別段に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に挙げられた全ての特許および刊行物は、参照により援用される。
本明細書および請求項で使用されている通り、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他であることを示していない限り、複数についての言及を包含する。
本明細書で使用される場合、「薬剤」または「生物学的活性薬剤」は、生物学的、薬学的または化学的化合物または他の部分を指す。非限定的な例には、単純または複雑な有機または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体断片、ビタミン誘導体、炭水化物、トキシンまたは化学療法用化合物が包含される。様々な化合物、例えば、小分子およびオリゴマー(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)ならびに様々な核構造をベースとする合成有機化合物を合成することができる。加えて、植物または動物抽出物などの様々な天然源がスクリーニングのための化合物を提供し得る。当業者であれば、本発明の薬剤の構造の性質に制限がないことは容易に認めることができる。
「アゴニスト」という用語は、本明細書で使用される場合、標的タンパク質の活性を阻害するかまたは発現を阻害するかのいずれかにより、標的タンパク質の生物学的機能を開始または増強する能力を有する化合物を指す。したがって、「アゴニスト」という用語は、標的ポリペプチドの生物学的役割の文脈において定義される。本明細書で好ましいアゴニストは、標的と特異的に相互作用(例えば、結合)するが、標的ポリペプチドがそのメンバーであるシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することにより標的ポリペプチドの生物学的活性を開始または増強する化合物もまた、この定義の範囲内に特に包含される。
「アンタゴニスト」および「阻害剤」という用語は、互換的に使用され、それらは、標的タンパク質の活性を阻害するかまたは発現を阻害するかのいずれかにより、標的タンパク質の生物学的機能を阻害する能力を有する化合物を指す。したがって、「アンタゴニスト」および「阻害剤」という用語は、標的タンパク質の生物学的役割の内容において定義される。本明細書で好ましいアンタゴニストは標的と特異的に相互作用(例えば、結合)するが、標的タンパク質がメンバーであるシグナル伝達経路の他のメンバーと相互作用することにより、標的タンパク質の生物学的活性を阻害する化合物もまた、この定義の範囲内に特に包含される。LFA−1のアンタゴニストにより阻害される好ましい生物学的活性は例えば、それぞれ炎症性疾患または自己免疫疾患と表される望ましくない炎症性障害または免疫応答と関連している。
「直接競合阻害剤」または「直接競合アンタゴニスト」は、生物学的標的分子の活性部位に直接結合して、基質がそれに結合するのを直接的に妨げる生体分子、ペプチドおよび合成小有機分子を包含するリガンドを指す。例えば、LFA−1およびICAM−1の相互作用の直接競合阻害剤は、LFA−1に、ICAM−1が結合する部位で結合して、ICAM−1の結合を直接的に妨げる。
「アロステリック阻害剤」は、本明細書で使用される場合、阻害されるべき相互作用の結合部位以外の部位で生物学的標的分子に結合する生体分子、ペプチドおよび合成小有機分子を包含するリガンドを指す。相互作用は、生物学的標的分子の形状を変化させて、生物学的標的分子とその基質との通常の複合体を破壊する。このことが、このような複合体形成の通常の活性の阻害をもたらす。例えば、LFA−1およびICAM−1の相互作用のアロステリック阻害剤は、ICAM−1が結合する部位以外の部位でLFA−1に結合するが、LFA−1およびICAM−1の相互作用が低減するようにICAM−1の結合部位を破壊する。
生物学的活性薬剤に適用される「選択的阻害」または「選択的に阻害する」という用語は、標的との直接的または間接的相互作用を介して、標的シグナル伝達活性を、標的でないシグナル伝達活性よりも選択的に低減する薬剤の能力を指す。
「Th1」および「Th2」は、本明細書で使用される場合、それらが産生および応答するサイトカインならびにそれらが関与している免疫応答により区別される2種の異なる細胞型Th1およびTh2で見出されるヘルパーT細胞を指す。Th1細胞は、IFN−g、TNF−bおよびIL−2などの炎症促進性サイトカインを産生し、Th2細胞は、サイトカインIL−4、IL−5、IL−6およびIL−13を産生する。
「抗癌剤」、「抗腫瘍剤」または「化学療法剤」は、新生物状態の治療で有用な任意の薬剤を指す。抗癌剤の一群は、化学療法剤を含む。「化学療法」は、1種または複数の化学療法薬および/または他の薬剤を癌患者に、静脈内、経口、筋肉内、腹腔内、膀胱内、皮下、経皮、頬もしくは吸入または坐剤の形態を包含する様々な方法により投与することを意味する。
「細胞増殖」という用語は、分裂の結果として細胞数が変化する現象を指す。この用語はまた、増殖シグナルと一致して細胞形態が変化(例えば、大きさの増大)している細胞成長を包含する。
「同時投与」、「〜と組み合わせての投与」という用語およびその文法的同意語は、本明細書で使用される場合、2種以上の薬剤を動物に投与して、両方の薬剤および/またはその代謝産物が同時にその動物中に存在するような投与を包含する。同時投与は、別々の組成物での同時投与、別々の組成物での時間を違えての投与または両方の薬剤が存在する1つの組成物での投与を包含する。
「有効量」または「治療有効量」という用語は、これらに限定されないが、下記で定義される疾患治療を包含する目的の用途を達成するのに十分な本明細書に記載されている化合物の量を指す。治療有効量は、目的の用途(in vitroまたはin vivo)または治療される被験体および疾患状態、例えば、被験体の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与方法などに応じて変動し得るが、これは、当業者であれば容易に決定することができる。この用語はまた、標的細胞において特定の応答、例えば、血小板接着および/または細胞移動の低減を誘発する用量にも当てはまる。具体的な用量は、選択される具体的な化合物、従われる投与計画、他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、投与される組織および担持される物理的送達系に応じて変動する。
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療すること」または「緩和」または「改善」は本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、これらに限定されないが、治療的利益および/または予防上の利益を包含する有利な結果または所望の結果を得るための手法を指している。治療的利益とは、治療される基礎障害の根絶または改善を意味する。また、治療的利益は、患者が依然として基礎障害に苦しめられていることもあるが、患者において改善が観察されるように、基礎障害に関連する生理的症状の1つまたは複数を根絶または改善することで達成される。予防的利益に関して、特定の疾患を発症するリスクのある患者に、または疾患の1つまたは複数の生理的症状を報告している患者に、まだこの疾患の診断が下されていなくても、組成物を投与することができる。この組成物は、生理的症状の進行を予防するために、または基礎障害の進行を予防するために、投与され得る。
「治療効果」は、この用語が本明細書で使用される場合、上記の治療的利益および/または予防上の利益を包含する。予防作用には、疾患もしくは状態の出現の遅延もしくは除去、疾患もしくは状態の症状の発症の遅延もしくは除去、疾患もしくは状態の進行の遅延、停止もしくは反転またはそれらの任意の組合せが包含される。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、薬学的使用のため、好ましくは過度の刺激、アレルギー応答などを伴わずにヒトおよび下等動物の組織中で使用するのに適した塩を指す。アミン、カルボン酸および他のタイプの化合物の薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれるJ Pharmaceutical Sciences、66巻:1〜19頁(1977年)において薬学的に許容される塩について詳述している。塩は、本発明の化合物の最終単離および精製中にその場で、または下記で一般的に記載されるように遊離塩基官能基もしくは遊離酸官能基を適切な試薬と反応させることにより別に調製できる。例えば、遊離塩基官能基を、適切な酸と反応させることができる。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、それらの適切な薬学的に許容される塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウムもしくはカリウム塩;およびアルカリ土類金属塩、例えばカルシウムもしくはマグネシウム塩などの金属塩が包含され得る。薬学的に許容される無毒性酸付加塩の例は、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸を用いて、またはイオン交換などの当技術分野において使用される他の方法を用いて形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩(hernisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが包含される。代表的なアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが包含される。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合は、薬物カルボン酸との直接的な反応により、またはハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用することにより形成される無毒性のアンモニウム、第4級アンモニウムおよびアミンカチオンが包含される。
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」には、任意および全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが包含される。薬学的活性物質のためのこのような媒質および薬剤の使用は当分野では周知である。任意の慣用の媒質または薬剤が活性成分と不相容性である場合を除いて、本発明の治療用組成物中でのその使用が企図される。補充の活性成分をまた、組成物中に組み込むことができる。
「プロドラッグ」は、生理学的条件下で、または加溶媒分解により本明細書に記載されている生物学的に活性な化合物へ変換され得る化合物を示すことが意味されている。したがって、「プロドラッグ」という用語は、薬学的に許容される生物学的活性化合物の前駆体を指す。プロドラッグは、被験体に投与されたときには不活性である、即ちエステルであり得るが、in vivoで活性化合物に、例えば、加水分解により遊離カルボン酸に変換される。プロドラッグ化合物は、哺乳動物の生体中で溶解性、組織相容性または遅延放出の利点を示すことが多い(例えば、Bundgard,H.、Design of Prodrugs(1985年)、7〜9頁、21〜24頁(Elsevier、Amsterdam)を参照されたい)。プロドラッグに関する論述は、いずれも参照によりその全体が本明細書に援用されるHiguchi,T.ら、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S. Symposium Series、14巻およびBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B. Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年に示されている。「プロドラッグ」という用語はまた、そのようなプロドラッグが哺乳動物被験体に投与された場合にin vivoで活性化合物を放出する任意の共有結合担体を包含することが意味される。本明細書で記載される場合、活性化合物のプロドラッグは、その改変が日常的な操作で、またはin vivoで切断されて親の活性化合物になるように活性化合物中に存在する官能基を改変することにより調製することができる。プロドラッグには、ヒドロキシ、アミノまたはメルカプト基が、活性化合物のプロドラッグが哺乳動物被験体に投与された場合に切断して遊離ヒドロキシ、遊離アミノまたは遊離メルカプト基をそれぞれ形成する任意の基に結合している化合物が包含される。プロドラッグの例には、これらに限定されないが、アルコールまたはアセトアミドの酢酸エステル、ギ酸エステルおよび安息香酸エステル誘導体、活性化合物中のアミン官能基のホルムアミドおよびベンズアミド誘導体などが包含される。
「局所治療」は、本明細書で使用される場合、薬物が局所的に送達され、全身的送達を介して送達されない免疫障害または炎症性障害の治療を指す。これには、例えば、薬物が胃腸粘膜にGI管の管腔内から送達される胃腸管の範囲内の多くの異なる局所範囲またはいくつかの異なる局所範囲が包含され得る。他の例は、皮膚の治療であり、この場合、薬物を、皮膚上の多くの異なる位置に、またはいくつかの異なる位置に塗布し得、薬物は、皮膚を介しての吸収により、皮膚内および皮膚に隣接する組織に送達される。別法では、薬物を、肛門粘膜に坐剤を介して送達し、下部GI管の粘膜内およびそれに隣接する組織に上皮表面を介して吸収させることができる。
「局所送達」は、本明細書で使用される場合、薬物化合物が治療的使用の部位に運ばれることを指す。これには例えば、製剤を、治療される皮膚の範囲に直接塗布すること、製剤を治療される皮膚の領域に噴霧すること、製剤を鼻腔内に噴霧または吸入させて、薬物を鼻孔通路に投与すること、または眼に点眼液を点眼して眼を治療することが包含される。本発明では、「局所送達」はまた、胃腸管に運ばれて、薬物が胃腸粘膜と接触し、そこで薬物が周囲組織に吸収されて治療効果を発揮するが、血液循環系からその部位に直接送達されることはないような製剤の経口または経鼻投与を包含する。
「局所組織濃度」は本明細書で使用される場合、LFA−1アンタゴニストが送達および吸収されている組織範囲内でのLFA−1アンタゴニストの濃度を指す。
「被験体」は、哺乳動物、例えば、ヒトなどの動物を指す。本明細書に記載されている方法は、ヒト治療および獣医学的用途の両方で有用であり得る。一部の実施形態では、患者は、哺乳動物であり、一部の実施形態では、患者はヒトである。
「in vivo」という用語は、被験体の体で生じる事象を指す。
「in vitro」という用語は、被験体の体の外側で生じる事象を指す。例えば、in vitroアッセイは、被験体アッセイの外側で行われる任意のアッセイを包含する。in vitroアッセイは、生細胞または死細胞が使用される細胞ベースのアッセイを包含する。in vitroアッセイはまた、無傷の細胞(intact cell)は使用されない無細胞アッセイも包含する。
別段に述べられていない限り、本明細書に示されている構造はまた、1個または複数の同位体富化された原子の存在においてのみ異なる化合物を包含することが意味されている。例えば、水素がジュウテリウムまたはトリチウムに置き換えられていること、または炭素が13C−または14C−富化炭素により置き換えられていることを除いて、示されている構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
本発明の化合物はまた、その化合物を構成する1個または複数の原子のところで不自然な割合の原子同位体を含有してもよい。例えば、化合物は、例えば、トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)などの放射性同位体で放射性標識されていてもよい。本発明の化合物の全ての同位体変形物が、放射性であってもなくても、本発明の範囲内に包含される。
範囲が本明細書で、分子量などの物理的特性または化学式などの化学的特性に関して使用される場合、範囲の全ての組合せおよび下位組合せならびにその特定の実施形態が包含されることが意図されている。「約」という用語は、数または数値範囲に関している場合、挙げられている数または数値範囲が実験変動性の範囲内(または統計的実験誤差の範囲内)の近似であることを意味しているので、数または数値範囲は、例えば、述べられた数または数値範囲の1%から15%の間で変動し得る。「含んでいる(comprising)」という用語(および「含む(comprise)」 または 「含む(comprises)」または「有している(having)」または「包含している(including)」などの関連用語)には、記載されている特徴「からなる(consist of)」、または「本質的にそれからなる(consist essentially of)」実施形態、例えば、任意の物質の組成、組成物、方法またはプロセスなどの実施形態が包含される。
本明細書で使用される略語は、化学的および生物学的分野の範囲内の慣用の意味を有する。
本明細書で使用される場合、「脂肪族」という用語は、1つまたは複数の官能基で場合により置換される飽和および不飽和両方の、直鎖(非分枝鎖)または分枝鎖脂肪族炭化水素を包含する。当業者には理解されるように、「脂肪族」は、本明細書では、これらに限定されないがアルキル、アルケニル、アルキニル部分を包含することが意図されている。したがって、本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、直鎖および分枝鎖のアルキル基を包含する。類似の規則は、「アルケニル」、「アルキニル」などのような他の一般名にも当てはまる。
さらに、本明細書で使用される場合、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などの用語は置換基および非置換基の両方を包含する。ある種の実施形態では、本明細書で使用される場合、「低級アルキル」は、約1〜6個の炭素原子を有する(置換、非置換、分枝鎖または非分枝鎖)のアルキル基を示すために使用される。
ある種の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。ある種の他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、約1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、約1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらになお他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、約1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、約1〜4個の炭素原子を含有する。したがって具体的な脂肪族基には、例えば、これらに限定されないが、同様に1つまたは複数の置換基を有していてよいメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、アリル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル部分などが包含される。
アルケニル基には、これらに限定されないが、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニルなどが包含される。代表的なアルキニル基には、これらに限定されないが、エチニル、2−プロピニルなどが包含される。
本明細書で使用される場合、「低級アルキレン」という用語は、2つの他の基を一緒に結合する、即ちいずれかの端で例えばメチレン、エチレン、ブチレンなどの別の基に結合されている炭化水素鎖を指す。そのような置換基は、好ましくは、1から10個の炭素、より好ましくは1から5個の炭素である。そのような基は、好ましくはアミノ、アセチルアミノ(窒素原子を介して結合された低級アルキルカルボニル基)またはシクロ低級アルキル基で置換されていてもよい。後者は、好ましくは全部で3から10個(結合した炭素を含めて)、より好ましくは3から6個のメチレンを備える飽和炭化水素環を意味する。
本明細書で使用される場合、「脂環式」という用語は、脂肪族および環状化合物の特性を併せ持つ化合物を指しており、これらに限定されないが、1つまたは複数の官能基で場合により置換される単環式もしくは多環式脂肪族炭化水素および架橋シクロアルキル化合物が包含される。
当業者には理解されるように、「脂環式」は、本明細書では、これらに限定されないが、1つまたは複数の官能基で場合により置換されるシクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニル部分を包含することが意図されている。
例示的な脂環式基には、これらに限定されないが、例えば、同様に1つまたは複数の置換基を有していてよいシクロプロピル、−CH2−シクロプロピル、シクロブチル、−CH2−シクロブチル、シクロペンチル、−CH2−シクロペンチル、シクロヘキシル、−CH2−シクロヘキシル、シクロヘキセニルエチル、シクロヘキサニルエチル、ノルボルニル部分などが包含される。
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」もしくは「アルキルオキシ」という用語は、酸素原子を通した飽和もしくは不飽和の親分子部分を指す。ある種の実施形態では、アルキル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。ある種の他の実施形態では、アルキル基は、約1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル基は、約1〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、アルキル基は、約1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、アルキル基は、約1〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。アルコキシの例には、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ネオペントキシ、n−ヘキシルオキシなどが包含される。
本明細書で使用される場合、「低級アルコキシ」という用語は、上記でも定義された通り分枝鎖または非分枝鎖であってよく、酸素によって他の基に結合している上記で定義された低級アルキル(即ち、アルキルエーテル)を指す。
「アルキルアミノ」という用語は、構造−NHR’(式中、R’は、本明細書に定義された通りのアルキルである)を有する基を指す。「アミノアルキル」という用語は、構造NH2R’−(式中は本明細書で定義された通りである)を有する基を指す。ある種の実施形態では、アルキル基は、約1〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。ある種の他の実施形態では、アルキル基は、約1〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、本発明で使用されるアルキル基は、約 個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、アルキル基は、約1〜6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、アルキル基は、約1〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。アルキルアミノの例には、これらに限定されないが、メチルアミノなどが含まれる。
本発明の化合物の上記脂肪族(およびその他の)部分の置換基の一部の例には、これらに限定されないが、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオが包含され;Rxには独立して、これらに限定されないが、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリール(ここで、上記および本明細書に記載した脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換、分枝鎖または非分枝鎖、飽和または不飽和であってよく、上記および本明細書に記載されたアリールまたはヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換であってよい)が包含される。一般的に適用できる置換基の追加の例は、本明細書に記載される実施例の項に示された特定の実施形態により具体的に説明する。
一般に、本明細書で使用する「芳香族部分」という用語は、それぞれ置換または非置換であってよい、好ましくは3〜14個の炭素原子を有する安定な単環式もしくは多環式の不飽和部分を指す。ある種の実施形態では、「芳香族部分」という用語は、各環原子において環の平面に垂直なp−軌道を有し、環内のπ電子の数が(4n+2)(式中、nは整数である)であるヒュッケル則を満たす平面環(planar ring)を指す。芳香族性についてこれらの基準の1つもしくは全部を満たさない単環式または多環式不飽和部分は、本明細書では「非芳香族」と定義され、「脂環式」という用語に包含される。
一般に、本明細書で使用される場合、「ヘテロ芳香族部分」という用語は、それぞれ置換もしくは非置換であってよく;環炭素原子の代わりに環内にO、S、およびNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む、好ましくは3〜14個の炭素原子を有する安定な単環式もしくは多環式の不飽和部分を指す。ある種の実施形態では、「ヘテロ芳香族部分」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、各環原子において環の平面に垂直なp−軌道を有し、環内のπ電子の数が(4n+2)(式中、nは整数である)であるヒュッケル則を満たす平面環を指す。
また、本明細書で定義された芳香族およびヘテロ芳香族部分は、アルキルまたはヘテロアルキル部分を介して結合されてよく、したがってまた、−(アルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族および−(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族部分も包含されることは理解されるであろう。したがって、本明細書で使用される場合、「芳香族もしくはヘテロ芳香族部分」および「芳香族、(ヘテロアルキル)芳香族、−(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族および(ヘテロアルキル)ヘテロ芳香族」という語句は互換可能である。置換基には、これらに限定されないが、安定な化合物の形成をもたらす上述した置換基のいずれか、例えば脂肪族部分について、または本明細書に開示された他の部分について言及された置換基が包含される。
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、当分野におけるこの用語の一般的な意味と大きく相違せず、少なくとも1つの芳香族環を含む不飽和環式部分を指す。ある種の実施形態では、「アリール」は、これらに限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどを包含する1つまたは2つの芳香族環を有する単環式または二環式炭素環系を指す。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、当分野における本用語の一般的意味と大きく相違しておらず、5から10個の環原子を有し、そのうちの1個の環原子はS、およびNから選択され、0、1または2個の環原子はSおよびNから独立して選択される追加のヘテロ原子であり;残りの環原子は炭素である環状芳香族ラジカルを指し、この際、このラジカルは例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなどの環原子のいずれかを介して分子の残りへ結合している。
アリールおよびヘテロアリール基(二環式アリール基を含む)は非置換もしくは置換であってよく、この場合、置換は、その上の1つまたは複数の水素原子を、これらに限定されないが:脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(=O)Rx;−C(=O)N(Rx)2;−OC(=O)Rx;−OCO2Rx;−OC(=O)N(Rx)2;−N(Rx)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(式中、Rxの各々の出現は独立して、これらに限定されないが、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールを包含し、ここで、上記および本明細書に記載された脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基はいずれも置換または非置換、分枝鎖または非分枝鎖、飽和または不飽和であってよく、上記および本明細書に記載された芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、−(アルキル)アリールまたは−(アルキル)ヘテロアリール置換基はいずれも置換もしくは非置換であってよい)を包含する任意の1つまたは複数の上記部分で独立して置き換えることを包含することは理解されるであろう。加えて、任意の2つの隣接基は一緒になって、4員、5員、6員または7員の置換または非置換脂環式または複素環式部分を表すことがあることも理解されるであろう。一般に適用できる置換基の追加の例は、本明細書に記載される実施例において示された特定の実施形態により具体的に説明する。
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、詳細には3から7個、好ましくは3から10個の炭素原子を有する基を指す。適切なシクロアルキルには、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族もしくは複素環式部分の場合のように、これらに限定されないが、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(=O)Rx;−C(=O)N(Rx)2;−OC(=O)Rx;−OCO2Rx;−OC(=O)N(Rx)2;−N(Rx)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(式中、Rxの各々の出現は独立して、これらに限定されないが脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールを包含し、ここで、上記および本明細書に記載された脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基は、いずれも置換または非置換、分枝鎖または非分枝鎖、飽和または不飽和であってよく、上記および本明細書に記載された芳香族、ヘテロ芳香族、アリールまたはヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換であってよい)を包含する置換基で場合により置換されていてもよいシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが包含される。一般に適用できる置換基の追加の例は、本明細書に記載されている実施例において示された具体的な実施形態により説明する。
