JP7132567B2 - 側枝開口方向検出装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献1の側枝検出装置は、測定電極を手動で回転させているので、一定な回転速度で、所定位置から360度回転させて停止させることが難しく、測定する電流値の値が誤差となって表れるという問題点があった。
ここで、指示値とは、表示部に表示された表示用データをいう。
なお、本実施形態では、図1に示す側枝開口方向検出装置1において、側枝位置検出手段2の側枝方向検出用電極3側を前方向、接続端子21a側を後方向、被検査歯a側を下方向として説明する。
図1に示すように、側枝開口方向検出装置1は、歯牙(被検査歯a)の根管bから歯根膜腔hに延びた側枝eの開口方向を検出する装置である。側枝開口方向検出装置1は、電源7、制御部8及び表示部41等を備えた側枝検出機能付きの根管長測定器4と、根管長測定器4に接続されて側枝方向検出用電極3を有する側枝位置検出手段2と、測定器接続手段6と、を主に備えて構成されている。側枝開口方向検出装置1は、側枝方向検出用の開口部32a(図2(a)参照)に流れる電流値の最小値を検出したときの開口部32aの位置から、根管bから歯根膜腔hに延びた側枝eの根管軸径方向の位置を自動的に検出可能である。
根管長測定器4は、被検査歯aの根管bを治療する際に、根管治療に先立って行われる根管長の測定と、側枝eの有無の検出と、側枝eの有る位置を示す表示と、を行う側枝検出機能付きの測定表示装置である。根管長測定器4は、電源7と、信号切換部11と、整合部12と、増幅部13と、変換部14と、データ処理部15と、第1の記憶部16と、第2の記憶部17と、表示部41と、制御部8と、アース電極60及びリード線9を有する測定器接続手段6(図5参照)と、を備えている。根管長測定器4は、側枝方向検出用の開口部32a(図2参照)の位置を報知する報知手段40としても機能する。根管長測定器4(報知手段40)は、被検査歯aの根管b内に挿入した側枝方向検出用電極3の先端位置を検出して、表示部41に表示するように構成されている。また、根管長測定器4は、側枝方向検出用電極3の開口部32aが、側枝eの付近になると報知手段40のアイコンによって報知するように構成されている。
信号切換部11は、制御部8の指示に従って、500Hzまたは2KHzの周波数の測定用信号Pnを選択、または、切り換えて順次、整合部12へ送る。
増幅部13は、被検査歯aの歯肉dに配置した電極端子5(口腔電極)から得られる測定データ(測定された測定電流In)を変換された電圧Vnに変換し増幅する。
変換部14は、測定された測定電流Inを直流電圧Vdcに変換する。
制御部8は、側枝開口方向検出装置1の各要素の制御をつかさどり、処理する。制御部8は、後記する自動測定開始手段81を備えている。制御部8は、電源7、データ処理部15、表示部41に電気的に接続されている。
図2に示すように、側枝方向検出用電極3(リーマ電極)は、側枝検出時、根管長計測時、及び、側枝方向検出時に、被検査歯aの根管bに形成された側枝eの開口方向等を検出するために使用される測定電極である。また、この側枝方向検出用電極3は、被検査歯aの根管bを拡大させる根管拡大装置の根管切削用工具としても使用可能である。このため、側枝方向検出用電極3は、リーマあるいはファイルといわれているドリル形状に形成されている。図3(a)~(c)に示すように、側枝方向検出用電極3は、導電性金属31と、絶縁膜32と、側枝方向検出用の開口部32aと、支持部31aと、ストッパー34と、を有して成る。側枝方向検出用電極3は、根管bを拡大させる際に、回転駆動用電動モータM1(図8参照)によって回転駆動される位置検出用電極回転歯車24(図8参照)と同回転するチャック部20a(図5参照)に取り付けられ高速回転され、また、根管b及び側枝eを検出する際には、低速回転で定速駆動される。
このように構成された開口部32aは、形状を横幅を狭くし、上下に長い長方形に形成されていることによって、側枝eの開口方向の検出感度を下げずに、開口部32aを側枝位置に合わせ易くなっている。側枝方向検出用電極3の開口部32aは、測定開始時、どこに向けて配置してもよい。以下、その一例として、測定開始時に開口部32aを頬側に向くけて配置する場合を説明する。
