本発明の1つの目的は、高い光出力を有するオプトエレクトロニクス部品を開示することである。
発明者は、発光ダイオードチップの放射効率が、生成される放射の波長が高くなるにつれて大きく低下することを見いだした。一例として、紫外線放射を発生させる発光ダイオードチップの放射効率は、緑色の波長範囲の放射を発生させる発光ダイオードチップの放射効率よりも大幅に高い。以下では、これらの発光ダイオードチップのそれぞれを、略して紫外線LEDおよび緑色LEDと称する。
たとえ低い動作電流I(例えばI=20mA)においても、紫外線LEDの発光出力は、緑色LEDの発光出力よりも大きい。その一方で、動作電流が増大するとき、出力の飽和は、UE LEDの場合よりも緑色LEDの場合の方が急激に達する。この場合、線形係数L80/20は、発光ダイオードの高電流効率(high-current efficiency)の測度である。L80/20は、動作電流I=80mAおよびI=20mAにおいて放出される光の出力の指数から導かれる。理想的な場合、この係数は2つの動作電流の比に一致し、値は4である。この理想的な値は、紫外線LEDの場合にはほぼ達成されるのに対して、緑色LEDの場合には大幅に下回る。
紫外線LEDおよび波長変換層を備えているオプトエレクトロニクス部品を開示する。生成される紫外線放射は、LEDの前面によって放出され、波長変換層に入射する。波長変換層は、紫外線放射の少なくとも一部分を可視光に変換する。
この配置構造では、可視範囲の単色放射を高い効率で放出することが可能である。この場合、放射の波長が狭い範囲にある場合に、その放射を単色放射と称する。放出される放射のスペクトル半値全幅Δλは、10nm〜100nmの範囲にあることが好ましい。
紫外線放射(すなわち波長λ≦420nmを有する放射)を放出する発光ダイオードチップは、例えばインジウムガリウム窒化物(InGaN)をベースとしている。この発光ダイオードチップは、薄膜発光ダイオードチップとして具体化することができる。
波長変換層は、紫外線放射を、490nm〜545nmの範囲の主波長λPeakを有する緑色光に変換することが好ましい。この場合、主波長とは、放射される光の強度が最大である波長である。
波長変換層の別の実施形態においては、420nm〜490nmの波長範囲の青色光、または575nm〜750nmの波長範囲の赤色光または黄色光を生成することも可能である。
波長変換層は、波長変換物質の粒子が中に存在しているマトリックス材料を含んでいることが好ましい。マトリックス材料としては、透明な材料(例えば、ガラス、石英、サファイア、炭化ケイ素)、透明なセラミック(例えば、Al2O3)、ダイヤモンド、シリコーン、アクリレート、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、あるいはこれらの材料の混合物が適している。マトリックス材料は、高い熱伝導率を有することが好ましく、結果として、発生する無駄な熱を良好に放散させることができる。極めて高い熱伝導率を有する材料は、例えば、炭化ケイ素あるいはダイヤモンドである。
波長変換物質の粒子は、マトリックス材料の中にできる限り一様に分散していることが好ましい。
適切な波長変換物質としては、希土類元素の群の金属によってドープされた材料が挙げられ、例えば、ガーネット、アルカリ土類金属硫化物、チオガレート、アルミン酸塩、オルトケイ酸塩、クロロシリケート、アルカリ土類金属窒化ケイ素、オキシナイトライド、アルミニウム酸窒化物、酸窒化ケイ素である。一例として、セリウムによってドープされたガーネット蛍光体であるYAG:Ceが使用される。
一実施形態においては、マトリックス材料は変換材料によって同時に形成されており、一例として、YAGセラミックを使用することができる。言い換えれば、波長変換層は、例えばセラミック変換薄層として具体化されている。この場合、セラミック波長変換物質を焼結してセラミック層を形成するが、セラミック材料の密度と、セラミック材料における含有空気の間隙サイズ(pore size of air inclusions)とによって、通過する放射の散乱を設定することが可能である。