本明細書で使用される場合、「ヘテロ脂肪族」という用語は、主鎖中の1つまたは複数の炭素原子がヘテロ原子で置換されている脂肪族部分を指す。そこで、ヘテロ脂肪族基は、例えば炭素原子の代わりに、1つまたは複数の酸素、硫黄、窒素、リンもしくはケイ素原子を含有する脂肪族鎖を指す。ヘテロ脂肪族部分は、直鎖または分枝鎖、そして飽和または不飽和であってよい。ある種の実施形態では、ヘテロ脂肪族部分は、その上の1つまたは複数の水素原子が、これらに限定されないが、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;アルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(=O)Rx;−C(=O)N(Rx)2;−OC(=O)Rx;−OCO2Rx;−OC(=O)N(Rx)2;−N(Rx)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(式中、Rxの各々の出現は独立してこれらに限定されないが、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールを包含し、ここで、上記および本明細書に記載された脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基はいずれも置換または非置換、分枝鎖または非分枝鎖、飽和または不飽和であってよく、上記および本明細書に記載された芳香族、ヘテロ芳香族、アリールまたはヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換であってよい)を包含する1つまたは複数の部分で独立に置き換えられていることにより置換されている。一般に適用できる置換基の追加の例は、本明細書に記載されている実施例において示された具体的な実施形態により説明する。
本明細書で使用する「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」または「複素環式」という用語は、ヘテロ脂肪族化合物および環式化合物の特性を併せ持つ化合物を指し、これらに限定されないが、5〜16個の原子を有する飽和および不飽和の単環式もしくは多環式環系(ここで、少なくとも1つの環原子はSおよびN(ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよい)から選択されるヘテロ原子であり、環系は場合により本明細書に定義された1つまたは複数の官能基で置換されている)が含まれるがそれらに限定されない。ある種の実施形態では、「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」または「複素環式」という用語は、これらに限定されないが、酸素、硫黄および窒素から独立に選択される1から3個の間のヘテロ原子を有する縮合6員環を含む二環式または三環式基を包含する、少なくとも1つの環原子が、SおよびNから選択されるヘテロ原子である(ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよい)非芳香族の5員、6員もしくは7員環もしくは多環式基を指し、ここで、(i)5員環はそれぞれ0から2個の二重結合を有し、6員環はそれぞれ0から2個の二重結合を有し、7員環はそれぞれ0から3個の二重結合を有し、(ii)窒素および硫黄ヘテロ原子は場合により酸化されていてもよく、(iii)窒素ヘテロ原子は場合により四級化されていてもよく、(iv)上記の複素環はいずれもアリール環もしくはヘテロアリール環に縮合していてよい。代表的な複素環には、これらに限定されないが、フラニル、ピラニル、ピロリル、チエニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソキサゾリジニル、ジオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル、チアトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、ジチアゾリル、ジチアゾリジニル、テトラヒドロフリルおよびそれらのベンゾ融合誘導体などの複素環が包含される。ある種の実施形態では、「置換複素環またはヘテロシクロアルキルまたは複素環式」基が利用され、これは、本明細書で使用される場合、その上の1つ、2つもしくは3つの水素原子が、これらに限定されないが、脂肪族;脂環式;ヘテロ脂肪族;複素環式;芳香族;ヘテロ芳香族;アリール;ヘテロアリール;アルキルアリール;ヘテロアルキルアリール;アルキルヘテロアリール;ヘテロアルキルヘテロアリール;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO2;−CN;−CF3;−CH2CF3;−CHCl2;−CH2OH;−CH2CH2OH;−CH2NH2;−CH2SO2CH3;−C(=O)Rx;−C(=O)N(Rx)2;−OC(=O)Rx;−OCO2Rx;−OC(=O)N(Rx)2;−N(Rx)2;−S(O)2Rx;−NRx(CO)Rx(式中、Rxの各々の出現は独立に、これらに限定されないが、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリールまたはヘテロアルキルヘテロアリールを包含し、ここで、上記および本明細書に記載された脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換、分枝鎖または非分枝鎖、飽和または不飽和であってよく、上記および本明細書に記載された芳香族、ヘテロ芳香族、アリールまたはヘテロアリール置換基はいずれも、置換または非置換であってよい)で独立に、置き換えられていることにより置換されている上記で定義された通りの複素環またはヘテロシクロアルキルまたは複素環式基を指す。加えて、上記および本明細書に記載された脂環式または複素環式部分はいずれも、それに縮合したアリールまたはヘテロアリール部分を含んでいてよいことは理解されるであろう。
本明細書で使用される「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
「ハロアルキル」という用語は、それに結合した1、2、もしくは3個のハロゲン原子を有する上記で定義された通りのアルキル基を意味しており、クロロメチル、ブロモメチル、トリフルオロメチルなどのような基により例示される。
本明細書で使用される「アミノ」という用語は、第1級(−NH2)、第2級(−NHRx)、第3級(−NRxRy)または第4級アミン(−N+RxRyRz)(式中、RyおよびRzは独立に、本明細書に定義された通りの脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分である)を指す。アミノ基の例には、これらに限定されないが、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ジエチルアミノカルボニル、イソプロピルアミノ、ピペリジノ、トリメチルアミノおよびプロピルアミノが包含される。
本明細書で使用される場合、「アシル」という用語は、一般式−C(=O)R(式中、Rは、本明細書に定義された通りの脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族またはヘテロ芳香族部分である)を有する基を指す。
本明細書で使用される場合、「スルホンアミド」という用語は、一般式−SO2NRxRyの基(式中、RxおよびRyは独立に、水素または本明細書に定義された通りの脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族もしくはアシル部分である)を指す。
本明細書で使用される場合、「ベンズアミド」という用語は、一般式PhNRx(式中、Rxは、水素または本明細書に定義された通りの脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、芳香族、ヘテロ芳香族もしくはアシル部分である)の基を指す。
本明細書で使用される場合、「脂肪族」、「ヘテロ脂肪族」、「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」などの用語は、置換および非置換、飽和および不飽和、ならびに直鎖および分枝鎖の基を包含する。同様に、「脂環式」、「複素環式」、「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」などの用語は、置換および非置換、ならびに飽和および不飽和の基を包含する。加えて、「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「シクロアルキニル」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルケニル」、「ヘテロシクロアルキニル」、「芳香族」、「ヘテロ芳香族」、「アリール」、「ヘテロアリール」などの用語は、置換基および非置換基の両方を包含する。
本明細書で使用される場合、「天然アミノ酸」という用語は、天然に生じるタンパク質中に見出される一般に天然に生じるL−アミノ酸:グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、リシン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、フェニルアラニン(Phe)、チロシン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(GIu)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、システイン(Cys)およびメチオニン(Met)のいずれか1種を指す。
本明細書で使用される場合、「非天然アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸ではない全てのアミノ酸を指す。これには、例えば、α−、β−、D−、L−アミノ酸残基および一般式:
[式中、側鎖Rは、天然に生じるアミノ酸側鎖以外である]
の化合物が包含される。
本発明は、胃腸系への送達を使用して炎症性疾患および障害を治療する製剤化LFA−1アンタゴニストまたは薬学的に許容される塩および方法を提供する。製剤を、例えば、迅速な全身クリアランス速度を有することにより、胃腸粘膜の局所治療に十分に適合させ得る。本発明の製剤は、治療有効量のLFA−1アンタゴニストを胃腸組織に局所的に送達するが、全身からのLFA−1アンタゴニストのクリアランス速度が高いので、LFA−1アンタゴニストの全身濃度は、治療有効濃度未満のままである。局所的に送達される局所LFA−1アンタゴニスト療法の利点には、目的の部位への高濃度の活性化合物の送達、活性化合物の迅速な送達およびより低い全身循環レベルによる低い全身作用が包含される。
胃腸組織へのLFA−1アンタゴニストの送達
本発明は、治療剤としてLFA−1アンタゴニストを含有する製剤を提供する。本発明のLFA−1アンタゴニスト製剤を、炎症性疾患および障害または免疫関連疾患および障害を治療するために使用する。胃腸(GI)系、例えば、口、喉、舌、胃、食道、小腸(十二指腸、空腸または回腸を包含)または大腸(盲腸または結腸を包含)の臓器および組織への製剤の送達は、迅速な全身クリアランス速度を有することにより、局所治療をもたらす。
ICAMとのLFA−1相互作用は、体全体で様々な全身作用を発揮する。LFA−1アンタゴニストを使用しての障害の治療は、例えば投与部位以外の望ましくない位置でのLFA−1アンタゴニスト活性による望ましくない作用をもたらすこともある。本発明は、全身循環からは急速に除去されるLFA−1アンタゴニストを利用する。炎症性障害または免疫障害の部位への胃腸送達を利用することにより、望ましくない全身作用は最小化される。本発明のLFA−1アンタゴニストは典型的には、最小の全身LFA−1アンタゴニスト活性を有する。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、検出不可能な全身LFA−1アンタゴニスト活性を有し得る。
全身クリアランス速度は、当技術分野で公知の様々な手段により算出することができる。例えば、薬物でのクリアランス速度を、製剤を投与した後、例えば、単回静脈内注射または経口投与の後の血漿からの薬物の消失速度に関する薬物濃度時間プロファイルを分析することから算出することができる。消失速度を、薬物の放射性同位元素標識された形態の吸収、分布、代謝および排泄を分析することにより、または液体クロマトグラフィー−質量分析法(LCMS)もしくはガスクロマトグラフィーまたはHPLC法(Sapirsteinら、1955年、Am. Jour. Physiol.、181巻、330頁;米国特許第4,908,202号)などの血漿中の薬物レベルを測定する他の手段により、測定することができる。例として、物質の血漿レベル(血漿試料の分析により決定される)が一定になり、注入速度が血漿からのクリアランス速度とその点で等しくなる平衡が達成されるまで、連続的な静脈内注入により製剤を被験体に導入することにより、クリアランス速度を算出することができる(Earleら、1946年、Proc. Soc. Exp. Biol. Med.、62巻、262頁から)。
迅速な全身クリアランスは、肝臓、腎臓または他の臓器でのクリアランスまたは代謝を介し得る。ラットの肝臓を介してのクリアランス速度のデータを、選択された化合物に関して図1に示す(実施例11も参照されたい)。クリアランスが特定の臓器で生じる場合には、クリアランス速度は、特定の臓器への血流に関連している。化合物が特定の種で除去される機構を知ることにより、他の動物でのクリアランス速度を、相対寸法変換(allometric scaling)により算出することができる。例えば、本発明の化合物、化合物12は、ラットの肝臓を介して除去されることが公知である。ラットで算出されたクリアランス速度を元に、化合物のクリアランスを、様々な動物に関して、公知のラットでの血流を他の動物と比較することを元に寸法変換する(scale)ことができる(DaviesおよびMorris、「Physiological Parameters in Laboratory Animals and Humans」Pharmaceutical Research(1993年)10巻:1093〜5頁を参照されたい)。本発明のLFA−1アンタゴニストは、ヒトに寸法変換すると心拍出量、肝臓血流または腎臓血流を達成する全身クリアランス速度を有し得る。寸法変換は、心拍出量、肝臓血流または腎臓血流のパーセントに基づき得る。例えば、ラット肝臓血流の100%は、約55mL/分/Kgであり、ヒト肝臓血流の100%は、約20mL/分/kgであろう。一部の実施形態では、本発明の組成物は、肝臓血流の少なくとも5%のクリアランス速度を有する。ヒトでは、これは、1mL/分/kgのクリアランス速度を意味するであろう。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、ヒトでの肝臓血流速度の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%のクリアランス速度を有する(20mL/分/kgのヒト肝臓でのクリアランス速度であろう)。さらに他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、ヒトでの肝臓血流速度の少なくとも約110%、120%、130%、140%、150%、175%、200%、220%、240%、260%、280%、300%、320%、340%、360%、380%、400%、420%、440%、460%、480%または500%のクリアランス速度を有する。
本発明のクリアランス速度は、約1〜500mL/分/kgのヒトに寸法変換されたクリアランス速度を包含し得る。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約1mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約2mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約3mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約5mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約7mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約10mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約15mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約20mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約25mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約30mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約40mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約50mL/分/kg以上の全身クリアランス速度を有し得る。さらに他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、少なくとも約60、65、70、75、80、85、90、95または100mL/分/kgの全身クリアランス速度を有し得る。
本発明の他の態様では、本発明のLFA−1アンタゴニストは、LFA−1のICAM−1への結合に対して阻害効果を有する。本発明のLFA−1アンタゴニストの阻害効果は、ICAM−1をコーティングしたプレートへの直接的な細胞結合、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)またはバイオセンサーの使用を包含する様々な当技術分野で公知の結合アッセイのいずれかを使用して試験することができる。薬物の阻害効果は典型的には、生物学的プロセスの50%を阻害するためにどれほどの化合物が必要であるかを測定するIC50値として測定される。例えば、本発明のLFA−1アンタゴニストは、ICAM−1へのT細胞結合などの生物学的プロセスを50%以上阻害することができる。別法では、阻害効果を、薬物が機能して所望の作用の50%を達成する有効濃度を測定するEC50値として算出することができる。例えば、EC50値を測定して、LFA−1を発現するT−細胞のICAM−1への結合の阻害を算出することができる。例えば、T−細胞系HuT78(ATCC TIB−161)を、徐々に濃度を上げたLFA−1アンタゴニストの存在下で、ICAM−1をコーティングしたプレートに結合させることができる。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、LFA−1およびICAM−1の相互作用の直接競合阻害剤である。LFA−1アンタゴニストでの競合結合実験の例は、当技術分野で、例えば、その内容が参照により本明細書に明らかに援用される米国特許出願公開第2005/0148588号および米国特許仮出願第60/999,571号に記載されている。(また、Gadekら、Science、295巻、1086〜1089頁、(2002年)およびKeatingら、Protein Science、15巻、290〜303頁、(2006年)も参照されたい)。EC50またはIC50を、下記の実施形態において使用することができる。このようなアッセイを、直接競合阻害剤である阻害剤を同定するために使用することができる。
LFA−1アンタゴニストは、ICAM−1をコーティングしたプレートへのHuT78細胞結合を約10μM以下のEC50で阻害し得る。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、ICAM−1をコーティングしたプレートへのHuT78細胞結合を約1μM以下のEC50で阻害する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、ICAM−1をコーティングしたプレートへのHuT78細胞結合を約100nM以下のEC50で阻害する。さらに他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、ICAM−1をコーティングしたプレートへのHuT78細胞結合を約10、5または1nM以下のEC50で阻害する。選択された式Iおよび式IIのLFA−1アンタゴニストでのICAM−1へのHuT78細胞結合の阻害に関するデータを図1に示す。
別法では、本発明のLFA−1アンタゴニストの阻害効果はまた、LFA−1のICAM−1への結合後の公知の下流事象を使用して試験することもできる。例えば、IL−2は、超抗原スタフ(staph)エンテロトキシンB(SEB)または他の炎症性刺激物による刺激の後の一次培養物においてヒトT−細胞から放出されることが公知である。
例えば、LFA−1アンタゴニストは、SEBで刺激された一次培養物において末梢血単核細胞(PBMC)からのIL−2放出を10mM以下のIC50またはEC50で阻害し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、SEBで刺激された一次培養物において末梢血単核細胞(PBMC)からのIL−2放出を1mM以下のIC50またはEC50で阻害する。さらに他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、SEBで刺激された一次培養物において末梢血単核細胞(PBMC)からのIL−2放出を100μM以下のIC50またはEC50で阻害する。LFA−1アンタゴニストは、SEBで刺激された一次培養物において末梢血単核細胞(PBMC)からのIL−2放出を10μM以下のIC50またはEC50で阻害し得る。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、SEBで刺激された一次培養物において末梢血単核細胞(PBMC)からのIL−2放出を約1μM、100nM、10nMまたは1nM以下のIC50またはEC50で阻害する。
一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、PBMCがSEBで刺激された場合に、2種以上の炎症性サイトカインの放出を約1μM以下のIC50またはEC50で同時に阻害する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、PBMCがSEBで刺激された場合に、2種以上のサイトカインの放出を約100nM以下のIC50またはEC50で同時に阻害する。例えば、LFA−1アンタゴニストは、PBMCがSEBで刺激された場合に、IL−2およびIL−4の放出を約500nM以下のIC50またはEC50で同時に阻害し得る。これは、理論に拘束されないが、IL−2およびIL−4放出はTh1およびTh2リンパ球媒介炎症性疾患において重要な役割を果たすので重要であり得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、PBMCがSEBで刺激された場合に、IL−1(アルファ)、IL−1(ベータ)、IL−2、IL−4、IL−5、IL−10、IL−13、インターフェロンγ、MIP 1(α)、MCP−1、TNF(α)およびGM−CSFの放出を約1μM以下のIC50またはEC50で同時に阻害し得る。
LFA−1アンタゴニストを、局所治療有効濃度が達成されるように送達する。例えば、治療有効濃度を、約1nMを超えるLFA−1の局所組織濃度で達成し得る。他の実施形態では、局所治療有効濃度を、約10nMを超えるLFA−1の局所組織濃度で達成し得る。一部の他の実施形態では、局所治療有効濃度を、約100nMを超えるLFA−1の局所組織濃度で達成し得る。さらに他の実施形態では、局所治療有効濃度を、約1μMを超えるLFA−1の局所組織濃度で達成し得る。他の実施形態では、局所治療有効濃度を、約10μMを超えるLFA−1の局所組織濃度で達成し得る。他の実施形態では、局所治療有効濃度を、低い全身レベルを維持しつつ達成する。例えば、一部の実施形態では、約1nM、約10nM、約100nM、約1μMまたは約10μMの局所治療有効濃度を、1μM未満の全身薬物濃度を維持しつつ達成する。他の実施形態では、約1nM、約10nM、約100nM、約1μMまたは約10μMの局所治療有効濃度を、100nM未満の全身薬物濃度を維持しつつ達成する。さらに他の実施形態では、約1nM、約10nM、約100nM、約1μMまたは約10μMの治療有効濃度を、10nM未満の全身薬物濃度を維持しつつ達成する。本発明は、約1nM、約10nM、約100nM、約1μMまたは約10μMの治療有効濃度を、1nM未満の全身薬物濃度で達成する他の実施形態を提供する。全身薬物濃度は、当分野で公知で、上記で開示された様々な方法のいずれかを使用して血漿濃度により測定することができる。
本発明の他の態様では、LFA−1アンタゴニストの局所組織濃度は、治療有効レベルで長期間維持される。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの局所組織濃度を、治療有効レベルで一定量の時間または投薬の間で、維持することが望ましいこともある。局所治療有効レベルを長期間維持し得るLFA−1アンタゴニストを選択することにより、被験体は、1日当たり複数回投薬せずに、治療効果を達成することができる。一部の実施形態では、本発明のLFA−1アンタゴニストは、胃腸組織へ送達され、胃腸組織へ吸収されると、少なくとも約10nM、約50nM、約100nM、約150nM、約200nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約8μM、約10μM、約12μM、約15μM、約18μM、約20μM、約30μM、約40μMまたは約50μMを超える濃度で、投薬または投与後約1、2、3、5、8、10、12、14、15、16、18、20、22または24時間の間は維持される。例えば、被験体に投与された場合、LFA−1アンタゴニストは、送達すると、1μMを超える局所組織濃度を少なくとも2時間有し得る。濃度および時間は、胃腸臓器または組織に応じて変動し得る。局所治療レベルは、放射性同位元素標識分析などの当技術分野で公知の様々な方法のいずれかにより測定することができる。
一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約1μMを超える局所組織濃度を被験体への投与後少なくとも約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間または約24時間有する。
他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約100nMを超える局所組織濃度を被験体への投与後少なくとも約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間または約24時間有する。
さらに他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約10nMを超える局所組織濃度を被験体への投与後少なくとも約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間または約24時間有する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストを、約10nMを超える局所組織濃度レベルで約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間または約24時間まで維持する。
本発明はまた、LFA−1アンタゴニストが、約1nMを超える局所組織濃度を被験体への投与後少なくとも約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、約18時間、約20時間、約22時間または約24時間有する実施形態を提供する。
LFA−1アンタゴニスト
特異的LFA−1アンタゴニスト化合物が当分野では以前に記載されており、それらを本発明において使用することができる。例えば、LFA−1アンタゴニストは、その内容がそれぞれ、参照により本明細書に明らかに援用される米国特許第7,314,938号、米国特許出願公開第2006/0281739号、米国特許出願第12/288,330号および同時係属米国出願WSGRドケット番号第32411−712.201号、第32411−708.201号および32411−709.201号に記載されている。化合物は、これらの参考文献に記載されている通りに合成することができる。
LFA−1アンタゴニストとして用いられ得る例示的な分子は、式(I)または(II)、および/あるいは薬学的に許容されるその塩またはエステルの構造を有する:
[式中、R
1およびR
2は、それぞれ独立に、水素、アミノ酸側鎖、−(CH
2)
mOH、−(CH
2)
mアリール、−(CH
2)
mヘテロアリール(ここで、mは0〜6である)、−CH(R
1A)(OR
1B)、−CH(R
1A)(NHR
IB)、U−T−Q、またはU−T−Qで場合により置換される脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族もしくはヘテロ脂環式部分であり、
Uは、存在しないか、−O−、−S(O)
0〜2−、−SO
2N(R
1A)、−N(R
1A)−、−N(R
1A)C(=O)−、−N(R
1A)C(=O)−O−、−N(R
1A)C(=O)−N(R
1B)−、−N(R
1A)−SO
2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、−C(=O)−N(R
1A)−、−OC(=O)N(R
1A)−、−C(=N−R
1E)−、−C(=N−R
1E)−O−、−C(=N−R
1E)−N(R
1A)−、−O−C(=N−R
1E)−N(R
1A)−、−N(R
1A)C(=N−R
1E)−、−N(R
1A)C(=N−R
1E)−O−、−N(R
1A)C(=N−R
1E)−N(R
1B)−、−P(=O)(OR
1A)−O−または−P(=O)(R
1A)−O−であり;
Tは、存在しないか、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール部分であり;
Qは、水素、ハロゲン、シアノ、イソシアネート、−OR
1B;−SR
1B;−N(R
1B)
2、−NHC(=O)OR
1B、−NHC(=O)N(R
1B)
2、−NHC(=O)R
1B、−NHSO
2R
1B、−NHSO
2N(R
1B)
2、−NHSO
2NHC(=O)OR
1B、−NHC(=O)NHSO
2R
1B、−C(=O)NHC(=O)OR
1B、−C(=O)NHC(=O)R
1B、−C(=O)NHC(=O)N(R
1B)
2、−C(=O)NHSO
2R
1B、−C(=O)NHSO
2N(R
1B)
2、−C(=S)N(R
1B)
2、−SO
2R
1B、−SO
2OR
1B、−SO
2N(R
1B)
2、−SO
2−NHC(=O)OR
1B、−OC(=O)−N(R
1B)
2、−OC(=O)R
1B、−OC(=O)NHC(=O)R
1B、−OC(=O)NHSO
2R
1B、−OSO
2R
1Bまたは脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールもしくはヘテロアリール部分であるか、またはR
1およびR
2は一緒になって、脂環式または複素環式部分であるか、または一緒に、
であり、
R
1AおよびR
1Bの各々の出現は独立に、水素、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール部分、−C(=O)R
1Cまたは−C(=O)NR
1CR
1Dであり;ここで、R
1CおよびR
1Dの各々の出現は独立に、水素、ヒドロキシル、または脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール部分であり;R
1Eは、水素、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、複素環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールもしくはアルキルヘテロアリール部分、−CN、−OR
1C、−NR
1CR
1Dまたは−SO
2R
1Cであり;
R
3は、−C(=O)OR
3A、−C(=O)H、−CH