図5に示すように、測定器接続手段6は、各リード線9の一端部及び他端部に取り付けられた電気接続用の電気接続具である。測定器接続手段6は、側枝開口方向検出装置1において、アース電極60と、接続プラグ61と、接続コネクタ62,63と、分岐コネクタ64と、プラグ65と、を備えて成る。
アース電極60は、例えば、図2に示すように、電極端子5と、接続クリップ60aと、を備えて構成されている。
電極端子5は、歯肉dに掛けるようにして取り付けられる口角クリップ等から成る電気接続用端子である。電極端子5は、歯肉dに掛ける使い方に限定されず、被検者が握り易い形状にして被検者に握ってもらって使用してもよい。従って、電極端子5の接触位置は、口腔内表面の歯肉dに限定されず、被検者の身体の一部であればよい。電極端子5の接触位置を口腔以外にした場合は、口腔領域の治療スペースを広く確保することが可能となる。
接続クリップ60aは、電極端子5に着脱自在に接続可能なワニクリップ等から成る。この接続クリップ60aは、電極端子5にリード線94を直接接続した場合、無くてもよい。
リード線9は、このようにして測定器接続手段6が設けられていることで、側枝位置検出手段2と側枝方向検出用電極3と根管長測定器4との間を離間可能に接続されている。リード線9は、側枝位置検出手段2と、側枝方向検出用電極3と、根管長測定器4とを電気的に接続するための電線である。リード線9は、プラグ65と分岐コネクタ64との間に配線されたリード線91と、分岐コネクタ64と接続コネクタ62との間に配線されたリード線92と、分岐コネクタ64と接続コネクタ63との間に配線されたリード線93と、接続プラグ61とアース電極60との間に配線されたリード線94と、を備えて成る。
図1及び図2に示すように、側枝位置検出手段2は、側枝方向検出用電極3を回転させることによって得られる電流値から側枝eの歯根軸周りの位置を検出するための装置である。図6に示すように、側枝位置検出手段2は、ホルダ20と、ホルダ20の先端側のハンドピースヘッド部26に着脱可能に装着されるキャップ27と、から主に構成されている。図6、図8あるいは図11に示すように、側枝位置検出手段2には、ホルダ20と、自動繰出機構22と、自動繰出機構保持部23と、位置検出用電極回転歯車24と、昇降歯車25と、回転駆動用電動モータM1と、昇降用電動モータM2と、測定開始スイッチSW1と、回転停止手段SW2と、昇降スイッチSW3と、チャック部20aと、キャップ27と、乾電池71と、電極着脱保持部材28と、接点用ノブ29と、が設けられている。側枝位置検出手段2は、根管長測定器4に接続して、側枝方向検出用電極3をハンドピースヘッド部26に取り付けて使用される。
図8(b)に示すように、ホルダ20は、回転駆動用電動モータM1を備え、側枝方向検出用電極3を着脱可能に保持する保持部材である。ホルダ20は、ハンドピース本体を形成する絶縁樹脂製の部材から成る(図6参照)。ホルダ20には、術者等が把持するグリップ部21と、キャップ27が装着されるハンドピースヘッド部26と、が形成されている。
なお、接続端子21aの形状、構造等は、特に限定されない。図8(b)に示すように、グリップ部21内には、回転駆動用電動モータM1及び昇降用電動モータM2(図11参照)を駆動させるための乾電池71が設けられている。
自動繰出機構22は、側枝位置検出手段2に取り付けた側枝方向検出用電極3を根管b内に送り込んだり、引き出したり、高速・低速回転させたりするための装置である。自動繰出機構22は、位置検出用電極回転歯車24と、位置検出用電極回転歯車24を回転させる回転駆動用電動モータM1と、自動繰出機構22を載置した自動繰出機構保持部23と、自動繰出機構保持部23を昇降させる昇降歯車25と、昇降歯車25を回転させる昇降用電動モータM2と、を備えている。
回転駆動用電動モータM1は、被検査歯aの切削時に、側枝方向検出用電極3を高速回転させて被検査歯aを切削したり、側枝eの開口方向検出時に、側枝方向検出用電極3を所定の定速度で低速回転させたりするためのモータである。回転駆動用電動モータM1は、歯車減速機構を構成するギヤボックスM1aと、ギヤボックスM1aによって回転駆動用電動モータM1の回転を減速させて回転するロータ歯車M1bと、を備えている。