さらに、セラミック層は、波長変換物質がマトリックス材料(例えばシリコーン)の中に組み入れられた波長変換層よりも高い熱伝導率を有する。このようにすることで、熱を波長変換層によって特に効率的に放散させることができる。
セラミック層は、自己支持性(self-supporting)とすることができる。その場合、セラミック層が、波長変換層と、波長変換層のキャリアとを同時に形成している。しかしながら、セラミック層を、熱伝導性の透明なキャリア(例えばサファイヤあるいは炭化ケイ素)の上に、熱間静水圧プレスあるいはパルスレーザ蒸着法などの方法によって固定または堆積させることも可能である。
本オプトエレクトロニクス部品の好ましい一実施形態においては、2つの放射タイプの一方に対する高い透過率と、他方の放射タイプに対する高い反射率とを有する少なくとも1つのフィルタが、ビーム経路に配置されている。
光学素子(例えばフィルタ)の「高い透過率」という表現は、本文書においては、その素子に入射する放射の少なくとも50%が素子を通過することを意味する。好ましくは、その素子に入射する放射の少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも90%が、素子を通過する。
光学素子(例えばフィルタ)の「高い反射率」という表現は、本文書においては、その素子に入射する放射の少なくとも50%が素子によって反射されることを意味する。好ましくは、その素子に入射する放射の少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも90%が、素子によって反射される。
このフィルタが紫外線放射に対して選択的に透過性であり、可視波長範囲の放射を反射するならば、それを紫外線フィルタと称する。フィルタが可視範囲の光に対して選択的に透過性であり、紫外線放射を反射するならば、一般的には可視フィルタと称する。この可視フィルタが、より狭い波長範囲の放射を透過させるように設けられているならば、その波長範囲に応じて、緑色フィルタ、青色フィルタ、黄色フィルタ、または赤色フィルタという用語によって、より正確に指定される。
好ましい一実施形態においては、紫外線放射に対する高い透過率と、可視波長範囲の放射に対する高い反射率とを有する紫外線フィルタが、紫外線LEDと波長変換層との間に配置されている。
波長変換層からの変換後の光がこの紫外線フィルタに入射すると、光は反射されて、波長変換層の方向、特に、本オプトエレクトロニクス部品の放射取り出し構造部の方向に戻される。結果として、本部品の取り出し効率が増大する。紫外線フィルタが存在しない場合、紫外線LED、キャリア、またはハウジングにおいて可視光が吸収されうる。
さらなる実施形態においては、可視波長範囲の放射に対する高い透過率と、紫外線放射に対する高い反射率とを有する可視フィルタが、波長変換層と本部品の放射取り出し構造部との間に配置されている。
この可視フィルタを使用することで、第一に、放出される光の波長およびその半値全幅を設定することができる。一例として、この可視フィルタは、490nm〜545nmの間の波長範囲の緑色光に対してのみ透過性である。したがって、この可視フィルタは、人間の目に有害な紫外線放射が外側に貫通することも防止することが好ましい。第二に、放出させる所望の波長範囲内ではない放射が反射されることによって、本部品の変換効率、したがって、放出される出力が増大する。特に、変換されていない紫外線放射が反射されて波長変換層に戻り、そこで可視光に変換することができる。
特に有利な一実施形態においては、本オプトエレクトロニクス部品は、紫外線フィルタと可視フィルタの両方を有する。
一例として、これらのフィルタの一方または両方は、ブラッグミラーとして具体化されている。ブラッグミラーは、交互に配置された、高い屈折率の誘電体層および低い屈折率の誘電体層から成る。誘電体層は、一例として、二酸化チタン(TiO2)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化ケイ素(SiN)、五酸化タンタル(Ta2O5)、または酸化ハフニウム(HfO2)を含んでいることができる。
