JP2011516140A - 歯根管の根尖位置を特定するための方法及び装置 - Google Patents

歯根管の根尖位置を特定するための方法及び装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、歯根管内の尖部の深さ位置を特定するための尖部位置特定方法及び装置に関する。この方法は、歯の根管に挿入される第1のプロ−ブ電極と、口腔粘膜と導電的に接触する第2の電極と、数多くの周波数の交流電気信号を生成することができる周波数発生手段と、回路内の交流信号の電気の大きさを測定するための手段とを含む回路を形成することができる装置を使用する。本発明は、回路の励起及び交流信号の大きさのレベル(I)の測定をそれぞれ低周波数(f)及び高周波数(F)で行うステップと、低及び高周波数(f、F)で測定された2つのレベル(If、IF)が相接して実質的に等しくなる交点(C、M)を検出するステップとを含み、これらの周波数(f、F)は、この交点(C)が存在するように十分に離れたものである。この点が尖部(X)の位置(M)を示す。

Description

本発明は、歯の根管内において深さの観点から尖部の位置を、すなわちこの歯根の頂点(すなわち根尖端部)の位置を、より正確には根管底部の根尖孔の開口部の端部を特定するために歯内治療学で使用される尖部位置特定方法及び装置に関する。
歯科手術の処置中、詳細には根管を洗浄して形成するための処置中、尖部探知器が、根尖孔を横切ること、すなわち根尖端部を通り越すことを避けて、これらの下部にある神経束を含む上顎靭帯に到達しないようにする役に立つ。
図1は、歯の解剖学的構造を歯根管の軸に沿って切り取った平面による概略図で示している。臼歯及び小臼歯などの特定の歯は、数多くの歯根RT又は少なくともいくつかの根管CRを有する場合があり、これらは分離していることもあれば接合していることもある。
歯根RTの端部は、神経束及び血管の通路のための根尖孔として知られている開口部FAにより穴が開いている。図1に示すように、この根管CRの端部の開口部FAが狭まって、根尖狭窄部CAにボトルネック(歯髄に潅注する血管及び神経群が通過できる狭いネック)を形成することがある。その他の場合(図示せず)、根管は、狭窄のない大きな断面を有する。
この根尖狭窄部CAの位置に、セメント−象牙質接合界面CT/IV、すなわち対照的な電気特性を有する無機物質(セメント/象牙質)間の界面が存在する。
歯管CRを洗浄して形成するための処置のような歯内手術処置中、歯科医は、根管CR内に歯性膿瘍が再発しないようにするために、根管CRをちょうど底部まで、すなわち根尖孔FAの端部まで満たす全ての物質、破片及び有機流体を除去しようとする。
しかしながら、歯科医の目的は、主に可能な限り根尖端部APXを通り越さないようにして、一方では患者に痛みを与えないようにし、他方では膿瘍を生じる可能性がある尖部を超えて歯根の下まで空洞を開けないようにすることである。
従って、歯科医にとって、根尖孔FA及び根尖端部APXの位置を極めて正確に特定することは最も重要なことである。
図1に示すように、顎の水平面XRAに沿って撮った歯のX線画像では、一般に尖部のX線写真の位置が不正確であり、実際の解剖学的な尖部AAの導平面の位置に対応しない。
この移行帯の電気特性の変化に基づいて根管の端部の位置を正確に特定するための電子尖部位置特定装置が過去50年間に開発されてきた。
第1世代の尖部探知器は、Pr.Suzukiの研究に基づいてSunadaにより開発され、これは根管の抵抗測定の原理に基づいて動作し、根尖域が交差すると抵抗値が突然低下して、全ての個人において実質的に一定の値である約R=6.5kΩの抵抗閾値よりも下がることの観察に基づくものである。
図2Aに示すように、この抵抗は、根管CRに挿入される歯内ファイル又はプロ−ブにより形成される第1の電極ESと、口腔粘膜(口唇、歯肉...)とぴったりと導電接触するような形状にされた第2の電極EMとの間で測定される。
図2Bは、歯内ファイルESが歯の軸線上で根管CR内に深さDPまで押し込まれるにつれ抵抗Rが最初はわずかずつ低下し、次に根尖域を横切るとRが急激に低下し、その後根尖端部を通過すると基準値に戻ることを示している。
Sunadaは、抵抗が全ての個人において実施的に一定の値であるR=6.5kΩの閾値を超える領域に尖部が位置することを証明した。
MORITA社のKobayashiという名義の米国特許第5,096,419号には、尖部の位置を特定するとともに根管の深さを特定することができる2つの一連の測定装置に関する2つの先行技術の日本国特許JP2817/62号及びJP25381/62号が引用されている。
第1の一連の装置は、直流を使用した抵抗測定原理に基づくものであり、根尖域を横切ると連続抵抗が急激に低下する。
第2の一連の装置は、インピ−ダンス測定原理、抵抗一般化に基づくものであるが、測定には交流信号を使用し、2つの抵抗性部品及び容量性部品を含み、プロ−ブの先端が尖部に近づくと交流信号インピ−ダンスが低下する。
第1の抵抗測定原理では、根尖端部を通過するときにしか検出を行うことができず、尖部を通り越す前に警告が与えられるという歯科医の目的を満たさない。
第2のインピ−ダンス測定原理では、根尖狭窄部CAを横切る際にセメント/象牙質界面CT/IVにおいて特性が変化するとインピ−ダンスが低下すると考えられており、この部分は図1に示すように尖部の導線AAに達する手前の位置にあるので、より多くの警告を発することが判明しているはずである。
第1の不利点は、小児及び若年患者の歯には無機質過剰象牙質がほとんど又は全くないため、この根尖狭窄部のセメント/象牙質接合部におけるインピ−ダンスの低下を検出することに基づく第2の測定原理は、小児及び若年患者ではうまく機能しないという点である。
一般に、これらの2つの一連の装置には微妙な定格及び較正作業が必要であるが、この作業は不正確で面倒なものであり、誤差の原因となる。
実際には、及び一般的に言えば、これらの2つの一連の尖部探知器は、電極プロ−ブの先端が根尖狭窄部を横切った後でしか尖部の位置を示さないという不利点を有する。プロ−ブの先端が根尖端部APXを通り越す前には抵抗測定値は低下しない。実際に、ファイルの先端が根尖孔FAの開口部を通り越し、歯根RTの下部にある靭帯に接触した場合にしかインピ−ダンス測定値が低下しないことがあることが判明している。しかしながら、歯科医は、ことさら根尖孔FAを横切らないようにしている。
別の考慮すべき問題は、これらの2つの一連の尖部探知器の2つの測定原理が、根管内に導電性流体が存在する場合には抵抗/コンダクタンスの測定値が全く不正確なものとなり、無意味なものにさえなるという不利点を有する点である。
歯の洗浄及び形成の処置中、一般に根管は、海水のように適度に導電性のイオン溶液である生理液又は血清(通常の0.9%NaClの生理食塩水)として知られているものと同様の、わずかに塩を含み、従って相当な導電率の媒体として作用する流体及び物質、詳細には有機体及び物体(唾液、血液、リンパ液、血清、生理液、有機堆積物)で満たされる。
さらに、歯科医は、NaClの導電性生理食塩水をベースにしたすすぎ液、特に消毒溶液、詳細には極めて導電率の高いイオン溶液(OHイオン)であるデ−キン液(「次亜塩素酸ソ−ダの中性希釈溶質」、2.5%又は5%に希釈したNaClO、実際のジャベル水に類似する)を流しながら常に患者の口を洗浄する必要がある。このような導電率の高いイオン溶液は、導電率測定値(抵抗、インピ−ダンス)を完全に乱し、尖部の位置のあらゆる特定を完全に無効にする。
歯科処置中にこのような有機流体及び溶液が存在し続けることにより、このような抵抗又はコンダクタンスの測定原理に基づく尖部位置特定装置の使用は不可能となる。
米国特許第5,096,419号においてKobayashiにより提案されているこの先行技術の改善は、イオン溶液の存在によって引き起こされる導電率の変動を無くすために、図3に示すように2つの異なる周波数f及び5fで得られる2つのコンダクタンス測定値を比較するステップを含む。
この第3の測定原理によれば、電極と直列に配置されたR=5kΩの基準抵抗の端子において電圧(V)の測定が行われる。方形信号発生器によって直列回路が周波数fで給電を受けることにより、周波数fa=f及びfb=5fの高調波信号成分が生成される。プロ−ブの根管への挿入中の第1の期間(段階I)では、2つの周波数fa=f及びfb=5fで取り込んだ電圧測定値A及びBは安定したままである。第2の期間(段階II)では、根尖狭窄部に対応する領域IIを横切ると、2つの電圧測定値A’及びB’が増加する(セメント/象牙質接合部が近づくにつれ根管のインピ−ダンスが低下するため)。
Kobayashiの米国特許第5,096,419号によれば、領域IIでは2つの曲線A’及びB’は等距離にないが、その偏差Γは減少する。
Kobayashiによれば、2つの電圧測定値AとBの差分δ(δ=A−B)は、当初領域Iでは実質的に一定の値Γであるが、領域IIでは減少していく。
Kobayashiは、領域IIでは、偏差B−A又は差分δ=A−Bは、極値(最小偏差)に近づいた後、突然他の方向にシフトして再びさらに離れていくと述べている。極値、すなわち偏差|B−A|が最小(すなわちδ=A−Bが最大)になる点AXは、米国特許第5,096,419号の教示による尖部の位置に一致する。
次に、米国特許第5,096,419号には、2つの周波数fa=f=1kHz及びfb=5f=5kHzで測定した2つの電圧間の差分δ=A−Bが、尖部の位置に対応する閾値θとどの時点で交差するかを求めるために閾値を検出するための高度な電子回路が記載されている。
この装置の不利点は、閾値θの固定に細かく不正確で誤差の原因となる較正動作が依然として必要な点である。実際には、曲線A及びBの変動の正確な推移及びこれらの偏差|δ|=|A−B|は、関連する個体及び個々の根管に広がる電気的状態に基づいて著しく変わりやすい。
