JP2011507247A - SiCウエハのアニール方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、SiCウエハの焼戻しの方法及び装置に関するものである。本発明は、実施コストを抑えつつ、処理チャンバ内において充分なシリコンの分圧を得るためにSiCウエハを焼戻しする方法および装置を提供するものである。シリコンの分圧を上げるための、少なくとも気化したシリコンまたは気体状シリコンの発生源は、少なくとも1枚のウエハ(3)を受け入れる処理チャンバ(2)に接続され、前記発生源は流動性シリコン片(11)を備える気化器(4)であり、キャリアガスは気化器に供給され、溶融シリコンを通して気体の流れを形成し、気化器(4)はパイプライン(5)を介して処理チャンバ(2)に接続されているか、または処理チャンバ(2)内に配置されている。

Description

本発明は、SiCウエハをアニールするための方法及び装置に関する。
炭化ケイ素ウエハ(SiCウエハ)はシリコンディスクと同様に、不純物(例えばAl,P,B)をSiCの結晶構造内に導入してウエハに導電性をもたせるために不純物をウエハ内に注入した後に、回復(ヒール)または焼き戻し(テンパー)とも呼ばれる熱処理(アニール)を施さなければならない。この熱処理の間に、結晶構造へ不純物を注入することによって生じる損傷を、部分的にのみ“回復”することができる。この処理は通常、一枚のSiCウエハまたは複数枚のSiCウエハを同時に処理する熱処理炉の処理チャンバ内で、温度が1600〜2000°Cという高温プロセスで行われる。
このような1600〜2000°Cの温度状態では、炭化ケイ素(SiC)層の結晶構造からシリコンの第一原子層が剥離することによって、滑らかなSiC表面が傷つき、ウエハ内で結晶構造が偏位するいわゆる“ステップバンチング(step bunching)”が起こるという問題が生じる。
このような問題に対処するために、処理チャンバ内にシランを導入することが可能であり、これによりシリコンの分圧を増加させることが可能になる。通常、シランと不活性ガスの混合物を使用し、不活性ガスとしてアルゴンを使用する。
しかしながら、シラン(SiH)は自然発火しやすく危険であり、取り扱いが困難である。
そこで、本発明はより安価な費用で処理チャンバ内に充分なSiの分圧を生じさせることができるSiCウエハのアニール方法及び装置を提供することを目的とするものである。
本発明の目的は、複数枚のSiCウエハをアニール炉の処理チャンバ内に導入し、処理チャンバ内を真空にするとともにSiCウエハを1600〜2000°Cの処理温度に加熱し、一定の処理温度に所定時間以上保ち、処理チャンバ内のSiの分圧をSiCウエハにおける結合したシリコンの蒸気圧より高い値まで上げる方法により、達成することができる。
この際、気体状または蒸気状態の純粋なシリコンか、またはキャリアガスと気体状または蒸気状態のシリコンとの混合物を処理チャンバ内に導入する。キャリアガスとしてはアルゴン、ヘリウムまたは水素を使用することができる。
一定の処理温度を確保するために、気体状または蒸気状態のシリコンか、またはキャリアガスと気体状または蒸気状態のシリコンとの混合物を、処理チャンバ内に1600°Cより高い温度で導入する。
本発明の一実施例においては、気体状または蒸気状態のシリコンは、SiC表面からシリコンを気化させることによって生成される。ここでは、SiCウエハの表面またはSiCウエハ片の表面または溶融シリコンの表面から気化させることができる。
気化は、1400°Cより高い温度で行われる。
また本発明の目的は、少なくとも蒸気または気体状態のシリコンの発生源が、Siの
分圧を増加させるために、少なくとも一枚のウエハを受け入れる処理チャンバに接続されていることを特徴とするSiCウエハのアニール装置によって達成することができる。
蒸気または気体状態のシリコンの発生源は気化器であり、気化器には溶融シリコン上に気体の流れを発生させるようにキャリアガスが供給され、気化器は導管を通して処理チャンバに接続されているか、または処理チャンバ内に配置されている。
本発明の一実施例において、気化器は、グラファイト、炭化ケイ素またはシリコン被覆グラファイトまたは炭化タンタル、セラミックス、サファイアまたはモリブデンからなるボックス(box)である。
気化器内の蒸気または気体状態のシリコンの発生源は、気化器内にあるシリコンウエハまたはシリコン片または溶融シリコンである。
気化器は、アニール炉内において処理チャンバの下に配置され、温度が1450〜1700°Cであるアニール炉の領域に配置されている。したがって、気化器自体がヒーターを有する必要はない。
本発明の別の態様において、気化器は処理チャンバの内部に配置され、ウエハの下に配置されている。
キャリアガスとしてアルゴンまたはヘリウムなどの希ガスまたはH(水素)を使用することができる。ここでは酸素が存在しない雰囲気を保つことが必要である。
気化器内の温度は1450〜1700°Cの範囲であり、処理チャンバの温度は1600〜1900°Cの間である。
本発明によれば、シリコン蒸気またはシリコンとキャリアガスとの混合物が、気化器(気泡管)から処理チャンバに導入される。
本発明により、より安価な費用で処理チャンバ内に充分なSiの分圧を生じさせることができるSiCウエハのアニール方法及び装置を提供することができる。