2OR
3A、−CH
2OC(=O)−アルキル、−C(=O)NH(R
3A)、−CH
2X
0であり;R
3Aの各々の出現は独立に、水素、保護基、脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、ヘテロアルキルアリール ヘテロアルキルヘテロアリール部分、または薬学的に許容される塩もしくはエステルであるか、またはR
3Aは、R
1およびR
2と一緒になって、複素環式部分を形成し;ここで、X
0は、F、BrまたはIから選択されるハロゲンであり;
R
4AおよびR
4Bは独立に、F、Cl、BrまたはIから選択されるハロゲンであり;R
B1、R
B2およびR
Eは独立に、水素または置換もしくは非置換低級アルキルであり;
AR
1は、単環式または多環式アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、脂環式または複素環式部分であり;
Lは、存在しないか、またはV−W−X−Y−Zであり、ここで、V、W、X、YおよびZの各々の出現は独立に、存在しないか、C=O、NR
L1、−O−、−C(R
L1)=、=C(R
L1)−、−C(R
L1)(R
L2)、C(=N−OR
L1)、C(=NR
L1)、−N=、S(O)
0〜2;置換もしくは非置換C
1〜6アルケニリデンまたはC
2〜6アルケニリデン鎖であり、ここで、2個までの非隣接メチレン単位は独立に、場合により−C(=O)−、−CO
2−、−C(=O)C(=O)−、−C(C=O)NR
L3−、−OC(=O)−、−OC(O)NR
L3−、−NR
L3NR
L4−、−NR
L3NR
L4C(=O)−、−NR
L3C(=O)−、−NR
L3CO
2−、NR
L3C(=O)NR
L4−、−S(=O)−、−SO
2−、−NR
L3SO
2−、−SO
2NR
L3、−NR
L3SO
2NR
L4、−O−、−S−または−NR
L3−により置き換えられており;R
L3およびR
L4の各々の出現は独立に、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリールもしくはアシル;または脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールもしくはアルキルヘテロアリール部分であり;R
L1およびR
L2の各々の出現は独立に、水素、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、アミノ、保護アミノ、チオ、保護チオ、ハロゲン、シアノ、イソシアネート、カルボキシ、カルボキシアルキル、ホルミル、ホルミルオキシ、アジド、ニトロ、ウレイド、チオウレイド、チオシアナト、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、スルホンアミド、ベンズアミド、トシルまたは脂肪族、脂環式、ヘテロ脂肪族、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール部分であるか、またはR
L1およびR
L2の1つまたは複数の出現は、一緒になって、またはV、W、X、YまたはZの1つと一緒になって、脂環式または複素環式部分を形成しているか、またはアリールまたはヘテロアリール部分を形成している]。
本発明の化合物には、下記
ならびに薬学的に許容されるその塩およびエステルが包含される。
加えて、LFA−1アンタゴニストは、非晶質形態で使用することができるか、またはLFA−1アンタゴニストは、同時係属出願ドケット番号32411−712.101に記載されている結晶形のいずれかであってよいことが想定されている。本発明の一部の実施形態では、式(I)の化合物は、約18.2、21.4、および22.7度の反射角2θに特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを含む化合物12の形態A;約12.1、17.1、および18.5度の反射角2θに特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを含む化合物12の形態B;約4.8、17.8、および21.5度の反射角2θに特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを含む化合物12の形態C;約17.6、21.7、および24.8度の反射角2θに特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを含む化合物12の形態D;約5.12、8.26、および17.8度の反射角2θに特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを含む化合物12の形態E;90%より高い純度を含む化合物12の非晶質形態;または任意のその組合せである。
一部の実施形態では、式Iまたは式IIのLFA−1アンタゴニストは塩である。代表的なアルカリもしくはアルカリ土類金属塩には、これらに限定されないが、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムが包含される。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合は、薬物カルボン酸と直接反応させることにより、またはハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用することにより形成される無毒性のアンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオンが包含される。一実施形態では、LFA−1アンタゴニストを、本発明の方法では、遊離カルボン酸のナトリウム塩として使用する。
LFA−1への結合に特異的な抗体を本発明では使用することができる。例えばICAM−1などのCAMまたはLFA−1などの白血球インテグリンの、これらの分子の一方もしくは両方に対して向けられた抗体によるブロッキングは、炎症応答を阻害し得る。先行する研究が、抗CD11a MAbが多くのT細胞依存性免疫機能にin vitroで、かついくつかの免疫応答にin vivoで及ぼす作用について調査している。in vitroにおいて、抗CD11a MAbはT細胞活性化(Kuypers T. W.、Roos D. 1989年「Leukocyte membrane adhesion proteins LFA−1, CR3 and p150, 95: a review of functional and regulatory aspects」、Res. Immunol.、140巻:461〜465頁;Fischer A、Durandy A、Sterkers G、Griscelli C.1986年「Role of the LFA−1 molecule in cellular interactions required for antibody production in humans」、J. Immunol.、136巻、3198頁;target cell lysis by cytotoxic T−lymphocytes(Krenskyら、上記)を参照、免疫コンジュゲートの形成(Sanders VM、Snyder JM、Uhr JW、Vitetta ES.、「Characterization of the physical interaction between antigen−specific B and T cells」、J. Immunol.、137巻:2395頁(1986年);Mentzer SJ、Gromkowski SH、Krensky AM、Burakoff SJ、Martz E.、1985年「LFA−1 membrane molecule in the regulation of homotypic adhesions of human B lymphocytesn」、J. Immunol.、135巻:9頁)およびT細胞の血管内皮への接着(Lo SK、Van Seventer GA、Levin SM、Wright SD.、Two leukocyte receptors (CD11a/CD18 and CD11b/CD18) mediate transient adhesion to endothelium by binding to different ligands.、J. Immunol.、143巻:3325頁(1989年))を阻害する。2種の抗CD11a Mab、HI 111およびG43−25Bは、Pharmingen/BD Biosciences社から入手し、使用することができる。抗ネズミモノクローナル抗体M17は、ヒト疾患および治療のマウスモデルにおいてLFA−1媒介障害の治療に関して研究されていて(米国特許第5,622,700号)、使用することができる。加えて、F8.8、CBR LFA 1/9、BL5、May.035、TS1/11、TS1/12、TS1/22、TS2/14、25−3−1、MHM2およびエファリズマブを包含する研究は、ICAM結合と白血球機能をブロックする際にこれらの抗体が占めたLFA−1上の結合部位の範囲を評価した。Lu, Cら、2004年、「The Binding Sites for Competitive Antagonistic, Allosteric Antagonistic, and Agonistic Antibodies to the I Domain of Integrin LFA−1」J. Immun.、173巻:3972〜3978頁およびその中の参考文献を参照されたい。例えば、エファリズマブでのLFA−1の90%を超える占有は、臨床試験においてPASIスコアで50%を超える臨床改善をもたらしたことが判明しており、エファリズマブの効力を証明している(D. L. Mortensonら J Clin Pharmacol、2005年;45巻:286〜298頁、「Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Multiple Weekly Subcutaneous Efalizumab Doses in Patients With Plaque Psoriasis」を参照されたい)。
ペプチドもまた、LFA−1とICAM−1との相互作用を減少させることにおいて使用するために調査されており、本発明で使用することができる。IgGのFc領域を含有していないポリペプチドは、米国特許第5,747,035号に記載されており、これらは、LFA−1媒介障害、詳細には糖尿病性網膜症を治療するために使用することができる。第1はICAM−1の調節因子であり、第2はLFA−1から入手された配列を備えたブロッキングペプチドである二重ペプチドの使用は、米国特許第5,843,885号に記載されており、これもまた、LFA−1とICAM−1との相互作用を減少させるために使用することができる。環状ペプチドは、LFA−1:ICAM−1相互作用の阻害剤として米国特許第6,630,447号に記載されており、これもまた、本発明に提供される。
小分子アンタゴニスト、例えば、LFA−1のCD11aドメインに結合するスタチンも本発明では使用することができる。Kallen, J.、Welzenbach, K.、Ramage, P. Geyl, D. Kriwacki, R.、Legge, G.、Cottens, S.、Weitz−Schmidt, G.およびHommel, U.、1999年「Structural basis for LFA−1 inhibition upon lovastatin binding to the CD11a I−domain」、J. Mol. Biol.、292巻:1〜9頁;およびWeitz−Schmidt, G.、Welzenbach, K.、Brinkmann, V.、Kamata, T.、Kallen, J.、Bruns, C.、Cottens, S.、Takada, Y.およびHommel, U.、2001年、Statins, without being bound by theory, selectively inhibit leukocyte function antigen−1 by binding to a novel regulatory integrin site、Nature Med.、7巻:687〜692号;およびFrenette, P. S. 2001年「Locking a leukocyte integrin with statins」、N. Engl. J. Med.、345巻:1419〜1421頁を参照されたい。メビノリン/コンパクチンモチーフに由来する分子もまた、LFA−1に対する活性を示し、本発明で使用することができる。Welzenbach, K.ら、2002年「Small molecule inhibitors induce conformational changes in the I domain and the I−like domain of Lymphocyte Function−Associated Antigen−1」、J. Biol. Chem.、277巻:10590〜10598頁および米国特許第6,630,492号を参照されたい。
加えて、当技術分野で認められている他の公知のLFA−1アンタゴニストを本発明では使用することができる。例えば、ヒダントインをベースとする阻害剤のファミリーをLFA−1アンタゴニストとして使用できる。Kelly, T. A.ら、1999年、「Cutting edge: a small molecule antagonist of LFA−1−mediated cell adhesion」、J. Immunol.、163巻:5173〜5177頁を参照されたい。これらの化合物は、LFA−1のアロステリック阻害剤であると考えられる。他の例として、新規なp−アリールチオシンナミドのファミリーは、LFA−1のアンタゴニストとして作用し得る。Liu, G.ら、2000年、「Discovery of novel p−arylthio cinnamides as antagonists of leukocyte function−associated antigen−1/intracellular adhesion molecule−1 interaction. 1. Identification of an additional binding pocket based on an anilino diaryl sulfide lead.」J. Med. Chem. 43巻、4015〜4030頁を参照されたい。
小分子阻害剤の他のファミリーは、例えば、Gadek, T. R.ら、2002年、「Generation of an LFA−1 antagonist by the transfer of the ICAM−1 immunoregulatory epitope to a small molecule」、Science、295巻:1086〜1089頁およびオンライン上の補足資料)に、ならびに米国特許第6,872,735号、米国特許第6,667,318号、米国特許第6803384号、米国特許第6,515,124号、米国特許第6331640号に、さらに米国特許出願公開第20020119994号、米国特許出願公開第20040058968号、米国特許出願公開第20050080119号およびPCT出願WO99/49856、WO00/21920、WO01/58853、WO02/59114、WO05/044817などに記載されている通りに開示されている。挙げられた参考文献すべての内容は、その全体が参照により援用される。
LFA−1アンタゴニストのための製剤
本発明のLFA−1アンタゴニストの製剤は、胃腸をターゲットとする送達をもたらす。本発明の化合物は、低い、中程度、または高い全身経口生物学的利用能を示し、100nM以上のGI組織での薬物レベルを達成し得る。したがって、様々な実施形態では、本発明の化合物を、経口送達を介して投与する。本発明の医薬組成物には、これらに限定されないが、固体、溶液、エマルションおよびリポソーム含有製剤が包含される。これらの組成物は、これらに限定されないが、予め形成された液体、自己乳化性固体および自己乳化性半固体を包含する様々な成分から生じさせることができる。
LFA−1アンタゴニストは、遊離カルボン酸、遊離カルボン酸の塩または遊離カルボン酸のエステルとして製剤化することができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、これらに限定されないが、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムが包含される。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合、薬物カルボン酸との直接反応により形成される無毒性のアンモニウム、第4級アンモニウムおよびアミンカチオンが包含される。LFA−1アンタゴニストを、調製の公知の方法により、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびペンチルエステルを包含する単純なアルキルエステルに変換して、LFA−1アンタゴニストのプロドラッグ形態を提供することができる。LFA−1アンタゴニストのエステルプロドラッグは、GI上皮を介して容易に吸収されて、上皮表面を通過すると、薬物に変換されるか、または肝臓に循環して、肝臓で薬物に変換され得る。このような変換の後に、活性薬物は、胆汁を介してGIに直接戻される。LFA−1アンタゴニストは、液剤で、または固体薬物の懸濁液剤として製剤化することができる。
単位剤形で簡便に提供し得る本発明の医薬製剤を、製薬産業において周知の従来技術に従って調製することができる。このような技術は、活性成分を薬学的担体(単数または複数)または賦形剤(単数または複数)と会合をもたらす工程を包含する。通常、活性成分を液体担体または微細な固体担体またはその両方と均一かつ十分に会合をもたらし、次いで、必要な場合には、製品を成形することにより、製剤を調製する。製剤はまた、エアゾール化送達のための製剤であってもよい。
本発明の組成物を、これらに限定されないが、錠剤、カプセル剤、液体シロップ剤、軟質ゲル剤、坐剤および浣腸剤などの多くの可能な剤形のいずれかに製剤化することができる。製剤には、散剤または顆粒剤、微粒子、ナノ粒子、水性、非水性もしくは混合媒質中の懸濁液剤もしくは溶液剤、カプセル剤(これらに限定されないが、硬質カプセル剤および軟質弾性カプセル剤を包含する)、サシェ剤または錠剤が包含され得る。水性懸濁液剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを包含する懸濁液の粘度を上昇させる物質をさらに含有し得る。懸濁液剤はまた、安定剤を含有してもよい。
加えて、本発明の組成物は、医薬組成物で従来見出される他の補助成分を含有することもできる。したがって、例えば、組成物は、例えば、かゆみ止め剤、収斂剤、局所麻酔剤または抗炎症剤、抗ウイルス剤などの追加の相容性で薬学的に活性な物質を含有してよいか、または染料、香味剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤、滑沢剤、界面活性剤または分散化剤、湿潤剤、安定剤、凝結防止剤(anti−caking agent)、保存剤、甘味剤、着色剤、乾燥剤、可塑剤、染料、結合剤、充填剤、崩壊剤、抗菌剤、コーティング剤などの本発明の組成物の様々な剤形を製剤化する際に有用な追加的な物質を含有してよい。製剤の安定性を保証するために、任意のこのような任意選択の成分は、本発明の化合物と相容性であるべきである。製剤を滅菌することができ、所望の場合には、補助剤、例えば、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、着色剤、香味剤および/または芳香物質などと混合することができる。
組成物は、必要な場合、例えば、ラクトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、トレハロース、スクロース、マルトース、ラフィノース、マルチトール、メレチトース、スタキオース、ラクチトール、パラチニト(palatinite)、デンプン、キシリトール、マンニトール、ミオイノシトールなどおよびその水和物ならびにアミノ酸、例えば、アラニン、グリシンおよびベタインおよびペプチドおよびタンパク質、例えば、アルブミン(albumen)を包含する添加物を含有することができる。
本発明で使用される結合剤の例には、これらに限定されないが、トウモロコシデンブン、バレイショデンプン、他のデンプン、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガカント末、ガーゴムなどの天然および合成ゴム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、α化デンプン(例えば、Colorcon、Ltd.が販売するSTARCH 1500(商標)およびSTARCH 1500LM(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微晶性セルロース(例えば、FMC Corporation、Marcus Hook、Pa.、USAが販売するAVICEL−PH−101(商標)、−103(商標)および−105(商標)などのAVICEL(商標))またはその混合物が包含され得る。
使用することができる充填剤には、これらに限定されないが、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微晶性セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプンまたはその混合物が包含される。
これらに限定されないが、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、バレイショまたはタピオカデンプン、他のデンプン、α化デンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴムまたはその混合物などの崩壊剤もまた使用することができる。
使用することができる滑沢剤の例には、これらに限定されないが:ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、シロイド(syloid)シリカゲル(AEROSIL 200、W.R.Grace Co.、Baltimore、Md.USA)、合成シリカの凝固エアゾール(Deaussa Co.、Plano、Tex.USA)、熱分解法二酸化ケイ素(CAB−O−SIL、Cabot Co.、Boston、Mass.USA)およびその混合物が包含される。
ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、コロイド二酸化ケイ素、タルクまたはその混合物などの凝結防止剤もまた使用することができる。任意選択で、製剤には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クレゾール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、フェノール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール(thimersol)、チモール(thymo)またはその混合物などの抗菌剤が包含され得る。
賦形剤は、これらに限定されないが、リン酸緩衝生理食塩水溶液、Miglyol840の商品名で入手可能な中鎖脂肪酸のプロピレングリコールジエステル(Huls America,Inc.、Piscataway、N.J.から)、Miglyol 812の商品名で入手可能な中鎖脂肪酸のトリグリセリドエステル(Hulsから);Vertrel 245の商品名で入手可能なペルフルオロジメチルシクロブタン(E.I.DuPont de Nemours and Co.Inc.、Wilmington、Del.から);オクタフルオロシクロブタンの商品名で入手可能なペルフルオロシクロブタン(PCR Gainsville、Fla.から);EG 400の商品名で入手可能なポリエチレングリコール(BASF Parsippany、N.J.から);メントール(Pluess−Stauffer International Stanford、Conn.から);ラウログリコールの商品名で入手可能なプロピレングリコールモノラウレート(Gattefosse Elmsford、N.Y.から)、Transcutolの商品名で入手可能なジエチレングリコールモノエチルエーテル(Gattefosseから);Labrafac Hydro WL 1219の商品名で入手可能な中鎖脂肪酸のポリグリコール化グリセリド(Gattefosseから);エタノール、メタノールおよびイソプロパノールなどのアルコール;入手可能なユーカリ油(Pluses−Stauffer Internationalから):およびその混合物であってよい。組成物はまた、アミノ酸誘導体を包含してもよい。
製剤はまた、他の適切な水性ビヒクルを含んでもよく、これらに限定されないが、リンガー液および等張性塩化ナトリウムが包含される。水性懸濁液には、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドンおよびトラガカントゴムならびにレシチンなどの湿潤剤などの懸濁剤が包含され得る。水性懸濁液のための適切な保存剤には、p−ヒドロキシ安息香酸エチルおよびp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピルが包含される。油、界面活性剤、溶媒および補助溶媒/界面活性剤の等方性混合物(即ち、SEDDS)である自己乳化性薬物送達系(SEDDS)または自己マイクロ乳化性薬物送達系(SMEDDS)または同様の乳化剤(例えば、Gelucir(商標))を、LFA−1アンタゴニストの製剤中で使用することができる。水中油型および油中水型エマルションを包含するエマルション製剤もまた適している。
他の賦形剤には、水、緩衝水溶液、界面活性剤、揮発性液体、デンプン、ポリオール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、造粒剤、ヒドロキシメチルセルロース、シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、微晶性セルロース、希釈剤、滑沢剤、酸、塩基、塩、油/水エマルションなどのエマルション、鉱油および植物油などの油、湿潤剤、キレート剤、抗酸化剤、滅菌液、錯化剤、崩壊剤などが包含され得る。緩衝液は典型的には、生理学的pHであり、典型的には、標的組織のpHに緩衝化される。
本発明の医薬組成物および剤形を形成するために、界面活性剤を使用することができる。これらには、これらに限定されないが、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤およびその混合物が包含され得る。即ち、親水性界面活性剤の混合物を使用することができるか、親油性界面活性剤の混合物を使用することができるか、または少なくとも1種の親水性界面活性剤および少なくとも1種の親油性界面活性剤の混合物を使用することができる。
適切な親水性界面活性剤は通常、少なくとも10のHLB値を有し得るが、適切な親油性界面活性剤は一般に、約10以下のHLB値を有し得る。非イオン両親媒性化合物の相対親水性および疎水性を特徴付けるために使用される経験パラメーターが、親水性−親油性バランス(「HLB」値)である。より低いHLB値を有する界面活性剤は、より親油性または疎水性であり、油中でより高い溶解性を有し、より高いHLB値を有する界面活性剤は、より親水性であり、水溶液でより高い溶解性を有する。親水性界面活性剤は通常、約10を超えるHLB値を有する化合物、さらにHLB尺度が通常は当てはまらないアニオン化合物、カチオン化合物または双性イオン化合物と考えられる。同様に親油性(即ち、疎水性)界面活性剤は、約10以下のHLB値を有する化合物である。しかしながら、界面活性剤のHLB値は単に、工業用、薬学的および化粧品用エマルションの形成を可能にするために一般的に使用される大まかな指標である。
親水性界面活性剤は、イオン性または非イオン性であってよい。適切なイオン界面活性剤には、これらに限定されないが、アルキルアンモニウム塩;フシジン酸塩;アミノ酸、オリゴペプチドおよびポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチドおよびポリペプチドのグリセリド誘導体;レシチンおよび水素化レシチン;リゾレシチンおよび水素化リゾレシチン;リン脂質およびその誘導体;リゾリン脂質およびその誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルサルフェートの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルラクチレート;モノ−およびジ−グリセリドのモノ−およびジ−アセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノ−およびジ−グリセリド;モノ−およびジ−グリセリドのクエン酸エステル;ならびにその混合物が包含される。
前記の群のうち、好ましいイオン界面活性剤には、例えば:レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質およびそれらの誘導体;カルニチン脂肪酸エステル塩;アルキルサルフェートの塩;脂肪酸塩;ドキュセートナトリウム;アシルラクチレート;モノ−およびジ−グリセリドのモノ−およびジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノ−およびジグリセリド;モノ−およびジ−グリセリドのクエン酸エステル;ならびにそれらの混合物が包含される。
イオン性界面活性剤は、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PVP−ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル−2−ラクチレート、ラクチル酸ステアロイル、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレエート、リノレエート、リノレネート、ステアレート、ラウリルサルフェート、テルアセチルサルフェート、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチンならびにそれらの塩および混合物のイオン化形態であってよい。
親水性非イオン界面活性剤には、これらに限定されないが、アルキルグリコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル;グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸またはステロールとポリオールとの親水性エステル交換反応生成物;ポリオキシエチレンステロール、それらの誘導体または類似体;ポリオキシエチル化ビタミンまたはそれらの誘導体;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;またはそれらの混合物;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、あるいはポリオールとトリグリセリド、植物油または水素化植物油との親水性エステル交換反応生成物が包含され得る。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリトリトールまたは糖類であってよい。