一実施形態においては、これらフィルタの一方または両方は、キャリア上に配置されている。
フィルタが最適に機能できるようにする目的で、キャリアの表面はできる限り平面状であるべきである。
キャリアは、高い熱伝導率を有することが好ましく、したがって、紫外線LEDおよび変換層において発生する熱を放散することができる。一例として、キャリアは、約200W/mKの伝導率を有する炭化ケイ素を含んでいる。このタイプのキャリアは紫外線フィルタ用に特に有利であり、なぜなら、紫外線フィルタは紫外線LEDの近傍に位置しているためである。キャリアは、波長変換層のマトリックス材料として適している1つまたは複数の材料を同様に含んでいることもできる。
好ましい一実施形態においては、これらキャリアの一方または両方は、波長変換層にモノリシックに集積化されている。言い換えれば、キャリアと波長変換層は、互いに固定状態に機械的に結合されている。この結合は、破壊しない限りは解放することができない。したがって、キャリアおよび波長変換層は一体に形成されている。特に、波長変換層が同時にフィルタのキャリアも構成していることができる。これによって、フィルタおよび波長変換層の特に省スペース的な配置構造が可能となる。さらに、波長変換層をフィルタのキャリアとしても同時に利用する場合、その配置構造は特に高い費用効果で製造される。
特に、紫外線フィルタは紫外線LEDに固定状態で結合されている。
一実施形態においては、紫外線フィルタは、紫外線LEDの前側放射放出面に結合材料によって固定されている。適切な結合材料は、透明な材料(例えばシリコーン接着剤あるいはポッティング材料)である。
別の実施形態においては、紫外線フィルタは、紫外線LEDの前側放射放出面にモノリシックに集積化されている。この目的のため、半導体ボディの製造にも使用される方法、またはそのような方法と容易に両立する方法によって、紫外線フィルタを製造することができる。このような方法は、例えば、スパッタリングまたはエピタキシャル成長である。したがって、フィルタの製造工程が技術的に単純化される。
さらには、上述した要素から成り、少なくとも2つの紫外線LEDを含んでいるオプトエレクトロニクスモジュールを開示する。少なくとも1つの波長変換層が、生成される紫外線放射のビーム経路に配置されている。本オプトエレクトロニクス部品の好ましい一実施形態においては、2つの放射タイプの一方に対する高い透過率と、他方の放射タイプに対する高い反射率とを有する少なくとも1つのフィルタが、ビーム経路に配置されている。
少なくとも2つの紫外線LEDは、一平面内に配置されており、同じ主放出方向を有することが好ましい。一例として、これらの紫外線LEDは、規則的な格子として配置されている。波長変換層は、主放出方向において紫外線LEDの下流に配置されている平面状の層として具体化されて、紫外線LEDを覆っていることが好ましい。
好ましくは、1つまたは複数の紫外線フィルタが、紫外線LEDと波長変換層との間に配置されており、少なくとも1つの可視フィルタが、波長変換層と、オプトエレクトロニクスモジュールの取り出し領域との間に配置されている。
光源の明るさは、複数の紫外線LEDを組み合わせることによって増大する。この場合、本モジュールの製造およびハウジングへの(例えばプロジェクタのハウジングへの)組み込みを、技術的に単純かつ高い費用効果で達成することができる。
好ましい一実施形態においては、すべての紫外線LEDが、共通の波長変換層および共通の紫外線フィルタに放射する。変換された光は、共通の可視フィルタを通過することが好ましい。この場合、これらの要素は、例えば、互いに直接隣接させて互いに固定状態に結合することができる。特に、フィルタを波長変換層にモノリシックに集積化することができる。共通の紫外線フィルタは、結合材料(例えばシリコーン接着剤あるいはポッティング材料)によって紫外線LEDに固定することができる。