図1は本発明のSiCウエハをアニールするための構成を示す概略図であり、処理チャンバより下方に気化器が配置された構成を示す。 図2は、処理チャンバの下端部に配置された気化器を示す拡大図である。
以下の実施例において、本発明についてより詳細に述べる。
各図面において、図1は本発明のSiCウエハを熱処理するための構成を示す概略図であり、処理チャンバより下方に気化器が配置された構成を示し、図2は処理チャンバの下端部に配置された気化器を示す拡大図である。
気化器4は、アニール炉1の処理チャンバ2より下方で、SiCウエハ3が焼き戻し(テンパー)される高温領域(至2000°C)の下方に配置されたボックスで構成されている。気化器4は、グラファイト、シリコングラファイトまたはSiC被覆グラファイトのいずれかからなっている。また気化器は、炭化タンタル、サファイア、セラミックスまたはモリブデンなどの物質から構成することもできる。前記気化器内には、Si蒸気の発生源として作用するシリコンウエハ3.1またはシリコン片が存在し、ここでは後者が好ましい。
気化器において必要な温度は1400〜1600°Cの範囲にわたり、少なくともシリコンの溶融温度(1414°C)より高い温度が必要である。この温度は処理チャンバ2より下方で、断熱材7の下方かつ断熱層8の上方で達成できる(図1)。これにより流動性シリコン11(図2)が、気化器においてSiCウエハ3(図1)から生成される。この溶融シリコンを通してまたはその上にキャリアガスが導入される(気泡流が流される)。キャリアガス5.1は溶融シリコンの表面上にも導入される。アルゴン、水素、ヘリウムその他がキャリアガス5.1として使用される。
キャリアガス5.1をガス供給器から導管5を介して送り込む際及びキャリアガス5.1を溶融シリコンを通して導入している間に、気化したシリコンはキャリアガスと一緒になりその混合ガス、例えばアルゴンとシリコンの混合ガスは管6(図1)を介して処理チャンバ2内のSiCウエハ3に導入され、そこで必要なシリコン分圧を確保することができ、このシリコン分圧がアニールされるべきSiCウエハ3からシリコンが気化してしまうのを防ぐ。導管5及び管6は、SiC、セラミックス、サファイア、モリブデンまたはグラファイトで製造されている。
本発明において、単にキャリアガスの供給速度と供給量を調整することによる完全に安全な方法で、処理チャンバ2内で必要なSiの分圧を確立することが可能であるということが重要なことである。
図1は、壁1.1と、アニールされるウエハ3が処理チャンバ2内に配置されている2000°Cに至る上部高温領域とを有した温度炉1を示している。処理チャンバ2の下には、Siウエハ3.1を有し、温度が1400°より高い領域である気化器4が配置されており、Siウエハ3.1(図1)はその表面が溶融状態であるか、Si片11(図2)として溶融状態である。キャリアガスを供給するために、キャリアガス源に通じる導管5が設けられ、キャリアガスとSiとの混合物を処理チャンバ2に供給するために、管6が設けられている。
異なる温度領域レベルを得るために、高温領域と気化器4との間に断熱材7(グラファイト(C)からなるバッフル層)が設けられており、さらに気化器4の下方には複数の断熱層8からなる断熱材と石英バッフル9とが設けられている。これによってアニール炉1の底部領域10を約150°Cの一定温度に維持することが可能になる。
図2に示されるように、気化器4を含む高温領域は加熱器12によって囲まれている。図1に示す場合と異なり、図2においては、気化したキャリアガスとシリコン蒸気の混合物が、気化器4のカバー14に設けられた開口13を通して処理チャンバ2内のウエハ3に直接的に到達するように、気化器4は処理チャンバ2の下部セクションに配置されている。必要なキャリアガスは導管5を通して供給される。アニール炉1内の温度は、処理チャンバ2と気化器4とを取り囲む加熱器12によって得られる。
本発明の方法によれば、何枚ものSiCウエハ3.1がアニール炉1の処理チャンバ2に入れられ、処理チャンバ内で真空条件下で1600〜2000°Cの処理温度に加熱され、同時に一定の処理温度に所定時間以上保ち、処理チャンバ2内におけるSiの分圧を、SiCウエハ3.1における結合したシリコンの蒸気圧より高い圧力まで上げる。
気体状または蒸気状態の純粋なシリコン、またはキャリアガスと気体状または蒸気状態のシリコンとの混合物を処理チャンバ2内に導入する。アルゴン、ヘリウムまたは水素がキャリアガスとして挙げられる。
キャリアガスが溶融シリコン片11に沿って(1414°Cより高い温度下で)導入されることによって、蒸気状態のシリコンを処理チャンバに運びこむ(図1、2において矢印で示す)。
キャリアガスの速度やキャリアガスの量によって調節するのみならず、気化器4を処理チャンバ2内に配置する(図2)ことによって、または処理チャンバの下方に配置する(図1)ことによって、処理チャンバ内のシリコンの分圧を調節することができる。
一定の処理温度を確保するために、気体状または蒸気状態のシリコン、またはキャリアガスと気体状または蒸気状態のシリコンとの混合物を処理チャンバ2内に1600°Cより高温で導入する。
1 アニール炉
1.1 炉壁
2 処理チャンバ
3 アニール処理されるウエハ
3.1 SiCウエハ