他の親水性非イオン界面活性剤には、制限ではないが、PEG−10ラウレート、PEG−12ラウレート、PEG−20ラウレート、PEG−32ラウレート、PEG−32ジラウレート、PEG−12オレエート、PEG−15オレエート、PEG−20オレエート、PEG−20ジオレエート、PEG−32オレエート、PEG−200オレエート、PEG−400オレエート、PEG−15ステアレート、PEG−32ジステアレート、PEG−40ステアレート、PEG−100ステアレート、PEG−20ジラウレート、PEG−25グリセリルトリオレエート、PEG−32ジオレエート、PEG−20グリセリルラウレート、PEG−30グリセリルラウレート、PEG−20グリセリルステアレート、PEG−20グリセリルオレエート、PEG−30グリセリルオレエート、PEG−30グリセリルラウレート、PEG−40グリセリルラウレート、PEG−40パーム核油、PEG−50水素化ヒマシ油、PEG−40ヒマシ油、PEG−35ヒマシ油、PEG−60ヒマシ油、PEG−40水素化ヒマシ油、PEG−60水素化ヒマシ油、PEG−60トウモロコシ油、PEG−6カプリン酸/カプリル酸グリセリド、PEG−8カプリン酸/カプリル酸グリセリド、ポリグリセリル−10ラウレート、PEG−30コレステロール、PEG−25フィトステロール、PEG−30大豆ステロール、PEG−20トリオレエート、PEG−40ソルビタンオレエート、PEG−80ソルビタンラウレート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE−9ラウリルエーテル、POE−23ラウリルエーテル、POE−10オレイルエーテル、POE−20オレイルエーテル、POE−20ステアリルエーテル、トコフェリルPEG−100スクシネート、PEG−24コレステロール、ポリグリセリル−10オレエート、Tween40、Tween60、スクロースモノステアレート、スクロースモノラウレート、スクロースモノパルミテート、PEG10−100ノニルフェノールシリーズ、PEG15−100オクチルフェノールシリーズならびにポロキサマーが包含される。
適切な親油性界面活性剤には、例に過ぎないが、脂肪アルコール;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル;ステロールおよびステロール誘導体;ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体;ポリエチレングリコールアルキルエーテル;糖エステル;糖エーテル;モノ−およびジ−グリセリドの乳酸誘導体;ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸またはステロールとの疎水性エステル交換反応生成物;油溶性ビタミン/ビタミン誘導体;あるいはそれらの混合物が包含される。この群の内で、親油性界面活性剤は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルまたはそれらの混合物であり得るか、またはそれは、ポリオールおよび植物油、水素化植物油もしくはトリグリセリドの疎水性エステル交換反応生成物であり得る。
界面活性剤は、その使用が他の点で禁忌でない場合に、本発明の任意の製剤中で使用することができる。本発明の一部の実施形態では、界面活性剤は使用され得ないか、または限定された群もしくは量の界面活性剤が使用される。
経口送達を介して、組成物を投与することができる。経口製剤は、カプセル封入されているか、またはされていない液体製剤を含み得る。液体製剤は、LFA−1アンタゴニストの水溶液であってよく、緩衝剤を含有してよく、保存剤を包含していても、していなくてもよい。錠剤などの経口投与製剤は、任意選択でコーティングされていてもよいか、または割線が入っていてもよく、その中の活性成分の持続、緩速または制御放出が得られるように製剤化することができる。固体製剤の例は、米国特許第5,424,289号に記載されている通りであってよい。経口製剤はまた、米国特許第7,097,851号に記載されているような高い生物学的利用能を有してもよいか、米国特許第5,840,332号に記載されているように送達において位置および時間依存性であってよいか、または例えば、米国特許第5,849,327号に記載されている通り、胃腸系の特定の領域に送達されてよく、その場合、剤形が下部胃腸管に達するまで、腸溶物質のコーティングは無傷のままである。
製剤は、錠剤およびカプセルで利用可能な腸溶コーティングを使用することができる。腸溶コーティングは、胃では無傷のままであり得るが、小腸に達すると迅速に溶解し、その後、腸の下流の部位(例えば、回腸および結腸)で薬物を放出して、LFA−1アンタゴニストをその粘膜に送達する。腸溶コーティングは、当技術分野で周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.;およびPolymers for Controlled Drug Delivery、Chapter 3、CRC Press、1991年に論述されている。腸溶コーティングのいくつかの非限定的例には、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー、カルボキシメチルエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートが包含される。別法では、予め決定された期間後に、したがって、容器が回腸または結腸に通った後に、LFA−1アンタゴニストを含む製剤を放出するように設計された制御放出経口送達容器もまた、本発明の製剤を送達するために使用することができる。このような容器には、これらに限定されないが、CHRONSET(商標)送達デバイス(ALZA Corporation、Palo Alto、Calif.)およびPulsincap(商標)送達デバイス(R.P.Scherer Co.)が包含される。他のコーティング剤には、これらに限定されないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、薬学的グレーズ(pharmaceutical glaze)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセテートフタレート、シェラック、スクロース、二酸化チタン、カルナウバロウ(camauba wax)、微晶性ろうまたはその混合物が包含され得る。
LFA−1アンタゴニストが生体適合性および/または生分解性マトリックス内に組み込まれているLFA−1アンタゴニストの制御放出経口製剤もまた形成することができる。マトリックスは、親水性または疎水性であってよい。活性成分が親水性マトリックスから放出され得る3つの主な機構:溶解、浸食および拡散が存在する。溶解性ポリマーのマトリックスネットワーク中に均一に分布している場合に、活性成分は、溶解機構により放出される。ネットワークが胃腸管中で徐々に溶解すると、その負荷物が徐々に放出される。また、マトリックスポリマーは、マトリックス表面から徐々に浸食されて、同様に、結局は活性成分が放出され得る。活性成分を、不溶性ポリマーから製造されたマトリックス中に処理すると、これは、拡散により放出される:胃腸液が不溶性のスポンジ状マトリックスに浸透し、薬物を負荷されて拡散して外に戻る。
本発明の製剤は、LFA−1アンタゴニストをカルボン酸として、または塩として含有し得る。液体、ゲルまたは固体であってよい持続放出製剤を作るために、製剤はポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)、ポリ−(I)−乳酸−グリコール酸−酒石酸(P(I)LGT)(WO01/12233)、ポリグリコール酸(米国特許第3,773,919号)、ポリ乳酸(米国特許第4,767,628号)、ポリ(M−カプロラクトン)およびポリ(アルキレンオキシド)(米国特許出願公開第2003/0068384号)などのポリマーを含有してよい。このような製剤は、ポリマー、ポリマーの粒径およびインプラントのサイズに応じて数日間、数週間または数カ月の期間にわたって、LFA−1アンタゴニストを放出するインプラントを製造するために使用することができる(例えば、米国特許第6,620,422号明細書を参照されたい)。使用される他の持続放出製剤およびポリマーは、欧州特許出願公開第0467389A2号、WO93/24150、米国特許第5,612,052号、WO97/40085、WO03/075887、WO01/01964A2、米国特許第5,922,356号、WO94/155587、WO02/074247A2、WO98/25642、米国特許第5,968,895号、米国特許第6,180,608号、米国特許出願公開第20030171296号、米国特許出願公開第20020176841号、米国特許第5,672,659号、米国特許第5,893,985号、米国特許第5,134,122号、米国特許第5,192,741号、米国特許第5,192,741号、米国特許第4,668,506号、米国特許第4,713,244号、米国特許第5,445,832号、米国特許第4,931,279号、米国特許第5,980,945号、WO02/058672、WO9726015、WO97/04744および米国特許出願公開第20020019446号に記載されている。持続放出製剤を形成するインプラントでは、LFA−1アンタゴニストの微粒子を、ポリマーの微粒子と合わせる。1種または複数の持続放出インプラントを、大腸、小腸またはその両方に置くことができる。米国特許第6,011,011号およびWO94/06452は、ポリエチレングリコール(即ち、PEG300およびPEG400)またはトリアセチンのいずれかを提供する持続放出製剤を記載している。
生物学的利用能を高め、しかもGI管内でのLFA−1アンタゴニストの制御放出をもたらし得る他の製剤は、WO03/053401に記載されているものの変形である。このような制御放出製剤には、透過増強剤、LFA−1アンタゴニスト、および非イオン界面活性剤などの原位置ゲル化特性を示す担体が包含される。製剤をGI管内で、GI粘膜の表面に対して少なくとも多少の親和性を有する液体として送達する。放出されると、液体製剤は、GI粘膜の表面上の1つまたは複数エリアに広がり、次いでそこで、製剤の担体は、生体接着性ゲルにその場で移行し得る。生体接着性ゲルとして、本発明の製剤はGI管の粘膜に接着するだけでなく、製剤中に包含される透過増強剤およびLFA−1アンタゴニストの両方の内腔液および分泌物による希釈を低減または最小化する。LFA−1アンタゴニストを、GI管の粘膜表面で、GI粘膜を介してのLFA−1アンタゴニストの吸収を長期にわたって上昇させるのに十分な濃度の適切な透過増強剤と共に提供することにより、LFA−1アンタゴニストの生物学的利用能を高めることができる。
このタイプの制御製剤で使用するために適した透過増強剤には、これらに限定されないが、エチレン−ジアミン四酢酸(EDTA)、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロジヒドロフシジン酸(taurodiliydrofusidate)ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸塩、グリココール酸塩、タウロケノデオキシコール酸、タウロデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、グリコデオキシコール酸塩およびウルソデオキシコール酸塩などの胆汁酸塩透過増強剤、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸、ラウリン酸およびカプリル酸などの脂肪酸透過増強剤、パルミトイルカルニチン、ステアロイルカルニチン、ミリストイルカルニチンおよびラウロイルカルニチンなどのアシルカルニチンならびにサリチル酸ナトリウム、サリチル酸5−メトキシおよびサリチル酸メチルなどのサリチレートが包含される。透過増強剤は、GI粘膜の上皮細胞の間で形成される密な結合を開くように作用し、それにより、LFA−1アンタゴニストを腸管粘膜に拡散させ得る(即ち、細胞周囲吸収)。本発明の製剤中に包含される透過増強剤の量は、約10重量%から約40重量%の範囲であってよいが、本発明の製剤中に包含される透過増強剤の性質および正確な量は、例えば、送達されるLFA−1アンタゴニスト、透過増強剤自体の性質および投与される製剤の用量に応じて変動する。製剤中に包含される透過増強剤の量は、LFA−1アンタゴニストの生物学的利用能を高めるのに十分な期間にわたって、GI粘膜の表面で、またはその付近で有効な濃度の透過増強剤(即ち、使用される透過増強剤での臨界濃度を超える濃度)を維持するのに十分であるべきである。可能な場合には、透過増強剤がLFA−1アンタゴニストの吸収を促進するだけでなく、内腔液または分泌物による希釈を阻止するように、透過増強剤を選択することができる。透過増強剤はまた、制御放出製剤ではない本発明の製剤中で使用することもできる。
透過増強剤、LFA−1アンタゴニストおよび原位置(in−site)ゲル化特性を示す担体を含有する制御放出製剤の担体は、製剤が被験体のGI管内に送達された後に、相対的に非接着性の低粘度液体から、相対的に粘性の生体接着性ゲルへの移行を可能にする。製剤がGI管内で放出され、GI粘膜の表面に達する機会を多少得た後に、相対的に非接着性の低粘度液体から、相対的に粘性の生体接着性ゲルへの移行が生じるように、担体を選択する。したがって、本発明の製剤の担体は、液体から生体接着性ゲルへの製剤の原位置(in−situ)移行を可能にする。その高い粘度および生体接着特性により、本発明の製剤により形成されるゲルは、透過増強剤およびLFA−1アンタゴニストを一緒に、GI粘膜の表面に維持し、そのような成分の両方をある期間、希釈および酵素分解から保護する。適切な担体には、相対的に非接着性の低粘度液体から、水を吸収して相対的に粘性の生体接着液晶状態へと移行する非イオン界面活性剤が包含される。本発明の製剤中で担体として使用することができる非イオン界面活性剤の具体的な例には、これらに限定されないが、Cremophor(例えば、Cremophor ELおよびCremophor RH)、Incordas 30、ポリオキシエチレン5ヒマシ油、ポリエチレン9ヒマシ油、ポリエチレン15ヒマシ油、d−a−トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、マイベロールなどのモノグリセリド、oleth−3、oleth−5、ポリオキシル10オレイルエーテル、oleth−20、steareth−2、stearteth−10、steareth−20、ceteareth−20、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、PPG−5 ceteth−20およびPEG−6カプリル/カプリン酸トリグリセリドなどの脂肪族アルコールベースの非イオン界面活性剤、Pluronic@L10、L31、L35、L42、L43、L44、L62、L61、L63、L72、L81、L101、L121およびL122などのPluronic@およびテトロン酸ブロックコポリマー非イオン界面活性剤、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 65、Tween 80、Tween 81およびTween 85などのポリオキシレンソルビタン脂肪酸エステルならびにPEG 20アーモンドグリセリド、PEG−60アーモンドグリセリド、PEG−20トウモロコシグリセリドおよびPEG−60トウモロコシARC 2921 PCT 11グリセリドなどのエトキシ化グリセリドが包含される。担体は、製剤に対して約35重量%から約88重量%で存在し得る。
水を、担体として非イオン界面活性剤を有する制御放出製剤に加えると、製剤の初期粘度が上昇する。しかしながら、水含量が高まるにつれて、非イオン界面活性剤の粘度の上昇は非直線的になる傾向がある。往々にして、非イオン界面活性剤の水含量が一定の閾値を超えると、非イオン界面活性剤がそのゲル化状態へ移行するので、非イオン界面活性剤の粘度は急に上昇する。比較的急速な変換が望ましい場合、非イオン界面活性剤を包含する製剤により多くの水を与えて、それにより、製剤が生体接着性ゲルに迅速に変化する水含量閾値に製剤を近づける。対照的に、比較的遅い変化が望ましい場合、製剤は、より少ない水を包含するか、水を包含せず、それにより、製剤をゲル化閾値から遠ざける。
加えて、透過増強剤、LFA−1アンタゴニストおよび原位置ゲル化特性を示す担体を含有する制御放出製剤はまた、製剤の初期粘度を低下させる粘度低下剤を包含してもよい。製剤がGI管内に送達された後ではあるが、製剤が生体接着性ゲルに移行する前に、本発明の製剤がGI粘膜の1つまたは複数のエリアに広がるのを、製剤の初期粘度の低下はさらに促進し得る。
使用することができる粘度低下剤の例には、これらに限定されないが、ポリオキシエチレン5ヒマシ油、ポリオキシエチレン9ヒマシ油、ラブラチル(labratil)、ラブラゾール(labrasol)、カプムル(capmul)GMO(モノオレイン酸グリセリル)、カプムルMCM(中鎖モノ−およびジグリセリド)、カプムルMCM C8(モノカプリル酸グリセリル)、カプムルMCM C10(モノカプリン酸グリセリル)、カプムルGMS−50(モノステアリン酸グリセリル)、カプレックス100(caplex 100)(プロピレングリコールジデカノエート)、カプレックス200(プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート)、カプレックス800(プロピレングリコールジ2−エチルヘキサノエート)、カプテックス300(captex 300)(グリセリルトリカプリル/カプレート)、カプテックス1000(グリセリルトリカプレート)、カプテックス822(グリセリルトリアンデカノエート)、カプテックス350(グリセリルトリカプリレート/カプレート/ラウレート)、カプレックス810(グリセリルトリカプリレート/カプレート/リノレエート)、カプムルPG8(プロピレンモノカプリレート)、プロピレングリコールおよびプロピレングリコールラウレート(PGL)が包含される。粘度低下剤が包含されている場合、粘度低下剤は、製剤に対して約10重量%までの量で存在し得る。
さらに、透過増強剤、LFA−1アンタゴニストおよび原位置ゲル化特性を示す担体を含有する制御放出製剤の剤形には、硬質または軟質ゼラチンカプセルが包含され得る。一部の実施形態では、剤形を、腸溶コーティングを使用することなどにより、剤形が胃を通過し少なくとも小腸に入るまで製剤の放出を遅延するように設計する。
追加的な制御放出製剤が、WO02/38129、欧州特許第326151号、米国特許第5,236,704号、WO02/30398、WO98/13029;米国特許出願公開第20030064105号、米国特許出願公開第20030138488A1号、米国特許出願公開第20030216307A1号、米国特許第6,667,060号、WO01/49249、WO01/49311、WO01/49249、WO01/49311および米国特許第5,877,224号に記載されている。固体の制御放出製剤の例には、LFA−1アンタゴニストを捕捉するデンプン、セルロースポリマー、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸などの親水性ポリマー;アルファ、ベータまたはガンマシクロデキストリンなど、およびLFA−1アンタゴニストと複合体を形成し、固体の制御放出製剤からのLFA−1アンタゴニストのより調整された放出をもたらすように作用するスルホブチルシクロデキストリンまたはヒドロキシプロピルベータシクロデキストリンなどの置換シクロデキストリンをさらに包含するシクロデキストリンが包含され得る。
経口投与製剤は、胃腸(GI)管からの吸収を高める胃保持製剤を利用することができる。胃に数時間保持される製剤は、本発明の化合物を放出して、本発明の一部の実施形態では望ましいことがある上部胃腸領域での持続放出をもたらす。このような胃保持製剤の開示は、Klausner、E. A.;Lavy, E.;Barta, M.;Cserepes, E.;Friedman, M.;Hoffman, A. 2003年「Nobel gastroretentive dosage forms: evaluation of gastroretentivity and its effect on levodopa in humans.」 Pharm. Res. 20巻、1466〜73頁、Hoffman, A.;Stepensky、D.;Lavy, E.;Eyal, S. Klausner, E.;Friedman, M. 2004年「Pharmacokinetic and pharmacodynamic aspects of gastroretentive dosage forms」 Int. J. Pharm. 11巻、141〜53頁、Streubel, A.;Siepmann, J.;Bodmeier, R.;2006年「Gastroretentive drug delivery systems」 Expert Opin.Drug Deliver. 3巻、217〜3頁およびChavanpatil, M. D.;Jain, P.;Chaudhari, S.;Shear, R.;Vavia, P. R.「Novel sustained release、swellable and bioadhesive gastroretentive drug delivery system for olfoxacin」 Int. J. Pharm. 2006年 epub 3月24日に見出される。拡張技術、浮遊技術および生体接着技術を利用して、本発明の化合物の吸収規模および/または期間を最大化することができる。とりわけ、クロスポビドン、オオバコハスク(pysllium husk)、キトサン、セルロースポリマーなどの物質を選択し、組み合わせて、浮遊遅れ時間、浮遊期間、寸法安定性、薬物含量および薬物放出プロファイルを変化させることができる。製剤の物理的特性の変化を使用して、薬物送達のこれらのパラメーターを変えることもできる。例えば、胃中で浮き、予め決定された期間にわたって胃環境にのみ曝露される生分解性膜が、胃保持製剤の一部として包含されてよい。したがって、胃保持製剤の即時放出部分と組み合わせて、この当初曝露期間の後にLFA−1アンタゴニストだけを放出する材料から、この膜を形成すると、即時放出組成物のみを含む製剤よりもかなり長期間にわたってLFA−1アンタゴニストを提供することができる。
鼻腔内投与のための製剤は、個体が吸入するLFA−1アンタゴニストからなる呼吸に適する粒子のエアゾール懸濁液を利用することができる。本発明のLFA−1アンタゴニストは、鼻涙管を介して涙組織に接触するか、鼻通路に接触するか、または口腔に接触し、続いて、胃腸粘膜に薬学的に有効な量で送達される(図10および実施例10を参照されたい)。呼吸に適する粒子は、吸収に有効であると当技術分野で公知の通りの適切なサイズにした粒子を有する固体または液体であってよい。吸入(inhalation)または吸入(insufflation)のための組成物には、薬学的に許容される水性溶媒もしくは有機溶媒またはその混合物中の溶液および懸濁液ならびに粉末が包含される。液体組成物または固体組成物は、上記の通りの適切な薬学的に許容される賦形剤を含有してよい。薬学的に許容される溶媒中の組成物を、不活性ガスを使用することにより噴霧することができる。噴霧化溶液を、噴霧化デバイスから直接吸入することができるか、または噴霧化デバイスをフェイスマスクテントまたは間欠的陽圧呼吸機に接続することができる。溶液、懸濁液または粉末の組成物を経口または鼻で、製剤を適切に送達するデバイスから投与することができる。LFA−1アンタゴニストの製剤を、噴射剤(例えば、定量噴霧式吸入器中で)と組み合わせて、任意の様々なネブライザーと共に、または乾燥粉末吸入器により使用することができる。エアゾール製剤により、LFA−1アンタゴニストを胃腸系の粘膜表面に有効に送達することができる。
別法では、LFA−1アンタゴニストを坐剤として投与するために製剤化する。上記で論述された通りのコーティングを使用して、坐剤からの薬物の放出時間を延長することができる。坐剤のための製剤はまた、持続放出または緩速放出マトリックス、微粒子またはナノ粒子を含み得る。
当技術分野で周知の通り、投与経路に適合するように、薬物の濃度を調節し、溶液のpHを緩衝化し、等張性を調節することができる。
一部の実施形態では、製剤は、約4.5から約7.5、約5.0から約7.5、約5.5から約7.5、約6.0から約7.5、または約6.5から約7.5のpHを有する。
本発明のLFA−1アンタゴニストを粉砕して、製剤のためのより適切な特性を与えることができる。粉砕は、より大きな表面積曝露を有するより小さな粒子をもたらし、これは、in vivoでのまたは製剤化の間でのより迅速な可溶化をもたらし得る。別法では、より小さな粒径への粉砕は、初期の可溶化なしに直接、皮膚または消化管壁などの生物学的バリアをLFA−アンタゴニストが通過する能力をもたらし、製剤中で固体としてLFA−1アンタゴニストを使用することを可能にし得るが、このことは温度安定性、貯蔵寿命、輸送の容易さおよび被験体による使用の容易さという追加的な利点をもたらし得る。LFA−1アンタゴニストの粉砕された固体粒子はまた、より高い生物学的利用能およびより望ましいか、制御可能な薬物動態を製剤にもたらし得る。粉砕粒子のサイズは、投与の際のLFA−1アンタゴニストの分布速度または持続放出製剤または緩速放出製剤からのLFA−1アンタゴニストの放出速度に影響を及ぼし得る。さらに、LFA−1アンタゴニストの粒子の粉砕を行うと、より狭いか、またはより対称な粒径分布を特定の製剤内または製剤化され得る物質のロット内で作り出すことができる。LFA−1アンタゴニストの粒径を当技術分野で周知の通りに選択して、製剤の簡素化のための所望の物理的特性または使用条件下で予め選択された期間にわたって制御された様式で製剤から分布される能力を得ることができる。粒径は、D50として表すことができ、これは、考察している材料のロット内の粒子直径の中央値つまり第50百分位数を示している。材料のロット中の粒径の他の尺度は、D90であり、これは、粒径分布における粒径直径の第90百分位数である。
本発明の製剤では、LFA−1アンタゴニストの粒子の直径は、約5nmから約100μm、約50nmから約100μm、約100nmから約100μm、約250nmから約100μm、約500nmから約100μm、約750nmから約100μm、約1μmから約100μmまたは約10μmから約100μm;約5nmから約50μm、約50nmから約50μm、約100nmから約50μm、約250nmから約50μm、約500nmから約50μm、約750nmから約50μm、約1μmから約50μmまたは約10μmから約50μm;約5nmから約10μm、約50nmから約10μm、約100nmから約10μm、約250nmから約10μm、約500nmから約10μm、約750nmから約10μmまたは約1μmから約10μm;約5nmから約1μm、約50nmから約1μm、約100nmから約1μm、約250nmから約1μm、約500nmから約1μmまたは約750nmから約1μm;約5nmから約1μm、約50nmから約1μm、約100nmから約1μm、約250nmから約1μm、約500nmから約1μmまたは約750nmから約1μm;約5nmから約1μm、約50nmから約1μm、約100nmから約1μm、約250nmから約1μm、約500nmから約1μmまたは約750nmから約1μm;約5nmから約900nm、約50nmから約900nm、約100nmから約900nm、約250nmから約900nm、約500nmから約900nmまたは約750nmから約900nm;約5nmから約900nm、約50nmから約900nm、約100nmから約900nm、約250nmから約900nm、約500nmから約900nmまたは約750nmから約900nm;約5nmから約900nm、約50nmから約900nm、約100nmから約900nm、約250nmから約900nm、約500nmから約900nmまたは約750nmから約900nm;約5nmから約750nm、約50nmから約750nm、約100nmから約750nm、約250nmから約750nm、約500nmから約750nm、約750nmから約750nmまたは約1μmから約750nm;約5nmから約750nm、約50nmから約750nm、約100nmから約750nm、約250nmから約750nmまたは約500nmから約750nm;約5nmから約750nm、約50nmから約750nm、約100nmから約750nm、約250nmから約750nmまたは約500nmから約750nm;約5nmから約500nm、約50nmから約500nm、約100nmから約500nmまたは約250nmから約500nm;約5nmから約250m、約50nmから約250nmまたは約100nmから約250nm;約5nmから約500nm、約10nmから約500nm、約20nmから約500nm、約30nmから約500nm、約40nmから約500nm、約50nmから約500nm、約60nmから約500nm、約70nmから約500nm、約80nmから約500nm、約90nmから約500nm、約100nmから約500nm、約200nmから約500nmまたは約300nmから約500nmの範囲である。
本発明の製剤では、LFA−1アンタゴニストの粒子の直径のD50は、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μm、約50μm、約45μm、約40μm、約35μm、約30μm、約25μm、約20μm、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、約11μm、約10μm、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm、約950nm、約900nm、約850nm、約800nm、約750nm、約700nm、約650nm、約600nm、約550nm、約500nm、約450nm、約350nm、約300nm、約250nm、約200nm、約150nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、約50nm、約45nm、約40nm、約35nm、約30nm、約25nm、約20nm、約19nm、約18nm、約17nm、約16nm、約15nm、約14nm、約13nm、約12nm、約11nm、約10nm、約9nm、約8nm、約7nm、約6nmまたは約5nmである。
本発明の製剤では、LFA−1アンタゴニストの粒子の直径のD50は、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μm、約50μm、約45μm、約40μm、約35μm、約30μm、約25μm、約20μm、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、約11μm、約10μm、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm、約950nm、約900nm、約850nm、約800nm、約750nm、約700nm、約650nm、約600nm、約550nm、約500nm、約450nm、約350nm、約300nm、約250nm、約200nm、約150nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、約50nm、約45nm、約40nm、約35nm、約30nm、約25nm、約20nm、約19nm、約18nm、約17nm、約16nm、約15nm、約14nm、約13nm、約12nm、約11nm、約10nm、約9nm、約8nm、約7nm、約6nmまたは約5nm未満である。
本発明の製剤では、LFA−1アンタゴニストの粒子の直径のD50は、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μm、約50μm、約45μm、約40μm、約35μm、約30μm、約25μm、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約20μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、約11μm、約10μm、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm、約950nm、約900nm、約850nm、約800nm、約750nm、約700nm、約650nm、約600nm、約550nm、約500nm、約450nm、約350nm、約300nm、約250nm、約200nm、約150nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、約50nm、約45nm、約40nm、約35nm、約30nm、約25nm、約20nm、約19nm、約18nm、約17nm、約16nm、約15nm、約14nm、約13nm、約12nm、約11nm、約10nm、約9nm、約8nm、約7nm、約6nmまたは約5nm以下である。