好ましい一実施形態においては、共通の紫外線フィルタおよび共通の可視フィルタのそれぞれが、平面状の層として具体化されている。この場合、紫外線フィルタは、主放出方向において紫外線LEDの下流に配置されており、紫外線LEDをできる限り完全に覆っている。可視フィルタは、紫外線LEDの主放出方向において波長変換層の下流に配置されており、同様に波長変換層をできる限り完全に覆っている。
このような共通の要素は、個別の要素よりも技術的に単純かつ高い費用効果で製造することができる。さらには、大きな共通の要素は、機械的安定性が高い。このような要素は、技術的に単純かつ高い費用効果でハウジングに取り付けることができる。
好ましい一実施形態においては、共通の可視フィルタが波長変換層から隔置されている。この隙間には、空隙またはポッティング材料を配置することができる。このような隙間によって、紫外線LEDにおいて発生する熱をより良好に放散させることができる。
別の実施形態においては、複数の紫外線LEDのそれぞれが、個別の紫外線フィルタと、個別の波長変換層と、個別の可視フィルタとを有する。この配置構造の利点として、発光ダイオードチップを、より高い柔軟性で(例えば、たとえ湾曲した面の上にも)取り付けることができる。要素の間には、空気またはポッティング材料によって満たされている隙間が配置されていることが好ましく、この隙間によって良好な熱放散が可能になる。
オプトエレクトロニクスモジュールのさらなる実施形態は、複数の紫外線LEDに共通である要素と、いくつかの紫外線LEDに対して個別に存在する要素との組合せを有する。一例として、複数の紫外線LEDが紫外線フィルタを共有することができ、それ以外の紫外線LEDが個別の紫外線フィルタを有することができる。
一例として、一実施形態においては、紫外線フィルタおよび波長変換層を個別に具体化することができ、可視フィルタを共通のフィルタとして具体化することができる。この場合、紫外線フィルタを紫外線LEDにモノリシックに集積化することができる。さらには、紫外線LEDとは反対側の紫外線フィルタの面において、紫外線フィルタを波長変換層に直接隣接させることができ、特に、波長変換層にモノリシックに集積化することができる。別の実施形態においては、紫外線フィルタが波長変換層から隔置されている。可視フィルタは、同様に波長変換層に隣接させる、特に、波長変換層にモノリシックに集積化することができ、あるいは、波長変換層から隔置することができる。存在する隙間は、空気またはポッティング材料によって満たすことができる。
さまざまな実施形態として記載したオプトエレクトロニクスモジュールは、例えば、プロジェクション装置における光源として使用することができる。このようなオプトエレクトロニクスモジュールは、十分に多数の紫外線LEDを使用することによって、大きな光放出領域を有することができる。このモジュールは、単一の紫外線LEDを有するオプトエレクトロニクス部品の場合と同様に、良好な高電流効率において高い光束を発生させる。最適な熱放散のため、空気またはポッティング材料によって満たされた隙間をモジュールに導入することができる。さらには、モジュールをフレームに組み込むことができ、これによって同様に熱放散を改善することができる。
オプトエレクトロニクスモジュールの少なくとも一実施形態によると、モジュールは、490nm〜575nmの波長範囲の緑色の単色放射を放出する。
オプトエレクトロニクスモジュールの少なくとも一実施形態によると、モジュールは、420nm〜490nmの波長範囲の青色の単色放射を放出する。
オプトエレクトロニクスモジュールの少なくとも一実施形態によると、モジュールは、575nm〜750nmの波長範囲の黄色または赤色の単色放射を放出する。
オプトエレクトロニクスモジュールの少なくとも一実施形態によると、少なくとも1つの発光ダイオードチップが個別の波長変換層を有する。
オプトエレクトロニクスモジュールの少なくとも一実施形態によると、少なくとも2つ、特にすべての発光ダイオードチップが共通の紫外線フィルタを有する。
オプトエレクトロニクスモジュールの少なくとも一実施形態によると、少なくとも1つの発光ダイオードチップが個別の紫外線フィルタを有する。
オプトエレクトロニクスモジュールの少なくとも一実施形態によると、少なくとも2つ、特にすべての発光ダイオードチップが共通の可視フィルタを有する。