図11に示すように、位置検出用電極回転歯車24は、ロータ歯車M1bに噛合して側枝方向検出用電極3を減速回転させるための歯車である。位置検出用電極回転歯車24は、ロータ歯車M1bに噛合する歯形部24aと、カム溝24c(図10(b)参照)を有するカム部24bと、を備えている。
歯形部24aは、フェースギヤ、あるいは、かさ歯車から成る。
カム部24bは、図10(a)、(b)に示すように、円板の外周部にカム溝24cを切欠形成した部材から成る。歯形部24a及びカム部24bの軸孔には、側枝方向検出用電極3が着脱可能に装着される。
図11に示すように、自動繰出機構保持部23は、回転駆動用電動モータM1を載置した板部材であり、ハンドピースヘッド部26内に昇降可能に配置されている。自動繰出機構保持部23には、昇降歯車25の雄ねじ部25bに螺合している雌ねじ部が形成されている。
昇降用電動モータM2は、被検査歯aを切削する際、側枝eを検出する際に、側枝方向検出用電極3を下降・上昇させるためのモータである。昇降用電動モータM2は、ロータ歯車M2aを備えている。昇降用電動モータM2は、ハンドピースヘッド部26の内底部に形成されたモータ設置部26aに固定されている。側枝開口方向検出装置1は、この昇降用電動モータM2を備えていることで、側枝方向検出用電極3を自動的に挿入する自動挿入装置を構成している。
なお、根管b内での側枝方向検出用電極3の先端の位置を測定して昇降用電動モータM2(自動挿入装置)を駆動・停止させる機構としては、その自動挿入装置に側枝方向検出用電極3を自動挿入した距離を電流値の変化から検出する仕組みを組み込むことで構成されている。
昇降歯車25は、自動繰出機構保持部23を昇降させることによって、側枝方向検出用電極3を下方向に送り出したり、上方向に復帰させたりするための歯車である。昇降歯車25は、ロータ歯車M2aの回転を減速回転させるための歯形部25aと、自動繰出機構保持部23の雌ねじ部(図示省略)に螺合して雄ねじ部25bと、を備えている。
歯形部25aは、フェースギヤ、あるいは、かさ歯車から成り、ロータ歯車M2aに噛合している。雄ねじ部25bは、昇降歯車25の下面の中心部から自動繰出機構保持部23の雌ねじ部(図示省略)に螺合し、先端がハンドピースヘッド部26に形成されたポビット軸受状の軸受部26bまで延設されて軸支されている。
乾電池71は、回転駆動用電動モータM1及び昇降用電動モータM2に電力を供給して回転駆動させるための電力供給源である。なお、乾電池71は、報知手段40内に設けられた電源7から回転駆動用電動モータM1及び昇降用電動モータM2に電力を供給するようにした場合は、無くてもよい。
図8及び図9に示す測定開始スイッチSW1は、側枝e(図2参照)の開口方向の検出をスタートさせる測定開始用の手動スイッチである。測定開始スイッチSW1は、側枝方向検出用の開口部32a(図2参照)に流れる電流値及び/または指示値を検出して、一定時間内に検出値が予め設定した一定変動範囲内に安定したときに、回転駆動用電動モータM1を回転駆動させて、側枝e(図2参照)の測定を開始させる。
図9に示す自動測定開始手段81は、側枝方向検出用の開口部32aに流れる電流値及び/または指示値を検出して、一定時間内に検出値が予め設定した一定変動範囲内に安定したときに、回転駆動用電動モータM1を回転駆動させて、側枝eの開口方向の検出を自動的にスタートさせる装置である(図2参照)。自動測定開始手段81は、図1に示すように、例えば、根管長測定器4の制御部8内に設けられて、回転駆動用電動モータM1(図9参照)に駆動信号及び停止信号を送って回転・停止をさせるモータ制御部である。
図8及び図9に示す回転停止手段SW2は、回転駆動用電動モータM1によって側枝方向検出用電極3が1回転したときに、回転駆動用電動モータM1の回転を自動停止させるリミットスイッチである。図9に示すように、回転停止手段SW2は、測定開始スイッチSW1及び自動測定開始手段81に対して並列に接続されている。図10(a)、(b)に示すように、回転停止手段SW2は、スイッチ接点部(図示省略)と、可動子SW2aと、可動ばねSW2bと、摺動部SW2cと、を備えて成る。
