JP2011502927A - 熱貯蔵組成物、及びその製造 - Google Patents

熱貯蔵組成物、及びその製造 Download PDF

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Abstract

改善された難燃性を有する熱エネルギー貯蔵組成物であって、この組成物は、(A)有機相変化材料(PCM)の粒子、(B)難燃性の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は(C)マグネシアセメントを含み、この際、(A)有機相変化材料が、(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子全体にわたって、及び/又は(C)マグネシアセメント全体に均一に分配されている。当該組成物は、熱エネルギー貯蔵特性、及び/又は温度制御を有する様々な物品の製造に適している。適切な物品は、繊維、織物、発泡体、加熱装置及び冷却装置、及び建築材料を含む。

Description

本発明は、有機相変化材料が組み込まれ、かつ改善された難燃性を有する、熱エネルギー貯蔵組成物に関する。この組成物は、例えば繊維、発泡体、織物、加熱装置及び冷却装置、及び建築材料を含む様々な物品に組み込むことができる。
熱エネルギー貯蔵のための組成物は、公知である。潜熱蓄熱材は、様々な状況で使用することができ、その際、ある時点で熱を吸収又は放出し、そして別の時点で熱を放出又は吸収することが重要である。一般的に潜熱蓄熱材は、潜熱の放出又は貯蔵に伴って状態の変性又は変化が可逆的に起こる化合物、又はこのような化合物の混合物と定義される。熱エネルギー材料の状態変化は、相変化になる傾向があり、これらの材料は通常、相変化材料(PCM)と呼ばれる。相変化材料は、固体、液体、及び気体のいずれかの間での相転移の間に熱エネルギーを吸収又は放出する。この相転移は通常、固体から液体、液体から固体、液体から気体、又は気体から液体である。相変化材料は一般的に、所望の温度帯域内での温度制御、温度超過に対する保護、又は熱若しくは冷気の貯蔵のために、企図される適用に適した相変化温度とともに選択される。
粒子の形態で相変化材料を使用するのが好ましい状況は数多くあり、例えば温度制御繊維及び織物、建築材料、熱又は冷気を貯蔵又は移動させるための、流動性分散液などである。繊維又は建築材料のような物品で使用される微粒子状の相変化材料は、物品中に分配されている方がよりよい傾向があり、相変化材料への、及び相変化材料からの熱伝達は最大化されており、かつ物品の脆弱化は妨げられる、又は最小化される。
気−液の相変化材料は、相変化の際に起こる体積変化が大きいため、及び蒸気が直ちに逃げられないように蒸気を収容することが不可能なので、多くの適用に適さない傾向がある。
無機の熱エネルギー蓄熱材、例えば無機水和塩は公知であるが、これらの材料はしばしばあまり好ましくない。その理由は例えば、自身の水溶性が原因で、水から遠ざけておかねばならないこと、腐蝕することがあること、しばしば過冷却すること、相転移が広い温度範囲にわたって起こることがあること、及び溶解の際に遊離する結晶水の不可逆的な分離が問題となりがちであることである。一方でこれらの効果のいくつかに対抗する措置を用いることが可能であり、水不溶性の有機相変化材料を使用することがしばしば好ましい。と言うのもこのような材料は、安定的な微粒子形態で供給することが、より容易だからである。
潜熱貯蔵が必要とされる物品に、有機相変化材料を直接組み込むことは、公知である。しかしながら、有機相変化材料の微粒子状形態を、とりわけ保護シェル内で利用することがしばしば好ましい。この場合、これらの粒子はカプセルである。
注意しなければならないのは、特性の最適な組み合わせを保証するために、蓄熱目的で有機相変化材料を供給する場合である。有機相変化材料は一方では、有機材料特有の燃焼可能性が原因で、熱に晒されないのが好ましい。しかしながら有機相変化材料が物品内に閉じこめられるか、又は深く埋め込まれすぎていて、熱エネルギーが有機相変化材料に到達できない場合は特に、前記有機相変化材料は、潜熱蓄熱材と同じくらい効果的に機能することはできない。
熱エネルギー貯蔵のために有機相変化材料を使用する特別な問題は、潜熱貯蔵特性の適切な組み合わせを保証しながら、燃焼の危険性を避けることである。この問題を克服するために、様々な試みがなされてきた。
US2003 211796は、マイクロカプセル化された有機の潜熱蓄熱材を含む物品を防炎仕上げにするための、膨張性被覆材料の使用について言及している。被覆中で充填材としての水酸化物の使用が言及されている。
日本国特許出願52151296は、多価アルコール、高級アルコール、無機水酸化物、及び無機充填材から成る混合物を記載している。高級アルコールは、微粒子状形態ではないように思われる、又は無機成分全体にわたって均等に分配されているが、この混合物中で高級アルコールが相変化材料として機能しうることの示唆はない。
日本国特許公開JP01135890は、熱エネルギーを貯蔵する建築材料を記載しており、当該材料は、潜熱エネルギー材料を含有する混合ペレットを基材中で混合すること、及び基材表面に不燃性の薄板を設けることによって形成されるものである。
R. Benrashid et alによるJournal of Fire Sciences, VoI 14, No 2, 128p〜143p (1996年) の論文は、ヘキサデカンで含浸された壁板の燃焼性を記載している。アルミニウム三水和物、又は水酸化マグネシウムを含有するエポキシ塗料を用いた壁面の表面処理が言及されている。
上記文献は、有機材料を含む物品への防火性について言及しており、これはUS2003 211796、及びJP01135890の場合、有機相変化材料である。しかしながらこのようなシステムは、被覆が無傷のままに保たれる程度の火炎防護性をもたらすに過ぎない。
US6099894、US6171647、及びUS6270836はそれぞれ、金属酸化物(例えば酸化マグネシウム又は酸化アルミニウムであってよい)含有ゲル被覆を含むマイクロカプセルを記載している。しかしながら、ゲルコーティングの調製は、危険な工程を用いるように思える。
US2006/124892、及び2006 062610は、相変化材料と、非常に低密度のポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、及びスチレンエチレンブタジエンスチレンポリマーから選択される1つ又は1つより多いポリマーとを含む組成物を記載している。相変化材料はさらに、不活性粉末(これはケイ酸塩、1つ若しくは1つより多い難燃剤、又はこれらの混合物であってよい)を含み、この粉末の吸収容量は、少なくとも50質量%である。この相変化材料は、ポリマーマトリックス中ではどちらかと言えば微粒子状であるように思える。
日本国特許出願公開6−41,522Aは、潜熱蓄熱材、例えばパラフィンと、好ましくはポリオレフィン、例えばポリエチレン、水酸化アルミニウム、及び好ましくは赤リンとの融解混合物を含有する蓄熱材を記載している。この相変化材料は微粒子形態ではなく、そして水酸化アルミニウムが相変化材料のマトリックス内に分配されていることが必要となる。
中国特許出願公開CN1927985は、金属材料、例えば超微粒子状アルミニウム粉末、及び難燃剤が組み込まれた、変性パラフィンの相変化材料を記載している。金属材料及び難燃剤は、相変化材料内に組み込まれているようである。
"Phase Change Materials for Eco Cement Products" という表題の論文(http://www.tececo.com/files/newsletters/Newsletter23.htm)は、相変化材料とマグネシアエコセメントとを合する知見を記載している。しかしながら、相変化材料の形態は開示されておらず、そして難燃性のために防火性をもたらすことの示唆はない。
本発明の対象は、改善された難燃性を有する熱貯蔵組成物を提供することである。さらなる対象は、このような組成物を提供して、上記先行技術の不利な点を克服することである。
本発明の1つの態様によれば、我々が提供するのは、
改善された難燃性を有する熱エネルギー貯蔵組成物であって、
A)有機相変化材料(PCM)の粒子、
B)難燃性の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は
C)マグネシアセメント
