JP2011256730A - 多気筒エンジンの燃焼室容積調整方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】気筒毎に燃焼室の一部を形成する凹部2とシリンダブロックとの合わせ面3を備えたシリンダヘッドを有し、複数の気筒を列状に配置した多気筒エンジンの燃焼室容積調整方法において、シリンダヘッドの各凹部2の頂部に平坦な基準面10を備えたシリンダヘッド素材を鋳造する鋳造工程と、シリンダヘッド素材にシリンダブロックとの合わせ面3を切削加工する合わせ面加工工程と、シリンダヘッドの合わせ面3から基準面10までの高さ方向距離を気筒毎に計測する計測工程と、計測された高さ方向距離に基づき凹部2表面の切削加工対象部21の加工削り代を調整する調整加工工程と、を有する。
【選択図】図7
Description
ε=((π/4)・b2・s+V)/V
bはシリンダのボア直径、sはピストンのストローク長、Vは燃焼室容積である。
圧縮比を高める場合には、ノッキングやプレイグニッション、若しくはデトネーション等の異常燃焼が発生し易くなる。そこで、通常、点火タイミングを予め設定された圧縮比に応じて圧縮上死点前側へ所定タイミングリタードさせて前記異常燃焼を抑制するように燃焼制御している。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記鋳造工程において、各凹部の切削加工対象部は目標となる燃焼室容積に対して所定の加工削り代を有するように形成されることを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、前記多気筒エンジンは燃焼のための圧縮比が12以上に構成されていることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、鋳造工程において、シリンダヘッド素材の切削加工対象部が予め目標となる燃焼室容積に対して所定の加工削り代を有するように形成されるため、減少方向の調整加工だけでなく増加方向の調整加工を行うことができ、広い範囲の調整加工を行うことがでできる。
請求項5の発明によれば、エンジンの圧縮比が高圧縮比のとき、ノッキングやプレイグニッション、若しくはデトネーション等の異常燃焼を抑制できる。
直列4気筒エンジンのシリンダヘッド1は、アルミニウム合金等の金属材料により一体的に鋳造されたシリンダヘッド素材を形成し、このシリンダヘッド素材の切削対象部を切削加工して形成されている。本シリンダヘッド1を備えたエンジンは、圧縮比が14に設定された高圧縮比エンジンであり、前記圧縮比に応じて燃料供給量や点火タイミングが制御されるよう構成されている。
シリンダヘッド1は、気筒毎に燃焼室の一部を形成する4つの凹部2と、シリンダブロック(図示略)との合わせ面3を備え、シリンダブロックの上部に取付けられるよう構成されている。4つの気筒は同じ構成であるため、以下、1つの気筒の構成について説明する。
基準面10は、鋳造工程において鋳造用金型により形成されるため、離型工程後のシリンダヘッド素材に予め形成されている。
この鋳造工程では、上金型と下金型の間に吸排気ポート4,5等に対応した複数の砂中子を固定配置してシリンダヘッド素材を成形するための成形キャビティを形成し、この成形キャビティに金属溶湯を充填している。
上金型と下金型の型締め後、比較的低圧(0.5kg/cm2)状態のアルミニウム合金溶湯をキャビティに充填する。
シリンダヘッド素材は、吸排気ポート4,5や基準面10等のように予め上下金型や砂中子等により形状を形成された部分を備えている。
V0=K×S0×h0
同様に、シリンダヘッド素材における燃焼室容積V、燃焼室容積Vのときの高さ方向距離h、凹部2の底面積Sとしたとき、以下の式が成り立つ。
V=K×S×h
ここで、S0とSは略同じ面積であるため、収縮誤差(V−V0)は高さ方向距離の差(h−h0)をパラメータとして表すことができる。尚、燃焼室容積V0,Vは、夫々、ピストンが上死点のときの燃焼室の容積である。
図8に示すように、高さ方向距離h(燃焼室深さ)と加工削り代x(切削加工対象部21の加工深さ)との相関関係が予め設定されている。この相関関係では、加工削り代xの基準位置(原点位置)が合わせ面3の高さ位置に相当し、計測された高さ方向距離hが基準高さ方向距離h0よりも大きいとき、加工削り代xが小さく、計測された高さ方向距離hが基準高さ方向距離h0よりも小さいとき、加工削り代xが大きくなるように設定されている。尚、この相関関係では、横軸の1マスは0.05mm、縦軸の1マスは0.5mmとして加工削り代xが設定されている。