可動子SW2aは、可動接点上に配置されて、下降した場合に可動接点を固定接点に接触させてONさせるための部材である。可動子SW2aは、回転停止手段SW2のスイッチケースに上下動自在に突設されている。
可動ばねSW2bは、基端部を回転停止手段SW2のスイッチケースに固定し、先端部に摺動部SW2cを固定し、中央部に可動子SW2aの先端を配置した板ばね部材から成る。可動ばねSW2bは、摺動部SW2cがカム部24bの外周面に当接している際に、可動子SW2aを押し下げてON状態にし、摺動部SW2cがカム溝24cに係合した際に、可動子SW2aから離間して回転停止手段SW2をOFF状態にさせる。
摺動部SW2cは、位置検出用電極回転歯車24と一体に回転するカム部24bの外周面及びカム溝24cに摺接する摺動部位である。
図8に示す昇降スイッチSW3は、ONさせることによって、強制的に昇降用電動モータM2(図11参照)を正転・反転させて、側枝方向検出用電極3を上昇・下降させるための手動スイッチである。昇降スイッチSW3は、ホルダ20に設置されている。
図6に示すように、チャック部20aは、側枝方向検出用電極3の上端部に形成された支持部31aを着脱可能に取り付ける装着部である。チャック部20aは、支持部31aの外形よりやや大きい筒状構造となっており、筒状内の一部に上下方向に延設されたピン部20bが突出形成されている。チャック部20aは、ハンドピースヘッド部26の上端部に設けられた電極着脱保持部材28を着脱することで、支持部31aを固定させたり、離脱させたりすることができるように構成させている。
また、支持部31aの外周には、前記ピン部20bが入る溝31bがあり、この両者の凹凸関係により位置検出用電極回転歯車24(図8(b)参照)からの回転動作を側枝方向検出用電極3に伝達できるようになっている。
図6に示すように、キャップ27は、ハンドピースヘッド部26の先端部側に被せるように着脱可能に装着される略有底筒体である。キャップ27の先端側の下側には、側枝方向検出用電極3の支持部31aが挿入されると共に、側面視してコ字状の電極着脱保持部材28の下端部が着脱可能に装着される電極着脱部27a(図7(a)参照)と、電極着脱保持部材28の下端部に形成された係止突起28bが係合する保持部材係止溝27bと、ガイド部26cが係合されるU字溝から成るガイド部係合溝27fと、が切欠形成されている。キャップ27の先端側の上側には、図7(a)に示すように、電極着脱保持部材28の上端部及び係合突起28cが着脱可能に装着される保持部材着脱溝27dと、電極着脱保持部材28の上端部に形成された係止突起28dが係合する係止溝27eと、が切欠形成されている。
図6に示すように、電極着脱保持部材28は、チャック部20aに挿入した円柱形状の支持部31aを下側から保持して、側枝方向検出用電極3がチャック部20aから抜け落ちるのを抑制して保持する部材である。電極着脱保持部材28は、側面視してコ字形状の金属製板部材から成る。電極着脱保持部材28の下端部は、基端部側に向かって略舌片状に突出形成されて、切欠溝28aと、係止突起28bと、を有している。電極着脱保持部材28の上端部は、基端部側に向かって略舌片状に突出形成されて、係合突起28cと、係止突起28dと、を有している。
係止突起28bは、切欠溝28aを有する舌片状部位から左右方向(幅方向)に突出形成されて保持部材係止溝27bに係合される。
係止突起28dは、係合突起28cの左右方向(幅方向)に突出形成されて保持部材係止溝27bに係合される突起である。
図7(b)に示すように、接点用ノブ29は、金属接点部21dの先端に固定されて、前後方向(矢印m方向)に摺動するスライド操作部材から成る。接点用ノブ29は、キャップ27をハンドピースヘッド部26に装着した場合に、キャップ27の内壁に突出形成された接点用ノブ押圧突起27cによって押圧されて、金属接点部21dを支持部31aに接触させるように構成されている。また、接点用ノブ29を操作した場合も、金属接点部21dが特殊接点である支持部31aと接触してON状態になる。