本発明の製剤では、LFA−1アンタゴニストの粒子の直径のD90は、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μm、約50μm、約45μm、約40μm、約35μm、約30μm、約25μm、約20μm、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、約11μm、約10μm、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm、約950nm、約900nm、約850nm、約800nm、約750nm、約700nm、約650nm、約600nm、約550nm、約500nm、約450nm、約350nm、約300nm、約250nm、約200nm、約150nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、約50nm、約45nm、約40nm、約35nm、約30nm、約25nm、約20nm、約19nm、約18nm、約17nm、約16nm、約15nm、約14nm、約13nm、約12nm、約11nm、約10nm、約9nm、約8nm、約7nm、約6nmまたは約5nmである。
本発明の製剤では、LFA−1アンタゴニストの粒子の直径のD90は、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μm、約50μm、約45μm、約40μm、約35μm、約30μm、約25μm、約20μm、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、約11μm、約10μm、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm、約950nm、約900nm、約850nm、約800nm、約750nm、約700nm、約650nm、約600nm、約550nm、約500nm、約450nm、約350nm、約300nm、約250nm、約200nm、約150nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、約50nm、約45nm、約40nm、約35nm、約30nm、約25nm、約20nm、約19nm、約18nm、約17nm、約16nm、約15nm、約14nm、約13nm、約12nm、約11nm、約10nm、約9nm、約8nm、約7nm、約6nmまたは約5nm未満である。
本発明の製剤では、LFA−1アンタゴニストの粒子の直径のD90は、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μm、約50μm、約45μm、約40μm、約35μm、約30μm、約25μm、約20μm、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、約11μm、約10μm、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、約1μm、約950nm、約900nm、約850nm、約800nm、約750nm、約700nm、約650nm、約600nm、約550nm、約500nm、約450nm、約350nm、約300nm、約250nm、約200nm、約150nm、約100nm、約95nm、約90nm、約85nm、約80nm、約75nm、約70nm、約65nm、約60nm、約55nm、約50nm、約45nm、約40nm、約35nm、約30nm、約25nm、約20nm、約19nm、約18nm、約17nm、約16nm、約15nm、約14nm、約13nm、約12nm、約11nm、約10nm、約9nm、約8nm、約7nm、約6nmまたは約5nm以下である。
ヒトの胃腸粘膜に送達するためには、LFA−1アンタゴニストを含む製剤は、LFA−1アンタゴニスト約5.0から10.0W/W%の濃度範囲であってよい。一部の他の実施形態では、製剤は、LFA−1アンタゴニスト約1.0W/W%、約2.0W/W%、約3.0W/W%、約4.0W/W%、約5.0W/W%、約6.0W/W%、約7.0W/W%、約8.0W/W%、約9.0W/W%または約10.0W/W%を含む。他の実施形態では、製剤は、LFA−1アンタゴニスト約10.0W/W%、約12.0W/W%、約14.0W/W%、約15.0W/W%、約16.0W/W%、約17.0W/W%、約18.0W/W%、約20.0W/W%、約21.0W/W%、約22.0W/W%、約23.0W/W%、約24.0W/W%または約25.0W/W%を含む。本発明のさらに他の実施形態では、製剤は、LFA−1アンタゴニスト約25.0W/W%、約26W/W%、約27W/W%、約28W/W%、約29W/W%、約30W/W%、約32W/W%、約34W/W%、約36W/W%、約38W/W%、約40W/W%、約42W/W%、約44W/W%、約46W/W%、約48W/W%または約50W/W%を含む。本発明のさらなる実施形態では、製剤は、LFA−1アンタゴニスト約45W/W%、約50W/W%、約55W/W%、約60W/W%、約65W/W%、約70W/W%、約75W/W%、約80W/W%または約85W/W%を含む。
LFA−1アンタゴニスト製剤は、治療される状態のタイプに応じて、他の治療剤を包含し得る。例えば、治療される状態が炎症性腸疾患である場合、追加の薬剤は、コルチコステロイドまたは他のタイプの免疫抑制剤であってよい。さらなる例は、下記で記載する。
胃腸系へのLFA−1アンタゴニストの投与
本発明の組成物は、治療的および/または予防的に有用なLFA−1活性により媒介される疾患または状態を治療するためのものである。したがって、動物などの被験体においてLFA−1により媒介される疾患または状態を治療する方法を、本発明では提供する。被験体は、これらに限定されないが、ヒトおよび霊長類、ヒツジ、ウシ、反すう動物、ウサギ、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、トリ、ネズミなどの非ヒト動物を包含する任意の動物を指し得る。例えば、本発明は、炎症性障害を治療する方法を提供し、これは、ヒト被験体に有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
本明細書に記載の製剤の投与は、白血球媒介炎症を治療するために有用である。本発明の製剤は、LFA−1の強力な阻害剤であり、理論に拘束されることはないが、Th1T細胞およびTh2T細胞により放出されるサイトカインを阻害する。白血球媒介炎症は、T細胞炎症応答などの選択疾患における炎症の開始および進行において役割を果たす。
例は下記にさらに記載するが、製剤を、免疫または炎症関連疾患または障害の1つまたは複数の症状または症状発現を治療、予防または診断するのに有効な量で投与する。有効量は、投与すると、LFA−1の活性を低下させ得る化合物または製剤の量;または投与して、LFA−1媒介状態または疾患に関連する任意の症状を予防、阻害するか、または重症度を軽減するのに必要な化合物の量である。本発明の医薬品の治療有効量を、純粋な形態で、またはそのような形態が存在する場合には、薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ形態で使用することができる。治療的有効量は典型的には、目的の治療利益を任意の医学的治療に適用可能な合理的な利益/危険比で得るのに十分な化合物の量を意味する。このことに関して、全身循環から迅速に除去されるLFA−1アンタゴニストの局所投与は特に、局所対全身曝露との比が10から10,000倍以上であり得る場合に特に有利であり得る。
しかしながら、本発明の医薬品および組成物の全1日使用量は主治医が、適正な医学的判断の範囲内で決定することは理解される。任意の特定の患者および医薬品についての具体的な治療有効用量レベルは、治療される障害および障害の重症度;使用される具体的な化合物の活性;使用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身の健康、性別および食事;使用される具体的な医薬品の投与時間、投与経路および排泄速度;治療期間;使用される具体的な化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物;医学分野で周知の同様の因子を包含する様々な因子に依存する。例えば、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで投薬を開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増やすことは、十分に当技術分野の技能の範囲内である。
存在するLFA−1アンタゴニストは、免疫関連障害または症状または炎症関連障害または症状を平均して少なくとも約5、10、15、20、25、30、40、50,60、70、80または90%軽減する治療効果を発揮するのに十分な量であってよい。一部の実施形態では、症状を90%より大きく軽減するか、または実質的に除去する。
本発明の製剤は、これらに限定されないが、局所、経口(これらに限定されないが、舌下、頬または吸入を包含)、鼻腔内(これらに限定されないが、エアゾール、点鼻薬またはカニューレの使用を包含)、経口または坐剤の使用を介しての直腸などの任意の適切な手段により投与することができる。
本明細書に記載の製剤は局所投与されて、治療有効濃度を局所的には達成し得るが、全身的には薬理学的有効濃度で分布せず、これは、経口、デポー、点眼またはポンプ投与によってよい。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストを有する製剤を、緩速放出プロファイルで経口または直腸投与する。
追加的な治療剤を別の組成物として投与する場合、これらを、同じ経路または別の経路により投与することができる。追加的な治療剤を単一の医薬組成物で投与する場合、これを、任意の適切な経路により投与することができる。一部の実施形態では、1種または複数のLFA−1アンタゴニストを有する薬剤の組合せを、経口投与により単一の組成物として投与する。一部の実施形態では、1種または複数のLFA−1アンタゴニストを有する治療剤の組合せを、単一の医薬組成物として経皮投与により投与する。一部の実施形態では、1種または複数の追加的な治療剤と1種または複数のLFA−1アンタゴニストとの組合せを、単一の医薬組成物として注射により投与する。一部の実施形態では、1種または複数の治療剤と1種または複数のLFA−1アンタゴニストとの組合せを、単一の組成物として局所投与する。
組成物をまた、有効用量のLFA−1アンタゴニストの送達をもたらす薬物動態プロファイルで投与することもできる。薬物の実際の有効量は、利用される具体的な薬物またはその組合せ、製剤化された特定の組成物、投与方法、患者の年齢、体重、状態および治療される症状または状態の重症度に応じて変わり得る。特定の患者に対する投与量は、当業者であれば、慣用の考察を使用して(例えば、適切で慣用の薬理学的プロトコルにより)決定することができる。
本明細書に記載の製剤の投与の利点には、治療剤の局所送達および低い全身生物学的利用能による最小の全身副作用が包含される。例えば、投与単位が胃腸系の内腔内を通過すると、経口製剤は高濃度のLFA−1アンタゴニストを送達する。高い局所濃度は、浸透勾配を生じさせ、局所勾配に曝露されたGIの組織へと薬物を局所的に移動させる。局所組織を通過して吸収される薬物は、脈管構造に取り込まれて、門脈を介して肝臓へと掃引される。LFA−1アンタゴニストは、肝臓/胆汁により除去されて、それが吸収され得る下部GI内腔に戻る。
本発明の治療剤は、全身に吸収された薬物がどれも急速に除去されるような迅速な全身クリアランスを有する。LFA−1がいくつかのリガンドと相互作用して、いくつかの望ましくない副作用をもたらすこともあることは公知である。一部の実施形態では、治療剤の局所濃度は、全身濃度よりも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、25倍、50倍または約100倍よりも高い。本発明の他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの局所濃度は、全身濃度よりも約1000倍よりも高い。一部の実施形態では、局所濃度は、同じ時点で、全身濃度よりも約10000倍以上高い。治療剤濃度は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して測定することができる。例えば、放射性同位元素標識された治療薬物を使用して、投与の局所部位から得られた測定値を全身レベルと比較することができる(例えば、血漿レベル濃度)。
被験体を治療する方法は、1種または複数の疾患を治療するために1種または複数の薬物の投与を伴うことがある。薬剤の組合せを、1種の疾患または複数の疾患を治療するために、または組合せにおける1種または複数の薬剤の副作用を調節するために使用することができる。LFA−1アンタゴニストと組み合わせて使用される他の薬剤には、免疫関連障害の治療および/またはある種の作用の中和のために使用される薬剤が包含され、例えば、LFA−1アンタゴニストを、副作用としてドライアイをもたらす薬物と共に投与することができる。
炎症症状の根絶または改善が存在する場合に、治療利益は達成され得る。また、治療される基礎障害の根絶または改善が存在する場合に、治療利益は達成され得る。別法では、基礎障害に関連する1つまたは複数の生理学的症状の根絶または改善で、治療利益は達成され得る。例えば、炎症性腸障害(IBD)を治療するためのLFA−1アンタゴニストを含む治療有効量は、被験体のIBD症状が軽減されるような被験体に対する投与量レベルと定義することができ、これは、これらに限定されないが、疾患からの回復速度に対する検出可能な影響(例えば、体重増加速度)または次の症状:腹痛、下痢、直腸出血、体重減少、発熱、食欲喪失、脱水、貧血、膨満、線維症、腸の炎症および栄養失調のうちの少なくとも1つの軽減を包含するIBDの検出可能な症状における任意の程度の定性的または定量的軽減を指す。
本発明の組成物による障害または疾患の治療は、被験体が基礎障害で未だ苦しめられていることがあるにも関わらず、被験体において観察される改善、被験体または医師により認められる改善をもたらし得る。例えば、疾患の全身発現は、局所投与の後にも存在し得る。予防的利益のために、特定の疾患を発症する危険性のある被験体に、または疾患の生理学的症状の1つまたは複数を報告している被験体に、その疾患の診断が未だなされていなくても、組成物を投与することができる。基礎障害の生理学的症状の進行または基礎障害の進行を防ぐために、組成物を被験体に投与することができる。
LFA−1アンタゴニストを含む製剤または医薬組成物を、単回用量で投与することができる。LFA−1アンタゴニストを含む医薬組成物の単回用量はまた、急性症状を治療するための他の物質(例えば、鎮痛剤)と共に同時投与する場合にも使用することができる。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストを含む医薬組成物を複数回用量で投与する。投薬は、1日当たり約1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回または10回超であってよい。投薬は、1年に約1回、1年に2回、6カ月毎、4カ月毎、3カ月毎、60日毎、月1回、2週間毎に1回、1週間に1回または1日おきに1回であってよい。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストを含む医薬組成物の投与を、約7日未満継続する。さらに他の実施形態では、投与を、約6、10、14、28日、2カ月、6カ月または1年より長く継続する。一部の場合には、投薬を、例えば、慢性炎症での投薬では、必要なだけ長く継続する。
他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストを含む医薬組成物を他の治療剤と組み合わせて、1日当たり約1回から1日当たり約10回投与する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストを含む医薬組成物と他の治療物質との同時投与を、約7日未満継続する。さらに他の実施形態では、同時投与を、約6、10、14、28日、2カ月、6カ月または1年より長く継続する。一部の場合には、同時投与での投薬を、例えば、慢性炎症での投薬では、必要なだけ長く継続する。一部の実施形態では、同時投与は、同一組成物中においてである。
他の実施形態では、同時投与は、別々の医薬組成物においてである。一部の実施形態では、同時投与は共同性である。一部の実施形態では、第2の治療剤の投与は、LFA−1アンタゴニストを含む医薬組成物を投与する前である。一部の実施形態では、第2の治療剤の投与は、LFA−1アンタゴニストを含む医薬組成物を投与する後である。一実施形態では、第2の治療剤は、鎮痛剤である。
本発明の組成物の投与は、必要なだけ長く継続し得る。一部の実施形態では、本発明の組成物を、1、2、3、4、5、6、7、14または28日より長く投与する。一部の実施形態では、本発明の組成物を、28、14、7、6、5、4、3、2または1日未満投与する。一部の実施形態では、本発明の組成物を、例えば、慢性疼痛の治療に対し継続的に長期間投与する。
本発明で使用される活性成分の投与量および投与回数は、患者の性別、年齢および体重、治療される症状、望ましい治療効果、投与経路ならびに治療期間によって変わる。本発明の方法についての投薬は、日常的な実験により見出すことができる。1日用量は、約1×10−10gから5000mgの範囲であってよい。1日用量範囲は、LFA−1アンタゴニストを含む製剤の形態、例えば、使用されるエステルまたは塩および/または投与経路および/または特定の形態の溶解性(例えば、水性または固体)に依存し得る。例えば、全身投与では、典型的な1日用量範囲は、例えば約1〜5000mgまたは約1〜3000mgまたは約1〜2000mgまたは約1〜1000mgまたは約1〜500mgまたは約1〜100mgまたは約10〜5000mgまたは約10〜3000mgまたは約10〜2000mgまたは約10〜1000mgまたは約10〜500mgまたは約10〜200mgまたは約10〜100mgまたは約20〜2000mgまたは約20〜1500mgまたは約20〜1000mgまたは約20〜500mgまたは約20〜100mgまたは約50〜5000mgまたは約50〜4000mgまたは約50〜3000mgまたは約50〜2000mgまたは約50〜1000mgまたは約50〜500mgまたは約50〜100mg、約100〜5000mgまたは約100〜4000mgまたは約100〜3000mgまたは約100〜2000mgまたは約100〜1000mgまたは約100〜500mgである。一部の実施形態では、本明細書に記載の製剤の1日用量は、約100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000mgである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、0.1mgである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、1mgである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、10mgである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、100mgである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、500mgである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、1000mgである。
一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、LFA−1により媒介される障害の症状を平均して少なくとも約5、10、15、20、25、30、40、50,60、70、80、90、90%超軽減するか、またはLFA−1により媒介される障害の症状を実質的に除去する治療効果を発揮するのに十分な量で存在する。
一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの有効量は、約1×10−11、1×10−10、1×10−9、1×10−8、1×10−7、1×10−6、1×10−5、1×10−4、1×10−3、1×10−2、1×10−1、1、1×101、1×102グラムの1日用量である。
胃腸臓器の組織表面への局所送達では、典型的な1日用量範囲は例えば、約1×10−10gから5.0gまたは約1×10−10gから2.5gまたは約1×10−10gから1.00gまたは約1×10−10gから0.5gまたは約1×10−10gから0.25gまたは約1×10−10gから0.1gまたは約1×10−10gから0.05gまたは約1×10−10gから0.025gまたは約1×10−10gから1×10−2gまたは約1×10−10gから5×10−3gまたは約1×10−10gから2.5×10−3gまたは約1×10−10gから1×10−3gまたは約1×10−10gから5×10−4gまたは1×10−10gから2.5×10−4gまたは約1×10−10gから1×10−4gまたは約1×10−10gから5×10−5gまたは1×10−10gから2.5×10−5gまたは約1×10−10gから1×10−5gまたは約1×10−10gから5×10−6gまたは約1×10−9gから1.00gまたは約1×10−9gから0.5gまたは約1×10−9gから0.25gまたは約1×10−9gから0.1gまたは約1×10−9gから0.05gまたは約1×10−9gから0.025gまたは約1×10−9gから1×10−2gまたは約1×10−9gから5×10−3gまたは約1×10−9gから2.5×10−3gまたは約1×10−9gから1×10−3gまたは約1×10−9gから5×10−4gまたは約1×10−8gから5.0gまたは約1×10−8gから2.5gまたは約1×10−8gから1gまたは約1×10−8gから0.5gまたは約1×10−8gから0.25gまたは約1×10−8gから0.1gまたは約1×10−8gから5×10−2gまたは約1×10−8から5×10−2gまたは約1×10−8gから2.5×10−2gまたは約1×10−8gから1×10−2gまたは約1×10−8gから5×10−3gまたは約1×10−8から2.5×10−3gまたは約1×10−8gから1×10−3gまたは約1×10−8gから5×10−4gまたは約1×10−7gから5.0gまたは約1×10−7gから2.5gまたは約1×10−7gから1gまたは約1×10−7gから0.5gまたは約1×10−7gから0.25gまたは約1×10−7gから0.1gまたは約1×10−7gから5×10−2gまたは約1×10−7から5×10−2gまたは約1×10−7gから2.5×10−2gまたは約1×10−7gから1×10−2gまたは約1×10−7gから5×10−3gまたは約1×10−7から2.5×10−3gまたは約1×10−7gから1×10−3gまたは約1×10−7から5×10−4gまたは約1×10−6gから5.0gまたは約1×10−6gから2.5gまたは約1×10−6gから1gまたは約1×10−6gから0.5gまたは約1×10−6gから0.25gまたは約1×10−6gから0.1gまたは約1×10−6gから5×10−2gまたは約1×10−6から5×10−2gまたは約1×10−6gから2.5×10−2gまたは約1×10−6gから1×10−2gまたは約1×10−6gから5×10−3gまたは約1×10−6から2.5×10−3gまたは約1×10−6gから1×10−3gまたは約1×10−6gから5×10−4gまたは約1×10−5gから5gまたは約1×10−5gから2.5gまたは約1×10−5gから1gまたは約1×10−5gから0.5gまたは約1×10−5gから0.25gまたは約1×10−5gから0.1gまたは約1×10−5gから0.05gまたは約1×10−5gから2.5×10−2gまたは約1×10−5gから1×10−2gまたは約1×10−5gから5×10−3gまたは約1×10−5gから2.5×10−3gまたは約1×10−5gから1×10−3gまたは約1×10−5gから5×10−4gの範囲である。
一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、約1×10−10、約1×10−9、約1×10−8、約1×10−7、約1×10−6、約1×10−5、約1×10−4、約1×10−3g、約1×10−2g、約1×101gまたは約1gである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、約1×10−10gである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は約1×10−9gである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、約1×10−8gである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、約1×10−7gである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、約1×10−5gである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、約1×10−3gである。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの1日用量は、約1×10−2gである。一部の実施形態では、個別の用量は、約1×10−10gから5.0gまたは約1×10−10gから2.5gまたは約1×10−10gから1.00gまたは約1×10−10gから0.5gまたは約1×10−10gから0.25gまたは約1×10−10gから0.1gまたは約1×10−10gから0.05gまたは約1×10−10gから0.025gまたは約1×10−10gから1×10−2gまたは約1×10−10gから5×10−3gまたは約1×10−10gから2.5×10−3gまたは約1×10−10gから1×10−3gまたは約1×10−10gから5×10−4gまたは1×10−10gから2.5×10−4gまたは約1×10−10gから1×10−4gまたは約1×10−10gから5×10−5gまたは1×10−10gから2.5×10−5gまたは約1×10−10gから1×10−5gまたは約1×10−10gから5×10−6gまたは約1×10−9gから1.00gまたは約1×10−9gから0.5gまたは約1×10−9gから0.25gまたは約1×10−9gから0.1gまたは約1×10−9gから0.05gまたは約1×10−9gから0.025gまたは約1×10−9gから1×10−2gまたは約1×10−9gから5×10−3gまたは約1×10−9gから2.5×10−3gまたは約1×10−9gから1×10−3gまたは約1×10−9gから5×10−4gまたは約1×10−8gから5.0gまたは約1×10−8gから2.5gまたは約1×10−8gから1gまたは約1×10−8gから0.5gまたは約1×10−8gから0.25gまたは約1×10−8gから0.1gまたは約1×10−8gから5×10−2gまたは約1×10−8から5×10−2gまたは約1×10−8gから2.5×10−2gまたは約1×10−8gから1×10−2gまたは約1×10−8gから5×10−3gまたは約1×10−8から2.5×10−3gまたは約1×10−8gから1×10−3gまたは約1×10−8gから5×10−4gまたは約1×10−7gから5.0gまたは約1×10−7gから2.5gまたは約1×10−7gから1gまたは約1×10−7gから0.5gまたは約1×10−7gから0.25gまたは約1×10−7gから0.1gまたは約1×10−7gから5×10−2gまたは約1×10−7から5×10−2gまたは約1×10−7gから2.5×10−2gまたは約1×10−7gから1×10−2gまたは約1×10−7gから5×10−3gまたは約1×10−7から2.5×10−3gまたは約1×10−7gから1×10−3gまたは約1×10−7から5×10−4gまたは約1×10−6gから5.0gまたは約1×10−6gから2.5gまたは約1×10−6gから1gまたは約1×10−6gから0.5gまたは約1×10−6gから0.25gまたは約1×10−6gから0.1gまたは約1×10−6gから5×10−2gまたは約1×10−6から5×10−2gまたは約1×10−6gから2.5×10−2gまたは約1×10−6gから1×10−2gまたは約1×10−6gから5×10−3gまたは約1×10−6から2.5×10−3gまたは約1×10−6gから1×10−3gまたは約1×10−6gから5×10−4gまたは約1×10−5gから5gまたは約1×10−5gから2.5gまたは約1×10−5gから1gまたは約1×10−5gから0.5gまたは約1×10−5gから0.25gまたは約1×10−5gから0.1gまたは約1×10−5gから0.05gまたは約1×10−5gから2.5×10−2gまたは約1×10−5gから1×10−2gまたは約1×10−5gから5×10−3gまたは約1×10−5gから2.5×10−3gまたは約1×10−5gから1×10−3gまたは約1×10−5gから5×10−4gの範囲である。
一部の実施形態では、上記の通りの個別の用量を、1日当たり1、2、3、4、5、6、7、8、9または10回繰り返す。
他の投与形態では、1日投与量は、およそ全身投与のために記載された範囲に及んでよいか、またはおよそ局所投与のために記載された範囲に及んでよい。
緩速放出デバイスまたは持続放出デバイスおよび製剤に関して、一部の実施形態では、典型的な用量範囲は、LFA−1アンタゴニスト約0.1mgから約100mgであり、これが、投薬期間にわたって放出される。他の実施形態では、約1mgから約50mg、約1から約25mg、約5mgから約100mg、約5から約50mg、約5から約25mg、約10mgから約100mg、約10mgから約50mg、約10mgから約25mgまたは約15mgから約50mgを、投薬期間にわたって放出する。緩速放出デバイスおよび製剤のための投薬期間は典型的には、約10日から約1年、約30日から約1年、約60日から約1年、約3カ月から約1年、約4カ月から約1年、約5カ月から約1年または約6カ月から約1年の範囲である。一部の実施形態では、緩速放出デバイスおよび製剤は、LFA−1アンタゴニストを、約1カ月から約9カ月、約1カ月から約8カ月、約1カ月から約7カ月、約1カ月から約6カ月、約1カ月から約5カ月、約1カ月から約4カ月または約1カ月から約3カ月の期間にわたって放出する。他の実施形態では、緩速放出製剤およびデバイスは、LFA−1アンタゴニストを、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、12カ月、18カ月、2年、30カ月または3年まで放出する。一部の実施形態では、緩速放出デバイスまたは持続放出デバイスは、ポンプである。一部の実施形態では、緩速放出デバイスまたは持続放出デバイスは、インプラント可能なデバイスである。一部の緩速または持続放出製剤では、これは、ゲルである。一部の緩速放出製剤または持続放出製剤では、これは、生体適合性固体である。一部の緩速放出製剤または持続放出製剤では、これは、生分解性固体である。