を含み、この際、(A)有機相変化材料の粒子が、(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子全体にわたって、及び/又は(C)マグネシアセメント全体に均一に分配されている組成物である。
1つの態様において本発明の組成物は、有機相変化材料(A)の粒子と、難燃性の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウム(B)の粒子の両方を含む。この態様では、成分(A)の粒子、及び成分(B)の粒子が密に集まっているのが望ましい。これはつまり、相変化材料の粒子が、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子と近接しているのが望ましいということである。好ましくは両成分の粒子のうち少なくとも一部が、実質的に相互に接触している、例えば実質上、又は実際に接触しているのが望ましい。
少なくとも2つの成分の粒子は理想的には、組成物全体にわたってほぼ一定の比で維持されるのが望ましい。一般的に比較的少ない量で含まれる成分の粒子は、比較的多い量で含まれる成分の粒子によってその大部分が取り囲まれる傾向がある。
さらなる態様において本発明の組成物は、有機相変化材料(A)の粒子、及びマグネシアセメント(C)を含む。望ましくは成分(A)及び成分(C)は、密に集まっているのが望ましい。これはつまり、成分(C)が例えば実質上、又は実際に成分(A)と近接しているということである。好ましくは成分(A)は、成分(C)によりほぼ取り囲まれている。この態様では一般的に、有機相変化材料の粒子は、マグネシアセメント成分中にほとんど取り込まれている。望ましくはこの態様では、有機相変化材料の粒子はマグネシアセメントのマトリックス中に包含されている。好ましくはこのマグネシアセメントは、組成物全体にわたってほとんど密着したマトリックスを形成することができる。代替的にはこの組成物は、マグネシアセメント全体に分配された有機相変化材料の粒子をそれぞれ含む、マグネシアセメントのピース、ペレット、ブロック又は粒子のうち複数のものを含んでいてよい。
この態様では有機相変化材料の粒子は、マグネシアセメント全体に均一に分配されている。これはつまり、2つの成分の粒子が理想的には、組成物全体にわたってほぼ一定の比に保たれているのが望ましいということである。
さらなる態様は、有機相変化材料(A)の粒子、難燃性の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウム(B)の粒子、及びマグネシアセメント(C)が組み込まれている組成物である。一般的に有機相変化材料の粒子、及び水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子は、本発明の最初の態様に従って混ぜ合わせる。マグネシアセメントは、この後、有機相変化材料の粒子、及び水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子の双方を取り囲む。こうしてマグネシアセメントは、成分A及びBの両方の粒子を含むマトリックスを形成することができる。これに関連して、成分A及びBの両方から得られる粒子は、望ましくはマグネシアセメント全体に分配されているべきであり、好ましくはこのマグネシアセメントが、組成物全体にわたって密着したマトリックスを形成する。
成分A及びBの粒子はそれぞれ、マグネシアセメント成分C全体にわたって独立して均一に分配することができる。好ましくは有機相変化材料Aの粒子を、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウム成分Bの粒子全体にわたって均一に分配することができ、そしてそれから成分AとBとの混合物をマグネシアセメント成分C全体にわたって均一に分配することができる。
本発明による熱貯蔵組成物及び物品には、改善された難燃性、及び/又は耐火性を示すという利点がある。難燃性及び耐火性という言葉は、相互に置き換え可能に用いられることもあるが、これらの言葉はしばしば燃焼性の点で微妙な差異を意味する。本発明では、難燃性/燃焼遅延性という言葉は、燃焼に耐性がある、又はゆっくりと燃える材料を意味し、そして耐火性という言葉は、火炎遮蔽物として作用する程度の材料を意味する。本願では一般的に、難燃性という言葉を使用する。本発明により、燃焼遅延性及び/又は難燃性の両方、及び耐火性組成物及び物品、とりわけ燃焼遅延性の組成物及び物品が得られる。
本発明はさらに、
A)有機相変化材料(PCM)の粒子、
B)難燃性の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は
C)マグネシアセメント
を含み、当該粒子(A)が(B)及び/又は(C)と密に集まっている、改善された難燃性を有する熱エネルギー貯蔵組成物を得る方法に関する。
この方法は、
I)有機相変化材料(A)の粒子を、水性エマルション、水性分散液、水性ペースト、湿ったケーキ又は乾燥粉末として供給する工程、
II)工程(I)で供給される成分(A)を、水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウムの粒子(B)、及び/又はマグネシアセメント(C)の成分を製造するために使用される材料と合する工程を含み、この際、当該成分(B)が、乾燥粉末、湿ったケーキ、水性ペースト、又は水性スラリーの形である、方法である。
有機相変化材料粒子(A)を水性エマルションとして、又は水性分散液として、及び水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウム(B)との混合体を水性スラリーとして供給するのが望ましい。成分Aの水性エマルション又は分散液は、成分Bの水性スラリーに加えることができるか、又は代替的には成分Bの水性スラリーを成分Aの水性エマルション又は分散液に加えることができる。どちらの場合でも、均質なスラリーが形成されるのが望ましい。このスラリーを希釈するために水を加えることができるのが望ましく、そして選択的に、所望の粘度、固体成分、及び安定性を得るために分散剤を添加することができる。
代替的には有機相変化材料(A)を、粉末として供給してもよい。所望の場合には、成分Aの粉末を、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムのスラリーに添加して、均質なスラリーを形成させるのが望ましい。このスラリーを希釈するために水を添加してもよく、そして選択的に所望の粘度、固体濃度、及び安定性を得るために、分散剤を添加することができる。
さらに代替的には、成分A及びBを一緒に混合して、ブレンド粉末を形成することができる。スラリーを形成するために、このブレンド粉末に水を添加してもよい。そして選択的に、所望の粘度、固体含分、及び安定性を得るために、分散剤を添加してもよい。
本発明の組成物の製造は、酸化マグネシウム(MgO)を有機相変化材料粒子(A)の水性エマルション/分散液に加え、水の部分量を酸化物の一部、又はほぼすべてと反応させて、相応する水酸化物(B)を形成させることによっても可能である。この方法の態様で作られる生成物は、スラリー、ペーストであつてよく、又は付加的な微粉砕工程を用いることによって、基本的に乾燥している粉末状又は顆粒状の生成物であってよい。再度、分散剤を用いてもよい。
適切な有機相変化材料は、有用な温度(通常は0〜80℃)で固−液/液−固の相変化を起こす、水不溶性の有機材料である。一般的に相変化のエンタルピー(溶解及び結晶化の潜熱)は高い。適切な有機相変化材料は、高い相変化エンタルピーを示し、示差走査熱量計(DSC)により測定すると通常は、>50kJ/kg、好ましくは>100kJ/kg、及び最も好ましくは>150kJ/kgである。
適切な有機相変化材料は、ほぼ水不溶性の脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、脂肪酸、アミド、脂肪族エステル、線状炭化水素、分枝状炭化水素、環状炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及びこれらの材料の混合物を含む(ただし、これらに限定されるわけではない)。アルカン(しばしばパラフィンと呼ばれる)、エステル、及びアルコールがとりわけ好ましい。アルカンは好ましくは、鎖長の異なる物質の混合物として市販で最もよく手に入る実質的なn−アルカンであり、その主成分(ガスクロマトグラフィーで測定可能)が、C10〜C50、通常はC12〜C32のものである。アルカン有機相変化材料の主成分の例は、n−オクタコサン、n−ドコサン、n−エイコサン、n−オクタデカン、n−ヘプタデカン、n−ヘキサデカン、n−ペンタデカン、及びn−テトラデカンを含む。適切なエステル有機相変化材料は、1つ又は1つより多いC10〜C24脂肪酸のC1〜C10アルキルエステル、とりわけメチルエステルから成り、この際にその主成分は、ベーヘン酸メチル、アラキジン酸メチル、ステアリン酸メチル、パルミチン酸メチル、ミリスチン酸メチル、又はラウリン酸メチルである。適切なアルコール有機相変化材料は、1つ又は1つより多いアルコールを含み、この際にその主成分は例えば、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、及びn−オクタデカノールである。