オプトエレクトロニクスモジュールの少なくとも一実施形態によると、少なくとも1つの発光ダイオードチップが個別の可視フィルタを有する。
以下では、開示する半導体チップおよびその有利な形状構造について、概略的な図面を参照しながら説明する。図面は、正しい縮尺では描かれていない。
示した図において、波長変換層2と、紫外線フィルタ3と、可視フィルタ4は、複数の異なる実施形態に存在している。複数の発光ダイオードチップ1が共通の波長変換層2aまたは共通のフィルタ3a,4aを共有している場合、それぞれ参照数字の後ろに文字aを付記してある。発光ダイオードチップ1が個別の波長変換層2bまたは個別のフィルタ3b,4bを有する場合、それぞれ参照数字の後ろに文字bを付記してある。
以下の図に記載されている例示的な実施形態においては、標準的な設計の緑色InGaN LEDおよび紫外InGaN LEDが存在している。さらに、緑色フィルタが使用されている。しかしながら、この構造は、InGaN LEDを使用して緑色光を発生させることへの限定を意図するものではない。そうではなく、別の半導体積層体および別の設計を有するLEDを、類似する方法において使用することができる。さらに、放出される放射は、異なる波長(例えば、青色、赤色、または黄色の波長範囲の放射)を有することができる。
図1には、標準的な設計のさまざまなInGaN LEDそれぞれの場合の、放出される光の主波長λPeakに対する線形係数L80/20をプロットしてある。個々のLEDの測定結果値に対して、近似曲線101を描いてある。
線形係数L80/20は、LEDの高電流効率の測度であり、動作電流I=80mAおよびI=20mAにおける放出される出力の比として定義される。この係数は、理想的には2つの動作電流の比に一致し、したがって値4に近いべきである。
この場合、測定対象のLEDは、400nm〜525nmの範囲の主波長λPeakを有する光を生成する。図1において理解できるように、高電流効率は、波長が高くなる方向に明らかに低下している。一例として、400nmの領域の波長では(すなわち紫色の放射の場合)、L80/20は3.4〜3.8の範囲である。420nmの波長では(すなわち青色の放射の場合)、L80/20は2.9〜3.3の範囲の値まで下がっている。520nmの領域の波長では(すなわち緑色放射の場合)、L80/20は値2.4未満である。
図2には、λPeak=525nmを有する緑色InGaN LED 102と、λPeak=400nmを有する紫外InGaN LED 103の場合における、0mA≦I≦80mAの動作電流Iに対する、放出される光出力(単位:mW)をプロットしてある。
図2から明らかな点として、第一に、紫外線LED 103の内部効率の方が良好である。動作電流の範囲全体において、紫外線LED 103の光出力が緑色LED 102の光出力よりも上にある。一例として、動作電流I=80mAでは、紫外線LED 103の光出力は緑色LED 102の光出力の3倍の大きさである。さらに、図2は、紫外線LED 103の高電流効率の方が明らかに良好であることを示している。I=20mAからI=80mAになったとき、緑色LED 102では光出力が2倍強であるのに対して、紫外線LED 103の光出力は3倍である。
図3Aには、波長変換層を有する紫外線LED 104(以下では変換層LEDと称する)と、緑色LED 105とにおける、動作電流I(単位:mA)に対する光束φ(単位:ルーメン)をプロットしてある。光束φは、視感度によって重み付けられた光源の明るさの測度である。φを計算するには、特定のスペクトル範囲におけるLEDの出力に、そのスペクトル範囲における視感度を乗じ、スペクトル空間全体について積分する。