個々の歯の個々の歯根の各個々の根管ごとに定格及び較正作業を再開することが必要であり、この作業は歯科医にとって専門的で時間がかかる上に面倒なものであるため、これらの装置は歯科医が使用する魅力がない。
実際には、閾値が極値未満の値θに固定されるか、或いは極値を超えるθ’に固定されるかによって、尖部AXの位置Pの測定値が不正確となって誤差εを抱え込むか、或いは閾値と交差したことが検出されず、プロ−ブが根尖端部を通過したという信号を装置が発しないかのいずれかとなる。
一般的に言えば、2つの周波数で行われる測定の差分を検出するこの第3の原理は、尖部の位置に関する絶対的な測定基準が設定されないという不利点も有する。
閾値の交差の検出には、任意の閾値を設定することに関する不利点が依然として存在する。
別の観点からは、絶対基準を構成する折り返し点AX、すなわち曲線δ=A−Bが極値に達して変動の方向が変化する変曲点AXを検出することが望ましいとしても、極値の通過及び変動の方向の変化を検出するためには、点AXを通過すること、すなわち根尖端部を横切ることが必要となる。
図4は、OSADA InstituteのKawaiという名義の米国特許第5,080,586号に提案されている第4の尖部位置特定原理を示している。
米国特許第5,080,586号には、米国特許第5,096,419号の測定システムに匹敵する、測定抵抗器と直列に存在する2つの電極(歯の根管に挿入される針及び口腔粘膜に接触する電極)を含む回路の端子に、2つの異なる周波数f1及びf2を有する2つの交流電圧V1及びV2を印加することから成る測定システムが記載されている。
米国特許第5,080,586号により提案される2つの周波数f1=1kHz及びf2=5kHzは、他の米国特許第5,096,419号の教示による2つの周波数fa=f=1kHz及びfb=5f=5kHzとまさに同一である。
一方、先行技術の米国特許第5,080,586号の測定値曲線の推移を示す図4によれば、2つの周波数f1=1kHz及びf2=5kHzで取り込んだ2つの電圧V1及びV2の測定曲線は発散し、電極を挿入する深さPとともに引き続き離れていき、偏差(V2−V1)は単調に増加する。
2つの周波数f=1kHz及び5f=5kHzでプロットされた電圧曲線の推移を見ると、このように発散的であり、測定値が逸脱して信頼できない程度を示しており、尖部の位置を正確に特定するための絶対測定基準を構成していない。
尖部の位置を特定するために、米国特許第5,080,586号では、2つの周波数f1及びf2でプロットしたこれら2つの電圧V1とV2の比率(比率V2/V1)を求め、この比率V2/V1により、閾値及びこの閾値の交差に一致する尖部Aの位置を特定することが提案されている。
この代替の測定原理も、尖部の正確な位置を特定するための絶対基準を構成せずに、関連する個人及び個々の根管に広がる電気的状態に応じて変化する相対閾値を参照するという不利点を依然として有し、これは、歯科医が、細かく不正確で誤差の原因となる較正作業を行う必要があることを意味する。
より一般的には、これらの後者の尖部探知器の生成は、根管内の電極間に存在するコンダクタンス(インピ−ダンスの逆)を反映する2つの電極と直列に存在する基準抵抗器の端子における電圧を測定するという原理に基づく。
問題は、尖部の位置の特定を完全に無効にする導電性流体が根管内に存在することにより、このような測定原理が直接影響を受けることである。
前述したように、歯科手術の処置では、流体及び有機物質(血液、リンパ液、唾液、血清、有機堆積物)の存在、及び口腔をすすぎ溶液(生理液、すなわち0.9%NaCl溶液)又は消毒溶液(デ−キン液、すなわちNaClO溶液)できれいにする必要性により、根管内に導電性流体が存在することは避けられない。
さらに、歯の根管内のインピ−ダンスを測定することに基づく尖部位置特定装置の別の一般的な問題点は、これらの装置が、いくつもの根管、又は分岐した又は異常な(複数の、フォ−ク状の、枝分かれした又は双歯根、異常突出物などの)根管を有する複雑な歯を解像できない点である。
臼歯は、一般に良好に分離したいくつかの歯根及び根管を有する。一般に、小臼歯及び臼歯は双歯根を有し、これらはその端部において分岐部により丁度2本の双(フォ−ク状)根管に細分割される。その他の歯も、分岐又は異常を有することがある。一般に、歯科手術及び歯内洗浄及び形成処置を最も受ける歯は、まさにこれらの複雑な歯、特に臼歯及び小臼歯である。
米国特許第5,096,419号公報 日本国特許JP2817/62号公報 日本国特許JP25381/62号公報 米国特許第5,080,586号公報
従って、本発明の目的は、これらの問題を解決するとともに先行技術の尖部探知器の不利点を克服する尖部位置特定手段を提供することである。
本発明の目的は、尖部の深さの絶対測定値の基準に基づいて尖部の位置を検出するための手段を開発して、患者又は根管の特性の変動に依存する相対閾値を任意に設定する必要性をもはや無くしてしまうことである。
従って、本発明の目的は、歯の根管が示す構造又は状態に関係なく尖部の位置を良好なレベルの正確さで特定できるようにする尖部位置特定のためのシステム、装置又は方法を実現することである。
具体的には、塩化ナトリウム(0.9%NaCl)をベースにした通常の生理食塩水、並びに歯科手術処置中に詳細には歯内膿瘍掻爬処置のために系統的に使用される次亜塩素酸ソ−ダ(2.5%又は5%NaClO)をベースにしたデ−キン液のようなイオン消毒溶液の存在と同様に、導電性流体及び特にすすぎ溶液、有機体又は生理液の存在による影響をできるだけ抑える一方で尖部の位置を正確に特定できるようにすることが目的である。
別の目的は、既に市販されている装置を可能な限り改善して、根管が複雑な歯を解像できるようにする、すなわち歯の個々の根管の端部の位置を良好なレベルの正確さで認識し、選び出し、特定できるようにする尖部位置特定のための方法及び装置を実現することである。
1つの特定の目的は、実際の根尖端部の位置に関する誤差レベルが低いだけでなく、根尖端部に到達し又はこれを通り越す前に尖部の位置が示されることも可能にする、尖部の位置を特定する尖部位置特定システムを実現することである。
手短に言えば、本発明は、歯根管に挿入できるファイル又は金属プロ−ブに接触する一方の電極、及び厳密に導電性、低インピ−ダンスにして、口腔粘膜と電気接触させることができる他方の電極の2つの電極を従来より備えた歯内装置を使用し、これらの2つの電極は、周波数アジャイル交流信号発生器により給電される回路に直列に組み込まれるとともに、交流信号の振幅を測定するためのアセンブリを含む。このアセンブリは、詳細には、電極及びこの直列回路に給電する周波数アジャイル発生器と直列に存在する測定基準抵抗器の端子における交流信号のための電圧振幅測定装置を含み、この装置が、基準抵抗器及び電極を通過する交流の振幅を測定するようになる。本発明によれば、交流信号の振幅が、周波数アジャイル発生器の周波数レンジの範囲によって許容されるような対向する周波数帯域に属する幅広い周波数でプロットされる。
本発明によれば、2つの定められた周波数でプロットされた信号の振幅レベルが根尖狭窄部を通過する際に交わり、すなわち、歯の根管内にプロ−ブ電極を挿入する深さに応じて、及びこの挿入過程中に、数多くの段階、領域及び/又は階層が次のように区別される。
− 最初、プロ−ブの導入中、歯の冠状部分(「歯冠」)の開始点では、低い方の周波数(低周波数f)でプロットされた第1の信号振幅レベルの方が、高い方の周波数(高周波数F)でプロットされた他方の振幅レベルよりも明らかに高く、その後、
− プロ−ブが歯の根管に導入されると、2つの定められた周波数(対向する低周波数f及び高周波数F)でプロットされた信号の2つの振幅レベルが、根管の端部に近づくにつれて増加し、
− 根尖狭窄部の通路に対応する移行帯では、根管の端部において、高い方の周波数(高周波数F)でプロットされた第2の振幅レベルが、低い方の周波数(低周波数f)でプロットされた第1の振幅レベルに、これと完全に一致する点まで近づき、相接して実質的に等しくなり、及び場合によっては(これを継続した場合)、
− 根尖狭窄部領域を通過した後、高い方の周波数(高周波数F)でプロットされた第2の信号振幅レベルの方が、低い方の周波数(低周波数f)でプロットされた第1の振幅レベルよりも大きくなり、或いは明らかに超えることさえもある。
当然ながら、歯科医にとっては、根尖端部を通り越し、従って高い方の周波数(高周波数F)でプロットされた第2の振幅レベルの方が低い方の周波数(低周波数f)で測定された第1の振幅レベルよりも大きくなる領域に到達しようとすることはできない。
従って有利な態様では、本発明は、2つの定められた周波数(低周波数f及び高周波数F)で求めた2つの振幅レベルが、交差又は少なくとも相接して実質的に等しくなり及び/又は一致する点に対応する根尖狭窄部の位置の絶対測定のための基準を提供する。
上述した目的を達成するために、本発明によれば、歯の根管内に挿入することができる歯内プロ−ブを形成する第1の導電性電極と、口腔粘膜と導電的に接触する形状にされた第2の電極と、数多くの周波数の交流電気信号を生成することができる周波数発生手段と、前記周波数発生器、根管に挿入された第1のプロ−ブ電極、及び口腔粘膜と接触する第2の電極を含む回路内の交流電気信号の大きさを測定するための手段とを有する装置を使用して歯の根管内で尖部の深さ位置の測定値を求めるための尖部位置特定方法が提供され、この方法は、
− 回路の励起及び回路内の交流電気信号の大きさのレベルの測定を低い周波数及び高い周波数でそれぞれ行うステップと、
− 前記低い周波数及び高い周波数で測定された2つのそれぞれの電気の大きさのレベルが相接して実質的に等しくなる一致点を検出するステップとを含み、前記低い周波数及び高い周波数は、このような一致点が存在するように十分に離れており、前記一致点は尖部の位置に対応する。
具体的には、電極と直列に存在する抵抗器の端子における電気信号の絶対電圧振幅値を測定することにより、回路に印加される電気信号の振幅レベル、より正確には電極を通過する電流の強度を測定するステップを提供することが好ましい。
