヘルペスウイルスおよびサイトメガロウイルスを含む)のウイルスであり、ヒトにおける最も一般的なウイルスの1つである。EBVは、そのゲノムを染色体外に維持し、効率的な複製と維持のために宿主細胞機構と協働し(LindnerおよびSugden、2007)、細胞分裂中の細胞内でのその複製および維持の2つの必須の特徴にのみ依存する(Yatesら、1985;Yatesら、1984)。一般にoriPと呼ばれる1つの要素が、シスに存在し、複製の起点として機能する。もう1つの因子EBNA1が、oriP内の配列に結合してプラスミドDNAの複製および維持を促進することによってトランスで機能する。限定目的ではない例として、発明者らは、これらの2つの特徴を取り出し、これらを、従来のプラスミドに対してこれらの遺伝子の複製および発現を促進する体細胞のリプログラミングに必要な遺伝子を運ぶためにプラスミドの文脈に使用する。
B.oriP
oriPは、DNAの複製を開始する部位またはその近傍であり、反復ファミリー(FR)と二分子対称(DS)として知られる約1キロ塩基対離れた2つのシス作用性配列から構成されている。
FRは、30塩基対の反復の21の不完全なコピーから構成され、20の高親和性EBNA1結合部位を含む(図1)。FRがEBNA1によって結合されると、FRは、最大10キロ塩基離れたシスにおけるプロモーターの転写エンハンサーとして機能し(ReismanおよびSugden、1986;Yates、1988;SugdenおよびWarren、1989;WysokenskiおよびYates、1989;GahnおよびSugden、1995;KennedyおよびSugden、2003;Altmannら、2006)、核の保持およびFRを含むプラスミドの忠実な維持に寄与する(Langle−Rouaultら、1998;KirchmaierおよびSugden、1995;Wangら、2006;NanboおよびSugden、2007)。oriPプラスミドの効率的な分も、FRに寄与する可能性が高い。このウイルスは、FRに20のEBNA1結合部位を維持するように進化したが、効率的なプラスミドの維持には、これらの部位の7つのみが必要であり、合計12のEBNA1結合部位を有する、DSの3つのコピーのポリマーによって再構築することができる(WysokenskiおよびYates、1989)。
二分子対称要素(DS)は、EBNA1の存在下でのDNA合成の開始に十分であり(Aiyarら、1998;Yatesら、2000)、開始は、DSまたはその近傍で起こる(GahnおよびSchildkraut、1989;Nillerら、1995)。FRは、EBNA1によって結合されると、2Dゲル電気泳動法によって観察されるようにY字形複製の障壁として機能するため、ウイルスDNA合成の停止は、FRで起こると思われる(GahnおよびSchildkraut、1989;Ermakovaら、1996;Wangら、2006)。DSからDNA合成の開始は、1細胞周期に1回許可され(Adams、1987;YatesおよびGuan、1991)、細胞複製系の成分によって調節される(Chaudhuriら、2001;Ritziら、2003;Dharら、2001;Schepersら、2001;Zhouら、2005;Julienら、2004)。DSは、4つのEBNA1結合部位を含むが、FRで見られるものよりも親和性が低い(Reismanら、1985)。DSのトポロジーは、4つの結合部位が、二対の部位として配置され、各対間で中心と中心が21塩基対離隔し、対になっていない2つの内部結合部位間で中心と中心が33塩基対離隔している(図1c)(Baerら、1984;Rawlinsら、1985)。
DS内の要素の機能的役割は、非効率的にDSを置換することができる要素として同定された、Repと呼ばれる、EBVのゲノムの別の領域の研究によって確認された(KirchmaierおよびSugden、1998)。Rep8回重合させることにより、その複製の支援において、DSと同じ効率で要素が産生された(Wangら、2006)。Repの生化学的な分析により、その複製機能に極めて重要である、中心と中心が21塩基対離隔した一対のEBNA1結合部位が同定された(上記)。Repの最小のレプリケーターは、ポリマーにおけるすべての隣接配列がラムダファージ由来の配列で置換された後でも、複製機能が維持される一対のEBNA1結合部位であることが分かった。DSとRepの比較により、共通の機構が明らかになった:これらのレプリケーターは、EBNA1によって曲げられて結合される一対の適切な離隔部位を介して細胞内複製機構を動員することによってDNA合成の開始を支援する。
ある点ではEBVのRaji株内の開始のゾーンに類似しているように見える、EBVに関連していない哺乳動物細胞内で複製する他の染色体外の認可プラスミドが存在する。Hans Lippsおよび彼の同僚らは、「核足場/マトリックス付着領域」(S/MAR)および強い転写単位(Piechaczekら、1999;Jenkeら、2004)を含むプラスミドを開発し研究した。それらのS/MARは、ヒトインターフェロン−β遺伝子に由来し、A/Tリッチであり、核マトリックスとのその関連と、低いイオン強度での、またはスーパーコイル状DNAに埋め込まれた時のその優先的な巻き戻しによって機能的に定義される(Bodeら、1992)。これらのプラスミドは、半保存的に複製し、ORCタンパク質に結合し、かつそれらのDNA全体での効率的かつランダムにDNA合成の開始を支援する(Schaarschmidtら、2004)。これらのプラスミドは、薬剤選択なしでも増殖中のハムスター細胞およびヒト細胞内で効率的に維持され、ブタに導入されると胎児の動物の殆どの組織におけるGFPの発現を支持することができる(Manziniら、2006)。
C.EBNA1
エプスタインバー核抗原1(EBNA1)は、oriPまたはRepのFRおよびDSに結合して、各細胞分裂中の細胞染色体と協調するが独立した娘細胞へのEBVプラスミドの複製および忠実な分を促進するDNA結合タンパク質である。
EBNA1の641のアミノ酸(AA)が、突然変異および欠失分析によって、その様々な機能に関連したドメインに分類された(図2)。AA40〜89とAA329〜378との間の2つの領域は、EBNA1によって結合されるとシスまたはトランスにおける2つのDNA要素を連結することができ、このため連結領域1および2(LR1、LR2)と命名された(MiddletonおよびSugden、1992;FrappierおよびO’Donnell、1991;Suら、1991;Mackeyら、1995)。EBNA1のこれらのドメインのGFPとの融合により、GFPが有糸分裂染色体に戻る(Marechalら、1999;Kandaら、2001)。LR1およびLR2は、複製のために機能的に重複している;いずれか一方の欠損により、DNAの複製を支持できるEBNA1の誘導体が生じる(MackeyおよびSugden、1999;Searsら、2004)。LR1およびLR2は、アルギニンおよびグリシン残基が豊富であり、A/TリッチDNAに結合するATフックモチーフに類似している(AravindおよびLandsman、1998)、(Searsら、2004)。EBNA1のLR1およびLR2のin vitro分析は、A/TリッチDNAに結合するそれらの能力を実証した(Searsら、2004)。1つのこのようなATフックを含むLR1が、EBNA1のDNA結合および二量体化ドメインに融合されると、野生型EBNA1よりも効率は低いが、oriPプラスミドのDNA複製には十分であることが分かった(上記)。
しかし、LR1とLR2は異なっている。LR1のC末端の半分は、N末端の半分の反復Arg−Gly以外のアミノ酸から構成され、固有領域1(UR1)と呼ばれる。UR1は、FRを含むトランスフェクトされ組み込まれたレポーターDNAからの転写を効率的に活性化させるためにEBNA1に必要である(Wuら、2002;KennedyおよびSugden、2003;Altmannら、2006)。また、UR1は、EBVに感染したB細胞の効率的な形質転換にも必須である。このドメインが欠失したEBNA1の誘導体が、全ウイルスの文脈において野生型タンパク質に取って代わると、これらの誘導体ウイルスは、野生型ウイルスの形質転換能の0.1%しか有しない(Altmannら、2006)。
LR2は、oriP複製のEBNA1の支持に必ではない(Shireら、1999;MackeyおよびSugden、1999;Searsら、2004)。加えて、EBNA1のN末端の半分は、HMGA1aなどのATフックモチーフを含む細胞タンパク質で置換することができ、なお複製機能が維持される(Hungら、2001;Searsら、2003;Altmannら、2006)。これらの知見は、LR1およびLR2のATフック活性がヒトの細胞におけるoriPの維持に必要である可能性が高いことを示している。
EBNA1の残基の3分の1(AA91〜328)は、グリシン−グリシン−アラニン(GGA)反復から構成され、プロテオソーム分解および提示の阻害によって宿主免疫応答を回避するEBNA1の能力に関与している(Levitskayaら、1995;Levitskayaら、1997)。これらの反復は、in vitroおよびin vivoでのEBNA1の転写を阻害することも分かった(Yinら、2003)。しかし、このドメインの大部分の欠失は、細胞培養中のEBNA1の機能に明確な影響を与えないため、このドメインが果たす役割を解明するのは困難である。
核局在化シグナル(NLS)は、細胞核輸入機構にも関連するAA379〜386によってコードされる(Kimら、1997;Fischerら、1997)。LR1およびLR2のArg−Glyリッチ領域内の配列は、それらの高い塩基含量によってNLSとしても機能し得る。