付加的な火炎防護性をもたらすため、主な有機相変化材料と一緒にハロゲン化炭化水素を含むことも可能である。
有機相変化材料はほぼ水不溶性であるが、このことは有機相変化材料の微粒子状形態、例えばエマルション形態又はカプセル化された形態を製造するために必要だからである。
本発明はとりわけ、本発明により提供されるような適切な処理がされていなければ、有機相変化材料を含む物品の燃焼性に悪影響を与えたであろう可燃性の有機相変化材料に適している。
本発明において有機相変化材料は、微粒子状の形態、つまり乳化された、又はカプセル化された形態で利用される。以下で詳細に論じる理由のために、相変化材料粒子の粒径は、大きすぎないのが望ましい。相変化材料粒子は典型的には、一定の制限内で可能な限り小さい。このことは、相変化材料の形態、例えば乳化された、又はカプセル化された形態を考慮する際、以下でより詳細に論じられる。
本発明の1つの態様では相変化材料は、カプセル化されていても、又はカプセル化されていなくてもよい自由分散粒子として存在していてよい。相変化材料の粒子がカプセル化されていない場合、相変化材料粒子は水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウム(B)の粒子、及び/又はマグネシアセメント(C)と直接接触していてよい。
有機相変化材料がカプセル化されていない本発明の組成物を得るためには、一般的にエマルションの形で相変化材料を供給するのが望ましい。適切なエマルションは、水性連続相中で安定化された、有機相変化材料の分散相から成る、これはすなわち水中油型、又はO/W型エマルションである。「エマルション」という言葉は、液−液二相システムにしばしば適用される。本発明において「エマルション」という言葉は、相変化材料の粒子が液体(融解物)、又は固体(結晶化したもの)であるか次第で、液−液、及び固−液システムの両方を含む。従って、有機相変化材料について言及する際に「粒子」という言葉は、液体形態及び固体形態を両方含む。適切なエマルション、モノマー界面活性剤、及び/又はポリマー界面活性剤は、有機相変化材料の乳化を容易にするため、及び水性連続相中で粒子を安定化させるために使用される。
エマルションの粒径は、一般的にかなり狭い範囲に限定される。サイズが大きすぎる粒子、特に非常に粗い粒子は、避けるのが望ましい。と言うのも、こうした粒子は比較的不安定であり、かつ凝集しやすく、それゆえ相分離を起こしやすいからである。従って実施上の理由から、エマルション形態の有機相変化材料の粒径は通常、0.05μm〜50μm、しばしば0.1μm〜20μm、及びより頻繁には0.5μm〜10μmである(例えばSympatec社製の粒径分析機で測定して、体積平均直径で記載)。従ってこの定義は、マイクロエマルション及びナノエマルションとして記載されるエマルションを含む。
このエマルションは好ましくは、有機相変化材料の粒子を少なくとも20%w/w含み、そしてより好ましくはこの含分は、少なくとも40%w/wである。エマルションは有機相変化材料の粒子を最大75又は80%w/w含んでいてよいが、通常は60又は65%w/w以上ではない。
エマルションは通常、静置貯蔵で数時間後に相分離を起こさないくらい適切に安定的であるのが望ましい。好ましくは少なくとも7日間の間、及び最も好ましくは少なくとも30日間の間、安定的である。エマルションはしばしば、数週間又は数ヶ月にわたって、さらには最大1年、又はそれ以上にわたって安定的である。粒子は貯蔵容器の表面に向かって移動する傾向がある(「クリーム化」として知られる作用)のだが、良好なエマルションは不安定化して粗大化した相変化材料の実質的な相を形成することがなく、撹拌によりクリーム化した粒子のほとんどが再び均質化される。
適切なエマルションは、Philip Shermanの著書「Emulsion Sience」に記載されているような慣用の方法で、調製することができる。モノマー界面活性剤(乳化剤)を選択するための適切な基準は、ICI発行の「The HLB System」という表題の刊行物にある。他の多数の文献や論文は、使用すべきモノマー界面活性剤及び/又はポリマー界面活性剤の選択及び適切な量を含む、安定的なエマルションの調製を記載している。
一般的に、有機相変化材料の液状形態、すなわち融解状態を使用してエマルションを調製するのが好ましいことに注意すべきである。添加剤、例えばハロゲン化パラフィン、有機核形成剤、油溶性界面活性剤などを含む有機相変化材料もまた、理想的には完全に液体状であるのが望ましい。有機相変化材料(選択的な添加剤を含む)をエマルション形成の間、液体状に維持することが好ましく、このことは通常、有機相変化材料(選択的な添加剤を含む)の温度を、ワックス結晶が形成され得る温度より高くに保つことを含む。エマルションの形成は、有機相変化材料を含む分散相と水性相との組み合わせを含み、そして時折、有機相変化材料の添加前、及び/又は添加の間に水相の温度を制御することが必要になる。これは、問題となる結晶化が起こり得る温度にまで、分散相が冷却されるのを避けるためである。
本発明の好ましい態様では、有機相変化材料は、カプセル粒子の形でシェル内にカプセル化されている。カプセル粒子は、(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は(C)マグネシアセメントと直接接触していてよい。
典型的にカプセル化された有機相変化材料は、有機相変化材料、及び選択的な添加剤、例えばハロゲン化パラフィン、又は相変化材料に対して不浸透性のシェルにより取り囲まれた核形成剤を含む。有機相変化材料の自由(拘束されていない)粒子とは異なり、カプセル粒子は、カプセルのコアにある有機相変化材料がより高いエネルギーの融解状態であっても、固体粒子のままである。カプセル形態では、有機相変化材料はシェルによって完全に取り囲まれ、かつ閉じ込められ、そして汚染から保護される。シェルが頑丈であれば、有機相変化材料はより安全に含有され、かつカプセルから、及びカプセルを含む組成物から逃れることがより少なくなる。このような理由で、本発明においてカプセルは、とりわけ頑丈なカプセルを使用することが好ましい。カプセルの頑丈さについての詳細は、以下に示す。
カプセル化された有機相変化材料は安定的な固体物なので、先に述べた乳化された有機相変化材料で可能であった時よりもより広い範囲の粒径で供給することができる。本発明では、平均一次粒径が0.1μm〜1mmのカプセルが使用可能である。本発明では一般的に、多くの理由からより小さいカプセル粒径を使用することが好ましい。より小さい一次カプセルは、耐久性がより高い傾向があり、有機相変化材料を直ちには放出しない本発明による組成物につながる。そのより大きい表面/体積比が原因となって、より小さい粒径は、有機相変化材料の粒子に/粒子から、熱をより即座に移す本発明による組成物をもたらすと考えられる。より小さいカプセルを、水酸化物粒子(B)全体にわたって、又はセメントマトリックス(C)内部でより均一に分配することは一般的に可能であり、そうしなかった場合よりも良好な火炎保護性につながる。
カプセルは水性分散液又は乾燥粉末の形で便利に使用することができる。
適切な水性分散液は通常、マイクロカプセルを30〜60%w/w、最も好ましくは40〜50%w/w含む。水性分散液として供給される場合、有機相変化材料のカプセルの粒径は注意深く考慮すべきである。前述のより小さいカプセルの利点に加えて、より小さいカプセルの分散液はより良好な安定性(低減されたカプセルクリーム化又は沈降)という好ましい特性を示し、等量の濃度でより大きいサイズのカプセルの分散液に比較して、粘度の上昇という好ましくない特性を示す。非常に小さい粒径を有する適切なカプセルを製造することは、一般的により困難であり、及び/又は必要となる方法は、必要となる余分な工程、及び/又はより特別な装置の使用が原因でより高コストになる。これらの利点と欠点の間にバランスを見いださなければならず、カプセルの体積平均直径(VMD)は(水性分散液の形で)通常、0.2μm〜20μmが選択される。水性分散液中のカプセルのVMDは好ましくは、0,7μm〜10μm、及びより好ましくは1μm〜5μmである。VMDは、Sympatec社のHelos粒径分析機、又はマイクロカプセルに対する結果が得られることが判明しており、Sympatec社のHelos分析機と調和する他の技術によって測定される。