本発明はまた、歯根管内の根尖狭窄部の深さ位置を特定するための尖部位置特定装置によっても実現され、この装置は、歯の根管又は根管の1つに挿入することができる第1の導電性歯内プロ−ブ電極に接続するための端子と、口腔粘膜と導電的に接触する形状にされた第2の電極と、少なくとも2つの周波数の交流電気信号を生成することができる1又はそれ以上の周波数発生手段と、周波数発生手段、歯の根管に挿入された第1の電極、及び口腔粘膜と接触する第2の電極を含む回路内の交流信号の電気の大きさを測定するための手段とを含み、第1の低い周波数及び第2の高い周波数で回路を励起するとともに、前記回路内の標準化した大きさの交流電気信号の第1のレベル及び第2のレベルをそれぞれ測定するための周波数選択制御手段と、第1の低い周波数で測定した第1のレベルが、第2の高い周波数で測定した交流信号の第2の電気の大きさレベル以下になるのがいつであるかを検出し、及び/又はこれを信号送信するための手段とを有することを特徴とする。本発明によれば、2つのそれぞれのレベルが尖部の位置に対応する一致点で相接して実質的に等しくなるように、前記低い周波数及び高い周波数が十分に離される。
このことについて考慮すると、本発明は、明らかになっていなかった事実を浮き彫りにしていることが分かる。面白いことに、本発明は、根管の開始部における歯内プロ−ブ電極の先端の挿入開始に対応する初期段階では、低い周波数で測定された第1のレベルの方が高い周波数で測定された第2のレベルよりも高くなるようにこれらの周波数が選択されるという点で独自性を有する。
一般的に言えば、本発明によれば、低い周波数及び高い周波数が、異なる及び/又は離れた、すなわち隣接していない対向する周波数帯域の中から選択され、或いは前記低い周波数及び高い周波数が1又はそれ以上の桁だけ分離されることさえもある。前記高い周波数は、前記低い周波数よりも少なくとも2、3又は4桁高いことが好ましい。
通常、前記低い周波数は低周波数帯域の中から選択され、一方で前記高い周波数は高周波数帯域の中から選択される。
具体的には、前記低い周波数及び前記高い周波数は、3キロヘルツ〜30キロヘルツ(3〜30kHz)の周波数に及ぶ少なくとも従来の4番帯域(VLF又はhm.W.B.として知られている帯域番号4)を含む周波数レンジの両側における2つの対向する周波数レンジ内にそれぞれ位置する。
詳細には、低い周波数は950ヘルツよりも低く、及び好ましくは500ヘルツよりも低く、高い周波数は9500ヘルツよりも高く、及び好ましくは95kHzよりも高いことが分かる。
より正確には、以下に示す本発明の例示的な実施形態では、低い周波数は、従来の2番又はこれよりも低い、すなわち300ヘルツ〜30ヘルツの間又はそれ未満の周波数帯域内に存在し、高い周波数は、従来の6番又はこれよりも高い数字の、すなわち300kHz〜3MHzの間又はそれよりも上の周波数帯域内に存在する。
以下に示す本発明の1つの特定の実施形態によれば、低い周波数は、約10ヘルツ〜数百ヘルツの周波数帯域内に存在し、好ましくは100ヘルツ前後の値であるのに対し、高い周波数は、約1/2メガヘルツ又は1メガヘルツ〜5又は10メガヘルツの周波数帯域の中から選択され、この高い周波数の選択は、根管内に広がる電解状態、詳細には生理液、又は塩化ナトリウム(NaCl)からなる通常の生理食塩水の存在、又はデ−キン液、又は次亜塩素酸ソ−ダ(NaClO)をベースにした消毒剤溶液の存在のような導電性イオン水溶液の存在に応じて、{0.5MHz−1MHz−2MHz−5MHz}前後のいくつかの較正値の群から選択した値に調整できることが好ましい。
有利かつ予想外の態様では、以下で詳述する測定手順の例示的な結果によって示すように、本発明によるこのような一致点検出モードにより、電解質の存在下において、具体的には、塩化ナトリウム(〜1%の、正確には9‰のNaCl)をベースにした通常のイオン水溶液の存在、並びに通常は歯科手術処置中に使用される消毒用次亜塩素酸ソ−ダをベースにした溶液(5%NaClO又は2.5%NaClO)のような殺菌すすぎ溶液の存在下において明解な尖部深さの測定結果を取得できるようになることが分かる。
別の主な利点は、本発明により、複雑な歯の根管を解像できるようになり、すなわち再構成された歯のモデル及び実際の歯の標本に対して行われる第1の研究結果に基づいて、比較的根管の幅が広い、又は分岐した(フォ−ク状の、枝分かれした又は分岐した歯根)又は異常な歯のような複雑な歯の個々の根管の深さに関する明解な測定結果を認識し、選び出し、決定し、又は提供できるようになる点である。
低い周波数及び高い周波数の規定値を選択することにより、前記周波数(低周波数f及び高周波数F)でプロットされた振幅レベルの一致点の測定値が精密化され、これを正確な尖部の地点に正確に対応させることができるようになる。
具体的には、歯管内に広がる状態に応じて、詳細には、根管が塩化ナトリウムをベースにした伝導性溶液(「生理液」)によって潅注されているか、又は次亜塩素酸ソ−ダをベースにしたイオン溶液(「デ−キン液」)によって潅注されているかに応じて、或いは根管の構成に応じて、測定結果を最適化するように低い周波数及び高い周波数の選択を調整し、測定の不確実性を最小にして最大の正確さを得ることができる。
非限定的な例として提供する添付の図面を考慮しながら、以下で詳述する例示的な実施形態の説明を読めば、本発明のその他の利点、特徴及び目的が明らかになるであろう。
説明済みの、解剖学で知られているように尖部の位置が端部に存在する歯根管の構造を示す断面図である。 説明済みの、一方を歯内プロ−ブに接続し、他方を口腔粘膜に接触させた2つの電極間の抵抗Rの直流測定により、第1の公知の尖部位置特定原理に基づいてR=6.5キロオームの地点で尖部の深さDPの位置を特定できることを概略的に示す図である。 説明済みの、一方を歯内プロ−ブに接続し、他方を口腔粘膜に接触させた2つの電極間の抵抗Rの直流測定により、第1の公知の尖部位置特定原理に基づいてR=6.5キロオームの地点で尖部の深さDPの位置を特定できることを概略的に示す図である。 説明済みの、2つの周波数fa=1kHz及びfb=5kHzでプロットした電圧レベルA及びBの曲線、並びにこれらのレベル間の差分δの推移をプロ−ブの挿入深さの関数として示し、この推移が、1つの種類の先行技術の装置で使用される別の尖部位置特定原理に基づいて尖部の部位に変曲点(極値)を有する図である。 説明済みの、別の先行技術文献による別の種類の装置において実現される電圧比(V2/V1比)を使用する別の尖部位置特定原理に基づいて、これも2つの周波数f1=1kHz、f2=5kHzでプロットされた他の電圧レベル曲線V1及びV2を示す別の図である。 本発明によって使用する尖部位置特定装置の電気回路を示す図である。 本発明による尖部位置特定装置の電気回路を示す同等図である。 本発明による尖部位置特定装置の電気回路を示す同等図である。 本発明による尖部位置特定装置の電気回路を示す同等図である。 本発明による、低周波数から高周波数までの異なる周波数でプロットした曲線の一般的な推移及びこれらの交点を示す、プロ−ブ電極の挿入深さの関数としての振幅測定の図である。 本発明による、一方が低周波数f=100Hz、他方が高周波数F=500kHzの2つの対向する周波数でプロットした2つの特定の選択した測定曲線の交点Cが尖部の位置Xに対応する、図6Aから描いた曲線を示す図である。 本発明による装置を使用して個々の根管の深さ測定を試みる(次の図を参照)ための(根管が漏斗状に狭くなった)歯根モデルαを示す図である。 本発明による装置を使用して個々の根管の深さ測定を試みる(次の図を参照)ための(2つの根管に分岐した)歯根モデルβを示す図である。 本発明による装置を使用して個々の根管の深さ測定を試みる(次の図を参照)ための(根管が異常に枝分かれした)歯根モデルγを示す図である。 ベアメタルプロ−ブを使用して、及び0.9%NaCl溶液の存在下で図7の根管モデルαに関してプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 ベアメタルプロ−ブを使用して、及び2.5%NaClO溶液の存在下で図7の根管モデルαに関してプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 ベアメタルプロ−ブを使用して、及び5%NaClO溶液の存在下で図7の根管モデルαに関してプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 絶縁体で覆われたプロ−ブを使用して、0.9%NaCl溶液の存在下で図7の根管モデルに関してプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 絶縁体で覆われたプロ−ブを使用して、2.5%NaClO溶液の存在下で図7の根管モデルに関してプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 図12Aは0.9%NaCl溶液の存在下で図8のフォ−ク状に枝分かれした歯根モデルβの第1の根管β1に関してプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。図12’Aは0.9%NaCl溶液の存在下で図8のフォ−ク状に枝分かれした歯根モデルβの第2の根管β2に関してプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 図12Cは5%NaClO溶液の存在下で図8のフォ−ク状に枝分かれした歯根モデルβの第1の根管β1に関してプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。図12’Cは5%NaClO溶液の存在下で図8のフォ−ク状に枝分かれした歯根モデルβの第2の根管β2に関してプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 図13Aはベアメタルプロ−ブを使用して、0.9%NaCl溶液の存在下で図9の枝分かれした歯根モデルγの第1の根管γ1に関してプロットした曲線を示す図である。