本発明の一部の実施形態では、持続放出製剤および/または移植物は、少なくとも約10nM、約50nM、約100nM、約150nM、約200nM、約250nM、約300nM、約350nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約15μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、約45μM、約50μM、約55μM、約60μM、約65μM、約70μM、約75μM、約80μM、約85μM、約90μM、約95μM、または約100μMのLFA−1アンタゴニストの局所レベルを1年にわたって維持するのに十分な治療剤を放出する。本発明の一部の実施形態では、持続放出製剤および/または移植物は、少なくとも約10nM、約50nM、約100nM、約150nM、約200nM、約250nM、約300nM、約350nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約15μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、約45μM、約50μM、約55μM、約60μM、約65μM、約70μM、約75μM、約80μM、約85μM、約90μM、約95μMまたは約100μMのLFA−1アンタゴニストの局所レベルを6カ月にわたって維持するのに十分な治療剤を胃腸組織に放出する。
本発明の組成物は、複数回投与形態でパッケージングすることができるか、または単回用量単位でパッケージングすることができる。保存剤が、使用する間の微生物汚染を防ぐために好ましいことがある。本発明の組成物は、保存剤を含有しない無菌単位用量タイプとして製剤化することができる。別法では、保存剤を使用することができる。
本発明の組成物に適した保存剤には、塩化ベンザルコニウム、プライト(purite)、過酸化物、過ホウ酸塩、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、Onamer Mまたは当業者に公知の他の薬剤が包含される。本発明の一部の実施形態では、このような保存剤を約0.004%から約0.02%のレベルで使用することができる。本出願の一部の組成物では、保存剤の塩化ベンザルコニウムを、約0.001重量%から約0.01重量%未満で、例えば、約0.001重量%から約0.008重量%または約0.005重量%のレベルで使用することができる。約0.005%の塩化ベンザルコニウム濃度で、微生物攻撃から本発明の組成物を守るためには十分であり得ることが見出されている。当業者であれば、成分の適正な濃度、さらに、適切な局所製剤を生じさせるための様々な成分の組合せを決定することができる。例えば、眼用滴剤または皮膚に適用するための製剤は、メチルパラベンおよびプロピルパラベンそれぞれ約0.02%および約0.04%からなる混合物で使用することができる。
炎症性関連状態および免疫関連状態の治療
本発明のLFA−1アンタゴニストは、LFA−1がいくつかの炎症性関連疾患および障害および免疫関連疾患および障害に関与しているので、様々な炎症性関連疾患および障害および免疫関連疾患および障害を治療するために使用し得る。作用機序を限定する意図はないが、本発明の方法は、LFA−1およびICAM−1の相互作用の阻害により、炎症関連疾患の開始および進行を阻害することを含む。LFA−1およびICAM−1は、リンパ球/白血球移動および増殖のプロセスに関与し、炎症応答のカスケードをもたらす細胞外受容体ドメインを備えた分子である。例えば、Raptiva clinical trialsまたはwww.clinicaltrials.gov.で使用されている通り、LFA−1アンタゴニストの局所投与は、抗LFA−1モノクローナル抗体の全身投与が有効であると判明している疾患状態において特に有効であり得る。本発明の方法は、下記でさらに詳述される通り、抗炎症作用をもたらし、炎症媒介疾患、例えば、炎症性腸疾患(IBD)の治療に有用である。
ヒト血液は、白血球細胞(白血球)を含有し、これはさらに、好中球、リンパ球(BおよびTサブタイプを有する)、単球、好酸球および好塩基球として分類される。白血球のこれらのクラスのうちの数種、好中球、好酸球、好塩基球およびリンパ球が、炎症性障害に関与している。LFA−1は、多くの白血球上で発現されるロイコインテグリンの群の1つであり、リガンドとしてのいくつかのICAMと相互作用するリンパ系インテグリンであると考えられる。これらの相互作用の破壊、したがって、免疫/炎症性応答の破壊は、IBDなどの疾患または障害における炎症の低減をもたらす。例えば、ICAM−1(CD54)は、免疫グロブリンタンパク質スーパーファミリーにおける接着受容体のICAMファミリー(ICAM−1、ICAM−2、ICAM−3、ICAM−4)のメンバーであり、活性化白血球、皮膚線維芽細胞および内皮細胞上で発現される。Krensky, A. M.;Sanchez−Madrid, F.;Robbins, E.;Nagy, J. A.;Springer, T. A. Burakoff, S. J.「The functional significance, distribution, and sturucture of LFA−1, LFA−2, and LFA−3: cell surface antigens associated with CTL−target interactions.」、1983年、J. Immunol. 131巻、611〜616頁を参照されたい。これは通常、脈管構造を内張している内皮細胞上で発現され、免疫/炎症開始の間にサイトカインまたはIL−1、LPS、SEBおよびTNFなどのサイトカイン放出を誘発する化合物に曝露されると、アップレギュレーションされる。
過去十年間にわたって行われた研究は、カスケード内での細胞間引き金相互作用に焦点を当てて免疫系における細胞の移動および活性化に関する分子事象の解明を助けている。Springer, T. A.「Adhesion receptors of the immune system.」Nature、1990年、346巻、425〜434頁を参照されたい。細胞間接着分子(ICAM)とロイコインテグリンとの相互作用は、免疫系の機能化において役割を果たしている。抗原提示、T細胞媒介細胞傷害性および白血球経内皮移動(血管外遊出)などの免疫プロセスは、ロイコインテグリンとのICAM相互作用により媒介される細胞接着を必要とすると考えられる。Kishimoto, T. K.;Rothlein;R. R.「Integrins, ICAMs, and selectins;role and regulation of adhesion molecules in neutrophil recruitment to inflammatory sites.」Adv. Pharmacol. 1994年、25巻、117〜138頁およびDiamond, M.;Springer, T. A.「The dynamic regulation of integrin adhesiveness.」Current Biology、1994年、4巻、506〜532頁を参照されたい。
ICAM−1およびLFA−1(αLβ2およびCD11a/CD18とも称される)の相互作用は、活性化標的部位での接着、白血球経内皮移動、傷害部位への移動およびリンパ球の増殖のプロセスに関与していることが判明している。例えば、炎症性応答の成分である白血球経内皮移動の前に、サイトカイン/ケモカインの存在が、白血球上で構成的に発現されるインテグリンを活性化すると現在では考えられている。血管内皮細胞もまた、同じサイトカイン/ケモカインの存在に応答して、ICAM−1をアップレギュレーションする。ローリングしている白血球が、活性化内皮細胞に近づくと、その進行は先ず、これらのアップレギュレーションされたICAM−1受容体によりゆっくりになる。続いて、LFA−1と、血管内皮細胞表面で発現されたICAM−1とがリガンド/受容体相互作用し、これにより、リンパ球のさらなるローリングが停止する。次いで、リンパ球は平らになって、トランスバセーション(transvasation)が生じる。このプロセスは、血管内皮を介してのリンパ球遊出と、さらに、末梢血からリンパ節へのリンパ球輸送との両方で重要である。
LFA−1は、T細胞および抗原提示細胞(APC)の相互作用表面の物理的構造として定義され得る免疫学的シナプスの作成および維持に役割を果たす。LFA−1は、APCとのT細胞会合を安定化するので、T細胞の活性化をもたらす。LFA−1およびICAM−1の相互作用はまた、休止T細胞に対する共刺激シグナルをもたらすようである。CD4+T細胞増殖およびサイトカイン合成は、炎症応答の一部としてのこの相互作用により媒介される。
ICAM−1およびLFA−1の相互作用が免疫/炎症応答で果たす役割を考慮すると、これらの相互作用を調節して、所望の治療結果を達成することが望ましい(例えば、過活性炎症応答の事象では、相互作用の阻害)。ICAMおよびロイコインテグリンの相互作用のアンタゴニズムは、いずれかの成分を対象とする薬剤、例えば抗体により実現することができる。また、LFA−1は、一群のシグナル伝達経路に関連する、ICAMファミリー(ICAM−1、ICAM−2およびICAM−3)の中にいくつかのリガンドパートナーを有するので、本発明の一部の実施形態では、これらの相互作用を選択的に調節することが望ましい。
本明細書に記載の方法および組成物は、本明細書に記載の経路の1つまたは複数の成分を調節し得る。LFA−1およびICAM−1の相互作用の阻害に加えて、本発明の方法および組成物はまた、炎症プロセスの初期部分または後期部分のいずれかにも介入し得る。例えば、拘束および経内皮移動前の内皮細胞または白血球でのICAM−1またはLFA−1のアップレギュレーション(活性化)を、本明細書に記載の方法および組成物により調節することができる。本発明は、白血球輸送の経過においてICAM−1およびLFA−1を活性化するサイトカインまたはケモカインの発現を調節する際、サイトカインまたはケモカインの輸送を調節する際、停止白血球のトランスバセーションを防止する際、傷害または炎症の部位での白血球増殖に関与している他の機序を介してシグナル伝達を調節する際などに、有用であり得る。
本発明の組成物および方法は、これらに限定されないが、炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患および口腔扁平苔癬を包含する胃腸系の炎症性関連障害および症状または免疫関連障害および症状を治療するために有用である。本明細書に記載の組成物および製剤は、胃腸管の粘膜層の炎症などの胃腸炎症を治療する際に有用である。胃腸管の粘膜層には、腸(小腸および大腸を包含する)、直腸、胃(胃)内層、口腔などの粘膜が包含される。急性および慢性炎症性状態を治療することができる。急性炎症は通常、短時間の発症および好中球の浸潤または流入により特徴付けられる。慢性炎症は通常、比較的長期間の発症(例えば、数日、数週、数カ月、数年および被験体の寿命まで)および単核細胞の浸潤または流入により特徴付けられる。慢性炎症はまた、自然寛解期および自然出現期により典型的には特徴付けられ得る。したがって、慢性胃腸炎症を有する被験体は、長期間の管理、観察または治療を必要とすると予測され得る。
このような慢性炎症を有する、慢性胃腸炎症疾患とも称される慢性胃腸炎症性状態には、必ずしもこれらに限定されないが、炎症性腸疾患、環境傷害により誘発される大腸炎(例えば、化学療法、放射線療法などの投与などの治療計画により、もたらされるまたはそれに関連する(例えば、副作用として)胃腸炎症(例えば、大腸炎))、慢性肉芽種性疾患などの状態の大腸炎(Schappiら、Arch. Dis. Child.、1984:147(2001年))、セリアック病、セリアックスプルー(グルテンとして公知のタンパク質の経口摂取に応答して腸内層が炎症を起こす遺伝性疾患)、食物アレルギー、胃炎、感染性胃炎または腸炎(例えば、Helicobacter pylori感染による慢性活動性胃炎)および感染因子によりもたらされる他の形態の胃腸炎症および他の同様の状態が包含される。急性および慢性炎症は、理論に拘束されることはないが、炎症性サイトカイン(特に、腫瘍壊死因子−アルファ)の増大および上皮細胞アポトーシスの増大に続くと考えられる。理論に限定されることはないが、結果として生じるこれらの因子の症状発現が、粘膜上皮内層の喪失および上述の好中球/単核細胞浸潤であると考えられる。
本発明は、炎症性腸疾患またはIBDを治療する際に有用である。IBDは、腸の全部または一部の炎症により典型的には特徴付けられる様々な疾患のうちのいずれかを指す。炎症性腸疾患の例には、これらに限定されないが、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、粘膜炎、放射線誘発腸炎、短腸症候群、セリアック病、大腸炎、胃潰瘍、憩室炎、回腸嚢炎、直腸炎および慢性下痢が包含される。IBDに対する言及は、胃腸炎症状態の例示であり、限定は意図されていない。
IBDの症状には、これらに限定されないが、腹痛、下痢、直腸出血、体重減少、発熱、食欲喪失ならびに脱水症、貧血および栄養失調などの他のより重症の合併症などの症状が包含され得る。このような症状のうちのいくつかは、定量分析の対象である(例えば、体重減少、発熱、貧血など)。一部の症状は、血液検査(例えば、貧血)または血液の存在を検出する検査(例えば、直腸出血)から容易に決定される。本明細書に記載のLFA−1アンタゴニストによるIBDの治療は、症状を低減することができ、これは、これらに限定されないが、疾患からの回復速度に対する検出可能な影響(例えば、体重増加速度)を包含する検出可能な症状の定性的または定量的な低減であり得る。粘膜の内視鏡観察および内視鏡生検標本の病理学的検査により、診断を決定することができる。
本明細書に記載の製剤はまた、IBDの高い危険性を有する(即ち、平均的な人を上回る)世界人口の一部を包含する、IBDの危険性を有する者を治療するために使用することもできる。IBDは、米国、英国および北欧において最も一般的であるようであり、ユダヤ系の人々などの一定の人口サブグループにおいてより一般的である。この状態の高い頻度はまた、途上国でも観察されている。炎症性腸疾患を患っている家族を有する人々においても、高い危険性が典型的には優勢である。したがって、危険性を有する者もまた、本発明のLFA−1アンタゴニストで治療することができる。
したがって、一態様では、被験体における胃腸系の1種または複数の組織の炎症性障害または免疫関連障害を治療する方法を提供し、これは、それを必要とする前記被験体に、LFA−1アンタゴニストまたは薬学的に許容されるその塩もしくはエステルと、薬学的に許容される賦形剤とを含み、ここで、被験体に投与された場合に、前記LFA−1アンタゴニストが約2mL/分/kgを超える全身クリアランス速度を有する製剤を投与することを含む。投与は、経口か、坐剤を介してよい。
経口投与の利点には、治療剤の局所送達および低い全身生物学的利用能による最小の全身副作用が包含される。LFA−1アンタゴニストを経口投与するが、製剤が薬物をGI液中で溶解することを可能にする、GI管中にのみ送達される。次いで、LFA−1アンタゴニストは、GI粘膜の表面に分布し、その上で、LFA−1アンタゴニストは、腸管上皮を通って、局所の隣接組織に浸透する。高レベルの薬物を有するGI管中の液は、正常なGIの運動性と胃流(gastric flow)でGI管を下り、その道に沿ったGIの罹患表面をコートする。加えて、局所腸組織から脈管構造へ分布するLFA−1アンタゴニストは、肝臓へと掃引されて、胆汁を介して下部GI管へと送達される。適切な製剤および追加の担体は本明細書に論述されており、加えて、その教示全体が参照により本明細書に援用されるRemington「The Science and Practice of Pharmacy」(20版、Lippincott Williams & Wilkins, Baltimore MD)に記載されている。
一部の実施形態では、本発明の治療剤は、全身に吸収された薬物がどれも迅速に除去されるような迅速な全身クリアランスを有する。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、約1mL/分/kg、約2mL/分/kg、約3mL/分/kg、約4mL/分/kg、約5mL/分/kg、約6mL/分/kg、約7mL/分/kg、約8mL/分/kg、約9mL/分/kg、約10mL/分/kg、約11mL/分/kg、約12mL/分/kg、約13mL/分/kg、約14mL/分/kg、約15mL/分/kg、約16mL/分/kg、約17mL/分/kg、約18mL/分/kg、約19mL/分/kg、約20mL/分/kg、約25mL/分/kg、約30mL/分/kg、約35mL/分/kg、約40mL/分/kg、約45mL/分/kg、約50mL/分/kg、約60mL/分/kg、約65mL/分/kg、約70mL/分/kg、約75mL/分/kg、約80mL/分/kg、約85mL/分/kg、約90mL/分/kg、約95mL/分/kgまたは約100mL/分/kgを超える全身クリアランス速度を有し得る。
LFA−1は、いくつかの望ましくない副作用をもたらし得る数個のリガンドと相互作用することが公知である。したがって、一部の実施形態では、治療剤の局所濃度は、全身濃度よりも約2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、25倍、50倍または約100倍を超えて高い。本発明の他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストの局所濃度は、全身濃度よりも1000倍を超えて高い。一実施形態では、局所濃度は同じ時点での、全身濃度よりも約10000倍以上高い。治療剤の濃度は、当技術分野の任意の公知の方法を使用して測定することができる。例えば、放射性同位元素標識された治療剤を使用して、投与の局所部位からとった測定値を全身レベル(例えば、血漿レベル濃度)と比較することができる。
組成物を、LFA−1アンタゴニストの有効用量の送達をもたらす薬物動態プロファイルで送達することができる。薬物の実際の有効量は、利用される具体的な薬物またはその組合せ、製剤化された特定の組成物、投与方法および患者の年齢、体重、状態および治療される症状または状態の重症度に応じて変わり得る。特定の患者での投与量は、当業者であれば、従来の考察を使用して(例えば、適切な従来の薬理学的プロトコルにより)決定することができる。
胃腸粘膜の環境にいったん放出されると、LFA−1アンタゴニストは局所的に吸収される。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約4時間以内は、約1μMを超える局所組織濃度を達成する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約3時間以内は、約1μMを超える局所組織濃度を達成する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約2時間以内は、約1μMを超える局所組織濃度を達成する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約1時間以内は、約1μMを超える局所組織濃度を達成する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約50分、約40分、約30分、約20分、約10分、約5分または約3分以内は、約1μMを超える局所組織濃度を達成する。
上記の通り本発明の製剤を経口投与した後に、LFA−1アンタゴニストはGI管中で放出され、LFA−1アンタゴニストがGI管から分布する上皮表面の約1mm以内において治療有効濃度で存在する。一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、LFA−1アンタゴニストがGI管から分布する上皮表面の約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mm、約30mm、約40mmまたは約50mm以内において治療有効濃度で存在する。坐剤により本発明の製剤をGI管に投与する実施形態では、LFA−1アンタゴニストはGI管中で放出され、LFA−1アンタゴニストがGI管で放出されて分布する上皮表面の約1mm以内において治療有効濃度で存在する。
一部の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約4時間以内は、約10nMを超える局所組織濃度を有する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約4時間以内は、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約150nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μMまたは約10μMを超える局所組織濃度を有する。さらに他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約5時間以内は、約10nM、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約150nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μMまたは約10μMを超える局所組織濃度を有する。本発明はまた、LFA−1アンタゴニストが、被験体への投与後約3時間以内は約10nM、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約150nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μMまたは約10μMを超える局所組織濃度を有する方法を提供する。LFA−1アンタゴニストはまた、被験体への投与後約2時間以内は、約10nM、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約150nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μMまたは約10μMを超える局所組織濃度を有し得る。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約1時間以内は、約10nM、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約150nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μMまたは約10μMを超える局所組織濃度を有する。一部の他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、被験体への投与後約50分、約40分、約30分、約20分、約10分、約9分、約8分、約7分、約6分、約5分、約4分、約3分、約2分または約1分以内は、約10nM、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約150nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約8μM、約9μMまたは約10μMを超える局所組織濃度を有する。
本発明の一部の方法では、LFA−1アンタゴニストは、投与後少なくとも約8時間は、約10nMを超える局所組織濃度を維持する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、投与後少なくとも約8時間は、約10nM、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約150nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nMまたは約1μMを超える局所組織濃度を維持する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、投与後少なくとも約10時間、約9時間、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間または約1時間は、約10nM、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約75nM、約100nM、約150nM、約200nM、約150nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約800nM、約900nMまたは約1μMを超える局所組織濃度を維持する。
本発明の一部の方法において、LFA−1アンタゴニストは、投与後約4時間以内は約1μMを超える局所組織濃度および血漿中で測定して約100nM未満の全身濃度を有する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、投与後約約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約50分、約40分、約30分、約20分、約10分または約5分以内は約1μMを超える局所組織濃度および血漿中で測定して約80nM、約70nM、約60または約50nM未満の全身濃度を有する。
加えて、本発明の一部の方法では、LFA−1アンタゴニストは、投与後約4時間以内は、製剤が適用された上皮表面の約1mm以内において治療有効濃度で存在し、血漿中では治療有効レベル未満で存在する。他の実施形態では、LFA−1アンタゴニストは、投与後約4時間以内は、製剤が適用された上皮表面の約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、約12mm、約14mm、約16mm、約18mm、約20mm、約30mm、約40mmまたは約50mm以内において治療有効濃度で存在し、血漿中では治療有効レベル未満で存在する。別法では、LFA−1アンタゴニストは、投与後約6時間、約5時間、約3時間、約2時間、約1時間、約50分、約40分、約30分、約20分、約10分または約5分以内は、製剤が適用された上皮表面の約1mm以内において治療有効濃度で存在し得、血漿中では治療有効レベル未満で存在する。
状態の治療には、治療される状態の種類に応じて、LFA−1アンタゴニスト製剤の同時投与が包含され得る。例えば、治療される状態が炎症性腸疾患である場合、追加的な薬剤は、コルチコステロイドなどのステロイドまたは他の種類の免疫抑制剤であり得る。免疫抑制剤またはコルチコステロイドなどの同時投与される追加の薬剤は、これらに限定されないが、現在臨床使用されているものを包含する当技術分野で周知の薬剤のいずれかであってよい。例には、抗体(例えば、米国特許出願公開第20070224191号および同第20050019323号を参照されたい)またはリモネンなどの化合物(米国特許出願公開第20030199592号)が包含される。使用される追加的な薬剤は、スルファサラジン(sulfasalzine)(Azulfidine)、オサラジン(Dipentum)およびメラミン(例には、Pentasa、Asacol、Dipentum、Colazal、Rowasa浣腸剤およびCanasa坐剤が包含される)などの5−アミノサリチレート(5−ASA)化合物であってよい。プレドニゾンなどのコルチコステロイドおよび全身的に作用するものなどの他のものもまた、使用することができる。例えば、ブデソニドなどの局所コルチコステロイドを使用することができる。メトロニダゾール(Flagyl)およびシプロフロキサシン(Cipro)などの抗生物質を使用することもできる。追加的な薬剤の他の例には、6−メルカプトプリン(6−MP)、アザチオプリン(Imuran)、メトトレキセート(Rheumatrex、Trexall)、インフリキシマブ(Remicade)およびアダリムマブ(Humira)などの免疫調節剤が包含される。使用される追加的な薬剤は、シクロスポリン、タクロリムス、ピメクロリムスおよびシロリムスなどのカルシニューリン阻害剤であってよい。
一部の実施形態では、2種以上の薬剤または療法の同時投与を同時に行う。他の実施形態では、第1薬剤/療法を、第2薬剤/療法の前に投与する。当業者であれば、使用される様々な薬剤または療法の製剤および/または投与経路は変動し得ることを理解する。同時投与のための適切な投与量は、当業者であれば容易に決定することができる。一部の実施形態では、薬剤または療法を同時投与する場合、個々の薬剤または療法を、それを単独で投与する場合に適切な投与量よりも低い投与量で投与する。したがって、薬剤または療法の同時投与が、有害である可能性のある(例えば毒性)薬剤(単数または複数)の必要投与量を減らし、および/または2種以上の薬剤の同時投与が、一方の薬剤の有益な作用に対する被験体の感作を、他方の薬剤の同時投与を介してもたらす実施形態において、同時投与は特に望ましい。例えば、薬剤の組合せを、LFA−1媒介障害を治療するためにか、または組合せ中の1種または複数の薬剤の副作用を調節するために使用することができる。一部の場合には、疾患状態における病理学的事象は、自己制御障害、アポトーシス、虚血、新生血管形成および/または炎症性刺激の組合せにより特徴付けられるので、本発明のLFA−1アンタゴニストを相加的または相乗的に介入するための他の治療剤と組み合わせて投与することが望ましいことがある。理論には拘束されないが、介入のために、第2の治療剤は、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤および抗真菌剤を包含する抗菌剤、抗脈管形成剤、抗アポトーシス剤またはそれらの組合せであってよい。本発明の一部の実施形態では、LFA−1との結合に直接的に競合する化合物の投与に加えて、アロステリックであるが、上記で論述されたようにLFA−1の直接的競合アンタゴニストではなく、相乗的効力をもたらす可能性のある追加的な治療剤を投与することができる。このようなアロステリックアンタゴニストの例は、LFA−1のヒダントイン阻害剤のクラスである(例えば、Keatingら、Protein Science、15巻、290〜303頁(2006年)を参照されたい)。本発明のLFA−1アンタゴニストと組み合わせて、その前に、その後に、または同時に投与するために有用であり得る治療剤の他のクラスは、理論には制限されないが、炎症が、白血球接着および新生血管形成のプロセスにより典型的には誘発されるので、血管内皮成長因子を阻害して、新生血管形成を開始する別の経路を標的とし得る薬物の群である。任意のVEGF阻害剤を本発明の組成物中で使用することができ、例えば阻害剤は:1)VEGFまたはその受容体に対する中和モノクローナル抗体、2)VEGF受容体の小分子チロシンキナーゼ阻害剤、3)VEGFに対するデコイ受容体として作用する可溶性VEGF受容体および4)VEGFを特異的に標的とするリボザイムまたはそれらの組合せから選択される。VEGFに対して活性な抗体の一部の例は、例えば、例えば、Lucentis(ラニビズマブ)およびAvastin(ベバシズマブ)である。オリゴヌクレオチド薬物の例は、例えば、Macugen(ペガプタニブナトリウム注射)である。小分子チロシンキナーゼ阻害剤には、例えば、パゾパニブ、ソラフェニブ、スーテントなどが包含され、使用することができる。
