JPH10103151A - 内燃機関における吸気ポートの構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリンダヘッド３の一側面３ａに開口する吸
気ポート８における燃焼室６内への開口部と、シリンダ
ヘッドの他側面３ｂに開口する排気ポート９における燃
焼室６内への開口部とを、平面視において燃焼室の中心
を通る長手中心線７上の部位に並べて配設する一方、前
記長手中心線よりも吸気ポート側で、且つ、前記排気ポ
ートの燃焼室への開口部に向かい合う部位に点火栓１２
を配設して成る内燃機関において、前記点火栓１２付近
の空燃比をリッチ化して、着火不良を低減する。 【手段】 吸気ポート８における内面の鋳物肌面のうち
湾曲方向の内側の部分８ａと、この吸気ポートの燃焼室
内への開口部に設けた弁シート部材１４の内面の機械加
工面８ｂとの部分を、その間を滑らかな円弧面８ｄで接
続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関におい
て、そのシリンダヘッドの内部に、各気筒への燃焼室内
に吸気を導くために形成される吸気ポートの構造に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術と発明が解決しようとする課題】内燃機関
において、そのシリンダヘッドは鋳造製であることによ
り、その内部に形成される吸気ポートは、シリンダヘッ
ドの鋳造に際して、中子型にて同時に、その一端がシリ
ンダヘッドの側面に、他端がシリンダヘッドの下面にお
ける燃焼室内に各々開口するように、湾曲した形態にし
て形成される。

【０００３】一方、内燃機関においては、前記吸気ポー
トの燃焼室内に開口部に、耐熱耐磨耗性金属製の弁シー
ト部材を埋設して、この弁シート部材に、吸気弁が着座
するように構成している。そこで、従来は、シリンダヘ
ッドの内部に、各気筒における燃焼室への吸気ポート
を、当該シリンダヘッドの鋳造と同時に、中子型にて形
成し、この各吸気ポートの燃焼室への開口部に、弁シー
ト部材用の段付き孔を機械加工によって穿設したのち、
この段付き孔内に、弁シート部材を、圧入又は冷やし嵌
めにて嵌着し、次いで、この弁シート部材の内周面と、
吸気ポートのうちこの弁リード部材に隣接する部分にお
ける内周面との部分を、略同じ内径になるように機械加
工したのち、前記弁シート部材に、吸気弁の着座面を形
成する機械加工を施すようにしている。

【０００４】つまり、吸気ポートは、シリンダヘッドを
鋳造するに際して同時に中子型にて湾曲した形態にして
形成されたのち、この吸気ポートのうち弁シート部材に
隣接する部分のみが、弁シート部材の内径と同じ内径と
なるように機械加工されるものであることにより、吸気
ポートの内面のうち湾曲方向の内側の部分には、中子型
による鋳物肌面と、機械加工面との境界部分に、面が鋳
物肌による湾曲面から機械加工による平面に急変する加
工エッジが発生することになる。

【０００５】そして、このような加工エッジの存在は、
吸気ポートの内面のうち湾曲方向の内側の部分を伝い流
れる燃料を、当該加工エッジによって吸気ポート内を流
れる吸気に乗せて霧化し易い形態になることにより、そ
の結果、吸気ポートの内面のうち湾曲方向の内側の部分
を伝いながら燃焼室内に入る燃料が少なくなるから、点
火栓が、燃焼室のうち吸気ポートの開口部の部分に配設
されている場合、つまり、特開平８−１７７６８７号公
報に記載されているように、シリンダヘッドの一側面に
開口する吸気ポートにおける燃焼室内への開口部と、シ
リンダヘッドの他側面に開口する排気ポートにおける燃
焼室内への開口部とを、平面視において燃焼室の中心を
通ってクランク軸方向に延びる長手中心線上の部位に並
べて配設する一方、前記長手中心線よりも吸気ポート側
で、且つ、前記排気ポートの燃焼室への開口部に向かい
合う部位に、点火栓を配設した内燃機関の場合には、前
記点火栓の付近における空燃比が希薄になり過ぎて、点
火栓による着火不良が多発すると言う問題があった。

【０００６】本発明は、この問題を解消した吸気ポート
の構造を提供することを技術的課題とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この技術的課題を達成す
るため本発明は、「シリンダヘッドの一側面に開口する
吸気ポートにおける燃焼室内への開口部と、シリンダヘ
ッドの他側面に開口する排気ポートにおける燃焼室内へ
の開口部とを、平面視において燃焼室の中心を通ってク
ランク軸方向に延びる長手中心線上の部位に並べて配設
する一方、前記長手中心線よりも吸気ポート側で、且
つ、前記排気ポートの燃焼室への開口部に向かい合う部
位に点火栓を配設して成る内燃機関において、前記吸気
ポートにおける内面の鋳物肌面のうち湾曲方向の内側の
部分と、この吸気ポートの燃焼室内への開口部に設けた
弁シート部材の内面の機械加工面との部分を、その間を
滑らかな円弧面で接続する。」と言う構成にした。