図13’Aはベアメタルプロ−ブを使用して、0.9%NaCl溶液の存在下で図9の枝分かれした歯根モデルγの第2の根管γ2に関してプロットした曲線を示す図である。 図13Bはベアメタルプロ−ブを使用して、2.5%NaClO溶液の存在下で図9の枝分かれした歯根モデルγの第1の根管γ1関してプロットした曲線を示す図である。図13’Bはベアメタルプロ−ブを使用して、2.5%NaClO溶液の存在下で図9の枝分かれした歯根モデルγの第2の根管γ2に関してプロットした曲線を示す図である。 図13Cはベアメタルプロ−ブを使用して、5%NaClO溶液の存在下で図9の枝分かれした歯根モデルγの第1の根管γ1に関してプロットした曲線を示す図である。図13’Cはベアメタルプロ−ブを使用して、5%NaClO溶液の存在下で図9の枝分かれした歯根モデルγの第2の根管γ2に関してプロットした曲線を示す図である。 図10〜図13’Cはプロ−ブ電極の挿入の深さの関数としての、及び上述した3つの根管のモデルα、β,γ(図7、図8、図9)に関して実験的にプロットした一連の振幅測定の曲線を示す図であり、これらの根管は、様々なプロ−ブを使用して3つの水溶液(Aの付く図:0.9%NaCl、Bの付く図:2.5%NaClO、Cの付く図:5%NaClO)で常に潅注され、本発明により尖部の位置を特定できるようになる。 潅注溶液(0.9%NaCl)の存在下で、2つの周波数f=100Hz及びF=0.5又は1MHzで、実際の歯Δに関して実験的にプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 潅注溶液(2.5%NaClO)の存在下で、2つの周波数f=100Hz及びF=0.5又は1MHzで、実際の歯Δに関して実験的にプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 潅注溶液(5%NaClO)の存在下で、2つの周波数f=100Hz及びF=0.5又は1MHzで、実際の歯Δに関して実験的にプロットした振幅/深さ曲線を示す図である。 根管α、β、γに対する深さ測定手順中に選択された高い方の周波数Fの値の関数として測定誤差εerrを推定するいくつかの点の集まりを示す図である。 図7の歯根モデルαの根管の一連の深さ測定に関する測定誤差εの推定を高い方の周波数Fの関数としてまとめた図である。 図8の根管モデルβに関する誤差εの推定を高い方の周波数Fの関数としてまとめた図である。 図9の根管モデルγに関する誤差εの推定を高い方の周波数Fの関数としてまとめた図である。 いくつかの実際の歯の標本のいくつかの一連の尖部深さ測定に関する誤差εの推定をFの関数としてまとめた図である。
本発明では、様々な形を有するとともに、特に電極として機能する金属ロッド、金属点又は金属ファイルにより形成することができる導電性歯内プロ−ブを使用する。プロ−ブ電極は、センチメートル長(約1センチメートル又はわずか1〜数センチメートルであり、10センチメートル以下、通常は2〜3cm)の細長く柔軟な金属ロッドの形であることが好ましい。この円形又はその他の断面形状のロッド又はファイルの直径(横断寸法)は明らかにその長さよりも短い。この(介在する接続電極と電気接触し、及び/又は発生器GFの出力端子に接続された)端子電極として機能する金属ロッドの長さの全部又は一部を、図11A及び図11Bに関して以下で報告するような実験曲線のプロットで行うように絶縁カバーによって覆うことができる。詳細には、商用ネットワークを介して入手可能な歯内プロ−ブを使用することができ、以下で報告するこの実験結果を既存の先行技術の尖部位置特定装置の結果と比較し、この先行技術の尖部位置特定装置で得られた結果には図10A及びそれ以降の図において基準ADの印をつけている。
図5Aを参照すると、本発明による尖部位置特定装置の電気回路が、歯の標本(以降Δ)の根管CR又は歯管のモデル(以降α、β、γ)に関与する歯内プロ−ブSによって形成される第1の導電性電極E1と直列に接続された正弦波交流信号周波数発生器GFを有利に使用していることが分かる。回路は第2のアース電極E0を有し、このアース電極E0は、2つの電極E0−E1を通過してこの場合は周波数アジャイル発生器である交流信号発生器GFにより生成される交流の強度を測定するためのアセンブリ又は装置AMと直列に接続される。
測定アセンブリ及び装置AMは、交流正弦波信号の振幅、より正確には交流の強度の振幅を測定できるようにする必要がある。しかしながら、図5Aの例示的な測定アセンブリによれば、測定装置AMは、交流信号の電圧振幅、特に絶対振幅を(ピーク値、有効値又はRMS値として)測定することができ、またこの装置を電極E0−E1及び回路の周波数アジャイル発生器GFと直列に配置された基準測定抵抗器Rmの端子上に並列に接続することができる。第1の実験例5B、5C、5Dによれば、測定装置AMは、広範囲にわたる周波数をカバーするオシロスコープであってもよく、この装置AMの測定端子は、装置AMの入力インピ−ダンスZiに比べて、すなわち装置AMの入力抵抗Ri及び特にその入力端子間の静電容量Ciに比べて極めて低い値で動作する測定抵抗器Rmの端子に接続される。一例として、入力抵抗が10メガオームで(Ri=10MΩ)静電容量が15ピコファラド(Ci=15pF)である場合、測定抵抗Rmの値が約10000オーム以下、例えば千又は数千オームであれば、カットオフ周波数を1メガヘルツさらには数メガヘルツよりも高くすることができ(fc>1MHz)、またさらには約10メガヘルツ(fc>10MHz)よりも高くすることができる。
有利な態様では、このような測定インピ−ダンス(すなわちRm//Ci=10kΩ//15pF)は、2つの電極E1及びE0間で見られる固有インピ−ダンスZ、すなわち根管CRの実際のインピ−ダンスZに適合する。
回路GF又は交流信号発生手段は、分離された周波数レンジ内の周波数の信号を生成するのに適したものでなければならず、特に、対向する周波数帯域、すなわち異なる、好ましくは離れた数十の周波数、すなわち十又は数十帯域隔てられた周波数の中から選択された少なくとも2つの周波数(f、F)で交流信号を生成できなければならない。本明細書では、2つの周波数の一方(f)を第1の周波数、低周波数又は低い方の周波数と呼び、他方の周波数(F)を第2の周波数、高周波数又は高い方の周波数と呼ぶ。第1の周波数fは、通常は低電気周波数の領域、すなわち超低無線電気周波数(f<3kHz〜従来の4番無線電気帯域の下限)よりも低い周波数の領域と考えられる領域に属する。具体的には、第1の周波数fは、従来の2番、すなわち102Hz前後(30Hz≦f≦300Hz)の帯域を含む周波数の領域に属し、一方で第2の周波数Fは、通常は高電気周波数領域、すなわち無線周波数(F>>3kHz)の領域と考えられている別の対向する周波数領域、詳細には従来の6番、すなわち106Hz付近(300kHz≦F≦3MHz)の中間無線電気周波数の帯域を含む領域に属する。約1MHz前後の10種類の周波数をカバーする前記6番の周波数帯域は、無線電気では中間周波数MF又は中波MW、メートル法ではhm.B、又はヘクトメートル帯域又はヘクトメートル波ではhm.Wと短縮される用語でも知られている。
従って、測定装置は、超低無線周波数又は低電気周波数(f=30〜300Hz又は3000Hz)未満の周波数から中間周波数無線帯域又は高周波数帯域(F=300kHz〜3MHz又はそれ以上)にまで及ぶ周波数レンジをカバーする広範囲にわたる周波数をカバーする必要がある。
図5Aの測定回路例では、装置AMは、この測定抵抗器Rmの端子における電圧Uの振幅の絶対値RMSを測定する。
このような測定値は、電極E0−E1間の歯管、及び周波数選択制御により選択された規定周波数の交流信号電圧を生成する周波数発生器GFにより励起される回路全体を通過する電流強度Iの絶対振幅測定値(RMS)に対応する。
この絶対振幅値は、交流信号のピーク値Imax、ピークツーピーク値2.Imax、計算有効値(すなわちImax/√2)、真の有効値Ieff、いわゆるRMS(瞬間振幅値の二乗平均平方根)、又はその他の絶対値測定値、特に前述した絶対値に比例又は関連する値と同等のものであってもよいが、これらが交流信号の振幅の標準となる標準化値であるということを条件とする。
本発明者らは、100Hz〜5MHzの周波数レンジをカバーするいくつかの徹底的な連続した一連の測定手順を行い、引き続き、指数関数的周波数ジャンプ(すなわち、数列1、2、5、10,...、100、200、500、1000,...、500000、1000000、2.106、5.106...Hz)によって間隔を開けた決められた周波数における一連の測定値曲線を記録し、特に、数多くの歯管モデル及び実際の歯の根管内におけるプロ−ブの挿入深さを変化させることにより得られる、根管の端部からの歯内プロ−ブの端部の距離に応じてこれらの様々な周波数値でプロットされた交流信号の振幅曲線の推移に焦点を当てた。
図6Aは、このようにして、2つの導電性電極E0−E1、根管CR(歯管モデル又は実際の歯の標本)に関与する歯内プロ−ブ電極E1−Sを含む直列回路内の周波数アジャイル発生器GFにより生成される交流信号の振幅を測定するためのこのようなシステムAMを使用することによって得られた一連の測定曲線の一般的な推移を示している。個々の測定曲線は、規定周波数でプロットしている。この曲線は、前記周波数における一群の測定点をプロ−ブの端部が到達する挿入深さに応じてまとめたものである。プロ−ブを根管内に段階的に深く押し込むことSTPにより測定点がプロットされる。プロ−ブの挿入は、マイクロメカニカルベンチ上でマイクロメータ精度の移動により行われ、この得られるステッピング及び得られる位置決め精度は明らかに1ミリメートル未満であり、約100マイクロメートル又はそれ未満である。個々のステップSTPにおいて、交流信号の絶対振幅(RMS)が、測定抵抗器Rmの端子において選択した周波数で測定される。