最後に、C末端(AA458〜607)は、EBNA1の重複DNA結合および二量体化ドメインをコードする。DNAに結合するこれらのドメインの構造は、X線結晶学によって解明され、パピローマウイルスのE2タンパク質のDNA結合ドメインに類似していることが分かった(Hegdeら、1992;Kimら、2000;Bochkarevら、1996)。
本発明の特定の実施形態では、リプログラミングベクターは、oriPと、細胞分裂の際のプラスミドの複製およびその適切な維持を支持する能力を持つEBNA1のある型をコードする短縮配列の両方を含む。野生型EBNA1のアミノ末端の3分の1以内の反復性の高い配列および様々な細胞で毒性を実証した25のアミノ酸領域の除去は、oriPに関連したEBNA1のトランス作用機能に必ずしも必要ではない(Yatesら、1985;Kennedyら、2003)。したがって、δUR1(配列番号4によってコードされるタンパク質配列、配列番号3を持つ誘導体)として知られる例示的な誘導体、EBNA1の短縮型は、このプラスミドをベースとした系内のoriPと共に使用され得る。染色体外の鋳型からの転写を活性化できるEBNA1誘導体のさらなる例(例えば、参照により本明細書に組み入れられるKirchmaierおよびSugden、1997、ならびにKennedyおよびSugden、2003を参照)。
本発明に使用されるEBNA−1の誘導体は、改変されたアミノ酸配列を有する、対応する野生型ポリペプチドに関連したポリペプチドである。この改変には、EBNA−1におけるLR1(残基約40〜約89)の固有領域(残基約65〜約89)に対応する領域における少なくとも1つのアミノ酸の欠失、挿入、または置換が含まれ、そして、得られる誘導体が、例えば、oriPに対応するoriを含むDNAを二量体化し結合する、核に局在する、非細胞毒性である、および染色体外からの転写は活性化するが組み込まれた鋳型からの転写は実質的に活性化しないなどの望ましい特性を有する場合に限り、EBNA−1の他の残基、例えば、約残基1〜約40、残基約90〜約328(「Gly−Gly−Ala」反復領域)、残基約329〜約377(LR2)、残基約379〜約386(NLS)、残基約451〜約608(DNA結合および二量体化)、または残基約609〜約641に対応する領域における1つまたはそれより多いアミノ酸残基の欠失、挿入、および/または置換が含まれ得る。置換には、L型ではなくD型、ならびに他の周知のアミノ酸類似体、例えば、α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、および乳酸などの非天然アミノ酸などを利用する置換が含まれる。これらの類似体には、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート;馬尿酸、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、スタチン、1,2,3,4,−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、ペニシラミン、オルニチン、シトルリン(citruline)、α−メチル−アラニン、パラ−ベンゾイル−フェニルアラニン、フェニルグリシン、プロパルギルグリシン、サルコシン、ε−N,N,N,−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、ω−N−メチルアルギニン、および他の類似のアミノ酸およびイミノ酸、およびt−ブチルグリシンが含まれる。
保存的なアミノ酸置換、すなわち、例えば、極性酸性アミノ酸としてアスパラギン酸−グルタミン酸;極性塩基性アミノ酸としてリシン/アルギニン/ヒスチジン;非極性または疎水性アミノ酸としてロイシン/イソロイシン/メチオニン/バリン/アラニン/グリシン/プロリン;極性または非荷電親水性アミノ酸としてセリン/トレオニンが好ましい。保存的なアミノ酸置換には、側鎖に基づいた群化も含まれる。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり、脂肪族−ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸群は、セリンおよびトレオニンであり;アミドを含む側鎖を有するアミノ酸群は、アスパラギンおよびグルタミンである;芳香族側鎖を有するアミノ酸群は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンである;塩基性側鎖を有するアミノ酸群は、リシン、アルギニン、およびヒスチジンである;硫黄を含む側鎖を有するアミノ酸群は、システインおよびメチオニンである。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンでの置換、アスパルテートのグルタメートでの置換、トレオニンのセリンでの置換、またはアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸での置換が、得られるポリペプチドの特性に大きな影響を与えないと予想するのが妥当である。アミノ酸の変化が機能的なポリペプチドをもたらすか否かは、そのポリペプチドの特定の活性をアッセイすることによって容易に決定され得る。
本発明の範囲内のアミノ酸置換は、一般に、(a)置換の領域におけるペプチド主鎖の構造、(b)標的部位の分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の容積の維持に対するアミノ酸置換の影響が著しく異ならない置換を選択することによって達成される。天然の残基は、共通の側鎖の特性:
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性親水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)側鎖の向きに影響を与える残基:gly、pro;および
(6)芳香族:trp、tyr、pheに基づいて各群に分けられる。
本発明はまた、非保存的に置換されたポリペプチドも企図する。非保存的置換は、上記のクラスのうちの1つのクラスの中からのあるメンバーを別のメンバーと交換することを伴う。
ポリペプチドの酸付加塩またはポリペプチドのアミノ残基の酸付加塩は、ポリペプチドまたはアミンを、望ましい無機酸または有機酸、例えば、塩酸などの1つまたはそれより多い等価物と接触させることによって調製され得る。また、ポリペプチドのカルボキシル基のエステルも、当技術分野で公知の任意の通常の方法によって調製され得る。
類似体には、当技術分野で公知であり、それぞれ参照により本明細書に組み入れられるSpatola、1983;Spatola、1983;Morley、1980;Hudsonら、1979(−CHNH−、CHCH−);Spatolaら、1986(−CH−S);Hann、1982(−CH−CH−、シスおよびトランス);Almquistら、1980(−COCH−);Jennings−Whiteら、1982(−COCH−);Szelkeら、欧州特許出願第45665号(−CH(OH)CH−);Holladayら、1983(−C(OH)CH−);およびHruby、1982(−CHS−)にさらに記載されている方法による、−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−CH=CF−トランス)、−COCH2―、−CH(OH)CH−、および−CHSO−からなる群から選択される連結によって任意選択で置換される1つまたはそれより多いペプチド結合を有する構造が含まれる。特に好ましい非ペプチド結合は、−CHNH−である。このような類似体は、優れた化学安定性、改善された薬学的特性(半減期、吸収、効力、有効性など)、変更された特異性(例えば、広域の生物学的活性)、軽減された抗原性を有し得、経済的に調製し得る。
D.痕跡を残さない特徴
重要なことは、oriPをベースとしたプラスミドの複製および維持が、不完全であり、細胞内に導入されてから初めの2週間以内に細胞から急激に減少する(1回の細胞分裂で25%);しかし、プラスミドを維持する細胞は、その減少が少ない(1回の細胞分裂で3%)(LeightおよびSugden、2001;NanboおよびSugden、2007)。プラスミドを含む細胞の選択が除去されると、プラスミドは、各細胞分裂の際に失われ、時間が経つとすべてのプラスミドが除去され、得られる娘細胞内にプラスミドが以前に存在していたという痕跡が残らない。この痕跡のない特徴は、分化プログラミングを用いてiPS細胞および他の望ましい細胞を作製するために遺伝子を送達する現行のウイルス関連方法の代替としてのoriPをベースとした系のアピールの根拠である。また、他の染色体外ベクターも、宿主細胞の複製および増殖の際に失われ、本発明にも用いられ得る。
V.ベクターの構築および送達
特定の実施形態では、リプログラミングまたは分化プログラミングベクターは、上記したリプログラミング因子または分化プログラミング因子を細胞内で発現させるために、これらのリプログラミング因子をコードする核酸配列に加えて追加の要素を含むように構築され得る。これらの方法の新規な特徴は、染色体外複製ベクターの使用であり、染色体外複製ベクターは、宿主細胞のゲノム内に組み込まれず、複製の生成の際に失われ得る。これらのベクター成分および送達方法の詳細は以下に開示される。
A.ベクター