本発明ではまた、乾燥形態のカプセルも使用することができる。このようなカプセルは、カプセルの水性分散液又は懸濁液を、水除去工程(この工程は、スプレー乾燥、空気乾燥、濾過、又は遠心分離を含んでいてよい)に供すると得ることができる。カプセルのペースト形態又はケーキ形態を製造するために、水を部分的に除去することも可能である。スプレー乾燥は、VMDで最大10μmのマイクロカプセルの分散液から、基本的に乾燥した生成物を製造する時にとりわけ好ましい。スプレー乾燥できるカプセルの粒径は好ましくは、1μm〜5μmである。スプレー乾燥された有機相変化材料粒子は、1つ、又は1つより多くの一次粒子(マイクロカプセル)、及びしばしばアグロメレート化された形態の幾つかの一次粒子から成る。スプレー乾燥された粒子のVMDは一般的に、5μm〜200μm、好ましくは10μm〜100μm、及びより好ましくは15μm〜50μmである。この範囲では、小さい粒径の利点と、塵を避ける必要性、及びこれに関連する呼吸器系の危険性とのバランスが取れる。
本発明ではカプセルの水性分散液の形態を使用するのが好ましい。と言うのも、これによって通常は、好適なより小さなカプセル粒径が得られ、そして水の除去工程が避けられ、低コストだからである。典型的なマイクロカプセル化工程により、工程生成物として水性カプセル分散液が得られることに、留意すべきである。
カプセル化工程により、ほぼコアシェル構成のカプセルが生じる。このコアは有機相変化材料から成り、そしてシェルはカプセル化ポリマー材料から成る。カプセルは通常、ほぼ球形である。シェルは好ましくは、有機相変化材料が汚染から保護されるように、そしてカプセルから容易に逃れられないほど耐久性がある。熱重量測定(TGA)は、カプセルの頑丈さの指標をもたらす。「半値(Half Height)」とは、乾燥カプセルの固定質量を一定の速度で加熱した時に、乾燥した(水不含の)カプセルの全質量の50質量%が失われる温度である。この分析法で質量は、シェルを通って浸透する蒸気として逃げる有機相変化材料によって、及び/又はシェルの破断によって失われ得る。Perkin−Elmer社のPyris 1を用いて、1分あたり20℃の加熱速度で、通常は乾燥試料5〜50mgを使用してTGAを行うと、とりわけ適切な有機相変化材料のマイクロカプセル(平均粒径範囲1μm〜5μm)は、半値が250℃超、好ましくは300℃超、及びより好ましくは350℃超である。
カプセル化された有機相変化材料は好ましくは、本発明で成分Aとして使用し、そして好ましくは、一次有機相変化材料(選択的に核形成剤のような添加剤を含む)がコアに存在しているコアシェル構成を有する。
コアの周囲で形成されているシェルにより、核形成剤のような選択的な添加剤を含む一次相変化材料の損失を防ぐ、及び防止する。シェル材料の量とコア材料の量は、コア材料の最大量、及び従って最大の潜熱量を含む耐久性カプセルが得られるように選択する。しばしばコア材料は、カプセルの少なくとも20質量%、好ましくは50〜98質量%、及びより好ましくは85〜95質量%を形成する。
カプセルは、正確な構成及びサイズのカプセルを製造するために適したあらゆる便利なカプセル化工程により形成することができる。カプセルを作るための様々な方法は、文献に提示されている。マトリックス中への活性成分の閉じ込めを含む方法は一般的に、例えばEP−A−356,240、EP−A−356,239、US 5,744,152、及びWO 97/24178に記載されている。 コアの周囲にポリマーシェルを形成するための通常の技術は例えば、GB 1,275,712、1,475,229、及び1,507,739、DE 3,545,803及びUS 3,591,090.に記載されている。
好ましいコア/シェルカプセルにつながるカプセル化工程は、相変化材料の水中分散液(必要となる場合には、核形成剤のような添加剤を選択的に含む)の形成を含む。有機相変化材料(核形成剤のような添加剤を選択的に含む)は通常、融解状態であり、所望のカプセル粒径を得るために必要な特定の直径の液滴を製造して、その後に有機相変化材料の周囲にシェルを形成させる。従って、カプセル化された形の有機相変化材料にとっては、有機相変化材料がほぼ水不溶性であることが重要である。適切な有機相変化材料は、ほぼ水不溶性の先述のものを含む。
コアシェル構成のマイクロカプセルは、アミノプラスト材料、とりわけメラミンと尿素、例えばメラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、及び尿素−メラミン−ホルムアルデヒド、ゼラチン、エポキシ材料、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ビニルポリマー又はアリルポリマーなどを含む様々な種類の数多くの材料から形成することができる。WO01/54809は、アクリル酸モノマーから形成されるアクリル酸コポリマーシェル材料を開示している。シェルがホルムアルデヒド樹脂又は架橋されたアクリル酸ポリマーから成るマイクロカプセルは、熱質量分析で測定すると通常は非常に頑丈なので好ましい。アクリル酸類は、頑丈であり、かつホルムアルデヒド樹脂を含むカプセルとは異なり、毒性物質のホルムアルデヒドを放出しないので、とりわけ好ましい。
必要不可欠ではないが、過冷却又は過冷として知られる効果を打ち消すために核形成剤を使用するのが好ましい。過冷却とは、バルクの、乳化されていない、又はカプセル化されていない有機相変化材料について通常予測されるよりも低い温度で有機相変化材料が結晶化する効果である。この効果は、有機相変化材料を独立した微視的なドメインに、例えばエマルション形態又はマイクロカプセル化された形態に隔離した時に、もっとも明らかである。例えば、マイクロカプセル化された有機相変化材料の示差走査熱量計(DSC)により(核形成剤不使用)、バルク形態(カプセル化されていない形態)での有機相変化材料に対しての1つ又は1つより多いピークよりも低い温度で発生する1つ又は1つより多い結晶ピークを明らかにすることができる。
過冷却は通常、有機相変化材料の有効潜熱量を減少させてしまうことがあるので、望ましくない。核形成剤の使用は、有機相変化材料が平均直径で約100μm未満、特に約50μm未満、及び殊に約10〜20μm未満の微粒子状形態であるときに、とりわけ有利であり、これはしばしば、有機相変化材料が乳化されている、又はマイクロカプセル化されている場合である。効果的な核形成剤を有機相変化材料にブレンドすると、過冷却は著しく減少する、又は排除される。核形成剤は好ましくは、有機相変化材料の結晶化温度より高い温度で有機相変化材料と混合可能であり、かつ溶融ピーク温度が好ましくは有機相変化材料の溶融ピーク温度よりも少なくとも15℃、及び好ましくは少なくとも20℃高い、有機材料である。溶融ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定し、1つ又は1つより多いピークが見つかれば、溶融ピーク温度は最大のピークから測定される。適切な核形成剤は、EP0623662(Mitsubishi Paper Mills)で開示されているものを含む。好ましい核形成剤は、パラフィンワックス、脂肪酸エステル、及び脂肪族アルコールである。
パラフィンワックスは、その有効性、コスト、及び入手の容易さからとりわけ有用である。溶融ピーク温度が、40℃〜80℃、しばしば45℃〜75℃、及びより頻繁には50℃〜65℃のパラフィンワックスが、費用対効果もよく、すぐに手に入る。このような核形成剤は、有機相変化材料が基本的にノルマルパラフィンである時に、とりわけ効果的である。パラフィン核形成剤の溶融ピーク温度は、有機相変化材料の溶融ピーク温度よりも少なくとも15℃、及びより好ましくは少なくとも20℃高いのが望ましい。過冷却を減少させる又は排除するために、望ましくは1つ又は1つより多い核形成剤を、PCM及び核形成剤の全質量に対して0.5〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、及びより好ましくは5〜15質量%の濃度で有機相変化材料と混合する。核形成剤として、相変化材料中に混合されたマイクロ粒子又はナノ粒子、例えばフュームドシリカのナノ粒子、TiO2、又は他の無機材料を用いることも可能である。この場合、マイクロ/ナノ粒子含分は(有機相変化材料を含む核形成剤粒子の全質量に対する割合として)、0.01〜20%、好ましくは0.05〜10%、及びより好ましくは0.1〜5%にある傾向がある。