図4に示すように、前記した表示部41は、根管長測定器4の測定結果等の所定の情報を表示するモニタである。表示部41は、例えば、液晶パネルから成る。術者は、表示部41の表示を観察することにより、側枝方向検出用電極3の先端の開口部32a(図2(a)参照)が根尖位置に近づいて行く状況を正確に把握することができる。例えば、術者は、側枝eを有する被検査歯aを検査することにより、表示部41の側枝あり表示部46の「LC(Lateral Canal)」表示によって、被検査歯表示部42に側枝eが存在することを確認することができる。表示部41は、制御部8(図1参照)の指示に従い、直流電圧Vdcに基づいた測定結果を表示し、及び/または警告音を発する。
電源7がON時の表示部41には、例えば、報知表示部41aと、電源マーク41bと、被検査歯表示部42と、根管表示部43と、距離表示目盛部44と、が表示され、さらに側枝が検出されると、横じま表示部45と、側枝あり表示部46(LC)と、側枝の高さ表示部47と、が表示される。
電源マーク41bは、電源7の作動状態を示すアイコンである。
被検査歯表示部42は、検査する被検査歯aを概略的に描いたアイコンである。被検査歯表示部42には、根尖位置からの距離を表示するための距離表示目盛部44を表すスケールが描かれている。
横じま表示部45は、計測した根管bの計測した根尖iの位置からの距離を、所定間隔で表示するアイコンである。
側枝の高さ表示部47は、側枝eの上下方向の長さを概略的に示すアイコンである。側枝の高さ表示部47は、表示部41の右側の丸印(図4では6個)によって側枝eの高さを表示する。側枝の高さ表示部47は、根尖3mm手前に側枝eがあった場合、丸印(図1では6個)によって側枝eの位置を表示することができる。
電源7から側枝方向検出用電極3に、例えば、500Hzまたは2KHzの各周波数の測定用信号Pnを印加すると、側枝方向検出用電極3と電極端子5との間から各周波数毎の2種類の測定データ(In500HzとIn2KHz)が測定される。この2種類の測定データ(In500Hz,In2KHz)は、側枝方向検出用電極3を根管b内で根尖孔cに向かって挿入して行く過程で、順次測定される。
図2に示す側枝方向検出用電極3の根管b内への挿入位置を固定(例えば、開口部32aの開口方向を頬側に固定)すると、指示値の最小値の位置(電流値が最大の位置)が側枝方向の位置になる。回転駆動用電動モータM1によって低速度で回転される側枝方向検出用電極3の回転速度は、略一定である。このため、図12のグラフ全体の長さ(横軸)と、スタートから側枝方向位置データまでの長さとを比較すれば、開口部32aの回転角度を算出することが可能である。
図13において、横軸1~6の間は、側枝方向検出用電極3を挿入しているときのデータである。横軸6~32の間は、側枝方向検出用電極3の安定期間で、側枝eの開口方向の測定に充分使用することができるデータの安定性を確認している。横軸32~53までは、側枝方向検出用電極3が1回転したデータである。横軸53以後は、側枝方向検出用電極3を抜いたときのデータである。
図14において、側枝eを示す位置は、指示値が最小の位置で、電流値が最大の位置である。
次に、図1~図14を参照して本実施形態に係る側枝開口方向検出装置1及び側枝開口方向検出方法の作用を説明する。
第1のステップでは、まず始めに、図2に示す側枝方向検出用電極3(リーマ)を使用して被検査歯aの根管bを削りながら根尖iの位置を検出した後、側枝方向検出用電極3を根管bから抜き取る。このとき、側枝eがある場合は、根管長測定器4の表示部41の側枝あり表示部46によって警告表示されると共に、おおよその側枝位置が、側枝の高さ表示部47によって知らされる。なお、側枝eが無い場合は、側枝あり表示部46、及び、側枝の高さ表示部47による表示は無い。
これと同時に、側枝方向検出用電極3が根管bに挿入されたときから抜き出されるまでの500Hzと2KHzとの電流値及び表示値のデータが、根管長測定器4に記録される。この電流値及び表示値のデータから比または差のデータを算出することで、図12~図14に示すような側枝eの特有のカーブを算出し、カーブの頂点に側枝eがあることが、根管長測定器4のメモリに記録される。