プラスミドまたはリポソームをベースとした染色体外ベクター、例えば、oriPをベースとしたベクターおよび/またはEBNA−1の誘導体をコードするベクターの使用により、DNAの大きい断片を細胞内に導入して染色体外に維持すること、1回の細胞周期に1回複製すること、娘細胞に効率的に分すること、および実質的に免疫応答を誘発しないことが可能になる。特に、oriPをベースとした発現ベクターの複製に必要な唯一のウイルスタンパク質であるEBNA−1は、その抗原をMHCクラスI分子に提示するために必要なプロセシングをバイパスする効率的な機構を発達させたため、細胞免疫応答を誘発しない(Levitskayaら、1997)。さらに、EBNA−1は、トランスで作用してクローン化遺伝子の発現を促進することができ、一部の細胞系において最大100倍のクローン化遺伝子の発現を誘導する(Langle−Rouaultら、1998;Evansら、1997)。最後に、このようなoriPをベースとした発現ベクターの製造は安価である。
他の染色体外ベクターには、他のリンパ球向性ヘルペスウイルスをベースとしたベクターが含まれる。リンパ球向性ヘルペスウイルスは、リンパ芽球(例えば、ヒトBリンパ芽球)内で複製し、その天然のライフサイクルの一部のためにプラスミドになるヘルペスウイルスである。単純ヘルペスウイルス(HSV)は、「リンパ球向性」ヘルペスウイルスではない。例示的なリンパ球向性ヘルペスウイルスには、限定されるものではないが、EBV、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV);リスザルヘルペスウイルス(HS)およびマレク病ウイルス(MDV)が含まれる。また、酵母ARS、アデノウイルス、SV40、またはBPVなどの、エピソームをベースとしたベクターの他の供給源も企図される。
当業者であれば、標準的な組換え技術によってベクターを構築する十分な能力を備えているであろう(例えば、参照により本明細書に組み入れられるManiatisら、1988、およびAusubelら、1994を参照)。
ベクターは、遺伝子送達および/または遺伝子発現をさらに調節する、または標的細胞に有利な特性を他の方法で付与する他の成分または機能性も含み得る。このような他の成分には、例えば、細胞への結合または細胞を標的とすることに影響を与える成分(細胞型または組織特異的な結合を媒介する成分を含む);細胞によるベクター核酸の取り込みに影響を与える成分;取り込み後の細胞内のポリヌクレオチドの局在化に影響を与える成分(核局在化を媒介する作用物質など);およびポリヌクレオチドの発現に影響を与える成分が含まれる。
また、このような成分には、ベクターによって送達された核酸を取り込んで発現している細胞の検出または選択に使用され得る検出および/または選択マーカーなどのマーカーも含まれ得る。このような成分は、ベクターの天然の特徴として提供され得る(結合および取り込みを媒介する成分または機能性を有する特定のウイルスベクターの使用など)、またはベクターは、このような機能を提供するために改変され得る。様々なこのようなベクターが当技術分野で公知であり、一般的に入手可能である。ベクターが宿主細胞内に維持されている場合、ベクターは、自律構造として有糸分裂の際に細胞によって安定的に複製される、宿主細胞のゲノム内に組み込まれる、または宿主細胞の核または細胞質内に維持されるかのいずれかであり得る。
B.調節要素
ベクター内に含められる真核生物発現カセットは、好ましくは、タンパク質コード配列、介在配列を含むスプライスシグナル、および転写停止/ポリアデニル化配列に機能的に連結された真核生物転写プロモーターを含む(5’から3’方向に)。
i.プロモーター/エンハンサー
「プロモーター」は、転写の開始および速度が制御される核酸配列の領域である制御配列である。プロモーターは、調節タンパク質および分子がRNAポリメラーゼおよび他の転写因子などに結合して核酸配列の特異的な転写を開始し得る遺伝子要素を含み得る。句「機能的に配置された」、「機能的に連結された」、「制御下」、および「転写制御下」は、プロモーターが、核酸配列の転写開始および/または発現を制御するべく、その配列に対して正確な機能位置および/または向きにあることを意味する。
本発明のEBNA−1をコードするベクターに使用するのに適したプロモーターは、EBNA−1タンパク質をコードする発現カセットの発現を導いて、十分な定常状態レベルのEBNA−1タンパク質を産生させ、EBV oriPを含むベクターを安定して維持するプロモーターである。また、プロモーターは、リプログラミング因子をコードする発現カセットの効率的な発現にも使用される。
プロモーターは、一般に、RNA合成の開始部位の位置を決めるように機能する配列を含む。最もよく知られているこの例は、TATAボックスであるが、TATAボックスを有していない一部のプロモーター、例えば、哺乳動物末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターおよびSV40後期遺伝子のプロモーターでは、開始部位自体の上にある別個の要素が、開始位置を固定するのを助ける。追加のプロモーター要素が、転写開始の頻度を調節する。典型的には、これらは、開始部位の30〜110塩基対上流の領域に位置するが、多数のプロモーターが、開始部位の下流の機能要素も含むことが示された。コード配列をプロモーター「の制御下」に置くために、選択されたプロモーターが、その下流の(すなわち、3’側の)転写リーディングフレームの転写開始部位の5’末端の位置を決める。「上流」プロモーターは、DNAの転写を刺激し、コードされたRNAの発現を促進する。
プロモーター要素間の間隔は、柔軟な場合が多いため、要素が別の要素に対して逆になる、または移動してもプロモーター機能は保全される。tkプロモーターでは、プロモーター要素間の間隔は、活性の低下が始まる前の50塩基対まで間隔を広げられ得る。プロモーターによって、個々の要素は、転写を活性化するために協働して、または独立して機能することができる。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関与するシス作用性調節配列と呼ばれる「エンハンサー」と共に使用されてもよいし、使用されなくてもよい。
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエキソンの上流に位置する5’非コード配列を単離することによって得られ得る、核酸配列に自然に結合されたものであり得る。このようなプロモーターは、「内在性」と呼ぶことができる。同様に、エンハンサーは、その配列の下流または上流のいずれかに位置する核酸配列に自然に結合されたものであり得る。あるいは、天然の環境では核酸配列に通常は結合されていないプロモーターを指す組換えまたは異種プロモーターの制御下にコード核酸セグメントを置くことによって一定の利点が得られる。組換えまたは異種エンハンサーも、天然の環境では核酸配列に通常は結合していないエンハンサーを指す。このようなプロモーターまたはエンハンサーには、他の遺伝子のプロモーターまたはエンハンサー、および任意の他のウイルスまたは原核細胞もしくは真核細胞から単離されたプロモーターまたはエンハンサー、および「天然」ではない、すなわち異なる転写調節領域の異なる要素および/または発現を変更する突然変異を含むプロモーターまたはエンハンサーが含まれ得る。例えば、組換えDNAの作製に最も一般的に使用されているプロモーターには、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトース、およびトリプトファン(trp)プロモーター系が含まれる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に作製するのに加えて、配列は、本明細書に開示される組成物と共に、組換えクローニングおよび/またはPCR(商標)を含む核酸増幅技術を用いて作製され得る(参照により各々本明細書に組み入れられる米国特許第4,683,202号および同第5,928,906号を参照)。さらに、ミトコンドリアおよび葉緑体などの非核細胞小器官内での配列の転写および/または発現を導く制御配列も利用され得ることも企図される。
当然、発現のために選択される細胞小器官、細胞型、組織、器官、または生物におけるDNA断片の発現を効率的に導くプロモーターおよび/またはエンハンサーを利用することが重要である。分子生物学の分野の技術者は、タンパク質の発現のためのプロモーター、エンハンサー、および細胞型の組合せの使用を知っている(例えば、参照により本明細書に組み入れられるSambrookら、1989を参照)。利用されるプロモーターは、組換えタンパク質および/またはペプチドの大量生産などに有利である、導入されるDNAセグメントの高レベルの発現を導く適切な条件下で、恒常的、組織特異的、誘導性、および/または有用であり得る。プロモーターは、異種性または内在性であり得る。
加えて、任意のプロモーター/エンハンサーの組合せ(例えば、ワールドワイドウエブ:epd.isb−sib.ch/にある真核生物プロモーターデータベースEPDBの通り)も発現を駆動するために使用され得る。T3、T7、またはSP6細胞質発現系の使用は、別の可能な実施形態である。適切な細菌ポリメラーゼが、送達複合体の一部としてまたは追加の遺伝子発現構築物として提供されると、真核細胞は、特定の細菌プロモーターからの細胞質転写を支持し得る。