図6Aの個々の曲線は、これらの強度I(I=U/Rm)の絶対振幅レベルの測定点を、歯内プロ−ブSにより形成される導電性電極E1の端部が根管CR内に挿入される深さSTP又はPに応じてまとめたものであり、このプロ−ブは、マイクロ機構により段階的STPに移動する。
図6A及び次の図6B及び図10A〜図14Cの個々の曲線に見られるように、規定周波数で求められる約100を超える測定点の個々の群は、全体的にまとまって連続的な、途切れのない滑らかで規則的な曲線を形成する測定値の群を形成することが分かる。
一般に、図6A〜図6B及びこれに続く図10A〜図14Cの振幅測定値曲線の全体的な推移によれば、個々の曲線は次のような少なくとも3つの部分I、II、III、...を有することが観察される。
− 交流信号の振幅レベルが基準レベルで安定しており、又はプロ−ブの挿入Pの深さとともにごくわずかに増加する第1の部分I:この第1の部分Iは、歯管の開始点におけるプロ−ブ挿入の初期段階に対応し、プロ−ブの端部が根管の長さの主要部分を越える段階、すなわちプロ−ブが歯冠(冠状部分)内に導入されてから根尖域IIまでの全段階に及ぶ。
− 信号の振幅レベル(RMS)がプロ−ブの挿入の深さに従って急速に増加する第2の部分II:図6Aの垂直軸線APX又はこれに続く図6B及び図10A〜図14Cの深さPの直立マ−カXで示すように、この第2の部分IIは、プロ−ブの端部が尖部APXの位置の周りの根尖域を横切る段階に対応する。
− 該当する場合、交流信号の振幅レベルが、プロ−ブの挿入の深さPとともにやや緩やかに増加し、及び/又はもはや増加せずに、振幅レベルが回復し、場合によっては端子最大レベルで安定するようになる第3の部分III:この後者の部分IIIは、プロ−ブの端部が根尖域を通過して尖部APXの位置Xを超える深さに埋め込まれる段階に対応し、信号レベルは端子最大レベルに対してほとんど変動せず、又はもはや変化しない。
図6Aに示すように、(「BF」で示す)低周波数、すなわち、例えば100Hz、200Hz、500Hz、...、10kHz、20kHz、50kHzなどの第1の低い周波数値でプロットした曲線では、個々の振幅レベル曲線が、比較的高い初期の基準レベルのI=0.15〜0.2mAの領域間で適度に増加し、I=0.3〜0.45mAの間の最終的な最大レベルに到達することが観察される。
実際には、数多くの曲線の束、詳細には低周波数曲線(すなわち、100Hz、200Hz、500Hz、...、10kHz、20kHz、50kHz)の第1の束BFと、高周波数(すなわち、....200kHz、500kHz、1MHz、2MHz、5MHz、...)でプロットされた曲線をまとめた別の束HFとを区別することができる。低周波数振幅曲線の第1の束BFの中では、第1の低い周波数値f=100Hzで生成される曲線の平均初期基準レベルI1≒0.15mAと端子最大レベルI3≒0.325mAとの間の振幅レベルの変化が最も小さいようである。一方の高周波数HT振幅曲線の束HFでは、測定周波数Fの増加とともにレベルが減少することにより、曲線に規則的に段が付いている。最も高い周波数値F=5MHzで生成された曲線は、最小の初期基準レベル及び最小の端子最大レベルの両方を示す。この高周波数HF曲線の束のうち、中間高周波数値F=500kHz、1MHz、2MHzで生成された曲線が、特に低い初期基準レベルと特に高い端子最大レベルとの間の最も大きな振幅レベルの変化を受けたものであることが分かる。
しかしながら、図6A〜図6B及び図10A〜図14Cによって示唆されるように、これらの曲線のレベルは、歯の標本の種類、(単複の)根管の幾何学的構成(広い、狭い、枝分かれ及び/又は異常)、電解質媒体(生理液、NaCl又はNaClOをベースにした希釈イオン性溶質)、及び特に、周波数及び本発明による特定の周波数の選択などの様々なパラメータに応じて変動及び変化する。
これらの測定手順中、本発明者らは、振幅測定値の総合的な曲線の累積的なプロットに焦点を当てたが、この測定値は、電極E0−E1と直列に存在する測定抵抗器Rmの端子において測定した交流信号の強度Iの絶対振幅に関するものであり、曲線は、歯内プロ−ブ電極Sの挿入の深さ及び選択した周波数の各々の値に基づいて生成される。これらの系統的な研究手順では、本発明者らは、従来の(102Hz又は30〜300ヘルツ前後の帯域に対応する)2番帯域から従来の(106Hz前後の帯域、すなわち300kHz〜3MHz、及び107Hz帯域、すなわち3MHz〜30MHzに対応する)6番及び7番帯域までの範囲にわたる周波数帯域をカバーする周波数アジャイル交流信号発生器GFを使用した。
これらの全ての一連の曲線の中から、本発明者らは、発生器がカバーする広周波数レンジの周波数スペクトルの端部に位置する規定周波数で生成された曲線のうちのいくつかを選択し、特定の対向する周波数で生成されたこれらの選択した曲線が交差する性質を有していることに気付いた。
より正確には、図6Bの図は、図6Aのある特定の曲線を選択したものを示しており、2つの選択した曲線は、交流信号発生器GFの周波数スペクトルの端部の対向する周波数帯域に属する2つの規定周波数f及びFでプロットされている。図6Bの2つの曲線f及びFは、(強度I又は電圧V=Rm.Iにおける)絶対振幅レベルRMSが、歯根CRの管内におけるプロ−ブSの端部の深さPに応じて展開される推移を示している。
詳細には、図6Bに示す曲線では、個々の曲線が、歯管の2つ又は3つの部分に対応するいくつかの領域I、II、III、...を有していることが分かり、これらの領域では、これらの信号の振幅レベルが次のように階層化される。
− 歯の冠状部分(歯冠)においてプロ−ブの導入が開始され、その後根管に関与し、根管の長さの主要部分を通過することに対応する第1の領域Iでは、2つの周波数f=100Hz及びF=500kHzでプロットした振幅レベルI1及びI2が、深さに従ってほとんど変化しない(この場合、深さPは0と1〜3センチメートルとの間で変化し、尖部Xに対する距離Dは10〜20ミリメートルと0mmとの間で相補的に変化する)。この第1の領域Iでは、第1の低い周波数(f=100Hz)でプロットされた第1の振幅レベルI1の方が、第2の高い周波数(F=500kHz)でプロットされた交流信号の強度I又は電圧Uの第2の振幅レベルI2よりも明らかに高い。
− プロ−ブの端部が10〜20mmの間の挿入深さPに到達し、根管CRの終端部分及び(値P=100%すなわちD=0に位置する)尖部APXに近づいたことに対応する第2の領域IIでは、プロ−ブSの挿入深さPが増加し、尖部APX、Xに対する距離Dが減少するとともに、これらの2つの周波数、すなわち低周波数f及び高周波数F(この場合、f=100Hz及びF=500kHz)でプロットした交流信号の2つの絶対振幅レベルIf及びIF(RMS I=V/Rm)が急速に増加する。
− より正確には、根管CRの端部に対応するこの第2の領域IIでは、第1の低周波数(f=100Hz)で求めた第1の振幅レベルIfが、第2の高周波数(F=500kHz)で求めた第2のレベルIFが第1の低周波数(f=100Hz)で求めた第1のレベルIfに近づき、追いつき、これに相接するような程度、及びこれと実質的に同等に並びこれと交差する点Cまでは、プロ−ブ電極の挿入深さPに依存するものの第2の高周波数(F=500kHz)でプロットした第2の振幅レベルIFの増加率(I4−I2/ΔP)よりも低い正の増加率(I3−I1/ΔP)を有する。
− この一致点又は交点Cの後、第3の領域IIIでは、第2の高周波数(F=500kHz)で求めた交流信号の振幅RMSの第2のレベルIFが、第1の低周波数(f=100Hz)でプロットした第1の信号振幅レベルIfの増加率(ΔIf/ΔP)よりも大きな、又はこれと少なくとも実質的に等しい増加率(ΔIF/ΔP)で増加し続ける。
従って、2つのレベルIf及びIFが一致及び/又は交差するこの点Cを超えた最終領域では、第2の周波数(F=500kHz)でプロットした第2の振幅レベルIFは、より高い率で増加し続けて第1の低周波数(f=100Hz)でプロットされた第1の振幅レベルIfから遠ざかり、或いは実質的に第1の振幅レベルIfと等しい増加率で偏差を維持し、その後、これらはほとんど変化しないレベルIF=I4及びIf=I3で安定する。
本発明者の研究によれば、予期せぬことではあるが、この場合f=100Hz及びF=500kHzで求めた信号(I又はV/Rm)の2つの絶対振幅レベル曲線If及びIFが相接及び/又は交差する点Cが、尖部APX(P=100%)の深さXに明らかに対応する深さMに位置することが判明した。
歯管の洗浄及び形成処置などの歯科手術処置中の重要な目的及び尖部位置特定システムの実際の機能的な目的は、依然として、尖部APXを通り越さず、根尖孔FAを超えて関与しないようにすることであるが、根尖端部APXに到達しないようにしながらもできるだけ密接に近づくことである。結果として、本発明によれば、周波数発生器回路GFの周波数スペクトルの帯域VLF/LF(超低周波数/低周波数)及びMF/HF(中間周波数/高周波数)の中から選択された対向する周波数f及びFでプロットされた交流信号の2つの振幅レベルIf及びIFが相接及び同等化するような一致点Cが容易に検出される。従って、本発明によれば、前記点Cを通過せず、第1のレベルIf及び第2のレベルIFの階層が逆転して、第2のレベルIF−>I4の方が大きくなり、第1のレベルIf−>I3からますます離れていく(尖部APXの位置Xを超える深さP>l00%において、振幅RMSの第2のレベルIFが第1のレベルIfの上側で発散する)第3の領域IIIに関与しないようにすることが可能になるという利点が得られる。
本発明の第1の利点は、このような一致点Cの検出自体が、尖部位置のための絶対測定値基準を構成する点である。この一致点Cの検出は閾値を参照せず、相対参照閾値を調整又は評価する必要もない。本発明によれば、一致点Cの検出により尖部の位置を絶対測定できるようになるという利点が得られる。