第2のステップ2では、第1のステップの後、図2に示す側枝方向検出用電極3を根管b内に再度挿入し、側枝方向検出用の前記開口部32aに流れる電流値と、予め実測して記録しておいた側枝開口位置の電流値データとを比較して一致したときに、報知手段40の側枝あり表示部46で報知する。このときに、側枝方向検出用電極3に設けたストッパー34を被検査歯aに当接させて、側枝方向検出用電極3を根管bから抜き、側枝eからストッパー34までの距離を測定する。
第3のステップでは、さらに、側枝eの方向(歯根軸周りの位置)を検出するために、側枝方向検出用電極3の開口部32aを頬側の位置に合わせて、開口部32aを報知手段40が報知した根管b内の側枝開口位置まで挿入して、側枝方向検出用電極3を1回転させて側枝eの位置方向を測定する。
また、報知手段40は、側枝方向検出用電極3を根管bに挿入して側枝eの検出したときに、側枝方向検出用の開口部32aの位置(側枝eの根管軸径方向の位置)を、表示、音、音声等で術者に知らせることができる。
これにより、回転停止手段SW2は、回転駆動用電動モータM1が回転駆動して側枝方向検出用電極3を1回転させたときに、停止させることで、側枝方向検出用電極3の開口部32aを、根管b内を1回転させて開口部32aに流れる電流値の最小値を検出する。このため、効率よく側枝eの開口方向を検出することができる。
これにより、側枝位置検出手段2は、側枝方向検出用電極3を回転させることによって、電流値から側枝eの歯根軸周りの位置を自動で検出することができる。
これにより、自動繰出機構22は、根尖部へ向かって根管b(図2参照)内に自動的に送り込むことができるので、側枝eの開口方向だけでなく高さ方向も検出するため、作業効率を向上させることができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものでは無く、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図15は、本発明の実施形態に係る側枝開口方向検出装置1Aの第1変形例を示す図であり、側枝開口方向検出装置1Aに使用される測定器接続手段の一例を示す概略説明図である。図16は、本発明の実施形態に係る側枝開口方向検出装置1Aの第1変形例を示す図であり、(a)は手動式の側枝位置検出手段2Aの拡大概略側面図、(b)は側枝方向検出用電極3Aを取り外した状態の手動式の側枝位置検出手段2Aの拡大概略平面図である。
図16(a)または(b)に示すように、ホルダ20A(キャナルインスツルメントホルダ)は、歯科診断で歯牙aの根管bに挿入する側枝方向検出用電極3Aを係止するために使用される(図1及び図2参照)。ホルダ20Aは、一方向に伸び先端に向かって外径が細くなるように形成された絶縁管21Aと、先端に導体フック22Aaを有する接触子22Aと、を備えている。
操作キャップ25Aを押すと、絶縁管21A内で接触子22Aを取り巻く付勢部材26Aのばねが縮められ、接触子22Aの導体フック22Aaが図16(a)に示すように、絶縁管21Aの先端開口部21Aaを離れて前方に突出する。
これにより、側枝開口方向検出装置1Aの側枝位置検出手段2Aは、手動式に側枝方向検出用電極3Aを回転させる装置であっても、前記実施形態の側枝位置検出手段2と同様に、側枝eの歯根軸周りの位置を検出することができる。
これにより、側枝位置検出手段2Aは、接触子22Aによって、側枝方向検出用電極3Aの支持部31Aaを弾性的に支持した状態で側枝方向検出用電極3Aを回転(旋回)させることができる。このため、接触子22Aは、側枝方向検出用電極3Aの上下動や、ガタ付きや、傾きを吸収して弾性支持しながら電気的な接続状態を維持することができる。
図17は、本発明の実施形態に係る側枝開口方向検出装置1Bの第2変形例を示す図であり、側枝開口方向検出装置1Bに使用される測定器接続手段21Ba,21Bbの一例を示す概略説明図である。
これにより、側枝位置検出手段2Bのホルダ20Bには、1対の測定器接続手段21Ba,21Bbが備えられていることで、2本の測定器接続手段21Ba,21Bbに接続コネクタ62B,63Bを接続することによって、リード線9、分岐コネクタ64B、プラグ65Bを介して根管長測定器4に接続することができる。
これにより、側枝位置検出手段2Bは、アース用電極60Bを備えていることで、リード線9の配線を簡素化することができる。この側枝位置検出手段2Bに接続されるリード線9には、アース用電極60Bのほかに、根管長測定器4に接続するプラグ65Bが設けられているため、リード線9の配線作業が行い易い。