プロモーターの限定目的ではない例には、初期または後期ウイルスプロモーター、例えば、SV40初期または後期プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)初期プロモーター:真核細胞プロモーター、例えば、βアクチンプロモーター(Ng,S.Y.、Nuc.Acid Res. 17:601−615、1989、Quitscheら、J.Biol.Chem. 264:9539−9545、1989)、GADPHプロモーター(Alexanderら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85:5092−5096、1988、Ercolaniら、J.Biol.Chem.263:15335−15341、1988)、メタロチオネインプロモーター(Karinら、Cell 36:371−379、1989;Richardsら、Cell 37:263−272、1984);および連結応答要素プロモーター、例えば、サイクリックAMP応答要素プロモーター(cre)、血清応答要素プロモーター(sre)、ホルボールエステルプロモーター(TPA)、および最小TATAボックス近傍の応答要素プロモーター(tre)が含まれる。また、ヒト成長ホルモンプロモーター配列(例えば、Genbank、受託番号X05244に記載されているヒト成長ホルモン最小プロモーター、ヌクレオチド283−341)またはマウス乳房腫瘍プロモーター(ATCCから入手可能、カタログ番号ATCC45007)を使用することも可能である。具体例として、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーターを挙げることができる。
ii.開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位
特定の開始シグナルも、コード配列の効率的な翻訳に必要であり得る。これらのシグナルは、ATG開始コドンまたは隣接配列を含む。ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルは、提供される必要があり得る。当業者であれば、容易にこれを決定し、必要なシグナルを提供できるであろう。望ましいコード配列のリーディングフレームが全インサートを確実に翻訳するためには、開始コドンが「インフレーム」でなければならないことは周知である。外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然または合成のいずれかであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサー要素を含めることによって促進され得る。
本発明の特定の実施形態では、内部リボソーム侵入部位(IRES)要素が、多重遺伝子または多シストロン性メッセージを生成するために使用される。IRES要素は、リボソームスキャニングモデルの5’メチル化Cap依存性翻訳を回避して、内部部位で翻訳を開始することができる(PelletierおよびSonenberg、1988)。哺乳動物メッセージ由来のIRES(MacejakおよびSarnow、1991)はもちろん、ピコルナウイルスファミリーの2つのメンバー(ポリオおよび脳心筋炎)由来のIRES要素が記載されている(PelletierおよびSonenberg、1988)。IRES要素は、異種オープンリーディングフレームに連結され得る。複数のオープンリーディングフレームは、一緒に転写され、それぞれがIRESによって分離され、多シストロン性メッセージを生成し得る。IRES要素によって、各オープンリーディングフレームは、効率的な翻訳のためにリボソームに接近可能である。多重遺伝子は、単一のプロモーター/エンハンサーを使用して単一のメッセージを転写することで効率的に発現され得る(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,925,565号および同第5,935,819号を参照)。
iii.マルチクローニング部位
ベクターは、マルチクローニング部位(MCS)を含み得、このMCSは、複数の制限酵素部位を含む核酸領域であり、どの制限酵素部位も、ベクターを消化するために標準的な組換え技術とともに使用され得る(例えば、参照により本明細書に組み入れられるCarbonelliら、1999、Levensonら、1998、およびCocea、1997を参照)。「制限酵素消化」は、核酸分子の特定の位置でのみ機能する酵素を用いた核酸分子の触媒的切断を指す。これらの制限酵素の多くは市販されている。このような酵素の使用は、当業者によって広く理解されている。しばしば、ベクターは、MCS内で切断して外因性配列のベクターへのライゲーションを可能にする制限酵素を使用して線状化または断片化される。「ライゲーション」とは、2つの核酸断片間にホスホジエステル結合を形成するプロセスを指し、これらの断片は互いに連続していてもよいし、連続していなくてもよい。制限酵素およびライゲーション反応を伴う技術は、組換え技術の分野の技術者には周知である。
iv.スプライシング部位
殆どの転写された真核生物RNA分子は、一次転写物からイントロンを除去するためのRNAスプライシングを受ける。真核生物ゲノム配列を含むベクターは、タンパク質発現のための転写の適切なプロセシングを確実にするためにドナーおよび/またはアクセプタースプライシング部位を必要とし得る(例えば、参照により本明細書に組み入れられるChandlerら、1997を参照)。
v.終結シグナル
本発明のベクターまたは構築物は、一般的に、少なくとも1つの終結シグナルを含む。「終結シグナル」または「ターミネーター」は、RNAポリメラーゼによるRNA転写物の特定の終結に関与するDNA配列から構成されている。したがって、特定の実施形態では、RNA転写物の産生を終了させる終結シグナルが企図される。ターミネーターは、望ましいメッセージのレベルを達成するためにin vivoで必要であり得る。
真核細胞系では、ターミネーター領域は、ポリアデニル化部位を露出するために、新規な転写物の部位特異的切断を可能にする特異的DNA配列も含み得る。これは、転写物の3’末端に約200A残基(ポリA)のストレッチを付加するために特殊化した内在性ポリメラーゼにシグナルを送る。このポリA尾部で修飾されたRNA分子は、より安定しているようであり、より効率的に翻訳される。したがって、真核生物に関する他の実施形態では、ターミネーターが、RNAの切断のためのシグナルを含むことが好ましく、ターミネーターシグナルが、メッセージのポリアデニル化を促進することがさらに好ましい。ターミネーターおよび/またはポリアデニル化部位の要素は、メッセージのレベルを強めて、カセットから他の配列の通読を最小にするように機能し得る。
本発明で使用するように企図されたターミネーターには、本明細書に記載された、または当業者に公知であ任意の既知の転写のターミネーター、例えば、限定されるものではないが、遺伝子の終結配列、例えば、ウシ成長ホルモンターミネーターなど、またはウイルス終結配列、例えば、SV40ターミネーターなどが含まれる。特定の実施形態では、終結シグナルは、配列の切断などにより、転写可能な配列または翻訳可能な配列がなくてもよい。
vi.ポリアデニル化シグナル
発現、特に真核生物発現では、典型的には、転写物の適切なポリアデニル化をもたらすためのポリアデニル化シグナルが含まれる。ポリアデニル化シグナルの性質は、本発明の実施の成功にとって重要であるとは考えられていないが、任意のこのような配列が利用され得る。好ましい実施形態は、様々な標的細胞で十分に機能することが知られている便利なSV40ポリアデニル化シグナルまたはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含む。ポリアデニル化は、転写物の安定性を向上させ得る、または細胞質輸送を容易にし得る。
vii.複製の起点
宿主細胞中でベクターを増殖させるために、ベクターは、複製部位の1つまたはそれより多い起点(しばしば「ori」と呼ばれる)、例えば、上記のEBVのoriPまたは遺伝子組換えoriPに対応する核酸配列を含み得、遺伝子組換えoriPは、分化プログラミングにおける機能が同様または上昇した、複製が開始される特定の核酸配列である。あるいは、上記の他の染色体外複製ウイルスの複製起点または自複製配列(ARS)が利用され得る。
viii.選択マーカーおよびスクリーニングマーカー
本発明の特定の実施形態では、本発明の核酸構築物を含む細胞は、発現ベクター内にマーカーを含めることによって、in vitroまたはin vivoで同定され得る。このようなマーカーは、同定可能な変化を細胞に付与して、発現ベクターを含む細胞の容易な同定を可能にし得る。一般的に、選択マーカーは、選択を可能にする特性を付与するものである。正の選択マーカーは、そのマーカーの存在がその選択を可能にするものであるのに対して、負の選択マーカーは、そのマーカーの存在がその選択を阻止するものである。正の選択マーカーの例は、薬剤耐性マーカーである。
通常は、薬物選択マーカーを含めることは、形質転換体のクローニングおよび同定を助け、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、およびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子が、有用な選択マーカーである。実施の条件に基づいて形質転換体の区別を可能にする表現型を付与するマーカーに加えて、基準が比色分析であるGFPなどのスクリーニング可能なマーカーを含む他の種類のマーカーも企図される。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などの負の選択マーカーとしてスクリーニング可能な酵素が利用され得る。また、当業者であれば、場合によってはFACS分析と共に使用される免疫学的マーカーを利用する方法も知っているであろう。使用されるマーカーは、遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現可能である限り、重要であるとは考えられない。選択マーカーおよびスクリーニングマーカーのさらなる例は、当業者には周知である。本発明の1つの特徴には、選択マーカーおよびスクリーニングマーカーを用いて、分化プログラミング因子がベクターを含まない細胞で望ましい分化状態に変更した後にそれらの細胞を選択することが含まれる。
C.ベクター送達