本発明によれば、第2のレベルIFの方が第1のIfよりも高くなり及び/又はこれらが再び分離する第3の領域III(If−>I3及びIF−>I4が再び明らかに離れていく領域III)を探すことにより、2つのレベルが実際に交差することを確認しようとする必要がなくなる。本発明によれば、予防策として尖部APXを特定し、2つのレベルIf及びIFが相接して実質的に等しくなる点Cを通り越さないようにするためには、この一致点Cを単純に検出すれば十分である。
従って、この原理では、本発明は、歯根又は歯根の1つの端部における尖部の位置を特定する方法、より正確には、歯の個々の根管の底部における根尖狭窄部の位置を特定するとともに、根管の端部における根尖端部の深さ位置を特定することを意図する方法の実現を提供し、この尖部位置特定方法は、歯の根管内に挿入することができる第1の導電性歯内プロ−ブ電極と、口腔粘膜と導電的に接触するような形状にされた第2の導電性電極と、数多くの周波数(少なくとも2つの周波数:低い周波数、低周波数、及び高い周波数、高周波数)の交流電気信号を生成することができる回路又は周波数発生手段と、前記周波数発生手段、根管に挿入される第1の電極、口腔粘膜と接触する第2の電極及び測定手段を含む電期回路内で生成された交流電気信号の大きさを測定するための手段とを含む装置を使用し、この方法は、
− 回路の励起及び回路内の交流電気信号の大きさのレベルの測定を、(低い周波数f(低周波数)で求めた第1のレベルIf(If=I1)の方が、高い周波数F(高周波数)で求めた第2のレベルIF=I2よりも最初に高くなるように選択された)低い周波数f及び高い周波数Fにおいてそれぞれ行うステップと、
− 前記低い周波数f及び高い周波数Fで測定された電気の大きさ(振幅RMS I)の2つのそれぞれのレベルIf及びIFが相接して実質的に等しくなる一致点Cを検出するステップとを含み、前記低い周波数及び高い周波数は、このような一致点Cが存在するように十分に離れており、前記点C/Mは尖部の位置Xに対応する。
本発明による事前研究によれば、根尖狭窄部の位置Xの深さの測定値を一目で特徴づけることができるこの一致点Cの存在は、異なる根管モデル及び一連の実際の歯の標本にまで拡張したより突っ込んだ研究のプログラムによるより徹底的な調査を必要とした。
交流信号の強度のための絶対振幅レベル曲線をプロ−ブ電極の挿入の深さ及び選択した周波数の関数として系統的、実験的に測定する広範なプログラムを実施して結果を精密化した。この系統的研究プログラムは、適応するプロ−ブを使用して、本発明により得られる結果Mを、先行技術の市販の歯内プロ−ブを有する尖部位置特定装置で得られた基準結果ADと比較することにより実施した。測定値の読み取りを示す図にこれらの基準結果を基準ADとして示す。この広範なプログラムの第1の側面では、図7〜図9に示す歯根管モデルの3つのサンプルα、β及びγに対して実験的読み取りを行った。
図7に示すように、第1の歯根管モデル(α)は、実質的に一定の直径の狭い管によって延び、開いた開口部(肩状凹部)で突然終端する漏斗状の開口部を有する。
図8は、分岐を有する別の歯根管モデル(β)を示しており、歯根がその終端部分で2つの根管β1、β2に細分されて各々が根尖開口部を有しており、多くの歯の構造にこのような複雑な枝分かれが存在する(複数の根を有する臼歯、双歯根を有する小臼歯など)。
図9は、2つの根管γ1,γ2及び側方の突出物に枝分かれした異常及び分岐を有する歯根管(γ)の最後の実験モデルを示しており、実際の歯根にはこの種の異常が存在し、先行技術の歯内プロ−ブ装置を使用して解像すること、すなわち認識し、選び出し、区別することが特に難しい。
実際の歯に関してプロットしたその他の実験結果については以下の記載の中で詳述する。
図10A〜図13’Cは、本発明の方法により得られる図7、図8及び図9の歯のモデルの根管の各々における尖部の深さの一連の測定結果を示しており、これらの結果を先行技術の市販の尖部位置特定装置で得られた結果と比較して、これらの比較結果を参照記号ADで示している。
個々の図10、図11、図12〜図12’及び図13〜図13’ごとに、Aが付く図は、「生理的血清」、及び血液、リンパ液、唾液又は有機堆積物を含む流体などの有機流体に類似した1%に近い潅注塩化ナトリウム溶液(0.9%NaCl水溶液)の存在下でプロットした振幅/深さ曲線を示している。
B及びCが付く図は、同じ条件下ではあるが、2.5%及び5%濃度の次亜塩素酸ソ−ダをベースにしたすすぎ溶液の存在下でプロットした曲線をそれぞれ示している(図10B、図11B、図13B〜図13’B:2.5%NaClO)(図10C、図12C〜図12’C、図13C〜図13’C:5%NaClO)。
次亜塩素酸ソ−ダをベースにしたイオンアルカリ溶液B及びC(2.5%及び5%NaCl0)は高伝導性である。この研究は、特に深さ測定値が尖部の位置に対応するかどうかを検証するために、これらの電解溶液が深さの測定結果、この首尾一貫性及び測定周波数の選択に及ぼす影響に関するものであり、既存の先行技術の尖部位置特定装置(AD)は、高伝導性溶液、特に消毒溶液であるNaClOをベースにした溶液(歯科処置中に必要な、実際のジャベル水と類似したデ−キン液)が存在するような条件下で動作できないという大きな不利点を有する。
図10A、図11A、図12A、図12A〜図12’A及び図13A〜図13’A(共通の0.9%NaCl生理食塩水溶液が存在する)は、3つのモデルα、β及びγに関する信号の振幅曲線の第1の結果をプロ−ブの端部の深さP又は既知の歯管端部の位置に対する距離Dの関数として(深さPには100と印をつけ、距離D=0である)示している。図10、図11、図12及び図13に示すように、本発明による方法により、1つめが低周波数、すなわちf=100Hzの、2つめが高周波数、すなわちF=0.5MHzの2つの特定の周波数でプロットした2つの振幅レベルIf及びIFを選択することによる尖部の深さPの特定において優れた結果を得ることができることが分かる。周波数信号の強度Iの2つの絶対振幅レベルRMSはある点で相接し、この位置Mは、第1の単一の歯管の歯のモデル(図10A〜図11B)における実際の根管端部の位置Xに極めて正確に対応する。
図10A〜図11Bでは、本発明により特定される尖部の位置Mの正確さが、−2%又は−3%未満という最小の誤差で測定され、これは、市販の先行技術の装置ADによって得られる−8%〜+3%の範囲に及ぶ誤差限界と比較してより良好な解像度に相当することに留意されたい。
さらに、及び詳細には、2つの周波数f=100Hz及びF=0.5MHzでプロットした交流信号の振幅レベルの一致点のプロッティングが、実際の根管端部の位置Xに到達する前に(負の誤差−1%〜−3%)ほんのわずかに戻って特定された(M<100%)尖部深さの測定値Mを示しているのに対し、市販の先行技術装置によって示される位置ADの測定値は、実際の根管端部の位置Xよりも手前(AD<<100%)のこともあるがこれを超える(AD>100%)こともあり、このことは、歯科処置が尖部の位置を越えてしまう可能性があることを意味し、これは歯科医及び患者が絶対に避けようとすることである。
本発明による一致点を検出する方法における有利な態様では、6番帯域内の0.3・106Hz〜3・106Hzの間の第2の高周波数F、より正確には0.5MHz〜1MHzオクターブ又はそれ以上のオクターブに、及び好ましくは約1/2〜1メガヘルツの周波数値Fにマッチする102Hz前後の2番帯域内の第1の低周波数fのような、生理液の存在に適応する1対の周波数(f、F)を選択することにより、優れた尖部深さの特定の結果M、特に、わずかに短い深さを得ることができるようになり、この結果、実際の尖部位置Xを通り越すことを避けることができるようになる。
図10B、図10C及び図11Bは、それぞれ2.5%、5%及び2.5%NaClOをベースにしたイオンアルカリ溶液の存在下において単一の歯管を有する歯のモデルに関してプロットした振幅レベル曲線に関するものである。
次亜塩素酸ソ−ダ溶液の濃度レベルを2.5%〜5%の間で変化させても、本発明によるレベルの一致点を検出する方法で得られる結果が大幅に変わることはなさそうである。
振幅図10B、図10C及び図11Bでは、次亜塩素酸ソーダの存在下におけるプロ−ブの浅い挿入深さ(0<P<<100)への導入開始時には、NaClO溶液の方が導電性が高いため、交流信号の強度Iの絶対振幅レベル(RMS)は、0.9%NaCl生理食塩水の存在下における図10A及び図11Aの曲線のレベルよりも明らかに高いことが分かる。
この理由から、NaClOの存在下で尖部の位置を最も正確に検出するには、1対の低及び高周波数(f、F)を別様に選択することが好ましいようである。
次亜塩素酸ソ−ダ溶液が存在する場合、図10B〜図10C及び図11Bは、この最も正確な尖部位置が、低周波数f=100Hz及び高周波数F=1MHz又は2MHzの2つの周波数付近で求められる信号の振幅レベルの交点であることを示しており、これにより尖部Xの位置に関する最良の測定結果Mが得られる。
図10B、図10C及び図11Bの結果を見ると、本発明による尖部の深さ位置を測定するための方法は、低周波数f及び高周波数F、詳細には約f=100Hz及びF=1MH又は2MHzで求めた2つのレベルの一致点を検出するステップから成り、これまでに利用可能な尖部位置特定装置で求めた深さ測定結果ADよりも明らかに正確な深さ位置Mを示すことが分かる。特に、本発明により得られる深さ位置測定値Mは、実際の尖部の位置Xよりも増加することはない(MIX=100%)。
図10B〜図10C〜図11Bの結果によれば、2.5%又は5%NaClOをベースにした溶液などの高導電性イオン溶液の存在下では、このような溶液に適応する1対の周波数(f、F)、例えば、106Hz付近の6番帯域内、より正確にはオクターブ[1MHz〜2MHz]又はこれよりも高いオクターブ内の第2の高周波数F、好ましくは約1又は2メガヘルツの周波数値Fにマッチする102Hz付近の2番帯域内の第1の低周波数fを選択することにより、尖部深さの特定において優れた結果、特にわずかに小さな深さMを得ることができるようになり、この結果、実際の尖部位置Xを通り越すことを避けることができるようになる。