<ストッパーの変形例>
図1及び図2に示すストッパー34は、側枝方向検出用電極3のストッパー34の位置を設定するために、側枝方向検出用電極3には、目盛を付けてもよいし、目盛の代わりに側枝方向検出用電極3を色分けしてもよい。
また、図1に示す根管長測定器4のデータ処理部15は、ストッパー34を自動的に動かし、検出された側枝位置に基づいて側枝方向検出用電極3のストッパー34の位置を設定する設定機構を備えていてもよい。
さらに、データ処理部15は、側枝方向検出用の側枝方向検出用電極3を自動的に動かし、側枝方向検出用電極3を根管b内に挿入してストッパー34が被検査歯aの上部に接触する位置に側枝方向検出用電極3を配置する配置機構を備えていてもよい。
また、側枝方向検出用電極3の一例として、図3(b)、(c)に示すように、開口部32aを導電性金属31の先端部分の一箇所のみに形成した場合を説明したが、開口部32aは、開口部32aを介して絶縁膜32の外部環境と電気的に連結可能なものであればよく、複数設けてもよい。例えば、開口部32aは、側枝方向検出用電極3の軸方向に沿って複数設けてもよい。
また、側枝方向検出用電極は、複数の測定された電流の波形を得るために先端が絶縁されている必要があるが、例えば、先端から1mm~5mm(2mmがより好ましい)を絶縁コーティングし、その絶縁コーティングの上2mm~5mm(3mmがより好ましい)を開口にすることができる。また、側枝方向検出用電極3は、絶縁膜32でコーティングした後、一部を切り取って開口部32aを形成したものを使用することもできる。また、絶縁膜32は、導電性金属31の表面を酸化させて酸化膜にすることで形成してもよい。
また、前記実施形態では、側枝方向検出用電極3の開口部32aが所定の位置にあるか、否かを、回転停止手段SW2によって検出できるようにしているが、他の開口位置検出手段によって開口部32aの位置を自動的に認識可能にしてもよい。例えば、開口位置検出手段は、側枝方向検出用電極3に設けられた被検出部と、ハンドピースヘッド部26側に設けられて被検出部を検出する検出部と、を備えて構成されたものであってもよい。
また、検出部は、被検出部が発光素子の場合、発光ダイオード等の発光素子からの光を受光してその光を検出するフォトダイオード等の受光素子でもよい。
また、検出部は、被検出部が発光素子の場合、光センサや光反射センサ等の光検出部でもよい。
また、検出部は、被検出部がマーカの場合、マーカの有無を検出するカメラでもよい。
また、検出部は、被検出部が色を付けたマーカの場合、マーカの色を検出する色検出子でもよい。
根管長測定器4は、図2または図4に示すように、ストッパー34を被検査歯aに当接させて、側枝方向検出用電極3を根管bから抜き、側枝eからストッパー34までの距離を測定する際、根管長測定器4の表示部41に設けた目盛と照合したり、表示部41に表示された目盛に表示された目盛と照合して測定したり、また、リーマ長を自動で読み取る手段を根管長測定器4に設けて測定したりしてもよい。
2,2A,2B 側枝位置検出手段
3,3A 側枝方向検出用電極
8 制御部
20,20A,20B ホルダ
21Ba,21Bb 測定器接続手段
22 自動繰出機構
22A 接触子
31 導電性金属
31a,31Aa 支持部
32 絶縁膜
32a 開口部
33A 保持部
34 ストッパー
40 報知手段
60,60B アース用電極
81 自動測定開始手段
a 被検査歯(歯牙)
b 根管
e 側枝
i 根尖
M1 回転駆動用電動モータ
SW1,SW1A 測定開始スイッチ
SW2,SW2A 回転停止手段
Claims (8)
- 被検査歯の根管に形成された側枝の開口方向を検出するための側枝方向検出用電極と、
当該側枝方向検出用電極を回転駆動させる回転駆動用電動モータと、
当該回転駆動用電動モータを備え前記側枝方向検出用電極を着脱可能に保持するホルダと、を備えた側枝開口方向検出装置であって、
前記側枝方向検出用電極は、当該側枝方向検出用電極を形成する導電性金属と、
当該導電性金属を覆う絶縁膜と、
当該絶縁膜の一部を剥離するようにして形成された側枝方向検出用の開口部と、