本発明を用いたリプログラミングまたは分化プログラミングベクターの体細胞内への導入は、本明細書に記載された、または当業者に公知であろう細胞の形質転換のための核酸送達の任意の適切な方法を使用し得る。このような方法には、限定されるものではないが、ex vivoトランスフェクション(Wilsonら、1989、Nabelら、1989)、微量注入(HarlanおよびWeintraub、1985;参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,789,215号)を含む注入(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,994,624号、同第5,981,274号、同第5,945,100号、同第5,780,448号、同第5,736,524号、同第5,702,932号、同第5,656,610号、同第5,589,466号、および同第5,580,859号);エレクトロポレーション(参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,384,253号;Tur−Kaspaら、1986;Potterら、1984);リン酸カルシウム沈殿(GrahamおよびVan Der Eb、1973;ChenおよびOkayama、1987;Rippeら、1990);DEAE−デキストラン、続くポリエチレングリコールの使用(Gopal、1985);直接超音波負荷(Fechheimerら、1987);リポソーム媒介トランスフェクション(NicolauおよびSene、1982;Fraleyら、1979;Nicolauら、1987;Wongら、1980;Kanedaら、1989;Katoら、1991)、および受容体媒介トランスフェクション(WuおよびWu、1987;WuおよびWu、1988);微粒子銃(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる国際出願第94/09699号および同第95/06128号;米国特許第5,610,042号、同第5,322,783号、同第5,563,055号、同第5,550,318号、同第5,538,877号、および同第5,538,880号);炭化ケイ素繊維を用いた攪拌(Kaepplerら、1990;それぞれ参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,302,523号および同第5,464,765号);Agrobacterium媒介形質転換(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,591,616号および同第5,563,055号);プロトプラストのPEG媒介形質転換(Omirullehら、1993;それぞれ参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,684,611および同第4,952,500号);乾燥/阻害媒介DNA取り込み(Potrykusら、1985)、およびこのような方法の任意の組み合わせなどによるDNAの直接送達が含まれる。これらのような技術の適用によって、細胞小器官(複数可)、細胞(複数可)、組織(複数可)、または生物(複数可)が安定的または一過性に形質転換され得る。
i.リポソーム媒介トランスフェクション
本発明の特定の実施形態では、核酸は、例えば、リポソームなどの脂質複合体の中に閉じ込められ得る。リポソームは、リン脂質二分子膜および内部の水性媒体によって特徴付けられる小胞構造である。多重膜リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。これらは、リン脂質が過剰の水溶液中で懸濁される際に自然に生じる。脂質成分は、密閉構造が形成される前に自己再構成され、脂質二分子膜間に水および溶解した溶質を閉じ込める(GhoshおよびBachhawat、1991)。また、Lipofectamine(Gibco BRL)またはSuperfect(Qiagen)と複合体を形成した核酸も企図される。使用されるリポソームの量は、使用される細胞はもちろん、リポソームの性質によって様々であり得、例えば、細胞1,000,000〜10,000,000に対してベクターDNA約5〜約20μgが企図され得る。
in vitroでの外因性DNAのリポソーム媒介核酸送達および発現は、大成功であった(NicolauおよびSene、1982;Fraleyら、1979;Nicolauら、1987)。培養されたニワトリ胚、HeLa細胞、および肝細胞細胞における外因性DNAのリポソーム媒介送達および発現の実現性もまた実証された(Wongら、1980)。
本発明の特定の実施形態では、リポソームは、赤血球凝集ウイルス(HVJ)と複合体を形成し得る。これは、細胞膜との融合を容易にし、かつリポソームカプセル化DNAの細胞侵入を促進することを示している(Kanedaら、1989)。他の実施形態では、リポソームは、核非ヒストン染色体タンパク質(HMG−1)と複合体を形成し得る、またはこのタンパク質と共に利用され得る(Katoら、1991)。別のさらなる実施形態では、リポソームは、HVJおよびHMG−1の両方と複合体を形成し得る、またはこれらと共に利用され得る。他の実施形態では、送達ビヒクルは、リガンドおよびリポソームを含み得る。
ii.エレクトロポレーション
本発明の特定の実施形態では、核酸は、エレクトロポレーションによって細胞小器官、細胞、組織、または生物内に導入される。エレクトロポレーションは、細胞およびDNAの懸濁液の高電圧放電への曝露を含む。レシピエント細胞は、機械的創傷によって形質転換しやすくすることができる。また、使用されるベクターの量は、使用される細胞の性質によって様々であり得、例えば、細胞1,000,000〜10,000,000に対してベクターDNA約5〜約20μgが企図され得る。
エレクトロポレーションを使用する真核細胞のトランスフェクションは、かなりの成功であった。この方法で、マウス前Bリンパ球が、ヒトκ免疫グロブリン遺伝子(Potterら、1984)でトランスフェクトされ、ラット肝細胞が、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(Tur−Kaspaら、1986)でトランスフェクトされた。
iii.リン酸カルシウム
本発明の他の実施形態では、核酸が、リン酸カルシウム沈殿を用いて細胞に導入される。ヒトKB細胞が、この技術を用いてアデノウイルス5DNAをトランスフェクトされた(GrahamおよびVan Der Eb、1973)。同様に、この方法で、マウスL(A9)、マウスC127、CHO、CV−1、BHK、NIH3T3、およびHeLa細胞が、ネオマイシンマーカー遺伝子をトランスフェクトされ(ChenおよびOkayama、1987)、そしてラット肝細胞が、様々なマーカー遺伝子をトランスフェクトされた(Rippeら、1990)。
iv.DEAE−デキストラン
別の実施形態では、核酸は、DEAE−デキストラン、次いでポリエチレングリコールを用いて細胞内に送達される。この方法で、レポータープラスミドが、マウス骨髄腫細胞および赤白血病細胞内に導入された(Gopal、1985)。
v.超音波負荷
本発明のさらなる実施形態は、直接超音波負荷による核酸の導入を含む。LTK線維芽細胞は、超音波負荷によってチミジンキナーゼ遺伝子をトランスフェクトされた(Fechheimerら、1987)。
vi.受容体媒介トランスフェクション
なおさらに、核酸は、受容体媒介送達ビヒクルによって標的細胞に送達され得る。これらは、標的細胞中で起こる受容体媒介エンドサイトーシスによる分子の選択的な取り込みを利用している。様々な受容体の細胞型特異的分布から見て、この送達方法は、本発明にさらにある程度の特異性を付け加える。
特定の受容体媒介遺伝子標的ビヒクルは、細胞受容体特異的リガンドおよび核酸結合剤を含む。他のビヒクルは、送達される核酸が機能的に付着された細胞受容体特異的リガンドを含む。いくつかのリガンドが、技術の操作性を確立する受容体媒介遺伝子移入(WuおよびWu、1987;Wagnerら、1990;Peralesら、1994;Myers、欧州特許第0273085号)のために使用されてきた。別の哺乳動物細胞型の文脈における特異的送達が記載されている(参照により本明細書に組み入れられるWuおよびWu、1993)。本発明の特定の態様では、リガンドは、標的細胞集団上で特異的に発現される受容体に対応するように選択される。
他の実施形態では、細胞特異的核酸標的ビヒクルの核酸送達ビヒクル成分は、リポソームと組み合わせられた特異的結合リガンドを含み得る。送達される核酸(複数可)は、リポソーム内に収容され、特異的結合リガンドが、リポソーム膜内に機能的に取り込まれる。したがって、リポソームは、標的細胞の受容体(複数可)に特異的に結合し、内容物を細胞に送達する。このような系は、例えば、上皮成長因子(EGF)が、EGF受容体のアップレギュレーションを示す細胞への核酸の受容体媒介送達に使用される系を用いて機能的であることが示された。
なおさらなる実施形態では、標的送達ビヒクルの核酸送達ビヒクル成分は、好ましくは、細胞特異的な結合を導く1つまたはそれより多い脂質または糖タンパク質を含むリポソーム自体であり得る。例えば、ラクトシル−セラミド、ガラクトース末端アシアルガングリオシドが、リポソーム内に取り込まれ、肝細胞によるインスリン遺伝子の取り込みの増加が観察された(Nicolauら、1987)。本発明の組織特異的形質転換構築物が、同様の方法で標的細胞内に特異的に送達され得ることが企図される。
vii.微粒子銃