マグネシウム及びアルミニウムの水酸化物(成分B)、並びにマグネシアセメント(成分C)、例えばマグネシウムオキシクロリドセメント(ソーレルセメントとして知られる)、リン酸マグネシウムセメント、及びマグネシウムオキシサルフェートセメントは、有機相変化材料粒子を含む組成物に対して改善された難燃性の利益をもたらす。さらに当該組成物は、難燃性と、熱及び冷気の貯蔵及び放出可能性(熱エネルギー貯蔵)との有利な組み合わせをもたらすことが判明した。
成分Bとして適切な水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム(三水和アルミナ又はATHとして知られる)は、Albermarle社の商品名Magnifin及び Martinal(それぞれ、水酸化マグネシウムと水酸化アルミニウム)、並びにPremier Pehclase社のEcomag(水酸化マグネシウム)である。Huber 社のMicral & Vertex製品はそれぞれ、ATHベース、及び水酸化マグネシウムベースである。水酸化マグネシウムは、その場で適切な反応性酸化マグネシウムから、とりわけ軽焼酸化マグネシウムから製造することができる。この場合にこの酸化物は、調製物中で水(カプセルの水性分散液として供給される場合には有機相変化材料の粒子と密に集まっている水を含む)と反応させることができる。成分Bの水酸化物は、本発明による組成物の均質性を最大にするため、及び難燃性に対して最大の保護表面積を得るために、粒径が微細であるのが好ましい。
適切な水酸化物の粒径(d50)は通常、Albermarleのような業者の製品(例えばMalvern Mastersizer Sを用いたレーザー回折技術)によれば、0.5〜50ミクロン、好ましくは0.5〜10ミクロン、及びより好ましくは0.5〜5ミクロンである。水酸化物が(粉末と言うよりは)水中分散液の形態で供給される場合、分散剤の使用、例えば低分子量のアニオン性アクリレートホモポリマー又はコポリマーの使用は、最大の水酸化物含分及び最少の水含分を有する流動性の分散液を調製するために有益である。分散剤は、本発明による組成物中で水酸化物粒子のアグロメレート化を避ける、又は減少させるので、有用である。
成分Cは、マグネシアセメントとして公知のあらゆる材料である。マグネシアセメントは、酸化マグネシウム、1つ又は1つより多い無機塩及び水を含む、水和反応から形成される1群のセメントである。Dr Mark A.Shandは、自身の著書「Magnesia Cements」の中で、3つの主な種類のマグネシアセメントとそれらの特性についての有用な概観を提供している。
マグネシウムオキシクロリドセメント、さもなくばソーレルセメントとして知られるものは、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、及び水から形成される。塩化マグネシウムはしばしば、セメントミックスを調製するために水溶液の形態で使用される。Shandは硬化したセメントペースト内に見られる主な結合相を記載しており、かつ優れた機械的特性は、「5型(5−form)」から得られると述べており、その式は5Mg(OH2)・MgCl2・8H2Oである。これはShandによれば酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、及び水を5:1:13のモル比で使用して形成される。僅かな過剰量の酸化マグネシウム、並びに5型を得るため、及び過剰な酸化マグネシウムを水和するために充分な量の水を使用することも、提案されている。従って、5型という高濃度が、優れた機械的特性が必要とされるソーレルセメントを含む本発明による組成物で好ましいであろうということは、明らかである。
他の2つの主なマグネシアセメントは、マグネシウムオキシサルフェートセメントと、リン酸マグネシウムセメントである。マグネシウムオキシサルフェートセメントは、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムを水と反応させることにより製造される。また、硫酸マグネシウムはしばしば、水溶液として用いられる。リン酸マグネシウムセメントは、酸化マグネシウム、水溶性リン酸塩(例えば単塩基性若しくは二塩基性アンモニウム又はアルカリ金属塩)、及び水から形成される。他のマグネシアセメントと同様に塩成分は、水溶液の形で使用するのが最も便利である。Shandは自身の著書「Magnesia Cements」の中で、リン酸マグネシウムセメントが水の作用及び氷解条件の作用に対して、他の2種類の主なマグネシアセメントより耐性があることを指摘している。
酸化マグネシウムの反応性形態が、時折「軽焼」と呼ばれる低温か焼から得られる成分Cの調製において最も好ましい。このような材料のように反応性のものは、製造に必要となるエネルギーがより少ないという利点がある。
この組成物は好ましくは、有機相変化材料粒子(A)を、水酸化マグネシウム及び/又は水酸化マグネシウムの粒子(B)(このうち片方/両方)、及び/又はマグネシアセメント(C)に対して、1:50〜5:1、好ましくは1:10〜2:1、及びより好ましくは1:5〜1:1の比の相対量で含む。成分Aは、あらゆる有機核形成剤を含む相変化材料として表される。成分BとCの両方が存在する場合、B対Cの比は、1:9〜9:1、好ましくは1:3〜3:1である。
本発明の組成物の潜熱量は、組成物中の成分A、B、及び/又はCの質量の合計に対して表され(存在しうる他の材料は含まない)、1〜200J/g、しばしば5〜150J/g、及びより頻繁には10〜100J/gの範囲にある傾向がある。
本発明の組成物は、均一に分配された有機相変化材料粒子、及び水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子を含む、水ベースのスラリーの形で、又は水ベースのペーストの形であってよい。このような組成物は理想的には、有機相変化材料粒子と水酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウムの粒子を企図される最終用途に所望の比で含む。この組成物は、目的生成物を製造する時に高い水含分が存在することから生じるあらゆる問題、例えば乾燥時間や収縮可能性を最小限にするために、最大の乾燥固体含分、及び最少の水含分を有するのが望ましい。分散剤の使用が、水酸化物と有機相変化材料粒子とからなる流動性の安定的な分散液を調製するために有利であることが判明している。低粘度のスラリー形態である場合、使用前の撹拌によってスラリーがほとんど均質の状態に戻るという条件で、貯蔵の際のある程度の粒子分離は許容できる。
本発明によればこの組成物は、様々な物品での温度制御、又は熱若しくは冷気の貯蔵をもたらすための使用に適している。これらの物品は、繊維、発泡体、織物、加熱及び冷却装置、及び建築材料からなる群から適切に選択することができる。
従って本発明により、改善された難燃性を有する熱エネルギー貯蔵組成物を含む物品が得られ、前記熱貯蔵組成物は、
A)有機相変化材料(PCM)の粒子、
B)難燃性の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は
C)マグネシアセメント
を含み、当該粒子(A)が(B)及び/又は(C)と密に集まっており、この際、(A)有機相変化材料の粒子が、(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子全体にわたって、及び/又はマグネシアセメント(C)全体にわたって均一に分配されている。
好ましくはこれらの物品は、繊維、被覆された、又は含浸された織布又は不織布、レンガ、ブロック、ボード、壁タイル(セラミック、ポリオレフィン、樹脂、及びゴム類を含む)、舗装、天井材料(天井タイルなど)、床材(フロアタイル、カーペットなど)、コンクリート製品、モルタル、化粧塗り(render)、プラスター、セメント、室内装飾などを含む様々な建築材料を含む。冷却及び/又は加熱のための装置もまた、含まれる。このような装置においては、冷却又は加熱されるべき流動体が装置を通じて循環され、装置内部にあるPCM成分が、流動体から/流動体へ熱を吸収又は放出する。流動体の例は、空気、及び水のような伝熱性流動体を含む。