同様に、追加的な薬剤を、これらに限定されないが、シクロスポリンファミリーのメンバーを包含するシクロスポリンまたはシクロスポリン関連薬物などのカルシニューリン阻害剤ならびにシロリムス、タクロリムスおよびピメクロリムスを包含する他の関連カルシニューリンアンタゴニストから選択することができる。他の抗炎症剤を、本発明のLFA−1アンタゴニストと組み合わせて、その前に、その後に、または同時に投与することができる。抗炎症剤は、これらに限定されないが、デキサメタゾン、フルオロメタロン、メドリゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、プレドニゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、リメキソロンおよび薬学的に許容されるそれらの塩、プレドニカルベート、デフラザコルト、ハロメタゾン、チキソコルトール、プレドニリデン、プレドニバル、パラメタゾン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、マジプレドン、イソフルプレドン、酢酸ハロプレドン、ハルシノニド、ホルモコルタール、フルランドレノリド、フルプレドニゾロン、酢酸フルプレドニジン、酢酸フルペロロン、フルオコルトロン、フルオコルチンブチル、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルニソリド、フルメタゾン、フルドロコルチゾン、フルクロリニド、エノキソロン、ジフルプレドネート、ジフルコルトロン、酢酸ジフロラゾン、デソキシメタゾン(desoximetasoneまたはdesoxymethasone)、デソニド、デスシノロン、コルチバゾール、コルチコステロン、コルチゾン、クロプレドノール、クロコルトロン、クロベタゾン、クロベタゾール、クロロプレドニゾン、カフェストール、ブデソニド、ベクロメタゾン、アムシノニド、アロプレグナンアセトニド、アルクロメタゾン、21−アセトキシプレグネノロン、トラロニド、酢酸ジフロラゾン、デアシルコルチバゾール、RU−26988、ブデソニド、デアシルコルチバゾールなどを包含するコルチコステロイド関連薬物から選択することができる。別法では、抗炎症剤は、これらに限定されないが、アセトアミノフェン、アセメタシン、アセクロフェナク、アルミノプロフェン、アムフェナク、ベンダザック、ベノキサプロフェン、ブロムフェナク、ブクロキシ酸、ブチブフェン、カルプロフェン、セレコキシブ、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナク、エトドラク、エトリコキシブ、フェルビナク、フェンクロズ酸、フェンブフェン、フェノプロフェン、フェンチアザク、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブフェナク、イブプロフェン、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキシカム、イソキセパック、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロナゾラク、ロキソプロフェン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、メロキシカム、メチアジン酸、モフェゾラク、ミロプロフェン、ナプロキセン、ニフルミック(niflumic)、オキサプロジン、ピロゾラク、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、ロフェコキシブ、サリチル酸およびその誘導体(即ち、例えばアスピリン)、スリンダク、スプロフェン、スキシブゾン、トリアプロフェン酸、トルメチン、バルデコキシブ、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェン、ゾメピラク、アスピリン、アセメトシン、ブマジゾン、カルプロフェナク、クリダナク、ジフルニサル、エンフェナム酸、フェンドサール、フルフェナム酸、フルニキシン、ゲンチシン酸、ケトロラク、メサラミン、それらのプロドラッグなどを包含するNSAIDであってよい。
酸化ストレスは、LFA−1媒介免疫障害により誘発される自己制御障害および虚血プロセスにより細胞において誘発され得る。したがって、抗酸化剤が、本発明のLFA−1アンタゴニストと組み合わせて、その前に、その後に、または同時に投与することが有用であり得る。本発明の方法で有用な適切な抗酸化剤の例には、これらに限定されないが、アスコルビン酸、トコフェロール、トコトリエノール、カロチノイド、グルタチオン、アルファ−リポ酸、ユビキノール、バイオフラボノイド、カルニチンならびに例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)、DOXYL、PROXYLニトロキシド化合物;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(Tempol)、M−40401、M−40403、M−40407、M−40419,M−40484、M−40587、M−40588などのスーパーオキシドジスムターゼ模倣物質などが包含される。
本発明の一部の実施形態では、抗アポトーシス治療剤を本発明のLFA−1アンタゴニストと組み合わせて、その前に、その後に、または同時に投与することができる方法を提供する。適切な抗アポトーシス剤の例は、例えば、カスパーゼ、カテプシンおよびTNF−αの阻害剤である。
本発明のLFA−1アンタゴニストと組み合わせて、その前に、その後に、または同時に投与することが有用であり得る治療剤の他のクラスは、抗菌剤である。適切な抗微生物化合物には、これらに限定されないが、例えば、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリンなどのようなペニシリン;ベータ−ラクタマーゼ阻害剤;例えば、エルタペネム、イミペネム、メロペネムなどのようなカルバペネム;例えば、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セファドロキシル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン(ceffiriaxone)、セファゾリン、セフィキシム、セファレキシン、セフェピムなどのようなセファロスポリン;例えば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン(morifloxacin)、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシンなどのようなキノロン;例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ミルベマイシン、トロレアンドマイシンなどのようなマクロライド;例えば、LFA−1アンタゴニストなどのようなモンバクタム;例えば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリンなどのようなテトラサイクリン;例えば、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシンなどのようなアミノグリコシド;例えば、ロラカルベフなどのようなカルバセフェム;ストレプトグラミン;例えば、マフェニド(mefanide)、プロントジル、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファニルアミド、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリム−スルファメソキサゾール(sultamethoxazole)などのようなスルホンアミド;ならびに例えば、スルファメトキサゾールおよびトリメトプリムなどのような組合せ薬物;例えば、アシクロビル、アマンタジン、コンビビル、ドコサノール、エムトリシタビン、ホスカルネット、ガンシクロビル、ガルダシル、イムノビル、インジナビル、イノシン、インターフェロン、ロピナビル、ロビリド、モロキシジン、ネビラピン、ネキサビル(nexavir)、ペンシクロビル、プレコナリル、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、テノホビル、トリフルリジン、ビラミジンおよびジドブジンなどの抗ウイルス剤;例えば、アンホテリシンB、ミコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、フルコナゾール、テルビナフィン、ブテナフィン、アニデュラファンギン、ミカファンギンおよびトルナフテートなどの抗真菌剤;ならびに例えば、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンBなどのようなポリペプチドなどが包含される。
本発明のLFA−1アンタゴニストと組み合わせて、その前に、その後に、または同時に投与することが有用であり得る他の治療剤の例には、これらに限定されないが:(a)インスリンおよびインスリン模擬物質、スルホニルウレア(例えば、グリブリド、メグリナチド(meglinatide))、ビグアニド、例えば、メトホルミン(Glucophage(商標))、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース)、インスリン増感剤、例えば、チアゾリジノン化合物、ロシグリタゾン(Avandia(商標))、トログリタゾン(Rezulin(商標))、シグリタゾン、ピオグリタゾン(Actos(商標))およびエングリタゾンなどの抗糖尿病剤;(b)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンおよび他のスタチン)、胆汁酸金属イオン封鎖剤(例えば、コレスチラミンおよびコレスチポール)、ビタミンB3(ニコチン酸またはナイアシンとしても公知)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、フィブリン酸誘導体(例えば、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレートおよびベンザフィブレート)、プロブコール、ニトログリセリンおよびコレステロール吸収の阻害剤(例えば、ベータ−シトステロールおよびメリナミドなどのアシルCoA−コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤)、HMG−CoAシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤およびスクアレンシンテターゼ阻害剤などのコレステロール低下剤;ならびに(c)血栓溶解剤(例えば、ストレプトキナーゼ、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼおよびレテプラーゼ)、ヘパリン、ヒルジンおよびワルファリン誘導体、β遮断薬(例えば、アテノロール)、βアドレナリン作動性アゴニスト(例えば、イソプロテレノール)、ACE阻害剤および血管拡張剤(例えば、ニトロプルシドナトリウム、塩酸ニカルジピン、ニトログリセリンおよびエナラプリラート(enalopriat))などの抗血栓剤が包含される。
本発明のLFA−1アンタゴニストと組み合わせて、その前に、その後に、または同時に投与することが有用であり得る他の治療剤の例は、これらに限定されないが、エントリー阻害剤、逆転写酵素阻害剤、ヌクレオシドまたはヌクレオチド類似体、プロテアーゼ阻害剤および宿主細胞からのウイルス放出の阻害剤などの治療剤を包含する抗ウイルス剤である。一部の例示的治療剤には、これらに限定されないが、アバカビル、アシクロビル、アデホビル、アマンタジン、アンプレナビル、アルビドール、アタザナビル、アトリプラ、ブリブジン、シドフォビル、コンビビル、ダルナビル、デラビルジン、ジダノシン、ドコサノール、エドクスジン、エファビレンツ、エムトリシタビン、エンフビルチド、エンテカビル、ファムシクロビル、フォミビルセン、ホスカルネット、ホスホネット、ガンシクロビル、ガルダシル、イバシタビン、イムノビル、イドクスウリジン、イミキモド、インジナビル、イノシン、III型インターフェロン、II型インターフェロン、I型インターフェロン、インターフェロン、ラミブジン、ロピナビル、ロビリド、マラビロク、モロキシジン、ネルフィナビル、ネビラピン(neviapine)、ネキサビル、オセルタミビル、ペンシクロビル、ペラミビル、プレコナリル、ポドフィロトキシン、ラルテグラビル、リバビリン、リマンタジン、リトナビル、サキナビル、スタブジン、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、チプラナビル、トリフルリジン、トリジビル、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビクリビロック(vicriviroc)、ビダラビン、ビラミジン、ザルシタビン、ザナミビルまたはジドブジンを包含する。
(実施例1)
ヒトT−細胞接着アッセイ
ヒトTリンパ様細胞系HuT78(ATCC TIB−161)を使用して、T細胞接着アッセイを行った。ヤギ抗HuIgG(Fc)をPBS中で2μg/mlに希釈し、96ウェルプレートを、50μl/ウェル、37℃で1時間コーティングした。PBSでプレートを洗浄し、PBS中1%のBSAを用いて室温で1時間ブロックした。5ドメインICAM−IgをPBS中で100ng/mlに希釈し、50μl/ウェルをプレートに4℃で一晩加えた。HuT78細胞を100gで遠心分離し、細胞ペレットを5mMのEDTAで5%CO2インキュベーター中、37℃で約5分間処理した。細胞を0.14MのNaCl、0.02MのHepes、0.2%のグルコースおよび0.1mMのMnCl2(アッセイ緩衝液)で洗浄し、遠心分離した。細胞をアッセイ緩衝液中に3.0×106c/mlまで再懸濁させた。阻害剤をアッセイ緩衝液中、2×最終濃度まで希釈し、HuT78細胞と共に室温で30分間プレインキュベーションした。細胞100μl/ウェルおよび阻害剤をプレートに加え、室温で1時間インキュベーションした。PBS100μl/ウェルを加え、プレートを密閉し、100gで5分間逆に遠心分離した。未接着の細胞をプレートから除き(flicked out)、過剰のPBSをペーパータオルで吸い取った。p−ニトロフェニルn−アセチル−β−D−グルコサミニド60μl/ウェル(クエン酸緩衝液100mlに対して0.257g)をプレートに加え、37℃で1.5時間インキュベーションした。酵素反応を、50mMのグリシン/5mMのEDTA90μl/ウェルで停止させ、プレートリーダーで405nMで読み取った。Landegren,U.(1984年).J.Immunol.Methods 57巻、379〜388頁のp−ニトロフェニルn−アセチル−β−D−グルコサミニド法を使用して、5dICAM−IgへのHUT78細胞接着を測定した。結果を図1に示す。
(実施例2)
前記形式のアッセイを使用してのLFA−1:ICAM−1受容体結合アッセイ
LFA−1:ICAM−1相互作用の競合阻害を、既知の量の阻害剤を加えることにより定量する。
精製された全長組換えヒトLFA−1タンパク質を、0.02MのHepes、0.15MのNaClおよび1mMのMnCl2中で2.5μg/mlまで希釈し、96ウェルプレート(50μl/ウェル)を4℃で一晩コーティングする。プレートを洗浄緩衝液(PBS中0.05%のTween)で洗浄し、0.02MのHepes、0.15MのNaClおよび1mMのMnCl2中の1%BSAで室温で1時間ブロックする。プレートを洗浄する。アッセイ緩衝液中(0.02MのHepes、0.15MのNaClおよび1mMのMnCl2中の0.5%BSA)で適切に希釈された阻害剤50μl/ウェルを加えて2×最終濃度までにして、室温で1時間インキュベーションする。アッセイ緩衝液中で50ng/mlに希釈された精製組換えヒト5ドメインICAM−Ig50μl/ウェルを加え、室温で2時間インキュベーションする。プレートを洗浄して、結合ICAM−Igをヤギ抗HuIgG(Fc)−HRPで、室温で1時間検出する。プレートを洗浄し、TMB基質100μl/ウェルで室温で10〜30分間展開させる。比色展開を、1MのH2PO4100μl/ウェルで停止させ、450nMでプレートリーダーで読み取る。
(実施例3)
ヒト末梢血単核球(PBMC)からのサイトカインの抗原刺激放出のin vitro阻害
式IのLFA−1アンタゴニストの1形態である、化合物12を、staphylococcal enterotoxin B(SEB)で刺激されたヒト単核細胞(PBMC)における炎症性サイトカインの放出を阻害するその能力に関して評価した。化合物12のストック溶液、レバミピド(粘膜保護剤)およびシクロスポリンA(CsA)を培地中で調製し、培地を加えることにより希釈物を調製して、所望の濃度を達成した。陰性対照をSEB刺激なしに調製した。ビヒクル(0.25%DMSO/培地)でのSEB刺激を、陽性対照として使用した。
凍結保存培地中で凍結されたヒトPBMCを解凍し、成長培地中10%のFBSを含有するRPMI培地で洗浄し、ウェルあたり180μlの培地を含有する96ウェルプレートに20000細胞/ウェルで播種した。化合物12、レバミピドまたはCsAの存在下で細胞を37℃で1時間インキュベーションし、その後、SEBで刺激した。1ng/mlでSEBを加え、細胞上澄みを6、16および48時間目に収集した。アッセイ上澄み中のサイトカインレベルを、Luminex多重アッセイを使用して決定した。
化合物12は、炎症性サイトカイン、特にT−細胞調節サイトカインである、IL−2およびIL−4の放出の阻害を、用量の増加に伴って、強力に阻害することを証明した。結果を、表1、2および3に示す。加えて、様々なLFA−1アンタゴニストでのIL−2放出のin vitro阻害を、図1に示す。化合物12で50%より多く阻害されるサイトカイン放出のパターンは、CsAとの比較で見られるパターンと同様である。この類似性の例外には、IL−3、1L−6およびIL−12p40が包含される。
(実施例4)
LFA−1アンタゴニストの製剤
1種の式Iの化合物(化合物12)を、これらに限定されないが、局所投与、点眼経由の投与、エアゾール投与、経皮パッチ投与、インサート経由の投与または経口投与を包含する様々な経路により投与するためのゲル、ローション、軟膏および溶液として投与するための数種の組成物に製剤化した。
化合物12を、0.1%、1.0%および5.0%(w/w)の活性薬学的成分(API)濃度(pH7.0)を含有する無菌の無色透明液体溶液として供給することができる。1%溶液は1mL当たり10mgの活性成分を含有する。化合物12に加えて、薬物製品溶液の他の成分、その機能およびその公定書グレードには、プロピルパラベン(保存剤;国民医薬品集(NF))、メチルパラベン(保存剤、NF)、EDTA(抗酸化剤、米国薬局方(USP))、重炭酸ナトリウム(緩衝剤、USP)、リン酸一ナトリウム(緩衝剤、USP)、リン酸二ナトリウム(緩衝剤、USP)および滅菌水(希釈剤、USP)が包含され得る。全ての賦形剤は、公定書グレードを有し得、非ヒト由来または非動物由来であってよい。
無菌条件下で、液滴当たり体積約0.35μLを送達するドロッパチップおよび保護キャップを備えた滅菌7.0mL高密度ポリエチレン(HDPE)ボトルに、製剤化された薬物製品溶液をパッケージングすることができる。ドロッパボトルは、40μLチップを有し得る。保存剤無添加研究薬(製剤中にメチルまたはプロピルパラベンがない)は、吹込充填密閉プロセスを使用して製造された0.5mL単位用量低密度ポリエチレン(LDPE)コンテナ中で提供し、アルミニウムフォイルパウチで貯蔵することができる。
薬物溶液を凍結貯蔵することができる(2〜8℃)。5℃および25℃での薬物の安定性は、9カ月以上であり得る。
(実施例5)
局所適用後の式Iの化合物のin vitro経皮吸収
Skellyら、Pharmaceutical Research、1987年、4巻(3号):265〜276頁、「FDA and AAPS Report of the Workshop on Principles and Practices of In−Vitro Percutaneous Penetration Studies: Relevance to Bioavailability and Bioequivalence」から適合した手順を使用するin vito経皮吸収試験法を使用して、in vivoでの局所適用後生物学的利用能を評価した。
1人のドナーから切除された皮膚腫ヒト皮膚組織に、30〜35μg用量に相当する5mg/cm2の単回臨床該当用量で、製剤1〜9を適用した。組織範囲の厚さは、0.023から0.039インチ(0.584から0.991mm)であり、厚さの平均値+/−標準偏差は、0.030+/−0.004インチ(0.773+/−0.111mm)であり、変動係数は14.4%である。組織試料を、Bronaugh流動拡散セルに取り付けた。再循環水浴を使用して、セルを32℃の一定温度で維持した。セルは、0.64cm2の公称拡散面積を有する。0.1%アジ化ナトリウムおよび4%ウシ血清アルブミンを有するPBS、pH7.4を、取り付けられた組織下でレセプター相として使用した。新鮮なレセプター相を、組織下に公称1.0ml/時間の流速で継続的にポンプ供給し、6時間毎に集めた。レセプター相を分析のために集めた。
組織試料を製剤1〜9に24時間曝露した。この時点で角質層に残っている過剰の製剤を、CuDerm D−Squameストリッピングディスクを用いてテープストリッピングにより除去した。テープストリップは廃棄した。ブラントジセクションにより、表皮および真皮を分離した。表皮、真皮およびレセプター相を、化合物12の含量に関して分析した。結果を表10に表す。
99%のDMSOを含有した製剤9を除く全ての製剤について、化合物12の組織透過レベル(レセプター相)は、0.54ng/ml(適用用量の0.013%に同等)である定量限界未満であった。対照的に、製剤9は、適用用量の1.4%を示し、これが24時間の曝露期間にわたって皮膚組織の全層を透過した。
24時間の曝露期間にわたっての化合物12の表皮堆積は非常に高く、適用された用量のうちの高いパーセンテージが、表皮の上層に保持されたことと一致する。表10に報告されたレベルが、僅かな体積試料で得られ、これは、再アッセイすることができなかったので、表皮中に存在する薬物量の過小評価とみなす。
真皮での分析データは、化合物12で確立された直線範囲内に該当し、定量的である。24時間曝露後の化合物12の真皮堆積は、適用用量の0.66%(製剤6、0.258μg/cm2)から4.4%(製剤7、34.3μg/cm2)の範囲であった。真皮中での化合物12の濃度(633.5g/モル)は、これにより、真皮中の製剤1から9に関して6.7μM(製剤6)またはそれを超える(即ち、製剤7は、54.1μMの真皮中の濃度をもたらす)と算出される。これらの濃度は、実施例3に示されている通り、化合物12により炎症性サイトカインの放出を阻害する際の最大半量作用のin vitroEC50濃度を十分に上回る。したがって、これらの結果は、サイトカイン放出をin vivo阻害する治療有効レベルをもたらす、1%W/W化合物12を組み込まれた様々な製剤の能力を予測させる。
1. 標準偏差
2. パーセント変動係数
(実施例6)
乾性角結膜炎(KCS)を治療するための化合物12の薬理学的活性
次の基準に適合したイヌをこの研究に参加させた:1歳以上、1分当たり濡れ10mm未満のSchimer涙試験(STT)、両眼関与ならびに少なくとも1つの次の臨床徴候:眼瞼痙攣、結膜充血、曝露角膜症(不規則表面)、角膜色素沈着、角膜新生血管形成または粘着性(ropey)粘液膿分泌、先天性KCSがない、外傷性KCSがない、毒性KCSおよび顔面神経麻痺がない。イヌが局所CsAまたはタクロリムスで最近6カ月以内に治療されていたら、それらのイヌは参加させなかった。
イヌに、化合物12、1%溶液1回35μl滴(製剤15、0.35mg/眼)を罹患している眼の各々に1日3回、一日用量の合間は約4時間(±1時間)で12週間投与した。化合物12を12週で中断した後、CsAを、市販の0.2%軟膏を1日3回投与することによりさらに4週間投与する。
初回訪問の間に1度および研究の16週間を通しての5回の訪問の間(2、4、8、12および16週)に、動物を眼検査にかけた。最後のOEは、化合物12の最終用量のほぼ4週後およびCsA治療の1カ月後であった。間接的検眼鏡(opthalmoscope)を使用して、両眼の付属器および前方部を検査した。眼を、適用可能な場合には散瞳薬で拡張させて、水晶体および網膜を包含する基底部を評価した。各間隔時に細隙灯眼試験と共に、改変McDonald−Shaddockスコアリングシステムを使用する評価を行った。
初回訪問の間および2、4、8、12および16週目の5回の各追跡訪問の間に、STTストリップを使用して涙を測定した。STT紙の1つのストリップを、各間隔で各眼に対して使用した。各収集間隔で、STT紙を折り、下盲管に60秒間置いた。紙の折り目より下で濡れた長さをmmで記録した。
初回検査および追跡検査のそれぞれで、フルオレセインおよびローズベンガル染色を行った。各OEと共に、Tono−Pet Vet(登録商標)を使用して、眼内圧測定(IOP)を行った。デジタル眼画像を、各OEの間に、染色(フルオレセインおよびローズベンガルでの)の前後に取得した。
結膜生検を、初回訪問時(処置前)および12週の訪問時に採った。2回目の生検は、初回生検よりも横で(約1mm)で採った。適切に調製した後に、小さな結膜生検を、各眼の腹面の円蓋から採った。
7匹のイヌで研究が完了された;2匹のイヌでは、片眼のみが研究された。結果を表11および12に示す。全体では、OD(右眼)STTでの3.3mmの平均改善およびOS(左眼)STTでは4.5mmの平均改善が、化合物12での治療期間の間に観察された。全部で12個の眼での結果は、平均で4mm改善を示す。表13に示されている通り、1〜12週にわたる各イヌの各眼でのSTT値の最大変化を使用して、最大−最小分析を行った。この計算により、72mmの眼全体でのSTTの全最大変化が得られ、これを12(分析におけるKCS眼の数)で割ると、6.0mmの平均改善が得られる。粘液膿分泌または結膜紅斑の減少などの他の臨床徴候が、一部のイヌで改善された。化合物12の前後に採った生検の組織病理学的評価により、リンパ球蓄積の低減が明らかになった。図2は、1番のイヌから採った試料でのこの現象を図示している。CsA投与の続く4週間からは、有意な追加的利益は観察されなかった。
図3は、2、4、8および12週でのSchirmer試験スコアの平均変化を図示している。前処置にわたってのSchirmer試験スコアの著しい改善が、12週に観察された。
図4は、1%化合物12(TID)での2、4、8および12週に10mmを超えるSchirmer試験スコアを伴う眼のパーセンテージを図示している。化合物12イヌKCS研究結果は、ヒトCsAデータを上回った。レスタシス認可のベースは、10mを超えるSchirmer試験スコアの改善であった。レスタシス治療は、10mmを超えるSchirmer試験スコアを伴う眼15%をもたらした。
図5は、1%化合物12(tid)または2%CsA(bid)で治療された被験体で2、4、12、16および26週にSchirmer試験スコアで4mmを超える改善を伴う眼のパーセンテージを図示している(歴史的CsAデータを使用;Morganら、J.Am.Vet.Med.Assoc.、199巻、1043〜1046頁(1991年))。化合物12の時間経過は、歴史的CsAデータに類似していた。
まとめると、イヌKCS研究は、化合物12の投与が2〜8週でSchirmer試験スコアの迅速な改善、組織の改善、迅速な抗炎症効果をもたらすことを実証した。
(実施例7)
T細胞増殖アッセイ:
このアッセイは、抗原提示細胞と相互作用して、T細胞受容体およびLFA−1の会合により誘発される活性化から生じるリンパ球増殖のin vitroモデルである(Springer、Nature346巻:425頁(1990年))。
マイクロタイタープレート(Nunc 96ウェルELISA認定)を無菌PBS中の2μg/mlのヤギ抗ヒトFc(Caltag H 10700)50μlおよび0.07μg/mlのCD3に対するモノクローナル抗体(Immunotech 0178)50μlで4℃で一晩プレコーティングする。翌日、コーティング溶液を吸引する。次いで、プレートをPBSで2回洗浄し、17ng/mlの5d−ICAM−1−IgG100μlを37℃で4時間加える。プレートをPBSで2回洗浄し、その後、CD4+T細胞を加える。末梢血からのリンパ球を、健康なドナーからのヘパリン化全血から分離する。別の方法は、ロイコフェレーシスを介して健康なドナーから全血を得ることである。血液を食塩水で1:1に希釈し、層化し、2500×gで30分間、LSM(100ml当たりFicoll6.2gおよびナトリウムジズトリゾエート(diztrizoate)9.4g)(Organon Technica、N.J.)で遠心分離する。単球を骨髄性細胞枯渇試薬法を使用して枯渇させる(Myeloclear、Cedarlane Labs、Hornby、Ontario、Canada)。PBLを90%熱不活化ウシ胎仔血清および10%DMSOに再懸濁させ、分取し、液体窒素に貯蔵する。解凍後に、10%熱不活化ウシ胎仔血清(Intergen、Purchase、N.Y.)、1mMのピルビン酸ナトリウム、3mMのL−グルタミン、1mMの非必須アミノ酸、500μg/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、50μg/mlのゲンタマイシン(Gibco)を補充したRPMI1640培地(Gibco、Grand Island、N.Y.)に、細胞を再懸濁させる。
CD4+T細胞の精製を、陰性選択方法(Human CD4 Cell Recovery Column Kit # CL 110−5 Accurate)により得る。マイクロタイタープレートウェル当たり100000の精製CD4+T細胞(純度90%)を5%CO2中、培地100ml(10%熱不活性化FBS(Intergen)、0.1mMの非必須アミノ酸、1nMのピルビン酸ナトリウム、100単位/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、50μg/mlのゲンタマイシン、10mMのHepesおよび2mMのグルタミンを補充したRPMI 1640(Gibco))中、37℃で72時間培養する。阻害剤をプレートに、培養の開始のときに加える。これらの培養物での増殖応答を、滴定チミジン1μCi/ウェルの添加により、細胞を収集する直前6時間の間に測定する。液体シンチレーションカウント(Packard 96ウェルハーベスターおよびカウンター)により、放射性標識の取り込みを測定する。結果を、1分あたりのカウント(cpm)で表す。
(実施例8)
in vitro混合リンパ球培養モデル
移植のin vitroモデルである混合リンパ球培養モデル(A.J.Cunningham、「Understanding Immunology、Transplantation Immunology」、157〜159頁(1978年)により、様々なLFA−1アンタゴニストの作用を、ヒト混合リンパ球応答の増殖アームおよびエフェクターアームの両方において検査する。
細胞の単離:末梢血からの単核細胞(PBMC)を、健康なドナーからのヘパリン化全血から分離する。血液を食塩水で1:1に希釈し、層化し、2500×gで30分間、LSM(100ml当たりFicoll6.2gおよびナトリウムジズトリゾエート9.4g)(Organon Technica、N.J.)で遠心分離する。別の方法は、ロイコフェレーシスを介しての健康なドナーから全血を得ることである。PBMCを上記の通り分離し、90%熱不活化ウシ胎仔血清および10%DMSOに再懸濁させ、分取し、液体窒素に貯蔵する。解凍後に、10%熱不活化ウシ胎仔血清(Intergen、Purchase、N.Y.)、1mMのピルビン酸ナトリウム、3mMのL−グルタミン、1mMの非必須アミノ酸、500μg/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、50μg/mlのゲンタマイシン(Gibco)を補充したRPMI1640培地(Gibco、Grand Island、N.Y.)に、細胞を再懸濁させる。
混合リンパ球応答(MLR):一方向ヒト混合リンパ球培養物を、96−ウェル平底マイクロタイタープレート中で樹立する。1.5×105レスポンダーPBMCを、同数の照射された同種異系(3分間で3000ラド、52秒刺激因子PBMSc)と共に完全培地200μl中で同時培養する。LFA−1アンタゴニストを培養の開始のときに加える。培養物を37℃、5%CO2中で6日間インキュベーションし、次いで、1μCi/ウェルの3H−チミジン(6.7Ci/mmol、NEN、Boston、Mass.)で6時間パルス処理する。培養物をPackard細胞ハーベスター(Packard、Canberra、Canada)に収集する。[3H]TdR取り込みを、液体シンチレーションカウンターにより測定する。結果を係数1分あたりのカウント(cpm)として表す。
(実施例9)
ジャーカット細胞を使用してのT細胞接着アッセイ
この研究の目的は、in vitro曝露後のジャーカット細胞とICAM−1との結合に対する化合物12の抗接着特性を評価することであった。
化合物12のストック溶液と陽性対照を、DMSO/水(1:1)中で調製し、アッセイ培地中で希釈し、後続の希釈を、アッセイ培地を加えることにより調製して、所望の濃度を達成した。報告されたLFA−1アンタゴニストを陽性対照として使用した。