微粒子銃技術は、少なくとも1つの細胞小器官、細胞、組織、または生物内に核酸を導入するために使用され得る(それぞれ参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,550,318号;同第5,538,880号;同第5,610,042号;および国際出願第94/09699号)。この方法は、細胞を殺傷することなくDNA被覆微粒子発射体(DNA−coated microprojectile)を細胞膜に突き通して細胞に侵入することを可能にする高速度までDNA被覆微粒子発射体を加速させる能力に依存する(Kleinら、1987)。当技術分野で公知の様々な微粒子銃技術が存在し、その多くが本発明に適用可能である。
この微粒子銃では、1つまたはそれより多い粒子が、少なくとも1つの核酸で被覆され、推進力によって細胞内に送達され得る。小さな粒子を加速するためのいくつかの装置が開発されてきた。1つのこのような装置は、動力を順次供給する電流を生成する高電圧放電に依存する(Yangら、1990)。使用される微粒子発射体は、タングステンまたは金の粒子やビードなどの生物学的に不活性な物質からなっていた。例示的な粒子には、タングステン、白金、および好ましくは金からなるものが含まれる。場合によっては、金属粒子上へのDNA沈殿が、微粒子銃を使用するレシピエント細胞へのDNA送達に必ではないことも企図される。しかし、粒子は、DNAで被覆されるのではなく、DNAを含み得ることが企図される。DNA被覆粒子は、粒子銃によるDNA送達のレベルを上昇させ得るが、それ自体は必ではない。
微粒子発射体を撃つために、懸濁液中の細胞が、フィルターまたは固形培養培地上で濃縮される。あるいは、未成熟胚または他の標的細胞が、固形培養培地上に配置され得る。微粒子発射体を撃たれる細胞は、微粒子発射体停止プレートよりも下の適切な距離に配置される。
VI.iPS細胞の選択
本発明の特定の態様では、リプログラミングベクターが体細胞内に導入された後、細胞が、増殖のために培養され(任意選択で、トランスフェクト細胞を濃縮するために正の選択またはスクリーニングマーカーのようなベクター要素の存在について選択され)、リプログラミングベクターが、これらの細胞内でリプログラミング因子を発現し、細胞分裂と共に複製および分する。これらの発現されたリプログラミング因子は、体細胞ゲノムをリプログラミングして、自多能性状態を確立し、この最中またはベクターの存在の正の選択の除去後に、外因性遺伝子要素が徐々に消失する。これらの誘導多能性幹細胞は、多能性胚性幹細胞と実質的に同一であることが期待されているため、胚性幹細胞の特質に基づいてこれらの体細胞に由来する子孫から選択され得る。追加の負の選択ステップも、リプログラミングベクターDNAの非存在の検査または選択マーカーの使用によって、外因性遺伝子要素を本質的に含まないiPS細胞の選択を促進または助けるために利用され得る。
A.胚性幹細胞の特質についての選択
以前の研究で作製に成功したiPSCは、以下に示す点で天然単離多能性幹細胞(マウス胚性幹細胞mESCおよびヒト胚性幹細胞hESCなど)に著しく類似しているため、天然単離多能性幹細胞に対するiPSCの同一性、真正性、および多能性が裏付けられた。したがって、本発明に開示された方法で作製された誘導多能性幹細胞は、1つまたはそれより多い以下の胚性幹細胞の特質に基づいて選択され得る。
i.細胞の生物学的特性
形態:iPSCは、ESCに形態学的に類似している。各細胞は、丸い形状、大きい核小体、および少ない細胞質を有し得る。iPSCのコロニーも同様に、ESCのコロニーに類似し得る。ヒトiPSCは、hESCに類似した縁が鋭く平坦な密集したコロニーを形成し、マウスiPSCは、mESCに類似し、hESCよりも平坦ではなく、より塊状のコロニーを形成する。
増殖特性:倍加時間および有糸分裂活性は、幹細胞がその定義の一部として自己再生しなければならないため、ESCに重要なものである。iPSCは、有糸分裂活性あり、ESCと等しい速度で活発に自己再生し、増殖し、そして分裂し得る。
幹細胞マーカー:iPSCは、ESC上に発現される細胞表面抗原マーカーを発現し得る。ヒトiPSCは、限定されるものではないが、SSEA−3、SSEA−4、TRA−1−60、TRA−1−81、TRA−2−49/6E、およびNanogを含め、hESCに特異的なマーカーを発現した。マウスiPSCは、mESCと同様に、SSEA−1を発現したが、SSEA−3もSSEA−4も発現しなかった。
幹細胞遺伝子:iPSCは、Oct−3/4、Sox−2、Nanog、GDF3、REX1、FGF4、ESG1、DPPA2、DPPA4、およびhTERTを含め、未分化ESCで発現される遺伝子を発現し得る。
テロメラーゼ活性:テロメラーゼは、約50回の細胞分裂のヘイフリック限界によって制限されない細胞分裂を持続させるために必要ある。hESCは、自己再生および増殖を持続させるために高いテロメラーゼ活性を示し、iPSCもまた、高いテロメラーゼ活性を示し、テロメラーゼタンパク質複合体に必要な成分であるhTERT(ヒトテロメラーゼ逆転写酵素)を発現する。
多能性:iPSCは、ESCに類似した方式で完全に分化した組織に分化することができる。
神経分化:iPSCは、ニューロンに分化して、βIII−チューブリン、チロシンヒドロキシラーゼ、AADC、DAT、ChAT、LMX1B、およびMAP2を発現し得る。カテコールアミン関連酵素の存在は、iPSCが、hESCと同様に、ドーパミン作動性ニューロンに分化し得ることを示し得る。幹細胞関連遺伝子は、分化後にダウンレギュレートされる。
心臓分化:iPSCは、自然に鼓動を開始する心筋細胞に分化し得る。心筋細胞は、TnTc、MEF2C、MYL2A、MYHCβ、およびNKX2.5を発現した。幹細胞関連遺伝子は、分化後にダウンレギュレートされる。
奇形腫形成:免疫不全マウスに注入されたiPSCは、一定期間、例えば、9週間後に自然に奇形腫を形成し得る。奇形腫は、胚葉、中胚葉、および外胚葉の3つの胚葉に由来する組織を含む多系統の腫瘍であり:これは、典型的には1種類だけの細胞型からなる他の腫瘍とは異なっている。奇形腫形成は、多能性のランドマーク試験である。
胚様体:培養下のhESCは、「胚様体」と呼ばれる球状胚様構造を自然に形成し、この胚様体は、有糸分裂活性があって分化しているhESCのコアと3つすべての胚葉から完全に分化した末梢胞からなる。iPSCも同様に、胚様体を形成し、末梢分化細胞を有する。
胚盤胞注入:hESCは、胚盤胞の内細胞塊(胚結節)内に自然に存在し、胚結節において、胚盤胞の殻(栄養膜)が胚外組織に分化する間に胚に分化する。中空栄養膜は、生きた胚を形成することができないため、胚盤胞内の胚性幹細胞が分化して胚を形成する必要がある。レシピエントの雌に移入される胚盤胞を形成するために微量ピペットで栄養膜に注入されたiPSCは、生きたキメラ仔マウス:体全体にiPSC誘導体が10〜90%組み込まれたキメラのマウスとなり得る。
ii.後成的リプログラミング
プロモーターの脱メチル化:メチル化は、メチル基のDNA塩基への転移、典型的には、CpG部位(シトシン/グアニン配列の近傍)のシトシン分子へのメチル基の転移である。遺伝子の広範なメチル化は、発現タンパク質の活性の抑制または発現を阻害する酵素の動員によって発現を阻害する。したがって、遺伝子のメチル化は、転写の抑制によって効率的に遺伝子を沈黙させる。Oct−3/4、Rex1、およびNanogを含む多能性関連遺伝子のプロモーターは、iPSC内で脱メチル化され、それらのプロモーター活性ならびにiPSC内の多能性関連遺伝子の活発な促進および発現を示し得る。
ヒストン脱メチル化:ヒストンは、様々なクロマチン関連修飾によってそれらの活性を高めることができるDNA配列に構造的に局在する密集化タンパク質である。Oct−3/4、Sox−2、およびNanogに関連したH3ヒストンは、脱メチル化され、Oct−3/4、Sox−2、およびNanogの発現を活性化し得る。
B.痕跡を残さない特徴の選択
本発明のoriPをベースとしたプラスミドなどのリプログラミングベクターは、染色体外で複製し、何世代か後にはその存在が宿主細胞から消失する。しかし、外因性ベクター要素を本質的に含まない子孫細胞の追加の選択ステップは、このプロセスを促進し得る。例えば、子孫細胞のサンプルが、当技術分野で公知の外因性ベクター要素の存在または消失を検査するために抽出され得る(LeightおよびSugden、Molecular and Cellular Biology、2001)。
リプログラミングベクターは、選択マーカー、より具体的には、このような選択マーカーを本質的に含まない子孫細胞を選択するためにチミジンキナーゼをコードする遺伝子などの負の選択マーカーをさらに含み得る。ヒト単純ヘルペスウイルス1型チミジンキナーゼ遺伝子(HSVtk)は、哺乳動物細胞内で条件致死性マーカーとして機能する。HSVtkコード酵素は、特定のヌクレオシド類似体(例えば、抗ヘルペス剤であるガンシクロビル)をリン酸化し、これによりこれらのヌクレオシド類似体を毒性DNA複製阻害剤に変換することができる。別法または補足的な方法では、RT−PCR、PCR、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)、遺伝子アレイ、またはハイブリダイゼーション(例えば、サザンブロット法)などの従来の方法を用いて子孫細胞における外因性遺伝子要素の存在を検査する。
VII.iPS細胞の培養
開示された方法を用いてリプログラミングベクターが体細胞に導入されてから、これらの細胞が、多能性を維持するのに十分な培地で培養され得る。本発明で作製された誘導多能性幹(iPS)細胞の培養は、霊長類多能性幹細胞、特に、米国特許出願第20070238170号および同第20030211603号に記載されている胚性幹細胞を培養するために開発された様々な培地および技術を用いることができる。