変換層LED 104は、主波長λPeak=527nmを有する光を放出する。測定対象の電流範囲である20mA≦I≦350mA全体において、変換層LED 104によって生成される光束φは、緑色LED 105によって生成される光束φよりも大きい。動作電流I=50mAにおいては、2つのLEDの光束φは同程度の値であるが、動作電流I=350mAにおいては、曲線104と曲線105との間の距離が大幅に大きい。図3Aにおいて、これらの領域は、わかりやすいように円で囲んである。動作電流I=350mAにおいて、変換層LED 104の光束φは、緑色LED 105の光束φよりも85%大きい。さらに、線形係数L80/20についても、L80/20=3.35の変換層LED 104の方が、L80/20=2.25の緑色LED 105よりも大幅に好ましい。
図3Bには、図3AによるLED 104およびLED 105における、動作電流I(単位:mA)に対する主波長λPeakをプロットしてある。
LED 104およびLED 105のいずれも、I=20mAにおいて放出される光は、主波長λPeak≒528nmを有する。緑色LED 105の場合、動作電流が増大すると主波長は短い波長の方向にシフトする。しかしながら、変換層LED 104の場合には、20mA〜350mAの間において主波長はわずかに下がるのみである。I=350mAにおいて、主波長λPeak≒526nmである。
したがって、図3Aおよび図3Bからは、高電流効率および波長のシフトの両方に関して、変換層LED 104の方が緑色LED 105と比較して好ましい特性を有することが示される。
図4Aは、波長変換層2と、紫外線フィルタ3と、緑色フィルタ4の、1つの可能な配置構造を示している。波長変換層2は、2つのフィルタ3,4の間に配置されている。変換層LEDにおいてこの配置構造を使用する場合、紫外線LEDは、紫外線フィルタ3の面のうち波長変換層2とは反対側に配置される。
図4Bは、波長変換層2と、紫外線フィルタ3と、緑色フィルタ4の、図4Aに示した配置構造に対応する配置構造を示している。しかしながら、この場合には、フィルタ3,4の両方がキャリア51,52の上に配置されている。この代替形態として、フィルタ3,4の一方のみをキャリア51,52の上に配置することも可能である。この図に示した配置構造とは異なる形態としては、フィルタ3,4を、キャリア51,52の面のうち波長変換層2とは反対側の面に配置することもできる。キャリアの材料は高い熱伝導率を有することが好ましく、結果として、発生する熱を良好に放散させることができる。特に、紫外線LEDにおいて発生する熱を放散させる目的で、少なくとも紫外線フィルタ3をキャリア51の上に配置することが有利である。
図5には、紫外線フィルタの透過率Tおよび反射率Rを、紫外線フィルタに入射する放射の波長λの関数としてプロットしてある。これらの値は、放射が紫外線フィルタに入射するときの入射角度に大きく依存するため、6つの異なる入射角度の場合における6本の曲線としてTおよびRを示してある。この場合、曲線11、112、113、114、115、116は、入射角度0゜、15゜、30゜、45゜、60゜、70゜に対応する。380nm≦λ≦420nmの範囲においては、すべての入射角度の場合に透過率T≒90%である。それ以外のすべての波長範囲においては、いくつかの入射角度の場合の透過率がこの値よりも明らかに小さい。
反射率Rは、フィルタの現在の吸収率Aの場合、透過率Tから、R=100%−T−Aとして導かれる。この場合、測定対象のフィルタの吸収率は無視できるため、反射率Rは、R=100%−Tとして直接導かれ、このことは図5からも明らかである。525nm〜570nmの間の範囲の波長においては、ほぼすべての入射角度の場合に、入射する光のうち少なくとも45%が反射される。
したがって、このフィルタは、緑色光(例えばλ=525nm)に対して選択的に高い反射率を有し、紫外線放射(例えばλ=400nm)に対して選択的に高い透過率を有し、したがって、紫外線フィルタと称される。
図6A、図6B、図7A、図7B、図8A、図8B、図9A、および図9Bは、オプトエレクトロニクスモジュールのさまざまな例示的な実施形態を概略的に示している。図示した部品は、いずれも6個の紫外線LED 1を有する。1つまたは複数の波長変換層2a,2bは、紫外線放射を、より高い波長を有する放射(この場合には緑色光)に変換する。