図12C〜図12’C及び図13B〜図13’B、図13C〜図13’Cは、複雑な根管、より具体的にはフォ−ク状の根管又は異常に枝分かれした根管を有する歯のモデルβ及びγに対するこのような規定周波数の選択に関して次亜塩素酸ソ−ダ(記号B:2.5%NaClO及び記号C:5%NaClO)の存在下でプロットした振幅レベル曲線及び深さ位置測定値Mを示している。
図12A及び図12Cは、図8の歯のモデルβの第1の根管β1の尖部深さ測定値に対応する。
図12’A及び図12’Cは、図8のモデルβの第2の根管β2の他の尖部深さ測定値に対応する。
図13A、図13B及び図13Cは、図9に示す最後の歯管モデルγの第1の根管γ1の尖部深さ測定値に対応する。
図13’A、図13B及び図13’Cは、図9のモデルγの他の根管γ2の他の尖部深さ測定値に対応する。
先行技術の尖部位置特定装置ADでは、歯根が分岐した又は異常なこれらの複雑な根管モデルに関する測定結果が得られないことが分かる(AD=0又は「誤差100%」)。先行技術の装置ADでは、枝分かれした根管のいずれに関しても根管の端部の深さの表示が得られない。この装置では、NaCl生理食塩水の存在下においても有効な結果が得られない(図12A:β1、0.9%NaCl、測定値の表示無し、図12’A:β2、0.9%NaCl:避けるべき過大評価した深さ表示、図13A:γ1、0.9%NaCl:過大な深さ表示、図13’A:γ2、0.9%NaCl:結果無し)。
これらの同じ複雑な枝分かれした根管β1〜β2及びγ1〜γ2のモデルβ及びγに関しては、本発明による深さ位置測定方法では、2つの根管β1〜β2又はγ1〜γ2の各々の端部の深さ位置の正確で明解な測定値Mがわずかな相対誤差で得られ、実際の対応する根管の端部の位置Xを超えることになる増加した又は過大評価した深さの過剰な測定値を示すことはない。
本発明による特に有利な方法では、尖部、すなわち歯の根管の端部の深さ位置を測定する方法により、分岐及び/又は異常を有する複雑な歯の根管を解像できるようになる。本発明による方法により、根管の各々の深さMを良好なレベルの正確さで、及び尖部Xを超えて歯根下部の靭帯内を示す増加した測定値の表示を避けて測定できるようになり、歯科医が患者に対して望む目的が達成される。
測定プログラムの最後の側面は、実際の歯の尖部の深さを測定する方法の用途を検証することから成る。
図14A、図14B及び図14Cは、上述したような規定周波数の対を選択して、及びそれぞれ0.9%NaCl及び2.5及び5%NaClOの潅注溶液の存在下において、実際の歯Δに関して得られる一連の測定曲線及び結果を示す。
図14Aに示すように、本発明による尖部深さ測定方法では、塩化ナトリウム溶液(0.9%NaCl)の存在下で、歯Δの根尖狭窄部の深さの等しく良好な測定値Mが1パーセント以内の優れた精度で得られる。
とりわけ、特に有利な態様では、次亜塩素酸ソ−ダをベースにした伝導性消毒溶液(図14B:2.5%NaClO及び図14C:5%NaClO)の存在下において、先行技術の尖部位置特定装置ADでは測定表示が得られないが(AD=0「誤差−100%」)、本発明による方法では、実際の歯Δの尖部の優れた深さ位置測定値を1パーセント以内の精度(1%未満の誤差であり、0.1%又は0.6%未満と推定される)で得ることができる。
より一般的には、2つの低い周波数f及び高い周波数Fで測定された交流信号の2つの絶対振幅レベルの一致点Mが実際の尖部の位置Xに正確に対応することを確実にする際には、及び歯根管の端部における尖部の深さ位置の正確な測定値Mを得る際には、周波数値(f、F)の選択が極めて重要であると思われる。
図15〜図18は、尖部深さ測定値Mの誤差εerrを、本発明の尖部位置特定方法を適用する際に使用する高い周波数Fの関数として総合的にまとめた図である。
図15〜図18の各々は、周波数発生器GFが生成した選択される高い周波数値Fに応じた本発明による個々の尖部深さ測定値Mの誤差率εerrを示しており、この場合、低い方の周波数値fは低周波数値f=100Hzに固定されている。
測定値誤差εerrは、本発明によって得られる一致点の位置の測定値Mと、歯のモデルα、β、γ又は歯の標本Δに対してメートル法で測定した実際の根管端部の深さXとの間の偏差である。
誤差εerr率は、歯のモデルα、β、γ又は実際の歯Δの個々の根管の正確な長さに対するパーセンテージとして、すなわち、実際の尖部の深さのパーセントとして表したものである。
図15は、図7の歯根管モデルαに対して行った深さ測定に関してプロットした深さ誤差値をまとめたものであり、これらのうちのいくつかの測定結果は図10A〜図11Bに示したものである。
図16は、図8の歯管モデルβに関して得られた深さ測定値の誤差値を示している(測定結果は、図12A〜図12’A及び図12C〜図12’Cに示している)。
図17は、図9の歯管モデルγに対して行った深さ測定値Mの誤差値εerrを示している(参照:測定結果は図13A〜図13’Cに示している)。
図18は、6つの実際の歯(図示せず)に対して行った一連の深さ測定値Mに関する誤差値εerrを示しており、この測定結果は図14A〜図14Cに示している。
これらの深さ測定は、本発明により低い周波数値f=100Hz、及び選択する規定値を200kHz〜5MHzの間、詳細には500kHz、1MHz、2MHzなどの周波数値、従って300kHz〜3メガヘルツの範囲の周波数をカバーする従来の周波数帯域6番の全てを含むと仮定する高い周波数値Fを使用して、適切な場合には従来からの2つの隣接する帯域5番(30kHz〜300kHz、105Hz付近)及び7番(3MHz〜30MHz、107Hz付近)に拡張して行った。
このような周波数帯域では、明らかに10パーセントよりも低い、約1又は数パーセント又はそれ未満の低い測定値誤差εerrを達成できることが分かる。より正確には、高い周波数値Fが増加すると測定値誤差εerrは規則的に減少し、200kHz〜500kHzの間の周波数Fの場合の正の誤差値εerr>0から、約1又は2MHz〜5MHz及びそれ以上の周波数Fの場合の負の誤差値εerr<0まで変化する。
当然ながら、測定値誤差εerrを最小にする努力を行っており、また上述したように、開業医にとっては、正の誤差εerr>0を有するリスク及び実際の根尖端部の位置を通り越すリスクを抱えるよりも、負の誤差測定値εerr<0、すなわちわずかに小さな尖部深さ測定値M(すなわち過小評価:M<X=100%)を得ることの方が好ましい。
図15〜図18の図によれば、本明細書に示す本発明の実験的実施形態により以下のことが分かる。
− 一般的な生理食塩水:(0.9%NaCl)の存在下では、尖部位置Xは、低い周波数f(f=100Hz)で求めた交流信号の第1の振幅レベルと、200kHz〜2メガヘルツの帯域又は従来の6番帯域(すなわち300kHzと3MHzとの間)、より詳細には500kHz〜1MHzの周波数F付近又は隣接する周波数オクターブ(すなわち250〜500kHz、500〜kHz〜1MHz及び/又は1MHz〜2MHz)内の高い周波数Fで測定した信号の第2の振幅レベルとの交点M又は一致点Cに対応する。
− 次亜塩素酸ソ−ダをベースにした水性消毒剤溶液(デーキン溶質;2.5%又は5%NaClO)の存在下では、尖部の位置Xは、低い周波数f(f〜100Hz)で求めた第1の信号振幅レベルと、従来の帯域6番又はそれ以上(300kHz〜3MHz及びそれ以上)、詳細には500kHz〜5MHzの範囲の周波数帯域F及びより正確には1メガヘルツ〜2メガヘルツの間の周波数のオクターブ又は場合によっては一方の及び/又は他方の隣接する周波数オクターブ(すなわち0.5MHz〜1MHz及び/又は2MHz〜4MHz)内の高い周波数Fで得られる第2の信号振幅レベルとの交点M又は一致点Cに対応する。
図18は、これらの結果、及び測定のために選択した周波数のレンジの精密化が首尾一貫しており、実際の歯に対して行った一連の測定結果全体に呼応することを示している。2つの振幅レベルIf及びIFの一致点Cの検出及び尖部の深さの測定を可能にする1対の周波数(f、F)の選択が、潅注溶液の性質に基づいて行われていることが分かる。
− 0.9%NaClの存在下では、高い周波数Fは、200kHz〜5MHzの周波数レンジ内、詳細には従来の6番帯域(300kHz〜3MHzの周波数)、より正確には0.5MHz〜1MHz付近の周波数オクターブ又は一方及び/又は他方の隣接する周波数オクターブ(0.25MHz〜0.5MHz及び/又は1MHz〜2MHz)内から選択されることが好ましい。
− 次亜塩素酸ソ−ダに基づく消毒溶液の存在下では、尖部の深さは、100Hz付近の低い周波数fで求めた第1のレベルと、500kHz〜5メガヘルツの間の周波数帯域又は従来の6番帯域、より正確には1MHz〜2MHzの間の周波数オクターブ付近及び/又は一方及び/又は他方の隣接する周波数オクターブ(0.5MHz〜1MHz及び/又は2MHz〜4MHz)内から選択した高い周波数Fで測定された第2のレベルとの間の一致点又は交点に対応する。
従って、本発明によれば、高い周波数値Fを予め選択した周波数値の組の中の較正値に、例えば、{0.5MHz;1MHz;2MHz;5MHz}のような周波数値の組又は隣接する周波数帯域又はオクターブ内から選択した他の同様の周波数の組から選択した値に調整することができる周波数較正制御装置を有する尖部位置特定システムを実現することが可能である。或いは、このような周波数較正制御装置が、低い周波数値fの選択に関わることもできる。また、一方が低い周波数fの選択に関わり、他方が高い周波数Fの選択に関わる2つの周波数較正制御装置を設けることも可能である。このようにすることで、開業医が、根管に注入している潅注溶液の性質のみに基づいて較正制御装置を作動させ、処置を容易にすることができるようになる。