例えば、ヒト胚性幹(hES)細胞と同様に、iPS細胞は、80%DMEM(Gibco #10829−018または#11965−092)、熱不活化されていない20%規定ウシ胎児血清(FBS)、1%非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、および0.1mM β−メルカプトエタノールの中に維持され得る。あるいは、ES細胞は、80%Knock−Out DMEM(Gibco #10829−018)、20%血清代替物(Gibco #10828−028)、1%非必須アミノ酸、1mM L−グルタミン、および0.1mM β−メルカプトエタノールで調製された血清を含まない培地に維持され得る。使用の直前に、約4ng/mLの最終濃度なるようにヒトbFGFが添加される(国際出願第99/20741号)。
iPS細胞は、ES細胞と同様に、SSEA−1、SSEA−3、およびSSEA−4(Developmental Studies Hybridoma Bank、National Institute of Child Health and Human Development、Bethesda Md.)、ならびにTRA−1−60およびTRA−1−81(Andrewsら、Robertson E編、Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells.IRL Press、207−246、1987)の抗体を使用して、免疫組織化学またはフローサイトメトリーによって同定され得る特徴的な抗原を有する。胚性幹細胞の多能性は、約0.5〜10×10の細胞を8〜12週齢の雄SCIDマウスの後肢筋肉内に注入することによって確認され得る。3つの胚葉のそれぞれの少なくとも1つの細胞型を示す奇形腫が発生する。
VIII.実施例
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術が、本発明者によって見出された、本発明の実施において十分に機能する技術を代表し、したがって、本発明の実施のための好ましい方法を構成すると見なされ得ることを、当業者であれば理解できよう。しかし、多くの変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく開示された特定の実施形態で可能であり、なお同様または類似の結果が得られることを当業者であれば本開示から理解できよう。
実施例1 痕跡を残さないリプログラミングプラスミドの構築
本発明者らは、EBV(LindnerおよびSugden、2007を参照)に由来する約1,000塩基対離隔したDSおよびFRを含むoriP配列ならびにδUR1として知られている野生型EBNA1の短縮型(Kennedyら、2003では、DomNeg2と呼ばれている)を含むレシピエント骨格プラスミドを構築する(図3)。プラスミドは、現在は、δUR1の発現を最大にするイントロン配列も含む延長因子1a(EF1a)プロモーターによって駆動されるδUR1を発現させるために構築される。骨格プラスミドは、現在は、ハイグロマイシン耐性をコードする哺乳動物細胞の選択マーカーを含むように構築される:しかし、耐性マーカーの選択は、プラスミドが導入される細胞系の感受性に対応するように柔軟性を保つ。同様に、プラスミドは、原核細胞選択の薬剤耐性をコードし、この場合、プラスミドは、アンピシリン耐性をコードする。
本発明者らは、リプログラミング細胞を多能性(すなわち、iPS細胞)にするのに必要であり、これに寄与する遺伝子をコードする上述のレシピエントプラスミド内に多数のカセットを組み込んだ。1つのカセットは、リプログラミングプロセスのために必須の2つの遺伝子、Sox−2およびOct−4をコードしていた(図4)。本発明者らは、Sox−2およびOct−4の発現を駆動するためにホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、サイトメガロウイルス前初期遺伝子(CMV)プロモーター、またはSV40プロモーターを使用することができるが、この選択は、その発現の効率によって変更されることもある。任意選択で、本発明者らは、転写物の発現も最大にするためにヒトβグロビン遺伝子由来の第2のイントロンも含めた。したがって、両方の遺伝子は、同じ転写物によってコードされるが、転写は、Sox−2の標準ATGおよびOct−4の脳心筋炎ウイルス由来の内部リボソーム侵入部位(IRES)から開始され得る。同様に、他のカセットは、NanogおよびLin28をコードする2シストロン転写物をコードする、またはKlf4およびc−Myc(PGKプロモーターまたは任意の他の適切なプロモーターによって駆動される)をコードし、IRESによって分離もされていた(図4)。Sox−2、Oct−4、Nanog、Lin28、Klf4、c−Myc、EBNA−1のいずれか2つ以上を含む多シストロン転写物の変形形態も使用され得る。
系の効率を最適にするために系の特定の変形形態もあり得る。最新の文献は、Lin28がリプログラミングプロセスに必ずしも必要でない可能性があるため、本発明者らが、Sox−2、Oct−4、およびNanogのみを含むようにこのプラスミド系を調整できる可能性が高いことを示唆している。さらに、選択されるIRESのタイプは、他の遺伝子セットにおいてであるが、機能することが証明されている。しかし、IRESが、適切なリプログラミングに必要な発現レベルまで促進するには不十分であることが立証され、これによりカセットが分解され得、各リプログラミング遺伝子がそれ自体のヒトプロモーターによって駆動される可能性がある。
要約すると、マスターシャトルプラスミドまたはリプログラミングプラスミドは、Sox−2、Oct−4、Nanog、および場合によりLin28をコードすることができ(図5)、その複製および維持は、oriPおよびδUR1の存在によって促進され得る。また、このプラスミドは、チミジンキナーゼなどの負の選択マーカーおよび緑色または赤色蛍光タンパク質をコードする配列などの追加の正の選択マーカーを含める将来の改変のための余地がある。
実施例2 痕跡を残さないリプログラミングプラスミドの使用
リプログラミングの成功は、この大きい(15〜20キロ基)のプラスミドの哺乳動物細胞内への効率的な導入に左右される。本発明者らは、現在は、親油性(lypophyllic)をベーとした方法を利用してDNAをヒト線維芽細胞に導入している;しかし、この方法は、トランスフェクトされる細胞型によって変更される可能性が高い。例えば、本発明者らは、DNAプラスミドの造血細胞内への導入のためにエレクトロポレーションを選択する可能性が高いであろう。細胞が適切にトランスフェクトされたら、本発明者らは、これらの細胞を、トランスフェクト細胞に適した培地を用いて、放射線照射マウス胚線維芽細胞(MEF)のベッドまたは10cmの培養皿のマトリゲルに載せる。トランスフェクトの約6日後に、培地を、リプログラミング細胞専用の培地に換え、毎日または1日置きに交換する(Yuら、2007)。
iPS細胞作製の我々の現行の方法に基づいて、本発明者らは、トランスフェクションの約20日後に幹細胞に似たコロニーを選択し、これらをMEFまたは6ウェル培養プレートのマトリゲルに移し、専用の培地を毎日または1日おきに交換するであろう。十分に増殖すると、クローンが核型になり、幹細胞に特異的な適切なマーカーについて試験する。
本明細書に開示され請求されるすべての方法は、本開示から、過度の実験をしなくても構築および実施され得る。本発明の組成物および方法が好ましい実施形態を用いて記載されてきたが、本発明の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、変形形態が、本明細書に記載された方法ならびにその方法のステップまたは順序だったステップに適用され得ることは当業者には明らかであろう。より詳細には、化学的および生理学的の両方に関連する特定の作用物質が、本明細書に記載された作用物質の代替となり得、同じまたは同様の結果が達成されるであろうことは明らかである。当業者には明らかなすべてのこのような同様の代替物および変更は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨、範囲、および概念の中に包含されると見なされる。
参照文献
以下に示す参照文献は、本明細書の記載を補足する例示的な手順または他の詳細を提供する程度まで、参照により本明細書に明確に組み入れられる。
Figure 2011522540
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Claims (33)

  1. 外因性レトロウイルス要素を本質的に含まないiPS細胞集団であって、選択されたヒト個人のゲノムまたは最終分化したヒト細胞に由来するゲノムを含むiPS細胞集団。
  2. 前記iPS細胞集団が、外因性ウイルスベクター要素を本質的に含まない、請求項1に記載のiPS細胞集団。
  3. 出発細胞集団と比較して変更された分化状態を有し、かつプログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含まない細胞を有する細胞集団を提供する方法であって
    )1つまたはそれより多い分化プログラミングベクターを得るステップであって、各ベクターが、複製起点、および組み合わせられると第1の分化状態を有する出発細胞集団の分化状態を第2の分化状態に変更することができる1つまたはそれより多い分化プログラミング因子をコードする1つまたはそれより多い発現カセットを含み、該発現カセットのうちの1つまたはそれより多くが、該複製起点に結合して染色体外の鋳型を複製するトランス作用因子をコードするヌクレオチド配列を含み、かつ/または該出発細胞集団の細胞が、このようなトランス作用因子を発現する、ステップと、
    )該分化プログラミングベクターを該出発細胞集団の細胞内に導入するステップと、
    )該細胞を培養して、該第2の分化状態に対応する形質が、該培養された細胞の少なくとも一部の細胞で生じるように1つまたはそれより多いリプログラミング因子を発現させるステップと、