4 気化器
5 導管
6 管
7 断熱材
8 断熱層
9 石英バッフル
10 底部領域
11 流動性シリコン片
12 加熱器
13 開口
14 カバー

Claims (22)

  1. 高温領域におけるSiCウエハのアニール方法であって、
    複数枚のSiCウエハ(3)をアニール炉(1)の処理チャンバ(2)内に導入し、処理チャンバ(2)内に真空状態を形成し、
    同時にSiCウエハ(3)を1600〜1900°C、および2000°Cの処理温度に加熱し、
    一定の処理温度で所定時間、処理チャンバ(2)内におけるSiの分圧を、SiCウエハにおける結合したシリコンの蒸気圧より高い値まで上げることを特徴とするSiCウエハのアニール方法。
  2. 気体状または蒸気状態のシリコンが前記処理チャンバ(2)に導入されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. キャリアガスと気体状または蒸気状態のシリコンとの混合物が前記処理チャンバ(2)に導入されることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. キャリアガスとしてアルゴンまたはヘリウムを使用することを特徴とする請求項3記載の方法。
  5. キャリアガスとしてHを使用することを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 気体状または蒸気状態のシリコン、またはキャリアガスと気体状または蒸気状態のシリコンとの混合物が、少なくとも1450°Cの温度で前記処理チャンバ(2)に導入されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 気体状または蒸気状態のシリコンは、SiC表面からシリコンを気化させることによって生成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
  8. SiCウエハ(3.1)の表面、またはSiCウエハ片および/または溶融シリコン(11)からシリコンを気化させることを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 気化は1400°Cより高い温度で実施されることを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. 高温領域におけるアニール炉の処理チャンバ内のSiCウエハのアニール装置であって、
    少なくとも1枚のウエハ(3)を受け入れる処理チャンバ(2)は、シリコンの分圧を上げるために、少なくとも蒸気または気体状のシリコンの発生源に接続されていることを特徴とするSiCウエハのアニール装置。
  11. 蒸気または気体状のシリコンの発生源は、溶融シリコン上に気体の流れを形成するようにキャリアガスを供給できる気化器(4)であり、気化器(4)は導管(5)を介して処理チャンバ(2)に接続されているか、または処理チャンバ(2)内に配置されていることを特徴とする請求項10記載の装置。
  12. 気化器(4)は、グラファイト、炭化ケイ素、シリコン被覆グラファイト、炭化タンタル、セラミックス、サファイアまたはモリブデンからなるボックスであることを特徴とする請求項11記載の装置。
  13. 蒸気または気体状のシリコンの発生源は、気化器(4)内のシリコンウエハ(3.1)またはシリコン片(11)または溶融シリコンであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の装置。
  14. 気化器(4)は、アニール炉(1)内の処理チャンバ(2)の下に設けられていることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の装置。
  15. 気化器(4)は、処理チャンバ(2)内でウエハ(3)の下に設けられていることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の装置。
  16. 気化器(4)は、アニール炉(1)の1450〜1700°Cの温度領域に配置されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
  17. キャリアガスとしてアルゴンやヘリウム等の貴ガスを使用することを特徴とする請求項10乃至16のいずれか1項に記載の装置。
  18. キャリアガスとしてHを使用することを特徴とする請求項10乃至16のいずれか1項に記載の装置。
  19. 気化器の温度は、1450〜1600°Cの温度であることを特徴とする請求項10乃至18のいずれか1項に記載の装置。
  20. 処理チャンバの温度は、1600〜1900°Cの温度であることを特徴とする請求項10記載の装置。
  21. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法を実施するためのSiCウエハまたはシリコンディスクまたはシリコン片の使用方法。
  22. 請求項10乃至20のいずれか1項に記載の装置におけるSiCウエハまたはシリコンディスクまたはシリコン片の使用方法。
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