【０００８】

【作 用】このように、吸気ポートにおける内面の鋳
物肌面のうち湾曲方向の内側の部分と、この吸気ポート
の燃焼室内への開口部に設けた弁シート部材の内面の機
械加工面との部分を、その間を滑らかな円弧面で接続す
ることにより、吸気ポートの内面のうち湾曲方向の内側
の部分を伝い流れる燃料のうち、この部分から燃焼室内
に流入する燃料の量を、前記円弧面の存在によって多く
することができるのである。

【０００９】

【発明の効果】従って、本発明によると、シリンダヘッ
ドの一側面に開口する吸気ポートにおける燃焼室内への
開口部と、シリンダヘッドの他側面に開口する排気ポー
トにおける燃焼室内への開口部とを、平面視において燃
焼室の中心を通ってクランク軸方向に延びる長手中心線
上の部位に並べて配設する一方、前記長手中心線よりも
吸気ポート側で、且つ、前記排気ポートの燃焼室への開
口部に向かい合う部位に点火栓を配設して成る内燃機関
において、前記点火栓の付近を比較的リッチな空燃比に
することができるから、点火栓に着火不良が発生するこ
とを確実に低減できる効果を有する。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面について説明する。図１及び図２において符号１は、
内燃機関を示し、この内燃機関１は、シリンダブロック
２と、その上面に締結したシリンダヘッド３とから成
り、前記シリンダブロック２には、内部に往復動するピ
ストン４を備えたシリンダ５が形成され、また、前記シ
リンダヘッド３の下面には、前記シリンダ５の頂部にお
ける燃焼室６が凹み形成されている。

【００１１】前記シリンダヘッド３の内部には、平面視
において燃焼室６の中心を通ってクランク軸方向に延び
る長手中心線７を挟んで一方側に吸気ポート８が、他方
側に排気ポート９が、吸気ポート８の入口端がシリンダ
ヘッド３の一側面３ａに、排気ポート９の出口端がシリ
ンダヘッド３の他側面３ｂに各々開口するように形成さ
れ、これら吸気ポート８及び排気ポート９における燃焼
室６内への開口部は、前記長手中心線７上の部位に位置
し、吸気ポート８の燃焼室６への開口部には吸気弁１０
が、排気ポート９の燃焼室６への開口部には排気弁１１
が各々設けられている。

【００１２】また、前記シリンダヘッド３には点火栓１
２が、当該点火栓１２における電極部１２ａが燃焼室６
内のうち前記長手中心線７よりも吸気ポート８側で、且
つ、前記排気ポート９の燃焼室６への開口部に向かい合
う部位にのぞむように装着されている。更にまた、前記
吸気ポート８の入口端の近傍には、燃料を当該吸気ポー
ト８内に噴射供給する燃料噴射弁１３が装着されてい
る。

【００１３】そして、前記シリンダヘッド３における吸
気ポート８は、シリンダヘッド３を鋳造するとき、図３
に示すように、燃焼室６の内部に対する中子型Ａ１と、
吸気ポート８の内部に対する中子型Ａ２とによって、同
時に形成される。図４は、この吸気ポート８における燃
焼室６に対する開口部分の拡大図である。次いで、この
吸気ポート８のうち燃焼室６への開口部に、弁シート部
材１４用の段付き孔Ｂを機械加工によって穿設したの
ち、この段付き孔Ｂ内に、図６に示すように、弁シート
部材１４を、圧入又は冷やし嵌めにて嵌着する。

【００１４】そして、この弁シート部材１４内に、図７
に示すように、先端を砲弾型に形成した直径Ｄのフライ
ス工具Ｃを、回転しながら挿入することにより、前記弁
シート部材１４の内周面と、吸気ポート８のうちこの弁
リード部材１４に隣接する部分における内周面との部分
を、図８に示すように、略同じ内径Ｄになるように機械
加工したのち、前記弁シート部材１４に、図９に示すよ
うに、吸気弁１０の着座面１４ａを機械加工にて形成す
るのである。

【００１５】ところで、前記弁シート部材１３の内周面
と、吸気ポート８のうちこの弁リード部材１４に隣接す
る部分における内周面との部分を、フライス工具Ｃにて
内径Ｄに機械加工すると、図８に示すように、吸気ポー
ト８の内面のうち湾曲方向の内側の部分には、中子型Ａ
２による鋳物肌面８ａと、機械加工面８ｂとの境界部分
に、面が鋳物肌による湾曲面８ａから機械加工による平
面８ｂにと急変する加工エッジ８ｃが発生することにな
る。