本燃焼室容積調整方法は、気筒毎に燃焼室の一部を形成する凹部2とシリンダブロックとの合わせ面3を備えたシリンダヘッド1を有し、複数の気筒を列状に配置した多気筒エンジンの燃焼室容積調整方法において、シリンダヘッド1の各凹部2の頂部に平坦な基準面10を備えたシリンダヘッド素材を鋳造する鋳造工程S1と、シリンダヘッド素材にシリンダブロックとの合わせ面3を切削加工する合わせ面加工工程S3と、シリンダヘッド1の合わせ面3から基準面10までの高さ方向距離hを気筒毎に計測する計測工程S4と、計測された高さ方向距離hに基づき凹部2表面の切削加工対象部21の加工削り代xを調整する調整加工工程S5と、を有している。
鋳造工程S1において、各凹部2の切削加工対象部21は目標となる燃焼室容積V0に対して所定の加工削り代x0を有するように形成されるため、減少方向の調整加工だけでなく増加方向の調整加工を行うことができ、広い範囲の調整加工を行うことがでできる。
本多気筒エンジンはエンジンの圧縮比が14に設定されても、ノッキングやプレイグニッション、若しくはデトネーション等の異常燃焼を抑制できる。
1〕前記実施例においては、吸排気ポート間の外縁位置を一定にする調整加工工程の例を説明したが、合わせ面において気筒間の寸法が確保できる場合、吸排気ポート間の外縁位置を燃焼室中心側へ近づくように切削加工することも可能である。
図10に示すように、この変形例では、加工削り代xの中間位置(原点位置)が合わせ面の高さ位置に相当し、計測された高さ方向距離hが基準高さ方向距離h0よりも大きいとき、加工削り代xが小さく、計測された高さ方向距離hが基準高さ方向距離h0よりも小さいとき、加工削り代xが大きくなるように設定されている。この調整加工によれば、ボア径が小さく、吸排気ポート間のスペース確保が厳しいシリンダヘッドの燃焼室容積調整に有効である。
3〕前記実施例においては、圧縮比14のエンジンの例を説明したが、少なくとも高圧縮比のエンジンで有ればよく、圧縮比12以上の高圧縮比エンジンで有れば本発明と同様の効果を奏することができる。
2 凹部
2a 吸気ポート側斜面
2b 排気ポート側斜面
3 合わせ面
4 吸気ポート
5 排気ポート
10 基準面
21 切削対象部
h,h0, 高さ方向距離
h1〜h4
x,x0, 加工削り代
C0 (凹部)開口縁部
V 燃焼室容積
Claims (5)
- 気筒毎に燃焼室の一部を形成する凹部とシリンダブロックとの合わせ面を備えたシリンダヘッドを有し、複数の気筒を列状に配置した多気筒エンジンの燃焼室容積調整方法において、
前記シリンダヘッドの各凹部の頂部に平坦な基準面を備えたシリンダヘッド素材を鋳造する鋳造工程と、
前記シリンダヘッド素材にシリンダブロックとの合わせ面を切削加工する合わせ面加工工程と、
前記シリンダヘッドの合わせ面から前記基準面までの高さ方向距離を気筒毎に計測する計測工程と、
前記計測された高さ方向距離に基づき前記凹部表面の切削加工対象部の加工削り代を調整する調整加工工程と、
を有することを特徴とする多気筒エンジンの燃焼室容積調整方法。 - 前記燃焼室は吸気ポート側斜面と排気ポート側斜面を備えたペントルーフ型燃焼室に形成され、
前記基準面は前記吸気ポート側斜面と排気ポート側斜面の境界部分に設けられ、
前記調整加工工程において、前記切削加工対象部としての吸気ポートから排気ポートに亙る凹部開口縁部を前記計測された高さ方向距離に基づき加工することを特徴とする請求項1に記載の多気筒エンジンの燃焼室容積調整方法。 - 前記鋳造工程において、各凹部の切削加工対象部は目標となる燃焼室容積に対して所定の加工削り代を有するように形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の多気筒エンジンの燃焼室容積調整方法。
- 前記調整加工工程において、前記計測された高さ方向距離が基準高さ方向距離よりも大きいとき、加工削り代が小さく、計測された高さ方向距離が基準高さ方向距離よりも小さいとき、加工削り代が大きく設定されることを特徴とする請求項3に記載の多気筒エンジンの燃焼室容積調整方法。
- 前記多気筒エンジンは燃焼のための圧縮比が12以上に構成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の多気筒エンジンの燃焼室容積調整方法。
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