マグネシアセメント(成分C)組成物は、有機相変化材料粒子のための難燃剤包含マトリックスをもたらす。その難燃性に加えてマグネシアセメントは、相変化材料粒子を含む様々な固体成分を一緒に結合するセメントによって、強力な固体物品を製造するために使用することができる。さらなる添加剤は、本発明によるマグネシアセメント組成物の難燃性を増加させるために使用することができる。例えば、三酸化アンチモンをマグネシアセメント、とりわけソーレルセメント組成物に添加することができる。
本発明による物品は、AとB、AとC、又はAとBとCを含む本発明の組成物から製造することができる。代替的には本発明の物品は、成分A、及びB、及び/又はCをそれぞれ、その場で組み込むことにより形成することができる。
水酸化物(B)は前駆体酸化物と、調製物に添加された水(分散液又はエマルションの形態の場合には相変化材料と密に集まっている水を含む)との反応からその場で形成することができる。
マグネシアセメント(C)を含む物品と組成物は望ましくは、マグネシアセメント(C)を、有機相変化材料(A)の粒子と、酸化マグネシウム及び水を含むマグネシアセメント成分とを最初に合することによって製造することが必要である。この後マグネシアセメントは、数時間の時間をかけて、又は時には1日又は1日より多くの時間をかけて、適切な強度に凝固させる。
物品/目的生成物が建築材料である場合、これらは付加的にセメント材料、例えばポルトランドセメント、石膏、石灰などをベースとするもの、充填材、例えば砂、骨材、繊維、フライアッシュ、アスファルト材料など、及び伝熱性を補助するための熱伝導性材料などを含んでいてよい。
本発明による物品は一般的に、本発明による組成物を少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも30質量%、及び最も好ましくは少なくとも50質量%含む。
改善された燃焼性、及び熱伝導性のために、最終製品の空気含分を実施可能な限り最小にすることが有益である。空気取り込みの度合いは、物品の密度を参照することによって測定することができ、密度が高ければ空気含分が低いことを示し、そうでなければ類似の、又は同一の組成である。
以下の実施例により本発明を説明するが、これはいかなる限定をも意図するものではない。
実施例1
全体に均等に分配されたPCMマイクロカプセルを有するソーレルセメントディスクを、PCMマイクロカプセルの水性分散液、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、及び水から製造する。
PCMマイクロカプセルは、以下のようにして得られる。質量で45:15:40のメタクリル酸、メチルメタクリレート、及びブタンジオールジアクリレートモノマー(271.7g)を、オクタデカンから成る均質な融解コア材料(1761.0g)、及び溶融ピーク温度が約55℃のパラフィン(142.8g)と一緒に混合することによって、油相を調製する。油相は、このコア材料の固体化温度をちょうど上回る温度、すなわち〜35℃に維持され、コア材料のあらゆる固体化を防ぐ。ラウロイルペルオキシド(熱開始剤)(2.7g)を、この油相に加える。ポリビニルアルコール(Gohsenol GH20)(67.4g)、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸をナトリウム塩として(4.0g)を含む水(2742.2g)中に、Silverson混合機(上質なジャケットを有する)を用いて5分間、この油相を均質化し、安定的なエマルションを形成する。それからこのエマルションを、撹拌機、熱量測定器、及び窒素供給部に接続された気泡塔を有する反応器に移す。撹拌されたエマルションは、窒素を用いて20分間、酸素を除去する。これらの初期工程すべてを通じて(そして製造工程の最後に冷却するまで)、コア材料は融解状態に保つ。
それから反応器の内容物を60℃に加熱して、そしてこの温度を2時間保ち、その後に内容物を80℃に加熱し、それからさらに1時間この温度を保ち、この後に冷却して濾過する。得られる分散液は、オクタデカン92.5%w/w及びパラフィン核形成剤7.5%w/wのコア、及び高度に架橋されたアクリル酸ポリマーのシェルを有するコアシェルマイクロカプセルを含み、そしてこの際にマイクロカプセルはワックス(オクタデカン及びパラフィン)約87.5%w/w、及びポリマー12.5%w/wを含む。この分散液は、1gを1時間、110℃で乾燥させると固体含分が通常45%w/wであり、R1レンズ(0.18〜35μm)、及びクイッセル(Quixcel)分散システムでSympatec社のHelosレーザー回折システムを使用すると、体積平均直径が通常2.0ミクロンである。この分散液は、Perkin−Elmer社のPyris 1を用いて−10℃から50℃で、質量約20mgの試料を用いて、加熱及び冷却速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC)により測定すると、潜熱量が通常、73J/g(溶解転移と結晶化転移の平均値、これらは近似値である)、及び溶融ピーク温度は通常28.0℃、及び結晶化ピーク温度が通常22.5℃である。マイクロカプセル生成物をさらに、Perkin−Elmer社のTGA Pyris 1を用いて熱質量分析(TGA)で分析する。110℃で20分間の初期乾燥工程を用いて、分析前に試料から水を除去する(この結果、マイクロカプセルの質量損失のみが分析される)。それから分析プログラムを稼働させ、10〜15mgの乾燥試料を110℃から500℃に、20℃/分で加熱する。この分析から、マイクロカプセルは質量損失が300℃で通常5%であり、そして50%質量損失の温度(半値)は、通常360℃である。
MAF Magnesite社(オランダ国)から市販の酸化マグネシウム試料を使用し、これはd50粒径が15〜20μmのものと理解される。水(界面活性剤が添加されている)中の酸化マグネシウムの分析は、R4レンズ、及びクイッセル分散システムでSympatec社のHelos分析機を用いて行う。体積平均直径は、19.3ミクロンであり、d50は15.8ミクロンであると判明した。塩化マグネシウムは、Aldrichから市販の<325メッシュでほとんど無水の粉末(<5%H2O)を使用する。
ソーレルセメントディスクは、以下のように製造する。分散液は、脱イオン水(17.07g)、PCMマイクロカプセルの45%w/w水性分散液(6.67)g、及び無水塩化マグネシウム(8.43g)を合することによって形成される。塩化マグネシウムを水と混合する際に活発な発熱反応が起こるので、注意しなければならない。この分散液を、酸化マグネシウムに対して徐々に加える(17.84g)。スパチュラを使用して、見た目に滑らかで均質になるまで、湿った混合物を撹拌する。円形のアルミニウム皿(直径41.2mm、及び深さ4.8mm)に、新たに調製された湿った混合物を完全に満たす。その表面を完全にプラスチックフィルムで覆い、これを皿中の混合物を圧縮するために役立つ重さを用いる場所に置く。この工程は適切なセメントを形成するために必要不可欠であるようには思えないが、このフィルムは混合物からの水の蒸発を防止する水遮蔽物として作用する。室温で約3日貯蔵後に、この混合物を、硬いかどうか、及び適切に凝固しているかについて調査及び観察する。アルミニウム皿から取り除いたディスクは、この皿と同じ形状及び寸法であり、そして材料がアグロメレート化した、又は分離した跡はまったく目に見えないという点で、均質に思える。
セメントディスクから試料を取って、Perkin−Elmer社のPyris 1 DSCを使用して−10℃〜50℃で、及び5℃/分の加熱及び冷却速度で、質量約10mgの試料を用いて分析する。結果は、このディスクが8.0J/gの潜熱(融解転移及び結晶転移の平均値)、及び28.0℃の溶融ピーク温度、及び20.9℃の結晶化ピーク温度を有することを示す。
このディスクを数秒間、プロパンガス火炎中に入れておく。火炎から取り出すと、ディスクが燃えた跡は見られない。
実施例2(比較例)及び3