周波数を選択することにより、第1の低い周波数及び第2の高い周波数で回路を励起するように命令が出され、前記回路の電気周波数信号の強度の絶対振幅レベルの測定及び一致点の検出が、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラにより、又はより一般的にはこの効果をもたらすようにプログラムされた演算ユニットによって装置内で自動的に行われ、第1の低い周波数で測定した第1のレベルが第2の高い周波数で測定した交流信号の第2の電気の大きさレベルよりももはや高くなくなったときに開業医に警告するために信号(音又は光)を発するようになることが好ましい。
実際には、米国特許第5,080,586号及び米国特許第5,096,419号(図3及び図4)の教示事項には反し、本発明により使用される1対の対向する周波数(f、F)では、低い周波数f及び高い周波数Fは、根管CR又は歯の冠状部分の開始点にプロ−ブの先端が挿入され始める初期段階Iでは、低い周波数fで求められる第1の振幅レベルIf=I1の方が、第2の高い周波数Fで求められる第2の振幅レベルIF=I2よりも高く、明らかに高くなるように選択されることが分かる。
本発明の別の実施形態によれば、以下のように進めることにより尖部位置を特定できるようになる。
− 低い周波数fで求められる交流信号の強度の第1の絶対振幅レベルIfの方が、高い周波数Fで求められる第2のレベルIFよりも高い間は、プロ−ブの端部は尖部Xの位置に到達も通過もしておらず、検出試験の結果は陰性である(尖部検出信号無し)。
− 低い周波数fで求められる第1の絶対振幅レベルIfの方が、高い周波数Fで求められる第2のレベルIFよりも高くなくなり、又はもはやそれ以上高くなくなる(すなわち、第2のレベルIF−>I4の方が第1のレベルIf−>I3よりも高いか実質的に等しい)や否や検出試験は陽性となり、装置の検出手段が信号の発信をトリガして開業医に警告することができる。
本明細書で示す低い周波数及び高い周波数値(f、F)は、非限定的な実施形態によってのみ得られるデータであり、実験により、例えば、特に無線帯域2番又は3番の中から又は100Hz又は帯域2番よりも低い周波数帯域内から他の低い周波数値を選択するために第1の低い周波数fの値を修正することにより、及び/又は他の高い周波数値F、詳細には、このような低い周波数値fと調和する他の高い周波数Fを選択することにより、他の周波数の対を定めることができる。

Claims (15)

  1. 歯の根管(CR)に挿入することができる歯内プロ−ブ(S)を形成する第1の導電性電極(E1)と、口腔粘膜と導電的に接触する形状にされた第2の電極(E0)と、数多くの周波数の交流電気信号を生成することができる周波数発生手段(GF)と、前記周波数発生器、前記根管に挿入される前記第1のプロ−ブ電極、及び前記口腔粘膜と接触する前記第2の電極を含む回路内の交流電気信号の大きさを測定するための手段(AM)とを含む装置を使用して歯の前記根管(α、β、γ、Δ)内の尖部の深さ位置の測定値(M)を求めるための尖部位置特定方法であって、
    − 前記回路の励起、及び前記回路内の前記交流電気信号の大きさ(I)のレベルの測定をそれぞれ低い周波数(f)及び高い周波数(F)で行うステップと、
    − 前記低い周波数及び高い周波数(f、F)で測定した前記電気の大きさ(I)の2つのそれぞれのレベル(If、IF)が相接して実質的に等しくなる一致点(C)を検出するステップと、
    を含み、前記低い周波数及び高い周波数(f、F)が、このような一致点(C)が存在するのに十分離れており、前記一致点(C、M)が、前記尖部の前記位置(X)に対応する、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記回路に印加される前記電気信号の振幅レベル及び/又は前記電極(E0〜E1)を通過する電流の強度(I)を測定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の尖部位置特定方法。
  3. 前記電極(E0−E1−S)と直列に存在する抵抗器(Rm)の端子における前記電気信号の絶対電圧振幅値(U=Rm.I)を測定する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の尖部位置特定方法。
  4. 前記低い周波数(f)及び前記高い周波数(F)が、前記根管(CR)の開始部分において前記歯内プロ−ブ電極(E1−S)の端部の挿入が開始されることに対応する初期段階(I)では、前記低い周波数(f)で測定された前記第1のレベル(If=I1)の方が、前記高い周波数(F)で測定された前記第2のレベル(IF=I2)よりも高くなるように選択される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の尖部位置特定方法。
  5. 前記低い周波数及び高い周波数(f、F)が、異なる及び/又は遠く離れた、すなわち隣接していない対向する周波数帯域(BF、HF)の中から選択される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の尖部位置特定方法。
  6. 前記低い周波数及び高い周波数(f、F)が、1又はそれ以上の桁分離し、及び/又は好ましくは前記高い周波数(F)が前記低い周波数(f)より少なくとも2、3又は4桁大きい、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の尖部位置特定方法。
  7. 前記低い周波数(f)が低周波数帯域(BF)の中から選択され、前記高い周波数(F)が高周波数帯域(HF)の中から選択される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の尖部位置特定方法。
  8. 前記低い周波数(f)及び前記高い周波数(F)が、3キロヘルツ〜30キロヘルツ(3〜30kHz)の周波数をカバーする少なくとも従来の4番帯域(VLF又はhm.W.B.又は4番)を含む周波数レンジの両側の2つの対向する周波数レンジ(BF、HF)内にそれぞれ位置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の尖部位置特定方法。
  9. 前記低い周波数(f)が950ヘルツよりも低く、好ましくは500ヘルツよりも低い、
    ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の尖部位置特定方法。
  10. 前記高い周波数(F)が9500ヘルツよりも高く、好ましくは95kHzよりも高い、
    ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の尖部位置特定方法。
  11. 前記低い周波数(f)が、従来の2番又はそれよりも低い周波数帯域内、すなわち300ヘルツ〜30ヘルツの間又はそれ未満に位置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の尖部位置特定方法。
  12. 前記高い周波数(F)が、従来の6番又はそれよりも高い周波数帯域内、すなわち300kHz〜3MHzの間又はそれ以上に位置する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の位置決め方法。
  13. 前記低い周波数(f)が、約10ヘルツ〜数百ヘルツ、好ましくは100ヘルツの値付近の周波数帯域内にあり、一方で前記高い周波数(F)が、約1/2又は1メガヘルツ〜5又は10メガヘルツの周波数帯域の中から選択され、前記高い周波数(F)の選択を、前記根管(CR)内に広がる前記電解状態、具体的には生理液又は塩化ナトリウム(NaCl)からなる一般的生理食塩水の存在、又はデ−キン液又は次亜塩素酸ソ−ダ(NaClO)をベースにした消毒溶液の存在などの導電性イオン水溶液の存在に応じて、{0.5MHz〜1MHz〜2MHz〜5MHz}付近のいくつかの較正値の群から選択される値に調整できることが好ましい、
    ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の位置決め方法。
  14. 歯根管(CR)又は該歯根管の1つに挿入することができる第1の導電性歯内プロ−ブ電極(E1−S)に接続するための端子と、口腔粘膜と導電的に接触する形状にされた第2の電極(E0)と、少なくとも2つの周波数の交流電気信号を生成することができる1又はそれ以上の周波数発生手段(GF)と、該周波数発生手段(GF)、前記歯根管(CR)に挿入された前記第1の電極(E1−S)、及び前記口腔粘膜と接触する前記第2の電極(E0)を含む回路内の前記交流信号の電気の大きさを測定するための手段(AM)とを含む、前記歯根(RT)管(CR)の根尖狭窄部(CA)の深さ位置を特定するための尖部位置特定装置であって、前記回路を第1の低い周波数(f)及び第2の高い周波数(F)で励起し、前記回路内の標準化した大きさ(振幅RMS)の前記交流電気信号(I)の第1のレベル(If)及び第2のレベル(IF)をそれぞれ測定するための周波数選択制御手段と、前記第1の低い周波数(f)で測定した前記第1のレベル(If)が前記第2の高い周波数(F)で測定した前記交流信号の前記第2の電気の大きさレベル(IF)以下になるのがいつであるかを検出し、及び/又はこれを信号送信するための手段とを有する、
    ことを特徴とする装置。
  15. 前記低い周波数(f)及び前記高い周波数(F)が、前記電極プロ−ブ(E1−S)の先端が前記根管(CR)の開始部分において挿入され始めることに対応する初期段階(I)では、前記低い周波数(f)で測定された前記第1のレベル(If=I1)の方が、前記高い周波数(F)で測定された前記第2のレベル(IF=I2)よりも高くなるように選択される、
    ことを特徴とする請求項14に記載の尖部位置特定装置。
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