    )該形質を有する細胞を十分な世代数に渡ってさらに培養して、該第2の分化状態を有するが、プログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含まない細胞を含む目的の細胞集団を提供するステップと、を含む、方法。
  4. (a)前記ステップ()または()において前記培養細胞の細胞を選択するステップであって、該細胞は、分化プログラミングベクター遺伝子要素を本質的に含まない、ステップ、および
    (b)前記ステップ()または()において前記培養細胞の細胞を選択するステップであって、該細胞は、前記分化プログラミングベクターに含まれる選択マーカーを本質的に含まない、ステップ
    からなる群より選択される追加のステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
  5. 前記選択マーカーが、単純ヘルペスウイルス−チミジンキナーゼ、抗生物質耐性因子、または蛍光タンパク質である、請求項4の(b)に記載の方法。
  6. 前記分化状態を変更することがリプログラミング、分化および分化転換からなる群より選択される、請求項に記載の方法。
  7. 前記分化状態を変更することがリプログラミングであり、前記出発細胞が、
    (a)体細胞であって、前記形質が、胚性幹細胞の1つまたはそれより多い特質と定義される、体細胞、および
    (b)線維芽細胞、ケラチノサイト、造血細胞、間葉細胞、肝細胞、胃細胞、またはβ細
    からなる群より選択される、請求項に記載の方法。
  8. 前記目的の細胞集団を分化させるステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
  9. 前記分化状態を変更することがリプログラミングであり、前記分化プログラミング因子が、Sox−2およびOct−4を含むリプログラミング因子とさらに定義される、請求項に記載の方法。
  10. 前記リプログラミング因子は、Nanog、Lin28、Klf4、またはc−Mycをさらに含む、請求項に記載の方法。
  11. 前記分化状態を変更することが分化であり、前記出発細胞が、胚性幹細胞、誘導多能性幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞、間葉幹細胞、造血前駆細胞、内胚葉前駆細胞、膵臓前駆細胞、または内皮前駆細胞である、請求項6に記載の方法。
  12. 前記分化状態を変更することが分化転換であり、前記第1の分化状態および前記第2の分化状態が最終分化である、請求項に記載の方法。
  13. 分化プログラミングベクターであって、複製起点、および該複製起点に結合して該ベクターを染色体外で複製するトランス作用因子をコードする1つまたはそれより多い発現カセット;および1つまたはそれより多い分化プログラミング因子を含む分化プログラミングベクター。
  14. 前記トランス作用因子が、EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、前記複製起点に結合すると、対応する野生型タンパク質による転写活性化の少なくとも5%で染色体外の鋳型からの転写を活性化し、かつ野生型EBNA−1と比較して低い、組み込まれた鋳型からの転写活性化能力を有する、請求項13に記載の分化プログラミングベクター。
  15. 前記誘導体が、前記対応する野生型EBNA−1の残基1〜約40をコードする第1のヌクレオチド配列、および対応する野生型EBNA−1の残基約328〜641をコードする第2のヌクレオチド配列を含む、請求項14に記載の分化プログラミングベクター。
  16. 前記分化プログラミング因子が、Sox−2、Sox−7、Sox−17、Oct−4、Nanog、Lin−28、c−Myc、Klf4、Esrrb、EBF1、C/EBPα、C/EBPβ、Ngn3、Pdx、およびMafaからなる群から選択される、請求項13に記載の分化プログラミングベクター。
  17. 前記分化プログラミング因子が、Nanog、Lin−28、Klf4、およびc−Mycからなる群から選択される1つまたは複数をさらに含む、請求項16に記載の分化プログラミングベクター。
  18. SoxファミリーメンバーおよびOctファミリーメンバーを含むリプログラミングベクターとしてさらに定義される、請求項13に記載の分化プログラミングベクター。
  19. 前記分化プログラミングベクターが、宿主細胞ゲノム内に組み込まれる能力を有していない、請求項13に記載の分化プログラミングベクター。
  20. 前記複製起点が、リンパ球向性ヘルペスウイルス、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス、または酵母の複製起点である、請求項に記載の方法。
  21. 前記複製起点が、リンパ球向性ヘルペスウイルスの複製起点であり、EBVのoriPに対応する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記リンパ球向性ヘルペスウイルスが、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、リスザルヘルペスウイルス(HS)、またはマレク病ウイルス(MDV)である、請求項20に記載の方法。
  23. 前記トランス作用因子が
    (a)EBVのEBNA−1に対応する、
    (b)EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、野生型EBNA−1と比較して低い、組み込まれた鋳型からの転写活性化能力を有する
    (c)EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、前記複製起点に結合すると、該対応する野生型タンパク質による転写活性化の少なくとも5%のレベルで染色体外の鋳型からの転写を活性化する、または
    (d)EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、EBNA−1の残基約65〜約89に対応する残基の欠失および/またはEBNA−1の残基約90〜約328に対応する残基の欠失を有する、
    求項に記載の方法。
  24. 前記誘導体が、組み込まれた鋳型からの転写を活性化する、前記野生型EBNA−1タンパク質に存在する配列を有していない、請求項23の(a)、請求項23の(b)または請求項23の(c)に記載の方法
  25. 前記誘導体は、EBNA−1の残基約65〜約89に対応する残基の欠失および/またはEBNA−1の残基約90〜約328に対応する残基の欠失を有する、請求項23の(b)または請求項23の(c)に記載の方法。
  26. 前記誘導体が、EBNA−1の残基1〜約40および残基約328〜641に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質をコードする、請求項23の(a)、請求項23の(b)または請求項23の(c)に記載の方法。
  27. 前記複製起点が、リンパ球向性ヘルペスウイルス、アデノウイルス、SV40、ウシパピローマウイルス、または酵母の複製起点である、請求項13に記載の分化プログラミングベクター。
  28. 前記複製起点が、リンパ球向性ヘルペスウイルスの複製起点であり、EBVのoriPに対応する、請求項27に記載の分化プログラミングベクター。
  29. 前記リンパ球向性ヘルペスウイルスが、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫ヘルペスウイルス(KSHV)、リスザルヘルペスウイルス(HS)、またはマレク病ウイルス(MDV)である、請求項27に記載の分化プログラミングベクター。
  30. 前記トランス作用因子が
    (a)EBVのEBNA−1に対応する、
    (b)EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、野生型EBNA−1と比較して低い、組み込まれた鋳型からの転写活性化能力を有する、
    (c)EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、前記複製起点に結合すると、前記対応する野生型タンパク質による転写活性化の少なくとも5%のレベルで染色体外の鋳型からの転写を活性化する、または
    (d)EBVのEBNA−1に対応する野生型タンパク質の誘導体であり、該誘導体は、EBNA−1の残基約65〜約89に対応する残基の欠失および/またはEBNA−1の残基約90〜約328に対応する残基の欠失を有する、請求項13に記載の分化プログラミングベクター。
  31. 前記誘導体が、組み込まれた鋳型からの転写を活性化する、前記野生型EBNA−1タンパク質に存在する配列を有していない、請求項30の(a)、請求項30の(b)、請求項30の(c)または14に記載の分化プログラミングベクター。
  32. 前記誘導体が、EBNA−1の残基約65〜約89に対応する残基の欠失および/またはEBNA−1の残基約90〜約328に対応する残基の欠失を有する、請求項30の(b)、請求項30の(c)または14に記載の分化プログラミングベクター。
  33. 前記誘導体が、EBNA−1の残基1〜約40および残基約328〜641に対して少なくとも80%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質をコードする、請求項30の(a)、請求項30の(b)、請求項30の(c)または14に記載の分化プログラミングベクター。
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