マイクロカプセル化されたPCM(mPCM)、及び石膏プラスターを含む組成物を、三水和アルミニウム(ATH)有りで、及び無しで以下のように製造する。この組成物のために使用するmPCMは、マイクロカプセルの水性分散液の形で(以降、「mPCM分散液」と言う)供給され、これはPCMを約38%と、核形成剤ワックスを含むものである。これは、実施例1で使用するものと同一の生成物である。石膏プラスターは、BPB Formula社の「Teknicast Plaster」であり、そしてATHはAlbermarle社のMartinal OL104である。このプラスター及びATH乾燥粉末を秤量し、そして一緒に混合し、それからmPCM分散液の必要量を粉末混合物に添加する。凝結遅延剤クエン酸三ナトリウム二水和物を水溶液として、混合物の早期凝固を防ぐために添加する。電気式ブレンダーを使用し、低速で稼働させてこの混合物を撹拌する。さらなる水を必要なだけ添加し、さらに撹拌して完全に均質な湿った混合物を製造し、これは手で加工することができるが、易流動性ではない。この湿った混合物を、プラスチック製の10cm2の正方形の型を含む型に、深さ約1.5cmまで充填し、そしてその表面をコテで滑らかにする。これらの型を、その表面を覆うことなく実験室で貯蔵する。約一日後の調査により、型の中の材料は硬く、乾燥していることが明らかになる。数日後、試験片を型から取り外す。潜熱量は、試験片のうちの1つから小さい試料を取ることによって測定し、これをその後、示差走熱量測定によりPerkin−Elmer社のPyris 1 DSC走査を用いて−10〜50℃、加熱及び冷却速度5℃/分で、通常は質量が10〜25mgの試料で分析する。
2つの組成物を調製し、そして上記手順に従って試験する。成分量及び潜熱値は、表1に示されている。
Figure 2011502927
10cm×10cm×1.5cmの試験片の面を、プロパンブロートーチの火炎に対して30秒間置く試験を行う。その後、この試験片をブロートーチの火炎から外し、そして試験片上でのあらゆる火炎の持続時間を記録する。実施例3から得られる試験片は、実施例2(比較例)から得られる試験片よりも火炎が維持される時間がずっと短い。
実施例4
ATHの代わりにMg(OH)2を使用する点を除いて、実施例2(比較例)及び実施例3の手順に従う。Mg(OH)2は、Albermarle社のMartifin H5である。
成分量及び潜熱値は、表2に示されている。
Figure 2011502927
10cm×10cm×1.5cmの試験片の面を、プロパンブロートーチの火炎に対して30秒間置く試験を行う。その後、この試験片をブロートーチの火炎から外し、そして試験片上でのあらゆる火炎の持続時間を記録する。実施例4から得られる試験片は、実施例2(比較例)から得られる試験片よりも火炎が維持される時間が短い。
実施例5(比較例)及び6
マイクロカプセル化されたPCM(mPCM)及び石膏プラスターを含む組成物は、三水酸化アルミニウム(ATH)有りで、及び無しで以下のように製造する。使用するmPCMが固体粉末形態である点(以降、「mPCM粉末と言う)を除いて、実施例2(比較例)及び実施例3での手順に従う。乾燥しており、かつPCM約85%、及び核形成剤ワックスを含むmPCM粉末は、スプレー乾燥工程によって先の実施例で使用されるmPCMエマルションから製造する。
2つの組成物を製造する。成分量及び潜熱値は、表3に示されている。
Figure 2011502927
10cm×10cm×1.5cmの試験片の面を、プロパンブロートーチの火炎に対して30秒間置く試験を行う。その後、この試験片をブロートーチの火炎から外し、そして試験片上でのあらゆる火炎の持続時間を記録する。実施例6から得られる試験片は、実施例5(比較例)から得られる試験片よりも火炎が維持される時間がずっと短い。
実施例7
ATHの代わりにMg(OH)2を使用する点を除いて、実施例5(比較例)及び実施例6の手順に従う。Mg(OH)2は、Albermarle社のMartifin H5である。
成分量及び潜熱値は、表4に示されている。
Figure 2011502927
10cm×10cm×1.5cmの試験片の面を、プロパンブロートーチの火炎に対して30秒間置く試験を行う。その後、この試験片をブロートーチの火炎から外し、そして試験片上でのあらゆる火炎の持続時間を記録する。実施例7から得られる試験片は、火炎がまったく維持されることなく、実施例5(比較例)から得られる試験片よりもずっと良好である。
実施例8及び9
マイクロカプセル化されたPCM(mPCM)、及び酸化マグネシウム(MgO)を以下のように使用して、2つの中間生成物を製造する。この組成物のために使用されるmPCMは、マイクロカプセルの水性分散液の形(以降「mPCM分散液」と呼ぶ)で供給され、これはPCM約38%、及び核形成剤ワックスを含むものである。これは、実施例1で使用するものと同一の生成物である。酸化マグネシウムは、Premier Periclase社のPremier TechMagであり、これは通常MgOを94.0%含むものである。MgOの必要量は、適切なビーカーに秤量し、そしてmPCM分散液の特定量を他の容器に秤量する。mPCMをMgOにゆっくりと添加し、そして手動で一緒に混合して、均一な生成物を形成させる。混合物はより粘稠になるが、これは多分、MgOが水と反応してMg(OH)2を形成するからである。撹拌の際、ある場合には製造される生成物は粘稠なペーストであり、そして別の場合では顆粒状粉末である。この後、中間生成物を使用してプラスター組成物を製造する。使用される石膏プラスターは、BPB Formula社のTeknicast Plasterである。石膏プラスターの必要量及び中間生成物を秤量し、そして一緒に混合する。この混合物を電気式撹拌機で撹拌する一方、必要なだけ水を添加して、均質な湿った混合物を製造し、これは手で加工できるが、易流動性ではない。凝結遅延剤は使用しない。湿った混合物(加工可能なもの)を、プラスチック製の10cm2の正方形の型に深さ約1.5cmまで充填し、そしてその表面をコテで滑らかにする。湿った混合物の比較的小さな試料も取る。この型を、その表面を覆うことなく実験室で貯蔵する。比較的小さい試料もまた、実験室で貯蔵する。約1日後の調査により、プラスター材料は硬く、乾燥していることが明らかになる。数日後、試験片を型から取り外す。小さな試料の1つを用い、Perkin−Elmer社のPyris 1 DSC走査で示差走査熱量測定により、−10℃〜50℃で、加熱及び冷却速度5℃/分で、通常は質量が10〜25mgの試料でプラスターの潜熱量を測定する。
成分量及び潜熱値は、表5に示されている。
Figure 2011502927
10cm×10cm×1.5cmの試験片の面を、ブロートーチの火炎に対して30秒間置く試験を行う。その後、この試験片をブロートーチの火炎から外し、そして試験片上でのあらゆる火炎の持続時間を記録する。実施例8から得られる試験片は非常に短い時間火炎が維持され、そして実施例9から得られる試験片は、火炎がまったく維持されない。どちらの結果も、実施例2(比較例)から得られる試験片についての結果よりもよいものである。
実施例10及び11
ソーレルセメント組成物は、PCM(n−オクタデカン)マイクロカプセルを組み込んで製造する。
MgCl2・6H2O結晶(SERVA社製)、水性分散液の形態でマイクロカプセル化されたPCM(mPCM)(実施例1で使用のもの)、脱イオン水、及びCiba(登録商標)Burst(登録商標)5004 消泡剤を合することによって、水相を形成する。この混合物を撹拌して、見た目には空気取り込みのない均質な混合物を製造し、そしてこの中に塩化マグネシウムを完全に溶解させる。この水相をゆっくりと酸化マグネシウム粉末Premier TechMag(Premier Periclase社から得られ、通常MgOを94.0%含むもの)に添加する。この混合物を、水相添加の間、及びその後に手動で撹拌する。溶解撹拌機を備えるGreaves社の混合機を用いてこの混合物を均質化し、滑らかで流動性のペーストを製造する。単純化のために、充填材及び/又は骨材及び/又は繊維材料は添加しない。このペーストを、10cm2の皿を含む幾つかの型に注いで、約1.5cmの深さまで満たす。これらの型を、表面の面をさらしたままで実験室内で貯蔵し、セメントを凝固させる。約6時間後にこれらの型を調査し、そしてセメント試験片を取り除く。これらの試験片は非常に硬くかつ強度があり、そして分離又は残留物の跡が見られないという点で、均質に思える。セメントの潜熱量は、離型の数日後に(試験片のうちの1つから)小さい試料を分析することによって、示差走熱測定によりPerkin−Elmer社のPyris 1 DSC走査を用いて−10〜50℃、加熱及び冷却速度5℃/分で、通常は質量が20〜25mgの試料で測定する。
表6は、セメントを製造するために使用される原材料の量と、測定された潜熱値を示す。
Figure 2011502927