各発光ダイオードチップ1と各波長変換層2a,2bとの間には、紫外線放射に対して透過性であり緑色放射を反射する少なくとも1つの紫外線フィルタ3a,3bが配置されている。好ましい一実施形態においては、このフィルタは、図5による透過率および反射率を有する。異なる波長を有する可視光を放出させることを目的とする場合、異なる反射挙動を有するフィルタを使用することができる。発光ダイオードチップ1とは反対側の波長変換層2a,2bの面には、緑色光に対して透過性であり紫外線放射を反射する少なくとも1つの緑色フィルタ4a,4bが配置されている。さらなる実施形態においては、オプトエレクトロニクスモジュールは、一方のタイプのフィルタのみを備えていることができる。
図6Aは、オプトエレクトロニクスモジュール11を断面図として示しており、すべての紫外線LED 1が、共通の紫外線フィルタ3aおよび共通の緑色フィルタ4aのみならず、共通の波長変換層2aを共有している。この場合、要素3a、要素4a、および要素2aは、互いに直接隣接している平面状の層として具体化されている。紫外線フィルタ3aは、紫外線LED 1の前側放射放出面10に結合材料7によって固定されており、結合材料7は、例えばシリコーン接着剤あるいはポッティング材料とすることができる。
図6Bは、このモジュール11の平面図を示している。この図では、6個の紫外線LED 1と、これら紫外線LED 1をほぼ完全に覆っている共通の緑色フィルタ4aとを識別することができる。
図7Aは、モジュール11の例示的な実施形態を断面図として示しており、紫外線LED 1のそれぞれが、個別の紫外線フィルタ3bと、個別の緑色フィルタ4bと、個別の波長変換層2bとを有する。これらの要素は、図6Aと同様に、平面状の層として具体化されており、互いに直接隣接している。この場合も、個別の紫外線フィルタ3bは、結合材料7によって紫外線LED 1に固定されている。
図7Bは、図7Aによるモジュール11の平面図を示しており、コンタクト領域を除いて紫外線LED 1を覆っている個別の緑色フィルタ4bを識別することができる。
図8Aは、モジュール11の例示的な実施形態を示しており、すべての紫外線LED 1が、共通の波長変換層2aと、共通の紫外線フィルタ3aと、共通の緑色フィルタ4aとを共有している。紫外線フィルタ3aは、紫外線LED 1に結合材料7によって固定されている。緑色フィルタ4aは、波長変換層2aから隔置されている。存在する隙間6は、一例として、空隙である、またはポッティング材料によって満たされている。
図8Bは、モジュール11のさらなる例示的な実施形態を示しており、図8Aと同様に、すべての紫外線LED 1が、波長変換層2bから隔置されている共通の緑色フィルタ4aを共有している。しかしながら図8Aとは異なり、紫外線LED 1は個別の紫外線フィルタ3bおよび個別の波長変換層2bを有する。
図9Aは、モジュール11の例示的な実施形態を示しており、共通の波長変換層2aと、共通の緑色フィルタ4aと、個別の紫外線フィルタ3bとを備えている。個別の紫外線フィルタ3bおよび共通の緑色フィルタ4aは、それぞれ波長変換層2aに直接隣接している。ここまでに示した例示的な実施形態のいずれとも異なり、個別の紫外線フィルタ3bは紫外線LED 1にモノリシックに集積化されている。
図9Bは、モジュール11のさらなる例示的な実施形態を示しており、図9Aに示した配置構造とは異なり、紫外線フィルタ3bと波長変換層2aとの間と、緑色フィルタ4aと波長変換層2aとの間に、さらなる隙間6が存在する。これらの隙間6は、空気またはポッティング材料を含んでいることができる。
図10A、図10B、および図10Cは、複数の異なるオプトエレクトロニクス部品を断面図として示しており、図10Dには、これらの部品の放射効率Eを計算してプロットしてある。
図10Aにおいては、波長変換層2を有する紫外線LED 1が、例えばはんだ結合層9によって補助キャリア18の上に貼り付けられている。図示したオプトエレクトロニクス部品はフィルタを備えていない。図10Bにおいては、紫外線LED 1とは反対側の波長変換層の面に緑色フィルタ4がさらに配置されている。図10Cにおいては、代わりに紫外線フィルタ3が波長変換層2と紫外線LED 1との間に配置されている。