ジャーカット細胞をBCECF−AM(2’,7’−ビス−(2−カルボキシエチル)−5−(および−6)−カルボキシフルオレセイン)の8μM溶液で、培地中、室温で15分間標識した。標識された細胞をアッセイ培地70μL中、96ウェルプレートの各ウェルで、1ウェル当たり500000細胞で、化合物12または陽性対照70μLと共に、アッセイ培地中、37℃で30分間インキュベーションした。この蛍光標識されたジャーカット細胞懸濁液100μLアリコットを化合物12または陽性対照の存在下、Fcキメラとして発現された組換えヒトICAM−1でコーティングされた96ウェルプレートのウェル中、37℃で1時間沈降させた。非接着細胞を洗浄および100gでの1分間の遠心分離により除去した。接着蛍光単位として、蛍光プレートリーダー上で接着細胞を決定した。試験物である化合物12は、用量増加に伴うジャーカット細胞結合の阻害を実証した。このアッセイでの化合物12の用量応答曲線およびIC50を、公知の直接競合LFA−1アンタゴニストのものと比較した。これにより、化合物12はLFA−1/ICAM−1結合のアンタゴニストであることが実証される。
(実施例10)
前臨床および臨床安全性ならびに許容性:pkおよび全身および局所分布結果
A.ヒトでの作用
1.フェーズ1 臨床試験 化合物12
局所化合物12眼用溶液の用量増加のフェーズ1の1施設無作為化前向き二重盲検プラシーボコントロール研究を、4コホート(0.1%、0.3%、1%および5%の化合物12用量強度)で28人の健康な成人(コホート当たり7人の被験体、5人に化合物12眼用溶液を与え、2人にプラシーボ溶液を与えた)において行った。試験の目的は、安全性および許容性ならびに涙および血漿中での薬物動態を測定することであった。投薬スケジュール(OU:両眼(眼それぞれまたは両方の眼))を、3つの期間に分け、それぞれを、72時間洗浄間隔により分離した:1回/日×1日(一方の眼に薬物;他方の眼にプラシーボ)、2回/日×10日および3回/日×10日、14日観察。眼の細隙灯検査、BCVA(最大矯正視力)、STT(Schirmer涙試験)、TBUT(涙液層破壊時間)、IOP(眼圧)をスクリーニングで、各期間の開始および終了時に評価した。各コホートで、盲検(masked)安全性データを、安全性委員会が調査し、その後、次のコホートの用量増加を許可した。全部で2856用量(102滴/被験体)を1148全被験体研究日数(41研究日数/被験体)にわたって、56個の眼に投与した。全てのコホートの全ての被験体が研究を完了し、研究薬物用量の逸失はなかった。
化合物12眼用溶液投与に関連していると考えられる死亡、中止、重大または重症の眼または非眼AE(有害反応)は、どの用量強度またはどの用量計画でも生じなかった。
血圧、心拍数、呼吸数、体温、体重およびEKG結果は、試験を通して正常範囲内であった。
全ての血液系の結果および1つの血清化学結果以外の全ては、研究期間、用量強度またはスケジュールにわたって測定される観察可能な研究薬物関連の傾向を伴わず、正常範囲内であった。全リンパ球数、CD3、CD4およびCD8細胞数は、リンパ球または好中球抑制の証拠を伴わず、正常範囲内であった。尿検査結果は、試験を通して、注目すべきものはなかった。
血清化学結果は、研究期間、用量強度またはスケジュールにわたって測定される観察可能な研究薬物関連の傾向を伴わず、正常範囲内であった。
研究の間、重大または重症の眼または非眼AEは生じなかった;それぞれ、38の眼(N=11人の被験体)および21の非眼(N=11人の被験体)AEが存在した。用量群により、または研究期間により分析すると、眼AEの頻度に傾向はなかった。BCVA、細隙灯生体顕微鏡検査法、STT、TBUTまたはIOP評価に、著しい安全性傾向は特記されず、また、眼感染または局所免疫抑制の証拠もなかった。局所眼刺激または感染の証拠はなかった。
用量群により、または研究期間により分析すると、非眼AEの頻度に傾向はなかった。生命徴候、EKG、研究室研究(化学、肝機能、血液パネル)について、著しい安全性傾向は特記されなかった;CD3、CD4またはCD8T細胞抑制、骨髄抑制または感染症増加の臨床証拠の証拠はなかった。
2.涙および血漿での薬物動態
血漿および涙試料を、ベースラインで、かつ化合物12眼用溶液の薬物動態(PK)を特徴付けるために、眼投与後に、各投薬期間のスケジュールされた間隔の間で得た。
a.血漿PK分析
血漿の化合物12を分析するための試料を、投薬前、投薬の5および30分後ならびに1、5、14、18および27日目の投薬の1、4、8、24時間後に得た。また、試料を、1、14および27日目の投薬の48時間後に得て、単一血液試料を、研究終了時の追跡訪問時に得た。血漿の化合物12の濃度を、0.500ng/mLのLLOQ(定量下限)を有する確認されたLC/MS/MS(液体クロマトグラフィータンデム質量分析法)方法を使用して決定した。
b.血漿PK結果
0.1%および0.3%化合物12の用量強度の単回および複数回用量の後の全ての時点で、および1%化合物12の用量強度を与えられた5人中3人の被験体で、化合物12の血漿濃度はBLOQ(定量限界未満アッセイ、<0.500ng/mL)であった。化合物12の測定可能なレベルが、1%化合物12を投与された1人の被験体の血漿中で14日および27日の最初の時点(投与の5分後)に見られたが、後の時点では、BLOQであった。測定可能なレベルが、5%用量強度の投与後に試験を通してより頻繁に観察されたが、レベルはかなり低く(<3ng/mL)、通常、投与の1時間後には検出できなかった(図6)。2nMのIC50値が観察されているin vitro細胞アッセイ(細胞結合およびSEB IL−2放出)でのLFA−1レベルは、約0.1nMである。血中LFA−1レベルは、約10nMである。ヒト全血でのSEB刺激IL−2放出の化合物12阻害に関するIC50は、69nMである。白血球機能を阻害するためには、LFA−1レベルよりも高い化合物12レベルが必要である。したがって、全身白血球の著しい阻害は、化合物12眼用滴剤では予測されない。
化合物12眼用溶液の投与後に、どの用量強度でも、どの研究期間でも、化合物12の血漿半減期または曝露パラメーターを正確に評価することはできなかった。それというのも、化合物12の血漿濃度は、投薬の1から4時間以内に、検出できなくなるか、または迅速にBLOQまで低減されたためである。
c.涙PK分析
化合物12の涙試料を両眼で、投薬前に、投薬の30分後に、フェーズ1研究の1、5、14、18および27日目の投薬の1、4、8および24時間後に、紙製Schirmer涙ストリップを使用して集めた。投薬の48時間後の試料を、1、14および27日後に得た。涙化合物12濃度を、0.500ng/mLのLLOQを有する確認されたLC/MS/MS方法を使用して決定した。
d.涙PK結果
涙AUC(濃度時間曲線下の面積)値およびCmax(最大観察血漿濃度)値の用量関連増加が、投薬1日目に観察され、全般的に、試験を通しての評価時点で維持された。BID(1日2回)およびTID(1日3回)投薬は、単回投与に比べてより高いCmax値およびAUC値をもたらしたが、BIDおよびTID投与スケジュールの間では、曝露において有意差はなかった。予期された治療用量範囲での化合物12曝露の明確な証拠があり、複数回眼用量投与での蓄積の明らかな証拠はなかった。
図7は、1%化合物12涙Cminレベルを図示している。図8は、用量が、化合物12Cmax涙レベルと比例していたことを図示している。図9は、用量が涙中の化合物12 QD AUCおよびCmaxに比例していたことを図示している。
総じて、5%TIDまでの用量強度で健康な成人被験体に局所点眼により投与された化合物12眼用溶液は、安全であり、よく許容され、アレルギー性結膜炎またはドライアイに対して二次的な眼炎症を有する被験体でさらに調査するのに適しているようである。
B.非臨床研究化合物12 INDを可能にする非臨床プログラム(安全性薬理学および毒物学研究)
1.前臨床毒物学製剤
2.安全性薬理学
hERGチャネル電流(I
Krのサロゲート、迅速に活性化、遅延整流心臓カリウム電流)に対する化合物12の作用を評価するためのin vitro研究を、安定に形質移入された腎臓HEK293細胞で行った。化合物12の単回用量は、20μM、100μM、200μMおよび600μMであった。電流に対する化合物12作用は、弱く(478μMのIC
50)、これは、局所眼投与の後に観察される低い全身曝露により、I
Krチャネル阻害の最小の危険性を示している。
IVボーラス注射を介して投与された場合の、遠隔測定装置を装着された意識のあるイヌ(ビーグル)での、化合物12の心臓血管作用を評価した。心電図記録または血行力学パラメーターに対する作用は観察されなかった。
ボーラスIV注射を介して単回用量として投与された場合の化合物12のCNSに対する作用を、ラットで評価した。10.0mg/kgを与えられた動物で、各時点で2/6の動物で投与後の1分から6時間に、一過性の瞳孔縮小が観察された。他のパラメーターに対しては、何ら作用が観察されなかった。
ヘッドアウト体積記録器チャンバーを使用して化合物12の単回IVボーラス投与後のラットの呼吸機能(一回呼吸量、呼吸数および分時拍出量)を評価した。呼吸機能の有害な変化または有害反応はいずれの用量でも観察されなかった。
3.遺伝毒性研究:化合物12は、in vitroでのAmes染色体異常アッセイにおいて、またはin vivoでのラット小核研究において、作用を示さなかった。
a.in vitro Ames細菌復帰変異アッセイ
Amesアッセイにおいて、化合物12は、いずれの検定系統でも、ミクロソーム(S9)酵素の存在下または不在下で、プレート当たりの復帰変異体の平均数に上昇をもたらさなかった。したがって、化合物12は、変異誘発性ではないと判断された。
b.CHO細胞におけるin vitro染色体異常アッセイ
染色体異常を誘発する化合物12の能力を、培養チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において、外因代謝活性化を伴って、および伴わずに、同時インキュベーションの20時間後に評価した。代謝活性化を伴わない単回毒性用量の場合を除いて(3時間処理;3500μg/mL)、代謝活性化を伴っても、伴わなくても、CHO細胞における構造染色体異常の誘発に関して、化合物12は陰性であると考えられる。この応答の生物学的関連は、細胞傷害性のため疑わしい。
c.in vivoマウス骨髄小核アッセイ
多染性赤血球(PCE)中の小核を検出することにより、有糸分裂装置のin vivo染色体異常誘発活性および/または分離を誘発する化合物12の繰り返しIV投与の能力を、CD−1(登録商標)(ICR)BRマウスで、その骨髄を評価することにより評価した。この研究結果に基づき、化合物12は、マウス骨髄小核アッセイにおいて、陰性であると考えられる。
4.急性毒性研究:ラットでの単回用量IVでは、最大無毒性量(NOAEL)は、10mg/kg IVであった。イヌにおける単回用量IVの増量およびTK(毒物動態)での7日間繰り返し投薬では、NOAELは、10mg/kg IVであった。ウサギでの単回用量眼許容性では、NOAELは、1日当たり3.5mg/眼/3×(10%)であった。
5.繰り返し投薬毒性研究:2週間回復を伴うイヌにおける4週IV毒性研究では、NOAELは、10mg/kgであった。4週間回復を伴うラットにおける13週IV毒性研究では、NOAELは、30mg/kgであった。4週間回復を伴うウサギでの13週間眼毒性研究では、NOAELは、1日当たり1.05mg/眼/3×であった(3%)。4週間回復を伴うイヌでの13週間眼毒性研究では、NOAELは、1日当たり1.05mg/眼/3×であった(3%)。
6.ADME研究
化合物12の吸収、分布、代謝および排泄(ADME)を、ラット、ウサギおよびイヌにおいて行われた研究で、2つの投与経路;静脈内および局所眼投与、臨床投与経路を利用して特徴付けた。また、in vitro肝細胞研究も行った。
化合物12レベルを、血漿、涙および硝子体液試料で、タンデム質量分析法で評価した。一部のin vivo研究では、[14C]−化合物12を使用して、PKならびに[14C]−化合物12由来放射能の吸収、分布および排泄の規模を決定した。加えて、[14C]−化合物12の代謝産物の代謝プロファイルおよび同定を、血漿、尿および糞において決定した。
単回用量眼およびIV用量投与ADME研究を、色素沈着(pigmented)(Long−Evans染色)ラットおよびアルビノ(Sprague Dawley株)ラットにおいて、[14C]−化合物12を使用して行った。定量的全身ラジオグラフィー評価を行った。
雄および雌のラットに、1mg/眼または10mg/kg IVの[14C]−化合物12の単回用量を与えた。眼投与またはIV投与後の主な排泄経路は、糞であり、投薬後0から168時間にわたって投与された放射能の約60%(眼投与)および95%(IV投与)を占めた。尿排泄は、投与された放射能の2%までを占めた。[14C]−化合物12の最も高い組織レベルは、眼投与またはIV投与で、胃腸管の組織で測定された。眼投与では、[14C]−化合物12はまた、眼組織および排泄物でも測定され、これは、投与用量が眼から鼻甲介を通って食道へ入り、胃腸管を介して最終的に排泄されることを示している。これらのデータは、化合物12の眼、鼻または経口投与は、胃腸管を通っての最終的な排泄をもたらすことを示している。眼滴剤として投与された薬物用量の最も多くの部分は、眼周囲領域に局所的に分布し、より重要なことに、鼻甲介を通って胃腸管へ分布した。薬物は、初めに、GI管の上皮に蓄積し、門脈を介して肝臓へ入り、そこで、肝臓から除かれ、下部GI管へ再送達されることが判明している。全身分布では、薬物はほとんど観察されないか、観察されない。したがって、エアゾールまたは滴剤を介して鼻への、または経口投与での化合物12の投与は、上部GIの上皮へと同様の特異的直接局所送達および肝臓を通るクリアランスを介しての下部GIへの局所送達をもたらし得る。いずれの場合も、薬物の全身送達はほとんど送達されないか、または送達されない。
[14C]−化合物12の雄のSprague Dawley(アルビノ)ラットへの局所眼投与の後に、組織への放射能分布は、初めの時点(投与後0.5時間)に限られ、一般に胃腸管、代謝関連組織および眼に随伴した。図10は、[14C]−化合物12(1mg/眼)の単回局所眼投与の0.5時間後の、雄のSprague Dawley動物での全身オートラジオグラフを図示している。放射能の最も高い濃度は、この時点で、食道内容物、鼻甲介および小腸内容物で決定され、その濃度はそれぞれ、399000、352000および349000ng当量の[14C]−化合物12/gであった。しかしながら、これらの組織での測定値は、定量上限を超えており、したがって、いくつか注意しながら解釈すべきであることを特記すべきである。放射能の高いレベルはまた、食道および胃の内容物でも測定された。放射能がこの時点で眼で検出され、その濃度は、18100ng当量の[14C]−化合物12/gであった。放射能の低いレベルもまた、肝臓(272ng当量の[14C]−化合物12/g)、腎臓(151ng当量の[14C]−化合物12/g)および眼球血管膜(9330ng当量の[14C]−化合物12/g)を伴った。
眼および眼水晶体での放射能濃度は、投与後2時間までにかなり低下し;眼水晶体でのレベルはBLQであった。放射能濃度はまた、食道および食道内容物中で、投与後2時間で約50および100分の1に低下した。図11は、[14C]−化合物12(1mg/眼)の単回局所眼投与の2時間後の、雄のSprague Dawley動物での全身オートラジオグラフを図示している。投与後8時間目には、放射能レベルは、全ての組織で低下したが;高い濃度は、大腸内容物(133000ng当量の[14C]−化合物12/g)および盲腸内容物(57600ng当量の[14C]−化合物12/g)に関しており、これは胃腸管を介しての放射能の通過を示している。図12は、[14C]−化合物12(1mg/眼)の単回局所眼投与の8時間後の、雄のSprague Dawley動物での全身オートラジオグラフを図示している。
投与後12時間までに、放射能濃度は、さらに低下し、最大濃度は、盲腸および大腸の内容物に関している。眼球血管膜で決定された濃度は、この時点で、610ng当量の[14C]−化合物12/gまで上昇した。図13は、[14C]−化合物12(1mg/眼)の単回局所眼投与の12時間後の、雄のSprague Dawley動物での全身オートラジオグラフを図示している。
投与後24時間目の放射能濃度は、盲腸内容物(5870ng当量の[14C]−化合物12/g)および大腸内容物(18000ng当量の[14C]−化合物12/g)で最大であり;低いレベルがまた、小腸および胃の内容物に存在した。図14は、[14C]−化合物12(1mg/眼)の単回局所眼投与の24時間後の、雄のSprague Dawley動物での全身オートラジオグラフを図示している。非着色皮膚および肝臓を除く他の組織全てで、放射能を検出することはできなかった。
低レベルの[14C]−化合物12が硝子体液中で、眼投与後の全ての時点で、およびIV投与後2時間まで測定された(ラットでの眼投与に関する図15の図および表15を参照されたい)。
色素沈着ラットおよびアルビノラットでの[
14C]−化合物12の組織分布は比較可能で、これは、化合物12がメラニンに優先的に結合しなかったことを示していた。雄および雌のラットでの結果に、明らかな差違は見られなかった。さらに、[
14C]−化合物12由来放射能の優先分布は、赤血球で見られず、[
14C]−化合物12の局所眼投与またはIV用量投与の後168時間まで集められた貯留血漿、尿および糞ホモジネートの試料から、代謝産物は単離されなかった。
同じ投与経路を利用する[14C]−化合物12を使用する同様の単回用量研究を、雄および雌のイヌ(3mg/眼または3mg/イヌ)で行うと、ラットと比較可能な排泄、分布および代謝パターンを示した。眼投与の後に、最も高い平均[14C]−化合物12レベルが、前方眼組織で検出された(図16を参照されたい)。より低いレベルが、後方眼組織で検出され、これは、眼への吸収が生じていたことを示していた。貯留血漿、尿および糞ホモジネート試料での代謝プロファイルはラットで見られたものと比較可能であり、投与後168時間まで、代謝産物は検出されなかった。雄および雌のイヌからの結果に差違は観察されなかった。
結膜/角膜での化合物12レベルは、16時間1マイクロモル/100ナノモルより高い(イヌ/ラット)。
a.単回および繰り返しIV投与後の化合物12薬物動態
ラットおよびイヌでの単回IV投与後の時間経過にわたる化合物12の血漿濃度をそれぞれ図17および18に示す。両方の種で単回IVボーラス投与後に、予測された通りに指数的に、化合物12の血漿濃度が低下した。
0.2から30.0mg/kgの用量範囲でのラットへの化合物12の単回IV投与後に、またはイヌへの30mg/kgまでの単回用量および3または10mg/kgの7日間毎日投与後に標準的な非区画方法(noncompartmental method)を使用して決定された血漿PKパラメーターを、図16に示す(ラット)。両方の種からのPK結果は、非常に高い化合物12のクリアランスを示す(肝臓血流はラットおよびイヌでそれぞれ約3.3L/hr/kgおよび1.9L/hr/kgである;(Davies、1993年、Pharm Res)。ラットPKデータは、単回IV用量後には、高い分布体積および中程度の半減期を示した一方で、イヌへのIV投与後には、低い分布体積およびより短い半減期薬物が観察された。研究1日目に測定された血漿の化合物12のCmax値およびAUC0−n値は、研究7日目に得られた値に近似していたので、化合物12の7日間の毎日投与後に、血漿中に化合物12の明らかな蓄積はなかった。
長期繰り返し投与研究で、イヌおよびラットに毎日、3、10または30mg/kg/日のIVボーラス用量をそれぞれ4および13週間与えた。7日間イヌ研究で見られた通り、化合物12の血漿濃度は、予期された通り指数的様式で低下し、血漿中での化合物12蓄積の証拠はなかった。イヌでの化合物12の血漿クリアランス、分布体積および半減期は、3mg/kgから30mg/kgの用量範囲にわたって用量依存的であった。ラットでは、血漿化合物12曝露データは、10から30mg/kgの範囲の毎日のIV用量後に、化合物12の非線形傾向を、かつ13週目に予測されなかった蓄積を示唆した(表17)。
b.単回および繰り返し眼投与後の化合物12の薬物動態
化合物12眼溶液の0.1、1.0または3.0%用量強度の単回局所点眼(それぞれ0.105、0.35および1.05mg/眼)の後に、平均涙化合物12濃度は、用量に関連して上昇し、投与の30分以内に最高値を達成し、4時間までにベースラインに戻った。化合物12の涙C
maxおよびAUC
0−nは通常、用量の上昇に伴って上昇した。図19は、化合物12の用量は、イヌでは涙中のPKに比例する(AUC)ことを示している。例えば、平均の涙C
max値は、0.105、0.35および1.05mg/眼を投与されたウサギの右眼でそれぞれ34014ng/mL、21460ng/mLおよび313906ng/mLであった。平均の涙AUCは、同じ用量群において右眼でそれぞれ、18864hr×ng/mL、18931hr×ng/mLおよび182978hr×ng/mLであった。
薬物が眼適用位置から血漿循環へと移動したので、化合物12の血漿濃度は、局所眼点眼後に上昇した。化合物12の用量関連量を、イヌおよびウサギの血漿中で、局所眼投与の30分後に検出した。おそらく、IV投与研究で見られた通りの高い化合物12の血漿クリアランスにより、化合物12の血漿濃度は、投与後約0.25時間目に測定された最大値からベースラインレベルまで約4時間で急速に低下した。血漿Cmax(平均値±SD)値は、11.7±8.80ng/mL、13.1±2.12ng/mLおよび38.9±19.7ng/mLであり、AUC0−n(平均値±SD)値は、0.105、0.35および1.05mg/眼/用量群でそれぞれ、5.19±5.39hr×ng/mL、7.35±1.52hr×ng/mLおよび22.9±10.1hr×ng/mLであった。
ウサギおよびイヌで行われた繰り返し用量研究では、化合物12眼溶液を、単回用量研究と同じ用量で13週間、両眼点眼によりTIDで投与した。イヌでのパイロット研究は、3.5mg/眼(10%用量強度)を3日間投与した。涙試料中の化合物12のCmaxおよびAUC0−nは予想されたように、ウサギおよびイヌにおいて用量を増加させるにつれて上昇した。CmaxおよびAUC0−nのデータは、化合物12がTID点眼の間、9週まではイヌの涙中に蓄積したが、その後は、継続した蓄積は認められなかったことを示している。同様のパターンがウサギの研究で観察された。ウサギおよびイヌでのTID眼投与の13週後に測定された時間プロファイルにわたる代表的な涙濃度を図20および21にそれぞれ示す(左眼、TID、約4時間間隔)。TK(毒物動態)分析は、1μM(600ng/mL)を超える涙レベルでの十分な眼用化合物12曝露を1日を通して示している。図22は、単回用量の局所点眼後のウサギの右眼および左眼での化合物12の平均涙濃度を図示している。
屠殺(最終および回復相屠殺)のときに得られた試料では、13週ウサギおよびイヌ研究の両方において、硝子体液中に、化合物12は検出されなかった。3.5mg/眼(10%)を3日間TID投与されたイヌの硝子体液中では様々なレベルの化合物12が見られ、BLOQから18ng/mLの範囲であった。
化合物12の眼投与のうち約6.9から32%が、眼局所点眼位置から全身循環へ吸収されることが非臨床研究で示されたが、この全身利用能推定値は、静脈内用量の100分の1である眼用量を包含する限られた利用可能なデータに基づくものであった。薬物に対する低い全身血漿曝露が、点眼後の動物で観察された。重要なことに、化合物12の血漿クリアランスは、これらの種において高く、これは、吸収された化合物12が全身循環から効率的に除去され、そのことにより、全身曝露の最小化を支援していることを示している。
全ての非臨床種からのPKプロファイルが、1日3回までで少なくとも13週間の臨床用量局所点眼計画を支持している。
c.イヌ−PKでの局所投与化合物12のパイロット眼許容性試験
イヌ−PKでの局所投与化合物12のパイロット眼許容性試験を行った。動物に、化合物12 35μLをTID(0、4、8時間)で投与した。1%溶液を1〜14日目に投与した;3%溶液を17〜21日目に投与し、10%溶液を24〜27日目に投与した。涙/眼周囲組織での化合物12トラフレベルは、T細胞結合/IL−2放出に関するIC50の1000倍を超えて高い。化合物12は安全であり、10%強度の3回投与/日まで十分に許容される。点眼後に、化合物12濃度での用量依存性上昇が涙(30分〜16時間)および血漿(30分)で検出された。化合物12の硝子体濃度は、1/1000より低かった。
C.皮膚
1.化合物12の前臨床皮膚研究
化合物12は、水/グリコール/トランスクトール(transcutol)溶液中で2%(w/w)の溶解性およびエタノール/グリコール/トランスクトール溶液中で10%(w/w)の溶解性を示す。溶解性研究は、エマルション製剤を示唆している。原型は開発されていて、選択的手術からのミクロトーム処理されたヒト皮膚で1%(w/w)で試験されている。形態には、ゲル、軟膏またはローションが包含される。安定性および相容性が、全ての製剤で実証されている。LC/MS/MS分析で行われた皮膚輸送研究は、表皮および真皮での高い化合物12レベルおよびレシーバーでの低いレベルを示している。2〜4%用量浸透で、[14C]−化合物12を使用して決定すると、真皮には10マイクロモルよりも多い化合物12が存在し得る。パイロットラットおよびミニブタ研究により、低い全身曝露が実証され、これは、皮膚の血管新生レベル(即ち、真皮)への薬物浸透を示している。
2.非臨床皮膚プログラム
モルモットでの皮膚感作研究:Buehler検査
無作為に繁殖させたアルビノモルモットの健康で若い成体(4から6週)(系統Crl:(Ha)BR)を使用するBuehler検査を使用して、式Iの化合物が過敏症を誘発する可能性を決定する。食餌は、自由な認定モルモット用食餌(#5026、PMI Nutrition International LLC)からなる。水を自由に摂らせる。室温は、18から26℃であり、相対湿度は30から70%であり、12時間明/12時間暗サイクルを使用する。動物を少なくとも5日間順応させる。
実験設計:34匹の順応させた動物を、モルモット4匹からなる刺激スクリーニング群、モルモット10匹からなる検査群(群1)、モルモット5匹からなる未処置対照群(群2)、10匹の陽性対照モルモット(群3)および5匹の陽性未処置対照モルモット(群4)に分ける。
刺激スクリーニング:動物4匹の背中からの毛を刈り取り、動物1匹当たり4つの適用部位を選択する。各部位を0.1%、1%または10%w/vの化合物12 0.4mLおよび化合物12 0.4g用量で処置する。適切な化合物12濃度を、誘発曝露(最高でも軽度から中程度の皮膚刺激をもたらす)および攻撃曝露(最高でも非刺激物用量)について選択する。
決定相(definitive phase):検査前に群1の動物から、電気式バリカンを使用して、毛を除去する。閉塞式パッチシステム(Hill Top Chamber(登録商標)、直径25mm)に、刺激スクリーニングで決定された通りの式Iの化合物濃度を有するビヒクル溶液0.4mLで飽和させる。閉塞式パッチを群1のモルモットの側腹部に6時間適用する。拘束具を使用して、パッチ全体への圧力も維持する。初回曝露の後に、手順を6〜8日目および13〜15日目に繰り返す。エタノール中2.5%w/vの陽性対照物質、HCA(アルファ−ヘキシルシナムアルデヒド)を同様に、群3のモルモットに適用する。未処置の対照動物(群2および4)は、誘発相の間は処置しない。
最後の誘発パッチの2週後に、動物を、背側の右前方四分円部分に適用された非刺激濃度の化合物12で飽和させたパッチで攻撃し、背側の左前方四分円部分に沿って、水を攻撃適用する。群2の動物(未処置対照)を、電気式バリカンで剃って、背側右前方四分円部分を式Iの化合物で処置し、背側左前方四分円部分をビヒクルで処置する。HCAをアセトン中5.0%および7.0%w/vで、2つの個別の攻撃部位に、群3の各動物の右側に沿って誘発相と同様に投与する(0.4mLの用量体積)。群4の動物を、陽性対照物質の2つの攻撃適用で、群3と同様に処置する。
6時間後に、パッチを除去し、その部位を脱毛する(Nair(登録商標)の適用により)。パッチ除去の24および48時間後に、検査部位を視覚的に評価する。紅斑応答を示した動物を、感作されたとみなす(刺激対照動物が応答しない場合)。陽性反応の数および応答の平均強度を算出する。攻撃用量に対する反応が、感作を決定する。同じ物質に対して未処置の対照動物で1未満のグレードが見られた場合に、個々の物質に対する検査動物での1以上のグレードは、感作の証拠を示している。1以上のグレードが未処置対照動物で認められる場合、最も重症の未処置対照反応を超える検査動物の反応を、感作反応とみなす。
3.化合物12のパイロットラット皮膚研究
連続して7日間、約6cm2、10mg/cm2でTIDを与えたラットで、原型皮膚製剤(1%ローション、軟膏およびゲル)の安全性および許容性を評価した。1%DMSOを、高い生物学的利用能対照として与えた。図23は、化合物12が血清中で検出可能であることを図示している。
4.化合物12のパイロットミニブタ皮膚研究
化合物12の様々な製剤(1%でのDMSO、ゲル、軟膏、ローション)の許容性および全身曝露を、これらの製剤をミニブタに複数回皮膚用量TIDとして7日間、約50cm2、10mg/cm2で与えることにより、評価した。ブタ1匹/用量製剤を使用した。インライフPK分析を完了した。いずれの製剤でも毒性は報告されなかった。血漿PKにより、低いレベルの化合物12が全ての群で判明したが、0.5ng/mlのLLOQ未満であった。
ラットおよびミニブタパイロット研究により、PKは、ゲルおよび軟膏で匹敵し、化合物12は、ゲルまたは軟膏製剤としてヒトでの評価に安全であることが示されている。
原型1%局所皮膚製剤が開発されている(ローション、ゲルおよび軟膏)。ヒト皮膚フランツ細胞での表皮および真皮への化合物12の良好な送達が存在する。ローション、ゲルおよび軟膏のパイロット毒性学研究は、PKが良好な生物学的利用能を示すことを明らかにしている。
(実施例11)
クローン病、潰瘍性大腸炎またはIBD
クローン病、潰瘍性大腸炎またはIBDを有する被験体を、化合物12で12カ月まで治療する。薬物は、化合物12を含有する適切な経口投与用製剤(溶液、ピルまたはカプセル)として供給する。典型的な経口液体剤形は、pH7に調節されたPBS中に溶解した化合物12を包含する。検査被験体の各群を、QD、BIDまたはTIDで、製剤中の様々な用量強度の化合物12で、またはプラシーボで処置する。各被験体が薬物を口に自己投与する。投与される用量強度は、プラシーボ(ビヒクル)、製剤中の化合物12の1投薬当たり1mg、1投薬当たり5mg、1投薬当たり10mgおよび1投薬当たり100mgまでを包含する。
登録時に、患者は、クローン病、潰瘍性大腸炎またはIBDの診断を有するべきである。患者に薬物を供給し、患者の日誌に各薬物用量の投与を記録することを求める。化合物12での処置を、現行の抗炎症剤(例えば、サリチル酸塩)および免疫抑制剤(メトトレキセート、ステロイド、抗体)と共に使用することができる。
患者を、研究期間中2週間毎に評価する。患者の検診にはそれぞれ、安全性および許容性の評価が包含される。効力の測定には、クローン病活性指数(CDAI)、潰瘍性大腸炎に対する疾患活性指数または同様のスケールが包含される。
この試験結果は、クローン病、潰瘍性大腸炎および/またはIBDの治療および緩解の維持に対する規制上の要求を支持する。
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、記載したが、このような実施形態は、単なる例として提供されていることは当業者には明らかであろう。数多くの変更、変化および置き換えが、本発明から逸脱することなく、当業者には思い浮かぶであろう。本明細書に記載されている発明の実施形態に対する様々な代替を本発明を実施する際に使用することができることは理解されるべきである。下記の特許請求の範囲は、本発明の範囲を画定し、それにより、特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造がカバーされていることが意図されている。