型から取り外して二日後、10cm×10cm×1.5cmの各試験片の面を、プロパンブロートーチの火炎に対して30秒間置く試験を行う。その後、この試験片をブロートーチの火炎から外し、そして試験片上でのあらゆる火炎の持続時間を記録する。実施例10及び実施例11から得られる試験片は、火炎が維持されないことが判明する。
実施例12及び13
エマルションを以下のように調製する。Tween 85(ソルビタントリオレエート−20molのHLB11.0のポリエチレンオキシド乳化剤)22.5グラム、Gohsenol GH−20 117.2g(Nippon Gohsei社製のポリビニルアルコール、9.6%w/w水溶液として使用)、及び脱イオン水135.3グラムを一緒に混合することによって、まず水相を調製する。この水相を加熱して、約35℃にする。上質なジャケットが備えられたSilverson社のホモジナイザーを用いて剪断しながら、PCMであるn−オクタデカン225グラムを、約35℃で液体状でこの水相に添加する。このエマルションを、オクタデカンの添加後さらに約8分、最大のホモジナイザー速度設定で剪断する。このエマルションを約30℃に冷却し、そしてさらに最大のホモジナイザー速度設定で1分間剪断する。水中で45%のオクタデカンの生成エマルションは、氷浴/水浴を用いて約20℃に冷却する。このエマルションは、流動性であり、かつ安定的である。クイッセル分散液システム及びR1レンズを用いてSympatec社の粒径分析機で分析すると、エマルションの平均体積直径は1〜1.15ミクロンであり、X100値は2.5ミクロンであると判明する。
このエマルションを製造後すぐに、この分散液を使用して、以下の手順に従って製造される2つのソーレルセメント組成物ベースの試験片を製造する。オクタデカンエマルションをフレーク状のMgCl2・6H2Oに(Stan Chem International Ltd社製(英国)、通常MgCl2を47.3%、及び水を50.5%含むもの)添加する。この混合物を数分間撹拌して、MgCl2・6H2Oフレークを完全に溶解させる。こうして溶解されたMgCl2を含むエマルションは、安定的なままである。このエマルションにFloormag M100(Van Mannekus&Co.B.V.社製(オランダ国)、通常MgOを90%含むもの)を添加する。Floormag粉末添加の間、及びその添加後にこの混合物を撹拌する。溶解撹拌機を備えるGreaves社製混合機を用いてこの混合物を均質化し、滑らかで流動性のペーストを製造する。単純化のために、充填材及び/又は骨材及び/又は繊維材料は添加しない。このペーストを、10cm2の皿を含む幾つかの型に注いで、約1.5cmの深さまで満たす。これらの型を、表面の面をさらしたままで実験室内で貯蔵し、セメントを凝固させる。約1日後にこれらの型を調査し、そしてセメント試験片を取り除く。試験片は非常に硬く、かつ強度があり、分離の跡が見られない点、及び表面にワックス又はオイル残留物がないという点で、乾燥しておりかつ均質であると観察される。セメントの潜熱量は、離型の数日後に(試験片のうちの1つから)小さい試料を分析することによって、示差走熱測定により(Perkin−Elmer社のPyris 1 DSC走査を用いて−10〜50℃、加熱及び冷却速度5℃/分で、通常は質量が15〜20mgの試料で)測定する。
表7は、セメントを製造するために使用される原材料の量と、測定される潜熱値を示す。
Figure 2011502927
型から取り外して二日後、10cm×10cm×1.5cmの各試験片の面を、プロパンブロートーチの火炎に対して30秒間置く試験を行う。その後、この試験片をブロートーチの火炎から外し、そして試験片上でのあらゆる火炎の持続時間を記録する。実施例12から得られる試験片は火炎が維持されることなく、そして実施例13から得られる試験片は、火が消えるまで短時間の間、火炎が保たれる。また、実施例12の試験片からは、試験の間に未同定の液体が少量にじみ出ることも注意される。

Claims (9)

  1. 改善された難燃性を有する熱エネルギー貯蔵組成物であって、
    A)有機相変化材料(PCM)の粒子、
    B)難燃性の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は
    C)マグネシアセメント
    を含み、この際、(A)有機相変化材料の粒子が、(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子全体にわたって、及び/又は(C)マグネシアセメント全体に均一に分配されている、組成物。
  2. マグネシアセメントが(A)有機相変化材料の粒子と、含まれるのであれば(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子とを取り囲んでいる、請求項1に記載の組成物。
  3. 相変化材料が、0〜80℃の温度で固体から液体に、及び/又は液体から固体に相変化を起こす水不溶性の有機物質である、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記有機相変化材料が自由に分散された粒子として存在し、当該有機相変化材料が、(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は(C)マグネシアセメントと直接接触している、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記有機相変化材料がシェル内に、かつカプセル粒子の形でカプセル化されており、当該カプセル粒子が(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は(C)マグネシアセメントと直接接触している、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
  6. 相変化材料粒子(A)対水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子(B)、及び/又はマグネシアセメント(C)の比が、1:50〜5:1、好ましくは1:10〜2:1、及びより好ましくは1:5〜1:1である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
  7. 改善された難燃性を有する熱エネルギー貯蔵組成物であって、
    A)有機相変化材料(PCM)の粒子、
    B)難燃性の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は
    C)マグネシアセメント
    を含み、当該粒子(A)が(B)及び/又は(C)と密に集まっており、この際、(A)有機相変化材料の粒子が、(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子全体にわたって、及び/又は(C)マグネシアセメント全体に均一に分配されている、前記組成物を得る方法において、
    I)有機相変化材料(A)の粒子を、水性エマルション、水性分散液、水性ペースト、又は乾燥粉末として供給する工程、
    II)工程(I)で供給される成分(A)を、水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウム(B)の粒子、及び/又はマグネシアセメント(C)を形成するために必要な成分と合する工程を含み、当該成分(B)が、乾燥粉末、水性ペースト、又は水性スラリーの形である、方法。
  8. 請求項1から6までのいずれか1項に記載の組成物を、繊維、織物、発泡体、加熱装置及び冷却装置、及び建築材料から成る群から選択される物品に、温度制御、又は熱若しくは冷気の貯蔵を付与するために用いる使用。
  9. 改善された難燃性を有する熱エネルギー貯蔵組成物を含む物品であって、
    前記熱貯蔵組成物が
    A)有機相変化材料(PCM)の粒子、
    B)難燃性の水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子、及び/又は
    C)マグネシアセメント
    を含み、当該粒子(A)が(B)及び/又は(C)と密に集まっており、この際、(A)有機相変化材料の粒子が、(B)水酸化マグネシウム及び/又は水酸化アルミニウムの粒子全体にわたって、及び/又は(C)マグネシアセメント全体に均一に分配されている、物品。
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