これらの配置構造の放射効率Eを、それぞれの波長変換層2における蛍光体濃度Cの関数として計算した。
図10Dには、蛍光体濃度C(最大濃度に対する割合:%)に対する、緑色光の計算上の放射効率(最大放射効率に対する割合:%)22,23,24をプロットしてある。さらに、図10Aによる配置構造の場合における、変換されない紫外線放射の放射効率21をプロットしてある。
図10Aに示した配置構造の場合、蛍光体濃度Cが0のときには緑色光が放出されず、放射効率22は0%であると予測される。その一方で、紫外線LED 1において生成される紫外線放射21の約45%が取り出される。紫外線放射21の放射効率Eは、蛍光体濃度が増大するにつれて低下し、C=90%においてほぼ0%である。これとは対照的に、緑色光22のEは、蛍光体濃度が増大するにつれて最初に上昇し、C=50%においてその最大値E≒31%に達し、さらにCが増大するにつれてゆっくりと低下する。放射効率22が低下するのは、波長変換層およびLEDチップにおいて吸収されるためである。C=90%では、放射効率22はE≒20%である。
緑色光の放射効率24は、図10Bによる緑色フィルタ4を使用する結果として増大している。この増大は、紫外線放射の一部分が緑色フィルタによって反射され波長変換層2に再び戻ることに基づく。この場合、戻った紫外線放射を再び緑色光に変換することができる。
図10Dには、図10Cによる紫外線フィルタ3が存在する場合の緑色光の放射効率23も示してある。放射効率23は、緑色フィルタが存在するときの放射効率24よりも大幅に高い。考慮対象の10%≦C≦70%の範囲では、濃度Cが増大するにつれて放射効率23は連続的に上昇し、C=70%においてEの値は55%である。これは、緑色光が紫外線フィルタによって反射されて戻され、したがって紫外線LEDにおける吸収が減少するためである。
要約すると、図10Dから明らかであるように、緑色フィルタ4の使用および紫外線フィルタ3の使用のいずれによっても、緑色光の放射効率24,23が明らかに増大する。フィルタを備えていない配置構造の場合、放射効率22の最大値はE≒30%程度であるが、緑色フィルタ4の場合にはE≒35%の最大値が達成され、紫外線フィルタ3の場合には50%を超える最大値が達成される。緑色フィルタ4および紫外線フィルタ3を同時に使用する場合にも、放射効率が上昇するものと予測できる。
図11は、光を生成する目的でオプトエレクトロニクスモジュール11が使用されているプロジェクション装置12を示している。このオプトエレクトロニクスモジュール11は、6個の紫外線LED 1と、図6A、図6B、図7A、図7B、図8A、図8B、図9A、または図9Bによる実施形態の1つにおける要素である紫外線フィルタ3、波長変換層2、および緑色フィルタ4を有する。オプトエレクトロニクスモジュール11はフレーム17によって囲まれており、フレーム17は、発生する熱を良好に放散させることができる。このフレームは補助キャリア18の上に配置されており、補助キャリア18はキャリア13の上に配置されている。キャリア13の上にはプリント基板14が形成されており、このプリント基板14には、オプトエレクトロニクスモジュール11との電気接続を形成するための導体トラック15が導入されている。導体トラック15は、電気的に接続できるプラグ16に結合されている。
ここまで、本発明について例示的な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はこれらの例示的な実施形態に限定されない。本発明は、任意の新規の特徴および特徴の任意の組合せを包含する。特に、特許請求項における特徴の任意の組合せを含んでおり、これらの特徴またはその組合せは、それ自体が特許請求項または例示的な実施形態に明示的に記載されていない場合でも本発明に含まれる。
本特許出願は、独国特許出願第102008006974.4号および独国特許出願第102008017071.2号の優先権を主張し、これらの文書の開示内容は参照によって本出願に組み込まれている。