【００１６】そして、このような加工エッジ８ｃの存在
は、前記燃料噴射弁１２が供給され吸気ポート８の内面
のうち湾曲方向の内側の部分を伝い流れる燃料を、当該
加工エッジ８ｃによって吸気ポート８内を矢印Ｅで示す
ように流れる吸気の主流に乗せて霧化し易い形態になる
ことにより、その結果、吸気ポート８の内面のうち湾曲
方向の内側の部分を伝いながら燃焼室６内に入る燃料が
少なくなるから、長手中心線７よりも吸気ポート８側
で、且つ、前記排気ポート９の燃焼室６への開口部に向
かい合う部位に配設されている点火栓１２の電極部１２
ａの付近における空燃比が希薄になり過ぎることにな
る。

【００１７】それに対して、本発明は、前記弁シート部
材１４の内周面と、吸気ポート８のうちこの弁リード部
材１４に隣接する部分における内周面との部分を、フラ
イス工具Ｃにて内径Ｄに機械加工したあとにおいて、こ
のとき発生する加工エッジ８ｃを除去し、鋳物肌による
湾曲面８ａと機械加工による平面８ｂとの間を、図１０
に示すように、円弧面８ｄで滑らかに接続すると言う加
工を施すのである。

【００１８】このように構成することにより、吸気ポー
ト８の内面のうち湾曲方向の内側の部分を伝い流れる燃
料のうち、この部分から燃焼室６内に流入する燃料の量
を、前記円弧面８ｄの存在によって多くすることができ
るから、点火栓１２の電極部１２ａの付近における空燃
比が希薄になり過ぎることを防止できるのである。な
お、本発明者の実験によると、前記弁シート部材１４の
内周面と吸気ポート８のうちこの弁リード部材１４に隣
接する部分における内周面との部分をフライス工具Ｃに
て内径Ｄに機械加工するときに発生する加工エッジ８ｃ
は、その全てを除去する必要はなく、図１１に示すよう
に、平面視において、吸気ポート８の中心線を挟んでθ
＝約６０度の範囲のみについて円弧面８ｄに仕上げ加工
するだけで充分であり、これにより前記加工に要する手
数を低減できるのであった。

【図面の簡単な説明】

【図１】内燃機関の縦断正面図である。

【図２】図１のII−II底面図である。

【図３】シリンダヘッドにおける吸気ポートを鋳造にて
形成している状態を示す縦断正面図である。

【図４】鋳造にして形成した吸気ポートの要部拡大図で
ある。

【図５】前記吸気ポートに弁シート部材用の段付き孔を
加工をした状態の拡大図である。

【図６】前記吸気ポートに弁シート部材を嵌着した状態
の拡大図である。

【図７】前記吸気ポート内及び弁シート部材内を加工し
ている状態を拡大図である。

【図８】前記図７の加工を完了した状態を示す拡大図で
ある。

【図９】前記弁シート部材に着座面を形成した状態の拡
大図である。

【図１０】本発明による吸気ポートの要部拡大図であ
る。

【図１１】図１０のXI−XI視断面図である。

【符号の説明】

１ 内燃機関 ２ シリンダブロック ３ シリンダヘッド ３ａ シリンダヘッドの一側面 ３ｂ シリンダヘッドの他側面 ５ シリンダ ６ 燃焼室 ７ 長手中心線 ８ 吸気ポート ８ａ 吸気ポートの鋳物肌による湾曲面 ８ｂ 吸気ポートの機械加工による平面 ８ｄ 円弧面 ９ 排気ポート １２ 点火栓 １４ 弁シート部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダヘッドの一側面に開口する吸気ポ
   ートにおける燃焼室内への開口部と、シリンダヘッドの
   他側面に開口する排気ポートにおける燃焼室内への開口
   部とを、平面視において燃焼室の中心を通ってクランク
   軸方向に延びる長手中心線上の部位に並べて配設する一
   方、前記長手中心線よりも吸気ポート側で、且つ、前記
   排気ポートの燃焼室への開口部に向かい合う部位に点火
   栓を配設して成る内燃機関において、 前記吸気ポートにおける内面の鋳物肌面のうち湾曲方向
   の内側の部分と、この吸気ポートの燃焼室内への開口部
   に設けた弁シート部材の内面の機械加工面との部分を、
   その間を滑らかな円弧面で接続したことを特徴とする内
   燃機関における吸気ポートの構造。