前記側枝方向検出用電極の基端側に形成された支持部と、
を備え、
側枝方向検出用の前記開口部に流れる電流値及び/または指示値を検出して、一定時間内に検出値が予め設定した一定変動範囲内に安定したときに、前記回転駆動用電動モータを回転駆動させて、前記側枝の開口方向の検出をスタートさせる測定開始スイッチ、あるいは、前記側枝の開口方向の検出を自動的にスタートさせる自動測定開始手段を備え、
前記回転駆動用電動モータによって前記側枝方向検出用電極が1回転したときに、前記回転駆動用電動モータの回転を停止させる回転停止手段を備えていること
を特徴とする側枝開口方向検出装置。 - 被検査歯の根管に形成された側枝の開口方向を検出するための側枝方向検出用電極と、
当該側枝方向検出用電極を着脱可能に保持するホルダと、を備えた側枝開口方向検出装置であって、
前記側枝方向検出用電極は、当該側枝方向検出用電極を形成する導電性金属と、
当該導電性金属を覆う絶縁膜と、
当該絶縁膜の一部を剥離するようにして形成された側枝方向検出用の開口部と、
前記側枝方向検出用電極の基端側に設けられた保持部と、
を備え、
前記側枝開口方向検出装置は、
側枝方向検出用の前記開口部に流れる電流値及び/または指示値を検出して、一定時間内に検出値が予め設定した一定変動範囲内に安定したときに、前記側枝の開口方向の検出をスタートさせる測定開始スイッチ、あるいは、前記側枝の開口方向の検出を自動的にスタートさせる自動測定開始手段と、
被検査歯の根尖の位置を検出する根尖位置検出機構と、
側枝方向検出用の前記開口部に流れる電流値及び/または指示値と、予め実測して記録しておいた側枝開口位置の電流値及び/または指示値データとを比較する制御部と、
側枝方向検出用の前記開口部に流れる電流値及び/または指示値と、予め実測して記録しておいた側枝開口位置の電流値及び/または指示値データとを比較して一致したときに報知する報知手段と、
側枝方向検出用の前記開口部に流れる電流値及び/または指示値と、予め実測して記録しておいた側枝開口位置の電流値及び/または指示値データとを比較して一致したときに、前記側枝方向検出用電極に設けたストッパーを前記被検査歯に当接させ、前記側枝から前記ストッパーまでの距離を測定する測定手段と、
を備え、
前記側枝方向検出用電極の前記開口部を、前記報知手段が報知した前記根管内の略側枝開口位置まで挿入して、前記側枝方向検出用電極を1回転させて前記側枝の位置方向を測定すること
を特徴とする側枝開口方向検出装置。 - 前記側枝方向検出用電極を回転させることによって得られる電流値及び/または指示値から前記側枝の歯根軸周りの位置を検出するための側枝位置検出手段を備えていること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の側枝開口方向検出装置。 - 前記側枝位置検出手段は、前記根管の長さを測定する根管長測定器に接続する1対の測定器接続手段を備えていること
を特徴とする請求項3に記載の側枝開口方向検出装置。 - 前記側枝位置検出手段は、口腔内、口腔外、あるいは、頬に接触させるアース用電極を備えていること
を特徴とする請求項3または請求項4に記載の側枝開口方向検出装置。 - 前記側枝位置検出手段は、当該側枝位置検出手段に取り付けた前記側枝方向検出用電極
を前記根管内に送り込む自動繰出機構を備えていること
を特徴とする請求項3に記載の側枝開口方向検出装置。 - 前記側枝位置検出手段は、前記側枝方向検出用電極の上部に設けられた支持部を支持する弾性部材から成る接触子を備えていること
を特徴とする請求項3または請求項4に記載の側枝開口方向検出装置。 - 前記ホルダには、
当該ホルダから下方向に向けて突出形成されて、側枝方向検出用電極を前記根管に挿入するときに、下端を前記被検査歯の上部に突き当てるためのガイド部と、
前記側枝方向検出用電極を前記根管内に送り込んだり、引き出したり、高速・低速回転させたりするための自動繰出機構と、
が設けられていること
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の側枝開口方向検出装置。
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